インサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置
【課題】金型の空室内に樹脂が漏れないようにする。
【解決手段】主型Mは、インサート部材(第1の電球ホルダー)を囲むための固定入れ子6と、固定入れ子6内に挿脱自在に装填される可動コマ7と、固定入れ子6の下方位置に配設され、矩形状の筐体を有する入れ子本体8と、固定入れ子6と入れ子本体8間に配設され、可動コマ7の上下動を所定位置に拘束するための拘束部材9と、可動コマ7および入れ子本体8内に挿通され、所定時にインサート部材を上方に向けて突き出すためのエジェクター部材10とを備えている。可動コマ7は、可動コマ本体71と、可動コマ本体71の上部に連設され、第1の電球ホルダーを冠着するための冠着部72と、可動コマ本体71の下部に連設され、可動コマ7の固定入れ子6の上面からの突出位置を決める板状の鍔部73とを備え、可動コマ本体71の中心部には鍔部73から冠着部72に跨って貫通する74が設けられている。
【解決手段】主型Mは、インサート部材(第1の電球ホルダー)を囲むための固定入れ子6と、固定入れ子6内に挿脱自在に装填される可動コマ7と、固定入れ子6の下方位置に配設され、矩形状の筐体を有する入れ子本体8と、固定入れ子6と入れ子本体8間に配設され、可動コマ7の上下動を所定位置に拘束するための拘束部材9と、可動コマ7および入れ子本体8内に挿通され、所定時にインサート部材を上方に向けて突き出すためのエジェクター部材10とを備えている。可動コマ7は、可動コマ本体71と、可動コマ本体71の上部に連設され、第1の電球ホルダーを冠着するための冠着部72と、可動コマ本体71の下部に連設され、可動コマ7の固定入れ子6の上面からの突出位置を決める板状の鍔部73とを備え、可動コマ本体71の中心部には鍔部73から冠着部72に跨って貫通する74が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置に係わり、特に、インサート部品に金属製の弾性片を有するインサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のインサート成形体としては、例えば図12に示すように、合成樹脂製のベース部材100と、当該ベース部材100にインサート成形によって保持された金属製のコンタクト200とから成るものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このコンタクト200は、導電性及び弾性を有する帯状の金属材料を略U字状に折曲して成る電球ホルダー300を備えており、当該電球ホルダー300は、ベース部材100に埋設される板状の平板部材310と、図示しない電球を挟持する一対の弾性片320a、320bとを備えている。
【0004】
【特許文献1】特許第3062913号公報(段落番号「0016」〜「0028」、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような構成のインサート成形体は、金型内にインサート部材をインサートし、金型内に樹脂を注入することで、インサート部材とベース部材とを一体化することができるものの、単に、金型内にインサート部材をインサートすると、次のような難点があった。
【0006】
第1に、インサート部品としての電球ホルダー300の平板部材310の板厚が薄いため(0.3mm程度)、当該電球ホルダー300を金型内にインサートして金型内に樹脂を注入すると、平板部材310が注入時における樹脂圧で変形するおそれがあった。
【0007】
第2に、このような構成の電球ホルダー300においては、一対の弾性片320a、320bが存在することから、インサート成形するに当たり、金型内に一対の弾性片320a、320bを取り囲む入れ子を配置して電球ホルダー300の一対の弾性片320a、320bと金型内に注入される樹脂との接触を遮断する必要があるところ、単に、一対の弾性片320a、320bを入れ子で取り囲む構成では、電球ホルダー300の平板部材310と入れ子との間隙から金型内に注入した樹脂が入れ子内に流出するおそれがあった。
【0008】
本発明は、上述の難点を解消するためになされたもので、金型内に注入した樹脂が金型の空室内に漏れるおそれがなく、また、インサート成形時の樹脂圧でコンタクトが変形するおそれのないインサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインサート成形体の製造装置は、上金型内に配設される上部入れ子と、下金型内に配設され、U字状のインサート部材を囲むための固定入れ子と、上部にインサート部材を冠着するための冠着部を有し、固定入れ子のキャビテイ内に挿脱自在に装填される可動コマと、可動コマの上下動を所定位置に拘束するための拘束部材と、可動コマの挿通孔内に挿通され、所定時にインサート部材を固定入れ子から上方に向けて押し出すためのエジェクター部材とを備えるものである。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様であるインサート成形体の製造装置において、インサート部材は、それ自身の垂設部に平坦部材を備え、冠着部はそれ自身の側部に平坦部材の内面と当接する平坦部を備えるものである。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様であるインサート成形体の製造装置において、インサート部材は、それ自身の垂設部に弾性片を備え、冠着部は、それ自身の側部に弾性片を所定の空間を有して配設するための切欠部を備えるものである。
【0012】
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様の何れかの態様であるインサート成形体の製造装置において、固定入れ子の下方部位に、可動コマの挿通孔と軸線が一致する挿通孔を有する入れ子本体が配設されているものである。
【0013】
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れかの態様であるインサート成形体の製造装置において、拘束部材は、入れ子本体と固定入れ子間に水平方向に移動可能に配設されているものである。
【0014】
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様であるインサート成形体の製造装置において、エジェクター部材は、入れ子本体の挿通孔と、可動コマの挿通孔に跨って挿通されるエジェクターピンと、エジェクターピンの外周にスライド可能に嵌挿されるエジェクター連動ピンとを備え、エジェクター連動ピンの外径は可動コマの挿通孔の内径よりも大径とされているものである。
【0015】
本発明の第7の態様は、第1の態様乃至第6の態様の何れかの態様であるインサート成形体の製造装置において、拘束部材の先端部は、エジェクター連動ピンに対してエジェクター連動ピンと直交する方向から圧接されているものである。
【0016】
本発明の第8の態様は、第1の態様乃至第7の態様の何れかの態様であるインサート成形体の製造装置において、可動コマは、それ自身の下端部に鍔部を備え、鍔部は拘束部材の先端部に設けられたスロープに係止されているものである。
【0017】
本発明の第9の態様であるインサート成形体の製造方法は、上金型内に配設される上部入れ子と、下金型内に配設され、U字状のインサート部材を囲むための固定入れ子と、固定入れ子内に挿脱自在に装填される可動コマとを備え、(イ)可動コマの上部にインサート部材を冠着する工程、(ロ)可動コマをインサート部材の外側面が固定入れ子のキャビテイの内壁面に当接するように装填し、かつ固定入れ子のキャビテイの開口部をインサート部材の水平部で密閉する工程、(ハ)上部入れ子を下降し、上部入れ子と固定入れ子との合わせ面間のキャビテイに樹脂を注入する工程、(ニ)樹脂の成形後に、上部入れ子を上昇させるとともに可動コマを前記固定入れ子のキャビテイから押し出す工程、(ホ)可動コマから、成形後のインサート部材を離脱させる工程とを含むものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のインサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置によれば、金型内にインサート部材をインサートし金型内に樹脂を注入することで、インサート部材とベース部材とを自動で容易に一体化することができるとともに、次のような効果を奏する。
【0019】
第1に、金型内に例えば電球ホルダーの平坦部材および弾性片を囲む固定入れ子が配設され、電球ホルダーを装着した可動コマを固定入れ子のキャビティに装填することで、固定入れ子のキャビティの開口部が密閉されることから、この状態において、射出成形機の金型内に合成樹脂を射出することにより、金型の空室内に樹脂が漏れるおそれがなくなる。
【0020】
第2に、可動コマの上部にインサート部材の内面形状と略対応する外面形状を有する冠着部が設けられていることから、可動コマに対するインサート部材の装着を容易に行なうことができ、また、冠着部にインサート部材を装着した可動コマを固定入れ子のキャビティ内に装填することで、キャビティ内の空間が少なくなることから、可動コマの冠着部がインサート部材の補強になるとともに、金型の空室部分の樹脂圧に対する支持補強の効果を奏することができる。
【0021】
第3に、拘束部材の先端部がエジェクター連動ピンに圧接されることで、可動コマを固定入れ子の上面に突設した状態を維持することができ、ひいては可動コマの冠着部に対するインサート部材の冠着を容易に行うことができる。
【0022】
第4に、エジェクター部材を備えることから、インサート成形後に可動コマを固定入れ子のキャビテイ内から押し出すことができ、ひいてはインサート成形品を可動コマから容易に離脱させることができる。
【0023】
第5に、可動コマの下端部に鍔部を設けることで、固定入れ子のキャビテイに対する可動コマの位置決めを容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明のインサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置を適用した好ましい実施の形態例について、図面を参照して詳述する。
【0025】
図1は、本発明において成形すべきインサート成形体、例えばバニティミラー用ランプボデイ等のインサート成形体の斜視図を示している。
【0026】
同図(a)において、本発明におけるインサート成形体は、金属製のインサート部材1と、インサート部材1を保持するポリアミド樹脂(ナイロン66)やABS樹脂等の合成樹脂材料から成るベース部材2とを備えている。
【0027】
インサート部材1は、図1(b)に示すように、第1のコンタクト1aと、第1のコンタクト1aと対を成す第2のコンタクト1bと、スイッチの開閉接点部を構成する一方の接触片から成る第3のコンタクト1cと、スイッチの開閉接点部を構成する他方の接触片から成る第4のコンタクト1dとを備えている。これらの第1〜第4のコンタクト1a〜1dは、導電性及び弾性を有する金属材料、例えば、リン青銅、ステンレス鋼若しくは黄銅等で形成されており、後述するキャリアを介して一体化され、完成品の状態においては、絶縁性の合成樹脂等から成るベース部材2を介してそれぞれ相互に絶縁されている。
【0028】
第1のコンタクト1aは、電球(不図示)の一方の口金部を把持するための電球ホルダー(以下「第1の電球ホルダー」という。)3aを備え、また、第2のコンタクト1bは、電球の他方の口金部を把持するための電球ホルダー(以下「第2の電球ホルダー」という。)3bを備えている。ここで、第1、第2の電球ホルダー3a、3bはそれぞれ同様の構成とされていることから、以下の説明においては、第1の電球ホルダー3aの構成について説明する。
【0029】
第1の電球ホルダー3aは、帯状のコンタクトの両端部を折曲することにより全体として側面視で略U字状を呈している。具体的には、図2(a)〜(d)に示すように、板状のベース部材2に埋設される帯状の埋設部材31(図2(d))を備えており、当該埋設部材31は、板状のベース部材2にベース部材2と平行にかつそれ自身の内面(図中下部)がベース部材2を構成する底部21の内面21a(図中下部)と面一になるように埋設される板状の平板部材311と、平板部材311の一端縁部に連設され、かつベース部材2中に埋設される半円筒状の湾曲部材(以下「第1の湾曲部材」という。)312aと、平板部材311の他端縁部に連設され、かつベース部材2に埋設される半円筒状の湾曲部材(以下「第2の湾曲部材」という。)312bとを備えている。ここで、第1、第2の湾曲部材312a、312bの凸面部はベース部材2の外面21b(図中上部)に向けて配設されており、完成品の状態においては、後述するように、ベース部材2としての合成樹脂が第1、第2の湾曲部材312a、312bの内面側および外面側に充填されている。
【0030】
また、第1の湾曲部材312aの端縁部には平板部材311と直交するように帯状の平坦部材(以下「第1の平坦部材」という。)33aが連設され、第2の湾曲部材312bの端縁部にも平板部材311と直交し、それ自身の平面部が第1の平坦部材33aの平面部と対向するように帯状の平坦部材(以下「第2の平坦部材」という。)33bが連設され、さらに、第1の平坦部材33aの端縁部には弾性を呈する帯状の弾性片(以下「第1の弾性片」という。)34aが図中下方に向かって垂設され、第2の平坦部材33bの端縁部にもそれ自身の平面部が弾性片34aの平面部と対向するように弾性を呈する帯状の弾性片(以下「第2の弾性片」という。)34bが図中下方に向かって垂設されている。ここで、第1、第2の弾性片34a、34bは、次のように、電球(不図示)を挟持し得るように対向して配置されている。すなわち、第1の弾性片34aは、第1の平坦部材33aの端縁部に垂設された斜片(以下「第1の斜片」という。)341aと、第1の斜片341aの端縁部にその凸面部を第2の弾性片34bに向けて連設された半円筒状の湾曲部(以下「第1の湾曲部」という。)342aと、第1の湾曲部342aの端縁部にその端縁部を外方に向けて連設されたテーパ片(以下「第1のテーパ片」という。)343aとを備えており、第2の弾性片34bも、第2の平坦部材33bの端縁部にそれ自身の平面部を第1の斜片341bに向けて垂設された斜片(以下「第2の斜片」という。)341bと、第2の斜片341bの端縁部にそれ自身の凸面部を第1の弾性片34aに向けて連設された半円筒状の湾曲部(以下「第2の湾曲部」という。)342bと、第2の湾曲部342bの端縁部にその端縁部を外方に向けて連設されたテーパ片(以下「第2のテーパ片」という。)343bとを備えている。ここで、第1、第2の斜片341a、341bは、平板部材311から図中下方に向かって対向間隔が緩やかに近づくように傾斜しており、また、第1、第2のテーパ343a、343bは外方に向かって対向間隔が広がるように配置されることで電球のガイド部としての作用を呈するように構成されている。なお、図中、符号23は、後述するピン部材の挿入孔を示している。
【0031】
図3は、第1〜第4のコンタクト1a〜1dの製造方法の一例を示す説明図である。
【0032】
同図において、例えば、厚さが0.3mm程度のリン青銅板から成る金属の薄板(以下「フープ」という。)4は、図示しないリールに巻収されており、かかるリールからフープ4が矢符方向に引出され、このフープ4にプレス(ピアス、フォーミング)加工が施されて、前述の第1、第2の電球ホルダー3a、3bが得られる。なお、図中、符号4aは位置決め用の孔、4bはキャリアを示している。
【0033】
このように加工された第1、第2の電球ホルダー3a、3bを含む第1〜第4のコンタクト1a〜1dは、後述する射出成形機の金型内にインサートすることで、インサート部材とベース部材とを一体化することができる。
【0034】
図4は、本発明におけるインサート成形体の製造装置の主要部を示す説明図である。
【0035】
同図(a)において、本発明のインサート成形体の製造装置は、上金型内に配設される上部入れ子5と、下金型内に配設される主型Mとを備えている。ここで、第1、第2の電球ホルダー3a、3bをインサートするための主型Mはそれぞれ同様の構成とされていることから、以下の説明においては、第1の電球ホルダー3aをインサートするための主型Mの構成について説明する。
【0036】
主型Mは、インサート部材(第1の電球ホルダー3a)を囲むための固定入れ子6と、固定入れ子6内に挿脱自在に装填される可動コマ7と、固定入れ子6の下方位置に配設され、矩形状の筐体を有する入れ子本体8と、固定入れ子6と入れ子本体8間に配設され、可動コマ7の上下動を所定位置に拘束するための拘束部材9と、可動コマ7および入れ子本体8内に挿通され、所定時にインサート部材を上方に向けて突き出すためのエジェクター部材10とを備えている。
【0037】
固定入れ子6は、図4(b)に示すように、第1〜第4の内壁面61a〜61dを有する四角状の貫通孔(以下「キャビテイ」という。)62を備えている。
【0038】
可動コマ7は、図4(c)に示すように、固定入れ子6の第1〜第4の内壁面61a〜61dにそれぞれ当接する第1〜第4の外壁面71a〜71dを有する四角柱状の可動コマ本体71と、可動コマ本体71の上部に連設され、U字状のインサート部材(この実施例では前述の第1の電球ホルダー3a)を冠着するための冠着部72と、可動コマ本体71の下部に連設され、可動コマ7を所定位置に位置決めするための板状の鍔部73とを備えており、可動コマ7の中心部には鍔部73から冠着部72に跨って貫通する貫通孔(以下「第1の挿通孔」という。)74が設けられている。
【0039】
冠着部72は、インサート部材(第1の電球ホルダー3a)の内面形状(この実施例ではU字形状)と略対応する外面形状を備えている。具体的には、冠着部72の左側面(図中左側)に、冠着部72の上面から下部に向かって第1の電球ホルダー3aを構成する第1の平坦部材33aを当接するための平坦部(以下「左側平坦部」という。)75aおよび第1の弾性片34aを所定の間隙を有して配設するための前面視でJ字状の切欠部(以下「左側切欠部」という。)76aが設けられており、冠着部72の右側面(図中右側)に、冠着部72の上面から下部に向かって第1の電球ホルダー3aを構成する第2の平坦部材33bを当接するための平坦部(以下「右側平坦部」という。)75bおよび第2の弾性片34bを所定の間隙を有して配設するための前面視でし字状の切欠部(以下「右側切欠部」という。)76bが設けられている。また、冠着部72の上面左側には、図中前面側から背面側に向かって第1の湾曲部材312aの内面を当接するための半円柱状の山形部(以下「第1の山形部」という。)77aが設けられており、上面右側には、図中前面側から背面側に向かって第1の湾曲部材312aの内面を当接するための半円柱状の山形部(以下「第2の山形部」という。)77bが設けられている。ここで、第1、第2の山形部77a、77bの前面(以下「山形部前面」という。)771a、771bは、可動コマ本体71の第1の外壁面71aと面一になるように設けられ、第1、第2の山形部77a、77bの背面(以下「山形部背面」という。)772a、772bは、可動コマ本体71の第3の外壁面71cと面一になるように設けられれている。
【0040】
入れ子本体8の図中左側端縁部近傍には、それ自身の下端部から上端部に跨って貫通する貫通孔(以下「第2の挿通孔」という。)81が設けられており、この第2の挿通孔81の軸心は第1の挿通孔74の軸心と一致させて設けられている。なお、第2の挿通孔81の内径は第1の挿通孔74の内径よりも大径とされている。
【0041】
拘束部材9は、入れ子本体8の上面に入れ子本体8の上面に沿って水平方向に移動可能に載置された拘束部材本体91と、拘束部材本体91の先端部(図中左側)に設けられた弾丸状の係止部92と、拘束部材本体91の基端部(図中右側)に設けられた筒状の凹陥部93とを備えており、凹陥部93内にはコイル状のスプリング94が水平方向にバネ力が作用するように配設されている。また、係止部92は、拘束部材本体91の上面から先端部中央に向けて緩やかに下降する下りスロープ92aと、拘束部材本体91の下面から先端部中央に向けて緩やかに上昇する上りスロープ92bとを備えている。
【0042】
エジェクター部材10は、第2の挿通孔81から第1の挿通孔74に跨って挿入されるエジェクターピン10aと、エジェクターピン10bにスライド可能に嵌挿された円筒状のエジェクター連動ピン10bとを備えており、エジェクターピン10aの基部(図中下部)にはエジェクター連動ピン10bを係止するためのストッパ10cが設けられている。ここで、エジェクター連動ピン10bの外径は第2の挿通孔81の内径と略同等若しくはそれより若干小径で、かつ第1の挿通孔74の内径より大径とされ、エジェクターピン10aの外径は第1の挿通孔74の内径と略同等若しくはそれより若干小径とされている。また、エジェクターピン10aの軸方向の長さは、第1の挿通孔74の軸方向の長さおよび第2の挿通孔81の軸方向の長さの合計の長さよりも若干長く設定され、エジェクター連動ピン10bの軸方向の長さは、第2の挿通孔81の軸方向の長さよりも若干短く設定されている。
【0043】
次に、このような構成のインサート成形体の製造装置を用いて、インサート成形体を製造する方法について説明する。
【0044】
先ず、初期状態(インサート部材(第1の電球ホルダー3a)を可動コマ7の冠着部72に冠着する前の状態)においては、図5(a)に示すように、可動コマ7の鍔部73の上面が固定入れ子6の下面に当接するとともに、エジェクター連動ピン10bの上端が可動コマ7の鍔部73の下面に当接している。
【0045】
また、拘束部材9の係止部92は、コイル状のスプリング94のバネ力によりエジェクター連動ピン10bの外面に所定の押圧力を有して圧接されるとともに、可動コマ7の鍔部73の下面が係止部92の下りスロープ92bに係止されている。これにより、可動コマ7の冠着部72が固定入れ子6の上面(パーティグライン)から突出し、この状態がコイル状のスプリング94のバネ力により維持されている。なお、この状態においては、エジェクターピン10aの先端部は可動コマ7の冠着部72の上面と略面一となる位置まで存在しており、これにより、エジェクター連動ピン10bの下端部とストッパ10c間に所定の距離(以下「突き出しストローク」という。)Lが確保されている。
【0046】
このような状態において、図6(a)、(b)に示すように、自動機(不図示)により第1の電球ホルダー3aを矢印方向から冠着部72に向けて冠着すると、図6(c)に示すように、第1の電球ホルダー3aの開口部(先端部)が水平方向に押し広げられ、さらに第1の電球ホルダー3aを下方に向けて押圧すると、第1の電球ホルダー3a自身が弾性材料で形成されていることから、元の位置に戻ることになる。すなわち、第1の平坦部材33aの内面側が冠着部72の左側平坦部75aの外面側に、第2の平坦部材33bの内面側が冠着部72の右側平坦部75bの外面側にそれぞれ当接されるとともに、第1の弾性片34aが左側切欠部76aに、第2の弾性片34bが右側切欠部76bにそれぞれ配設されることになる。
【0047】
次いで、自動機で第1の電球ホルダー3aを装着した可動コマ7を下方に向けて押圧すると、図7(a)、(b)に示すように、可動コマ7が固定入れ子6のキャビテイ62(図4(b)参照)内に装填されるとともに、可動コマ7の鍔部73が下降し、この鍔部73の下降と連動してエジェクター連動ピン10bの下端部がストッパ10c(図5(c)参照)に係止される位置まで下降することになり、また、可動コマ7の鍔部73の下降と連動して、すなわち鍔部73の下面の一部(図中右側の下面の角部)が下りスロープ92aの傾斜面に当接しながら下降することで、拘束部材9が図中右方向へ移動することになる。さらに、可動コマ7を下降させると、鍔部73が係止部92を乗り越えて鍔部73の下面が入れ子本体8の上面に当接する。これにより、図8(a)、(b)に示すように、可動コマ7の鍔部73の上面の一部(図中右側の上面の角部)が上りスロープ92bで係止されることになる。
【0048】
ここで、第1の電球ホルダー3aを装着した可動コマ7を固定入れ子6のキャビテイ62(図4(b)参照)内に装填すると、図4(b)、図4(c)、図8(c)および図8(d)に示すように、第1の電球ホルダー3aを構成する第1の平坦部材33aの外面側がキャビテイ62の例えば第1の内壁面61aに当接し、第2の平坦部材33bの外面側がキャビテイ62の例えば第3の内壁面61cに当接するとともに、固定入れ子6の上面から、すなわち、金具のパーティグライン上から、第1、第2の山形部77a、77bが突出することになる。これにより、固定入れ子6のキャビテイ62の上面側の開口部が第1の電球ホルダー3aの水平部分(第1の湾曲部材312a、平板部材311および第2の湾曲部材312b)で密閉されることになる。
【0049】
このような状態において、図9(a)、(b)に示すように、上部入れ子5を下降し、上部入れ子5と固定入れ子6の合わせ目間に生じるキャビテイに樹脂を充填することで、インサート部材である第1の電球ホルダー3aとベース部材2(図2(d)参照)を一体化することができる。
【0050】
インサート成形が終了すると、上部入れ子5が上昇し、次いで、エジェクターピン10aを上方に向けて所定長押し出すと、図10(a)、(b)、(c)に示すように、エジェクターピン10aの先端部がインサート成形品11としての第1の電球ホルダー3aの平板部材311の下面に当接していることから、エジェクターピン10aの上昇に連動して可動コマ7が上昇し、さらにエジェクターピン10aを押し出すと、エジェクター連動ピン10bの上端部が鍔部73の下面に当接するとともに鍔部73の上面が固定入れ子6の下面に当接することになる。これにより、この位置で可動コマ7の押し出しが停止し、冠着部72が固定入れ子6の上面(パーティングライン)から突出することになる。
【0051】
ここで、エジェクターピン10aをさらに上昇させることで、すなわち図11(a)に示すように、突き出しストロークLの長さ分だけ上昇させると、インサート成形品11を冠着部72から強制的に離脱させることができる。この工程が終了すると、図11(b)に示すように、エジェクターピン10aが元の位置に戻ることになるが、エジェクター連動ピン10bが拘束部材9で拘束されていることから、その状態が維持され、初期状態、すなわち図5に示す状態に戻ることになる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、特許請求の範囲内で、次のように、変更、修正を加えることができる。
【0053】
第1に、前述の実施例においては、バニティミラー用ランプボディに適用した場合について述べているが、本発明はこのようなものに限定されず、例えばファストン端子を有するインサート成形体や、弾性片を有する支持板インサート成形品等に適用しても本発明と同様の効果を奏する。
【0054】
第2に、前述の実施例においては、入れ子本体を矩形状の筐体で形成した場合について述べているが、本発明はこのような形態のものに限定されない。
【0055】
第3に、前述の実施例においては、拘束部材の先端部でエジェクター連動ピンを拘束する場合について述べているが、本発明はこのようなのものに限定されず、例えば、板状の弾性部材でエジェクター連動ピンを拘束してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施例におけるインサート成形体の斜視図、図1(b)は図1(a)のインサート成形体を構成するコンタクトの斜視図。
【図2】図2(a)は図1(a)のA部の拡大図、図2(b)は図1(a)のベース部材を含む電球ホルダーの背面図、図2(c)は図2(b)のB―B´線に沿う断面図、図2(d)は図2(c)の拡大断面図。
【図3】本発明におけるインサート成形体の製造状況を示す斜視図。
【図4】図4(a)は、本発明におけるインサート成形体の製造装置の説明図、図4(b)は同製造装置における固定入れ子の斜視図、図4(c)は、同製造装置における可動コマの斜視図。
【図5】図5(a)は、本発明におけるインサート成形体の製造装置の初期状態を示す説明図、図5(b)は、突き出しストロークを示す説明図。
【図6】図6(a)は、インサート部材の可動コマへの冠着状況を示す説明図、図6(b)は同冠着状況の斜視図、図6(c)は、図6(a)の要部拡大斜視図。
【図7】図7(a)は、可動コマの固定入れ子への装填状況を示す説明図、図7(b)は同装填状況の斜視図。
【図8】図8(a)は、拘束部材による可動コマの拘束状況を示す説明図、図8(b)は同拘束状況の斜視図、図8(b)は、同拘束状況の斜視図、図8(c)は、可動コマの固定入れ子への装填状況を示す要部断面図、図8(d)は、可動コマの固定入れ子への装填状況を示す上部斜視図。
【図9】図9(a)は、上部入れ子を固定入れ子に合わせた状況を示す説明図、図9(b)は同状況の斜視図。
【図10】図10(a)は、エジェクター部材による可動コマの押し出し状況を示す説明図、図10(b)は、同状況の斜視図、図10(c)は、冠着部が固定入れ子から突き出した状態を示す要部断面図。
【図11】図11(a)は、エジェクターピンを突き出しストローク分だけ押し出した状況を示す説明図、図11(b)は、初期状況を示す説明図、図11(c)は、冠着部が固定入れ子から突出した状態を示す要部断面図。
【図12】従来のインサート成形体の断面図。
【符号の説明】
【0057】
1・・・インサート部材
2・・・ベース部材
31・・・埋設部材
311・・・平板部材
312a、312b・・・湾曲部材
33a、33b・・・平坦部材
34a、34b・・・弾性片
5・・・上部入れ子
6・・・固定入れ子
62・・・キャビティ
7・・・可動コマ
72・・・冠着部
73・・・鍔部
74・・・挿通孔
75a、75b・・・平坦部
76a、76b・・・切欠部
9・・・拘束部材
91・・・係止部
92a、92b・・・スロープ
10・・・エジェクター部材
10a・・・エジェクターピン
10b・・・エジェクター連動ピン
【技術分野】
【0001】
本発明はインサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置に係わり、特に、インサート部品に金属製の弾性片を有するインサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のインサート成形体としては、例えば図12に示すように、合成樹脂製のベース部材100と、当該ベース部材100にインサート成形によって保持された金属製のコンタクト200とから成るものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このコンタクト200は、導電性及び弾性を有する帯状の金属材料を略U字状に折曲して成る電球ホルダー300を備えており、当該電球ホルダー300は、ベース部材100に埋設される板状の平板部材310と、図示しない電球を挟持する一対の弾性片320a、320bとを備えている。
【0004】
【特許文献1】特許第3062913号公報(段落番号「0016」〜「0028」、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような構成のインサート成形体は、金型内にインサート部材をインサートし、金型内に樹脂を注入することで、インサート部材とベース部材とを一体化することができるものの、単に、金型内にインサート部材をインサートすると、次のような難点があった。
【0006】
第1に、インサート部品としての電球ホルダー300の平板部材310の板厚が薄いため(0.3mm程度)、当該電球ホルダー300を金型内にインサートして金型内に樹脂を注入すると、平板部材310が注入時における樹脂圧で変形するおそれがあった。
【0007】
第2に、このような構成の電球ホルダー300においては、一対の弾性片320a、320bが存在することから、インサート成形するに当たり、金型内に一対の弾性片320a、320bを取り囲む入れ子を配置して電球ホルダー300の一対の弾性片320a、320bと金型内に注入される樹脂との接触を遮断する必要があるところ、単に、一対の弾性片320a、320bを入れ子で取り囲む構成では、電球ホルダー300の平板部材310と入れ子との間隙から金型内に注入した樹脂が入れ子内に流出するおそれがあった。
【0008】
本発明は、上述の難点を解消するためになされたもので、金型内に注入した樹脂が金型の空室内に漏れるおそれがなく、また、インサート成形時の樹脂圧でコンタクトが変形するおそれのないインサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインサート成形体の製造装置は、上金型内に配設される上部入れ子と、下金型内に配設され、U字状のインサート部材を囲むための固定入れ子と、上部にインサート部材を冠着するための冠着部を有し、固定入れ子のキャビテイ内に挿脱自在に装填される可動コマと、可動コマの上下動を所定位置に拘束するための拘束部材と、可動コマの挿通孔内に挿通され、所定時にインサート部材を固定入れ子から上方に向けて押し出すためのエジェクター部材とを備えるものである。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様であるインサート成形体の製造装置において、インサート部材は、それ自身の垂設部に平坦部材を備え、冠着部はそれ自身の側部に平坦部材の内面と当接する平坦部を備えるものである。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様であるインサート成形体の製造装置において、インサート部材は、それ自身の垂設部に弾性片を備え、冠着部は、それ自身の側部に弾性片を所定の空間を有して配設するための切欠部を備えるものである。
【0012】
本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様の何れかの態様であるインサート成形体の製造装置において、固定入れ子の下方部位に、可動コマの挿通孔と軸線が一致する挿通孔を有する入れ子本体が配設されているものである。
【0013】
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れかの態様であるインサート成形体の製造装置において、拘束部材は、入れ子本体と固定入れ子間に水平方向に移動可能に配設されているものである。
【0014】
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様であるインサート成形体の製造装置において、エジェクター部材は、入れ子本体の挿通孔と、可動コマの挿通孔に跨って挿通されるエジェクターピンと、エジェクターピンの外周にスライド可能に嵌挿されるエジェクター連動ピンとを備え、エジェクター連動ピンの外径は可動コマの挿通孔の内径よりも大径とされているものである。
【0015】
本発明の第7の態様は、第1の態様乃至第6の態様の何れかの態様であるインサート成形体の製造装置において、拘束部材の先端部は、エジェクター連動ピンに対してエジェクター連動ピンと直交する方向から圧接されているものである。
【0016】
本発明の第8の態様は、第1の態様乃至第7の態様の何れかの態様であるインサート成形体の製造装置において、可動コマは、それ自身の下端部に鍔部を備え、鍔部は拘束部材の先端部に設けられたスロープに係止されているものである。
【0017】
本発明の第9の態様であるインサート成形体の製造方法は、上金型内に配設される上部入れ子と、下金型内に配設され、U字状のインサート部材を囲むための固定入れ子と、固定入れ子内に挿脱自在に装填される可動コマとを備え、(イ)可動コマの上部にインサート部材を冠着する工程、(ロ)可動コマをインサート部材の外側面が固定入れ子のキャビテイの内壁面に当接するように装填し、かつ固定入れ子のキャビテイの開口部をインサート部材の水平部で密閉する工程、(ハ)上部入れ子を下降し、上部入れ子と固定入れ子との合わせ面間のキャビテイに樹脂を注入する工程、(ニ)樹脂の成形後に、上部入れ子を上昇させるとともに可動コマを前記固定入れ子のキャビテイから押し出す工程、(ホ)可動コマから、成形後のインサート部材を離脱させる工程とを含むものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のインサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置によれば、金型内にインサート部材をインサートし金型内に樹脂を注入することで、インサート部材とベース部材とを自動で容易に一体化することができるとともに、次のような効果を奏する。
【0019】
第1に、金型内に例えば電球ホルダーの平坦部材および弾性片を囲む固定入れ子が配設され、電球ホルダーを装着した可動コマを固定入れ子のキャビティに装填することで、固定入れ子のキャビティの開口部が密閉されることから、この状態において、射出成形機の金型内に合成樹脂を射出することにより、金型の空室内に樹脂が漏れるおそれがなくなる。
【0020】
第2に、可動コマの上部にインサート部材の内面形状と略対応する外面形状を有する冠着部が設けられていることから、可動コマに対するインサート部材の装着を容易に行なうことができ、また、冠着部にインサート部材を装着した可動コマを固定入れ子のキャビティ内に装填することで、キャビティ内の空間が少なくなることから、可動コマの冠着部がインサート部材の補強になるとともに、金型の空室部分の樹脂圧に対する支持補強の効果を奏することができる。
【0021】
第3に、拘束部材の先端部がエジェクター連動ピンに圧接されることで、可動コマを固定入れ子の上面に突設した状態を維持することができ、ひいては可動コマの冠着部に対するインサート部材の冠着を容易に行うことができる。
【0022】
第4に、エジェクター部材を備えることから、インサート成形後に可動コマを固定入れ子のキャビテイ内から押し出すことができ、ひいてはインサート成形品を可動コマから容易に離脱させることができる。
【0023】
第5に、可動コマの下端部に鍔部を設けることで、固定入れ子のキャビテイに対する可動コマの位置決めを容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明のインサート成形体の製造方法およびこれに用いるインサート成形体の製造装置を適用した好ましい実施の形態例について、図面を参照して詳述する。
【0025】
図1は、本発明において成形すべきインサート成形体、例えばバニティミラー用ランプボデイ等のインサート成形体の斜視図を示している。
【0026】
同図(a)において、本発明におけるインサート成形体は、金属製のインサート部材1と、インサート部材1を保持するポリアミド樹脂(ナイロン66)やABS樹脂等の合成樹脂材料から成るベース部材2とを備えている。
【0027】
インサート部材1は、図1(b)に示すように、第1のコンタクト1aと、第1のコンタクト1aと対を成す第2のコンタクト1bと、スイッチの開閉接点部を構成する一方の接触片から成る第3のコンタクト1cと、スイッチの開閉接点部を構成する他方の接触片から成る第4のコンタクト1dとを備えている。これらの第1〜第4のコンタクト1a〜1dは、導電性及び弾性を有する金属材料、例えば、リン青銅、ステンレス鋼若しくは黄銅等で形成されており、後述するキャリアを介して一体化され、完成品の状態においては、絶縁性の合成樹脂等から成るベース部材2を介してそれぞれ相互に絶縁されている。
【0028】
第1のコンタクト1aは、電球(不図示)の一方の口金部を把持するための電球ホルダー(以下「第1の電球ホルダー」という。)3aを備え、また、第2のコンタクト1bは、電球の他方の口金部を把持するための電球ホルダー(以下「第2の電球ホルダー」という。)3bを備えている。ここで、第1、第2の電球ホルダー3a、3bはそれぞれ同様の構成とされていることから、以下の説明においては、第1の電球ホルダー3aの構成について説明する。
【0029】
第1の電球ホルダー3aは、帯状のコンタクトの両端部を折曲することにより全体として側面視で略U字状を呈している。具体的には、図2(a)〜(d)に示すように、板状のベース部材2に埋設される帯状の埋設部材31(図2(d))を備えており、当該埋設部材31は、板状のベース部材2にベース部材2と平行にかつそれ自身の内面(図中下部)がベース部材2を構成する底部21の内面21a(図中下部)と面一になるように埋設される板状の平板部材311と、平板部材311の一端縁部に連設され、かつベース部材2中に埋設される半円筒状の湾曲部材(以下「第1の湾曲部材」という。)312aと、平板部材311の他端縁部に連設され、かつベース部材2に埋設される半円筒状の湾曲部材(以下「第2の湾曲部材」という。)312bとを備えている。ここで、第1、第2の湾曲部材312a、312bの凸面部はベース部材2の外面21b(図中上部)に向けて配設されており、完成品の状態においては、後述するように、ベース部材2としての合成樹脂が第1、第2の湾曲部材312a、312bの内面側および外面側に充填されている。
【0030】
また、第1の湾曲部材312aの端縁部には平板部材311と直交するように帯状の平坦部材(以下「第1の平坦部材」という。)33aが連設され、第2の湾曲部材312bの端縁部にも平板部材311と直交し、それ自身の平面部が第1の平坦部材33aの平面部と対向するように帯状の平坦部材(以下「第2の平坦部材」という。)33bが連設され、さらに、第1の平坦部材33aの端縁部には弾性を呈する帯状の弾性片(以下「第1の弾性片」という。)34aが図中下方に向かって垂設され、第2の平坦部材33bの端縁部にもそれ自身の平面部が弾性片34aの平面部と対向するように弾性を呈する帯状の弾性片(以下「第2の弾性片」という。)34bが図中下方に向かって垂設されている。ここで、第1、第2の弾性片34a、34bは、次のように、電球(不図示)を挟持し得るように対向して配置されている。すなわち、第1の弾性片34aは、第1の平坦部材33aの端縁部に垂設された斜片(以下「第1の斜片」という。)341aと、第1の斜片341aの端縁部にその凸面部を第2の弾性片34bに向けて連設された半円筒状の湾曲部(以下「第1の湾曲部」という。)342aと、第1の湾曲部342aの端縁部にその端縁部を外方に向けて連設されたテーパ片(以下「第1のテーパ片」という。)343aとを備えており、第2の弾性片34bも、第2の平坦部材33bの端縁部にそれ自身の平面部を第1の斜片341bに向けて垂設された斜片(以下「第2の斜片」という。)341bと、第2の斜片341bの端縁部にそれ自身の凸面部を第1の弾性片34aに向けて連設された半円筒状の湾曲部(以下「第2の湾曲部」という。)342bと、第2の湾曲部342bの端縁部にその端縁部を外方に向けて連設されたテーパ片(以下「第2のテーパ片」という。)343bとを備えている。ここで、第1、第2の斜片341a、341bは、平板部材311から図中下方に向かって対向間隔が緩やかに近づくように傾斜しており、また、第1、第2のテーパ343a、343bは外方に向かって対向間隔が広がるように配置されることで電球のガイド部としての作用を呈するように構成されている。なお、図中、符号23は、後述するピン部材の挿入孔を示している。
【0031】
図3は、第1〜第4のコンタクト1a〜1dの製造方法の一例を示す説明図である。
【0032】
同図において、例えば、厚さが0.3mm程度のリン青銅板から成る金属の薄板(以下「フープ」という。)4は、図示しないリールに巻収されており、かかるリールからフープ4が矢符方向に引出され、このフープ4にプレス(ピアス、フォーミング)加工が施されて、前述の第1、第2の電球ホルダー3a、3bが得られる。なお、図中、符号4aは位置決め用の孔、4bはキャリアを示している。
【0033】
このように加工された第1、第2の電球ホルダー3a、3bを含む第1〜第4のコンタクト1a〜1dは、後述する射出成形機の金型内にインサートすることで、インサート部材とベース部材とを一体化することができる。
【0034】
図4は、本発明におけるインサート成形体の製造装置の主要部を示す説明図である。
【0035】
同図(a)において、本発明のインサート成形体の製造装置は、上金型内に配設される上部入れ子5と、下金型内に配設される主型Mとを備えている。ここで、第1、第2の電球ホルダー3a、3bをインサートするための主型Mはそれぞれ同様の構成とされていることから、以下の説明においては、第1の電球ホルダー3aをインサートするための主型Mの構成について説明する。
【0036】
主型Mは、インサート部材(第1の電球ホルダー3a)を囲むための固定入れ子6と、固定入れ子6内に挿脱自在に装填される可動コマ7と、固定入れ子6の下方位置に配設され、矩形状の筐体を有する入れ子本体8と、固定入れ子6と入れ子本体8間に配設され、可動コマ7の上下動を所定位置に拘束するための拘束部材9と、可動コマ7および入れ子本体8内に挿通され、所定時にインサート部材を上方に向けて突き出すためのエジェクター部材10とを備えている。
【0037】
固定入れ子6は、図4(b)に示すように、第1〜第4の内壁面61a〜61dを有する四角状の貫通孔(以下「キャビテイ」という。)62を備えている。
【0038】
可動コマ7は、図4(c)に示すように、固定入れ子6の第1〜第4の内壁面61a〜61dにそれぞれ当接する第1〜第4の外壁面71a〜71dを有する四角柱状の可動コマ本体71と、可動コマ本体71の上部に連設され、U字状のインサート部材(この実施例では前述の第1の電球ホルダー3a)を冠着するための冠着部72と、可動コマ本体71の下部に連設され、可動コマ7を所定位置に位置決めするための板状の鍔部73とを備えており、可動コマ7の中心部には鍔部73から冠着部72に跨って貫通する貫通孔(以下「第1の挿通孔」という。)74が設けられている。
【0039】
冠着部72は、インサート部材(第1の電球ホルダー3a)の内面形状(この実施例ではU字形状)と略対応する外面形状を備えている。具体的には、冠着部72の左側面(図中左側)に、冠着部72の上面から下部に向かって第1の電球ホルダー3aを構成する第1の平坦部材33aを当接するための平坦部(以下「左側平坦部」という。)75aおよび第1の弾性片34aを所定の間隙を有して配設するための前面視でJ字状の切欠部(以下「左側切欠部」という。)76aが設けられており、冠着部72の右側面(図中右側)に、冠着部72の上面から下部に向かって第1の電球ホルダー3aを構成する第2の平坦部材33bを当接するための平坦部(以下「右側平坦部」という。)75bおよび第2の弾性片34bを所定の間隙を有して配設するための前面視でし字状の切欠部(以下「右側切欠部」という。)76bが設けられている。また、冠着部72の上面左側には、図中前面側から背面側に向かって第1の湾曲部材312aの内面を当接するための半円柱状の山形部(以下「第1の山形部」という。)77aが設けられており、上面右側には、図中前面側から背面側に向かって第1の湾曲部材312aの内面を当接するための半円柱状の山形部(以下「第2の山形部」という。)77bが設けられている。ここで、第1、第2の山形部77a、77bの前面(以下「山形部前面」という。)771a、771bは、可動コマ本体71の第1の外壁面71aと面一になるように設けられ、第1、第2の山形部77a、77bの背面(以下「山形部背面」という。)772a、772bは、可動コマ本体71の第3の外壁面71cと面一になるように設けられれている。
【0040】
入れ子本体8の図中左側端縁部近傍には、それ自身の下端部から上端部に跨って貫通する貫通孔(以下「第2の挿通孔」という。)81が設けられており、この第2の挿通孔81の軸心は第1の挿通孔74の軸心と一致させて設けられている。なお、第2の挿通孔81の内径は第1の挿通孔74の内径よりも大径とされている。
【0041】
拘束部材9は、入れ子本体8の上面に入れ子本体8の上面に沿って水平方向に移動可能に載置された拘束部材本体91と、拘束部材本体91の先端部(図中左側)に設けられた弾丸状の係止部92と、拘束部材本体91の基端部(図中右側)に設けられた筒状の凹陥部93とを備えており、凹陥部93内にはコイル状のスプリング94が水平方向にバネ力が作用するように配設されている。また、係止部92は、拘束部材本体91の上面から先端部中央に向けて緩やかに下降する下りスロープ92aと、拘束部材本体91の下面から先端部中央に向けて緩やかに上昇する上りスロープ92bとを備えている。
【0042】
エジェクター部材10は、第2の挿通孔81から第1の挿通孔74に跨って挿入されるエジェクターピン10aと、エジェクターピン10bにスライド可能に嵌挿された円筒状のエジェクター連動ピン10bとを備えており、エジェクターピン10aの基部(図中下部)にはエジェクター連動ピン10bを係止するためのストッパ10cが設けられている。ここで、エジェクター連動ピン10bの外径は第2の挿通孔81の内径と略同等若しくはそれより若干小径で、かつ第1の挿通孔74の内径より大径とされ、エジェクターピン10aの外径は第1の挿通孔74の内径と略同等若しくはそれより若干小径とされている。また、エジェクターピン10aの軸方向の長さは、第1の挿通孔74の軸方向の長さおよび第2の挿通孔81の軸方向の長さの合計の長さよりも若干長く設定され、エジェクター連動ピン10bの軸方向の長さは、第2の挿通孔81の軸方向の長さよりも若干短く設定されている。
【0043】
次に、このような構成のインサート成形体の製造装置を用いて、インサート成形体を製造する方法について説明する。
【0044】
先ず、初期状態(インサート部材(第1の電球ホルダー3a)を可動コマ7の冠着部72に冠着する前の状態)においては、図5(a)に示すように、可動コマ7の鍔部73の上面が固定入れ子6の下面に当接するとともに、エジェクター連動ピン10bの上端が可動コマ7の鍔部73の下面に当接している。
【0045】
また、拘束部材9の係止部92は、コイル状のスプリング94のバネ力によりエジェクター連動ピン10bの外面に所定の押圧力を有して圧接されるとともに、可動コマ7の鍔部73の下面が係止部92の下りスロープ92bに係止されている。これにより、可動コマ7の冠着部72が固定入れ子6の上面(パーティグライン)から突出し、この状態がコイル状のスプリング94のバネ力により維持されている。なお、この状態においては、エジェクターピン10aの先端部は可動コマ7の冠着部72の上面と略面一となる位置まで存在しており、これにより、エジェクター連動ピン10bの下端部とストッパ10c間に所定の距離(以下「突き出しストローク」という。)Lが確保されている。
【0046】
このような状態において、図6(a)、(b)に示すように、自動機(不図示)により第1の電球ホルダー3aを矢印方向から冠着部72に向けて冠着すると、図6(c)に示すように、第1の電球ホルダー3aの開口部(先端部)が水平方向に押し広げられ、さらに第1の電球ホルダー3aを下方に向けて押圧すると、第1の電球ホルダー3a自身が弾性材料で形成されていることから、元の位置に戻ることになる。すなわち、第1の平坦部材33aの内面側が冠着部72の左側平坦部75aの外面側に、第2の平坦部材33bの内面側が冠着部72の右側平坦部75bの外面側にそれぞれ当接されるとともに、第1の弾性片34aが左側切欠部76aに、第2の弾性片34bが右側切欠部76bにそれぞれ配設されることになる。
【0047】
次いで、自動機で第1の電球ホルダー3aを装着した可動コマ7を下方に向けて押圧すると、図7(a)、(b)に示すように、可動コマ7が固定入れ子6のキャビテイ62(図4(b)参照)内に装填されるとともに、可動コマ7の鍔部73が下降し、この鍔部73の下降と連動してエジェクター連動ピン10bの下端部がストッパ10c(図5(c)参照)に係止される位置まで下降することになり、また、可動コマ7の鍔部73の下降と連動して、すなわち鍔部73の下面の一部(図中右側の下面の角部)が下りスロープ92aの傾斜面に当接しながら下降することで、拘束部材9が図中右方向へ移動することになる。さらに、可動コマ7を下降させると、鍔部73が係止部92を乗り越えて鍔部73の下面が入れ子本体8の上面に当接する。これにより、図8(a)、(b)に示すように、可動コマ7の鍔部73の上面の一部(図中右側の上面の角部)が上りスロープ92bで係止されることになる。
【0048】
ここで、第1の電球ホルダー3aを装着した可動コマ7を固定入れ子6のキャビテイ62(図4(b)参照)内に装填すると、図4(b)、図4(c)、図8(c)および図8(d)に示すように、第1の電球ホルダー3aを構成する第1の平坦部材33aの外面側がキャビテイ62の例えば第1の内壁面61aに当接し、第2の平坦部材33bの外面側がキャビテイ62の例えば第3の内壁面61cに当接するとともに、固定入れ子6の上面から、すなわち、金具のパーティグライン上から、第1、第2の山形部77a、77bが突出することになる。これにより、固定入れ子6のキャビテイ62の上面側の開口部が第1の電球ホルダー3aの水平部分(第1の湾曲部材312a、平板部材311および第2の湾曲部材312b)で密閉されることになる。
【0049】
このような状態において、図9(a)、(b)に示すように、上部入れ子5を下降し、上部入れ子5と固定入れ子6の合わせ目間に生じるキャビテイに樹脂を充填することで、インサート部材である第1の電球ホルダー3aとベース部材2(図2(d)参照)を一体化することができる。
【0050】
インサート成形が終了すると、上部入れ子5が上昇し、次いで、エジェクターピン10aを上方に向けて所定長押し出すと、図10(a)、(b)、(c)に示すように、エジェクターピン10aの先端部がインサート成形品11としての第1の電球ホルダー3aの平板部材311の下面に当接していることから、エジェクターピン10aの上昇に連動して可動コマ7が上昇し、さらにエジェクターピン10aを押し出すと、エジェクター連動ピン10bの上端部が鍔部73の下面に当接するとともに鍔部73の上面が固定入れ子6の下面に当接することになる。これにより、この位置で可動コマ7の押し出しが停止し、冠着部72が固定入れ子6の上面(パーティングライン)から突出することになる。
【0051】
ここで、エジェクターピン10aをさらに上昇させることで、すなわち図11(a)に示すように、突き出しストロークLの長さ分だけ上昇させると、インサート成形品11を冠着部72から強制的に離脱させることができる。この工程が終了すると、図11(b)に示すように、エジェクターピン10aが元の位置に戻ることになるが、エジェクター連動ピン10bが拘束部材9で拘束されていることから、その状態が維持され、初期状態、すなわち図5に示す状態に戻ることになる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、特許請求の範囲内で、次のように、変更、修正を加えることができる。
【0053】
第1に、前述の実施例においては、バニティミラー用ランプボディに適用した場合について述べているが、本発明はこのようなものに限定されず、例えばファストン端子を有するインサート成形体や、弾性片を有する支持板インサート成形品等に適用しても本発明と同様の効果を奏する。
【0054】
第2に、前述の実施例においては、入れ子本体を矩形状の筐体で形成した場合について述べているが、本発明はこのような形態のものに限定されない。
【0055】
第3に、前述の実施例においては、拘束部材の先端部でエジェクター連動ピンを拘束する場合について述べているが、本発明はこのようなのものに限定されず、例えば、板状の弾性部材でエジェクター連動ピンを拘束してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施例におけるインサート成形体の斜視図、図1(b)は図1(a)のインサート成形体を構成するコンタクトの斜視図。
【図2】図2(a)は図1(a)のA部の拡大図、図2(b)は図1(a)のベース部材を含む電球ホルダーの背面図、図2(c)は図2(b)のB―B´線に沿う断面図、図2(d)は図2(c)の拡大断面図。
【図3】本発明におけるインサート成形体の製造状況を示す斜視図。
【図4】図4(a)は、本発明におけるインサート成形体の製造装置の説明図、図4(b)は同製造装置における固定入れ子の斜視図、図4(c)は、同製造装置における可動コマの斜視図。
【図5】図5(a)は、本発明におけるインサート成形体の製造装置の初期状態を示す説明図、図5(b)は、突き出しストロークを示す説明図。
【図6】図6(a)は、インサート部材の可動コマへの冠着状況を示す説明図、図6(b)は同冠着状況の斜視図、図6(c)は、図6(a)の要部拡大斜視図。
【図7】図7(a)は、可動コマの固定入れ子への装填状況を示す説明図、図7(b)は同装填状況の斜視図。
【図8】図8(a)は、拘束部材による可動コマの拘束状況を示す説明図、図8(b)は同拘束状況の斜視図、図8(b)は、同拘束状況の斜視図、図8(c)は、可動コマの固定入れ子への装填状況を示す要部断面図、図8(d)は、可動コマの固定入れ子への装填状況を示す上部斜視図。
【図9】図9(a)は、上部入れ子を固定入れ子に合わせた状況を示す説明図、図9(b)は同状況の斜視図。
【図10】図10(a)は、エジェクター部材による可動コマの押し出し状況を示す説明図、図10(b)は、同状況の斜視図、図10(c)は、冠着部が固定入れ子から突き出した状態を示す要部断面図。
【図11】図11(a)は、エジェクターピンを突き出しストローク分だけ押し出した状況を示す説明図、図11(b)は、初期状況を示す説明図、図11(c)は、冠着部が固定入れ子から突出した状態を示す要部断面図。
【図12】従来のインサート成形体の断面図。
【符号の説明】
【0057】
1・・・インサート部材
2・・・ベース部材
31・・・埋設部材
311・・・平板部材
312a、312b・・・湾曲部材
33a、33b・・・平坦部材
34a、34b・・・弾性片
5・・・上部入れ子
6・・・固定入れ子
62・・・キャビティ
7・・・可動コマ
72・・・冠着部
73・・・鍔部
74・・・挿通孔
75a、75b・・・平坦部
76a、76b・・・切欠部
9・・・拘束部材
91・・・係止部
92a、92b・・・スロープ
10・・・エジェクター部材
10a・・・エジェクターピン
10b・・・エジェクター連動ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上金型内に配設される上部入れ子と、
下金型内に配設され、U字状のインサート部材を囲むための固定入れ子と、
上部に前記インサート部材を冠着するための冠着部を有し、前記固定入れ子のキャビテイ内に挿脱自在に装填される可動コマと、
前記可動コマの上下動を所定位置に拘束するための拘束部材と、
前記可動コマの挿通孔内に挿通され、所定時に前記インサート部材を前記固定入れ子から上方に向けて押し出すためのエジェクター部材とを備えることを特徴とするインサート成形体の製造装置。
【請求項2】
前記インサート部材は、それ自身の垂設部に平坦部材を備え、前記冠着部はそれ自身の側部に前記平坦部材の内面と当接する平坦部を備えることを特徴とする請求項1記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項3】
前記インサート部材は、それ自身の垂設部に弾性片を備え、前記冠着部は、それ自身の側部に前記弾性片を所定の空間を有して配設するための切欠部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項4】
前記固定入れ子の下方部位に、前記可動コマの挿通孔と軸線が一致する挿通孔を有する入れ子本体が配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項5】
前記拘束部材は、前記入れ子本体と前記固定入れ子間に水平方向に移動可能に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項6】
前記エジェクター部材は、前記入れ子本体の挿通孔と、前記可動コマの挿通孔に跨って挿通されるエジェクターピンと、前記エジェクターピンの外周にスライド可能に嵌挿されるエジェクター連動ピンとを備え、前記エジェクター連動ピンの外径は前記可動コマの挿通孔の内径よりも大径とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項7】
前記拘束部材の先端部は、前記エジェクター連動ピンに対して前記エジェクター連動ピンと直交する方向から圧接されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6何れか1項記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項8】
前記可動コマは、それ自身の下端部に鍔部を備え、前記鍔部は前記拘束部材の先端部に設けられたスロープに係止されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項9】
上金型内に配設される上部入れ子と、下金型内に配設され、U字状のインサート部材を囲むための固定入れ子と、前記固定入れ子内に挿脱自在に装填される可動コマとを備え、
(イ)前記可動コマの上部に前記インサート部材を冠着する工程、
(ロ)前記可動コマを前記インサート部材の外側面が前記固定入れ子のキャビテイの内壁面に当接するように装填し、かつ前記固定入れ子のキャビテイの開口部を前記インサート部材の水平部で密閉する工程、
(ハ)前記上部入れ子を下降し、前記上部入れ子と前記固定入れ子との合わせ面間のキャビテイに樹脂を注入する工程、
(ニ)前記樹脂の成形後に、前記上部入れ子を上昇させるとともに前記可動コマを前記固定入れ子のキャビテイから押し出す工程、
(ホ)前記可動コマから、成形後の前記インサート部材を離脱させる工程とを含むことを特徴とするインサート成形体の製造方法。
【請求項1】
上金型内に配設される上部入れ子と、
下金型内に配設され、U字状のインサート部材を囲むための固定入れ子と、
上部に前記インサート部材を冠着するための冠着部を有し、前記固定入れ子のキャビテイ内に挿脱自在に装填される可動コマと、
前記可動コマの上下動を所定位置に拘束するための拘束部材と、
前記可動コマの挿通孔内に挿通され、所定時に前記インサート部材を前記固定入れ子から上方に向けて押し出すためのエジェクター部材とを備えることを特徴とするインサート成形体の製造装置。
【請求項2】
前記インサート部材は、それ自身の垂設部に平坦部材を備え、前記冠着部はそれ自身の側部に前記平坦部材の内面と当接する平坦部を備えることを特徴とする請求項1記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項3】
前記インサート部材は、それ自身の垂設部に弾性片を備え、前記冠着部は、それ自身の側部に前記弾性片を所定の空間を有して配設するための切欠部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項4】
前記固定入れ子の下方部位に、前記可動コマの挿通孔と軸線が一致する挿通孔を有する入れ子本体が配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項5】
前記拘束部材は、前記入れ子本体と前記固定入れ子間に水平方向に移動可能に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項6】
前記エジェクター部材は、前記入れ子本体の挿通孔と、前記可動コマの挿通孔に跨って挿通されるエジェクターピンと、前記エジェクターピンの外周にスライド可能に嵌挿されるエジェクター連動ピンとを備え、前記エジェクター連動ピンの外径は前記可動コマの挿通孔の内径よりも大径とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項7】
前記拘束部材の先端部は、前記エジェクター連動ピンに対して前記エジェクター連動ピンと直交する方向から圧接されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6何れか1項記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項8】
前記可動コマは、それ自身の下端部に鍔部を備え、前記鍔部は前記拘束部材の先端部に設けられたスロープに係止されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載のインサート成形体の製造装置。
【請求項9】
上金型内に配設される上部入れ子と、下金型内に配設され、U字状のインサート部材を囲むための固定入れ子と、前記固定入れ子内に挿脱自在に装填される可動コマとを備え、
(イ)前記可動コマの上部に前記インサート部材を冠着する工程、
(ロ)前記可動コマを前記インサート部材の外側面が前記固定入れ子のキャビテイの内壁面に当接するように装填し、かつ前記固定入れ子のキャビテイの開口部を前記インサート部材の水平部で密閉する工程、
(ハ)前記上部入れ子を下降し、前記上部入れ子と前記固定入れ子との合わせ面間のキャビテイに樹脂を注入する工程、
(ニ)前記樹脂の成形後に、前記上部入れ子を上昇させるとともに前記可動コマを前記固定入れ子のキャビテイから押し出す工程、
(ホ)前記可動コマから、成形後の前記インサート部材を離脱させる工程とを含むことを特徴とするインサート成形体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−315277(P2006−315277A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139747(P2005−139747)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(501212922)株式会社土田製作所 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(501212922)株式会社土田製作所 (6)
【Fターム(参考)】
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