ウォークスルーシステムおよび携帯端末
【課題】携帯端末の消費電力を抑制しつつ、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間内に、携帯端末と処理装置とがデータの送受信を確実に行う。
【解決手段】電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムであって、携帯端末1と、携帯端末1のポーリング間隔を変更する設定装置4と、第1のトランシーバ9と、第1のトランシーバ9に接続された処理装置8とを有し、携帯端末1は、第1のポーリング間隔で識別情報を送信する送信手段2と、設定装置4が送信する設定情報を受信して、第1のポーリング間隔を当該第1のポーリング間隔より短い第2のポーリング間隔に変更する変更手段2と、第2のトランシーバ3と、を有する。
【解決手段】電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムであって、携帯端末1と、携帯端末1のポーリング間隔を変更する設定装置4と、第1のトランシーバ9と、第1のトランシーバ9に接続された処理装置8とを有し、携帯端末1は、第1のポーリング間隔で識別情報を送信する送信手段2と、設定装置4が送信する設定情報を受信して、第1のポーリング間隔を当該第1のポーリング間隔より短い第2のポーリング間隔に変更する変更手段2と、第2のトランシーバ3と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバを用いたウォークスルーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の小型化および高性能化によりウェアラブルコンピュータが注目されているが、図11はこのようなウェアラブルコンピュータを人間に装着して使用する場合の例を示している。同図に示すように、ウェアラブルコンピュータ7はそれぞれトランシーバ9を介して人間の腕、肩、胴体などに装着されて互いにデータの送受信を行うとともに、更に手足の先端で触れられるよう壁や床に設けられたトランシーバ9a、9bとケーブルとを介して外部に設けられたパソコン(PC)8と通信を行っている。
【0003】
ここで、このようなウェアラブルコンピュータ7間、およびウェアラブルコンピュータ7とパソコン8間とのデータ通信に使用されるトランシーバ9は、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法による信号検出技術を利用していて、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体である生体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行うものである。なお、トランシーバ9については、特許文献1に記載されている。
【0004】
また、ポーリング間隔を制御する技術としては、例えば、特許文献2および特許文献3に記載されている。
【特許文献1】特開2001−352298号公報
【特許文献2】特開2003−124940号公報
【特許文献3】特開平9−182137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したトランシーバ9は、ウェアラブルコンピュータ7とともに人間の腕、肩、胴体などに装着され、使用される。すなわち、トランシーバ9を装着したユーザが、コンピュータ(パソコン8、サーバなど)と接続されたトランシーバ9aに手や足で触れることにより、ウェアラブルコンピュータ7とパソコン8との間に通信路が形成され、コンピュータとウェアラブルコンピュータ7との間で情報の送受信が行われる。
【0006】
ここで、ウェアラブルコンピュータ7が一定のポーリング間隔で所定のデータをコンピュータに送信するものとする。この場合、ユーザが立ち止まって、コンピュータに接続されたトランシーバ9aに一定時間、接触できる状態においては、ポーリング間隔が多少長くてもデータの送信を行うことができる。
【0007】
しかしながら、改札などのゲートを通り抜ける際に所定の処理を行うウォークスルーシステムの場合には、ウェアラブルコンピュータ7のポーリング間隔を短く設定する必要がある。すなわち、ポーリング間隔が長いと、ゲートを通り抜ける瞬間にデータが送信されず、所望の処理が行われない可能性がある。通常の歩行では1秒間に1〜2m程度進むため、歩いたままの状態でゲートを通過する場合、0.2〜0.3秒間で処理を完了させる必要がある。したがって、ウェアラブルコンピュータ7のポーリング間隔を、数10msec程度にする必要がある。
【0008】
一方、ポーリング間隔を短くすると、ウェアラブルコンピュータ7の消費電力が増大し、電池の寿命が短くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電界伝達媒体を介して情報の送受信を行う電界通信を用いたウォークスルーシステムにおいて、携帯端末の消費電力を抑制しつつ、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間内に、携帯端末と処理装置とがデータの送受信を確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、第1の本発明は、電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムであって、ユーザが携帯する携帯端末と、前記携帯端末のポーリング間隔を変更する設定装置と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第1のトランシーバと、前記第1のトランシーバに接続された処理装置と、を有し、前記ユーザは、前記設定装置が設置された設定ゾーンを通過したあと、前記処理装置および第1のトランシーバが設置された処理ゾーンに到達し、前記携帯端末は、第1のポーリング間隔で識別情報を送信する送信手段と、前記設定装置が送信する設定情報を受信して、第1のポーリング間隔を当該第1のポーリング間隔より短い第2のポーリング間隔に変更する変更手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第2のトランシーバと、を有し、前記設定装置は、前記携帯端末のポーリング間隔を変更させるための設定情報を、前記携帯端末に送信する設定情報送信手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させて情報の送信を行う第3のトランシーバと、を有し、前記ユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、第3のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第2のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信し、前記ユーザが前記第1のトランシーバに接触することにより、前記処理装置は、前記第2のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第1のトランシーバを介して、前記携帯端末から識別情報を受信して、当該識別情報を用いて所定の処理を実行する。
【0011】
第2の発明は、電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムであって、ユーザが携帯する携帯端末と、前記携帯端末のポーリング間隔を変更する設定装置と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第1のトランシーバと、前記第1のトランシーバに接続された処理装置と、を有し、前記ユーザは、前記設定装置が設置された設定ゾーンを通過したあと、前記処理装置および第1のトランシーバが設置された処理ゾーンに到達し、前記携帯端末は、複数のアプリケーションを実行する業務処理手段と、前記設定装置が送信する設定情報を受信して、当該設定情報で指定されたアプリケーションを起動して前記業務処理手段に実行させるとともに、前記業務処理手段のポーリング間隔を短く変更する変更手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第2のトランシーバと、を有し、前記設定装置は、所定のアプリケーションを前記携帯端末に起動させるとともに、ポーリング間隔を変更させるための前記設定情報を、前記携帯端末に送信する設定情報送信手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させて情報の送信を行う第3のトランシーバと、を有し、前記ユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、第3のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第2のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信し、前記ユーザが前記第1のトランシーバに接触することにより、前記処理装置は、前記第2のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第1のトランシーバを介して、前記携帯端末と通信し、所定の処理を実行する。
【0012】
第3の発明は、電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムにおける携帯端末であって、第1のポーリング間隔で識別情報を送信する送信手段と、設定装置が送信する設定情報を受信して、第1のポーリング間隔を当該第1のポーリング間隔より短い第2のポーリング間隔に変更する変更手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバと、を有し、携帯端末を携帯したユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、前記設定装置が備えるトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および当該携帯端末のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信する。
【0013】
第4の発明は、電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムにおける携帯端末であって、複数のアプリケーションを実行する業務処理手段と、設定装置が送信する設定情報を受信して、当該設定情報で指定されたアプリケーションを起動し前記業務処理手段に実行させるとともに、前記業務処理手段のポーリング間隔を短く変更する変更手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバと、を有し、携帯端末を携帯したユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、前記設定装置が備えるトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および当該携帯端末のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電界伝達媒体を介して情報の送受信を行う電界通信を用いたウォークスルーシステムにおいて、携帯端末の消費電力を抑制しつつ、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間内に、携帯端末と処理装置とがデータの送受信を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態であるウォークスルーシステムの全体構成図である。ウォークスルーシステムでは、携帯端末1を携帯したユーザが処理ゾーンを通り抜ける際に、処理ゾーンに設置された処理装置8は、携帯端末1が送信する情報を受信して所定の処理を行う。本実施形態では、処理装置8が入退出管理を行うことを例として以下説明する。
【0016】
図示するウォークスルーシステムは、ユーザが携帯する携帯端末1と、設定ゾーンに設置された設定装置4と、処理ゾーンに設置されたトランシーバ9および当該トランシーバ9に接続された処理装置8とを有する。
【0017】
処理ゾーンおよび設定ゾーンは、人間が歩く通路上の一定範囲の場所(エリア)である。設定ゾーンは、処理ゾーンの手前に位置し、設定装置4が携帯端末1のポーリング間隔を変更させる信号(設定条件)を送出する。
【0018】
携帯端末1は、当該携帯端末1を携帯するユーザのユーザIDまたは携帯端末IDなどID(識別情報)を、所定のポーリング間隔で常時、送信する。
【0019】
図2は、携帯端末1の概略構成図である。
【0020】
図示する携帯端末は、ID送信器2と、トランシーバ3(第2のトランシーバ)とを有する。ID送信器2は、ID送信部21と、変更部22と、記憶部23とを有する。ID送信部21は、記憶部23にあらかじめ記憶されたIDを、所定の時間間隔(ポーリング間隔)で送信する。通常は、携帯端末1の電池(不図示)の寿命を長くするために、ID送信部21は、所定の長めのポーリング間隔(例えば、数100msec〜数秒)でIDを送信する。
【0021】
変更部22は、設定装置4が送信する信号を受信し、ID送信部21のポーリング間隔を変更する。具体的には、変更部22は、通常の長めのポーリング間隔を、当該ポーリング間隔より短い所定のポーリング間隔(例えば、数msec〜数10msec)に変更する。なお、変更部22は、所定の時間間隔(モニタリング間隔)でトランシーバ3を受信モードに切り替えて、設定装置4から送信される信号をモニタリング(監視)している。また、変更部22は、信号を受信してから所定の時間が経過した後、短く変更したポーリング間隔を、通常時の長めのポーリング間隔に戻す。
【0022】
トランシーバ3は、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法による信号検出技術を利用していて、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体である生体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行うトランシーバである。
【0023】
例えば、トランシーバ3は、図2に示すような構成をしており、ID送信器2からの送信データ(ID)を入出力(I/O)回路901を介して受け取ると、この送信データを送信部902を介して電極903に供給し、当該電極903および絶縁膜904を介して電界伝達媒体に電界を誘起させ、この電界を電界伝達媒体の他の部位に伝達させる。
【0024】
また、トランシーバ3は、電界伝達媒体に誘起されて伝達されてくる電界を絶縁膜904を介して電極903で検出し、この電界を電界検出光学部905に結合して電気信号に変換する。そして、この電気信号は、信号処理回路906で増幅、ノイズ除去などの信号処理を施され、更に波形整形回路907で波形整形がなされ、入出力回路901を介してID送信器2に出力するようになっている。
【0025】
なお、トランシーバ3の受信部910において、電界検出光学部905の替わりに、電気的な検出回路により電界を検出することとしてもよい。
【0026】
設定ゾーンにおいては、携帯端末1を携帯したユーザが設定ゾーンの電極903aおよび絶縁膜904aに接触することにより、電界伝達媒体であるユーザの人体を介して、設定装置4と携帯端末1との通信路が確立される。
【0027】
図3は、本実施形態の設定装置4の概略構成図である。本実施形態の設定装置4は、設定条件送信器5と、トランシーバ6(第3のトランシーバ)とを有する。設定条件送信器5は、携帯端末1のポーリング間隔を短くするための所定の信号を生成し、生成した信号を所定の時間間隔で常時送信している。ポーリング間隔を短くするための信号としては、例えば、所定の回数のパルス、特定の周波数の信号、または所定のデジタル信号などを用いることが考えられる。
【0028】
設定装置4のトランシーバ6は、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法による信号検出技術を利用していて、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体である生体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送信を行うトランシーバである。
【0029】
例えば、トランシーバ6は、図3に示すような構成をしており、設定条件送信器5からの送信データ(信号)を入出力(I/O)回路901を介して受け取ると、この送信データを送信部902を介して電極903aに供給し、当該電極903aおよび絶縁膜904aを介して電界伝達媒体に電界を誘起させ、この電界を電界伝達媒体の他の部位に伝達させる。
【0030】
なお、本実施形態の電極903aおよび絶縁膜904aは、トランシーバ6本体901、902とケーブルにより接続されて、ユーザが接触可能な設定ゾーンの所定の場所(床など)に設置されているものとする。
【0031】
処理ゾーンにおいては、携帯端末1を携帯したユーザが処理ゾーンの電極903bおよび絶縁膜904bに接触することにより、トランシーバ9および電界伝達媒体であるユーザの人体を介して、処理装置8と携帯端末1との通信路が確立される。
【0032】
図4は、本実施形態の処理装置8とトランシーバ9の概略構成図である。
【0033】
本実施形態の処理装置8は、携帯端末1が送信するIDを受信し、処理ゾーンの先にある空間(例えば、部屋、通路など)への入退室管理を行う。例えば、処理装置8の処理部81は、携帯端末1が送信したIDを受信して、当該IDおよび受信した時刻を記憶部82の入退室履歴データベースに記憶し、処理ゾーンを通過したユーザを管理することが考えられる。
【0034】
また、処理ゾーンには図示しないゲートが設置され、処理部81は、受信したIDが記憶部82に記憶された正当なIDの場合は、ゲートを開放するように(または、開放した状態のままに)制御してユーザを通過させ、受信したIDが不正なIDの場合は、ゲートを閉じるように制御することが考えられる。また、処理ゾーンには図示しない電子鍵を備えたドア(扉)が設置され、処理部81は、正当なIDを受信した場合はドアを開錠し、不正なIDを受信した場合はドアを施錠したままの状態とすることが考えられる。
【0035】
トランシーバ9は、携帯端末1のトランシーバ3と同様の構成であって、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法による信号検出技術を利用していて、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体である生体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行うトランシーバである。なお、トランシーバ9の受信部910において、電界検出光学部905の替わりに、電気的な検出回路により電界を検出することとしてもよい。
【0036】
なお、本実施形態の電極903bおよび絶縁膜904bは、トランシーバ本体901、902、905、906、907とケーブルにより接続されて、ユーザが接触可能な処理ゾーンのいずれかの場所(床、壁、ゲート、ドアなど)に設置されているものとする。また、本実施形態では、携帯端末1へ情報を送信しないため、トランシーバは、送信部902を備えないこととしてもよい。
【0037】
なお、処理装置8および携帯端末1のID送信器2は、少なくともCPUと、メモリと、記憶装置と、通信制御装置と、これらの各装置を接続するバスと、を備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、処理装置8およびID送信器2の各機能が実現される。
【0038】
次に、本実施形態のウォークスルーシステムの処理について説明する。
【0039】
ユーザは、処理ゾーンに向かって通路を歩いて進むものとする。そして、処理ゾーンの数歩手前には設定ゾーンが存在し、ユーザは、必ず設定ゾーンを通過した後に、処理ゾーンに到達するものとする。
【0040】
図5は、携帯端末1、設定装置4および処理装置8のシーケンス図である。
【0041】
携帯端末1のID送信部21は、設定ゾーンを通過する前の通常時においては、所定の長めのポーリング間隔(例えば、数100msec〜数秒)でIDを送信している(S11)。通常時に、長めのポーリング間隔でIDを送信することにより、携帯端末1の消費電力を抑え、電池の寿命を延ばすことができる。
【0042】
また、設定装置4の設定条件送信器5は、携帯端末1のポーリング間隔を短くするための所定の信号を、常時、送信している(S12)。なお、信号は、例えば、所定の回数のパルス、特定の周波数の信号、または所定のデジタル信号などを用いることが考えられる。
【0043】
そして、携帯端末1を携帯したユーザが、設定ゾーンの足元等に設置された電極903aおよび絶縁膜904a(以下、「電極903a等」)に接触すると、携帯端末1のID送信器2と設定装置4の設定条件送信器5との間で、トランシーバ3、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ6を介した通信路が確立される。
【0044】
そして、携帯端末1の変更部22は、前記通信路を介して設定装置4の設定条件送信器5が送信する所定の信号を受信し、ID送信部21のポーリング間隔を変更する(S13)。すなわち、変更部22は、設定装置4の信号を受信すると、通常時のポーリング間隔より短い所定のポーリング間隔(例えば、数msec〜数10msec)に変更する。なお、変更部22は、ポーリング間隔を短く変更した後に、さらに信号を受信した場合は、当該信号を無視し、ポーリング間隔の変更を行わない。
【0045】
なお、設定ゾーン(すなわち、設定ゾーンの通路に設置されるトランシーバ6の電極903a等)は、ユーザが設定ゾーンを通過するまでの間に、携帯端末1の変更部22が確実に信号を受信できるように、比較的長い距離にわたって設置されている。
【0046】
すなわち、携帯端末1の変更部22は、所定のモニタリング間隔でトランシーバ3を受信モードに切り替えて設定装置4が送出する信号をモニタリング(監視)しているが、携帯端末1が信号を受信する前にユーザが設定ゾーンを通り抜けることがないように、比較的長い距離にわたって設置されている。例えば、通常の歩行の速さでは1秒間に1mから2m程度進むので、モニタリング間隔が1秒程度とした場合、数m程度の長さで設定ゾーンを設置すると、携帯端末1の変更部22は、少なくとも1回は信号を確実に受信することができる。
【0047】
携帯端末1の変更部22がポーリング間隔を変更した後、ID送信部21は、短いポーリング間隔で、IDを送信する(S14)。すなわち、携帯端末1を携帯したユーザが設定ゾーンを通過すると、携帯端末1がIDを送信するポーリング間隔は、通常時の長いポーリング間隔から短いポーリング間隔に変更され、携帯端末1は短いポーリング間隔でIDを送信する。そして、設定ゾーンを通過したユーザは、その後、処理ゾーンに進む。したがって、処理ゾーンでは、携帯端末1は、短いポーリング間隔でIDを送信する。これにより、処理装置8は、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間の間に、携帯端末1が送信するIDを確実に受信することができる。
【0048】
そして、携帯端末1を携帯したユーザが、処理ゾーンの電極903bおよび絶縁膜904b(以下、「電極903b等」)に接触すると、携帯端末1のID送信器2と処理装置8との間で、携帯端末1のトランシーバ3、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ9を介した通信路が確立される。
【0049】
そして、処理装置8の処理部81は、前記通信路を介して、携帯端末1が送信したIDを受信し、受信したIDに基づいて処理ゾーンの先にある空間への入退出管理を実行する(S15)。例えば、処理部81は、携帯端末1が送信したIDを受信して、当該IDおよび受信した時刻を記憶部82の入退室履歴データベースに記憶し、処理ゾーンを通過したユーザを管理することが考えられる。
【0050】
また、処理ゾーンには図示しないゲートが設置され、処理部81は、受信したIDが記憶部82などに記憶された正当なIDか否かを判別し、正当なIDの場合はゲートを開放するように(または、開放した状態のままに)制御してユーザを通過させ、不正なIDの場合は、ゲートを閉じるように制御することが考えられる。
【0051】
また、処理ゾーンには電子鍵を備えたドアや扉(不図示)が設置され、処理部81は、正当なIDを受信した場合はドア等の電子鍵を開錠するように制御し、不正なユーザIDの場合はドア等の電子鍵を施錠したままの状態とすることが考えられる。
【0052】
そして、携帯端末1の変更部22は、S13で設定装置4から信号を受信してから所定の時間が経過した後(例えば、5秒)、S13で変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に変更する(S16)。なお、変更部22は、S13でポーリング間隔を短く変更した後で、IDの送信回数(ポーリング回数)をカウントし、送信回数が所定の回数に達すると、ポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に変更することとしてもよい。これにより、ユーザが処理ゾーンを通過後は、携帯端末1のID送信部21は、通常時の長めのポーリング間隔で、IDを送信する(S17)。
【0053】
以上説明した第1の実施形態では、通常時においては、携帯端末1の消費電力を低減して電池の寿命を長くするために、携帯端末1がIDを送信するポーリング間隔は長めに設定している。そして、処理ゾーンの手前の設定ゾーンにおいて、携帯端末1は、設定装置4から信号を受信し、IDを送信するポーリング間隔を短く変更する。したがって、設定ゾーンの先の処理ゾーンでは、携帯端末1は短いポーリング間隔でIDを送信する。これにより、処理装置8は、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間の間に、携帯端末1が送信するIDを確実に受信し、当該IDに基づいて入退出管理などの処理を適切に行うことができる。すなわち、本実施形態では、携帯端末1の消費電力を抑制しつつ、処理ゾーンの処理装置8は携帯端末1が送信するIDを確実に受信することができる。
【0054】
また、本実施形態では、携帯端末1は、設定ゾーンで信号を受信してから所定の時間が経過した後(または、所定の回数IDを送信した後)、短く変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に戻す。これにより、携帯端末1の消費電力を低減し、電池の寿命を延ばすことができる。
【0055】
また、本実施形態では、ユーザがポケットなどから携帯端末1を取り出して所定の操作を行うことなく、単に設定ゾーンおよび処理ゾーンを通過するだけで、携帯端末1は、設定装置4から信号を受信してポーリング間隔を短く変更し、IDを確実に処理装置8に送信する。すなわち、携帯端末1を携帯したユーザが設定ゾーンおよび処理ゾーンを通過するだけで、電極903a等、903b等を介して設定装置4および処理装置8と携帯端末1との間でデータの送受信が可能となる。したがって、本実施形態では、ユーザの負荷を増加させることなく、入退出管理などのウォークスルーの処理を容易に行うことができる。
【0056】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0057】
図6は、本発明の第2の実施形態であるウォークスルーシステムの全体構成図である。図示するウォークスルーシステムは、ユーザが携帯する携帯端末1Aと、設定ゾーンに設置された設定装置4Aと、処理ゾーンに設置されたトランシーバ9Aおよび処理装置8Aとを有する。
【0058】
本実施形態のウォークスルーシステムでは、携帯端末1Aが複数のアプリケーション(アプリケーションプログラム)を搭載し、複数の業務処理を実行するものとする。そのため、本実施形態のウォークスルーシステムでは、各アプリケーション用の設定ゾーンおよび処理ゾーンを有する。
【0059】
図7は、第2の実施形態の携帯端末1Aの概略構成図である。
【0060】
図示する携帯端末1Aは、コンピュータ2Aと、トランシーバ3A(第2のトランシーバ)とを有する。トランシーバ3Aは、第1の実施形態の携帯端末1のトランシーバ3と同様である。なお、トランシーバ3Aの受信部910において、電界検出光学部905の替わりに、電気的な検出回路により電界を検出することとしてもよい。
【0061】
コンピュータ2Aは、業務処理部21Aと、変更部22Aと、記憶部23Aとを有する。業務処理部21Aは、記憶部23Aに記憶された複数のアプリケーションプログラムを実行することにより、各種の業務処理を行う。変更部22Aは、設定ゾーンの設定装置4Aが送信する設定情報を受信して、所定のアプリケーションを起動するとともに、ポーリング間隔を短く変更する。また、変更部22Aは、所定のタイミングで短く変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に戻す。記憶部23Aには、複数のアプリケーションプログラムが記憶(搭載)されている。
【0062】
なお、コンピュータ2Aは、少なくともCPUと、メモリと、記憶装置と、通信制御装置と、これらの各装置を接続するバスと、を備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、コンピュータ2Aの各機能が実現される。
【0063】
本実施形態では、図6に示すように、各アプリケーション用の設定ゾーンが、当該アプリケーション用の処理ゾーンの手前に設定されている。各設定装置4Aは、設定条件送信器5Aと、トランシーバ6A(第3のトランシーバ)とを有する。トランシーバ6Aは、第1の実施形態の設定装置4のトランシーバ6(図3参照)と同様である。設定条件送信器5Aについては、信号の替わりに所定のデータが指定された設定情報を送信する点において、第1の実施形態の設定条件送信器5と異なる。設定情報に含まれるデータとしては、アプリケーションIDと、ポーリング間隔と、終了タイミングなどがある。
【0064】
各アプリケーション用の処理ゾーンには、第1の実施形態(図4参照)と同様の処理装置8Aおよびトランシーバ9A(第1のトランシーバ)が設置されている。
【0065】
次に、携帯端末1Aに搭載された複数のアプリケーションについて説明する。
【0066】
図8は、携帯端末1Aに搭載された各アプリケーションと、各アプリケーションに対応するポーリング間隔および終了タイミングとの関係を説明するための表である。図示する表には、アプリケーション(APID)81、アプリケーション名82、携帯端末1Aの処理概要83、ポーリング間隔84および終了タイミング85が設定されている。例えば、携帯端末1Aには、「AP1」の入退出管理処理、「AP2」の電子鍵処理、「AP3」の電子チケット入場処理、「AP4」の改札処理などが搭載されているものとする。
【0067】
「AP1」の入退出管理処理については、当該「AP1」用の処理ゾーンの処理装置8Aは、携帯端末1Aが送信したIDを受信して、入退出の履歴を管理するなどの処理を行う。入退出管理処理は、処理ゾーンを通過する短時間の間に処理を完了させる必要がある。すなわち、処理の高速性が要求される。このため、「AP1」用の設定ゾーンの設定装置4Aが送信する設定情報には、例えば20msecなどの短いポーリング間隔が設定されている。設定ゾーンで設定情報を受信した携帯端末1Aは、通常時の長めのポーリング間隔を、設定情報で指定されたポーリング間隔に変更する。
【0068】
また、入退出管理処理の場合、携帯端末1A側では、処理装置8の処理が何時完了したか検知できない。このため、当該設定装置4Aが送信する設定情報の終了タイミングには、所定の時間(例えば、5秒)、または、所定の回数(例えば、250回)が設定されている。設定情報を受信した携帯端末1Aは、設定情報を受信してから当該設定情報で指定された時間が経過した後、または、設定情報を受信してから当該設定情報で指定された回数のIDを送信した後、通常時のポーリング間隔に戻す。
【0069】
また、「AP2」の電子鍵処理については、当該「AP2」用の処理ゾーンの処理装置8Aは、携帯端末1Aが送信したIDを受信して、当該IDが正当なIDか否かを判別する。そして、処理装置8Aは、正当なIDの場合は処理ゾーンに設置されたドアの電子鍵を開錠し、不正なIDの場合は開錠しない(すなわち、施錠したままの状態とする)。なお、携帯端末1Aが送信するIDは、「AP1」と同じIDであっても、異なるIDであってもよい。電子鍵処理では、電子鍵が開錠されるまでユーザはドアの前で待機している。そのため、電子鍵処理では、AP1よりは高速性が要求されない。このため、「AP2」用の設定ゾーンの設定装置4Aが送信する設定情報には、「AP1」より長いポーリング間隔(例えば、200msec)が設定されている。
【0070】
また「AP3」の電子チケット入場処理については、携帯端末1Aは、処理装置8Aからの処理要求を受け付けて、当該携帯端末1に保持してある電子チケットを使用済みの状態し、処理終了通知を処理装置8Aに送信する。処理装置8Aは、処理終了通知を受け付けて、処理ゾーンに設置されたゲートの開閉を行う。電子チケット入場処理では、「AP1」と同様に処理の高速性が要求される。このため、「AP3」用の設定ゾーンの設定装置4Aが送信する設定情報には、例えば30msecなどの短いポーリング間隔が設定されている。
【0071】
また、電子チケット入場処理の場合、携帯端末1Aは、処理の終了を検知することができる。このため、当該設定装置4Aが送信する設定情報の終了タイミングには、処理終了後が設定されている。携帯端末1Aは、処理の終了後に通常時のポーリング間隔に戻す。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の各設定装置4Aは、アプリケーションIDとともに、当該アプリケーションに適したポーリング間隔および終了タイミングを携帯端末1Aに送信する。
【0073】
次に、本実施形態のウォークスルーシステムの処理について、「AP1」と「AP3」を例に以下説明する。
【0074】
図9は、AP1(入退出管理処理)における、携帯端末1A、AP1用の設定装置4A、および、AP1用の処理装置8Aのシーケンス図である。図6に示すように、携帯端末1Aを携帯したユーザは、AP1用の処理ゾーンに向かって通路を歩いて進むものとする。そして、AP1用の処理ゾーンの数歩手前にはAP1用の設定ゾーンが存在し、ユーザは、当該設定ゾーンを通過した後に、AP1用の処理ゾーンに到達するものとする。
【0075】
また、本実施形態の携帯端末1Aは、AP1を常時起動しているものとする。すなわち、携帯端末1Aの業務処理部21Aは、記憶部23Aに記憶されたAP1のアプリケーションプログラムを実行しているものとする。これにより、業務処理部21Aは、設定ゾーンを通過する前の通常時においては、所定の長めのポーリング間隔(例えば、数100msec〜数秒)でIDを送信している(S21)。通常時に、長めのポーリング間隔でIDを送信することにより、携帯端末1Aの消費電力を抑え、電池の寿命を延ばすことができる。
【0076】
また、AP1用の設定装置4Aの設定条件送信器5Aは、携帯端末1Aのポーリング間隔を短くするための設定条件を送信する(S22)。なお、当該設定装置4Aが送信する設定条件には、アプリケーションIDであるAP1と、ポーリング間隔(例えば、20msec)および終了タイミング(例えば、5秒または250回)が含まれている。
【0077】
そして、携帯端末1Aを携帯したユーザが、設定ゾーンの足元などに設置された電極903a等に接触すると、携帯端末1Aのコンピュータ2Aと設定装置4Aの設定条件送信器5Aとの間で、トランシーバ3A、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ6Aを介した通信路が確立される。
【0078】
そして、携帯端末1Aの変更部22Aは、前記通信路を介して設定条件送信器5Aが送信する設定条件を受信し、業務処理部21Aのポーリング間隔を設定条件で指定されたポーリング間隔に変更する(S23)。すなわち、変更部22Aは、設定条件を受信すると、通常時のポーリング間隔を短いポーリング間隔に変更する。
【0079】
なお、設定ゾーン(すなわち、設定ゾーンの通路に設置されるトランシーバ6Aの電極903a等)は、ユーザが設定ゾーンを通過するまでの間に、携帯端末1Aの変更部22Aが確実に信号を受信できるように、比較的長い距離にわたって設置されている。
【0080】
S23により、業務処理部21Aは、設定情報で指定された短いポーリング間隔でIDを送信する(S24)。すなわち、携帯端末1Aを携帯したユーザが設定ゾーンを通過すると、携帯端末1Aのポーリング間隔は短いポーリング間隔に変更され、その直後にユーザは処理ゾーンに進む。したがって、処理ゾーンでは、携帯端末1Aは短いポーリング間隔でIDを送信し、これにより、処理装置8Aは、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間の間に携帯端末1Aが送信するIDを確実に受信することができる。
【0081】
そして、携帯端末1Aを携帯したユーザが、処理ゾーンの電極903b等に接触すると、携帯端末1Aのコンピュータ2Aと処理装置8Aとの間で、携帯端末1Aのトランシーバ3A、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ9Aを介した通信路が確立される。
【0082】
そして、処理装置8Aの処理部81は、前記通信路を介して、携帯端末1Aが送信したIDを受信し、当該IDに基づいて処理ゾーンの先にある空間への入退出管理を実行する(S25)。なお、入退出管理処理については、第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0083】
そして、携帯端末1Aの変更部22Aは、S23で受信した設定条件に指定された終了タイミング(例えば、5秒経過後、または、250回送信後)で、S23で変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に変更する(S26)。これにより、処理ゾーンを通過した後は、携帯端末1Aの業務処理部21Aは、通常時の長めのポーリング間隔で、IDを送信する(S27)。
【0084】
図10は、AP3(電子チケット入場処理)における、携帯端末1A、AP3用の設定装置4A、および、AP3用の処理装置8Aのシーケンス図である。図6に示すように、携帯端末1Aを携帯したユーザは、AP3用の処理ゾーンに向かって通路を歩いて進むものとする。そして、AP3用の処理ゾーンの数歩手前にはAP3用の設定ゾーンが存在し、ユーザは、当該設定ゾーンを通過した後に、AP3用の処理ゾーンに到達するものとする。
【0085】
携帯端末1Aの記憶部23Aには、あらかじめ購入したチケット(コンサート、映画、芝居など)のチケット情報が記憶されている。チケット情報としては、例えば、コンサート名などの演目、日時、場所、座席番号、チケット番号などが考えられる。
【0086】
また、本実施形態の携帯端末1Aは、通常時においては、前述のAP1のみが起動され、AP3は起動されていない。そのため、携帯端末1Aの業務処理部21Aは、設定ゾーンを通過する前の通常時においては、所定の長めのポーリング間隔(例えば、数100msec〜数秒)でIDを送信している(S31)。通常時には、不要なアプリケーションを起動することなく、長めのポーリング間隔でIDを送信することにより、携帯端末1Aの消費電力を抑え、電池の寿命を延ばすことができる。
【0087】
また、AP3用の設定装置4Aの設定条件送信器5Aは、携帯端末1AにAP3を起動させるとともにポーリング間隔を短くするための設定条件を送信する(S32)。なお、当該設定装置4Aが送信する設定条件には、アプリケーションIDであるAP3と、ポーリング間隔(例えば、30msec)と、終了タイミング(例えば、処理後)と、が含まれている。
【0088】
そして、携帯端末1Aを携帯したユーザが、設定ゾーンの足元などに設置された電極903a等に接触すると、携帯端末1Aのコンピュータ2Aと設定装置4Aの設定条件送信器5Aとの間で、トランシーバ3A、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ6Aを介した通信路が確立される。
【0089】
そして、携帯端末1Aの変更部22Aは、前記通信路を介して設定装置4Aの設定条件送信器5Aが送信する設定条件を受信し、当該送信処理で指定されたアプリケーションを業務処理部21Aに起動させるとともに、業務処理部21Aのポーリング間隔を設定条件で指定された短いポーリング間隔に変更する(S33)。処理ゾーンに到達する前の設定ゾーンにおいて、必要なアプリケーションをあらかじめ起動し、条件設定を行っておくことにより、処理ゾーンでの処理を短時間で高速に行うことができる。
【0090】
業務処理部21Aは、変更部22Aの指示を受け付けて、記憶部23に記憶されたAP3を起動する。AP3が起動されることにより、業務処理部21Aは、設定情報で指定された短いポーリング間隔でトランシーバ3Aを受信モードに切り替え、処理装置8Aが送信する処理要求がないかチェックする(S34)。すなわち、携帯端末1Aを携帯したユーザが設定ゾーンを通過すると、携帯端末1AのAP3が起動され、携帯端末1Aは、指定された短いポーリング間隔で処理要求がないかチェックする。そして、設定ゾーンを通過したユーザは、その直後に処理ゾーンに進む。したがって、携帯端末1Aは、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間の間に、処理装置8Aが送信する処理要求を確実に受信することができる。
【0091】
そして、携帯端末1Aを携帯したユーザが、処理ゾーンの電極903b等に接触すると、携帯端末1Aのコンピュータ2Aと処理装置8Aとの間で、携帯端末1Aのトランシーバ3A、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ9Aを介した通信路が確立される。
【0092】
そして、携帯端末1Aの業務処理部21Aは、処理装置8Aが送信した処理要求を受信する(S35)。処理装置8Aは、所定の時間間隔で処理要求を常に送信している。業務処理部21Aは、処理要求を受信するとチケット入場処理を実行する(S36)。例えば、処理部81Aは、記憶部23Aに記憶されたチケット情報に使用済みフラグを設定して使用済みの状態にする。そして、業務処理部21Aは、チケットIDを含む処理終了通知を、前記通信路を介して処理装置8Aに送信する(S37)。
【0093】
そして、携帯端末1Aの変更部22Aは、S33で受信した設定条件に指定された終了タイミングである処理終了後(S36およびS37の後)に、AP3の起動を停止し、S33で変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーング間隔に変更する(S38)。これにより、処理が終了した後は、携帯端末1Aの業務処理部21Aは、常時起動されているAP1などの処理により、通常時の長めのポーリング間隔でIDを送信する。
【0094】
一方、処理終了通知を受信した処理装置8Aの処理部81は、処理終了通知に含まれるチケットIDを認証し、認証結果に応じて処理ゾーンに設置されたゲートを開閉する(S39)。すなわち、処理部81は、正当なチケットIDの場合はゲートを開放してユーザを入場させ、不正なチケットIDの場合はゲートを閉じる。
【0095】
なお、設定ソーンを通過した後に処理ゾーンに行かないで戻った場合は、処理が終了しないため、終了タイミング(処理終了後)が訪れない。すなわち、アプリケーションが起動したままの状態で、ポーリング間隔も短いままの状態となってしまう。そのため、一定の時間が経過しても、終了タイミングが訪れない場合は、アプリケーションを停止しポーリング間隔を元に戻す処理を行うこととする。
【0096】
以上説明した第2の実施形態では、通常時においては携帯端末1Aのポーリング間隔を長めに設定し、処理ゾーンの手前の設定ゾーンにおいて、設定装置4から設定情報を受信して携帯端末1Aのポーリング間隔を短く変更する。これにより、携帯端末1Aの消費電力を抑制しつつ、処理ゾーンの処理装置8Aは、携帯端末1Aが送信するIDを確実に受信、または、携帯端末1Aに処理要求を確実に送信することができる。
【0097】
また、本実施形態の携帯端末1は、設定ゾーンで受信した設定情報に指定された終了タイミングで、短く変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に戻す。これにより、携帯端末1の消費電力を低減し、電池の寿命を延ばすことができる。
【0098】
また、本実施形態の携帯端末1は、設定ゾーンで設定情報を受信したタイミングで、当該設定信号に指定されたアプリケーションを起動する。これにより、通常時には不要なアプリケーションを起動していないため、携帯端末1Aの消費電力を抑え、電池の寿命を延ばすことができる。
【0099】
また、本実施形態の携帯端末1は、処理ゾーンに到達する前の設定ゾーンにおいて、必要なアプリケーションをあらかじめ起動しておくことにより、処理ゾーンでの処理をより高速化することができる。
【0100】
以上、本発明の各実施の形態について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができる。例えば、第1の実施形態および第2の実施形態では、設定ゾーンの設定装置4、4Aは、携帯端末1、1Aのポーリング間隔を変更させるための設定条件(信号を含む)を、常時送信することとした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、設定ゾーンに人感センサを備え、人感センサのセンシング結果に応じて、設定装置4、4Aは信号を送信することとしてもよい。すなわち、人感センサが設定ゾーンに人が近づいてきたこと検知したタイミングで、設定装置4、4Aは所定の時間、設定情報を送信することとしてもよい。
【0101】
また、第1の実施形態では、設定装置4は、設定条件として信号を送信することとした。しかしながら、第1の実施形態の設定装置4は、第2の実施形態の設定装置4Aと同様に、ポーリング間隔などが指定された設定条件を送信することとしてもよい。
【0102】
また、第2の実施形態の携帯端末1Aは、図8に示すようなアプリケーションテーブルを、記憶部23Aにあらかじめ記憶していることとしてもよい。この場合、設定装置4Aが送信する設定情報には、アプリケーションIDのみが含まれるものとする。なお、図8のアプリケーションテーブルは一例である。例えば、アプリケーションテーブルは、アプリケーションIDと、アプリケーションが格納されているアドレスとの対応表であって、各アプリケーションの内部にポーリング間隔および回数がプログラミングされていることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るウォークスルーシステムの全体構成図である。
【図2】第1の実施形態の携帯端末の構成図である。
【図3】第1の実施形態の設定装置の構成図である。
【図4】第1の実施形態の処理装置およびトランシーバの構成図である。
【図5】第1の実施形態のシーケンス図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るウォークスルーシステムの全体構成図である。
【図7】第2の実施形態の携帯端末の構成図である。
【図8】第2の実施形態のアプリケーションを説明するための説明図である。
【図9】第2の実施形態のシーケンス図である。
【図10】第2の実施形態のシーケンス図である。
【図11】トランシーバを介してウェアラブルコンピュータを人間に装着して使用する場合の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1,1A 携帯端末
2 ID送信器
2A コンピュータ
3,3A,6,6A,9,9A トランシーバ
4,4A 設定装置
5,5A 設定条件送信器
8,8A 処理装置
901 I/O回路
902 送信部
903 電極
904 絶縁膜
905 電界検出光学部
906 信号処理回路
907 波形整形回路
910 受信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバを用いたウォークスルーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の小型化および高性能化によりウェアラブルコンピュータが注目されているが、図11はこのようなウェアラブルコンピュータを人間に装着して使用する場合の例を示している。同図に示すように、ウェアラブルコンピュータ7はそれぞれトランシーバ9を介して人間の腕、肩、胴体などに装着されて互いにデータの送受信を行うとともに、更に手足の先端で触れられるよう壁や床に設けられたトランシーバ9a、9bとケーブルとを介して外部に設けられたパソコン(PC)8と通信を行っている。
【0003】
ここで、このようなウェアラブルコンピュータ7間、およびウェアラブルコンピュータ7とパソコン8間とのデータ通信に使用されるトランシーバ9は、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法による信号検出技術を利用していて、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体である生体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行うものである。なお、トランシーバ9については、特許文献1に記載されている。
【0004】
また、ポーリング間隔を制御する技術としては、例えば、特許文献2および特許文献3に記載されている。
【特許文献1】特開2001−352298号公報
【特許文献2】特開2003−124940号公報
【特許文献3】特開平9−182137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したトランシーバ9は、ウェアラブルコンピュータ7とともに人間の腕、肩、胴体などに装着され、使用される。すなわち、トランシーバ9を装着したユーザが、コンピュータ(パソコン8、サーバなど)と接続されたトランシーバ9aに手や足で触れることにより、ウェアラブルコンピュータ7とパソコン8との間に通信路が形成され、コンピュータとウェアラブルコンピュータ7との間で情報の送受信が行われる。
【0006】
ここで、ウェアラブルコンピュータ7が一定のポーリング間隔で所定のデータをコンピュータに送信するものとする。この場合、ユーザが立ち止まって、コンピュータに接続されたトランシーバ9aに一定時間、接触できる状態においては、ポーリング間隔が多少長くてもデータの送信を行うことができる。
【0007】
しかしながら、改札などのゲートを通り抜ける際に所定の処理を行うウォークスルーシステムの場合には、ウェアラブルコンピュータ7のポーリング間隔を短く設定する必要がある。すなわち、ポーリング間隔が長いと、ゲートを通り抜ける瞬間にデータが送信されず、所望の処理が行われない可能性がある。通常の歩行では1秒間に1〜2m程度進むため、歩いたままの状態でゲートを通過する場合、0.2〜0.3秒間で処理を完了させる必要がある。したがって、ウェアラブルコンピュータ7のポーリング間隔を、数10msec程度にする必要がある。
【0008】
一方、ポーリング間隔を短くすると、ウェアラブルコンピュータ7の消費電力が増大し、電池の寿命が短くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電界伝達媒体を介して情報の送受信を行う電界通信を用いたウォークスルーシステムにおいて、携帯端末の消費電力を抑制しつつ、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間内に、携帯端末と処理装置とがデータの送受信を確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、第1の本発明は、電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムであって、ユーザが携帯する携帯端末と、前記携帯端末のポーリング間隔を変更する設定装置と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第1のトランシーバと、前記第1のトランシーバに接続された処理装置と、を有し、前記ユーザは、前記設定装置が設置された設定ゾーンを通過したあと、前記処理装置および第1のトランシーバが設置された処理ゾーンに到達し、前記携帯端末は、第1のポーリング間隔で識別情報を送信する送信手段と、前記設定装置が送信する設定情報を受信して、第1のポーリング間隔を当該第1のポーリング間隔より短い第2のポーリング間隔に変更する変更手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第2のトランシーバと、を有し、前記設定装置は、前記携帯端末のポーリング間隔を変更させるための設定情報を、前記携帯端末に送信する設定情報送信手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させて情報の送信を行う第3のトランシーバと、を有し、前記ユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、第3のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第2のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信し、前記ユーザが前記第1のトランシーバに接触することにより、前記処理装置は、前記第2のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第1のトランシーバを介して、前記携帯端末から識別情報を受信して、当該識別情報を用いて所定の処理を実行する。
【0011】
第2の発明は、電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムであって、ユーザが携帯する携帯端末と、前記携帯端末のポーリング間隔を変更する設定装置と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第1のトランシーバと、前記第1のトランシーバに接続された処理装置と、を有し、前記ユーザは、前記設定装置が設置された設定ゾーンを通過したあと、前記処理装置および第1のトランシーバが設置された処理ゾーンに到達し、前記携帯端末は、複数のアプリケーションを実行する業務処理手段と、前記設定装置が送信する設定情報を受信して、当該設定情報で指定されたアプリケーションを起動して前記業務処理手段に実行させるとともに、前記業務処理手段のポーリング間隔を短く変更する変更手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第2のトランシーバと、を有し、前記設定装置は、所定のアプリケーションを前記携帯端末に起動させるとともに、ポーリング間隔を変更させるための前記設定情報を、前記携帯端末に送信する設定情報送信手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させて情報の送信を行う第3のトランシーバと、を有し、前記ユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、第3のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第2のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信し、前記ユーザが前記第1のトランシーバに接触することにより、前記処理装置は、前記第2のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第1のトランシーバを介して、前記携帯端末と通信し、所定の処理を実行する。
【0012】
第3の発明は、電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムにおける携帯端末であって、第1のポーリング間隔で識別情報を送信する送信手段と、設定装置が送信する設定情報を受信して、第1のポーリング間隔を当該第1のポーリング間隔より短い第2のポーリング間隔に変更する変更手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバと、を有し、携帯端末を携帯したユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、前記設定装置が備えるトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および当該携帯端末のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信する。
【0013】
第4の発明は、電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムにおける携帯端末であって、複数のアプリケーションを実行する業務処理手段と、設定装置が送信する設定情報を受信して、当該設定情報で指定されたアプリケーションを起動し前記業務処理手段に実行させるとともに、前記業務処理手段のポーリング間隔を短く変更する変更手段と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバと、を有し、携帯端末を携帯したユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、前記設定装置が備えるトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および当該携帯端末のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電界伝達媒体を介して情報の送受信を行う電界通信を用いたウォークスルーシステムにおいて、携帯端末の消費電力を抑制しつつ、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間内に、携帯端末と処理装置とがデータの送受信を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態であるウォークスルーシステムの全体構成図である。ウォークスルーシステムでは、携帯端末1を携帯したユーザが処理ゾーンを通り抜ける際に、処理ゾーンに設置された処理装置8は、携帯端末1が送信する情報を受信して所定の処理を行う。本実施形態では、処理装置8が入退出管理を行うことを例として以下説明する。
【0016】
図示するウォークスルーシステムは、ユーザが携帯する携帯端末1と、設定ゾーンに設置された設定装置4と、処理ゾーンに設置されたトランシーバ9および当該トランシーバ9に接続された処理装置8とを有する。
【0017】
処理ゾーンおよび設定ゾーンは、人間が歩く通路上の一定範囲の場所(エリア)である。設定ゾーンは、処理ゾーンの手前に位置し、設定装置4が携帯端末1のポーリング間隔を変更させる信号(設定条件)を送出する。
【0018】
携帯端末1は、当該携帯端末1を携帯するユーザのユーザIDまたは携帯端末IDなどID(識別情報)を、所定のポーリング間隔で常時、送信する。
【0019】
図2は、携帯端末1の概略構成図である。
【0020】
図示する携帯端末は、ID送信器2と、トランシーバ3(第2のトランシーバ)とを有する。ID送信器2は、ID送信部21と、変更部22と、記憶部23とを有する。ID送信部21は、記憶部23にあらかじめ記憶されたIDを、所定の時間間隔(ポーリング間隔)で送信する。通常は、携帯端末1の電池(不図示)の寿命を長くするために、ID送信部21は、所定の長めのポーリング間隔(例えば、数100msec〜数秒)でIDを送信する。
【0021】
変更部22は、設定装置4が送信する信号を受信し、ID送信部21のポーリング間隔を変更する。具体的には、変更部22は、通常の長めのポーリング間隔を、当該ポーリング間隔より短い所定のポーリング間隔(例えば、数msec〜数10msec)に変更する。なお、変更部22は、所定の時間間隔(モニタリング間隔)でトランシーバ3を受信モードに切り替えて、設定装置4から送信される信号をモニタリング(監視)している。また、変更部22は、信号を受信してから所定の時間が経過した後、短く変更したポーリング間隔を、通常時の長めのポーリング間隔に戻す。
【0022】
トランシーバ3は、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法による信号検出技術を利用していて、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体である生体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行うトランシーバである。
【0023】
例えば、トランシーバ3は、図2に示すような構成をしており、ID送信器2からの送信データ(ID)を入出力(I/O)回路901を介して受け取ると、この送信データを送信部902を介して電極903に供給し、当該電極903および絶縁膜904を介して電界伝達媒体に電界を誘起させ、この電界を電界伝達媒体の他の部位に伝達させる。
【0024】
また、トランシーバ3は、電界伝達媒体に誘起されて伝達されてくる電界を絶縁膜904を介して電極903で検出し、この電界を電界検出光学部905に結合して電気信号に変換する。そして、この電気信号は、信号処理回路906で増幅、ノイズ除去などの信号処理を施され、更に波形整形回路907で波形整形がなされ、入出力回路901を介してID送信器2に出力するようになっている。
【0025】
なお、トランシーバ3の受信部910において、電界検出光学部905の替わりに、電気的な検出回路により電界を検出することとしてもよい。
【0026】
設定ゾーンにおいては、携帯端末1を携帯したユーザが設定ゾーンの電極903aおよび絶縁膜904aに接触することにより、電界伝達媒体であるユーザの人体を介して、設定装置4と携帯端末1との通信路が確立される。
【0027】
図3は、本実施形態の設定装置4の概略構成図である。本実施形態の設定装置4は、設定条件送信器5と、トランシーバ6(第3のトランシーバ)とを有する。設定条件送信器5は、携帯端末1のポーリング間隔を短くするための所定の信号を生成し、生成した信号を所定の時間間隔で常時送信している。ポーリング間隔を短くするための信号としては、例えば、所定の回数のパルス、特定の周波数の信号、または所定のデジタル信号などを用いることが考えられる。
【0028】
設定装置4のトランシーバ6は、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法による信号検出技術を利用していて、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体である生体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送信を行うトランシーバである。
【0029】
例えば、トランシーバ6は、図3に示すような構成をしており、設定条件送信器5からの送信データ(信号)を入出力(I/O)回路901を介して受け取ると、この送信データを送信部902を介して電極903aに供給し、当該電極903aおよび絶縁膜904aを介して電界伝達媒体に電界を誘起させ、この電界を電界伝達媒体の他の部位に伝達させる。
【0030】
なお、本実施形態の電極903aおよび絶縁膜904aは、トランシーバ6本体901、902とケーブルにより接続されて、ユーザが接触可能な設定ゾーンの所定の場所(床など)に設置されているものとする。
【0031】
処理ゾーンにおいては、携帯端末1を携帯したユーザが処理ゾーンの電極903bおよび絶縁膜904bに接触することにより、トランシーバ9および電界伝達媒体であるユーザの人体を介して、処理装置8と携帯端末1との通信路が確立される。
【0032】
図4は、本実施形態の処理装置8とトランシーバ9の概略構成図である。
【0033】
本実施形態の処理装置8は、携帯端末1が送信するIDを受信し、処理ゾーンの先にある空間(例えば、部屋、通路など)への入退室管理を行う。例えば、処理装置8の処理部81は、携帯端末1が送信したIDを受信して、当該IDおよび受信した時刻を記憶部82の入退室履歴データベースに記憶し、処理ゾーンを通過したユーザを管理することが考えられる。
【0034】
また、処理ゾーンには図示しないゲートが設置され、処理部81は、受信したIDが記憶部82に記憶された正当なIDの場合は、ゲートを開放するように(または、開放した状態のままに)制御してユーザを通過させ、受信したIDが不正なIDの場合は、ゲートを閉じるように制御することが考えられる。また、処理ゾーンには図示しない電子鍵を備えたドア(扉)が設置され、処理部81は、正当なIDを受信した場合はドアを開錠し、不正なIDを受信した場合はドアを施錠したままの状態とすることが考えられる。
【0035】
トランシーバ9は、携帯端末1のトランシーバ3と同様の構成であって、レーザ光と電気光学結晶を用いた電気光学的手法による信号検出技術を利用していて、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体である生体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行うトランシーバである。なお、トランシーバ9の受信部910において、電界検出光学部905の替わりに、電気的な検出回路により電界を検出することとしてもよい。
【0036】
なお、本実施形態の電極903bおよび絶縁膜904bは、トランシーバ本体901、902、905、906、907とケーブルにより接続されて、ユーザが接触可能な処理ゾーンのいずれかの場所(床、壁、ゲート、ドアなど)に設置されているものとする。また、本実施形態では、携帯端末1へ情報を送信しないため、トランシーバは、送信部902を備えないこととしてもよい。
【0037】
なお、処理装置8および携帯端末1のID送信器2は、少なくともCPUと、メモリと、記憶装置と、通信制御装置と、これらの各装置を接続するバスと、を備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、処理装置8およびID送信器2の各機能が実現される。
【0038】
次に、本実施形態のウォークスルーシステムの処理について説明する。
【0039】
ユーザは、処理ゾーンに向かって通路を歩いて進むものとする。そして、処理ゾーンの数歩手前には設定ゾーンが存在し、ユーザは、必ず設定ゾーンを通過した後に、処理ゾーンに到達するものとする。
【0040】
図5は、携帯端末1、設定装置4および処理装置8のシーケンス図である。
【0041】
携帯端末1のID送信部21は、設定ゾーンを通過する前の通常時においては、所定の長めのポーリング間隔(例えば、数100msec〜数秒)でIDを送信している(S11)。通常時に、長めのポーリング間隔でIDを送信することにより、携帯端末1の消費電力を抑え、電池の寿命を延ばすことができる。
【0042】
また、設定装置4の設定条件送信器5は、携帯端末1のポーリング間隔を短くするための所定の信号を、常時、送信している(S12)。なお、信号は、例えば、所定の回数のパルス、特定の周波数の信号、または所定のデジタル信号などを用いることが考えられる。
【0043】
そして、携帯端末1を携帯したユーザが、設定ゾーンの足元等に設置された電極903aおよび絶縁膜904a(以下、「電極903a等」)に接触すると、携帯端末1のID送信器2と設定装置4の設定条件送信器5との間で、トランシーバ3、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ6を介した通信路が確立される。
【0044】
そして、携帯端末1の変更部22は、前記通信路を介して設定装置4の設定条件送信器5が送信する所定の信号を受信し、ID送信部21のポーリング間隔を変更する(S13)。すなわち、変更部22は、設定装置4の信号を受信すると、通常時のポーリング間隔より短い所定のポーリング間隔(例えば、数msec〜数10msec)に変更する。なお、変更部22は、ポーリング間隔を短く変更した後に、さらに信号を受信した場合は、当該信号を無視し、ポーリング間隔の変更を行わない。
【0045】
なお、設定ゾーン(すなわち、設定ゾーンの通路に設置されるトランシーバ6の電極903a等)は、ユーザが設定ゾーンを通過するまでの間に、携帯端末1の変更部22が確実に信号を受信できるように、比較的長い距離にわたって設置されている。
【0046】
すなわち、携帯端末1の変更部22は、所定のモニタリング間隔でトランシーバ3を受信モードに切り替えて設定装置4が送出する信号をモニタリング(監視)しているが、携帯端末1が信号を受信する前にユーザが設定ゾーンを通り抜けることがないように、比較的長い距離にわたって設置されている。例えば、通常の歩行の速さでは1秒間に1mから2m程度進むので、モニタリング間隔が1秒程度とした場合、数m程度の長さで設定ゾーンを設置すると、携帯端末1の変更部22は、少なくとも1回は信号を確実に受信することができる。
【0047】
携帯端末1の変更部22がポーリング間隔を変更した後、ID送信部21は、短いポーリング間隔で、IDを送信する(S14)。すなわち、携帯端末1を携帯したユーザが設定ゾーンを通過すると、携帯端末1がIDを送信するポーリング間隔は、通常時の長いポーリング間隔から短いポーリング間隔に変更され、携帯端末1は短いポーリング間隔でIDを送信する。そして、設定ゾーンを通過したユーザは、その後、処理ゾーンに進む。したがって、処理ゾーンでは、携帯端末1は、短いポーリング間隔でIDを送信する。これにより、処理装置8は、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間の間に、携帯端末1が送信するIDを確実に受信することができる。
【0048】
そして、携帯端末1を携帯したユーザが、処理ゾーンの電極903bおよび絶縁膜904b(以下、「電極903b等」)に接触すると、携帯端末1のID送信器2と処理装置8との間で、携帯端末1のトランシーバ3、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ9を介した通信路が確立される。
【0049】
そして、処理装置8の処理部81は、前記通信路を介して、携帯端末1が送信したIDを受信し、受信したIDに基づいて処理ゾーンの先にある空間への入退出管理を実行する(S15)。例えば、処理部81は、携帯端末1が送信したIDを受信して、当該IDおよび受信した時刻を記憶部82の入退室履歴データベースに記憶し、処理ゾーンを通過したユーザを管理することが考えられる。
【0050】
また、処理ゾーンには図示しないゲートが設置され、処理部81は、受信したIDが記憶部82などに記憶された正当なIDか否かを判別し、正当なIDの場合はゲートを開放するように(または、開放した状態のままに)制御してユーザを通過させ、不正なIDの場合は、ゲートを閉じるように制御することが考えられる。
【0051】
また、処理ゾーンには電子鍵を備えたドアや扉(不図示)が設置され、処理部81は、正当なIDを受信した場合はドア等の電子鍵を開錠するように制御し、不正なユーザIDの場合はドア等の電子鍵を施錠したままの状態とすることが考えられる。
【0052】
そして、携帯端末1の変更部22は、S13で設定装置4から信号を受信してから所定の時間が経過した後(例えば、5秒)、S13で変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に変更する(S16)。なお、変更部22は、S13でポーリング間隔を短く変更した後で、IDの送信回数(ポーリング回数)をカウントし、送信回数が所定の回数に達すると、ポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に変更することとしてもよい。これにより、ユーザが処理ゾーンを通過後は、携帯端末1のID送信部21は、通常時の長めのポーリング間隔で、IDを送信する(S17)。
【0053】
以上説明した第1の実施形態では、通常時においては、携帯端末1の消費電力を低減して電池の寿命を長くするために、携帯端末1がIDを送信するポーリング間隔は長めに設定している。そして、処理ゾーンの手前の設定ゾーンにおいて、携帯端末1は、設定装置4から信号を受信し、IDを送信するポーリング間隔を短く変更する。したがって、設定ゾーンの先の処理ゾーンでは、携帯端末1は短いポーリング間隔でIDを送信する。これにより、処理装置8は、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間の間に、携帯端末1が送信するIDを確実に受信し、当該IDに基づいて入退出管理などの処理を適切に行うことができる。すなわち、本実施形態では、携帯端末1の消費電力を抑制しつつ、処理ゾーンの処理装置8は携帯端末1が送信するIDを確実に受信することができる。
【0054】
また、本実施形態では、携帯端末1は、設定ゾーンで信号を受信してから所定の時間が経過した後(または、所定の回数IDを送信した後)、短く変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に戻す。これにより、携帯端末1の消費電力を低減し、電池の寿命を延ばすことができる。
【0055】
また、本実施形態では、ユーザがポケットなどから携帯端末1を取り出して所定の操作を行うことなく、単に設定ゾーンおよび処理ゾーンを通過するだけで、携帯端末1は、設定装置4から信号を受信してポーリング間隔を短く変更し、IDを確実に処理装置8に送信する。すなわち、携帯端末1を携帯したユーザが設定ゾーンおよび処理ゾーンを通過するだけで、電極903a等、903b等を介して設定装置4および処理装置8と携帯端末1との間でデータの送受信が可能となる。したがって、本実施形態では、ユーザの負荷を増加させることなく、入退出管理などのウォークスルーの処理を容易に行うことができる。
【0056】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0057】
図6は、本発明の第2の実施形態であるウォークスルーシステムの全体構成図である。図示するウォークスルーシステムは、ユーザが携帯する携帯端末1Aと、設定ゾーンに設置された設定装置4Aと、処理ゾーンに設置されたトランシーバ9Aおよび処理装置8Aとを有する。
【0058】
本実施形態のウォークスルーシステムでは、携帯端末1Aが複数のアプリケーション(アプリケーションプログラム)を搭載し、複数の業務処理を実行するものとする。そのため、本実施形態のウォークスルーシステムでは、各アプリケーション用の設定ゾーンおよび処理ゾーンを有する。
【0059】
図7は、第2の実施形態の携帯端末1Aの概略構成図である。
【0060】
図示する携帯端末1Aは、コンピュータ2Aと、トランシーバ3A(第2のトランシーバ)とを有する。トランシーバ3Aは、第1の実施形態の携帯端末1のトランシーバ3と同様である。なお、トランシーバ3Aの受信部910において、電界検出光学部905の替わりに、電気的な検出回路により電界を検出することとしてもよい。
【0061】
コンピュータ2Aは、業務処理部21Aと、変更部22Aと、記憶部23Aとを有する。業務処理部21Aは、記憶部23Aに記憶された複数のアプリケーションプログラムを実行することにより、各種の業務処理を行う。変更部22Aは、設定ゾーンの設定装置4Aが送信する設定情報を受信して、所定のアプリケーションを起動するとともに、ポーリング間隔を短く変更する。また、変更部22Aは、所定のタイミングで短く変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に戻す。記憶部23Aには、複数のアプリケーションプログラムが記憶(搭載)されている。
【0062】
なお、コンピュータ2Aは、少なくともCPUと、メモリと、記憶装置と、通信制御装置と、これらの各装置を接続するバスと、を備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、コンピュータ2Aの各機能が実現される。
【0063】
本実施形態では、図6に示すように、各アプリケーション用の設定ゾーンが、当該アプリケーション用の処理ゾーンの手前に設定されている。各設定装置4Aは、設定条件送信器5Aと、トランシーバ6A(第3のトランシーバ)とを有する。トランシーバ6Aは、第1の実施形態の設定装置4のトランシーバ6(図3参照)と同様である。設定条件送信器5Aについては、信号の替わりに所定のデータが指定された設定情報を送信する点において、第1の実施形態の設定条件送信器5と異なる。設定情報に含まれるデータとしては、アプリケーションIDと、ポーリング間隔と、終了タイミングなどがある。
【0064】
各アプリケーション用の処理ゾーンには、第1の実施形態(図4参照)と同様の処理装置8Aおよびトランシーバ9A(第1のトランシーバ)が設置されている。
【0065】
次に、携帯端末1Aに搭載された複数のアプリケーションについて説明する。
【0066】
図8は、携帯端末1Aに搭載された各アプリケーションと、各アプリケーションに対応するポーリング間隔および終了タイミングとの関係を説明するための表である。図示する表には、アプリケーション(APID)81、アプリケーション名82、携帯端末1Aの処理概要83、ポーリング間隔84および終了タイミング85が設定されている。例えば、携帯端末1Aには、「AP1」の入退出管理処理、「AP2」の電子鍵処理、「AP3」の電子チケット入場処理、「AP4」の改札処理などが搭載されているものとする。
【0067】
「AP1」の入退出管理処理については、当該「AP1」用の処理ゾーンの処理装置8Aは、携帯端末1Aが送信したIDを受信して、入退出の履歴を管理するなどの処理を行う。入退出管理処理は、処理ゾーンを通過する短時間の間に処理を完了させる必要がある。すなわち、処理の高速性が要求される。このため、「AP1」用の設定ゾーンの設定装置4Aが送信する設定情報には、例えば20msecなどの短いポーリング間隔が設定されている。設定ゾーンで設定情報を受信した携帯端末1Aは、通常時の長めのポーリング間隔を、設定情報で指定されたポーリング間隔に変更する。
【0068】
また、入退出管理処理の場合、携帯端末1A側では、処理装置8の処理が何時完了したか検知できない。このため、当該設定装置4Aが送信する設定情報の終了タイミングには、所定の時間(例えば、5秒)、または、所定の回数(例えば、250回)が設定されている。設定情報を受信した携帯端末1Aは、設定情報を受信してから当該設定情報で指定された時間が経過した後、または、設定情報を受信してから当該設定情報で指定された回数のIDを送信した後、通常時のポーリング間隔に戻す。
【0069】
また、「AP2」の電子鍵処理については、当該「AP2」用の処理ゾーンの処理装置8Aは、携帯端末1Aが送信したIDを受信して、当該IDが正当なIDか否かを判別する。そして、処理装置8Aは、正当なIDの場合は処理ゾーンに設置されたドアの電子鍵を開錠し、不正なIDの場合は開錠しない(すなわち、施錠したままの状態とする)。なお、携帯端末1Aが送信するIDは、「AP1」と同じIDであっても、異なるIDであってもよい。電子鍵処理では、電子鍵が開錠されるまでユーザはドアの前で待機している。そのため、電子鍵処理では、AP1よりは高速性が要求されない。このため、「AP2」用の設定ゾーンの設定装置4Aが送信する設定情報には、「AP1」より長いポーリング間隔(例えば、200msec)が設定されている。
【0070】
また「AP3」の電子チケット入場処理については、携帯端末1Aは、処理装置8Aからの処理要求を受け付けて、当該携帯端末1に保持してある電子チケットを使用済みの状態し、処理終了通知を処理装置8Aに送信する。処理装置8Aは、処理終了通知を受け付けて、処理ゾーンに設置されたゲートの開閉を行う。電子チケット入場処理では、「AP1」と同様に処理の高速性が要求される。このため、「AP3」用の設定ゾーンの設定装置4Aが送信する設定情報には、例えば30msecなどの短いポーリング間隔が設定されている。
【0071】
また、電子チケット入場処理の場合、携帯端末1Aは、処理の終了を検知することができる。このため、当該設定装置4Aが送信する設定情報の終了タイミングには、処理終了後が設定されている。携帯端末1Aは、処理の終了後に通常時のポーリング間隔に戻す。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の各設定装置4Aは、アプリケーションIDとともに、当該アプリケーションに適したポーリング間隔および終了タイミングを携帯端末1Aに送信する。
【0073】
次に、本実施形態のウォークスルーシステムの処理について、「AP1」と「AP3」を例に以下説明する。
【0074】
図9は、AP1(入退出管理処理)における、携帯端末1A、AP1用の設定装置4A、および、AP1用の処理装置8Aのシーケンス図である。図6に示すように、携帯端末1Aを携帯したユーザは、AP1用の処理ゾーンに向かって通路を歩いて進むものとする。そして、AP1用の処理ゾーンの数歩手前にはAP1用の設定ゾーンが存在し、ユーザは、当該設定ゾーンを通過した後に、AP1用の処理ゾーンに到達するものとする。
【0075】
また、本実施形態の携帯端末1Aは、AP1を常時起動しているものとする。すなわち、携帯端末1Aの業務処理部21Aは、記憶部23Aに記憶されたAP1のアプリケーションプログラムを実行しているものとする。これにより、業務処理部21Aは、設定ゾーンを通過する前の通常時においては、所定の長めのポーリング間隔(例えば、数100msec〜数秒)でIDを送信している(S21)。通常時に、長めのポーリング間隔でIDを送信することにより、携帯端末1Aの消費電力を抑え、電池の寿命を延ばすことができる。
【0076】
また、AP1用の設定装置4Aの設定条件送信器5Aは、携帯端末1Aのポーリング間隔を短くするための設定条件を送信する(S22)。なお、当該設定装置4Aが送信する設定条件には、アプリケーションIDであるAP1と、ポーリング間隔(例えば、20msec)および終了タイミング(例えば、5秒または250回)が含まれている。
【0077】
そして、携帯端末1Aを携帯したユーザが、設定ゾーンの足元などに設置された電極903a等に接触すると、携帯端末1Aのコンピュータ2Aと設定装置4Aの設定条件送信器5Aとの間で、トランシーバ3A、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ6Aを介した通信路が確立される。
【0078】
そして、携帯端末1Aの変更部22Aは、前記通信路を介して設定条件送信器5Aが送信する設定条件を受信し、業務処理部21Aのポーリング間隔を設定条件で指定されたポーリング間隔に変更する(S23)。すなわち、変更部22Aは、設定条件を受信すると、通常時のポーリング間隔を短いポーリング間隔に変更する。
【0079】
なお、設定ゾーン(すなわち、設定ゾーンの通路に設置されるトランシーバ6Aの電極903a等)は、ユーザが設定ゾーンを通過するまでの間に、携帯端末1Aの変更部22Aが確実に信号を受信できるように、比較的長い距離にわたって設置されている。
【0080】
S23により、業務処理部21Aは、設定情報で指定された短いポーリング間隔でIDを送信する(S24)。すなわち、携帯端末1Aを携帯したユーザが設定ゾーンを通過すると、携帯端末1Aのポーリング間隔は短いポーリング間隔に変更され、その直後にユーザは処理ゾーンに進む。したがって、処理ゾーンでは、携帯端末1Aは短いポーリング間隔でIDを送信し、これにより、処理装置8Aは、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間の間に携帯端末1Aが送信するIDを確実に受信することができる。
【0081】
そして、携帯端末1Aを携帯したユーザが、処理ゾーンの電極903b等に接触すると、携帯端末1Aのコンピュータ2Aと処理装置8Aとの間で、携帯端末1Aのトランシーバ3A、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ9Aを介した通信路が確立される。
【0082】
そして、処理装置8Aの処理部81は、前記通信路を介して、携帯端末1Aが送信したIDを受信し、当該IDに基づいて処理ゾーンの先にある空間への入退出管理を実行する(S25)。なお、入退出管理処理については、第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0083】
そして、携帯端末1Aの変更部22Aは、S23で受信した設定条件に指定された終了タイミング(例えば、5秒経過後、または、250回送信後)で、S23で変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に変更する(S26)。これにより、処理ゾーンを通過した後は、携帯端末1Aの業務処理部21Aは、通常時の長めのポーリング間隔で、IDを送信する(S27)。
【0084】
図10は、AP3(電子チケット入場処理)における、携帯端末1A、AP3用の設定装置4A、および、AP3用の処理装置8Aのシーケンス図である。図6に示すように、携帯端末1Aを携帯したユーザは、AP3用の処理ゾーンに向かって通路を歩いて進むものとする。そして、AP3用の処理ゾーンの数歩手前にはAP3用の設定ゾーンが存在し、ユーザは、当該設定ゾーンを通過した後に、AP3用の処理ゾーンに到達するものとする。
【0085】
携帯端末1Aの記憶部23Aには、あらかじめ購入したチケット(コンサート、映画、芝居など)のチケット情報が記憶されている。チケット情報としては、例えば、コンサート名などの演目、日時、場所、座席番号、チケット番号などが考えられる。
【0086】
また、本実施形態の携帯端末1Aは、通常時においては、前述のAP1のみが起動され、AP3は起動されていない。そのため、携帯端末1Aの業務処理部21Aは、設定ゾーンを通過する前の通常時においては、所定の長めのポーリング間隔(例えば、数100msec〜数秒)でIDを送信している(S31)。通常時には、不要なアプリケーションを起動することなく、長めのポーリング間隔でIDを送信することにより、携帯端末1Aの消費電力を抑え、電池の寿命を延ばすことができる。
【0087】
また、AP3用の設定装置4Aの設定条件送信器5Aは、携帯端末1AにAP3を起動させるとともにポーリング間隔を短くするための設定条件を送信する(S32)。なお、当該設定装置4Aが送信する設定条件には、アプリケーションIDであるAP3と、ポーリング間隔(例えば、30msec)と、終了タイミング(例えば、処理後)と、が含まれている。
【0088】
そして、携帯端末1Aを携帯したユーザが、設定ゾーンの足元などに設置された電極903a等に接触すると、携帯端末1Aのコンピュータ2Aと設定装置4Aの設定条件送信器5Aとの間で、トランシーバ3A、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ6Aを介した通信路が確立される。
【0089】
そして、携帯端末1Aの変更部22Aは、前記通信路を介して設定装置4Aの設定条件送信器5Aが送信する設定条件を受信し、当該送信処理で指定されたアプリケーションを業務処理部21Aに起動させるとともに、業務処理部21Aのポーリング間隔を設定条件で指定された短いポーリング間隔に変更する(S33)。処理ゾーンに到達する前の設定ゾーンにおいて、必要なアプリケーションをあらかじめ起動し、条件設定を行っておくことにより、処理ゾーンでの処理を短時間で高速に行うことができる。
【0090】
業務処理部21Aは、変更部22Aの指示を受け付けて、記憶部23に記憶されたAP3を起動する。AP3が起動されることにより、業務処理部21Aは、設定情報で指定された短いポーリング間隔でトランシーバ3Aを受信モードに切り替え、処理装置8Aが送信する処理要求がないかチェックする(S34)。すなわち、携帯端末1Aを携帯したユーザが設定ゾーンを通過すると、携帯端末1AのAP3が起動され、携帯端末1Aは、指定された短いポーリング間隔で処理要求がないかチェックする。そして、設定ゾーンを通過したユーザは、その直後に処理ゾーンに進む。したがって、携帯端末1Aは、ユーザが処理ゾーンを通り抜ける短時間の間に、処理装置8Aが送信する処理要求を確実に受信することができる。
【0091】
そして、携帯端末1Aを携帯したユーザが、処理ゾーンの電極903b等に接触すると、携帯端末1Aのコンピュータ2Aと処理装置8Aとの間で、携帯端末1Aのトランシーバ3A、電界伝達媒体であるユーザの人体、およびトランシーバ9Aを介した通信路が確立される。
【0092】
そして、携帯端末1Aの業務処理部21Aは、処理装置8Aが送信した処理要求を受信する(S35)。処理装置8Aは、所定の時間間隔で処理要求を常に送信している。業務処理部21Aは、処理要求を受信するとチケット入場処理を実行する(S36)。例えば、処理部81Aは、記憶部23Aに記憶されたチケット情報に使用済みフラグを設定して使用済みの状態にする。そして、業務処理部21Aは、チケットIDを含む処理終了通知を、前記通信路を介して処理装置8Aに送信する(S37)。
【0093】
そして、携帯端末1Aの変更部22Aは、S33で受信した設定条件に指定された終了タイミングである処理終了後(S36およびS37の後)に、AP3の起動を停止し、S33で変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーング間隔に変更する(S38)。これにより、処理が終了した後は、携帯端末1Aの業務処理部21Aは、常時起動されているAP1などの処理により、通常時の長めのポーリング間隔でIDを送信する。
【0094】
一方、処理終了通知を受信した処理装置8Aの処理部81は、処理終了通知に含まれるチケットIDを認証し、認証結果に応じて処理ゾーンに設置されたゲートを開閉する(S39)。すなわち、処理部81は、正当なチケットIDの場合はゲートを開放してユーザを入場させ、不正なチケットIDの場合はゲートを閉じる。
【0095】
なお、設定ソーンを通過した後に処理ゾーンに行かないで戻った場合は、処理が終了しないため、終了タイミング(処理終了後)が訪れない。すなわち、アプリケーションが起動したままの状態で、ポーリング間隔も短いままの状態となってしまう。そのため、一定の時間が経過しても、終了タイミングが訪れない場合は、アプリケーションを停止しポーリング間隔を元に戻す処理を行うこととする。
【0096】
以上説明した第2の実施形態では、通常時においては携帯端末1Aのポーリング間隔を長めに設定し、処理ゾーンの手前の設定ゾーンにおいて、設定装置4から設定情報を受信して携帯端末1Aのポーリング間隔を短く変更する。これにより、携帯端末1Aの消費電力を抑制しつつ、処理ゾーンの処理装置8Aは、携帯端末1Aが送信するIDを確実に受信、または、携帯端末1Aに処理要求を確実に送信することができる。
【0097】
また、本実施形態の携帯端末1は、設定ゾーンで受信した設定情報に指定された終了タイミングで、短く変更したポーリング間隔を通常時の長めのポーリング間隔に戻す。これにより、携帯端末1の消費電力を低減し、電池の寿命を延ばすことができる。
【0098】
また、本実施形態の携帯端末1は、設定ゾーンで設定情報を受信したタイミングで、当該設定信号に指定されたアプリケーションを起動する。これにより、通常時には不要なアプリケーションを起動していないため、携帯端末1Aの消費電力を抑え、電池の寿命を延ばすことができる。
【0099】
また、本実施形態の携帯端末1は、処理ゾーンに到達する前の設定ゾーンにおいて、必要なアプリケーションをあらかじめ起動しておくことにより、処理ゾーンでの処理をより高速化することができる。
【0100】
以上、本発明の各実施の形態について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができる。例えば、第1の実施形態および第2の実施形態では、設定ゾーンの設定装置4、4Aは、携帯端末1、1Aのポーリング間隔を変更させるための設定条件(信号を含む)を、常時送信することとした。しかしながら、本発明はこれに限定されず、設定ゾーンに人感センサを備え、人感センサのセンシング結果に応じて、設定装置4、4Aは信号を送信することとしてもよい。すなわち、人感センサが設定ゾーンに人が近づいてきたこと検知したタイミングで、設定装置4、4Aは所定の時間、設定情報を送信することとしてもよい。
【0101】
また、第1の実施形態では、設定装置4は、設定条件として信号を送信することとした。しかしながら、第1の実施形態の設定装置4は、第2の実施形態の設定装置4Aと同様に、ポーリング間隔などが指定された設定条件を送信することとしてもよい。
【0102】
また、第2の実施形態の携帯端末1Aは、図8に示すようなアプリケーションテーブルを、記憶部23Aにあらかじめ記憶していることとしてもよい。この場合、設定装置4Aが送信する設定情報には、アプリケーションIDのみが含まれるものとする。なお、図8のアプリケーションテーブルは一例である。例えば、アプリケーションテーブルは、アプリケーションIDと、アプリケーションが格納されているアドレスとの対応表であって、各アプリケーションの内部にポーリング間隔および回数がプログラミングされていることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るウォークスルーシステムの全体構成図である。
【図2】第1の実施形態の携帯端末の構成図である。
【図3】第1の実施形態の設定装置の構成図である。
【図4】第1の実施形態の処理装置およびトランシーバの構成図である。
【図5】第1の実施形態のシーケンス図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るウォークスルーシステムの全体構成図である。
【図7】第2の実施形態の携帯端末の構成図である。
【図8】第2の実施形態のアプリケーションを説明するための説明図である。
【図9】第2の実施形態のシーケンス図である。
【図10】第2の実施形態のシーケンス図である。
【図11】トランシーバを介してウェアラブルコンピュータを人間に装着して使用する場合の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1,1A 携帯端末
2 ID送信器
2A コンピュータ
3,3A,6,6A,9,9A トランシーバ
4,4A 設定装置
5,5A 設定条件送信器
8,8A 処理装置
901 I/O回路
902 送信部
903 電極
904 絶縁膜
905 電界検出光学部
906 信号処理回路
907 波形整形回路
910 受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムであって、
ユーザが携帯する携帯端末と、前記携帯端末のポーリング間隔を変更する設定装置と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第1のトランシーバと、前記第1のトランシーバに接続された処理装置と、を有し、
前記ユーザは、前記設定装置が設置された設定ゾーンを通過したあと、前記処理装置および第1のトランシーバが設置された処理ゾーンに到達し、
前記携帯端末は、
第1のポーリング間隔で識別情報を送信する送信手段と、
前記設定装置が送信する設定情報を受信して、第1のポーリング間隔を当該第1のポーリング間隔より短い第2のポーリング間隔に変更する変更手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第2のトランシーバと、を有し、
前記設定装置は、
前記携帯端末のポーリング間隔を変更させるための設定情報を、前記携帯端末に送信する設定情報送信手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させて情報の送信を行う第3のトランシーバと、を有し、
前記ユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、第3のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第2のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信し、
前記ユーザが前記第1のトランシーバに接触することにより、前記処理装置は、前記第2のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第1のトランシーバを介して、前記携帯端末から識別情報を受信して、当該識別情報を用いて所定の処理を実行すること
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項2】
請求項1記載のウォークスルーシステムであって、
前記携帯端末の変更手段は、前記設定装置から設定条件を受信してから所定の時間が経過した後、第2のポーリング間隔から第1のポーリング間隔に戻すこと
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項3】
請求項1記載のウォークスルーシステムであって、
前記携帯端末の変更手段は、前記設定装置から設定条件を受信してから所定の回数、識別情報を送信した後、第2のポーリング間隔から第1のポーリング間隔に戻すこと
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項4】
電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムであって、
ユーザが携帯する携帯端末と、前記携帯端末のポーリング間隔を変更する設定装置と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第1のトランシーバと、前記第1のトランシーバに接続された処理装置と、を有し、
前記ユーザは、前記設定装置が設置された設定ゾーンを通過したあと、前記処理装置および第1のトランシーバが設置された処理ゾーンに到達し、
前記携帯端末は、
複数のアプリケーションを実行する業務処理手段と、
前記設定装置が送信する設定情報を受信して、当該設定情報で指定されたアプリケーションを起動して前記業務処理手段に実行させるとともに、前記業務処理手段のポーリング間隔を短く変更する変更手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第2のトランシーバと、を有し、
前記設定装置は、
所定のアプリケーションを前記携帯端末に起動させるとともに、ポーリング間隔を変更させるための前記設定情報を、前記携帯端末に送信する設定情報送信手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させて情報の送信を行う第3のトランシーバと、を有し、
前記ユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、第3のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第2のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信し、
前記ユーザが前記第1のトランシーバに接触することにより、前記処理装置は、前記第2のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第1のトランシーバを介して、前記携帯端末と通信し、所定の処理を実行すること
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項5】
請求項4記載のウォークスルーシステムであって、
前記設定装置が送信する設定情報には、ポーリング間隔が含まれ、
前記携帯端末の変更手段は、設定情報で指定されたポーリング間隔に変更すること
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項6】
請求項4記載のウォークスルーシステムであって、
前記設定装置が送信する設定情報には、変更したポーリング間隔を元に戻す終了タイミングが含まれ、
前記携帯端末の変更手段は、設定情報で指定された終了タイミングで、変更したポーリング間隔に元のポーリング間隔に戻すこと
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項7】
電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムにおける携帯端末であって、
第1のポーリング間隔で識別情報を送信する送信手段と、
設定装置が送信する設定情報を受信して、第1のポーリング間隔を当該第1のポーリング間隔より短い第2のポーリング間隔に変更する変更手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバと、を有し、
携帯端末を携帯したユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、前記設定装置が備えるトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および当該携帯端末のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信すること
を特徴とする携帯端末。
【請求項8】
電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムにおける携帯端末であって、
複数のアプリケーションを実行する業務処理手段と、
設定装置が送信する設定情報を受信して、当該設定情報で指定されたアプリケーションを起動し前記業務処理手段に実行させるとともに、前記業務処理手段のポーリング間隔を短く変更する変更手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバと、を有し、
携帯端末を携帯したユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、前記設定装置が備えるトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および当該携帯端末のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信すること
を特徴とする携帯端末。
【請求項1】
電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムであって、
ユーザが携帯する携帯端末と、前記携帯端末のポーリング間隔を変更する設定装置と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第1のトランシーバと、前記第1のトランシーバに接続された処理装置と、を有し、
前記ユーザは、前記設定装置が設置された設定ゾーンを通過したあと、前記処理装置および第1のトランシーバが設置された処理ゾーンに到達し、
前記携帯端末は、
第1のポーリング間隔で識別情報を送信する送信手段と、
前記設定装置が送信する設定情報を受信して、第1のポーリング間隔を当該第1のポーリング間隔より短い第2のポーリング間隔に変更する変更手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第2のトランシーバと、を有し、
前記設定装置は、
前記携帯端末のポーリング間隔を変更させるための設定情報を、前記携帯端末に送信する設定情報送信手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させて情報の送信を行う第3のトランシーバと、を有し、
前記ユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、第3のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第2のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信し、
前記ユーザが前記第1のトランシーバに接触することにより、前記処理装置は、前記第2のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第1のトランシーバを介して、前記携帯端末から識別情報を受信して、当該識別情報を用いて所定の処理を実行すること
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項2】
請求項1記載のウォークスルーシステムであって、
前記携帯端末の変更手段は、前記設定装置から設定条件を受信してから所定の時間が経過した後、第2のポーリング間隔から第1のポーリング間隔に戻すこと
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項3】
請求項1記載のウォークスルーシステムであって、
前記携帯端末の変更手段は、前記設定装置から設定条件を受信してから所定の回数、識別情報を送信した後、第2のポーリング間隔から第1のポーリング間隔に戻すこと
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項4】
電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムであって、
ユーザが携帯する携帯端末と、前記携帯端末のポーリング間隔を変更する設定装置と、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第1のトランシーバと、前記第1のトランシーバに接続された処理装置と、を有し、
前記ユーザは、前記設定装置が設置された設定ゾーンを通過したあと、前記処理装置および第1のトランシーバが設置された処理ゾーンに到達し、
前記携帯端末は、
複数のアプリケーションを実行する業務処理手段と、
前記設定装置が送信する設定情報を受信して、当該設定情報で指定されたアプリケーションを起動して前記業務処理手段に実行させるとともに、前記業務処理手段のポーリング間隔を短く変更する変更手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行う第2のトランシーバと、を有し、
前記設定装置は、
所定のアプリケーションを前記携帯端末に起動させるとともに、ポーリング間隔を変更させるための前記設定情報を、前記携帯端末に送信する設定情報送信手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させて情報の送信を行う第3のトランシーバと、を有し、
前記ユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、第3のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第2のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信し、
前記ユーザが前記第1のトランシーバに接触することにより、前記処理装置は、前記第2のトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および第1のトランシーバを介して、前記携帯端末と通信し、所定の処理を実行すること
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項5】
請求項4記載のウォークスルーシステムであって、
前記設定装置が送信する設定情報には、ポーリング間隔が含まれ、
前記携帯端末の変更手段は、設定情報で指定されたポーリング間隔に変更すること
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項6】
請求項4記載のウォークスルーシステムであって、
前記設定装置が送信する設定情報には、変更したポーリング間隔を元に戻す終了タイミングが含まれ、
前記携帯端末の変更手段は、設定情報で指定された終了タイミングで、変更したポーリング間隔に元のポーリング間隔に戻すこと
を特徴とするウォークスルーシステム。
【請求項7】
電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムにおける携帯端末であって、
第1のポーリング間隔で識別情報を送信する送信手段と、
設定装置が送信する設定情報を受信して、第1のポーリング間隔を当該第1のポーリング間隔より短い第2のポーリング間隔に変更する変更手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバと、を有し、
携帯端末を携帯したユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、前記設定装置が備えるトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および当該携帯端末のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信すること
を特徴とする携帯端末。
【請求項8】
電界伝達媒体を介して通信する電界通信を用いたウォークスルーシステムにおける携帯端末であって、
複数のアプリケーションを実行する業務処理手段と、
設定装置が送信する設定情報を受信して、当該設定情報で指定されたアプリケーションを起動し前記業務処理手段に実行させるとともに、前記業務処理手段のポーリング間隔を短く変更する変更手段と、
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともにこの誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバと、を有し、
携帯端末を携帯したユーザが前記設定装置に接触することにより、前記携帯端末は、前記設定装置が備えるトランシーバ、電界伝達媒体であるユーザ、および当該携帯端末のトランシーバを介して、前記設定装置から設定情報を受信すること
を特徴とする携帯端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−85917(P2008−85917A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265980(P2006−265980)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】
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