説明

ウィタナミド及びウィタノリド組成物及びその使用法

新規の単離及び精製ウィタナミド及びウィタノリドが記載されている。特に、ウィタニアソムニフェラの果実からの化合物は、ウィタナミド及びウィタノリドの好ましい源であるが、これらは、他の植物源からであってもよい。強力な抗酸化物質としてのその使用に加えて、ウィタナミド及びウィタノリドは、うつ病、アルツハイマー病、肥満及び偏頭痛を治療するためにも役立ちうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
なし
【0002】
本発明は、アルツハイマー病、うつ病、肥満及び偏頭痛などの様々な疾患を治療する際の単離及び精製されたウィタナミド(withanamide)及びウィタノリド(withanolide)の使用に関する。ウィタナミド及びウィタノリドは特に、ウィタニアソムニフェラ(Withania somnifera)の果実から単離、精製された。
【背景技術】
【0003】
ナス科のウィタニアソムニフェラ(L)デュナル(Withania somnifera(L)Dunal)は、インドの乾燥地域に分布している直立性常緑低木である。アズワガンダ(Aswagandha)として知られているW.ソムニフェラは、原住民治療(Ayurvedic medicine)におけるその使用に関してよく知られている。アズワガンダ根抽出物は、アデノパシー、関節炎、喘息、高血圧、炎症及びリウマチのための民間療法として報告されている(Thakur,R.S.,et al.、「インドの代表的薬草(Major medicinal plants of India);Ed.;Central Institute of Medicinal and Aromatic Plants:Lucknow,India,531(1989))。W.ソムニフェラの葉も、腫瘍、炎症、結膜炎及び結核を含むいくつかの疾患のための治療薬として使用されている(Thakur,R.S.,et al.、「インドの代表的薬草(Major medicinal plants of India);Ed.;Central Institute of Mideicinal and Aromatic Plants:Lucknow,India,531(1989))。現在では、この植物の粉末化された根又は根抽出物は、米国において食品サプリメントとして使用されている。
【0004】
W.ソムニフェラから報告されている主な化学成分は、ウィタノリドと称される。これらの化合物は、C−22及びC−26が酸化されてδラクトンを形成しているエルゴステロール骨格を有する構造的に多様なステロイド化合物である(Ray,A.B.,et al.,Prog.Chme.Org.Nat.Prod.63,1−106(1994)。W.ソムニフェラの根及び葉の化学的研究により、いくつかのウィタノリドが単離、同定された(Matsuda,M.,et al.,Bioorg.Med.Chem.9,1499−1507(2001))。この植物の果実は、とても小さいオレンジ色の液果であり、飽和及び不飽和脂肪酸を含有すると報告されている(Stoller E.W.,et al.,Lloydia,37,309−312(1974);Monika,P.,et al.,Asian J.Chem.6,442−444(1994);及びMonika,P.,et al.,Sci.Phys.Sci.5,81−83(1993))。しかしながら、葉及び果実は、生体活性に関して十分には研究されていない。ウィタノリドは、その構造骨格によって分類されており(Ray,A.B.,et al.,Prog.Chme.Org.Nat.Prod.63,1−106(1994)、その構造の多様性が、幅広い薬理学的活性アレイに寄与している。ウィタノリドは、その抗炎症、抗腫瘍、細胞毒、免疫調整活性、並びにCCl誘発肝毒性に対する保護に関して研究されている(Ray,A.B.,et al.,Prog.Chme.Org.Nat.Prod.63,1−106(1994);及びAnjaneyulu,A.S.R.,et al.,「天然産物化学の研究:構造と化学」(Studies in Natural Products Chemistry:Structure and Chemistry)(Part F);Ed.Atta−ur−Rahman,Vol.20,135−261(1998))。これらには動物モデルにおいてII相酵素を誘発することが報告されており、これががんの化学的予防におけるメカニズムの1つと考えられている。(Misico,R.I.,et al.,J.Nat.Prod.65,677−680(2002)及びSu,B.N.,et al.,Tetrahedron 58,3453−3466(2002))。
【0005】
生命を維持する酸素は、大抵の好気性生物にとって、より高い濃度にさらされると、毒性になる。この毒性の理由は、ミトコンドリア中で酸素が水に変化する間に、スーパーオキシド(O)、過酸化水素(H)及びヒドロキシル(−OH・)基が形成することによる。環境汚染から生じた遊離基や、薬物、毒素及びストレスなどの外因子により生じた遊離基は、生体高分子構造及び機能に酸化ダメージをもたらす(Wickens,A.P.、Respiration Physiology,128 371−3891(2001))。次いでこれは、アテローム硬化症、心臓血管疾患及びがんを含む多くの疾患プロセスの進行をもたらすであろう。いくつかの研究は、反応性酸素及び窒素の発生と加齢プロセスとを結びつけている(Vaya,J.,et al.,Curr.Med.Chem.Imm.,Endoc.&Metab.Agents 1 99−117(2001))。酸化ストレスはさらに、膵臓β細胞の機能を損ない、糖尿病をもたらす(West,I.C.,Diabet Med.17 171−180(2000))。1重項酸素(singlet oxygen)は、多不飽和脂肪酸と反応して、過酸化脂質を形成するが、これは、分解して、変異誘発物質の形成を開始する。したがって、1重項種を捕捉する能力を有する天然産物又は化学物質は、生体障害を低減し、これにより、様々な加齢関連疾患の進行を制限することができる。多くの疫学的研究により、抗酸化物質に富んだ食事は、心疾患、がん、糖尿病及びアルツハイマー病の予防において主要な役割を果たすことが判明している(Temple,N.J.,Nutr.Res.20 449−459及びそこに挙げられている参照文献(2000))。
【0006】
うつ病又は不安のために処方される医薬品のうちの数種は、天然抗酸化物質を含有する。アスコルビン酸、ピリドキシン、カロテン、ビタミンE、Zn、ニコチンアミド及びSeの混合物が、うつ病又は不安を治療するために有効に使用されている(Horrobin,D.F.,PCT 国際出願WO98−48788、A1 19981105(1998))。天然抗酸化物質は、脂質過酸化を阻止し、食品の栄養品質を維持する食品添加物として使用される。さらに、抗酸化物質は、がん治療の間の化学療法の副作用を低下させることが知られている(Conclin,K.A.,Nut.Canc.37 1−18(2000))。食品での脂質過酸化を予防するために使用される合成抗酸化物質は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル(PG)及びt−ブチルヒドロキノン(TBHQ)である。しかしながら、合成抗酸化物質は、発ガン物質でありうると考えられ(Marchant,C.A.,Env.Health Persp.Supp.104 1065−1073(1996))、したがって、安全な天然抗酸化物質を開発することには大いに関心がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、ウィタナミド及びウィタノリド治療を受け入れ可能な哺乳動物の疾患を阻害するための組成物及び方法を提供することである。この課題及び他の課題は、下記の記載及び図面を参照することにより、さらに明白になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下式の単離、精製されたウィタナミドに関する:
【化1】


[上式中、
Rは、
【化2】


からなる群から選択される]。
【0009】
本発明はさらに、下式の単離、精製された化合物に関する。
【化3】

【0010】
さらに本発明は、哺乳動物における疾患をin vivoで治療する方法であって、
単離、精製された下式の化合物:
【化4】


[上式中、
Rは、
【化5】


からなる群から選択される];
下式の化合物:
【化6】


下式の化合物:
【化7】


及びこれらの混合物を、それを必要とする哺乳動物に投与して、前記哺乳動物を治療することを含む、方法に関する。
【0011】
さらに本発明は、その必要のある組成物に酸化をもたらす(providing oxidation)方法であって、
【化8】


[上式中、
Rは、
【化9】


からなる群から選択される];
下式の化合物:
【化10】


下式の化合物:
【化11】


並びにこれらの混合物からなる群から選択される単離及び精製された化合物を有効量で、組成物に加えることを含む、方法に関する。
【0012】
本発明はさらに、
(a)抗酸化活性を必要とする組成物と、
(b)抗酸化活性をもたらすに十分な量の、
【化12】


[上式中、
Rは、
【化13】


からなる群から選択される];
下式の化合物:
【化14】


下式の化合物:
【化15】


並びにこれらの混合物からなる群から選択される単離、精製された化合物と
を含む組成物に関する。
【0013】
本発明はさらに、医薬品として使用するための組成物であって、
(a)
【化16】


[上式中、
Rは、
【化17】


からなる群から選択される];
下式の化合物:
【化18】


下式の化合物:
【化19】


並びにこれらの混合物からなる群から選択される単離及び精製された化合物と、
(b)薬学的に許容できる担体と
を含む、組成物に関する。
【0014】
本発明はさらに、患者におけるアルツハイマー病、肥満、偏頭痛及びうつ病からなる群から選択される疾患を治療する方法であって、ウィタナミド、ウィタノリド及びこれらの混合物を含有する組成物を有効量で患者に投与して、うつ病を緩和することを含む、方法に関する。
【0015】
さらに本発明は、in vivoでの哺乳動物の抗酸化治療法であって、有効量のウィタナミド、ウィタノリド及びこれらの混合物を哺乳動物に投与して、前記哺乳動物の抗酸化治療をもたらすことを含む、方法に関する。
【0016】
さらに本発明は、下式の単離及び精製されたウィタノリドに関する。
【化20】

【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本出願に挙げられている特許、特許出願、政府刊行物、政府規制及び文献参照は全て、参照により、その全体を本願明細書に援用する。矛盾する場合には、定義を含め本発明の記載が優先する。
【0018】
W.ソムニフェラの種の抽出物は、優れた脂質過酸化阻害活性を有することが発見されている。W.ソムニフェラ種子抽出物からのいくつかの新規のウィタナミド及びウィタノリド並びにいくつかの既知のウィタノリドの単離及び同定を、開示する。
【0019】
ウィタニアソムニフェラ果実のメタノール抽出物のバイオアッセイ誘導精製により、新規のウィタナミドA〜I(1〜9)、新規のウィタノリド(10)及び3種の既知のウィタノリド(11〜13)が得られた。
【化21】


[上式中、
Rは、
【化22−1】


【化22−2】

【0020】
これらの化合物の構造を、FABMS、HRFAMBS、ID−及び2D−NMRスペクトル実験を使用することにより決定した。ウィタナミドA〜I(1〜9)は、長鎖ヒドロキシル脂肪酸と結合しているグリコシル化セロトニンであることが判明した。長鎖脂肪酸部分に位置するヒドロキシル基の立体化学を、化合物1に関して変更Mosherエステル法により決定した。化合物1〜13を、大きな単膜ベシクル(LUV)を使用するモデル系で脂質過酸化を阻害する能力に関して試験した。ウィタナミド1〜5及び9は、1μg/mLで、脂質過酸化をそれぞれ98、93、79、94、81及び86%阻害した。しかしながら、化合物6〜8は、0.5μg/mLで、過酸化脂質をそれぞれ85、82及び90%阻害した。ウィタノリド10及び13は100μg/mLで試験し、このアッセイでは84%及び25%の阻害が得られた。化合物11及び12は、50及び10μg/mLで、脂質過酸化をそれぞれ86及び82%阻害した。ウィタナミドA〜Iの構造活性相関(SRA)を評価するために、化合物14〜16を購入し、同じリポソームモデル系を使用して、その抗酸化活性を決定した。食品防腐剤として使用されている市販の抗酸化物質ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びt−ブチルヒドロキノン(TBHQ)をさらに、この方法で1μg/mLで試験すると、それぞれ、80、81及び85%の阻害を示した。本発明の結果は、この新規の群の化合物により示される有望な抗酸化活性は、ヒドロキシル置換を伴う長鎖アシル基によると考えられることを教示している。これは、セロトニンに対するヒドロキシル脂肪酸及びグルコース単位の珍しい結合を伴うセロトニン結合体の初めての報告である。
【0021】
W.ソムニフェラの果実を、ミシガン州立大学のBioactive Natural products and Phytoceutical Laboratory(East Lansing,Michigan)の温室で成育した植物から集めた。果実を粉砕し、室温でヘキサン、EtOAc、MeOH及びアンモニアMeOH(pH=11)で順次抽出した。ヘキサン及びEtOAc抽出物は、TLC及びGCMSにより確認したところ、β−カロテン及び脂肪酸を含有していた。
【0022】
MeOH抽出物の抗酸化アッセイ誘導分画により、5種の生物活性なフラクションが得られた。CC、逆相HPLC及び分取TLCによる活性フラクションの精製により、9種の新規ウィタナミドA〜I(1〜9)、1種の新規のウィタノリド及び3種の既知のウィタノリドが得られた。
【0023】
ウィタナミドA(1)、H(8)及びI(9)
ウィタナミドA(1)は、[α]=−35°を有する淡褐色の非晶質粉末として得られた。1のHRFABMSは、m/z779.4329(算出値779.4330)で[M+H]イオンを示し、C406213としてその分子式を示した。IRスペクトルは、1633、3413cm−1に吸収帯を示し、分子中にアミドカルボニル及びヒドロキシル基が存在することを示した。δ6.66、6.92、6.99及び7.15でのプロトンNMRシグナルは、5−酸化トリプタミン誘導体14に特徴的であり、それぞれC−6、C−4、C−2及びC−7プロトンに割り当てた。それぞれ1個のプロトンに集積されるδ4.38及び4.30での2つの二重項は、アノマープロトンに由来し、化合物1が二糖を含むことを示した。δ2.84及び3.42で観察された2つの三重項は、トリプタミン部分のそれぞれH−10及びH−11に割り当てた。δ1.27でのブロード1重項に加えて、δ2.12での3重項は、δ5.31での4個のプロトンに集積される多重項と共に、その構造中に不飽和脂肪酸部分が存在することを示した。2重項として現れるδ1.19での末端メチルシグナルは、脂肪酸部分のC−17でのメチン炭素を明らかにした。さらに、1個のプロトンに集積されるδ3.79での多重項により、C−17でのヒドロキシル部分が確認された。δ2.04、2.30及び2.75でのシグナルは、分子中のアリルメチレンプロトンに割り当てた。δ112.4、112.6、112.5、151.0及び133.0での13C NMRシグナルはそれぞれ、5−酸化トリプタミン部分のC−6、C−7、C−3、C−5及びC−9に帰した。δ176.2でのシグナルは、ヒドロキシ脂肪酸成分が、アミド結合により5−酸化トリプタミン部分に結合していることを示した。δ77.7及び22.1でのシグナルは、それぞれ側鎖のヒドロキシル及びメチル炭素に帰していた。アリル炭素に帰するδ28.2、28.1及び26.5での炭素シグナルは、化合物1中でのZとしての二重結合の配置を示した。それというのも、E異性体中のアリル炭素は、32ppm付近に現れるためである(Spinell,A.,et al.,J.Org.Chem.62 5471−5475(1997);及びWenkert,E.,et al.,In Topics in 13C NMR spectroscopy;Levy,G.C.,Ed.;Wiley−Interscience:New York,Vol.2,p81−121)。
【0024】
1の酸加水分解により、セロトニン及び脂肪酸に加えて、唯一の糖としてグルコースが得られた。グルコースの同定を、グルコースの基準試料と加水分解からの生成物のTLCとの比較により行った。C−6”に対して7ppmほどの、C−6’で観察されたダウンフィールドシフトは、グルコース部分の1”→6’結合を示した。H−及び13C NMRシグナルと文献値との比較により、化合物1中の2糖単位は、ジグルコシドとして同定された(Jayaprakasam,B.,et al.,Tetrahedron 59 841−849(2003))。
【0025】
その構造の付加的な証明が、そのMS細分化パターン、NOESY、HMBC及びCOSY研究から得られた。そのMSで観察されたm/z617でのイオンにより、分子イオンからの1個のグルコース単位の喪失が確認された。m/z455でのフラグメントは、アグリコン部分に割り当てられ、ヒドロキシ脂肪酸側鎖が18−炭素を含むことを示した。ジグルコシド単位は、H−1’とH−4とのNOESY相関に基づきC−5に位置した(図1)。さらに、δ4.30でのH−1”とδ69.7でのC−6’とのHMBC相関により、グルコース成分の1”→6’結合が確認された(図1)。化合物1のTOCSYスペクトルデータにより、それぞれC−6”’及びC−9”’での二重結合の位置が確認された。δ3.79でのヒドロキシルプロトン多重項は、そのCOSYスペクトルではメチル基に対応付けされ、C−17での−OHの帰属を支持し、さらに、HMBC相関により確認された(図1)。
【0026】
C−17での絶対配置を、Mosherエステル法により決定した(Reznaka,T.,et al.,Phytochemistry 54 635−645(2000))。化合物1をそれぞれ個別に、R(−)及びS(+)αメトキシトリフルオロフェニルアセチル塩化物(MTPA)と無水ピリジン中で反応させた。反応混合物を精製すると、R及びS−MTPAエステル誘導体が得られた。生じたエステルのH NMR分析により、S−MTPAエステル中のC−18は、R−MTPAエステルにおいてよりも低いフィールドに現れることが判明した(支持情報)。同様に、S−MTPAエステル中のH−16は、R−MTPAエステルにおいてよりも高いフィールドで現われた。H−18及びH−16でのΔδ(δ−δ)値は、それぞれ+0.03及び−0.02であり、これにより、RとしてのC−17での配置が確認された(Reznaka,T.,et al.,Phytochemistry 54 635−645(2000))。
【0027】
化合物8は、分子イオンをm/z775.4013でもたらした。また、そのH−及び13C−NMRスペクトルで観察された化合物1との相似は、8がその側鎖に2個の付加的なオレフィン結合を有するウィタナミドであることを示し、これは、さらにδ5.34での8H多重項及びそれぞれδ132.6、132.2、131.4、130.1、128.7及び128.5での13C NMRシフトにより支持される。6Hに関して集積されるδ2.82でのシグナルは、C−6”’とC−7”’、C−9”’とC−10”’、C−12”’とC−13”’、及びC−15”’とC−16”’とのオレフィン結合に位置するメチレン基に帰する。これらの二重結合のうちの1つは、C−15”’及びC−16”’に位置する。それというのも、このオレフィン多重項は、そのTOCSYスペクトルにおいてこのメチル二重項に対応付けられ(図2)、これはさらに、末端メチル基の1.24ppmへのダウンフィールドシフトにより証明された。アリル炭素がそれぞれ、その13C NMRスペクトルにおいてδ26.、6、27.0及び28.2に現われるので、二重結合の配置は、Zと推測される。したがって、ウィタナミドHは、8に示されているように、11,15−デヒドロウィタナミドAであることが確認された。
【0028】
化合物9も、そのセロトニン及びヒドロキシル脂肪酸部分での化学シフトにより示されるように、化合物1のデータと類似のH−及び13C−NMRスペクトルデータが得られた。脂肪酸部分中に2個の二重結合が存在することが、5.33ppmでの4H多重項により確認された。m/z941.4857での[M+H]イオンにより、9の分子式がC467218であることが確認された。加えて、δ4.32、4.36及び4.39で現われた3種のアノマープロトンの存在は、ウィタナミドI(9)がトリグルコシドであることを示した。ウィタナミドA(1)の場合と同様に、2個のグルコース単位の結合が、C6’プロトンのダウンフィールドシフトにより示されるように、C−1”→C−6’として確定された。同様の結合が、第3のグルコース部分に関して確定された。したがって、9におけるグルコシド単位が、β−D−グルコピラノシル(1”−6’)−β−D−グルコピラノシル(1”’→6”)−β−D−グルコピラノシドと確定された。化合物9のH−NMRにおいて、2重項として末端メチル基が現われたことにより、化合物9中の長鎖脂肪酸成分の末端置換は、ウィタナミドA(1)と同様であることが示された。
【0029】
ウィタナミドB〜E(2〜5)。
−34°の[α]を伴う無色の非晶質粉末であるウィタナミドB(2)は、m/z755.4330に[M+H]を示し、C386313として分子式が確認された(算出値755.4331)。2のH−及び13C NMRスペクトルは、δ5.32にオレフィンプロトンシグナルが存在しない化合物1のスペクトルと非常に似ていた。2の分子イオンは、化合物1のものよりも24amu少ない。このことは、2中の側鎖は飽和されていて、16個の炭素のみを含むことを示していた。グルコース成分内の結合は、δ69.7へのC−6−ダウンフィールドシフトにより、且つC−1”及びH−6’の間に観察されるHMBC相関により、1”→6’であることが明らかになった(図3)。メチルプロトンは、そのHMBCスペクトルにおいて、δ77.7での炭素に相関しており、C−15”’での−OH置換が確認された(図3)。2の提示された構造は、HMQC、HMBC、DEPT及びNOESY実験により確認された。
【0030】
化合物3のH−NMRは、δ0.91での−CH3重項を除いて、化合物2に似ていた。加えて、これにより、化合物2と同一の分子式C386313が得られた。このことは、化合物3が2の異性体であることを示していた。3の13C NMRスペクトルでの主要な差異は、メチレン基の1つのアップフィールドシフトであり、これは、δ26.3で現われた。通常の脂肪酸(14.0ppm)に比較してδ10.1でのメチル炭素の出現及び長鎖ヒドロキシル炭素のダウンフィールドシフト(δ82.0)は、C−14”’にヒドロキシル基が存在することを示していた。δ0.91での3重項は、δ3.63でのプロトンに関連しているδ1.52でのメチレンプロトンとのCOSY相関を示し、C−14”’でのヒドロキシル部分を支持した(図3)。C−14”’での−OHの存在はさらに、δ0.91でのメチル3重項とδ82.0でのヒドロキシル炭素とのHMBC相関により実証された(図3)。したがって、化合物3は、2の位置異性体と確認された。
【0031】
化合物4のMSは、m/z805.4462で[M+Na]イオンを示し、その分子式がC406613と確認された。4のH−及び13C NMRスペクトルデータは、化合物2のスペクトルデータと似ていて、分子中の飽和側鎖を示していた。さらに、MSデータにより、化合物4中の側鎖が18個の炭素を含むことが確認された。
【0032】
淡褐色の固体である化合物5は、m/z783.4645で[M+Na]イオンを示し、その分子式がC406613と確認された。5のH NMRスペクトルデータは、ウィタナミドC(3)と似ていて、飽和側鎖の存在を示した。δ0.91でのメチル3重項は、化合物5中の末端炭素は、3と同様の置換パターンを有することを示した。3に比較して28amuの分子イオンの差は、5に2個の付加的なメチレン基が存在することを示していた。したがって、化合物5は、C−16”’にヒドロキシル基を伴うヒドロキシル酸脂肪酸側鎖中に18個の炭素を有していた。したがって、化合物5は、4の位置異性体であった。
【0033】
ウィタナミドF及びG(6、7)。
ウィタナミドF(6)は、少量不純物として脂肪酸グリコシドを有する分離不可能な混合物として得られた。6のH NMRデータは、ウィタナミドA(1)と類似していた。しかしながら、これは、側鎖中に二重結合に由来するδ5.33での2H多重項を示した。化合物6中に、δ82.0での炭素に関するシグナルと共に、δ0.91でのメチル3重項が現われることは、脂肪酸成分中の末端炭素が、化合物3及び5と同様の置換パターンを有することを示した。6中のオレフィン炭素は、それぞれδ130.9及び130.7に現われた。したがって、これら2個のオレフィン炭素の化学シフトは、0.2ppm異なり、オレフィン部分は、C−9に割り当てられた。二重結合の配置は、C−8及びC−11がδ28.1で現われたので、Zと推測された(Spinell,A.,et al.,J.Orf.Chem.62 5471−5475(1997)。6のHRFABMSは、m/z803.4304[M+Na]で分子イオンを示し、さらに、その構造中のC−18脂肪酸部分を支持した。
【0034】
m/z753.4173での化合物7の[M+H]は、2の分子イオンよりも2質量単位少なく(755.4331)、したがって、その中に1個の不飽和を伴う16C側鎖の存在を示した。δ5.34での2H多重項も、オレフィン結合を支持した。2重項がメチルプロトンに由来するδ1.21で現われ、脂肪酸側鎖に存在する−OH部分が、化合物1及び2での置換と同様に置換されていることを示した。少量の試料により、13C NMRスペクトルは、分子中の全ての炭素に関するシグナルをもたらすような情報をもたらさなかった。しかしながら、δ27.0及び28.1で現われるアリル炭素シグナルにより、二重結合の配置がZと確認された。ウィタナミドのうちのいくつか(1、6〜9)は、C−9及びC−10位に二重結合を有することと、生物発生的考慮から、ウィタナミドG中の二重結合が、C−9に由来すると考慮された。
【0035】
23,24−ジヒドロウィタノリドVI(10)
化合物10は、無色の非晶質粉末として単離され、そのFABMSスペクトルでm/z785で分子イオンを示した。10における3421、1724及び1663cm−1でのIR吸収バンドは、分子中に−OH及び飽和ラクトンが存在することを示した。HRFABMSにより、その分子式がC406515(M+H)785.4325;算出値785.4323)と確認された。δ0.89、1.01、1.25での1重項及びδ1.17及び1.15での2重項は、そのH NMRスペクトルにおいてそれぞれメチル基に割り当てられた。1個のプロトンに関してそれぞれ集積されるδ5.52でのブロード2重項及びδ4.39及び4.36での2重項はそれぞれ、オレフィン及びアノマープロトンに割り当てられた。δ4.24での2重項の2重項及びδ4.0での多重項はそれぞれ、H−22及びH−3に割り当てられた。化合物10及びウィタノリドVI(11)は、同様のH NMR化学シフトを示した(Matsuda,M.,et al.,Bioorg.Med.Chem.9 1499−1507(2001)。10中での2個のメチル2重項の出現は、α,β−不飽和δラクトン部分中に二重結合が存在しないことを示していた。11と比較して、10において2個のオレフィン炭素が不存在であり、δ178.9でのC=Oが出現していたことから、その分子中の飽和ラクトン環が確認された。アノマー炭素に由来するδ104.8及び103.1での2個のシグナルは、分子中のジグルコシド部分を支持していた。C−6”プロトン(δ3.84、3.66)に比較して、C−6’プロトンのダウンフィールドシフト(4.12及び3.76ppm)は、2個のグルコース成分の1”→6’結合を示した。さらに、ウィタナミドと同様に、C−6(δ69.7)のダウンフィールドシフトによりさらに、グルコシド結合が1”→6’と確認された。δ81.9、58.1、56.1、139.1、125.5、75.1及び73.6でのシグナルはそれぞれ、C−22、C−14、C−17、C−5、C−6、C−1及びC−3に割り当てられた。δ14.2、14.4、19.9、20.5及び21.2で現われた他のシグナルはそれぞれ、18、28、19、27及び21メチル炭素に割り当てられた。ジグルコシド単位は、10のスペクトルデータとウィタノリド11〜13のスペクトルデータを比較すると、C−3に位置付けられた。ラクトン炭素シグナルを除き、10中の他の13C NMR化学シフトは全て、ウィタノシドVI(11)と同様であった。したがって、10の構造は、23,24−ジヒドロウィタノリドVI(12)と導き出された。ウィタノシドVよりも2質量単位ほど高いm/z784での分子イオンはさらに、化合物10に関して提示された構造を支持した。前記のスペクトルデータから、化合物10の構造は、23,24−ジヒドロウィタノリドVIと導き出された。
【0036】
神経伝達物質であるセロトニンが、ウィタナミドA〜I(1〜9)の構造における基本骨格を構成していた。したがって、これらの化合物の構造及び活性を比較するために、トリプタミン(14)、5−メトキシセロトニン(15)及びセロトニン(16)を購入した。大きな単膜ベシクル(LUV)モデル系を使用することにより、化合物1〜16及び市販の抗酸化物質BHT、BHA及びTBHQを脂質過酸化の阻害に関して試験した(Arora,A.,et al.,Free Radical Biology&Medicine 24 1355−1363(1998))。用量応答試験を全ての化合物に関して行い、図4に報告されている活性濃度を、1ppm濃度で評価された市販の抗酸化物質の活性プロファイルと比較した。BHA、BHT及びTBHQはそれぞれ、1μg/mlで、脂質過酸化を80、81及び85%阻害した(図4)。ウィタナミドB(2)は、飽和側鎖を含み、1μg/mで、脂質過酸化を93%阻害した。一方、2の位置異性体であるウィタナミドC(3)は、79%の阻害を示した。同様に、ウィタナミドD(4)及びE(5)で観察された阻害はそれぞれ、1μg/mLで94%及び81%であった。その側鎖に1個の二重結合を有する化合物6及び7はそれぞれ、0.5μg/mlで、85%及び82%の阻害を示した。同様に、ウィタナミドH(8)は、このアッセイで、0.5μg/mlで90%の阻害を示した。しかしながら、その側鎖に2個の二重結合を有するジグルコシドであるウィタナミドA(1)は、脂質過酸化を98%阻害した。一方、トリグルコシドであるウィタナミドI(9)は、1μg/mlで86%の阻害を示した(図4)。このことは、グリコシド単位の数も、これらの化合物の抗酸化活性において重要な役割を果たすことを示していた。
【0037】
トリプタミン(14)は、100μg/mlで40%の阻害を示し、その5−メトキシ誘導体である化合物15は、脂質過酸化を50μg/mLで、30%しか阻害しなかった。セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)塩酸塩は、10μg/mLで44%の阻害を示した。化合物14から16では、1μg/mLでのウィタナミドと同様の脂質過酸化のほぼ100%の阻害が、試験化合物濃度を2倍にした際に観察された。5−メトキシトリプタミン(15)は、トリプタミン(7)よりも高い活性を示し、このことは、5−酸化は、活性を増大させることを示した。セロトニン塩酸塩では、その5−メチル誘導体に比較すると、高い阻害が観察され、このことは、5位の遊離ヒドロキシルは、遊離ラジカル捕捉活性に非常に重要であることを示した。ウィタナミドA〜I(1〜9)は、市販の抗酸化物質と同等以上で、セロトニンよりもかなり良好な優れた脂質過酸化阻害活性を示した(図4)。セロトニン核及びヒドロキシ脂肪酸側鎖が、抗酸化活性に顕著に貢献していた。ウィタナミドの中では、不飽和側鎖を有する化合物が、飽和側鎖よりも活性であった。15及び17位にヒドロキシル基を有する化合物2及び4はそれぞれ、その異性体3及び5よりも活性であり、このことは、ヒドロキシル基の位置も、その抗酸化活性において重要な役割を果たすことを示していた。この結果は、Fe2+とのウィタナミドのキレート化の可能性を排除する。それというのも、セロトニン、5−メトキシセロトニン及びトリプタミンは、ウィタナミドに比較してかなり高い濃度でしか活性でないためである。
【0038】
本発明において果実から単離されたウィタノリドはさらに、脂質過酸化を阻害した(図5)。W.ソムニフェラ種子から単離される主な化合物の1種であるウィタノシドV(12)は、10ppmで脂質過酸化の82.5%の阻害を示した。一方で、ウィタノシドIV(13)阻害は、100μg/mLで25%であった。ウィタノリドVI(11)は、50ppmで86%の脂質過酸化阻害活性を示し、その23,24−ジヒドロ誘導体(10)は、100ppmで同様の活性を示した(図5)。化合物10のラクトン部分の飽和は、そのデヒドロ誘導体11に比較して、活性を低下させ、このことは、α,β−不飽和δラクトンは、ウィタノリドの脂質過酸化能に関して重要であることを示した。化合物11及び13は、12のヒドロキシル化誘導体であった。13のC−27での水酸化は、C−20での水酸化よりも活性を低下させた。これは、ラクトンのC27ヒドロキシルとカルボニル基との水素結合によると思われる。
【0039】
ウィタナミドA〜C(1〜3)及びウィタノシドV(12)を、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)酵素を阻害する能力に関して試験した(Jayaprakasam,B.,et al.,Tetrahedron 59 841−849(2003))。これらの化合物は、COX−1又はCOX−2酵素を、100μg/mLで阻害しなかった。これらをさらに、MTTアッセイを使用して、NCI−H460(肺)、HCT−116(結腸)、SF−268(中枢神経系;CNS)及びMCF−7(乳房)ヒト腫瘍細胞系に対する抗増殖活性に関して試験したが(Tian,Q.,et al.,Nutr.Cancer 40 180−184(2001))、不活性であった。このことは、これらの化合物が、毒性を殆んど若しくは全く有さないことを証明した。
【0040】
セロトニンは、人体での多くの生理学的機能を制御する際に重要な役割を果たしている。その放出は、睡眠の開始、疼痛感受性、血圧制御及び気分の制御における決定因子である。セロトニンレベルの低下、体重増加に到る炭水化物及び一定の食品群の過剰消費(Linnoila,V.,et al.,J.Clin.Psychiatry 53 46−51(1992))、抑鬱症状、不眠、攻撃性及び慢性頭痛(Wurtman,J.,J.Clin.Psychiatry 49 37−39(1998))を生じさせる。セロトニン前駆体である5−ヒドロキシ−L−トリプトファンは、様々なセロトニン関連疾患を治療するために市販薬(OTC)として使用されている(Birdsall,T.C.,Altern Med Rev.3 271−280及びそこに挙げられている参考文献(1998年))。胃でウィタナミドがセロトニンに変化する可能性があり、経口摂取された場合には、その遊離のセロトニンが吸収される可能性がある。したがって、W.ソムニフェラ種から単離されたウィタナミドは、体内でセロトニンレベルを高める可能性を有し、ヒトでのセロトニン不足に関連する様々な疾患に対処するためのサプリメントとして使用することができる。さらに、2種のトリプタミン類似体(スマトリプタン(sumatryptan)及びエリトリプタン(elitryptan))は、偏頭痛関連疾患を治療するために使用されている(Newman,D.J.,et al.,J.Nat.Prod.66 1022−1037(2003))。したがって、ウィタナミドは、偏頭痛を治療するための有望な候補物質として考えることができる。ウィタナミドは、有望な抗酸化活性を示したので、これは、アルツハイマー病及びアテローム硬化症を予防するために使用することができる。
【0041】
ウィタナミド1〜9は、新規のヒドロキシル置換脂肪酸及びグルコース単位を有する新規のセロトニン誘導体である。ウィタナミド1〜9は0.5〜1μg/mlで、BHA、BHT及びTBHQと同等か、それ以上、脂質抗酸化を阻害し、このことは、これらが、市販の抗酸化物質よりも良好な抗酸化物質であることを示している。W.コアグレンス(coagulence)及びW.ソムニフェラの種子は、古代からインドでは、牛乳を濃縮するために使用されていた。これらの化合物が、ヒト腫瘍細胞アッセイにおいて、細胞毒性を示さなかったことは、特記すべき重要な事項である。したがって、W.ソムニフェラ種子又はウィタナミドは、ヒトが消費するための新規で安全な抗酸化物質を開発するための有望な候補物質である。さらに、化合物1〜9は、W.ソムニフェラ種子を使用して、アルツハイマー病、パーキンソン病及び心臓血管疾患などの様々な加齢関連疾患を治療するための食品サプリメントを開発する際に大きな役割を果たすと思われる。
【実施例】
【0042】
実験手順の一般的な事項
HRFAB及びFAB(陽イオン方式)質量スペクトルを、Michigan State University Mass Spectrometry Facility CenterにあるJEOL MX110質量分析計で測定した。旋光性を、Perkin Elmer Polarimeter 341(Shelton,CT)で、MEOH中、20℃で測定した。標準的なパルスシーケンスを使用して、H(50MHz)及び13C(125MHz)及び2D NMR実験をINOVA VARIAN VRX 500装置で実施した。化学シフトを、CDOD中で測定し、δ(ppm)で表した。HMBCをJ=8Hzのために最適化した。IRスペクトルをMattson Galaxy Series FTIR300でWinFIRSTソフトウェア(Thermo Nicoloet,Madison、WI)分光計を使用して記録した。単離及び精製のために使用された溶剤は全て、ACS級である。MPLCのために使用されたシリカゲルは、Merck Silica gel 60(粒度35〜70μm)であった。SiゲルPTLCプレート(20×20、500μm)をAnaltec,Inc.(Newark,DE)から購入した。再生分取HPLC(Japan Analytical Industry Co.LC−20モデル)を、化合物を分離するためのJAIGEL−ODS−C18カラムと共に使用した。陽性対照のブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びt−ブチルヒドロキノン9(TBHQ)、セロトニン、5−メトキシセロトニン及びトリプタミンをSigma−Aldrich Co.(St.Louis,MO)から購入した。脂質の1−ステアロイル2−リノレオイルsn−グリセロール3−ホスホコリン(SLPC)をAvanti Polar Lipids(Alabaster,AL)から購入した。蛍光プローブの3−[p−(6−フェニル)−1,3,5−ヘキサトリエニル]−フェニルプロピオン酸を、Molecular Probes(Eugene,OR)から購入し、R−及びS−メトキシ−(トリフルオロメチル)フェニルアセチル(MTPA)塩化物は、Sigma−Aldrich Co.から購入した。
【0043】
植物原料
植物ウィタニアソムニフェラを、ミシガン州立大学にあるBioactive Natural Products and Phytoceutical Laboratoryの温室で成育した。植物を、12時間の光周期、75華氏温度で、ローム性砂及びバクト(bacto)ミックスからなる1:1混合物中、6”プラスチック鉢内で成育した。植物に水を与え、20:20:20(N:P:K)を使用して毎日、肥料を与えた。十分に熟した種子を集め、室温で乾燥させ、直ちに抽出した。
【0044】
抽出及び単離
W.ソムニフェラの乾燥させ、粉砕した果実(100g)をn−ヘキサン(3×500mL)、EtOAc(3×500mL)、MeOH(5×500mL)及びアンモニアMeOH(3×500mL)で順次抽出した。減圧下に溶剤を蒸発させ、n−ヘキサン(8g)、EtOAc(2g)、MeOH(8g)及びアンモニアMeOH(2g)の粗製抽出物を得た。MeOH抽出物(7g)をn−ヘキサン(5×150ml)を用いて脱脂し(1.5g)、70%のCHClから80%のMeOHへの勾配条件下に、シリカゲル中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)により分画した。70%CHCl溶離液を、それぞれ40mlの10個のフラクションにおいて収集し、TLC上で同様に、貯留して、濃縮すると、フラクションI(300mg)が得られた。CHCl:MeOH(1:1)溶離から得られた同様のフラクション(8個のフラクション、それぞれ50mL)を合わせて、濃縮すると、フラクションII(100mg)が得られた。CHClMeOH(40:60)溶離液から、15個のフラクション(それぞれ50mL)が得られ、これらは同様に、貯留し、蒸発させると、フラクションIII(2g)が得られた。CHCl:MeOH(30:70溶離)からの6種の同様のフラクション(それぞれ45mL)の濃縮により、フラクションIV(1.8g)が得られた。80%MeOH溶離液を貯留し、蒸発させると、V(200mg)が得られた。
【0045】
TLCにより示されたように、フラクションI及びIIは主に、脂肪酸を含有した。JAIGEL−ODS−C18カラム及び移動相として3mL/分のMeOH:HOを使用する分取HPLCにより、フラクションIII(1.8g)を精製した。集められたフラクションは、A(15〜30分、500mg)、B(31〜41分、200mg)、C(42〜56分、500mg)、D(58〜70分、200mg)及びE(71〜95分、50mg)であった。CHCN:HO(62.5:37.5、v/v)を使用する分取HPLCにより、フラクションCをさらに精製し、純粋な化合物1(81.95分、62mg)、2(92.0分、71mg)及びフラクション(104分、35mg)を得た。CHCN:HO(1:1、v/v)を使用する分取HPLCにより、化合物1及び2を再び精製して、純粋な化合物1(35分、50mg)及び2(38.0、70mg)を得た。EtOAc:MeOH(9:1、v/v)を使用する分取TLCで、104分でのフラクションをさらに精製して、同じ移動相で3回展開すると、純粋な化合物3(R=0.5、12mg)が得られた。MeOH:HO(76:24、v/v)を使用するHPLCにより、フラクションDを精製すると、純粋な化合物12(67.3分、150mg)が得られた。MeOH:HO(75:25)を使用するHPLCにより、フラクションEを精製すると、3種のフラクションF(71分、14mg)、G(101分、5mg)、H(112分、4.0mg)が得られた。
【0046】
分取TLC(CHCl:MeOH、4:1)で、フラクションGを精製すると、化合物4(R=0.6、2.5mg)が得られた。移動相でCHCl:MeOH(5:1)を使用するPTLCで、フラクションF及びHを精製すると、5(R=0.65、8mg)及び6(R=0.58、3.0mg)が得られた。フラクションIIを、CHCN:HO(34:66、v/v)を使用するHPLCに掛けると、5種のフラクションfr.1(37.0分、38.1mg)、fr.2(45〜70分、68.8mg)、fr.3(84.4分、19.8mg)及びfr.4(94.9分、11.4mg)が得られた。
【0047】
移動相(CHCl:MeOH、1:1、v/v)を使用する分取TLCにより、fr.1を精製すると、純粋なウィタノリド13(R=0.40、7.0mg)が得られた。PTLC(CHCl:MeOH、75:25、v/v)によりfr.4を繰り返し精製すると、純粋な化合物8(R=0.72、2mg)が得られた。同様に、PTLC(CHCl:MeOH、70:30、v/v)によりfr.3を精製すると、化合物7(R=0.61、1.0mg)及び9(R=0.8、0.7mg)が得られた。PTLC(CHCl:MeOH、1:1、v/v)によるfr.2の精製により、R=0.5(25.0mg)のバンドが得られ、移動相としてCHCN:HO(33:67)を使用する分取HPLCによりさらに精製すると、ウィタノリド10(62.4分、6.0mg)及び11(70.8分、4.0mg)が得られた。
【0048】
ウィタナミドA(1)非晶質粉末
【化23】

【0049】
ウィタナミドB(2)非晶質粉末
【化24】

【0050】
ウィタナミドC(3)非晶質粉末
【化25】

【0051】
ウィタナミドD(4)非晶質粉末
【化26】

【0052】
ウィタナミドE(5)非晶質粉末
【化27】

【0053】
ウィタナミドF(6)非晶質粉末
【化28】

【0054】
ウィタナミドG(7)非晶質粉末
【化29】

【0055】
ウィタナミドH(8)非晶質粉末
【化30】

【0056】
ウィタナミドI(9)非晶質粉末
【化31】

【0057】
23,24−ジヒドロウィタノリドVI(10)無色、非晶質粉末
【化32】

【0058】
化合物11〜13
化合物11〜13の構造を、H及び13C NMRデータにより明らかにし、スペクトルデータと刊行結果とを比較することにより、その同定を行った(Jayaprakasam,B.,et al.,Tetrahedron 59 841−849(2003)及びMatsuda,M.,et al.,Bioorg.Med.Chem.9 1499−1507(2001)。
【0059】
化合物1のR−及びS−MTPAエステルの調製
化合物1(1.5mg)及びR−(−)のメトキシトリフルオロフェニルアセチル塩化物(R−MTPA)を含むピリジン中の混合物をジメチルアミノピリジン(DMAP)と共に(5時間)室温で攪拌した。溶剤を蒸発させ、得られた残留物をCHCl:MeOH(9:1、v/v)を使用するPTLCで精製すると、R−MTPAエステル(1.0mg)が得られた。同様に、化合物1(1.2mg)を、S−(+)−メトキシトリフルオロフェニルアセチル塩化物で処理し、生じた生成物を精製すると、S−MTPAエステル(0.9mg)が得られた。
【0060】
抗酸化アッセイ
公表されている手順(Arora,A.,et al.,Free Radical Biology&Medicine 24 1355−1363(1998))に従い、大きな単膜ベシクル(リポソーム懸濁液)を使用して、化合物1〜16を脂質過酸化の阻害に関して試験した。リン脂質1−ステアロイル−2−リノレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(SLPC)及び蛍光試料[3−[p−(6−フェニル)−1,3,5−ヘキサトリエニルフェニルプロピオン酸(DPH−PA)とを混合することにより、リポソーム懸濁液を調製した。最終アッセイ容量は2mLであり、HEPES(100μL)、1MのNaCl(200μL)、N−スパージされた水(1.64ml)、試験試料又はDMSO(20μL)及びリポソーム懸濁液(20μL)から構成された。FeCl・4HO(0.5mM)20μlを加えることにより、過酸化を開始した。Turner Model 450 Digital蛍光測定器を使用して、0、1、3分及び3分ごとに21分まで、蛍光を監視した。一定期間にわたる(21分)蛍光強度の低下は、過酸化速度を示した。脂質過酸化のパーセンテージを、DMSO溶剤対照に対して算出した。試料のストック溶液を100μg/mlで調製し、アッセイのためにさらに希釈した。
【0061】
薬剤組成物
薬剤組成物において、ウィタナミド又はウィタノリドは、1ミリリットル又は1グラム当たり1から1000マイクログラムの用量で阻害性を有する。好ましい一実施形態では、患者を治療するために、1種又は複数のウィタナミド又はウィタノリドを薬学的に許容できる担体中に阻害用量を含有させて患者に与えられる。このように、慣用の混合、顆粒化、コーティング、懸濁及びカプセル封入法などの当技術分野でよく知られている方法により、ウィタナミド又はウィタノリドを薬学的担体物質と共に処理して、経口又は直腸投与のための慣用の製剤にする。したがって、1種又は複数のアントラキノンと固体薬学的担体とを組合せ;任意に、生じた混合物を顆粒化し;この混合物又は顆粒物を望ましい場合には、及び/又は任意に適切な助剤を加えた後に処理して、錠剤又は糖衣剤核の形態にすることにより、経口投与のためのウィタノリド又はウィタナミド製剤を得ることができる。
【0062】
固体製剤のための適切な薬学的担体は特に、糖(例えば、ラクトース、サッカロース、マンニトール又はソルビトール)、セルロース製剤及び/又はリン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウム又はリン酸水素カルシウム)などの充填剤;さらに、使用する場合にはデンプンペースト(例えば、トウモロコシ、小麦、米又は馬鈴薯デンプン)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン、一部遊離の官能基を有するポリアクリレート若しくはポリメタクリレートのエステルなどの結合剤;並びに/或いは、必要な場合には、前記のデンプン、さらにカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの発泡剤である。助剤は主に、流量調節剤及び滑剤、例えば、ケイ酸、タルク、ステアリン酸又はステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウムなどのその塩である。糖衣丸核は、任意に胃酸に対して耐性を有する適切なコーティングを備えていて、この際、特に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン及び/又は二酸化チタンを任意に含有する濃縮糖溶液、水性溶剤中のラッカー溶液或いは、胃液に対して耐性を有するコーティングを製造するためには、フタル酸エステル又はトリアセチンなどの適切な軟化剤を有するか、有しない、部分的に遊離な官能基を有するポリアクリレート若しくはポリメタクリレートのエステルの溶液又はフタル酸アセチルセルロース若しくはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの適切なセルロース調整物の溶液が使用される。例えば、活性成分の様々な用量を特定又は表示するために、染料又は顔料を錠剤又は糖衣丸コーティングに加えることもできる。
【0063】
経口投与することができる1種又は複数のウィタノリド又はウィタナミド製剤はさらに、硬質ゼラチンカプセル、並びに、ゼラチン製の硬質若しくは軟質密封カプセル及び必要な場合には、グリセリン又はソルビトールなどの軟化剤を含有する。硬質ゼラチンカプセルは、1種又は複数のウィタノリドを、顆粒の形態で、例えば、トウモロコシデンプンなどの充填剤、任意に顆粒化された小麦デンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム又はコロイドケイ酸などの結合剤又は潤滑剤、及び任意に安定剤との混合物として含有することができる。密封カプセルでは、1種又は複数のウィタノリドは、粉末又は顆粒の形態であるか;好ましくは、適切な溶剤中の懸濁液の形態で存在するので、懸濁液を安定化するために、例えば、モノステアリン酸グリセリンを加えることができる。
【0064】
経口投与するための他のウィタノリド又はウィタナミド製剤は例えば、通常の方法で調製される水性懸濁液であり、この懸濁液は、1種又は複数の化合物を、懸濁された形態で1回用量に十分な濃度で含有する。水性懸濁液は、最小量の安定剤及び/又は着香物質を含有し、例えば、サッカリンナトリウム又はシロップなどの甘味料は、一定量の糖及び/又はソルビトール又は同様の物質を含有する。さらに、シェーキを調製するためには、例えば、濃縮物又は濃縮懸濁液が適している。このような濃縮物も、1回用量にパッケージングすることができる。
【0065】
直腸投与のための適切なウィタノリド又はウィタナミド製剤は、例えば、1種又は複数のウィタノリドと座薬ファンデーション物質との混合物からなる座薬である。このような物質は特に好ましくは、天然若しくは合成のトリグリセリド混合物である。さらに、ファウンデーション物質中に1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミドを含む懸濁液からなるゼラチン直腸カプセルが適している。適切なファウンデーション物質は例えば、高飽和又は、特に好ましくは中飽和脂肪酸の液体トリグリセリドである。
【0066】
同様に、微細に粉砕された、好ましくは、粒度中央値5μm未満を有する1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミドを、デンプンと、特に好ましくはトウモロコシデンプン又は小麦デンプンと、または例えば、馬鈴薯デンプン又は米デンプンと混合された形態で含有する製剤が、特に好ましい。好ましくは、大量の成分の場合には、必要ならば冷却しながら、プロペラ様の薄刃攪拌装置を備えた高速ミキサー中で、例えば3から10分間の混合時間で簡単に混合することにより、これを製造する。この混合プロセスでは、粒子のサイズを継続的に低下させながら、1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミドの粒子を均一にデンプン粒子の上に堆積させる。前記の混合物を、慣用の、例えば前記の助剤と共に、固体用量単位に処理する。即ち、例えば圧縮して、錠剤又は糖衣丸の形態にするか、カプセルに充填する。しかしながらこれらは、そのままで、又は助剤、例えば、高級脂肪酸とのポリオキシエチレンソルビタンのエステル又は硫酸ラウリルナトリウムなどの薬学的に許容できる湿潤剤及び分散剤及び/又は着香物質を加えた後に、水性懸濁液を調製するための、例えば約5から20倍量の水を伴う濃縮物として使用することもできる。ウィタノリド又はウィタナミド/デンプン混合物と界面活性物質又は他の助剤とを組み合わせる代わりに、これらの物質を、懸濁液を調製するために使用される水に加えることもできる。1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミド/デンプン混合物及び場合により助剤を含む懸濁液を製造するための濃縮物を、必要ならば気密及び防湿に、1回用量でパッケージングすることもできる。
【0067】
加えて、1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミドを、患者に腹腔内、鼻腔内、皮下又は静脈内投与することができる。通常、腹腔内、鼻腔内、皮下又は静脈内投与では、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤及び防腐剤などの慣用の添加剤と共に、植物性又は他の同様のオイル、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル又はプロピレングリコールなどの水性又は非水性溶剤中に溶解、懸濁又は乳化させることにより、1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミドを与える。好ましくは、1種又は複数のウィタノリドを、温血動物又はヒトでの腹腔内、皮下又は静脈内使用に許容される組成物の形態で提供する。例えば、このような組成物は、1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミドのための担体として、緩衝リン酸塩溶液などの生理学的に許容される溶液を含有してもよい。好ましくは、溶液は、生理学的pHである。特別な実施形態では、組成物を、直接患者に注入して、静脈内投与により腫瘍に灌流させる。
【0068】
本発明による製剤は、1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミドを温血動物又はヒトに投与するために適した濃度で含有し、その濃度は、投与方法に応じて、約0.3%から95%、好ましくは、約2.5%から90%である。懸濁液の場合には、濃度は通常、30%以下であり、好ましくは約2.5%であり;逆に、1種又は複数のアントラキノンを有する錠剤、糖衣丸及びカプセルでは、1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミドの必要用量の容易な摂取を保証するために、濃度は好ましくは、約0.3%以上である。1種又は複数のウィタノリドを含有する製剤での患者の治療を好ましくは、一定期間にわたって脂質過酸化を実質的に阻害するに十分である1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミドの用量を1回又は複数回投与することにより実施する。必要ならば、用量を、毎日か、数時間間隔で投与される複数の部分用量に分けて投与することができる。特別な場合には、製剤を、放射線又は化学療法などの1種又は複数の他の療法と共に、又はその後に使用することができる。1種又は複数のウィタノリド及びウィタナミドの投与用量は、治療される患者(温血動物種又はヒト)、治療される患者の全身状態及び治療される疾患のタイプに左右される。
【0069】
前記の記載は本発明を詳述することを目的としているにすぎず、本発明は、添付の請求項にのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】化合物1で観察される選択HMBC(→)及びCOSY(←→)相関を示す化学構造である。
【図2】化合物9の選択TOCSY(→)相関を示す化学構造である。
【図3】化合物2及び3の重要なHMBC(→)及びCOSY(←→)相関を示す化学構造である。
【図4】化合物1〜9及び14〜16による脂質過酸化の阻害を示すグラフである。3分間隔で21分間、蛍光強度を監視した。示されている阻害パーセンテージは、21分目にDMSO対照に対して算出した。試験された化合物の濃度は、1〜3、5及び9では1μg/mL;4、6〜8では0.5μg/mL;15では100μg/mL;16では50μg/mL;17では10μg/mLであった。市販の抗酸化剤BHA、BHT及びTBHQは1μg/mLで試験した。表されているデータは、平均±1標準偏差(n=2)を示している。
【図5】ウィタノリド10〜13による脂質過酸化の阻害パーセントを示すグラフである。試験された化合物は、100μg/mLの10及び13であり;12及び11はそれぞれ、10及び50μg/mLであった。示されているデータは、平均±1標準偏差(n=2)を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式の単離、精製されたウィタナミド:
【化1】


[上式中、
Rは、
【化2】


からなる群から選択される]。
【請求項2】
Rは、
【化3】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rは、
【化4】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Rは、
【化5】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Rは、
【化6】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Rは、
【化7】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Rは、
【化8】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Rは、
【化9】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Rは、
【化10】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
下式の単離、精製された化合物。
【化11】

【請求項11】
哺乳動物における疾患をin vivoで治療する方法であって、単離、精製された下式の化合物
【化12】


[上式中、
Rは、
【化13】


からなる群から選択される];
下式の化合物
【化14】


下式の化合物
【化15】


並びにこれらの混合物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項12】
前記の治療は、抗酸化活性をもたらすためのものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記の治療は、アルツハイマー病に対するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記の治療は、肥満に対するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記の治療は、偏頭痛に対するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記の治療は、うつ病に対するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
その必要のある組成物に酸化をもたらす(providing oxidation)方法であって、単離、精製された下式の化合物
【化16】


[上式中、
Rは、
【化17】


からなる群から選択される];
下式の化合物
【化18】


下式の化合物
【化19】


並びにこれらの混合物を有効量で、前記組成物に加えることを含む方法。
【請求項18】
(a)抗酸化活性を必要とする組成物と、
(b)抗酸化活性をもたらすに十分な量の
【化20】


[上式中、
Rは、
【化21】


からなる群から選択される];
下式の化合物
【化22】


下式の化合物
【化23】


並びにこれらの混合物からなる群から選択される単離、精製された化合物と、
を含む組成物。
【請求項19】
医薬品として使用するための組成物であって、
(a)
【化24】


[上式中、
Rは、
【化25】


からなる群から選択される];
下式の化合物
【化26】


下式の化合物
【化27】


並びにこれらの混合物からなる群から選択される、単離、精製された化合物と、
(b)薬学的に許容できる担体と
を含む組成物。
【請求項20】
患者におけるアルツハイマー病、肥満、偏頭痛及びうつ病からなる群から選択される疾患を治療する方法であって、ウィタナミド、ウィタノリド及びこれらの混合物を含有する組成物を有効量で患者に投与して、うつ病を緩和することを含む方法。
【請求項21】
in vivoでの哺乳動物の抗酸化治療法であって、有効量のウィタナミド、ウィタノリド及びこれらの混合物を哺乳動物に投与して、前記哺乳動物の抗酸化治療をもたらすことを含む方法。
【請求項22】
下式の単離、精製されたウィタノリド。
【化28】




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−505109(P2007−505109A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526098(P2006−526098)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/026881
【国際公開番号】WO2005/034846
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(594114134)ミシガン ステイト ユニバーシティー (22)
【Fターム(参考)】