説明

インクカートリッジ

【課題】インクカートリッジの外部から力が加えられてもバルブが作動しない機構を採用することにより、上記空気孔からのインクの漏出を防止することが可能なインクカートリッジを提供する。
【解決手段】インクカートリッジ50は、メインタンク70と、ポンプ170と、大気連通バルブ110と、インク供給バルブ130とを有する。メインタンク70には、バルブ収容室85が設けられており、該収容室85に大気連通バルブ110が収容される。大気連通バルブ110からインクタンク70の内部側にポンプ170が設けられている。ポンプ170が駆動すると、プランジャ172のピストン181がバルブ収容室85の奥側から外側へ向けて大気連通バルブ110のピストンバルブ131を移動させる。これにより、大気連通バルブ110が開放されて、インク室73が大気に連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に装着して用いられるインクカートリッジに関し、特に、インクタンク内を大気に連通させるバルブの開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを用いて記録用紙(被記録媒体)に画像を記録するインクジェット記録装置が広く知られている。このインクジェット記録装置は、インクジェット方式の記録ヘッドを備える。記録ヘッドは、該記録ヘッドに供給されたインクを記録用紙へ向けてノズルから選択的に噴出する。これにより、記録用紙にインクで形成された画像が記録される。
【0003】
この種のインクジェット記録装置では、インクタンクを備えたインクカートリッジが用いられている。例えば、インク供給方式としてオンキャリッジ方式が採用されたインクジェット記録装置(特許文献1及び2参照)においては、記録ヘッドとインクタンクとを一体にしてキャリッジに搭載し、インクタンクから直接に記録ヘッドへインクを供給している。一方、インク供給方式としてチューブ供給方式が採用されたインクジェット記録装置では、記録ヘッドとインクカートリッジとは、インクチューブで接続されている。インクは、インクカートリッジからポンプなどによってインクチューブを通じて記録ヘッドへ供給される。
【0004】
一般に、インクタンクには、空気をインクタンク内部に取り入れる空気孔が設けられている。画像記録作業によりインクタンク内のインクが消費されて減少すると、上記空気孔を通じて空気がインクタンク内に補われる。上記空気孔は、画像記録時は開放されているが、画像記録が行われない場合、所謂、待機状態のときは、インクの蒸発を防止するため、キャップなどによって閉塞される(特許文献1及び2参照)。
【0005】
また、特許文献3には、上記空気孔にバルブが設けられたインクカートリッジが開示されている。このインクカートリッジでは、上記バルブは、外部から押圧されることによって、閉塞状態の上記空気孔を開放する。
【0006】
【特許文献1】特開2001−191549号公報
【特許文献2】特開2006−110798号公報
【特許文献3】特開2005−246781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記バルブを有するインクカートリッジでは、ユーザが誤ってバルブを押したとき、或いは、インクカートリッジの運搬中にバルブが押圧されたときに、空気孔が開放されてインクが漏出する。一方、バルブが押圧されないようにするため、インクカートリッジに何らかの保護手段を施すと、組み立ての工数や部品点数が増加するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空気孔からのインクの漏出を簡単な機構で防止することが可能なインクカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、インクジェット記録装置に装着して用いられるインクカートリッジである。本発明のインクカートリッジは、インクを貯留するとともに内部に空気層を形成するインクタンクと、上記インクタンクのフレームに設けられ上記空気層と外部とを連通する孔と、上記孔を開閉可能なバルブと、上記インクタンクの内部側から上記バルブを作動させて上記孔を開閉させる押圧部材と、を具備する。
【0010】
インクタンクにはインクが貯留される。このインクタンクにインクが貯留されると、上層部に空気層が形成される。インクタンクのフレームには、上記空気層と外部をと連通して空気を流出入させる孔(以下「連通孔」と称する。)が設けられている。インクタンクにはバルブが設けられている。上記連通孔は、バルブによって開閉される。このバルブは、押圧部材によってインクタンクの内部側から押圧されると、バルブの開閉状態が移行する。例えば、バルブが押圧部材によって内部側から押圧されると、バルブは、上記連通孔を閉塞する閉姿勢から連通孔を開放する開姿勢に変化する。一方、押圧部材による押圧が解除されると、バルブは、上記開姿勢から上記閉姿勢へ戻される。
【0011】
(2) 上記押圧部材は、可動部を有する。この可動部は、上記バルブから離反する第1位置から、上記バルブに当接する第2位置を経て、上記バルブを押圧して上記孔を開放する第3位置までの間を移動する。
【0012】
これにより、仮に、可動部が自重或いは振動などによって移動した場合でも、可動部の移動範囲が、上記第1位置から上記第2位置までの範囲内であれば、バルブは作動しない。言い換えれば、可動部が上記第3位置まで押し込まれなければ、バルブは作動しない。したがって、可動部が移動した場合でも、連通孔は即座に開放されない。そのため、連通孔からのインクの漏出が効果的に防止される。
【0013】
(3) 上記押圧部材は、シリンダを有する。上記可動部は、上記シリンダ内で摺動するピストンである。
【0014】
このように、シリンダとピストンで上記押圧部材を構成することで、当該押圧部材の機構を簡単にすることができる。
【0015】
(4) 上記第3位置は、上記シリンダの底部である。
【0016】
これにより、シリンダの長手方向の全域において上記第1位置を任意に設定することができる。したがって、第1位置と第3位置との離間距離をピストンの最大ストロークに設定することも可能となる。このように上記離間距離を設定することで、バルブが作動するまでの可動部の移動範囲が最大となる。その結果、バルブの誤作動が軽減される。
【0017】
(5) 上記バルブの作動方向及び上記ピストンの移動方向は同一方向である。
【0018】
これにより、ピストンとバルブとの間に複雑なリンク機構を設けることを要しない。言い換えれば、ピストンによるバルブの押圧機構が簡単な構成で実現する。また、ピストンがバルブを正確且つ円滑に押圧する。
【0019】
(6) 上記インクタンク内に上記バルブが収容される収容室が区画されている。この場合、上記バルブは、、第1ジョイントと、第2ジョイントと、第3ジョイントと、が連結されてなる。第1ジョイントは、内孔を有する弾性部材からなる。第2ジョイントは、上記収容室内でスライド可能に設けられている。第3ジョイントは、上記第2ジョイントを上記第1ジョイントに対して押圧する方向に付勢する。さらに、上記第2ジョイントは、上記第1ジョイントに当接した際に上記内孔を閉塞するスライダーと、上記内孔に挿通され上記押圧部材による押圧を受ける第1ロッドとを有する。
【0020】
このように構成されたバルブであれば、押圧部材によって上記バルブの開閉状態を容易に移行させることができる。
【0021】
(7) 上記押圧部材は、上記ピストンに連結され、駆動源から受けた外力を上記ピストンに伝達する第2ロッドを有する。
【0022】
このように第2ロッドを設けることで、駆動源から外力を容易にピストンに伝達することができる。これにより、上記ピストンを上記第1位置と上記第3位置との間で容易に移動させることができる。
【0023】
(8) 上記第2ロッドは、ラックギヤを有する。
【0024】
これにより、駆動源からの外力が、駆動ロスなしに第2ロッド及びピストンに伝達される。
【0025】
(9) 上記押圧部材は、上記バルブを上記インクタンクの内部側から押圧する機能を有する。また、上記押圧部材は、上記インクタンクの空気層に空気を供給し、或いは上記空気層から空気を吸引するポンプ機能を有する。
【0026】
押圧部材が、インクタンク内の空気層から空気を吸引してその体積を減少させると、インクジェット記録装置の記録ヘッドに貯留されたインクがインクタンクに流入する。一方、押圧部材が、インクタンク内の空気層に空気を送り込んでその体積を増加させると、インクタンク内のインクは記録ヘッドへ流出する。このようなポンプ機能が上記押圧部材に併有されることで、実質的に、ポンプまたは押圧部材のいずれかを省略することができる。これにより、インクカートリッジの構成が簡素化される。
【0027】
(10) 上記押圧部材は、上記シリンダと上記ピストンとを有してなるピストンポンプである。
【0028】
これにより、上述のポンプ機能を併有する上記押圧部材を好適に具現化することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のインクカートリッジによれば、バルブはインクタンクの内部側から押圧された場合に開放される。言い換えれば、インクタンクの外部から力が加えられてもバルブは作動しない。これにより、孔からのインクの漏出が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0031】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係るインクカートリッジ50が適用されるインクジェット記録装置10の概略構成及びその動作について説明する。ここに、図1は、インクジェット記録装置10の内部機構を示す模式断面図である。図2は、図1の記録ユニット14を詳細に示す要部拡大図であり、図2(a)は、バルブ37の開口42が閉塞された状態を示し、図2(b)は、バルブ37の開口42が開放された状態を示す。
【0032】
インクジェット記録装置10は、5色のインク、すなわち、染料インクであるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)、及び、顔料インクであるブラック(Bk)を用いてカラー画像或いはモノクロ画像を記録用紙(被記録媒体の一例)に記録する。図1に示されるように、当該インクジェット記録装置10は、大別して、給紙装置12、搬送装置13、記録ユニット14、インク供給装置11を備える。インクジェット記録装置10の底面には、給紙トレイ16が設けられている。給紙トレイ16に積載された記録用紙は、給紙装置12によって搬送路18へ送給される。
【0033】
搬送路18は、断面視で略横向きのU字形状に形成されている。この搬送路18に搬送装置13が配設されている。搬送装置13は、搬送ローラ対13Aと排紙ローラ対13Bとを有する。搬送ローラ対13Aは、記録ユニット14の搬送方向上流側(図1の紙面の右側)に設けられている。また、排紙ローラ対13Bは、記録ユニット14の搬送方向下流側(図1の紙面の左側)に設けられている。
【0034】
搬送路18に送給された記録用紙は、搬送ローラ対13Aによってプラテン19へ向けて搬送される。プラテン19の上方には記録ユニット14が配設されている。この記録ユニット14によって、プラテン19上を通過する記録用紙に画像が記録される。記録用紙の先端が排紙ローラ対13Bに到達すると、該排紙ローラ対13Bは、記録用紙の先端を狭持して該記録用紙の搬送を開始する。記録用紙の後端が搬送ローラ対13Aを通過するまでは、搬送ローラ対13A及び排紙ローラ対13Bの双方によって記録用紙は搬送される。記録用紙の後端が搬送ローラ対13Aを通過した後は、排紙ローラ対13Bのみによって記録用紙は搬送される。搬送路18の最下流側に排紙トレイ17が設けられいる。画像が記録された記録用紙は、排紙ローラ対13Bによって排紙トレイ17に排出される。
【0035】
記録ユニット14は、その筐体を兼ねるキャリッジ30と、サブタンク21と、記録ヘッド26とを備える。キャリッジ30は、図示しない支持レールなどによって図1の紙面に垂直な方向にスライド可能に支持されている。サブタンク21及び記録ヘッド26は、キャリッジ30内に収容されている。このサブタンク21には、記録ヘッド26へ供給されるインクが収容される。サブタンク21は、インクジェット記録装置10で用いられるインクの色に対応して設けられている。したがって、本実施形態では、キャリッジ30に、5つのサブタンク21が設けられている。
【0036】
記録ヘッド26は、ノズル28を備える。ヘッド制御基板27に入力された画像信号に基づいて、ノズル28から記録用紙に向けてインクが吐出される。なお、インクジェット記録装置10には、当該装置を統括的に制御する主制御部(不図示)が設けられており、上記画像信号は、上記主制御部から出力されてヘッド制御基板27へ入力される。
【0037】
図2に示されるように、キャリッジ30の側面には、チューブ継手33が設けられている。このチューブ継手33に、インクチューブ32が接続される。チューブ継手33及びインクチューブ32は、インクジェット記録装置10で用いられるインクの色に対応して設けられている。したがって、本実施形態では、5色のインクが用いられるため、チューブ継手33及びインクチューブ32は、それぞれ5つ設けられている。キャリッジ30の内部には、チューブ継手33からサブタンク21の底面へ延びる流路34が形成されている。
【0038】
キャリッジ30には、バルブ37が設けられている。このバルブ37が切り換えられることにより、開口42が開閉される。バルブ37は、図2に示されるように、サブタンク21内に連通するシリンダ39と、コイルバネ41と、ピストン40とからなるピストン式のバルブである。コイルバネ41は、シリンダ39に収容されている。また、ピストン40は、コイルバネ41を収縮した状態でシリンダ39内に収容されている。したがって、ピストン40は、常時、コイルバネ41によって一方向(図2の紙面の下方向)に付勢されている。ピストン40には、外力を伝達するためのロッド43が連結されている。このロッド43は、シリンダ39に設けられた開口42に挿通されて外部に延びている。上記開口42は、上記ロッド43に外力が加えられない限り、図2(a)に示されるように、ピストン40によって閉塞されている。
【0039】
図2(b)に示されるように、ロッド43からピストン40へ外力が加えられると、ピストン40は、コイルバネ41の付勢力に抗してシリンダ39内を移動する。具体的には、図2において、ロッド43が下方から上方へ押圧されると、コイルバネ41の付勢力に抗してピストン40が押し上げられる。このとき、開口42が開放される。これにより、サブタンク21の内部と大気とが開口42及びシリンダ39を介して連通する。言い換えれば、サブタンク21の内部が大気と連通する。なお、開口42は、インクチューブ32を通じてサブタンク21にインクが流出入されるときに開放される。一方、インクジェット記録装置10が作動していない状態、所謂、待機状態のときは、インクの蒸発を防止するために開口42は閉塞される。
【0040】
図1に示されるように、インク供給装置11は、カートリッジ装着部200と、インクカートリッジ50と、インクチューブ32と、サブタンク21とを備えて構成される。カートリッジ装着部200にインクカートリッジ50が装着される。本実施形態では、インクカートリッジ50は、カートリッジ装着部200に対して着脱可能に構成されている。インクカートリッジ50はメインタンク70(本発明のインクタンクの一例)を備える。メインタンク70及びサブタンク21は、いずれも、インクが貯留される容器である。メインタンク70には、サブタンク21へ供給されるインクが貯留される。メインタンク70とサブタンク21とは、インクチューブ32で接続されている。本実施形態では、インクジェット記録装置10で用いられるインクの色ごとに応じて1本のインクチューブ32がメインタンク70及びサブタンク21間に配設されている。インクチューブ32を通じて、メインタンク70とサブタンク21との間をインクが双方向に流通するようになっている。インクチューブ32は、合成樹脂からなり、可撓性を有する。したがって、キャリッジ30がスライド移動しても、インクチューブ32はキャリッジ30に追従する。
【0041】
本実施形態では、上述したように、インクジェット記録装置10にインク供給装置11が設けられているため、メインタンク70とサブタンク21との間でインクを双方向に流通させることができる。したがって、インク供給装置11によって、サブタンク21からメインタンク70へインクを戻すことで、サブタンク21やインクチューブ32内の気泡をメインタンク70内でインクから分離させて除去することができる。また、メインタンク70からサブタンク21へインクを供給することで、サブタンク21内のインクがメインタンク70に貯留されていたインクに入れ替えられる。これにより、メインタンク70のインクとサブタンク21のインクとが混合される。以下に、本実施形態に係るインク供給装置11を構成する各要素について詳細に説明する。
【0042】
まず、図3から図9を参照して、インクカートリッジ50の外観構成及び内部構成について説明する。ここに、図3は、インクカートリッジ50の外観構成を示す斜視図である。図3(a)は、ケース52が組み立てられた状態を示し、図3(b)は、ケース52が分解された状態を示す。図4は、インクカートリッジ50の外観構成を示す斜視図である。図5は、インクカートリッジ50の内部構成を示す斜視図である。図6は、図5の矢視VIから見た側面図であり、インクカートリッジ50の内部構成が示されている。図7は、図5の切断線VII−VIIの断面図である。図8は、インクカートリッジ50の分解断面図である。図9は、図8の切断線IX−IXの部分断面図である。なお、図8においては、ケース52が省略されている。
【0043】
図3及び図4に示されるように、インクカートリッジ50は、ケース52を備える。このケース52の内部に、インクカートリッジ50を構成する各要素が収容されている。ケース52は、幅方向(図中のY軸方向)に細く、高さ方向(鉛直方向、図中のZ軸方向)に長く、奥行き方向(図中のX軸方向)が上記高さ方向よりもさらに長い略直方体形状に形成されている。したがって、インクカートリッジ50の外観は略直方体形状を呈する。このような形状のインクカートリッジ50であれば、カートリッジ装着部200(図17参照)におけるインクカートリッジ50の平面的な配置スペースを省減することができる。特に、インクジェット記録装置10が複数のインクカートリッジ50を搭載する場合に、上記形状は好適である。もちろん、インクカートリッジ50は上記形状に限定されない。なお、図中のX軸方向は、カートリッジ装着部200に対するインクカートリッジ50の装着方向と一致する。また、図中のX軸とY軸とで形成される平面(以下「X−Y平面」と称する。)が水平面である。このインクカートリッジ50は、図3(a)に示される姿勢、すなわち、上記X−Y平面に起立した姿勢で、カートリッジ装着部200に装着される。
【0044】
図3(b)に示されるように、ケース52は、第1ケース部材53と第2ケース部材54とを有する。ケース52は、インクカートリッジ50の長手方向(図中のX軸方向及びZ軸方向)に沿って第1ケース部材53と第2ケース部材54との2つに分離可能である。第1ケース部材53と第2ケース部材54は略同形状に形成されている。第1ケース部材53及び第2ケース部材54は、いずれも、合成樹脂で構成され、例えば射出成形によって得られる。
【0045】
ケース52には、3つの開口56,57,58が設けられている。開口56は、ケース52の上面59から背面60(インクカートリッジ50の装着方向前方側の面)に渡って設けられている。この開口56は、第1ケース部材53及び第2ケース部材54それぞれに形成された切り欠き61によって形成される。開口56に、後述のラックギヤ185(図6参照)が挿通され、後述のピニオンギヤ221(図16参照)が挿入される。開口57は、上記背面60の下部に設けられている(図4参照)。この開口57は、第1ケース部材53及び第2ケース部材54それぞれに形成された半円状の切り欠き(不図示)によって形成される。開口57に、後述のインク供給バルブ130(本発明のバルブに相当)がケース52の内側から嵌め入れられて、外部に露出される。また、開口58は、上記背面60において、開口56と開口57との中間付近に設けられている(図4参照)。この開口58は、第1ケース部材53及び第2ケース部材54それぞれに形成された矩形状の切り欠き62(図4参照)によって形成される。開口58から、後述の検出部75(図6参照)が外部に露出される。
【0046】
図5から図7に示されるように、ケース52の内部には、メインタンク70と、ポンプ170(本発明の押圧部材の一例)と、大気連通バルブ110(本発明のバルブの一例)と、インク供給バルブ130とが配設されている。本実施形態では、メインタンク70、ポンプ170、大気連通バルブ110、インク供給バルブ130はいずれも、合成樹脂で構成されている。
【0047】
メインタンク70は、その略全体がケース52に覆われている(図5参照)。したがって、メインタンク70は、ケース52に対応して、幅方向(Y軸方向)に細く、高さ方向(鉛直方向、Z軸方向)に長く、奥行き方向(装着方向、X軸方向)に長い形状を呈する。このメインタンク70には、サブタンク21へ供給されるインクが貯留される。メインタンク70は、半透明のフレーム71と、フレーム71の両側面に溶着される透明のフィルム81(図9参照)とを備える。フレーム71によって、インクが貯留されるインク室73が区画される。なお、フィルム81は、本来、図6の側面図に現れるが、同図ではフィルム81を省略している。
【0048】
メインタンク70は、図5から図8に示されるように、インク注入部72を有する。インク注入部72は、フレーム71と一体に成形されている。インク注入部72は、図5に示されるように、略円筒形状に形成されている。メインタンク70の前面80に注入口82が設けられている。インク注入部72は、注入口82から図中のX軸方向へ延設されている。注入口82からインク注入部72を経てメインタンク70のインク室73に所定量(本実施形態では、概ねインク室73の8割程度の量)のインクが注入される。これにより、メインタンク70の上層部に空気層83(図10参照)が形成される。図10に、インク室73に所定量のインクが注入された状態を示す。なお、インク注入部72は、インクが注入された後に樹脂製の栓部材が注入口82から圧入されることにより封じられる。そのため、インク注入後は、インク室73は実質的に密封される。したがって、大気連通バルブ110やインク供給バルブ130が開かない限り、空気層83は気密状態を維持する。これにより、注入口82からインクや空気が外部へ漏れ出すことはない。
【0049】
図7及び図8に示されるように、メインタンク70の前面80の上部に、円形の開口84が設けられている。開口84に連続して、メインタンク70の内部側に、円筒状のバルブ収容室85(本発明の収容室に相当)が形成されている。より詳細には、バルブ収容室85は、開口84から図中のX軸方向に沿ってメインタンク70の内側に延設されている。このバルブ収容室85に大気連通バルブ110が収容される(図7参照)。
【0050】
バルブ収容室85は、図7及び図8に示されるように、円筒状に形成された筒状フレーム71Cによって区画されている。この筒状フレーム71Cは、メインタンク70のフレーム71の一部を構成する。バルブ収容室85の断面積は、後述のポンプ170のシリンダ171の断面積と等しくなるように設定されている。
【0051】
筒状フレーム71Cは、図7及び図8に示されるように、孔100と孔101とを有する。孔101は、筒状フレーム71Cの上側の面に設けられている。この孔101によって、バルブ収容室85と外部とが連通している。一方、孔100は、バルブ収容室85の奥面を形成する奥壁106に設けられている。この孔100によって、バルブ収容室85とインク室73とがバルブ収容室85の奥部で連通している。
【0052】
孔100は、図7及び図8に示されるように、インク室73の上層部に通じている。したがって、バルブ収容室85は、孔100を介してインク室73の上層部に連通している。より詳細には、バルブ収容室85は、孔100を介してインク室73の上層部に形成される空気層83(図10参照)に連通している。孔100に、後述の大気連通バルブ110のロッド117(図11参照)が挿通される。孔100は、ロッド117の径よりも大きく形成されている。そのため、孔100にロッド117が挿通されても孔100は塞がらない。したがって、孔100にロッド117が挿通された状態で、バルブ収容室85とインク室73との間における空気の流通は阻害されない。また、ロッド117は、図11に示されるように、長手方向に直交する方向の断面が略十字形状に形成されている。そのため、ロッド117のV字形状の谷部117B(図11参照)に空気の流路が形成される。したがって、孔100にロッド117が挿通された状態であっても、空気は谷部117Bを通って円滑に流通する。
【0053】
本実施形態では、孔101と孔100との間に形成される空間的な流路は、大気連通バルブ110によって接続または遮断される。言い換えれば、上記空間的な流路は、大気連通バルブ110によって開閉可能である。なお、孔101から孔100を経てインク室73に至る流路が、本発明の孔に相当する。
【0054】
図7から図9に示されるように、メインタンク70の背面79(メインタンク70における装着方向の前方側の面)を形成する側壁フレーム71Aに円形の開口87が設けられている。より詳細には、側壁フレーム71Aの下部に開口87が設けられている。開口87に連続して、メインタンク70の内部側に、バルブ収容室88が形成されている。より詳細には、バルブ収容室88は、開口87から図中のX軸方向に沿ってメインタンク70の内側に延設されている。このバルブ収容室88にインク供給バルブ130が収容される(図7参照)。
【0055】
バルブ収容室88は、図9に示されるように、円筒状に形成された筒状フレーム71Bによって区画されている。この筒状フレーム71Bは、上記側壁フレーム71Aに連続して設けられている。側壁フレーム71A及び筒状フレーム71Bは、メインタンク70のフレーム71の一部を構成する。
【0056】
筒状フレーム71Bは、図7から図9に示されるように、孔104と孔89とを有する。孔104は、筒状フレーム71Bの上側の面に設けられている。孔104は、図9に示されるように、側壁フレーム71Aの内壁に沿って形成されている。この孔104によって、バルブ収容室88とインク室73とが開口87の入口付近で連通している。一方、孔89は、バルブ収容室88の奥面を形成する奥壁105に設けられている。したがって、孔89は、孔104より下方に配置されている。この孔89によって、バルブ収容室88とインク室73とがバルブ収容室88の奥部で連通している。
【0057】
図7から図9に示されるように、メインタンク70は、インク室73からバルブ収容室88へ延設された流路91を有する。流路91は、インク室73の下層部から孔89を経て、図中のX軸方向へ延び、バルブ収容室88に至る。流路91には、孔89を開閉するための逆止弁95が設けられている。この逆止弁95は、バルブ収容室88に対してインク室73が正圧となったときに開放され、逆に、バルブ収容室88に対してインク室73が負圧となったときに閉塞する。したがって、インク室73に空気が送り込まれるなどして該インク室73が加圧されると、インク室73がバルブ収容室88よりも正圧となる。このとき、逆止弁95が開放され、後述の逆止弁95は閉塞される。これにより、インク室73に貯留されたインクは、流路91を通ってバルブ収容室88へ導かれる。
【0058】
図7から図9に示されるように、メインタンク70は、バルブ収容室88からインク室73へ延設された流路92を有する。流路92は、図9に示されるように、バルブ収容室88から孔104を経て図中のZ軸方向(鉛直方向)へ延びる第1鉛直流路91Aと、この第1鉛直流路92Aの終端から図中のY軸方向(水平方向)へ延びる水平流路92Bと、該水平流路92Bの終端からさらに図中のZ軸方向(鉛直方向)へ延びてインク室73の上層部に至る第2鉛直流路92Cとを備える。上記水平流路92Bに後述のバッファ室90が配設されている。流路92の終端の開口94は、インク室73の上層部、言い換えれば、インク室73の上層部に形成される空気層83(図10参照)に開放されている。流路92の上方側は、図7及び図8に示されるように、インク室73の上層部に達した後に垂直に折り曲げられている。開口87からバルブ収容室88に流入したインクは流路92を通って空気層83へ導かれる。なお、流路91,92は、いずれも、フレーム71に設けられたリブなどによって形成されている。
【0059】
流路92には、バッファ室90が設けられている。バッファ室90は、バルブ収容室88の直上に配置されている。このバッファ室90は、インクタンク70に流入したインクの流動を緩衝する機能を有するものであり、その断面積は流路92の断面積より大きい。バッファ室90は、図9に示されるように、メインタンク70の幅方向、すなわち、図中のY軸方向に延びる円筒形状を呈している。
【0060】
バッファ室90には、図9中のY軸方向の中間付近に逆止弁93が設けられている。この逆止弁93は、バルブ収容室88に対してインク室73が負圧となったときに開放され、逆に、バルブ収容室88に対してインク室73が正圧となったときに閉塞する。したがって、インクチューブ32を通じて記録ヘッド26(図1参照)からバルブ収容室88にインクが流入すると、バルブ収容室88がインク室73よりも正圧となる。このとき、逆止弁93が開放され、上記逆止弁95は閉塞される。これにより、バルブ収容室88に流入したインクは、流路92を通ってインク室73へ導かれる。
【0061】
本実施形態では、上述した逆止弁93,95が設けられているため、外部からバルブ収容室88にインクが流入した場合は、そのインクは、バルブ収容室88からバッファ室90を経て流路92の上方へ流れる。また、インク室73に空気が送り込まれた場合は、インク室73に貯留されたインクは、インク室73から孔89を通じてバルブ収容室88へ向かう方向へ流れる。このように、流路92に逆止弁93が設けられ、流路91に逆止弁95が設けられているため、メインタンク70内では、図8の破線の矢印86に示されるように、インクを一方向に流通させる循環流路が形成される。
【0062】
また、図9及び図10に示されるように、筒状フレーム71Bに孔104が設けられているため、バルブ収容室88に漂う気泡はその浮力によって上昇して、孔104を経て上方のバッファ室90へ進むことができる。このとき、逆止弁93が開放されていれば、気泡は、逆止弁93を経て流路92を通って空気層83(図10参照)へ到達する。一方、逆止弁93が閉塞されていても、バルブ収容室88に漂う気泡は、バッファ室90に集まり、ここで留められる。したがって、記録ヘッド26のサブタンク21やインクチューブ32内のインクをメインタンク70に戻した際に、戻したインクがバルブ収容室88に残留していたとしても、そのインクから気泡が分離されてバッファ室90に集められる。言い換えれば、気泡がバルブ収容室88に残ることはない。
【0063】
メインタンク70の上面78には、図8に示されるように、ポンプ170を取り付けるためのスペース96が確保されている。このスペース96の周辺に、ポンプ170を上記スペース96に固定するための取付座98,99が設けられている。具体的には、取付座98は、メインタンク70の前面80側であって、バルブ収容室85の奥部の壁面を構成するフレーム71に設けられている。また、取付座99は、メインタンク70の背面79側であって、上面78に立設されている。これらの取付座98,99は、フレーム71と一体に成形される。
【0064】
取付座99は、ポンプ170を構成するシリンダ171の外径よりもやや大きいサイズの孔102を有する。孔102は、図中のX軸方向に貫通している。この孔102にシリンダ171が挿嵌されることで、シリンダ171の後端が取付座99に固定される。また、シリンダ171の先端は、取付座98に固定される。これにより、ポンプ170は、メインタンク70と一体となって緩みなく確実に取り付けられる。なお、取付座98には、インク室73に通じる孔103が設けられており、この孔103を通じてシリンダ171の内部とインク室73とが連通する。
【0065】
メインタンク70は、図6から図8に示されるように、検出部75を備える。この検出部75は、インク室73に貯留されているインクの残量を検出するためのものである。検出部75は、メインタンク70の背面79の中段付近からX軸方向外側へ突出している。検出部75は、フレーム71と一体に成形される。したがって、検出部75は、フレーム71と同じ材質、すなわち、半透明の合成樹脂で構成される。検出部75は、後述するように、光センサ203(図19参照)によって光が透過される。本実施形態では、検出部75を半透明の材質で構成することとしたが、光透過性(透明性)を有するものであれば、如何なる材質で構成されていてもよい。したがって、光の透過性を向上させるために、検出部75を完全に透明にしてもかまわない。
【0066】
検出部75は、図7から図9に示されるように、高さ方向(Z軸方向)へ延びる側面視でコの字形状の空洞部76を有する。この空洞部76は、インク室73に連続している。空洞部76に、後述のセンサーアーム150の遮蔽部157が進入或いは退出する。空洞部76に進入した遮蔽部157は、検出部75の内側の底面(下面)を構成する支持壁74に当接して、それ以上の進入が阻止される。一方、空洞部76から退出した遮蔽部157は、図7に示されるように、空洞部76から少し隔てた所定の位置で静止する。
【0067】
メインタンク70は、支持部97を備える。支持部97は、フレーム71と一体に設けられている。支持部97は、後述のセンサーアーム150を揺動可能に支持する。支持部97は、センサーアーム150の連結軸158(図8参照)を把持するようにして軸支する。
【0068】
以下、適宜図面を参照して、メインタンク70に取り付けられるセンサーアーム150、大気連通バルブ110、ポンプ170、インク供給バルブ130について詳細に説明する。
【0069】
まず、図8を参照して、センサーアーム150の構成について説明する。図8には、センサーアーム150の外観が詳細に示されている。このセンサーアーム150は、インク室73に貯留されたインクの残量を検出するための部材である。センサーアーム150は、合成樹脂から構成されており、射出成形により得られる。図8に示されるように、センサーアーム150は、バランス部152と、連結部153と、アーム部154とを有する。
【0070】
連結部153には、連結軸158が形成されている。この連結軸158が、フレーム71に設けられた支持部97に軸支される。これにより、センサーアーム150は、支持部97で揺動可能に支持される。
【0071】
バランス部152は、連結部153から連結軸158に直交する方向へストレートに延設されている。バランス部152は、その平均比重が、インクの比重よりも軽くなるよう成形されている。具体的には、バランス部152の内部が空洞化されている。したがって、インク中において、バランス部152は浮力体の役割を担う。なお、バランス部152をアーム部154及びインクよりも小さい比重の材質で構成してもかまわない。
【0072】
図8に示されるように、アーム部154は、第1アーム155と、第2アーム156と、遮蔽部157とを有する。第1アーム155は、連結部153からバランス部152に対して略垂直をなす方向(図8の紙面の上方向)に延びている。第1アーム155の先端から連続して第2アーム156が形成されている。この第2アーム156は、第1アーム155の先端を起点として、バランス部152から遠ざかる方向へ延びている。第2アーム156の先端、すなわち、センサーアーム150の先端に遮蔽部157が形成されている。
【0073】
本実施形態では、アーム部154は、バランス部152よりも重量が小さい。したがって、空気中においては、バランス部152はアーム部154よりも重い。そのため、インク室73にインクが入っていない状態では、センサーアーム150は、バランス部152の重力方向に引っ張られる。これにより、センサーアーム150は、連結軸158を中心にして左回り(図7の矢印162で示す方向)に回動する。このとき、遮蔽部157は検出部75の空洞部76から退出する。なお、バランス部152の下端がメインタンク70の底面に当接すると、センサーアーム150の回動が停止する。このとき、遮蔽部157は、図7に示されるように、検出部75から退出した所定の位置で静止する。
【0074】
一方、図10に示されるように、インク室73に上記所定量のインクが注入された状態では、バランス部152はインクに浸かる。このとき、バランス部152に、アーム部154よりも大きい浮力が発生する。この浮力によって、バランス部152とアーム部154との重量の均衡が逆転する。すなわち、インク中では、バランス部152の重力方向に働く力はアーム部154の重量方向に働く力よりも小さい。したがって、センサーアーム150は、アーム部154の重力方向へ引っ張られる。これにより、センサーアーム150は、連結軸158を中心にして右回り(図10の矢印163で示す方向)に回動する。このとき、遮蔽部157は検出部75の空洞部76に進入する。なお、遮蔽部157の下端が支持壁74に当接すると、センサーアーム150の回動が停止して、その姿勢を維持する。
【0075】
次に、図11及び図12を参照して、大気連通バルブ110の詳細な構成について説明する。ここに、図11は、大気連通バルブ110の構成部品を示す分解斜視図である。図12は、大気連通バルブ110の断面構造を示す部分拡大図であり、図12(a)は、ピストン116が位置P1で静止した状態を示し、図12(b)は、ピストン116が位置P2で静止した状態を示す。
【0076】
大気連通バルブ110は、孔101及び孔100を開閉して、メインタンク70のインク室73に形成された空気層83(図10参照)を大気に開放するためのバルブである。大気連通バルブ110は、図11及び図12に示されるように、キャップ111と、コイルバネ112(本発明の第3ジョイントの一例)と、ピストンバルブ113(本発明の第2ジョイントの一例)と、バルブ座114(本発明の第1ジョイントの一例)とを備える。大気連通バルブ110は、これら各要素(キャップ111、コイルバネ112、ピストンバルブ113、バルブ座114)がその順序で順次連結されて構成されている。上記各要素のうち、コイルバネ112、ピストンバルブ113、及びバルブ座114がバルブ収容室85に収容され、キャップ111は、開口84の周縁に装着される。
【0077】
バルブ座114は、バルブ収容室85(図8参照)の奥壁106に貼り付けられるようにして配置される。このバルブ座114は、コイルバネ112によって図中のX軸方向へ付勢されたピストン116を受け止めるものである。バルブ座114は、バルブ収容室85の内径に対応して円環状に形成されている。バルブ座114の中心には、バルブ座114を貫通する円形の孔115が形成されている。この孔115は、奥壁106の孔100と同じ軸上に設けられている。孔115及び孔100に、ピストンバルブ113のロッド117が挿通される。バルブ座114は、ゴムなどの弾性部材で構成されている。したがって、ピストンバルブ113がバルブ座114に押し付けられると、ピストン116とバルブ座114とが隙間なく密着する。
【0078】
ピストンバルブ113は、円筒状のピストン116(本発明のスライダーの一例)と、該ピストン116に一体に形成されたロッド117(本発明の第1ロッドの一例)とを備える。このピストン116は、コイルバネ112を受けるバネ座を兼ねる。ピストンバルブ113は、バルブ収容室85(図8参照)の奥面にバルブ座114を配置した状態でバルブ収容室85に収容される。ピストンバルブ113は、後述のコイルバネ112によって図中のX軸方向に弾性的に付勢される。
【0079】
ピストン116は、バルブ収容室85の内周面に摺動可能に設けられている。このピストン116は、図中のX軸方向にスライドする。ピストン116の外周面とバルブ収容室85の内周面との間には、オーリング121が設けられている。具体的には、ピストン116の外周面に形成された溝122にオーリング121が嵌め入れられている。これにより、ピストンバルブ113は、バルブ収容室85の内周面との間に形成された隙間を密封した状態でバルブ収容室85内を摺動しつつ、図中のX軸方向にスライドする。なお、上記オーリング121に代えて、ゴムなどの弾性体を上記溝122に嵌め入れてもよい。
【0080】
ロッド117は、ピストン116の中心部からバルブ収容室85の奥側へ延びている。このロッド117は、バルブ座114の孔115及び奥壁106の孔100に挿通される。大気連通バルブ110に外力が加えられていない状態では、ロッド117の先端117Aは、後述のポンプ170のシリンダ171の内部に至っている。なお、詳細については後述するが、ポンプ170のプランジャ172がシリンダ171の奥部まで押し込まれた際に、ストン182がロッド117の先端117Aに当接して、ピストンバルブ113を所定の位置P2(図12参照)まで後退させる外力が加えられる。
【0081】
コイルバネ112は、バルブ収容室85に収容されたピストンバルブ113をバルブ収容室85の奥行き方向(図8のX軸方向)へ弾性的に付勢するものである。コイルバネ112は、樹脂或いは金属からなる。コイルバネ112は、バルブ収容室85において、ピストンバルブ113よりも開口84側に収容される。コイルバネ112は、予め収縮された状態でバルブ収容室85に収容される。したがって、バルブ収容室85内においては、コイルバネ112は、常に、伸長する方向の付勢力を発生している。なお、本実施形態ではコイルバネ112を用いたが、コイルバネ112に代えて、例えば、板バネなどを用いてもよい。また、バルブ収容室85内において上記ピストンバルブ113を上記奥行き方向へ弾性的に付勢する部材であれば如何なる材質、形状、構成のものであってもコイルバネ112に置き換えることができる。もちろん、インク供給バルブ130に適用される後述のバネユニット134(図14参照)を用いてもよい。
【0082】
キャップ111は、その奥面を形成する奥壁119と、奥壁119の周縁から立設されて側面を形成する筒状の側壁118とを有する。奥壁119は、コイルバネ112を受けるバネ座を兼ねる。側壁118には、複数(本実施形態では2つ)の長孔120が形成されている。開口84(図8参照)の周縁に図示しない突起片が設けられており、この突起片が上記長孔120に挿嵌される。これにより、開口84の周縁に対してキャップ111が固定される。
【0083】
図12(a)に示されるように、ロッド117に外力が加えられていない状態では、ピストンバルブ113は、コイルバネ112によって付勢されることにより、ピストン116がバルブ座114に当接した位置P1で静止する。このとき、ピストン116とバルブ座114とが密着され、さらに、バルブ座114とバルブ収容室85の奥面とが密着される。これにより、メインタンク70のインク室73から孔115及び孔100を介してバルブ収容室85へ通じる流路が閉塞される。
【0084】
図12(b)に示されるように、ロッド117に対して矢印123の方向に外力が加えられると、コイルバネ112の付勢力に抗してピストンバルブ113が矢印123の方向へ後退し、ピストン116がバルブ座114から離反する。このとき、ピストンバルブ113は、ピストン116がキャップ111の奥壁119に当接する位置P2まで後退する。これにより、孔101が開放される。その結果、インク室73から、孔100、孔115、バルブ収容室85、そして孔101を経て大気へ通じる流路(図12(b)の矢印124を参照)が開放される。言い換えれば、インク室73は、孔100、孔115、バルブ収容室85、そして孔101を経て、大気と連通する。
【0085】
次に、図13を参照して、ポンプ170の詳細な構成について説明する。ここに、図13は、ポンプ170の断面構造を示す部分拡大図である。
【0086】
ポンプ170は、インク室73に空気を送給し、或いはインク室73からインクを吸引するものである。ポンプ170は、インク室73の空気層83(図10参照)への空気の送給と上記空気層83からの空気の吸引を交互に行うことにより、上記空気層83の体積を増減させる。すなわち、空気層83に空気が送給されると、空気層83内の空気圧が上昇して、インクが低圧方向へ流出する。その結果、空気層83の体積が増す。一方、空気層83から空気が吸引されると、空気層83内の空気圧が低下して、インクが低圧方向へ流出する。その結果、空気層83の体積が減少する。
【0087】
ポンプ170は、図13に示されるように、メインタンク70の上面78に設けられている。ポンプ170は、大別して、シリンダ171とプランジャ172とを備えて構成されている。要するに、ポンプ170は、シリンダ171とプランジャ172とを有するピストンポンプ(またはプランジャポンプ)である。シリンダ171及びプランジャ172は、合成樹脂を射出成形することにより得られる。
【0088】
シリンダ171は、メインタンク70の上面78に固定されている。このシリンダ171の断面は、バルブ収容室85の断面と同じ面積に設定されている。シリンダ171は、その中心軸が、メインタンク70の奥行き方向(図中のX軸方向)に沿うように上面78に配置されている。より詳細には、シリンダ171は、上記バルブ収容室85と同じ軸上に配置されている。したがって、シリンダ171内を移動するプランジャ172の移動方向は、バルブ収容室85内をスライドするピストンバルブ113の移動方向に一致する。
【0089】
シリンダ171にプランジャ172が挿入される方向(挿入方向)を基準にして、当該シリンダ171は、上記挿入方向の奥側の端部に壁面179を有する。この壁面179に孔173が形成されている。この孔173は、バルブ座114の孔115(図12参照)、奥壁106の孔100(図12参照)、及び取付座98の孔103と同じ軸上に設けられている。シリンダ171は、孔173及び孔103を経てインク室73に連通している。したがって、シリンダ171内の空気は、孔173及び孔103を通じてインク室73へ流出入する。なお、大気連通バルブ110のロッド117は、図12及び図13に示されるように、孔173及び孔103を通ってシリンダ171の内部まで延びている。
【0090】
上記挿入方向を基準にして、シリンダ171の手前側の端部には開口174が設けられている。この開口174は、シリンダ171の内径と同じサイズを有する。開口174からシリンダ171内にプランジャ172が挿入される。孔173及び開口174は、シリンダ171の両端部それぞれに、同軸上に配置されている。以下、シリンダ171の両端部のうち、孔173が設けられた側の端部を先端175と称し、開口174が設けられた側の端部を後端176と称する。
【0091】
シリンダ171の先端175には、円環状の取付具177が設けられている。この取付具177は、一部が先端175に埋設されており、残りの部分が露出されている。したがって、図13に示されるように、取付具177は、断面視で先端175からシリンダ171の軸方向に突出している。取付座98には図示しない取付溝が形成されており、該取付溝に取付具177が嵌め入れられる。これにより、シリンダ171の先端175が取付座98に固定される。また、取付具177には、ゴム質のコーティングが施されている。そのため、取付具177と取付座98とが隙間なく密着される。したがって、シリンダ171の内部からインク室73に至る経路に空気漏れが生じることはない。なお、上述したように、取付座98は、メインタンク70の前面80側であって、バルブ収容室85の奥部の壁面を構成するフレーム71に設けられている。そのため、シリンダ171は、先端175を上記前面80側にして上面78に固定される。
【0092】
シリンダ171の後端176には、シリンダ171の径方向に突出する座178が設けられている。シリンダ171の先端175が取付座99の孔102に挿入され、その後にシリンダ171の後端176が取付座99に到達すると、座178が孔102の周縁に当接する。これにより、シリンダ171の更なる挿入が制止される。上述したように、取付座99は、メインタンク70の背面79側に設けられている。したがって、シリンダ171は、後端176を上記背面79側にして上面78に固定される。
【0093】
プランジャ172は、ピストン181(本発明の可動部の一例)と、ロッド182(本発明の第2ロッドの一例)とを有する。ロッド182はピストン181に連結されており、これらは一体に形成されている。ピストン181は、シリンダ171の内周面に対して摺動可能に設けられている。ピストン181の外周面とシリンダ171の内周面との間には、オーリング183が設けられている。具体的には、ピストン181の外周面に形成された溝184に円環状のゴム部材からなるオーリング183が嵌め入れられている。これにより、ピストン181は、シリンダ171の内周面との間に形成された隙間を密封した状態でシリンダ171内を摺動する。
【0094】
ロッド182には、ラックギヤ185が形成されている。ラックギヤ185は、ロッド182の上側に形成されている。ラックギヤ185に、後述の駆動伝達機構220(図17参照)のピニオンギヤ221が噛み合わさる。これにより、シリンダ171の軸方向へピストン181を摺動させる駆動力がロッド182に伝達される。上記駆動力を受けると、ピストン181は、図13の紙面の左右方向に摺動する。例えば、ピストン181が図13の紙面の左方向に摺動すると、シリンダ171内の空気が孔173及び孔103を通じてインク室73へ流出する。一方、ピストン181が図13の紙面の右方向に摺動すると、インク室73内の空気が孔103及び孔173を通じてシリンダ171内に流入する。
【0095】
ピストン181は、図13に示されるように、位置P11(本発明の第1位置に相当)から位置P12(本発明の第2位置に相当)を経て位置P13(本発明の第3位置に相当)までの間を摺動する。位置P11は、ピストン181が大気連通バルブ110のロッド117の先端117Aから離反した位置を示す。図13では、位置P11は、ピストン181がロッド117の先端117Aに当接しない位置を便宜上指し示しているに過ぎない。したがって、位置P11は、図中に示す位置に限定されない。位置P12は、ピストン181がロッド117の先端117Aに当接する位置を示す。また、位置P13は、ピストン181がロッド117の先端117Aを押し込んで、該ピストン181がシリンダ171の奥部(底部)の壁面179に当接する位置を示す。ピストン181が位置P11から位置P12に移動する間は、シリンダ171内の空気が孔173及び孔103を通じてインク室73へ流出する。ピストン181が位置P12から位置P13に移動すると、ロッド117の先端117Aがピストン181によって押圧されて、大気連通バルブ110が作動する。これにより、インク室73は、孔100及び孔101を通じて大気に開放される。
【0096】
ポンプ170は、インクチューブ32(図1及び図2参照)の容積に、サブタンク21(図1及び図2参照)の容積を加算した容積(以下「合算容積」と称する。)と同等の容量を有する。一般に、上述の如く構成されたポンプ170は、シリンダ171の容積とピストン181のストロークとによってその容量(所謂、ポンプ容量)が決定される。したがって、シリンダ171は少なくとも上記合算容積に対応する断面積及び全長を有する。
【0097】
本実施形態では、後述の駆動伝達機構220(図17参照)によってピストン181が一定のストロークで位置P11と位置13との間を摺動する。したがって、ポンプ170は、インク室73に対して、常に、一定量の空気を供給し、或いは一定量の空気を吸引する。
【0098】
次に、図14及び図15を参照して、インク供給バルブ130の詳細な構成について説明する。ここに、図14は、インク供給バルブ130の構成部品を示す分解斜視図である。図15は、インク供給バルブ130の断面構造を示す部分拡大図である。
【0099】
インク供給バルブ130は、メインタンク70のインク室73に貯留されたインクを外部へ流出入させるためのバルブである。このインク供給バルブ130は、バルブ収容室88に収容されて、メインタンク70にインクチューブ32(図1及び図2参照)を接続するための接続口の役割を担う。インク供給バルブ130は、図14及び図15に示されるように、キャップ131と、ジョイント132と、ピストンバルブ133と、バネユニット134とを備える。インク供給バルブ130は、これら各要素(キャップ131、ジョイント132、ピストンバルブ133、バネユニット134)がその順序で連結されて構成されている。上記各要素のうち、ピストンバルブ133及びバネユニット134がバルブ収容室88に収容される。また、ジョイント132は、開口87(図8参照)を栓するように開口87に嵌め入れられる。また、キャップ131は、ジョイント132を介して開口87の周縁に装着される。
【0100】
ジョイント132は、メインタンク70の外部からバルブ収容室88にインク抽出管149(図15参照)を挿通するものである。なお、インク抽出管149は、インクチューブ32(図1参照)の先端に設けられた針状の管である。ジョイント132は、合成樹脂で構成されている。ジョイント132は、バルブ収容室88の内径及び開口87(図8参照)の形状に合わせて、円環状に形成されている。詳細には、ジョイント132は、バルブ収容室88の内周面に嵌め入れられる第1円柱部135と、開口87の周縁に当接される第2円柱部136とを有する。また、ジョイント132には、第1円柱部135及び第2円柱部136の中心を貫通する孔137が形成されている。孔137にインク抽出管149が挿通される。孔137は、インク抽出管149の外径よりもやや小さく形成されている。したがって、孔137にインク抽出管149が挿通されると、インク抽出管149の外周面が孔132の内面を押圧して密着する。これにより、インク抽出管149は、バルブ収容室88と外部との密封状態を維持したまま、バルブ収容室88へ挿通される。
【0101】
キャップ131は、開口87(図8参照)を覆うとともにインク抽出管149(図15参照)をバルブ収容室88へ導くものである。キャップ131は、奥面を構成する円盤状の奥壁129と、奥壁129に形成された孔138と、キャップ131の側面を形成する筒状の側壁139とを有する。側壁139には複数の長孔140(本実施形態では2つ)が形成されている。開口87の周縁に図示しない突起片が設けられており、この突起片が上記長孔140に挿嵌される。これにより、開口87の周縁に対してキャップ131が固定される。
【0102】
バネユニット134は、バルブ収容室88に収容されたピストンバルブ133をバルブ収容室88の奥行き方向(図8のX軸方向)へ弾性的に付勢するものである。バネユニット134は、弾性を有する樹脂で構成された第1バネ144及び第2バネ145と、バルブ収容室88の奥行き方向に摺動可能なスライド部材146とを有する。第1バネ144及び第2バネ145は、お碗形状或いは中空円錐形状に形成されており、荷重が付加されたときにその側面が撓む。第1バネ144及び第2バネ145には、図14に示されるように孔144A,145Aが形成されており、お碗形状の内部を通って孔144A,145Aを抜ける経路(図15の太線矢印164参照)でインクが流通する。スライド部材146には、第1バネ144及び第2バネ145を収容する図示しない収容室が設けられており、該収容室に第1バネ144及び第2バネ145が収容される。
【0103】
バネユニット134は、予め収縮された状態でバルブ収容室88の奥部に収容される。したがって、バルブ収容室88内において、バネユニット134は、常に、伸長する方向の付勢力を発生する。なお、バルブ収容室88の奥面を形成する奥壁105が、バネユニット134の付勢力を受け止めて支持するバネ座を兼ねる。スライド部材146には、ピストンバルブ133とバネユニット134とを連結するためのリブ147が設けられている。このリブ147にピストンバルブ133の爪143が掛け止められる。なお、本実施形態ではバネユニット134を用いたが、バルブ収容室88を上記奥行き方向へ弾性的に付勢する部材であれば如何なる材質、形状、構成のものであってもバネユニット134に置き換えることができる。もちろん、バネユニット134に代えて、大気連通バルブ110に適用されるコイルバネ112(図11参照)を用いてもよい。
【0104】
ピストンバルブ133は、円盤状の奥壁141と、奥壁141の周縁から立設された筒状の側壁142とを有する。奥壁141には、複数の開口141A(本実施形態では4つ)が周方向に設けられている。奥壁141は、バネユニット134の付勢力を受け止めるバネ座を兼ねる。側壁142には、複数の爪143(本実施形態では2つ)が設けられている。この爪143がバネユニット134のリブ147に掛け止められることで、ピストンバルブ133とバネユニット134とが連結される。ピストンバルブ133は、バルブ収容室88の奥行き方向(図8のX軸方向)へスライド可能に設けられている。このピストンバルブ133は、側壁142とバルブ収容室85の内面との間に所定寸法の間隙148を形成しつつ、バルブ収容室85内でスライドする。隙間148は、インクの流通が可能な寸法に設定されている。このようなピストンバルブ133がバネユニット134によってバルブ収容室88の奥行き方向(図8のX軸方向)へ付勢されることで、ピストンバルブ133の外側面127とジョイント132の奥側面128とが当接する。これにより、ジョイント132の孔137がピストンバルブ133で閉塞される。
【0105】
上述の如く構成されたインク供給バルブ130において、図15に示されるように、インク抽出管149が孔138及び孔137を経てバルブ収容室88内に挿入されると、インク抽出管149の先端がピストンバルブ133の奥壁141をバネユニット134の付勢力に抗して押圧する。このとき、ピストンバルブ133が押し下げられる。これにより、奥壁141がジョイント132から離反する。インク抽出管149の先端部の側面には、インクが流出入される流出入口149Aが設けられている。したがって、奥壁141がジョイント132から離反すると、流出入口149Aを通じてバルブ収容室88とインク抽出管149とが連通する。
【0106】
インク供給バルブ130内では、次の経路に沿ってインクが流れる。インク室73からサブタンク21へインクを供給する場合は、インク室73から逆止弁95を通ってバルブ収容室88へインクが流入すると、インクはバネユニット134の内部とその外周の間隙148を通り抜けて、開口141Aから流出する(図15の太線矢印164参照)。一方、サブタンク21からインク室73にインクを吸引する場合は、流出入口149Aを通じてバルブ収容室88に吸引されたインクはバッファ室90へ流入し、逆止弁93を経て流路92から空気層83へ流出する(図15の太線矢印165参照)。
【0107】
次に、図16から図19を参照して、カートリッジ装着部200の構成について詳細に説明する。ここに、図16及び図17は、カートリッジ装着部200の外観構成を示す斜視図であり、図16は、カートリッジ装着部200からインクカートリッジ50が取り外された状態を示し、図17は、カートリッジ装着部200にインクカートリッジ50が装着された状態を示す。図18は、図17の矢視XVIIIから見たカートリッジ装着部200の側面図である。図19は、図17の切断線XIX−XIXの断面図である。なお、図中において、各ギヤの歯は省略されている。
【0108】
カートリッジ装着部200は、5色のインク、すなわち、染料インクであるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)、及び、顔料インクであるブラック(Bk)の各色に対応する5つのインクカートリッジ50を保持する。このカートリッジ装着部200は、インクジェット記録装置10の内部に収容されている。
【0109】
カートリッジ装着部200は、図16に示されるように、カートリッジケース201を備える。カートリッジケース201の前面に開口202が設けられている。この開口202からインクカートリッジ50が挿入される。カートリッジケース201に挿入されたインクカートリッジ50が、その挿入方向(図中のX軸方向)へ押圧されると、カートリッジケース201の奥部に配置されたインク抽出管149(図15参照)がインク供給バルブ130に挿入される。これにより、カートリッジケース201に対するインクカートリッジ50の装着が完了する。なお、カートリッジケース201は、インクカートリッジ50が挿抜可能なように構成されている。
【0110】
図19に示されるように、カートリッジケース201の奥部には、光センサ203が設けられている。この光センサ203は、発光素子と受光素子とを有し、発光素子から受光素子へ出射された光の輝度に基づいて所定のセンサ信号(例えば、輝度に応じた電気信号)を出力するものである。光センサ203の代表例は、透過型のフォトインタラプタである。光センサ203は、インクカートリッジ50に対応して設けられている。したがって、本実施形態では、光センサ203は5つ設けられている。光センサ203の発光素子と受光素子との間に形成された検出領域に、検出部75が進入するように、光センサ203が配置されている。センサーアーム150の遮蔽部157(図8参照)が検出部75に進入した状態では、上記検出領域は遮蔽部157で遮蔽される。このとき、インクジェット記録装置10では、主制御部(不図示)によって、「インク残量あり」と判断される。一方、遮蔽部157が検出部75から退出した状態では、上記検出領域は遮蔽されない。このとき、インクジェット記録装置10では、「インク残量なし」と判断される。
【0111】
カートリッジ装着部200の背面側には、駆動伝達機構220が設けられている。駆動伝達機構220は、5つのピニオンギヤ221と、軸222と、リンクロッド223と、軸224と、第1伝達ギヤ225と、第2伝達ギヤ226とを備える。
【0112】
ピニオンギヤ221は、インクカートリッジ50がカートリッジケース201に装着された状態で、ラックギヤ185と噛み合わされる。本実施形態では、インクカートリッジ50の5つのプランジャ172に対応して5つのピニオンギヤ221が配設されている。ピニオンギヤ221は、図16及び図17に示されるように、略半円形状に形成されている。ピニオンギヤ221の円弧部228に歯が形成されている。
【0113】
5つのピニオンギヤ221は、一軸構成の軸222に固定されている。したがって、軸222が回転すると、全てのピニオンギヤ221がその回転方向と同方向に同じ回転速度で回転する。軸222の一端に、リンクロッド223が連結されている。このリンクロッド223によって、所定の駆動力が軸222に伝達される。リンクロッド223は、軸224にも連結されている。要するに、リンクロッド223の一方端が軸222に連結され、他方端が軸224に連結されている。軸224には、第1伝達ギヤ225が固定されている。そして、この第1伝達ギヤ225に第2伝達ギヤ226が噛み合わされる。
【0114】
第2伝達ギヤ226は、モータなどの駆動源に連結されている。上記駆動源は、インクジェット記録装置10を構成する給紙装置12や搬送装置13などの駆動系にも連結されている。上記駆動源は、インクジェット記録装置10を統括的に制御する主制御部(不図示)によって所定の動作を行うように制御される。
【0115】
上記駆動源から所定の駆動力が第2伝達ギヤ226に伝達されると、その駆動力は第1伝達ギヤ225、軸224、リンクロッド223、軸222、ピニオンギヤ221を介して、ラックギヤ185に伝達される。これにより、ピストン116がシリンダ171内を往復するようにスライドする。
【0116】
以下、図20を参照して、本実施形態に係るインク供給装置11によるインクの供給動作について説明する。ここに、図20は、インクの供給動作を説明するための模式図である。なお、図20においては、センサーアーム150(図8参照)は省略されている。
【0117】
上述の如く本実施形態に係るインク供給装置11が構成されているため、次の要領で、メインタンク70からサブタンク21へインクが供給される。なお、サブタンク21へのインクの供給は、バルブ37(図1参照)を開けてサブタンク21内を大気に開放させた状態で行われる。
【0118】
図20(a)に示されるように、プランジャ172がシリンダ171から最大限に引き出された状態からシリンダ171内にプランジャ172を押し込む方向へ上記駆動源を作動させると、ピストン181がシリンダ171の奥側(紙面の左方向)へ移動する。これに伴い、シリンダ171内の空気が孔173及び孔103(図13参照)を経てメインタンク70のインク室73へ送り込まれる。これにより、インク室73の空気層83の圧力が上昇する。空気層83の圧力がバルブ収容室88(図15参照)の圧力よりも高くなると、逆止弁95(図15参照)が孔89を開放する。孔89の開放によって、図20(b)の実線の矢印23に示される流路を通ってインクがメインタンク70からサブタンク21へ供給される。より詳細には、まず、孔89が開放されたことによって、インク室73に貯留されたインクが孔89(図15参照)を経てバルブ収容室88へ流出する。このとき、空気層83の体積がシリンダ171から流入した空気量に相当する分量だけ増加する。バルブ収容室88に流入したインクは、バネユニット134の内部及び周囲を通り、インク抽出管149の流出入口149A(図15参照)からインクチューブ32に流入する。そして、インクチューブ32を通じてインクがサブタンク21へ供給される。図20(c)に示されるように、ピストン181がシリンダ171の奥部手前の位置P12まで押し込まれると、サブタンク21及びインクチューブ32にインクが満たされる。
【0119】
本実施形態では、上記要領でメインタンク70からサブタンク21へインクが供給されると、ピストン181が位置P12で停止するよう上記駆動源が制御される。これにより、インクジェット記録装置10は、画像記録の準備が整った状態(以下、「待機状態」と称する。)となる。このとき、ピストン181はシリンダ171の奥部の位置P13まで押し込まれていないため、大気連通バルブ110は閉姿勢を維持する。したがって、インクタンク70内は、気密状態が保持される。
【0120】
本実施形態に係るインク供給装置11において、サブタンク21からメインタンク70へのインクの吸引は、次の要領で行われる。なお、メインタンク70へのインクの吸引は、バルブ37を開けてサブタンク21内を大気に開放させた状態で行われる。
【0121】
図20(c)に示されるように、ピストン181がシリンダ171の奥部手前の位置P12まで押し込まれた状態からプランジャ172をシリンダ171から引き出す方向へ上記駆動源を作動させると、ピストン181がシリンダ171の手前側(紙面の右方向)へ移動する。これに伴い、インク室73の空気層83の空気が孔103及び孔173(図13参照)を経てシリンダ171内に吸い込まれる。これにより、インク室73の空気層83の圧力が低下する。空気層83の圧力がバルブ収容室88(図15参照)の圧力よりも低くなると、逆止弁93(図15参照)が流路92を開放する。これにより、図20(b)の破線の矢印24に示される流路を通って、上記合算容積に相当する量のインクがサブタンク21からメインタンク70へ戻される。より詳細には、まず、流路92が開放されたことによって、バルブ収容室88内のインクが流路92を通って上方へ運ばれる。流路92を通って上方へ運ばれたインクは、開口94からインク室73へ流入する。一方、インクがインク室73に流入したことに伴い、サブタンク21内のインクがインクチューブ32を通じてインク供給バルブ130に流入する。
【0122】
図20(a)に示されるように、プランジャー172がシリンダ171から最大限に引き出されると、サブタンク21及びインクチューブ32内の全てのインクがメインタンク70に戻される。このとき、シリンダ171へ戻された空気量に相当する分量だけ空気層83の体積が減少する。サブタンク21からメインタンク70にインクが流入した際に、インクチューブ32或いはサブタンク21内で発生した気泡がインクとともに流路92を通ってインク室73に流入する。なお、一部のインクは、バルブ収容室88に残留する。
【0123】
メインタンク70にインクとともに流入した気泡は、流路92を通ってセンサーアーム150(図7参照)を迂回するようにインク室73の上層部まで上昇し、空気層83に到達する。これにより、サブタンク21やインクチューブ32内の気泡をインクと分離して除去することができる。なお、インクがインク室73に戻された後に、上述の如く、メインタンク70からサブタンク21へインクを供給することにより、気泡を含まないインクがインクチューブ32を介してサブタンク21へ供給される。なお、サブタンク21及びインクチューブ32内の全てのインクがメインタンク70に戻されると、メインタンク70のインクとサブタンク21のインクとが混合されてインク粘度が均一になる。このように均一化されたインクがサブタンク21へ供給される。
【0124】
一方、バルブ収容室88にインクの一部が残留すると、インクに含まれていた気泡がバルブ収容室88に溜まる。この気泡は、その浮力によって上昇して、孔104(図9参照)を経て上方のバッファ室90へ進む。このとき、逆止弁93が開放されている場合は、気泡は、流路92を通って空気層83(図10参照)へ到達する。逆止弁93が閉塞されている場合は、気泡はバッファ室90に集まり、ここで留まる。いずれにしても、メインタンク70に戻されたインクの一部がバルブ収容室88に残留したとしても、そのインクから気泡が分離されてバッファ室90に集められる。言い換えれば、気泡がバルブ収容室88に残ることはない。したがって、再びメインタンク70からサブタンク21へインクが供給されても、気泡を含むインクが供給されることはない。
【0125】
また、本実施形態に係るインクカートリッジ50には、上述したように、流路91と流路92とが形成されているため、サブタンク21からチューブ21を経てメインタンク70に流入したインクは、インク室73を通らずに流路92を通って上方へ空気層83へ導かれる。そのため、インクは、センサーアーム150を迂回するようにしてメインタンク70内を流通する。これにより、インクに含まれる気泡がセンサーアーム150に付着することはない。その結果、センサーアーム150に付着した気泡を原因とするセンサーアーム150の不測の揺動、及び光センサ203の誤検出が防止され、ひいては、インクの貯留量の検出精度が向上する。
【0126】
ところで、インクジェット記録装置10において、上記待機状態(ピストン181が位置P12で停止した状態)の継続中に、インクカートリッジ50の周辺温度が変動することがある。上記周辺温度の変動は、インクタンク70内の圧力を変化させる。例えば、インクタンク70の気密状態が保持されたまま周辺温度が上昇すると、空気の膨張やインクの蒸発に起因して空気層83(図10参照)が正圧(大気圧よりも高い圧力)となる。この場合、待機状態にも拘わらず、逆止弁95が開放され、インクがサブタンク21へ過剰に供給されて、記録ヘッド26からインクが漏れ出るという問題が生じる。また、インクタンク70の気密状態が保持されたまま周辺温度が低下すると、空気層83が負圧(大気圧よりも低い圧力)となる。この場合、逆止弁93が開放され、インクがサブタンク21から引き戻されて、記録ヘッド26におけるインクのメニスカスに異常を来すという問題が生じる。
【0127】
本実施形態では、上述の問題に対応するべく、図21に示されるようにピストン181を駆動させて、大気連通バルブ110を強制的に開閉させる。以下、図21を参照して、大気連通バルブ110の開閉動作について説明する。ここに、図21は、ピストン181及び大気連通バルブ110の動作状態を示す図である。
【0128】
図21(a)に示されるように、上記駆動源を駆動させて、軸222を矢印230の方向(紙面の時計回転方向)に回転させると、これに伴い、ピニオンギヤ221が同方向に回転する。このとき、ピニオンギヤ221の回転力がラックギヤ185に伝達して、プランジャ172を矢印231の方向(紙面の左方向)へ移動させる。これにより、プランジャ172のピストン181が位置P12で停止した状態からさらにシリンダ171の奥側へ押し込む方向(紙面の左方向)へピストン181が移動する。すなわち、ピストン181は位置P12から位置P13まで移動する。
【0129】
プランジャ172のピストン181が位置P12から位置P13まで移動する過程において、まず、ピストン181は、ロッド117の先端117Aを紙面の左方向へ押圧する。このとき、コイルバネ112の付勢力に抗してピストンバルブ113が位置P1(図12参照)から矢印231の方向へ後退し、ピストンバルブ113のピストン116がバルブ座114から離反する。これにより、ピストンバルブ113のピストン116により閉じられていた孔100が開放されて、バルブ収容室83からインク室73に至る流路が開放される。言い換えれば、バルブ収容室83とインク室73の空気層83(図10参照)とが連通する。なお、この時点では、孔101とインク室73とは連通していない。
【0130】
引き続きプランジャ172のピストン181が押し込まれて、図21(b)に示されるように、位置P13まで移動すると、大気連通バルブ110のピストンバルブ113が位置P1(図12参照)から位置P2(図12参照)まで後退する。ピストンバルブ113が位置P2に到達したときに、孔101が開放される。これにより、インク室73から孔100、孔115、バルブ収容室85、そして孔101を経て大気へ通じる流路(図12(b)の矢印124を参照)が開放される。言い換えれば、インク室73の空気層83(図10参照)は、孔100、バルブ収容室85、そして孔101を経て、大気と連通する。要するに、本実施形態では、バルブ収容室85の奥側(インクタンク70の内部側)から外側へロッド117を押圧して、大気連通バルブ110を閉姿勢から開姿勢とすることにより、インク室73が大気に開放される。これにより、空気層83の圧力を正常にすることができる。その結果、上述したインク漏れやメニスカスの異常を防止することができる。また、インクカートリッジ50の外部から力が加えられても大気連通バルブ110が作動し難い構造が採用されているため、ユーザの不注意によるインクの漏出を効果的に防止することができる。
【0131】
プランジャ172のピストン181が位置P13に到達して、インク室73の空気層83(図10参照)が大気に開放されると、続いて、上記駆動源を停止させて軸222をフリーにする。このとき、ラックギヤ185に加えられていた駆動力が解除されるため、図21(c)に示されるように、大気連通バルブ110のコイルバネ112の付勢力が作用して、大気連通バルブ110のピストンバルブ113が位置P2(図12参照)から位置P1(図12参照)まで移動する。これにより、まず最初に、孔101と孔110との空間的な流路が遮断される。そして、ピストンバルブ113が位置P1(図12参照)に到達すると、孔100がピストンバルブ113のピストン116によって閉じられる。このとき、プランジャ172のピストン181が矢印232の方向(紙面の右方向)へ押し返されて、位置P12まで戻される。このように、本実施形態では、上記駆動源を停止させるだけで、ピストン181は自動的、且つ強制的に元の位置P12まで戻される。なお、ピストン181が押し返されると、ラックギヤ185によってピニオンギヤ221が矢印233の方向(紙面の反時計回転方向)に回転する。
【0132】
プランジャ172のピストン181が位置P12まで戻される過程において、大気連通バルブ110では、インク室73を気密状態にしたまま、ピストンバルブ113が位置P2(図12参照)から位置P1(図12参照)まで移動する。このとき、位置P2から位置P1まで移動したピストンバルブ113のストロークに相当する量の空気がバルブ収容室85からインク室73に流出する。一方、ピストンバルブ113の移動に伴って、プランジャ172のピストン181が位置P13から位置P12まで戻されるため、位置P13から位置P12まで移動したピストン181のストロークに相当する量の空気がインク室73からシリンダ171に流入する。本実施形態においては、上述したように、バルブ収容室85の断面積とシリンダ171の断面積とは等しい。そのため、ピストンバルブ113の移動に伴ってインク室73に流出する空気量と、ピストン181の移動に伴ってシリンダ171に流入する空気量は等しい。したがって、インク室73を気密状態に維持したままピストンバルブ113がスライド移動しても、インク室73の空気量は変動しない。したがって、空気層83(図10参照)の圧力が変動することはない。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は、インクジェット記録装置10の内部機構を示す模式断面図である。
【図2】図2は、図1の記録ユニット14を詳細に示す要部拡大図であり、図2(a)は、バルブ37の開口42が閉塞された状態を示し、図2(b)は、バルブ37の開口42が開放された状態を示す。
【図3】図3は、インクカートリッジ50の外観構成を示す斜視図であり、図3(a)は、ケース52が組み立てられた状態を示し、図3(b)は、ケース52が分解された状態を示す。
【図4】図4は、インクカートリッジ50の外観構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、インクカートリッジ50の内部構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5の矢視VIから見た側面図であり、インクカートリッジ50の内部構成が示されている。
【図7】図7は、図5の切断線VII−VIIの断面図である。
【図8】図8は、インクカートリッジ50の分解断面図である。
【図9】図9は、図8の切断線IX−IXの部分断面図である。
【図10】図10は、インク室73に所定量のインクが注入された状態を示す断面図である。
【図11】図11は、大気連通バルブ110の構成部品を示す分解斜視図である。
【図12】図12は、大気連通バルブ110の断面構造を示す部分拡大図であり、図12(a)は、ピストン116が位置P1で静止した状態を示し、図12(b)は、ピストン116が位置P2で静止した状態を示す。
【図13】図13は、ポンプ170の断面構造を示す部分拡大図である。
【図14】図14は、インク供給バルブ130の構成部品を示す分解斜視図である。
【図15】図15は、インク供給バルブ130の断面構造を示す部分拡大図である。
【図16】図16、カートリッジ装着部200の外観構成を示す斜視図であり、カートリッジ装着部200からインクカートリッジ50が取り外された状態を示す。
【図17】図17は、カートリッジ装着部200の外観構成を示す斜視図であり、カートリッジ装着部200にインクカートリッジ50が装着された状態を示す。
【図18】図18は、図17の矢視XVIIIから見たカートリッジ装着部200の側面図である。
【図19】図19は、図17の切断線XIX−XIXの断面図である。
【図20】図20は、インクの供給動作を説明するための模式図である。
【図21】図21は、ピストン181及び大気連通バルブ110の動作状態を示す図である。
【符号の説明】
【0134】
10・・・インクジェット記録装置
11・・・インク供給装置
21・・・サブタンク
32・・・インクチューブ
50・・・インクカートリッジ
70・・・メインタンク
75・・・検出部
110・・・大気連通バルブ
112・・・コイルバネ
113・・・ピストンバルブ
114・・・バルブ座
130・・・インク供給バルブ
150・・・センサーアーム
157・・・遮蔽部
170・・・ポンプ
171・・・シリンダ
172・・・プランジャ
181・・・ピストン
182・・・ロッド
185・・・ラックギヤ
200・・・カートリッジ装着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを貯留するとともに内部に空気層を形成するインクタンクと、
上記インクタンクのフレームに設けられ上記空気層と外部とを連通する孔と、
上記孔を開閉可能なバルブと、
上記インクタンクの内部側から上記バルブを作動させて上記孔を開閉させる押圧部材と、を具備するインクカートリッジ。
【請求項2】
上記押圧部材は、可動部を有し、
上記可動部は、上記バルブから離反する第1位置から、上記バルブに当接する第2位置を経て、上記バルブを押圧して上記孔を開放する第3位置までの間を移動する請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
上記押圧部材は、シリンダを有し、
上記可動部は、上記シリンダ内で摺動するピストンである請求項2に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
上記第3位置は、上記シリンダの底部である請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
上記バルブの作動方向及び上記ピストンの移動方向は同一方向である請求項3または4に記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
上記インクタンク内に上記バルブが収容される収容室が区画されており、
上記バルブは、
内孔を有する弾性部材からなる第1ジョイントと、
上記収容室内でスライド可能に設けられた第2ジョイントと、
上記第2ジョイントを上記第1ジョイントに対して押圧する方向に付勢する第3ジョイントと、が連結されてなり、
上記第2ジョイントは、
上記第1ジョイントに当接した際に上記内孔を閉塞するスライダーと、上記内孔に挿通され上記押圧部材による押圧を受ける第1ロッドとを有する請求項1から5のいずれかに記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
上記押圧部材は、上記ピストンに連結され、駆動源から受けた外力を上記ピストンに伝達する第2ロッドを有する請求項3から6のいずれかに記載のインクカートリッジ。
【請求項8】
上記第2ロッドは、ラックギヤを有する請求項7に記載のインクカートリッジ。
【請求項9】
上記押圧部材は、上記バルブを上記インクタンクの内部側から押圧し、上記インクタンクの空気層に空気を供給し、或いは上記空気層から空気を吸引する請求項1から8のいずれかに記載のインクカートリッジ。
【請求項10】
上記押圧部材は、上記シリンダと上記ピストンとを有してなるピストンポンプである請求項9に記載のインクカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−93867(P2008−93867A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275859(P2006−275859)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】