説明

インクジェット記録装置、圧電体の駆動制御方法及びプログラム

【課題】インクを吐出させるピエゾ駆動制御によって発生する発熱量を抑え、省電力、小型化、インクの粘性に応じた電圧、周波数にて適正な駆動制御を行えるようにする。
【解決手段】ピエゾ21の駆動により発生する熱を抑えるため、予定されたピエゾの駆動状態から熱を発生させる損失電力量を推定し、推定損失電力量が許容量を超えると判定される場合、ピエゾに駆動電圧を印加する吐出周波数を低下させる制御を行う。吐出周波数の低下は、駆動回路29の駆動周波数の低下に合わせた選択回路23の画像データによるチャンネル選択動作の変更によって行う。損失電力量は、インクの基本物性(インクの色、材料、導電率、粘性等、ピエゾによる吐出特性に関係する物性)、単位長さ当りの画像データ量(バンド単位での吐出数)及び印刷直前の使用インクの粘性(ピエゾの駆動電圧・電流が粘性によって調整される)から実験的に求めた関数をもとに定量化し、制御に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ等に用いられるインクジェット記録装置に関し、より詳しくは、インクを吐出させるために動作する圧電体を所定の吐出周波数で駆動する際、損失電力量が予め定めた許容範囲を超えないように吐出周波数を制御するインクジェット記録装置圧電体の駆動制御方法及び駆動制御方法プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置の一つとして広く普及しているインクジェットプリンタの多くは、シリアルプリンタを構成する。シリアルプリンタは、インクを吐出する記録(インクジェット)ヘッドを搭載したキャリッジを主走査方向に沿って往復運動させるとともに、記録紙を主走査方向に対して直交する方向に送り、記録紙面上に画像を形成する方法により、そのために必要な手段を構成要素として有する。
こうしたシリアルプリンタとしての構成を有したインクジェットプリンタでは、インクタンクからインクの供給を受けるインク(圧力)室及び該インク室を加圧するための圧電体(例えばピエゾ素子)を備え該圧電体の駆動により発生する力で加圧されたインク室からインク滴を吐出させる記録ヘッドを有する。記録ヘッドは、多数のインク滴の吐出口(ノズル)を例えば600dpiのピッチで直線状に配列し、それぞれのインク室を加圧する圧電体を画像データに基づいて、多チャンネルで同時駆動し、吐出するインクにより画像を形成する。
【0003】
近年、印刷速度の高速化の要求に応じて吐出周波数が高まり、高画質化への要求も加わり、画像品質の維持が困難になってきている。画像品質を低下させる要因の一つは、温度条件であり、インクジェットプリンタでは、温度が変動すると、インクの粘性が変化することや圧電体を駆動する回路の動作特性が変化するといったことが起きる。
このようなインクの吐出特性を不安定にさせる環境温度の変化に対応して、駆動回路の動作を調整することにより、特性を安定化させることを提案する従来技術として、下記特許文献1を挙げることができる。
特許文献1は、駆動波形発生器が、環境温度に応じてクロック信号の周波数を調整して、駆動電圧Vsの波高値を、立ち上がり、立ち下がりの各時間を一定に維持したままで可変することで、温度が変動しても均一なインクの吐出特性を得るインクジェットヘッドの駆動方法を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多チャンネルの圧電体(例えばピエゾ素子)を一つの駆動回路で制御する場合、チャンネル数の増加及び吐出周波数の増加に伴い電流が増加することが既に知られている。これに伴い電力損失も増加し、この電力損失は、ほとんどが熱として放出される。このため、回路設計としては、最大負荷における損失を考慮して、デバイス選定、熱設計などをする必要がある。
ただ、これまでの駆動回路及び制御方法では、チャンネル数の増加及び吐出周波数の高速化に伴い、消費電力が多くなる一方であり、これに伴いデバイスにおける電力損失も増加するため、チップサイズの大型化に伴う実装面積の占有、回路で発生する熱による温度上昇を抑えるために設けるヒートシンクの大型化、或いは放熱のための冷却装置の付加、さらにデバイスからの熱放射によるインクの温度上昇による吐出特性の変化などの問題が生じていた。
【0005】
この問題への対処方法として、上記特許文献1では、温度変化が生じても、駆動回路の動作を調整することで、均一なインクの吐出特性を得るようにしたものである。しかしながら、この従来技術は、回路における熱の発生を抑制するという観点からの解決策を提案するものではないから、チャンネル数及び吐出周波数が増大すると、適正な制御動作状態を保つためには、実装面積の冗長、ヒートシンクの大型化、熱放射によるインクの温度上昇等の上記問題の発生が避けられない。
本発明は、インクを吐出させるために動作する圧電体(例えばピエゾ素子)を所定の吐出周波数で駆動するインクジェットヘッド、特に多チャンネルの圧電体を一つの駆動回路で制御するインクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置における上記従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その課題は、当該駆動制御によって発生する発熱量を抑え、省電力、小型化を可能にし、インクの粘性に応じた電圧、周波数にて適正な駆動制御を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、インクタンクと、該インクタンクからインクの供給を受ける液室及び該液室を加圧する圧電体を駆動することにより液室からインク滴を吐出させる記録ヘッドと、インクの供給制御、圧電体を所定の吐出周波数で駆動する制御を含む記録動作に係る動作部を制御する制御手段を有したインクジェット記録装置であって、使用するインクの粘性を判定するインク判定手段と、記録用の画像データに基づいて定まる単位長さ当りの吐出数、前記インク判定手段で判定されたインクの粘性及び予め定められた吐出周波数に基づいて、前記吐出数分のインク滴を所定サイズで吐出させるときに生じる損失電力量を算出する損失電力量算出手段を備え、前記制御手段は、算出した損失電力量が予め定めた許容範囲を超えたことを条件に、適用する吐出周波数を前記予め定められた吐出周波数より低減させる制御を行うことを特徴とする。
本発明は、インクタンクと、該インクタンクからインクの供給を受ける液室及び該液室を加圧する圧電体を駆動することにより液室からインク滴を吐出させる記録ヘッドを有し、該圧電体を所定の吐出周波数で駆動するインクジェット記録装置における圧電体の駆動制御方法であって、使用するインクの粘性を判定するインク判定工程と、記録用の画像データに基づいて定まる単位長さ当りの吐出数を得る吐出数取得工程と、前記インク判定工程で判定されたインクの粘性を得る粘性取得工程と、予め定められた吐出周波数の下で、前記粘性取得工程で得た粘性のインクを用いて前記吐出数取得工程で得た吐出数分のインク滴を所定サイズで吐出させるときに生じる損失電力量を算出する損失電力量算出工程と、前記損失電力量算出工程で算出した損失電力量が予め定めた許容範囲を超えたか否かを判定する駆動状態判定工程と、前記損失電力量算出工程で許容範囲を超えた場合に、適用する吐出周波数を前記予め定められた吐出周波数より低減させる制御を行う駆動制御工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
インク粘性の上昇及び吐出チャンネル数の増加によって、実行しようとする駆動状態において推定される損失電力量(熱を発生させる)が許容量を超えると判定される場合に、吐出周波数を低下させる制御を行い、熱の発生を抑えることができるので、省電力化、駆動回路の小型化を可能にし、インクの粘性に応じた電圧、周波数にて適正な駆動制御を行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】インクカートリッジを本体側に設置するタイプのインクジェットシリアルプリンタにおけるピエゾ駆動制御系の機能ブロック構成を示す図である。
【図2】ピエゾ駆動制御系(図1)のインク供給動作の制御フローを示す図である。
【図3】オンキャリッジタイプのインクジェットシリアルプリンタにおけるピエゾ駆動制御系の機能ブロック構成を示す図である。
【図4】ピエゾ駆動制御系(図1,2)のピエゾ駆動動作の制御フローを示す図である。
【図5】ピエゾを駆動する電圧波形の違いを(A)、(B)に、電流波形の違いを(C)に示す図である。
【図6】吐出周波数低減時の駆動電圧波形とチャンネル選択に用いる画像信号の関係を説明する図である。
【図7】吐出周波数低減方法の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。
本発明に係るインクジェット記録装置の以下に示す実施形態は、シリアルプリンタへの適用例であり、主走査方向に延びるガイドに沿って移動するキャリッジ上に記録部を搭載する。記録部は、記録(インクジェット)ヘッド、ヘッド駆動部、インクタンク等よりなる。なお、シリアルプリンタでは、インクジェットヘッドから吐出されるインクよって記録(印字)される記録媒体を主走査方向に対して直交する方向に送り、全面面に画像を形成する。
インクジェットヘッドは、インクタンクからインクの供給を受ける液室及び該液室を加圧するための圧電体としてのピエゾ素子を備え、ピエゾ素子(以下、単に「ピエゾ」とも言う)に駆動回路からの電圧を印加し発生する力で液室を加圧し、ノズル(吐出口)からインク滴を吐出させる。本実施形態における記録ヘッドは、多数のインク滴の吐出口を例えば600dpiのピッチで直線状に配列し、それぞれの液室を加圧するピエゾを画像データに基づいて選択し、選択したピエゾを共通の駆動電圧で、即ち1つの駆動回路によって多チャンネルで同時駆動し、吐出するインクにより画像を形成する。
【0010】
この実施形態で用いるインクジェットヘッドを駆動するための回路は、ピエゾに駆動電圧を印加する駆動回路と、インクを吐出させる吐出口(即ち、チャンネル)を選択する選択回路を有する。
駆動回路は、ピエゾに駆動電圧を印加する周波数(吐出周波数)が可変で、駆動時にピエゾから発生する熱を抑制するために、ピエゾの駆動状態を検出し、熱を発生させる損失電力量が許容量を超えると判定される場合に、吐出周波数を低下させる制御を行う(詳細は後述)。なお、吐出周波数が変更されたときには、これに応じてヘッドを載せたキャリッジの主走査方向の移動速度も変更する。
選択回路は、設定された吐出周波数で印加される駆動電圧が加わるときに、2値化画像データに基づいて生成される選択信号に従いチャンネルを選択し、選択したチャンネルのインクを吐出し、画像を形成する。
【0011】
以下に、吐出周波数を制御可能としたピエゾ駆動制御に係る実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の吐出周波数制御においては、後記で詳述するように、制御が必要であるか否かを判定するために、熱を発生させる損失電力量を推定する。
この損失電力量の推定に必要な要素の一つは、インクの粘性であり、制御を行う際、できるだけ実行間近におけるインクの粘性を知ることが損失電力量の適切な推定が行える条件となり、得られる損失電力量に基づいて行う制御の精度を高めることになる。
インクジェットシリアルプリンタにおいて、インクジェットヘッドの液室へ供給するインクを収容するタンクの装着方法は、大別すると、本体側に大容量のインクタンク(カートリッジ)を装着して、ポンプでキャリッジに供給するタイプ(以下、「本体設置タイプ」という)と、キャリッジにインクタンク(カートリッジ)を装着するタイプ(以下、「オンキャリッジタイプ」という)の2タイプになる。
【0012】
上記2タイプのインクタンクの装着方法のいずれを採用しても、当該プリンタにおけるピエゾの駆動制御は、選択回路で選択したピエゾを1つの駆動回路によって多チャンネルで同時駆動する、という上記した動作を行わせるので、基本的な動作に変わりがない。
ただ、吐出周波数の制御に必要なインクの粘性を判定する手段等が異なる。よって、ここでは、先ず、「本体装着タイプ」及び「オンキャリッジタイプ」に分けて、それぞれのタイプのインクタンク装着方法を採用する当該インクジェットプリンタにおけるピエゾ駆動制御系の構成及びその動作、特にインクの粘性の判定等と係る動作について説明する。
【0013】
「本体装着タイプ」
高速に印刷処理を行う業務用途のインクジェットプリンタなどでは、頻繁にインク交換作業が発生しないように、大容量のインクタンク(カートリッジ)をキャリッジと分離して設置し、この大容量タンクからキャリッジ上の印刷ヘッドに接続されたサブインクタンクにチューブなどを介してインクを供給する方法が採用される。
図1は、このタイプのインクジェットシリアルプリンタの機能ブロック構成を示す図である。なお、この図は、ピエゾ駆動制御系の関連構成を中心に示すものである。
図1において、主走査モータ50によって主走査方向に往復動されるキャリッジ20には、記録(インクジェット)ヘッドの駆動部として、液室のインクを吐出するピエゾアクチュエータ21とピエゾアクチュエータ21に対しインクを吐出させるチャンネルを選択する選択回路23を備え、さらに、インクを収容するサブインクタンク25及びヘッド部におけるインクの温度を検出するための温度センサ41を設ける。なお、サブインクタンク25には、インクタンクカートリッジ30(後述)からインクが供給される。
【0014】
大容量のインクタンクとしてのインクカートリッジ30は、プリンタの本体側に設置する。このインクカートリッジ30から供給ポンプ35によってキャリッジ20のサブインクタンク25へインクを供給する。このインクの供給制御は、制御部10(後述)によって行われ、サブインクタンク25に付属する検知ピン26によってインク量の減少を検知し、この検知信号に応じて、供給ポンプ35が動作され、インクが補給される。
また、インクカートリッジ30は、メモリ31とインク物性検知手段33を備える。メモリ31は、インクカートリッジ30の管理情報を記憶し、インク物性検知手段33は、インクの物性を示す情報(データ)を検出する。これらは、適正な条件のもとにインクが使用できるようにインクの粘性等の特性や管理情報を制御部10(後述)に提供する。
【0015】
制御部10は、プリンタの各動作部の状態を把握し、適正な状態を維持し、また、印刷を要求して入力される印刷データをもとに記録媒体(記録紙)に画像を形成する際、その工程を管理し、記録動作に係る動作部全体を制御する機能を有する。
本実施形態において、制御部10は、ピエゾ駆動制御系に関連する機能構成として、インク識別部13、駆動波形生成部15、レンダリング部17及び吐出制御部19を有する。
インク識別部13は、インクの識別やインクの粘性等の物性を含め、使用中のインクの状態を検知、認識する処理を行う。このため、インクカートリッジ30からその管理情報等を、また、キャリッジ20に設けた温度センサ41とサブインクタンク25に付属する検知ピン(2本の電極ピンによって液面レベルを検知)26からそれぞれの検知データを、また、粘性検出手段43から検出データをそれぞれ取込み、他方、検知結果や認識結果を示すデータを吐出制御部19に渡す。なお、粘性検出手段43は、この実施形態では、サブインクタンク25に供給するインクから粘性を検出する。
【0016】
レンダリング部17は、印刷を要求して入力される画像データDiをもとにビットマップ展開し、2値の画素配列の記録(画像形成)用データを生成し、このデータを後記吐出制御部19に渡す。
吐出制御部19は、インク識別部13から粘性の検出結果等を取得し、粘性が変化しても、画像品質が低下しないように検出した粘性によって駆動波形生成部15において駆動波形を調整し、また、レンダリング部17から取得した記録(画像形成)用データで選択回路を動作させ、駆動チャンネルを選択して、吐出を制御する。この吐出制御を行う際、検出した粘性や取得した記録(画像形成)用データに基づいて、設定される駆動条件で記録動作を行う場合に生じると推定される損失電力量を算出し、算出した量が許容量を超えると判定される場合に、吐出周波数を低下させる制御を行う。なお、この制御は、後記でピエゾ駆動の制御例として、フロー図(図4)を参照して詳細に説明する。
駆動波形生成部15は、ピエゾ駆動回路29を介して記録ヘッドのピエゾアクチュエータ21を駆動する電圧波形を生成する(後記図5の説明、参照)。
【0017】
ところで、プリンタ全体の制御を司る制御部10は、図示しないが、ハードウェア構成として、ソフトウェア(プログラム)を動作させるCPU(Central Processing Unit)、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、プログラムを動作させるときのワークメモリとして使用するRAM(Random Access Memory)等を構成要素として有する。
この制御部10を構成するROMには、上記したピエゾ駆動制御系の機能構成(図1、参照)を実現するプログラムを記録(記憶)し、また、後述する図2及び図4の制御フロー図に示すピエゾ駆動制御系の動作を実行するためのプログラムを記録しておくことで、この制御部10を構成するCPUが、この制御動作を実行する手段として機能する。なお、プログラムを記録する媒体としては、上記ROMに限らず、HDD(ハードディスク)、CD−ROM,MO(Magnet Optical Disk)等のディスク型を含む各種記憶媒体を用いることができる。
【0018】
次に、図1に示したピエゾ駆動制御系のインク供給動作を図2のフロー図に基づいて説明する。
図2のフロー図による動作は、インク供給動作に伴い、現在使用するインクの粘性の状態を把握するための処理を行う点を特徴としている。この処理は、把握した粘性状態を吐出制御部19の吐出周波数の制御に反映させるため、その前提として行うものである。
制御部10は、この前提に立って、記録(吐出)動作を実行する際にインク供給動作に伴い、使用するインクの粘性を検出し、検出結果を最新のインクの粘性状態を示すデータとして管理し、このデータに基づいて、適切な吐出周波数の制御を行えるようにする。
【0019】
図2のフロー図に示すインク供給シーケンスによると、制御部10は、先ず、プリンタ本体に装着されたインクカートリッジ30の存在を確認し(ステップS101-YES)、確認したインクカートリッジ30からインクの物性情報を取込む。インクカートリッジ30には、予めインクカートリッジ管理情報等を記憶するために、識別タグ、例えばRFID(Radio Frequency Identification)やIDチップなどのメモリ31が個々のカートリッジに取付けられている。このメモリ31には、当該カートリッジの管理情報の一つとしてインクの物性情報が書込まれているので、インク識別部13は、これを読出すことで当該カートリッジに収容されたインクの物性情報を取得することができる。この実施形態では、インクの物性情報にインクの粘性を含む。
【0020】
インク識別部13は、インクカートリッジ30のメモリ31から取得したインクの物性情報を含むインクカートリッジ管理情報を制御部10内のメモリに保持されているインク管理情報と照らし合わせ、装填されたインクカートリッジ30を識別する(ステップS102)。インクカートリッジ30から取得した管理情報の内容(例えば、インクカートリッジ30に付与されたID、インクの種類等)と制御部10内のメモリに保持されている内容とが一致する場合は、純正インクが使用されていると認められるので(ステップS103-YES)、純正インクに対応する制御条件を適用するため、実行するジョブに使用するインクに純正インクの設定を行う(ステップS104)。
この後、純正インクの設定に従って供給ポンプ35を動作させ、インクカートリッジ30からサブインクタンク25へのインクの送液を開始する(ステップS112)。純正インクの設定は、純正インクが有する粘性等のインクの物性に適した動作条件を供給ポンプ35に設定することにより、予め定めた量のインクをサブインクタンク25に収容できるようにする。
【0021】
他方、照合の結果、インクカートリッジ30から取得した管理情報の内容と制御部10内のメモリに保持されている内容とが一致しない場合は(ステップS103-NO)、純正インクが使用されていないと判断し、インクの物性検出シーケンスを開始する(ステップS105)。なお、インクの物性検出は、インクカートリッジ30のインク物性検知手段33が行う。
この実施形態で行う物性検出シーケンスでは、先ず、インクの種類として顔料系インクと染料系インクのどちらが用いられているかを確認する(ステップS106)。インクジェットプリンタに使用するインクは、通常、顔料系インクと染料系インクのどちらかが用いられており、両者は光に対する透過性が異なることから、光学式センサなどの検出手段を用い、その検出結果から、どちらであるかを識別することができる。
制御フローにおいては、インク物性検知手段33の検出結果から使用するインクが顔料系インクであるか否かを確認し、顔料系インクであれば(ステップS106-YES)、顔料フラグを1にすることで識別結果を示す。他方、顔料系インクでなければ(ステップS106-NO)、染料フラグを1にすることで識別結果を示す。
【0022】
また、ここでは、さらに他の識別方法を併用する。この方法は、インク中の混合物の比率によって導電率が異なることから、一定電流をインク内部に通電して導電率を計測し、計測した導電率ρが制御部10内のメモリに保持されているインクの物性情報における導電率と同等であるか否かを判断し、この判断を識別結果として得る方法である。ここでは純正インクの有する導電率ρ(なお、顔料系インクと染料系インクそれぞれで異なる)と同等である場合、純正インクを使用時に用いる動作条件を適用できるインクであるとみなす。
よって、制御フローにおいては、インク物性検知手段33における導電率の計測結果から使用するインクが純正インクの有する導電率ρと同等であるか否かを確認し(ステップS109)、同等であれば(ステップS109-YES)、純正インクに対応する制御条件を適用できるとの判断のもとに、実行するジョブに使用するインクに純正インクの設定を行う(ステップS110)。
この後、純正インクの設定に従って供給ポンプ35を動作させ、インクカートリッジ30からサブインクタンク25へのインクの送液を開始する(ステップS112)。
【0023】
他方、ステップS109で使用するインクが純正インクの有する導電率ρと同等であるか否かを確認した結果、同等でなければ(ステップS109-NO)、純正インクに対応する制御条件を適用できないので、導電率の計測値を制御部10内のメモリに保存する(ステップS111)。
この場合、例えば、純正インクの有する導電率ρに対する計測値のずれが、経験上許容できる範囲であれば、純正インクの設定をずれに応じて補正する等により、当該インクを使用する方法で対処するようにしてもよい。ただ、画像品質への影響が生じる場合があることをユーザに警告する必要がある。また、上記したずれが許容範囲を超える場合には、異常処理として、当該インクを使用しないようにするため、以後の処理を中止し、その旨をユーザに知らせるようにする。
【0024】
ところで、カラー画像を形成する本体装着タイプのプリンタでは、通常、色毎にカートリッジを分けているが、詰め替えインクなどを使用者が利用した場合に、詰め替える色を間違えてしまうことが考えられる。このような間違えが起きる可能性がある場合には、図1,2には示していないが、例えば、CCDセンサ等の色情報を検知する手段を備え、物性検出シーケンスにおいて、CCDセンサの検知結果によって使用に適したインクカートリッジが装填されているかを確認する手順を加えるようにしてもよい。
このようにして、インクカートリッジが装填された段階で、物性検出シーケンスを行い、使用が可能なインクであることを確認し、送液を開始する。
【0025】
この実施形態のインク供給シーケンスでは、使用可能と判断したインクの供給ポンプ35による送液を開始すると同時に、インクの送液状態から粘性を推定するための処理手順を行う。これは、上記したように、インクカートリッジ30の大容量タンクからキャリッジ20上のサブインクタンク25にチューブなどを介して供給ポンプ35によりインクを供給する際、インクの粘性の変化によって、供給ポンプ35に掛かる負荷が違ってくるので、所定量のインクを送るときの供給ポンプ35の動作状態(駆動エネルギー)によって使用インクの粘性が推定できるからである。
上記の駆動エネルギーの大きさは、ポンプ供給能力が一定であるとすると、インクの粘性の違いにより送液量の違いとして表れるので、ここでは、所定量のインクを送るためにかかる時間を測ることによってこれを得る。
【0026】
また、所定量のインクが送液されたことを検出する方法は、次に示す方法を採用することができる。これは、本体装着タイプでサブインクタンクに送られたインク量を確認するために通常用いられるインクの液面検知手段を利用する方法である。この液面検知手段は、サブインクタンクにおけるインクの液面レベルが満杯になったことを検知する手段で、図1の例では、サブインクタンク25の上部においてレベルを変えた配置で2本の電極よりなる検知ピン26を装着し、液面が検知ピン26のレベルに達したか否かを電極に生じる電位差で検知する構成をとる。なお、この2本の検知ピン26は、サブインクタンク25に収容するインク量(液面レベル)を管理するために設けたものであるから、インク供給時に2本の検知ピン26の一方で液面を検知してから他方で検知されるまでの間に送液されるインク量を所定量に規定することができる。
【0027】
送液インク量を上記の方法で検出し、使用インクの粘性を推定するときには、次に示す方法で粘性を推定することができる。
即ち、サブインクタンク25における2本の検知ピン26の一方と他方で検知電位がそれぞれ所定の閾値に達するとき、この間に供給されるインク量Lsとし、標準インク粘性における供給ポンプ35の単位時間当たりの送液インク量をLpとすれば、Ls/Lpが供給ポンプ35の稼働時間tcとなる。これに対し、実際に供給ポンプ35によってインクの送液を行い、2本の検知ピン26の一方(低液レベル)で検知した電位が所定の閾値に達するときから他方(高液レベル)で検知した電位が所定の閾値に達するまでの供給ポンプ35の稼働時間tiを求め、求めた稼働時間tiと標準インク粘性において求めた供給ポンプ35の稼働時間tcとの差分tc−tiを取れば、この差分とインクの粘性とは一定の関係を有するので、インクの粘性を推定できる。
【0028】
図2の制御フローにおいては、物性検出シーケンスを行い、使用可能と判断したインクの送液を開始する(ステップS112)と同時に、検知ピン26の電位を監視し、低液レベルのピンで検知する電位が所定の閾値に達したときに、タイマの時間カウントを開始する(ステップS113)。
その後、供給ポンプ35によってサブインクタンク25へインクの送液を続け、インクが満杯になったことか否かを高液レベルのピンで検知する電位よって確認する(ステップS114)。
高液レベルのピンで検知する電位が所定の閾値に達し、インクが満杯になったことを確認できれば(ステップS114-YES)、供給ポンプ35を止め、インクの送液を停止する(ステップS115)。
【0029】
また、インクの送液を停止したと同時に、先に時間カウントを開始させたタイマのカウントを停止させ、検知レベル間の供給ポンプ35の稼働時間tiを得る(ステップS116)。
次に、取得した稼働時間tiと予め求めておいた標準インク粘性における検知レベル間の供給ポンプ35の稼働時間tcとが等しいか否かを判定する(ステップS117)。
ここで、稼働時間tiと稼働時間tcとが等しければ(ステップS117-YES)、「t=tc」という判定結果を制御部10内のメモリに格納する(ステップS118)。
他方、稼働時間tiと稼働時間tcとが等しくなければ(ステップS117-NO)、「t=tc−ti」という判定結果を制御部10内のメモリに格納する(ステップS119)。
なお、これらの判定結果は、後述する損失電力量の算出する際の粘性に反映される。
インクの粘性を推定するためのパラメータを求める手順を経て、このインク供給シーケンスを終了する。
【0030】
上記の方法以外に、使用インクの粘性を推定するために用いることができる他の方法を次に説明する。
以下に示す方法においても、インクの粘性の変化によって、供給ポンプ35に掛かる負荷が違ってくるので、所定量のインクを送るときの供給ポンプ35の駆動エネルギーに着目した点で上記の方法と変わりがない。
ただ、駆動エネルギーを求める方法が違い、ここでは、駆動エネルギーを供給ポンプ35に用いるインク供給モータの電流値を測ることによって求め、これを使用インクの粘性の推定値とするものである。
供給ポンプ35にモータを使用する場合、当該モータをより安価に提供できるDCブラシモータが多用されるが、DCブラシモータの特徴として、駆動トルクと供給電流の間に比例関係があることが挙げられる。この特性を利用して、モータへの流入電流をセンシングすることによって、実際にサブインクタンク25へ供給されたインク量と、そのために必要となったインク供給モータとしてのDCブラシモータへの積算電流値あるいは平均電流値を対応付けることによっても、インクの粘性を推定できる。
この方法を採用することで、供給ポンプ35の単位時間当たりの送液量に機差が生じて上記稼働時間による方法を用いることが不向きでも、より正確にインクの粘性を推定することができる。
【0031】
「オンキャリッジタイプ」
それ程高速に印刷処理を行うことが要求されない主に個人向けの小型インクジェットプリンタなどでは、インクタンク(カートリッジ)をキャリッジに装着するオンキャリッジタイプが採用されることが多い。このタイプでは、上記本体装着タイプ(図1、参照)におけるサブインクタンク25に相当するタンクが交換可能なインクタンク(カートリッジ)となるので、記録ヘッドの液室へインクを供給する方法は、上記本体装着タイプとは異なる独自の方法をとる。即ち、記録ヘッドの吐出(ノズル)面の保湿及びメンテナンス用としても働く吸引キャップの動作によって、インクタンク(カートリッジ)からピエゾヘッドの液室にインクを供給する方法が採用される。
【0032】
図3は、このタイプのインクジェットシリアルプリンタの機能ブロック構成を示す図である。なお、同図は、図1に示した本体装着タイプの機能ブロック構成と異なる部分を示したもので、省略したその他の構成は、基本的に図1と同様の構成を有する。
図3において、キャリッジ20'には、記録(インクジェット)ヘッドの駆動部として液室のインクを吐出するピエゾアクチュエータ21と、交換可能なインクタンク(カートリッジ)25'を設ける。
サブインクタンク25'は、タンク内の液量を検知する液量検知手段24を有し、制御部10'がインク切れをユーザに知らせるために用いるインク残量データを送る。
【0033】
また、図3に示す吸引キャップ27は、オンキャリッジタイプのインクジェットプリンタにおいて、記録動作を行わない記録ヘッドを非印字領域で待機させておく場所に設けられ、待機状態にある記録ヘッドのインクの吐出口を覆うキャップである。
この吸引キャップ27は、インクの吐出面の保湿及びメンテナンス用として働くもので、吸引ポンプ37によって記録ヘッドの吐出口からインクを吸引し、記録状態に移行したときに適正な吐出動作を確保するための準備を行うために用いられる。吸引ポンプ37によって吸引キャップ27から吸引されたインクは、廃液収容容器39に送られる。廃液収容容器31には、レベルを変えた配置で2本の電極よりなる検知ピン28を設け、これによりインクの液面レベルを検知する。
また、制御部10'は、先の本体装着タイプにおけると同様に、印刷を要求して入力される印刷データをもとに記録媒体(記録紙)に画像を形成する際、その工程を管理し、記録動作に係る動作部全体を制御する機能を有し、その制御機能に上記したオンキャリッジタイプのインクジェットプリンタを構成する液量検知手段24、検知ピン28及び吸引ポンプ37に係る機能を含む。
【0034】
上記の構成をとるオンキャリッジタイプのインクジェットプリンタにおけるインクの粘性を判定する方法を説明する。
図3に示す構成のプリンタにおいては、記録ヘッドへのインク供給の過程で、先の本体装着タイプにおける供給ポンプ35のような送液手段を用いないので、この過程で送液に必要なエネルギー量を検出するという方法でインクの粘性を求めることはできない。従って、このタイプのプリンタでは、吸引キャップ27を通して記録ヘッドから吸引ポンプ37によって吸引する際のエネルギー量をインクの粘性判定に用いる。
具体的には、先の本体装着タイプにおける供給ポンプ35による送液の過程で行ったと同様の手法で駆動エネルギーを数値化し、インクの粘性を推定する。つまり、吸引ポンプ37によって標準インク粘性のインクを廃液収容容器39における2本の検知ピン28の検知レベルによって規定される量だけ送液するのに要するポンプの稼働時間として予め求めておいた時間と、使用時に実際に吸引ポンプ37を動作させて求めた稼働時間との差分をとり、この差分からインクの粘性を推定する。
また、上記した送液に要する駆動エネルギーを吸引ポンプ37に用いるインク吸引モータの電流値を測ることによって求め、これを使用インクの粘性の推定値とする方法を、先の本体装着タイプにおけると同様に適用してもよい。
【0035】
「その他のインク粘性判定方法」
上記した「本体装着タイプ」及び「オンキャリッジタイプ」のどちらにも共通に適用できる他のインク粘性判定方法について、以下に説明する。
上記両タイプのインクジェットプリンタにおいて使用するインクの粘性をより簡単に判定する方法は、温度センサを用いる方法である。インクの粘性とインク温度の間には比例関係が成り立つので、予め実験的に粘性と温度との関係を求め、求めた関係を例えば関係式で定義しておく。使用時にインクの温度を測定し、測定結果として得た温度に対応する粘性を定義した関係式から導く、という方法で粘性を判定する。
この方法による粘度判定において、誤差を少なくするためには、図1に示すように、温度センサ41をインクタンク内あるいはその近傍に設けることが望ましい。これは、できる限り記録ヘッドにおけるインクの液室の温度を計測することが望ましいからで、この点では、温度センサ41の設け方は、インサート成型等により当該センサを液室の中に封入する方法が最も良い。この方法をとることが構造的に難しい場合は、液室近傍でも構わない。ただし、この場合は急激な温度変化に対応が出来ない可能性があるため、制御動作において補正を掛けることが必要となる。
【0036】
さらに、温度センサで計測した温度とインクを供給或いは吸引するモータの電流値を複合させる方法によってインク物性としての粘性を判定する方法を採用することができる。
例えば、先に示したインク供給モータの電流特性を利用して定量のインクを送るための積算電流値から粘性を推定する例と同様の判定方法を行い、この時、同時にインクの温度を計測する。
これにより、該当する温度におけるインクの粘性が判定できるため、一方の方法のみによるよりも誤差を低減でき、より正確な判定が可能となる。なお、インクの吐出特性の面では、純正インクを用いない場合(粘性と温度との関係式が適合しない可能性がある)でも、この判定方法により充填されているインクの物性がある程度把握できれば、時々の値をメモリに補完し、必要に応じてピエゾ駆動回路28の駆動電圧等を補正できるため、純正インクを用いなくてもある程度の画質が得られる。
さらに、その他のインク粘性判定方法として採用できる方法は、コストアップ要因となることが否めないが、電磁式流量センサ或いは超音波式流量センサを利用する方法である。この方法は、供給或いは吸引するインクの流量を直接当該流量センサで計測する、即ちポンプ能力を一定で動作させた場合に粘性と一定の関係がある流量を送液状態のインクから計測することで、インクの粘性を計測することができる。この方法によると、より高精度に実時間で粘性を判定することができ、制御に適している。
【0037】
「ピエゾ駆動制御」
本実施形態のインクジェットシリアルプリンタでは、ピエゾの駆動により発生する熱を抑制するために、実行しようとするピエゾの駆動状態から熱を発生させる電力量、(即ち、消費される電力のうち駆動力に変換されない部分がほとんど熱になることから、これを「損失電力量」という)を推定し、推定される損失電力量が許容量を超えると判定される場合に、ピエゾに駆動電圧を印加する周波数(吐出周波数)を低下させる制御を行う。
上記の損失電力量は、基本的には、当該電力量を変化させる要因として、次の(1)〜(3)、即ち
(1)インクの基本物性(インクの色、材料、導電率、粘性等、ピエゾによる吐出特性に関係する物性)
(2)単位長さ当りの画像データ量(例えば、バンド単位での吐出数)
(3)印刷直前の使用インクの粘性(ピエゾの駆動電圧・電流が粘性によって調整される)の要素を捉え、例えば、下記式(1)に示す関数をもとに定量化し、制御に用いる。
【0038】
次に、ピエゾの駆動により発生する熱を抑制する上記の動作を行うピエゾ駆動制御の実施形態を図4のフロー図に基づいて説明する。
この制御フローは、制御部10(図1)が有する制御機能によって実行する動作であり、先図1を参照して説明した、ピエゾ駆動制御の構成要素としてのインク識別部13、駆動波形生成部15、レンダリング部17及び吐出制御部19の動作によって行う。
制御部10は、ホスト機から送信されてくる画像(印刷)データDiを伴う印刷指令を取り込み、図4の制御フローを起動し、先ず、印刷に用いる画像データをページ単位で取得する(ステップS201)。
次いで、取得したページ画像データをもとにレンダリング部17でビットマップ展開し、2値の画素配列の記録(画像形成)用データに変換・処理し、バンドデータを生成し(ステップS202)、このデータをメモリへ格納する(ステップS203)。
格納したバンドデータを印刷用データとしてメモリから読み出し、吐出制御部19でバンド単位での吐出数を取得する(ステップS204)。なお、吐出数は、ここでは、後段で損失電力量Pwsを演算するために用いる。
【0039】
また、上記したレンダリング処理と並行して、管理情報として保管されているインク物性情報を取得する(ステップS205)。
ここで取得するインク物性情報には、図2を参照して上記で説明したインク供給シーケンスにおいて、検出し、保管しておいたインクの基本物性(インクの色、材料、導電率、粘性等)が含まれる。
さらに、ステップS205と同様の並行処理で、現時点での温度情報を温度センサ41から取得する(ステップS206)。なお、ステップS205,206の処理は、ここではインク識別部13が行う。
【0040】
次に、実行しようとするバンドデータを用い、前段までに取得した物性のインクを使用して記録(画像形成)を行う場合に、ピエゾアクチュエータ21を駆動することによって生じる損失電力量Pwsを演算する(ステップS207)。
ここで演算する損失電力量Pwsは、吐出数をバンド単位のデータとして取得していることから、この吐出数と、インクの物性情報及び温度情報から、当該バンドにおける単位時間当りの損失電力量として、この損失電力量Pwsを算出する。
この実施形態では、損失電力量Pwsは、実験的に、
Pws=1/f×Σα・Vdn・Idn 式(1)
(但し、n=w/d)
の関数によって近似することができる。
なお、上記式(1)において、Vd:デバイス(ピエゾアクチュエータ21)の電圧損失、Id:デバイスの電流損失、w:バンド幅、d:ドットピッチ、f:吐出周波数、α:比例係数である。
【0041】
また、電圧損失Vdはインク粘度及び液滴大きさの関数であり、電流損失Idもインク粘度、吐出チャンネル数及び液滴大きさの関数である。さらに、温度情報は、式(1)の関数或いは関数パラメータを温度に応じて補正するために用いる。
図5は、式(1)の関数関係が成り立つことを説明するためのピエゾアクチュエータ21の駆動状態を表す駆動電圧波形及び電流波形図である。
同図(A)に示す駆動電圧波形は、駆動電圧と温度の関係を示すもので、温度が高くなるにつれてインクの粘性が小さくなり、同じ大きさの液滴を吐出させるためには、ピエゾの稼働量を調整する必要がある。実際に5℃の環境と35℃の環境で、実験的には最大20%に達する振幅調整が必要となる。この関係から、5℃の環境においてより大きな電圧損失が生じるように関数を補正する。
【0042】
図5(B)に示す駆動電圧波形は、駆動電圧と液滴の大きさの関係を示すもので、液滴のサイズを大きくするほど、振幅も大きくするように、ピエゾの稼働量を調整する必要がある。この関係から、液滴のサイズが大きくなるほど、より大きな電圧損失が生じるように電圧損失Vdを変更する。
図5(C)に示す駆動時の電流波形は、電流の量と同時に駆動する吐出チャンネル数の関係を示すもので、駆動電圧波形(同図上段)を一定にして駆動する場合、同時に駆動する吐出チャンネル数が多くなるほど、電流が大きくなる。同図下段に96chと、その倍の192chの例について、同時駆動時の電流波形を示すように、おおよそ50%の電流値の差がある。電流損失は、電流値の2乗で表されるため、電力損失量に大きな差が出る。この関係から、同時に駆動する吐出チャンネル数の大きい画像データであるほど、より大きな電流損失が生じるように電流損失Idを変更する。
上記のように、上記式(1)に基づいて、損失電力量Pwsを当該バンドにおける単位時間当りの損失電力量として算出することができる。
【0043】
図4の制御フローに戻ると、ステップS207で損失電力量Pwsを算出した後、算出した損失電力量Pwsと予め定めておいた許容損失電力量Pcと比較し、損失電力量Pwsが許容損失電力量Pcを超えるか否かを判断する(ステップS208)。なお、許容損失電力量Pcは、ピエゾアクチュエータ21の損失電力によって生じる熱がプリンタのシステムやシステムを構成する個々のデバイスの温度環境に与える影響が許容範囲を超えないような量を予め算定しておく。
ここで、損失電力量Pwsが許容損失電力量Pcを超えない場合(ステップS208-YES)、ステップS214以降の印刷制御(後述)に移行する。
【0044】
他方、損失電力量Pwsが許容損失電力量Pcを超える場合(ステップS208-NO)、現時点で設定を予定する吐出周波数(損失電力量Pwsの推定演算に用いた吐出周波数)の制御カウントnをカウントアップしn+1とし(ステップS209)、ピエゾ駆動周波数の設定f=f/nにおける設定値nとして上記カウント値を入れる(ステップS210)。
次いで、変更したカウント値に基づいて変換したピエゾ駆動周波数に応じて、レンダリング部17で再度レンダリング処理を行う(ステップS211)。
このときピエゾ駆動周波数に対応して目的の画像形成(記録)を行うための吐出制御方法として下記の2方法を採用することができ、それぞれの方法に応じたレンダリング処理を行う。
1つは、往復動するキャリッジの往復いずれか1度の移動時に変更後のピエゾ駆動周波数で吐出動作を行わせる方法(以下、“第1吐出制御方法”という)である。
もう1つは、また、往復動するキャリッジの往復2度の移動時に変更後のピエゾ駆動周波数で吐出動作を行わせる方法(以下、“第2吐出制御方法”という)である。
【0045】
ここで、上記第1及び第2吐出制御方法について、それぞれ詳細に説明する。
“第1吐出制御方法”
この方法では、キャリッジの往復いずれか1度の移動時にf/n低減させた駆動周波数で吐出動作を行わせることで、目的の画像形成を行うので、キャリッジの移動速度をピエゾ駆動周波数に対応して変更する必要がある。この実施形態では、ピエゾアクチュエータ21に対しインクを吐出させるチャンネルを選択する選択回路23からレンダリング処理後の画像データをもとに選択信号を発生させるが、この選択信号を発生させるタイミングは所定の周期を保ち、ピエゾ駆動周波数が変更されても、変えない。
従って、ピエゾ駆動周波数の変更によって、駆動電圧が印加されるタイミングが変わる場合にも、このタイミングに合わせて元の画像データによる選択信号を発生させる必要が生じる。このため、駆動電圧が印加されるタイミング以外の選択信号として出力不可を選択するダミー信号を発生させる。具体的には、選択信号を生成するレンダリング処理において、出力不可を選択するダミー画像データ(ブランクデータ)を挿入する。
【0046】
図6は、第1吐出制御方法における吐出周波数低減時の駆動電圧波形とチャンネル選択に用いる画像信号の関係を説明する図である。
同図(A)に示すように、ピエゾアクチュエータ21を持つ記録ヘッドを載せたキャリッジは、主走査方向に移動し、この主走査方向の移動に同期して同図(F)、(G)、(H)にそれぞれ示すピエゾ駆動電圧が所定の駆動周波数で発生される。
同図(B)〜(E)は、インクを吐出させるチャンネルを選択する選択回路23で用いるレンダリング処理後の画像データを示し、チャンネルの数分ある縦の列の画像データが1列ずつ所定の周期で選択信号として出力される。
【0047】
図6(B)、(D)は、元の画像データを示し、このデータを用いて同図(F)に示す通常の駆動周波数fでピエゾを駆動する場合には、画像データを縦の1列ずつ用いて順次駆動周波数fの周期で選択信号を発生させることで目的の画像形成を行うことができる。
図6(F)に示す通常の駆動周波数fでは電力損失が許容電力損失を超えると判断される場合、通常の駆動周波数を低減する。例えば、図6(G)に示す駆動周波数f/2でピエゾを駆動するときには、2倍の周期になるので、同期する選択信号は、(B)に示す画像データをもとに所定周期を保って選択信号が発生されると、飛び飛びの画像データしか選択できない。
そこで、元の画像データ(B)による選択信号を駆動周波数f/2で発生する駆動信号に同期して発生させるようにする(図中の(B)から(C)への矢印にて示す)ために、この選択信号の間に出力不可を選択するダミー画像データ(ブランクデータ)を挿入するレンダリング処理を行うことで、対応する。つまり、図中の(B)から(C)への矢印以外の縦の列は出力不可のダミー画像データとする。
【0048】
上記図6(G)に示す駆動周波数f/2によっても電力損失が許容電力損失をクリアできない場合には、さらに駆動周波数f/nのnに1を加えて、ピエゾの駆動条件を変更する。例えば、駆動周波数f/4でクリアできたとすると、この場合、駆動波形は図6(H)に示すようになる。
この場合も、基本的には、上記した駆動周波数f/2への低減を行ったと同様に、元の画像データ(D)による選択信号を駆動周波数f/4で発生する駆動信号に同期して発生させるようにする(図中の(D)から(E)への矢印にて示す)ために、この選択信号の間にブランクデータを挿入するレンダリング処理を行うことで、対応する。この場合、ブランクデータは、3列を挿入することになる。
このように、上記のレンダリング処理で得た画像データ(C)或いは(E)を用いて生成される選択信号によって、ピエゾ駆動制御を行うことで目的の画像形成を行うことができる。
なお、上に示した吐出制御方法は、選択信号を発生させるタイミングが所定の周期(上記の例では周波数f)を保つ場合に適用して、吐出周波数をf/n低減する方法によって、安定した動作を確保できるようにする実施形態を示したが、選択信号を発生させるタイミングをピエゾの駆動周波数に合わせて変える方法を採用する場合には、基本的には、任意の周波数を低減後の周波数として選択できる。
【0049】
“第2吐出制御方法”
この方法では、キャリッジを往復させ複数回の移動時に変更後のピエゾ駆動周波数で吐出動作を行わせることで、目的の画像形成を行う。この実施形態では、ピエゾアクチュエータ21に対しインクを吐出させるチャンネルを選択する選択回路23からレンダリング処理後の1バンドの画像データをもとに選択信号を発生させるが、選択信号を発生させるこの1バンドの画像データを複数回に分けて、キャリッジの往復移動時に複数回に分けたそれぞれのデータを用いる。
1バンドの画像データを複数回に分けるとき、吐出周波数をf/nに低減することが狙いであるから、画像データによって選択信号を発生させるドット(吐出ドット)の間は、低減する周波数に応じた間引きデータ(上記したブランクデータと同様の出力不可を選択するデータ)を元の画像データに置換えて挿入する。例えば、n=2、即ち駆動周波数f/2に低減する場合には、主走査方向に1ドットおきに間引きデータを挟んだ画像データを生成し、キャリッジの往復で間引きデータと画像データの位置を変えることで、1バンドの画像データを駆動周波数f/2に低減した形で選択することができる。また、駆動周波数f/nに低減する場合には、主走査方向にnドットおきに間引きデータを挟んだ画像データを生成し、キャリッジのn回の走査で画像データの位置を変えることで、1バンドの画像データを選択することができる。
【0050】
図7は、第2吐出制御方法における吐出周波数低減時のチャンネル選択に用いる画像信号を説明する図である。
同図(A)に示すように、ピエゾアクチュエータ21を持つ記録ヘッドを載せたキャリッジは、主走査方向に往復移動し、この主走査方向の移動に同期してピエゾ駆動電圧が所定の駆動周波数で発生される。
図7に示す例は、黒べたの画像を形成する場合を示しており、元の画像データは、同図の(B)に示すように全部が黒ドットよりなる画像である。
選択信号を生成するために用いる画像データは、図7(B)の画像からレンダリング処理で作成される。同図に示す例は、駆動周波数f/2に低減する場合を示しており、主走査方向に1ドットおきに間引きデータを挟んだ画像データを作成する。即ち、キャリッジの往復で間引きデータと画像データの位置を変え、一方の選択画像データである図7(C)で間引いたドット(図中、白ドットで示す)の位置に、他方の選択画像データである同図(D)では、元の画像データ(B)を入れる。
図7(C)及び(D)に示すレンダリング処理後の画像データを、インクを吐出させるチャンネルを選択する選択回路23で用いることにより、チャンネルの数分ある縦の列の画像データが1列ずつ所定の周期で選択信号として出力されるので、往復2回の走査の際にそれぞれ、駆動周波数f/2に低減した動作を行える。
【0051】
図4の制御フローに戻ると、ステップS211で再レンダリング処理を行った後、この処理で得られるデータに基づいて、損失電力量Pwsを算出する。
このとき、駆動周波数を低減したので、単位時間当たりの損失電力量Pwsが少なくなっているが、算出した損失電力量Pwsが許容損失電力量Pcをクリアできる、とは限らないのでと比較し、損失電力量Pwsが許容損失電力量Pcを超えるか否かを再び判断する(ステップS213)。
損失電力量Pwsが許容損失電力量Pcを下回った場合(ステップS213-YES)、ステップS214以降の印刷制御に移行する。
他方、損失電力量Pwsが許容損失電力量Pcを超えた場合(ステップS213-NO)、ステップS209に戻し、再び駆動周波数を低減するためのステップS213までの処理を繰返して行う。
損失電力量Pwsが許容損失電力量Pcの範囲に収まった場合(ステップS208-YES、ステップS213-YES)、許容範囲であると判定された損失電力量Pwsの推定において仮定した駆動周波数を印刷の実行に用いる周波数として決定する(ステップS214)。
また、決定した駆動周波数で駆動するときに選択信号に用いる画像データをレンダリング処理により生成し、生成した画像データを吐出制御部19に転送する(ステップS215)。
【0052】
次いで、ピエゾ駆動制御によって、記録紙に画像形成(記録)を行う。ピエゾ駆動制御の際、吐出制御部19は、インク条件、デバイス条件等に基づいて駆動波形生成部15において駆動波形を調整し、決定した駆動周波数でピエゾ駆動回路29を介して駆動波形を出力させ(ステップS217)、ステップS215でレンダリング部17から転送されてきた選択信号に用いる画像データで選択回路を動作させ、駆動チャンネルを選択して、吐出を制御する(ステップS216)。また、決定した駆動周波数でピエゾ駆動制御が行われる際の動作(図6及び図7の説明、参照)に合わせて、主走査モータ50を駆動し、キャリッジ20を移動させる(ステップS218)。
以上の制御動作を行うことによって1つのバンドデータの印刷を実行する(ステップS219)。
この後、未処理のバンドデータがあれば、印刷を終了できないので、この確認をし(ステップS220)、未処理のバンドデータがあれば(ステップS220-NO)、次のバンドデータの取得するステップS204から始まる制御フローを繰返し、未処理のバンドデータがなければ(ステップS220-YES)、この制御フローを終了する。
【0053】
上記実施形態に説明したように、インク粘性の上昇及び吐出チャンネル数の増加によって、予定した吐出周波数の動作において推定される損失電力量(熱を発生させる)が許容量を超えると判定される場合に、当該吐出周波数を低下させる制御を行い、熱の発生を抑えることができるので、熱に対する許容度の大きなデバイスを選定する必要がなく、また熱損失もある程度安定化できるため、ヒートシンクなどを必要以上に大きくする必要が無く、省電力化、駆動回路の小型化を可能にし、インクの粘性に応じた電圧、周波数にて適正な駆動制御を行える。
【符号の説明】
【0054】
10,10'・・制御部、13・・インク識別部、15・・駆動波形生成部、17・・レンダリング部、19・・吐出制御部、20,20'・・キャリッジ、21・・ピエゾアクチュエータ、23・・選択回路、25・・サブインクタンク、25'・・インクタンク、30・・インクカートリッジ、29・・ピエゾ駆動回路、41・・温度センサ、43・・粘性検出手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特許第3503656号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクタンクと、該インクタンクからインクの供給を受ける液室及び該液室を加圧する圧電体を駆動することにより液室からインク滴を吐出させる記録ヘッドと、インクの供給制御、圧電体を所定の吐出周波数で駆動する制御を含む記録動作に係る動作部を制御する制御手段を有したインクジェット記録装置であって、
使用するインクの粘性を判定するインク判定手段と、
記録用の画像データに基づいて定まる単位長さ当りの吐出数、前記インク判定手段で判定されたインクの粘性及び予め定められた吐出周波数に基づいて、前記吐出数分のインク滴を所定サイズで吐出させるときに生じる損失電力量を算出する損失電力量算出手段を備え、
前記制御手段は、算出した損失電力量が予め定めた許容範囲を超えたことを条件に、適用する吐出周波数を前記予め定められた吐出周波数より低減させる制御を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドは、直線状に並んだ複数のインク滴の吐出口を有し、
前記制御手段は、吐出周波数に同期するタイミングで、直線状に並んだ複数のインク滴の各吐出口に対し、その時点の記録用画像データによって各吐出口からの出力可又は出力不可を選択し、直線状に並んだ複数の吐出口のうち出力可を選択した吐出口のインク滴を共通の駆動電圧の印加によって吐出させる制御によって画像の記録動作を行わせ、
適用する吐出周波数を低減する際、前記予め定められた吐出周波数に同期するタイミングで行う選択動作に用いる画像データに出力不可を選択するダミーを挿入し、ダミーを挿入した画像データを低減後の吐出周波数に同期するタイミングで行う選択動作に用いるようにしたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドは、直線状に並んだ複数のインク滴の吐出口を有し、
前記制御手段は、吐出周波数に同期するタイミングで、直線状に並んだ複数のインク滴の各吐出口に対し、その時点の記録用画像データによって各吐出口からの出力可又は出力不可を選択し、直線状に並んだ複数の吐出口のうち出力可を選択した吐出口のインク滴を共通の駆動電圧の印加によって吐出させる制御によって画像の記録動作を行わせ、
適用する吐出周波数を低減する際、前記予め定められた吐出周波数に同期するタイミングで行う選択動作に用いる画像データのうち低減後の吐出周波数と同期しないタイミングの画像データを間引くためのデータとして出力不可を選択するデータで置換え、置換えた選択動作に用いる画像データを前記予め定められた吐出周波数に同期するタイミングで行う選択動作に用い、この選択動作を間引きデータの位置を変えて複数回行うことにより全体画像の記録を得るようにしたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載されたインクジェット記録装置において、
インクタンクから液室へのインクの供給を行うポンプを備え、
前記インク判定手段が、液室に所定量のインクを供給するポンプの駆動エネルギー量に基づいて粘性を判定することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載されたインクジェット記録装置において、
前記液室におけるインクの温度を検出する温度検出手段を備え、
前記インク判定手段が、前記温度検出手段で検出した温度に基づいて粘性を判定することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
インクタンクと、該インクタンクからインクの供給を受ける液室及び該液室を加圧する圧電体を駆動することにより液室からインク滴を吐出させる記録ヘッドを有し、該圧電体を所定の吐出周波数で駆動するインクジェット記録装置における圧電体の駆動制御方法であって、
使用するインクの粘性を判定するインク判定工程と、
記録用の画像データに基づいて定まる単位長さ当りの吐出数を得る吐出数取得工程と、
前記インク判定工程で判定されたインクの粘性を得る粘性取得工程と、
予め定められた吐出周波数の下で、前記粘性取得工程で得た粘性のインクを用いて前記吐出数取得工程で得た吐出数分のインク滴を所定サイズで吐出させるときに生じる損失電力量を算出する損失電力量算出工程と、
前記損失電力量算出工程で算出した損失電力量が予め定めた許容範囲を超えたか否かを判定する駆動状態判定工程と、
前記損失電力量算出工程で許容範囲を超えた場合に、適用する吐出周波数を前記予め定められた吐出周波数より低減させる制御を行う駆動制御工程と
を有することを特徴とする圧電体の駆動制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載された圧電体の駆動制御方法の各工程をコンピュータに行わせるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−179476(P2010−179476A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22424(P2009−22424)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】