説明

インクジェット記録装置

【課題】種類の異なるメディアを安定して搬送することにより、高品質な画像を記録することができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】用紙Pを搬送する画像記録ドラム41には、その外周に一対のベルト304、306が巻き掛けられている。用紙Pは、この一対のベルト304、306によって両縁部が押えられながら搬送される。これにより、用紙Pの後端で生じる浮きを防止することができ、用紙Pを安定して搬送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に係り、特にメディアをドラム搬送するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置におけるメディアの搬送機構として、ドラム搬送方式が知られている。ドラム搬送方式は、ドラムの外周面上にメディアを巻き付けて回転することにより、メディアを搬送する。この際、メディアをドラムの外周面上に吸着させて搬送する。
【0003】
メディアの吸着には、静電気を用いる方法と空気圧(負圧)を用いる方法があり、静電気を用いる方法は、ドラムを帯電させて、メディアを吸着する。一方、空気圧を用いる方法は、ドラムの外周面に多数の吸引穴を形成し、内側から吸引することにより、メディアを吸着する。
【0004】
また、メディアの搬送を確実なものとするため、グリッパを備え、このグリッパでメディアの先端部を把持して搬送する構成のドラムも知られている。
【0005】
さらに、メディアの密着性を高めるため、ドラムの周面に巻き付けられたメディアの上面を押圧して、ドラムに押し付けるローラ(用紙押えローラ)を備えたドラムも知られている(たとえば、特許文献1等)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-274272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のドラム搬送機構では、厚さの異なるメディアを搬送したときに次のような問題が生じていた。すなわち、一定の吸着力でメディアを吸着保持して搬送すると、厚手のメディアを搬送したときに十分な保持力が得られず、メディアに浮きが発生するという問題があった。特に、メディアの後端部で顕著であり、ローラ(用紙押えローラ)で押えた場合であっても、角部が捲れ上がるという問題があった。
【0008】
このような問題は、吸着力を上げることにより、ある程度は解消することができるが、吸着力を上げると、薄手のメディアを搬送したときにシワやエア抜けによるインク集中等が発生するという欠点がある。また、吸着力を上げるためには、大型の設備等が必要になり、コスト高になるという欠点もある。
【0009】
さらに、メディアの厚さに応じて吸着力を変えることも考えられるが、切り替えのための設備、制御が複雑化になるという欠点がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、種類の異なるメディアを安定して搬送することにより、高品質な画像を記録することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、所定の受取位置でメディアを受け取り、軸回りに回転して、前記メディアを搬送するドラムであって、受け取った前記メディアを外周面上に巻き付け、吸着保持して搬送するドラムと、前記ドラムの外周面上に一定の間隔をもって配置され、前記ドラムに搬送されるメディアの幅方向の両端部を前記ドラムの外周面に沿って押える一対の円弧状のガイド部材と、前記ドラムに搬送されるメディアにインク滴を吐出して、画像を描画するインクジェットヘッドと、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
【0012】
本発明によれば、ドラムによるメディアの搬送経路上に一対のガイド部材が備えられ、この一対のガイド部材によって幅方向(搬送方向と直交する方向)の両端部が押えられながら、メディアがドラムによって搬送される。これにより、弱い吸着力で厚手のメディアを搬送した場合であっても、浮き、特に後端角部の浮き(捲れ上がり)を効果的に防止でき、安定してメディアを搬送することができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記一対のガイド部材は、それぞれ湾曲可能な帯状のベルトで構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0014】
本発明によれば、ガイド部材が湾曲可能な帯状のベルトで構成される。これにより、ドラムに巻き掛けるように配置するだけで、ドラムの外周形状に倣って円弧状のガイド部材を構成することができ、ドラムによって搬送されるメディアがドラムの外周面に密着するように、ドラムの外周面に沿って押えることができる。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、前記一対のベルトは、それぞれ前記メディアの幅方向両端部に形成される非描画領域の幅よりも狭い幅で形成され、前記非描画領域を押えるように配置されることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0016】
本発明によれば、ベルトの幅が、メディアの幅方向両端部に形成される非描画領域の幅よりも狭い幅で形成され、その非描画領域を押えるように配置される。これにより、幅方向の両端部で生じる浮きを効果的に防止できるとともに、画像の描画領域を確保することができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、前記一対のベルトは、それぞれ前記メディアの厚さと合わせた厚さが、前記ドラムの外周面からの前記メディアの浮きの許容値以下となる厚さで形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0018】
本発明によれば、ベルトの厚さが所定厚さに設定され、メディアの厚さと合わせたときの厚さが、メディアの浮きの許容値以下となるように設定される。これにより、たとえば、メディアの浮きを検出するセンサを設置した場合であっても、誤検出を生じさせることなく、適切に浮きを検出することができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、前記一対のベルトは、それぞれ前記メディアとの接触面が摩擦抵抗の低い素材で形成されることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0020】
本発明によれば、ベルトのメディアとの接触面が、摩擦抵抗の低い素材で形成される。これにより、ベルトの耐磨耗性を向上させることができるとともに、メディアへのダメージも低減させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、前記一対のベルトの張力を調整する張力調整手段を備え、該張力調整手段で前記一対のベルトの張力を調整して、前記メディアを押える力を調整可能としたことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0022】
本発明によれば、ベルトの張力を調整して、メディアを押える力を調整することができる。これにより、メディアの種類(主として、厚さ)に応じてメディアを押える力を変えることができ、メディアの種類に応じた適切な力でメディアを押えることができる。これにより、より安定したメディアの搬送を行うことができる。
【0023】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、前記メディアの厚さの情報を取得する厚さ情報取得手段と、前記厚さ情報取得手段で取得された前記メディアの厚さに応じて前記張力調整手段を制御し、前記一対のベルトの張力を制御する張力制御手段と、を備え、前記張力制御手段は、前記メディアの厚さが厚くなるに従って、前記一対のベルトの張力が大きくなるように、前記厚さ情報取得手段で取得された前記メディアの厚さに応じて、前記張力調整手段を制御することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0024】
本発明によれば、メディアの厚さに応じて自動的にベルトの張力が調整される。これにより、常に最適な力でメディアを押えることができ、より安定したメディアの搬送を行うことができる。
【0025】
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、前記一対のガイド部材を前記ドラムの軸方向にスライド移動させて、前記一対のガイド部材の間隔を調整する間隔調整手段を備えたことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0026】
本発明によれば、一対のガイド部材の間隔を調整することができる。これにより、サイズの異なるメディアを搬送する場合であっても、適切にメディアを押えることができる。
【0027】
請求項9に係る発明は、前記目的を達成するために、前記一対のガイド部材は、湾曲可能な帯状の第1ベルトと第2ベルトとで構成され、前記間隔調整手段は、前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第1ベルトの前端が固定される第1ベルト前端保持部材、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第1ベルト前端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と、前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第1ベルトの後端が固定される第1ベルト後端保持部材と、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第1ベルト後端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第1ベルト後端ガイド用ネジ棒と、前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第2ベルトの前端が固定される第2ベルト前端保持部材と、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第2ベルト前端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第2ベルト前端ガイド用ネジ棒と、前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第2ベルトの後端が固定される第2ベルト後端保持部材と、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第2ベルト後端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第2ベルト後端ガイド用ネジ棒と、を備え、前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第1ベルト後端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させることにより、前記第1ベルトを前記ドラムの幅方向にスライド移動させる一方、前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト後端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させることにより、前記第2ベルトを前記ドラムの幅方向にスライド移動させて、前記第1ベルトと前記第2ベルトとの間隔を調整することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0028】
本発明によれば、一対のガイド部材が、湾曲可能な帯状のベルト(第1ベルト、第2ベルト)で構成され、そのベルトが固定される保持部材(第1ベルト前端保持部材、第2ベルト前端保持部材、第1ベルト後端保持部材、第2ベルト後端保持部材)をドラムの軸方向に移動させることにより、ベルトの間隔が調整される。保持部材の移動は、ネジ棒(第1ベルト前端ガイド用ネジ棒、第2ベルト前端ガイド用ネジ棒、第1ベルト後端ガイド用ネジ棒、第2ベルト後端ガイド用ネジ棒)で行われ、各保持部材に形成されたネジ穴に螺合されたネジ棒を軸回りに回転させることにより、各保持部材がドラムの軸方向に移動する。これにより、簡単にベルトの間隔を調整することができる。
【0029】
請求項10に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第1ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、前記第1ベルト後端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第1ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータと、前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第2ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、前記第2ベルト後端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第2ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータと、前記メディアのサイズの情報を取得するサイズ情報取得手段と、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御し、前記第1ベルトと前記第2ベルトの間隔を制御する間隔制御手段と、を備え、前記間隔制御手段は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとが、それぞれ前記メディアの非描画領域を押えるように、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御することを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0030】
本発明によれば、各保持部材(第1ベルト前端保持部材、第2ベルト前端保持部材、第1ベルト後端保持部材、第2ベルト後端保持部材)を移動させるネジ棒(第1ベルト前端ガイド用ネジ棒、第2ベルト前端ガイド用ネジ棒、第1ベルト後端ガイド用ネジ棒、第2ベルト後端ガイド用ネジ棒)が、モータ(第1ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ、第2ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ、第1ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータ、第2ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータ)に駆動されて、軸回りに回転する。各モータは、間隔制御手段によって駆動が制御される。間隔制御手段は、メディアのサイズが変わった場合であっても、常に第1ベルトと第2ベルトが、メディアの非描画領域を押えるように、メディアのサイズの情報に基づいて、各モータの駆動を制御する。これにより、常に適切な位置でメディアを押えることができる。
【0031】
請求項11に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒とが同軸上に連結されて、互いに逆向きのネジが形成されるとともに、前記第1ベルト後端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト後端ガイド用ネジ棒とが同軸上に連結されて、互いに逆向きのネジが形成されることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0032】
本発明によれば、第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と第2ベルト前端ガイド用ネジ棒とが同軸上に連結されて一体化される。また、互いに逆向きのネジが形成される。これにより、第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と第2ベルト前端ガイド用ネジ棒との一体物(連結体)を軸回りに回転させると、第1ベルト前端保持部材と第2ベルト前端保持部材との間隔が拡縮する。同様に、第1ベルト後端ガイド用ネジ棒と第2ベルト後端ガイド用ネジ棒とが同軸上に連結されて一体化される。また、互いに逆向きのネジが形成される。これにより、第1ベルト後端ガイド用ネジ棒と第2ベルト後端ガイド用ネジ棒との一体物(連結体)を軸回りに回転させると、第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材との間隔が拡縮する。このように、前端側のネジ棒と後端側のネジ棒とをそれぞれ同軸上に連結して一体化することにより、構成を簡素化することができる。
【0033】
請求項12に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒との連結体を軸回りに回転させる前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、前記第1ベルト後端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト後端ガイド用ネジ棒との連結体を軸回りに回転させる後端ガイド用ネジ棒駆動モータと、前記メディアのサイズの情報を取得するサイズ情報取得手段と、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御し、前記第1ベルトと前記第2ベルトの間隔を制御する間隔制御手段と、を備え、前記間隔制御手段は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとが、それぞれ前記メディアの非描画領域を押えるように、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御することを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0034】
本発明によれば、第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と第2ベルト前端ガイド用ネジ棒との連結体が、前端ガイド用ネジ棒駆動モータに駆動されて、軸回りに回転する。また、第1ベルト後端ガイド用ネジ棒と第2ベルト後端ガイド用ネジ棒との連結体が、後端ガイド用ネジ棒駆動モータに駆動されて、軸回りに回転する。各モータは、間隔制御手段によって駆動が制御される。間隔制御手段は、メディアのサイズが変わった場合であっても、常に第1ベルトと第2ベルトが、メディアの非描画領域を押えるように、メディアのサイズの情報に基づいて、各モータの駆動を制御する。これにより、常に適切な位置でメディアを押えることができる。また、モータの設置数を削減でき、構成をより簡素化することができる。
【0035】
請求項13に係る発明は、前記目的を達成するために、前記一対のガイド部材は、湾曲可能な帯状の第1ベルトと第2ベルトとで構成され、前記間隔調整手段は、前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第1ベルトの前端が固定される第1ベルト前端保持部材、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第1ベルト前端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と、前記第1ベルトの後端が固定される第1ベルト後端保持部材と、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第1ベルト後端保持部材を前記ドラムの軸方向に摺動自在に支持する第1ベルト後端ガイド部材と、前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第2ベルトの前端が固定される第2ベルト前端保持部材と、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第2ベルト前端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第2ベルト前端ガイド用ネジ棒と、前記第2ベルトの後端が固定される第2ベルト後端保持部材と、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第2ベルト後端保持部材を前記ドラムの軸方向に摺動自在に支持する第2ベルト後端ガイド部材と、を備え、前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させることにより、前記第1ベルトを前記ドラムの幅方向にスライド移動させる一方、前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させることにより、前記第2ベルトを前記ドラムの幅方向にスライド移動させて、前記第1ベルトと前記第2ベルトとの間隔を調整することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0036】
本発明によれば、一対のガイド部材が、湾曲可能な帯状のベルト(第1ベルト、第2ベルト)で構成され、そのベルトが固定される保持部材(第1ベルト前端保持部材、第2ベルト前端保持部材、第1ベルト後端保持部材、第2ベルト後端保持部材)をドラムの軸方向に移動させることにより、ベルトの間隔が調整される。保持部材の移動は、ネジ棒(第1ベルト前端ガイド用ネジ棒、第2ベルト前端ガイド用ネジ棒)で行われ、第1ベルト前端保持部材と第2ベルト前端保持部材に形成されたネジ穴に螺合されたネジ棒(第1ベルト前端ガイド用ネジ棒、第2ベルト前端ガイド用ネジ棒)を軸回りに回転させることにより、各保持部材がドラムの軸方向に移動する。すなわち、前端側(メディアの搬送方向上流側)の保持部材を移動させることにより、その前端側の保持部材に従動させて、後端側(メディアの搬送方向下流側)を移動させる。これにより、より簡素な構成でベルトの間隔を調整することができる。
【0037】
請求項14に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第1ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第2ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、前記メディアのサイズの情報を取得するサイズ情報取得手段と、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御し、前記第1ベルトと前記第2ベルトの間隔を制御する間隔制御手段と、を備え、前記間隔制御手段は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとが、それぞれ前記メディアの非描画領域を押えるように、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御することを特徴とする請求項13に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0038】
本発明によれば、第1ベルト前端保持部材と第2ベルト前端保持部材を移動させるネジ棒(第1ベルト前端ガイド用ネジ棒、第2ベルト前端ガイド用ネジ棒)が、モータ(第1ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ、第2ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ)に駆動されて、軸回りに回転する。各モータは、間隔制御手段によって駆動が制御される。間隔制御手段は、メディアのサイズが変わった場合であっても、常に第1ベルトと第2ベルトが、メディアの非描画領域を押えるように、メディアのサイズの情報に基づいて、各モータの駆動を制御する。これにより、常に適切な位置でメディアを押えることができる。
【0039】
請求項15に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒とが同軸上に連結されて、互いに逆向きのネジが形成されることを特徴とする請求項14に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0040】
本発明によれば、第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と第2ベルト前端ガイド用ネジ棒とが同軸上に連結されて一体化される。また、互いに逆向きのネジが形成される。これにより、第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と第2ベルト前端ガイド用ネジ棒との一体物(連結体)を軸回りに回転させると、第1ベルト前端保持部材と第2ベルト前端保持部材との間隔が拡縮する。このように、第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と第2ベルト前端ガイド用ネジ棒とを同軸上に連結して一体化することにより、構成を簡素化することができる。
【0041】
請求項16に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒との連結体を軸回りに回転させる前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、前記メディアのサイズの情報を取得するサイズ情報取得手段と、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記前端ガイド用ネジ棒駆動モータの駆動を制御し、前記第1ベルトと前記第2ベルトの間隔を制御する間隔制御手段と、を備え、前記間隔制御手段は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとが、それぞれ前記メディアの非描画領域を押えるように、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記前端ガイド用ネジ棒駆動モータの駆動を制御することを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0042】
本発明によれば、第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と第2ベルト前端ガイド用ネジ棒との連結体が、前端ガイド用ネジ棒駆動モータに駆動されて、軸回りに回転する。前端ガイド用ネジ棒駆動モータは、間隔制御手段によって駆動が制御される。間隔制御手段は、メディアのサイズが変わった場合であっても、常に第1ベルトと第2ベルトが、メディアの非描画領域を押えるように、メディアのサイズの情報に基づいて、前端ガイド用ネジ棒駆動モータの駆動を制御する。これにより、常に適切な位置でメディアを押えることができる。
【0043】
請求項17に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト後端ガイド部材は、断面凸字状の溝を有するレール状に形成されて、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第1ベルト後端保持部材は、前記第1ベルト後端ガイド部材の溝に嵌合されて、前記ドラムの軸方向に移動自在に設けられ、前記第2ベルト後端ガイド部材は、断面凸字状の溝を有するレール状に形成されて、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第2ベルト後端保持部材は、前記第2ベルト後端ガイド部材の溝に嵌合されて、前記ドラムの軸方向に移動自在に設けられることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0044】
本発明によれば、第1ベルト後端ガイド部材と第2ベルト後端ガイド部材が、断面凸字状の溝を有するレール状に形成される。第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材は、その溝に嵌合されて、ドラムの軸方向に移動自在に設けられる。これにより、簡単な構成で第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材とをドラムの軸方向に移動自在に設けることができる。
【0045】
請求項18に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト後端保持部材と前記第2ベルト後端保持部材は、前記溝の内壁面に接触する幅方向の両端部分が円弧状に形成されることを特徴とする請求項17に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0046】
本発明によれば、溝内を摺動する第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材の幅方向の両端部分が円弧状に形成される。これにより、第1ベルト前端保持部材と第2ベルト前端保持部材とを移動させた際、その第1ベルト前端保持部材と第2ベルト前端保持部材の移動に従動させて、第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材とをスムーズに移動させることができる。
【0047】
請求項19に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト後端ガイド部材は、棒状に形成されて、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第1ベルト後端保持部材は、前記第1ベルト後端ガイド部材が挿通可能な穴を有し、該穴に前記第1ベルト後端ガイド部材が挿通されて、前記ドラムの軸方向に移動自在に設けられ、前記第2ベルト後端ガイド部材は、棒状に形成されて、前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第2ベルト後端保持部材は、前記第2ベルト後端ガイド部材が挿通可能な穴を有し、該穴に前記第2ベルト後端ガイド部材が挿通されて、前記ドラムの軸方向に移動自在に設けられることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0048】
本発明によれば、第1ベルト後端ガイド部材と第2ベルト後端ガイド部材が棒状に形成される。第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材は、穴を有し、この穴に第1ベルト後端ガイド部材、第2ベルト後端ガイド部材が挿通されて、ドラムの軸方向に移動自在に設けられる。これにより、簡単な構成で第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材とを軸方向に移動自在にガイドすることができる。
【0049】
請求項20に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト後端ガイド部材と前記第2ベルト後端ガイド部材には、それぞれ前記第1ベルト後端保持部材と前記第2ベルト後端保持部材とが嵌合して、前記第1ベルト後端保持部材と前記第2ベルト後端保持部材の移動を規制する規制溝が、前記メディアの幅に応じて複数箇所に形成されることを特徴とする請求項19に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0050】
本発明によれば、第1ベルト後端ガイド部材と第2ベルト後端ガイド部材に規制溝が形成され、この規制溝に第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材を嵌合させることにより、第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材をロックすることができる。これにより、より安定したガイドを行うことができる。
【0051】
請求項21に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト後端ガイド部材を軸回りに回転させる第1ベルト後端ガイド部材駆動モータと、前記第2ベルト後端ガイド部材を軸回りに回転させる第2ベルト後端ガイド部材駆動モータと、を備え、前記第1ベルト後端ガイド部材と前記第2ベルト後端ガイド部材を回転させることにより、前記規制溝への前記第1ベルト後端保持部材と前記第2ベルト後端保持部材の嵌合/非嵌合を切り替えることを特徴とする請求項20に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0052】
本発明によれば、第1ベルト後端ガイド部材と第2ベルト後端ガイド部材を回転させることにより、規制溝への第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材の嵌合/非嵌合を切り替えることができる。これにより、第1ベルト後端保持部材と第2ベルト後端保持部材を簡単にロック/アンロックすることができる。
【0053】
請求項22に係る発明は、前記目的を達成するために、前記第1ベルト後端ガイド部材と前記第2ベルト後端ガイド部材とが同軸上に連結され、前記第1ベルト後端ガイド部材と前記第2ベルト後端ガイド部材との連結体を軸回りに回転させる後端ガイド部材駆動モータを備え、前記第1ベルト後端ガイド部材と前記第2ベルト後端ガイド部材の連結体を回転させることにより、前記規制溝への前記第1ベルト後端保持部材と前記第2ベルト後端保持部材の嵌合/非嵌合を切り替えることを特徴とする請求項20に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0054】
本発明によれば、第1ベルト後端ガイド部材と第2ベルト後端ガイド部材とが同軸上に連結されて一体化される。これにより、構成をより簡素化することができる。
【0055】
請求項23に係る発明は、前記目的を達成するために、前記ドラムとほぼ同じ幅で形成され、前記受取位置で受け取られた前記メディアの上面を押圧して、前記ドラムの外周面に押し付ける用紙押えローラを備え、前記一対のガイド部材は、前記用紙押えローラで押圧された後の前記メディアを前記ドラムの外周面に沿って押えることを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0056】
本発明によれば、メディアの上面を押圧して、ドラムの外周面に押し付ける用紙押えローラが備えられる。これにより、より確実にメディアをドラムの外周面に密着させることができる。
【0057】
請求項24に係る発明は、前記目的を達成するために、前記用紙押えローラの後段に配置され、前記一対のガイド部材の間で前記メディアの上面を押圧して、前記ドラムの外周面に押し付ける補助用紙押えローラを備えたことを特徴とする請求項23に記載のインクジェット記録装置を提供する。
【0058】
本発明によれば、一対のガイド部材の間でメディアの上面を押圧して、ドラムの外周面に押し付ける補助用紙押えローラが備えられる。これにより、メディアの幅方向の中央部で生じる浮きを効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、種類の異なるメディアであっても安定して搬送することができ、高品質な画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】インクジェット記録装置の全体構成図
【図2】インクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図
【図3】画像記録部の概略構成図
【図4】用紙ガイド機構の概略構成を示す斜視図
【図5】用紙ガイド機構の概略構成を示す平面図
【図6】図5の6−6断面図
【図7】張力調整機構の概略構成を示す側面図
【図8】張力調整機構の動作説明図
【図9】間隔調整機構の動作説明図
【図10】用紙ガイド機構の第2の実施の形態の概略構成を示す平面図
【図11】用紙ガイド機構の第3の実施の形態の概略構成を示す斜視図
【図12】用紙ガイド機構の第3の実施の形態の概略構成を示す平面図
【図13】第1ベルト後端支持コマ(第2ベルト後端支持コマ)の構成を示す平面図
【図14】用紙ガイド機構の第4の実施の形態の概略構成を示す平面図
【図15】第1ベルト後端支持コマ(第2ベルト後端支持コマ)の構成を示す側面図
【図16】第1ベルト後端支持コマ(第2ベルト後端支持コマ)のその他の構成を示す側面図
【図17】用紙ガイド機構のその他の実施の形態の概略構成を示す平面図
【図18】第1ベルト後端支持コマ(第2ベルト後端支持コマ)の構成を示す側面図
【図19】ガイド棒のその他の実施の形態を示す斜視図
【図20】用紙ガイド機構のその他の実施の形態の概略構成を示す平面図
【図21】用紙ガイド機構の第5の実施の形態の概略構成を示す斜視図
【図22】用紙ガイド機構の第5の実施の形態の概略構成を示す平面図
【図23】図22の23−23断面図
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0062】
《インクジェット記録装置の全体構成》
図1は本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態を表す全体構成図である。
【0063】
このインクジェット記録装置10は、枚葉の用紙Pに水性インク(水を溶媒に含むインク)を用いてインクジェット方式で印刷する装置であり、用紙Pを給紙する給紙部20と、用紙Pの印刷面(表面)に所定の処理液を塗布する処理液塗布部30と、用紙Pの印刷面にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインク滴をインクジェットヘッドで打滴して、カラー画像を描画する画像記録部40と、用紙Pに打滴されたインク滴を乾燥させるインク乾燥部50と、用紙Pに記録された画像を定着させる定着部60と、用紙Pを回収する回収部70とを備えて構成される。
【0064】
処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部には、それぞれ用紙Pの搬送手段として、搬送ドラム31、41、51、61が備えられている。用紙Pは、この搬送ドラム31、41、51、61によって、処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部を搬送される。
【0065】
各搬送ドラム31、41、51、61は、用紙幅に対応した円筒状に形成され、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、反時計回りに回転する。)。各搬送ドラム31、41、51、61の周面にはグリッパが備えられる。用紙Pは、このグリッパに先端部を把持されて搬送される。なお、本例では、各搬送ドラム31、41、51、61の周面の2箇所にグリッパが設置され、1回転で2枚の用紙を搬送できるように構成されている。
【0066】
各搬送ドラム31、41、51、61の周面には、多数の吸着穴が形成されている。用紙Pは、この吸着穴から裏面を真空吸着されて、各搬送ドラム31、41、51、61の外周面上に保持される。なお、本例では、真空吸着により用紙Pを保持する構成としているが、静電吸着により用紙Pを保持する構成とすることもできる。
【0067】
処理液塗布部30と画像記録部40の間、画像記録部40とインク乾燥部50の間、インク乾燥部50と定着部60の間には、それぞれ渡し胴80、90、100が配置される。用紙Pは、この渡し胴80、90、100によって、各部の間を搬送される。
【0068】
各渡し胴80、90、100は、用紙幅に対応した円筒状の枠体で構成され、図示しないモータに駆動されて回転する(図1において、時計回りに回転する。)。各渡し胴80、90、100の周面にはグリッパが備えられる。用紙Pは、このグリッパに先端部を把持されて搬送される。なお、本例では、各渡し胴80、90、100の外周部2箇所にグリッパが設置され、1回転で2枚の用紙を搬送できるように構成されている。
【0069】
各渡し胴80、90、100の下部には、用紙Pの搬送経路に沿って円弧状のガイド板82、92、102が配設される。渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、このガイド板82、92、102に裏面(印刷面の反対側の面)をガイドされながら搬送される。
【0070】
また、各渡し胴80、90、100の内部には、渡し胴80によって搬送される用紙Pに向けて熱風を吹き出すドライヤ84、94、104が配置される(本例では、用紙Pの搬送経路に沿って3台配置されている。)。各渡し胴80、90、100によって搬送される用紙Pは、その搬送過程でドライヤ84、94、104から吹き出された熱風が印刷面に吹き当てられる。
【0071】
なお、ドライヤ84、94、104は、熱風を吹き出して加熱する構成に代えて、赤外線ヒータ等から熱を放射して加熱する構成としてもよい(いわゆる輻射による加熱)。
【0072】
給紙部20から給紙された用紙Pは、搬送ドラム31→渡し胴80→搬送ドラム41→渡し胴90→搬送ドラム51→渡し胴100→搬送ドラム61の順で搬送され、最後に回収部70で回収される。この給紙部20から回収部70で回収されるまでの間に用紙Pは所要の処理が施されて、印刷面に画像が記録される。
【0073】
以下、本実施の形態のインクジェット記録装置10の各部の構成について詳説する。
【0074】
〈給紙部〉
給紙部20は、枚葉の用紙Pを1枚ずつ周期的に給紙する。この給紙部20は、主として、給紙装置21と、給紙トレイ22と、渡し胴23とで構成される。
【0075】
給紙装置21は、図示しないマガジンにスタックされた用紙Pを上側から順に1枚ずつ給紙トレイ22に給紙する。
【0076】
給紙トレイ22は、給紙装置21から給紙された用紙Pを渡し胴23に向けて送り出す。
【0077】
渡し胴23は、給紙トレイ22から送り出された用紙Pを受け取り、回転して、処理液塗布部30の搬送ドラム31に受け渡す。
【0078】
ここで、本実施の形態のインクジェット記録装置10で使用する用紙Pは、一般の印刷用紙(インクジェット専用紙ではなく、一般のオフセット印刷などで使用される用紙(上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする用紙)が使用される。
【0079】
一般の印刷用紙は、インクジェット方式で印刷すると、滲み等が発生し、画像の品位が損なわれる。そこで、このような不具合を防止するために、次の処理液塗布部30で所定の処理液を用紙Pに塗布する。
【0080】
〈処理液塗布部〉
処理液塗布部30は、用紙Pの印刷面に所定の処理液を塗布する。この処理液塗布部30は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「処理液塗布ドラム」という。)31と、その処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液を塗布する塗布装置32とで構成される。
【0081】
処理液塗布ドラム31は、給紙部20の渡し胴23から用紙Pを受け取り(グリッパで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
【0082】
塗布装置32は、処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に所定の処理液をローラ塗布する。すなわち、周面に処理液が付与された塗布ローラを処理液塗布ドラム31によって搬送される用紙Pの印刷面に押圧当接させて、用紙Pの印刷面に処理液を塗布する。処理液は、一定の厚さで塗布される。
【0083】
塗布装置32で塗布する処理液は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む液体で構成される。
【0084】
凝集剤としては、インク組成物のpHを変化させることができる化合物であっても、多価金属塩であっても、ポリアリルアミン類であってもよい。
【0085】
pHを低下させ得る化合物としては、水溶性の高い酸性物質(リン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、若しくは、これらの化合物の誘導体、又は、これらの塩等)が好適に挙げられる。酸性物質は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。これにより、凝集性を高め、インク全体を固定化することができる。
【0086】
また、インク組成物のpH(25℃)は、8.0以上であって、処理液のpH(25℃)は、0.5〜4の範囲が好ましい。これにより、画像濃度、解像度及びインクジェット記録の高速化を図ることができる。
【0087】
また、処理液には、添加剤を含有することができる。たとえば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤を含有することができる。
【0088】
このような処理液を用紙Pの印刷面に事前に塗布して印刷することにより、フェザリングやブリーディング等の発生を防止でき、一般の印刷用紙を使用しても、高品位な印刷を行うことが可能になる。
【0089】
以上の構成の処理液塗布部30において、用紙Pは、処理液塗布ドラム31に保持されて、所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で塗布装置32によって印刷面に処理液が塗布される。
【0090】
印刷面に処理液が塗布された用紙Pは、その後、所定位置で処理液塗布ドラム31から渡し胴80に受け渡される。そして、渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の搬送ドラム41に受け渡される。
【0091】
ここで、上記のように、渡し胴80には、その内部にドライヤ84が設置されており、ガイド板82に向けて熱風が吹き出されている。用紙Pは、この渡し胴80によって処理液塗布部30から画像記録部40に搬送される過程で印刷面に熱風が吹き当てられて、印刷面に塗布された処理液が乾燥される(処理液中の溶媒成分が蒸発除去される。)。
【0092】
〈画像記録部〉
画像記録部40は、用紙Pの印刷面にC、M、Y、Kの各色のインク滴を打滴して、用紙Pの印刷面にカラー画像を描画する。この画像記録部40は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「画像記録ドラム」という。)41と、用紙Pの印刷面を押圧して、用紙Pの裏面を画像記録ドラム41の周面に密着させる用紙押えローラ42と、用紙Pの浮きを検出する用紙浮き検出センサ43と、用紙PにC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出して、画像を描画するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kと、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの両サイドを押えてガイドする用紙ガイド機構300とで構成される。
【0093】
画像記録ドラム41は、渡し胴80から用紙Pを受け取り(グリッパで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
【0094】
用紙押えローラ42は、画像記録ドラム41の幅とほぼ同じ幅で構成され、画像記録ドラム41の用紙受取位置(渡し胴80から用紙Pを受け取る位置)の近傍に配置される。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、この用紙押えローラ42にニップされることにより、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着される。
【0095】
用紙浮き検出センサ43は、用紙押えローラ42を通過した用紙Pの浮きを検出する(画像記録ドラム41の外周面からの一定以上の浮きを検出する。)。この用紙浮き検出センサ43は、レーザ光を投光するレーザ投光器と、そのレーザ光を受光するレーザ受光器とで構成される。
【0096】
レーザ投光器は、画像記録ドラム41の一端から他端に向けて画像記録ドラム41の軸と平行なレーザ光を画像記録ドラム41の外周面から所定高さの位置(浮きの許容範囲の上限の高さの位置)に投光する。
【0097】
レーザ受光器は、画像記録ドラム41による用紙Pの走行経路を挟んでレーザ投光器と対向して配置され、レーザ投光器から投光されたレーザ光を受光する。
【0098】
画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pに許容値以上の浮きが生じていると、レーザ投光器から投光されたレーザ光が用紙Pに遮光される。この結果、レーザ受光器で受光されるレーザ光の受光量が低下する。用紙浮き検出センサ43は、このレーザ受光器で受光されるレーザ光の受光量を検出して、用紙Pの浮きを検出する。すなわち、レーザ受光器で受光されたレーザ光の受光量と閾値とを比較して、閾値以下の場合に浮き(許容値以上の浮き)が発生したと判定する。
【0099】
許容値以上の浮きが検出されると、画像記録ドラム41の回転が停止され、用紙Pの搬送が停止される。
【0100】
なお、用紙浮き検出センサ43は、レーザ投光器から投光するレーザ光の高さ(画像記録ドラム41の外周面からの高さ)を調整することができるように構成される。これにより、浮きの許容範囲を任意に設定することができる。
【0101】
4台のインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙浮き検出センサ43の後段に配されており、用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔で配置されている。このインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、用紙幅に対応したラインヘッドで構成されており、そのノズル面に形成されたノズル列から、画像記録ドラム41に向けて対応する色のインク滴を吐出する。
【0102】
本実施の形態のインクジェット記録装置10で使用するインクは、水性紫外線硬化型インクであり、顔料、ポリマー粒子及び活性エネルギー線により重合する水溶性の重合性化合物を含有する。水性紫外線硬化型インクは、紫外線を照射することで硬化可能であり、耐察性に優れ膜強度が高いという性質を有する。
【0103】
顔料は、その表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料が用いられる。
【0104】
ポリマー分散剤は、酸価が25〜1000(KOHmg/g)のポリマー分散剤が用いられる。自己分散性の安定性が良好、かつ、処理液が接触したときの凝集性が良好になる。
【0105】
ポリマー粒子は、酸価が20〜50(KOHmg/g)の自己分散性ポリマー粒子が用いられる。自己分散性の安定性が良好、かつ、処理液が接触したときの凝集性が良好になる。
【0106】
重合性化合物としては、凝集剤と顔料、ポリマー粒子との反応を妨げない点でノニオン性又はカチオン性の重合性化合物が好ましく、水に対する溶解度が10質量%以上(更には15質量%以上)の重合性化合物を用いることが好ましい。
【0107】
また、インクは、活性エネルギー線により重合性化合物の重合を開始する開始剤を含有する。開始剤は、活性エネルギー線により重合反応を開始し得る化合物を適宜選択して含有することができ、たとえば、放射線若しくは光又は電子線により活性種(ラジカル、酸、塩基など)を発生する開始剤(たとえば、光重合開始剤等)を用いることができる。なお、開始剤は処理液に含有させることもでき、インクと処理液の少なくとも一方に含有させればよい。
【0108】
また、インクは水を50〜70質量%含有する。また、インクには添加剤を含有することができる。たとえば、水溶性有機溶媒や乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤を含有することができる。
【0109】
用紙ガイド機構300は、画像記録ドラム41に搬送される用紙Pの幅方向の両縁部分を画像記録ドラム41の外周面に沿って押えてガイドし、用紙Pに生じる浮き、特に、搬送方向終端部の角部に生じる浮きを防止する。なお、この用紙ガイド機構300の構成については、のちに詳述する。
【0110】
以上の構成の画像記録部40において、用紙Pは、画像記録ドラム41によって所定の搬送経路を搬送される。渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、用紙押えローラ42でニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。次いで、用紙浮き検出センサ43によって、浮きの有無が検出され、その後、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が印刷面に打滴されて、印刷面にカラー画像が描画される。この際、用紙Pは、用紙ガイド機構300によって両縁部分が押えられながら搬送され、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kからインク滴が打滴される。
【0111】
なお、用紙Pの浮きが検出された場合は、搬送が停止される。これにより、浮いた用紙Pが、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのノズル面に接触するのを防止できる。
【0112】
上記のように、本例のインクジェット記録装置10では、各色ともに水性インクが使用される。このような水性インクを用いた場合であっても、上記のように、用紙Pには処理液が塗布されているので、一般の印刷用紙を用いた場合であっても、高品位な印刷を行うことができる。
【0113】
画像が描画された用紙Pは、渡し胴90に受け渡される。そして、渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50の搬送ドラム51に受け渡される。
【0114】
ここで、上記のように、渡し胴90には、その内部にドライヤ94が設置されており、ガイド板92に向けて熱風が吹き出されている。インクの乾燥処理は、後段のインク乾燥部50で行われるが、用紙Pは、この渡し胴90による搬送時にも乾燥処理が施される。
【0115】
なお、図示されていないが、この画像記録部40には、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kのメンテナンスを行うメンテナンス部が備えられており、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kは、必要に応じてメンテナンス部に移動して、所要のメンテナンスができるように構成されている。
【0116】
〈インク乾燥部〉
インク乾燥部50は、画像記録後の用紙Pに残存する液体成分を乾燥させる。このインク乾燥部50は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「インク乾燥ドラム」という。)51と、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに対して乾燥処理を施すインク乾燥装置52とで構成される。
【0117】
インク乾燥ドラム51は、渡し胴90から用紙Pを受け取り(グリッパで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
【0118】
インク乾燥装置52は、たとえば、ドライヤで構成され(本例では用紙Pの搬送経路に沿って配設された3台のドライヤで構成)、インク乾燥ドラム51によって搬送される用紙Pに向けて熱風(たとえば、80℃)を吹き付ける。
【0119】
以上の構成のインク乾燥部50において、用紙Pは、インク乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で印刷面にインク乾燥装置52から熱風が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される(溶媒成分が蒸発除去される。)。
【0120】
インク乾燥装置52を通過した用紙Pは、その後、所定位置でインク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の搬送ドラム61に受け渡される。
【0121】
なお、上記のように、渡し胴100には、その内部にドライヤ104が設置されており、ガイド板102に向けて熱風が吹き出されている。したがって、用紙Pは、この渡し胴100での搬送時にも乾燥処理が施される。
【0122】
〈定着部〉
定着部60は、用紙Pを加熱加圧して、印刷面に画像記録された画像を定着させる。この定着部60は、主として、用紙Pを搬送する搬送ドラム(以下、「定着ドラム」という。)61と、用紙Pの印刷面に紫外線を当てる紫外線照射光源62と、印刷後の用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、印刷された画像を撮像するインラインセンサ64とで構成される。
【0123】
定着ドラム61は、渡し胴100から用紙Pを受け取り(グリッパで用紙Pの先端を把持して受け取る。)、回転して用紙Pを所定の搬送経路に沿って搬送する。
【0124】
紫外線照射光源62は、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの印刷面に紫外線を照射して、処理液とインクとの凝集体を固化させる。
【0125】
インラインセンサ64は、温度計、湿度計、CCDラインセンサ等を備え、定着ドラム61によって搬送される用紙Pの温度、湿度等を検出するとともに、用紙Pに印刷された画像を読み取る。このインラインセンサ64の検出結果に基づいて、装置の異常やヘッドの吐出不良等がチェックされる。
【0126】
以上の構成の定着部60において、用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で紫外線照射光源62から印刷面に紫外線が照射され、処理液とインクとの凝集体が固化される。
【0127】
定着処理が施された用紙Pは、この後、所定位置で定着ドラム61から回収部70へと受け渡される。
【0128】
〈回収部〉
回収部70は、一連の印刷処理が行われた用紙Pをスタッカ71に積み重ねて回収する。この回収部70は、主として、用紙Pを回収するスタッカ71と、定着部60で定着処理された用紙Pを定着ドラム61から受け取り、所定の搬送経路を搬送して、スタッカ71に排紙する排紙コンベア72とで構成される。
【0129】
定着部60で定着処理された用紙Pは、定着ドラム61から排紙コンベア72に受け渡され、その排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に回収される。
【0130】
《制御系》
図2は、本実施の形態のインクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0131】
同図に示すように、インクジェット記録装置10は、システムコントローラ200、通信部201、画像メモリ202、搬送制御部203、給紙制御部204、処理液塗布制御部205、画像記録制御部206、インク乾燥制御部207、定着制御部208、回収制御部209、操作部210、表示部211等を備えている。
【0132】
システムコントローラ200は、インクジェット記録装置10の各部を統括制御する制御手段として機能するとともに、各種演算処理を行う演算手段として機能する。このシステムコントローラ200は、CPU、ROM、RAM等を備えており、所定の制御プログラムに従って動作する。ROMには、このシステムコントローラ200が、実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納されている。
【0133】
通信部201は、所要の通信インターフェースを備え、その通信インターフェースと接続されたホストコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
【0134】
画像メモリ202は、画像データを含む各種データの一時記憶手段として機能し、システムコントローラ200を通じてデータの読み書きが行われる。通信部201を介してホストコンピュータから取り込まれた画像データは、この画像メモリ202に格納される。
【0135】
搬送制御部203は、処理液塗布部30、画像記録部40、インク乾燥部50、定着部60の各部における用紙Pの搬送手段である搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動を制御する。
【0136】
すなわち、各搬送ドラム31、41、51、61を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各搬送ドラム31、41、51、61に備えられた、グリッパの開閉を制御する。
【0137】
同様に各渡し胴80、90、100を駆動するモータの駆動を制御するとともに、各渡し胴80、90、100に備えられた、グリッパの開閉を制御する。
【0138】
また、各搬送ドラム31、41、51、61には、用紙Pを周面に吸着保持する機構が備えられているので、その吸着保持機構の駆動を制御する(本実施の形態では、用紙Pを真空吸着するので、負圧発生手段としての真空ポンプの駆動を制御する。)。
【0139】
また、各渡し胴80、90、100には、ドライヤ84、94、104が備えられているので、その駆動(加熱量と送風量)を制御する。
【0140】
この搬送ドラム31、41、51、61と、渡し胴80、90、100の駆動は、システムコントローラ200からの指令に応じて制御される。
【0141】
給紙制御部204は、システムコントローラ200からの指令に応じて給紙部20を構成する各部(給紙装置21、渡し胴23等)の駆動を制御する。
【0142】
処理液塗布制御部205は、システムコントローラ200からの指令に応じて処理液塗布部30を構成する各部(塗布装置32等)の駆動を制御する。
【0143】
画像記録制御部206は、システムコントローラ200からの指令に応じて画像記録部40を構成する各部(用紙浮き検出センサ43、インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44K、用紙ガイド機構300等)の駆動を制御する。
【0144】
インク乾燥制御部207は、システムコントローラ200からの指令に応じてインク乾燥部50を構成する各部(インク乾燥装置52等)の駆動を制御する。
【0145】
定着制御部208は、システムコントローラ200からの指令に応じて定着部60を構成する各部(紫外線照射光源62、インラインセンサ64等)の駆動を制御する。
【0146】
回収制御部209は、システムコントローラ200からの指令に応じて回収部70を構成する各部(排紙コンベア72等)の駆動を制御する。
【0147】
操作部210は、所要の操作手段(たとえば、操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備えており、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ200に出力する。システムコントローラ200は、この操作部210から入力された操作情報に応じて各種処理を実行する。
【0148】
表示部211は、所要の表示装置(たとえば、LCDパネル等)を備えており、システムコントローラ200からの指令に応じて所要の情報を表示装置に表示させる。
【0149】
上記のように、用紙に記録する画像データは、ホストコンピュータから通信部201を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、画像メモリ202に格納される。システムコントローラ200は、この画像メモリ202に格納された画像データに所要の信号処理を施してドットデータを生成し、生成したドットデータに従って画像記録部40の各インクジェットヘッドの駆動を制御することにより、その画像データが表す画像を用紙に記録する。
【0150】
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置10で使用するインクの各色のインク量データに変換する処理である(本例では、C、M、Y、Kの各色のインク量データに変換する。)。ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色のインク量データに対して誤差拡散等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。
【0151】
システムコントローラ200は、画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って各色のドットデータを生成する。そして、生成した各色のドットデータに従って、対応するインクジェットヘッドの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を用紙に記録する。
【0152】
《印刷動作》
次に、上記のインクジェット記録装置10による印刷動作について概説する。
【0153】
システムコントローラ200から給紙装置21に給紙指令が出力されると、給紙装置21から給紙トレイ22に用紙Pが給紙される。給紙トレイ22に給紙された用紙Pは、渡し胴23を介して処理液塗布部30の処理液塗布ドラム31に受け渡される。
【0154】
処理液塗布ドラム31に受け渡された用紙Pは、処理液塗布ドラム31によって所定の搬送経路を搬送され、その搬送過程で塗布装置32によって印刷面に処理液が塗布される。
【0155】
処理液が塗布された用紙Pは、処理液塗布ドラム31から渡し胴80に受け渡される。そして、その渡し胴80によって所定の搬送経路を搬送されて、画像記録部40の画像記録ドラム41に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴80による搬送過程で渡し胴80の内部に設置されたドライヤ84から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に塗布された処理液が乾燥される。
【0156】
渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、用紙押えローラ42にニップされて、裏面が画像記録ドラム41の外周面に密着される。
【0157】
用紙押えローラ42を通過した用紙Pは、その後、用紙浮き検出センサ43によって浮きの有無が検出される。ここで、用紙Pの浮きが検出されると、搬送が停止される。一方、浮きが検出されない場合は、そのままインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kに向けて搬送される。そして、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kの下を通過する際、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44KからC、M、Y、Kの各色のインク滴が吐出されて、印刷面にカラー画像が描画される。
【0158】
画像が描画された用紙Pは、画像記録ドラム41から渡し胴90に受け渡される。そして、その渡し胴90によって所定の搬送経路を搬送されて、インク乾燥部50のインク乾燥ドラム51に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴90による搬送過程で渡し胴90の内部に設置されたドライヤ94から印刷面に熱気が吹き付けられて、印刷面に付与されたインクが乾燥される。
【0159】
インク乾燥ドラム51に受け渡された用紙Pは、インク乾燥ドラム51によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程でインク乾燥装置52から熱風が印刷面に吹き付けられて、印刷面に残存する液体成分が乾燥される。
【0160】
乾燥処理された用紙Pは、インク乾燥ドラム51から渡し胴100に受け渡される。そして、その渡し胴100によって所定の搬送経路を搬送されて、定着部60の定着ドラム61に受け渡される。用紙Pは、その渡し胴100による搬送過程で渡し胴100の内部に設置されたドライヤ104から印刷面に熱気が吹き付けられ、印刷面に付与されたインクが、さらに乾燥される。
【0161】
定着ドラム61に受け渡された用紙Pは、定着ドラム61によって所定の搬送経路を搬送される。そして、その搬送過程で印刷面に紫外線が照射され、描画された画像が用紙Pに定着される。用紙Pは、この後、定着ドラム61から回収部70の排紙コンベア72に受け渡され、排紙コンベア72によってスタッカ71まで搬送されて、スタッカ71内に排紙される。
【0162】
以上のように、本例のインクジェット記録装置10では、用紙Pをドラム搬送し、その搬送過程で用紙Pに対し、処理液の塗布、乾燥、インク滴の打滴、乾燥、定着の各処理を施して、用紙Pに所定の画像を記録する。
【0163】
《画像記録部における用紙搬送機構の詳細》
図3は、画像記録部の概略構成図である。上記のように、画像記録部40は、用紙Pを搬送する画像記録ドラム41と、その画像記録ドラム41に搬送される用紙Pをニップして、画像記録ドラム41の周面に密着させる用紙押えローラ42と、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの浮きを検出する用紙浮き検出センサ43と、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pにインク滴を吐出するインクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kと、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの両サイドを押える用紙ガイド機構300とを備えて構成される。
【0164】
画像記録ドラム41は、渡し胴80によって搬送される用紙Pを所定の受取位置Aで受け取り、軸回りに回転して、用紙Pを円弧状の搬送経路に沿って搬送する。この際、用紙Pを外周面上に吸着保持して搬送する。すなわち、画像記録ドラム41の周面には、多数の吸着穴が一定のパターンで形成されており、この吸着穴を介して内部から空気を吸引することにより、外周面上に巻き掛けられた用紙Pを吸着保持する。
【0165】
なお、本実施の形態の画像記録ドラム41では、吸着の作動範囲が限定されており、所定の吸着開始位置Bから吸着終了位置Cの範囲でのみ吸着が作動する。ここで、吸着開始位置Bは、受取位置Aから一定距離離れた位置(一定角度回転した位置)に設定され、吸着終了位置Cは渡し胴90に用紙Pを受け渡す位置に設定される。したがって、用紙Pは、受取位置Aから一定距離搬送された後、吸着が開始される。
【0166】
図4に示すように、用紙押えローラ42は、画像記録ドラム41の幅とほぼ同じ幅を有するゴムローラ(外周部がゴムで被覆されたローラ)で構成され、所定のニップ位置に設置される。ニップ位置は受取位置Aの近傍に設置される。本例では吸着開始位置Bに設定されている。また、用紙押えローラ42は、その軸が画像記録ドラム41の軸と平行に設置され、その外周面を画像記録ドラム41の外周面に押圧当接させて設置される。
【0167】
受取位置で画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、吸着開始位置Bまで搬送されると、用紙押えローラ42にニップされて、画像記録ドラム41の外周面に密着される。また、これと同時に吸引が開始される。
【0168】
用紙浮き検出センサ43は、用紙押えローラ42を通過した用紙Pの浮きを検出する。したがって、用紙浮き検出センサ43は、用紙押えローラ42の後段(画像記録ドラム41による用紙Pの搬送方向の下流側)に設置される。
【0169】
図4に示すように、この用紙浮き検出センサ43は、レーザ光を投光するレーザ投光器43Aと、そのレーザ光を受光するレーザ受光器43Bとで構成される。
【0170】
レーザ投光器43Aは、画像記録ドラム41の幅方向の一端から他端に向けて画像記録ドラム41の軸と平行なレーザ光を画像記録ドラム41の外周面から所定高さの位置(浮きの許容範囲の上限の高さの位置)に投光する。
【0171】
レーザ受光器43Bは、画像記録ドラム41による用紙Pの走行経路を挟んでレーザ投光器43Aと対向して配置され、レーザ投光器43Aから投光されたレーザ光を受光する。レーザ受光器43Bは、受光したレーザ光の受光量を検出し、その検出結果をシステムコントローラ200に出力する。
【0172】
システムコントローラ200は、得られた受光量の情報に基づいて、用紙Pの浮きを検出する。すなわち、用紙Pに許容値以上の浮きが生じると、レーザ投光器43Aから投光されるレーザ光が用紙Pに遮られる。この結果、レーザ受光器43Bで受光されるレーザ光の受光量が低下する。システムコントローラ200は、このレーザ受光器43Bで受光されるレーザ光の受光量と閾値とを比較し、受光量が閾値以下になった場合に浮き(許容値以上の浮き)が発生したと判定して、これを検出する。これにより、用紙Pの浮きを検出することができる。
【0173】
システムコントローラ200は、許容値以上の浮きを検出すると、搬送系すべてを停止し、用紙Pの搬送を停止する。これにより、浮いた用紙Pが、インクジェットヘッドのノズル面に接触するのを防止することができる。
【0174】
なお、用紙浮き検出センサ43は、レーザ投光器43Aとレーザ受光器43Bで投光・受光するレーザ光の高さ(画像記録ドラム41の外周面からの高さ)を調整可能に構成される。これにより、用紙Pの厚さ等に応じて、浮きの許容範囲を任意に設定することができる。
【0175】
投光・受光するレーザ光の高さの調整は、たとえば、レーザ投光器43Aとレーザ受光器43Bの設置高さを変えることにより行われる。この他、レーザ投光器43Aとレーザ受光器43Bの前に角度調整可能な透明平行平板(たとえば、硝子平行平板)を設置し、屈折を利用して、投光・受光するレーザ光の高さの調整することもできる(透明平行平板をレーザ光に対して直交して配置すれば、レーザ光は直進するが、傾けて設置することにより、入射時と出射時に屈折して、高さの調整を行うことができる。)。
【0176】
また、レーザ投光器43Aとレーザ受光器43Bの前段にアパーチャを設置することにより、不要な光を排除でき、より高精度な検出を行うことができる。
【0177】
用紙ガイド機構300は、図4に示すように、用紙押えローラ42を通過した用紙Pの幅方向の両縁部分を一対のベルト304、306で押えてガイドする。
【0178】
《用紙ガイド機構の詳細》
[第1の実施の形態]
図4は、用紙ガイド機構の概略構成を示す斜視図である。また、図5は、用紙ガイド機構の概略構成を示す平面図であり、図6は、図5の6−6断面図である。
【0179】
〈用紙ガイド機構の構成〉
用紙ガイド機構300は、一対のベルト304、306と、一対のベルト304、306の設置間隔を調整する間隔調整機構310と、一対のベルト304、306の張力を調整する張力調整機構360とを備えて構成される。
【0180】
一対のベルト304、306は、所定幅の帯状に形成され、その長手方向に湾曲可能に形成される。この一対のベルト304、306は、画像記録ドラム41の外周に巻き掛けられて設置される。
【0181】
画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pは、この一対のベルト304、306によって両縁部を押えられて搬送される。
【0182】
なお、一対のベルト304、306は、画像記録ドラム41の外周に巻き掛けられて設置されることから、その内側面(画像記録ドラム41の外周に接する面)は、高い摺動性を持たせることが好ましい。すなわち、少なくとも内側面は、摩擦抵抗が少なく、磨耗を低減できる素材(たとえば、テフロン(登録商標))で形成することが好ましい。なお、ベルト自体を摩擦抵抗の少ない素材で形成することもできるが、強度が不足する場合には、強度の高い素材と組み合わせて形成してもよい。あるいは、強度の高い素材をベースとし、その表面を摩擦抵抗の少ない素材でコーティングして形成してもよい。たとえば、薄い金属板に摩擦抵抗の低い素材をコーティング(テフロンコート、フッ素コートなど)して形成することができる。
【0183】
なお、以下、必要に応じて、一方のベルト304を第1ベルト304と呼び、他方のベルト306を第2ベルト306と呼ぶ。
【0184】
間隔調整機構310は、一対のベルト304、306を画像記録ドラム41の幅方向に移動可能に支持して、その設置間隔を調整可能に支持する。この間隔調整機構310は、主として、第1ベルト304の前端(搬送方向上流側の端部)を支持する第1ベルト前端支持コマ312と、第2ベルト306の前端を支持する第2ベルト前端支持コマ314と、第1ベルト304の後端(搬送方向下流側の端部)を支持する第1ベルト後端支持コマ316と、第2ベルト306の後端を支持する第2ベルト後端支持コマ318と、第1ベルト前端支持コマ312及び第2ベルト前端支持コマ314を画像記録ドラム41の幅方向に移動可能に支持する前端ガイドフレーム320と、第1ベルト後端支持コマ316及び第2ベルト後端支持コマ318を画像記録ドラム41の幅方向に移動可能に支持する後端ガイドフレーム322と、第1ベルト前端支持コマ312及び第2ベルト前端支持コマ314を画像記録ドラム41の幅方向に移動させるための前端ガイド用ネジ棒324と、第1ベルト後端支持コマ316及び第2ベルト後端支持コマ318を画像記録ドラム41の幅方向に移動させるための後端ガイド用ネジ棒326と、前端ガイド用ネジ棒324を回転させる前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328と、後端ガイド用ネジ棒326を回転させる後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330とで構成される。
【0185】
第1ベルト前端支持コマ312は、矩形のブロック状に形成され、その下面に第1ベルト304の前端が固定される。この第1ベルト前端支持コマ312には、第1ベルト304の長手方向(=搬送方向=画像記録ドラム41の幅方向に直交する方向)に直交してネジ穴312Aが形成される。後述するように、このネジ穴312Aには、前端ガイド用ネジ棒324が螺合される。また、この第1ベルト前端支持コマ312の背面(画像記録ドラム41に面する面と反対側の面)には、ガイド部312Bが形成される。後述するように、このガイド部312Bが、前端ガイドフレーム320によって画像記録ドラム41の幅方向にガイドされる。
【0186】
第2ベルト前端支持コマ314は、矩形のブロック状に形成され、その下面に第2ベルト306の前端が固定される。この第2ベルト前端支持コマ314には、第2ベルト306の長手方向(=搬送方向=画像記録ドラム41の幅方向に直交する方向)に直交してネジ穴314Aが形成される。後述するように、このネジ穴314Aには、前端ガイド用ネジ棒324が螺合される。また、この第1ベルト前端支持コマ312の背面(画像記録ドラム41に面する面と反対側の面)には、ガイド部314Bが形成される。後述するように、このガイド部314Bが、前端ガイドフレーム320によって画像記録ドラム41の幅方向にガイドされる。
【0187】
第1ベルト後端支持コマ316は、矩形のブロック状に形成され、その下面に第1ベルト304の後端が固定される。この第1ベルト後端支持コマ316には、第1ベルト304の長手方向に直交してネジ穴316Aが形成される。後述するように、このネジ穴316Aには、後端ガイド用ネジ棒326が螺合される。また、この第1ベルト後端支持コマ316の背面(画像記録ドラム41に面する面と反対側の面)には、ガイド部316Bが形成される。後述するように、このガイド部316Bが、後端ガイドフレーム322によって画像記録ドラム41の幅方向にガイドされる。
【0188】
第2ベルト後端支持コマ318は、矩形のブロック状に形成され、その下面に第2ベルト306の後端が固定される。この第2ベルト後端支持コマ318には、第2ベルト306の長手方向に直交してネジ穴318Aが形成される。後述するように、このネジ穴318Aには、後端ガイド用ネジ棒326が螺合される。また、この第2ベルト後端支持コマ318の背面(画像記録ドラム41に面する面と反対側の面)には、ガイド部318Bが形成される。後述するように、このガイド部318Bが、後端ガイドフレーム322によって画像記録ドラム41の幅方向にガイドされる。
【0189】
前端ガイドフレーム320は、画像記録ドラム41の搬送方向上流側に設置され、第1ベルト前端支持コマ312及び第2ベルト前端支持コマ314を画像記録ドラム41の幅方向に移動可能に支持する。この前端ガイドフレーム320は、長尺状のプレートの両端部を直角に屈曲させてコの字状に形成され、その長尺状に形成された本体部320Aが画像記録ドラム41の軸と平行に設置される。
【0190】
前端ガイドフレーム320の両端に形成された屈曲部320Bは、前端ガイドフレーム320の支持部とされ、この屈曲部320Bには長手方向と平行に支持穴332が貫通して形成される。後述するように、この支持穴332には前端ガイド用ネジ棒324が挿通される。前端ガイドフレーム320は、この支持穴332に前端ガイド用ネジ棒324が挿通されることにより、前端ガイド用ネジ棒324に取り付けられる。
【0191】
また、前端ガイドフレーム320の本体部320Aには、第1ベルト前端支持コマ312をガイドする第1ベルト前端ガイド穴334と、第2ベルト前端支持コマ314をガイドする第2ベルト前端ガイド穴336とが形成される。第1ベルト前端ガイド穴334と第2ベルト前端ガイド穴336は、ともに前端ガイドフレーム320の本体部320Aの長手方向に沿ってスリット状に形成され、前端ガイドフレーム320の幅方向の中心に対して左右対称に形成される。
【0192】
第1ベルト前端支持コマ312に形成されたガイド部312Bは、この前端ガイドフレーム320の本体部320Aに形成された第1ベルト前端ガイド穴334にガイドされて、画像記録ドラム41の軸方向に移動自在に支持される。また、第2ベルト前端支持コマ314に形成されたガイド部314Bは、この前端ガイドフレーム320の本体部320Aに形成された第2ベルト前端ガイド穴336にガイドされて、画像記録ドラム41の軸方向に移動自在に支持される。
【0193】
なお、このように第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314は、ガイド部312B、314Bが、第1ベルト前端ガイド穴334と第2ベルト後端ガイド穴342にガイドされて、画像記録ドラム41の軸方向に移動自在に支持されることから、ガイド部312B、314Bは、ともに第1ベルト前端ガイド穴334と第2ベルト後端ガイド穴342に沿って摺動可能な形状に形成される。
【0194】
後端ガイドフレーム322は、画像記録ドラム41の搬送方向下流側に設置され、第1ベルト後端支持コマ316及び第2ベルト後端支持コマ318を画像記録ドラム41の幅方向に移動可能に支持する。この後端ガイドフレーム322は、長尺状のプレートの両端部を直角に屈曲させてコの字状に形成され、その長尺状に形成された本体部322Aが画像記録ドラム41の軸と平行に設置される。
【0195】
後端ガイドフレーム322の両端に形成された屈曲部322Bは、後端ガイドフレーム322の支持部とされ、この屈曲部322Bには長手方向と平行に支持穴338が貫通して形成される。後述するように、この支持穴338には後端ガイド用ネジ棒326が挿通される。後端ガイドフレーム322は、この支持穴338に後端ガイド用ネジ棒326が挿通されることにより、後端ガイド用ネジ棒326に取り付けられる。
【0196】
また、後端ガイドフレーム322の本体部322Aには、第1ベルト後端支持コマ316をガイドする第1ベルト後端ガイド穴340と、第2ベルト後端支持コマ318をガイドする第2ベルト後端ガイド穴342とが形成される。第1ベルト後端ガイド穴340と第2ベルト後端ガイド穴342は、ともに後端ガイドフレーム322の本体部322Aの長手方向に沿ってスリット状に形成され、後端ガイドフレーム322の幅方向の中心に対して左右対称に形成される。
【0197】
第1ベルト後端支持コマ316に形成されたガイド部316Bは、この後端ガイドフレーム322の本体部322Aに形成された第1ベルト後端ガイド穴340にガイドされて、画像記録ドラム41の軸方向に移動自在に支持される。また、第2ベルト後端支持コマ318に形成されたガイド部318Bは、この後端ガイドフレーム322の本体部322Aに形成された第2ベルト後端ガイド穴342にガイドされて、画像記録ドラム41の軸方向に移動自在に支持される。
【0198】
なお、このように第1ベルト後端支持コマ316と第2ベルト後端支持コマ318は、ガイド部316B、318Bが、第1ベルト後端ガイド穴340と第2ベルト後端ガイド穴342にガイドされて、画像記録ドラム41の軸方向に移動自在に支持されることから、ガイド部316B、318Bは、ともに第1ベルト後端ガイド穴340と第2ベルト後端ガイド穴342に沿って摺動可能な形状に形成される。
【0199】
前端ガイド用ネジ棒324は、画像記録ドラム41の軸と平行になるようにして、画像記録ドラム41の搬送方向上流側に設置される。この前端ガイド用ネジ棒324は、一端が前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328の出力軸に接続され、他端がインクジェット記録装置10の本体フレーム(不図示)に取り付けられた軸受344に回動自在に支持される。
【0200】
前端ガイド用ネジ棒324には、第1ベルト前端支持コマ312を画像記録ドラム41の軸方向に移動させる第1ベルト前端ガイド用ネジ部346と、第2ベルト前端支持コマ314を画像記録ドラム41の軸方向に移動させる第2ベルト前端ガイド用ネジ部348とが形成される。第1ベルト前端ガイド用ネジ部346と第2ベルト前端ガイド用ネジ部348とは、前端ガイド用ネジ棒324の中心に対して対称に形成され、互いにネジ山の向きが逆になるように形成される。
【0201】
第1ベルト前端支持コマ312に形成されたネジ穴312Aは、この前端ガイド用ネジ棒324の第1ベルト前端ガイド用ネジ部346に螺合され、第2ベルト前端支持コマ314に形成されたネジ穴314Aは、この前端ガイド用ネジ棒324の第2ベルト前端ガイド用ネジ部348に螺合される。
【0202】
第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314は、この前端ガイド用ネジ棒324を回転させることにより、画像記録ドラム41の軸方向に移動する。この際、第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314は、第1ベルト前端ガイド用ネジ部346と第2ベルト前端ガイド用ネジ部348とが互いにネジ山の向きが逆向きに形成されていることにより、互いに逆方向に移動する。すなわち、互いに近づく方向、又は、互いに離れる方向に移動する。
【0203】
なお、上記のように、前端ガイドフレーム320は、その両端の屈曲部320Bに形成された支持穴332に前端ガイド用ネジ棒324が挿通されることにより、前端ガイド用ネジ棒324に取り付けられる。前端ガイド用ネジ棒324に取り付けられた前端ガイドフレーム320は、前端ガイド用ネジ棒324の軸回りに揺動可能に支持される。
【0204】
後端ガイド用ネジ棒326は、画像記録ドラム41の軸と平行になるようにして、画像記録ドラム41の搬送方向下流側に設置される。この後端ガイド用ネジ棒326は、一端が後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330の出力軸に接続され、他端がインクジェット記録装置10の本体フレーム(不図示)に取り付けられた軸受350に回動自在に支持される。
【0205】
後端ガイド用ネジ棒326には、第1ベルト後端支持コマ316を画像記録ドラム41の軸方向に移動させる第1ベルト後端ガイド用ネジ部352と、第2ベルト後端支持コマ318を画像記録ドラム41の軸方向に移動させる第2ベルト後端ガイド用ネジ部354とが形成される。第1ベルト後端ガイド用ネジ部352と第2ベルト後端ガイド用ネジ部354とは、後端ガイド用ネジ棒326の中心に対して対称に形成され、互いにネジ山の向きが逆になるように形成される。
【0206】
第1ベルト後端支持コマ316に形成されたネジ穴316Aは、この後端ガイド用ネジ棒326の第1ベルト後端ガイド用ネジ部352に螺合され、第2ベルト後端支持コマ318に形成されたネジ穴318Aは、この後端ガイド用ネジ棒326の第2ベルト後端ガイド用ネジ部354に螺合される。
【0207】
第1ベルト後端支持コマ316と第2ベルト後端支持コマ318は、この後端ガイド用ネジ棒326を回転させることにより、画像記録ドラム41の軸方向に移動する。この際、第1ベルト後端支持コマ316と第2ベルト後端支持コマ318は、第1ベルト後端ガイド用ネジ部352と第2ベルト後端ガイド用ネジ部354とが互いにネジ山の向きが逆向きに形成されていることにより、互いに逆方向に移動する。すなわち、互いに近づく方向、又は、互いに離れる方向に移動する。
【0208】
なお、上記のように、後端ガイドフレーム322は、その両端の屈曲部322Bに形成された支持穴338に後端ガイド用ネジ棒326が挿通されることにより、後端ガイド用ネジ棒326に取り付けられる。後端ガイド用ネジ棒326に取り付けられた後端ガイドフレーム322は、後端ガイド用ネジ棒326の軸回りに揺動可能に支持される。
【0209】
前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328は、図示しないブラケットを介してインクジェット記録装置10の本体フレーム(不図示)に取り付けられる。上述したように、前端ガイド用ネジ棒324の一端は、この前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328の出力軸に接続される。したがって、この前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328を駆動することにより、前端ガイド用ネジ棒324が回転する。そして、この前端ガイド用ネジ棒324が回転することにより、第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314とが画像記録ドラム41の軸方向に移動する。
【0210】
前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328の駆動は、画像記録制御部206を介してシステムコントローラ200に制御される。
【0211】
後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330は、図示しないブラケットを介してインクジェット記録装置10の本体フレーム(不図示)に取り付けられる。上述したように、後端ガイド用ネジ棒326の一端は、この後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330の出力軸に接続される。したがって、この後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330を駆動することにより、後端ガイド用ネジ棒326が回転する。そして、この後端ガイド用ネジ棒326が回転することにより、第1ベルト後端支持コマ316と第2ベルト後端支持コマ318とが画像記録ドラム41の軸方向に移動する。
【0212】
後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330の駆動は、画像記録制御部206を介してシステムコントローラ200に制御される。
【0213】
間隔調整機構310は、以上のように構成される。一対のベルト304、306は、前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328及び後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330を駆動して、前端ガイド用ネジ棒324及び後端ガイド用ネジ棒326を回転させることにより、画像記録ドラム41の軸方向(幅方向)に沿ってスライド移動し、その間隔が拡縮する。
【0214】
なお、このように、一対のベルト304、306は、前端ガイド用ネジ棒324と後端ガイド用ネジ棒326を回転させることにより、その間隔を拡縮させるので、第1ベルト前端支持コマ312と第1ベルト後端支持コマ316は、その取り付けに際して、画像記録ドラム41の軸方向の同じ位置に位置するように取り付ける。第2ベルト前端支持コマ314と第2ベルト後端支持コマ318についても同様に画像記録ドラム41の軸方向の同じ位置に位置するように取り付ける。これにより、一対のベルト304、306が、画像記録ドラム41の軸に対して直交する姿勢で装着される。
【0215】
また、前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328と後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330は、その駆動に際して、同期して駆動する。これにより、第1ベルト前端支持コマ312と第1ベルト後端支持コマ316、及び、第2ベルト前端支持コマ314と第2ベルト後端支持コマ318が、互いに同期して移動し、一対のベルト304、306が、画像記録ドラム41の軸に対して直交する姿勢を保持したまま、その間隔が拡縮する。
【0216】
張力調整機構360は、前端ガイドフレーム320を前端ガイド用ネジ棒324の軸周りに揺動させることにより、ベルト304、306の張力を調整する。この張力調整機構360は、主として、アーム362と、クランク364と、テンション用モータ366とで構成される。
【0217】
図4に示すように、前端ガイドフレーム320の一方の屈曲部320Bには、アーム362と連結するための連結部320Cが形成されている。
【0218】
連結部320Cは、図7に示すように、矩形の板状片として形成され、屈曲部320Bの下縁部から下方に向けて延びるように形成されている。前端ガイドフレーム320は、この連結部320Cを揺動させることにより、前端ガイド用ネジ棒324の回りを揺動する。
【0219】
アーム362は、一定長さを有する棒状に形成され、一端が連結部320Cとピン368を介して連結される。ピン368は、画像記録ドラム41の軸と平行に設けられ、アーム362と連結部320Cは、このピン368を中心に互いに回動可能に連結される。
【0220】
クランク364は、一定長さを有する棒状に形成され、先端がアーム362の他端とピン370を介して連結される。ピン370は、画像記録ドラム41の軸と平行の設けられ、クランク364とアーム362は、このピン370を中心に互いに回動可能に連結される。
【0221】
テンション用モータ366は、図示しないブラケットを介してインクジェット記録装置10の本体フレーム(不図示)に取り付けられる。このテンション用モータ366は、出力軸が画像記録ドラム41の軸と平行になるようにして、本体フレームに取り付けられ、その出力軸にクランク364の基端部が固定される。クランク364は、このテンション用モータ366を駆動することにより回転(揺動)する。
【0222】
張力調整機構360は、以上のように構成される。テンション用モータ366を駆動して、クランク364を揺動させると、図8に示すように、アーム362が前後にスイングする。そして、このアーム362が前後にスイングすることにより、連結部320Cが押し引きされて揺動し、この結果、前端ガイドフレーム320が、前端ガイド用ネジ棒324の回りを揺動する。
【0223】
前端ガイドフレーム320が、前端ガイド用ネジ棒324の回りを揺動と、その前端ガイドフレーム320に設けられた第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314とが、前端ガイド用ネジ棒324の回りを揺動する。この結果、第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314に固定された第1ベルト304と第2ベルト306とが押し引きされ、張力が調整される。
【0224】
なお、張力を上げる場合は、アーム362を画像記録ドラム41から離れる方向に引き(図8(b))、張力を下げる場合は、アーム362を画像記録ドラム41に向かう方向に押す。
【0225】
テンション用モータ366の駆動は、画像記録制御部206を介してシステムコントローラ200に制御される。システムコントローラ200は、用紙Pの種類(紙厚等)に応じて、所定の張力になるようにテンション用モータ366の駆動を制御する。
【0226】
〈用紙ガイド機構の作用〉
用紙ガイド機構300は、一対のベルト304、306によって、画像記録ドラム41によって搬送される用紙Pの両縁部を押えて、用紙Pに浮きが生じないようにガイドする。
【0227】
前段の渡し胴80から画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、まず、用紙押えローラ42でニップされる。この用紙押えローラ42は、画像記録ドラム41の周面に押圧当接されているので、剛性の強い用紙P(厚紙等)を搬送している場合であっても、用紙押えローラ42は浮くことはなく、常に画像記録ドラム41に用紙Pを密着させることができる。
【0228】
用紙Pは、この用紙押えローラ42による押圧と同時に画像記録ドラム41に吸引される。これにより、画像記録ドラム41の外周面に密着される。
【0229】
用紙押えローラ42を通過した用紙Pは、その後、ベルト304、306と画像記録ドラム41との間に進入する。ベルト304、306には、一定の張力が掛けられており、用紙Pは、この一定の張力が掛けられたベルト304、306によって両縁部が押えられた状態で搬送される。
【0230】
そして、このベルト304、306によって両縁部が押えられた状態で用紙Pは用紙浮き検出センサ43によって浮きが検出され、その後、各インクジェットヘッド44C、44M、44Y、44Kから印刷面にインク滴が吐出される。このように、用紙Pの両縁部をベルト304、306で押えながら搬送し、インクの打滴が行われるので、浮きが発生することがなく、高品質な画像を描画することができる。
【0231】
なお、用紙Pの浮きが検出された場合は、搬送系すべてが停止される。
【0232】
画像が描画された用紙Pは、その後、所定の所定位置(吸着終了位置C)で渡し胴90に受け渡され、渡し胴90にてインク乾燥部50へと搬送される。
【0233】
なお、用紙ガイド機構300による用紙Pのガイドは、ベルト304、306の巻き掛け範囲でのみ作用し、ベルト304、306の巻き掛け範囲を通過すると、用紙Pは、ベルト304、306による押えから開放される。
【0234】
このように、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、画像記録部40で用紙Pをドラム搬送する際、用紙Pの両縁部を一対のベルト304、306で押えながら搬送する。これにより、用紙Pの浮き、特に用紙Pの後端コーナー部で生じる浮きを効果的に防止でき、用紙Pを安定して搬送することができる。この結果、高品質な画像を安定して記録することができる。
【0235】
また、厚手の用紙Pを搬送する場合であっても、吸引力を変えることなく、用紙Pの浮きを防止できるので、吸引力の調整機構や、高い吸引力を得るためのポンプ等も設ける必要がなく、全体の構成を簡素化することができる。
【0236】
また、比較的弱い吸着でも浮きを防止できるので、薄手の用紙Pを搬送した場合であっても、シワやエア抜けによるインク集中等が発生させることなく、搬送することができる。その一方で厚手の用紙Pを搬送した場合であっても、用紙Pに浮きを発生させることなく、安定して搬送することができる。
【0237】
なお、図9に示すように、一対のベルト304、306は、用紙Pのサイズに合わせて、その設置間隔を調整する。この際、一対のベルト304、306は、用紙Pの両縁部に一定の幅をもって形成される非描画領域(図9において用紙Pの両縁部に表された斜線領域)を押えるように設置する。すなわち、一般に、描画は用紙Pの幅方向の全域にわたって行われるのではなく、用紙Pの幅方向の両端部の一定の幅領域を非描画領域とし、この非描画領域を除く領域(描画領域)に対して行われるので、この用紙Pの幅方向の両端部に一定の幅をもって形成される非描画領域内で用紙Pを押える構成とする。これにより、描画を阻害することなく、用紙Pを押えることができる。
【0238】
なお、このようにベルト304、306は、非描画領域を押えるので、その幅は非描画領域の幅よりも狭い幅で形成することが好ましい。また、ベルト304、306の幅を非描画領域の幅よりも広く形成する場合は、そのベルト304、306の内側の縁部が、描画領域にかからないように設置する。
【0239】
また、上記のように、用紙Pは、ベルト304、306によって両縁部が押えられた状態で用紙浮き検出センサ43によって浮きが検出される。したがって、ベルト304、306の厚さは、用紙Pの厚さと合わせて、用紙Pの浮きの許容値以下となるように設定される。すなわち、用紙Pを押えているときのベルト304、306の上面までの高さ(画像記録ドラム41の外周面からの高さ)が、用紙Pの浮きの許容値以下となるような厚さに設定される。これにより、誤検出を生じさせることなく、用紙Pの浮きを検出することができる。
【0240】
一対のベルト304、306の間隔の調整は、前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328及び後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330を駆動して、前端ガイド用ネジ棒324及び後端ガイド用ネジ棒326を回転させることにより行われる。
【0241】
システムコントローラ200は、用紙Pのサイズ情報を取得し、取得したサイズに応じて自動的に一対のベルト304、306の間隔を調整する。すなわち、各種用紙のサイズに応じたベルト304、306の設置位置の情報をあらかじめテーブル等で保持(ROM等に記録)しておき、この情報を参照して自動的に間隔を調整する。用紙Pのサイズの情報は、オペレータが手動で入力するようにしてもよいし、また、センサ等を設けて自動的に検出するようにしてもよい。
【0242】
また、本実施の形態の用紙ガイド機構300は、一対のベルト304、306の張力を調整できるが、その張力は用紙Pの種類(紙厚、紙種等)に応じて設定する。これにより、適切に用紙Pを押えることができる。この際、用紙Pは、その紙厚が厚くなるほど、張力が大きくなるように設定する。
【0243】
システムコントローラ200は、用紙Pの種類の情報を取得し、取得した種類の情報に応じて自動的に一対のベルト304、306の張力を調整する。すなわち、各種用紙の種類に応じた張力の情報をあらかじめテーブル等で保持(ROM等に記録)しておき、この情報を参照して自動的に張力を調整する。用紙Pの種類の情報は、オペレータが手動で入力するようにしてもよいし、また、センサ等を設けて自動的に検出するようにしてもよい。
【0244】
なお、ベルト304、306の間隔の調整、張力の調整は、印刷開始前に行われ、次のように実施される。
【0245】
まず、テンション用モータ366が駆動され、ベルト304、306に掛けられる張力が、一定の間隔調整用の張力に設定される。この間隔調整用の張力は、ベルト304、306を移動可能な値に設定される。
【0246】
次に、画像記録ドラム41を駆動するモータ(不図示)が駆動され、画像記録ドラム41が回転駆動される。
【0247】
次に、用紙Pのサイズ情報に基づいて、前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328及び後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330が駆動され、ベルト304、306の間隔が調整される。すなわち、ベルト304、306が、用紙Pの非描画領域に位置するように調整される。
【0248】
次に、用紙Pの種類の情報(主として厚さ情報)に基づいて、テンション用モータ366が駆動され、ベルト304、306の張力が次第に上げられる。そして、用紙Pの種類に応じた張力に達したところで、テンション用モータ366の駆動が停止される。
【0249】
以上により、一対のベルト304、306の間隔調整、張力調整が完了する。この後、用紙Pの給紙が開始され、印刷が開始される。
【0250】
このように、一対のベルト304、306は、徐々に張力を上げて、規定の張力(用紙Pの厚さ等に応じた張力)に設定される。
【0251】
[第2の実施の形態]
図10は、用紙ガイド機構の第2の実施の形態の概略構成を示す平面図である。
【0252】
同図に示すように、本実施の形態の用紙ガイド機構は、各ベルトの支持コマ(第1ベルト前端支持コマ312、第1ベルト後端支持コマ316、第2ベルト前端支持コマ314、第2ベルト後端支持コマ318)を個別に移動させる構成としている。
【0253】
すなわち、各支持コマに対して個別にガイド用ネジ棒が設けられるとともに、各ガイド用ネジ棒に対して個別にガイド用ネジ棒駆動モータが設けられ、個別に支持コマを移動させることができるように構成されている。具体的には、以下の構成とされている。
【0254】
図10に示すように、第1ベルト304の前端に固定される第1ベルト前端支持コマ312は、第1ベルト前端ガイド用ネジ棒324Aに取り付けられる。第1ベルト前端ガイド用ネジ棒324Aは、第1ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328Aの出力軸に連結される。第1ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328Aは、図示しない本体フレームに取り付けられている。この第1ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328Aを駆動することにより、第1ベルト前端ガイド用ネジ棒324Aが回転し、第1ベルト前端支持コマ312が画像記録ドラム41の幅方向に移動する。
【0255】
第2ベルト306の前端に固定される第2ベルト前端支持コマ314は、第2ベルト前端ガイド用ネジ棒324Bに取り付けられる。第2ベルト前端ガイド用ネジ棒324Bは、第2ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328Bの出力軸に連結される。第2ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328Bは、図示しない本体フレームに取り付けられている。この第2ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328Bを駆動することにより、第2ベルト前端ガイド用ネジ棒324Bが回転し、第2ベルト前端支持コマ314が画像記録ドラム41の幅方向に移動する。
【0256】
第1ベルト304の後端に固定される第1ベルト後端支持コマ316は、第1ベルト後端ガイド用ネジ棒326Aに取り付けられる。第1ベルト後端ガイド用ネジ棒326Aは、第1ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330Aの出力軸に連結される。第1ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330Aは、図示しない本体フレームに取り付けられている。この第1ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330Aを駆動することにより、第1ベルト後端ガイド用ネジ棒326Aが回転し、第1ベルト後端支持コマ316が画像記録ドラム41の幅方向に移動する。
【0257】
第2ベルト306の後端に固定される第2ベルト前端支持コマ314は、第2ベルト後端ガイド用ネジ棒326Bに取り付けられる。第2ベルト後端ガイド用ネジ棒326Bは、第2ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330Bの出力軸に連結される。第2ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330Bは、図示しない本体フレームに取り付けられている。この第2ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータ330Bを駆動することにより、第2ベルト後端ガイド用ネジ棒326Bが回転し、第2ベルト前端支持コマ314が画像記録ドラム41の軸方向に移動する。
【0258】
このように、各ベルトの支持コマ(第1ベルト前端支持コマ312、第1ベルト後端支持コマ316、第2ベルト前端支持コマ314、第2ベルト後端支持コマ318)を個別に移動させる構成とすることもできる。
【0259】
なお、本例では、ベルトの前後でガイドフレーム(前端ガイドフレーム320、後端ガイドフレーム322)を共用しているが、ガイドフレームについても、支持コマごとに個別に設ける構成とすることもできる。この場合、張力調整機構はベルトごとに設ける構成となる。
【0260】
[第3の実施の形態]
〈構成〉
図11、12は、それぞれ用紙ガイド機構の第3の実施の形態の概略構成を示す斜視図と平面図である。
【0261】
同図に示すように、本例の用紙ガイド機構は、各ベルトの後端側(用紙の搬送方向下流側)の支持コマ(第1ベルト後端支持コマ、第2ベルト後端支持コマ)が、ガイドレールによって画像記録ドラムの軸方向にスライド自在に支持される。
【0262】
なお、このベルトの後端部の支持構造が異なる点以外は、上述した第1の実施の形態の用紙ガイド機構とほぼ同じ構成なので、ここでは、各ベルトの後端部の支持構成についてのみ説明する。
【0263】
図11及び図12に示すように、画像記録ドラム41の下流側には、画像記録ドラム41の軸と平行にガイドレール400が配設される。
【0264】
ガイドレール400は、矩形の棒状に形成され、その長手方向に沿ってガイド溝402が形成される。ガイド溝402は、断面凸字状に形成され、開口部が絞られて形成される。このガイドレール400は、両端部をインクジェット記録装置の本体フレーム(不図示)に固定されて、所定位置に設置される。
【0265】
第1ベルト304の後端部に固定される第1ベルト後端支持コマ410は、ガイドレール400のガイド溝402に係合し、そのガイド溝内を摺動する摺動部412と、摺動部412に一体的に設けられ、第1ベルト304の後端部が固定されて連結されるベルト固定部414とで構成される。
【0266】
摺動部412は、ガイド溝402に遊嵌し、ガイド溝402の内部を摺動する。この摺動部412は、ガイド溝402から外れることがないように、ガイド溝402の開口部の幅の寸法が、開口部の幅よりも大きく形成される。また、容易に摺動できるように、ガイド溝402の深さ方向の寸法が、ガイド溝402の深さよりも小さく形成される。
【0267】
ベルト固定部414は、摺動部412の幅方向の中央部に設けられ、摺動部412の幅方向と直交する方向に突出して設けられる。このベルト固定部414は、第1ベルト304の幅とほぼ同じ幅をもって形成される。また、ガイド溝402の開口部から突出できるように、ガイド溝402の開口部の幅よりも薄く形成される。第1ベルト304の後端部は、このベルト固定部414に固定される。
【0268】
第2ベルト306の後端部に固定される第2ベルト後端支持コマ420も同様の構成である。すなわち、ガイドレール400のガイド溝402に係合し、そのガイド溝内を摺動する摺動部422と、摺動部422に一体的に設けられ、第2ベルト306の後端部が固定されて連結されるベルト固定部424とで構成される。
【0269】
摺動部422は、ガイド溝402に遊嵌し、ガイド溝402の内部を摺動する。この摺動部422は、ガイド溝402から外れることがないように、ガイド溝402の開口部の幅の寸法が、開口部の幅よりも大きく形成される。また、容易に摺動できるように、ガイド溝402の深さ方向の寸法が、ガイド溝402の深さよりも小さく形成される。
【0270】
ベルト固定部424は、摺動部422の幅方向の中央部に設けられ、摺動部422の幅方向と直交する方向に突出して設けられる。このベルト固定部424は、第2ベルト306の幅とほぼ同じ幅をもって形成される。また、ガイド溝402の開口部から突出できるように、ガイド溝402の開口部の幅よりも薄く形成される。第2ベルト306の後端部は、このベルト固定部414に固定される。
【0271】
〈作用〉
以上のように構成される本実施の形態の用紙ガイド機構によるベルト304、306の間隔の調整は、次のように行われる。
【0272】
まず、テンション用モータ366が駆動され、ベルト304、306に掛けられる張力が、一定の間隔調整用の張力に設定される。この間隔調整用の張力は、ベルト304、306を移動させることが可能な値に設定される。
【0273】
次に、画像記録ドラム41を駆動するモータ(不図示)が駆動され、画像記録ドラム41が回転駆動される。
【0274】
次に、用紙Pのサイズ情報に基づいて、前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328が駆動される。前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328が駆動されると、第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314とが互いに逆方向に移動し、そこ間隔が調整される。
【0275】
ここで、第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314に連結されたベルト304、306には、所定の張力が付与されているので、第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314を移動させると、それに倣うようにして、第1ベルト後端支持コマ410と第2ベルト後端支持コマ420が、ガイドレール400に沿って画像記録ドラム41の幅方向に移動する。すなわち、前端側のみ移動させることによって生じる捩れを矯正するように、自動的に後端部が同位置に追従する。
【0276】
上記のように、ベルト304、306の間隔は、用紙Pに合わせて設定され、ベルト304、306が、用紙Pの非描画領域を押えるように設定される。
【0277】
ベルト304、306が用紙Pの非描画領域を押える位置に第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314が移動すると、前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328の駆動が停止される。
【0278】
この後、用紙Pの種類の情報(主として厚さ情報)に基づいて、テンション用モータ366が駆動され、ベルト304、306の張力が次第に上げられる。そして、用紙Pの種類に応じた張力に達したところで、テンション用モータ366の駆動が停止される。
【0279】
以上により、一対のベルト304、306の間隔調整が完了する。この後、用紙Pの給紙が開始され、印刷が開始される。
【0280】
このように、本実施の形態の用紙ガイド機構では、各ベルト304、306の後端部を移動自在に支持し、前端側の移動に追従させて、所定位置に移動させる。これにより、構成を簡素化することができる。
【0281】
なお、このように本実施の形態の用紙ガイド機構は、ベルト304、306の捩れを矯正する作用を利用して、ベルト304、306を所定位置に移動させる構成であるので、その移動が容易に行うことができるように、画像記録ドラム41に巻き掛ける角度等を調整することが好ましい。
【0282】
また、第1ベルト後端支持コマ及び第2ベルト後端支持コマについても、ガイドレールに沿ってスムーズに摺動させることができるようにすることが好ましい。たとえば、図13に示すように、ガイド溝内を摺動する摺動部412(422)は、ガイド溝402の内壁面と接触する部分を円弧状に形成し、摺動抵抗を低減する。より具体的には、ガイド溝402の開口部側の内壁面に接触する面を円弧状に形成する(連結部を挟んで左右対称になるように、両肩部分を円弧状に形成する。)。これにより、ベルト304(306)に引かれて、ガイド溝内を左右に摺動する際、スムーズに摺動させることができる。この他、摺動部を球状(楕円を含む)に形成することによっても同様の効果を得ることができる。
【0283】
なお、本実施の形態の用紙ガイド機構も上記第2の実施の形態の用紙ガイド機構と同様に、各ベルトの支持コマ(第1ベルト前端支持コマ、第1ベルト後端支持コマ、第2ベルト前端支持コマ、第2ベルト後端支持コマ)を個別に移動させる構成とすることもできる。
【0284】
[第4の実施の形態]
〈構成〉
図14は、用紙ガイド機構の第4の実施の形態の概略構成を示す平面図である。
【0285】
同図に示すように、本例の用紙ガイド機構は、ガイド棒に沿って第1ベルト後端支持コマと第2ベルト後端支持コマとをスライド自在に支持する点で上述した第3の実施の形態の用紙ガイド機構と相違する。
【0286】
なお、この点以外は、上述した第3の実施の形態の用紙ガイド機構とほぼ同じ構成なので、ここでは、各ベルトの後端支持コマ(第1ベルト後端支持コマと第2ベルト後端支持コマ)のガイド機構についてのみ説明する。
【0287】
図14に示すように、画像記録ドラム41の下流側には、画像記録ドラム41の軸と平行にガイド棒500が配設される。
【0288】
ガイド棒500は、断面円形の棒状(円柱状)に形成され、その両端部をインクジェット記録装置の本体フレーム(不図示)に固定されて、所定位置に設置される。
【0289】
第1ベルト後端支持コマ510は、図15に示すように、ガイド棒500に沿って摺動する摺動部512と、摺動部512に一体的に設けられ、第1ベルト304の後端部が固定されて連結されるベルト固定部514とで構成される。
【0290】
摺動部512は、矩形のブロック状に形成され、ベルト固定部514に連結される第1ベルト304と直交する方向にガイド穴516が形成される。このガイド穴516は、幅方向と直交する方向(ベルト固定部514に連結される第1ベルト304の方向)に延びる長穴状に形成される。
【0291】
ベルト固定部514は、摺動部512の幅方向の中央部に設けられ、摺動部512の幅方向と直交する方向に突出して設けられる。このベルト固定部514は、第1ベルト304の幅とほぼ同じ幅をもって形成される。第1ベルト304の後端部は、このベルト固定部514に固定される。
【0292】
第1ベルト後端支持コマ510は、摺動部512のガイド穴516にガイド棒500が挿通されることにより、ガイド棒500に沿って摺動自在に支持される。
【0293】
第2ベルト後端支持コマ520は、第1ベルト後端支持コマ510の構成と同じである。すなわち、ガイド棒500に沿って摺動する摺動部522と、摺動部522に一体的に設けられ、第2ベルト306の後端部が固定されて連結されるベルト固定部524とで構成される。
【0294】
摺動部522は、矩形のブロック状に形成され、ベルト固定部524に連結される第2ベルト306と直交する方向にガイド穴526が形成される。このガイド穴526は、幅方向と直交する方向(ベルト固定部524に連結される第2ベルト306の方向)に延びる長穴状に形成される。
【0295】
ベルト固定部524は、摺動部522の幅方向の中央部に設けられ、摺動部522の幅方向と直交する方向に突出して設けられる。このベルト固定部524は、第2ベルト306の幅とほぼ同じ幅をもって形成される。第2ベルト306の後端部は、このベルト固定部524に固定される。
【0296】
第2ベルト後端支持コマ520は、摺動部522のガイド穴526にガイド棒500が挿通されることにより、ガイド棒500に沿って摺動自在に支持される。
【0297】
〈作用〉
以上のように構成される本実施の形態の用紙ガイド機構によるベルト304、306の間隔の調整は、次のように行われる。
【0298】
まず、テンション用モータ366が駆動され、ベルト304、306に掛けられる張力が、一定の間隔調整用の張力に設定される。この間隔調整用の張力は、ベルト304、306を移動させることが可能な値に設定される。
【0299】
次に、画像記録ドラム41を駆動するモータ(不図示)が駆動され、画像記録ドラム41が回転駆動される。
【0300】
次に、用紙Pのサイズ情報に基づいて、前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328が駆動される。前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328が駆動されると、第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314とが互いに逆方向に移動し、そこ間隔が調整される。
【0301】
ここで、第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314に連結されたベルト304、306には、所定の張力が付与されているので、第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314を移動させると、それに倣うようにして、第1ベルト後端支持コマ510と第2ベルト後端支持コマ520が、ガイド棒500に沿って画像記録ドラム41の幅方向に移動する。すなわち、前端側のみ移動させることによって生じる捩れを矯正するように、自動的に後端部が同位置に追従する。
【0302】
上記のように、ベルト304、306の間隔は、用紙Pに合わせて設定され、ベルト304、306が、用紙Pの非描画領域を押えるように設定される。
【0303】
ベルト304、306が用紙Pの非描画領域を押える位置に第1ベルト前端支持コマ312と第2ベルト前端支持コマ314が移動すると、前端ガイド用ネジ棒駆動モータ328の駆動が停止される。
【0304】
この後、用紙Pの種類の情報(主として厚さ情報)に基づいて、テンション用モータ366が駆動され、ベルト304、306の張力が次第に上げられる。
【0305】
ここで、ベルト304、306の張力が上げられると、第1ベルト後端支持コマ510と第2ベルト後端支持コマ520とが、ベルト304、306によって、用紙Pの搬送方向上流側に引かれる。この結果、第1ベルト後端支持コマ510と第2ベルト後端支持コマ520に形成されたガイド穴516、526の内壁面(後端側の内壁面)にガイド棒500が当接し、第1ベルト後端支持コマ510と第2ベルト後端支持コマ520とがロックされる。すなわち、押圧と摩擦により、ガイド棒500の軸方向に移動しないようにロックされる。
【0306】
ベルト304、306に与える張力は、用紙Pの種類(主として、厚さ)に応じて設定され、用紙Pの種類に応じた張力に達したところで、テンション用モータ366の駆動が停止される。
【0307】
以上により、一対のベルト304、306の間隔調整が完了する。この後、用紙Pの給紙が開始され、印刷が開始される。
【0308】
このように、本実施の形態の用紙ガイド機構では、各ベルト304、306の後端部を移動自在に支持し、前端側の移動に追従させて、所定位置に移動させる。これにより、構成を簡素化することができる。
【0309】
なお、このように本実施の形態の用紙ガイド機構は、ベルト304、306の捩れを矯正する作用を利用して、ベルト304、306を所定位置に移動させる構成であるので、その移動が容易に行うことができるように、画像記録ドラム41に巻き掛ける角度等を調整することが好ましい。
【0310】
また、本実施の形態の用紙ガイド機構も上記第2の実施の形態の用紙ガイド機構と同様に、各ベルトの支持コマ(第1ベルト前端支持コマ、第1ベルト後端支持コマ、第2ベルト前端支持コマ、第2ベルト後端支持コマ)を個別に移動させる構成とすることもできる。
【0311】
また、本実施の形態では、ガイド棒500を断面円形の棒状(円柱状)に形成しているが、ガイド棒500の形状は、これに限定されるものではない。
【0312】
たとえば、図16に示すように、断面D字形(円柱の周面の一部を平坦に切り落とした形状)の棒状に形成し、平坦に形成された面(平坦面)を支持コマのロックに使用するようにしてもよい。すなわち、平坦面を第1ベルト後端支持コマ510と第2ベルト後端支持コマ520のガイド穴516、526の内壁面に当接させてロックするようにしてもよい。この場合、図16に示すように、ガイド穴516、526の内壁面もガイド棒500の平坦面が当接する面(用紙Pの搬送方向下流側の面)を平坦に形成する。
【0313】
また、図17に示すように、この断面D字形に形成されたガイド棒500にモータ(ガイド棒回転駆動モータ)502を連結し、軸回りに回転させて、ベルト304、306のロック時と間隔調整時とで向きを調整できるようにしてもよい。すなわち、図18(a)に示すように、ベルト304、306の間隔調整時は、ガイド棒500の円弧面がガイド穴516、526の平坦面に向くように設定して、ガイド穴516、526との接触面積を低減し、摺動抵抗を低減させる。一方、ロック時は、図18(b)に示すように、ガイド棒の平坦面がガイド穴516、526の平坦面に向くように設定して、ガイド穴516、526との接触面積を増やし、摺動抵抗を増加させる。
【0314】
これにより、間隔調整時はスムーズにベルト304、306を移動させることができ、印刷中は、確実にベルト304、306を一定の間隔の保持することができる。
【0315】
この他、図19に示すように、ガイド棒500に各ベルト304、306の後端支持コマ(第1ベルト後端支持コマ510、第2ベルト後端支持コマ520)が嵌合するロック溝504を形成し、このロック溝504に後端支持コマを嵌合させて、ロックする構成とすることもできる。
【0316】
図20に示すように、ロック溝504は、後端支持コマの幅に対応して形成し、用紙Pのサイズに応じて複数箇所に形成する。
【0317】
ベルト304、306の間隔調整時は、ガイド棒500の円弧面がガイド穴516、526の平坦面に向くように設定して、後端支持コマがガイド棒500に沿って移動できるようにし、ロック時は、ガイド棒の平坦面がガイド穴516、526の平坦面に向くように設定して、後端支持コマをロック溝504に嵌合させる。
【0318】
これにより、間隔調整時はスムーズにベルト304、306を移動させることができ、印刷中は、確実にベルト304、306を一定の間隔の保持することができる。
【0319】
なお、本実施の形態の用紙ガイド機構も上記第2の実施の形態の用紙ガイド機構と同様に、各ベルトの支持コマ(第1ベルト前端支持コマ、第1ベルト後端支持コマ、第2ベルト前端支持コマ、第2ベルト後端支持コマ)を個別に移動させる構成とすることもできる。
【0320】
[第5の実施の形態]
図21、22は、それぞれ用紙ガイド機構の第5の実施の形態の概略構成を示す斜視図と平面図である。また、図23は、図22の23−23断面図である。
【0321】
同図に示すように、本例の用紙ガイド機構は、用紙押えローラ42の後段位置に補助用紙押えローラ600が設置されている点で上述した第1の実施の形態の用紙ガイド機構と相違している。
【0322】
なお、この補助用紙押えローラ600を有する点以外は、上述した第1の実施の形態の用紙ガイド機構と同じなので、ここでは、補助用紙押えローラ600についてのみ説明する。
【0323】
上記のように、画像記録ドラム41に受け渡された用紙Pは、用紙押えローラ42にニップされた後、一対のベルト304、306と画像記録ドラム41との間に進入する。
【0324】
用紙押えローラ42は、画像記録ドラム41の方向に圧力がかけられているため、剛性の強い用紙が搬送された場合であっても浮くことはなく、常に用紙Pを画像記録ドラム41に密着させることができる。用紙Pは、この用紙押えローラ42による押圧と同時に画像記録ドラム41に吸引され、画像記録ドラム41の周面に密着される。
【0325】
しかし、用紙Pの吸着力が不足していると、用紙Pの後端が用紙押えローラ42を抜けた瞬間に用紙Pの後端が浮いてしまう場合がある。
【0326】
このため、用紙Pの後端が用紙押えローラ42を抜ける前に用紙Pをベルト304、306で押えるようにすることが理想である。
【0327】
しかし、用紙Pのサイズに応じてベルト304、306の間隔を変えられるようにした場合、このような構成は困難である。
【0328】
そこで、用紙押えローラ42の後段に幅の狭い補助用紙押えローラ600を設置し、用紙Pの後端が用紙押えローラ42を抜けた後も中央範囲のみは、用紙Pを押え続けるようにした。以下、この補助用紙押えローラ600の構成について説明する。
【0329】
補助用紙押えローラ600は、用紙押えローラ42と同様にゴムローラ(外周部がゴムで被覆されたローラ)で構成され、画像記録ドラム41の軸と平行に設置される。また、用紙押えローラ42と同様に画像記録ドラム41の外周面に所定の押圧力で押圧当接される。また、上記のように、用紙Pの後端が用紙押えローラ42を抜けた後も用紙Pを押え続けるように、用紙押えローラ42に近接して設置される。さらに、ベルト304、306の間隔を調整できるように、その幅は最小サイズの用紙Pの幅よりも狭く形成される。また、用紙Pのほぼ中央位置を押圧するように、画像記録ドラム41の幅方向のほぼ中央位置に設置される。
【0330】
このような補助用紙押えローラ600を設置することにより、弱い吸引力で用紙Pを吸着保持する場合であっても、用紙Pの浮きを効果的に抑えることができ、より安定した搬送を行うことができる。
【0331】
なお、上記の例では、補助用紙押えローラ600は、1本のみ設置しているが、画像記録ドラム41の周面にそって複数本設置する構成とすることもできる。
【0332】
また、上記第2〜4の実施の形態の用紙ガイド機構についても補助用紙抑えローラを設置することができる。
【0333】
<その他の実施の形態>
上記実施の形態では、可撓性を有するベルトをガイド部材に使用し、このベルトを画像記録ドラムの外周面に巻き掛けて、用紙の両縁部を押える構成としているが、用紙の両縁部を押えるガイド部材は、これに限定されるものではない。この他、画像記録ドラムの外周に沿って湾曲した形状のガイド部材を画像記録ドラムの外周面の両縁部に押圧当接させて、画像記録ドラムに搬送される用紙の両縁部を押える構成とすることもできる。
【0334】
また、上記実施の形態では、一般の印刷用紙に水性インクを用いて印刷するインクジェット記録装置に本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。一般の印刷用紙以外の用紙にインクジェット方式で記録する印刷装置にも同様に適用することができる。また、水性インク以外のインクを用いて記録する印刷装置にも同様に適用することができる。
【0335】
また、使用するメディアの種類も印刷用紙には限定されず、他のメディアに画像を記録する場合にも同様に使用することができる。
【符号の説明】
【0336】
P…用紙、10…インクジェット記録装置、20…給紙部、21…給紙装置、22…給紙トレイ、23…渡し胴、30…処理液塗布部、31…処理液塗布ドラム、32…塗布装置、40…画像記録部、41…画像記録ドラム、42…用紙押えローラ、43…用紙浮き検出センサ、43A…レーザ投光器、43B…レーザ受光器、44C、44M、44Y、44K…インクジェットヘッド、50…インク乾燥部、51…インク乾燥ドラム、52…インク乾燥装置、60…定着部、61…定着ドラム、62…紫外線照射光源、64…インラインセンサ、70…回収部、71…スタッカ、72…排紙コンベア、80…渡し胴、82…ガイド板、84…ドライヤ、90…渡し胴、92…ガイド板、94…ドライヤ、100…渡し胴、102…ガイド板、104…ドライヤ、200…システムコントローラ、201…通信部、202…画像メモリ、203…搬送制御部、204…給紙制御部、205…処理液塗布制御部、206…画像記録制御部、207…インク乾燥制御部、208…定着制御部、209…回収制御部、210…操作部、211…表示部、300…用紙ガイド機構、304…ベルト(第1ベルト)、306…ベルト(第2ベルト)、310…間隔調整機構、312…第1ベルト前端支持コマ、312A…ネジ穴、312B…ガイド部、314…第2ベルト前端支持コマ、314A…ネジ穴、314B…ガイド部、316…第1ベルト後端支持コマ、316A…ネジ穴、316B…ガイド部、318…第2ベルト後端支持コマ、318A…ネジ穴、318B…ガイド部、320…前端ガイドフレーム、320A…本体部、320B…屈曲部、320C…連結部、322…後端ガイドフレーム、322A…本体部、322B…屈曲部、324…前端ガイド用ネジ棒、324A…第1ベルト前端ガイド用ネジ棒、324B…第2ベルト前端ガイド用ネジ棒、326…後端ガイド用ネジ棒、326A…第1ベルト後端ガイド用ネジ棒、326B…第2ベルト後端ガイド用ネジ棒、328…前端ガイド用ネジ棒駆動モータ、328A…第1ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ、328B…第2ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータ、330…後端ガイド用ネジ棒駆動モータ、330A…第1ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータ、330B…第2ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータ、332…支持穴、334…第1ベルト前端ガイド穴、336…第2ベルト前端ガイド穴、338…支持穴、340…第1ベルト後端ガイド穴、342…第2ベルト後端ガイド穴、344…軸受、346…第1ベルト前端ガイド用ネジ部、348…第2ベルト前端ガイド用ネジ部、350…軸受、352…第1ベルト後端ガイド用ネジ部、354…第2ベルト後端ガイド用ネジ部、360…張力調整機構、362…アーム、364…クランク、366…テンション用モータ、368…ピン、370…ピン、400…ガイドレール、402…ガイド溝、410…第1ベルト後端支持コマ、412…摺動部、414…ベルト固定部、420…第2ベルト後端支持コマ、422…摺動部、424…ベルト固定部、500…ガイド棒、502…ガイド棒回転駆動モータ、504…ロック溝、510…第1ベルト後端支持コマ、512…摺動部、514…ベルト固定部、516…ガイド穴、520…第2ベルト後端支持コマ、522…摺動部、524…ベルト固定部、526…ガイド穴、600…補助用紙押えローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の受取位置でメディアを受け取り、軸回りに回転して、前記メディアを搬送するドラムであって、受け取った前記メディアを外周面上に巻き付け、吸着保持して搬送するドラムと、
前記ドラムの外周面上に一定の間隔をもって配置され、前記ドラムに搬送されるメディアの幅方向の両端部を前記ドラムの外周面に沿って押える一対の円弧状のガイド部材と、
前記ドラムに搬送されるメディアにインク滴を吐出して、画像を描画するインクジェットヘッドと、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記一対のガイド部材は、それぞれ湾曲可能な帯状のベルトで構成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記一対のベルトは、それぞれ前記メディアの幅方向両端部に形成される非描画領域の幅よりも狭い幅で形成され、前記非描画領域を押えるように配置されることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記一対のベルトは、それぞれ前記メディアの厚さと合わせた厚さが、前記ドラムの外周面からの前記メディアの浮きの許容値以下となる厚さで形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記一対のベルトは、それぞれ前記メディアとの接触面が摩擦抵抗の低い素材で形成されることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記一対のベルトの張力を調整する張力調整手段を備え、該張力調整手段で前記一対のベルトの張力を調整して、前記メディアを押える力を調整可能としたことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記メディアの厚さの情報を取得する厚さ情報取得手段と、
前記厚さ情報取得手段で取得された前記メディアの厚さに応じて前記張力調整手段を制御し、前記一対のベルトの張力を制御する張力制御手段と、
を備え、前記張力制御手段は、前記メディアの厚さが厚くなるに従って、前記一対のベルトの張力が大きくなるように、前記厚さ情報取得手段で取得された前記メディアの厚さに応じて、前記張力調整手段を制御することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記一対のガイド部材を前記ドラムの軸方向にスライド移動させて、前記一対のガイド部材の間隔を調整する間隔調整手段を備えたことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記一対のガイド部材は、湾曲可能な帯状の第1ベルトと第2ベルトとで構成され、
前記間隔調整手段は、
前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第1ベルトの前端が固定される第1ベルト前端保持部材、
前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第1ベルト前端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と、
前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第1ベルトの後端が固定される第1ベルト後端保持部材と、
前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第1ベルト後端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第1ベルト後端ガイド用ネジ棒と、
前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第2ベルトの前端が固定される第2ベルト前端保持部材と、
前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第2ベルト前端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第2ベルト前端ガイド用ネジ棒と、
前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第2ベルトの後端が固定される第2ベルト後端保持部材と、
前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第2ベルト後端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第2ベルト後端ガイド用ネジ棒と、
を備え、前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第1ベルト後端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させることにより、前記第1ベルトを前記ドラムの幅方向にスライド移動させる一方、前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト後端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させることにより、前記第2ベルトを前記ドラムの幅方向にスライド移動させて、前記第1ベルトと前記第2ベルトとの間隔を調整することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第1ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、
前記第1ベルト後端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第1ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータと、
前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第2ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、
前記第2ベルト後端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第2ベルト後端ガイド用ネジ棒駆動モータと、
前記メディアのサイズの情報を取得するサイズ情報取得手段と、
前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御し、前記第1ベルトと前記第2ベルトの間隔を制御する間隔制御手段と、
を備え、前記間隔制御手段は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとが、それぞれ前記メディアの非描画領域を押えるように、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御することを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒とが同軸上に連結されて、互いに逆向きのネジが形成されるとともに、前記第1ベルト後端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト後端ガイド用ネジ棒とが同軸上に連結されて、互いに逆向きのネジが形成されることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒との連結体を軸回りに回転させる前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、
前記第1ベルト後端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト後端ガイド用ネジ棒との連結体を軸回りに回転させる後端ガイド用ネジ棒駆動モータと、
前記メディアのサイズの情報を取得するサイズ情報取得手段と、
前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御し、前記第1ベルトと前記第2ベルトの間隔を制御する間隔制御手段と、
を備え、前記間隔制御手段は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとが、それぞれ前記メディアの非描画領域を押えるように、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御することを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記一対のガイド部材は、湾曲可能な帯状の第1ベルトと第2ベルトとで構成され、
前記間隔調整手段は、
前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第1ベルトの前端が固定される第1ベルト前端保持部材、
前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第1ベルト前端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と、
前記第1ベルトの後端が固定される第1ベルト後端保持部材と、
前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第1ベルト後端保持部材を前記ドラムの軸方向に摺動自在に支持する第1ベルト後端ガイド部材と、
前記ドラムの軸と平行にネジ穴が形成され、前記第2ベルトの前端が固定される第2ベルト前端保持部材と、
前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第2ベルト前端保持部材に形成されたネジ穴に螺合される第2ベルト前端ガイド用ネジ棒と、
前記第2ベルトの後端が固定される第2ベルト後端保持部材と、
前記ドラムの軸と平行に配置され、前記第2ベルト後端保持部材を前記ドラムの軸方向に摺動自在に支持する第2ベルト後端ガイド部材と、
を備え、前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させることにより、前記第1ベルトを前記ドラムの幅方向にスライド移動させる一方、前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させることにより、前記第2ベルトを前記ドラムの幅方向にスライド移動させて、前記第1ベルトと前記第2ベルトとの間隔を調整することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第1ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、
前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒を軸回りに回転させる第2ベルト前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、
前記メディアのサイズの情報を取得するサイズ情報取得手段と、
前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御し、前記第1ベルトと前記第2ベルトの間隔を制御する間隔制御手段と、
を備え、前記間隔制御手段は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとが、それぞれ前記メディアの非描画領域を押えるように、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記各モータの駆動を制御することを特徴とする請求項13に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒とが同軸上に連結されて、互いに逆向きのネジが形成されることを特徴とする請求項14に記載のインクジェット記録装置。
【請求項16】
前記第1ベルト前端ガイド用ネジ棒と前記第2ベルト前端ガイド用ネジ棒との連結体を軸回りに回転させる前端ガイド用ネジ棒駆動モータと、
前記メディアのサイズの情報を取得するサイズ情報取得手段と、
前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記前端ガイド用ネジ棒駆動モータの駆動を制御し、前記第1ベルトと前記第2ベルトの間隔を制御する間隔制御手段と、
を備え、前記間隔制御手段は、前記第1ベルトと前記第2ベルトとが、それぞれ前記メディアの非描画領域を押えるように、前記サイズ情報取得手段で取得された前記メディアのサイズの情報に基づいて、前記前端ガイド用ネジ棒駆動モータの駆動を制御することを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録装置。
【請求項17】
前記第1ベルト後端ガイド部材は、断面凸字状の溝を有するレール状に形成されて、前記ドラムの軸と平行に配置され、
前記第1ベルト後端保持部材は、前記第1ベルト後端ガイド部材の溝に嵌合されて、前記ドラムの軸方向に移動自在に設けられ、
前記第2ベルト後端ガイド部材は、断面凸字状の溝を有するレール状に形成されて、前記ドラムの軸と平行に配置され、
前記第2ベルト後端保持部材は、前記第2ベルト後端ガイド部材の溝に嵌合されて、前記ドラムの軸方向に移動自在に設けられることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項18】
前記第1ベルト後端保持部材と前記第2ベルト後端保持部材は、前記溝の内壁面に接触する幅方向の両端部分が円弧状に形成されることを特徴とする請求項17に記載のインクジェット記録装置。
【請求項19】
前記第1ベルト後端ガイド部材は、棒状に形成されて、前記ドラムの軸と平行に配置され、
前記第1ベルト後端保持部材は、前記第1ベルト後端ガイド部材が挿通可能な穴を有し、該穴に前記第1ベルト後端ガイド部材が挿通されて、前記ドラムの軸方向に移動自在に設けられ、
前記第2ベルト後端ガイド部材は、棒状に形成されて、前記ドラムの軸と平行に配置され、
前記第2ベルト後端保持部材は、前記第2ベルト後端ガイド部材が挿通可能な穴を有し、該穴に前記第2ベルト後端ガイド部材が挿通されて、前記ドラムの軸方向に移動自在に設けられることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項20】
前記第1ベルト後端ガイド部材と前記第2ベルト後端ガイド部材には、それぞれ前記第1ベルト後端保持部材と前記第2ベルト後端保持部材とが嵌合して、前記第1ベルト後端保持部材と前記第2ベルト後端保持部材の移動を規制する規制溝が、前記メディアの幅に応じて複数箇所に形成されることを特徴とする請求項19に記載のインクジェット記録装置。
【請求項21】
前記第1ベルト後端ガイド部材を軸回りに回転させる第1ベルト後端ガイド部材駆動モータと、
前記第2ベルト後端ガイド部材を軸回りに回転させる第2ベルト後端ガイド部材駆動モータと、
を備え、前記第1ベルト後端ガイド部材と前記第2ベルト後端ガイド部材を回転させることにより、前記規制溝への前記第1ベルト後端保持部材と前記第2ベルト後端保持部材の嵌合/非嵌合を切り替えることを特徴とする請求項20に記載のインクジェット記録装置。
【請求項22】
前記第1ベルト後端ガイド部材と前記第2ベルト後端ガイド部材とが同軸上に連結され、
前記第1ベルト後端ガイド部材と前記第2ベルト後端ガイド部材との連結体を軸回りに回転させる後端ガイド部材駆動モータを備え、前記第1ベルト後端ガイド部材と前記第2ベルト後端ガイド部材の連結体を回転させることにより、前記規制溝への前記第1ベルト後端保持部材と前記第2ベルト後端保持部材の嵌合/非嵌合を切り替えることを特徴とする請求項20に記載のインクジェット記録装置。
【請求項23】
前記ドラムとほぼ同じ幅で形成され、前記受取位置で受け取られた前記メディアの上面を押圧して、前記ドラムの外周面に押し付ける用紙押えローラを備え、前記一対のガイド部材は、前記用紙押えローラで押圧された後の前記メディアを前記ドラムの外周面に沿って押えることを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項24】
前記用紙押えローラの後段に配置され、前記一対のガイド部材の間で前記メディアの上面を押圧して、前記ドラムの外周面に押し付ける補助用紙押えローラを備えたことを特徴とする請求項23に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−96863(P2012−96863A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244152(P2010−244152)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】