説明

インプリント用ブランクス、インプリント用テンプレート及びその製造方法

【課題】加工性に優れたインプリント用ブランクス、インプリント用テンプレート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のインプリント用ブランクス10は、下地層11と、下地層11上に積層され、sp混成軌道を形成する炭素とsp混成軌道を形成する炭素との混合比が、積層方向に隣接する層間で異なる複数のダイヤモンドライクカーボン層12、13と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント用ブランクス、インプリント用テンプレート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドライクカーボンは、その高硬度と低摩擦係数により、インプリントテンプレートへの利用が期待されている。例えば、特許文献1には、金属製の本体の表面に凹凸パターンを形成し、その凹凸パターンが形成された本体表面にダイヤモンドライクカーボン膜を成膜することが開示されている。
【0003】
この場合、凹凸パターンが微細になると、高精度に膜厚がコントロールされたダイヤモンドライクカーボン膜を、凹凸パターンが形成された表面に成膜することが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−149097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、加工性に優れたインプリント用ブランクス、インプリント用テンプレート及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、下地層と、前記下地層上に積層され、sp混成軌道を形成する炭素とsp混成軌道を形成する炭素との混合比が、積層方向に隣接する層間で異なる複数のダイヤモンドライクカーボン層と、を備えたことを特徴とするインプリント用ブランクスが提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、下地層と、前記下地層上に積層され、sp混成軌道を形成する炭素とsp混成軌道を形成する炭素との混合比が、積層方向に隣接する層間で異なる複数のダイヤモンドライクカーボン層と、を備え、少なくとも最表層の前記ダイヤモンドライクカーボン層に凹部及び凸部を有するパターンが形成されたことを特徴とするインプリント用テンプレートが提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、sp混成軌道を形成する炭素とsp混成軌道を形成する炭素との混合比が、積層方向に隣接する層間で異なる複数のダイヤモンドライクカーボン層を、下地層上に形成する工程と、前記ダイヤモンドライクカーボン層に放射線を照射してオージェ電子を放出させる工程と、前記オージェ電子のエネルギー分布を取得する工程と、前記エネルギー分布に基づいて、前記放射線が照射されているダイヤモンドライクカーボン層を特定する工程と、を備えたことを特徴とするインプリント用テンプレートの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加工性に優れたインプリント用ブランクス、インプリント用テンプレート及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るインプリント用テンプレートの製造方法を示す模式断面図。
【図2】本発明の実施形態に係るインプリント用テンプレートを用いた半導体装置の製造方法を示す模式断面図。
【図3】(a)は、図1(a)における第2のダイヤモンドライクカーボン層に電子線を照射したときに測定されるオージェ電子のエネルギー分布例であり、(b)は、図1(a)における第1のダイヤモンドライクカーボン層に電子線を照射したときに測定されるオージェ電子のエネルギー分布例。
【図4】本発明の他の実施形態に係るインプリント用ブランクス及びテンプレートの模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1(a)は、本実施形態に係るインプリント用ブランクス(以下、単にブランクスとも称する)10の模式断面図を示す。
【0011】
ブランクス10は、下地層11上に複数のダイヤモンドライクカーボン層が積層された構造を有する。下地層11は、例えば石英基板である。複数のダイヤモンドライクカーボン層は、第1のダイヤモンドライクカーボン層12と第2のダイヤモンドライクカーボン層13とを有する。
【0012】
ダイヤモンドライクカーボンは、sp混成軌道を形成して結合した炭素(sp結合炭素)と、sp混成軌道を形成して結合した炭素(sp結合炭素)とを含む。そして、本実施形態では、複数のダイヤモンドライクカーボンにおいて積層方向に隣接する層間で、sp結合炭素とsp結合炭素との混合比が異なる。例えば、第1のダイヤモンドライクカーボン層12では、sp結合炭素の含有量の方がsp結合炭素よりも多く、sp結合炭素リッチである。第2のダイヤモンドライクカーボン層13では、sp結合炭素とsp結合炭素との混合比が、略1である。
上記混合比は、ダイヤモンドライクカーボンをCVD(chemical vapor deposition)法などで成膜する際の成膜条件によりコントロール可能である。例えば、原料ガスに含まされる酸素濃度や水素濃度が比較的高いと、sp混成軌道の比を高くすることが可能である。
【0013】
前述したブランクス10に対して、図1(b)に示すように、所望の凹凸パターンを形成することで、インプリント用テンプレート(以下、単にテンプレートとも称する)が得られる。
【0014】
下地層11及び第1のダイヤモンドライクカーボン層12は加工されず、第2のダイヤモンドライクカーボン層13に対して、凹部13a及び凸部13bが形成される。例えば、電子線による直描及びその後の現像、あるいはマスクを使った選択的エッチングにより、凹凸パターンが形成される。
【0015】
このパターニング時に、凹部13a内に第2のダイヤモンドライクカーボン層13が欠陥(黒欠陥)13cとして残ってしまうことがある。この場合、欠陥13cの修正工程が行われる。
【0016】
例えば、電子線を照射して欠陥13cを除去する。このとき、過剰エッチングによって、下の層(本実施形態では第1のダイヤモンドライクカーボン層12)が電子線から受けるダメージを抑制するため、欠陥13cの高さ(厚さ)に応じた、電子線の照射ドーズ量の制御(主に照射時間の制御)が重要である。
【0017】
修正対象物とその下の層との構成元素が異なる場合は、放出される二次電子量や反射電子量などを測定することにより、欠陥13cに対する電子線照射の停止タイミング、すなわち欠陥13cとその下の層との界面(修正エンドポイント)を検出することが可能である。しかし、本実施形態のように、欠陥13cとその下の第1のダイヤモンドライクカーボン層12との構成元素が同じもしくは類似している場合、修正エンドポイントの検出は困難である。
【0018】
この場合、欠陥13cに対する電子線の照射ドーズ量を制御するには欠陥13cの高さ情報が必要となるが、TAT(turnaround time)を犠牲にすることなくこれを測定することは困難であり、欠陥画像から推測するオペレータの習熟によるところが大きい。照射ドーズ量が低すぎた場合は、再度の電子線照射による修正が必要となり、修正TATの悪化をまねく。照射ドーズ量が高すぎた場合は、下の層に対するダメージが大きくテンプレートの再作製が必要となり、大幅なTAT悪化を引き起こす可能性がある。
【0019】
なお、電子線照射によって試料の情報を得る方法としては、二次電子や反射電子の他に、特性X線やオージェ電子が考えられる。特性X線の分析にあたっては、エネルギー分散型X線分光(EDS;Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)、波長分散型X線分光(WDS;Wavelength-Dispersive X-ray Spectroscopy)が考えられるが、炭素のsp混成軌道とsp混成軌道との化学結合エネルギー差は約0.9eVと、既存のWDSのエネルギー分解能(15eV程度)では分解することが困難である。
【0020】
また、特性X線の分析では、試料表面から数μm程度までの比較的深い位置の情報が得られるため、表面に敏感な分析方法とは言えず、nmレベルの微細凹凸パターンが表面に形成されることの多いインプリント用テンプレートの検査には適していない。これに対して、オージェ電子の分析では、深さ50オングストローム程度の試料表面の情報を得ることができ、試料表面の変化に敏感である。
【0021】
そこで、本実施形態では、電子線の照射によって放出されるオージェ電子を測定することで、欠陥13cの修正エンドポイントを特定する。
【0022】
図1(c)に、欠陥13cの修正工程を示す。
【0023】
欠陥13cに対して電子線EBを照射する。このとき、エッチャントガスを、欠陥13cを含む第2のダイヤモンドライクカーボン層13の表面に供給する。電子線EBを欠陥13cに対して照射することで、欠陥13cを構成する炭素をエッチャントガスと結合させてガス化させて除去する。
【0024】
なお、欠陥13cの除去にあたっては、電子線以外の放射線、例えばプロトンビームなどを欠陥13cに照射してもよい。放射線の照射により、欠陥13cを除去できると共に、オージェ電子を放出可能に励起できればよい。この場合、欠陥除去を行いつつ、エンドポイントを検出できる。
【0025】
欠陥13cに対する電子線EBの照射により、オージェ電子が放出される。このオージェ電子を、第2のダイヤモンドライクカーボン層13の表面近傍に設けられたオージェ電子検出器18で検出し、オージェ電子のエネルギー分布を取得する。
【0026】
このときのオージェ電子のエネルギー分布(オージェスペクトル)の一例を、図3(a)に示す。図3(a)において、横軸はオージェ電子の運動エネルギーを、縦軸は強度を表す。
【0027】
上記オージェ電子の測定により、電子線EBが照射された部分に含まれる炭素の1s軌道のエネルギー分布(図3(a)において実線で表す)が得られる。この1s軌道のエネルギー分布は、sp混成軌道のエネルギー分布(図3(a)において破線で表す)と、sp混成軌道のエネルギー分布(図3(a)において1点鎖線で表す)とを合成したものに対応する。
【0028】
sp結合炭素とsp結合炭素との混合比と、sp混成軌道のエネルギー分布とsp混成軌道のエネルギー分布のそれぞれのピーク位置と、の相関関係は他の方法等により既知あるいは求めることができるが、現状のオージェ電子分光分析法では、sp混成軌道のエネルギー分布とsp混成軌道のエネルギー分布のそれぞれのピーク位置を直接検出する分解能はない、もしくは低い。したがって、本実施形態では、1s軌道のエネルギー分布に基づいて、電子線が照射されているダイヤモンドライクカーボン層を特定する。
【0029】
具体的には、1s軌道のエネルギー分布のピーク位置と分布幅(例えばピークの半値幅)の変化をモニタする。欠陥13cは、第2のダイヤモンドライクカーボン層13と同じ層であり、欠陥13cにおけるsp結合炭素とsp結合炭素との混合比は略1である。この場合、図3(a)に示すように、1s軌道のエネルギー分布のピーク位置は、sp混成軌道のエネルギー分布のピーク位置と、sp混成軌道のエネルギー分布のピーク位置との中間付近にある。
【0030】
欠陥13cが除去され、電子線が、sp結合炭素リッチな第1のダイヤモンドライクカーボン層12に達すると、図3(b)に示すように、1s軌道のピーク位置はsp軌道のピーク位置側にシフトする。さらに、1s軌道のピークの半値幅Wbは、欠陥13cに電子線が照射されているとき(図3(a))の半値幅Waに比べて小さくなる。
【0031】
それら、ピーク位置及び半値幅の少なくともいずれか一方に閾値を設定し、それらの変化をモニタすることで、電子線の照射対象が欠陥13cから第1のダイヤモンドライクカーボン層12に移ったこと、すなわち修正のエンドポイントを検出することができる。このエンドポイントの検出を受けて、電子線の照射を停止させることができる。この結果、修正対象ではない第1のダイヤモンドライクカーボン層12へのダメージを抑制することができる。
【0032】
欠陥13cが除去されることで、図1(d)に示すテンプレート20が得られる。本実施形態によれば、欠陥なく、高精度にパターニングされたテンプレート20を提供できる。また、凹部13aの底は下地層11に達せず、凹部13aの底面は第1のダイヤモンドライクカーボン層12である。すなわち、後述するインプリント材との接触面である凹部13aの側壁及び底部がダイヤモンドライクカーボンである。ダイヤモンドライクカーボンは、高硬度且つ低摩擦係数であり離型性に優れ、離型時のパターン欠陥を抑制できる。
【0033】
次に、図2(a)〜(d)を参照して、本実施形態に係るテンプレート20を用いた半導体装置の製造方法について説明する。
【0034】
まず、図2(a)に示すように、加工対象物30の表面上に、未硬化状態のインプリント材31を供給する。加工対象物30は、基板自体、もしくは基板上に各種の膜が形成されたものである。インプリント材31は、例えば熱硬化または光硬化型の樹脂材料である。
【0035】
次に、図2(b)に示すように、前述したテンプレート20の凹凸パターンを、インプリント材31に接触させて、テンプレート20を加工対象物30に対して押し付ける。
【0036】
その状態で、インプリント材31に対して熱あるいは紫外線等の光を加えて、インプリント材31を硬化させた後、図2(c)に示すように、インプリント材31からテンプレート20を離間させる。これにより、インプリント材31には、テンプレート20に形成された凹凸パターンの反転パターンが転写される。
【0037】
次に、パターニングされたインプリント材31をマスクにして、加工対象物30の選択的エッチングを行う。これにより、図2(d)に示すように、加工対象物30の表面に凹凸パターンが形成される。
【0038】
なお、欠陥13cを除去するにあたって、オージェ電子が放出されない、例えばイオンビームを用いたエッチングを行ってもよい。この場合、エンドポイントの検出にあたっては、エッチング中またはエッチング後に、電子線等を照射してオージェ電子を放出させる。その場合でも、前述したようにして、オージェ電子のエネルギー分布から、欠陥修正のエンドポイントを検出することができる。また、この方法は、欠陥除去に限らず、凹部13aを形成するエッチング時のエンドポイント検出にも適用可能である。
【0039】
また、本実施形態の方法は、欠陥除去やエッチング等の処理のエンドポイントの検出に限らず、今、どのダイヤモンドライクカーボン層に電子線等を照射あるいはエッチングしているのか、さらにはエッチングにより露出した表面層なども特定できる。例えば、上記1s軌道のエネルギー分布のピーク位置や半値幅と、sp結合炭素とsp結合炭素との混合比との相関関係を予め求めておく。そして、オージェ電子の測定により得られたピーク位置や半値幅を相関関係に照らし合わせることで、今どの層に対する処理が行われているのかを特定できる。これにより、欠陥除去の進行程度、凹部13aのエッチングの進行程度を知ることが可能になる。
【0040】
1s軌道のエネルギー分布のピーク位置や半値幅から、処理のエンドポイントや処理の進行程度を判定するにあたっては、コンピュータによって自動的に行ってもよいし、あるいは、取得されたピーク位置や半値幅を人が見て判断してもよい。
【0041】
なお、下地層11上に積層する複数のダイヤモンドライクカーボン層は2層に限らず、図4(a)に示すように3層であってもよい。
【0042】
このブランクスは、下地層11上に、第1のダイヤモンドライクカーボン層12と、第2のダイヤモンドライクカーボン層13と、第3のダイヤモンドライクカーボン層14とが順に積層された構造を有する。
【0043】
例えば、第1のダイヤモンドライクカーボン層12では、sp結合炭素とsp結合炭素との混合比が、略1である。第2のダイヤモンドライクカーボン層13では、sp結合炭素の含有量の方がsp結合炭素よりも多く、sp結合炭素リッチである。第3のダイヤモンドライクカーボン層14では、sp結合炭素の含有量の方がsp結合炭素よりも多く、sp結合炭素リッチである。
【0044】
このブランクスにおける第3のダイヤモンドライクカーボン層14及び第2のダイヤモンドライクカーボン層13に対して、所望の凹凸パターンを形成することで、図4(b)に示すテンプレートが得られる。
【0045】
本実施形態においても、欠陥除去や凹部のエッチングに、前述した方法を適用できる。すなわち、処理を受けている層が、sp結合炭素リッチな第3のダイヤモンドライクカーボン層14からsp結合炭素リッチな第2のダイヤモンドライクカーボン層13に移ると、1s軌道のピーク位置はsp軌道のピーク位置側からsp軌道のピーク位置側にシフトする。このピーク位置に閾値を設定することにより、1s軌道のピーク位置が、閾値よりsp軌道のピーク位置側にある場合には処理速度を上昇させてTATの短縮を図れ、閾値よりsp軌道のピーク位置側にある場合には処理速度を低下させてエネルギー分布検出の精度向上を図れる。
【0046】
さらに処理が進行し、sp結合炭素とsp結合炭素との混合比が略1である第1のダイヤモンドライクカーボン層12の表面が露出すると、1s軌道のピーク位置は、sp軌道のピーク位置側から、sp軌道のピーク位置とsp軌道のピーク位置との中間付近にシフトする。また、1s軌道のピークの半値幅は小さくなる。
【0047】
それら、ピーク位置及び半値幅の少なくともいずれか一方に閾値を設定し、それらの変化をモニタすることで、処理のエンドポイントを検出することができる。これを受けて、電子線の照射を停止させたり、エッチングを停止させることができる。この結果、修正対象あるいはエッチング対象ではない第1のダイヤモンドライクカーボン層12へのダメージを抑制することができる。
【0048】
なお、ダイヤモンドライクカーボン層は4層以上形成してもよい。そして、3層以上の場合において、積層方向に隣接する層間の界面を検出するにあたっては、すべての層の、sp結合炭素とsp結合炭素との混合比を異ならせる必要はなく、積層方向に隣接する2層間での混合比が異なっていればよい。
【0049】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0050】
複数のダイヤモンドライクカーボン層の組み合わせは前述したものに限らない。例えば、2層構造において、sp軌道リッチの層とsp軌道リッチの層との組み合わせであってもよい。この組み合わせの場合、両層の界面に処理が達したときの1s軌道の分布幅(半値幅)の変動はそれほど大きくないが、ピーク位置は大きく変動する。なお、sp結合炭素とsp結合炭素との混合比が略1である層と、sp軌道リッチまたはsp軌道リッチの層との2層の組み合わせの場合、両層の界面に処理が達したとき、1s軌道の分布幅(半値幅)及びピーク位置とも大きく変動する。
【0051】
また、sp軌道リッチのダイヤモンドライクカーボン層は比較的摩擦係数が低く、凹部13aの底に露出する層をsp軌道リッチのダイヤモンドライクカーボン層とした場合には、高い離型性が期待できる。
【符号の説明】
【0052】
10…ブランクス、11…下地層、12…第1のダイヤモンドライクカーボン層、13…第2のダイヤモンドライクカーボン層、13a…凹部、13b…凸部、13c…欠陥、14…第3のダイヤモンドライクカーボン層、18…オージェ電子検出器、20…テンプレート、30…加工対象物、31…インプリント材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地層と、
前記下地層上に積層され、sp混成軌道を形成する炭素とsp混成軌道を形成する炭素との混合比が、積層方向に隣接する層間で異なる複数のダイヤモンドライクカーボン層と、
を備えたことを特徴とするインプリント用ブランクス。
【請求項2】
下地層と、
前記下地層上に積層され、sp混成軌道を形成する炭素とsp混成軌道を形成する炭素との混合比が、積層方向に隣接する層間で異なる複数のダイヤモンドライクカーボン層と、を備え、
少なくとも最表層の前記ダイヤモンドライクカーボン層に凹部及び凸部を有するパターンが形成されたことを特徴とするインプリント用テンプレート。
【請求項3】
前記凹部の底は前記下地層に達せず、前記凹部の側壁及び底部はダイヤモンドライクカーボンであることを特徴とする請求項2記載のインプリント用テンプレート。
【請求項4】
sp混成軌道を形成する炭素とsp混成軌道を形成する炭素との混合比が、積層方向に隣接する層間で異なる複数のダイヤモンドライクカーボン層を、下地層上に形成する工程と、
前記ダイヤモンドライクカーボン層に放射線を照射してオージェ電子を放出させる工程と、
前記オージェ電子のエネルギー分布を取得する工程と、
前記エネルギー分布に基づいて、前記放射線が照射されているダイヤモンドライクカーボン層を特定する工程と、
を備えたことを特徴とするインプリント用テンプレートの製造方法。
【請求項5】
前記エネルギー分布は、前記放射線が照射されたダイヤモンドライクカーボン層に含まれる炭素の1s軌道のエネルギー分布であることを特徴とする請求項4記載のインプリント用テンプレートの製造方法。
【請求項6】
前記放射線の照射と同時に前記ダイヤモンドライクカーボン層の選択的除去を行うことを特徴とする請求項4または5に記載のインプリント用テンプレートの製造方法。
【請求項7】
前記エネルギー分布に基づいて、前記放射線の照射を停止することを特徴とする請求項6記載のインプリント用テンプレートの製造方法。
【請求項8】
前記ダイヤモンドライクカーボン層を選択的に除去するエッチング工程をさらに備え、
前記エッチングされた部分に対して前記放射線を照射して前記オージェ電子のエネルギー分布を取得することで、前記エッチングにより露出している表面層を特定することを特徴とする請求項4または5に記載のインプリント用テンプレートの製造方法。
【請求項9】
前記エネルギー分布に基づいて、前記エッチングを停止することを特徴とする請求項8記載のインプリント用テンプレートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−104952(P2011−104952A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265221(P2009−265221)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】