説明

ウイルス感染の治療および予防

インフルエンザ等のウイルス感染の治療または予防に有用な化合物を、本明細書に記載する。これらの化合物から作製される組成物、ならびにウイルス感染の治療または予防において、該化合物およびそれらの組成物を使用するための方法を、さらに記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張出願の参照
本出願は、2007年11月1日に出願された米国仮出願第60/984,601号、および2008年5月1日に出願された第61/049,665号の利益を主張するものであり、それらの両方とも、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府支援研究に関する陳述
本発明は、国立衛生研究所によって付与された認可番号5U54AI057157−04の下で、連邦政府の支援によって行われた。連邦政府は、本発明にある一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
インフルエンザウイルスは、一般に、ヒト、ブタ、ウマ、ミンク、アザラシ、およびクジラを含む、哺乳類の上気道に感染する。また、インフルエンザウイルスは、トリ種において消化器親和性を有する可能性がある。インフルエンザの季節的流行は、通常1月以降に発生し、典型的には一般ヒト集団の10〜20%に発症する。インフルエンザウイルスは、RNAウイルスのオルトミクソウイルス科のメンバーである。そのようなウイルスは、一般にエンベロープ型ウイルスと称される。インフルエンザウイルスの3つの型は、A、B、およびCである。ほとんどの動物種は、A型インフルエンザに感染し得る。インフルエンザBおよびCは、かつてはヒトのみに感染するものと考えられていたが、研究者は、最近、アザラシがB型インフルエンザに感染し得ることを発見した。
【0004】
インフルエンザウイルスが季節ごとに突然変異して新しい株を形成することができることは、周知である。ヒト集団における新株は、典型的には他の動物種(例えば、鳥類)から発生する。ヒトインフルエンザウイルスとトリインフルエンザウイルスとは極めて異なるため、鳥類から動物へのウイルスの伝播は、媒介動物(例えば、ブタ)を経由して進むと考えられる。しかしながら、時には、トリからヒトへの伝播が起こり得る。
【0005】
任意の対象が(たとえ健常な対象であっても)インフルエンザウイルスの感染を受ける可能性があり、インフルエンザによる深刻な問題はいずれの年齢でも起こり得る。インフルエンザにかかるほとんどの対象が数日から2週間足らずで回復する一方で、中には、合併症(例えば、肺炎、気管支炎、ならびに副鼻腔感染および耳感染)を発症する、または喘息もしくはうっ血性心不全等の慢性的な健康問題の悪化を経験する対象もいる。そのような合併症および慢性的な健康問題の悪化は、感染した対象の死につながる可能性がある。例えば、悪名高き1918〜1919年のインフルエンザの流行では、世界中で推定2000〜4000万人の人々が死亡した。さらに、非流行年には、米国では1年に平均約36,000人の人々がインフルエンザで死亡し、200,000を超える人々が、インフルエンザが原因で病院に入院しなければならない。インフルエンザはウイルスによって引き起こされるため、抗生物質(例えば、ペニシリン)はその感染を治療しない。インフルエンザを予防する現在の方法は、インフルエンザの季節の前に、毎年インフルエンザワクチンを受けることである。
【0006】
A型インフルエンザのウイルス粒子またはビリオンは、直径80〜120nmである。ウイルスには珍しく、A型インフルエンザのゲノムは単一の核酸ではなく、代わりに、10個のタンパク質(HA(ヘマグルチニン)、NA(ノイラミニダーゼ)、NP(核タンパク質)、M1、M2、NS1、PA、PB1、PB1−F2、PB2)をコードする8個の分節型マイナス鎖RNA(合計13.5キロ塩基)を含有する。ヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼは、ウイルス粒子の外側に見られる大きな2つの糖タンパク質である。ノイラミニダーゼは、成熟したウイルス粒子を結合する糖を切断することにより、感染細胞からの子孫ウイルスの放出に関与する酵素である。反対に、ヘマグルチニンは、ウイルスの標的細胞への結合、およびウイルスゲノムの標的細胞への侵入を媒介するレクチンである。ウイルスは標的細胞に結合する必要があるため、ウイルス結合を阻害することは感染を予防することになる。
【0007】
宿主細胞の複製基盤を支配し、ウイルス複製に影響を及ぼすウイルス(例えば、インフルエンザ)の能力は、ウイルスが宿主細胞の膜上で特定の受容体を認識することから始まる。このプロセスは、例えば、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)のような、ビリオン上の1つの表面タンパク質または複数の表面タンパク質によって媒介され得る。いったんHAが膜結合リボソーム上で合成されると、そのポリペプチド鎖は、最終的には、ジスルフィド結合により連結され得る、HAおよびHAとして知られる328および221アミノ酸の2本の鎖に切断される。3つのHAモノマー(それぞれが1つのHAおよびHAを伴う)が三量体を形成してプラズマ膜に輸送され得、そこではHAの尾が該モノマーを膜に繋ぎ止め、モノマーの大部分が膜の外側に突出している。HAのN末端の約20残基が、ウイルス粒子が宿主細胞を透過する機構と関連していると考えられている。このN末端部は融合ペプチドとして知られている。
【0008】
インフルエンザウイルスは、ヘマグルチニンを介して上皮細胞の表面上にあるシアル酸の糖と結合する。シアル酸の優勢な型は、N−アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)である。シアル酸の2つの型であるNeu5Ac α(2,3)−GalおよびNeu5Ac α(2,6)−Galは、両方ともインフルエンザウイルスによって受容体として認識され得、細胞のウイルス感染に重要である。ウイルスがいったんシアル酸を認識すると、インフルエンザゲノムが標的細胞への移行を完了するために、次いで細胞融合が必要となる。
【0009】
細胞は、エンドサイトーシスによってウイルスを取り込む。酸性のエンドソーム内で、ヘマグルチニンタンパク質の一部がウイルスのエンベロープを空胞の膜と融合し、それによってウイルスRNA(vRNA)分子、アクセサリー蛋白質、およびRNA依存性RNA転写酵素を放出する。
【0010】
ウイルス感染の間、HAは少なくとも2つの既知の役割において機能する。最初にHAは細胞に結合し、次にHAは膜融合因子(membrane fusogen)としての役割を果たす。HAタンパク質は、標的細胞表面上のグリコシル化された受容体分子のシアル酸残基に結合する。いったん結合すると、次いでウイルスはエンドサイトーシスを介して細胞に侵入することができる。シアル酸結合部位は、X線結晶解析によって、ゼリーロールモチーフ(jelly roll motif)内のHAサブユニットの先端に位置することが明らかになっている。
【発明の概要】
【0011】
例えば、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、および、例えばHIVのような他のウイルス等のウイルス感染を治療および/または予防するために有用な化合物、ならびにこれらの化合物を作製および使用する方法が記載される。また、例えば、対象にインフルエンザウイルス感染の予防接種を行うための方法として、インフルエンザおよび他のウイルス感染に対する治療として有効な組成物も記載される。インフルエンザおよび他のウイルス感染を治療するため、ならびにインフルエンザおよび他のビリオンからヘマグルチニンによって媒介される融合を阻害するための方法が、さらに記載される。
【0012】
ウイルス性疾患の治療および/または予防において有用な化合物の1つのクラスは、以下の式の化合物を含み、
【化1】

また、その薬学的に許容される塩およびプロドラッグを含む。このクラスの化合物では、Rは、置換または非置換の縮合または二環式シクロアルキル環から選択され、Xは、SまたはNHであり、Yは、OまたはSであり、Zは、置換または非置換の5員ヘテロアリール環、6員ヘテロアリール環、またはフェニルから選択され、Rは、置換または非置換のアリールまたはヘテロアリール環から選択され、Lは、直接結合であるか、または置換もしくは非置換の結合単位であって、該結合単位は、1〜4個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄から選択される2個までのヘテロ原子と、を有する。
【0013】
ウイルス性疾患の治療および/または予防において有用な別のクラスの化合物は、以下の式の化合物を含み、
【化2】

また、その薬学的に許容される塩およびプロドラッグを含む。このクラスの化合物では、Rは、3〜14個の炭素還原子を有する置換または非置換のシクロアルキル環であり、Yは、OまたはSであり、Zは、置換または非置換の5員ヘテロアリール環、6員ヘテロアリール環、またはフェニルから選択され、Rは、置換または非置換のアリールまたはヘテロアリール環から選択され、Lは、直接結合であるか、または置換もしくは非置換の結合単位であって、該結合単位は、1〜4個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄から選択される2個までのヘテロ原子と、を有する。
【0014】
対象におけるウイルス感染を治療または予防するための方法が、本明細書にさらに記載される。これらの方法は、本明細書に記載される化合物または組成物のうちの1つ以上の有効量を対象に投与するステップを含む。
【0015】
また、ウイルスの細胞への侵入を阻害する方法も、本明細書に記載される。これらの方法は、本明細書に記載される化合物または組成物のうちの1つ以上の有効量を細胞に投与するステップを含む。
【0016】
さらに、ウイルス媒介膜融合を阻害する方法が、本明細書に記載される。これらの方法は、本明細書に記載される化合物または組成物のうちの1つ以上の有効量を細胞に投与するステップを含む。
【0017】
また、ウイルス融合タンパク質を不安定化させる方法が、本明細書に記載される。これらの方法は、本明細書に記載される化合物または組成物のうちの1つ以上の有効量を、ウイルス感染細胞に投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】感染後の異なる時間に阻害剤A1をMDCK細胞に添加した時の、収量減少アッセイの結果を表す図である。
【図2】A/Udorn/72(H3N2)ウイルス接種物(250pfu)を播種し、様々な量の阻害剤A1で処理したプレートの写真である。
【図3】A/Udorn/72ウイルスの増殖に対する、様々なpH値の阻害剤A1の結果を表す図である。
【図4】pH7.0およびpH5.0での、A1のHAに対する不安定化効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例えば、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、および、例えばHIVのような他のウイルス等のウイルス感染を治療および/または予防するために有用な化合物、組成物および方法、ならびにこれらの化合物を作製および使用する方法を開示する。これらの化合物は、ウイルス感染に関与するヘマグルチニンの結合および/または融合プロセスをブロックする。例えば、対象にインフルエンザウイルス感染の予防接種を行うための方法として、インフルエンザウイルス感染に対する治療として有効な組成物がさらに記載される。
【0020】
本明細書に記載される化合物は、式
【化3】

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを有し、式中、Rは、3〜14個の炭素還原子を有する置換または非置換のシクロアルキル環から選択され、
Xは、SまたはNHであり、
Yは、OまたはSであり、
Zは、
i)置換または非置換の5員ヘテロアリール環、
ii)置換または非置換の6員ヘテロアリール環、あるいは
iii)置換または非置換のフェニル、
から選択され、
は、置換もしくは非置換のアリールまたはヘテロアリール環から選択され、
Lは、直接結合であるか、または置換もしくは非置換の結合単位であって、該結合単位は、1〜4個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄から選択される2個までのヘテロ原子と、を有する。
【0021】
本明細書に記載される化合物の1つのカテゴリーは、以下の式を有する3−N−シクロアルキル−5−置換−2−チオキソチアゾリジン−4−オンに関連する。
【化4】

【0022】
本明細書に記載される化合物のこのカテゴリーの第1の態様は、以下の式を有する5員環ヘテロアリール環であるZ環に関連し、
【化5】

式中、WはO、S、またはNHであり、TはCHまたはNである。
【0023】
この態様の1つの形態は、OまたはSから選択される単一のヘテロ原子を含むZ環に関連し、該化合物は以下の式を有する。
【化6】

【0024】
本明細書に記載される化合物のこの態様の別の形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化7】

【0025】
本明細書に記載される化合物のこの態様のさらなる形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化8】

【0026】
このカテゴリーの別の態様は、以下の式を有する6員ヘテロアリール環であるZ環に関連し、
【化9】

式中、A、A、A、A、およびAは、それぞれ独立してCHまたはNであり、A、A、A、A、およびAうちの少なくとも1つはNである。
【0027】
この態様の1つの形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化10】

【0028】
この態様の別の形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化11】

【0029】
この態様のさらなる形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化12】

【0030】
このカテゴリーのさらなる態様は、以下の式を有するフェニル環であるZ環に関連する。
【化13】

【0031】
本明細書に記載される化合物の別のカテゴリーは、以下の式を有する3−N−シクロアルキル−5−置換−チアゾリジン−2,4−ジオンに関連する。
【化14】

【0032】
本明細書に記載される化合物のこのカテゴリーの第1の態様は、以下の式を有する5員環ヘテロアリール環であるZ環に関連し、
【化15】

式中、WはO、S、またはNHであり、TはCHまたはNである。
【0033】
この態様の1つの形態は、OまたはSから選択される単一のヘテロ原子を含むZ環に関連し、該化合物は以下の式を有する。
【化16】

【0034】
本明細書に記載される化合物のこの態様の別の形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化17】

【0035】
本明細書に記載される化合物のこの態様のさらなる形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化18】

【0036】
このカテゴリーの別の態様は、以下の式を有する6員ヘテロアリール環であるZ環に関連し、
【化19】

式中、A、A、A、A、およびAは、それぞれ独立してCHまたはNであり、A、A、A、A、およびAのうちの少なくとも1つはNである。
【0037】
この態様の1つの形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化20】

【0038】
この態様の別の形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化21】

【0039】
この態様のさらなる形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化22】

【0040】
このカテゴリーのさらなる態様は、以下の式を有するフェニル環であるZ環に関連する。
【化23】

【0041】
本明細書に記載される化合物のさらなるカテゴリーは、以下の式を有する3−N−シクロアルキル−5−置換−2−チオキソイミダゾリジン−4−オンに関連する。
【化24】

【0042】
本明細書に記載される化合物のこのカテゴリーの第1の態様は、以下の式を有する5員環ヘテロアリール環であるZ環に関連し、
【化25】

式中、WはO、S、またはNHであり、TはCHまたはNである。
【0043】
この態様の1つの形態は、OまたはSから選択される単一のヘテロ原子を含むZ環に関連し、該化合物は以下の式を有する。
【化26】

【0044】
本明細書に記載される化合物のこの態様の別の形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化27】

【0045】
本明細書に記載される化合物のこの態様のさらなる形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化28】

【0046】
このカテゴリーの別の態様は、以下の式を有する6員ヘテロアリール環であるZ環に関連し、
【化29】

式中、A、A、A、A、およびAは、それぞれ独立してCHまたはNであり、A、A、A、A、およびAのうちの少なくとも1つはNである。
【0047】
この態様の1つの形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化30】

【0048】
この態様の別の形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化31】

【0049】
この態様のさらなる形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化32】

【0050】
このカテゴリーのさらなる態様は、以下の式を有するフェニル環であるZ環に関連する。
【化33】

【0051】
本明細書に記載される化合物のさらなるカテゴリーは、以下の式を有する3−N−シクロアルキル−5−置換−イミダゾリジン−2,4−ジオンに関連する。
【化34】

【0052】
本明細書に記載される化合物のこのカテゴリーの第1の態様は、以下の式を有する5員環ヘテロアリール環であるZ環に関連し、
【化35】

式中、WはO、S、またはNHであり、TはCHまたはNである。
【0053】
この態様の1つの形態は、OまたはSから選択される単一のヘテロ原子を含むZ環に関連し、該化合物は以下の式を有する。
【化36】

【0054】
本明細書に記載される化合物のこの態様の別の形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化37】

【0055】
本明細書に記載される化合物のこの態様のさらなる形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化38】

【0056】
このカテゴリーの別の態様は、以下の式を有する6員ヘテロアリール環であるZ環に関連し、
【化39】

式中、A、A、A、A、およびAは、それぞれ独立してCHまたはNであり、A、A、A、A、およびAのうちの少なくとも1つはNである。
【0057】
この態様の1つの形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化40】

【0058】
この態様の別の形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化41】

【0059】
この態様のさらなる形態は、以下の式を有する化合物に関連する。
【化42】

【0060】
このカテゴリーのさらなる態様は、以下の式を有するフェニル環であるZ環に関連する。
【化43】

【0061】
R単位
本明細書に記載される化合物に有用なR単位は、3〜14個の炭素還原子を有する置換または非置換のシクロアルキル環を含む。R単位の例は、3〜5個の炭素原子含む環である、シクロプロピル(C)、シクロブチル(C)、およびシクロペンチル(C)を含む。これらの環を含む本明細書に記載される化合物は、以下の式を有する。
i)
【化44】

ii)
【化45】

および
iii)
【化46】

【0062】
別の例は、Rはシクロヘキシル(C)環である化合物を含み、例えば、本明細書に記載される化合物は、以下の式を有する。
【化47】

【0063】
さらなる例は、Rはシクロヘプチル(C)環である化合物に関連し、例えば、本明細書に記載される化合物は、以下の式を有する。
【化48】

【0064】
さらに別の例は、Rはシクロオクチル(C)環である化合物に関連し、例えば、本明細書に記載される化合物は、以下の式を有する。
【化49】

【0065】
Rのさらなる例は、9〜11個の炭素原子を含む環、例えば、シクロノニル(C)、シクロデシル(C10)、およびシクロウンデシル(C11)に関連する。これらの環を含む本明細書に記載される化合物の例は、以下の式を有する。
i)
【化50】

ii)
【化51】

および
iii)
【化52】

【0066】
さらなる例は、Rはシクロドデシル(C12)環である化合物に関連し、例えば、この環を有する本明細書に記載される化合物は、以下の式を有する。
【化53】

【0067】
R単位の別の態様は、縮合環のR単位に関連する。縮合R単位の非限定的な例は、オクタヒドロペンタレニル、オクタヒドロ−1H−インデニル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロ−アズレニル、およびデカヒドロ−1H−ベンゾ[7]アヌレニル(annulenyl)を含む。本明細書に記載される化合物の例は、以下の式を有するオクタヒドロペンタレニル(C)の縮合環R単位を含む。
【化54】

【0068】
別の例は、オクタヒドロ−1H−インデニル(C)のR単位を含み、その一例は以下の式を有する。
【化55】

【0069】
さらなる例は、デカヒドロナフタレニル(C10)のR単位を含み、その一例は以下の式を有する。
【化56】

【0070】
さらなる例は、デカヒドロアズレニル(C10)のR単位を含み、その一例は以下の式を有する。
【化57】

【0071】
さらなる例は、デカヒドロ−1H−ベンゾ[7]アヌレニル(annulenyl)(C11)のR単位を含み、その一例は以下の式を有する。
【化58】

【0072】
R単位のさらなる態様は、二環式環のR単位に関連する。二環式環のR単位の非限定的な例は、ビシクロ[1.1.0]ブタニル、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル、ビシクロ[2.1.1]−ヘキサニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、ビシクロ−[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[3.3.2]デカニル、およびアダマンチルを含む。
【0073】
以下は、この態様の非限定的な例である。
【化59】

【0074】
単位
単位は、有機ラジカルで置換された1〜5個の環水素原子を有することができる、アリールまたはヘテロアリール環である。Rの例は、以下の式を有するフェニルまたは置換フェニルに関連し、
【化60】

式中、Rは、環水素原子に対する1〜5個(例えば、5個まで)の置換基を表す。Rに対する置換フェニル環を含む本明細書に記載される化合物は、以下の式を有する。
【化61】

【0075】
のさらなる例は、以下の式を有するヘテロアリール単位に関連し、
【化62】

式中、XおよびYは、それぞれ独立して、
i)−CH−、または
ii)−N−から選択され、
は、環水素原子に対する1〜5個(例えば、5個まで)の置換基を表す。
【0076】
第1の例は、以下の式を有する本明細書に記載される化合物に関連する。
【化63】

【0077】
別の例は、以下の式を有する本明細書に記載される化合物に関連する。
【化64】

【0078】
のさらなる例は、以下の式を有するヘテロアリール単位に関連し、
【化65】

式中、Xは、
i)−CH−、または
ii)−N−から選択され、
Yは−N−であり、Rは、環水素原子に対する1〜4個(例えば、4個まで)の置換基を表す。例は、以下の式を有する化合物を包含する。
【化66】

【0079】
本明細書には明示的に例示されない開示の範囲内で、化合物の亜属を調製するための合成戦略の代替を説明するという厳格に非限定的な目的のために、本明細書に記載される化合物をいくつかのカテゴリーに体系付けることができる。こうして、概念的にカテゴリーに体系化することは、本明細書に記載される物質の化合物または組成物のいずれに関する生物学的な有効性が、増加または減少されることを示唆するものでは全くない。
【0080】
単位は、1〜5個のR単位で置換され得、式中、各R単位は独立して以下から選択される。
i)C−C12置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキル、
ii)C−C12置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルケニル、
iii)C−C12置換もしくは非置換の直鎖または分岐鎖のアルキニル、
iv)C−C10置換または非置換のアリール、
v)C−C置換または非置換の複素環、
vi)C−C11置換または非置換のヘテロアリール、
vii)−[C(R2a)(R2b)]ORであって、
a)式中、Rは、
b)−H、
c)C−C12置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキル、
d)C−C10置換もしくは非置換のアリールまたはアルキレンアリール、
e)C−C置換または非置換の複素環、
f)C−C11置換または非置換のヘテロアリール、
から選択される、−[C(R2a)(R2b)]OR
viii)−[C(R2a)(R2b)]N(R4a)(R4b)であって、
a)式中、R4aおよびR4bは、それぞれ独立して、
i)−H、
ii)−OR(Rは、水素またはC−C直鎖アルキルである)、
b)C−C12置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキル、
c)C−C10置換または非置換のアリールであり、
d)C−C置換または非置換の複素環、
e)C−C11置換または非置換のヘテロアリールから選択されるか、あるいは、
f)R4aおよびR4bは、一緒になって、3〜10個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子と、を有する置換または非置換の環を形成し得る、
−[C(R2a)(R2b)]N(R4a)(R4b)、
ix)−[C(R2a)(R2b)]C(O)Rであって、
a)式中、Rは、
i)C−C12置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキル、
ii)−OR(Rは、水素、置換または非置換のC−C直鎖アルキル、C−C10置換または非置換のアリール、C−C置換または非置換の複素環、C−C11置換または非置換のヘテロアリールである)、
b)−N(R8a)(R8b)から選択され、
8aおよびR8bは、それぞれ独立して、水素、C−C12置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキル、C−C10置換または非置換のアリール、C−C置換または非置換の複素環、C−C11置換または非置換のヘテロアリールであるか、あるいはR8aおよびR8bは、一緒になって、3〜10個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子と、を有する置換または非置換の環を形成し得る、
−[C(R2a)(R2b)]C(O)R
【0081】
x)−[C(R2a)(R2b)]OC(O)Rであって、
式中、Rは、
a)C−C12置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキル、
b)−N(R10a)(R10b)から選択され、
10aおよびR10bは、それぞれ独立して、水素、C−C12置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキル、C−C10置換または非置換のアリール、C−C置換または非置換の複素環、C−C11置換または非置換のヘテロアリールであるか、あるいはR15aおよびR10bは、一緒になって、3〜10個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子と、を有する置換または非置換の環を形成し得る、
−[C(R2a)(R2b)]OC(O)R
xi)−[C(R2a)(R2b)]NR11C(O)R12であって、
式中、R11は、
a)−H、および
b)C−C置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキルから選択され、
c)式中、R12は、
i)C−C12置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキルおよびii)−N(R13a)(R13b)から選択され、
13aおよびR13bは、それぞれ独立して、水素、C−C12置換もしくは非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキル、C−C10置換または非置換のアリール、C−C置換または非置換の複素環、C−C11置換または非置換のヘテロアリールであるか、あるいはR13aおよびR13bは、一緒になって、3〜10個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子と、を有する置換または非置換の環を形成し得る、
−[C(R2a)(R2b)]NR11C(O)R12
xii)−[C(R2a)(R2b)]CN、
xiii)−[C(R2a)(R2b)]NO
xiv)−[C(R2a)(R2b)]SO14であって、
式中、R14は、水素、ヒドロキシル、置換もしくは非置換のC−C直鎖または分岐鎖のアルキル、置換もしくは非置換のC−C10またはC14アリール、C−C15アルキレンアリール、C−C置換または非置換の複素環であるか、あるいはC−C11置換もしくは非置換のヘテロアリールである、−[C(R2a)(R2b)]SO14
xv)ハロゲン、
2aおよびR2bは、それぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり、指数yは0〜5である。
【0082】
単位の1つの態様は、フェニル環であるR単位に関連し、該フェニル環は、以下から選択される1つ以上の単位で置換される。
i)C−C直鎖、分岐鎖、もしくは環状アルキル、アルケニル、およびアルキニル、
ii)C−C直鎖もしくは分岐鎖のハロアルキル、
iii)C−C直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ、
iv)−F、−Cl、−Br、もしくは−I、
v)−CN、または
vi)−NO
【0083】
この態様の非限定的な例は、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、2,3,4−トリフルオロフェニル、2,3,5−トリフルオロフェニル、2,3,6−トリフルオロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル,2,3,4,5−テトラフルオロフェニル、2,3,4,6−テトラフルオロフェニル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,3,4−トリクロロフェニル、2,3,5−トリクロロフェニル、2,3,6−トリクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2,3,4,5−テトラクロロフェニル、2,3,4,6−テトラクロロフェニル、2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル、2−ニトロフェニル、3−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、2,3−ジニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、2,5−ジニトロフェニル、2,6−ジニトロフェニル、3,4−ジニトロフェニル、3,5−ジニトロフェニル、2,3,4−トリニトロフェニル、2,3,5−トリニトロフェニル、2,3,6−トリニトロフェニル、2,4,6−トリニトロフェニル、2,3,4,5−テトラニトロフェニル、2,3,4,6−テトラニトロフェニル、2,3,4,5,6−ペンタニトロフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,3,4−トリメチルフェニル、2,3,5−トリメチルフェニル、2,3,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,3,4,5−テトラメチルフェニル、2,3,4,6−テトラメチルフェニル、2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2,3−ジメトキシフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、2,3,4−トリメトキシフェニル、2,3,5−トリメトキシフェニル、2,3,6−トリメトキシフェニル、2,4,6−トメトキシフェニル、2,3,4,5−テトラメトキシフェニル、2,3,4,6−テトラメトキシフェニル、および2,3,4,5,6−ペンタメトキシフェニルである、R単位を含む。
【0084】
単位の別の態様は、ピリジン−3−イル環であるR単位に関連し、該ピリジン−3−イル環は、以下から選択される1つ以上の単位で置換される。
i)C−C直鎖、分岐鎖、もしくは環状のアルキル、アルケニル、およびアルキニル、
ii)C−C直鎖もしくは分岐鎖のハロアルキル、
iii)C−C直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ、
iv)−F、−Cl、−Br、もしくは−I、
v)−CN、あるいは、
vi)−NO
【0085】
この態様の非限定的な例は、2−フルオロピリジン−3−イル、4−フルオロピリジン−3−イル、2,4−ジフルオロピリジン−3−イル、2,5−ジフルオロピリジン−3−イル、2,6−ジフルオロピリジン−3−イル、2,4,6−トリフルオロピリジン−3−イル、2−クロロピリジン−3−イル、4−クロロピリジン−3−イル、2,4−ジクロロピリジン−3−イル、2,5−ジクロロピリジン−3−イル、2,6−ジクロロピリジン−3−イル、2,4,6−トリクロロピリジン−3−イル、2−ニトロピリジン−3−イル、4−ニトロピリジン−3−イル、2,4−ジニトロピリジン−3−イル、2,5−ジニトロピリジン−3−イル、2,6−ジニトロピリジン−3−イル、2,4,6−トリニトロピリジン−3−イル、2−メチルピリジン−3−イル、4−メチルピリジン−3−イル、2,4−ジメチルピリジン−3−イル、2,5−ジメチルピリジン−3−イル、2,6−ジメチルピリジン−3−イル、2,4,6−トリメチルピリジン−3−イル、2−メトキシピリジン−3−イル、4−メトキシピリジン−3−イル、2,4−ジメトキシピリジン−3−イル、2,5−ジメトキシピリジン−3−イル、および2,6−ジメトキシピリジン−3−イルである、R単位を含む。
【0086】
換言すると、R単位は、ハロゲン、置換または非置換のハロアルキル、置換または非置換のC−C12アルキル、置換または非置換のC−C12アルケニル、置換または非置換のC−C12アルキニル、置換または非置換のC−C10アリール、置換または非置換のC−C12ヘテロアルキル、置換または非置換のC−C12ヘテロアルケニル、置換または非置換のC−C12ヘテロアルキニル、C−C置換または非置換の複素環、C−C11置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のC−Cアルコキシアルキル、置換または非置換のC−Cアルコキシアルケニル、置換または非置換のC−Cアルコキシアルキニル、置換または非置換のC−Cアミノアルキル、置換または非置換のC−Cアミノアルケニル、置換または非置換のC−Cアミノアルキニル、置換または非置換のC−Cカルボキシアルキル、置換または非置換のC−Cカルボキシアルケニル、置換または非置換のC−Cカルボキシアルキニル、置換または非置換のC−Cアミドアルキル、置換または非置換のC−Cアミドアルケニル、置換または非置換のC−Cアミドアルキニル、置換または非置換のC−Cシアノアルキル、置換または非置換のC−Cシアノアルケニル、置換または非置換のC−Cシアノアルキニル、置換または非置換のC−Cニトロアルキル、置換または非置換のC−Cニトロアルケニル、置換または非置換のC−Cニトロアルキニル、置換または非置換のC−Cスルホニルアルキル、置換または非置換のC−Cスルホニルアルケニル、置換または非置換のC−Cスルホニルアルキニル、あるいは置換または非置換のアミノから独立して選択される、1〜5個の有機ラジカルで置換され得る。
【0087】
前述のとおり、Lは、直接結合であるか、または置換もしくは非置換の結合単位である。本明細書で使用される場合、「直接結合」という用語は、Lが結合して示される5員環構造上の炭素と、Zの環原子(すなわち、置換もしくは非置換の5員ヘテロアリール環、置換もしくは非置換の6員ヘテロアリール環、またはフェニル環の環原子)との間の共有結合を意味する。Lが置換または非置換の結合単位である場合、それは1〜4個の炭素原子と、2個までのヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、または硫黄)とを有する結合単位である。置換または非置換の結合単位としてのLの例は、置換または非置換のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、−C(O)−、−CH(O)−、または−C(O)CH−)、置換または非置換のアルケニル基(例えば、=CH−、=CHCH−、=CHCHCH−、または=CHCHCHCH−)、置換または非置換のアルキニル基、2個までのヘテロ原子を有する置換または非置換のヘテロアルキル基(例えば、−NH−、−CHNH−、−NHCH−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−CHNHC(O)−、−CHC(O)NH−、−NHC(O)CH−、または−C(O)NHCH−)、2個までのヘテロ原子を有する置換または非置換のヘテロアルケニル基(例えば、=N−または−N=)、および2個までのヘテロ原子を有する置換または非置換のヘテロアルキニル基を含む。
【0088】
「有機単位」または「有機ラジカル」という用語は、本明細書に記載される場合、1つ以上の炭素原子を含み、化合物またはその薬学的に許容される塩のうちの1つの一部を形成する、基または部分を指す。例えば、本明細書の他の箇所で置換基単位と称されるものの多くは有機単位である。本明細書に記載される化合物および/または塩におけるそれらの存在についての文脈において効果な役割を果たすために、標的酵素に対する所望の結合、溶解性、生体吸収といった特徴を提供するように、有機単位は、しばしば制限されたサイズおよび/または分子量の可変範囲を有するべきである。有機単位は、例えば、1〜26個の炭素原子、1〜18個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を有することができる。有機単位は、該有機単位のうちの少なくともいくつかの炭素原子に対する水素結合を有することが多く、任意選択的に、置換された有機化合物に見出される酸素、窒素、硫黄等の一般的なヘテロ原子、またはハロゲン、リン等の無機原子を含有することができる。無機原子を含まない有機ラジカルの一例は、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルラジカルである。いくつかの有機ラジカルは、それにまたはその中で結合される、ハロゲン、酸素、硫黄、窒素、リン等を含む1〜10個の無機ヘテロ原子結合を含有することができる。有機ラジカルの例は、これに限定されないが、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、モノ−置換アミノ、ジ−置換アミノ、アシルオキシ、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、アルキルカルボキサミド、置換アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキシアミド、置換ジアルキルカルボキシアミド、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、チオアルキル、チオハロアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、複素環、または置換複素環式ラジカル(該用語は、本明細書中の他の箇所に定義される)を含む。ヘテロ原子を含む有機ラジカルのいくつかの非限定的な例は、アルコキシラジカル、トリフルオロメトキシラジカル、アセトキシラジカル、ジメチルアミノラジカル等を含む。
【0089】
本明細書で使用される場合、「置換」という用語は、有機単位または無機単位(本明細書に記載されるように)を、該有機単位または無機単位の主鎖に付着する位置に追加すること(例えば、これらの分子のうちの1つによる水素の置き換え)を含む。置換基の例は、これに限定されないが、ヒドロキシル、ハロゲン(例えば、F、Br、Cl、またはI)、およびカルボキシル基を含む。反対に、本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、炭化水素、ヘテロ−炭化水素、アリール、またはヘテロアリール基が、完全に補完された水素を有する、すなわち、例えば、直鎖デカン(−(CH−CH)のように、その飽和レベルに相当して、置換基を持たないことを意味する。
【0090】
置換および非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルキル単位は、以下の非限定的な例を含む。メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソ−プロピル(C)、シクロプロピル(C)、n−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、イソ−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、シクロブチル(C)、シクロペンチル(C)、シクロヘキシル(C)等。一方、置換直鎖、分岐鎖、または環状アルキルの非限定的な例は、ヒドロキシメチル(C)、クロロメチル(C)、トリフルオロメチル(C)、アミノメチル(C)、1−クロロエチル(C)、2−ヒドロキシエチル(C)、1,2−ジフルオロエチル(C)、2,2,2−トリフルオロエチル(C)、3−カルボキシプロピル(C)、2、3−ジヒドロキシシクロブチル(C)等を含む)。
【0091】
置換および非置換の直鎖、分岐鎖、または環状アルケニルは、エテニル(C)、3−プロペニル(C)、1−プロペニル(および2−メチルエテニル)(C)、イソプロペニル(および2−メチレン−2−イル)(C)、ブテン−4−イル(C)等を含み、置換の直鎖または分岐鎖アルケニルの非限定的な例には、2−クロロエチル(および2−クロロビニル)(C)、4−ヒドロキシブテン−1−イル(C)、7−ヒドロキシ−7−メチルオクト−4−エン−2−イル(C)、7−ヒドロキシ−7−メチルオクト−3,5−ジエン−2−イル(C)等を含む。
【0092】
非置換および非置換の直鎖または分岐鎖アルキニルは、エチニル(C)、プロプ−2−イニル(およびプロパルギル)(C)、プロピン−1−イル(C)、および2−メチル−ヘックス−4−イニ−1−イル(C)を含み、非置換の直鎖または分岐鎖アルキニルの非限定的な例は、5−ヒドロキシ−5−メチルヘックス−3−イニル(C)、6−ヒドロキシ−6−メチルヘプト−3−イニ−2−イル(C)、5−ヒドロキシ−5−エチルヘプト−3−イニル(C)等を含む。
【0093】
本明細書で使用される非置換および非置換アルコキシは、一般的な式−OR100を有する単位を意味し、式中、R100は、本明細書において先に定義されるアルキル、アルキレニル、またはアルキニル単位である(例えば、メトキシ、メトキシメチル)。
本明細書で使用される置換および非置換ハロアルキルは、1つ以上のハロゲン原子で置換された水素原子を有するアルキル単位、例えば、トリフルオロメチル、1,2−ジクロロエチル、および3,3,3−トリフルオロプロピルを意味する。
【0094】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、複合化された芳香族6員環を有する少なくとも1つのベンゼン環を含む、環状の有機単位を意味し、その非限定的な例は、フェニル(C)、ナフチレン−1−イル(C10)、ナフチレン−2−イル(C10)を含む。アリール環は、1つ以上の水素原子を別の有機または無機ラジカルで置換することができる。置換アリール環の非限定的な例は、4−フルオロフェニル(C)、2−ヒドロキシフェニル(C)、3−メチルフェニル(C)、2−アミノ−4−フルオロフェニル(C)、2−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル(C)、2−シアノフェニル(C)、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル(C)、3−メトキシフェニル(C)、8−ヒドロキシナフチレン−2−イル(C10)、4,5−ジメトキシナフチレン−1−イル(C10)、および6−シアノナフチレン−1−イル(C10)を含む。
【0095】
「ヘテロアリール」という用語は、5または6員の複合化された芳香族環を含む有機単位を意味し、該環原子のうちの少なくとも1つは、窒素、酸素、または硫黄から選択されるヘテロ原子である。ヘテロアリール環は、単一の環、例えば、5または6個の原子を有する環を含むことができ、少なくとも1つの環原子が窒素、酸素、または硫黄に限定されないヘテロ原子であって、ピリジン環、フラン環、もしくはチオフラン環等である。ヘテロアリールは、縮合多環およびヘテロ芳香族環系であり得、該環のうちの少なくとも1つは芳香環であり、該芳香族環のうちの少なくとも1つは、窒素、酸素、または硫黄を含むヘテロ原子である。
【0096】
以下は、本発明によるヘテロアリール環の非限定的な例である。
【化67】

【0097】
「複素環」という用語は、3〜10個の原子を有する環系を意味し、該環原子のうちの少なくとも1つは、窒素、酸素、または硫黄に限定されないヘテロ原子である。環は、単環、縮合環、または二環式環であり得る。複素環式環の非限定的な例は、以下を含む。
【化68】

【0098】
上述したヘテロアリールまたは複素環式環のすべては、本明細書においてさらに説明されるように、任意選択的に水素に対して1つ以上の置換基で置換され得る。
【0099】
本開示の説明を通して、チオフェン−2−イル(thiophene−2−yl)およびチオフェン−3−イル(thiophene−3−yl)というスペルの用語は、以下のそれぞれの式を有するヘテロアリール単位を説明するために使用されるが、
【化69】

本開示の化合物の命名において、これらの部分の化学的名称は、典型的には、それぞれチオフェン−2−イル(thiophen−2−yl)およびチオフェン−3−イル(thiophen−3−yl)と表記される。本明細書において、チオフェンe−2−イル(thiophene−2−yl)およびチオフェン−3−イル(thiophene−3−yl)という用語は、本明細書においてどの環が言及されているかを当業者に明白にするためのみに、本開示の化合物を構成する単位または部分としてこれらの環を説明する場合に使用される。
【0100】
本開示の目的のために、物質の「化合物」、「類似体」、および「組成物」という用語は、すべての鏡像異性形態、ジアステレオ異性、塩等を含む、本明細書に記載される化学物質を同様に十分に表し、また、物質の「化合物」、「類似体」、および「組成物」という用語は、本明細書を通して交換可能に使用される。
【0101】
範囲は、本明細書において、ある具体的なおよその値からおよび/ある具体的なおよその値までで表すことができる。そのような範囲が表される場合、別の態様は、ある特定の値からおよび/または別の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表される場合、先行する「およそ」の使用により、その特定の値が別の態様を形成することを理解されたい。各範囲の端点は、他の端点に関連しても、また他の端点とは関係しなくても、その両方において有意であることをさらに理解されたい。本明細書には多数の値が記載されており、各値は本明細書において、該値そのものに加えて、およそその特定の値としても説明されていることを理解されたい。例えば、10という値が記載される場合は、およそ10もまた記載されるものとする。また、当業者には適切に理解されるように、値が記載される場合は、該値以下の値、該値以上の値、および値間の可能な範囲もまた記載されるものとすることを理解されたい。例えば、10という値が記載される場合は、10以下の値、および10以上の値もまた記載されるものとする。また、本出願を通して、データは多数の異なる形式で提供され、このデータは端点および始点、ならびにデータ点の任意の組み合わせの範囲を表すことも理解されたい。例えば、特定のデータ点10および具体的なデータ点15が記載される場合、10および15を上回る値、それ以上の値、それ未満の値、それ以下の値、およびそれと等しい値が、ならびに10〜15の間の値が記載されていると見なされることを理解されたい。また、2つの特定の単位の間の各単位も記載されるものとすることを理解されたい。例えば、10および15が記載される場合、11、12、13、および14もまた記載されるものとする。
【0102】
「任意選択的な」または「任意選択的には」は、その後に記載される事象または状況が起こり得るかまたは起こり得ず、その記載は、事象または状況が起こる場合および起こらない場合を含むことを意味する。
【0103】
本明細書で使用される場合、「(特定の数)まで」は、番号順に先行するすべての整数に加えて、列挙される数字を含む。例えば、「5まで」は、0、1、2、3、4、および5を含む。
【0104】
「薬学的に許容される」という用語は、生物学的またはその他の点で望ましくない物質ではなく、すなわち、臨床的に許容されない生物学的影響を引き起こすことなく、またはそれが含有される薬学的組成物の他の構成成分のうちのいずれかと有害な様式で相互作用することなく、関連性のある活性化合物とともに個体に投与することができる物質である。
【0105】
本明細書に記載される化合物は、1つ以上の陰イオンまたは陽イオンを含む、薬学的に許容される塩の形態でもあり得る。以下は陰イオンの非限定的な例である。塩素イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、重硫酸イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、ピルビン酸イオン、乳酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、マレイン酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、フマル酸イオン、およびクエン酸イオン。以下は陽イオンの非限定的な例である。ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、およびビスマスイオン。
【0106】
本明細書に記載される化合物は、プロドラッグの形態でもあり得る。本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、医師または他の実行者が、不活性形態で対象に送達することを望み得、投与の後で活性化され得る化合物の前駆体または誘導体の形態を指す。そのようなプロドラッグは、親化合物と比較して、例えば、低毒性、溶解性の増加、または伝達率の向上等の特性を含み得る。
【0107】
本明細書に記載される化合物の1つのカテゴリーは、以下の式を有する3−N−シクロアルキル−5−置換−2−チオキソチアゾリジン−4−オンに関連する。
【化70】

【0108】
このカテゴリー内の化合物の例は、式中、Zが5員ヘテロアリール環である化合物を含み、該化合物は以下の式を有し、
【化71】

式中、WはO、S、またはNHであり、TはCHまたはNである。
式中、TがCHである、このカテゴリー内の本明細書に記載される化合物は、本明細書において以下のスキームIに概説され、実施例1に記載される合成にしたがって調製することができる。
スキームI
【化72】

試薬および条件:(a)PPh、DIAD、THF/−78℃〜室温
【化73】

試薬および条件:(b)Pd(PPh、トルエン、EtOH、NaCO/還流
【化74】

試薬および条件:(c)NaOAc、HOAc/還流
【0109】
式中、TがCHである、本明細書に記載されるような化合物の例を、下の表Iに列挙する。
表I
【表1】

【0110】
【表2】

【0111】
【表3】

【0112】
式中、TがCHであり、Rが二環式アルキル単位である、これらの化合物のさらなる例を表IIに列記する。表IIに列記する化合物、および式中、TがCHであり、Rが二環式アルキル単位であるさらなる化合物は、二環式アルコールをシクロアルキルアルコールに置き換えることにより、スキームIに概説され、実施例1に説明される手順を用いて調製することができる。
表II
【表4】

【0113】
【表5】

【0114】
【表6】

【0115】
本明細書に記載される化合物のさらなる例は、以下の式によって示されるように、Zがアリール環であるものを含む。
【化75】

【0116】
Zがアリール環である本明細書に記載される化合物は、本明細書において以下のスキームIIに概説され、実施例2に記載される合成にしたがって調製することができる。
スキームII
【化76】

試薬および条件:(a)NaOAc、HOAc/還流
【0117】
式中、Zがアリール環である、本明細書に記載されるような化合物の例を、以下の表IIIに列挙する。
表III
【表7】

【0118】
【表8】

【0119】
本明細書に記載される化合物の別のカテゴリーは、以下の式を有する3−N−シクロアルキル−5−置換−2−チオキソチアゾリジン−4−オンに関連する。
【化77】

【0120】
このカテゴリー内の化合物の例は、式中、Zが5員ヘテロアリール環である化合物を含み、該化合物は以下の式を有し、
【化78】

式中、WはO、S、またはNHであり、TはCHまたはNである。
【0121】
このカテゴリー内の本明細書に記載される化合物は、本明細書において以下のスキームIIIに概説され、実施例3に記載される合成にしたがって調製することができる。
スキームIII
【化79】

試薬および条件:(a)PPh、DIAD、THF/−78℃〜室温
【化80】

試薬および条件:(b)NaOAc、HOAc/還流
【0122】
式中、WがOまたはSであり、TがCHである、本明細書に記載されるような化合物の例を、下の表IIIに列挙する。
表III
【表9】

【0123】
【表10】

【0124】
【表11】

【0125】
本明細書に記載される化合物のさらなるカテゴリーは、以下の式を有する3−N−シクロアルキル−5−置換−2−チオキソチアゾリジン−4−オンに関連する。
【化81】

【0126】
このカテゴリー内の化合物の例は、式中、Zは5員ヘテロアリール環である化合物を含み、該化合物は以下の式を有し、
【化82】

式中、WはO、S、またはNHであり、TはCHまたはNである。
【0127】
式中、TがCHである、このカテゴリー内の本明細書に記載される化合物は、本明細書において以下のスキームIVに概説され、実施例4に記載される合成にしたがって調製することができる。
スキームIV
【化83】

試薬および条件:(a)(1)CHCl/還流、(2)EtOH、HCl/還流
【化84】

試薬および条件:(b)tert−BuOK、THF
【0128】
式中、TがCHである、本明細書に記載されるような化合物の例を、下の表IVに列挙する。
表IV
【表12】

【0129】
【表13】

【0130】
【表14】

【0131】
【表15】

【0132】
本明細書に記載されるような化合物の別のカテゴリーは、以下の式を有する3−N−シクロアルキル−5−置換−2−チオキソチアゾリジン−4−オンに関連する。
【化85】

【0133】
このカテゴリー内の化合物の例は、式中、Zが5員ヘテロアリール環である化合物を含み、該化合物は以下の式を有し、
【化86】

式中、WはO、S、またはNHであり、TはCHまたはNである。
【0134】
式中、TがCHである、このカテゴリー内に包含される本明細書に記載される化合物は、本明細書において以下のスキームVに概説され、実施例5に記載される合成にしたがって調製することができる。
スキームV
【化87】

試薬および条件:(a)(1)CHCl/還流、(2)EtOH、HCl/還流
【化88】

試薬および条件:(b)tert−BuOK、THF
【0135】
式中、TがCHである、本明細書に記載されるような化合物の例を、下の表Vに列挙する。
表V
【表16】

【0136】
【表17】

【0137】
【表18】

【0138】
方法
本明細書に記載される化合物は、これに限定されないが、対象におけるウイルス感染の治療おまたは予防、ウイルスの細胞への侵入の阻害、ウイルス媒介膜融合の阻害、およびウイルス融合タンパク質の不安定化を含む、様々な目的のために使用することができる。本明細書に記載される化合物は、HAの役割、すなわち、シアル酸に結合すること、または膜融合因子(membrane fusogen)としての役割を果たすこと、のうちの少なくとも1つ(および、任意選択的に1つより多く)を阻害する。例えば、本明細書に記載される化合物は、ヘマグルチニンに結合するかもしくはその活性を阻害することができる、ならびに/または、ウイルスの宿主細胞とのドッキングおよび/もしくは融合を阻害することができる。さらに、本明細書に記載される化合物は、突然変異したウイルスに対して良好な有効性を示し得る。
【0139】
例えば、対象におけるウイルス感染を治療または予防するための方法が、本明細書に記載され、該方法は、本明細書に記載される化合物または組成物のうちの1つ以上の有効量を対象に投与するステップを含む。本明細書で使用される場合、「治療」もしくは「予防」、ならびに「治療および/または予防」という用語は、予防、発症の遅延、発症後の兆候もしくは症状の憎悪の遅延、減少、または根絶、および再発の予防を含む。
また、ウイルスの細胞への侵入を阻害する方法も本明細書に記載され、該方法は、本明細書に記載される化合物または組成物のうちの1つ以上の有効量を細胞に投与するステップを含む。
【0140】
また、ウイルス媒介膜融合を阻害する方法が本明細書に記載され、該方法は、本明細書に記載される化合物または組成物のうちの1つ以上の有効量を細胞に投与するステップを含む。
【0141】
また、ウイルス融合タンパク質を不安定化させる方法が本明細書に記載され、該方法は、本明細書に記載される化合物または組成物のうちの1つ以上の有効量を、ウイルス感染細胞に投与するステップを含む。融合タンパク質を不安定化させることにより、本明細書に記載される化合物または組成物はウイルス媒介膜融合を防ぐことができ、ひいてはウイルス感染を防ぐことができる。
【0142】
本明細書に記載される化合物は、ウイルス(例えば、インフルエンザ)の感染が起こる前またはその後で、対象に投与することができる。実施例に示すように、本明細書に記載される化合物は、ビリオンの標的細胞への結合を少なくとも部分的に阻害することができ、また感染が起こった後で、ウイルスの複製を少なくとも部分的に阻害することができる。また、本明細書に記載される化合物のビリオンに対する影響は、不可逆性であると思われ、したがって、ビリオンに結合された本明細書に記載される化合物の希釈は、ウイルス感染に対する化合物の有効性を低下させる可能性は低い。また、本明細書に記載される化合物は、低濃度(例えば、0.4nMまでの低さ)で投与することができる。
【0143】
他の抗ウイルスアプローチが、ウイルス阻害のための他の潜在的な標的を標的とするために用いられている。抗ウイルス剤または抗レトロウイルス剤として使用される他の組成物は、その薬剤が阻害するウイルスまたはレトロウイルスの生活環の段階によって、広く分類される。例えば、ウイルス阻害剤として使用されている他の化合物は、これに限定されないが、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、RNAポリメラーゼ阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、酵素阻害剤、侵入阻害剤、構築阻害剤、成熟阻害剤、M2阻害剤、またはノイラミニダーゼ阻害剤を含む。
【0144】
ヌクレオシドおよびヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)は、新しく合成されたウイルスDNAに取り込まれ、それがさらに伸長するのを防ぐことにより、逆転写を阻害する。非ヌクレオシドおよびヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(nNRTI)は、酵素に結合してその機能に干渉することにより、直接的に逆転写酵素を阻害する。プロテアーゼ阻害剤(PI)は、新しいバイロンの最終的な構築のために、HIVが新生タンパク質を切断するために使用する酵素であるプロテアーゼの活性を阻害することにより、ウイルス構築を標的とする。インテグラーゼ阻害剤は、ウイルスDNAの感染細胞のDNAへの組み込みに関与するインテグラーゼという酵素を阻害する。現在、いくつかのインテグラーゼ阻害剤が臨床試験中であり、2007年10月に、ラルテグラビルが最初にFDAの承認を受けた。侵入阻害剤(または融合阻害剤)は、いくつかの標的のうちの1つをブロックすることにより、HIV−Iの結合、融合、および宿主細胞への侵入を阻害する。マラビロクおよびエンフビルチドは、このクラスで現在入手可能な2つの物質である。成熟阻害剤は、ウイルスのカプシドポリタンパク質が切断されるGagプロセシングの最終段階を阻害し、それによって、該ポリタンパク質が成熟したカプシドタンパク質に変換するのをブロックする(p24)。これらのウイルス粒子は欠陥のあるコアを有するため、放出されるビリオンは、主に非感染性粒子から構成される。ベビリマット(bevirimat)およびバイブコン(Vivecon(登録商標))の2つが開発中であるが、このクラスで現在入手可能な薬剤は存在しない。
【0145】
本明細書に記載される方法のうちのいずれにおいても、本明細書に記載される化合物は、単独で、または1つ以上の第2の化合物とともに投与することができる。例えば、本明細書に記載される化合物は、1つ以上の追加の抗ウイルス化合物と併用投与することができる。本明細書に記載される化合物と併用して使用することができる抗ウイルス化合物は、これに限定されないが、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、RNAポリメラーゼ阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、酵素阻害剤、侵入阻害剤、構築阻害剤、成熟阻害剤、M2阻害剤、およびノイラミニダーゼ阻害剤を含む。そのような追加の抗ウイルス化合物の例は、これに限定されないが、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル(タミフルTamilfu(登録商標))、Roche Laboratories, Nutley, NJ)、ザナミビル(リレンザ(Relenza(登録商標))、GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA)、ペラミビル、ラルテグラビル、マラビロク、エンフビルチド、ベビリマット(bevirimat)、バイブコン(Vivecon(登録商標))(Myriad Genetics, Salt Lake City, UT)、コンビビル(COMBIVIR(登録商標))(ジドブジン+ラミブジン、AZT+3TC)(GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA)、エムトリバ(Emtriva(登録商標))(エムトリシタビン, FTC)(Gilead Sciences, Foster City, CA)、エピビル(Epivir(登録商標))(ラミブジ、3TC)(GlaxoSmithKline, Philadephia, PA)、エプジコム(EPZICOM(登録商標))(カイベクサ、アバカビル+ラミブジン、ABC+3TC)(GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA)、レトロビル(Retrovir(登録商標))(ジドブジン、AZT, ZDV)(GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA)、トリジビル(TRIZIVIR(登録商標))(アバカビル+ジドブジン+ラミブジン、ABC+AZT+3TC) (GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA)、ツルバダ(TRUVADA(登録商標))(テノホビルDF+エムトリシタビン、TDF+FTC)(Gilead Sciences, Foster City, CA)、ヴァイデックス(Videx(登録商標))&ヴァイデックスEC(Videx EC(登録商標))(ジダノシン、ddl)(Bristol−Myers Squibb, Princeton, NJ)、ビリアードViread(登録商標))(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、TDF)(Gilead Sciences, Foster City, CA)、ゼリット(Zerit(登録商標))(スタブジン、d4T)(Bristol−Myers Squibb, Princeton, NJ)、ザイアジェン(Ziagen(登録商標))(アバカビル, ABC)(GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA)、ラシビル(Racivir(登録商標))(RCV)(Pharmasset, Princeton, NJ)、アムドキソビル(Amdoxovir(登録商標))(AMDX、DAPD)(RFS Pharma, Tucker, GA)、アプリシタビン(apricitabine)(SPD754、AVX754)、エルブシタビン(ACH−126,443、β−L−Fd4C)、イムニチン(Immunitin(登録商標))(HE2000、α−エピブロミド)(Hollis−Eden Pharmaceuticals, San Diego, CA)、プロロイキン(Proleukin(登録商標))(アルデスロイキン)、インターロイキン−2、IL−2)(Chiron Corporation, Emeryville, CA)、レミューン(Remune(登録商標))(HIV−1免疫原、ソークワクチン)(Orchestra Therapeutics, Carlsbad, CA)、BAY50−4798、IR103、インテレンス(Intelence(登録商標))(エトラビリン、TMC−125)(Tibotec Therapeutics, Irvine, CA)、レスクリプター(Rescriptor(登録商標))(デラビルジン、DLV)(Pfizer, New York, NY)、サスティバ(Sustiva(登録商標))(ストックリン、エファビレンツ、EFV)(Bristol−Myers Squibb, Princeton, NJ)、ビラミューン(Viramune(登録商標))(ネビラピン、NVP)(Boehringer Ingelheim, Ridgefield, CT)、リルピビリン(TMC−278)、アゲネラーゼ(Agenerase(登録商標))(アンプレナビル、APV)(GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA)、アプティバス(Aptivus(登録商標))(チプラナビル, TPV)(Boehringer Ingelheim, Ridgefield, CT)、クリキシバン(Crixivan(登録商標))(インジナビル、IDV)(Merck, Whitehouse Station, NJ)、インビラーゼ(Invirase(登録商標))(サキナビル, SQV)(Roche Laboratories, Nutley, NJ)、カレトラ(Kaletra(登録商標))(アルビア(Aluvia(登録商標))、ロピナビル/リトナビル、LPV/r)(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)、レクシヴァ(Lexiva(登録商標))(テルジル(Telzir(登録商標))、ホスアンプレナビル、FPV)(GlaxoSmithKline, Philadelphia, PA)、ノービア(Norvir(登録商標))(リトナビル、RTV)(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)、プリジスタ(Prezista(登録商標))(ダルナビル、DRV)(Tibotec Therapeutics, Irvine, CA)、レイアタッツ(Reyataz(登録商標))(アタザナビル、ATV)(Bristol−Myers Squibb, Princeton, NJ)、ビラセプト(Viracept(登録商標))(ネルフィナビル、NFV)(Pfizer, Inc., New York, NY)、フゼオン(Fuzeon(登録商標))(エンフビルチド、ENF、T−20)(Roche Laboratories, Inc., Nutley, NJ)、シーエルセントリ(Selzentry(登録商標))(セルセントリー(Celsentri(登録商標))、マラビロク、UK−427、857)(Pfizer, Inc., New York, NY)、ビクリビロック(Vicriviroc(登録商標))(SCH−417690、SCH−D)(Schering−Plough, Kenilworth, NJ)、PRO140(Progenies Pharmaceuticals, Tarrytown, NY)、TNX−355(Tanox, Inc., Houston, TX)、アイセントレス(Isentress(登録商標))(ラルテグラビル、MK−0518)(Merck, Whitehouse Station, NJ)、エルビテグラビル(Elvitegravir(登録商標))(GS−9137)(Gilead Sciences, Foster City, CA)、ベビリマット(bevirimat(登録商標))(PA−457)(Panacos Pharmaceuticals, Inc., Watertown, MA)、およびドロキシア(登録商標)またはハイドレア(Hydrea(登録商標))(ヒドロキシ尿素、HU)(Bristol−Myers Squibb, Princeton, NJ)を含む。
【0146】
本明細書に記載される化合物は、攻撃前にウイルスに対する予防接種を提供することができるか、または本明細書に記載される化合物は、いったんウイルスの複製が始まったら、侵襲するウイルスのさらなる複製を停止するために使用することができる。本発明の化合物は、したがって、宿主細胞または宿主生物におけるウイルスの複製を防ぐための方法、および宿主生物(例えば、インフルエンザ株、特に、A型インフルエンザまたはB型インフルエンザの亜型、とりわけ、A/Udorn/72、X−31、A/PR/8/34、A/NWS/G70C、A/Aich/68、およびB/Lee/40の予防接種を受けた、または該株に曝露された対象)を治療する方法の両方を提供する。
【0147】
また、細胞を本明細書に記載される1つ以上の化合物の有効量と接触させるステップを含む、細胞におけるウイルス感染を治療または予防するための方法も記載される。本開示は、本明細書に記載される化合物のうちの1つ以上の有効量を哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類におけるウイルス感染を治療または予防するための方法をさらに提供する。本開示は、ヘマグルチニンを本明細書に記載される化合物のうちの1つ以上の有効量に接触させるステップを含む、ヘマグルチニンおよび/または保存されたアミノ酸置換に基づく突然変異を有するヘマグルチニンを阻害することにより、対象におけるウイルス感染を治療または予防するための方法をさらに提供する。本開示は、in vivo、in vitro、およびex vivo宿主細胞の存在下において、ウイルスの複製を停止させるための方法をさらに提供する。例えば、本開示は、本明細書に記載される化合物のうちの1つ以上の有効量を対象に投与することにより、該対象(例えば、ヒト)におけるA型インフルエンザまたはB型インフルエンザの感染を治療または予防するための方法を提供する。
【0148】
本開示は、ウイルス上の表面融合タンパク質を不安定化させるために、本明細書に記載される化合物または他の化合物のうちの1つ以上の有効量を細胞に提供するステップを含む、細胞におけるウイルス感染を治療または予防するための方法を提供する。本開示は、本明細書に記載される化合物またはウイルス上の表面融合タンパク質を不安定化させる他の化合物のうちの1つ以上の有効量を哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類におけるウイルス感染を治療または予防するための方法をさらに提供する。本開示は、融合タンパク質を、本明細書に記載される化合物または表面融合タンパク質を不安定化させる他の化合物のうちの1つ以上の有効量に接触させるステップを含む、融合タンパク質および/または保存されたアミノ酸置換に基づく突然変異を有する融合タンパク質を阻害することにより、対象を治療するための方法をさらに提供する。本開示は、in vivo、in vitro、およびex vivo宿主細胞の存在下において、ウイルスの複製を停止させるための方法をさらに提供する。また本開示は、本明細書に記載される化合物またはビリオン上の表面融合タンパク質を不安定化させる他の化合物のうちの1つ以上の有効量をヒトに投与することにより、ヒトにおけるウイルス感染を治療または予防するための方法も提供する。本開示は、哺乳類(例えば、ヒト)におけるウイルス感染(例えば、A型インフルエンザまたはB型インフルエンザの感染)を治療または予防するための薬物を作製するための、本明細書に記載される化合物またはビリオン上の表面融合タンパク質を不安定化させる他の化合物のうちの1つ以上の使用にさらに関連する。本開示は、in vivo、in vitro、またはex vivoである潜在的な宿主細胞の存在下において、ウイルス融合タンパク質を阻害するための薬物を作製するための、本明細書に記載される化合物またはビリオン上の表面融合タンパク質を不安定化させる他の化合物の使用にさらに関連する。
【0149】
本明細書を通して使用されるように、対象は個体であることを意味する。したがって、対象は、ヒト、霊長類、ペット(例えば、ネコ、イヌ等)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等)、および実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット等)を含む哺乳類、ならびに鳥類を含み得る。
【0150】
製剤
本開示は、本開示による化合物を含む組成物または製剤にも関連する。本開示の組成物は、本発明による1つ以上のウイルス阻害剤の有効量(例えば、約0.001mg〜約1000mg、約0.01mg〜約100mg、および約0.1〜約10mg)、ならびに1つ以上の賦形剤を含む。
【0151】
賦形剤が、主に安全で、安定した、機能的な薬学的組成物の送達において役立つように使用され、それらは、送達のための総合的なビヒクルの一部としての機能を果たすだけでなく、有効成分の受け手による効率的な吸収を達成するための手段としての機能も果たす。賦形剤は、不活性増量剤のような単純かつ直接的な役割を果たすことができ、または本明細書で使用される賦形剤は、成分を確実に胃まで安全に送達するためのpH安定化システムもしくはコーティングの一部であり得る。本開示の化合物は改善された細胞の能力、薬物動態学的特性、および改善された経口バイオアベイラビリティを有する。
【0152】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、所望のまたは治療上の結果を達成するために必要な投与量で、該期間にわたって効果的な、1つ以上のウイルス阻害剤の量を指す。組成物を投与するための効果的な投与量およびスケジュールは経験的に決定することができ、そのような決定は当業者の能力の範囲内である。組成物の投与のための投与量の範囲は、疾患の症状が影響を受ける所望の効果をもたらすために十分広い投与量の範囲である。投与量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応等の有害な副作用を引き起こすほど多くてはならない。一般的に、投与量は、対象の年齢、状態、性別および疾患の程度、投与経路、または他の薬剤が投与計画に含まれているかどうかによって変動し、当業者によって決定され得る。いずれの禁忌の場合にも、投与量は個々の医師により調節され得る。投与量は変動し得、1日1回以上の用量で、1日または数日間にわたって投与され得る。ガイダンスは、医薬製剤の所与のクラスについての適切な投与量に関する文献に見出すことができる。単独で使用される本明細書に記載される化合物の典型的な1日の投与量は、上述した要因に依存して、体重1kg当たり約0.1mg/kgから10mg/kgまで、またはそれを上回る範囲であり得る。
【0153】
対象におけるウイルスの侵襲を治療もしくは予防するため、対象におけるウイルス感染を予防するため、ウイルスの細胞への侵入を阻害するため、ウイルス媒介膜融合を阻害するため、またはウイルス融合タンパク質を不安定化させるための、本明細書に記載される化合物のうちの1つ以上の投与に続いて、様々な方法で該化合物の有効性を評価することができ、そのいくつかは熟練した医師には既知である。
【0154】
薬学的組成物は、任意の好適な手段を用いて、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣剤作製、研和、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥のプロセスによって、製造することができる。
【0155】
本開示による使用のための薬学的組成物は、したがって、活性化合物を薬学的に使用することができる調製物へと加工し易くする賦形剤および補助剤を含む、1つ以上の生理的または薬学的に許容される担体(ビヒクル、または希釈剤)を用いて、従来の様式で処方することができる。適切な処方は、選択される投与経路に依存する。
【0156】
注射、経粘膜、経口、吸入、点眼、経直腸、長時間作用する移植、リポソーム、エマルジョン、または持続放出手段を含む、対象に薬学的組成物を投与する任意の好適な方法を、本明細書に記載されるような治療方法に使用することができる。
【0157】
注射については、本明細書に記載する物質は、水溶液中で、好ましくはハンクス液、リンゲル液、または生理食塩緩衝液等の生理的に適合性のある緩衝液中で処方することができる。経粘膜投与については、バリアを透過するために適切な浸透剤が製剤において使用される。そのような浸透剤は、一般的に当該技術分野において既知である。点眼投与については、当該技術分野において周知であるように、適切な生理食塩水中の懸濁液が使用される。
【0158】
経口投与については、活性化合物を当該技術分野において周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることによって、化合物を容易に処方することができる。そのような担体は、本明細書に記載される化合物が、治療される対象による摂食のための錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として処方されることを可能にする。経口的使用のための薬学的調製物は固体賦形剤として得ることができ、所望の場合は、錠剤または糖衣剤の核を得るために、好適な補助剤を添加した後に、任意選択的に、得られた混合物を粉砕して、該混合物の顆粒を加工する。好適な賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖類、ならびに例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニル−ピロリジン(PVP)等のセルロース調製物等の充填剤を含む。所望の場合、例えば、架橋したポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギニン酸もしくはその塩(アルギニン酸ナトリウム等)等の崩壊剤を添加することができる。
【0159】
糖衣剤の核は、好適なコーティングを用いて提供される。この目的のために、濃縮糖溶液を用いることができ、それは、アラビアガム、滑石、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意選択的に含有し得る。識別のため、または活性化合物の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、染料および顔料を錠剤または糖衣剤のコーティングに添加することができる。
【0160】
経口的に使用され得る薬学的調製物は、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル(push−fit capsules)、ならびにゼラチン製およびグリセロールまたはソルビトール等の可塑剤製の柔軟な密封されたカプセルを含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、および/または滑石またはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、また任意選択的に安定化剤と混合された有効成分を含有し得る。ソフトカプセル内では、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコール等の好適な液体に、活性化合物を溶解または懸濁させることができる。また、安定化剤を添加することもできる。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に好適な投与量であるべきである。
【0161】
頬側投与については、組成物は従来の様式で処方された錠剤またはロゼンジの形態を採ることができる。
【0162】
吸入による投与については、本明細書に記載される化合物は、好適な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適な気体を使用して、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレー形式の形態で従来どおりに送達される。加圧エアロゾルの場合は、計量される量を送達するためのバルブを備えることにより、投与量単位を決定することができる。吸入器または吹入器で使用するための、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物とラクトースまたはデンプン等の好適な粉末基剤との粉末混合物を含有するように処方することができる。
【0163】
化合物は、例えば、ボーラス注射または持続点滴のような注射による非経口的投与のために処方することができる。注射のための製剤は、添加された保存剤とともに単位投与量の形態、例えば、アンプルまたは複数用量容器で、提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルジョン等の形態を採ることができ、懸濁化剤、安定剤、および/または分散剤等の処方物質(formulatory agents)を含有し得る。
【0164】
非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態の活性化合物の水性溶液を含む。また、活性化合物の懸濁液を、適切な油性注射懸濁液として調製することができる。好適な親油性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油等の脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストラン等の懸濁液の粘性を増加させる物質を含有し得る。任意選択的に、懸濁液は、化合物の溶解性を増加させて高濃度の溶液の調製を可能にする、好適な安定化剤または物質を含有し得る。
【0165】
代替として、有効成分は、使用前に、無菌の発熱物質を含まない水等の好適なビヒクルで構成するための、粉末形態であり得る。
【0166】
化合物は、例えば、カカオバターまたは他のグリセリド等の従来の坐薬基剤を含有する、座薬または停留浣腸等の直腸用組成物中に処方することもできる。
【0167】
上述した製剤の他に、化合物をデポ剤(depot preparation)として処方することもできる。そのような長時間作用する製剤は、移植(例えば、皮下もしくは筋肉内に)または筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、化合物は、好適なポリマー物質もしくは疎水性物質(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂とともに、あるいは難溶性誘導体(例えば、難溶性塩)として処方することができる。
【0168】
本明細書に記載される疎水性化合物のための薬学的担体の一種は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水性相を含む共溶媒系である。
【0169】
共溶媒系は、VPD共溶媒系であり得る。VPDは、無水エタノール中で規定の体積まで充填した3%w/vベンジルアルコール、8%w/v非極性界面活性剤ポリソルベート80、および65%w/vポリエチレングリコール300の溶液である。VPD共溶媒系(VPD:5W)は、5%デキストロース水溶液で1:1に希釈されたVPDから成る。この共溶媒系は、疎水性化合物を十分に溶解し、それ自体は、全身投与の際の毒性が低い。当然、共溶媒系の割合は、その溶解性および毒性特徴を破壊することなく大幅に多様であり得る。さらに、共溶媒構成成分の内容も多用であり得る。例えば、ポリソルベート80の代わりに他の低毒性の非極性界面活性剤を用いることができ、ポリエチレングリコールの分画サイズが多様であり得、ポリエチレングリコールを、例えば、ポリビニルピロリドンのような他の生体適合性ポリマーに置き換えることができ、ブドウ糖を他の糖類または多糖類で置き換えることができる。
【0170】
代替として、疎水性薬学的化合物のための他の送達システムを用いることができる。リポソームおよびエマルジョンは、疎水性薬剤のための送達ビヒクルまたは担体の周知の例である。ジメチルスルホキシド等の特定の有機溶媒も、用いることができる。
【0171】
また、治療剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックス等の、任意の好適な持続放出システムを用いて化合物を送達することができる。様々な持続放出物質が確立されており、それらは当業者に周知である。持続放出カプセルは、それらの化学的性質に依存して、長時間にわたって化合物を放出することができる。治療用試薬の化学的特性および生物学的安定性に依存して、タンパク質安定化のためのさらなる戦略を用いることができる。
【0172】
薬学的組成物は、好適な固体相またはゲル相の担体または賦形剤も含み得る。そのような担体または賦形剤の例は、これに限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、ゼルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコール等のポリマーを含む。
【0173】
本明細書に記載される物質の多くは、薬学的に許容される対イオンとの塩として提供され得る。塩は、水性または他のプロトン性溶媒において、対応する遊離塩基形よりも溶解性である傾向にある。
【0174】
本明細書に記載される他の態様は、哺乳類における状態または疾患を治療する方法本であって、明細書に記載される薬学的組成物を該哺乳類に投与するステップを含む方法を含む。
【実施例1】
【0175】
3−N−シクロアルキル−5−[(フェニルまたは置換フェニル)フラン−2−イル]メチレン−2−チオキソチアゾリジン−4−オンまたは3−N−シクロアルキル−5−[(フェニルまたは置換フェニル)チオフェン−2−イル]メチレン−2−チオキソチアゾリジン−4−オンの調製
3−シクロアルキルロダニンの調製(1):THF(150mL)中のトリフェニルホスフィン(PPh)(6.3g、24mmol)の溶液に、DIAD(5.2g、24mmol)を−78℃で2分以内に添加し、形成された混合物を同じ温度で10分間撹拌し、続いて対応するシクロアルキルアルコール(30mmol)を同じ温度で添加した。10分間撹拌した後、ロダニン(2.7g、20mmol)を上記溶液に−78℃で添加して、形成された混合物を最初に−78℃で10分間撹拌し、次いで室温まで温めてから一晩撹拌した。水(30mL)を添加することにより反応物を活性化させ、形成された固体を濾過にかけ、酢酸エチル(3×30mL)を用いて水相を抽出した。併せた有機相を鹹水(20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去した後、シリカゲル(酢酸エチル−ヘキサン)上のカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製して、所望の化合物を得た。
【0176】
5−(非置換もしくは置換)フランまたは5−(非置換もしくは置換)チオフェンの調製(2):5−ブロモフラン−2−カルバルデヒド(1.5g、8.57mmol)、トルエン(30mL)中の適切なフェニルボロン酸(9mmol)、エタノール(15mL)、および飽和水性NaCO(30mL)の溶液に、Pd(PPh(104mg、0.09mmol)を室温で添加して、反応混合物を10時間還流した。室温まで冷却した後、該混合物を濃縮し、残渣をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。併せた有機相を最初に鹹水で洗浄し(2×10mL)、次いで無水NaSO上で乾燥させた。溶媒を除去した後、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl)で残渣を精製して、所望の生成物を得た。
【0177】
類似体の調製(3):AcOH(5mL)中の3−N−シクロアルキル−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(0.5mmol)および5−アリールまたは5−置換アリールフラン−2−イルカルボキサルデヒド、5−アリールまたは5−置換アリールチオフェン−2−イル(thiophene−2−yl)カルボキサルデヒド(0.5mmol)の溶液に、無水AcONa(123mg、1.5mmol)を室温で添加し、混合物を16時間還流した。室温まで冷却した後、該混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈して、有機相を水で洗浄し(3×10mL)、次いで無水NaSO上で乾燥させた。真空下で溶媒を除去し、酢酸エチル−ヘキサンから残渣を再結晶化して、所望の生成物を得た。
【0178】
以下は、スキームIおよび実施例1の手順を用いて調製される化合物の非限定的な例である。
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(3,4−ジフルオロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A37):
【化89】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.31(s、1H)、7.17−7.14(m、2H)、6.68−6.63(m、1H)、6.15(d、J=3.6Hz、1H)、6.03(d、J=3.6Hz、1H)、5.37−5.32(m、1H)、2.70−2.68(m、2H)、1.76−1.73(m、4H)、1.30−1.16(m、4H)。
【0179】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(4−メチルフェニル)フラン−2−イル]メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A3):
【化90】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.66−7.65(m、2H)、7.36(s、1H)、7.01−6.99(m、2H)、6.32(d、J=3.6Hz、1H)、6.24(d、J=3.6Hz、1H)、5.39−5.34(m、1H)、2.72−2.70(m、2H)、2.18(s、3H)、1.75−1.73(m、4H)、1.54−1.52(m、1H)、1.30−1.16(m、4H)。
【0180】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(4−メトキシフェニル)フラン−2−イル]メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A4):
【化91】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.65−7.63(m、2H)、7.37(s、1H)、6.76−6.74(m、2H)、6.25(d、J=3.6Hz、1H)、6.24(d、J=3.6Hz、1H)、5.41−5.36(m、1H)、3.38(m、3H)、2.74−2.72(m、2H)、1.76−1.74(m、4H)、1.55−1.52(m、1H)、1.31−1.23(m、4H)。
【0181】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(4−メトキシフェニル)フラン−2−イル]メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A5):
【化92】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.65−7.63(m、2H)、7.37(s、1H)、6.76−6.74(m、2H)、6.25(d、J=3.6Hz、1H)、6.24(d、J=3.6Hz、1H)、5.41−5.36(m、1H)、3.38(m、3H)、2.74−2.72(m、2H)、1.76−1.74(m、4H)、1.55−1.52(m、1H)、1.31−1.23(m、4H)。
【0182】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル]メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A6):
【化93】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.77(s、1H)、7.19−7.16(m、2H)、6.84−6.80(m、2H)、6.76−6.74(m、2H)、5.34−5.29(m、1H)、2.70−2.67(m、2H)、1.76−1.73(m、4H)、1.54−1.48(m、1H)、1.30−1.16(m、3H)。
【0183】
(Z)−3−シクロオクチル−5−[(5−フェニルフラン−2−イル)メチレン]−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A8):
【化94】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.70(m、2H)、7.37(s、1H)、7.19−7.16(m、2H)、7.13−7.10(m、1H)、6.31(d、J=3.6Hz、1H)、6.22(d、J=3.6Hz、1H)、5.70(br、1H)、2.64(br、2H)、1.81−1.52(m、12H)。
【0184】
(Z)−3−シクロオクチル−5−{[(4−フルオロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A11):
【化95】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.44−7.42(m、2H)、7.37(s、1H)、6.80−6.77(m、2H)、6.22(m、1H)、6.17(m、1H)、5.70(br、1H)、2.64(br、2H)、2.16(s、3H)、1.82−1.47(m、12H)。
【0185】
(Z)−3−シクロオクチル−5−{[(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A12):
【化96】

H−NMR(500MHz、C):δ 8.24−8.23(m、1H)、7.77−7.75(m、1H)、7.68−7.67(m、1H)、7.33(s、1H)、6.80−6.76(m、1H)、5.68(br、1H)、2.64(br、2H)、1.81−1.53(m、12H)。
【0186】
(Z)−3−シクロオクチル−5−((5−(4−メトキシフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A20):
【化97】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.64(s、1H)、7.62(s、1H)、7.39(s、1H)、6.75(s、1H)、6.74(s、1H)、6.27(d、J=3.4Hz、1H)、6.24(d、J=3.4Hz、1H)、5.72(br、1H)、3.38(s、3H)1.83−1.53(m、14H);13C−NMR(125MHz、C):δ 194.2、167.3、160.6、158.8、149.2、126.3、122.1、120.5、116.8、114.7、107.1、58.1、54.7、30.7、26.4、26.3、25.6。
【0187】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−((5−(3,4−ジフルオロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A9):
【化98】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.33(s、1H)、7.19−7.15(m、2H,)、6.70−6.65(m、1H)、6.18(d、J=3.7Hz、1H)、6.06(d、J=3.7Hz、1H)、5.45(br、1H)、1.85−1.46(m、12H);13C NMR(125MHz、C):δ 193.7、167.2、155.6、151.6、150.1、149.8、149.6、149.5、126.3、126.2、120.8、120.7、119.6、118.1、116.2、113.3、109.0、59.6、30.8、27.7、26.0。
【0188】
(Z)−3−シクロヘプチル−2−チオキソ−5−((5−p−トリルフラン−2−イル)メチレン)チアゾリジン−4−オン(A10):
【化99】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.66(s、1H)、7.65(s、1H)、7.38(s、1H)、7.01(s、1H)、7.00(s、1H)、6.32(d、J=3.7Hz、1H)、6.25(d、J=3.7Hz、1H)、5.48(Br、1H)、2.16(s、3H)、1.84−1.45(m、12H);13C NMR(125MHz、C)δ 194.2、167.3、158.7、149.5、139.0、129.8、126.7、124.6、120.2、116.7、107.9、59.5、30.9、27.7、26.0、21.0。
【0189】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−((5−(4−フルオロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A11):
【化100】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.44(d、J=5.4Hz、1H)、7.42(d、J=5.4Hz、1H)、7.35(s、1H)、6.79(d、J=8.5Hz、1H)、6.77(d、J=8.5Hz、1H)、6.23(d、J=3.5Hz、1H)、6.18(d、J=3.5Hz、1H)、5.46(Br、1H)、1.84−1.46(m、12H);13C NMR(125MHz、C):δ 193.9、167.3、164.1、162.1、157.2、149.8、126.5、126.4、125.5、119.9、116.5、116.2、116.0、108.1、59.5、30.8、27.7、26.0。
【0190】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−((5−フェニルフラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A8):
【化101】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.70−7.68(m、2H)、7.36(s、1H)、7.18−7.16(m、2H)、7.13−7.11(m、1H)、6.32(d、J=3.6Hz、1H)、6.23(d、J=3.6Hz、1H)、5.47(br、1H)、1.83−1.46(m、12H);13C NMR(125MHz、C):δ 194.1、167.3、158.3、149.8、129.3、129.0、128.8、124.6、120.0、116.7、108.5、59.5、30.9、27.7、26.0。
【0191】
(Z)−3−シクロドデシル−5−((5−フェニルフラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A23):
【化102】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.70−7.68(m、2H)、7.35(s、1H)、7.19−7.16(m、2H)、7.12−7.09(m、1H)、6.31(d、J=3.6Hz、1H)、6.22(d、J=3.6Hz、1H)、5.77(br、1H)、2.11(br、2H)、1.93(br、2H)、1.76(br、2H)、1.43(br、16H);13C−NMR(125MHz、C):δ 195.5、167.5、158.3、149.8、129.2、129.0、128.8、124.6、120.1、116.7、108.5、54.1、27.3、24.6、24.3、23.0、22.9、22.4。
【0192】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−((5−(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソ−チアゾリジン−4−オン(A12):
【化103】

H−NMR(500MHz、C):δ 8.25(s、1H)、7.77−7.15(m、1H)、7.68−7.66(m、1H)、7.32(s、1H)、6.80−6.76(m 1H)、6.14(d、J=3.7Hz、1H)、6.08(d、J=3.7Hz、1H)、5.45(br、1H)、1.85−1.44(m、12H);13C NMR(125MHz、C):δ 193.6、167.1、155.1、150.5、148.8、130.3、129.9、128.9、122.6、119.4、119.0、116.1、110.2、29.6、30.9、27.7、25.9。
【0193】
(Z)−3−シクロオクチル−5−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチレン)−2−チオキソ−チアゾリジン−4−オン(A21):
【化104】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.79(s、1H)、7.20(d、J=5.4Hz、1H)、7.18(d、J=5.4Hz、1H)、6.83(d、J=8.5Hz、1H)、6.81(d、J=8.5Hz、1H)、6.77(s、2H)、5.64(br、1H)、1.75−1.52(m、14H);13C NMR(125MHz、C)δ 192.1、167.2、164.1、162.1、150.2、137.6、134.5、129.5、129.5、124.4、123.9、116.1、115.9、58.4、30.7、26.4、26.2、25.6。
【0194】
(Z)−3−シクロドデシル−5−((5−(3,4−ジフルオロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソ−チアゾリジン−4−オン(A24):
【化105】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.31(s、1H)、7.19−7.15(m、2H)、6.71−6.67(m、1H)、6.19(d、J=3.7Hz、1H)6.08(d、J=3.7Hz、1H)5.74(Br、1H)2.10(br、2H)、1.91(br、2H)、1.74(br、2H)、1.43(br、16H)。13C−NMR(125MHz、C):δ 195.0、167.4、155.7、151.8、151.7、151.6、151.5、150.1、149.8、149.7、149.6、149.5、126.3、126.3、126.2、120.8、120.7、120.7、120.7、119.6、118.1、118.0、116.3、113.4、113.3、109.0、54.3、53.0、27.3、24.5、24.3、23.0、22.9、22.4。
【0195】
(Z)−3−シクロドデシル−2−チオキソ−5−((5−p−トリルフラン−2−イル)メチレン)チアゾリジン−4−オン(A25):
【化106】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.65(s、1H)、7.64(s、1H)、7.36(s、1H)、7.01(s、1H)、7.00(s、1H)、6.32(d、J=3.6Hz、1H)、6.25(d、J=3.6Hz、1H)、5.77(Br、1H)、2.16(s、3H)、2.13(br、2H)、1.94(br、2H)、1.77(br、2H)、1.43(br、16H);13C−NMR(125MHz、C)δ 195.5、167.5、158.7、149.5、139.0、129.8、127.2、124.5、119.7、106.6、54.1、53.1、24.1、22.7、22.6、21.0。
【0196】
(Z)−3−シクロドデシル−5−((5−(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソ−チアゾリジン−4−オン(A27):
【化107】

H−NMR(500MHz、C)δ 8.24(s、1H)、7.76(d、J=7.6Hz、1H)、7.67(d、J=7.6Hz、1H)、7.32(s、1H)、6.81−6.78(m、1H)、6.13(d、J=3.7Hz、1H)、6.09(d、J=3.7Hz、1H)、5.75(br、1H)、2.10(br、2H)、1.92(br、2H)、1.75(br、2H)、1.43(br、16H)。
【0197】
(Z)−3−シクロドデシル−5−((5−(4−フルオロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソ−チアゾリジン−4−オン(A26):
【化108】

H−NMR(500MHz、C)δ 7.78(s、1H)、7.19(d、J=5.3Hz、1H)、7.17(d、J=5.3Hz、1H)、6.83(d、J=8.5Hz、1H)、6.81(d、J=8.5Hz、1H)、6.76(s、2H)、5.72(Br、1H)、2.09(br、2H)、1.91(br、2H)、1.73(br、2H)、1.43(br、16H);13C−NMR(125MHz、C)δ 193.4、167.5、164.1、162.1、150.3、137.5、134.6、129.5、129.4、124.4、124.1、116.1、115.9、54.4、27.3、24.5、24.3、23.0、22.9、22.4。
【0198】
(Z)−3−シクロドデシル−5−((5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル)メチレン)−2−チオキソ−チアゾリジン−4−オン(A29):
【化109】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.78(s、1H)、7.19(d、J=5.3Hz、1H)、7.17(d、J=5.3Hz、1H)、6.83(d、J=8.5Hz、1H)、6.81(d、J=8.5Hz、1H)、6.76(s、2H)、5.72(Br、1H)、2.09(br、2H)、1.91(br、2H)、1.74(br、2H)、1.42(br、16H);13C NMR(125MHz、C):δ 193.4、167.5、164.1、162.1、150.3、137.5、134.6、129.5、129.4、124.4、124.1、116.1、115.9、54.4、27.3、24.5、24.3、23.0、22.9、22.4。
【0199】
(Z)−3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−2−チオキソ−5−((5−p−トリルフラン−2−イル)メチレン)−チアゾリジン−4−オン(A30):
【化110】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.66(s、1H)、7.65(s、1H)、7.35(s、1H)、7.01(s、1H)、7.00(s、1H)、6.32(d、J=3.5Hz、1H)、6.24(d、J=3.5Hz、1H)、5.16(m、1H)2.66−2.55(m、3H)、2.38(s、1H)、2.16(s、3H)、1.76−1.70(m、1H)、1.48−1.28(m、4H)、1.13−1.11(m、1H);13C−NMR(125MHz、C):δ 196.3、167.5、158.6、149.6、139.0、129.8、126.7、124.6、120.0、116.7、107.9、62.8、41.7、38.0、36.7、35.2、29.4、28.1、21.0。
【0200】
(Z)−3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−5−((5−(4−メトキシフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A31):
【化111】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.64(s、1H)、7.62(s、1H)、7.36(s、1H)、6.76(s、1H)、6.74(s、1H)、6.27(d、J=3.3Hz、1H)、6.25(d、J=3.3Hz、1H)、5.17(m、1H)、3.39(s、1H)、2.67−2.57(m、3H)、2.39(s、1H)、2.16(s、3H)、1.77−1.72(m、1H)、1.52−1.29(m、4H)、1.13−1.11(m、1H);13C−NMR(125MHz、C):δ 196.3、167.5、160.6、158.7、149.3、126.2、122.1、120.4、119.4、116.8、114.7、107.1、62.8、54.7、41.7、38.0、36.7、35.2、29.4、28.1。
【0201】
(Z)−3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−5−((5−(3,4−ジフルオロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A32):
【化112】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.30(s、1H)、7.18−7.15(m、2H)、6.69−6.64(m、1H)、6.15(d、J=3.7Hz、1H)、6.04(d、J=3.7Hz、1H)、5.13(m、1H)、2.63−2.53(m、3H)、2.38(s、1H)、1.76−1.70(m、1H)、1.51−1.28(m、4H)、1.13−1.10(m、1H);13C−NMR(125MHz、C):δ 195.8、167.4、155.6、151.8、151.7、151.6、151.5、150.2、149.8、149.7、149.5、121.1、120.8、120.7、120.7、120.7、119.4、118.1、118.0、116.2、113.4、113.3、109.0、62.9、41.7、38.0、36.7、35.2、29.3、28.1。
【0202】
(Z)−3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−5−((5−(4−フルオロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A33):
【化113】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.44(d、J=5.3Hz、1H)、7.42(d、J=5.3Hz、1H)、7.42(s、1H)、6.79(d、J=8.5Hz、1H)、6.77(d、J=8.5Hz、1H)、6.21(d、J=3.6Hz、1H)、6.17(d、J=3.6Hz、1H)、5.14(m、1H)、2.64−2.54(m、3H)、2.38(s、1H)、1.77−1.71(m、1H)、1.52−1.29(m、4H)、1.14−1.11(m、1H);13C−NMR(125MHz、C):δ 196.1、167.5、164.0、162.1、157.2、149.8、126.5、126.4、125.5、120.4、119.8、116.5、116.2、116.0、108.1、62.9、41.7、38.0、36.7、35.2、29.4、28.1。
【0203】
(Z)−3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−5−((5−(2−フルオロピリジン−3−イル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A34):
【化114】

H−NMR(500MHz、CN):δ 8.11(m、1H)、8.00(d、J=3.6Hz、1H)、7.62(s、1H)、7.07(d、J=3.6Hz、1H)、6.27(d、J=6.7Hz、1H)、6.25(d、J=6.7Hz、1H)、5.06(m、1H)、2.58(s、1H)、2.51−2.47(m、2H)、2.31(s、1H)、1.74−1.69(m、1H)、1.47−1.08(m、5H);13C−NMR(125MHz、CN):δ 195.7、166.6、159.0、154.5、134.5、120.9、119.1、118.5、116.4、113.5、104.6、62.0、40.7、37.0、35.7、34.2、28.4、27.2。
【0204】
(Z)−3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−5−((5−(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A35):
【化115】

H−NMR(500MHz、C):δ 8.24(s、1H)、7.75(d、J=7.7Hz、1H)、7.67(d、J=7.7Hz、1H)、7.29(s、1H)、6.78−6.74(m、1H)、6.10(d、J=3.7Hz、1H)、6.05(d、J=3.7Hz、1H)、5.12(m、1H)、2.62−2.52(m、3H)、2.38(s、1H)、1.76−1.70(m、1H)、1.50−1.29(m、4H)、1.13−1.11(m、1H)。
【0205】
(Z)−3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−5−((5−(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル)メチレン)−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(A36):
【化116】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.70−7.68(m、2H)、7.33(s、1H)、7.19−7.16(m、2H)、7.13−7.11(m、1H)、6.32(d、J=3.6Hz、1H)、6.23(d、J=3.6Hz、1H)、5.14(m、1H)、2.64−2.54(m、3H)、2.38(s、1H)、1.77−1.70(m、1H)、1.48−1.28(m、4H)、1.14−1.11(m、1H);13C−NMR(125MHz、C):δ 196.2、167.5、158.2、149.9、129.3、129.0、128.8、124.5、120.4、119.9、116.6、108.5、62.8、41.7、38.0、36.7、35.2、29.4、28.1。
【実施例2】
【0206】
3−N−シクロアルキル−5−(置換または非置換のビフェニル−3−イル)メチレン−2−チオキソチアゾリジン−4−オンの調製
類似体の調製(5):AcOH(5mL)中の3−N−シクロアルキル−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(0.5mmol)および置換または非置換のビフェニル−3−カルボキサルデヒド(0.5mmol)の溶液に、無水AcONa(123mg、1.5mmol)を室温で添加し、混合物を16時間還流した。室温まで冷却した後、該混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈して、有機相を水で洗浄し(3×10mL)、次いで無水NaSO上で乾燥させた。真空下で溶媒を除去し、酢酸エチル−ヘキサンから残渣を再結晶化して、所望の生成物を得た。
【0207】
以下は、スキームIIおよび実施例2の手順を用いて調製される化合物の非限定的な例である。
(Z)−3−シクロヘキシル−5−[(4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチレン]−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(F1):
【化117】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.66−7.54(m、7H)、7.17−7.14(m、2H)、5.05−5.00(m、2H)、2.45−2.42(m、2H)、1.91−1.89(m、2H)、1.73−1.70(m、3H)、1.44−1.27(m、3H)。
【0208】
(Z)−3−シクロオクチル−5−[(3’−フルオロビフェニル−3−イル)メチレン]−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(F2):
【化118】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.68−7.08(m、9H)、5.38−5.35(m、1H)、2.40(m、2H)、1.84−1.67(m、12H)。
【0209】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−[(3’−フルオロビフェニル−3−イル)メチレン]−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(F3):
【化119】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.68−7.08(m、9H)、5.38−5.35(m、1H)、2.40(m、2H)、1.84−1.67(m、12H)。
【0210】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−[(3’−フルオロビフェニル−3−イル)メチレン]−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(F4):
【化120】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.66−7.54(m、7H)、7.18−7.14(m、2H)、5.16(br、1H)、2.40−2.39(m、2H)、1.83−1.54(m、12H)。
【0211】
(Z)−3−シクロオクチル−5−[(4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチレン]−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(F5):
【化121】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.66−7.54(m、8H)、7.18−7.14(m、2H)、5.37(br、1H)、2.40−2.39(m、2H)、1.84−1.57(m、14H)。
【0212】
(Z)−3−シクロペンチル−5−[(4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチレン]−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(F6):
【化122】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.67−7.54(m、7H)、7.18−7.15(m、2H)、5.54−5.47(m、1H)、2.27−1.66(m、8H)。
【0213】
(Z)−3−アダマンタン−5−[(3’−フルオロビフェニル−3−イル)メチレン]−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(F7):
【化123】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.68−7.08(m、7H)、5.15(s、1H)、2.52−2.44(m、4H)、2.00−1.73(m、10H)。
【実施例3】
【0214】
3−N−シクロアルキル−5−[(フェニルまたは置換フェニル)フラン−2−イル]メチレン−チアゾリジン−2,4−ジオンまたは3−N−シクロアルキル−5−[(フェニルまたは置換フェニル)チオフェン−2−イル]メチレンチアゾリジン−2,4−ジオンの調製
3−シクロアルキルチアゾリジン−2,4−ジオンの調製(6):THF(150mL)中のトリフェニルホスフィン(PPh)(6.3g、24mmol)の溶液にDIAD(5.2g、24mmol)を−78℃で2分以内に添加し、形成された混合物を同じ温度で10分間撹拌し、続いて対応するシクロアルキルアルコール(30mmol)を同じ温度で添加した。10分間撹拌した後、チアゾリジン−2,4−ジオン(2.3g、20mmol)を上記溶液に−78℃で添加して、形成された混合物を最初に−78℃で10分間撹拌し、次いで室温まで温めてから一晩撹拌した。水(30mL)を添加することにより反応物を活性化させ、形成された固体を濾過にかけ、酢酸エチル(3×30mL)を用いて水相を抽出した。併せた有機相を鹹水(20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去した後、シリカゲル(酢酸エチル−ヘキサン)上のカラムクロマトグラフィーで粗生成物を精製して、所望の化合物を得た。
【0215】
チアゾリジン−2,4−ジオン類似体の調製(7):AcOH(5mL)中の3−N−シクロアルキル−チアゾリジン−2,4−ジオン(0.5mmol)および5−アリールまたは5−置換アリールフラン−2−イルカルボキサルデヒド、5−アリールまたは5−置換アリールチオフェン−2−イル(thiophene−2−yl)カルボキサルデヒド(0.5mmol)の溶液に、無水AcONa(123mg、1.5mmol)を室温で添加し、混合物を16時間還流した。室温まで冷却した後、該混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈して、有機相を水で洗浄し(3×10mL)、次いで無水NaSO上で乾燥させた。真空下で溶媒を除去し、酢酸エチル−ヘキサンから残渣を再結晶化して、所望の生成物を得た。
【0216】
以下は、スキームIIIおよび実施例3の手順を用いて調製される化合物の非限定的な例である。
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}チアゾリジン−2,4−ジオン(B1):
【化124】

H−NMR(500MHz、C):δ 8.26(m、1H)、7.79−7.76(m、1H)、7.62(m、2H)、6.86−6.83(m、1H)、6.14(d、J=3.6Hz、1H)、6.09(d、J=3.6Hz、1H)、4.53−4.48(m、1H)、2.49−2.42(m、2H)、1.69−1.64(m、5H)、1.48(m、3H)。
【0217】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(4−メトキシフェニル)フラン−2−イル]メチレン}チアゾリジン−2,4−ジオン(B2):
【化125】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.70(s、1H)、7.65−7.63(m、2H)、6.84−6.82(m、2H)、6.29(d、J=3.6Hz、1H)、6.28(d、J=3.6Hz、1H)、4.56−4.50(m、1H)、3.40(s、3H)、2.52−2.45(m、2H)、1.68−1.66(m、4H)、1.49(m、1H)、1.21−1.10(m、3H)。
【0218】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−[(5−フェニルフラン−2−イル)メチレン]チアゾリジン−2,4−ジオン(B4):
【化126】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.69−7.68(s、2H)、7.66(s、1H),7.25−7.21(m、2H)、7.15−7.12(m、1H)、6.33(d、J=3.6Hz、1H)、6.24(d、J=3.6Hz、1H)、4.54−4.48(m、1H)、2.50−2.43(m、2H)、1.68−1.64(m、4H)、1.49(m、1H)、1.20−1.10(m、3H)。
【0219】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル]メチレン}チアゾリジン−2,4−ジオン(B5):
【化127】

H−NMR(500MHz、C):δ 8.09(s、1H)、7.20−7.17(m、2H)、6.82−6.77(m、4H)、4.52−4.47(m、1H)、2.48−2.40(m、2H)、1.69−1.63(m、4H)、1.48(m、1H)、1.17−1.12(m、3H)。
【0220】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(3,4−ジフルオロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}チアゾリジン−2,4−ジオン(B6):
【化128】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.63(s、1H)、7.22−7.18(m、1H)、7.12−7.09(m、1H)、6.77−6.72(m、1H)、6.18(d、J=3.6Hz、1H)、6.07(d、J=3.6Hz、1H)、4.54−4.47(m、1H)、2.49−2.42(m、2H)、1.69−1.64(m、4H)、1.48(m、1H)、1.20−1.08(m、3H)。
【0221】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(4−フルオロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}チアゾリジン−2,4−ジオン(B7):
【化129】

H−NMR(500MHz、C):δ 7.66(s、1H)、7.44−7.41(m、2H)、6.87−6.84(m、2H)、6.23(d、J=3.6Hz、1H)、6.19(d、J=3.6Hz、1H)、4.55−4.49(m、1H)、2.50−2.43(m、2H)、1.69−1.64(m、4H)、1.48(m、1H)、1.18−1.12(m、3H)。
【実施例4】
【0222】
3−N−シクロアルキル−5−[(フェニルまたは置換フェニル)フラン−2−イル]メチレン−2−チオキソイミダゾリジン−4−オンまたは3−N−シクロアルキル−5−[(フェニルまたは置換フェニル)チオフェン−2−イル]メチレン−2−チオキソイミダゾリジン−4−オンの調製
3−シクロアルキル−2−チオキソイミダゾリジン−4−オンの調製(8):クロロホルム(25mL)中のグリシンエチルエステルイソチオシアネート(1g、6.9mmol)の溶液に、クロロホルム(25mL)中のシクロアルキルアミン(7.0mmol)を室温で添加した。1時間撹拌した後、溶液を30分間還流し、その後、溶媒を真空下で除去した。得られた残渣をエタノール(25mL)に溶解して、50%水性HCl(25mL)を添加した。溶液を2時間還流し、次いで溶媒を真空下で除去した。次いで、未精製の3−シクロアルキル−2−チオキソイミダゾリジン−4−オンをエタノールから再結晶化した。
【0223】
2−チオキソイミダゾリジン−4−オン類似体の調製(9):THF(2mL)中の上記の調製した3−シクロアルキル−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(0.5mmol)の溶液に、カリウムtert−ブトキシド(0.6mmol)を室温で添加した。得られた黄色い溶液を1分間撹拌し、その後、室温で固体である5−アリールもしくは5−置換アリールフラン−2−イルカルボキサルデヒド、または5−アリールもしくは5−置換アリールチオフェン−2−イル(thiophene−2−yl)カルボキサルデヒド(0.5mmol)のいずれかを、室温で添加した。混合物を6時間撹拌した。水性NHClの添加により反応を停止し、酢酸エチル(50mL)で希釈した。有機相を水で洗浄し(3×10mL)、無水NaSO上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去した。粗生成物をエタノールから再結晶化して、所望の生成物を得た。
【0224】
以下は、スキームIVおよび実施例4の手順を用いて調製される化合物の非限定的な例である。
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(4−メチルフェニル)チオフェン−2−イル]メチレン}−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(C1):
【化130】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 9.17(br、1H)、7.75−7.73(m、2H)、7.60−7.58(m、2H)、6.80−6.76(m、2H)、5.84(m、1H)、4.65−4.58(m、1H)、2.42(s、3H)、2.50−2.43(m、2H)、1.69−1.64(m、4H)、1.48(m、1H)、1.18−1.12(m、3H)。
【0225】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル]メチレン}−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(C2):
【化131】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 8.61(br、1H)、7.74(s、1H)、7.67−7.64(m、2H)、7.62−7.59(m、2H)、7.56−7.55(m、2H)、7.35−7.34(m、1H)、6.81(s、1H)、4.61−4.55(m、1H)、2.41−2.29(m、2H)、1.71−1.69(m、4H)、1.43(m、1H)、1.35−1.24(m、3H)。
【0226】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(3−ニトロフェニル)チオフェン−2−イル]メチレン}−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(C3):
【化132】

H−NMR(500MHz、C):δ 8.24−8.23(m、1H)、7.76−7.74(m、2H)、7.68−7.66(m、2H)、7.43(s、1H)、6.77−6.74(m、1H)、5.34(m、1H)、2.70−2.68(m、2H)、1.75−1.73(m、4H)、1.54−1.23(m、4H)。
【0227】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(2−フルオロピリジン−3−イル)フラン−2−イル]メチレン}−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(C4):
【化133】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 9.14(br、1H)、8.23−8.17(m、1H)、8.13−8.11(m、1H)、7.37−7.33(m、2H)、7.06(m、1H)、6.82(m,1H)、4.60−4.56(m、1H)、2.35−2.28(m、2H)、1.89−1.69(m、5H)、1.42−1.26(m、3H)。
【0228】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(3,4−ジフルオロフェニル)チオフェン−2−イル]メチレン}−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(C5):
【化134】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 9.06(br、1H)、7.65−7.41(m、5H)、6.80(s,1H)、4.60−4.56(m、1H)、2.35−2.28(m、2H)、1.89−1.69(m、5H)、1.42−1.26(m、3H)。
【0229】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル]メチレン}−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(C6):
【化135】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 9.09(br、1H)、7.77−7.65(m、5H)、7.66(m、1H)、7.18−7.13(m、2H)、6.80−6.72(m、2H)、4.61−4.56(m、1H)、2.35−2.28(m、2H)、1.89−1.69(m、5H)、1.42−1.26(m、3H)。
【0230】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(ピリジン−3−イル)フラン−2−イル]メチレン}−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(C7):
【化136】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 9.05(br、1H)、8.07−6.47(m、7H)、4.71(m、1H)、2.35−2.28(m、2H)、1.89−1.69(m、5H)、1.42−1.26(m、3H)。
【0231】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−{[(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル]メチレン}−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(C8):
【化137】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 9.09(br、1H)、7.77−7.65(m、5H)、7.66(m、1H)、7.18−7.13(m、2H)、6.80−6.72(m、2H)、4.61−4.56(m、1H)、2.35−2.28(m、2H)、1.86−1.54(m、7H)、1.42−1.26(m、3H)。
【実施例5】
【0232】
3−N−シクロアルキル−5−[(フェニルまたは置換フェニル)フラン−2−イル]メチレンイミダゾリジン−2,4−ジオンまたは3−N−シクロアルキル−5−[(フェニルまたは置換フェニル)チオフェン−2−イル]メチレンイミダゾリジン−2,4−ジオンの調製
3−シクロアルキル−イミダゾリジン−2,4−ジオンの調製(10):クロロホルム(25mL)中のグリシンエチルエステルイソチオシアネート(1g、7.6mmol)の溶液に、クロロホルム(25mL)中のシクロアルキルアミン(7.7mmol)を室温で添加した。1時間撹拌した後、溶液を30分間還流し、その後、溶媒を真空下で除去した。得られた残渣をエタノール(25mL)に溶解して、50%水性HCl(25mL)を添加した。溶液を2時間還流し、溶媒を真空下で除去した。未精製の3−シクロアルキル−イミダゾリジン−2,4−ジオンをエタノールから再結晶化した。
【0233】
イミダゾリジン−2,4−ジオン類似体の調製(9):THF(2mL)中の上記の調製した3−シクロアルキル−イミダゾリジン−2,4−ジオン(0.5mmol)の溶液に、カリウムtert−ブトキシド(0.6mmol)を室温で添加した。得られた黄色い溶液を1分間撹拌し、その後、5−アリールもしくは5−置換アリールフラン−2−イルカルボキサルデヒド、または5−アリールもしくは5−置換アリールチオフェン−2−イルカルボキサルデヒド(0.5mmol)のいずれかを、室温で添加した。得られた混合物を6時間撹拌した。次いで、水性NHClの添加により反応を停止し、混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈した。有機相を水で洗浄し(3×10mL)、無水NaSO上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去した。粗生成物をエタノールから再結晶化して、所望の生成物を得た。
【0234】
以下は、スキームVおよび実施例5の手順を用いて調製される化合物の非限定的な例である。
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[5−(4−メチルフェニル)フラン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E1):
【化138】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.61−7.60(m、1H)、7.43(br、1H)、7.23−7.22(m、1H)、7.16−7.12(m、2H)、6.88(s、1H)、4.09−4.02(m、1H)、2.25−2.17(m、2H)、1.90−1.26(m、8H)。
【0235】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[5−(4−フルオロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E2):
【化139】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.79(s、1H)、7.67−7.64(m、2H)、7.22−7.15(m、2H)、6.73−6.68(m、2H)、6.51(s、1H)、4.08−4.03(m、1H)、2.26−2.17(m、2H)、1.90−1.25(m、8H)。
【0236】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[5−(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E3):
【化140】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 8.55−6.44(m、7H)、4.09−4.03(m、1H)、2.26−2.18(m、2H)、1.91−1.25(m、8H)。
【0237】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[(2−フルオロピリジン−3−イル)フラン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E4):
【化141】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 8.45−8.26(m、2H)、7.14−7.05(m、2H)、6.77(m、1H)、6.53(m、1H)、4.09−4.04(m、1H)、2.26−2.18(m、2H)、1.91−1.25(m、8H)。
【0238】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[5−(4−メチルフェニル)フラン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E5):
【化142】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.82(br、1H)、7.58−7.56(m、2H)、7.29−7.27(m、1H)、6.73−6.72(m、1H)、6.69−6.68(m、1H)、6.51(s、1H)、4.08−4.03(m、1H)、2.43(s、3H)、2.23−2.18(m、2H)、1.90−1.26(m、8H)。
【0239】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−[(5−フェニルフラン−2−イル)メチレン]−イミダゾリジン−2,4−ジオン(E6):
【化143】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.89(br、1H)、7.74−7.64(m、2H)、7.49−7.42(m、2H)、7.39−7.36(m、1H)、6.79−6.78(m、1H)、6.70−6.69(m、1H)、6.51(s、1H)、4.09−4.02(m、1H)、2.25−2.18(m、2H)、1.90−1.25(m、8H)。
【0240】
(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[5−(3,4−ジフルオロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E7):
【化144】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 8.55−6.44(m、7H)、4.09−4.03(m、1H)、2.26−2.18(m、2H)、1.91−1.25(m、8H)。
【0241】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−[(5−フェニルフラン−2−イル)メチレン]−イミダゾリジン−2,4−ジオン(E8):
【化145】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.89(br、1H)、7.74−7.64(m、2H)、7.49−7.42(m、2H)、7.39−7.36(m、1H)、6.79−6.78(m、1H)、6.70−6.69(m、1H)、6.51(s、1H)、4.23−4.18(m、1H)、2.30−2.19(m、2H)、1.86−1.28(m、10H)。
【0242】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−{[5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E9):
【化146】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.76−7.02(m、7H)、4.09−4.02(m、1H)、2.27−2.18(m、2H)、1.79−1.28(m、10H)。
【0243】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−{[(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E10):
【化147】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 8.65−7.03(m、7H)、4.09−4.03(m、1H)、2.29−2.17(m、2H)、1.85−1.16(m、10H)。
【0244】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−{[(4−メチルフェニル)フラン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E11):
【化148】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.82(br、1H)、7.58−7.56(m、2H)、7.29−7.27(m、1H)、6.73−6.72(m、1H)、6.69−6.68(m、1H)、6.51(s、1H)、4.23−4.18(m、1H)、2.42(s、3H)、2.30−2.29(m、2H)、1.86−1.26(m、10H)。
【0245】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−{[(2−フルオロピリジン−3−イル)フラン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E12):
【化149】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 8.44−8.16(m、2H)、7.14−7.05(m、2H)、6.77(m、1H)、6.53(m、1H)、4.07−4.04(m、1H)、2.26−2.18(m、2H)、1.91−1.25(m、10H)。
【0246】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−{[(3,4−iフルオロフェニル)フラン−2−イル]メチレン}イミダゾリジン−2,4−ジオン(E13):
【化150】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 7.89(br、1H)、7.49−7.36(m、5H)、6.73(s、1H)、4.69−4.64(m、1H)、2.29−2.20(m、2H)、1.89−1.26(m、10H)。
【0247】
(Z)−3−シクロヘプチル−5−{[5−(2−フルオロピリジン−3−イル)フラン−2−イル]メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(E14):
【化151】

H−NMR(500MHz、CDCl):δ 9.03(br、1H)、8.13−6.41(m、7H)、4.72(m、1H)、2.27−2.25(m、2H)、1.89−1.26(m、10H)。
【実施例6】
【0248】
ウイルス感染を治療または予防する方法
本明細書に記載される化合物は、ウイルス感染を治療または予防するために使用することができる。例えば、該化合物は、ウイルスの攻撃に対してある種を接種するために、または感染後の治療として、使用することができる。これは、次のように証明することができる:(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[5−(4−フルオロフェニル)フラン−2−イル]−メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(化合物A1)、または(Z)−3−シクロオクチル−5−{[(4−メチルフェニル)フラン−2−イル]メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(化合物A17)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、増殖培地で希釈して阻害剤溶液を形成した。該阻害剤溶液を、ウイルス接種物(例えば、A/Udorn/72(H3N2))および細胞増殖培地に添加し、A1またはA17の最終濃度は50nmであった。ウイルス接種物は、MDCK細胞単層の接種前にA1またはA17とともに1時間37℃でインキュベートするか、または所定の時点で細胞培養液に添加した。図1は、観察されたウイルス収量の変化を表している。接種前にA1またはA17とともに1時間インキュベートしたサンプルは、未処理のMDCK細胞と比べて、ウイルスの濃度において少なくとも3ログの差があることを示す。さらに、接種後にA1およびA17で処理した細胞培養液はウイルス収量の低下を示した。
【0249】
本明細書に記載される化合物の効果的な濃度を決定するために、次の手順により本明細書に記載される化合物のEC50値を得た。DMSO中の様々な濃度の化合物を、100〜250pfuのウイルス接種物(例えば、A/Udorn/72(H3N2))とともに事前にインキュベートした。図2は、プラークアッセイにおける、様々な濃度のA1化合物のテストプレートの写真を提供する。このアッセイから、化合物A1のEC50値は、約0.4ナノモル(≦0.4nM)以下であると決定した。他のインフルエンザウイルス株に対する化合物A1のEC50を、同じ方法によって決定した(下の表Iにデータを示す)。様々なインフルエンザウイルス株に対する他のいくつかの化合物のEC50値を、同じ方法によって決定した(下の表Gにデータを示す)。
【実施例7】
【0250】
表面融合タンパク質の不安定化による融合の阻害方法
本明細書に記載される化合物は、ビリオン上の表面融合タンパク質によって媒介される融合を阻害するために使用することができる。これは、次のように証明することができる。(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[5−(4−フルオロフェニル)フラン−2−イル]−メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(化合物A1)を、平均分子量約400(PEG400)を有するポリエチレングリコールに溶解した。A1溶液をインフルエンザウイルス(A/Udorn/72(H3N2))とともにインキュベートし、A1の最終濃度は10μMであった。A1結合ウイルスをヒト赤血球細胞とともにインキュベートして、混合物のpHを低下させることにより膜融合を誘導した。図3は、様々なpH値でのA1の膜融合に対する阻害剤効果を示す。
【0251】
本明細書に記載される化合物は、ビリオン上の表面融合タンパク質を不安定化させるためにも使用することができる。これは、次のように証明することができる。(Z)−3−シクロヘキシル−5−{[5−(4−フルオロフェニル)フラン−2−イル]−メチレン}−2−チオキソチアゾリジン−4−オン(化合物A1)を、平均分子量約400(PEG400)を有するポリエチレングリコールに溶解した。A1溶液を、組み換えインフルエンザウイルスのヘマグルチニン(A/Wyoming/3/03)とともにインキュベートし、A1の最終濃度は5μMであった。A1で処理したHAをプロテアーゼトリプシンとともにインキュベートし、トリプシンの最終濃度は2ng/μLであった。図4は、pH7.0およびpH5.0でのA1のHAに対する不安定化効果を示す。
【実施例8】
【0252】
タンパク質分解感受性アッセイ
本明細書に記載される化合物はヘマグルチニンに結合する能力を持ち、したがって、融合タンパク質を不安定化させる。次の手順を用いて、不安定化の増大、ひいては本明細書に記載される化合物によって引き起こされる、タンパク質分解攻撃に対するヘマグルチニンの感受性の増加を判定することができる。融合した立体構造で、HAはプロテアーゼ消化に対してより高い感受性を示す。この特性は、融合阻害剤がHAと相互作用するかどうかを検証するために用いることができる(Luo G. et al. “Molecular mechanism underlying the action of a novel fusion inhibitor of influenza A virus.” J Virol (1997); 71(5):4062−70)。
【0253】
ヘマグルチニン外部ドメインの精製した三量体は、検査する化合物とともに濃度5μMでインキュベートすることができる。三量体を、未処理の対照HAと、試験化合物を溶解するために使用される溶媒であるDMSOで処理したHAとともにpH7.0およびpH5.0でトリプシン消化に供する。pH5.0のサンプルについては、HA三量体をpH5.0の緩衝剤で15分間処理して、pH7.0まで中和する。トリプシン(20ng)を10μLのサンプルに添加し、37℃で1時間消化を進める。存在するHAの量を、抗HA(H3)抗血清を用いたウエスタンブロットゲル電気泳動により評価する。有効な阻害剤を含有するサンプルは、トリプシンによるHAの消化を増加させる。
【実施例9】
【0254】
MDCK細胞におけるプラークアッセイ
次のアッセイを用いて化合物の抗ウイルス活性についてスクリーニングすることができる。メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞を、6ウェルプレートで単層に培養することができる。120PFUのA/Udorn/72(H3N2)ウイルスを、各ウェルに添加することができる。所定の投与量の阻害剤化合物をウイルス接種物とともに添加して(0時間)、抗ウイルス活性を決定することができる。化合物を溶解するために使用する対応する量のDMSOを、陰性対照として別のウェルに添加することができる。
【0255】
Katiらのプロトコル(Kati, M. et al. “In Vitro Characterizaion of A−315675, a Highly Potent Inhibitor of A and B Strain Influenza Virus Neuramididases and Influenza Virus Replication” Antimicrobial Agents and Chemotherapy, Apr (2002) p. 1014−1021)にしたがって、MDCK細胞およびA/Udorn/72(H3N2)ウイルスを用いたプラークアッセイにおいて、阻害剤化合物の存在下および不在下で、所与の時点でのウイルスの収量を決定することができる。例えば、MDCK細胞は、10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM、HEPES緩衝液20mM、および抗生物質の中に維持した。フラスコ内で、5%のCO2下で細胞を37℃で培養した。6ウェルトレーにおいて、MDCK細胞の単層が95%コンフルエントになったとき、DMEM0.1mL中のインフルエンザウイルス接種物を各ウェルに添加した。37℃で1.0時間吸収させた後、感染細胞を温めたPBSで1回洗浄し、ウェルをトリプシンを補充したDMEM中の0.6%アガロースで重層した。感染から48時間後、寒天重層を除去し、単層を10%ホルムアルデヒド中の0.1%クリスタルバイオレットで染色した。試験化合物の臨床分離株に対する抗ウイルス効果を、各薬剤濃度でプラークの数を数えることにより評価した。薬剤の50%有効濃度、すなわちプラークの数を50%減少させた濃度(EC50)を、視覚による検査で決定した。
【0256】
下の表A〜Iは、本明細書に記載される様々な化合物について、上記プラークアッセイの様々な濃度における結果を提供する。
表A
【表19】

【0257】
【表20】

【0258】
【表21】

【0259】
【表22】

【0260】
【表23】

【0261】
【表24】

【0262】
【表25】

【0263】
【表26】

【0264】
【表27】

【0265】
【表28】

【0266】
【表29】

【0267】
表B
【表30】

【0268】
【表31】

【0269】
表C
【表32】

【0270】
【表33】

【0271】
表D
【表34】

【0272】
表E
【表35】

【0273】
【表36】

【0274】
【表37】

【0275】
表F
【表38】

【0276】
【表39】

【0277】
表G
【表40】

【0278】
表H
【表41】

【0279】
表I
プラーク減少アッセイにおける、異なるインフルエンザウイルス株に対するP25H2のEC50
【表42】

【0280】
表A〜Iに列挙した量は、阻害剤が存在しない場合(対照)の数と比較した、サンプル中に残留するプラークの割合である。
【0281】
添付する特許請求の範囲の化合物および方法は、本明細書に記載される特定の化合物および方法によって範囲を限定されるものではなく、その特定の化合物および方法は、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示であることが意図され、機能的に同等である任意の化合物および方法は、この開示の範囲内である。本明細書において示されるおよび記載されるものに加えて、該化合物および方法の様々な変更が、付属の特許請求の範囲の範疇に入ることが意図される。さらに、該化合物および方法の特定の代表的な化合物、方法、および態様のみが、具体的に記載されているが、他の化合物および方法も、付属の特許請求の範囲の範疇に入ることが意図される。したがって、ステップ、要素、構成成分、または構成物の組み合わせは、明示的に本明細書に記述され得るが、しかしながら、たとえ明示的に述べられていなくても、他のすべてのステップ、要素、成分、または構成物の組み合わせが含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物
【化1】

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、式中、
Rは、置換もしくは非置換の縮合または二環式シクロアルキル環から選択され、
Xは、SまたはNHであり、
Yは、OまたはSであり、
Zは、置換もしくは非置換の5員ヘテロアリール環、6員ヘテロアリール環、またはフェニルから選択され、
は、置換もしくは非置換のアリールまたはヘテロアリール環から選択され、
Lは、直接結合であるか、または置換もしくは非置換の結合単位であり、前記結合単位は、1〜4個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄から選択される2個までのヘテロ原子と、を有する、
化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
Rは、オクタヒドロ−ペンタレニル、オクタヒドロ−1H−インデニル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニル、およびデカヒドロ−1H−ベンゾ[7]アヌレニル(annulenyl)から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rは、ビシクロ[1.1.0]−ブタニル、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル、ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、ビシクロ−[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[3.3.2]デカニル、およびアダマンチルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Rは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Zは、置換または非置換の5員ヘテロアリール環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Zは、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、ピロリル、またはイミダゾリルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Zは、置換または非置換のフラニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Zは、置換または非置換のチオフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Zは、置換もしくは非置換のチアゾリル、オキサゾリル、またはイミダゾリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Zは、置換または非置換の6員ヘテロアリール環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Zは、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピリミジン−5−イル、ピラジニル、またはトリアジニルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Zは、置換または非置換のフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
は、式
【化2】

を有し、式中、XおよびYは、それぞれ独立してCHおよびNから選択され、Rは5個までの有機ラジカルを表し、前記ラジカルは水素に対する置換基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
は、水素、置換または非置換のハロアルキル、置換または非置換のC−C12アルキル、置換または非置換のC−C12アルケニル、置換または非置換のC−C12アルキニル、置換または非置換のC−C10アリール、置換または非置換のC−C12ヘテロアルキル、置換または非置換のC−C12ヘテロアルケニル、置換または非置換のC−C12ヘテロアルキニル、C−C置換または非置換の複素環、C−C11置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のC−Cアルコキシアルキル、置換または非置換のC−Cアルコキシアルケニル、置換または非置換のC−Cアルコキシアルキニル、置換または非置換のC−Cアミノアルキル、置換または非置換のC−Cアミノアルケニル、置換または非置換のC−Cアミノアルキニル、置換または非置換のC−Cカルボキシアルキル、置換または非置換のC−Cカルボキシアルケニル、置換または非置換のC−Cカルボキシアルキニル、置換または非置換のC−Cアミドアルキル、置換または非置換のC−Cアミドアルケニル、置換または非置換のC−Cアミドアルキニル、置換または非置換のC−Cシアノアルキル、置換または非置換のC−Cシアノアルケニル、置換または非置換のC−Cシアノアルキニル、置換または非置換のC−Cニトロアルキル、置換または非置換のC−Cニトロアルケニル、置換または非置換のC−Cニトロアルキニル、置換または非置換のC−Cスルホニルアルキル、置換または非置換のC−Cスルホニルアルケニル、置換または非置換のC−Cスルホニルアルキニル、あるいは置換または非置換のアミノから独立して選択される1〜5個の有機ラジカルで置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
は、置換もしくは非置換のC−Cアルキル、置換もしくは非置換のC−Cアルケニル、および置換もしくは非置換のC−Cアルキニル、C−Cの直鎖もしくは分岐鎖のハロアルキル、置換もしくは非置換のアルコキシ、ハロゲン、シアノ、またはニトロから独立して選択される1〜5個の有機ラジカルで置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
Lは、メチル、エチル、プロピル、またはブチルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Lは、=CH−、=CHCH−、=CHCHCH−、または=CHCHCHCH−から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
Lは、−NH−、=N−、−N=、−CHNH−、または−NHCH−から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
Lは、−C(O)−、−CH(O)−、または−C(O)CH−から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
Lは、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−CHNHC(O)−、−CHC(O)NH−、−NHC(O)CH−、または−C(O)NHCH−から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
以下の式の化合物
【化3】

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、式中、
Rは、3〜14個の炭素環原子を有する置換または非置換のシクロアルキル環であり、
Yは、OまたはSであり、
Zは、置換もしくは非置換の5員ヘテロアリール環、6員ヘテロアリール環、またはフェニルであり、
は、置換もしくは非置換のアリールまたはヘテロアリール環から選択され、
Lは、直接結合であるか、または置換もしくは非置換の結合単位であって、前記結合単位は、1〜4個の炭素原子と、酸素、窒素、および硫黄から選択される2個までのヘテロ原子と、を有する、
化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項22】
Rは単環式環である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロノニル、シクロデシル、およびシクロウンデシルから選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
Rは、シクロヘキシルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項25】
Rは、シクロヘプチルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項26】
Rは、シクロオクチルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項27】
Rは、シクロドデシルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項28】
Rは、縮合シクロアルキル環である、請求項21に記載の化合物。
【請求項29】
Rは、オクタヒドロ−ペンタレニル、オクタヒドロ−1H−インデニル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニル、およびデカヒドロ−1H−ベンゾ[7]アヌレニル(annulenyl)から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項30】
Rは、二環式環である、請求項21に記載の化合物。
【請求項31】
Rは、ビシクロ[1.1.0]−ブタニル、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル、ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、ビシクロ−[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[3.3.2]デカニル、およびアダマンチルから選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項32】
Rは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項33】
Zは、置換または非置換の5員ヘテロアリール環である、請求項21に記載の化合物。
【請求項34】
Zは、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、ピロリル、およびイミダゾリルから選択される、置換または非置換の5員ヘテロアリール環である、請求項21に記載の化合物。
【請求項35】
Zは、置換または非置換のフラニルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項36】
Zは、置換または非置換のチオフェニルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項37】
Zは、置換もしくは非置換のチアゾリル、オキサゾリル、またはイミダゾリルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項38】
Zは、置換または非置換の6員ヘテロアリール環である、請求項21に記載の化合物。
【請求項39】
Zは、置換または非置換のフェニルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項40】
は、式
【化4】

を有し、式中、XおよびYは、それぞれ独立してCHおよびNから選択され、Rは5個までの有機ラジカルを表し、前記ラジカルは水素に対する置換基である、請求項21に記載の化合物。
【請求項41】
は、ハロゲン、置換または非置換のハロアルキル、置換または非置換のC−C12アルキル、置換または非置換のC−C12アルケニル、置換または非置換のC−C12アルキニル、置換または非置換のC−C10アリール、置換または非置換のC−C12ヘテロアルキル、置換または非置換のC−C12ヘテロアルケニル、置換または非置換のC−C12ヘテロアルキニル、C−C置換または非置換の複素環、C−C11置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のC−Cアルコキシアルキル、置換または非置換のC−Cアルコキシアルケニル、置換または非置換のC−Cアルコキシアルキニル、置換または非置換のC−Cアミノアルキル、置換または非置換のC−Cアミノアルケニル、置換または非置換のC−Cアミノアルキニル、置換または非置換のC−Cカルボキシアルキル、置換または非置換のC−Cカルボキシアルケニル、置換または非置換のC−Cカルボキシアルキニル、置換または非置換のC−Cアミドアルキル、置換または非置換のC−Cアミドアルケニル、置換または非置換のC−Cアミドアルキニル、置換または非置換のC−Cシアノアルキル、置換または非置換のC−Cシアノアルケニル、置換または非置換のC−Cシアノアルキニル、置換または非置換のC−Cニトロアルキル、置換または非置換のC−Cニトロアルケニル、置換または非置換のC−Cニトロアルキニル、置換または非置換のC−Cスルホニルアルキル、置換または非置換のC−Cスルホニルアルケニル、置換または非置換のC−Cスルホニルアルキニル、あるいは置換または非置換のアミノから独立して選択される1〜5個の有機ラジカルで置換される、請求項21に記載の化合物。
【請求項42】
は、置換もしくは非置換のC−Cアルキル、置換もしくは非置換のC−Cアルケニル、および置換または非置換のC−Cアルキニル、C−Cの直鎖もしくは分岐鎖のハロアルキル、置換もしくは非置換のアルコキシ、ハロゲン、シアノ、またはニトロから独立して選択される1〜5個の有機ラジカルで置換される、請求項21に記載の化合物。
【請求項43】
Lは、メチル、エチル、プロピル、またはブチルから選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項44】
Lは、=CH−、=CHCH−、=CHCHCH−、または=CHCHCHCH−から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項45】
Lは、−NH−、=N−、−N=、−CHNH−、または−NHCH−から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項46】
Lは、−C(O)−、−CH(O)−、または−C(O)CH−から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項47】
Lは、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−CHNHC(O)−、−CHC(O)NH−、−NHC(O)CH−、または−C(O)NHCH−から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項48】
前記化合物は、塩素イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、重硫酸イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、リン酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、ピルビン酸イオン、乳酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、マレイン酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、フマル酸イオン、およびクエン酸イオンから選択される陰イオンを含む塩である、請求項1〜47のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項49】
前記化合物は、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、およびビスマスイオンから選択される陽イオンを含む塩である、請求項1〜47のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項50】
請求項1〜47のいずれかに記載の1つ以上の化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む、組成物。
【請求項51】
薬物として使用するための、請求項1〜47のいずれか1項に記載の化合物または組成物。
【請求項52】
薬物を作製するための、請求項1〜47のいずれか1項に記載の化合物または組成物の使用。
【請求項53】
A型インフルエンザウイルスを治療するための薬物を作製するための、請求項52に記載の使用。
【請求項54】
B型インフルエンザウイルスを治療するための薬物を作製するための、請求項52に記載の使用。
【請求項55】
請求項1〜47に記載の1つ以上の化合物または組成物の有効量を対象に投与するステップを含む、前記対象におけるウイルス感染を治療または予防するための方法。
【請求項56】
第2の化合物または組成物を投与するステップをさらに含み、前記第2の化合物または組成物は抗ウイルス化合物である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の化合物または組成物は、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、RNAポリメラーゼ阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、酵素阻害剤、侵入阻害剤、構築阻害剤、成熟阻害剤、M2阻害剤、またはノイラミニダーゼ阻害剤である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記第2の化合物または組成物は、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、ラルテグラビル、マラビロク、エンフビルチド、ベビリマット(bevirimat)、バイブコン(VIVECON(登録商標))、アバカビル、ジドブジン、エムトリシタビン、ラミブジン、ジダノシン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、コンビビル(COMBIVIR(登録商標))(ジドブジン+ラミブジン)、エプジコム(EPZICOM(登録商標))(アバカビル+ラミブジン)、トリジビル(TRIZIVIR(登録商標))(アバカビル+ジドブジン+ラミブジン)、ツルバダ(TRUVADA(登録商標))(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン)、スタブジン、ラシビル、アムドキソビル、アプリシタビン(apricitabine)、エルブシタビン、α−エピブロミド(alpha−epibromide)、アルデスロイキン)、HIV免疫原、BAY50−4798、IR103、エトラビリン、デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン、リルピビリン、アンプレナビル、チプラナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル/リトナビル、ホスアンプレナビル、リトナビル、ダルナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、エンフビルチド、マラビロク、ビクリビロック、PRO140、TNX−355、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ベビリマット(bevirimat)、またはヒドロキシ尿素である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
請求項1〜47に記載の1つ以上の化合物または組成物の有効量を細胞に投与するステップを含む、ウイルスの前記細胞への侵入を阻害する方法。
【請求項60】
第2の化合物または組成物を投与するステップをさらに含み、前記第2の化合物または組成物は抗ウイルス化合物である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記第2の化合物または組成物は、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、RNAポリメラーゼ阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、酵素阻害剤、侵入阻害剤、構築阻害剤、成熟阻害剤、M2阻害剤、またはノイラミニダーゼ阻害剤である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記第2の化合物または組成物は、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、ラルテグラビル、マラビロク、エンフビルチド、ベビリマット(bevirimat)、バイブコン(VIVECON(登録商標))、アバカビル、ジドブジン、エムトリシタビン、ラミブジン、ジダノシン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、コンビビル(COMBIVIR(登録商標))(ジドブジン+ラミブジン)、エプジコム(EPZICOM(登録商標))(アバカビル+ラミブジン)、トリジビル(TRIZIVIR(登録商標))(アバカビル+ジドブジン+ラミブジン)、ツルバダ(TRUVADA(登録商標))(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン)、スタブジン、ラシビル、アムドキソビル、アプリシタビン(apricitabine)、エルブシタビン、α−エピブロミド(alpha−epibromide)、アルデスロイキン)、HIV免疫原、BAY50−4798、IR103、エトラビリン、デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン、リルピビリン、アンプレナビル、チプラナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル/リトナビル、ホスアンプレナビル、リトナビル、ダルナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、エンフビルチド、マラビロク、ビクリビロック、PRO140、TNX−355、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ベビリマット(bevirimat)、またはヒドロキシ尿素である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
請求項1〜47項に記載の1つ以上の化合物または組成物の有効量を前記細胞に投与するステップを含む、ウイルス媒介膜融合を阻害する方法。
【請求項64】
第2の化合物または組成物を投与するステップをさらに含み、前記第2の化合物または組成物は抗ウイルス化合物である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第2の化合物または組成物は、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、RNAポリメラーゼ阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、酵素阻害剤、侵入阻害剤、構築阻害剤、成熟阻害剤、M2阻害剤、またはノイラミニダーゼ阻害剤である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第2の化合物または組成物は、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、ラルテグラビル、マラビロク、エンフビルチド、ベビリマット(bevirimat)、バイブコン(VIVECON(登録商標))、アバカビル、ジドブジン、エムトリシタビン、ラミブジン、ジダノシン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、コンビビル(COMBIVIR(登録商標))(ジドブジン+ラミブジン)、エプジコム(EPZICOM(登録商標))(アバカビル+ラミブジン)、トリジビル(TRIZIVIR(登録商標))(アバカビル+ジドブジン+ラミブジン)、ツルバダ(TRUVADA(登録商標))(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン)、スタブジン、ラシビル、アムドキソビル、アプリシタビン(apricitabine)、エルブシタビン、α−エピブロミド(alpha−epibromide)、アルデスロイキン)、HIV免疫原、BAY50−4798、IR103、エトラビリン、デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン、リルピビリン、アンプレナビル、チプラナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル/リトナビル、ホスアンプレナビル、リトナビル、ダルナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、エンフビルチド、マラビロク、ビクリビロック、PRO140、TNX−355、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ベビリマット(bevirimat)、またはヒドロキシ尿素である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
請求項1〜47に記載の1つ以上の化合物または組成物の有効量をウイルス感染細胞に投与するステップを含む、ウイルス融合タンパク質を不安定化させる方法。
【請求項68】
第2の化合物または組成物を投与するステップをさらに含み、前記第2の化合物または組成物は抗ウイルス化合物である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記第2の化合物または組成物は、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、RNAポリメラーゼ阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、酵素阻害剤、侵入阻害剤、構築阻害剤、成熟阻害剤、M2阻害剤、またはノイラミニダーゼ阻害剤である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記第2の化合物または組成物は、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、ラルテグラビル、マラビロク、エンフビルチド、ベビリマット(bevirimat)、バイブコン(VIVECON(登録商標))、アバカビル、ジドブジン、エムトリシタビン、ラミブジン、ジダノシン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、コンビビル(COMBIVIR(登録商標))(ジドブジン+ラミブジン)、エプジコム(EPZICOM(登録商標))(アバカビル+ラミブジン)、トリジビル(TRIZIVIR(登録商標))(アバカビル+ジドブジン+ラミブジン)、ツルバダ(TRUVADA(登録商標))(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩+エムトリシタビン)、スタブジン、ラシビル、アムドキソビル、アプリシタビン(apricitabine)、エルブシタビン、α−エピブロミド(alpha−epibromide)、アルデスロイキン)、HIV免疫原、BAY50−4798、IR103、エトラビリン、デラビルジン、エファビレンツ、ネビラピン、リルピビリン、アンプレナビル、チプラナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル/リトナビル、ホスアンプレナビル、リトナビル、ダルナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、エンフビルチド、マラビロク、ビクリビロック、PRO140、TNX−355、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ベビリマット(bevirimat)、またはヒドロキシ尿素である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記ウイルス感染は、A型インフルエンザウイルスである、請求項55に記載の方法。
【請求項72】
前記細胞は、A型インフルエンザウイルスに感染される、請求項59に記載の方法。
【請求項73】
前記細胞は、A型インフルエンザウイルスに感染される、請求項63に記載の方法。
【請求項74】
前記細胞は、A型インフルエンザウイルスに感染される、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
前記ウイルス感染は、B型インフルエンザウイルスである、請求項55に記載の方法。
【請求項76】
前記細胞は、B型インフルエンザウイルスに感染される、請求項59に記載の方法。
【請求項77】
前記細胞は、B型インフルエンザウイルスに感染される、請求項63に記載の方法。
【請求項78】
前記細胞は、B型インフルエンザウイルスに感染される、請求項67に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−502998(P2011−502998A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532306(P2010−532306)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/082140
【国際公開番号】WO2009/059243
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(301044015)ザ ユーエイビー リサーチ ファウンデイション (4)
【Fターム(参考)】