説明

インクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置

【課題】 インク流路内へのインクの充填時に気泡が発生することを未然に防止して、インクの斜め射出やドット抜けを防止する。
【解決手段】 両側壁10に長手方向に沿って電極12が設けられた複数の溝11を有する圧電プレート7と、該圧電プレート7の溝11を閉塞するカバープレート8とを備え、圧電プレート7の溝11とカバープレート8とで囲まれる複数のインク流路14内面の少なくとも電極12を被覆する領域に、親水基を有する樹脂からなる保護膜15が設けられているインクジェットヘッドを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のノズルからインクジェットを吐出させるインクジェットヘッドを用いて、被記録媒体に文字や画像を記録するインクジェット記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。インクジェット記録装置のインクジェットヘッドは、複数の溝を有する圧電セラミックスプレートの溝をカバープレートによって覆うことにより、相互に独立した複数のインク流路を備えている。各インク流路の両側壁には、長手方向に沿って一対の電極が配置され、これら電極に加える電位によって側壁を弾性変形させ、ポンプ効果によってインク流路内のインクをノズルから射出することができるようになっている。
【0003】
これらの電極は、インクに対する耐薬品性を有する樹脂製の保護膜によって被覆される。
【特許文献1】特開2002−210967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に樹脂製の保護膜の表面は撥水性が高く、インク流路に供給されたインクが保護膜の表面によってはじかれることになる。樹脂製の保護膜によってインクがはじかれる場合には、インク流路内にインクを充填したときに保護膜の表面に気泡が残る不都合がある。すなわち、保護膜の表面に気泡が残ると、印刷時に、インクの流動と共に気泡が移動してノズルから射出される場合があり、インクがノズルから斜めに射出されてしまったり、インクが射出されないことによるドット抜けを起こしたりするという問題がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、インク流路内へのインクの充填時に気泡が発生することを未然に防止して、インクの斜め射出やドット抜けを防止することができるインクジェットヘッドおよびインクジェット記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
本発明は、両側壁に長手方向に沿って電極が設けられた複数の溝を有する圧電プレートと、該圧電プレートの前記溝を閉塞するカバープレートとを備え、前記圧電プレートの前記溝と前記カバープレートとで囲まれる複数のインク流路内面の少なくとも前記電極を被覆する領域に、親水基を有する樹脂からなる保護膜が設けられているインクジェットヘッドを提供する。
【0008】
本発明によれば、圧電プレートの溝とカバープレートとで囲まれるインク流路内にインクを充填し、溝の両側壁に設けられた電極に電位を加えると、側壁が弾性変形させられて、ポンプ効果によってインク流路内のインクが射出される。電極を被覆する領域に保護膜が設けられているので、インクに対する耐薬品性が向上され、電極の健全性が維持される。この場合に、保護膜が親水基を有する樹脂により構成されているので、保護膜と接触するインクが、保護膜によってはじかれることが防止される、したがって、インク流路にインクが充填される際に、インクと保護膜との間に気泡が残ることがない。その結果、インクが斜めに射出されてしまったり、ドット抜けを生じたりする不都合の発生を防止することができる。
【0009】
上記発明においては、前記保護膜が、電極を被覆する樹脂からなる第1の保護膜と、該第1の保護膜を被覆する親水基を有する樹脂からなる第2の保護膜とを備えることが好ましい。
【0010】
このようにすることで、第1の保護膜によって、主として電極の耐薬品性を向上し、第2の保護膜によって、インクとの間の気泡の発生を抑制することができる。親水基を有する樹脂の成膜速度は比較的遅いので、耐薬品性を第1の保護膜に受け持たせ、撥水防止効果を有する第2の保護膜を薄くすることで、親水基を有する樹脂のみによって保護膜を成膜する場合と比較して、製造速度を向上することができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記親水基がアミノ基からなることとしてもよい。
【0012】
また、上記発明においては、前記インク流路内のインクを射出するノズル開口を有するノズルプレートを備え、前記保護膜が、前記ノズルプレートに接触する先端から20μmより奥側のインク流路内面に設けられていることとしてもよい。
【0013】
また、本発明は、上記いずれかのインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置を提供する。
【0014】
本発明によれば、インクジェットヘッドのインク流路内においてインクと保護膜との間に気泡が発生することが防止されるので、気泡によるインクの斜め射出やドット抜けの発生を防止して、印字品質を向上することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、インク流路内へのインクの充填時に気泡が発生することを未然に防止して、インクの斜め射出やドット抜けを防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッド1およびインクジェット記録装置2について、図1〜図7を参照して以下に説明する。
【0017】
本実施形態に係るインクジェットヘッド1は、図1に示されるように、インクジェットヘッドチップ3と、該インクジェットヘッドチップ3内にインクを導入する流路基板4と、インクジェットヘッドチップ3を駆動する駆動回路等が搭載された配線基板5とを有している。
【0018】
これらの各部材は、アルミニウム等でできたベースプレート6に固定されている。これら部材どうしは熱伝導性のよい接着剤や両面テープ等で結合されている。
【0019】
インクジェットヘッドチップ3は、図2に示されるように、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等からなる圧電プレート7と、カバープレート8と、ノズルプレート9とを備えている。
【0020】
圧電プレート7には、平行に配列された側壁10によって相互に区画された複数の溝11が設けられている。各溝11の長手方向の一端は圧電プレート7の一端面7aまで延びており、他端は、他端面7bまで延びることなく途中位置において深さが徐々に浅くなっている。
【0021】
各溝11は、例えば、円板状のダイスカッターにより形成され、深さが徐々に浅くなっている部分は、切断高さを変化させることにより形成されている。
【0022】
また、各溝11の幅方向の両側壁10には、溝11の開口側から深さ方向の途中位置まで、長手方向に延びる駆動電圧印加用の電極12が形成されている。各電極12は、蒸着により形成されている。
【0023】
前記カバープレート8は、前記圧電プレート7の溝11の開口側に接着され、圧電プレート7の一端面7a側の溝11の開口を閉じている。カバープレート8には、板厚方向に貫通形成された共通インク室13が全ての溝11に連絡するように溝11の配列方向に延びて形成されている。
【0024】
本実施形態に係るインクジェットヘッド1においては、図3に示されるように、圧電プレート7の溝11とカバープレート8とにより区画形成された複数のインク流路14内面に親水基を有する樹脂からなる保護膜15が形成されている。保護膜15は、例えば、以下の化学式により示される、アミノ基を有する4−アミノ−ジ−p−キシリレン、あるいは、4−アミノメチル−ジ−p−キシリレンをCVD(化学蒸着)により成膜することにより構成されている。
【0025】
【化1】

【0026】
【化2】

【0027】
この保護膜15は、アミノ基のような親水基を有しているので、撥水性が少なく、インク流路14に充填されたインクをはじくことがない。また、これらの材料からなる保護膜15は優れた耐薬品性を有しているので、電極12のインクによる腐食を防止することができるようになっている。
【0028】
前記ノズルプレート9は、前記インクジェットヘッドチップ3の圧電プレート7の一端面7a側に接合されている。ノズルプレート9には、圧電プレート7の溝11の開口を閉じることにより形成された複数の独立したインク流路14にそれぞれ対応する位置に、それぞれノズル開口9aが備えられている。このノズルプレート9は、例えば、ポリイミドフィルムに、例えば、エキシマレーザ装置を用いてノズル開口9aを形成したものである。また、ノズルプレート9の被記録媒体に対向することとなる面には、インクの付着等を防止するための撥水性を有する撥水膜(図示略)が形成されている。また、各インク流路14のノズルプレート9に接触する先端から約20μmの範囲は前記保護膜15が剥がされている。
【0029】
なお、本実施形態においては、圧電プレート7とカバープレート8との接合体の一端面の周囲にノズル支持プレート16が配置されている。
【0030】
インクジェットヘッドチップ3は、ノズルプレート9の外側面および圧電プレート7とカバープレート8との接合体にノズル支持プレート16を嵌合接着することにより一体的に構成されている。
【0031】
前記流路基板4は、カバープレート8に接着され、前記共通インク室13を閉塞する蓋として機能するとともに、該共通インク室13内にインクを導く連結部17を備えている。該連結部17には図示しないインクタンクからインク供給管18を介して供給されてくるインクを一時的に貯留する圧力調整部19が接続されている。
【0032】
前記配線基板5の表面には、図4に示されるように、駆動回路20やその他の制御回路が設けられており、駆動回路20の各端子と、インクジェットヘッドチップ3の各電極12に接続する駆動線21とが電気的に導通するようにワイヤボンディングあるいはワイヤレスボンディング等を介して接続されている。
【0033】
このような配線基板5上に設けられた駆動回路20は、外部からの入力信号に基づいて、電極12に駆動電圧を加えるようになっている。
【0034】
このように構成されたインクジェットヘッド1は、例えば、インクジェット記録装置2のキャリッジ22に搭載して使用される。
【0035】
ここで、インクジェット記録装置2について説明する。図5は、インクジェット記録装置2の概略斜視図である。
【0036】
図示するように、色毎に設けられた複数のインクジェットヘッド1と、このインクジェットヘッド1が主走査方向に複数併設されて搭載されたキャリッジ22と、フレキシブルチューブからなるインク供給管18を介してインクを供給するインクカートリッジ23とを備え、キャリッジ22は一対のガイドレール24a,24bの長軸方向に移動可能に搭載されている。また、ガイドレール24a,24bの一端側には駆動モータ25が設けられており、この駆動モータ25による駆動力が、当該駆動モータ25に連結されたプーリ26aとガイドレール24の他端側に設けられたプーリ26bとの間に掛け渡されたタイミングベルト27に伝わり、これによりタイミングベルト27の所定の位置に固定されたキャリッジ22が搬送されるようになっている。
【0037】
また、キャリッジ22の搬送方向と直交する方向で、鎖線で示すケース28の両端側には、ガイドレール24に沿ってそれぞれ一対の搬送ローラ29が設けられている。これらの搬送ローラ29は、キャリッジ22の下方に当該キャリッジ22の搬送方向とは直交する方向に被記録媒体Sを搬送するものである。
【0038】
そして、これらの搬送ローラ29によって被記録媒体Sを送りつつキャリッジ22をその方向とは直交する方向に走査することにより、インクジェットヘッド1によって被記録媒体S上に文字および画像等が記録されるようになっている。
【0039】
このように構成された本実施形態に係るインクジェットヘッド1の作用について以下に説明する。
【0040】
まず、インク吐出時および非吐出時の状態と駆動電圧との関係について、図6および図7を用いて説明する。
【0041】
ここで、吐出時とは、印刷動作中に選択的にインク滴を吐出させるノズル開口9aに対して、対応する溝11の側壁10の両側に設けられている電極12に駆動電圧を加えて、側壁10を変形させ、対応するノズル開口9aからインク滴を吐出させる状態のときをいう。
【0042】
また、非吐出時とは、印刷動作中に選択的にインク滴を吐出させないノズル開口9aに対応する溝11の側壁10の両側に設けられている電極12に、駆動電圧が側壁10の両側で同電位となるような駆動電圧を加えて、対応するノズル開口9aからインク滴が吐出しない状態のときを言う。
【0043】
図6は駆動電圧の波形図を示し、図7は、圧電プレート7の断面図を示している。
【0044】
図7において、左側から右側に向かって、溝11a、側壁10a、溝11b、側壁10b…の順に配列されている。
【0045】
インクタンクからインク供給管18を介して供給されてきたインクは、圧力調整部19において一時的に貯留された後、圧力調整部19に設けられたインク連通管30から連結部17を介してカバープレート8内の共通インク室13に導かれ、該共通インク室13内において全てのインク流路14内に分配供給される。
【0046】
この場合において、本実施形態に係るインクジェットヘッド1およびインクジェット記録装置2によれば、インク流路14内に設けられた電極12が保護膜15によって覆われているので、保護膜15の耐薬品性により、インクによって電極12が劣化することが防止され、耐久的な使用が可能となる。また、本実施形態においては電極12を被覆する保護膜15が、親水基を有する樹脂により構成されているので、インク流路14に分配供給されてきたインクが保護膜15によってはじかれることが防止される。したがって、インク流路14内にインクが充填された際に、インク流路14内に気泡が残ることが防止される。
【0047】
ここで、インクジェットヘッド1の動作原理について説明する。
【0048】
インクを吐出する前の状態においては、図6(i)および図7(i)に示されるように、駆動電圧が電極12a,12b,…に加えられていないので、側壁10a,10b,…の変形はなく、したがって、インクが全てのインク流路14a,14b,…内に充填された状態に維持される。このとき、上述したようにインク流路14a,14b,…内に気泡が残ることが防止されている。
【0049】
図6(ii)に示されるように、溝11bの電極12bに正の駆動電圧を加え、その他の溝11a,11c,…の電極12a,12c,…に負の駆動電圧を加えることにより、図7(ii)に示されるように、溝11bの両側壁10a,10bを選択的に変形させることができる。これは、PZTからなる側壁10a,10bが上下方向に分極されており、駆動電圧を加えると歪むためである。
【0050】
さらに具体的には、溝11bの電極12bに正の駆動電圧を加え、その他の電極12a,12c,…には負の駆動電圧を加えることとすると、図7(ii)に示されるように、溝11bの側壁10aが溝11a側に、側壁10bが溝11c側にそれぞれ突出するように変形する。このようにして両側壁10a,10bが変形した溝11bの容積は増加する。したがって、インク室13内からインク流路14b内に供給されるインク量が増加し、インクの吐出準備が行われることになる。
【0051】
次に、図6(iii)に示されるように、溝11bを除く全て溝11a,11c,…の電極12a,12c,…に正の駆動電圧を加え、溝11bの電極12bには負の駆動電圧を加えることとすると、図7(iii)に示されるように、側壁10a,10bがいずれも溝11b側に突出するように変形し、インク流路14b内の容積を減少させる。これにより、インク流路14b内の圧力が増加して、当該インク流路14bに対応するノズルプレート9のノズル開口9aからインクが吐出されることになる。
【0052】
そして、インクがインク流路14bから吐出された後には、図6(iv)および図7(iv)に示されるように全ての電極12a,12b,…に駆動電圧を加えないことにより、側壁10a,10bが元の形状に戻る。
【0053】
同様にして、図6(v)〜(vii)および図7(v)〜(vii)に示されるように、溝11cにより構成されるインク流路14cの容積を増加させた後に減少させることで溝11cに対応するノズル開口9aからインクを吐出させる。その後、図6(viii)〜および図7(viii)〜に示されるように、溝11dにより構成されるインク流路14dの容積を増加させた後に減少させることで溝11dに対応するノズル開口9aからインクを吐出させる。
【0054】
これらの駆動電圧は、インクジェットヘッド1の各部の寸法やインクの特性により異なるが、一般的には数μs〜数10μsのパルス幅のパルス信号である。したがって、各電極12a,12b,…に対して、予め定められたパターンのパルス状の駆動電圧を加えることにより、各インク流路14a,14b,…に対応するノズル開口9aから選択的にインクを吐出させることができる。
【0055】
この場合において、本実施形態においては、インク流路14内に気泡が残ることが防止されているので、インクと共にノズル開口9aから気泡が吐出される際に生ずるインクの斜め射出や、気泡のみがノズル開口9aから射出されてしまうことによるドット抜け等の不都合の発生を未然に防止することができる。したがって、本実施形態に係るインクジェットヘッド1によれば、所望のノズル開口9aから適正にインクを射出させることができ、このようなインクジェットヘッド1を有するインクジェット記録装置2によれば、印字品質を向上することができるという利点がある。
【0056】
なお、本実施形態に係るインクジェットヘッド1およびインクジェット記録装置2においては、圧電プレート7の溝11とカバープレート8とにより囲まれるインク流路14の内面全体に保護膜15を設けることとしたが、これに代えて、電極12の耐薬品性向上の観点からは、少なくとも電極12のみを被覆するように保護膜15を設けることにしてもよいことは言うまでもない。
【0057】
また、本実施形態に係るインクジェットヘッド1およびインクジェット記録装置2においては、アミノ基を有する樹脂により単層の保護膜15を構成したが、これに代えて、図8に示されるように、保護膜15を複数層構造としてもよい。この場合に、例えば、電極12に接触する主として耐薬品性の高い第1の保護膜15aと、該第1の保護膜15aを被覆する主として親水性の高い第2の保護膜15bとを有する2層構造の保護膜15を採用してもよい。
【0058】
第1の保護膜15aとしては、ポリパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレンあるいは、ポリクロロパラキシリレン等が好ましく、第2の保護膜15bとしては、上述したアミノ基を有するポリアミノパラキシリレン、あるいは、ポリアミノメチルパラキシリレン等が好ましい。このようにすることで、ポリパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレンあるいは、ポリクロロパラキシリレン等により電極12の耐久的な健全性を維持するとともに、ポリアミノパラキシリレン、あるいは、ポリアミノメチルパラキシリレン等によってインクとの間に気泡が残ることを防止することができる。また、ポリアミノパラキシリレン、あるいは、ポリアミノメチルパラキシリレンに比較してポリパラキシリレン、ポリジクロロパラキシリレンあるいは、ポリクロロパラキシリレン等の成膜速度が速いので、ポリアミノパラキシリレン、あるいは、ポリアミノメチルパラキシリレンのみにより単層の保護膜15を形成する場合と比較して、第2の保護膜15bの厚さが薄くて済み、製造速度を向上して生産効率を高めることができる。
【0059】
また、保護膜15として、ポリアミノパラキシリレン、あるいは、ポリアミノメチルパラキシリレンのようにアミノ基を有する樹脂を例示したが、アミノ基に限定されるものではなく、他の任意の親水基を有する樹脂により保護膜15を構成することにしてもよい。
【0060】
以上の様に形成した保護膜の親水性に対する評価として、水に対する接触角を測定したところ、ポリクロロパラキシリレンでは87°、ポリアミノパラキシリレンでは69°、ポリアミノメチルパラキシリレンでは59°となり、ポリクロロパラキシリレンと比較すると他の保護膜は両方とも親水性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドを示す斜視図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドのインクジェットヘッドチップを示す分解斜視図である。
【図3】図2のインクジェットヘッドチップの圧電プレートを示す断面図である。
【図4】図1のインクジェットヘッドの駆動回路とインクジェットヘッドチップとの配線の接続を示す概略図である。
【図5】図1のインクジェットヘッドを備える本実施形態に係るインクジェット記録装置を概略的に示す斜視図である。
【図6】図1のインクジェットヘッドの駆動電圧の一例を示す波形図である。
【図7】図6の波形図による動作を示す圧電プレートの概略的な断面図である。
【図8】本発明のインクジェットヘッドの圧電プレートの変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 インクジェットヘッド
2 インクジェット記録装置
7 圧電プレート
8 カバープレート
11,11a,11b,… 溝
10,10a,10b,… 側壁
12,12a,12b,… 電極
14,14a,14b,… インク流路
15 保護膜
15a 第1の保護膜(保護膜)
15b 第2の保護膜(保護膜)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側壁に長手方向に沿って電極が設けられた複数の溝を有する圧電プレートと、
該圧電プレートの前記溝を閉塞するカバープレートとを備え、
前記圧電プレートの前記溝と前記カバープレートとで囲まれる複数のインク流路内面の少なくとも前記電極を被覆する領域に、親水基を有する樹脂からなる保護膜が設けられているインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記保護膜が、電極を被覆する樹脂からなる第1の保護膜と、該第1の保護膜を被覆する親水基を有する樹脂からなる第2の保護膜とを備える請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記親水基がアミノ基からなる請求項1または請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記インク流路内のインクを射出するノズル開口を有するノズルプレートを備え、
前記保護膜が、前記ノズルプレートに接触する先端から20μmより奥側のインク流路内面に設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−144875(P2007−144875A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344300(P2005−344300)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(501167725)エスアイアイ・プリンテック株式会社 (198)
【Fターム(参考)】