説明

インプリンティング用感光性樹脂組成物及び基板上に有機膜を形成する方法

【課題】向上した復元力、耐化学性、耐熱性、寸法安定性及び硬化密度を有する有機膜を形成するためのインプリンティング用感光性樹脂組成物及びこれを用いて基板上に有機膜を形成する方法を提供すること。
【解決手段】特定の構造を有するエリスリトール系のモノマー又はオリゴマーを含むインプリンティング用感光性樹脂組成物である。この感光性樹脂組成物を用いて形成された有機膜は、向上した復元力、耐化学性、耐熱性、寸法安定性及び硬化密度を有する。この感光性樹脂組成物は、インプリンティング工程に適しているため、インプリンティング工程によって微細なパターンを含む有機膜を基板上に容易に形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリンティング用感光性樹脂組成物及びこれを用いて基板上に有機膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、LCD製造工程又は半導体製造工程において微細パターンを形成するために、マイクロフォトリソグラフィ工程が広く用いられている。
【0003】
このようなフォトリソグラフィ工程において、設計基準(パターン線幅のための)は、露光工程で用いられる光の波長によって決まる。従って、現在の技術水準を考慮した時、フォトリソグラフィ工程を利用して基板上に100nm以下の超微細パターンを形成することは非常に難しいのが実情である。
【0004】
その上、このようにパターンの超微細化が進行するのに伴い、露光設備のような高価な設備によって、初期投資費用が増大するだけでなく、高解像度のマスク価格も急騰し、有用性が低くなるという短所がある。
【0005】
また、パターンが形成される度に、露光工程、露光後ベーク工程、現象工程、現象後ベーク工程、エッチング工程、洗浄工程などを行わなければならないので、時間が長くかかり、工程が非常に複雑になるという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するため、最初のナノスケールパターンをインプリントするためのインプリンティング工程が、新規な工程として、米国のプリンストン大学のステファン・チョウ(Stephen chou)等によって開発された。このようなインプリンティング工程は、相対的に強度が強い材料の表面に所望の原型を予め作製し、次いで、これを他の材料上にスタンプしてパターンを形成したり、所望のパターンが予め形成されたモールド(mold)を金属膜又は有機膜上にコーティングされた硬化性組成物に合着し、熱硬化又は光硬化させてパターンを形成する手法であり、工程の単純化及び超微細パターンの形成に有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、向上した復元力、耐化学性、耐熱性、寸法安定性及び硬化密度を有する有機膜を形成するためのインプリンティング用感光性樹脂組成物及びこれを用いて基板上に有機膜を形成する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるインプリンティング用感光性樹脂組成物は、次の化学式1、化学式2及び化学式3のうち一つで表されるエリスリトール系のモノマー又はオリゴマーを含む。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
【化3】

【0012】
化学式1において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択され、化学式2において、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択され、化学式3において、R9、R10、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択される。
【0013】
本発明による基板上に有機膜を形成する方法は、基板上に前記感光性樹脂組成物を配置する段階と、前記感光性樹脂組成物に成形フレームを配置して、予備パターンを形成する段階と、前記予備パターンが形成された感光性樹脂組成物を露光させて硬化する段階とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明による感光性樹脂組成物は、インプリンティング工程に適しており、この感光性樹脂組成物で形成された有機膜は、向上した復元力、耐化学性、耐熱性、寸法安定性及び硬化密度を有する。また、本発明は、インプリンティング工程によって微細なパターンを含む有機膜を基板上に容易に形成する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて基板上に有機膜を形成する過程を説明するための模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて基板上に有機膜を形成する過程を説明するための模式断面図である。
【図3】図3は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて基板上に有機膜を形成する過程を説明するための模式断面図である。
【図4】図4は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて基板上に有機膜を形成する過程を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のインプリンティング用感光性樹脂組成物及びそれを用いた有機膜の形成方法について詳細に説明する。なお、以下の説明において、各基板、膜、層等が、各基板、膜、層等の「上(on)」又は「下(under)」に形成されるものとして記載される場合、「上(on)」及び「下の(under)」は、「直接(directly)」又は「他の構成要素を介在して(indirectly)」形成されるもの全てを含む。また、各構成要素の上又は下に対する基準は、図面を基準に説明する。図面での各構成要素の大きさは説明のために誇張され得るので、実際に適用される大きさを意味するものではない。
【0017】
一つの実施形態において、インプリンティング用感光性樹脂組成物は、次の化学式1、化学式2及び化学式3のうち一つで表されるエリスリトール系のモノマー又はオリゴマーと、エチレン系モノマーと、少なくとも2つのエチレン性二重結合を有する架橋剤と、光重合開始剤とを含む。
【0018】
【化4】

【0019】
【化5】

【0020】
【化6】

【0021】
上記化学式1において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択され、上記化学式2において、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択され、上記化学式3において、R9、R10、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択される。
【0022】
一つの実施形態において、R1〜R14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、メチル基及びアクリレート基からなる群から選択される。
【0023】
一つの実施形態において、R1〜R14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、メチル基及び下記化学式4からなる群から選択される。
【0024】
【化7】

【0025】
上記化学式4において、R15は、水素又はアルキル基から選択することができる。より詳しく、R15は、水素又はメチル基でもあり得る。
【0026】
一つの実施形態において、インプリンティング用感光性樹脂組成物は、化学式1、化学式2及び化学式3のうち一つで表されるモノマー又はオリゴマーが重合されて形成されるコポリマーを含む。
【0027】
一つの実施形態において、前記エリスリトール系のモノマー、オリゴマー又はコポリマーは、感光性樹脂組成物中に約1重量%〜約20重量%含有される。好ましくは、エリスリトール系のモノマー、オリゴマー又はコポリマーは、感光性樹脂組成物中に約1重量%〜約10重量%含有される。特に、エリスリトール系のモノマー、オリゴマー又はコポリマーの含有量が1重量%未満の場合には、復元力を向上させ難く、硬化密度及び酸又は塩基混合液に対する耐性等を同時に改善させる効果を期待することが難しい。また、エリスリトール系のモノマー、オリゴマー又はコポリマーの含有量が20重量%を超過する場合には、感光性樹脂組成物の粘度増加及び下部膜との接着力低下が誘発され得る。
【0028】
上記したエリスリトール系のモノマー、オリゴマー又はコポリマーの具体的な例としては、エリスリトール、エリスリトールモノアクリレート、エリスリトールジアクリレート、エリスリトールトリアクリレート、エリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジエリスリトール、ジエリスリトールモノアクリレート、ジエリスリトールジアクリレート、ジエリスリトールトリアクリレート、ジエリスリトールテトラアクリレート、ジエリスリトールペンタアクリレート、ジエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールモノアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、又はこれらの誘導体、これらのエステル化合物、これらのメタクリレート等を挙げることができる。これは、インプリンティング用感光性樹脂組成物に単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
一つの実施形態において、エチレン系モノマーは、感光性樹脂組成物中に約9重量%〜約80重量%含有される。好ましくは、エチレン系モノマーは、感光性樹脂組成物中に約20重量〜約60重量%含有される。エチレン系モノマーの含有量が10重量%未満の場合には、感光性樹脂組成物によって形成された有機膜の分子量が十分でなく、強度が低下され得る。また、エチレン系モノマーの含有量が80重量%を超過する場合には、感光性樹脂組成物の未反応が増加して、有機膜が大きく収縮され得る。
【0030】
上記したエチレン系モノマーの具体的な例としては、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、メタルメタクリレート、アルキルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、トリメトキシブチルアクリレート、エチルカルビトルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート及びこれらのメタクリレート等を挙げることができ、3−フルオロエチルアクリレート、4−フルオロプロピルアクリレートのようなハロゲン化合物を含むアクリレート及びこれらのメタクリレート、トリエチルシロキシルエチルアクリレートのようなシロキサンを含むアクリレート及びこれらのメタクリレート等を挙げることができ、また、スチレン及び4−メトキシスチレンのような芳香族基を有するオレフィン類等を挙げることができる。これは、インプリンティング用感光性樹脂組成物に単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0031】
一つの実施形態において、架橋剤は、感光性樹脂組成物中に約9重量%〜約80重量%含有される。好ましくは、架橋剤は、感光性樹脂組成物中に約20重量%〜約60重量%含有される。架橋剤の含有量が9重量%未満の場合には、感光性樹脂組成物によって形成される有機膜の硬化度が足りず、パターンの未形成が発生する。また、架橋剤の含有量が80重量%を超過する場合には、有機膜の硬化度の過度な増加又は感光性樹脂組成物の未反応が発生され得る。
【0032】
上記した架橋剤の具体的な例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びこれらのメタクリレートのようなエチレン系架橋剤等を挙げることができる。これは、インプリンティング用感光性樹脂組成物に単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
一つの実施形態において、光重合開始剤は、感光性樹脂組成物中に約0.1重量%〜約10重量%含有される。好ましくは、光重合開始剤は、感光性樹脂組成物中に約1重量%〜約6重量%含有される。光重合開始剤の含有量が0.1重量%未満の場合には、感光性樹脂組成物の光硬化速度が低下する。また、光重合開始剤の含有量が10重量%を超過する場合には、感光性樹脂組成物の反応抑制効果が発生し、形成される有機膜の特性、透過度又は硬化マージンが低下され得る。
【0034】
上記した光重合開始剤の具体的な例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジブトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロリオフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンゾフェノン、4−クロロアセトフェノン、4,4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−2−メトキシフェノン、2,2’−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物等を挙げることができ、また、ベンゾフェノン、ベンソイル安息香酸、ベンソイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン及び4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物等を挙げることができ、また、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン及び2−クロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエテール及びベンジルジメチル等のベンゾイン系化合物等を挙げることができ、また、2,4,6,−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト1イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフト1イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−4−トリクロロメチル(ピレトリン)−6−トリアジン及び2−4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル))−6−トリアジン等のトリアジン系化合物等を挙げることができる。これは、インプリンティング用感光性樹脂組成物に単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。より好ましくは、光重合開始剤としてアセトフェノン系化合物が使われ、形成される有機膜の硬度マージンを効率的に確保することができる。
【0035】
図1から図4は、本発明のインプリンティング用感光性樹脂組成物を用いて基板上に有機膜を形成する過程を図示した断面図である。
図1を参照すると、基板(100)上にインプリンティング用感光性樹脂組成物が塗布され、感光性樹脂層(201)が形成される。
基板(100)としては、金属層、高分子層若しくは無機物層を含むシリコン基板、セラミックス基板、ガラス基板又はフィルム基板を用いることができる。
ここで使用するインプリンティング用感光性樹脂組成物は、先に説明した組成を有するものである。インプリンティング用感光性樹脂組成物は、スピンコーティング、ローラーコーティング又はスリットコーティング等の工程によって、基板(100)上に塗布される。感光性樹脂層(201)の厚さは約0.5μm〜約10μmである。
【0036】
図2を参照すると、感光性樹脂層(201)上にモールド(300)が配置される。このモールド(300)は、感光性樹脂層(201)を成形するための成形フレームである。モールド(300)は、有機材料又は無機材料から構成することができる。モールド(300)に用いられる材料の例としては、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane;PDMS)等を挙げることができる。また、モールド(300)の下の面には、多数の溝模様(groove pattern)が形成される。モールド(300)は透明である。
モールド(300)によって、感光性樹脂層(201)に圧力が加えられ、溝模様に対応して、感光性樹脂層(201)に予備パターン(202a)が形成される。すなわち、圧力によって溝模様に感光性樹脂組成物が充填される。
【0037】
図3を参照すると、予備パターン(202a)が形成された感光性樹脂層(202)に紫外線が照射され、予備パターン(202a)が形成された感光性樹脂層(202)は硬化され、パターンを含む有機膜(200)が形成される。この時、感光性樹脂層(201)に約190nm〜約450nmの波長を有する紫外線を照射することができる。好ましくは、感光性樹脂層(201)に約200nm〜約400nmの波長を有する紫外線を照射することができる。もう一つの方法として、感光性樹脂層(201)に電子線を照射することができる。
【0038】
図4を参照すると、モールド(300)は有機膜(200)から離脱され、パターン(200a)が形成された有機膜(200)が基板(100)上に形成される。
【0039】
続いて、有機膜(200)に追加的な熱処理が施され、有機膜(200)の機械的な硬度、耐酸性及び基板(100)との接着性を向上することができる。
【0040】
有機膜(200)は、有機絶縁膜、オーバーコート及びスペーサー等であり、特に、スペーサーを含む有機膜は、一定の水準の復元力を有さなければならない。
【0041】
この時、感光性樹脂組成物は、エリスリトール系のモノマー、オリゴマー又はコポリマーを含むので、有機膜(200)は向上した復元力を有する。これにより、有機膜(200)は向上した性能を有するスペーサーを含むことができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。ただし、実施例は単なる例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
約10重量%のエリスリトールジアクリレート、約30重量%のヒドロキシブチルアクリレート、約30重量%のフェノキシエチルアクリレート、約25重量%の1,4−ブタンジオールジアクリレート及び光重合開始剤としての約5重量%のイルガキュア(登録商標)369(チバガイギー社製)を常温で6時間均一に混合し、感光性樹脂組成物#1を調製した。続いて、感光性樹脂組成物#1をガラス基板上に約2.5μmの厚さで均一に塗布した後、塗布された感光性樹脂組成物#1に平らな下面を有するPDMSモールドを接触させた。次に、PDMSモールドを通して感光性樹脂組成物#1に約365nmの波長を有する紫外線を約1分間照射した。このような方式でガラス基板に有機膜#1が形成された。
【0043】
<実施例2>
約10重量%のエリスリトールジアクリレート、約30重量%のヒドロキシブチルアクリレート、約30重量%のフェノキシエチルアクリレート、約25重量%の1,4−ブタンジオールジアクリレート及び光重合開始剤としての約5重量%のイルガキュア(登録商標)369を実施例1と同じ条件で混合し、感光性樹脂組成物#2を調製した。続いて、感光性樹脂組成物#2を用い、実施例1と同じ過程で有機膜#2を形成した。
【0044】
<実施例3>
約10重量%のエリスリトールジアクリレート、約30重量%のヒドロキシブチルアクリレート、約30重量%のフェノキシエチルアクリレート、約25重量%の1,4−ブタンジオールジアクリレート及び光重合開始剤としての約5重量%のイルガキュア(登録商標)369を実施例1と同じ条件で混合し、感光性樹脂組成物#3を調製した。続いて、感光性樹脂組成物#3を用い、実施例1と同じ過程で有機膜#3を形成した。
【0045】
<実施例4>
約10重量%のエリスリトールジアクリレート、約30重量%のヒドロキシブチルアクリレート、約30重量%のフェノキシエチルアクリレート、約25重量%の1,4−ブタンジオールジアクリレート及び光重合開始剤としての約5重量%のイルガキュア(登録商標)369を実施例1と同じ条件で混合し、感光性樹脂組成物#4を調製した。続いて、感光性樹脂組成物#4を用い、実施例1と同じ過程で有機膜#4を形成した。
【0046】
<比較例>
約40重量%のヒドロキシブチルアクリレート、約25重量%のフェノキシエチルアクリレート、約30重量%の1,4−ブタンジオールジアクリレート及び光重合開始剤としての約5重量%のイルガキュア(登録商標)369を実施例1と同じ条件で混合し、感光性樹脂組成物#5を調製した。続いて、感光性樹脂組成物#5を用い、実施例1と同じ過程で有機膜#5を形成した。
【0047】
得られた有機膜#1、#2、#3、#4及び#5の性能を下記基準で評価した。
<復元力の評価>
復元力測定装置を利用して有機膜に100mNの力を加え、パターンが復元される程度を測定し、下記のような基準で有機膜の復元力を評価した。
A:復元力が70%以上の場合
B:復元力が60%以上70%未満の場合
C:復元力が50%以上60%未満の場合
D:復元力が40%以上50%未満の場合
【0048】
<耐化学性の評価>
有機膜を230℃のオーブンで60分間熱硬化して、約15%の濃度を有するHCl溶液に10分浸した後、厚さの変化率を測定し、下記のような基準で有機膜の耐化学性を評価した。
A:厚さの変化が1%未満の場合
B:厚さの変化が1%以上3%未満の場合
C:厚さの変化が3%以上5%未満の場合
D:厚さの変化が5%以上の場合
【0049】
<耐熱性の評価>
有機膜の一部をそれぞれ採取して、230℃を30分間維持しながら熱重量分析装置(TGA)で重量減少を測定し、下記のような基準で有機膜の耐熱性を評価した。
A:重量減少が1%未満の場合
B:重量減少が1%以上3%未満の場合
C:重量減少が3%以上5%未満の場合
D:重量減少が5%以上の場合
【0050】
<寸法安定性の評価>
有機膜を230℃のオーブンで260分間熱硬化し、硬化前後の厚さを測定した。この時、下記のような基準で有機膜の寸法安定性を評価した。
A:厚さの減少が5%未満の場合
B:厚さの減少が5%以上10%未満の場合
C:厚さの減少が10%以上15%未満の場合
D:厚さの減少が15%以上の場合
【0051】
<硬化密度の評価>
動的超微小硬度計を利用して有機膜に50mNの力を加えた時の最大変形量を測定した。この時、下記のような基準で有機膜の硬化密度を評価した。
A:変形量が30%未満の場合
B:変形量が30%以上60%未満の場合
C:変形量が60%以上80%未満の場合
D:変形量が80%以上の場合
【0052】
【表1】

【0053】
表1のように、エリスリトール系のモノマー、オリゴマー又はコポリマーを含む感光性樹脂組成物#1、#2、#3及び#4によって形成された有機膜は、向上した復元力、耐化学性及び硬化密度を有し、適正水準の耐熱性及寸法安全性を有するということが分かる。すなわち、感光性樹脂組成物#1、#2、#3及び#4は、インプリンティング工程に適した特性を有するということが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の化学式1、化学式2及び化学式3のうち一つで表されるエリスリトール系のモノマー又はオリゴマーを含むインプリンティング用感光性樹脂組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

(ただし、化学式1において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択され、化学式2において、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択され、化学式3において、R9、R10、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択される。)
【請求項2】
エチレン系のモノマー又はオリゴマーを更に含む請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
架橋剤及び光重合開始剤を更に含む請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
1重量%〜20重量%の前記エリスリトール系のモノマー又はオリゴマー、9重量%〜80重量%の前記エチレン系のモノマー又はオリゴマー、9重量%〜80重量%の前記架橋剤及び0.1重量%〜10重量%の前記光重合開始剤を含む請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記エリスリトール系のモノマー又はオリゴマーが、エリスリトールジアクリレート、ジエリスリトールトリアクリレート、ジエリスリトールモノアクリレート及びエリスリトールジアクリレートからなる群から選択される請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記エチレン系のモノマー又はオリゴマーが、ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート及び1,4−ブタンジオールジアクリレートからなる群から選択される請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
基板上に、次の化学式1、化学式2及び化学式3のうち一つで表されるエリスリトール系のモノマー又はオリゴマーを含む感光性樹脂組成物を配置する段階と、
該感光性樹脂組成物に成形フレームを配置して、予備パターンを形成する段階と、
該予備パターンが形成された感光性樹脂組成物を露光させて硬化する段階と
を含む基板上に有機膜を形成する方法。
【化4】

【化5】

【化6】

(ただし、化学式1において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択され、化学式2において、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択され、化学式3において、R9、R10、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、水素、アルキル基及びアクリレート基からなる群から選択される。)
【請求項8】
前記感光性樹脂組成物が、エチレン系のモノマー又はオリゴマー、エチレン系架橋剤及び光重合開始剤を更に含む請求項7に記載の基板上に有機膜を形成する方法。
【請求項9】
前記エリスリトール系のモノマー又はオリゴマーが、エリスリトールジアクリレート、ジエリスリトールトリアクリレート、ジエリスリトールモノアクリレート及びエリスリトールジアクリレートからなる群から選択される請求項7に記載の基板上に有機膜を形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−116562(P2010−116562A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259514(P2009−259514)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(501426046)エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド (732)
【出願人】(502081871)ドンジン セミケム カンパニー リミテッド (62)
【Fターム(参考)】