説明

ウイルス感染の長期持続性融合ペプチドインヒビター

【課題】存在する抗ウイルスペプチドおよび/または抗膜融合性ペプチドの半減期を延長すること、および、これらのペプチドのインビボでのより長い期間の作用を提供することを、本発明の課題とする。
【解決手段】改変された抗ウイルスペプチドであって、抗ウイルス活性を示すペプチド、および、安定な共有結合を形成するように血液成分上のチオール基と反応性のマレイミド基を含む、改変されたペプチド、そのようなペプチドを含む結合体および組成物を提供することによって、上記課題は解決された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ウイルス活性のインヒビターである改変ペプチドおよび/または抗膜融合性(antifusogenic)特性を示すポリペプチドに関する。特に、本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、RSウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPV)、はしかウイルス(MeV)およびサル免疫不全ウイルス(SIV)の改変ペプチドインヒビターに関し、この改変ペプチドインヒビターは、各有ウイルス感染の処置のための長期の作用を有する。本発明はまた、改変ペプチドおよび内在性キャリアの結合体、特に改変ペプチドおよび種々の流動性血液成分(特に、流動性の内在性タンパク質)の結合体に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
正常な細胞において通常の生物学的プロセスの間の膜融合事象はまた、種々の疾患状態に関与する(例えば、細胞への外被ウイルスの細胞への侵入が挙げられる)。阻害するかまたは、さもなければ膜融合関連事象を中断させるペプチドは公知である。これらとしては、例えば、非感染細胞へのレトロウイルス伝染の阻害が挙げられる。例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(「HIV−1」)膜貫通(「TM」)糖タンパク質 gp41内の別々のドメイン由来の合成ペプチドDP−107およびDP−178は、HIV−1感染およびHIV誘発細胞−細胞融合の潜在的なインヒビターである。
【0003】
非特許文献1は、ヒト免疫不全ウイルス1型(「HIV−1」)膜貫通(「TM」)タンパク質(gp41)内の別々のドメイン由来の合成ペプチドDP−107およびDP−178(T−20)がHIV−1感染および融合の潜在的なインヒビターであることを開示する。DP−107およびDP−178(T−20)のペプチド二次構造に基づくコンピューター検索ストラテジー(コンピューター抗ウイルス検索技術(C.A.S.T.))を使用して、Lambertらは、他の膜融合性(fusogenic)ウイルスの糖タンパク質内のHIV−1 gp41のDP−107およびDP−178領域に対する保存された7回反復ドメインアナログを同定した。3つの代表的なパラミクソウイルス(RSウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス3型(HPIV−3)およびはしかウイルス(VM))由来の抗ウイルスペプチドは、相同ウイルス媒介合胞体形成をブロックし、そして0.015〜0.250μMの範囲のEC50値を示した。さらに、これらのペプチドは、本来のウイルスについて高度に選択的であった。
【0004】
米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号および同第6,020,459号(本明細書中でその全体が援用される)は、同様に、HIV−1単離体LAI(HIV−1LAI)由来のgp41のアミノ酸638〜673に対応する36アミノ酸ペプチド(DP178)、およびHIV−1LAI由来のgp41のアミノ酸558〜595に対応する38アミノ酸ペプチド(DP107)の両方が、潜在的なHIV−1活性を示すことを開示する。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【非特許文献1】Lambertら「Peptide from Conserved Regions of Paramyxovirus Fusion(F)Proteins are Potent Inhibitors of Viral Fusion」Proc.Natl.Acad.Science U.S.A.,1996年3月5日,第93巻(5),2186−2191頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該分野において開示される、抗ウイルスペプチドまたは抗膜融合性ペプチドの多くは、潜在的な抗ウイルス活性および/または抗膜融合活性を示すが、これらのペプチドは、主に迅速な血清クリアランスならびにペプチダーゼ活性およびプロテアーゼ活性に起因して、インビボでの短い血漿半減期を被る。次いで、このことは、一般に、ペプチドの有効な抗ウイルス活性を減少する。従って、存在する抗ウイルスペプチドおよび/または抗膜融合性ペプチドの半減期を延長する方法、ならびにこれらのペプチドのインビボでのより長い期間の作用を提供するための方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、これらの必要性および他の必要性を満たし、そして抗ウイルス活性および/または抗膜融合活性を有する改変ペプチドに関する。これらの改変ペプチドは、インビボで増加した安定性を提供し、そしてペプチダーゼ分解またはプロテアーゼ分解に対する感受性を減少する。従って、これらの改変ペプチドは、例えば、より頻繁な、または連続性でさえあるペプチドの投与に対する必要性を最小化する。例えば、本発明の様々な実施形態の生成物は、多くのウイルス(これらとしては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトRSウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPV)、はしかウイルス(MeV)およびサル免疫不全ウイルス(SIV)が挙げられる)の感染に対する予防剤および/またはそれらの処置として使用され得る。ウイルストランスフェクション(例えば、肝炎ウイルス、エプスタイン−バーウイルスおよび他の関連するウイルス)に関与する他のペプチドの改変もまた、本発明の範囲内である。
【0007】
本発明は、抗ウイルス活性および/または抗膜融合活性を示すペプチドの化学反応改変に関し、その結果、改変ペプチドは血液成分上の利用可能な官能基と反応して安定な共有結合を形成し得る。本発明の1つの実施形態では、改変ペプチドは、血液成分上のアミノ基、水酸基またはチオール基と反応し安定な共有結合を形成する反応基を含む。本発明の他の実施形態では、この反応基はマレイミドであり得、これは、血液タンパク質(これには、流動性血液タンパク質(例えば、アルブミン)が挙げられる)上のチオール基と反応性である。
【0008】
特に、本発明は、DP107ペプチドおよびDP178ペプチドならびにこれらのアナログの、このような化学反応改変に関し、これらとしては、DP107ペプチドおよびDP178ペプチドが誘導されるHIVのgp41領域に対応する他の(非−HIV)ウイルスならびに抗ウイルス活性または抗膜融合活性を示す他の(非−HIV)ウイルス由来のアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。より具体的には、これらのペプチドは、とりわけ、ヒトRSウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPV)、はしかウイルス(MeV)およびサル免疫不全ウイルス(SIV)に対する抗ウイルス活性を示し得る。本発明はまた、配列番号1〜配列番号86のペプチドの、このような化学反応改変に関する。
【0009】
本発明はまた、改変された抗ウイルス活性を示すペプチドを含むウイルス感染の予防および/または処置における使用のための組成物に関し、このペプチドは、記載されるような反応基を有する。より具体的には、本発明は、AIDS、ヒトRSウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPV)、はしかウイルス(MeV)およびサル免疫不全ウイルス(SIV)の予防および/または処置における使用のためのこのような組成物に関する。
本発明は、以下を提供する:
(項目1) 改変された抗ウイルスペプチドであって、
抗ウイルス活性を示すペプチド、および
安定な共有結合を形成するように血液成分上のチオール基と反応性のマレイミド基を含む、改変されたペプチド。
(項目2) 前記血液成分が血清アルブミンである、項目1に記載の改変されたペプチド。
(項目3) 前記ペプチドがDP178もしくはDP107またはそれらのアナログである、項目1に記載の改変されたペプチド。
(項目4) 前記ペプチドが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対して抗ウイルス活性を示す、項目1に記載の改変されたペプチド。
(項目5) 前記ペプチドが、配列番号1〜配列番号9からなる群から選択される、項目4に記載の改変されたペプチド。
(項目6) 前記ペプチドがDP178またはDP107である、項目4に記載の改変されたペプチド。
(項目7) 前記ペプチドが、ヒトRSウイルス(RSV)に対する抗ウイルス活性を示す、項目1に記載の改変されたペプチド。
(項目8) 前記ペプチドが、配列番号10〜配列番号30からなる群から選択される、項目7に記載の改変されたペプチド。
(項目9) 前記ペプチドが、配列番号14〜配列番号17および配列番号29からなる群から選択される、項目7に記載の改変されたペプチド。
(項目10) 前記ペプチドが、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)に対する抗ウイルス活性を示す、項目1に記載の改変されたペプチド。
(項目11) 前記ペプチドが、配列番号31〜配列番号62からなる群から選択される、項目10に記載の改変されたペプチド。
(項目12) 前記ペプチドが、配列番号35、配列番号38〜配列番号42、配列番号52および配列番号58からなる群から選択される、項目10に記載の改変されたペプチド。
(項目13) 前記ペプチドが、はしかウイルス(MeV)に対する抗ウイルス活性を示す、項目1に記載の改変されたペプチド。
(項目14) 前記ペプチドが、配列番号74〜配列番号86からなる群から選択される、項目13に記載の改変されたペプチド。
(項目15) 前記ペプチドが、配列番号77、配列番号79、配列番号81および配列番号84からなる群から選択される、項目13に記載の改変されたペプチド。
(項目16) 前記ペプチドが、サル免疫不全ウイルス(SIV)に対する抗ウイルス活性を示す、項目1に記載の改変されたペプチド。
(項目17) 前記ペプチドが配列番号63〜配列番号73からなる群から選択される、項目16に記載の改変されたペプチド。
(項目18) 後天性免疫不全症候群(AIDS)の予防および/または処置における使用のための組成物であって、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する抗ウイルス活性を示し、安定な共有結合を形成するように血液成分上のチオール基と反応性のマレイミド基で改変されたペプチドを含む、組成物。
(項目19) 前記血液成分が血清アルブミンである、項目18に記載の組成物。
(項目20) 前記ペプチドが、DP178もしくはDP107またはそれらのアナログである、項目19に記載の組成物。
(項目21) ヒトRSウイルス(RSV)感染の予防および/または処置において使用するための組成物であって、RSVに対する抗ウイルス活性を示し、安定な共有結合を形成するように血液成分上のチオール基と反応性であるマレイミド基で改変されたペプチドを含む、組成物。
(項目22) 前記血液成分が血清アルブミンである、項目21に記載の組成物。
(項目23) 前記ペプチドが、配列番号14〜配列番号17および配列番号29からなる群から選択される、項目22に記載の組成物。
(項目24) ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)感染の予防および/または処置において使用するための組成物であって、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)に対する抗ウイルス活性を示し、安定な共有結合を形成するように血液成分上のチオール基と反応性であるマレイミド基で改変されたペプチドを含む、組成物。
(項目25) 前記血液成分が血清アルブミンである、項目24に記載の組成物。
(項目26) 前記ペプチドが配列番号35、配列番号38〜配列番号42、配列番号52および配列番号58からなる群から選択される、項目25に記載の組成物。
(項目27) はしかウイルス(MeV)感染の予防および/または処置において使用するための組成物であって、はしかウイルス(MeV)に対する抗ウイルス活性を示し、安定な共有結合を形成するように血液成分上のチオール基と反応性であるマレイミド基で改変されたペプチドを含む、組成物。
(項目28) 前記血液成分が血清アルブミンである、項目27に記載の組成物。
(項目29) 前記ペプチドが、配列番号77、配列番号79、配列番号81および配列番号84からなる群から選択される、項目28に記載の組成物。
(項目30) 前記マレイミド基が、連結基を介して前記ペプチドに結合される、項目1に記載の改変されたペプチド。
(項目31) 前記マレイミド基が、連結基を介して前記ペプチドに結合される、項目18に記載の組成物。
(項目32) 前記マレイミド基が、連結基を介して前記ペプチドに結合される、項目21に記載の組成物。
(項目33) 前記マレイミド基が、連結基を介して前記ペプチドに結合される、項目24に記載の組成物。
(項目34) 前記マレイミド基が、連結基を介して前記ペプチドに結合される、項目27に記載の組成物。
【0010】
(表の簡単な説明)
本発明は、表を参照することにより、より良く理解される。ここで、
表1は、アミノ酸の1文字略語および3文字略語ならびに共通の保護基と併せて、一般に存在するアミノ酸を列挙する。
【0011】
表2は、DP178のカルボキシ短縮を示す。
【0012】
表3は、DP178のアミノ短縮を示す。
【0013】
表4は、DP107のカルボキシ短縮を示す。
【0014】
表5は、DP107のアミノ短縮を示す。
【0015】
表6は、HIV−2NIHZDP178アナログのカルボキシ短縮を示す。
【0016】
表7は、HIV−2NIHZDP178アナログのアミノ短縮を示す。
【0017】
表8は、RSV F2領域DP107アナログのカルボキシ短縮を示す。
【0018】
表9は、RSV F2領域DP107アナログのアミノ短縮を示す。
【0019】
表10は、RSV F1領域DP178アナログのカルボキシ短縮を示す。
【0020】
表11は、RSV F1領域DP178アナログのアミノ短縮を示す。
【0021】
表12は、HPV3 F1領域DP178アナログのカルボキシ短縮を示す。
【0022】
表13は、HPV3 F1領域DP178アナログのアミノ短縮を示す。
【0023】
表14は、HPV3 F1領域DP107アナログのカルボキシ短縮を示す。
【0024】
表15は、HPV3 F1領域DP107アナログのアミノ短縮を示す。
【0025】
表16は、代表的な抗RSVペプチドを示す。
【0026】
表17は、代表的な抗HPV3ペプチドを示す。
【0027】
表18は、代表的な抗SIVペプチドを示す。
【0028】
表19は、代表的な抗MeVペプチドを示す。
【0029】
(配列表の簡単な説明)
本発明は、配列表を参照することにより、より良く理解される。ここで、
配列番号1は、DP178のペプチド配列を示す。
【0030】
配列番号2は、DP107のペプチド配列を示す。
【0031】
配列番号3〜9は、特定のDP187アナログのペプチド配列を示す。
【0032】
配列番号10〜30は、DP178およびDP107に対応するRSV F1領域およびRSV F2領域のペプチド配列、ならびに代表的な(representtive)抗RSVペプチドを示す。
【0033】
配列番号31〜62は、DP178およびDP107に対応するHPIV3 F1領域ペプチド配列、および代表的な抗HPIV3ペプチドを示す。
【0034】
配列番号63〜73は、DP178に対応するSIVのペプチド配列および代表的な抗SIVペプチドを示す。そして、
配列番号74〜78は、DP178に対応するMeVのペプチド配列および代表的な抗MeVペプチドを示す。
【0035】
(発明の詳細な説明)
本発明の完全な理解を確実にするために、以下の定義が提供される:
(抗ウイルスペプチド):本明細書中で使用される場合、抗ウイルスペプチドは、例えば、細胞−細胞融合または遊離ウイルス感染を阻害することにより、細胞のウイルス感染を阻害するペプチドをいう。感染の経路は、膜融合(外被ウイルスの場合に生じる場合)またはウイルス構造および細胞構造に関与するいくつかの他の融合事象を含み得る。特定のウイルスによるウイルス感染を阻害するペプチドは、特定のウイルスに関して言及され得る(例えば、抗HIVペプチド、抗RSVペプチドなど)。
【0036】
(抗膜融合性ペプチド):抗膜融合性ペプチドは、ペプチドの非存在下で生じる膜融合のレベルと比較して、2以上の要素間(例えば、ウイルス−細胞または細胞−細胞)の膜融合事象のレベルを阻害するか減少する能力を示しているペプチドである。
【0037】
(HIVおよび抗HIVペプチド):ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(これは、後天性免疫不全症候群(AIDS)を担う)は、レトロウイルスのレンチウイルファミリーのメンバーである。HIV、HIV−1およびHIV−2の2つの流行のタイプが存在し、各々の種々の株は、同定されている。HIVは、CD−4+細胞を標的化し、そしてウイルスの進入は、HIVタンパク質gp41のCD−4+細胞表面レセプターとの結合に依存する。抗HIVペプチドは、HIVに対する抗ウイルス活性(これらには、遊離ウイルスによるCD−4+細胞感染を阻害すること、ならびに/または感染CD−4+細胞と非感染CD−4+細胞との間のHIV誘導合胞体形成を阻害することが挙げられる)を示すペプチドをいう。
【0038】
(SIVおよび抗SIVペプチド):サル免疫不全ウイルス(SIV)は、感受性のサルにおいて後天性免疫不全症候群(AIDS)様疾患を引き起こすレンチウイルスである。抗SIVペプチドは、SIVに対する抗ウイルス活性(これらには、SIVウイルスによる細胞の感染を阻害すること、および感染細胞と非環腺細胞との間の合胞体形成を阻害することが挙げられる)を示すペプチドである。
【0039】
(RSVおよび抗RSVペプチド):RSウイルス(RSV)は、呼吸器病原体であり、特に、このウイルスが細気管支炎(小通気道の炎症)および肺炎を引き起こし得る場合、乳児および小児において危険である。RSVはネガティブセンス(一本鎖RNAウイルス)でありかつウイルスのParamyxoviridaeファミリーのメンバーである。RSVの感染の経路は、典型的には気道(すなわち、鼻、喉頭、気管および気管支ならびに細気管支)により粘膜を介する。抗RSVペプチドは、RSVに対する抗ウイルス活性(これらには、フリーRSVウイルスによる粘膜細胞感染および感染細胞と非環腺細胞との間の合胞体形成を阻害することが挙げられる)を示すペプチドである。
【0040】
(HPVおよび抗HPVペプチド):ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIVまたはHPV)(RSVと同様)は、気管疾患の別の主要原因であり、RSVと同様にネガティブセンス(ウイルスのParamyxoviridaeファミリーのメンバーである一本鎖RNAウイルス)である。4種類の認識されたHPIVの血清型(HPIV−1、HPIV2、HPIV3およびHPIV4)が存在する。HPIV−1は、子どもにおけるクループの主要原因であり、そしてHPIV−1およびHPIV−2の両方は、上気道疾患および下気道疾患を引き起こす。HIPV−3は、より頻繁に細気管支炎および肺炎に関与する。抗HPVペプチドは、HPVに対する抗ウイルス活性(これらには、フリーHPVウイルスによる感染および感染細胞と非環腺細胞との間の合胞体形成を阻害することが挙げられる)を示すペプチドである。
【0041】
(Mevおよび抗Mevペプチド):はしかウイルス(VMまたはMeV)は、外被ネガティブ(ウイルスのParamyxoviridaeファミリーに属する一本鎖RNAウイルス)である。RSVおよびHPVと同様に、MeVは、呼吸器疾患を引き起こし、そしてまた、さらなる日和見感染を担う免疫抑制を生じる。いくつかの場合、MeVは、脳の感染を確立し、重篤な神経性合併症の原因となる。抗MeVペプチドは、Mevに対する抗ウイルス活性(これらには、フリーMevウイルスによる感染および感染細胞と非環腺細胞との間の合胞体形成を阻害することが挙げられる)を示すペプチドである。
【0042】
(DP−178およびDP178アナログ):他に明確にまたは文脈により指示のない限り、DP−178は、以下のアミノ酸配列:
YTSLIHSLIEESQNQQEKNEQELLELDKWASLWNWF(配列番号1)
を有するHIV−1単離体LAI(HIVLAI)のgp41糖タンパク質のアミノ酸残基638―673に対応する36アミノ酸DP−178ペプチド、ならびに、それらの短縮、欠失および/または挿入を意味する。DP178の短縮は、3〜36アミノ酸の間のペプチドを含み得る。欠失は、DP178ペプチドペプチドからの1以上のアミノ酸残基の除去からなり、そしてこれは、ペプチド配列の単一の隣接部分または複数の部分の除去を含み得る。挿入は、1つのアミノ酸残基または残基の伸長を含み得、そしてDP178ペプチドのカルボキシ末端もしくはアミノ末端、またはペプチド内部の位置において作製され得る。
【0043】
DP178ペプチドアナログは、そのアミノ酸配列がDP178が由来するgp41領域に対応するHIV−1LAI以外のウイルスのペプチド領域、ならびにそれらの短縮、欠失または挿入のアミノ酸配列からなるペプチドである。このような他のウイルスとしては、他のHIV単離体(例えば、HIV−2NIHZ、RSウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)およびはしかウイルス(MeV))が挙げられるがこれらに限定されない。DP178アナログはまた、ALLMOTI5、107×178×4およびPLZIP検索モチーフ(米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号および同第6,020,459号に記載されそして本明細書中で援用される)により同定されるかまたは認識されるこれらのペプチド配列をいう。これらのモチーフは、DP178に対する構造類似性および/またはアミノ酸モチーフ類似性を有する。DP178アナログはさらに、「DP178様」(この用語は、米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号および同第6,020,459号において定義されるので)として記載されるペプチドをいう。
【0044】
(DP107およびDP107アナログ:)他に明白に示されないか、または文脈によって示されない限り、DP107は、HIV−1単離体LAI(HIVLAI)のgp41タンパク質のアミノ酸残基558〜595に対応する38アミノ酸DP107ペプチド、ならびにその短縮、欠失および/または挿入を意味し、そして以下の配列を有する:
【0045】
【化1】

。DP107ペプチドの短縮は、3〜38アミノ酸の間のペプチドを含み得る。欠失は、DP107ペプチドからの1以上のアミノ酸残基の除去からなり得、そしてペプチド配列の1つの近接する部分または複数の部分の除去を含み得る。挿入はまた、1つのアミノ酸残基または残基のストレッチを含み得、そしてDP107ペプチドのカルボキシ末端またはアミノ末端で、あるいはペプチドに対する内部の位置で作製され得る。
【0046】
DP107ペプチドアナログは、これらのアミノ酸配列がHIV−1LA1、ならびにそれらの短縮、欠失および/または挿入、以外のウイルスのペプチド領域のアミノ酸配列に含まれるペプチドでり、このHIV−1LA1は、DP107が由来したgp41領域に対応する。このような他のウイルスとしては、他のHIV単離体(例えば、HIV−2NIHZ、RSウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、およびはしかウイルス(MeV))が挙げられるが、これらに限定されない。DP107アナログはまた、ALLMOTI5、107x178x4およびPLZIP検索モチーフによって同定されたか、または認識された、これらのペプチド配列いい、これらのモチーフは、米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号および6,020,459号に記載され、そして本明細書中に援用され、DP107に類似の構造モチーフおよび/またはアミノ酸モチーフを有する。DP107アナログは、さらに、「DP107様」と記載されるペプチドをいい、この用語は、米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号および6,020,459号に定義される。
【0047】
(反応性基:)反応性基とは、共有結合を形成し得る実体である。このような反応性基は、目的の治療用ペプチドに連結または結合される。反応性基は、一般に、水性環境内で安定であり、そして通常、カルボキシ基、ホスホリル基、または従来のアシル基であり、エステルまたは混合無水物のいずれか、あるいはイミデートとして存在し、これによって、移動性の血液成分の標的部位の、アミノ基、ヒドロキシまたはチオールのような官能基と共有結合を形成し得る。大部分において、これらのエステルは、フェノール性化合物を含むか、またはチオールエステル、アルキルエステル、リン酸エステルなどである。反応性基としては、スクシンイミジル(succimidyl)基およびマレイミド基が挙げられる。
【0048】
(官能基:)官能基とは、改変された治療用ペプチドの反応性基が反応して共有結合を形成する、血液成分上の基であり、可動性タンパク質および固定タンパク質を含む。官能基は、通常、エステル反応性基との結合のためのヒドロキシル基、マレイミド、イミデートおよびチオールエステル基との結合のためのチオール基;活性化カルボキシル基、ホスホリル基または反応性基上の他の任意のアシル基との結合のためのアミノ基を含む。
【0049】
(血液成分:)血液成分は、固定されていても可動であってもいずれでもよい。固定された血液成分は、非可動性の血液成分であり、そして組織、膜レセプター、介在タンパク質、フィブリンタンパク質、コラーゲン、血小板、内皮細胞、上皮細胞およびこれらが結合する膜および膜レセプター、身体の細胞(somatic body cell)、骨格細胞および平滑筋細胞、神経成分、骨細胞および破骨細胞ならびに全ての身体組織(特に、循環系およびリンパ系に関連するもの)を含む。可動性血液成分とは、いかなる延長した期間にわたっても(一般的には5分を超えず、より通常には1分)固定された位置を有さない、血液成分である。これらの血液成分は、膜結合しておらず、そして延長した期間にわたって血液中に存在し、そして少なくとも0.1μg/mlの最小濃度で存在する。可動性血液成分としては、血清アルブミン、トランスフェリン、フェリチン、ならびにIgMおよびIgGのような免疫グロブリンが挙げられる。可動性血液成分の半減期は、少なくとも約12時間である。
【0050】
(保護基:)保護基とは、ペプチド誘導体をそれ自体と反応しないよう保護するために利用される、化学部分である。種々の保護基が、米国特許第5,493,007号(これは、本明細書中に参考として援用される)に開示される。このような保護基としては、アセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)などが挙げられる。特定の保護されたアミノ酸を、表1に示す。
【0051】
【表1】

(連結基:)連結(スペーサー)基とは、反応性基を治療用ペプチドに連結または接続する、化学部分である。連結基は、1つ以上のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキル基で置換されたアルキニル基またはアミノ基、シクロアルキル基、多環式基、アリール基、ポリアリール基、置換アリール基、複素環式基、および置換複素環式基を含み得る。連結基はまた、AEA((2−アミノ)エトキシ酢酸)または好ましい連結基であるAEEA([2−(2−アミノ)エトキシ)]エトキシ酢酸)のような、ポリエトキシアミノ酸を含み得る。好ましい連結基は、アミノエトキシエトキシ酢酸(AEEA)である。
【0052】
(感受性官能基)感受性官能基とは、治療用ペプチドに潜在的な反応部位を提供する、原子の群である。存在する場合には、感受性官能基は、リンカー−反応性基改変のための付着点として、選択され得る。感受性官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、およびヒドロキシル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
(改変されたペプチド) 改変されたペプチドは、抗ウイルスおよび/または抗膜融合性ペプチドであり、反応性基の付着によって改変されている。反応性基は、連結基を介してか、または必要に応じて連結基を使用せずにかのいずれかで、治療用ペプチドに付着され得る。1つ以上のさらなるアミノ酸が治療用ペプチドに付加されて、反応性基の付着を容易にし得ることもまた、考慮される。改変されたペプチドは、血液成分との結合体化がインビボで起こるように、インビボで投与され得るか、またはこれらは、最初に血液成分とインビトロで結合体化され、そして得られるペプチダーゼに対して安定化されたペプチド(以下に定義されるような)が、インビボで投与され得る。
【0054】
(結合体化ペプチド) 結合体化ペプチドは、改変されたペプチドであり、改変されたペプチドの反応性基と機能性の血液成分の官能基との間に形成された(連結基を伴うか、または伴わないで)共有結合を介して血液成分に結合されている。本出願にわたって使用される用語「結合体化ペプチド」は、特定の結合体化ペプチド(例えば、「結合体化DP178」または「結合体化DP107」)をいうように、より特化され得る。
【0055】
これらの定義を考慮すると、本発明は、存在する抗ウイルスおよび抗膜融合性ペプチドの特性を利用する。ペプチドによって阻害され得るウイルスとしては、例えば、表V〜VIIおよびIX〜XIV中で、米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号および同第6,020,459号に列挙されるウイルスのすべての種が挙げられるが、これらに限定されない。これらのウイルスとしては、例えば、ヒトレトロウイルス(HIV−1、HIV−2、およびヒトTリンパ球(lympocyte)ウイルス(HTLV−IおよびHTLV−II)を含む)、および非ヒトレトロウイルス(ウシ白血症ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ネコ白血症ウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、サル肉腫ウイルス、サル白血病、およびヒツジ進行性肺炎ウイルスを含む)が挙げられる。非レトロウイルスウイルスはまた、本発明のペプチドによって阻害され得、これらのペプチドとしては、以下を含む:ヒトRSウイルス(RSV)、イヌジステンパーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、インフルエンザウイルス、はしかウイルス(MeV)、エプスタイン−バーウイルス、B型肝炎ウイルス、およびサルマソン−ファイザーウイルス。非エンベロープ化ウイルスはまた、本発明のペプチドによって阻害され得、そしてそれらのウイルスとしては、ピコルナウイルス(例えば、ポリオウイルス)、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、エコーウイル、コクサッキーウイルス、パポバウイルス(例えば、パピローマウイルス)、パルボウイルス、アデノウイルス、およびレトロウイルスを含むが、これらに限定されない。
【0056】
例として、本出願の背景の節で議論されたように、HIV融合タンパク質の作用のメカニズムが記載され、そしてペプチドの抗ウイルスおよび抗膜融合性特性は十分に確立された。カルボキシ末端外部ドメイン配列に対応する合成ペプチド(例えば、LAI株の、HIV−1クラスBのアミノ酸残基643〜678、または類似の種からの残基638〜673、ならびに残基558〜595)は、低濃度でウイルス媒介性の細胞−細胞融合を完全に阻害することが示された。融合ペプチドは、ネイティブなウイルスgp41のロイシンジッパー領域と競合し、従って、ウイルスの細胞内への融合/感染の干渉を生じる。
【0057】
本発明の焦点は、DAC(Drug Activity Complex)技術を用いて、選択された抗ウイルスおよび/または抗膜融合性ペプチドを改変し、ペプチドキャリアへのペプチドの選択的結合を通じて、このペプチドに改善されたバイオアベイラビリティ、延長した半減期およびより優れた分布を与えるが、ペプチドの抗ウイルス特性の改変を伴わないことである。本発明の選択されたキャリア(しかし、これに限定されない)は、マレイミド部分で改変された抗ウイルスおよび/または抗膜融合性ペプチドによるその遊離のチオールを通じてアルブミン結合体化される。
【0058】
いくつかのペプチド配列が、HIV−1融合/感染の予防に高度に強力であるとして、文献に記載された。例として、ペプチドDP178は、融合に関連するgp41のコンフォメーションに結合する。従って、本発明の1つの実施形態において、DP178およびDP178様ペプチドは改変される。
【0059】
同様に、本発明の他の実施形態は、HIVに対する使用のためのDP107およびDP107様ペプチド、ならびにRSV、HPV、MeVおよびSIVウイルスにおいて見出されるDP107およびDP178に類似の(analagous)ペプチドの改変を含む。
【0060】
(1.DP178およびDP107)
(A.DP178ペプチド)
DP178ペプチドは、HIV−1LAI単離体からの膜貫通タンパク質gp41のアミノ酸残記載638〜673に対応し、そして36アミノ酸配列(アミノ末端からカルボキシ末端のリーディング)を有する。
【0061】
【化2】

全長DP178の36マーに加えて、本発明のペプチドは、3アミノ酸残基と36アミノ酸残基との間のペプチド(すなわち、トリペプチドから36マーのポリペプチドのサイズに及ぶペプチド)を含むDP178ペプチドの短縮を含む。これらの短縮されたペプチドは、表2および3に示される。
【0062】
さらに、DP178ペプチドのアミノ酸置換はまた、本発明の範囲内である。HIV−1およびHIV−2エンベロープ化タンパク質は、構造的に異なるが、HIV−1およびHIV−2のDP178に対応する領域内に、著しいアミノ酸保存が存在する。アミノ酸の保存は、周期性の性質の保存であり、構造および/または機能のいくらかの保存を示唆する。従って、アミノ酸置換の1つの可能なクラスは、本発明のDP178ペプチドの構造を安定化すると推定さられるこれらのアミノ酸の変化を含む。本明細書中で開示されるDP178およびDP178アナログ配列を利用して、当業者は容易にDP178コンセンサス配列を
作製し、そして好ましいアミノ酸置換を表す保存されたアミノ酸残基を、これらから確かめ得る。
【0063】
アミノ酸置換は、保存された性質の置換または保存されていない性質の置換であり得る。保存されたアミノ酸置換は、類似の電荷、サイズ、および/または疎水性特徴のアミノ酸での、DP178ペプチド配列の1以上のアミノ酸の置換(例えば、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)へのアミノ酸置換)からなる。保存されていない置換は、異なる電荷、サイズ、および/または疎水性特徴を保有するアミノ酸での、DP178ペプチド配列の1以上のアミノ酸の置換(例えば、グルタミン酸(E)のバリン(V)への置換)からなる。
【0064】
DP178のアミノ酸の挿入は、1つのアミノ酸残基またはひとつづきの残基からなる。挿入は、DP178またはDP178短縮ポリペプチドのカルボキシ末端またはアミノ末端、ならびにペプチドに対する内部の位置で作製され得る。
【0065】
このような挿入は、一般的に2〜15アミノ酸長にわたる。目的のペプチドのカルボキシ末端またはアミノ末端のいずれかで作製された挿入は、好ましい約2〜約50アミノ酸を有する、より広いサイズの範囲の挿入であり得ることが意図される。このような挿入が、上記の107x178x4、ALLMOTI5またはPLZIP検索モチーフによってなお認識され得るペプチドを生じる限り、1以上のこのような挿入は、DP178またはDP178短縮に導入され得る。
【0066】
好ましいアミノ末端挿入物またはカルボキシ末端挿入物は、約2〜約50のアミノ酸残基の長さにわたるペプチドであり、実際のDP178 gp41アミノ酸配列に対して、それぞれアミノまたはカルボキシのいずれかでgp41タンパク質領域に対応する。従って、好ましいアミノ末端またはカルボキシ末端のアミノ酸挿入物は、gp41タンパク質のDP178領域に対して、すぐ近くのアミノまたはカルボキシで見出されるgp41アミノ酸配列を含む。
【0067】
DP178またはDP178短縮の欠失はまた、本発明の範囲内である。このような欠失は、DP178またはDP178様ペプチド配列からの1以上のアミノ酸の除去からなり、生じるペプチド配列の下限の長さは、4〜6のアミノ酸である。
【0068】
このような欠失は、ペプチド配列の1つの連続する部分またはそれより大きな1つの不連続の部分を含み得る。このような欠失が、上記の107x178x4、ALLMOTI5またはPLZIP検索モチーフによって、なお認識され得るペプチドを生じる限り、1以上のこのような欠失は、DP178またはDP178短縮に導入され得る。
【0069】
(B.DP107ペプチド)
DP107は、38アミノ酸ペプチドであり、これは、強力な抗ウイルス活性を示し、そし以下に示されるHIV−1LA1単離体膜貫通(TM)gp41糖タンパク質の残基558〜595に対応する
【0070】
【化3】


【0071】
全長DP107の38マーに加えて、DP107ペプチドは、3アミノ酸残基と38アミノ酸残基との間のペプチド(すなわち、トリペプチドから38マーのポリペプチドのサイズに及ぶペプチド)を含むDP107ペプチドの短縮を示す。これらのペプチドは、表4および5に示される。
【0072】
さらに、DP178ペプチドのアミノ酸置換はまた、本発明の範囲内である。DP178については、HIV−1およびHIV−2のDP107に対応する領域内に著しいアミノ酸保存がまた存在し、再び周期性の性質の問題であり、構造および/または機能の保存を示唆する。従って、アミノ酸置換の1つの可能なクラスは、本発明のDP107ペプチドの構造を安定化すると推定されるこれらのアミノ酸の変化を含む。本明細書中で開示されるDP107およびDP107アナログ配列を利用して、当業者は、容易にDP107コンセンサス配列を作製し、そして好ましいアミノ酸置換を示す保存されたアミノ酸残基を、これらから確かめ得る。
【0073】
アミノ酸置換は、保存された性質の置換または保存されていない性質の置換であり得る。保存されたアミノ酸置換は、類似の電荷、サイズ、および/または疎水性特徴のアミノ酸での、DP107ペプチド配列の1以上のアミノ酸の置換(例えば、グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)へのアミノ酸置換)からなる。保存されていない置換は、異なる電荷、サイズ、および/または疎水性特徴を保有するアミノ酸での、DP178ペプチド配列の1以上のアミノ酸の置換(例えば、グルタミン酸(E)のバリン(V)への置換)からなる。
【0074】
アミノ酸の挿入は、単一のアミノ酸残基またはひとつづきの残基からなる。挿入は、DP107またはDP107短縮ペプチドのカルボキシ末端またはアミノ末端、ならびにペプチドに対する内部の位置で作製され得る。
【0075】
このような挿入は、一般的に2〜15アミノ酸長にわたる。目的のペプチドのカルボキシ末端またはアミノ末端のいずれかで作製された挿入は、好ましい約2〜約50アミノ酸を有する、より広いサイズの範囲の挿入であり得ることが意図される。このような挿入が、上記の107x178x4、ALLMOTI5またはPLZIP検索モチーフによってなお認識され得るペプチドを生じる限り、1以上のこのような挿入は、DP107またはDP107短縮に導入され得る。
【0076】
好ましいアミノ末端挿入物またはカルボキシ末端挿入物は、約2〜約50のアミノ酸残基の長さにわたるペプチドであり、実際のDP107 gp41アミノ酸配列に対して、それぞれアミノまたはカルボキシのいずれかでgp41タンパク質領域に対応する。従って、好ましいアミノ末端またはカルボキシ末端アミノ酸挿入物は、gp41タンパク質のDP107領域に対する、すぐ近くのアミノまたはカルボキシで見出されるgp41アミノ酸配列を含む。
【0077】
DP107またはDP107短縮の欠失はまた、本発明の範囲内である。このような欠失は、DP107またはDP107様ペプチド配列からの1以上のアミノ酸の除去からなり、生じるペプチド配列の下限の長さは、4〜6のアミノ酸である。
【0078】
このような欠失は、ペプチド配列の1つの連続する部分またはそれより大きな1つの不連続の部分を含み得る。このような欠失が、上記の107x178x4、ALLMOTI5またはPLZIP検索モチーフによって、なお認識され得るペプチドを生じる限り、1以上のこのような欠失は、DP107またはDP107短縮に導入され得る。
【0079】
DP107およびDP107短縮は、米国特許第5,656,480号に、より十分に記載され、これは、その全体が参考として本明細書中で援用される。
【0080】
(2.DP107およびDP178アナログ)
上記の本発明のDP178、DP178短縮、DP107およびDP107短縮配列のアナログに対応するペプチドは、他のウイルス(例えば、非HIV−1エンベロープ化ウイルス、非エンベロープ化ウイルスおよび他の非ウイルス性生物を含むが、これらに限定されない)において見出され得る。
【0081】
このようなDP178アナログおよびDP107アナログは、例えば、エンベロープ化されたウイルスの膜貫通(「TM」)タンパク質に存在するペプチド配列に対応し得、そして非エンベロープ化生物および非ウイルス性生物に存在するペプチド配列に対応し得る。このようなペプチドは、抗膜融合性活性、抗ウイルス活性、最も具体的にはネイティブな配列が見出されるウイルスに特異的である抗ウイルス活性を示し得るか、またはコイルドコイルペプチド構造に関連する細胞間プロセスを調節する能力を示し得る。
【0082】
(A.DP178アナログ)
DP178アナログは、そのアミノ酸配列が、例えば、DP178が誘導されたgp41ペプチド領域に対応する他のウイルス(すなわち、HIV−1以外)のペプチド領域のアミノ酸配列からなるペプチドである。そのようなウイルスとしては、他のHIV−1単離体およびHIV−2単離体が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0083】
他のHIV単離体(すなわち、非HIV−1LAI)の対応するgp41ペプチド領域由来のDP178アナログとしては、例えば、以下に示されるペプチド配列が挙げられ得る。
【0084】
【化4】

配列番号3、配列番号4および配列番号5のペプチドは、それぞれ、HIV−lSF2、HIV−1RFおよびHIV−1MN由来である。他のDP178アナログとしては、HIV−2から誘導されたアナログが挙げられ、これには、配列番号6および配列番号7のペプチドが含まれる(これらはそれぞれ、HIV−2RODおよびHIV−2NIHZ由来である)。さらに別の有用なアナログとしては、配列番号8および配列番号9のペプチドが挙げられ、これらは、抗ウイルス活性を示すことが証明されている。
【0085】
本発明において、DP178アナログは、そのアミノ酸配列がgp41タンパク質のDP178領域に対応するペプチドを示すことが好ましく、本明細書中に開示されるペプチドがさらに、約2〜約50アミノ酸残基の長さの範囲で、実際のDP178アミノ酸配列に対するアミノまたはカルボキシのいずれかのgp41タンパク質領域に対応するアミノ酸配列を含み得ることがまた意図される。
【0086】
表6および表7は、HIV−2NIHZDP178アナログのいくつかの可能な短縮を示し、これは、3と36との間のアミノ酸残基のペプチド(すなわち、トリペプチドから36マーポリペプチドまでのサイズの範囲のペプチド)を含み得る。これらの表におけるペプチド配列を、アミノ末端(左)からカルボキシ末端(右)に列挙する。
【0087】
(B.さらなるDP178アナログおよびDP107アナログ)
DP178およびDP107アナログは、例えば、上記の107x178x4、ALLMOTI5またはPLZIPのコンピューター補助の検索戦略のうちの1つ以上を使用することによって、認識されるかまたは同定される。この検索戦略は、DP107および/またはDP178の構造および/またはアミノ酸配列特徴と類似した、構造および/またはアミノ酸配列特徴を有することが予想されるさらなるペプチド領域を同定する。
【0088】
検索戦略は、米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号および同第6,020,459号の第9節に示される例示に完全に記載される。この検索戦略は、ある部分、DP107およびDP178から推定される一次アミノ酸モチーフに基づくが、単に、一次アミノ酸相同性配列に関する検索に基づくものではない。なぜなら、そのようなタンパク質配列相同性は存在するが、主要なウイルス群の間ではないからである。例えば、一次アミノ酸配列相同性は、HIV−1の異なる種のTMタンパク質内、またはサル免疫不全ウイルス(SIV)の異なる単離体のTMタンパク質内で高い。
【0089】
米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号、および同第6,020,459号に開示されるコンピューター検索戦略は、DP107またはDP178に類似するタンパク質の領域を首尾良く同定した。この検索戦略は、市販の配列データベースパッケージ、好ましくはPC/Geneを用いて使用されるように設計された。
【0090】
米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号、および同第6,020,459号において、一連の検索モチーフ(107x178x4、ALLMOTI5、およびPLZIPモチーフ)は、好ましい107x178x4を用いて厳密から幅広い範囲のストリンジェンシーに対して設計され、そして操作された。配列は、米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号、および同第6,020,459号のそのような検索モチーフ(例えば、表V〜XIVに列挙されるようなモチーフ)を介して同定され、そして、本出願に参考として援用して含まれ、強力に抗膜融合性(fusogenic)(例えば、抗ウイルス)活性を示し、抗膜融合性(例えば、抗ウイルス)化合物の同定においてさらに有用であり得る。
【0091】
(3.他の抗ウイルスペプチド)
(A.抗RSVペプチド)
抗RSVペプチドは、RSVによるウイルス感染を阻害することがさらに同定されたRSV中の対応するペプチド配列から単離された、DP178および/またはDP107アナログを含む。目的のそのようなペプチドは、表16のペプチドおよび配列番号10〜配列番号30のペプチドを含む。特に興味深いのは、以下のペプチドである:
【0092】
【化5】

。配列番号10のペプチドは、RSVのF2領域から誘導され、そして、DP107およびDP178ペプチドに対応するような記載された検索モチーフ(すなわち、「DP107/178様」)を用いて、米国特許第6,103,236号、および同第6,020,459号で同定された。配列番号14〜配列番号16のペプチドは各々、配列番号10のペプチド内に含まれるアミノ酸配列を有し、そして各々は、抗RSV活性を示し、特に、50μg/ml未満の濃度において、RSV感染Hep−2細胞と感染されていないHep−2細胞との間の融合および合胞体の形成を阻害することが示された。
【0093】
配列番号11のペプチドは、RSVのF1領域から誘導され、そして、DP107に対応するような記載された検索モチーフ(すなわち、「DP107様」)を用いて、米国特許第6,103,236号、および同第6,020,459号で同定された。配列番号29のペプチドは、配列番号10のペプチド内に含まれるアミノ酸配列を含み、同様に、抗RSV活性を示し、特に、50μg/ml未満の濃度において、RSV感染Hep−2細胞と感染されていないHep−2細胞との間の融合および合胞体の形成を阻害することが示された。
【0094】
(B.抗HPIVペプチド)
抗HPIVペプチドは、HPIV中の対応するペプチド配列から同定されたDP178および/またはDP107アナログを含み、そしてHPIVによるウイルス感染を示すことがさらに同定された。目的のそのようなペプチドは、表17および配列番号31〜配列番号62のペプチドを含む。特に興味深いのは、以下のペプチドである:
【0095】
【化6】

。配列番号31のペプチドは、HPIV−3のF1領域から誘導され、そして、DP107に対応するような記載された検索モチーフ(すなわち、「DP107様」)を用いて、米国特許第6,103,236号、および同第6,020,459号で同定された。配列番号52〜配列番号58のペプチドは各々、配列番号30のペプチド内に含まれるアミノ酸配列を有し、そして各々は、抗HPIV−3活性を示し、特に、1μg/ml未満の濃度において、HPIV−3感染されたHep2細胞と感染されていないのCV−1W細胞との間の融合および合胞体の形成を阻害することが示された。
【0096】
配列番号32のペプチドはまた、HPIV−3のF1領域から誘導され、そして、DP178に対応するような記載された検索モチーフ(すなわち、「DP178様」)を用いて、米国特許第6,103,236号、および同第6,020,459号で同定された。配列番号35および配列番号38〜配列番号42のペプチドは各々、配列番号32のペプチド内に含まれるアミノ酸配列を有し、そして各々はまた、抗HPIV−3活性を示し、特に、1μg/ml未満の濃度において、HPIV−3感染されたHep2細胞と感染されていないCV−1W細胞のと間の融合および合胞体の形成を阻害することが示された。
【0097】
(C.抗MeVペプチド)
抗MeVペプチドは、はしかウイルス(MeV)によるウイルス感染を阻害することがさらに同定されたはしかウイルス中の対応するペプチド配列から同定された、DP178および/またはDP107アナログである。特定の目的のそのようなペプチドは、表19のペプチドおよび配列番号74〜配列番号86のペプチドを含む。特に興味深いのは、以下に列挙されるペプチドである:
【0098】
【化7】

。はしかウイルス由来の配列は、DP178に対応するような記載された検索モチーフ(すなわち、「DP178様」)を用いて、米国特許第6,103,236号、および同第6,020,459号で同定された。配列番号77、配列番号79、配列番号81および配列番号83のペプチド各々は、そのように同定されたアミノ酸配列を有し、そして各々は、抗MeV活性を示し、特に、1μg/ml未満の濃度において、MeV感染されたHep2と感染されていないVero細胞との間の融合および合胞体の形成を阻害することが示された。
【0099】
(D.抗SIVペプチド)
抗SIVペプチドは、SIVによるウイルス感染を阻害することがさらに同定されたSIV中の対応するペプチド配列から同定されたDP178および/またはDP107アナログである。目的のそのようなペプチドは、表18のペプチドおよび配列番号63〜配列番号73までのペプチドを含む。特に興味深いのは、以下のペプチドである:
【0100】
【化8】

。SVI膜貫通融合タンパク質由来の配列は、DP178に対応するような記載された検索モチーフ(すなわち、「DP178様」)を用いて、米国特許第6,103,236号、および同第6,020,459号で同定された。配列番号64〜配列番号73のペプチドは各々、そのように同定されたアミノ酸配列を有し、そして各々は、粗ペプチドとして強力な抗SIV活性を表すことが示された。
【0101】
(4.抗ウイルスおよび抗膜融合性ペプチドの改変)
本発明は、抗ウイルスおよび/または抗膜融合性活性を示すペプチドを改変することを意図し、DP−107およびDP−178ならびにそれらのアナログのそのような改変を含む。そのような改変されたペプチドは、共有結合を介して血液成分上の利用可能な反応性官能基と反応し得る。本発明はまた、そのような改変、血液成分を用いたそのような組合せ、およびそれらの使用のための方法に関する。これらの方法は、非結合体化のペプチドを患者に投与することと比較して、結合体化された抗ウイルスペプチド誘導体の有効な治療剤の寿命を延長する工程を包含する。改変されたペプチドは、DAC(薬物親和性複合体)として設計される型のペプチドであり、これは、抗ウイルスペプチド分子および可動性の血液タンパク質の反応性官能基と反応し得る化学反応基を伴なう連結基を含む。血液成分またはタンパク質を用いた反応によって、改変されたペプチド、すなわちDACは、血液を介して適切な部位またはレセプターに送達され得る。
【0102】
タンパク質上の官能基と共有結合を形成するために、反応性基として広範な種々の活性なカルボキシル基、特にエステルを使用し得、ここで、ヒドロキシル部分は、ペプチドを改変するために必要とされるレベルで生理学的に受容可能である。多くの異なるヒドロキシル基がこれらの反応性基に使用され得るが、最も簡便なものは、N−ヒドロキシスクシンイミド(すなわち、NHS)、N−ヒドロキシ−スルホスクシンイミド(sulfo−NHS)である。本発明の好ましい実施形態において、タンパク質上の官能基は、チオール基であり、そして反応性基は、γ−マレイミド−ブチラールアミド(gamma-maleimide-butyralamide)(GMBA)またはマレイミドプロピオン酸(MPA)のようなマレイミド含有基である。
【0103】
第一級アミンは、NHSエステルに対する重要な標的である。タンパク質のN末端に存在するアクセス可能なα−アミン基が、NHSエステルと反応する。しかし、タンパク質のα−アミノ基は、NHSカップリングに対して望ましくもなければ、利用可能でもあり得ない。5個のアミノ酸がその側鎖に窒素を有するが、リジンのε−アミンのみが、有意にNHSエステルと反応する。以下の模式図に示されるように、NHSエステルの結合反応が、第一級アミンと反応してN−ヒドロキシスクシンイミドを放出する場合、アミド結合が形成される。
【0104】
【化9】

本発明の好ましい実施形態において、このタンパク質の官能基はチオール基であり、化学反応性基は、MPAまたはGMBA(γ−マレイミド−ブチラールアミド)のようなマレイミド含有基である。マレイミド基は、反応混合物のpHが6.5と7.4の間で維持される場合、ペプチド上のスルフヒドリル基について最も選択的である。pH7.0において、マレイミド基とスルフヒドリルとの反応速度は、アミンとの反応より1000倍速い。以下の模式図に示されるように、マレイミド基とスルフヒドリルとの間の安定なチオエーテル結合が形成され、これは、生理学的な条件下では切断され得ない。
【0105】
【化10】

(A.特異的標識化)
好ましくは、本発明の改変されたペプチドは、移動性血液タンパク質上のチオール基と特異的に反応するように設計される。このような反応は、好ましくは、血清アルブミンまたはIgGのような移動性血液タンパク質上のチオール基へのマレイミド連結(例えば、GMBS、MPAまたは他のマレイミドから調製される)を用いて改変されるこのペプチドの共有結合によって確立される。
【0106】
特定の条件下において、マレイミドを用いた特異的な標識化は、NHSおよびsulfo−NHSのような基を用いる移動性タンパク質の非特異的な標識化に対して、いくつかの利点を提供する。チオール基は、インビボにおいてアミノ基よりもあまり豊富ではない。従って、本発明のマレイミド改変ペプチド(すなわち、マレイミドペプチド)は、より少ないタンパク質に共有結合する。例えば、アルブミン(最も豊富な血液タンパク質)中には、1つのチオール基のみが存在する。従って、ペプチド−マレイミド−アルブミン結合体は、ペプチド対アルブミンを約1:1のモル比で含む傾向がある。アルブミンに加えて、IgG分子(クラスII)もまた、遊離チオールを有する。IgG分子および血清アルブミンが、血液中、可溶タンパク質の大部分を構成するので、これらはまた、マレイミド改変ペプチドに共有結合するのに利用可能な血液中の遊離チオール基の大部分を構成する。
【0107】
さらに、遊離チオール含有血液タンパク質(IgGを含む)の間でさえ、アルブミン自体の独特の特徴に起因して、マレイミドを用いた特異的標識化は、ペプチド−マレイミド−アルブミン結合体の優先的な形成を導く。アルブミンの単一の遊離チオール基は、種間において高度に保存され、アミノ酸残基34(Cys34)に位置する。最近、アルブミンのCys34が、他の遊離チオール含有タンパク質上の遊離チオールと比べて、増加した反応性を有することが示された。これは、アルブミンのCys34に対する非常に低いpK値(5.5)に一部起因する。これは、一般的にシステイン残基の典型的なpK値(典型的には約8)よりもずっと低い。この低いpKに起因して、正常な生理学的条件下でアルブミンのCys34は、主にイオン化された形態であり、これは、その反応性を劇的に増加させる。Cys34の低いpK値に加えて、Cys34の反応性を増強する別の因子はその位置であり、この位置は、アルブミンのV領域の一つのループの表面に近接した間隙中の位置である。この位置は、Cys34を全ての種類のリガンドに対して極めて利用可能にし、そしてこの位置は、遊離ラジカルトラップおよび遊離チオールスカベンジャーとしてのCys34の生物学的役割において、重要な因子である。これらの特徴は、Cys34をマレイミド−ペプチドに非常に反応性にし、反応速度の加速は、他の遊離チオール含有タンパク質とのマレイミド−ペプチドの反応速度に比べて、1000倍であり得る。
【0108】
ペプチド−マレイミド−アルブミン結合体の別の利点は、詳細にはCys34において、ペプチド対アルブミンを1:1で含むことに関連する再現性である。他の技術(例えば、グルタルアルデヒド、DCC、EDCおよび例えば、遊離アミンの他の化学活性化)は、この選択性を欠いている。例えば、アルブミンは、52個のリジン残基を含み、このうちの25〜30個は、アルブミンの表面に位置し、そして結合に対してアクセス可能である。これらのリジン残基の活性化、あるいはこれらのリジン残基を通して結合するペプチドの改変によって、結合体の不均一な集団が生じる。ペプチド対アルブミンの1:1のモル比が使用される場合でさえ、生成物は、複数の結合体産物からなり、そのいくつかは、アルブミン当たり0、1、2以上のペプチドを含み、それぞれは、25〜30個の利用可能なリジン部位の1つ以上のいずれかにランダムに結合されるペプチドを有する。多数の可能な組み合わせが提供される場合、抽出成分および各々の結合体のバッチの性質の特徴付けが困難になり、バッチ間の再現性はほとんど不可能であり、このような結合体の治療剤としての望ましさを減少する。さらに、アルブミンのリジン残基を介する結合体化は、1アルブミン分子当たりより多くの治療剤を送達するということに関する利点を少なくとも有するようであるが、研究によって、治療剤対アルブミンの1:1の比が好ましいことが示された。Stehleらによる論文「The Loading Rate Determines Tumor Targeting properties of Methotrexate−Albumin Conjugates in Rats」、Anti−Cancer Drugs,第8巻,677−685頁(1988)(その全体において本明細書中で援用される)において、著者らは、グルタルアルデヒドを介して結合される抗癌剤メトトレキサート対アルブミンの1:1の比が最も有望な結果を与えたことを報告した。これらの結合体は腫瘍細胞によって優先的に取り込まれたが、5:1〜20:1のメトトレキサート分子を有する結合体は、変化したHPLCプロフィールを有し、そしてインビボで肝臓によって迅速に取り込まれた。これらの高い比において、アルブミンに対するコンフォメーションの変化は、治療キャリアとしてのその有効性を減少することが推論された。
【0109】
マレイミド−ペプチドのインビボでの制御された投与を通して、アルブミンおよびIgGのインビボでの特異的な標識化を制御し得る。典型的な投与において、80〜90%の投与されたマレイミド−ペプチドが、アルブミンを標識し、5%未満がIgGを標識する。グルタチオンのような遊離チオールの微量標識がまた、生じる。このような特異的な標識化は、インビボ用途に好ましい。なぜなら、これは、投与された薬剤の見積もられた半減期の正確な計算を可能にするからである。
【0110】
制御された特異的なインビボ標識化を提供することに加えて、マレイミド−ペプチドは、血清アルブミンおよびIgGのエキソビボでの特異的標識化を提供し得る。このようなエキソビボの標識化は、血清アルブミンおよび/またはIgGを含む血液、血清または生理食塩水の溶液へのマレイミド−ペプチドの添加を包含する。一旦、結合がマレイミド−ペプチドを用いてエキソビボで生じると、血液、血清または生理食塩溶液は、インビボ処置のために患者の血液に再投与され得る。
【0111】
NHS−ペプチドと対照的に、マレイミド−ペプチドは、一般的に、水性溶液の存在下および遊離アミンの存在下において、非常に安定である。マレイミド−ペプチドが遊離チオールとのみ反応するので、保護基は、一般的にマレイミド−ペプチドがそれ自体と反応することを防ぐ必要はない。さらに改変されたペプチドの増加した安定性によって、インビボ用途に適切な高度に精製された産物を調製するためのHPLCのようなさらなる精製工程の使用を可能になる。最後に、増加した化学的安定性は、より長い有効期限を有する製品を提供する。
【0112】
(B.非特異的標識)
本発明の抗ウイルスペプチドはまた、血液成分の非特異的標識のために改変され得る。アミノ基への結合がまた使用され、特に非特異的標識のためのアミド結合の形成を伴う。そのような結合を形成するために、化学反応基として広範な種々の活性カルボキシル基、特にエステルを使用し得、ここでそのヒドロキシル部分は、必要とされるレベルにおいて生理学的に受容可能である。多数の異なるヒドロキシル基がこれらの結合剤において使用され得るが、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)およびN−ヒドロキシ−スルホスクシンイミド(sulfo−NHS)が最も都合が良い。
【0113】
利用され得る他の結合剤は、米国特許第5,612,034号(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0114】
改変されたペプチドの化学反応基がインビボで反応し得る種々の部位としては、細胞、特に赤血球(成熟赤血球)および血小板、ならびにタンパク質(例えば、免疫グロブリン(IgGおよびIgMを含む)、血清アルブミン、フェリチン、ステロイド結合タンパク質、トランスフェリン、サイロキシン結合蛋白、α−2−マクログロブリンなど)が挙げられる。改変されたペプチドが反応するそれらのレセプター(これは、長命ではない)は、一般的に、およそ3日以内にヒト宿主から除去される。上記に示されるタンパク質(細胞のタンパク質を含む)は、血中濃度に基づいて、特に半減期に関しては、少なくとも3日間残存し、そして5日間以上残存し得る(一般的に、60日間を超えず、より一般的には30日間を超えない)。
【0115】
ほとんどの部分について、反応は、血液中の移動性成分、詳細には血液タンパク質および細胞、より詳細には血液タンパク質および成熟赤血球を伴う。「移動性」とは、その成分が、任意の延長された期間(一般的には5分間を超えず、より一般的には1分間である)一定の場所にいないことを意図するが、いくつかの血液成分は、延長された期間、相対的に停止し得る。最初は、機能化されたタンパク質および細胞の比較的不均一な集団が存在する。しかし、ほとんどの部分について、数日以内の集団は、血流中の機能化されたタンパク質の半減期に依存して、最初の集団とは実質的に異なってくる。従って、通常、およそ3日以内もしくはそれ以後の期間内に、IgGは、血流において優勢な機能化されたタンパク質となる。
【0116】
通常、投与後5日までに、IgG、血清アルブミンおよび成熟赤血球は、血液中の結合成分の少なくとも約60モル%、通常は少なくとも約75モル%となり、IgG、IgM(実質的により少ない程度まで)および血清アルブミンは、非細胞性結合成分の少なくとも約50モル%、通常は少なくとも約75モル%、より一般には約80モル%となる。
【0117】
血液成分に対する非特異的な改変されたペプチドの所望の結合体は、患者に直接その改変されたペプチドを投与することによって、インビボにて調製され得る。この患者は、ヒトまたは他の哺乳動物であり得る。その投与は、ボーラス形態でなされるか、または流れを計器で調節して注入することなどによって、ゆっくりと長期間で導入され得る。
【0118】
所望される場合、対象結合体はまた、血液と本発明の改変されたペプチドとを組み合わせることによって、エキソビボで調製され得、血液成分上の反応性官能基への改変されたペプチドの共有結合を可能にし、次いで、宿主にその結合体化血液を戻すかまたは投与する。さらに、上記のことはまた、初めに、個々の血液成分または限られた数の成分(例えば、赤血球、免疫グロブリン、血清アルブミンなど)を精製し、そしてその成分または複数の成分をエキソビボにて化学的に反応性の改変されたペプチドと組み合わせることによって達成され得る。次いで、機能化された血液または血液成分は、治療的に有効な結合体をインビボで被験体に提供するために宿主に戻され得る。その血液はまた、エキソビボで操作する間の凝固を予防するために処理され得る。
【0119】
(5.改変された抗ウイルスペプチドおよび抗膜融合性ペプチドの合成)
(A.ペプチド合成)
本発明に従う抗ウイルスペプチドおよび/または抗膜融合性ペプチドは、当業者に公知の固相ペプチド化学の標準的な方法によって、合成され得る。例えば、ペプチドは、アプライドバイオシステムシンセサイザー(Applied Biosystem synthesizer)を使用する、StewardおよびYoung(Steward,J. M.およびYoung,J.D.,Solid Phase Peptide Synthesis,第2版.,Pierce Chemical Company,Rockford,III.,(1984))により記載される手順に従がう固相化学技術によって合成され得る。次いで、同様に、複数のペプチドフラグメントが共に結合して合成されて、より大きなフラグメントを形成する。これらの合成ペプチドはまた、特定の位置におけるアミノ酸置換を伴って作製され得る。
【0120】
固相ペプチド合成について、多くの技術の概要が、J.M.StewartおよびJ.D.Young,Solid Phase Peptide Synthesis,W.H.Freeman Co.(San Francisco),1963およびJ.Meienhofer,Hormonal Proteins and Peptides,第2巻 46頁、Academic Press(New York),1973において見出され得る。伝統的な溶液合成については、G.SchroderおよびK.Lupke,The Peptides,第1巻、Acacemic Press(New York)を参照のこと。一般的にこれらの方法は、1つ以上のアミノ酸または適切に保護されたアミノ酸を連続的に付加してペプチド鎖に成長させることを含む。通常、第1のアミノ酸のアミノ基またはカルボキシル基のいずれかが、適切な保護基によって保護される。次いで、その保護されたアミノ酸または誘導体化されたアミノ酸は、不活性固体支持体に付着されるか、あるいは、アミド結合を形成するために適切な条件下において、適切に保護されたコンプリメンタリー(complimentary)(アミノもしくはカルボキシル)基を有する配列中に次のアミノ酸を付加することによって溶液中で利用される。次いで、保護基をこの新たに付加されたアミノ酸残基から除去し、そして次のアミノ酸(適切に保護された)が付加される、など。
【0121】
全ての所望のアミノ酸が、適切な配列内に結合された後、任意の残りの保護基(および任意の固体支持体)が連続的にか、または同時に除去されて、最終的なポリヌクレオチドができる。この一般的手順の単純な改変によって、1つよりも多くのアミノ酸を一度に付加させて、鎖を成長させることが可能となる(例えば、保護されたトリペプチドを適切に保護されたジペプチドに(キラル中心をラセミ化しない条件下で)結合させることによって脱保護の後、ペンタペプチドを形成させることによる)。
【0122】
本発明の化合物を調製する特に好ましい方法は、固相ペプチド合成を含み、ここでアミノ酸α−N−末端は、酸感受性基または塩基感受性基によって保護される。そのような保護基は、ペプチド結合形成の条件に対して安定であるという特性を有するべき一方で、成長するペプチド鎖の破壊またはその中に含まれる任意のキラル中心のラセミ化を伴わずに容易に除去可能であるという特性も有すべきである。適切な保護基は、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロフェニルスルフェニル、2−シアノ−t−ブチルオキシカルボニルなどである。9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)保護基は、本発明のペプチドの合成のために特に好ましい。他の好ましい側鎖保護基は、リジンおよびアルギニンのような側鎖アミノ基に関しては、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル(pmc)、ニトロ基、p−トルエンスルホニル基、4−メトキシベンゼン−スルホニル基、Cbz基、Boc基、およびアダマンチルオキシカルボニル基;チロシンに関しては、ベンジル基、o−ブロモベンジルオキシカルボニル基、2,6−ジクロロベンジル基、イソプロピル基、t−ブチル(t−Bu)基、シクロヘキシル基、シクロペニル基およびアセチル(Ac)基であり;セリンに関しては、t−ブチル基、ベンジル基およびテトラヒドロピラニル基であり;ヒスチジンに関しては、トリチル基、ベンジル基、Cbz基、p−トルエンスルホニル基および2,4−ジニトロフェニル基であり;トリプトファンに関しては、ホルミル基であり;アスパラギン酸およびグルタミン酸に関しては、ベンジル基およびt−ブチル基ならびにシステインに関しては、トリフェニルメチル(トリチル)基である。
【0123】
固相ペプチド合成方法において、α−C−末端アミノ酸は、適切な固体支持体または樹脂に付着される。上記合成のために有用な適切な固体支持体は、段階的な縮合−脱保護反応の試薬および反応条件に対して不活性であり、ならびに使用される媒体に不溶性である材料である。α−C−末端カルボキシペプチドの合成のための好ましい固体支持体は、4−ヒドロキシメチルフェノキシメチル−コポリ(スチレン−1%ジビニルベンゼン)である。α−C−末端アミドペプチドのための好ましい固相支持体は、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)フェノキシアセトアミドエチル樹脂である(Applied
Biosystems(Foster City,Calif.)から入手可能)。このα−C−末端アミノ酸は、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート(BOP)またはビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド(BOPCl)を伴うか、または伴わずに、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)またはO−ベンゾトリアゾル−1−イル−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウム−ヘキサフロオロホスフェート(HBTU)によって樹脂に結合され、結合は、ジクロロメタンまたはDMFのような溶媒中で10℃と50℃との間の温度にて約1時間〜24時間の間媒介される。
【0124】
固体支持体が、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)フェノキシ−アセトアミドエチル樹脂である場合、Fmoc基は、上記のα−C−末端アミノ酸とのカップリングの前に、第二級アミン、好ましくはピペリジンで切断される。脱保護された4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)フェノキシ−アセトアミドエチル樹脂へのカップリングのための好ましい方法は、DMF中O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウム−ヘキサフロオロホスフェート(HBTU、1当量)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、1当量)である。保護されたアミノ酸の連続的なカップリングは、当該分野において周知の自動ポリペプチドシンセサイザーにおいて実行され得る。好ましい実施形態において、成長するペプチド鎖のα−N−末端アミノ酸は、Fmocで保護される。成長するペプチドのα−N−末端側からのFmoc保護基の除去は、第二級アミン、好ましくはピペリジンを用いて処理することによって達成される。次いで、各々の保護アミノ酸は、およそ3倍の過剰なモル濃度で導入され、そして好ましくは、カップリングはDMF中で実行される。カップリング剤は、通常、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウム−ヘキサフロオロホスフェート(HBTU、1当量)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、1当量)である。
【0125】
固相合成の終点において、このポリペプチドは、連続的にか、または1回の操作でのいずれかで、樹脂から取り出されて、そして脱保護される。ポリペプチドの取り出しおよび脱保護は、チオアニソール、水、エタンジチオールおよびトリフルオロ酢酸を含む切断試薬(cleavage reagent)を用いて、樹脂結合ポリペプチドを処理することにより1回の操作で達成され得る。ポリペプチドのα−C−末端がアルキルアミドである場合、樹脂は、アルキルアミンを用いるアミノ分解によって切断される。あるいは、ペプチドは、例えば、メタノールを用いるエステル交換反応、続いてアミノ分解または直接的アミド基交換によって取り出され得る。保護ペプチドは、この時点で精製され得るか、または次の工程に直接使用され得る。側鎖保護基の除去は、上記の切断カクテル(cocktail)を使用して達成される。完全に脱保護されたペプチドは、任意または全ての以下の型:弱塩基樹脂上のイオン交換(アセテート形態);非誘導体化ポリスチレン−ジビニルベンゼン上の疎水性吸着クロマトグラフィー(例えば、Amberlite XAD);シリカゲル吸着クロマトグラフィー;カルボキシメチルセルロース上のイオン交換クロマトグラフィー;分配クロマトグラフィー(例えば、Sephadex G−25、LH−20)または向流分配;高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(特に、オクチル−もしくはオクタデシルシリル−シリカ結合相充填剤上の逆相HPLC)を利用する一連のクロマトグラフィー工程により精製される。
【0126】
これらのITPの分子量は、Fast Atom Bombardment(FAB)Mass Spectroscopyを使用して決定される。
【0127】
((1)N−末端保護基)
上記に議論されるように、用語「N−保護基」とは、アミノ酸もしくはペプチドのα−N−末端を保護すること、さもなくばアミノ酸もしくはペプチドのアミノ基を、合成手順の間の望ましくない反応物に対して保護することが意図されるそれらの基をいう。一般的に、使用されるN−保護基は、Greene、「Protective Groups In Organic Synthesis」(John Wiley&Sons、New York(1981))(これは、本明細書中に参考として援用される)に開示される。さらに、保護基を、例えば、酵素的加水分解によって容易にインビボで切断されるプロドラッグとして使用して、生物学的に活性なペアレント(parent)を放出し得る。α−N−保護基は、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル基、アセチル基(「Ac」)、プロピオニル基、ピバロイル基、t−ブチルアセチル基など;2−クロロアセチル基、2−ブロモアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、フタリル基、o−ニトロフェノキシアセチル基、クロロブチリル基、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、4−ブロモベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基などを含む他のアシル基;例えば、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基などのようなスルホニル基;例えば、ベンジルオキシカルボニル基、p−クロロベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、2−ニトロベンジルオキシカルボニル基、p−ブロモベンジルオキシカルボニル基、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、4−エトキシベンジルオキシカルボニル基、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル基、1−(p−ビフェニルイル)−1−メチルエトキシカルボニル基、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、ベンズヒドリルオキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基(Boc)、ジイソプロピルメトキシオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、4−ニトロフェノキシカルボニル基、フルオレニル−9−メトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などのカルバメート形成基;例えば、ベンジル基、トリフェニルメチル基、ベンジルオキシメチル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)などのようなアリールアルキル基ならびに例えば、トリメチルシリルなどのようなシリル基を含む。
【0128】
((2)カルボキシ保護基)
上記で議論されるように、用語「カルボキシ保護基」とは、化合物の他の官能基部位に関与する反応が実施されながらカルボン酸官能基をブロックもしくは保護するために使用されるカルボン酸保護エステル基またはアミド基のことをいう。カルボキシ保護基は、Greene、「Protective Groups
in Organic Synthesis」152〜186頁(1981)(これは、本明細書中に参考として援用される)に開示される。さらに、カルボキシ保護基は、プロドラッグとして使用され得、それによってカルボキシ保護基は、例えば、酵素的加水分解によって容易にインビボで切断され、生物学的に活性なペアレントを放出し得る。そのようなカルボキシ保護基は、当業者に周知であり、米国特許第3,840,556号および同第3,719,667号にて記載されるように、ペニシリンおよびセファロスポリンの分野におけるカルボキシル基の保護において広範囲に使用されている。これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。代表的なカルボキシ保護基は、C1−C8低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基またはt−ブチル基など);例えば、フェネチル基またはベンジル基のようなアリールアルキル基ならびに例えば、アルコキシベンジル基またはニトロベンジル基などのようなそれらの置換誘導体;例えば、フェニルエテニル基などのアリールアルケニル;アリールおよび例えば、5−インダニル基などのようなその置換誘導体で;例えば、ジメチルアミノエチル基などのようなジアルキルアミノアルキル基;例えば、アセトキシメチル基、ブチリルオキシメチル基、バレリルオキシメチル基、イソブチリルオキシメチル基、イソバレリルオキシメチル基、1−(プロピオニルオキシ)−1−エチル基、1−(ピバロイルオキシ)−1−エチル基、1−メチル−1−(プロピオニルオキシ)−1−エチル基、ピバロイルオキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基などのようなアルカノイルオキシアルキル基;例えば、シクロプロピルカルボニルオキシメチル基、シクロブチルカルボニルオキシメチル基、シクロペンチルカルボニルオキシメチル基、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル基などのようなシクロアルカノイルオキシアルキル基;例えば、ベンゾイルオキシメチル基、ベンゾイルオキシエチル基などのようなアロイルオキシアルキル基;例えば、ベンジルカルボニルオキシメチル基、2−ベンジルカルボニルオキシエチル基などのようなアリールアルキルカルボニルオキシアルキル基;例えば、メトキシカルボニルメチル基、シクロヘキシルオキシカルボニルメチル基、1−メトキシカルボニル−1−エチル基などのようなアルコキシカルボニルアルキル基またはシクロアルキルオキシカルボニルアルキル基;例えば、メトキシカルボニルオキシメチル基、t−ブチルオキシカルボニルオキシメチル基、1−エトキシカルボニルオキシ−1−エチル基、1−シクロへキシルオキシカルボニルオキシ−1−エチル基などのようなアルコキシカルボニルオキシアルキル基またはシクロアルキルオキシカルボニルアルキル基;例えば、2−(フェノキシカルボニルオキシ)エチル基、2−(5−インダニルオキシカルボニルオキシ)エチル基などのようなアリールオキシカルボニルオキシアルキル基;例えば、2−(1−メトキシ−2−メチルプロパン−2−オイルオキシ)エチル基などのようなアルコキシアルキルカルボニルオキシアルキル基;例えば、2−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)エチル基などのようなアリールアルキルオキシカルボニルオキシアルキル基;例えば、2−(3−フェニルプロペン−2−イルオキシカルボニルオキシ)エチル基などのようなアリールアルケニルオキシカルボニルオキシアルキル基;例えば、t−ブチルオキシカルボニルアミノメチル基などのようなアルコキシカルボニルアミノアルキル基;例えば、メチルアミノカルボニルアミノメチル基などのようなアルキルアミノカルボニルアミノアルキル基;例えば、アセチルアミノメチル基などのようなアルカノイルアミノアルキル基;例えば、4−メチルピペラジニルカルボニルオキシメチル基などのような複素環式カルボニルオキシアルキル基;例えば、ジメチルアミノカルボニルメチル基、ジエチルアミノカルボニルメチル基などのようなジアルキルアミノカルボニルアルキル基;例えば、(5−t−ブチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基などのような(5−(低級アルキル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)アルキル基;ならびに、例えば、(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基などのような(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)アルキル基である。
【0129】
代表的なアミドカルボキシ保護基は、アミノカルボニル基および低級アルキルアミノカルボニル基である。
【0130】
本発明の好ましいカルボキシ保護化合物には複数の化合物があり、ここでその保護カルボキシ基は、低級アルキルエステル、シクロアルキルエステルもしくはアリールアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、sec−ブチルエステル、イソブチルエステル、アミルエステル、イソアミルエステル、オクチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエチルエステルなど)またはアルカノイルオキシアルキルエステル、シクロアルカノイルオキシアルキルエステル、アロイルオキシアルキルエステルもしくはアリールアルキルカルボニルオキシアルキルエステルである。好ましいアミドカルボキシ保護基は、低級アルキルアミノカルボニル基である。例えば、アスパラギン酸は、酸不安定基(例えば、t−ブチル基)によりα−C−末端にて保護され得、そして水素化不安定基(例えば、ベンジル基)によりβ−C−末端にて保護され得、次いで、合成中に選択的に脱保護され得る。
【0131】
(B.ペプチドの改変)
本発明の改変されたペプチドを生成する様式は、そのペプチドを含む種々の要素の性質に依存して、広範に変動する。合成手順は、単純であるように、高収率を提供するように、そして高度に精製された安定な生成物を可能とするように、選択される。通常、化学反応基は、合成の最終段階として、例えば、カルボキシル基を用いて作製され、エステル化されて活性エステルを形成する。本発明の改変されたペプチドの生成のための特定の方法を、以下に記載する。
【0132】
詳細には、選択されたペプチドは、抗ウイルス活性について最初にアッセイされ、次いでこのペプチドのN末端、C末端または内側のいずれかのみで、連結基を用いて改変される。次いで、この改変されたペプチド連結基の抗ウイルス活性がアッセイされる。抗ウイルス活性が劇的に減少(すなわち、10分の1未満に減少)されない場合、次いで改変されたペプチド連結基の安定性が、そのインビボ寿命によって測定される。この安定性が所望のレベルまで向上しない場合、次いでこのペプチドは、代替の部位で改変され、そして所望のレベルの抗ウイルスおよび安定性が達成されるまでこの手順が繰り返される。
【0133】
より詳細には、リンカーおよび反応基での改変を受けさせるために選択された各ペプチドを、以下の基準に従って改変する:末端のカルボン酸基が、ペプチドにおいて利用可能であり、そしてこの末端のカルボン酸基が抗ウイルス活性の保持に重要ではなく、そして他の感受性官能基がペプチドに存在しない場合、このカルボン酸を、リンカー反応基改変のための結合部位として選択する。末端のカルボン酸基が抗ウイルス活性に関与している場合、またはカルボン酸が利用可能ではない場合、抗ウイルス活性の保持に重要ではない任意の他の感受性反応基を、リンカー反応要素改変のための結合部位として選択する。いくつかの感受性官能基がペプチドにおいて利用可能である場合、リンカー/反応要素の付加および保護されたすべての感受性官能基の脱保護後に、抗ウイルス活性の保持がなお得られるような様式で、保護基の組み合わせが使用される。感受性官能基がペプチドにおいて利用可能ではない、またはより単純な改変経路が所望される場合、合成的な試みが、抗ウイルス活性の保持が維持されるような様式での本来のペプチドの改変を可能にする。この場合、改変は、ペプチドの反対の末端において生じる。
【0134】
NHS誘導体は、ペプチドにおいて、他の感受性官能基の不在下でカルボン酸から合成され得る。特に、このようなペプチドは、無水CH2Cl2およびEDC中でN−ヒドロキシスクシンイミドと反応し、そしてこの生成物は、クロマトグラフィーによって精製されるか、またはNHS誘導体を与えるに適切な溶媒系から再結晶化される。
【0135】
あるいは、NHS誘導体は、アミノ基および/またはチオール基、ならびにカルボン酸を含むペプチドから合成され得る。分子中に遊離のアミノ基またはチオール基が存在する場合、NHS誘導体の付加を実施する前に、これらの感受性官能基を保護することが好ましい。例えば、分子が遊離アミノ基を含む場合、Fmocまたは好ましくはtBoc保護アミンへのアミンの転換が、上記化学を実施する前に必要とされる。アミン官能基(functionality)は、NHS誘導体の調製後に脱保護されない。従って、この方法は、所望される抗ウイルス効果を誘導するために、アミン基が遊離状態であることが必要とされない化合物のみに対して適用される。アミノ基が、分子の本来の特性を保持するために遊離状態であることが必要とされる場合、以下に記載された別の型の化学が実施されなければならない。
【0136】
さらに、NHS誘導体は、アミノ基またはチオール基を含み、そしてカルボン酸を含まないペプチドから合成され得る。選択された分子が、カルボン酸を含まない場合、一連の二官能性リンカーを使用して、その分子を反応性NHS誘導体へと変換し得る。例えば、DMF中に溶解され、そして遊離アミノ含有分子に付加されたエチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)およびトリエチルアミン(EGSの方が有利なように、10:1の比率で)は、モノNHS誘導体を生成する。チオール誘導体化分子からNHS誘導体を生成するためには、DMF中のN−[−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステル(GMBS)およびトリエチルアミンが使用され得る。マレイミド基は、遊離チオールと反応し、そしてNHS誘導体は、シリカでのクロマトグラフィーによってか、またはHPLCによって反応混合物から精製される。
【0137】
NHS誘導体はまた、複数の感受性官能基を含むペプチドから合成され得る。各々の場合に、異なる様式で分析および解明がなされなければならない。しかし、市販されている多量の保護基および二官能性リンカーのお陰により、本発明は、ペプチドを改変するために、好ましくはわずか1つの化学的工程で(上記に記載されるように)、または2工程(上記に記載され、感受性基の予めの保護を含む)もしくは3工程(保護、活性化、および脱保護)で、任意のペプチドに適用可能である。例外的な状況下でのみ、ペプチドを活性NHSまたはマレイミド誘導体に転換するために、複数の(3工程を超える)合成工程が必要とされる。
【0138】
マレイミド誘導体はまた、遊離アミノ基および遊離カルボン酸を含むペプチドから合成され得る。アミノ誘導体化分子からマレイミド誘導体を生成するためには、DMF中のN−[γ−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステル(GMBS)およびトリエチルアミンが使用され得る。スクシンイミドエステル基は遊離アミノと反応し、そしてマレイミド誘導体は、結晶化によってか、またはシリカでのクロマトグラフィーによってか、またはHPLCによって、反応混合物から精製される。
【0139】
最後に、マレイミド誘導体は、複数の他の感受性官能基を含み、そして遊離カルボン酸を含まないペプチドから合成され得る。選択された分子が、カルボン酸を含まない場合、一連の二官能性架橋試薬を使用して、分子を反応性NHS誘導体に変換し得る。例えば、DMF中でのHBTU/HOBt/DIEA活性化を使用して、マレイミドプロピオン酸(MPA)を、遊離アミンにカップリングし、遊離アミンとMPAのカルボン酸基との反応を通してマレイミド誘導体を生成し得る。
【0140】
多くの他の市販されるヘテロ二官能性架橋試薬が、必要とされる場合に代替的に使用され得る。多数の二官能性化合物が、実体への架橋のために利用可能である。例示的な試薬としては、以下が挙げられる:アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−[2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミド)、ビス−スルホスクシンイミジルスベレート(suberate)、ジメチルアジピイミデート(adipimidate)、ジスクシンイミジル酒石酸塩、N−y−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオネート、N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノベンゾエート、グルタルアルデヒド、およびスクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート。
【0141】
(6.改変された抗ウイルスペプチドの使用)
本発明の改変された抗ウイルスペプチドは、ウイルス感染を患っている患者の処置において治療剤として使用され得、そして以下に記載される方法および当該分野において公知の他の方法に従って患者に投与され得る。改変されたペプチドの有効な治療的投薬量は、当業者に周知の手順を通して決定され得、そしてこのペプチドの潜在的な毒性に関する任意の懸念を考慮に入れる。
【0142】
改変されたペプチドはまた、以前に感染していない個体に予防的に投与され得る。このことは、個体がウイルス伝染の高い危険がある感染した個体と接触した場合に起こり得るように、個体がウイルスに曝される高い危険性に供されている場合に有利であり得る。このことは、ウイルス(例えば、HIVウイルス)に対する公知の治療法がある場合に特に有利であり得る。例として、改変された抗HIVペプチドの予防的な投与は、ヘルスケア労働者がHIV感染個体由来の血液に曝された状況において、または個体をHIVウイルスに潜在的に曝す高リスクの活動にその個体が従事する他の状況において有利である。
【0143】
(7.改変された抗ウイルスペプチドおよび抗膜融合性ペプチドの投与)
一般的に、改変された治療ペプチドは、生理学的に受容可能な媒体(例えば、脱イオン水、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、生理食塩水、水性エタノールまたは他のアルコール、血漿、蛋白様溶液、マンニトール、水性グルコース、アルコール、植物油など)中で投与される。含まれ得る他の添加物としては、緩衝液(この媒体は、約5〜10の範囲のpHで一般的に緩衝化され、緩衝液は一般に約50〜250mMの濃度の範囲である)、塩(塩の濃度は、一般に約5〜500mMの範囲である)、生理的に受容可能な安定剤などが挙げられる。組成物は、都合の良い保存および輸送のために凍結乾燥され得る。
【0144】
対象の改変されたペプチドは、大部分について、非経口的に(例えば、脈管内に(IV)、動脈内に(IA)、筋肉内に(IM)、皮下に(SC)など)投与される。投与は、適切な場合には、輸注により得る。いくつかの場合において(ここで、官能基の反応は比較的緩慢である)、投与は、経口的、経鼻的、直腸的、経皮的またはエーロゾルであり得、ここで結合体の性質は、脈管系への移動を可能にする。通常、一回の注入が使用されるが、所望の場合、1回より多い注入が用いられ得る。改変されたペプチドは、任意の都合のよい手段(注射器、トロカール、カテーテルなどを含む)により投与され得る。
【0145】
投与の特定の様式は、投与されるべき量、1回のボーラスであるかまたは継続的な投与であるかなどに依存して変化する。好ましくは、投与は、脈管内であり(この導入の部位は、本発明に対して重要なものではない)、好ましくは急速な血流が存在する部位(例えば、静脈内、末梢静脈または中心静脈)である。他の経路は、投与が、遅延性放出技術または保護マトリックスと結びつけられる使用を見出し得る。この意図は、改変されたペプチドが血液中で効率的に分布されることであり、その結果、血液成分と反応し得る。結合体の濃度は、一般的に約1pg/ml〜50mg/mlで、広範に変化する。脈管内に投与される総量は、一般に約0.1mg/ml〜約10mg/ml、より通常では、約1mg/ml〜約5mg/mlの範囲である。
【0146】
血液の永続成分(例えば、免疫グロブリン、血清アルブミン、赤血球および血小板)を結合することにより、多数の利点が結果として生じる。ペプチドの活性は、数日〜数週間延長される。1回の投与のみ、この期間に与えられる必要がある。活性化合物は、大きい分子に主に結合されることから(ここでは、他の生理学的プロセスを妨げるように細胞内に取り込まれる可能性が低い)、より優れた特異性が達成され得る。
【0147】
(8.改変されたペプチドの存在のモニタリング)
哺乳動物宿主の血液は、1回以上、改変されたペプチド化合物の存在についてモニターされ得る。宿主の血液の一部分またはサンプルを採取することにより、ペプチドが治療的に活性であるのに十分な量で永続血液成分に結合されているか否かを決定し得、そしてその後、血液中のペプチド成分のレベルを決定し得る。所望される場合、ペプチドがどの血液成分に結合されるかもまた決定され得る。これは、非特異的改変ペプチドを使用する場合に特に重要である。特定のマレイミド改変ペプチドに関して、血清アルブミンおよびIgGの半減期を算出することは、はるかに簡単である。
【0148】
(A.免疫アッセイ)
本発明の別の局面は、抗ウイルスペプチドおよび/もしくはアナログ、またはそれらの誘導体および結合体の、生物学的サンプル(例えば、血液)における濃度を、これらのペプチド、ペプチドアナログ、またはそれらの誘導体および結合体に対して特異的な抗体を用いて決定する方法、ならびにこのようなペプチド、アナログおよび/またはこれらの誘導体もしくは結合体に強力に結合する、毒性についての処置としてのこのような抗体の使用に関する。患者におけるインビボでのこのペプチドの増加した安定性および寿命は、処置の間の新しい問題(毒性に関する増加した可能性を含む)を導き得るので、このことは有利である。
【0149】
特定のペプチド、そのペプチドアナログまたは誘導体に特異性を有する抗治療薬剤抗体(モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれか)の使用は、任意のこのような問題を仲裁する際に補助し得る。抗体は、特定のペプチド、そのアナログもしくは誘導体を用いて、またはその因子の免疫原性フラグメント、あるいはこの因子の抗原決定基に対応する合成された免疫原を用いて免疫された宿主から生成され得るか、またはそれらに由来し得る。好ましい抗体は、ペプチドまたはペプチドアナログもしくは誘導体のネイティブな形態、改変形態、および結合体化形態に対して、高い特異性および親和性を有する。このような抗体はまた、酵素、蛍光色素、または放射性標識を用いて標識され得る。
【0150】
改変されたペプチドに特異的な抗体は、ペプチド特異的抗体の誘導のために精製されたペプチドを使用するすることにより、産生され得る。抗体の誘導により、動物中への注射による免疫応答の刺激のみならず、合成抗体または他の特異的結合分子の産生における類似の工程(例えば、組換え免疫グロブリンライブラリーのスクリーニング)も意図される。モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両方が、当該分野で周知の手順により産生され得る。
【0151】
抗ペプチド抗体が、改変されたペプチド、そのアナログまたは誘導体の投与により誘導された毒性を処置するために使用され得、そしてエキソビボまたはインビボで使用され得る。エキソビボの方法は、固体支持体に固定された抗治療薬剤抗体を使用する、毒性に対する免疫透析処置を含む。インビボの方法は、抗体−薬剤複合体のクリアランスを誘導するのに有効な量の抗治療薬剤抗体の投与を含む。
【0152】
抗体は、無菌条件下で抗体と血液を接触させることにより、エキソビボで患者の血液から、改変されたペプチド、そのアナログまたは誘導体、およびその結合体を除去するために使用され得る。例えば、抗体は、カラムマトリックス上に固着(fix)され得るかまたはさもなくば固定化(immobilize)され得、そして患者の血液が、その患者から取り出され得、そしてそのマトリックスに通過され得る。改変されたペプチド、ペプチドアナログ、誘導体または結合体が、抗体に結合しそして低濃度のペプチド、アナログ、誘導体または結合体を含む血液が、次いで、患者の循環系に戻され得る。除去されるペプチド化合物の量は、圧力および流速を調整することにより、制御され得る。
【0153】
患者の血液の血漿成分由来のペプチド、アナログ、誘導体および結合体の優先的な除去は、例えば、半透膜の使用により、またはさもなくば、抗治療抗体を含むマトリックスを血漿成分が通過する前に、当該分野で公知の方法により細胞成分から血漿成分をまず分離することにより、もたらされ得る。あるいは、ペプチド結合体化血球(赤血球細胞を含む)の優先的な除去は、患者の血液中の血球を回収し、そして濃縮し、ならびに患者の血液の血清成分の排除に対してそれらの細胞を、固着された抗治療抗体と接触させることによりもたらされ得る。
【0154】
抗治療抗体は、処置のために、ペプチド、アナログ、誘導体または結合体を受容している患者に、インビボで非経口的に投与され得る。抗体は、ペプチド化合物および結合体に結合する。一旦ペプチドに結合されると、活性は、完全にはブロックされないとしても、妨げられ、それにより患者の血流中のペプチド化合物の生物学的有効濃度を低減し、そして有害な副作用を最少にする。さらに、結合された抗体−ペプチド複合体は、患者の血流からのペプチド化合物および結合体のクリアランスを容易にする。
【0155】
十分に記載されてきた本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することにより、さらに認識および理解され得る。
【0156】
(実施例1)
改変されたDP178の調製−−
【0157】
【化11】

の合成
この実施例において、DP178(配列番号1)を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、DP178は、HIV−1の強力なインヒビターであり、そしてHIV−1に感染した細胞と感染していない細胞との間の細胞誘導シンチウム形成および無細胞HIV−1ウイルスによる感染していない細胞の感染の両方を阻害する。
【0158】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0159】
【化12】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。この合成の終わりに。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0160】
【化13】

(実施例2)
改変されたDP107の調製−−
【0161】
【化14】

の合成
この実施例において、DP107(配列番号2)を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、DP107は、HIVに対する強力な抗ウイルス活性を示す。
【0162】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0163】
【化15】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。この合成の終わりに。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0164】
【化16】

(実施例3)
(改変された抗RSVペプチド(C末端)の調製)
この実施例において、ペプチド
【0165】
【化17】

(配列番号16)を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、ネイティブ配列(配列番号 )は、RSウイルス(RSV)のウイルス感染を阻害する(RSV感染細胞と感染していないHep−2細胞との間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0166】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0167】
【化18】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0168】
【化19】

(実施例4)
(改変された抗RSVペプチド(T−N末端)の調製)
この実施例において、ペプチド
【0169】
【化20】

(配列番号17)(これは,配列番号16のペプチドに対応するが、ここでメチオニン(M)残基は、システイン(C)残基で置換されている)を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、ネイティブ配列(配列番号16)は、RSウイルス(RSV)のウイルス感染を阻害する(RSV感染細胞と感染していないHep−2細胞との間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0170】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0171】
【化21】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0172】
【化22】

(実施例5)
(改変された抗RSVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号14を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号14は、RSウイルス(RSV)のウイルス感染を阻害する(RSV感染細胞と感染していないHep−2細胞との間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0173】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0174】
【化23】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0175】
【化24】

(実施例6(T−143))
(改変された抗RSVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号15を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号15は、RSウイルス(RSV)のウイルス感染を阻害する(RSV感染細胞と感染していないHep−2細胞との間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0176】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0177】
【化25】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0178】
【化26】

(実施例7)
(改変された抗RSVペプチドの調製(C末端))
この実施例において、ペプチド配列番号17(これは、メチオニン(M)がシステイン(C)で置換された配列番号16に対応する)を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、ネイティブ配列(配列番号16)は、RSウイルス(RSV)のウイルス感染を阻害する(RSV感染細胞と感染していないHep−2細胞との間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0179】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0180】
【化27】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0181】
【化28】

(実施例8)
(改変された抗RSVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号29を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号29は、RSウイルス(RSV)のウイルス感染を阻害する(RSV感染細胞と感染していないHep−2細胞との間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0182】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0183】
【化29】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0184】
【化30】

(実施例9(T−173))
(改変された抗HPIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号52を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号52は、ヒトパラインフルエンザウイルス3(HPIV3)のウイルス感染を阻害する(HPIV3感染Hep−2細胞と感染していないCV−1W細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0185】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0186】
【化31】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0187】
【化32】

(実施例10)
(改変された抗HPIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号58を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号58は、ヒトパラインフルエンザウイルス3(HPIV3)のウイルス感染を阻害する(HPIV3感染Hep−2細胞と感染していないCV−1W細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0188】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0189】
【化33】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0190】
【化34】

(実施例11)
(改変された抗HPIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号35を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号35は、ヒトパラインフルエンザウイルス3(HPIV3)のウイルス感染を阻害する(HPIV3感染Hep−2細胞と感染していないCV−1W細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0191】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0192】
【化35】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0193】
【化36】

(実施例12)
(改変された抗HPIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号38を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号38は、ヒトパラインフルエンザウイルス3(HPIV3)のウイルス感染を阻害する(HPIV3感染Hep−2細胞と感染していないCV−1W細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0194】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0195】
【化37】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0196】
【化38】

(実施例13)
(改変された抗HPIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号39を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号39は、ヒトパラインフルエンザウイルス3(HPIV3)のウイルス感染を阻害する(HPIV3感染Hep−2細胞と感染していないCV−1W細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0197】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0198】
【化39】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0199】
【化40】

(実施例14)
(改変された抗HPIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号40を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号 は、ヒトパラインフルエンザウイルス3(HPIV3)のウイルス感染を阻害する(HPIV3感染Hep−2細胞と感染していないCV−1W細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0200】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0201】
【化41】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0202】
【化42】

(実施例15)
(改変された抗HPIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号41を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号41は、ヒトパラインフルエンザウイルス3(HPIV3)のウイルス感染を阻害する(HPIV3感染Hep−2細胞と感染していないCV−1W細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0203】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0204】
【化43】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0205】
【化44】

(実施例16)
(改変された抗HPIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号42を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号42は、ヒトパラインフルエンザウイルス3(HPIV3)のウイルス感染を阻害する(HPIV3感染Hep−2細胞と感染していないCV−1W細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0206】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0207】
【化45】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0208】
【化46】

(実施例17)
(改変された抗MeVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号77を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号77は、はしかウイルス(MeV)のウイルス感染を阻害する(MeV感染細胞と感染していないVero細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0209】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0210】
【化47】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0211】
【化48】

(実施例18)
(改変された抗MeVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号79を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号79は、はしかウイルス(MeV)のウイルス感染を阻害する(MeV感染細胞と感染していないVero細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0212】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0213】
【化49】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0214】
【化50】

(実施例19)
(改変された抗MeVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号81を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号79は、はしかウイルス(MeV)のウイルス感染を阻害する(MeV感染細胞と感染していないVero細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0215】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0216】
【化51】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0217】
【化52】

(実施例20)
(改変された抗MeVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号84を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号84は、はしかウイルス(MeV)のウイルス感染を阻害する(MeV感染細胞と感染していないVero細胞の間の融合およびシンチウム形成の阻害を含む)。
【0218】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0219】
【化53】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0220】
【化54】

(実施例21)
(改変された抗SIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号64を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号64は、サル免疫不全ウイルスに対して粗製ペプチドとして強力な抗ウイルス活性を示す。
【0221】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0222】
【化55】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0223】
【化56】

(実施例22)
(改変された抗SIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号65を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号65は、サル免疫不全ウイルスに対して粗製ペプチドとして強力な抗ウイルス活性を示す。
【0224】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0225】
【化57】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0226】
【化58】

(実施例23)
(改変された抗SIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号66を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号66は、サル免疫不全ウイルスに対して粗製ペプチドとして強力な抗ウイルス活性を示す。
【0227】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0228】
【化59】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0229】
【化60】

(実施例24)
(改変された抗SIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号67を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号67は、サル免疫不全ウイルスに対して粗製ペプチドとして強力な抗ウイルス活性を示す。
【0230】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0231】
【化61】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0232】
【化62】

(実施例25)
(改変された抗SIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号68を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号68は、サル免疫不全ウイルスに対して粗製ペプチドとして強力な抗ウイルス活性を示す。
【0233】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0234】
【化63】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0235】
【化64】

(実施例26)
(改変された抗SIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号69を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号69は、サル免疫不全ウイルスに対して粗製ペプチドとして強力な抗ウイルス活性を示す。
【0236】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0237】
【化65】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0238】
【化66】

(実施例27)
(改変された抗SIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号70を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号70は、サル免疫不全ウイルスに対して粗製ペプチドとして強力な抗ウイルス活性を示す。
【0239】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0240】
【化67】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0241】
【化68】

(実施例28)
(改変された抗SIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号71を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号71は、サル免疫不全ウイルスに対して粗製ペプチドとして強力な抗ウイルス活性を示す。
【0242】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0243】
【化69】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0244】
【化70】

(実施例29)
(改変された抗SIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号72を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号72は、サル免疫不全ウイルスに対して粗製ペプチドとして強力な抗ウイルス活性を示す。
【0245】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0246】
【化71】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0247】
【化72】

(実施例30)
(改変された抗SIVペプチドの調製)
この実施例において、ペプチド配列番号73を、以下の合成スキームに従って、リンカーおよびマレイミド基を含むように合成および改変する。米国特許第6,013,236号および同第6,020,459号に報告されるように、配列番号73は、サル免疫不全ウイルスに対して粗製ペプチドとして強力な抗ウイルス活性を示す。
【0248】
100μモルスケールでの改変されたペプチドの固相ペプチド合成を、手動固相合成、Symphony Peptide SynthesizerおよびFmoc保護Rink Amide MBHAを使用して行う。以下の保護されたアミノ酸を順番に樹脂に添加する:
【0249】
【化73】

これらをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、そして配列に従って、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を使用して活性化する。Fmoc保護基の除去を、20%(V/V)ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用して20分間で達成する(工程1)。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実行し、そしてこの樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)中に溶解した3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成する(工程2)。次いでこの樹脂をCHCl3(6×5mL)、DCM中の20%HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄する。次いでこの合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加の間、再自動化する(工程3)。各カップリングの間に、この樹脂を3回N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で洗浄し、そしてイソプロパノールで3回洗浄する。このペプチドを、85%TFA/5%TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノールを使用して樹脂から切断し、次いでドライアイス冷却Et2Oにより沈澱させる(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取バイナリーHPLC系(30〜55%Bの勾配溶出(H2O中0.045%TFA(A)およびCH3CN中0.045%TFA(B))で、180分間にわたって9.5mL/分でPhenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmのカラムおよびλ214および254nmでUV検出器(Varian Dynamax UVDII)を使用する)を使用して、所望の改変されたペプチド(すなわちDAC)を>95%の純度(RP−HPLCにより決定)で得る。
【0250】
【化74】

本発明の特定の実施形態が記載されそして例示されてきたが、当業者は、本発明がこれらの実施形態のいずれかの特定のものに限定されることを意図されず、添付の特許請求の範囲によりむしろ規定されるということを理解する。
【0251】
【表2】


【0252】
【表3】


【0253】
【表4】


【0254】
【表5】


【0255】
【表6】


【0256】
【表7】


【0257】
【表8】


【0258】
【表9】


【0259】
【表10】


【0260】
【表11】


【0261】
【表12】


【0262】
【表13】


【0263】
【表14】


【0264】
【表15】


【0265】
【表16】


【0266】
【表17】


【0267】
【表18】

【0268】
【表19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変された抗ウイルスペプチドであって、
抗ウイルス活性を示すペプチド、および
安定な共有結合を形成するように血液成分上のチオール基と反応性のマレイミド基を含む、改変されたペプチド。

【公開番号】特開2008−101021(P2008−101021A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325307(P2007−325307)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【分割の表示】特願2000−618318(P2000−618318)の分割
【原出願日】平成12年5月17日(2000.5.17)
【出願人】(507340636)コンジュケム バイオテクノロジーズ インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】