インダクタ及びLC複合部品
【課題】内部電極と実装基板との間で発生する浮遊容量を低減することが可能なインダクタを提供すること。
【解決手段】インダクタ1は、複数の磁性体層10〜14が積層された素体2と、素体2の外表面に配置される第1及び第2の端子電極3,4と、素体2の外表面に配置され且つ素体2を挟んで互いに対向する一対の外部接続導体5,6とを備える。素体2は、第1の引出内部電極15、第2の引出内部電極16及び連結内部電極17を有し、第1の引出内部電極15は、第1の端子電極3及び外部接続導体5に接続され、第2の引出内部電極16は、第2の端子電極4及び外部接続導体6に接続され、連結内部電極17は、対向する一対の外部接続導体5,6にその両端が接続され、この連結内部電極17が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極15,16よりも実装面2b側に位置するように配置される。
【解決手段】インダクタ1は、複数の磁性体層10〜14が積層された素体2と、素体2の外表面に配置される第1及び第2の端子電極3,4と、素体2の外表面に配置され且つ素体2を挟んで互いに対向する一対の外部接続導体5,6とを備える。素体2は、第1の引出内部電極15、第2の引出内部電極16及び連結内部電極17を有し、第1の引出内部電極15は、第1の端子電極3及び外部接続導体5に接続され、第2の引出内部電極16は、第2の端子電極4及び外部接続導体6に接続され、連結内部電極17は、対向する一対の外部接続導体5,6にその両端が接続され、この連結内部電極17が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極15,16よりも実装面2b側に位置するように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ及びLC複合部品に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の分野に関連する技術として、例えば特許文献1に記載の面実装型の縦巻きインダクタがある。この従来の縦巻きインダクタでは、第1及び第2磁性体基板上に斜め方向に延出する第1及び第2導体パターンをそれぞれ設け、第1、第2及び第3磁性体基板を積層した際、これら斜め方向に延出する第1及び第2導体パターンが接続用導体を介して第2磁性体基板を周回するコイル導体を形成し、このコイル導体の両端が引出端子によって端子電極に相当する外部電極用導体に接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−82832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された縦巻きインダクタでは、インダクタ素体内の内部電極に相当する第1導体パターンや第2導体パターンと縦巻きインダクタを実装する実装基板との間で不要な浮遊容量が発生してしまうという問題があった。しかしながら、特許文献1に記載された縦巻きインダクタでは、このような浮遊容量の発生に対して何ら対策が講じられていない。
【0005】
本発明は、内部電極と実装基板との間で発生する浮遊容量を低減することが可能なインダクタ及びLC複合部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るインダクタは、複数の絶縁体層が積層され、複数の絶縁体層の積層方向に交差する実装面を含む外表面が形成された素体と、素体の外表面に配置される第1及び第2の端子電極と、素体の外表面に配置され且つ素体を挟んで互いに対向する一対の外部接続導体とを備え、素体は、複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層上にそれぞれ形成される第1の引出内部電極、第2の引出内部電極及び連結内部電極を有し、第1の引出内部電極は、第1の端子電極及び対向する一対の外部接続導体の内、一方側に配置された外部接続導体に接続され、第2の引出内部電極は、第2の端子電極及び対向する一対の外部接続導体の内、他方側に配置された外部接続導体に接続され、連結内部電極は、対向する一対の外部接続導体にその両端が接続され、対向する一対の外部接続導体に両端が接続された連結内部電極が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極よりも実装面側に位置するように配置されていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係るインダクタでは、対向する一対の外部接続導体に両端が接続される連結内部電極が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極よりも実装面側に位置するように配置されている。このような配置構成により、端子電極への確実な接続を図るため一般的に大きめに形成されやすい引出内部電極を実装面から遠ざけることができると共に、実装面側には、細めに形成することが可能な連結内部電極を位置させることができる。その結果、かかるインダクタを回路基板に実装した際、引出内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減できると共に、実装面側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。しかも、実装面側に位置する連結内部電極では、対向する一対の外部接続導体にその両端が接続されるようになっていることから、従来のように斜め方向に延出して斜めに位置する外部接続導体に接続される場合に比べ、連結内部電極の長さを短くすることができ(すなわち面積を小さくでき)、連結内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を十分に低減できる。このように、本発明に係るインダクタによれば、各内部電極と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をインダクタ全体として低減することが可能となる。
【0008】
また、本発明に係るインダクタは、連結内部電極を、第1及び第2の引出内部電極よりも実装面側に位置するように配置するといった簡易な構成であるため、インダクタの構造を複雑にすることなく、浮遊容量の低減を図ることができる。さらに、本発明に係るインダクタは、いわゆる縦巻きのインダクタを構成していることから、積層方向に内部電極を順に積層してコイル部を構成する横巻きのインダクタに比べ、実装面側に位置する内部電極の面積を小さくすることが可能な場合もあり、この点においても、インダクタの内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減することができる。しかも、本発明に係るインダクタでは、上記構成により、第1の引出内部電極、第1の外部接続導体、連結内部電極、第2の外部接続導体、第2の引出内部電極といった順に電流が流れる電流経路を構成することから、電流が素体外部を流れるようになり、電流が周回する径が大きくなってインダクタンスを大きくすることも可能となっている。
【0009】
好ましくは、複数の絶縁体層は、磁性体層である。この場合、インダクタのインダクタンスを大きくすることができる。
【0010】
好ましくは、連結内部電極は、第1及び第2の引出内部電極の一方又はその合計の面積よりも狭い面積から形成されている。この場合、浮遊容量の低減を確実に図ることができる。
【0011】
好ましくは、第1及び第2の引出内部電極は、複数の絶縁体層の内、異なる絶縁体層又は同一の絶縁体層上にそれぞれ形成され、積層方向において、第1の引出内部電極及び連結内部電極間の距離が、第1及び第2の引出内部電極間の距離よりも長い。この場合、インダクタを流れる電流の周回径を大きくできるので、インダクタンスを大きくすることが可能となる。
【0012】
好ましくは、連結内部電極は、複数の絶縁体層の内、いずれか一の絶縁体層上に複数形成され、複数形成された連結内部電極は、矩形形状からなる実装面における短手方向と平行な方向に延出している。この場合、線間密を高めて巻数(ターン)を増やすことが可能となるため、インダクタのインダクタンスを一層大きくすることが可能となる。
【0013】
好ましくは、連結内部電極は、一対の外部接続導体を最短距離で結ぶように一対の外部接続導体に接続されている。この場合、連結内部電極において、電流が流れる距離が短くなるため、直流抵抗を低減できる。
【0014】
好ましくは、同一形状からなる複数の第1及び第2の引出内部電極と同一形状からなる複数の連結内部電極とがそれぞれ積層方向に連続して形成されている。この場合、各内部電極の積層方向に沿った断面積の合計を大きくできるので直流抵抗を低減できる。しかも、複数の各内部電極を積層したものと同等の厚みがある引出内部電極や連結内部電極をはじめから1つの電極として形成すると厚みがでるため積層時に段差が発生しやすいが、このような積層構成とすることでかかる段差の発生を抑えることができる。その結果、段差に起因する絶縁体層等の剥がれを抑止することが可能となる。
【0015】
好ましくは、上述した各インダクタにおいて、一対の外部接続導体の抵抗を測定して、測定された抵抗値からインダクタに流れる電流を計測してもよい。この場合、外部接続導体の抵抗を利用するといった簡易な方法で電流の検出を行うため、電流の検出を容易に行うことができる。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明に係るLC複合部品は、複数の絶縁体層が積層され、複数の絶縁体層の積層方向に交差する実装面を含む外表面が形成された素体と、素体の外表面に配置される第1及び第2の端子電極と、素体の外表面に配置され且つ素体を挟んで互いに対向する一対の外部接続導体とを備え、素体は、複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層上にそれぞれ形成される第1の引出内部電極、第2の引出内部電極、第3の引出内部電極、連結内部電極、第1の対向内部電極、及び、第2の対向内部電極を有し、第1の引出内部電極は、第1の端子電極及び対向する一対の外部接続導体の内、一方側に配置された外部接続導体に接続され、第2の引出内部電極は、第1の対向内部電極及び対向する一対の外部接続導体の内、他方側に配置された外部接続導体に接続され、第3の引出内部電極は、第2の端子電極及び第2の対向内部電極に接続され、連結内部電極は、対向する一対の外部接続導体にその両端が接続され、第1及び第2の対向内部電極は、複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層を介して互いに対向し、対向する一対の外部接続導体に両端が接続された連結内部電極が、積層方向において、第1、第2及び第3の引出内部電極よりも実装面側に位置するように配置されていると共に、第1及び第2の対向内部電極が、積層方向からみて、連結内部電極及び第1及び第2の引出内部電極と異なる位置に配置されていることを特徴としている。
【0017】
本発明に係るLC複合部品では、対向する一対の外部接続導体に両端が接続される連結内部電極が、積層方向において、第1、第2及び第3の引出内部電極よりも実装面側に位置するように配置されている。このような配置構成により、上述したインダクタと同様、大きめに形成されやすい引出内部電極を実装面から遠ざけることができると共に、実装面側には、細めに形成することが可能な連結内部電極を位置させることができる。その結果、かかるLC複合部品を回路基板に実装した際、引出内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減できると共に、実装面側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。しかも、連結内部電極では、対向する一対の外部接続導体にその両端が接続されるようになっていることから、従来に比べ、連結内部電極の長さを短くでき、連結内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を十分に低減できる。このように、本発明にかかるLC複合部品によれば、各内部電極と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をLC複合部品全体として低減することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係るLC複合部品では、第1及び第2の対向内部電極が、積層方向からみて、連結内部電極及び第1及び第2の引出内部電極と異なる位置に配置されている。このような構成により、連結内部電極や第1及び第2の引出内部電極に電流が十分流れることになり、等価直列抵抗(ESR)を高くすることもできる。なお、本発明に係るLC複合部品では、上述したインダクタと同様、LC複合部品の構造を複雑にすることなく浮遊容量の低減を図ることができ、また、縦巻きのインダクタを構成している部分を有することから、横巻きのインダクタに比べて内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減でき、更に、電流が周回する径が大きくなってインダクタンスを大きくすることも可能となっている。
【0019】
好ましくは、複数の絶縁体層は、誘電体層である。この場合、第1及び第2の対向内部電極によって形成される静電容量を大きくできる。また、磁性体層を有しないため、連結内部電極や第1及び第2の引出内部電極等によって形成されるインダクタンスは小さくなるものの、LC複合部品全体を容易に一体焼成できるため、LC複合部品の製造を簡素化することが可能となる。
【0020】
好ましくは、複数の絶縁体層の内、連結内部電極が形成される絶縁体層と第1の引出内部電極及び第1の対向内部電極が形成される絶縁体層とが磁性体層から構成され、複数の絶縁体層の内、第2の対向内部電極が形成される絶縁体層が誘電体層から構成される。この場合、第1及び第2の対向内部電極によって形成される静電容量を大きくしつつ、連結内部電極や第1及び第2の引出内部電極等によって形成されるインダクタンスも大きくすることができる。
【0021】
好ましくは、第1の引出内部電極及び第1の対向内部電極は、複数の絶縁体層の内、いずれか一の絶縁体層上に形成され、積層方向において、第1の引出内部電極及び連結内部電極間の距離が、第1及び第2の対向内部電極間の距離よりも長い。この場合、電流の周回径を大きくすることができるので、インダクタンスを大きくすることが可能となる。また、第1及び第2の対向内部電極間の距離を小さくすることができるので、静電容量を大きくすることもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、内部電極と実装基板との間で発生する浮遊容量を低減することが可能なインダクタ及びLC複合部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係るインダクタの斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るインダクタに含まれる素体の分解斜視図である。
【図3】図1におけるIII-III線断面図である。
【図4】第1実施形態に係るインダクタの変形例に含まれる素体の分解斜視図である。
【図5】第1実施形態に係るインダクタの変形例の断面図である。
【図6】第1実施形態に係るインダクタの別の変形例の断面図である。
【図7】第2実施形態に係るインダクタの斜視図である。
【図8】第2実施形態に係るインダクタに含まれる素体の分解斜視図である。
【図9】第2実施形態に係るインダクタの変形例に含まれる素体の分解斜視図である。
【図10】外部接続導体間の電位を利用して電流を検出する検出方法を示す図である。
【図11】第3実施形態に係るインダクタの斜視図である。
【図12】第3実施形態に係るインダクタに含まれる素体の分解斜視図である。
【図13】第3実施形態に係るインダクタの変形例に含まれる素体の分解斜視図である。
【図14】第4実施形態に係るLC複合部品の斜視図である。
【図15】第4実施形態に係るLC複合部品に含まれる素体の分解斜視図である。
【図16】図14におけるXVI−XVI線断面図である。
【図17】図14におけるXVII−XVII線断面図である。
【図18】図14に示されたLC複合部品の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0025】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係るインダクタ1の構成について説明する。インダクタ1は、直方体形状をした素体2と、素体2の外表面に配置された端子電極3,4と、素体2の外表面に配置された外部接続導体5,6とを備えている。インダクタ1は、端子電極3,4が回路基板(不図示)における所定の電極に接続されることで回路基板に実装され、例えば、回路基板で発生するノイズを除去するノイズフィルタとして用いられる。なお、外部接続導体5,6は、回路基板に直接接続されない、いわゆるNC(No Contact)導体である。
【0026】
素体2は、対向する第1及び第2の主面2a,2bと、対向し且つ第1及び第2の主面2a,2bの短辺方向に沿って延びる第1及び第2の側面2c,2dと、対向し且つ第1及び第2の主面2a,2bの長辺方向に沿って延びる第3及び第4の側面2e,2fとを含んでいる。第1及び第2の側面2c,2dと第3及び第4の側面2e,2fとは、第1及び第2の主面2a,2b間を連結するように延びている。なお、本実施形態では、第2の主面2bが回路基板に実装される側の面(実装面)を構成する。
【0027】
素体2の第1の側面2cには、第1の主面2aから第2の主面2bにかけて第1の側面2cの略全面を覆うように第1の端子電極3が配置されている。素体2の第2の側面2dには、第1の主面2aから第2の主面2bにかけて第2の側面2dの略全面を覆うように第2の端子電極4が配置されている。第1及び第2の端子電極3,4は、素体2を間に挟んで、第1及び第2の側面2c,2dの対向方向に互いに対向する。
【0028】
素体2の第3の側面2eには、第1の主面2aから第2の主面2bにかけて第3の側面2eの中央部のみを覆うように第1の外部接続導体5が配置されている。素体2の第4の側面2fには、第1の主面2aから第2の主面2bにかけて第4の側面2fの中央部のみを覆うように第2の外部接続導体6が配置されている。第1及び第2の外部接続導体5,6は、素体2を間に挟んで、第3及び第4の側面2e,2fの対向方向に互いに対向する。
【0029】
第1及び第2の端子電極3,4や第1及び第2の外部接続導体5,6は、例えば、導電性金属粉末を含む導電性ペーストを素体2の外表面に付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた電極の上にめっき層を形成してもよい。後述する他の端子電極や外部接続導体も同様に形成される。
【0030】
素体2は、図2に示されるように、磁性体層10〜14(絶縁体層)と、引出内部電極15,16と、連結内部電極17とを有している。各磁性体層10〜14は、第1及び第2の主面2a,2bに平行な方向に延びており、第1の主面2aから第2の主面2bに向かって、磁性体層10、磁性体層11、磁性体層12、複数の磁性体層、磁性体層13、磁性体層14の順で積層されるようになっている。つまり、第1及び第2の主面2a,2bの対向方向が磁性体層10〜14の積層方向となっており、第2の主面(実装面)2bは、この積層方向に直交する。各磁性体層10〜14は、例えば、フェライト等から構成される。実際のインダクタ1では、各磁性体層10〜14の間の境界が視認できない程度に一体化されている。各内部電極15〜17は、導電性ペーストの焼結体から構成される。後述する他の内部電極も同様に形成される。
【0031】
第1及び第2の引出内部電極15,16は、第1の主面2a側に位置する磁性体層11上に形成されている。第1及び第2の内部電極15,16は、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で併置されている。第1の引出内部電極15は、逆L字形状を呈しており、一端が第1の側面2cまで引き出され、第1の端子電極3に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第3の側面2eまで引き出され、第1の外部接続導体5に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0032】
第2の引出内部電極16も、逆L字形状を呈しており、一端が第2の側面2dまで引き出され、第2の端子電極4に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面2fまで引き出され、第2の外部接続導体6に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。なお、第1の引出内部電極15に接続される第1の外部接続導体5は、素体2の一方側に配置された外部接続導体に相当し、第2の引出内部電極16に接続される第2の外部接続導体6は、素体2の他方側に配置された外部接続導体に相当する。
【0033】
連結内部電極17は、実装面2b側を下面とする磁性体層14上に形成されている。連結内部電極17は、細長い矩形形状を呈しており、第1及び第2の引出内部電極15,16の合計面積よりも狭い面積から形成されている。連結内部電極17は、一端が第3の側面2eまで引き出され、第1の外部接続導体5に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面2fまで引き出され、第2の外部接続導体6に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。連結内部電極17は、矩形形状からなる実装面2bにおける短手方向と平行な方向に延出しており、第1及び第2の外部接続導体5,6を最短距離で結ぶ。
【0034】
このような構成を備えたインダクタ1では、図3に示すように、対向する一対の外部接続導体5,6に両端が接続された連結内部電極17が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極15,16よりも実装面2b側に位置するように配置されることになる。
【0035】
次に、上述した構成を備えるインダクタ1の製造方法について説明する。
【0036】
まず、フェライトペースト等を印刷法により所定の厚さになるまで積層してフェライトグリーン層を形成する。このフェライトグリーン層を乾燥させることによって、素子2の磁性体層10〜14に対応する磁性体シートを得る。続いて、得られた磁性体シートの表面に、Ag等の導体粉末等を含む導電性ペーストを所定のパターンで印刷する。この導電性ペーストを乾燥させることにより、各内部電極15〜17に対応する電極パターンを得る。
【0037】
続いて、各内部電極15〜17に対応する電極パターンが形成された磁性体シートを、第1の主面2aから第2の主面2bに向かって、磁性体層10、磁性体層11、磁性体層12、複数の磁性体層、磁性体層13、磁性体層14の順で積層されるように(図2参照)、複数段にわたって重ね合わせて積層体を得る。この積層体は、素体2に対応する部分が多数含まれたものであり、所定の寸法に切断して、各素体2に対応する個別の積層体素子を得る。その後、得られた積層体素子に対して、例えば、350〜500℃の酸素存在下で脱バインダ処理を施す。
【0038】
脱バインダ処理の後、個別の積層体素子を、例えば850〜920℃で1〜2時間、一体焼成する。これにより、積層体素子や積層体素子に含まれる導体パターンが焼結し、素子2が得られる。最後に、各側面2c〜2fの所定の箇所に導電性ペーストを塗布し、例えば、600℃程度で焼き付けて、第1及び第2の端子電極3,4や外部接続導体5,6を形成する。その後、第1及び第2の端子電極3,4等に対して電気めっき(例えば銅とニッケルと錫)を施すと、図1に示されるインダクタ1が完成する。後述する他のインダクタ等も同様に製造される。
【0039】
このように製造されたインダクタ1では、回路基板等に実装されると、図3に示すように、第1の引出内部電極15、第1の外部接続導体5,連結内部電極17、第2の外部接続導体6、及び、第2の引出内部電極16等が連結されることによって、コイル部Lが形成され、いわゆる縦巻きインダクタを構成する。なお、図3における矢印は、このコイル部Lを流れる電流を示すものである。
【0040】
以上のように、本実施形態では、対向する一対の外部接続導体5,6に両端が接続される連結内部電極17が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極15,16よりも実装面2b側に位置するように配置されている(図3参照)。このような配置構成により、端子電極3,4への確実な接続を図るため一般的に大きめに形成されやすい引出内部電極15,16を実装面2bから遠ざけることができると共に、実装面2b側には、細めに形成することが可能な連結内部電極17を位置させることができる。その結果、かかるインダクタ1を回路基板に実装した際、引出内部電極15,16と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減させることができると共に、実装面2b側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。しかも、実装面2b側に位置する連結内部電極17では、対向する一対の外部接続導体5,6にその両端が接続されるようになっていることから、従来のように斜め方向に延出して斜めに位置する外部接続導体に接続される場合に比べ、連結内部電極17の長さを短くすることができ(すなわち面積を小さくでき)、連結内部電極17と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量を十分に低減させることができる。このため、インダクタ1によれば、各内部電極15〜17と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をインダクタ全体として低減することが可能となる。
【0041】
また、インダクタ1は、連結内部電極17を、第1及び第2の引出内部電極15,16よりも実装面2b側に位置するように配置するといった簡易な構成であるため、インダクタ1の構造を複雑にすることなく、浮遊容量の低減を図ることができる。さらに、インダクタ1は、図3に示すように、いわゆる縦巻きのインダクタを構成していることから、積層方向に内部電極を順に積層してコイル部を構成する横巻きのインダクタに比べ、実装面2b側に位置する内部電極の面積を小さくすることが可能であり、インダクタ1の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減することが可能となっている。しかも、インダクタ1では、上記構成により、第1の引出内部電極15、第1の外部接続導体5、連結内部電極17、第2の外部接続導体6、第2の引出内部電極16といった順に電流が流れる電流経路を構成することから、電流が素体2の外部を流れるようになっており、その結果、電流が周回する径が大きくなり、インダクタンスを大きくすることも可能となっている。
【0042】
また、素体2は、複数の磁性体層から構成されている。このため、インダクタ1のインダクタンスを大きくすることができる。
【0043】
また、連結内部電極17は、第1及び第2の引出内部電極15,16の合計面積よりも狭い面積から形成されている。このため、浮遊容量の低減を確実に図ることができる。
【0044】
また、連結内部電極17は、一対の外部接続導体5,6を最短距離で結ぶように一対の外部接続導体5,6に接続されている。このため、連結内部電極17において、電流が流れる距離が短くなるため、直流抵抗を低減することができる。
【0045】
また、第1及び第2の引出内部電極15,16は、複数の磁性体層10〜14の内、同一の磁性体層11上にそれぞれ形成され、積層方向において、第1の引出内部電極15及び連結内部電極17間の距離H1が、第1及び第2の引出内部電極15,16間の距離H2(実質的にはゼロのため図3では不図示)よりも長くなっている。このような構成であれば、上述したように、インダクタ1を流れる電流の周回径を大きくできるので、確実にインダクタンスを大きくすることができる。
【0046】
なお、第1実施形態に係るインダクタ1に用いられる内部電極15〜17の変形例としては、例えば、図4に示される積層構成となる内部電極15〜17であってもよい。図4に示される変形例では、磁性体層11上に第1の引出内部電極15のみが形成され、磁性体層11の下層となる磁性体層12上に第2の引出内部電極16のみが形成される構成となっている。この変形例では、各引出内部電極15,16をそれぞれ別の磁性体層11,12に形成しているため、引出内部電極15,16を十分な幅を持って形成することができ、端子電極3,4への接続を確実とすることができる。
【0047】
しかも、連結内部電極17が、積層方向において、かかる引出内部電極15,16よりも実装面2b側に位置するように配置されていることから、接続を確実としつつ浮遊容量の低減も図ることもできる。この変形例では、第1及び第2の引出内部電極15,16が、複数の磁性体層10〜14の内、異なる磁性体層11,12上にそれぞれ形成され、積層方向において、第1の引出内部電極15及び連結内部電極17間の距離H1が、第1及び第2の引出内部電極15,16間の距離H2よりも長くなっている(図5参照)。このため、上記と同様、インダクタ1を流れる電流の周回径を大きくでき、確実にインダクタンスを大きくすることができる。その他の構成は、上述した構成と同様である。
【0048】
また、第1実施形態に係るインダクタ1に用いられる内部電極15〜17の別の変形例としては、例えば、図6に示されるように、各内部電極15〜17それぞれを、同一形状からなる複数(例えば3層)の第1及び第2の引出内部電極15…、16…と、同一形状からなる複数(例えば3層)の連結内部電極17…とが、それぞれ積層方向に連続して形成されるものとしてもよい。このような多重導体の場合、各内部電極15〜17の積層方向に沿った断面積の合計を大きくできるので直流抵抗を低減できる。しかも、複数の各内部電極15〜17を積層したものと同等の厚みがある引出内部電極や連結内部電極をはじめから1つの電極として形成すると厚みがでるため積層時に段差が発生しやすいが、このような積層構成とすることでかかる段差の発生を抑えることができる。その結果、段差に起因する磁性体層等の剥がれを抑止することが可能となる。
【0049】
(第2実施形態)
続いて、図7及び図8を参照して、第2実施形態に係るインダクタ21の構成について説明する。インダクタ21は、直方体形状をした素体22と、素体22の外表面に配置された端子電極23,24と、素体22の外表面に配置された外部接続導体25a,25b、26a、26bとを備えている。第2実施形態に係るインダクタ21は、第1実施形態に係るインダクタ1に比べ、一対の外部接続導体25,26を2つ備えている点で相違する。以下、相違する点を中心に説明する。
【0050】
素体22は、第1及び第2の主面22a,22bと、第1及び第2の側面22c,22dと、第3及び第4の側面22e,22fとを含んでいる。第2の主面22bが実装面を構成する。素体22の第1の側面22cには、第1実施形態と同様、第1の端子電極23が配置され、素体22の第2の側面22dには、第2の端子電極24が配置される。
【0051】
素体22の第3の側面22eには、第1の主面22aから第2の主面22bにかけて第3の側面22eを3分割するように第1の外部接続導体25a,25bが配置される。素体22の第4の側面22fには、第1の主面22aから第2の主面22bにかけて第4の側面22fを3分割するように第2の外部接続導体26a,26bが配置される。第1及び第2の外部接続導体25a,26aは、素体22を間に挟んで、第3及び第4の側面22e,22fの対向方向に互いに対向し、第1及び第2の外部接続導体25b,26bも、同様に互いに対向する。
【0052】
素体22は、図8に示されるように、磁性体層10〜14と引出内部電極30,31と連結内部電極32〜34とを有している。第1及び第2の引出内部電極30,31と連結内部電極32とは、第1の主面22a側に位置する磁性体層11上に形成されている。第1及び第2の引出内部電極30,31と連結内部電極32とは、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で併置されている。第1の引出内部電極30は、逆L字形状を呈しており、一端が第1の側面22cまで引き出され、第1の端子電極23に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第3の側面22eまで引き出され、第1の外部接続導体25aに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0053】
第2の引出内部電極31も、逆L字形状を呈しており、一端が第2の側面22dまで引き出され、第2の端子電極24に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面22fまで引き出され、第2の外部接続導体26bに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。なお、第1の引出内部電極30に接続される第1の外部接続導体25aは、素体22の一方側に配置された外部接続導体に相当し、一方、第2の引出内部電極31に接続される第2の外部接続導体26bは、素体22の他方側に配置された外部接続導体に相当する。
【0054】
連結内部電極32は、実装面22bの短手方向に対して斜め方向に延出する矩形形状の部分を有し、一端が第3の側面22eまで引き出され、第1の外部接続導体25bに電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面22fまで引き出され、第2の外部接続導体26aに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0055】
連結内部電極33,34は、実装面22b側を下面とする磁性体層14上に形成されている。各連結内部電極33,34は、細長い矩形形状を呈しており、第1及び第2の引出内部電極30,31の一方よりもそれぞれが狭い面積となるように形成されている。連結内部電極33は、一端が第3の側面22eまで引き出され、第1の外部接続導体25aに電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面22fまで引き出され、第2の外部接続導体26aに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0056】
連結内部電極34も同様に、一端が第3の側面22eまで引き出され、第1の外部接続導体25bに電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面22fまで引き出され、第2の外部接続導体26bに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。連結内部電極33,34は、実装面22bにおける短手方向と平行な方向に延出しており、第1及び第2の外部接続導体25a,26a間と第1及び第2の外部接続導体25b,26b間とをそれぞれ最短距離で結ぶ。
【0057】
このような構成を備えたインダクタ21では、回路基板等に実装されると、第1の引出内部電極30、第1の外部接続導体25a、連結内部電極33、第2の外部接続導体26a、連結内部電極32、第1の外部接続導体25b、連結内部電極34、第2の外部接続導体26b、及び、第2の引出内部電極31等が連結されることによって、コイル部Lが形成され、いわゆる縦巻きインダクタを構成する。
【0058】
以上のように、本実施形態では、対向する一対の外部接続導体25a,26aと対向する一対の外部接続導体25b,26bとに両端が接続される連結内部電極33,34が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極30,31よりも実装面22b側に位置するように配置されている。このような配置構成により、第1実施形態と同様、引出内部電極30,31を実装面22bから遠ざけることができると共に、実装面22b側には、細めに形成することが可能な連結内部電極33,34を位置させることができる。その結果、かかるインダクタ21を回路基板に実装した際、引出内部電極30,31と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減させることができると共に、実装面22b側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。しかも、実装面22b側に位置する連結内部電極33,34では、対向する一対の外部接続導体25,26にその両端がそれぞれ接続されるようになっていることから、連結内部電極33,34の長さを短くすることができ、連結内部電極33,34と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量を十分に低減させることができる。このため、インダクタ21によれば、各内部電極30〜34と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をインダクタ全体として低減することが可能となる。
【0059】
また、インダクタ21では、第1実施形態等で述べた作用効果に加え、各連結内部電極33,34が、第1及び第2の引出内部電極30,31の一方の面積よりも狭い面積から形成されている。このため、浮遊容量の低減を一層確実に図ることができる。
【0060】
また、連結内部電極33,34は、複数の磁性体層の内の磁性体層14上に複数形成された電極であり、複数形成された連結内部電極33,34は、矩形形状からなる実装面22bにおける短手方向と平行な方向に延出している。このため、線間密を高めて巻数(ターン)を増やすことが可能となるため、インダクタのインダクタンスを一層大きくすることが可能となる。
【0061】
なお、第2実施形態に係るインダクタ21に用いられる内部電極30〜34の変形例としては、例えば、図9に示される積層構成となる内部電極30〜34であってもよい。図9に示される変形例では、磁性体層11の下層となる磁性体層12上に第1及び第2の引出内部電極30,31のみが形成される一方、磁性体層11上に連結内部電極32のみが形成される構成となっている。この変形例では、第1の主面22aを仮の実装面(仮実装面)とした場合でも、面積を小さくし易い連結内部電極32が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極30,31よりも仮実装面22a側に位置するように配置されることになり、そのような実装の際でも、引出内部電極30,31と回路基板との間で発生する浮遊容量を少なからず低減させることができると共に、仮実装面22a側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。このため、変形例のインダクタ21によれば、第1及び第2の主面22a,22bのいずれかを実装面とするかをあまり気にすることなく、インダクタ21を取り扱うことができる。その他の構成は、上述した構成と同様である。
【0062】
ここで、第1実施形態及び第2実施形態に係るインダクタ1,21における電流の検出方法について説明する。図10(a)に示すように、インダクタ1に流れる電流を検出するためには、外部接続導体5,6間の抵抗(電位)を測定することにより、測定された抵抗値からインダクタ1に流れる電流を計測することができる。また、図10(b)に示すように、インダクタ21に流れる電流を検出するためには、外部接続導体25a,25b間の抵抗(電位)を測定することにより、測定された抵抗値からインダクタ21に流れる電流を計測することができる。このような測定方法によれば、外部接続導体の抵抗を利用するといった簡易な方法で電流の検出を行うため、電流の検出を容易に行うことができる。
【0063】
(第3実施形態)
続いて、図11及び図12を参照して、第3実施形態に係るインダクタ41の構成について説明する。インダクタ41は、直方体形状をした素体42と、素体42の外表面に配置された端子電極43,44と、素体42の外表面に配置された外部接続導体45a〜45d、46a〜46dとを備えている。第3実施形態に係るインダクタ41は、第1及び第2実施形態に係るインダクタ1,21に比べ、一対の外部接続導体45,46を4つ備えている点で相違する。以下、相違する点を中心に説明する。
【0064】
素体42は、第1及び第2の主面42a,42bと、第1及び第2の側面42c,42dと、第3及び第4の側面42e,42fとを含んでいる。第2の主面42bが実装面を構成する。素体42の第1の側面42cには、第1実施形態等と同様、第1の端子電極43が配置され、素体42の第2の側面42dには、第2の端子電極44が配置される。
【0065】
素体42の第3の側面42eには、第1の主面42aから第2の主面42bにかけて第3の側面42eを5分割するように第1の外部接続導体45a〜45dが配置される。素体42の第4の側面42fには、第1の主面42aから第2の主面42bにかけて第4の側面42fを5分割するように第2の外部接続導体46a〜46dが配置される。第1及び第2の外部接続導体45a〜45d,46a〜46dは、それぞれ素体2を間に挟んで、第3及び第4の側面42e,42fの対向方向に互いに対向する。
【0066】
素体42は、図12に示されるように、磁性体層10〜14と引出内部電極50,51と連結内部電極52〜58とを有している。第1及び第2の引出内部電極50,51と連結内部電極52〜54とは、第1の主面42a側に位置する磁性体層11上に形成されている。第1及び第2の引出内部電極50,51と連結内部電極52〜54とは、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で併置されている。第1の引出内部電極50は、逆L字形状を呈しており、一端が第1の側面42cまで引き出され、第1の端子電極43に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第3の側面42eまで引き出され、第1の外部接続導体45aに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0067】
第2の引出内部電極51も、逆L字形状を呈しており、一端が第2の側面42dまで引き出され、第2の端子電極44に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面42fまで引き出され、第2の外部接続導体46dに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。なお、第1の引出内部電極50に接続される第1の外部接続導体45aは、素体42の一方側に配置された外部接続導体に相当し、第2の引出内部電極51に接続される第2の外部接続導体46dは、素体42の他方側に配置された外部接続導体に相当する。
【0068】
連結内部電極52〜54は、実装面42bの短手方向に対して斜め方向に延出する矩形形状の部分を有し、一端が第3の側面42eまで引き出され、第1の外部接続導体45b〜45dにそれぞれ電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面42fまで引き出され、第2の外部接続導体46a〜46cにそれぞれ電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0069】
連結内部電極55〜58は、実装面42b側を下面とする磁性体層14上に形成されている。各連結内部電極55〜58は、細長い矩形形状を呈しており、第1及び第2の引出内部電極50,51の合計よりもそれぞれが狭い面積となるように形成されている。連結内部電極55〜58は、一端が第3の側面42eまで引き出され、第1の外部接続導体45a〜45dにそれぞれ電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面42fまで引き出され、第2の外部接続導体46a〜46dにそれぞれ電気的且つ物理的に接続されるようになっている。連結内部電極55〜58は、実装面42bにおける短手方向と平行な方向に延出しており、第1及び第2の外部接続導体45a〜45d,46a〜46d間それぞれを最短距離で結ぶようになっている。
【0070】
このような構成を備えたインダクタ41では、回路基板等に実装されると、第1の引出内部電極50、第1の外部接続導体45a、連結内部電極55、第2の外部接続導体46a、連結内部電極52、…、第1の外部接続導体45d、連結内部電極58、第2の外部接続導体46d、及び、第2の引出内部電極51が連結されることによって、コイル部Lが形成され、いわゆる縦巻きインダクタを構成する。
【0071】
以上のように、本実施形態では、対向する一対の外部接続導体45a〜45d,46a〜46dに両端が接続される連結内部電極55〜58が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極50,51よりも実装面42b側に位置するように配置されている。このような配置構成により、第1実施形態等と同様に、各内部電極50〜58と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をインダクタ全体として低減することが可能となる。
【0072】
また、連結内部電極55〜58は、複数の磁性体層の内の磁性体層14上に複数形成された電極であり、複数形成された連結内部電極55〜58は、矩形形状からなる実装面42bにおける短手方向と平行な方向に延出している。このため、線間密を高めて巻数(ターン)を増やすことが可能となるため、インダクタ41のインダクタンスを一層大きくすることが可能となる。
【0073】
なお、第3実施形態に係るインダクタ41に用いられる内部電極50〜58の変形例としては、例えば、図13に示される積層構成となる内部電極50〜58であってもよい。図13に示される変形例では、磁性体層11の下層となる磁性体層12上に第1及び第2の引出内部電極50,51のみが形成される一方、磁性体層11上に連結内部電極52〜54のみが形成される構成となっている。この変形例では、第1の主面42aを仮実装面とした場合でも、面積を小さくし易い連結内部電極52〜54が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極50,51よりも実装面42a側に位置するように配置されることになり、そのような実装の際でも、引出内部電極50,51と回路基板との間で発生する浮遊容量を少なからず低減させることができると共に、仮実装面42a側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。このため、変形例のインダクタ41によれば、第1及び第2の主面42a,42bのいずれかを実装面とするかをあまり気にすることなく、インダクタ41を取り扱うことができる。その他の構成は、上述した構成と同様である。
【0074】
(第4実施形態)
続いて、図14及び図15を参照して、第4実施形態に係るLC複合部品61の構成について説明する。LC複合部品61は、直方体形状をした素体62と、素体62の外表面に配置された端子電極63,64と、素体62の外表面に配置された外部接続導体65,66とを備えている。LC複合部品61は、コイル部Lとコンデンサ部Cとを1チップ内に備えた複合部品である。
【0075】
素体62は、第1及び第2の主面62a,62bと、第1及び第2の側面62c,62dと、第3及び第4の側面62e,62fとを含んでいる。本実施形態では、第2の主面62bが実装面を構成する。素体62の第1の側面62cには、第1の端子電極63が配置され、第2の側面62dには、第2の端子電極64が配置される。素体62の第3の側面62eには、第1の外部接続導体65が配置され、第4の側面62fには、第2の外部接続導体66が配置される。
【0076】
素体62は、図15に示されるように、誘電体層10a〜14a(絶縁体層)と引出内部電極70〜72と連結内部電極73と対向内部電極74,75とを有している。第1及び第2の引出内部電極70,71と第1の対向内部電極74とは、第1の主面62a側に位置する誘電体層11aの下層となる誘電体層12a上に形成されている。第2の引出内部電極71が第1の対向内部電極74に連結されて一体化されており、一体化した第2の内部電極71及び第1の対向内部電極74と第1の引出内部電極70とは、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で併置されている。第1の引出内部電極70は、逆L字形状を呈しており、一端が第1の側面62cまで引き出され、第1の端子電極63に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第3の側面62eまで引き出され、第1の外部接続導体65に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0077】
第2の引出内部電極71も、逆L字形状を呈しており、一端が第2の側面62dの方向に引き出され、第1の対向内部電極74に連結されて一体化するようになっており、他端が第4の側面62fまで引き出され、第2の外部接続導体66に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。なお、第1の引出内部電極70に接続される第1の外部接続導体65は、素体62の一方側に配置された外部接続導体に相当し、第2の引出内部電極71に接続される第2の外部接続導体66は、素体62の他方側に配置された外部接続導体に相当する。第1の対向内部電極74は、矩形形状を呈しており、後述する第2の対向内部電極75と誘電体層11aを介してほぼ全面が積層方向において対向するようになっている。
【0078】
第2の対向内部電極75と第3の引出内部電極72とは、第1の主面62a側に位置する誘電体層11a上に形成されている。第3の引出内部電極72は、矩形形状を呈しており、一端が第1の側面62cの方向に引き出され、第2の対向内部電極75に連結されて一体化するようになっており、他端が第2の側面62dまで引き出され、第2の端子電極64に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。第1及び第2の対向内部電極74,75は、それぞれの誘電体層11a,12a上において、第2の側面62d側に形成されており、中央付近から第1の側面62c側にかけて形成される第1及び第2の引出内部電極70,71や後述する連結内部電極73とは、積層方向からみて、異なる位置になるように配置されている。
【0079】
連結内部電極73は、実装面62b側を下面とする誘電体層14a上に形成されている。連結内部電極73は、細長い矩形形状を呈しており、第1及び第2の引出内部電極70,71の合計面積よりも狭い面積から形成されている。連結内部電極73は、一端が第3の側面62eまで引き出され、第1の外部接続導体65に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面62fまで引き出され、第2の外部接続導体66に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。連結内部電極73は、矩形形状からなる実装面62bにおける短手方向と平行な方向に延出しており、第1及び第2の外部接続導体65,66を最短距離で結ぶ。
【0080】
このような構成を備えたLC複合部品61では、回路基板等に実装されると、図16に示されるように、第1の引出内部電極70、第1の外部接続導体65、連結内部電極73、第2の外部接続導体66、及び、第2の引出内部電極71が連結されることによって、コイル部Lを形成し、一方、図17に示されるように、第1及び第2の対向内部電極74,75が誘電体層11aを介して対向することによって、コンデンサ部Cを形成し、これらにより、図18に示す等価回路を備えたLC複合部品が構成される。
【0081】
以上のように、本実施形態では、対向する一対の外部接続導体65,66に両端が接続される連結内部電極73が、積層方向において、第1、第2及び第3の引出内部電極70〜72よりも実装面62b側に位置するように配置されている。このような配置構成により、他の実施形態と同様、大きめに形成されやすい引出内部電極70〜72を実装面62bから遠ざけることができると共に、実装面62b側には、細めに形成することが可能な連結内部電極73を位置させることができる。その結果、かかるLC複合部品61を回路基板に実装した際、引出内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減できると共に、実装面62b側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。しかも、連結内部電極73では、対向する一対の外部接続導体65,66にその両端が接続されるようになっていることから、従来に比べ、連結内部電極73の長さを短くでき、連結内部電極73と回路基板との間で発生する浮遊容量を十分に低減できる。このように、本発明にかかるLC複合部品61によれば、各内部電極と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をLC複合部品全体として低減することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態では、第1及び第2の対向内部電極74,75が、積層方向からみて、連結内部電極73及び第1及び第2の引出内部電極70,71と異なる位置に配置されている。このような構成により、連結内部電極73や第1及び第2の引出内部電極70,71に電流が十分流れることになり、ESRを高くすることもできる。なお、本実施形態におけるLC複合部品61では、対応する構成に応じて、上述したインダクタ1等と同様な作用効果も奏することができる。
【0083】
また、素体62は、複数の誘電体層10a〜14aを積層して構成されている。この場合、第1及び第2の対向内部電極74,75によって形成される静電容量を大きくすることができる。また、磁性体層を有しないため、連結内部電極73や第1及び第2の引出内部電極70,71等によって形成されるインダクタンスは小さくなるものの、LC複合部品61全体を容易に一体焼成できるため、LC複合部品61の製造を簡素化することが可能となる。
【0084】
また、第1の引出内部電極70及び第1の対向内部電極74は、複数の誘電体層10a〜14aの内、一の誘電体層12a上に形成され、積層方向において、第1の引出内部電極70及び連結内部電極73間の距離H1が、第1及び第2の対向内部電極74,75間の距離H3よりも長い。この場合、電流の周回径を大きくすることができるので、インダクタンスを大きくすることが可能となる。また、第1及び第2の対向内部電極74,75間の距離を小さくすることができるので、静電容量を大きくすることもできる。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、内部電極の例を多数示したが、内部電極の配置はこれらに限定されるものではなく、他の配置であってもよい。また、例えば、第4実施形態では、絶縁体層として誘電体層10a〜14aを用いたが、複数の絶縁体層の内、連結内部電極73が形成される絶縁体層と第1の引出内部電極70及び第1の対向内部電極74等が形成される絶縁体層とが磁性体層から構成され、複数の絶縁体層の内、第2の対向内部電極75等が形成される絶縁体層が誘電体層から構成されるようにしてもよい。この場合、第1及び第2の対向内部電極74,75によって形成される静電容量を大きくしつつ、連結内部電極73や第1及び第2の引出内部電極70,71等によって形成されるインダクタンスも大きくすることができる。
【符号の説明】
【0086】
1,21,41…インダクタ、2,22,42,62…素体、3,23,43,63…第1の端子電極、4,24,44,64…第2の端子電極、5,25,45,65…第1の外部接続導体、6,26,46,66…第2の外部接続導体、10〜14…磁性体層、10a〜14a…誘電体層、15,30,50,70…第1の引出内部電極、16,31,51,71…第2の引出内部電極、17,33,34,55〜58,73…連結内部電極,61…LC複合部品、72…第3の引出内部電極、74…第1の対向内部電極、75…第2の対向内部電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ及びLC複合部品に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の分野に関連する技術として、例えば特許文献1に記載の面実装型の縦巻きインダクタがある。この従来の縦巻きインダクタでは、第1及び第2磁性体基板上に斜め方向に延出する第1及び第2導体パターンをそれぞれ設け、第1、第2及び第3磁性体基板を積層した際、これら斜め方向に延出する第1及び第2導体パターンが接続用導体を介して第2磁性体基板を周回するコイル導体を形成し、このコイル導体の両端が引出端子によって端子電極に相当する外部電極用導体に接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−82832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された縦巻きインダクタでは、インダクタ素体内の内部電極に相当する第1導体パターンや第2導体パターンと縦巻きインダクタを実装する実装基板との間で不要な浮遊容量が発生してしまうという問題があった。しかしながら、特許文献1に記載された縦巻きインダクタでは、このような浮遊容量の発生に対して何ら対策が講じられていない。
【0005】
本発明は、内部電極と実装基板との間で発生する浮遊容量を低減することが可能なインダクタ及びLC複合部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るインダクタは、複数の絶縁体層が積層され、複数の絶縁体層の積層方向に交差する実装面を含む外表面が形成された素体と、素体の外表面に配置される第1及び第2の端子電極と、素体の外表面に配置され且つ素体を挟んで互いに対向する一対の外部接続導体とを備え、素体は、複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層上にそれぞれ形成される第1の引出内部電極、第2の引出内部電極及び連結内部電極を有し、第1の引出内部電極は、第1の端子電極及び対向する一対の外部接続導体の内、一方側に配置された外部接続導体に接続され、第2の引出内部電極は、第2の端子電極及び対向する一対の外部接続導体の内、他方側に配置された外部接続導体に接続され、連結内部電極は、対向する一対の外部接続導体にその両端が接続され、対向する一対の外部接続導体に両端が接続された連結内部電極が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極よりも実装面側に位置するように配置されていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係るインダクタでは、対向する一対の外部接続導体に両端が接続される連結内部電極が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極よりも実装面側に位置するように配置されている。このような配置構成により、端子電極への確実な接続を図るため一般的に大きめに形成されやすい引出内部電極を実装面から遠ざけることができると共に、実装面側には、細めに形成することが可能な連結内部電極を位置させることができる。その結果、かかるインダクタを回路基板に実装した際、引出内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減できると共に、実装面側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。しかも、実装面側に位置する連結内部電極では、対向する一対の外部接続導体にその両端が接続されるようになっていることから、従来のように斜め方向に延出して斜めに位置する外部接続導体に接続される場合に比べ、連結内部電極の長さを短くすることができ(すなわち面積を小さくでき)、連結内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を十分に低減できる。このように、本発明に係るインダクタによれば、各内部電極と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をインダクタ全体として低減することが可能となる。
【0008】
また、本発明に係るインダクタは、連結内部電極を、第1及び第2の引出内部電極よりも実装面側に位置するように配置するといった簡易な構成であるため、インダクタの構造を複雑にすることなく、浮遊容量の低減を図ることができる。さらに、本発明に係るインダクタは、いわゆる縦巻きのインダクタを構成していることから、積層方向に内部電極を順に積層してコイル部を構成する横巻きのインダクタに比べ、実装面側に位置する内部電極の面積を小さくすることが可能な場合もあり、この点においても、インダクタの内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減することができる。しかも、本発明に係るインダクタでは、上記構成により、第1の引出内部電極、第1の外部接続導体、連結内部電極、第2の外部接続導体、第2の引出内部電極といった順に電流が流れる電流経路を構成することから、電流が素体外部を流れるようになり、電流が周回する径が大きくなってインダクタンスを大きくすることも可能となっている。
【0009】
好ましくは、複数の絶縁体層は、磁性体層である。この場合、インダクタのインダクタンスを大きくすることができる。
【0010】
好ましくは、連結内部電極は、第1及び第2の引出内部電極の一方又はその合計の面積よりも狭い面積から形成されている。この場合、浮遊容量の低減を確実に図ることができる。
【0011】
好ましくは、第1及び第2の引出内部電極は、複数の絶縁体層の内、異なる絶縁体層又は同一の絶縁体層上にそれぞれ形成され、積層方向において、第1の引出内部電極及び連結内部電極間の距離が、第1及び第2の引出内部電極間の距離よりも長い。この場合、インダクタを流れる電流の周回径を大きくできるので、インダクタンスを大きくすることが可能となる。
【0012】
好ましくは、連結内部電極は、複数の絶縁体層の内、いずれか一の絶縁体層上に複数形成され、複数形成された連結内部電極は、矩形形状からなる実装面における短手方向と平行な方向に延出している。この場合、線間密を高めて巻数(ターン)を増やすことが可能となるため、インダクタのインダクタンスを一層大きくすることが可能となる。
【0013】
好ましくは、連結内部電極は、一対の外部接続導体を最短距離で結ぶように一対の外部接続導体に接続されている。この場合、連結内部電極において、電流が流れる距離が短くなるため、直流抵抗を低減できる。
【0014】
好ましくは、同一形状からなる複数の第1及び第2の引出内部電極と同一形状からなる複数の連結内部電極とがそれぞれ積層方向に連続して形成されている。この場合、各内部電極の積層方向に沿った断面積の合計を大きくできるので直流抵抗を低減できる。しかも、複数の各内部電極を積層したものと同等の厚みがある引出内部電極や連結内部電極をはじめから1つの電極として形成すると厚みがでるため積層時に段差が発生しやすいが、このような積層構成とすることでかかる段差の発生を抑えることができる。その結果、段差に起因する絶縁体層等の剥がれを抑止することが可能となる。
【0015】
好ましくは、上述した各インダクタにおいて、一対の外部接続導体の抵抗を測定して、測定された抵抗値からインダクタに流れる電流を計測してもよい。この場合、外部接続導体の抵抗を利用するといった簡易な方法で電流の検出を行うため、電流の検出を容易に行うことができる。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明に係るLC複合部品は、複数の絶縁体層が積層され、複数の絶縁体層の積層方向に交差する実装面を含む外表面が形成された素体と、素体の外表面に配置される第1及び第2の端子電極と、素体の外表面に配置され且つ素体を挟んで互いに対向する一対の外部接続導体とを備え、素体は、複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層上にそれぞれ形成される第1の引出内部電極、第2の引出内部電極、第3の引出内部電極、連結内部電極、第1の対向内部電極、及び、第2の対向内部電極を有し、第1の引出内部電極は、第1の端子電極及び対向する一対の外部接続導体の内、一方側に配置された外部接続導体に接続され、第2の引出内部電極は、第1の対向内部電極及び対向する一対の外部接続導体の内、他方側に配置された外部接続導体に接続され、第3の引出内部電極は、第2の端子電極及び第2の対向内部電極に接続され、連結内部電極は、対向する一対の外部接続導体にその両端が接続され、第1及び第2の対向内部電極は、複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層を介して互いに対向し、対向する一対の外部接続導体に両端が接続された連結内部電極が、積層方向において、第1、第2及び第3の引出内部電極よりも実装面側に位置するように配置されていると共に、第1及び第2の対向内部電極が、積層方向からみて、連結内部電極及び第1及び第2の引出内部電極と異なる位置に配置されていることを特徴としている。
【0017】
本発明に係るLC複合部品では、対向する一対の外部接続導体に両端が接続される連結内部電極が、積層方向において、第1、第2及び第3の引出内部電極よりも実装面側に位置するように配置されている。このような配置構成により、上述したインダクタと同様、大きめに形成されやすい引出内部電極を実装面から遠ざけることができると共に、実装面側には、細めに形成することが可能な連結内部電極を位置させることができる。その結果、かかるLC複合部品を回路基板に実装した際、引出内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減できると共に、実装面側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。しかも、連結内部電極では、対向する一対の外部接続導体にその両端が接続されるようになっていることから、従来に比べ、連結内部電極の長さを短くでき、連結内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を十分に低減できる。このように、本発明にかかるLC複合部品によれば、各内部電極と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をLC複合部品全体として低減することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係るLC複合部品では、第1及び第2の対向内部電極が、積層方向からみて、連結内部電極及び第1及び第2の引出内部電極と異なる位置に配置されている。このような構成により、連結内部電極や第1及び第2の引出内部電極に電流が十分流れることになり、等価直列抵抗(ESR)を高くすることもできる。なお、本発明に係るLC複合部品では、上述したインダクタと同様、LC複合部品の構造を複雑にすることなく浮遊容量の低減を図ることができ、また、縦巻きのインダクタを構成している部分を有することから、横巻きのインダクタに比べて内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減でき、更に、電流が周回する径が大きくなってインダクタンスを大きくすることも可能となっている。
【0019】
好ましくは、複数の絶縁体層は、誘電体層である。この場合、第1及び第2の対向内部電極によって形成される静電容量を大きくできる。また、磁性体層を有しないため、連結内部電極や第1及び第2の引出内部電極等によって形成されるインダクタンスは小さくなるものの、LC複合部品全体を容易に一体焼成できるため、LC複合部品の製造を簡素化することが可能となる。
【0020】
好ましくは、複数の絶縁体層の内、連結内部電極が形成される絶縁体層と第1の引出内部電極及び第1の対向内部電極が形成される絶縁体層とが磁性体層から構成され、複数の絶縁体層の内、第2の対向内部電極が形成される絶縁体層が誘電体層から構成される。この場合、第1及び第2の対向内部電極によって形成される静電容量を大きくしつつ、連結内部電極や第1及び第2の引出内部電極等によって形成されるインダクタンスも大きくすることができる。
【0021】
好ましくは、第1の引出内部電極及び第1の対向内部電極は、複数の絶縁体層の内、いずれか一の絶縁体層上に形成され、積層方向において、第1の引出内部電極及び連結内部電極間の距離が、第1及び第2の対向内部電極間の距離よりも長い。この場合、電流の周回径を大きくすることができるので、インダクタンスを大きくすることが可能となる。また、第1及び第2の対向内部電極間の距離を小さくすることができるので、静電容量を大きくすることもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、内部電極と実装基板との間で発生する浮遊容量を低減することが可能なインダクタ及びLC複合部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係るインダクタの斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るインダクタに含まれる素体の分解斜視図である。
【図3】図1におけるIII-III線断面図である。
【図4】第1実施形態に係るインダクタの変形例に含まれる素体の分解斜視図である。
【図5】第1実施形態に係るインダクタの変形例の断面図である。
【図6】第1実施形態に係るインダクタの別の変形例の断面図である。
【図7】第2実施形態に係るインダクタの斜視図である。
【図8】第2実施形態に係るインダクタに含まれる素体の分解斜視図である。
【図9】第2実施形態に係るインダクタの変形例に含まれる素体の分解斜視図である。
【図10】外部接続導体間の電位を利用して電流を検出する検出方法を示す図である。
【図11】第3実施形態に係るインダクタの斜視図である。
【図12】第3実施形態に係るインダクタに含まれる素体の分解斜視図である。
【図13】第3実施形態に係るインダクタの変形例に含まれる素体の分解斜視図である。
【図14】第4実施形態に係るLC複合部品の斜視図である。
【図15】第4実施形態に係るLC複合部品に含まれる素体の分解斜視図である。
【図16】図14におけるXVI−XVI線断面図である。
【図17】図14におけるXVII−XVII線断面図である。
【図18】図14に示されたLC複合部品の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0025】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係るインダクタ1の構成について説明する。インダクタ1は、直方体形状をした素体2と、素体2の外表面に配置された端子電極3,4と、素体2の外表面に配置された外部接続導体5,6とを備えている。インダクタ1は、端子電極3,4が回路基板(不図示)における所定の電極に接続されることで回路基板に実装され、例えば、回路基板で発生するノイズを除去するノイズフィルタとして用いられる。なお、外部接続導体5,6は、回路基板に直接接続されない、いわゆるNC(No Contact)導体である。
【0026】
素体2は、対向する第1及び第2の主面2a,2bと、対向し且つ第1及び第2の主面2a,2bの短辺方向に沿って延びる第1及び第2の側面2c,2dと、対向し且つ第1及び第2の主面2a,2bの長辺方向に沿って延びる第3及び第4の側面2e,2fとを含んでいる。第1及び第2の側面2c,2dと第3及び第4の側面2e,2fとは、第1及び第2の主面2a,2b間を連結するように延びている。なお、本実施形態では、第2の主面2bが回路基板に実装される側の面(実装面)を構成する。
【0027】
素体2の第1の側面2cには、第1の主面2aから第2の主面2bにかけて第1の側面2cの略全面を覆うように第1の端子電極3が配置されている。素体2の第2の側面2dには、第1の主面2aから第2の主面2bにかけて第2の側面2dの略全面を覆うように第2の端子電極4が配置されている。第1及び第2の端子電極3,4は、素体2を間に挟んで、第1及び第2の側面2c,2dの対向方向に互いに対向する。
【0028】
素体2の第3の側面2eには、第1の主面2aから第2の主面2bにかけて第3の側面2eの中央部のみを覆うように第1の外部接続導体5が配置されている。素体2の第4の側面2fには、第1の主面2aから第2の主面2bにかけて第4の側面2fの中央部のみを覆うように第2の外部接続導体6が配置されている。第1及び第2の外部接続導体5,6は、素体2を間に挟んで、第3及び第4の側面2e,2fの対向方向に互いに対向する。
【0029】
第1及び第2の端子電極3,4や第1及び第2の外部接続導体5,6は、例えば、導電性金属粉末を含む導電性ペーストを素体2の外表面に付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた電極の上にめっき層を形成してもよい。後述する他の端子電極や外部接続導体も同様に形成される。
【0030】
素体2は、図2に示されるように、磁性体層10〜14(絶縁体層)と、引出内部電極15,16と、連結内部電極17とを有している。各磁性体層10〜14は、第1及び第2の主面2a,2bに平行な方向に延びており、第1の主面2aから第2の主面2bに向かって、磁性体層10、磁性体層11、磁性体層12、複数の磁性体層、磁性体層13、磁性体層14の順で積層されるようになっている。つまり、第1及び第2の主面2a,2bの対向方向が磁性体層10〜14の積層方向となっており、第2の主面(実装面)2bは、この積層方向に直交する。各磁性体層10〜14は、例えば、フェライト等から構成される。実際のインダクタ1では、各磁性体層10〜14の間の境界が視認できない程度に一体化されている。各内部電極15〜17は、導電性ペーストの焼結体から構成される。後述する他の内部電極も同様に形成される。
【0031】
第1及び第2の引出内部電極15,16は、第1の主面2a側に位置する磁性体層11上に形成されている。第1及び第2の内部電極15,16は、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で併置されている。第1の引出内部電極15は、逆L字形状を呈しており、一端が第1の側面2cまで引き出され、第1の端子電極3に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第3の側面2eまで引き出され、第1の外部接続導体5に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0032】
第2の引出内部電極16も、逆L字形状を呈しており、一端が第2の側面2dまで引き出され、第2の端子電極4に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面2fまで引き出され、第2の外部接続導体6に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。なお、第1の引出内部電極15に接続される第1の外部接続導体5は、素体2の一方側に配置された外部接続導体に相当し、第2の引出内部電極16に接続される第2の外部接続導体6は、素体2の他方側に配置された外部接続導体に相当する。
【0033】
連結内部電極17は、実装面2b側を下面とする磁性体層14上に形成されている。連結内部電極17は、細長い矩形形状を呈しており、第1及び第2の引出内部電極15,16の合計面積よりも狭い面積から形成されている。連結内部電極17は、一端が第3の側面2eまで引き出され、第1の外部接続導体5に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面2fまで引き出され、第2の外部接続導体6に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。連結内部電極17は、矩形形状からなる実装面2bにおける短手方向と平行な方向に延出しており、第1及び第2の外部接続導体5,6を最短距離で結ぶ。
【0034】
このような構成を備えたインダクタ1では、図3に示すように、対向する一対の外部接続導体5,6に両端が接続された連結内部電極17が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極15,16よりも実装面2b側に位置するように配置されることになる。
【0035】
次に、上述した構成を備えるインダクタ1の製造方法について説明する。
【0036】
まず、フェライトペースト等を印刷法により所定の厚さになるまで積層してフェライトグリーン層を形成する。このフェライトグリーン層を乾燥させることによって、素子2の磁性体層10〜14に対応する磁性体シートを得る。続いて、得られた磁性体シートの表面に、Ag等の導体粉末等を含む導電性ペーストを所定のパターンで印刷する。この導電性ペーストを乾燥させることにより、各内部電極15〜17に対応する電極パターンを得る。
【0037】
続いて、各内部電極15〜17に対応する電極パターンが形成された磁性体シートを、第1の主面2aから第2の主面2bに向かって、磁性体層10、磁性体層11、磁性体層12、複数の磁性体層、磁性体層13、磁性体層14の順で積層されるように(図2参照)、複数段にわたって重ね合わせて積層体を得る。この積層体は、素体2に対応する部分が多数含まれたものであり、所定の寸法に切断して、各素体2に対応する個別の積層体素子を得る。その後、得られた積層体素子に対して、例えば、350〜500℃の酸素存在下で脱バインダ処理を施す。
【0038】
脱バインダ処理の後、個別の積層体素子を、例えば850〜920℃で1〜2時間、一体焼成する。これにより、積層体素子や積層体素子に含まれる導体パターンが焼結し、素子2が得られる。最後に、各側面2c〜2fの所定の箇所に導電性ペーストを塗布し、例えば、600℃程度で焼き付けて、第1及び第2の端子電極3,4や外部接続導体5,6を形成する。その後、第1及び第2の端子電極3,4等に対して電気めっき(例えば銅とニッケルと錫)を施すと、図1に示されるインダクタ1が完成する。後述する他のインダクタ等も同様に製造される。
【0039】
このように製造されたインダクタ1では、回路基板等に実装されると、図3に示すように、第1の引出内部電極15、第1の外部接続導体5,連結内部電極17、第2の外部接続導体6、及び、第2の引出内部電極16等が連結されることによって、コイル部Lが形成され、いわゆる縦巻きインダクタを構成する。なお、図3における矢印は、このコイル部Lを流れる電流を示すものである。
【0040】
以上のように、本実施形態では、対向する一対の外部接続導体5,6に両端が接続される連結内部電極17が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極15,16よりも実装面2b側に位置するように配置されている(図3参照)。このような配置構成により、端子電極3,4への確実な接続を図るため一般的に大きめに形成されやすい引出内部電極15,16を実装面2bから遠ざけることができると共に、実装面2b側には、細めに形成することが可能な連結内部電極17を位置させることができる。その結果、かかるインダクタ1を回路基板に実装した際、引出内部電極15,16と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減させることができると共に、実装面2b側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。しかも、実装面2b側に位置する連結内部電極17では、対向する一対の外部接続導体5,6にその両端が接続されるようになっていることから、従来のように斜め方向に延出して斜めに位置する外部接続導体に接続される場合に比べ、連結内部電極17の長さを短くすることができ(すなわち面積を小さくでき)、連結内部電極17と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量を十分に低減させることができる。このため、インダクタ1によれば、各内部電極15〜17と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をインダクタ全体として低減することが可能となる。
【0041】
また、インダクタ1は、連結内部電極17を、第1及び第2の引出内部電極15,16よりも実装面2b側に位置するように配置するといった簡易な構成であるため、インダクタ1の構造を複雑にすることなく、浮遊容量の低減を図ることができる。さらに、インダクタ1は、図3に示すように、いわゆる縦巻きのインダクタを構成していることから、積層方向に内部電極を順に積層してコイル部を構成する横巻きのインダクタに比べ、実装面2b側に位置する内部電極の面積を小さくすることが可能であり、インダクタ1の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減することが可能となっている。しかも、インダクタ1では、上記構成により、第1の引出内部電極15、第1の外部接続導体5、連結内部電極17、第2の外部接続導体6、第2の引出内部電極16といった順に電流が流れる電流経路を構成することから、電流が素体2の外部を流れるようになっており、その結果、電流が周回する径が大きくなり、インダクタンスを大きくすることも可能となっている。
【0042】
また、素体2は、複数の磁性体層から構成されている。このため、インダクタ1のインダクタンスを大きくすることができる。
【0043】
また、連結内部電極17は、第1及び第2の引出内部電極15,16の合計面積よりも狭い面積から形成されている。このため、浮遊容量の低減を確実に図ることができる。
【0044】
また、連結内部電極17は、一対の外部接続導体5,6を最短距離で結ぶように一対の外部接続導体5,6に接続されている。このため、連結内部電極17において、電流が流れる距離が短くなるため、直流抵抗を低減することができる。
【0045】
また、第1及び第2の引出内部電極15,16は、複数の磁性体層10〜14の内、同一の磁性体層11上にそれぞれ形成され、積層方向において、第1の引出内部電極15及び連結内部電極17間の距離H1が、第1及び第2の引出内部電極15,16間の距離H2(実質的にはゼロのため図3では不図示)よりも長くなっている。このような構成であれば、上述したように、インダクタ1を流れる電流の周回径を大きくできるので、確実にインダクタンスを大きくすることができる。
【0046】
なお、第1実施形態に係るインダクタ1に用いられる内部電極15〜17の変形例としては、例えば、図4に示される積層構成となる内部電極15〜17であってもよい。図4に示される変形例では、磁性体層11上に第1の引出内部電極15のみが形成され、磁性体層11の下層となる磁性体層12上に第2の引出内部電極16のみが形成される構成となっている。この変形例では、各引出内部電極15,16をそれぞれ別の磁性体層11,12に形成しているため、引出内部電極15,16を十分な幅を持って形成することができ、端子電極3,4への接続を確実とすることができる。
【0047】
しかも、連結内部電極17が、積層方向において、かかる引出内部電極15,16よりも実装面2b側に位置するように配置されていることから、接続を確実としつつ浮遊容量の低減も図ることもできる。この変形例では、第1及び第2の引出内部電極15,16が、複数の磁性体層10〜14の内、異なる磁性体層11,12上にそれぞれ形成され、積層方向において、第1の引出内部電極15及び連結内部電極17間の距離H1が、第1及び第2の引出内部電極15,16間の距離H2よりも長くなっている(図5参照)。このため、上記と同様、インダクタ1を流れる電流の周回径を大きくでき、確実にインダクタンスを大きくすることができる。その他の構成は、上述した構成と同様である。
【0048】
また、第1実施形態に係るインダクタ1に用いられる内部電極15〜17の別の変形例としては、例えば、図6に示されるように、各内部電極15〜17それぞれを、同一形状からなる複数(例えば3層)の第1及び第2の引出内部電極15…、16…と、同一形状からなる複数(例えば3層)の連結内部電極17…とが、それぞれ積層方向に連続して形成されるものとしてもよい。このような多重導体の場合、各内部電極15〜17の積層方向に沿った断面積の合計を大きくできるので直流抵抗を低減できる。しかも、複数の各内部電極15〜17を積層したものと同等の厚みがある引出内部電極や連結内部電極をはじめから1つの電極として形成すると厚みがでるため積層時に段差が発生しやすいが、このような積層構成とすることでかかる段差の発生を抑えることができる。その結果、段差に起因する磁性体層等の剥がれを抑止することが可能となる。
【0049】
(第2実施形態)
続いて、図7及び図8を参照して、第2実施形態に係るインダクタ21の構成について説明する。インダクタ21は、直方体形状をした素体22と、素体22の外表面に配置された端子電極23,24と、素体22の外表面に配置された外部接続導体25a,25b、26a、26bとを備えている。第2実施形態に係るインダクタ21は、第1実施形態に係るインダクタ1に比べ、一対の外部接続導体25,26を2つ備えている点で相違する。以下、相違する点を中心に説明する。
【0050】
素体22は、第1及び第2の主面22a,22bと、第1及び第2の側面22c,22dと、第3及び第4の側面22e,22fとを含んでいる。第2の主面22bが実装面を構成する。素体22の第1の側面22cには、第1実施形態と同様、第1の端子電極23が配置され、素体22の第2の側面22dには、第2の端子電極24が配置される。
【0051】
素体22の第3の側面22eには、第1の主面22aから第2の主面22bにかけて第3の側面22eを3分割するように第1の外部接続導体25a,25bが配置される。素体22の第4の側面22fには、第1の主面22aから第2の主面22bにかけて第4の側面22fを3分割するように第2の外部接続導体26a,26bが配置される。第1及び第2の外部接続導体25a,26aは、素体22を間に挟んで、第3及び第4の側面22e,22fの対向方向に互いに対向し、第1及び第2の外部接続導体25b,26bも、同様に互いに対向する。
【0052】
素体22は、図8に示されるように、磁性体層10〜14と引出内部電極30,31と連結内部電極32〜34とを有している。第1及び第2の引出内部電極30,31と連結内部電極32とは、第1の主面22a側に位置する磁性体層11上に形成されている。第1及び第2の引出内部電極30,31と連結内部電極32とは、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で併置されている。第1の引出内部電極30は、逆L字形状を呈しており、一端が第1の側面22cまで引き出され、第1の端子電極23に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第3の側面22eまで引き出され、第1の外部接続導体25aに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0053】
第2の引出内部電極31も、逆L字形状を呈しており、一端が第2の側面22dまで引き出され、第2の端子電極24に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面22fまで引き出され、第2の外部接続導体26bに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。なお、第1の引出内部電極30に接続される第1の外部接続導体25aは、素体22の一方側に配置された外部接続導体に相当し、一方、第2の引出内部電極31に接続される第2の外部接続導体26bは、素体22の他方側に配置された外部接続導体に相当する。
【0054】
連結内部電極32は、実装面22bの短手方向に対して斜め方向に延出する矩形形状の部分を有し、一端が第3の側面22eまで引き出され、第1の外部接続導体25bに電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面22fまで引き出され、第2の外部接続導体26aに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0055】
連結内部電極33,34は、実装面22b側を下面とする磁性体層14上に形成されている。各連結内部電極33,34は、細長い矩形形状を呈しており、第1及び第2の引出内部電極30,31の一方よりもそれぞれが狭い面積となるように形成されている。連結内部電極33は、一端が第3の側面22eまで引き出され、第1の外部接続導体25aに電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面22fまで引き出され、第2の外部接続導体26aに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0056】
連結内部電極34も同様に、一端が第3の側面22eまで引き出され、第1の外部接続導体25bに電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面22fまで引き出され、第2の外部接続導体26bに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。連結内部電極33,34は、実装面22bにおける短手方向と平行な方向に延出しており、第1及び第2の外部接続導体25a,26a間と第1及び第2の外部接続導体25b,26b間とをそれぞれ最短距離で結ぶ。
【0057】
このような構成を備えたインダクタ21では、回路基板等に実装されると、第1の引出内部電極30、第1の外部接続導体25a、連結内部電極33、第2の外部接続導体26a、連結内部電極32、第1の外部接続導体25b、連結内部電極34、第2の外部接続導体26b、及び、第2の引出内部電極31等が連結されることによって、コイル部Lが形成され、いわゆる縦巻きインダクタを構成する。
【0058】
以上のように、本実施形態では、対向する一対の外部接続導体25a,26aと対向する一対の外部接続導体25b,26bとに両端が接続される連結内部電極33,34が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極30,31よりも実装面22b側に位置するように配置されている。このような配置構成により、第1実施形態と同様、引出内部電極30,31を実装面22bから遠ざけることができると共に、実装面22b側には、細めに形成することが可能な連結内部電極33,34を位置させることができる。その結果、かかるインダクタ21を回路基板に実装した際、引出内部電極30,31と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減させることができると共に、実装面22b側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。しかも、実装面22b側に位置する連結内部電極33,34では、対向する一対の外部接続導体25,26にその両端がそれぞれ接続されるようになっていることから、連結内部電極33,34の長さを短くすることができ、連結内部電極33,34と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量を十分に低減させることができる。このため、インダクタ21によれば、各内部電極30〜34と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をインダクタ全体として低減することが可能となる。
【0059】
また、インダクタ21では、第1実施形態等で述べた作用効果に加え、各連結内部電極33,34が、第1及び第2の引出内部電極30,31の一方の面積よりも狭い面積から形成されている。このため、浮遊容量の低減を一層確実に図ることができる。
【0060】
また、連結内部電極33,34は、複数の磁性体層の内の磁性体層14上に複数形成された電極であり、複数形成された連結内部電極33,34は、矩形形状からなる実装面22bにおける短手方向と平行な方向に延出している。このため、線間密を高めて巻数(ターン)を増やすことが可能となるため、インダクタのインダクタンスを一層大きくすることが可能となる。
【0061】
なお、第2実施形態に係るインダクタ21に用いられる内部電極30〜34の変形例としては、例えば、図9に示される積層構成となる内部電極30〜34であってもよい。図9に示される変形例では、磁性体層11の下層となる磁性体層12上に第1及び第2の引出内部電極30,31のみが形成される一方、磁性体層11上に連結内部電極32のみが形成される構成となっている。この変形例では、第1の主面22aを仮の実装面(仮実装面)とした場合でも、面積を小さくし易い連結内部電極32が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極30,31よりも仮実装面22a側に位置するように配置されることになり、そのような実装の際でも、引出内部電極30,31と回路基板との間で発生する浮遊容量を少なからず低減させることができると共に、仮実装面22a側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。このため、変形例のインダクタ21によれば、第1及び第2の主面22a,22bのいずれかを実装面とするかをあまり気にすることなく、インダクタ21を取り扱うことができる。その他の構成は、上述した構成と同様である。
【0062】
ここで、第1実施形態及び第2実施形態に係るインダクタ1,21における電流の検出方法について説明する。図10(a)に示すように、インダクタ1に流れる電流を検出するためには、外部接続導体5,6間の抵抗(電位)を測定することにより、測定された抵抗値からインダクタ1に流れる電流を計測することができる。また、図10(b)に示すように、インダクタ21に流れる電流を検出するためには、外部接続導体25a,25b間の抵抗(電位)を測定することにより、測定された抵抗値からインダクタ21に流れる電流を計測することができる。このような測定方法によれば、外部接続導体の抵抗を利用するといった簡易な方法で電流の検出を行うため、電流の検出を容易に行うことができる。
【0063】
(第3実施形態)
続いて、図11及び図12を参照して、第3実施形態に係るインダクタ41の構成について説明する。インダクタ41は、直方体形状をした素体42と、素体42の外表面に配置された端子電極43,44と、素体42の外表面に配置された外部接続導体45a〜45d、46a〜46dとを備えている。第3実施形態に係るインダクタ41は、第1及び第2実施形態に係るインダクタ1,21に比べ、一対の外部接続導体45,46を4つ備えている点で相違する。以下、相違する点を中心に説明する。
【0064】
素体42は、第1及び第2の主面42a,42bと、第1及び第2の側面42c,42dと、第3及び第4の側面42e,42fとを含んでいる。第2の主面42bが実装面を構成する。素体42の第1の側面42cには、第1実施形態等と同様、第1の端子電極43が配置され、素体42の第2の側面42dには、第2の端子電極44が配置される。
【0065】
素体42の第3の側面42eには、第1の主面42aから第2の主面42bにかけて第3の側面42eを5分割するように第1の外部接続導体45a〜45dが配置される。素体42の第4の側面42fには、第1の主面42aから第2の主面42bにかけて第4の側面42fを5分割するように第2の外部接続導体46a〜46dが配置される。第1及び第2の外部接続導体45a〜45d,46a〜46dは、それぞれ素体2を間に挟んで、第3及び第4の側面42e,42fの対向方向に互いに対向する。
【0066】
素体42は、図12に示されるように、磁性体層10〜14と引出内部電極50,51と連結内部電極52〜58とを有している。第1及び第2の引出内部電極50,51と連結内部電極52〜54とは、第1の主面42a側に位置する磁性体層11上に形成されている。第1及び第2の引出内部電極50,51と連結内部電極52〜54とは、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で併置されている。第1の引出内部電極50は、逆L字形状を呈しており、一端が第1の側面42cまで引き出され、第1の端子電極43に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第3の側面42eまで引き出され、第1の外部接続導体45aに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0067】
第2の引出内部電極51も、逆L字形状を呈しており、一端が第2の側面42dまで引き出され、第2の端子電極44に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面42fまで引き出され、第2の外部接続導体46dに電気的且つ物理的に接続されるようになっている。なお、第1の引出内部電極50に接続される第1の外部接続導体45aは、素体42の一方側に配置された外部接続導体に相当し、第2の引出内部電極51に接続される第2の外部接続導体46dは、素体42の他方側に配置された外部接続導体に相当する。
【0068】
連結内部電極52〜54は、実装面42bの短手方向に対して斜め方向に延出する矩形形状の部分を有し、一端が第3の側面42eまで引き出され、第1の外部接続導体45b〜45dにそれぞれ電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面42fまで引き出され、第2の外部接続導体46a〜46cにそれぞれ電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0069】
連結内部電極55〜58は、実装面42b側を下面とする磁性体層14上に形成されている。各連結内部電極55〜58は、細長い矩形形状を呈しており、第1及び第2の引出内部電極50,51の合計よりもそれぞれが狭い面積となるように形成されている。連結内部電極55〜58は、一端が第3の側面42eまで引き出され、第1の外部接続導体45a〜45dにそれぞれ電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面42fまで引き出され、第2の外部接続導体46a〜46dにそれぞれ電気的且つ物理的に接続されるようになっている。連結内部電極55〜58は、実装面42bにおける短手方向と平行な方向に延出しており、第1及び第2の外部接続導体45a〜45d,46a〜46d間それぞれを最短距離で結ぶようになっている。
【0070】
このような構成を備えたインダクタ41では、回路基板等に実装されると、第1の引出内部電極50、第1の外部接続導体45a、連結内部電極55、第2の外部接続導体46a、連結内部電極52、…、第1の外部接続導体45d、連結内部電極58、第2の外部接続導体46d、及び、第2の引出内部電極51が連結されることによって、コイル部Lが形成され、いわゆる縦巻きインダクタを構成する。
【0071】
以上のように、本実施形態では、対向する一対の外部接続導体45a〜45d,46a〜46dに両端が接続される連結内部電極55〜58が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極50,51よりも実装面42b側に位置するように配置されている。このような配置構成により、第1実施形態等と同様に、各内部電極50〜58と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をインダクタ全体として低減することが可能となる。
【0072】
また、連結内部電極55〜58は、複数の磁性体層の内の磁性体層14上に複数形成された電極であり、複数形成された連結内部電極55〜58は、矩形形状からなる実装面42bにおける短手方向と平行な方向に延出している。このため、線間密を高めて巻数(ターン)を増やすことが可能となるため、インダクタ41のインダクタンスを一層大きくすることが可能となる。
【0073】
なお、第3実施形態に係るインダクタ41に用いられる内部電極50〜58の変形例としては、例えば、図13に示される積層構成となる内部電極50〜58であってもよい。図13に示される変形例では、磁性体層11の下層となる磁性体層12上に第1及び第2の引出内部電極50,51のみが形成される一方、磁性体層11上に連結内部電極52〜54のみが形成される構成となっている。この変形例では、第1の主面42aを仮実装面とした場合でも、面積を小さくし易い連結内部電極52〜54が、積層方向において、第1及び第2の引出内部電極50,51よりも実装面42a側に位置するように配置されることになり、そのような実装の際でも、引出内部電極50,51と回路基板との間で発生する浮遊容量を少なからず低減させることができると共に、仮実装面42a側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。このため、変形例のインダクタ41によれば、第1及び第2の主面42a,42bのいずれかを実装面とするかをあまり気にすることなく、インダクタ41を取り扱うことができる。その他の構成は、上述した構成と同様である。
【0074】
(第4実施形態)
続いて、図14及び図15を参照して、第4実施形態に係るLC複合部品61の構成について説明する。LC複合部品61は、直方体形状をした素体62と、素体62の外表面に配置された端子電極63,64と、素体62の外表面に配置された外部接続導体65,66とを備えている。LC複合部品61は、コイル部Lとコンデンサ部Cとを1チップ内に備えた複合部品である。
【0075】
素体62は、第1及び第2の主面62a,62bと、第1及び第2の側面62c,62dと、第3及び第4の側面62e,62fとを含んでいる。本実施形態では、第2の主面62bが実装面を構成する。素体62の第1の側面62cには、第1の端子電極63が配置され、第2の側面62dには、第2の端子電極64が配置される。素体62の第3の側面62eには、第1の外部接続導体65が配置され、第4の側面62fには、第2の外部接続導体66が配置される。
【0076】
素体62は、図15に示されるように、誘電体層10a〜14a(絶縁体層)と引出内部電極70〜72と連結内部電極73と対向内部電極74,75とを有している。第1及び第2の引出内部電極70,71と第1の対向内部電極74とは、第1の主面62a側に位置する誘電体層11aの下層となる誘電体層12a上に形成されている。第2の引出内部電極71が第1の対向内部電極74に連結されて一体化されており、一体化した第2の内部電極71及び第1の対向内部電極74と第1の引出内部電極70とは、互いに電気的に絶縁されるように所定の間隔を有した状態で併置されている。第1の引出内部電極70は、逆L字形状を呈しており、一端が第1の側面62cまで引き出され、第1の端子電極63に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第3の側面62eまで引き出され、第1の外部接続導体65に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。
【0077】
第2の引出内部電極71も、逆L字形状を呈しており、一端が第2の側面62dの方向に引き出され、第1の対向内部電極74に連結されて一体化するようになっており、他端が第4の側面62fまで引き出され、第2の外部接続導体66に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。なお、第1の引出内部電極70に接続される第1の外部接続導体65は、素体62の一方側に配置された外部接続導体に相当し、第2の引出内部電極71に接続される第2の外部接続導体66は、素体62の他方側に配置された外部接続導体に相当する。第1の対向内部電極74は、矩形形状を呈しており、後述する第2の対向内部電極75と誘電体層11aを介してほぼ全面が積層方向において対向するようになっている。
【0078】
第2の対向内部電極75と第3の引出内部電極72とは、第1の主面62a側に位置する誘電体層11a上に形成されている。第3の引出内部電極72は、矩形形状を呈しており、一端が第1の側面62cの方向に引き出され、第2の対向内部電極75に連結されて一体化するようになっており、他端が第2の側面62dまで引き出され、第2の端子電極64に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。第1及び第2の対向内部電極74,75は、それぞれの誘電体層11a,12a上において、第2の側面62d側に形成されており、中央付近から第1の側面62c側にかけて形成される第1及び第2の引出内部電極70,71や後述する連結内部電極73とは、積層方向からみて、異なる位置になるように配置されている。
【0079】
連結内部電極73は、実装面62b側を下面とする誘電体層14a上に形成されている。連結内部電極73は、細長い矩形形状を呈しており、第1及び第2の引出内部電極70,71の合計面積よりも狭い面積から形成されている。連結内部電極73は、一端が第3の側面62eまで引き出され、第1の外部接続導体65に電気的且つ物理的に接続されるようになっており、他端が第4の側面62fまで引き出され、第2の外部接続導体66に電気的且つ物理的に接続されるようになっている。連結内部電極73は、矩形形状からなる実装面62bにおける短手方向と平行な方向に延出しており、第1及び第2の外部接続導体65,66を最短距離で結ぶ。
【0080】
このような構成を備えたLC複合部品61では、回路基板等に実装されると、図16に示されるように、第1の引出内部電極70、第1の外部接続導体65、連結内部電極73、第2の外部接続導体66、及び、第2の引出内部電極71が連結されることによって、コイル部Lを形成し、一方、図17に示されるように、第1及び第2の対向内部電極74,75が誘電体層11aを介して対向することによって、コンデンサ部Cを形成し、これらにより、図18に示す等価回路を備えたLC複合部品が構成される。
【0081】
以上のように、本実施形態では、対向する一対の外部接続導体65,66に両端が接続される連結内部電極73が、積層方向において、第1、第2及び第3の引出内部電極70〜72よりも実装面62b側に位置するように配置されている。このような配置構成により、他の実施形態と同様、大きめに形成されやすい引出内部電極70〜72を実装面62bから遠ざけることができると共に、実装面62b側には、細めに形成することが可能な連結内部電極73を位置させることができる。その結果、かかるLC複合部品61を回路基板に実装した際、引出内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低減できると共に、実装面62b側の内部電極と回路基板との間で発生する浮遊容量を低めに抑えることが可能となる。しかも、連結内部電極73では、対向する一対の外部接続導体65,66にその両端が接続されるようになっていることから、従来に比べ、連結内部電極73の長さを短くでき、連結内部電極73と回路基板との間で発生する浮遊容量を十分に低減できる。このように、本発明にかかるLC複合部品61によれば、各内部電極と回路基板との間で発生する不要な浮遊容量をLC複合部品全体として低減することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態では、第1及び第2の対向内部電極74,75が、積層方向からみて、連結内部電極73及び第1及び第2の引出内部電極70,71と異なる位置に配置されている。このような構成により、連結内部電極73や第1及び第2の引出内部電極70,71に電流が十分流れることになり、ESRを高くすることもできる。なお、本実施形態におけるLC複合部品61では、対応する構成に応じて、上述したインダクタ1等と同様な作用効果も奏することができる。
【0083】
また、素体62は、複数の誘電体層10a〜14aを積層して構成されている。この場合、第1及び第2の対向内部電極74,75によって形成される静電容量を大きくすることができる。また、磁性体層を有しないため、連結内部電極73や第1及び第2の引出内部電極70,71等によって形成されるインダクタンスは小さくなるものの、LC複合部品61全体を容易に一体焼成できるため、LC複合部品61の製造を簡素化することが可能となる。
【0084】
また、第1の引出内部電極70及び第1の対向内部電極74は、複数の誘電体層10a〜14aの内、一の誘電体層12a上に形成され、積層方向において、第1の引出内部電極70及び連結内部電極73間の距離H1が、第1及び第2の対向内部電極74,75間の距離H3よりも長い。この場合、電流の周回径を大きくすることができるので、インダクタンスを大きくすることが可能となる。また、第1及び第2の対向内部電極74,75間の距離を小さくすることができるので、静電容量を大きくすることもできる。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、内部電極の例を多数示したが、内部電極の配置はこれらに限定されるものではなく、他の配置であってもよい。また、例えば、第4実施形態では、絶縁体層として誘電体層10a〜14aを用いたが、複数の絶縁体層の内、連結内部電極73が形成される絶縁体層と第1の引出内部電極70及び第1の対向内部電極74等が形成される絶縁体層とが磁性体層から構成され、複数の絶縁体層の内、第2の対向内部電極75等が形成される絶縁体層が誘電体層から構成されるようにしてもよい。この場合、第1及び第2の対向内部電極74,75によって形成される静電容量を大きくしつつ、連結内部電極73や第1及び第2の引出内部電極70,71等によって形成されるインダクタンスも大きくすることができる。
【符号の説明】
【0086】
1,21,41…インダクタ、2,22,42,62…素体、3,23,43,63…第1の端子電極、4,24,44,64…第2の端子電極、5,25,45,65…第1の外部接続導体、6,26,46,66…第2の外部接続導体、10〜14…磁性体層、10a〜14a…誘電体層、15,30,50,70…第1の引出内部電極、16,31,51,71…第2の引出内部電極、17,33,34,55〜58,73…連結内部電極,61…LC複合部品、72…第3の引出内部電極、74…第1の対向内部電極、75…第2の対向内部電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁体層が積層され、前記複数の絶縁体層の積層方向に交差する実装面を含む外表面が形成された素体と、
前記素体の外表面に配置される第1及び第2の端子電極と、
前記素体の外表面に配置され且つ前記素体を挟んで互いに対向する一対の外部接続導体とを備え、
前記素体は、前記複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層上にそれぞれ形成される第1の引出内部電極、第2の引出内部電極及び連結内部電極を有し、
前記第1の引出内部電極は、前記第1の端子電極及び前記対向する一対の外部接続導体の内、一方側に配置された外部接続導体に接続され、
前記第2の引出内部電極は、前記第2の端子電極及び前記対向する一対の外部接続導体の内、他方側に配置された外部接続導体に接続され、
前記連結内部電極は、前記対向する一対の外部接続導体にその両端が接続され、
前記対向する一対の外部接続導体に両端が接続された前記連結内部電極が、前記積層方向において、前記第1及び第2の引出内部電極よりも前記実装面側に位置するように配置されていることを特徴とするインダクタ。
【請求項2】
前記複数の絶縁体層は、磁性体層であることを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記連結内部電極は、前記第1及び第2の引出内部電極の一方又はその合計の面積よりも狭い面積から形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記第1及び第2の引出内部電極は、前記複数の絶縁体層の内、異なる絶縁体層又は同一の絶縁体層上にそれぞれ形成され、
前記積層方向において、前記第1の引出内部電極及び前記連結内部電極間の距離が、前記第1及び第2の引出内部電極間の距離よりも長いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記連結内部電極は、前記複数の絶縁体層の内、いずれか一の絶縁体層上に複数形成され、
前記複数形成された連結内部電極は、矩形形状からなる前記実装面における短手方向と平行な方向に延出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記連結内部電極は、前記一対の外部接続導体を最短距離で結ぶように前記一対の外部接続導体に接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項7】
同一形状からなる複数の前記第1及び第2の引出内部電極と同一形状からなる複数の前記連結内部電極とがそれぞれ前記積層方向に連続して形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項の記載のインダクタにおいて、
前記一対の外部接続導体の抵抗を測定して、測定された抵抗値から前記インダクタに流れる電流を計測することを特徴とする計測方法。
【請求項9】
複数の絶縁体層が積層され、前記複数の絶縁体層の積層方向に交差する実装面を含む外表面が形成された素体と、
前記素体の外表面に配置される第1及び第2の端子電極と、
前記素体の外表面に配置され且つ前記素体を挟んで互いに対向する一対の外部接続導体とを備え、
前記素体は、前記複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層上にそれぞれ形成される第1の引出内部電極、第2の引出内部電極、第3の引出内部電極、連結内部電極、第1の対向内部電極、及び、第2の対向内部電極を有し、
前記第1の引出内部電極は、前記第1の端子電極及び前記対向する一対の外部接続導体の内、一方側に配置された外部接続導体に接続され、
前記第2の引出内部電極は、前記第1の対向内部電極及び前記対向する一対の外部接続導体の内、他方側に配置された外部接続導体に接続され、
前記第3の引出内部電極は、前記第2の端子電極及び前記第2の対向内部電極に接続され、
前記連結内部電極は、前記対向する一対の外部接続導体にその両端が接続され、
前記第1及び第2の対向内部電極は、前記複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層を介して互いに対向し、
前記対向する一対の外部接続導体に両端が接続された前記連結内部電極が、前記積層方向において、前記第1、第2及び第3の引出内部電極よりも前記実装面側に位置するように配置されていると共に、前記第1及び第2の対向内部電極が、前記積層方向からみて、前記連結内部電極及び前記第1及び第2の引出内部電極と異なる位置に配置されていることを特徴とするLC複合部品。
【請求項10】
前記複数の絶縁体層は、誘電体層であることを特徴とする請求項9に記載のLC複合部品。
【請求項11】
前記複数の絶縁体層の内、前記連結内部電極が形成される絶縁体層と前記第1の引出内部電極及び前記第1の対向内部電極が形成される絶縁体層とが磁性体層から構成され、
前記複数の絶縁体層の内、前記第2の対向内部電極が形成される絶縁体層が誘電体層から構成されることを特徴とする請求項9に記載のLC複合部品。
【請求項12】
前記第1の引出内部電極及び前記第1の対向内部電極は、前記複数の絶縁体層の内、いずれか一の絶縁体層上に形成され、
前記積層方向において、前記第1の引出内部電極及び前記連結内部電極間の距離が、前記第1及び第2の対向内部電極間の距離よりも長いことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のLC複合部品。
【請求項1】
複数の絶縁体層が積層され、前記複数の絶縁体層の積層方向に交差する実装面を含む外表面が形成された素体と、
前記素体の外表面に配置される第1及び第2の端子電極と、
前記素体の外表面に配置され且つ前記素体を挟んで互いに対向する一対の外部接続導体とを備え、
前記素体は、前記複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層上にそれぞれ形成される第1の引出内部電極、第2の引出内部電極及び連結内部電極を有し、
前記第1の引出内部電極は、前記第1の端子電極及び前記対向する一対の外部接続導体の内、一方側に配置された外部接続導体に接続され、
前記第2の引出内部電極は、前記第2の端子電極及び前記対向する一対の外部接続導体の内、他方側に配置された外部接続導体に接続され、
前記連結内部電極は、前記対向する一対の外部接続導体にその両端が接続され、
前記対向する一対の外部接続導体に両端が接続された前記連結内部電極が、前記積層方向において、前記第1及び第2の引出内部電極よりも前記実装面側に位置するように配置されていることを特徴とするインダクタ。
【請求項2】
前記複数の絶縁体層は、磁性体層であることを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記連結内部電極は、前記第1及び第2の引出内部電極の一方又はその合計の面積よりも狭い面積から形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記第1及び第2の引出内部電極は、前記複数の絶縁体層の内、異なる絶縁体層又は同一の絶縁体層上にそれぞれ形成され、
前記積層方向において、前記第1の引出内部電極及び前記連結内部電極間の距離が、前記第1及び第2の引出内部電極間の距離よりも長いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記連結内部電極は、前記複数の絶縁体層の内、いずれか一の絶縁体層上に複数形成され、
前記複数形成された連結内部電極は、矩形形状からなる前記実装面における短手方向と平行な方向に延出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記連結内部電極は、前記一対の外部接続導体を最短距離で結ぶように前記一対の外部接続導体に接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項7】
同一形状からなる複数の前記第1及び第2の引出内部電極と同一形状からなる複数の前記連結内部電極とがそれぞれ前記積層方向に連続して形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項の記載のインダクタにおいて、
前記一対の外部接続導体の抵抗を測定して、測定された抵抗値から前記インダクタに流れる電流を計測することを特徴とする計測方法。
【請求項9】
複数の絶縁体層が積層され、前記複数の絶縁体層の積層方向に交差する実装面を含む外表面が形成された素体と、
前記素体の外表面に配置される第1及び第2の端子電極と、
前記素体の外表面に配置され且つ前記素体を挟んで互いに対向する一対の外部接続導体とを備え、
前記素体は、前記複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層上にそれぞれ形成される第1の引出内部電極、第2の引出内部電極、第3の引出内部電極、連結内部電極、第1の対向内部電極、及び、第2の対向内部電極を有し、
前記第1の引出内部電極は、前記第1の端子電極及び前記対向する一対の外部接続導体の内、一方側に配置された外部接続導体に接続され、
前記第2の引出内部電極は、前記第1の対向内部電極及び前記対向する一対の外部接続導体の内、他方側に配置された外部接続導体に接続され、
前記第3の引出内部電極は、前記第2の端子電極及び前記第2の対向内部電極に接続され、
前記連結内部電極は、前記対向する一対の外部接続導体にその両端が接続され、
前記第1及び第2の対向内部電極は、前記複数の絶縁体層の内、いずれかの絶縁体層を介して互いに対向し、
前記対向する一対の外部接続導体に両端が接続された前記連結内部電極が、前記積層方向において、前記第1、第2及び第3の引出内部電極よりも前記実装面側に位置するように配置されていると共に、前記第1及び第2の対向内部電極が、前記積層方向からみて、前記連結内部電極及び前記第1及び第2の引出内部電極と異なる位置に配置されていることを特徴とするLC複合部品。
【請求項10】
前記複数の絶縁体層は、誘電体層であることを特徴とする請求項9に記載のLC複合部品。
【請求項11】
前記複数の絶縁体層の内、前記連結内部電極が形成される絶縁体層と前記第1の引出内部電極及び前記第1の対向内部電極が形成される絶縁体層とが磁性体層から構成され、
前記複数の絶縁体層の内、前記第2の対向内部電極が形成される絶縁体層が誘電体層から構成されることを特徴とする請求項9に記載のLC複合部品。
【請求項12】
前記第1の引出内部電極及び前記第1の対向内部電極は、前記複数の絶縁体層の内、いずれか一の絶縁体層上に形成され、
前記積層方向において、前記第1の引出内部電極及び前記連結内部電極間の距離が、前記第1及び第2の対向内部電極間の距離よりも長いことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のLC複合部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−49326(P2011−49326A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195975(P2009−195975)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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