説明

ウェザストリップのカバーリップ引出し用タブシート

【課題】ウェザストリップのトリム部又はカバーリップに引裂き可能に取付けられ、内装材端部との間に巻き込まれたカバーリップを撥ね上げて内装材端部との間より引き出すためのバリ紐に簡易に取付けることができるタブシートを提供する。
【解決手段】中央両側より入れられたV形状の切欠き28によって狭窄部29が形成されるタブシート27には狭窄部29の両側にバリ紐24のサイズより大で、該バリ紐24が緩く通される断面が円形の孔31と、該孔31通じ、バリ紐24のサイズより小で、バリ紐24が押込まれることによりきつく通される切れ目32とよりなる鍵孔状の紐通し孔33を形成する。タブシート27のバリ紐24への取付けは、バリ紐24をウェザストリップ25より一定区間引裂き、その中央部を切断したのち、切断された端部を紐通し孔33の孔31に通し、ついで該孔31より突出するバリ紐端部を掴んで切れ目32に押込むことにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車体のドア開口部周縁、トランク室周縁或いはドア周りに取付けられ、内装材端部に被さるカバーリップを備えたウェザストリップにおいて、該ウェザストリップ取付時に内装材端部との間に巻き込まれたカバーリップを引き出すため、該カバーリップに沿って引裂き可能に一体形成されたバリ紐に取付けられるタブシートに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、内装材端部に被さるカバーリップを備え、車体のドア開口部周縁に取付けられるウェザストリップ1について示すもので、断面略U形状の芯材2がインサートされ、車体側のフランジ3に差込んで取付けられる略U形断面のトリム部4と、該トリム部4の車外側の側面に突出形成され、ドア閉時にドア周縁部に弾接してドアとの間をシールする中空シール部5と、該中空シール部5より延設され、ガーニッシュや天井材などの内装材6の端部に被さるカバーリップ7よりなっている。
【0003】
車両へのウェザストリップ1や内装材6の取付けは先ず、ウェザストリップ1を取付け、その後に内装材6の取付けが行われるが、この際カバーリップ端が図2に示すように内装材端部との間の隙間に巻き込まれ易い。巻き込まれたカバーリップ端の上記隙間からの引出しは従来、指先による引出し操作によって行われてきたが、下記特許文献1にはカバーリップ端の上記隙間からの引出しを容易にし、作業性を向上させるためのウェザストリップが提案されている。このウェザストリップは図3に示すように、カバーリップ12と対向するトリム部13の側面或いはカバーリップ12の裏面にバリ紐13を引裂き可能に一体形成し、ウェザストリップ11より延出するバリ紐13にスポンジよりなるタブシート14を取付けてなるもので、内装材端部との間に巻き込まれたカバーリップ12の引出しは、タブシート14を図3の矢印方向に引き出すことにより行われ、タブシート14の矢印方向への引出しによりバリ紐13がトリム部側面或いはカバーリップ裏面より引裂かれながら、カバーリップ12を撥ね上げて内装材端部との間より引き出すようになっている。
【0004】
図3に示すスポンジよりなるタブシート14に代わるものとして、図4に示すように中央部を括れさせたタブシート16も知られる。このタブシート16には、ウェザストリップ15に一体形成した紐状部材であるバリ紐18を一定区間引裂いて、その中央部を切断し、切断された個々の端部をタブシート16両側の各切れ目17を通して縛り付け、内装材端部との間に巻き込まれたカバーリップを引出す際には、中央部のくびれ部分19を鋏やナイフ等で切断したのち、タブシート16の各一半を図の左右方向に引出すことによりカバーリップを撥ね上げ、内装材端部との間より引出すようにしている。
【特許文献1】特開2006−69253号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図3及び図4に示されるバリ紐13及び18にタブシート14及び16を取付けるには、バリ紐をタブシートに形成した孔又は切れ目に通したり、孔又は切れ目に通したバリ紐を結んだりする作業が必要で、多大な手間を要していた。
【0006】
本発明は、ウェザストリップのトリム部又はカバーリップに引裂き可能に取付けられ、内装材端部との間に巻き込まれたカバーリップを撥ね上げて内装材端部との間より引き出すためのバリ紐に簡易に取付けることができるタブシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、トリム部と、内装材端部に被さるカバーリップを備え、自動車車体のドア開口部周縁、トランク室周縁或いはドア周りに取付けられるウェザストリップの上記トリム部と対向するカバーリップ裏面又は該カバーリップと対向するトリム部の側面に、その長手方向に沿って引裂き可能に一体形成され、内装材端部との間に差込まれたカバーリップを引き出すのに用いるバリ紐に取付けられるタブシートであって、バリ紐のサイズより大であり、バリ紐が緩く通される孔と、該孔に通じ、バリ紐のサイズより小で、バリ紐が押込みによりきつく通される切れ目とよりなる紐通し孔が形成されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、タブシートには、中央ないしその近くに鋏やナイフ等の切断具で容易に切断され、或いは手で容易に引き千切ることができる易分断部が形成されると共に、該易分断部を挟んでその両側にそれぞれ上記紐通し孔が形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、紐通し孔に通されたバリ紐には抜け止めのために結び目が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によると、バリ紐を紐通し孔の孔に通してから切れ目に押込むことによりタブシートのバリ紐への取付作業が行われ、タブシートの取付作業を簡易に行い、その手間を軽減させることができる。
【0011】
請求項2に係る発明によると、易切断部が切断具で切断したり、手で引き千切る際の目安となること、易切断部は切断具で容易に切断したり、手で容易に引き千切ることができること、タブシートを分断し、分断したタブシートをそれぞれ一方向或いは逆向きに引張り出すことによりバリ紐をウェザストリップより引裂いて内装材端部との間に巻き込まれたカバーリップを引き出すことができること等の効果を奏する。
【0012】
請求項3に係る発明によると、結び目がバリ紐の抜け止めとなり、バリ紐引裂き時にタブシートを引張ってもタブシートがバリ紐から抜け出るのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態のタブシートについて図面により説明する。
図5は、芯材をインサートした略U形断面のトリム部21と、図示しない内装材端部に被さるカバーリップ22を備え、カバーリップ22裏面には、バリ紐24が引裂き可能に一体形成されるウェザストリップ25について示すもので、バリ紐24は断面が略円形又は矩形で、ウェザストリップ25と同じ又は別の材質のスポンジ材又はソリッド材、好ましくはゴム様弾性体で形成され、バリ紐引裂き時の引張力に耐えるため必要によってグラスファイバー等の芯材が埋設される、図中、27はゴム又は樹脂製のタブシートである。このタブシート27は硬質材で形成されていてもよいが、ウェザストリップ組付け時に車体を傷つけることがないように好ましくはJIS A 80以下の低硬度材料、より好ましくはスポンジ材料で形成される。
【0014】
タブシート27にはまた、図6に示すように中央部両側より入れられたV形状の切欠き28によって易分断部である狭窄部29が形成され、該狭窄部29の両側には上記バリ紐24のサイズより大で、該バリ紐24が緩く通される断面が円形の孔31と、該孔31通じ、バリ紐24のサイズより小で、バリ紐24が押込まれることによりきつく通される切れ目32とよりなる鍵孔状の紐通し孔33が形成されている。
【0015】
上記実施形態では、狭窄部29は両側より入れられたV形状の切欠き28によって形成されているが、V形状の切欠きを片側から入れて形成してもよいし、V形状の切欠きに代えて切れ目によって形成してもよい。要するに狭窄部29は切断したり、千切り易くするために形成されるが、切断或いは千切り易くするためには狭窄部を形成する以外に、切断或いは千切り易い材質で形成してもよく、その手段はとくに制限されない。
【0016】
また紐通し孔33も図示する例では断面が円形の孔31と切れ目32で鍵孔状となっているが、切れ目32は孔31に通じていれば、どのような向きに向いていてもよく、また孔31は断面円形に限ることなく、バリ紐24を容易に通すことができる孔であればよく、楕円であっても、矩形であっても、またその他の形状をなしていてもよい。
【0017】
バリ紐24へのダブシート27の取付けは次のようにして行われる。
バリ紐24をウェザストリップ25より一定区間引裂き、その中央部を切断したのち、切断された端部を紐通し孔33の孔31に通し(図7)、ついで該孔31より突出するバリ紐端部を掴んで切れ目32に押込む(図8)。この作業を切断された別の端部に対しても同様に行う。
【0018】
切れ目32に押込まれたバリ紐端は、図7の状態でタブシート27に摩擦保持されるが、タブシート27を引張ってバリ紐24をウェザストリップ25より引張るときに、バリ紐24がタブシート27から抜け出ないようにするために、バリ紐端を結んで結び目を作っておいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明のタブシートは、自動車車体のドア開口部周縁、トランク室周縁或いはドア周りに取付けられ、内装材端部に被さるカバーリップを備えたウェザストリップにおいて、内装材端部との間に巻き込まれたカバーリップを引き出すために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】フランジに取付けたウェザストリップの断面図。
【図2】カバーリップが巻き込まれた断面図。
【図3】バリ紐と従来のタブシートを備えたウェザストリップの端部の斜視図。
【図4】バリ紐に従来のタブシートを取付けたウェザストリップの要部の正面図。
【図5】バリ紐にタブシートを取付けたウェザストリップの要部の正面図。
【図6】タブシートの平面図。
【図7】バリ紐を紐通し孔の孔に通した状態を示す図。
【図8】バリ紐を紐通し孔の切れ目に通した状態を示す図。
【符号の説明】
【0021】
21・・トリム部
22・・カバーリップ部
24・・バリ紐
25・・ウェザストリップ
27・・タブシート
28・・切欠き
29・・狭窄部
31・・孔
32・・切れ目
33・・紐通し孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリム部21と、内装材端部に被さるカバーリップ22を備え、自動車車体のドア開口部周縁、トランク室周縁或いはドア周りに取付けられるウェザストリップ25の上記トリム部21と対向するカバーリップ裏面又は該カバーリップ22と対向するトリム部21の側面に、その長手方向に沿って引裂き可能に一体形成され、内装材端部との間に差込まれたカバーリップ22を引き出すのに用いるバリ紐24に取付けられるタブシート27であって、バリ紐24のサイズより大であり、バリ紐が緩く通される孔31と、該孔31に通じ、バリ紐24のサイズより小で、バリ紐24が押込みによりきつく通される切れ目32とよりなる紐通し孔33が形成されることを特徴とするタブシート。
【請求項2】
タブシート27には、中央ないしその近くに鋏やナイフ等の切断具で容易に切断され、或いは手で容易に引き千切ることができる易分断部29が形成されると共に、該易分断部29を挟んでその両側にそれぞれ上記紐通し孔33が形成されることを特徴とする請求項1記載のタブシート。
【請求項3】
紐通し孔33に通されたバリ紐24には抜け止めのために目結び目が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のタブシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−161096(P2009−161096A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2132(P2008−2132)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】