説明

インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法

【課題】文字や細線、イメージデータなど、異なる属性を有する画像データによって記録される画像構成要素が混在した画像においても、画像構成要素に高い濃度を維持しつつ高い鮮明度を得ることができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像を構成する画像構成要素に対応した入力画像データの属性を判別すると共に、画像構成要素のエッジ部及び非エッジ部を検出する。また、画像構成要素に対応する入力画像データの属性に基づいて、エッジ部を記録するための記録データ及び非エッジ部を記録するための記録データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に対して記録を行うインクジェット記録装置は、高密度かつ高速な記録動作が可能であることから、各種装置の周辺機器として据え置き型のプリンタ、あるいは携帯型のプリンタ等として利用されている。
【0003】
一般にインクジェット記録装置は、複数の吐出口からインク滴を吐出させる記録ヘッド及びインクタンクを搭載するキャリッジと、記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、これらを制御するための制御手段とを具備する。そして、キャリッジに搭載された記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直交する走査方向に走査させながら記録ヘッドからインクを吐出させると共に、その走査と走査の間に記録媒体を記録幅に等しい量だけ搬送方向に搬送する。このような記録ヘッドの走査と記録媒体の搬送動作を交互に繰り返すことにより、記録媒体全体に対して画像を形成することが可能になる。
【0004】
このようなインクジェット記録装置では、高い鮮明性と高い濃度を有する画像を記録できることが求められる。そこで、画像のエッジ部と非エッジ部を検出し、これらエッジ部と非エッジ部とで最大記録デューティを異ならせることで、画像のエッジ部を鮮明にし且つ画像の非エッジ部の濃度を上げる技術が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−176158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示の方法では、文字やイメージ等の画像の属性によらず、画像のエッジ部・非エッジ部夫々の最大記録デューティが一律に定められている。このため、異なる属性の画像(文字、イメージ)に対して最適なエッジ・非エッジ処理を施すことができず、例えば、文字とイメージとでエッジ部に対する処理を変えることができない。より詳しくは、文字のエッジ部については鮮明性を高める処理を行う一方で、イメージのエッジ部については記録濃度を高める処理を行うようなことはできない。このように従来の技術では、画像データの属性に応じたエッジ・非エッジ処理を行っていないので、画像の属性に適した濃度と鮮明性を得るには不十分であった。
【0007】
本発明は、文字や線、イメージなどの画像属性に応じたエッジ・非エッジ処理を行うことにより、高い濃度と高い鮮明性を有する画像を得ることができるインクジェット記録装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明の第1の形態は、入力画像データに基づき生成された記録データに従って、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記画像を構成する画像構成要素に対応した入力画像データの属性を判別する判別手段と、前記画像構成要素をエッジ部または非エッジ部として検出する検出手段と、前記画像構成要素に対応する入力画像データの属性に基づいて、前記エッジ部を記録するための記録データ及び前記非エッジ部を記録するための記録データを生成する生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の形態は、入力画像データに基づき生成された記録データに従って、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、前記画像を構成する画像構成要素に対応した入力画像データの属性を判別する判別手段と、前記画像構成要素をエッジ部または非エッジ部として検出する検出手段と、前記エッジ部に隣接する画素に対応する非エッジ部データを、前記画像構成要素に対応する入力画像データの属性に応じた間引き率で間引く間引き手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力画像データの属性に応じたエッジ・非エッジ処理を行っているため、高い鮮明性と高い濃度を有する画像を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明に係るインクジェット記録装置の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態では、カラー画像を形成可能とするカラーインクジェット記録装置を例に採り説明する。但し、本発明は必ずしもカラー画像を形成するものに限らず、白黒画像を形成するものにも適用可能である。
【0012】
インクジェット記録装置の概要
図1は、本発明を適用可能なカラーインクジェット記録装置の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。インクタンク205〜208は、4色のインク(黒、シアン、マゼンタ、黄:K、C、M、Y)をそれぞれ収容しており、これら4色のインクを記録ヘッド201〜204に対して供給可能に構成されている。記録ヘッド201〜204は、4色のインクに対応して設けられ、インクタンク205〜208から供給されるインクを吐出できるように構成されている。
【0013】
搬送ローラ103は、補助ローラ104とともに記録媒体107を挟持しながら回転して記録媒体107を搬送するとともに、記録媒体(記録用紙)107を保持する役割も担っている。キャリッジ106は、インクタンク205〜208及び記録ヘッド201〜204を搭載可能であって、これら記録ヘッドおよびインクタンクを搭載しながらX方向に沿って往復移動可能に構成されている。このキャリッジ106の往復移動中に記録ヘッドからインクが吐出され、これにより記録媒体に画像が記録される。記録ヘッド201〜204の回復動作時等の非記録動作時には、このキャリッジ106は図中の点線で示したホームポジション位置hに待機するように制御される。
【0014】
記録開始前にキャリッジ106と共に図1に示すホームポジションhに位置する記録ヘッド201〜204は、記録開始命令が入力されると、図中のX方向に移動しつつ、インクを吐出して記録媒体107上に画像を記録する。この記録ヘッドの1回の移動によって、記録ヘッド201の吐出口の配列範囲に対応した幅を有する領域に対して記録が行われる。キャリッジ106の主走査方向(X)への1回の移動に伴う記録が終了すると、キャリッジ106はホームポジションhに戻り、再び図中のX方向へ走査しながら記録ヘッド201〜204で記録を行う。記録走査が終了してから、続く記録走査が始まる前には搬送ローラ103が回転して、図中のY方向へと記録媒体が搬送される。このように記録ヘッドの記録走査と記録媒体の搬送とを繰り返すことにより記録媒体107上への記録が完成する。記録ヘッド201〜204からインクを吐出する記録動作は、後述の制御手段による制御に基づいて行われる。
【0015】
なお、上記の例では、記録ヘッドが往路方向に走査する時にのみ記録動作を行う、いわゆる片方向記録を行う場合を示した。しかし、記録ヘッドが往路と復路の双方において記録動作を行う、いわゆる双方向記録を行うものにも本発明は適用可能である。また、上記の例では、インクタンク205〜208と記録ヘッド201〜204とを分離可能にキャリッジ106に搭載する構成を示した。しかし、インクタンク205〜208と記録ヘッド201〜204とが一体になったカートリッジを用いることも可能である。さらに、一つの記録ヘッドから複数色のインクを吐出可能な複数色一体型の記録ヘッドを用いてもよい。
【0016】
また、前述の回復動作を行う位置には、記録ヘッドの吐出口面をキャップするキャッピング手段(不図示)やキャッピング状態で記録ヘッド内の増粘インクや気泡を除去するための吸引動作を行う吸引手段(不図示)が設けられている。
【0017】
さらにまた、キャッピング手段の側方には、クリーニングブレード(不図示)等が記録ヘッドの吐出口面を払拭可能なように設けられている。吸引動作後にクリーニングブレードを記録ヘッドの移動経路中に突出させ、記録ヘッドを移動させることによって記録ヘッドの吐出口面に付着している不要なインクや汚れ等を払拭することができる。
【0018】
記録ヘッドの概要
次に、上述した記録ヘッド201〜204の1つの記録ヘッド201について図2A及び図2Bを参照して説明する。他の記録ヘッド202〜204についても記録ヘッド201と基本的に同一の構成となっている。
図2Aは、図1に示した記録ヘッド201の要部斜視図である。図2Aにおいて、記録ヘッド201には、所定のピッチで配列された複数の吐出口300が形成されている。共通液室301と各吐出口300とを連結する各液路302の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギーを発生するための記録素子303が配設されている。記録素子303とその駆動回路はシリコン上に半導体製造技術を利用して作られている。
【0019】
また、温度センサ(不図示)、サブヒータ(不図示)も同一シリコン上に半導体製造プロセスと同様のプロセスで一括して形成される。これらの電気的な配線が作られたシリコン基板308を放熱用のアルミベース基板307に接着している。また、シリコン基板308上の回路接続部311とプリント基板309とは超極細配線310により接続され、カラーインクジェット記録装置(以下、プリンタともいう)からの記録信号は信号回路312を通して受け取られる。
【0020】
共通液室301は、ジョイントパイプ304およびインクフィルター305を介して、前述したインクタンク205(図1参照)に連結されている。従って、共通液室301にはインクタンク205から、たとえば黒インクが供給される構成となっている。インクタンク205から共通液室301に供給されて一時的に貯えられたインクは、毛細管現象により液路302に侵入し、吐出口300でメニスカスを形成して液路302を満たす。このとき、電極(不図示)を介して記録素子303が通電されて発熱すると、記録素子303の周囲のインクが急激に加熱されて液路302内に気泡が発生し、この気泡の膨張により吐出口300から黒インク滴313が吐出される。なお、その他の記録ヘッド202〜204も、記録ヘッド201と同様にインクを吐出する。
【0021】
また、図2Bは、上記各記録ヘッドの吐出口面における吐出口の配列を模式的に示す図である。図示のように、本実施形態における各記録ヘッド201〜204に示すように、同一色のインクを吐出する吐出口列が複数列(本実施形態では2列)設けられている。すなわち、記録ヘッド201には吐出口列202−1、202−2が設けられ、記録ヘッド202には吐出口列202−1、202−2が設けられている。さらに、記録ヘッド203には吐出口列203−1、203−2が設けられ、記録ヘッド204には、吐出口列204−1、204−2が設けられている。
【0022】
制御系の概要
次に、図1及び図2A及び図2Bに示したカラーインクジェット記録装置の記録制御系回路の概略構成を図3に示すブロック図を参照して説明する。図3において、400は記録信号や記録に関連する制御信号を入力するインターフェ−ス、401はMPU(Micro Processing Unit)である。また、402はMPU401が実行する制御プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)である。403は各種データ(記録ヘッド201〜204に供給される記録信号や記録のための制御信号等)を保存しておくダイナミック型のRAM(Dynamic Random Access Memory (DRAM))である。RAM403には、記録ドット数や記録ヘッド201〜204の交換回数等も記憶が可能である。404は記録ヘッド201〜204に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイであり、インターフェース400、MPU401、DRAM403間のデータの転送制御も行う。以上が記録制御部500を構成している。
【0023】
また、406は、記録ヘッド201〜204を搭載するキャリッジ106を往復移動させるためのキャリッジモータである。405は、記録媒体107の搬送のために搬送ローラ103を回転させるための搬送モータである。408、407は、搬送モータ405、キャリッジモータ406をそれぞれ駆動するためのモータドライバである。409は記録ヘッド201〜204を駆動するヘッドドライバであり、記録ヘッドの数に対応して複数設けられている。また、410はヘッド種別信号発生回路であり、キャリッジ106に相当するヘッド部501に搭載されている記録ヘッド201〜204の種類や数を示す信号をMPUに与える。
【0024】
次に、以上の構成において実行される記録データの生成処理を説明する。
第1の実施形態においては、文字、線、イメージといった画像の属性情報(オブジェクト情報)に基づき、オブジェクト毎に画像のエッジ部及び非エッジ部を検出する。そして、各オブジェクト毎にエッジ部及び非エッジ部の最大記録デューティを変える処理を行う。これにより、精細性と濃度の観点から各オブジェクトに対して最適な記録を行うことが可能になっている。なお、ここでいう記録デューティとは、複数のドット形成エリア全てに1つずつドットが形成された場合を100%の記録デューティとする。従って、例えば、全てのエリアのうち1/2のエリアそれぞれに1つのドットが形成されている場合は、50%デューティとなる。また、全てのエリアに2つのドットが形成されている場合は200%デューティとなる。
【0025】
また、本実施形態においては、同一色のインク(たとえば黒インク)を吐出するための記録データは、2つの吐出口列201−1、201−2それぞれに対応した記録データに分割される。例えば、吐出口列201−1用の記録データおよび吐出口列201−2用の記録データに分割される。そして、これら分割記録データ夫々に基づいて2つの吐出口列201−1、201−2により上記同一色のインクが吐出される。これにより、両吐出口列によって吐出されたインクのドットによって上記同一色の画像が形成される。
【0026】
図4は、この第1の実施形態において、入力画像データをインクジェット記録装置にて記録可能な記録データへと変換するデータ変換処理を示す機能ブロック図である。図4に示すプリンタ1210は、図3に示した概略構成における記録制御部500に略相当する。また、図4に示すホストコンピュータ(以下、ホストPC)1200は、図3のインターフェース400を介してプリンタ1210と以下で説明するデータなどの授受を行う。
【0027】
ホストPC1200では、まず、アプリケーションから受け取った入力RGBデータ(入力画像データ)1000を600dpiの解像度でレンダリング処理1001を行う。これによって、多値(本実施形態では、256値)の記録用多値RGBデータ1002が生成される。一方、入力RGBデータ1000に基づき、記録すべき画像内に含まれる複数種の画像構成要素である文字/線のオブジェクト及びイメージ(ビットマップデータ等)のオブジェクトの判別処理1003を行う。続いて文字/線のオブジェクトデータ1004及びイメージのオブジェクトデータ1005それぞれに対してレンダリング処理1006、1007を行う。これにより、解像度600dpiの2値の文字/線のオブジェクトデータ1008(文字と線のオブジェクトデータを合成したデータ)及び2値のイメージのオブジェクトデータ1009が生成される。生成された多値RGBデータ1002と2値の各オブジェクトデータ1008、1009はプリンタ1210に転送される。このとき、全ての画像データは、文字、線、イメージのオブジェクトのいずれか一つに必ず属している。
【0028】
プリンタ1210では、多値RGBデータ1002から多値のKCMYデータ1011への変換処理1010を行う。変換されたKCMYデータ1011は所定の量子化方法で量子化処理1012が施される。本実施形態では、誤差拡散法によって解像度600dpiの5値のデータに量子化される。量子化された5値のKCMYデータは、インデックス展開処理1013によって、各記録ヘッドによって記録可能な1200dpiの2値のKCMYデータ1014にインデックス展開される。このインデックス展開処理1013は、5値のKCMYデータそれぞれの値に対応してマトリックス形態のドット配列データを用い、5値データの値に応じてドットマトリクスパターンを出力するものである。本実施形態では、5値データが2×2のドットマトリクスに展開される。
一方、文字/線データ1004及びイメージデータ1005は、プリンタ1210の解像度との整合をとるためにボールド処理1015、1016が行われ、文字/線ボールドデータ1017、イメージボールドデータ1018が生成される。本実施形態では、600dpiの画像データをプリンタの解像度である1200dpiに整合させるべくボールド処理を行う。
【0029】
最後に、インデックス展開された2値のKCMYデータ1014と、文字/線ボールドデータ1017、イメージボールドデータ1018に基づいて、後に詳述するオブジェクト別データ処理1019が行われる。
なお、この第1の実施形態では、画像データ処理をホストPC1200とプリンタ1210とで分担する構成としたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、プリンタ1210において図4に示した処理の全てを実行するようにしてもよい。要は、ホスト1200とプリンタ1210とで構成されるインクジェット記録システムにおいて、上記画像データ処理を実行できればよい。
【0030】
図5は、この第1の実施形態において実施されるオブジェクトデータ処理の全体を表す機能ブロック図であり、図6は図5に示すオブジェクトデータ処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の説明では黒色インク用の2つの記録ヘッド201−1、201−2を用いて記録を行う場合について説明する。
図5および図6において、まず、記録データに基づいて画像に含まれる各画像構成要素(オブジェクト)のエッジ部及び非エッジ部の検出処理2000を行う(S101)。この後、オブジェクト別にエッジ部及び非エッジ部の記録データ生成処理2001を行う(S102)。次に、文字/線ボールドデータ1017、イメージボールドデータ1018を用いて文字/線エッジ部データ2002、イメージエッジ部データ2003、文字/線非エッジ部データ2004、及びイメージ非エッジ部データ2005を生成する。
【0031】
続いて、文字/線エッジ部データ2002に対して、第1のエッジマスク2006及び第2のエッジマスク2009の2つのマスクによって間引き処理を行う(S103)。これによって、第1のエッジ部間引きデータ2007と第2のエッジ部間引きデータ2008を生成する。同様にイメージエッジ部データ2003に対して、第3のエッジマスク2010及び第4のエッジマスク2013の2つのマスクによって間引き処理を行う(S104)。これによって、第3のエッジ部間引きデータ2011と第4のエッジ部間引きデータ2012を生成する。
【0032】
次に文字/線非エッジ部データ2004に対して、第1の非エッジマスク2014及び第2の非エッジマスク2017の2つのマスクによって間引き処理を行う(S105)。これによって、第1の非エッジ部間引きデータ2015と第2の非エッジ部間引きデータ2016を生成する。同様にイメージ非エッジ部データ2005に対して、第3の非エッジマスク2018及び第4の非エッジマスク2021の2つのマスクによって間引き処理を行う(S106)。これによって、第3の非エッジ部間引きデータ2019と第4の非エッジ部間引きデータ2020を生成する。
【0033】
次に、第1のエッジ部間引きデータ2007と第3のエッジ部間引きデータ2011、及び第1の非エッジ部間引きデータ2015と第3の非エッジ部間引きデータ2019を合成(論理和)する。これにより、図11Mに示すような記録ヘッド201−1用合成データ2022を生成する(S107)。同様に、第2のエッジ部間引きデータ2008と第4のエッジ部間引きデータ2012、及び第2の非エッジ部間引きデータ2016と第4の非エッジ部間引きデータ2020を合成(論理和)する。これにより、図11Nに示すような記録ヘッド201−2用合成データ(2023)を生成する(S108)。この後、記録ヘッド201−1用合成データ(2022)を記録ヘッド201−1(2024)へ転送し、記録ヘッド201−2用の合成データ(2023)を記録ヘッド201−2(2025)へ転送し、各々の記録ヘッドで記録を行う。
【0034】
図7は、図5の2000および図6のS101において実施される記録データの非エッジ部の検出処理を示すフローチャートである。記録データの着目する画素(以下、着目画素という)に黒ドットが存在し、かつ、その着目画素を中心とする3×3のマトリクス(図8A参照)内の黒ドットの数(以下、総黒ドット数という)が9であるか否かを判定する(S201)。総黒ドット数が9の場合は着目画素のビットをオン(黒)にする(S202)。総ドット数が9でない場合には、着目画素のビットをオフ(白)にする(S203)。続いて、記録データの着目画素を1画素分シフトさせる(S204)。この動作を繰り返し行い、全ての記録データの画素についての検出処理が終了したか否かの判断を行い(S205)、終了した場合には、記録データの非エッジ部の検出処理を終了(S206)とし、終了していなければ上記処理を繰り返す。
【0035】
図8A−図8Dは、上記の非エッジ部の検出処理を模式的に表した図である。図8Aは、着目画素を中心とした3×3のマトリクスで画像データを表している。図8Bはオリジナル画像データ(入力画像データ)である。オリジナル画像データに対して3×3マトリクスを順次1画素ずつシフトさせながら非エッジ部の検出処理を行う。マトリクス内の総黒ドット数が9の場合に着目画素のビットをオン(黒)にしていくと、図8Cに表すように非エッジ部データが生成される。
【0036】
なお、上記のようにして生成した非エッジ部データをオリジナル記録データから差し引く、または非エッジ部データとオリジナル記録データの排他的論理和(EX−OR)をとることで図8Dに表すようにエッジ部データを生成することができる。ここでは、エッジ部を輪郭の1画素とし、非エッジ部を輪郭の1画素以外の領域として検出したが、これに限定されるものでなくエッジ部を複数の画素として検出してもよい。
【0037】
図9は、この第1の実施形態における記録データのオブジェクト別エッジ部及び非エッジ部データ生成処理(図5の2001、図6のS102)の手順を示すフローチャートである。ここでは、まず、文字/線ボールドデータ1017とエッジ部及び非エッジ部検出処理2000で生成したエッジ部データとに基づき、文字/線エッジ部データ2002を生成する(S301)。次にイメージボールドデータ1018とエッジ部データとに基づき、イメージエッジ部データ2003を生成する(S302)。同様に文字/線ボールドデータ1012とエッジ部及び非エッジ部検出処理2000で生成した非エッジ部データから文字/線非エッジ部データ2004を生成する(S303)。最後に、イメージボールドデータ1013と非エッジ部データからイメージ非エッジ部データ(2005)を生成し(S304)、これにより図9のフローチャートに示される処理を終了する。
【0038】
図10A−図10Hは、図9におけるオブジェクト別エッジ部及び非エッジ部データ生成処理の例を模式的に示した図である。図10において、(a)は文字/線ボールドデータ1017を、(b)はイメージボールドデータ1018をそれぞれ示している。また、図10Cはエッジ部データを、(d)は非エッジ部データをそれぞれ示している。
【0039】
図10Aに示す文字/線ボールドデータと、図10Cに示すエッジ部データとの論理積をとる。これにより、図10Cに示すエッジデータの中からイメージのエッジ部データが消去され、図10Eに示すような文字/線エッジ部データ2002が生成される。次に、図10Bのイメージボールドデータと図10Cのエッジ部データとの論理積をとる。これにより、図10Cに示すエッジデータの中から文字/線のエッジ部データが消去され、図10Fに示すようなイメージエッジ部データ2003が生成される。
【0040】
次に、図10Aに示す文字/線ボールドデータと図10Dの非エッジ部データとの論理積をとる。これにより、図10Dに示すデータの中からイメージのデータが消去され、図10Gに示す文字/線非エッジ部データ2004が生成される。次に、図10Bに示すイメージボールドデータと図10Dに示す非エッジ部データとの論理積をとる。これにより、図10Dに示す非エッジ部データの中から文字/線のエッジデータが消去され、図10Hに示すイメージ非エッジ部データ2005が生成される。
【0041】
図11A−11Nは、本実施形態におけるエッジ部データ及び非エッジ部データの間引き処理(図6のS103〜S106)、および、各記録ヘッド用データ生成処理(図6のS107〜S108)を模式的に示す図である。図11Aの文字/線エッジ部データ2002と記録可能率50%(間引き率50%)の第1のエッジマスク2006との論理積をとることで図11Bに示す第1のエッジ部間引きデータが生成される。ここで、第1のエッジマスク2006は2×2の画素からなるマトリクスを単位とし、記録データに対して繰り返し論理積をとるものとする。
【0042】
ここで、間引きマスクの記録可能率および間引き率について説明する。図11に示される通り、間引きマスク2006、2009、2010、2013、2014、2017、2018、2021は、黒で示される記録許容画素と白で示される非記録許容画素とで構成される。「記録許容画素」とは、インクの吐出(ドットの記録)を許容する画素のことであり、「非記録許容画素」とは、ドットの記録を許容しない画素のことである。また、間引きマスクの「記録可能率」とは、間引きマスクを構成する記録許容画素と非記録許容画素の総数(全画素数)に対する記録許容画素の数の割合を百分率で表したものである。一方、マスクの「間引き率」とは、2値データを間引くことが可能な割合を指し、「100−記録可能率(%)」で表される。
【0043】
次に、文字/線エッジ部データと記録可能率50%の第2のエッジマスク2006との論理積をとることで図11Cに示す第2のエッジ部間引きデータ2008を生成する。ここで第1のエッジマスク2006と第2のエッジマスク2009とは補完関係になっており、両マスクによって得られた記録データにより形成される文字/線エッジ部の記録デューティは、最大で50%×2=100%となる。
【0044】
また、図11Dに示すイメージエッジ部データ2003と、記録可能率75%(間引き率25%)の第3のエッジマスク2010との論理積をとることで図11Eに示す第3のエッジ部間引きデータ2011を生成する。同様に、図11Dに示すイメージエッジ部データ2003と、記録可能率75%(間引き率25%)の第4のエッジマスク2013との論理積をとることで図11Fの第4のエッジ部間引きデータ2012を生成する。ここで、第3のエッジマスク2010と、第4のエッジマスク2013は、いずれも2×2のマトリクスの左上と右下の画素においてドットを記録可能としている。従って、第3のイメージエッジ部データ2012と第4のエッジ部間引きデータ2012とで記録されるイメージエッジ部の記録デューティは、最大で75%×2=150%となる。
【0045】
また、図11Gの文字/線非エッジ部データ2004と記録可能率75%(間引き率25%)の第1の非エッジマスク2014との論理積をとることで、図11Hに示す第1の非エッジ部間引きデータ2015を生成する。同様に、文字/線非エッジ部データ2004と第2の非エッジマスク2017との論理積をとることで、図11Iに示す第2の非エッジ部間引きデータ2016を生成する。ここで、第1の非エッジマスク2014と、第2の非エッジマスク2017は、いずれも2×2のマトリクスの右上と左下の画素においてドットを記録可能としている。従って、第1の非エッジ部間引きデータ2015と第2の非エッジ部間引きデータ2016によって形成される文字/線非エッジ部のデューティは、最大で75%×2=150%となる。
【0046】
さらに、図11Jのイメージ非エッジ部データ2005と記録可能率75%(間引き率25%)の第3の非エッジマスク2018との論理積をとることで、図11Kに示す第3の非エッジ部間引きデータ2019を生成する。同様に、イメージ非エッジ部データ2005と第4の非エッジマスク2021との論理積をとることで、図11Lに示す第2の非エッジ部間引きデータ2020を生成する。ここで、第1の非エッジマスク2018と、第2の非エッジマスク2021は、いずれも2×2のマトリクスの右上と左下の画素においてドットを記録可能としている。従って、第1の非エッジ部間引きデータ2019と第2の非エッジ部間引きデータ2020によって形成される文字/線非エッジ部のデューティは、最大で75%×2=150%となる。
【0047】
次に、第1のエッジ部間引きデータ2007と、第3のエッジ部間引きデータ2011と、第1の非エッジ部間引きデータ2015と、第3の非エッジ部間引きデータ2019との論理和をとることで、記録ヘッド201-1用の合成データ2022を生成する。また、第2のエッジ部間引きデータ2008と、第4のエッジ部間引きデータ2012と、第2の非エッジ部間引きデータ2016と、第4の非エッジ部間引きデータ2020との論理和をとることで、記録ヘッド201-2用の合成データ2023を生成する。
【0048】
そして、合成データ2022は記録ヘッド201−1に転送され、合成データ2023は記録ヘッド201−2に転送される。これにより、文字/線エッジ部の記録デューティは最大100%となり、イメージエッジ部の記録デューティは最大150%となる。一方、文字/線非エッジ部の記録デューティは最大150%、イメージ非エッジ部の記録デューティは最大150%となる。その結果、文字や線においてはエッジ部の記録デューティが適正に抑えられるため、インクを吐出し過ぎることによる文字のつぶれや滲みは低減され、高精細な文字、線画像が得られる。また、比較的大きい文字や線においては、記録デューティの高い非エッジ部の割合が多くなるため、エッジ部の濃度を抑えて滲みを抑えつつ、濃度の高い文字や線を形成することができる。さらに、イメージ画像等については、エッジ部、非エッジ部に関わらず、最大150パーセントの記録デューティで記録が行われるため、高い濃度で高品質な画像を形成することができる。
【0049】
以上説明した第1の実施形態によれば、オブジェクト毎にエッジ部と非エッジ部を検出し、オブジェクト別にエッジ部と非エッジ部の最大記録デューティを変える処理を行う。こうすることで、精細性を維持しつつ、濃度の高い高品位な画像を記録することが可能になる。
【0050】
なお、以上説明した第1の実施形態においては、文字及び線のオブジェクトを同様に取り扱っているが、必要に応じて文字と線とを別々のオブジェクトとみなし、それぞれに異なる処理を施すようにしても良い。また、第1の実施形態においては、文字/線エッジ部の記録デューティを最大100%、それ以外の部分の記録デューティを最大150%に設定しているが、この最大記録デューティの値はこれに限られるものではない。最大記録デューティは、インク種やメディア種によって最適な値に設定することが好ましい。また、記録物の用途によっても、要求される文字/線の鮮鋭性及び記録濃度は異なる。従って、記録物の用途などに応じて、オブジェクト毎にエッジ部/非エッジ部のデューティを最適な値に設定することが好ましい。
【0051】
さらに、第1の実施形態では、エッジ部よりも非エッジ部の最大記録デューティを高く設定しているが、これに限られるものではない。文字/細線の鮮鋭性を維持しつつ、定着性を重視したい場合には、エッジ部よりも非エッジ部の最大記録デューティを低く設定するようにしても良い。
【0052】
また、上記第1の実施形態では、黒の単色を記録する場合を例に採り説明したが、各色のデータ(例えば、シアン、マゼンタ、黄)についても同様の処理を行い、カラー画像を記録することも可能である。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。上記第1の実施形態では、入力画像データに含まれるオブジェクト(属性情報)毎にエッジ部及び非エッジ部を検出するものとした。これに対し、第2の実施形態では、所定のRGB値を有する画素からなる画像と、それ以外の画素からなる画像とで、それぞれ、エッジ部および非エッジ部を検出し、これらエッジ部及び非エッジ部の最大記録デューティを変える処理を行う。これにより、精細性と濃度の観点から最適な記録を行うことが可能になる。
【0054】
本実施形態によれば、文字や線、イメージといった画像の属性情報(オブジェクト情報)を得ることができない場合においても、画素のRGB値を指定して処理を変更することにより、指定した色の画像のエッジ部とそれ以外の部分とで濃度を制御することが可能になる。なお、この第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、図1ないし図4に示す構成を備える。
【0055】
図12は、この第2の実施形態において、入力画像データを、インクジェット記録装置にて記録動作を実行させるための記録データへと変換するデータ変換処理を示す機能ブロック図である。
ホストPC1200において、アプリケーションから受け取った入力RGBデータ(入力画像データ)1000を600dpiの解像度でレンダリング処理1001する。これによって、多値(本実施形態では、256値)の記録用多値RGBデータ1002が生成される。生成された多値RGBデータ1002はプリンタ1210に転送される。
プリンタ1210では、多値RGBデータから多値のKCMYデータへの色変換処理1010を行う。変換されたKCMYデータ1011は所定の量子化方法で量子化処理1012が施される。本実施形態では、誤差拡散法によって解像度600dpiの5値に量子化される。量子化されたKCMYデータはインデックス展開1013され、記録ヘッドによって記録可能な1200dpiの2値データ1014が生成される。
【0056】
一方、プリンタ1210において、記録用多値RGBデータ1002に対して指定RGB値の検出処理を行い、指定RGB値データ1501及び指定RGB値以外のデータ1504を生成する。指定RGB値データ1501は、プリンタ1210の解像度と整合をとるためにボールド処理1015が施され、指定RGB値ボールドデータ1503が生成される。このボールド処理は、600dpiを1200dpiに合わせるべくボールド処理される。同様に指定RGB値データ以外のデータ1504は記録データの解像度と整合をとるためにボールド処理1016が行われ、指定RGB以外のボールドデータ1506が生成される。最後に、インデックス展開された2値データ1014、指定RGBボールドデータ1503、及び指定RGB以外のボールドデータ1506に基づいて指定RGB値データの処理1507が行われる。
【0057】
図13は、本発明の第2の実施形態における記録データの指定RGB値検出処理1500において実施される検出処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、指定R,G,B値として、R,G,B=(0,0,0)の画素(黒色の画素)の検出処理を例に採り説明する。なお、R=G=B=0の画素は黒文字を構成する画素であるが多く、R=G=B=0の画素を検出することで、イメージ内に存在する黒文字を検出することができる。
まず、記録データの中で、着目画素がR,G,B=(0,0,0)であるか否かを判定する(S401)。R,G,Bが(0,0,0)の場合は、着目画素のビットをオン(黒)にする(S402)。また、R,G,Bが(0,0,0)でない場合には、着目画素のビットをオフ(白)にする(S403)。続いて、記録データの着目画素を1画素分シフトさせる(S404)。この動作を繰り返し行い、全ての記録データの画素についての検出処理が終了すれば、記録データの指定RGB値の検出処理を終了し(S405)、終了していなければ上記処理S401〜S404を繰り返す。
【0058】
このようにして指定RGBデータを生成した後は、指定RGBデータ1501を反転し、指定RGB以外のデータ1504を生成する。
【0059】
なお、この第2の実施形態では、画像データ処理をホストPC1200とプリンタ1210とで分担する構成としたが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、プリントシステムの態様に応じて最適な分担を行えば良い。
図14は、この第2の実施形態において実施される指定RGB値データ処理1507の全体を表す機能ブロック図、図15は、第2の実施形態におけるデータ生成の処理の手順を示すフロー図である。
【0060】
図14および図15の処理は、上記第1の実施形態における文字/線ボールドデータ1017及びイメージボールドデータ1018の代わりに、指定RGBボールドデータ1503及び指定RGB以外のボールドデータ1506を用いて処理を行うものである。それ以外の基本的な処理は上記第1の実施形態と同様である。すなわち、指定RGB値画像とそれ以外の画像の夫々についてエッジ部及び非エッジ部を検出する(S501,502)。次いで、指定RGB値画像のエッジ部データを間引くための間引きマスク3006、3009を用いて、指定RGB値画像のエッジ部データ3002の間引き処理を行う(S503)。次いで、指定RGB値以外の画像のエッジ部データを間引くための間引きマスク3010、3013を用いて、指定RGB値以外の画像のエッジ部データ3003の間引き処理を行う(S504)。次いで、指定RGB値画像の非エッジ部データを間引くための間引きマスク3014、3017を用いて、指定RGB値画像の非エッジ部データ3004の間引き処理を行う(S505)。次いで、指定RGB値以外の画像の非エッジ部データを間引くための間引きマスク3018、3021を用いて、指定RGB値以外の画像の非エッジ部データ3005の間引き処理を行う(S506)。なお、図14に示す間引きマスク3006、3009は、図11B,11Cのエッジマスク2006、2009と同様、記録可能率50%(間引き率50%)の間引きマスクとなっている。また、図14に示す他の間引きマスク3010、3013、3014、3017、3018、3021は、それぞれ、図11E,11F,11H,11I,11K,11Lに示すエッジマスク2010、2013、2014、2017、2018、2021と同一であり、それぞれ記録可能率75%(間引き率25%)となっている。そして、間引きマスクで間引かれた記録データのうち、記録データ3007、3011、3015、3019は合成されて記録ヘッド201−1に、記録データ3008、3012、3016、3020は合成されて記録ヘッド201−2にそれぞれ転送される。
【0061】
これにより、指定RGB値画像のエッジ部の記録デューティが最大100%、それ以外の画像のエッジ部の記録デューティが最大150%となる。また、指定RGB値画像の非エッジ部の記録デューティが最大150%となり、指定RGB値画像以外の非エッジ部の記録デューティが最大150%となる。その結果、指定RGB値画像においてはエッジ部の記録デューティが適正に抑えられ、指定RGB値画像のエッジ部のつぶれや滲みを抑えつつ、非エッジ部の濃度を高めて鮮明な画像を形成することが可能になる。また、指定RGB値画像以外の画像については、エッジ部、非エッジ部に関わらず、最大150%の記録デューティで記録が行われるため、高い濃度で高品質な画像を形成することができる。
【0062】
以上説明したように、この第2の実施形態によれば、指定したRGB値画像とそれ以外の画像のそれぞれにおいてエッジ部と非エッジ部を検出し、エッジ部と非エッジ部との最大記録デューティを変えて記録を行うことが可能になる。その結果、ビットマップ画像データ等のようなオブジェクト情報が得られない入力画像データにおいても、画像に埋め込まれた黒文字等のデータの濃度を選択的に制御することができ、黒文字の精細性を維持しつつ、濃度の高い高品位な記録が可能となる。
【0063】
なお、上記第1の実施形態においては、指定RGB値として、R,G,B=(0,0,0)を指定しているが、その他の値あるいは範囲を指定しても良い。例えば、R,G,B=(0,0,0)〜R,G,B=(32,32,32)といった範囲のRGB値を有する画像を指定RGB値画像とし、指定RGB値画像と他の画像とで最大記録デューティを異ならせても良い。
【0064】
また、第2の実施形態では、黒の単色の記録を行う場合を例に採り説明したが、他の色(例えば、シアン、マゼンタ、黄)の記録データについても同様の処理を行うことが可能であり、黒色の画像を記録する場合と同様の効果を期待できる。
【0065】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
本発明の第3の実施形態は、文字のオブジェクト情報及び指定RGBデータに基づき、周辺の黒及びカラー画像のデータを間引く処理を行う。これにより文字や指定したRGB値の画像を構成するインクと、周辺の背景を構成するインクとの境界で発生するブリーディング(滲み)を抑制する。
図16は、この第3の実施形態において、入力画像データをインクジェット記録装置によって記録可能な記録データへと変換するデータ変換処理を示す機能ブロック図である。ホストPC1200において、アプリケーションから受け取った入力RGBデータ1000に対し、600dpiの解像度でレンダリング処理1001を行う。これによって、多値(本実施形態では、256値)の記録用多値RGBデータ1002が生成される。また、入力RGBデータ1000に基き、オブジェクトの判別処理1003を行う。判別処理1003により文字として判別された文字データに対してレンダリング処理1006を行う。これより、解像度600dpiの2値の文字データ1008が生成される。こうして生成された多値RGBデータ1002と2値の文字データ1008はプリンタ1210に転送される。
【0066】
プリンタ1210では、多値RGBデータから多値のKCMYデータ1011への変換処理1010を行う。変換されたKCMYデータ1011は所定の量子化方法で量子化処理1012が施される。本実施形態では、誤差拡散法によって解像度600dpiの5値に量子化される。量子化されたKCMYデータは、インデックス展開処理1013によって、各記録ヘッドによって記録可能な1200dpiの2値KCMYデータ1014にインデックス展開される。このインデックス展開処理1013は、5値のそれぞれの値に対応してマトリックス形態のドット配列データを用い、5値データの値に応じてドットマトリクスパターンを出力するものである。本実施形態では、5値データが2×2のドットマトリクスに展開される。
【0067】
一方、2値の文字データ1008は、プリンタ1210の解像度との整合をとるためにボールド処理1015が行われ、文字ボールドデータ1017が生成される。本実施形態では、600dpiを1200dpiに合わせるべくボールド処理を行う。
【0068】
また、プリンタ1210では、上記第2の実施形態と同様に、記録用多値RGBデータ1002に対して指定RGB値の検出処理を行い、指定RGBデータ1501を生成する。指定RGBデータ1501は、プリンタ1210の解像度と整合をとるためにボールド処理1016が施され、指定RGBボールドデータ1503が生成される。最後に、インデックス展開された2値のKCMYデータ1014と、文字ボールドデータ1017及び指定RGBボールドデータ1503とに基づいて境界間引き処理1020が行われる。
【0069】
図17は、第3の実施形態において実施される記録データの指定RGB値検出処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、指定R,G,B値として、R,G,B=(0,0,0)の画素(黒色の画素)の検出処理を例に採り説明する。
【0070】
まず、記録データの中で、着目画素データのR,G,B値が(0,0,0)であり、かつその画素の文字データの値が0(オフ)であるか否かを判定する(S601)。着目画素のR,G,B値が(0,0,0)で、文字データの値が0でない場合は、着目画素のビットをオン(黒)にする(S602)。そうでない場合には、着目画素のビットをオフ(白)にする(S603)。続いて、記録データの着目画素を1画素分シフトさせる(S604)。この動作を繰り返し行い、全ての記録データの画素についての検出処理が終了すれば、記録データの指定RGB値の検出処理を終了し(S605)、終了していなければ上記処理を繰り返す。S602において文字属性のデータが0になっている場合にのみ着目画素のビットをオンにしている。これによって、1つの画素に対して文字データと指定RGBデータとが重複してオンになることがなくなる。その結果、その後の処理で重複して間引き処理を行わずに済む。
【0071】
図18はこの第3の実施形態において実施される境界間引き処理の手順を示すフローチャート図である。また、図19A〜図19Mは、境界間引き処理の各工程において生成される画像データを示す図である。なお、以下の説明では、図示及び説明の簡略化のため、図19A、図19Bに示すような単純な画像を、文字または指定RGB値画像のデータとして表している。ここで、図19Aは黒色の画像データ(Kデータ)を、図19Bはイエローの画像データ(Yデータ)をそれぞれ示しており、このようにKデータとYデータが隣接している場合の境界部に対する間引き処理を例に採って説明する。
【0072】
本処理が起動されると(S700)、まず、図19Cに示す文字ボールドデータ1017の反転処理を行い、図19Eに示す文字反転データを生成する(S701)。
同様に図19Dに示す指定RGBボールドデータ1503の反転処理を行い、図19Fに示す指定RGB反転データを生成する(S702)。
【0073】
次に、図19Cに示す文字ボールドデータ1017を隣接8近傍画素に拡張し、図19Gに示す文字拡張データを生成する(S703)。同様に図19Dの指定RGBボールドデータ1503を隣接8近傍画素に拡張し、図19Hに示す指定RGB拡張データを生成する(S704)。
【0074】
次に図19Eに示す文字反転データと、図19Gに示す文字拡張データとの論理積をとり、図19Iに示す文字間引きデータを生成する(S705)。同様に図19Fに示す指定RGB反転データと、図19Hに示す指定RGB拡張データとの論理積をとり、図19Jに示す指定RGB間引きデータ(S706)を生成する。
【0075】
続いて、図19Iに示す文字間引きデータと、図19Jの指定RGB間引きデータとの論理和をとり、図19Kに示す合成間引きデータを生成する(S707)。この後、図19Kに示す合成間引きデータを反転したデータと、図19Bに示すYデータとの論理積をとることにより、記録すべきイエロー画像のデータとして、図19Lに示すY処理後データが得られ、以上により処理を終了する。このY処理後データは、図19Bに示すY画像データのうち、図19Aに示す文字及び指定RGBデータに隣接する8近傍に位置する画素が、100%の間引き率で間引かれた画像データとなる。換言すれば、境界間引き処理が行われた画像データとなる。すなわち、図19Aに示す文字及び指定RGB値データと、図19Lに示すY処理データを記録することにより、図19Mに示すように、文字及び指定RGB値画像の周囲に1画素分の記録されない領域が形成されることとなる。これにより、文字及び指定RGB値画像を形成するインクと、その周辺の背景を構成するY画像を形成するインクとの境界でブリーディング(滲み)が発生するのを抑制することが可能となる。従って、この第3の実施形態によれば、文字、線画像、および指定RGB値画像を高精細で視認性の高い画像を形成することが可能になる。
また上記第3の実施形態において、図18で行った処理は、K、C、M、Yそれぞれのデータとの間で同様に行うことが可能であり、これにより境界間引き処理が行われたK、C、M、Yそれぞれのデータを生成することができる。この際、文字はK、C、M、Y全て境界間引き処理を行うが、指定RGBデータについて、Kデータは間引き処理を行わず、C、M、Yのデータのみ間引き処理を行う、という処理を行うことも可能である。また、インク、記録材よっては、滲み易いもの、滲みにくいものがあるため、滲みにくいインクが存在する場合には、滲み易いインクの画像データのみを選択して間引き処理を行うようにしてもよい。
【0076】
さらに、上記第3の実施形態においては、文字、指定RGB値画像などのような対象となる画像に隣接する8近傍の画素を100%の間引き率で間引く構成にした。しかし、この間引き率(記録可能率)は、インクの滲みに易さに応じて設定するようにしてもよい。例えば、記録データを間引く間引きマスクを各インク色毎に設け、各間引きマスク毎にインクの滲み易さに応じた間引き率を設定し、その間引きマスクと図19Kに示す合成間引きデータとの論理積をとることで間引き量を調節するようにしても良い。
【0077】
また、本実施形態においては、文字及び指定RGBデータに基づき、境界間引き処理を行う構成としたが、線やその他のオブジェクトに対しても間引き処理を行う構成にしてもよい。
【0078】
また、本実施形態においては、指定RGB値として、R,G,B=(0,0,0)を指定しているが、その他のRGB値を指定してもよい。例えば、R,G,B=(0,0,0)〜R,G,B=(32,32,32)といった範囲のRGB値に対して間引き処理を行うようにしても良い。
【0079】
以上説明したように、この第3の実施形態によれば、文字に対しては、文字データに基づき境界間引き処理を行うことで、文字を形成するインクと周辺の背景を形成するインクとの境界で発生するブリーディング(滲み)を低減することができる。また、指定RGB値画像については、そのRGB値画像データに基づき間引き処理を行うことで、ビットマップ画像等のようなオブジェクト情報が得られない画像データにおいても指定RGB値画像に隣接するデータを間引くことができる。そのため、画像に埋め込まれた黒文字等においても滲みのない視認性の良い記録を行うことができる。
【0080】
なお、上記各実施形態では、入力画像データをプリンタの解像度に整合させるために、入力画像データに基づいてボールドデータを生成する処理を実施しているが、入力画像データとプリンタとの解像度が同一である場合には、ボールド処理は不要である。
【0081】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。この第4の実施形態では、文字、線、イメージといった属性検出(オブジェクト検出)に加え、イメージ内の所定のRGB値を有する画素(例えば、R=G=B=0の黒色画素)も検出する。そして、文字/線のエッジ部、および、イメージ内の指定RGB値画像(例えば、黒文字)のエッジ部と、それ以外の部分とで、最大記録デューティーを変える処理を行う。これにより、精細性と濃度の観点から最適な記録を行うことが可能になる。
【0082】
図20は、第4の実施形態において、入力画像データをインクジェット記録装置にて記録可能な記録データへと変換するデータ変換処理を示す機能ブロック図である。ホストPC1200では、まず、アプリケーションから受け取った入力RGBデータ(入力画像データ)1000を600dpiの解像度でレンダリング処理1001を行う。これによって、多値(本実施形態では、256値)の記録用多値RGBデータ1002が生成される。一方、入力画像データ1000に基づき、記録すべき画像内に含まれる複数種の画像構成要素である文字/線のオブジェクト及びイメージ(ビットマップデータ等)のオブジェクトの判別処理1003を行う。続いて文字/線のオブジェクトデータ1004及びイメージのオブジェクトデータ1005それぞれに対してレンダリング処理1006、1007を行う。これにより、解像度600dpiの2値の文字/線のオブジェクトデータ1008(文字と線のオブジェクトデータを合成したデータ)及び2値のイメージのオブジェクトデータ1009が生成される。生成された多値RGBデータ1002と2値の各オブジェクトデータ1008、1009はプリンタ1210に転送される。このとき、全ての画像データは、文字、線、イメージのオブジェクトのいずれか一つに必ず属している。
【0083】
プリンタ1210では、多値RGBデータから多値のKCMYデータへの変換処理1010を行う。変換されたKCMYデータ1011は所定の量子化方法で量子化処理1012が施される。本実施形態では、誤差拡散法によって解像度600dpiの5値に量子化される。量子化されたKCMYデータは、記録ヘッドによって記録可能な1200dpiの2値のKCMYデータ1014にインデックス展開1013される。
【0084】
一方、プリンタ1210では、記録用多値RGBデータ1002及び2値のイメージオブジェクトデータ1009からイメージ内に含まれる所定のRGB値(指定RGB値)の検出処理を行う。ここで、指定RGB値の検出処理としては、R,G,B=(0,0,0)の画素(黒色の画素)を検出する。なお、R=G=B=0の画素は黒文字を構成する画素であるが多く、R=G=B=0の画素を検出することで、イメージ内に存在する黒文字を検出することができる。これにより、イメージ内指定RGB値データ1601及び指定RGB値以外のイメージデータ1602を生成する。ここで、イメージ内指定RGB値データとは、2値のイメージオブジェクトデータ1009と記録用多値RGBデータ1002との論理積演算(AND処理)により得られる、多値RGB値内に含まれる指定RGB値データである。一方、指定RGB値以外のイメージデータ1602とは、2値のイメージオブジェクトデータ1009からイメージ内指定RGB値データ1601を除いたデータである。イメージ内指定RGB値データ1601は、プリンタ1210の解像度と整合をとるためにボールド処理1603が施され、イメージ内指定RGB値ボールドデータ1607が生成される。このボールド処理は、600dpiを1200dpiに合わせるべくボールド処理される。同様に指定RGB値データ以外のイメージデータ1602は記録データの解像度と整合をとるためにボールド処理1604が行われ、指定RGB以外のイメージボールドデータ1608が生成される。
【0085】
最後に、インデックス展開された2値のMCMYデータ1014と、文字/線ボールドデータ1017、イメージ内指定RGB値ボールドデータ1607、指定RGB以外のイメージボールドデータ1608に基づいて、後に詳述するオブジェクト及び指定RGBデータ処理1600が行われる。
【0086】
なお、この第4の実施形態では、画像データ処理をホストPCとプリンタ1210とで分担する構成としたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、プリンタ1210において図20に示した処理の全てを実行するようにしてもよい。要は、ホスト1200とプリンタ1210とで構成されるインクジェット記録システムにおいて、上記画像データ処理を実行できればよい。
【0087】
図21および図22は、文字/線ボールドデータ1017、イメージ内指定RGBボールドデータ1607及び指定RGB以外のイメージボールドデータ1608を用いてデータ生成処理を行うためのブロック図およびフローチャートである。基本的な処理は、上記第1及び第2の実施形態と同様である。まず、文字/線ボールドデータ1017、イメージ内指定RGBボールドデータ1607及び指定RGB以外のイメージボールドデータ1608夫々について、エッジ部及び非エッジ部を検出する(S801、S802)。
【0088】
次いで、間引きマスク4008、4010を用いて、文字/線エッジ部データ4002の間引き処理を行う(S803)。なお、間引きマスク4008、4010としては、図11に示される記録可能率50%(間引き率50%)のマスク2006、2009が使用される。次いで、間引きマスク4012、4014を用いて、イメージ内指定RGBエッジ部データ4003の間引き処理を行う(S804)。なお、間引きマスク4012、4014としては、図11に示される記録可能率50%(間引き率50%)のマスク2006、2009が使用される。次いで、間引きマスク4016、4018を用いて、イメージ内指定RGB以外のイメージエッジ部データ4004の間引き処理を行う(S805)。なお、間引きマスク4016、4018としては、図11に示される記録可能率75%(間引き率25%)のマスク2010、2013が使用される。次いで、間引きマスク4020、4022を用いて、文字/線非エッジ部データ4005の間引き処理を行う(S806)。なお、間引きマスク4020、4022としては、図11に示される記録可能率75%(間引き率25%)のマスク2014、2017が使用される。次いで、間引きマスク4024、4026を用いて、イメージ内指定RGB非エッジ部データ4006の間引き処理を行う(S807)。なお、間引きマスク4024、4026としては、図11に示される記録可能率75%(間引き率25%)のマスク2018、2021が使用される。次いで、間引きマスク4028、4030を用いて、イメージ内指定RGB以外のイメージエッジ部データ4007の間引き処理を行う(S808)。なお、間引きマスク4028、4030としては、図11に示される記録可能率75%(間引き率25%)のマスク2018、2021が使用される。
【0089】
そして、これら間引き処理(S803〜S808)により得られた間引きデータのうち、間引きデータ4009、4013、4017、4021、4025、4029は合成(論理和)されて記録ヘッド201−1に転送される。同様に、間引きデータ4011、4015、4019、4023、4027、4031は合成(論理和)されて記録ヘッド201−2に転送される。
【0090】
これにより、文字/線データのエッジ部及びイメージ内指定RGB値画像のエッジ部の最大記録デューティが100%、それ以外の画像のエッジ部の最大記録デューティが150%となる。一方、画像の非エッジ部の記録デューティは、オブジェクトの種類やRGB値に関らず、最大で150%となる。その結果、文字/線のエッジ部の記録デューティが適性に抑えられる。また、指定RGB値を有するイメージのエッジ部の記録デューティも適正に抑えられるため、ビットマップデータ等に含まれる文字(黒文字)等においてもエッジ部のつぶれや滲みを抑えることができる。更に、文字/線の非エッジ部や指定RGB値の非エッジ部、指定RGB値以外のイメージについては、最大150%の記録デューティで記録が行われるため、高い濃度で高品質な画像を形成することができる。
【0091】
以上説明したように第4の実施形態によれば、文字/線オブジェクトに含まれる文字・線データに加え、ビットマップ画像データ等のようなオブジェクト情報が得られない画像データ内の黒文字等についても記録濃度を制御できる。この結果、文字の精細性を維持しつつ、濃度の高い高品位な記録が可能となる。
【0092】
なお、この第4の実施形態においては、指定RGB値として、R,G,B=(0,0,0)を採用しているが、その他の値はこれに限られるものではない。例えば、R,G,B=(0,0,0)〜R,G,B=(16,16,16)といった範囲のRGB値を有する画像を指定RGB値画像とし、この指定RGB値画像とその他の画像とで最大記録デューティを異ならせてもよい。
【0093】
(その他の実施形態)
上記の各実施形態では、吐出口列を2列設けた例を示したが、各種インク毎に3本以上の吐出口列を設け、同一種類のインクを吐出するための記録データを3つ以上の吐出口列に分割して供給するようにすることも可能である。また、同一種類のインクを吐出する記録ヘッドとして、2列の吐出口列を設けた記録ヘッドを用いる例を示したが、1列の吐出口列を形成した記録ヘッドを2つ設け、この2つの記録ヘッドから同一種類のインクを吐出するようにしてもよい。
【0094】
また、上記各実施形態では、少ない走査回数で記録デューティを高めるために、同一種類のインクを、複数の吐出口列から吐出させる例を示した。しかし、各種インクをそれぞれ1つの吐出口列のみから吐出させるようにすることも可能である。この際、1回の記録走査で、画像構成要素のエッジ部を非エッジ部より高い記録デューティで記録するには、エッジ部の最大記録デューティを100%以下にすることが必要となる。また、最大記録デューティを100%を超える値にする場合には、同一の記録領域に対して複数の記録走査を行うことが必要となる。
【0095】
この他、記録ヘッドの形態としては、文字や線を記録するためのインクを吐出する記録ヘッドのみ吐出口列を増やす構成とすることも可能である。
【0096】
なお、本発明の目的は、上記各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステムあるいは装置に供給し、CPU又はMPUがプログラムコードを実行することによっても達成され得ることは言うまでもない。
【0097】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0098】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,及びROMなどを用いることができる。
【0099】
また、本発明は、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含む。
【0100】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた構成を採ることも可能である。この場合、メモリに書き込まれたプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明を適用可能なカラーインクジェット記録装置の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の各実施形態に用いられる記録ヘッドを示す図であり、(a)は記録ヘッドの要部斜視図、(b)は各記録ヘッドの吐出口面における吐出口の配列を模式的に示す図である。
【図3】第1の実施形態に用いられるインクジェット記録装置の制御系回路の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態において、入力画像データをインクジェット記録装置にて記録可能な記録データへと変換する処理を行うための機能を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態において実施されるオブジェクトデータ処理を行うための機能を示すブロック図である。
【図6】図5に示すオブジェクトデータ処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態において実施される記録データの非エッジ部の検出処理を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態において実施される非エッジ部の検出処理を模式的に表した図である。
【図9】第1の実施形態における記録データのオブジェクト別エッジ部及び非エッジ部データ生成処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図9におけるオブジェクト別エッジ部及び非エッジ部データ生成処理の例を模式的に示した図である。
【図11】第1の実施形態におけるエッジ部及び非エッジ部の間引き処理を表す図である。
【図12】第2の実施形態において、入力画像データをインクジェット記録装置によって記録可能な記録データへと変換する処理を行うための機能を示すブロック図である。
【図13】第2の実施形態における記録データの指定RGB値検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施形態において実施される指定RGB値データ処理を行うための機能を示すブロック図である。
【図15】第2の実施形態におけるデータ処理の手順を示すフロー図である。
【図16】第3の実施形態において、入力画像データをインクジェット記録装置によって記録可能な記録データへと変換する処理を行うための機能を示すブロック図である。
【図17】第3の実施形態において実施される記録データの指定RGB値検出処理の手順を示すフローチャートである実施形態3の検出処理のフローチャート図である。
【図18】第3の実施形態において実施される境界間引き処理の手順を示すフローチャート図である。
【図19】第3の実施形態の境界間引き処理において生成されるデータを示す図である。
【図20】第4の実施形態において、入力画像データを記録データへと変換する処理を行うための機能を示すブロック図である。
【図21】第4の実施形態において実施されるデータ処理を行うための機能を示すブロック図である。
【図22】図21に示すデータ処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
106 キャリッジ
201〜204 記録ヘッド
401 MPU
402 ROM
403 DRAM
404 ゲートアレイ
407〜408 モータドライバ
409 ヘッドドライバ
500 記録制御部
1000 入力画像データ
1001,1006,1007 レンダリング処理
1002 多値RGBデータ
1003 オブジェクト判別処理
1004 文字/線データ
1005 イメージデータ
1010 色変換処理
1011 多値K,C,M,Yデータ
1012 多値量子化処理
1013 インデックス展開処理
1014 2値K,C,M,Yデータ
1015 文字/線データのボールド処理
1016 イメージデータのボールド処理
1017 文字/線ボールドデータ
1018 イメージボールドデータ
1019 オブジェクト別データ処理
1020 境界間引き処理
1200 ホストPC
1210 プリンタ
1500 指定RGB検出処理
1501 指定RGBデータ
1503 指定RGBボールドデータ
1504 指定RGB以外のデータ
1506 指定RGB以外のボールドデータ
1507 指定RGBデータ処理
2000 エッジ部及び非エッジ部検出処理
2001 オブジェクト別エッジ部及び非エッジ部データ生成処理
2002 文字/線エッジ部データ
2003 イメージエッジ部データ
2004 文字/線非エッジ部データ
2005 イメージ非エッジ部データ
2006 第1のエッジ部間引きマスク
2007 第1のエッジ部間引きデータ
2008 第2のエッジ部間引きデータ
2009 第2のエッジ部間引きマスク
2010 第3のエッジ部間引きマスク
2011 第3のエッジ部間引きデータ
2012 第4のエッジ部間引きデータ
2013 第4のエッジ部間引きマスク
2014 第1の非エッジ部間引きマスク
2015 第1の非エッジ部間引きデータ
2016 第2の非エッジ部間引きデータ
2017 第2の非エッジ部間引きマスク
2018 第3の非エッジ部間引きマスク
2019 第3の非エッジ部間引きデータ
2020 第4の非エッジ部間引きデータ
2021 第4の非エッジ部間引きマスク
2022 記録ヘッド201−1用合成データ
2023 記録ヘッド201−2用合成データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データに基づき生成された記録データに従って、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記画像を構成する画像構成要素に対応した入力画像データの属性を判別する判別手段と、
前記画像構成要素をエッジ部または非エッジ部として検出する検出手段と、
前記画像構成要素に対応する入力画像データの属性に基づいて、前記エッジ部を記録するための記録データ及び前記非エッジ部を記録するための記録データを生成する生成手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記入力画像データの属性情報は、文字、線またはイメージの属性情報であり、
前記生成手段は、(A)前記文字の属性を含む入力画像データに基づいて、前記文字のエッジ部を記録するための記録データと文字の非エッジ部を記録するための記録データを生成し、(B)前記イメージの属性を含む入力画像データに基づいて、前記イメージのエッジ部を記録するための記録データと前記イメージの非エッジ部を記録するための記録データを生成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記イメージの属性を含む入力画像データのうち、前記所定のRGB値を有する入力画像データとそれ以外の入力画像データとで、別々に、前記イメージのエッジ部を記録するための記録データと前記イメージの非エッジ部を記録するための記録データを生成することを請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記所定のRGB値は、黒色を示すRGB値であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記黒を示すRGB値は、R=G=B=0であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記エッジ部における記録デューティが、前記非エッジ部における記録デューティより低くなるように、前記エッジ部を記録するための記録データ及び前記非エッジ部を記録するための記録データを生成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記エッジ部における記録デューティが、前記非エッジ部における記録デューティより高くなるように、前記エッジ部を記録するための記録データ及び前記非エッジ部を記録するための記録データを生成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記生成手段は、前記文字または前記線におけるエッジ部の記録デューティと前記イメージのエッジ部における記録デューティとを異ならせ、かつ前記文字または前記線の非エッジ部における記録デューティと前記イメージの非エッジ部の記録デューティとを異ならせるように、前記記録データを生成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記生成手段は、前記文字と前記線とを合成した画像の前記エッジ部の記録デューティと前記イメージの前記エッジ部の記録デューティとを異ならせ、かつ前記文字と前記線とを合成した画像の前記非エッジ部の記録デューティと前記イメージの前記非エッジ部の記録デューティとを異ならせることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記記録ヘッドは、同じ色のインクを吐出するための複数の吐出口列を有し、
前記生成手段によって生成された記録データを前記複数の吐出口列に対応する記録データに分割し、当該分割された記録データを前記吐出口列に供給するための供給手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記生成手段は、前記エッジ部に対応したエッジ部データを間引くエッジ部間引き手段と、
前記非エッジ部に対応した非エッジ部データを間引く非エッジ部間引き手段と、を備え、
前記エッジ部を記録するための記録データは、前記エッジ部間引き手段を用いて前記エッジ部データを間引くことにより生成され、
前記非エッジ部を記録するための記録データは、前記非エッジ部間引き手段を用いて前記非エッジ部データを間引くことにより生成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
入力画像データに基づき生成された記録データに従って、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置において、
前記画像を構成する画像構成要素に対応した入力画像データの属性を判別する判別手段と、
前記画像構成要素をエッジ部または非エッジ部として検出する検出手段と、
前記エッジ部に隣接する画素に対応する非エッジ部データを、前記画像構成要素に対応する入力画像データの属性に応じた間引き率で間引く間引き手段と、
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項13】
入力画像データに基づき生成された記録データに従って、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記画像を構成する画像構成要素に対応した入力画像データの属性を判別する判別工程と、
前記画像構成要素をエッジ部または非エッジ部として検出する検出工程と、
前記画像構成要素に対応する入力画像データの属性に基づいて、前記エッジ部を記録するための記録データ及び前記非エッジ部を記録するための記録データを生成する生成工程と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2009−96188(P2009−96188A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244409(P2008−244409)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】