説明

ウェブの圧接方法、圧接装置、給電方法、給電装置、連続電解めっき装置およびめっき膜付きウェブの製造方法

【課題】表面欠点の少ない高品位なめっき被膜が成膜可能なウェブの連続電解めっき装置を提供すること。
【解決手段】走行しているウェブに少なくとも1つのウェブの走行にあわせて接触面が回転する第1の帯状環状体を圧接するウェブの圧接方法であり、第1の帯状環状体の接触面に対して、ウェブの側に圧接する面状の圧力を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブの圧接方法、圧接装置、給電方法、給電装置、連続電解めっき装置およびめっき膜付きウェブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックフィルム等のウェブを走行させながら、ウェブに連続的にめっき被膜を形成する方法としては、ウェブの導電面または金属ウェブを給電ロールに接触させ、その前または後に陽極がめっき液に没しためっき浴を配し、めっき浴にてめっき被膜を形成する方法が知られている。この様な方法でウェブに連続的にめっき被膜を形成すれば、陰極−陽極を配置したユニットを繰り返し通すことで、容易にウェブ上に厚膜化した所望厚みのめっき被膜を形成することが可能である。(特許文献1参照)
近年、電子機器、電子部品および半導体パッケージ等で利用される様になってきたフレキシブル回路用基板として、ポリイミドフィルムあるいはポリエステルフィルムのウェブと銅箔とを合わせた形態の配線基板が注目されている。この基板には、ウェブに接着剤を介して銅箔を貼り合わせた、通称”3層型”と呼ばれるものと、ウェブに接着剤を介さないで金属被膜をめっき等で形成する、通称”2層型”と呼ばれるフレキシブル回路用基板がある。これらのうち、後者の2層型の方が、回路の配線ピッチの微細化の進行に伴ってより注目されている。
【0003】
これらフレキシブル回路用基板に関する現状は、以下のようになっている。3層型プリント回路用基板は、接着剤にエポキシ系樹脂あるいはアクリル系樹脂が用いられているため、それに含まれる不純物イオンにより電気特性が劣化するという欠点を有しており、また、接着剤の耐熱温度が高々100℃〜150℃であるため、ベースフィルム材質としてポリイミドを使用したとしても、その高耐熱性(300℃以上)十分に生かされないので、高温実装を必要とするICチップへのワイヤーボンディングなどにおいては、加熱温度のスペックダウンを余儀なくされている。また、3層型プリント回路用基板では、銅箔の一般的な膜厚が18μmあるいは35μmであるため、80μmピッチ(銅配線40μm、ギャップ40μm)以下のパターンニングを行うには銅が厚すぎてエッチング率が著しく低下し、銅箔の表面側の回路幅と接着剤面側の回路幅が著しく異なり、あるいはエッチングで全体が著しく細り、目標とする回路パターンが得られないという欠点もある。
【0004】
近年、上記のような3層型における問題点を解決するために、ウェブ上に接着剤を介さないで各種蒸着法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法あるいは各種イオンプレーティング法などのPVD法、金属を含む薬品を気化し蒸着させるいわゆるCVD法等で、まずウェブ表面に各種金属を蒸着した後に、または無電解めっき法で各種金属をめっきした後に、電解銅めっきすることにより得られる、通称”2層型”の基板が提案されている。この2層型基板は、電解銅めっきで銅膜厚を自由に変化させることができ、例えば、8μmの銅膜厚であれば、40μmピッチの回路パターンが簡単に作成できるようになり、かつ、各種ウェブの耐熱温度がそのまま反映できるという特徴をもつ。
【0005】
以上の様な状況から、めっき被膜つきフィルムの需要が高まりつつある。しかしながら従来の方法では前述したように給電ロールにウェブ導電面を接触させて走行させるため、非常にデリケートなウェブ導電面に擦過キズやこれに伴うバリ状の突起などが発生することがある。また給電ロールはウェブ全幅に接触させるため、ウェブ幅が広くなれば給電ロール全長がその分長くなり、強度を保つためにロール径を大きくせざるを得なく、給電装置自体の大きさが大きくなってしまう課題もある。
【0006】
近年、回路パターンの微細化が進展してきており、これに伴ってめっき被膜に要求される表面品位も厳しくなってきている。そのため微小な擦過キズや突起が発生しないプロセスの開発が鋭意進められている。
【0007】
特許文献2には、ウェブの端部を給電クリップで挟んで掴み、そのままめっき液を通過させてウェブにめっきを施すクリップ方式と呼ばれるめっきプロセスが提案されており、この方法によると製品化しないウェブ端部のみを把持するので製品には微小キズ等発生せず、良好な表面品位を得ることが可能である。しかしながら給電クリップを走行させるための大がかりな搬送システムや、給電クリップに析出しためっき被膜を除去する解めっき工程等大がかりな付帯設備が必要となる。まためっき液中に浮遊する異物はザラと呼ばれるめっき欠点の原因となるため、めっき液中は高いクリーン度が要求されるが、そのめっき液の上部に様々な可動部が配置されるため摩耗粉等の異物によりめっき液が汚染されやすい状況である。さらに給電クリップで把持した部分にはめっきされず、その部分だけ導電膜の膜厚が薄くなるため抵抗値が大きくなり、大電流を投入した際にジュール熱で周囲が変色・変質するなどの問題が発生する。
【0008】
特許文献3には、ウェブの端部に板バネ状の給電電極を押しつけて給電し、ウェブにめっきを施す方法が提案されており、この方法も同様に製品部においてはキズ等の少ない良好な表面品位が得られる。しかしながら給電電極が常時擦過状態であるため電極が摩耗すると同時に、摩耗粉によってめっき液や周囲の機器が汚染されることとなる。また電極によって常にブレーキが掛けられた状態となるため、ウェブの幅方向に不均一な張力分布を生じることとなり、安定走行の観点から大きな障害となりうる。
【0009】
特許文献4にはロール状の給電電極を用いた一般的な縦型めっき装置が例示されており、給電ロール形状のひとつの種類として、両端部のみがウェブと接するように中央部のロール外径を小さくした、いわゆるダンベル形状の給電電極が提案されている。この方法によればロールが接触しないウェブ中央部については擦過キズ等の表面欠点の少ない製品を製造することが可能である。しかし、ロールの角速度が両端部でそれぞれ同一となるため、ウェブと接触する両端部の外径が少しでも一致していなければ両端部で周速差を生じることとなるため、極めて高い加工精度が要求される。また万が一狂ってしまった場合はどちらかが滑りながら接触するため電極の摩耗や、幅方向に張力分布を生じるなどの問題が発生する。
【0010】
特許文献5には、不織布のかさ高性などの特性を損なわずにめっきするためにウェブ中央部を接触させず、ウェブ上端部のみをめっき浴から露出させてその露出部に帯状電極を密着させて給電する方法が提案されている。この方法も同様に中央部は擦過キズや打痕が生じない高品位なめっき膜が得られる。しかしながら、この方法によるとウェブ上端は常時めっきされないため膜厚が非常に薄く、抵抗が大きいため大電流投入時にジュール熱による膜の変色・変質が生じる。また厚み方向に弾力性の乏しいプラスチックフィルム等のウェブにおいては、ガイドロールでウェブと帯状電極を挟み込んでニップ力によって密着させようとしても、ガイドロール部分にしか密着力が発生しないためニップした箇所以外の電極とウェブとの接触抵抗が大きくなる。このため大電流投入時に熱による問題を生じさせることがある。
【0011】
特許文献6には搬送ローラ上において幅の小さな回転体を押しつける搬送方法が提案されており、回転体は給電電極を兼ねることができるとなっている。この方法を用いて、回転体を給電電極としてウェブ端部に設置することにより、搬送ローラに抱きついている面の反対面はキズの少ない製品を製造することが可能である。しかしながら、本発明者らの知見によると、この方式では搬送ローラの材質を柔らかい材質にすると電極エッジでウェブに折れジワを発生させてしまうため硬い材質のローラを用いる必要があり、そのため搬送ローラに抱きつける面はキズ問題が解消されない場合がある。
【特許文献1】特開平7−22473号公報
【特許文献2】特表2005−507463号公報
【特許文献3】特開2005−248269号公報
【特許文献4】特開2003−321796号公報
【特許文献5】特開平8−209383号公報
【特許文献6】特開2004−263215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上記のような課題を解消し、めっき被膜表面に微小欠陥を発生させない電解めっき装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明によれば、走行しているウェブに少なくとも1つの前記ウェブの走行にあわせて接触面が回転する第1の帯状環状体を圧接するウェブの圧接方法であって、前記第1の帯状環状体の前記接触面に対して、前記ウェブの側に圧接する面状の圧力を付与することを特徴とするウェブの圧接方法が提供される。
【0014】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の帯状環状体として磁性材料を含むものを用い、前記面状の圧力は、前記第1の帯状環状体の前記接触面に対し、前記ウェブに向かう磁力により付与するウェブの圧接方法が提供される。
【0015】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記ウェブの前記面状の圧力の方向の反対側に設けた反力付与手段により前記磁力に対する反力を付与するウェブの圧接方法が提供される。
【0016】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記反力は、前記ウェブを前記第1の帯状環状体の接触面との間で挟むよう配設され張設された第2の帯状環状体を備えた反力付与手段により行うウェブの圧接方法が提供される。
【0017】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記反力は、少なくとも1つの反力付与回転体を用いて付与するウェブの圧接方法が提供される。
【0018】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記ウェブを前記第1の帯状環状体の外周面との間に挟んで前記第1の帯状環状体が抱き角を持って接するように支持回転体を配設することにより前記面状の圧力を付与するウェブの圧接方法が提供される。
【0019】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記支持回転体を複数用いるウェブの圧接方法が提供される。
【0020】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の帯状環状体の内周面側から前記第1の帯状環状体内周面に向けて流体を噴出することによって前記面状の圧力を付与するウェブの圧接方法が提供される。
【0021】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記ウェブの前記面状圧力の方向の反対側に設けた反力付与手段により前記面状圧力による力に対する反力を付与するウェブの圧接方法が提供される。
【0022】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記反力は、少なくとも1つの反力付与回転体を用いて付与するウェブの圧接方法が提供される。
【0023】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記反力は、前記ウェブを前記第1の帯状環状体の接触面との間で挟むよう配設され張設された第2の帯状環状体を備えた反力付与手段により行うウェブの圧接方法が提供される。
【0024】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の帯状環状体の幅が、ウェブの幅よりも狭幅であるウェブの圧接方法が提供される。
【0025】
また、本発明の別の形態によれば、表面に導電性薄膜を付与したウェブを連続的に走行させながらめっき処理槽内で電解めっきを施してめっき膜付きウェブを製造する連続電解めっき装置に用いられる給電方法であって、上記のいずれかに記載の圧接方法によって前記第1の帯状環状体を前記ウェブに圧接し、前記第1の帯状環状体または前記反力付与手段もしくは前記支持回転体として前記ウェブとの接触面が導電性を有し、かつ、めっき用電源と電気的に接続されたものを用い、前記第1の帯状環状体または前記反力付与手段もしくは前記支持回転体を経由して前記ウェブの導電面に給電することを特徴とする給電方法が提供される。
【0026】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の帯状環状体のウェブ導電面との接触面積を、次式を満足する範囲内とする給電方法が提供される。
【0027】
【数1】

【0028】
A:前記接触面の導電性薄膜の面への接触面積[mm
I:投入する電流値[A]
R:接触部の接触抵抗値[Ω]
t:前記接触面が接触する導電膜の膜厚[mm]
:限界熱量係数[W/mm]=8.5×10W/mm
また、本発明の別の形態によれば、走行するウェブに圧接力を付与する圧接装置であって、少なくとも1つの第1の帯状環状体と、前記第1の帯状環状体の内側および/または外側に配設され前記第1の帯状環状体に張力を与える少なくとも2つのプーリーと、前記第1の帯状環状体の前記ウェブの走行経路に接する部位であって、前記プーリーのうち隣接する少なくとも2つの前記プーリーの間における前記第1の帯状環状体の接触面に対し、前記ウェブの走行経路の側に圧接する面状の圧力に付与する面状圧力付与手段とを有するウェブの圧接装置が提供される。
【0029】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の帯状環状体は磁性材料を含むものであり、前記面状圧力付与手段は、前記第1の帯状環状体との間に前記ウェブの走行経路を挟んで配設され、前記第1の帯状環状体との間に磁力により引力が発生するよう構成されたものであるウェブの圧接装置が提供される。
【0030】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の帯状環状体は磁性材料の表面に耐食性導電性薄膜を付与したものであるウェブの圧接装置が提供される。
【0031】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の帯状環状体は磁性材料の表面に耐食性導電性薄膜を付与したものであって、前記磁性材料の幅方向両端エッジ部にR面取りを施してなるウェブの圧接装置が提供される。
【0032】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記面状圧力付与手段と前記ウェブの走行経路との間に前記磁力による引力に対する反力を付与する反力付与手段を配設するウェブの圧接装置が提供される。
【0033】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記反力付与手段は、少なくとも1つの第2の帯状環状体と、前記第2の帯状環状体の内側および/または外側に配設され前記第2の帯状環状体に張力を与える少なくとも2つのプーリーとを有するものであって、前記第2の帯状環状体の前記ウェブの走行経路に接する接触面は、前記第1の帯状環状体の前記ウェブの走行経路に接する部位と前記ウェブの走行経路を挟んで対向して配設されているウェブの圧接装置が提供される。
【0034】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記反力付与手段は、少なくとも1つの反力付与回転体であるウェブの圧接装置が提供される。
【0035】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記面状圧力付与手段は、前記ウェブの走行経路を前記第1の帯状環状体の外周面との間に挟んで前記第1の帯状環状体が抱き角を持って接するように配設された支持回転体であるウェブの圧接装置が提供される。
【0036】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記支持回転体を複数備えたウェブの圧接装置が提供される。
【0037】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記面状圧力付与手段は、前記第1の帯状環状体の内周面側に配設された流体吐出体であって、該流体噴出体の流体噴出口は前記第1の帯状環状体内周面に向けて流体を噴出するように構成されたものであるウェブの圧接装置が提供される。
【0038】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記ウェブの走行経路を挟んで前記面状圧力付与手段と反対側に前記流体の噴出による力に対する反力を付与する反力付与手段を配設してなるウェブの圧接装置が提供される。
【0039】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記反力付与手段は、少なくとも1つの反力付与回転体であるウェブの圧接装置が提供される。
【0040】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記反力付与手段は、少なくとも1つの第2の帯状環状体と、前記第2の帯状環状体の内側および/または外側に配設され前記第2の帯状環状体に張力を与える少なくとも2つのプーリーとを有するものであって、前記第2の帯状環状体の前記ウェブの走行経路に接する接触面は、前記第1の帯状環状体の前記ウェブの走行経路に接する部位と前記ウェブの走行経路を挟んで対向して配設されているウェブの圧接装置が提供される。
【0041】
また、本発明の別の形態によれば、上記のいずれかに記載のウェブの圧接装置であって、前記第1の帯状環状体または前記反力付与手段もしくは前記支持回転体は前記ウェブの走行経路に接する面が導電性を有するものであり、かつ、めっき用電源と電気的に接続された電極として構成されたものであることを特徴とするめっき装置用の給電装置が提供される。
【0042】
また、本発明の好ましい形態によれば、表面に導電性薄膜を付与したウェブを連続的に走行させながらめっき処理槽内で電解めっきを施してめっき膜付きウェブを製造する連続電解めっき装置であって、上記の給電装置を前記ウェブの走行経路に沿って少なくとも1箇所に配設してなることを特徴とするウェブ用電解めっき装置が提供される。
【0043】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の帯状環状体を、前記ウェブの幅方向に移動させるための移動手段を有するウェブ用電解めっき装置が提供される。
【0044】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記給電装置を、めっき槽の前または/および後のめっき浴外に1箇所以上配設してなるウェブ用電解めっき装置が提供される。
【0045】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記給電装置を、めっき槽内のめっき浴上に少なくとも1箇所以上配設してなるウェブ用電解めっき装置が提供される。
【0046】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記ウェブの幅方向が、重力方向に対して略平行となるように走行させるウェブ用電解めっき装置が提供される。
【0047】
また、本発明の好ましい形態によれば、少なくとも2つの上記のウェブ用電解めっき装置を有する多段式電解めっき装置であって、前記給電装置の前記電極の前記導電性薄膜の面への接触面積が、上流側よりも下流側に配置された前記給電装置のほうが小さく、かつ、次式を満足するように構成されたことを特徴とするウェブ用電解めっき装置が提供される。
【0048】
【数2】

【0049】
A:前記電極の導電性薄膜の面への接触面積[mm
I:投入する電流値[A]
R:接触部の接触抵抗値[Ω]
t:前記電極が接触する導電膜の膜厚[mm]
:限界熱量係数[W/mm]=8.5×10W/mm
また、本発明の別の形態によれば、上記のウェブ用電解めっき装置を用いて製造されためっき膜付きウェブが提供される。
【0050】
本発明において「帯状環状体」とは、帯状でかつ環状の物体をいい、後述のプーリーに案内されて回転するものである。例えば、帯状の物体を切断して両端部をつなぎ合わせて環状にしたものや、いわゆるエンドレスベルトがこれに相当する。
【0051】
本発明において「支持回転体」とは、帯状環状体に付与された力によって生じる帯状環状体の変位を規制し、力を受け止め反力を発生させ、より大きな接圧を得るための回転体をいう。例えば帯状環状体と同様のエンドレスベルト状のものや、ローラ、プーリー等がこれに相当する。
【0052】
本発明において「反力付与手段」とは、帯状環状体に付与された力によって生じる帯状環状体の変位を規制し、力を受け止め反力を発生させ、より大きな接圧を得るための手段をいう。例えば帯状環状体に付与された力の逆方向になるようにウェブの反対側から力を加えるように圧搾空気を噴出する手段はこれに相当する。また、前記支持回転体も反力付与手段のひとつである。
【0053】
本発明において「プーリー」とは、帯状環状体の走行を案内する機能と、帯状環状体に張力を付与する機能を有する回転体をいう。例えば、円筒の内側に軸受けを設けて固定軸にはめ、外径が帯状環状体の内面に接触するような構造のものが好適に用いられる。また帯状環状体の蛇行防止のため、プーリーの外径にクラウン加工を施したものが好ましい。駆動の有無は問わないが、帯状環状体回転系の慣性や摺動抵抗等による機械的ロスを補償する程度のトルクを補給する駆動装置を設けるのが好ましい。
【0054】
本発明において「面状の圧力」とは、点や線ではなく、面として生じる力をいう。例えば、針で突くのは「点状の力」、ローラ同士でローラへのウェブの抱きつきなしにニップするのは「線状の力」であり、「面状の力」の範疇には含まない。例えば、磁力や真空圧を用いて帯などの板状物をシート等に吸着する場合や、圧搾空気を用いて板状物を押し付ける場合は、「面状の力」が働いているとする。
【0055】
なお、特許文献5の技術のように2つの帯状環状体でウェブを挟み、ところどころローラ対でさらに抱きつきなしにニップする場合は、抱きつきなしでローラ対がニップしている場合はローラ自身やウェブの変形の結果、上記抱きつき角が5°以上とならないときは線状の力でニップするものとみなす。また、このときは、ローラ対で直接ニップしていない部位は、帯状環状体に走行方向の張力がかかっているだけで、直接ウェブを挟む方向の圧力はほとんどかかっていないので「面状の力」の範疇に含まないものとする。
【0056】
本発明において「帯状環状体がローラと抱きつきを持って接する」とは、ひとつのローラに帯状環状体が接触し始める外周上の一点と中心点とを結んだ線と、そのローラから帯状環状体が離脱し始める外周上の一点と中心点とを結んだ線との間の角度(接触角)が5度以上となるように、帯状環状体のパスラインを構成した状態をいう。なお、ローラ対によるニップの場合でも、ローラ表面が変形することによって、上記条件が満たされる場合も含まれる。
【0057】
帯状環状体の接触面に対しウェブ(またはウェブの走行経路)の側に圧接する面状の圧力を付与することは、圧接力の源が帯状環状体に対して直接作用するようにすることと、帯状環状体を張設したりこれをバックアップする部材を設け、ウェブまたはウェブの走行経路の側から圧接力の源が帯状環状体の側に向かって圧力を作用させ、結果的に張設またはバックアップされた帯状環状体の接触面がウェブまたはウェブの走行経路の側に面状の圧力を作用させるようにすることも含んでいる。
【0058】
本発明において「接触面」とは、帯状環状体や反力付与手段や反力付与回転体のウェブと接触する面をいう。
【0059】
本発明において「接触抵抗値」とは、電極を構成している帯状環状体または反力付与手段もしくは反力付与回転体の接触面とウェブの導電性薄膜との接触抵抗をいう。測定方法は実施例1に記載の通りである。
【0060】
本発明において「ウェブの幅方向が重力方向に対して略平行」とは、ウェブの幅方向を重力方向にした状態をいう。装置の設計思想として、ウェブの幅方向を水平ではなく垂直に立てた状態で走行させることを想定していれば、「重力方向に対して略平行」の範疇であり、ウェブのたわみや機械的誤差等の影響により厳密な垂直からずれていたとしても「重力方向に対して略平行」に含まれる。逆に意図して垂直方向からずらしている場合はこの範疇に含まない。
【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、帯状環状体をウェブ表面に安定して密着させることが可能となり、このため帯状環状体とウェブとの相対速度差による擦過キズ等の表面欠点の発生を抑制することができる。さらに帯状環状体の接触幅をウェブ幅よりも狭くすることにより、非接触部分は当然ながら帯状環状体の接触に起因する表面欠点は発生しないため、表面欠点発生の可能性を大幅に低下させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下、本発明の一実施形態の例をフレキシブル回路基板用片面銅めっき膜付きプラスチックフィルムの製造に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
【0063】
図1は、本実施形態によるウェブの連続電解めっき装置の一例の概略平面図である。長尺フィルムを巻き出し、めっき処理し、製品ロールとして巻き取る多段式連続電解めっき装置である。主たる工程は、プラスチックフィルム111の片面にあらかじめスパッタリング法などによりごく薄い銅合金からなる導電膜112を形成した片面導電膜付きフィルム11を巻き取ったロール状体から巻き出す巻き出し部12、巻き出した導電膜付きフィルム11の導電膜112に脱脂や洗浄などを施す前処理洗浄部13、導電膜112に接触して給電を行う給電部14とめっき処理槽15を備えためっき処理部16、めっき被膜の酸化防止のための防錆や、洗浄、乾燥を行う後処理部17、加工を終えたフィルムを巻き取る巻き取り部18からなっている。なお、めっき前の導電膜112が清浄な状態であれば前処理洗浄部13は省略しても構わないし、必要に応じて後処理部17は省略しても構わない。
【0064】
めっき処理部16において、給電部14にて導電膜112に接する給電電極141とプラスチックフィルム111に接する受け側回転体142とにより導電膜付きフィルム11がニップされ、導電膜112に給電電極141から給電されることによりめっき処理槽15にてめっき浴に浸漬された導電膜112が陰極となり、陽極151との間で電気めっき回路が形成されてめっき処理される。めっき処理槽15の出入り口にはフィルムが通るためのスリットが設けられており、このスリットからのめっき液の漏れ出しを抑制してめっき処理槽15にめっき液を保持するためのシールユニット152が設けられている。シールユニット152は2つの例えばゴムローラなどの弾性ローラでフィルムを挟み込んでシールするユニットや2枚の板の間隙をコントロールして液漏れ量を制御するユニットが好適に用いられる。基本的には巻き出し部12と巻き取り部18にてフィルム11に張力を付与することや走行速度を決定することなどの、いわゆるフィルムの走行を担うが、それ以外にも例えばシールユニット152や給電電極141などがフィルムの走行に関与しても良い。
【0065】
投入される導電膜付きフィルム11のプラスチックフィルム111の厚みは5μm〜80μmのものが好適に用いられる。材質としてはビニル系樹脂、アラミド系樹脂、ナイロン系樹脂等の様々な樹脂が用いられるが、中でもポリエステル樹脂やポリイミド樹脂が好適に用いられ、特に半導体パッケージ用途などの耐熱性の要求される製品についてはポリイミドフィルムを用いることが好ましい。導電膜112を形成する方法としては導電膜を接着剤でフィルムに貼り付ける方法やスパッタ法、蒸着法などの方法によってフィルムに直接成膜する方法など様々な方法が適用可能であるが、接着剤を用いて貼り付ける方法ではフィルムの耐熱温度よりも接着剤の耐熱温度の方が低い場合が多く、耐熱性の観点から導電膜をフィルムに直接成膜する方法が好ましく、導電膜の樹脂フィルムに対する高い密着性を確保する観点からスパッタ法により成膜することがより好ましい。導電膜の膜厚が0.005μm以下の場合は一様に膜を形成しないことが多く、島状に成膜されたり成膜されない部分が発生したりするため、導電膜112の膜厚は0.005μm以上成膜したものが好適に用いられる。導電膜の電気抵抗を小さくして大きな電流を導電膜にダメージを与えず流すために0.08μm以上とし、かつ生産性の観点から0.25μm以下とすることがより好ましい。スパッタプロセスは一般的に生産性が低く、厚い膜を形成するには大きなコストや時間を消費するためである。
【0066】
給電部14の一例について、電極近傍を拡大した概略斜視図を図2aに、また鉛直上方から見た概略図を図2bに、それぞれ示す。導電膜付きフィルム11のフィルム導電面112に接触するように、めっき用電源と電気的に接続された給電電極(第1の帯状環状体)141を配し、この給電電極141を保持し張力を付与して回転を案内するためのプーリー201a,201b,201cを給電電極141に内接するように配設し、給電電極141に対して導電膜付きフィルム11を挟んで向き合うように受け側回転体142として第2の帯状環状体を用い、これを保持し張力を付与して回転を案内するためのプーリー202a,202b,202cを配設した構造である。めっき用電源と給電電極141との接続に関しては、電気的に接続されておれば何でもよく、例えばめっき用電源に接続された電極板やブラシ状電極を給電電極141に接触させ、摺動させつつ給電する方法が用いられるが、擦過による磨耗や発塵を防止する観点から、回転しながら通電可能なコロ状電極201fを給電電極141に接触させて通電する方法が好ましく、給電電極141を導電性を有する金属のみで構成するなどして内周面と外周面との間が絶縁されていないものを用いれば、プーリー201a,201b,201c等に電源を接続することで部品点数が削減でき、構造も簡略化されるため、より好ましい。この場合は電源と接続されるプーリーの材質は、銅や銀などの体積抵抗率の低い金属材料を用いるのが好適である。
【0067】
給電電極141は導電性を有する帯状環状体である。例えば図3a、3b、3cの断面図に示すようにゴム等の樹脂製エンドレスベルト301の表層302に導電性を付与するために金属コーティングしたものや、金属帯の両端をつなぎ合わせて環状にしたものや、電鋳等の方法により金属膜を環状に成膜したものを用いるのが好ましく、電気抵抗を小さくするために導電性を付与する部分には抵抗率の低い合金や純金属を用いるのがより好ましい。電気抵抗は、図3dに示すようにフィルム導電面112上に給電電極141を接触させ、規定の接触圧を付与した状態で、フィルム導電面112と給電電極141との抵抗値を測定することで得られる。この際、フィルム導電面112と給電電極141の出来るだけ近い点を測定することで接触抵抗値に近い数値が得られる。このようにして測定した電気抵抗は、ジュール熱による熱的ダメージの軽減や電力損失の軽減の観点から、500mΩ以下、より好ましくは100mΩ以下となるように構成するのが良い。給電電極141にかける張力は、電極がずり落ちない程度のごく低い張力が好ましい。これは後述の面状圧力付与手段により給電電極141の接触面が受ける力を、できるだけ高効率にフィルム導電面112との接圧として利用したいためである。給電電極141の接触面とフィルム導電面112との間の接圧は、給電電極141の接触面をフィルム導電面112側に変位させる力に対してその変位を阻止する外部抗力を発生させること(あるいはその逆の作用)によって発生するが、このとき給電電極141の張力が高い場合、面状圧力付与手段によって受けた力の多くが、変位を妨げようとする張力による内部抗力を打ち消すために使われるため、変位させる力が小さくなってしまい、結果として接圧が小さくなってしまうのである。接圧が小さすぎる場合やまったく接圧がかかっていない状態では、給電電極とフィルム導電面との間にめっき液を挟みこんでしまう場合がある。この場合、給電電極とフィルム導電面との間にめっき回路が形成されるため給電電極にめっき金属が析出してしまう。このため大きな接圧を付与するのが好ましい。また給電電極141のフィルム導電面112との接触面は、面接触とする必要がある。接触面積の大きさは式2の数値以上とするのが発熱抑制の観点から好ましい。詳細は後述する。
【0068】
【数3】

【0069】
A:前記接触面の導電性薄膜の面への接触面積[mm
I:投入する電流値[A]
R:接触部の接触抵抗値[Ω]
t:前記接触面が接触する導電膜の膜厚[mm]
:限界熱量係数[W/mm]=8.5×10W/mm
接触面積は大きい方が発熱に対して有利となるが、ある程度の大きさを超えるとほとんど発熱の影響は見られなくなるため、発明者らが実験から得た知見によれば、式1の範囲内とするのが効率的であり、より好ましい。式中、限界熱量係数Qは、発明者らが実験の結果得た知見によれば8.5×10[W/mm]となるが、さらに安全係数を考慮して1.0×10[W/mm]を用いるのがより好ましい。なお、接触面積は接触面のフィルム幅方向の長さとフィルム走行方向の長さとの積で求められる。フィルム幅方向の接触面長さは出来る限り小さいほうが、フィルム導電面に接触する範囲が小さくなるため接触キズ等の少ない面が多く得られるので好ましい。ただし、あまり小さすぎるとフィルムの蛇行や機械的誤差等の影響により正確な接触が得られなくなる恐れがあるため、3mm以上15mm以下とするのがより好ましい。一方、走行方向長さは、接触面積が式1の範囲内となるように適宜設定すれば良い。また給電電極141のフィルム導電面112と接触する面の表面粗度は、JIS B0601−2001に規定の算術平均粗さでRa=0.1μm〜50μmとするのが好ましい。凹凸が大きい表面、すなわち算術平均粗さの大きな表面は、その表面積が大きくなるので接触面積増大に寄与するが、あまり大きすぎるとフィルム導電面が接触面の凹凸に密着することが出来ず、真実接触面積は小さくなる。適度な押し圧で接触面積を確保するために、Ra=0.8〜6.3μmとするのがより好ましい。
【0070】
また図2bの例は、給電電極141のフィルム導電面112への接触面に面状圧力を付与するための面状圧力付与手段として磁力発生手段203を用いた例である。この場合は給電電極141に例えばニッケルや鉄等の磁性を有する材料を用いて磁性を持たせ、受け側回転体142側に、磁力発生手段203として例えば永久磁石を配設することにより構成する。磁力発生手段203は、電磁石等磁力を発生するものであれば良いが、フェライト磁石、ネオジウム磁石、コバルト磁石等の永久磁石が安価であり好ましく、中でもネオジウム磁石は磁束密度が高いためより好ましい。
【0071】
なおこの場合、前述のように給電電極141は磁性材料で構成されるが、磁性材料は耐食性がない場合が多く、比較的早い時期に給電電極141が腐食によって使えなくなるケースが多い。そこで、金や白金やイリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、チタン、コバルト、ジルコニウム、ニオブなどの導電性と耐食性とを併せ持つ金属材料やその合金を表面にコーティングするのが好ましい。耐食性の評価としては、本実施形態においては、硫酸銅が100g/L〜300g/L、硫酸が10g/L〜150g/L、塩素が1mg/L〜100mg/L含まれる硫酸銅めっき液に24時間浸漬した際に、浸漬前後での重量変化率が1%未満であるものを、耐食性を有すると評価した。なお、実際に使用する液に対する耐食性が重要であるので、実際に使用するめっき液を使用して今回の方法と同様に耐食性を評価するのが望ましい。導電性については、一般的に絶縁体と呼ばれる、体積抵抗率1×10Ω・m以上のもの以外の材料は導電性を有するとみなし、1×10−6Ω・m以下の材料を用いるのが、ジュール熱低減の観点から好ましい。コーティング方法としては、蒸着や溶射やめっきなどの方法が好適に用いられる。コーティング膜の膜厚は、その構成上薄い膜に大量の電流を流す必要性があるため、薄すぎると発熱する懸念がある。そのため0.5μm以上とするのが好ましい。逆に厚すぎる場合は曲げ応力により表面にクラックを生じたり、ひどい場合には剥離を生じたりするため、1mm以下とするのが好ましい。発熱抑制と膜の破壊防止のためにより好ましい膜厚範囲としては、1μm以上30μm以下である。磁性材料にて帯状環状体を構成した段階では、その幅方向両端エッジ部をミクロ的に見ると、図7aに示すように一般的にバリと呼ばれる鋭利な突起状のもの71が残っていたり、図7bに示すように一般的にカエリと呼ばれる盛り上がり72が生じたりしていることが多い。図7aは帯状環状体の幅方向両端エッジ部のバリを示す平面図の概念図、図7bは帯状環状体の幅方向両端エッジ部のカエリを示す断面図の概念図である。これらの部分は給電電極141の回転に伴って応力を受けた際、表面のコーティング膜が剥離する起点となりやすく、また特に電解めっき法にてコーティングする際においてはバリやカエリに電界集中しやすいために他の部分よりも膜厚が厚くなり、曲げ応力発生時に割れてしまうことがある。これらのコーティング膜の破壊が生じると、その部分から内部の磁性材料に腐食がしやすく、さらに一旦腐食が始まると局部電池効果により加速度的に磁性材料の腐食が進み、電極としての寿命が極めて短くなる問題が生じる。そこで図7cに示すように出来るだけ角が立たないようにR面取り73を施すのがより好ましい。図7cは本実施形態による給電電極の幅方向両端エッジ部の好ましい形状の一例を示す断面図の概念図である。
面状圧力付与手段としては、磁力を用いる方法のほかに、めっき液や空気等の流体を給電電極141の裏面(プーリー201c側)から受け側回転体142側に向かって吹き付けるような図2fに示す方法であっても良い。この場合は機械構造を単純化でき、接触圧の調整が簡単にできる利点がある。また図2gや図2hに示すように、導電膜付きフィルム11と一緒に給電電極141を支持回転体207に対して抱き角θを付与して抱きつけ、給電電極141に張力をかけることによって押し付け圧力を確保するような方法も可能である。この方法では面状圧力を付与するための特別な機械要素が必要なく、機械構造を単純化することができる。なお、図2bのような磁力を用いるものや、図2fのような流体を用いるものや、図2gや図2hのような抱きつけを用いるものなどの要素を組み合わせたものでもかまわない。以上に例示したような手段で給電電極141のフィルム導電面112との接触面のほぼ全面に、給電電極141の接触面をフィルム導電面112に押し付ける面状圧力を付与する。なお、図2gに示す構造の場合においては、支持回転体207と給電電極141との役割を入れ替えても接触面積はほとんど変わらないため、フィルム導電面112側に支持回転体207を配設し、支持回転体207から通電することも可能である。
【0072】
図2bに戻る。図2bの例において、反力付与手段である受け側回転体142は給電電極141の張力よりも高い張力に設定するのが好ましい。図2b中の接触部分(丸印)を拡大した模式図を図2iに示す。低張力の給電電極141が導電膜付きフィルム11に接し、同時に磁力発生手段203により発せられる磁力によって受け側回転体142側に引き寄せられるのを受け止め、受け側回転体142と給電電極141との間に圧力を発生させ、導電膜付きフィルム11と給電電極141との間に接圧を発生させるためである。図2b中、プーリー201aとプーリー201bとの間の距離に対して、プーリー202aとプーリー202bとの間の距離は同じか、長いほうが好ましい。これは給電電極141のフィルム導電面112との接触面全面にわたって受け側回転体142との間の圧力を発生させるためである。もし導電膜付きフィルム11にかかる走行方向張力が高い場合や剛性が高くたわみにくいような場合は、受け側回転体142を配設しない図2cのような構成とすることも可能である。また、図2dに示す小さな回転体204を並べたような構成でも良く、この場合は図2bの受け側回転体142の走行をガイドする機械構造が不要で、装置を簡素化できるメリットがある。まためっき液や空気などの流体を吹き付けて反力を発生させるような図2eに示す構造であっても良く、この場合は反力の大きさを任意に調節できることや、機械構造が簡素化できることなどのメリットがある。またこれらの要素を組み合わせたようなものでもかまわない。なお小さな回転体204は球でも円筒状でも良いが、なるべく大きな面で反力を発生させられるように円筒状の回転体を用いるのが好ましい。
【0073】
図2bに戻る。図2b中、プーリー201aと201bの間の給電電極141のフィルム導電面112との接触面が実際に電子の受け渡しを行う面となる。この部分の接触面積が小さい場合、接触抵抗によるジュール熱により通電時に発熱するため、接触部近傍に変色や変質を生じ、ひどい場合には導電膜の焼損にいたる。このため接触部の接触面積は式2の数値以上とするのが好ましい。なお、式中の限界熱量係数Qは、発明者らが鋭意検討の結果得た、製品に悪影響を及ぼさない上限の単位体積あたりの発熱量に関する実験値である。給電電極141の蛇行を抑制するために、プーリー201a,201b,201cのうち少なくとも1つのプーリーに、図6aの概略断面図に示すようなクラウン加工を施すことが好ましい。より好ましくは、例えば図6cの概略断面図に示すようにプーリー201cを固定軸402に回転自在に取り付けるためのベアリングに自動調芯ベアリング602を用いるなどして、プーリー自体を傾き自在に保持するような機構とすることが蛇行防止の観点から良いが、この場合はフィルム導電面112に接していないプーリーに採用するのが好適である。給電電極141の形状がJIS−K6323−1995に記載のVベルト状のものであれば、プーリーの形状をJIS−B1854−1987に記載のVプーリー状のものにすれば蛇行防止が可能である。また給電電極141にかかる張力を調整するためにいずれかのプーリー間の間隔を調整する機構が好適に用いられる。一例として図5に概略構造を示すが、図5は図2cのフィルム導電膜112から下の部分を図左から見たときの概略図である。スライドブロック501を図中左右方向に動かすことによりプーリー間隔を変化させて給電電極141に張力を付与し、適度な張力をかけた状態でボルト502を締め付けることで固定するような機構が好適に用いられる。なお、前述の通り給電電極141には、それがずり落ちない程度の軽い張力をかけるのが好ましい。ほかにも偏心カムを用いてプーリー間隔を調整する方法や、バネや空気圧などを利用して張力付与する機構が好適に用いられる。これらの張力付与機構はどれか1つのプーリーに採用すればよいが、張力調整のたびに接触面積等が変化しないようにフィルム導電面112に接触していない場所、例えばプーリー201cに用いるのが好ましい。プーリー201a,201b,201cはそれぞれ駆動の有無は問わないが、装置簡略化の観点からは図6a、図6bの概略断面図に示すような構造としてベアリング601にて回転自在に支持し、フィルムに従動回転させるのが好ましく、走行安定化の観点からは図6aに示す構造を用いてプーリー201aの上端部分にベルトや歯車、摩擦板等を介してモーター等の動力源を接続し、給電電極141等の回転体の慣性や摺動抵抗等の機械的ロスを補うだけのトルクを補給する程度の駆動をかけるのが好ましい。なお、プーリーは給電電極に接しているため、プーリー自体あるいはベアリングまたは軸をセラミックや樹脂等の絶縁体で構成して給電電極と装置部材とを電気的に絶縁するのが好ましい。このときプーリー、ベアリング、軸とも高い加工精度が必要なため、樹脂ではなくセラミックを用いるのがより好ましい。
【0074】
上記のような給電電極をめっき装置の給電電極として用いることにより、給電電極が接触しない部分の表面品位が非常に高いめっき膜を成膜することが可能となるため好ましい。さらに給電電極141とフィルム導電面112の接触部を製品化範囲外に設定することで、非常に高品位の製品が得られるため、より好ましい。この際、めっき槽外に給電電極を設けると給電電極へのめっき金属の析出が抑制できるため、電極解めっき工程等の付帯設備が不要となるので好ましい。まためっき槽内にて局部的にめっき液面レベルを低下させてフィルム導電面を露出させ、そこに接触するように給電電極を配置すれば、長いめっき槽においてもフィルム導電面の膜抵抗の影響を最小限に抑えることが出来るので好ましい。
【0075】
図1に示すような多段式めっき装置にあっては、フィルム導電面112の導電層膜厚が薄いめっき前半において給電電極141の接触面積を大きくし、下流側ほど接触面積を小さくしていくことで、それぞれ必要最小限の大きさでコンパクトな設計ができ、装置コストの面で好ましい。
【0076】
上記のようなめっき装置で成膜しためっき表面は非常に表面品位が高いため、特に高い表面品位を求められるフレキシブル回路基板用途のめっき膜付きプラスチックフィルムの製造に好適に用いられる。
【0077】
上記のように本実施形態によれば、帯状環状体やウェブを帯状環状体との間でニップする、反力付与手段や支持回転体などにめっき用電源を接続し、めっき用給電電極として用いることにより、ウェブ導電面に電極を安定して密着させることが可能となるため、電極とウェブ導電面との接触抵抗を低く抑えられることにより電極近傍での発熱による膜の変色や変質、焼損等を抑制でき、また電極とウェブ導電面との間にめっき液がほとんど入り込めないので電極へのめっき金属の析出を抑えることが出来るため、表面品位が極めて高いめっき膜を成膜することが可能となる。さらには給電電極が回転体であるので、ウェブの走行を阻害する力の発生が抑えられ安定走行が可能であり、また摩耗粉等の汚染物を発生させることも抑制できる。
【0078】
また、本実施形態によれば、給電電極自体の大きさが小さくできるため、給電装置自体の大きさをコンパクトにすることが可能となる。このことは同じ装置全長でもめっき処理槽をより長くとることにつながり、生産性向上ならびに装置コストダウンに寄与する。
【0079】
また、本実施形態によれば、めっき処理槽外にのみ給電電極を設けることにより、給電電極自体へのめっき金属の析出が抑制されるため給電性能が安定するとともに、解めっき工程等の付帯工程が不要となり、装置コストダウンに寄与する。また、給電電極が接触する領域にもめっき処理が施されることにより給電電極接触部の膜抵抗に起因する発熱も抑制することが出来る。
【0080】
また、本実施形態によれば、めっき処理槽内において、めっき液面レベルを局所的に下げ、露出したウェブ端部に接触するよう給電電極を設けることにより、給電電極自体へのめっき金属の析出が抑制しつつ、めっき槽内での給電が可能となる。これにより長いめっき槽においてもウェブ導電膜抵抗の影響を最小限にでき、電流密度分布を最適化することが可能となるため生産性を向上させることが可能となる。
【0081】
また、本実施形態によれば、柔軟なウェブであるプラスチックフィルムを安定的に走行させることが可能なため、めっき膜付きプラスチックフィルムの製造に好適なものである。さらに比較的柔らかくキズが発生しやすい銅をめっきする場合においては特に好適であり、高い表面品位が要求されるフレキシブル回路用基板の製造には本発明の表面欠点抑制効果ならびにウェブの走行安定性の効果が最も得られることとなる。
【実施例】
【0082】
以下に具体的な実施例をもって本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの具体的な実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
給電部の装置構成は図2bに示すとおりである。図2bを図の下側(フィルムの導電面側)から見た概略図を図4aに示す。
【0083】
給電電極141には電鋳にて製作した幅30mm、厚さ0.1mmの純ニッケル製エンドレスベルトを用いた。表面粗さは中心線平均粗さ(Ra)で0.8μmであった。プーリー201a,201bはリン脱酸銅C1220を用いて製作し、それぞれ片側軸端部に米国メルコタック社製“ロータリーコネクタMODEL1250−SC“403を取り付けてめっき用電源の陰極と接続された電源ケーブル404と接続した。プーリー外径60mm、面長35mm、全長70mmで両端の軸部分にベアリングを取り付けたものを用いた。プーリー面全面に高低差0.3mmのクラウン加工を施した。両軸端のベアリングには樹脂ベアリングを用い、プーリーを把持するためのブラケット401に固定することでブラケット本体と電気的に絶縁する構成とした。またプーリー201cはSUS304を用いて製作した。プーリー外径60mm、面長35mmとし、高低差0.3mmのクラウン加工を施した。プーリー201cはブラケットに固定された固定軸に自動調芯ベアリングを介して回転・傾き自在に取り付けられる構造とした。給電電極141にかかる張力は、各プーリー間で自然にたわみが生じない程度だけ、プーリー201cを遠ざけるようにして設定した。プーリー201aとプーリー201bとの中心間距離は150mmとした。
【0084】
受け側回転体142には幅30mm、厚さ0.1mmのSUS304Hの鋼帯の両端部を溶接にてつなぎ合わせたSUSベルトを用いた。プーリー202a,202bはそれぞれSUS304にて製作し、プーリー外径60mm、面長35mmとし、高低差0.3mmのクラウン加工を施した。プーリー202a,202bは深溝玉軸受けを介してブラケットに固定された固定軸に回転自在に取り付ける構造とした。またプーリー202cはSUS304を用いて製作した。プーリー外径60mm、面長35mmとし、高低差0.3mmのクラウン加工を施した。プーリー202cはブラケットに固定された固定軸に自動調芯ベアリングを介して回転・傾き自在に取り付けられる構造とした。受け側回転体142の張力は、計算上200Nかかるようにプーリー202cを遠ざけるようにして設定した。プーリー202aとプーリー202bとの中心間距離は200mmとした。
【0085】
面状圧力付与手段として磁力発生手段203を用いた。磁力発生手段203には、幅30mm、長さ10mm、厚さ5mmの厚さ方向に磁化した残留磁束密度350mTのネオジウム磁石を、図4bに示すように長さ方向に15個、すべてN極が給電電極141側になるように1mmずつ隙間を設けて並べて配置したものを用いた。なおネオジウム磁石は腐食しやすく、めっき液飛散環境下では崩壊の恐れがあるため、全面ニッケルめっきを施したものを用いた。
【0086】
給電電極141と受け側回転体142との接触部分における給電電極141と受け側回転体142との間隙は、フィルムを挟んでいない状態でゼロになるように調整した。また磁力発生手段203と受け側回転体142との間隙は2.5mm〜3mmに入るように調整した。
【0087】
上記の給電部14を、導電膜が最も薄いときの給電能力の検証のために図1のめっき装置の最初のめっき処理部16と、投入電流が最も大きいときの給電能力の検証のために図1の最後のめっき処理部16とに採用して、導電膜付きポリイミドフィルムの銅めっき加工実験を実施した。なお、最初と最後に挟まれた間のめっき処理部16には、本発明者らの出願による特願2007−076040号に記載されている給電電極を用いた。最初のめっき処理部の投入電流は20A、最後のめっき処理部に投入する電流は200Aと設定した。投入した導電膜付きポリイミドフィルムの構成は、幅520mm、長さ500m、厚さ38μmの東レデュポン社製ポリイミドフィルム“カプトンEN”の片側表面に0.1μmの銅合金をスパッタリング法にて成膜したものである。最初のめっき処理部、最後のめっき処理部ともに、給電電極とフィルム導電面との接触面積は2250mmとし、接触面のフィルム幅方向の長さは15mmとした。めっき条件としては、原反をめっき装置に投入し、めっき加工を施して最終的に8.5μmの銅めっき膜が得られる生産条件とし、このときのフィルム走行速度は1.0m/minであった。なお、スパッタリング法で成膜した導電膜の表面抵抗率は、JIS K7194−1994に準拠し、三菱化学製表面抵抗率測定器“ロレスタ−GP”MCP−T600を用いて測定した結果、3.5×10−1Ω/□であり、8.5μmめっき後の導電膜の表面抵抗率は、1.92×10−3Ω/□であった。またスパッタリング法で成膜した導電膜と給電電極との接触抵抗を測定した結果70mΩであり、8.5μmめっき後の導電膜と給電電極との接触抵抗は10mΩであった。測定方法は図4cに示すように給電電極405と導電膜406との接触部の長手方向中央部直下と給電電極接触面裏側中央部とに電圧計407と直流電源408を並列接続し、直流電源408から1Aの定電流を投入したときの電圧を測定してオームの法則から抵抗値を計算して求めた。
【0088】
めっき加工実験で得られためっき加工品サンプルの中央部100mm×100mmの範囲の表面品位を確認したところ、高さ/深さ2μm以上の凹凸は無く、キズの発生も確認されなかった。また電極近傍における熱による変色や導電膜焼損等の熱的トラブルも確認されず、高品位なめっき膜が得られることを確認した。
[比較例1]
実施例1と同様のめっき加工実験を、給電部14を、円筒状回転体を電極として全面接触して給電する方式に変更して行った。
【0089】
めっき加工実験で得られためっき加工品サンプルの中央部100mm×100mmの範囲の表面品位を確認したところ、高さ/深さ2μm以上の凹凸はそれぞれ2個ずつ発生し、キズについては大きなものの発生は確認されなかったが、微小なスリキズ状の欠点は無数に確認された。電極近傍における熱による変色や導電膜焼損等の熱的トラブルは確認されなかったが、めっき膜の品位としてはあまり良くなかった。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、銅めっき被膜付きフィルムの製造に限らず、その他金属の電解めっき装置、樹脂フィルム以外の基材を用いた電解めっき装置などにも応用することができるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明によるめっき装置の一例を示す概略工程図である。
【図2a】本発明による給電部の一例を示す概略斜視図である。
【図2b】本発明による給電部の一例を鉛直上方から見た概略図である。
【図2c】本発明による別の給電部の一例を鉛直上方から見た概略図である。
【図2d】本発明による別の給電部の一例を鉛直上方から見た概略図である。
【図2e】本発明による別の給電部の一例を鉛直上方から見た概略図である。
【図2f】本発明による別の給電部の一例を鉛直上方から見た概略図である。
【図2g】本発明による別の給電部の一例を鉛直上方から見た概略図である。
【図2h】本発明による別の給電部の一例を鉛直上方から見た概略図である。
【図2i】図2bの給電電極接触部を拡大した模式図である。
【図3a】本発明による給電電極の構造の一例を示す断面図である。
【図3b】本発明による給電電極の構造の別の一例を示す断面図である。
【図3c】本発明による給電電極の構造の別の一例を示す断面図である。
【図3d】給電電極とフィルム導電面との電気抵抗の測定方法を示す配線概念図である。
【図4a】実施例の給電電極部分の構造を示す概略図である。
【図4b】実施例の磁石配置を示す概略図である。
【図4c】実施例における接触抵抗測定方法を示す概略図である。
【図5】本発明による給電電極への張力付与機構の一例を示す概略図である。
【図6a】本発明によるプーリーの概略構造の一例を示す概略断面図である。
【図6b】本発明によるプーリーの概略構造の別の一例を示す概略断面図である。
【図6c】本発明によるプーリーの概略構造の別の一例を示す概略断面図である。
【図7a】帯状環状体の幅方向両端エッジ部のバリを示す平面図の概念図である。
【図7b】帯状環状体の幅方向両端エッジ部のカエリを示す断面図の概念図である。
【図7c】本発明による給電電極の幅方向両端エッジ部の好ましい形状の一例を示す断面図の概念図である。
【符号の説明】
【0092】
11:導電膜付きフィルム
12:原反ロール
13:前処理槽
14:給電部
15:めっき槽
16:めっき処理部
17:後処理槽
18:巻取りロール
111:プラスチックフィルム
112:フィルム導電膜
141:給電電極
142:受け側回転体
151:陽極
152:シールユニット
201a:プーリー
201b:プーリー
201c:プーリー
201d:プーリー
201e:プーリー
201f:コロ状電極
202a:プーリー
202b:プーリー
202c:プーリー
203:磁力発生手段
204:小さな回転体
205:流体噴出ノズル
206:流体
207:支持回転体
301:樹脂製エンドレスベルト
302:表層
303:抵抗測定器
401:ブラケット
402:固定軸
403:ロータリーコネクタ
404:電源ケーブル
405:給電電極
406:導電面
407:電圧計
408:直流電源
409:磁石
501:スライドブロック
502:ボルト
601:ベアリング
602:自動調芯ベアリング
603:クラウン量
71:バリ
72:カエリ
73:R面取り
θ:抱き角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行しているウェブに少なくとも1つの前記ウェブの走行にあわせて接触面が回転する第1の帯状環状体を圧接するウェブの圧接方法であって、前記第1の帯状環状体の前記接触面に対して、前記ウェブの側に圧接する面状の圧力を付与することを特徴とするウェブの圧接方法。
【請求項2】
前記第1の帯状環状体として磁性材料を含むものを用い、前記面状の圧力は、前記第1の帯状環状体の前記接触面に対し、前記ウェブに向かう磁力により付与することを特徴とする請求項1に記載のウェブの圧接方法。
【請求項3】
前記ウェブの前記面状の圧力の方向の反対側に設けた反力付与手段により前記磁力に対する反力を付与することを特徴とする請求項2に記載のウェブの圧接方法。
【請求項4】
前記反力は、前記ウェブを前記第1の帯状環状体の接触面との間で挟むよう配設され張設された第2の帯状環状体を備えた反力付与手段により行うことを特徴とする請求項2または3に記載のウェブの圧接方法。
【請求項5】
前記反力は、少なくとも1つの反力付与回転体を用いて付与することを特徴とする請求項4に記載のウェブの圧接方法。
【請求項6】
前記ウェブを前記第1の帯状環状体の外周面との間に挟んで前記第1の帯状環状体が抱き角を持って接するように支持回転体を配設することにより前記面状の圧力を付与することを特徴とする請求項1に記載のウェブの圧接方法。
【請求項7】
前記支持回転体を複数用いることを特徴とする請求項6に記載のウェブの圧接方法。
【請求項8】
前記第1の帯状環状体の内周面側から前記第1の帯状環状体内周面に向けて流体を噴出することによって前記面状の圧力を付与することを特徴とする請求項1に記載のウェブの圧接方法。
【請求項9】
前記ウェブの前記面状圧力の方向の反対側に設けた反力付与手段により前記面状圧力による力に対する反力を付与することを特徴とする請求項8に記載のウェブの圧接方法。
【請求項10】
前記反力は、少なくとも1つの反力付与回転体を用いて付与することを特徴とする請求項9に記載のウェブの圧接方法。
【請求項11】
前記反力は、前記ウェブを前記第1の帯状環状体の接触面との間で挟むよう配設され張設された第2の帯状環状体を備えた反力付与手段により行うことを特徴とする請求項9または10に記載のウェブの圧接方法。
【請求項12】
前記第1の帯状環状体の幅が、ウェブの幅よりも狭幅であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のウェブの圧接方法。
【請求項13】
表面に導電性薄膜を付与したウェブを連続的に走行させながらめっき処理槽内で電解めっきを施してめっき膜付きウェブを製造する連続電解めっき装置に用いられる給電方法であって、請求項1〜12のいずれかに記載の圧接方法によって前記第1の帯状環状体を前記ウェブに圧接し、前記第1の帯状環状体または前記反力付与手段もしくは前記支持回転体として前記ウェブとの接触面が導電性を有し、かつ、めっき用電源と電気的に接続されたものを用い、前記第1の帯状環状体または前記反力付与手段もしくは前記支持回転体を経由して前記ウェブの導電面に給電することを特徴とする給電方法。
【請求項14】
前記第1の帯状環状体のウェブ導電面との接触面積を、次式を満足する範囲内とすることを特徴とする請求項13に記載の給電方法。
【数1】

A:前記接触面の導電性薄膜の面への接触面積[mm
I:投入する電流値[A]
R:接触部の接触抵抗値[Ω]
t:前記接触面が接触する導電膜の膜厚[mm]
:限界熱量係数[W/mm]=8.5×10W/mm
【請求項15】
走行するウェブに圧接力を付与する圧接装置であって、少なくとも1つの第1の帯状環状体と、前記第1の帯状環状体の内側および/または外側に配設され前記第1の帯状環状体に張力を与える少なくとも2つのプーリーと、前記第1の帯状環状体の前記ウェブの走行経路に接する部位であって、前記プーリーのうち隣接する少なくとも2つの前記プーリーの間における前記第1の帯状環状体の接触面に対し、前記ウェブの走行経路の側に圧接する面状の圧力に付与する面状圧力付与手段とを有することを特徴とするウェブの圧接装置。
【請求項16】
前記第1の帯状環状体は磁性材料を含むものであり、前記面状圧力付与手段は、前記第1の帯状環状体との間に前記ウェブの走行経路を挟んで配設され、前記第1の帯状環状体との間に磁力により引力が発生するよう構成されたものであることを特徴とする請求項15に記載のウェブの圧接装置。
【請求項17】
前記第1の帯状環状体は磁性材料の表面に耐食性導電性薄膜を付与したものであることを特徴とする請求項16に記載のウェブの圧接装置。
【請求項18】
前記第1の帯状環状体は磁性材料の表面に耐食性導電性薄膜を付与したものであって、前記磁性材料の幅方向両端エッジ部にR面取りを施してなることを特徴とする請求項16または17に記載のウェブの圧接装置。
【請求項19】
前記面状圧力付与手段と前記ウェブの走行経路との間に前記磁力による引力に対する反力を付与する反力付与手段を配設することを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載のウェブの圧接装置。
【請求項20】
前記反力付与手段は、少なくとも1つの第2の帯状環状体と、前記第2の帯状環状体の内側および/または外側に配設され前記第2の帯状環状体に張力を与える少なくとも2つのプーリーとを有するものであって、前記第2の帯状環状体の前記ウェブの走行経路に接する接触面は、前記第1の帯状環状体の前記ウェブの走行経路に接する部位と前記ウェブの走行経路を挟んで対向して配設されていることを特徴とする請求項19に記載のウェブの圧接装置。
【請求項21】
前記反力付与手段は、少なくとも1つの反力付与回転体であることを特徴とする請求項19に記載のウェブの圧接装置。
【請求項22】
前記面状圧力付与手段は、前記ウェブの走行経路を前記第1の帯状環状体の外周面との間に挟んで前記第1の帯状環状体が抱き角を持って接するように配設された支持回転体であることを特徴とする請求項15に記載のウェブの圧接装置。
【請求項23】
前記支持回転体を複数備えたことを特徴とする請求項16に記載のウェブの圧接装置。
【請求項24】
前記面状圧力付与手段は、前記第1の帯状環状体の内周面側に配設された流体吐出体であって、該流体噴出体の流体噴出口は前記第1の帯状環状体内周面に向けて流体を噴出するように構成されたものであることを特徴とする請求項15に記載のウェブの圧接装置。
【請求項25】
前記ウェブの走行経路を挟んで前記面状圧力付与手段と反対側に前記流体の噴出による力に対する反力を付与する反力付与手段を配設してなることを特徴とする請求項24に記載のウェブの圧接装置。
【請求項26】
前記反力付与手段は、少なくとも1つの反力付与回転体であることを特徴とする請求項25に記載のウェブの圧接装置。
【請求項27】
前記反力付与手段は、少なくとも1つの第2の帯状環状体と、前記第2の帯状環状体の内側および/または外側に配設され前記第2の帯状環状体に張力を与える少なくとも2つのプーリーとを有するものであって、前記第2の帯状環状体の前記ウェブの走行経路に接する接触面は、前記第1の帯状環状体の前記ウェブの走行経路に接する部位と前記ウェブの走行経路を挟んで対向して配設されていることを特徴とする請求項25または26に記載のウェブの圧接装置。
【請求項28】
請求項15〜27のいずれかに記載のウェブの圧接装置であって、前記第1の帯状環状体または前記反力付与手段もしくは前記支持回転体は前記ウェブの走行経路に接する面が導電性を有するものであり、かつ、めっき用電源と電気的に接続された電極として構成されたものであることを特徴とするめっき装置用の給電装置。
【請求項29】
表面に導電性薄膜を付与したウェブを連続的に走行させながらめっき処理槽内で電解めっきを施してめっき膜付きウェブを製造する連続電解めっき装置であって、請求項28に記載の給電装置を前記ウェブの走行経路に沿って少なくとも1箇所に配設してなることを特徴とするウェブ用電解めっき装置。
【請求項30】
前記第1の帯状環状体を、前記ウェブの幅方向に移動させるための移動手段を有することを特徴とする請求項29に記載のウェブ用電解めっき装置。
【請求項31】
前記給電装置を、めっき槽の前または/および後のめっき浴外に1箇所以上配設してなることを特徴とする請求項29または30に記載のウェブ用電解めっき装置。
【請求項32】
前記給電装置を、めっき槽内のめっき浴上に少なくとも1箇所以上配設してなることを特徴とする請求項29または30に記載のウェブ用電解めっき装置。
【請求項33】
前記ウェブの幅方向が、重力方向に対して略平行となるように走行させることを特徴とする請求項29〜32のいずれかに記載のウェブ用電解めっき装置。
【請求項34】
少なくとも2つの請求項29〜33のいずれかに記載のウェブ用電解めっき装置を有する多段式電解めっき装置であって、前記給電装置の前記電極の前記導電性薄膜の面への接触面積が、上流側よりも下流側に配置された前記給電装置のほうが小さく、かつ、次式を満足するように構成されたことを特徴とするウェブ用電解めっき装置。
【数2】

A:前記電極の導電性薄膜の面への接触面積[mm
I:投入する電流値[A]
R:接触部の接触抵抗値[Ω]
t:前記電極が接触する導電膜の膜厚[mm]
:限界熱量係数[W/mm]=8.5×10W/mm
【請求項35】
請求項29〜34のいずれかに記載のウェブ用電解めっき装置を用いて製造されためっき膜付きウェブ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図2g】
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【図2h】
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【図2i】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【公開番号】特開2008−266784(P2008−266784A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82758(P2008−82758)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】