説明

ウラシルシクロプロピルヌクレオチド

その任意の可能な立体異性体を包含する式(I):
【化1】


[式中:Rは水素もしくはハロであり;Rは1リン酸、2リン酸もしくは3リン酸エステルであるか;またはRは式(II)
【化2】


の基であり;Rは場合により置換されていてもよいフェニル;ナフチル;インドリルもしくはN−C〜Cアルキルオキシカルボニル−インドリルであり;Rは水素、C〜Cアルキル、ベンジルであり;R8’は水素、C〜Cアルキル、ベンジルであるか;またはRおよびR8’はそれらが結合している炭素原子と一緒になってC〜Cシクロアルキルを形成し;RはC〜C10アルキル、ベンジルもしくは場合により置換されていてもよいフェニルである]
の化合物;またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物、製薬学的製剤およびHCV阻害剤としての化合物Iの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)のポリメラーゼの阻害剤である新規ヌクレオチドおよびHCVの処置もしくは予防におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
HCVはヘパシウイルス属におけるウイルスのフラビウイルス科に属する一本鎖プラスセンスRNAウイルスである。RNAポリジーンのNS5B領域は、ウイルスの複製に必須である、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)をコードする。初期急性感染後に、HCVは肝細胞において優先的に複製するが直接的に細胞変性性ではないので感染個体の大部分は慢性肝炎を発症する。特に、活発なTリンパ球応答の欠如および突然変異するウイルスの高い傾向は、高い割合の慢性感染を促進するように思われる。慢性肝炎は肝線維症に進行し、肝硬変、末期肝疾患およびHCC(肝細胞癌)を引き起こす可能性があり、それを肝臓移植の主要原因にしている。
【0003】
6つの主要なHCV遺伝子型および50より多くのサブタイプがあり、それらは地理的に異なって分布している。HCV遺伝子型1型は、欧州におけるそして米国における優勢遺伝子型である。HCVの広範な遺伝的多様性は重要な診断的および臨床的意味を有し、おそらくワクチン開発の難しさおよび現行治療への反応の欠如を説明する。
【0004】
HCVの伝染は、例えば輸血もしくは静脈内薬物使用の後に、汚染された血液もしくは血液製剤との接触を介して起こり得る。血液スクリーニングにおいて使用される診断試験の導入は、輸血後のHCV発生率の減少傾向をもたらしている。しかしながら、末期肝疾患への緩徐な進行を考えると、既存の感染は数十年間深刻な医学的および経済的負担を与え続ける。
【0005】
現行のHCV治療は、リバビリンと組み合わせた(PEG化)インターフェロン−アルファ(IFN−α)に基づく。この併用療法は、HCV遺伝子型1型に感染した患者の40%より多くそして遺伝子型2および3型に感染したものの約80%において持続性ウイルス学的著効をもたらす。HCV遺伝子型1型への限られた効能に加えて、この併用療法は重大な副作用を有し、そして多数の患者において十分に耐容されない。主要な副作用にはインフルエンザ様症状、血液学的異常および神経精神症状が包含される。従って、より有効な、都合のよい、そしてより耐容性の高い処置の必要性がある。
【0006】
HIV薬での、特にHIVプロテアーゼ阻害剤での経験は、次善の薬物動態および複雑な投与計画が不注意によるコンプライアンス不履行をすぐにもたらすことを教示している。これは結果として、HIV処方計画におけるそれぞれの薬剤の24時間トラフ濃度(最小血漿濃度)が1日の大部分にわたってIC90もしくはED90閾値より低くなることが多いことを意味する。少なくともIC50、そしてより現実的にはIC90もしくはED90の24時間トラフレベルは、薬剤エスケープ突然変異体の発生を遅らせるために必須であると考えられる。そのようなトラフレベルを可能にするために必要な薬物動態および薬物代謝を達成することは、薬剤設計に厳しい課題を与える。
【0007】
NS5B RdRpは、一本鎖プラスセンスHCV RNAゲノムの複製に必須である。この酵素は、医薬品化学者の間で高い関心を引いている。NS5Bのヌクレオシドおよび非ヌクレオシド阻害剤の両方とも既知である。ヌクレオシド阻害剤は鎖停止剤ともしくは競合的阻害剤と同様に働くことができ、それはポリメラーゼへのヌクレオチド結合を妨げる。鎖停止剤として働くためには、ヌクレオシドアナログは細胞により取り込まれそし
てインビボで3リン酸エステルに転化されなければならない。3リン酸エステルへのこの転化は細胞キナーゼにより一般に媒介され、それは潜在的ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤にさらなる構造的要求を与える。さらにこれは、インサイチューリン酸化能力を有する細胞に基づくアッセイにHCV複製の阻害剤としてのヌクレオシドの直接評価を限定する。
【0008】
HCV RdRpの阻害剤としてヌクレオシドを開発するためにいくつかの試みがなされているが、少数の化合物が臨床開発に入っているものの、登録まで進んでいるものはない。HCV標的化ヌクレオシドがこれまで直面している問題の中には、毒性、変異原性、選択性の欠如、低い効能、低い生物学的利用能、次善の投薬計画および高い錠剤負荷を保証すること、ならびに商品原価がある。
【0009】
いくつかの特許および特許出願ならびに科学出版物は、HCV阻害活性を有するヌクレオシドアナログを開示する。特許文献1は、フラビウイルス感染を処置するための改変された2’および3’−ヌクレオシドプロドラッグを開示する。特許文献2は、HCVポリメラーゼ阻害剤として4−アミノ−1−((2R,3S,4S,5R)−5−アジド−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−メチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オンおよびエステル誘導体を開示する。
【0010】
副作用、限られた効能、耐性の出現およびコンプライアンス不履行のような現行のHCV治療の不都合を克服しそして持続的ウイルス反応を改善することができるHCV阻害剤の必要性がある。
【0011】
本発明は、以下のパラメーター:抗ウイルス効能、耐性発現の好ましいプロフィール、毒性および遺伝毒性の欠如、好ましい薬物動態学および薬力学ならびに製剤および投与の容易さの1つもしくはそれ以上に関して有用な特性を有する一群のHCV抑制1−(7−ヒドロキシ−6−ヒドロキシ−メチル−5−オキサ−スピロ[2.4]ヘプト−4−イル)−1H,3H−ピリミジン−2,4−ジオン誘導体に関する。2’−デオキシ−2’−スピロ−シクロプロピルウリジンとも呼ばれる、化合物1−((4R,6R,7S)−7−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチル−5−オキサ−スピロ[2.4]ヘプト−4−イル)−1H,3H−ピリミジン−2,4−ジオンは、非特許文献1に記述されている。
【0012】
本発明の化合物はまた、他のウイルスに対する、特にHIVに対する活性を欠くということによっても魅力的であり得る。HIV感染患者は、HCVのような共感染を患うことが多い。HIVもまた抑制するHCV阻害剤でのそのような患者の処置は、耐性HIV株の出現をもたらし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO 2004/002999明細書
【特許文献2】WO 2008/043704明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.,1992,114,4007−4008
【発明の概要】
【0015】
[発明の記述]
1つの態様において本発明は、その任意の可能な立体異性体を包含する式I:
【化1】

[式中:
は水素もしくはハロであり;
は1リン酸、2リン酸もしくは3リン酸エステルであるか;またはRは式
【化2】

の基であり;
は場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRはナフチルであるか;またはRはインドリルもしくはN−C〜Cアルキルオキシ−カルボニルインドリルであり;
は水素、C〜Cアルキル、ベンジルであり;
8’は水素、C〜Cアルキル、ベンジルであるか;または
およびR8’はそれらが結合している炭素原子と一緒になってC〜Cシクロアルキルを形成し;
はC〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、ベンジルもしくはフェニルであり、このフェニルは場合によりヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、モノ−およびジC〜Cアルキルアミノから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい]
により表すことができる化合物またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、HCVを抑制するための、本明細書において特定した通りの式Iの化合物の使用に関する。あるいはまた、本明細書において特定した通りの式Iの化合物の薬剤の製造のための使用が提供される。本発明はまた、上記に示した構造を有するがRが水素である中間体から出発する、式Iの化合物を製造する方法にも関する。
【0017】
基−NH−C(R)(R’)−C(=O)−は、天然および非天然のアミノ酸残基を包含するアミノ酸残基を形成する。特に興味深いのは、Rが水素であるアミノ酸残基である。後者の場合においてR8’が水素以外である場合、不斉炭素原子位置(bearing)での立体配置はL−アミノ酸のものであり得る。例はアラニン(Ala)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)およびフェニルアラニン(Phe)残基、特にL−Ala、L−Val、L−IleおよびL−Pheである。RおよびR8’がそれらが結合している炭素原子と一緒になってC〜Cシクロアルキルを形成するアミノ酸残基の例は、1,1−シクロプロピルアミノ酸もしくは1,1−シクロブチルアミノ酸である。
【0018】
式Iの化合物の亜群は、Rが水素であるか;もしくはRがヨードである、本明細書において定義した通りの式Iの化合物もしくは式Iの化合物の亜群である。
【0019】
式Iの化合物の亜群は、Rが式
【化3】

の基である、本明細書において定義した通りの式Iの化合物もしくは式Iの化合物の亜群である。
【0020】
式Iの化合物の亜群は:
(a)Rが場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルであるか;またはRがインドリルであるか;またはRがN−t.ブチルオキシカルボニルインドリルである;
(b)Rが場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルコキシから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルである;
(c)Rが場合によりハロもしくはC〜Cアルキルで置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルである;
(d)RがC〜Cアルキルオキシカルボニルで置換されたフェニルである;
(e)RがC〜Cアルキルオキシカルボニルで置換されたフェニルである;
(f)Rが場合によりクロロもしくはC〜Cアルキルで置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルである;
(g)Rが場合によりハロおよびC〜Cアルキルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである;
(h)Rが場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルであるか;またはRがインドリルであるか;またはRがN−t.ブチルオキシカルボニルインドリルである;
(i)Rが場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシおよびアミノから選択される1個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルであるか;またはRがインドリルであるか;またはRがN−t.ブチルオキシカルボニルインドリルである;
(j)Rが場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルコキシから選択される1個の置換基で置換されていてもよいフェニルである;
(k)Rがナフチルである;
(l)Rが5−インドリルもしくはN−t.ブチルオキシカルボニル−5−インドリルである
本明細書において定義した通りの式Iの化合物もしくは式Iの化合物の亜群である。
【0021】
1つの態様において、式Iの化合物もしくはその亜群のいずれかにおいてインドリルで
ある基Rは5−インドリルであるか、もしくはN−C〜Cアルキルオキシカルボニルインドリルである基RはN−t.ブチルオキシカルボニル−5−インドリル、特にN−t.ブチルオキシカルボニル−5−インドリルである。インドリル基は、その5位で連結される場合、下記の通り表すことができる:
【化4】

ここで、R7aは水素もしくはC〜Cアルキルオキシ−カルボニルであるか、または特にR7aは水素もしくはt.ブチルオキシカルボニルである。
【0022】
式Iの化合物の亜群は、Rが水素であり、そしてR8’がメチルもしくはC〜Cアルキル、例えばイソプロピルもしくはイソブチルである、本明細書において定義した通りの式Iの化合物もしくは式Iの化合物の亜群である。式Iの化合物の亜群は、
【化5】

部分がグリシル、アラニルもしくはバリル(Gly、AlaもしくはVal;特にGly、L−AlaもしくはL−Val)である、本明細書において定義した通りの式Iの化合物もしくは式Iの化合物の亜群である。
【0023】
式Iの化合物の亜群は、
【化6】

部分が構造
【化7】

[ここで、Rは水素であり、そしてR8’は水素、C〜Cアルキル、ベンジルであり;または
は水素であり、そしてR8’は水素もしくはC〜Cアルキルであり;
は水素であり、そしてR8’はC〜Cアルキルであり;
は水素であり、そしてR8’はメチルである]
を有する、本明細書において定義した通りの式Iの化合物もしくは式Iの化合物の亜群である。
【0024】
1つの態様において、RおよびR8’はそれらが結合している炭素原子と一緒になっ
てC〜Cシクロアルキルを形成し;または特にC〜Cシクロアルキルを形成し;または特にシクロプロピルを形成する。
【0025】
式Iの化合物の亜群は、
(a)RがC〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニルもしくはベンジルである;
(b)RがC〜Cアルキルもしくはベンジルである;
(c)RがC〜Cアルキルもしくはベンジルである;
(d)RがC〜Cアルキルである;
(e)RがC〜Cアルキルである;または
(f)Rがメチル、エチル、イソプロピル、1−メチル−プロピル、イソブチル、ブチルもしくはt−ブチルである;
(g)Rがベンジルである;
(h)Rがシクロペンチル;5−ヘキセニル;2,2−ジメチル−ブチル;オクチル;2−プロピル−ペンチルである
本明細書において定義した通りの式Iの化合物もしくは式Iの化合物の亜群である。
【0026】
興味深いのは、実験部分において挙げられる化合物およびその製薬学的に許容
しうる塩もしくは溶媒和物である。特に興味深いのは、実験部分において記載される化合物番号1、3、5、9、10、11、12、13、14、15である。
【0027】
式Iの化合物は、特に炭素原子1’、3’および4’で、いくつかのキラリティー中心を有する。これらの炭素原子での立体化学は固定されるが、化合物はキラル中心の各々で少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、例えば95%を上回る鏡像異性体純度を示し得る。
【0028】
キラリティーはまた、Rが、R保有炭素(ここで、RおよびR8’は異なる)でそしてリン原子でキラリティーを有することができる、
【化8】

である場合のような、置換基においても存在し得る。リン中心は、RもしくはS、またはラセミ化合物を包含するそのような立体異性体の混合物として存在することができる。キラルリン中心およびキラル炭素原子に起因するジアステレオ異性体も同様に存在し得る。
【0029】
さらなる態様において、本発明はHIV感染の処置もしくは予防(または処置もしくは予防のための薬剤の製造)における使用のための式Iの化合物またはその製薬学的に許容しうる塩、水和物もしくは溶媒和物を提供する。本発明に従った処置もしくは予防との関連における代表的なHCV遺伝子型には、遺伝子型1b(欧州において蔓延している)もしくは1a(北アメリカにおいて蔓延している)が包含される。本発明はまたHCV感染の、特に遺伝子型1aもしくは1bの処置もしくは予防の方法も提供する。
【0030】
式Iの化合物は、定義した立体異性体として表される。そのような化合物の絶対立体配置は、例えばX線回折もしくはNMRおよび/または既知の立体化学の出発物質からの推測のような当該技術分野において既知の方法を用いて決定することができる。本発明に従った製薬学的組成物は、好ましくは示される立体異性体の実質的に立体異性的に純粋な製
剤を含んでなる。
【0031】
本明細書において記載される場合に化合物および中間体の純粋な立体異性体は、該化合物もしくは中間体の同じ基本分子構造の他の鏡像異性体もしくはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に、「立体異性的に純粋な」という用語は、少なくとも80%の立体異性体過剰率(すなわち、最低90%の一方の異性体および最大10%のもう一方の可能な異性体)ないし100%の立体異性体過剰率(すなわち、100%の一方の異性体およびもう一方は全くない)を有する化合物もしくは中間体、さらに特に90%〜100%の立体異性体過剰率を有する、なおさらに特に94%〜100%の立体異性体過剰率を有する、そして最も特に97%〜100%の立体異性体過剰率を有する化合物もしくは中間体に関する。「鏡像異性的に純粋な」および「ジアステレオマー的に純粋な」という用語は同様に、しかしその場合問題になっている混合物のそれぞれ鏡像異性体過剰率およびジアステレオマー過剰率を考慮して理解されるべきである。
【0032】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。例えば、鏡像異性体は、光学活性酸もしくは塩基でのそれらのジアステレオマー塩の選択的結晶化により相互から分離することができる。その例は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびショウノウスルホン酸である。あるいはまた、鏡像異性体は、キラル固定相を用いてクロマトグラフィー技術により分離することができる。該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるならば、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は立体特異的製造方法により合成される。これらの方法は、鏡像異性的に純粋な出発物質を都合よく用いる。
【0033】
式Iの化合物のジアステレオマーラセミ化合物は、常法により別個に得ることができる。都合よく用いることができる適切な物理的分離方法は、例えば、選択的結晶化およびクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーである。
【0034】
製薬学的に許容しうる付加塩は、式(I)の化合物の治療的に有効な無毒の酸および塩基付加塩を含んでなる。興味深いのは、本明細書において特定した式Iの化合物のもしくは式Iの化合物の任意の亜群の遊離した、すなわち無塩形態である。
【0035】
製薬学的に許容しうる酸付加塩は、塩基形態をそのような適切な酸で処理することにより都合よく得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸;または例えば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわち、エタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわち、ヒドロキシルブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などのような有機酸を含んでなる。逆に、該塩形態は、適切な塩基での処理により遊離塩基形態に転化することができる。
【0036】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物はまた、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの無毒の金属もしくはアミン付加塩形態に転化することもできる。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。
【0037】
「溶媒和物」という用語は、式Iの化合物ならびにその塩が形成することのできる任意
の製薬学的に許容しうる溶媒和物を含む。そのような溶媒和物は、例えば水和物、アルコラート、例えばエタノラート、プロパノラートなどである。
【0038】
式(I)の化合物のあるものはまた、それらの相変異性体において存在することもできる。例えば、アミド(−C(=O)−NH−)基の互変異性体は、芳香族性を有する環において安定化することができる、イミノアルコール(−C(OH)=N−)である。ウリジン塩基は、そのような形態の例である。そのような形態は、本明細書に表される構造式において明白に示されないが、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0039】
本明細書において用いる場合、基もしくは基の一部としての「C〜Cアルキル」は、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピルのような1〜4個の炭素原子を有する飽和した直鎖状もしくは分枝鎖状炭化水素基を定義する。「C〜Cアルキル」には、C〜Cアルキル基および例えば1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチル−1−ブチル、2−メチル−1−ペンチル、2−エチル−1−ブチル、3−メチル−2−ペンチルなどのような5もしくは6個の炭素原子を有するその高級同族体が包含される。C〜Cアルキルの中で興味深いのは、C〜Cアルキルである。「C〜C10アルキル」には、C〜Cアルキル基および例えばヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、2−メチルヘキシル、オクチル、2−オクチル、3−オクチル、ノニル、2−ノニル、3−ノニル、2−ブチルペンチル、デシル、2−デシルなどのような7、8、9もしくは10個の炭素原子を有するその高級同族体が包含される。C〜C10アルキルの中で興味深いのは、C〜Cアルキルである。
【0040】
「C1〜6アルコキシ」は、C〜Cアルキルが上記に定義した通りである基−O−C〜Cアルキルを意味する。C〜Cアルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシもしくはイソプロポキシである。
【0041】
「C3〜7シクロアルキル」には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが包含される。興味深いのは、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0042】
基もしくは基の一部としての「C3〜6アルケニル」という用語は、例えば1−プロペニル、2−プロペニル(もしくはアリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ペンテニルなどのような、飽和した炭素−炭素結合および少なくとも1個の二重結合を有し、そして3〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義する。1つの態様において、C3〜6アルケニル基を分子の残りの部分に連結する炭素原子は飽和している。C3〜6アルケニルの中で興味深いのは、C3〜4アルケニルである。C3〜6アルケニルもしくはC3〜4アルケニルの中で興味深いのは、1個の二重結合を有する基である。
【0043】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称である。
【0044】
本明細書において用いる場合、「(=O)」もしくは「オキソ」という用語は、炭素原子に結合する場合にカルボニル部分を形成する。その原子の価数がそのように可能である場合にのみ原子はオキソ基で置換できることに留意すべきである。
【0045】
「1リン酸、2リン酸もしくは3リン酸エステル」という用語は、基:
【化9】

をさす。
【0046】
本明細書において用いる場合、定義において使用する任意の分子部分上の基の位置は、それが化学的に安定である限りそのような部分上の任意の場所であることができる。任意の変記号が任意の部分において1回より多く存在する場合、各定義は独立している。
【0047】
「式Iの化合物」もしくは「本発明の化合物」という用語または同様の用語を本明細書において用いる場合はいつでも、可能な立体化学的異性体を包含する式Iの化合物ならびにそれらの製薬学的に許容しうる塩および溶媒和物が包含されるものとする。
【0048】
本発明にはまた、自然界において典型的に見られるもの(1つもしくは複数)と異なる同位体で原子の1つもしくはそれ以上が置換される、式Iもしくは式Iの任意の亜群の同位体標識化合物も包含される。そのような同位体の例には、HおよびHのような水素;11C、13Cおよび14Cのような炭素:13Nおよび15Nのような窒素;15O、17Oおよび18Oのような酸素;31Pおよび32Pのようなリン;35Sのような硫黄;18Fのようなフッ素;36Clのような塩素;75Br、76Br、77Brおよび82Brのような臭素;ならびに123I、124I、125Iおよび131Iのようなヨウ素の同位体が包含される。本発明の同位体標識化合物は、適切な同位体標識試薬もしくは出発材料を用いることによって本明細書に記述されるものと同様の方法により、または当該技術分野で既知の技術により製造することができる。放射性標識化合物に含まれる同位体の選択は、その化合物の特定用途により決まる。例えば、組織分布アッセイには、Hもしくは14Cのような放射性同位体が取り込まれる。放射性イメージング用途には、11C、18F、13Nもしくは15Oのような陽電子放出同位体が有用である。重水素の取り込みはより大きい代謝安定性を与え、例えば化合物の増加したインビボ半減期もしくは減少した用量の必要性をもたらし得る。
【0049】
一般的な合成方法
出発物質2’−デオキシ−2’−スピロシクロプロピルウリジンは、J.Am.Chem.Soc.,1992,114,4007−4008に記載の通り製造することができる。Rが基
【化10】

である式Iの化合物は、この出発物質をホスホルアミドクロリド酸(phosphoramidochloridic acid)エステル1dと反応させることにより製造することができる。後者は、塩基の存在下でアルコール1aをPOClと反応させ、このようにしてホスホリルジクロリド1bが得られ、それをさらにアミノ酸1cと反応させることにより製造することができる。
【化11】

【0050】
がハロである式Iの化合物は、最初に中間体1eをそのヒドロキシ保護形態Ifに転化し、それを次に例えばN−ハロスクシンイミドで、例えばN−ヨードスクシンイミドでIgにハロゲン化し、Ihにすることにより製造することができる。適当なヒドロキシ保護基はアルキル化シリル基、特に立体障害アルキル化シリル基、例えばt.ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、もしくは1,1,3,3−テトライソプロピル−ジシロキサン−1,3−ジイル(TIPDS)基である。これらの基は出発アルコールを適切なシリルクロリド誘導体と反応させることにより導入され、そしてその後でフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)のようなフッ化物化合物で除くことができ、化合物Ihを生成せしめる。これらの反応は、Pgが上記のシリル基のようなヒドロキシ保護基である以下のスキームにおいて表される。
【化12】

【0051】
さらなる態様において、本発明は、本明細書において特定した通りの式Iの化合物の治療的に有効な量および製薬学的に許容しうる担体を含んでなる製薬学的組成物に関する。これに関連して治療的に有効な量は、感染患者もしくは感染する危険性がある患者において、HCV感染に対して予防的に働くために、HCV感染を安定させるためにもしくは減らすために十分な量である。なおさらなる態様において、本発明は、製薬学的に許容しうる担体を本明細書において特定した通りの式Iの化合物の治療的に有効な量とよく混合することを含んでなる、本明細書において特定した通りの製薬学的組成物を製造する方法に
関する。
【0052】
従って、本発明の化合物もしくはその任意の亜群は、投与目的のための様々な製薬学的形態に調合することができる。適切な組成物として、薬剤を全身的に投与するために通常用いられる全ての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として、場合により付加塩形態もしくは金属錯体における、特定化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体とよく混合して合わせ、この担体は投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に経口的、経直腸的、経皮的もしくは非経口注射による投与に適当な単位投与形態物においてが望ましい。例えば、経口投与形態物における組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤のような経口用液状製剤の場合には例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には澱粉、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口投与単位形態物に相当し、この場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物では、例えば、溶解性を促進するために他の成分を含むことができるが、通常、担体は少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤などを用いることができる。また包含されるのは、使用直前に液状製剤に転化することが意図される固形製剤である。経皮投与に適当な組成物において、担体は、場合によりわずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と組み合わせて、場合により浸透促進剤および/もしくは適当な湿潤剤を含んでなってもよく、これらの添加剤は皮膚に重大な悪影響をもたらさない。本発明の化合物はまた、任意の当該技術分野で既知の送達系を用いて溶液、懸濁液もしくは乾燥粉末の形態において経口吸入もしくは吹送により投与することもできる。
【0053】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位投与形態物における上記の製薬学的組成物を調合することは特に好都合である。単位投与形態物は、本明細書において用いる場合、単位投薬量として適当な物理的に別個の単位をさし、各単位は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有する。そのような単位投与形態物の例は、錠剤(分割錠もしくはコート錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、座薬、散剤パケット、カシェ剤、注入可能な液剤もしくは懸濁剤など、およびその分離した倍量である。
【0054】
式Iの化合物はHCVに対する活性を示し、そしてHCV感染もしくはHCVと関連する疾患の処置および予防において用いることができる。後者には、肝硬変、末期肝疾患およびHCCを引き起こす進行性肝線維症、炎症および壊死が包含される。本発明の多数の化合物はさらに、HCVの突然変異株に対して有効であると考えられる。さらに、本発明の化合物の多くは好ましい薬物動態プロフィールを示し、そして許容しうる半減期、AUC(曲線下面積)およびピーク値を包含するそして不十分な速やかな発現および組織保持のような好ましくない現象を欠く、生物学的利用能に関して魅力的な特性を有する。
【0055】
式Iの化合物のHCVに対するインビトロ抗ウイルス活性は、Krieger et al.(2001)Journal of Virology 75:4614−4624(引用することにより本明細書に組み込まれる)により記述されるさらなる改変を有する、Lohmann et al.(1999)Science 285:110−113に基づく細胞HCVレプリコン系において試験することができ、それは実施例の節においてさらに例示される。このモデルは、HCVの完全な感染モデルではないが、現在利用可能な自律的HCV RNA複製の最も強力なそして効率のよいモデルとして広く認めら
れている。HCVレプリコンモデルにおいて細胞毒性もしくは細胞静止効果を及ぼしそして結果としてHCV RNAもしくは連結されるレポーター酵素濃度の減少を引き起こすものからHCV機能を特異的に妨げる化合物間を区別することは重要であると認識される。例えばレザズリンのような蛍光性レドックス色素を用いるミトコンドリア酵素の活性に基づく細胞毒性の評価の分野においてアッセイは既知である。さらに、細胞カウンタースクリーニングは、ホタルルシフェラーゼのような連結されるレポーター遺伝子活性の非選択的阻害の評価のために存在する。適切な細胞タイプは、その発現が構成的に活性の遺伝子プロモーターに依存するルシフェラーゼレポーター遺伝子での安定なトランスフェクションにより用意することができ、そしてそのような細胞は非選択的阻害剤を除くためにカウンタースクリーニングとして用いることができる。
【0056】
任意の可能な立体異性体を包含する式Iの化合物、その製薬学的に許容しうる付加塩もしくは溶媒和物は、それらの抗ウイルス特性、特にそれらの抗HCV特性のために、HCVに感染した温血動物、特にヒトの処置において、そしてHCV感染の予防のために有用である。本発明はさらに、HCVに感染したもしくはHCVによる感染の危険性がある温血動物、特にヒトを処置する方法に関し、該方法は、本明細書において特定した通りの式Iの化合物の抗HCV有効量の投与を含んでなる。
【0057】
従って、本発明の化合物は薬剤として、特に抗HCV薬剤として用いることができる。薬剤としての該使用もしくは処置の方法は、HCV感染と関連する症状と闘うために有効な量のHCV感染患者へのもしくはHCV感染を受けやすい患者への全身投与を含んでなる。
【0058】
本発明はまた、HCV感染の処置もしくは予防のための薬剤の製造における本発明の化合物の使用にも関する。
【0059】
一般に、抗ウイルス有効毎日量は約0.01〜約700mg/kg、もしくは約0.5〜約400mg/kg、もしくは約1〜約250mg/kg、もしくは約2〜約200mg/kg、もしくは約10〜約150mg/kg体重であると考えられる。1日を通して適切な間隔で2、3、4もしくはそれ以上のサブ用量として必要とされる用量を投与することは適切であり得る。該サブ用量は、例えば単位投与形態物当たり約1〜約6000mg、もしくは約50〜約5000mg、もしくは約100〜約2000mg、もしくは約200〜約1000mg、もしくは約100〜約600mg、もしくは約200〜約500mgの有効成分を含有する単位投与形態物として調合することができる。
【0060】
本発明はまた、式Iの化合物、その製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物、および別の抗ウイルス化合物、特に別の抗HCV化合物の組み合わせにも関する。「組み合わせ」という用語は、HCV感染の処置における同時、別個もしくは逐次使用のための組み合わされた製剤として、(a)上記に特定した通りの式Iの化合物、および(b)場合により別の抗HCV化合物を含有する生成物に関してであることができる。
【0061】
そのような組み合わせにおいて使用することができる抗HCV化合物には、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCV生活環における他の標的の阻害剤および免疫調節薬、ならびにその組み合わせが包含される。HCVポリメラーゼ阻害剤には、NM283(バロピシタビン)、R803、JTK−109、JTK−003、HCV−371、HCV−086、HCV−796およびR−1479、R−7128、MK−0608、VCH−759、PF−868554、GS9190、XTL−2125、NM−107、GSK625433、R−1626、BILB−1941、ANA−598、IDX−184、IDX−375、MK−3281、MK−1220、ABT−333、PSI−7851、PSI−6130、VCH−916が包含される。HCVプロテアーゼの阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤)には、BILN−2061、VX−950(テラプレビル)、GS−9132(ACH−806)、SCH−503034(ボセプレビル)、TMC435350(TMC435とも呼ばれる)、TMC493706、ITMN−191、MK−7009、BI−12202、BILN−2065、BI−201335、BMS−605339、R−7227、VX−500、BMS650032、VBY−376、VX−813、SCH−6、PHX−1776、ACH−1625、IDX−136、IDX−316が包含される。HCV NS5A阻害剤の例はBMS790052、A−831、A−689であり、NIM−811およびDEBIO−025はNS5Bサイクロフィリン阻害剤の例である。
【0062】
HCV生活環における他の標的の阻害剤には、NS3ヘリカーゼ;メタロプロテアーゼ阻害剤;ISIS−14803およびAVI−4065のようなアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤;SIRPLEX−140−NのようなsiRNAのもの;ベクターにコードされる低分子ヘアピンRNA(shRNA);DNAザイム;ヘプタザイム(heptazyme)、RPI.13919のようなHCV特異的リボザイム;HepeX−C、HuMax−HepCのような侵入阻害剤;セルゴシビル、UT−231Bなどのようなアルファグルコシダーゼ阻害剤;KPE−02003002;ならびにBIVN401が包含される。
【0063】
免疫調節薬には、イントロン(Intron)A、ロフェロン(Roferon)−A、キャンフェロン(Canferon)−A300、アドバフェロン(Advaferon)、インフェルゲン(Infergen)、フモフェロン(Humoferon)、スミフェロン(Sumiferon)MP、アルファフェロン(Alfaferone)、IFN−ベータおよびフェロン(Feron)のような、α−インターフェロン、β−インターフェロン、γ−インターフェロンおよびω−インターフェロンを包含する、天然および組換えインターフェロンアイソフォーム化合物;PEGインターフェロン−α−2a(ペガシス(Pegasys))、PEGインターフェロン−α−2b(PEG−イントロン)およびPEG化IFN−α−con1のような、ポリエチレングリコール誘導体化(PEG化)インターフェロン化合物;アルブミンに融合したインターフェロンアルブフェロンαのようなインターフェロン化合物の長時間作用製剤および誘導体化;レシキモド(resiquimod)のような、細胞におけるインターフェロンの合成を刺激する化合物;インターロイキン;SCV−07のような、1型ヘルパーT細胞応答の発生を高める化合物;CpG−10101(アクチロン)およびイサトリビンのようなTOLL様受容体アゴニスト;チモシンα−1;ANA−245;ANA−246;ヒスタミン2塩酸塩;プロパゲルマニウム;テトラクロロデカオキシド;アンプリゲン;IMP−321;KRN−7000;シバシル(civacir)およびXTL−6865のような抗体;ならびにInno Vac CおよびHCV E1E2/MF59のような予防および治療ワクチンが包含される。
【0064】
他の抗ウイルス薬には、リバビリン、アマンタジン、ビラミジン(viramidine)、ニタゾキサニド;テルビブジン;NOV−205;タリバビリン;内部リボソーム侵入の阻害剤;広域ウイルス阻害剤、例えばIMPDH阻害剤、ならびにミコフェノール酸およびその誘導体、ならびにVX−497(メリメポジブ(merimepodib))、VX−148および/もしくはVX−944が包含されるがこれらに限定されるものではなく;または上記のいずれかの組み合わせが包含される。
【0065】
該組み合わせにおける使用のための特定の薬剤には、インターフェロン−α(IFN−α)、PEG化インターフェロン−αもしくはリバビリン、ならびにHCVエピトープを標的とする抗体、低分子干渉RNA(SiRNA)、リボザイム、DNAザイム、アンチセンスRNA、例えばNS3プロテアーゼ、NS3ヘリカーゼおよびNS5Bポリメラー
ゼの低分子アンタゴニストに基づく治療法が包含される。
【0066】
別の態様において、本明細書において特定した通りの式Iの化合物と抗HIV化合物との組み合わせが提供される。後者は好ましくは、薬物代謝へのプラス効果および/もしくは生物学的利用能を改善する薬物動態を有するHIV阻害剤である。そのようなHIV阻害剤の例は、リトナビルである。そのようなものとして、本発明はさらに(a)式Iの化合物またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物;および(b)リトナビルもしくはその製薬学的に許容しうる塩を含んでなる組み合わせを提供する。化合物リトナビル、その製薬学的に許容しうる塩およびその製造方法は、WO94/14436に記述される。
【0067】
本発明はまた、上記に特定した通りの式Iの化合物と抗HCVもしくは抗HIV薬を包含する抗ウイルス薬のような別の薬剤、特に上記のものを合わせる段階を含んでなる、本明細書に記述した通りの組み合わせを製造する方法にも関する。
【0068】
該組み合わせは、HCVに感染した哺乳類におけるHCV感染を処置するための薬剤の製造において用途を見出すことができ、該組み合わせは特に、上記に特定した通りの式Iの化合物およびインターフェロン−α(IFN−α)、PEG化インターフェロン−αもしくはリバビリンを含んでなる。または本発明は、本明細書において特定した通りの組み合わせの有効量の該哺乳類への投与を含んでなる、HCVに感染した哺乳類、特にヒトを処置する方法を提供する。特に、該処置は該組み合わせの全身投与を含んでなり、そして有効量はHCV感染と関連する臨床症状を処置することにおいて有効な量である。
【0069】
1つの態様において、上記の組み合わせは、上記の通り、上記の有効成分および担体を含む製薬学的組成物の形態において調合される。有効成分の各々を別個に調合することができ、そしてこれらの製剤を共投与することができ、もしくは両方および所望に応じてさらなる有効成分を含有する1つの製剤を提供することができる。前者の場合、組み合わせはまたHCV治療における同時、別個もしくは逐次使用のための組み合わされた製剤として調合することもできる。該組成物は、上記の形態のいずれかをとることができる。1つの態様において、両方の成分は固定用量組み合わせのような1つの投与形態物において調合される。特定の態様において、本発明は(a)その可能な立体異性体を包含する式Iの化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩もしくはその製薬学的に許容しうる溶媒和物の治療的に有効な量、および(b)リトナビルもしくはその製薬学的に許容しうる塩の治療的に有効な量、および(c)担体を含んでなる製薬学的組成物を提供する。
【0070】
本発明の組み合わせの個々の成分は、治療の経過中の異なる時点で別個にまたは分割もしくは単一組み合わせ形態において同時に投与することができる。本発明は同時もしくは交互処置の全てのそのような処方計画を包含するものとし、そして「投与すること」という用語はそれに応じて解釈されるべきである。好ましい態様において、別個の投与形態物が同時に投与される。
【0071】
1つの態様において、本発明の組み合わせは、式Iの化合物の生物学的利用能を式Iの該化合物が単独で投与される場合の生物学的利用能に対して臨床的に改善するために十分であるリトナビルもしくはその製薬学的に許容しうる塩の量を含有する。または、本発明の組み合わせは、t1/2、Cmin、Cmax、Css、12時間でのAUCもしくは24時間でのAUCから選択される式Iの化合物の薬物動態変数の少なくとも1つを式Iの化合物が単独で投与される場合の該少なくとも1つの薬物動態変数に対して増加するために十分であるリトナビルもしくはその製薬学的に許容しうる塩の量を含有する。
【0072】
本発明の組み合わせは、該組み合わせに含んでなる各成分に特有の用量範囲においてヒ
トに投与することができ、例えば、上記に特定した通りの式Iの化合物、およびリトナビルもしくは製薬学的に許容しうる塩は0.02〜10.0g/日の範囲における用量レベルを有することができる。
【0073】
式Iの化合物:リトナビルの重量比は、約30:1〜約1:15、もしくは約15:1〜約1:10、もしくは約15:1〜約1:1、もしくは約10:1〜約1:1、もしくは約8:1〜約1:1、もしくは約5:1〜約1:1、もしくは約3:1〜約1:1、もしくは約2:1〜約1:1の範囲においてであることができる。式Iの化合物およびリトナビルは1日に1もしくは2回、好ましくは経口で共投与することができ、ここで、用量当たりの式Iの化合物の量は上記の通りであり;そして用量当たりのリトナビルの量は1〜約2500mg、もしくは約50〜約1500mg、もしくは約100〜約800mg、もしくは約100〜約400mg、もしくは40〜約100mgのリトナビルである。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は本発明を説明するものとし、そしてその範囲の限定と解釈されるべきではない。
【0075】
各場合において、保持時間(R(分))および測定m/zが示される。2つのジアステレオマーの分離がLC−MSにおいて認められた場合、2つの保持時間が特定される。化合物において立体化学指標がリン原子について示されない場合、その化合物は2つのリン−ジアステレオマーの1:1混合物である。ある場合においてこの混合物は正確な立体化学配置を識別せずにであるが分離された。そのような化合物はAおよびBと命名され、そしてそれらの物理化学的性質により特性化することができる。
【実施例1】
【0076】
化合物(1)の合成
【化13】

ジエチルエーテル(250ml)中の1−ナフトール(1.0eq.、69.4mmol、10.0g)にオキシ塩化リン(1.0eq.、69.4mmol、6.5ml)を
加え、そして溶液を−78℃まで冷却した。乾式N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA;1.0eq.、69.4mmol、12.1ml)を加え、そして得られる溶液を室温まで一晩温めておいた。白色のスラリーを不活性雰囲気下で濾過し、そして全ての揮発性物質を除いてAを無色の液体として生成せしめ、それを次の段階においてさらに精製せずに使用した。
【0077】
CHCl(40ml)中のA(1.0eq.、4.6mmol、1.0g)および2−アミノ−プロピオン酸ベンジルエステル塩酸塩(1.0eq.、4.6mmol、1.2g)の溶液を−80℃まで冷却した。乾式DIPEA(2.0eq.、9.3mmol、1.6ml)を滴下して加えた。1時間後に反応物を室温まで温めた。攪拌をさらに1時間続け、そして溶媒を減圧下で除いた。乾式ジエチルエーテルを加え、そして沈殿物を濾過して分離し、そしてアルゴン雰囲気下で乾式ジエチルエーテルで2回洗浄した。濾液を蒸発乾固させてBを生成せしめ、それを−18℃でテトラヒドロフラン(THF)中の0.97M溶液として貯蔵した。
【0078】
乾式THF(6ml)中のC(1.0eq.、0.59mmol、150mg)の溶液に室温でt−ブチルMgCl(1.5eq.、0.89mmol、521μl、THF中1.7M溶液)を加えた。B(1.4eq.、0.83mmol、852μl、THF中0.97M溶液)の溶液を滴下して加え、そして混合物を2.5時間室温で攪拌した。30滴の飽和水性NHClを加え、そして反応混合物をシリカ上で蒸発させ、次にカラムクロマトグラフィー(CHCl中0〜5%メタノール)により精製して1(74mg、収率=19%、純度=96%)をジアステレオマーの混合物として生成せしめた。
NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.39−0.61(m,3H)1.01−1.12(m,1H)1.18−1.33(m,3H)3.88−4.09(m,3H)4.16−4.31(m,1H)4.31−4.42(m,1H)4.96−5.16(m,2H)5.35−5.49(m,2H)5.95(s,1H)6.25−6.37(m,1H)7.26−7.35(m,5H)7.36−7.62(m,5H)7.74(d,J=8.02Hz,1H)7.95(d,J=7.82Hz,1H)8.11(t,J=7.92Hz,1H)11.31(br.s.,1H).LC−MS:R=2.21分,m/z=620(M−H)
【0079】
以下に記載する化合物は、実施例1についてと同様の方法を用いて製造した。化合物は、ジアステレオ異性体の混合物として単離された。化合物(7)については、ジアステレオ異性体を単離し、そして別個に試験した。
【0080】
化合物(2)
【化14】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.47−0.62(m,3H)1.04−1.17(m,7H)1.24−1.34(m,3H)2.20(s,3H)3.12−3.25(m,1H)3.86−3.98(m,2H)3.99−4.07(m,1H)4.09−4.23(m,1H)4.24−4.35(m,1H)5.02−5.17(m,2H)5.36−5.46(m,1H)5.48−5.57(m,1H
)5.92−5.99(m,1H)6.16−6.30(m,1H)7.23−7.39(m,7H)7.51−7.60(m,1H)11.31(br.s.,1H).LC−MS:R=2.64分,m/z=660(M−H)
【0081】
化合物(3)
【化15】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.47−0.62(m,3H)1.01−1.09(m,1H)1.14(d,6H)1.17−1.24(m,3H)3.67−3.84(m,1H)3.85−3.96(m,1H)3.99−4.07(m,1H)4.09−4.23(m,1H)4.23−4.35(m,1H)4.78−4.89(m,1H)5.34−5.44(m,1H)5.51−5.59(m,1H)5.90−5.96(m,1H)5.96−6.07(m,1H)7.11−7.25(m,3H)7.31−7.40(m,2H)7.52−7.63(m,1H)11.31(br.s.,1H).LC−MS:R=2.24分および2.36分,m/z=522(M−H)
【0082】
化合物(4)
【化16】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.43−0.63(m,3H)1.00−1.11(m,1H)1.31−1.46(m,6H)3.84−3.92(m,1H)3.96−4.06(m,1H)4.09−4.20(m,1H)4.22−4.32(m,1H)5.06(s,2H)5.33−5.43(m,1H)5.47−5.56(m,1H)5.88−6.01(m,2H)7.10−7.23(m,3H)7.24−7.40(m,7H)7.46−7.60(m,1H)11.30(br.s.,1H).LC−MS:R=2.07分,m/z=584(M−H)
【0083】
化合物(5)
【化17】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.44−0.67(m,3H
)0.99−1.33(m,7H)3.74−3.97(m,2H)3.97−4.10(m,3H)4.10−4.24(m,1H)4.24−4.39(m,1H)5.32−5.45(m,1H)5.51−5.62(m,1H)5.88−5.98(m,1H)5.98−6.12(m,1H)7.11−7.27(m,3H)7.30−7.44(m,2H)7.52−7.66(m,1H)11.31(br.s.,1H).LC−MS:R=2.10分および2.23,m/z=508(M−H)
【0084】
化合物(6)
【化18】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.38−0.61(m,3H)1.01−1.12(m,1H)3.73−3.86(m,2H)3.90−3.98(m,1H)4.00−4.11(m,1H)4.23−4.33(m,1H)4.33−4.43(m,1H)5.09(s,2H)5.35−5.49(m,2H)5.96(s,1H)6.08−6.27(m,1H)7.22−7.61(m,9H)7.74(d,J=7.69Hz,1H)7.95(d,J=7.10Hz,1H)8.12(d,J=7.72Hz,1H)11.30(br.s.,1H).LC−MS:R=2.12分,m/z=606(M−H)
【0085】
化合物(7)
【化19】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.46−0.63(m,3H)1.01−1.13(m,1H)1.20−1.31(m,3H)3.84−3.98(m,2H)3.99−4.06(m,1H)4.10−4.23(m,1H)4.24−4.34(m,1H)5.02−5.14(m,2H)5.35−5.44(m,1H)5.53−5.61(m,1H)5.90−5.98(m,1H)6.11−6.24(m,1H)7.14−7.24(m,2H)7.28−7.42(m,7H)7.52−7.61(m,1H)11.31(br.s.,1H).LC−MS:R=2.98分および3.07分,m/z=604(M−H)
【0086】
【化20】

【0087】
化合物(7a)(異性体A)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.45−0.61(m,3H);1.01−1.15(m,1H);1.24(d,J=6.46Hz,3H);3.82−3.95(m,2H);3.96−4.07(m,1H);4.13−4.24(m,1H);4.24−4.34(m,1H);5.09(s,2H);5.36−5.48(m,1H);5.58(d,J=7.63Hz,1H);5.95(s,1H);6.20(t,J=11.35Hz,1H);7.17(d,J=7.82Hz,2H);7.29−7.43(m,7H);7.55(d,J=7.63Hz,1H);11.33(br.s.,1H).LC−MS:R=4.02分,m/z=604(M−H)
【0088】
化合物(7b)(異性体B)
H NMR(400MHz,DMSO−d)dppm 1H NMR(400MHz,DMSO−J)dppm0.48−0.61(m,3H);1.02−1.13(m,1H);1.26(d,J=7.04Hz,3H);3.86−3.98(m,2H);3.99−4.05(m,1H);4.09−4.20(m,1H);4.24−4.32(m,1H);5.03−5.13(m,2H);5.34−5.44(m,1H);5.57(d,J=8.02Hz,1H);5.94(s,1H);6.18(dd,J=12.91,10.17Hz,1H);7.21(d,J=8.61Hz,2H);7.30−7.41(m,7H);7.57(d,J=8.22Hz,1H);11.32(br.s.,1H).LC−MS:R=4.07分,m/z=604(M−H)
【0089】
化合物(8)
【化21】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.46−0.65(m,3H)1.02−1.11(m,1H)1.14(t,J=7.05Hz,3H)1.18−1.32(m,3H)3.73−3.962(m,2H)3.97−4.09(m,3H)4.11−4.24(m,1H)4.24−4.36(m,1H)5.34−5.46(m,1H)5.53−5.62(m,1H)5.90−5.98(m,1H)6.05−6.18(m,1H)7.17−7.28(m,2H)7.43(d,J=8.80Hz,2H)7.54−7.62(m,1H)11.33(br.s.,1H).LC−M
S:R=2.41分および2.51分,m/z=542(M−H)
【0090】
化合物(9)
【化22】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.41−0.64(m,3H)0.99−1.14(m,1H)1.16−1.33(m,3H)3.82−3.97(m,2H)4.02(d,J=5.28Hz,1H)4.08−4.23(m,1H)4.23−4.34(m,1H)5.01−5.15(m,2H)5.34−5.45(m,1H)5.56(d,J=8.02Hz,1H)5.95(s,1H)6.04−6.17(m,1H)7.19(d,J=7.43Hz,3H)7.26−7.41(m,7H)7.51−7.62(m,1H)11.31(br.s.,1H).LC−MS:R=1.98分,m/z=570(M−H)
【0091】
化合物(10)
【化23】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.43−0.66(m,3H)0.83(d,J=5.09Hz,6H)1.03−1.12(m,1H)1.12−1.34(m,11H)1.53−1.66(m,1H)3.76−4.09(m,5H)4.10−4.24(m,1H)4.24−4.36(m,1H)5.34−5.50(m,1H)5.56(d,J=7.63Hz,1H)5.92−5.98(m,1H)5.99−6.12(m,1H)7.14−7.24(m,3H)7.36(t,J=7.53Hz,2H)7.52−7.63(m,1H)11.32(br.s.,1H).LC−MS:R=2.53分,m/z=594(M+H)
【0092】
化合物(11)
【化24】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.43−0.63(m,3H)0.86(s,9H)0.99−1.12(m,1H)1.19−1.32(m,3H)3.62−3.71(m,1H)3.72−3.80(m,1H)3.80−3.97(m,2H)4.02(br.s.,1H)4.08−4.24(m,1H)4.24−
4.37(m,1H)5.29−5.46(m,1H)5.55(d,J=7.43Hz,1H)5.94(d,J=7.24Hz,1H)6.00−6.13(m,1H)7.07−7.25(m,3H)7.35(t,J=7.73Hz,2H)7.49−7.66(m,1H)11.31(br.s.,1H).LC−MS:R=2.08分,m/z=552(M+H)
【0093】
化合物(12)
【化25】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.46−0.63(m,3H)0.81−0.90(m,3H)1.04−1.12(m,1H)1.17−1.36(m,5H)1.45−1.56(m,2H)3.73−4.09(m,5H)4.10−4.24(m,J=11.32,11.32,5.66,5.46Hz,1H)4.24−4.36(m,1H)5.33−5.46(m,1H)5.52−5.60(m,1H)5.91−5.98(m,1H)5.98−6.09(m,1H)7.10−7.28(m,3H)7.29−7.43(m,2H)7.51−7.65(m,1H)11.29(br.s.,1H).LC−MS:R=2.63分および2.74,m/z=538(M+H)
【0094】
化合物(13)
【化26】

H NMR(400MHz,クロロホルム−d)δppm0.54−0.78(m,3H)0.85−0.98(m,6H)1.20−1.33(m,1H)1.33−1.48(m,3H)1.84−2.01(m,J=10.05,6.68,3.34,3.34Hz,1H)3.64−4.52(m,9H)5.52−5.78(m,IH)5.99−6.10(m,1H)7.14−7.59(m,6H)8.64(br.s.,1H).LC−MS:R=2.57分および2.68分,m/z=536(M−H)
【0095】
化合物(14)
【化27】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.25−11.38(1H
,m)7.54−7.63(1H,m)7.32−7.42(2H,m)7.14−7.25(3H,m)5.97−6.06(1H,m)5.92−5.97(1H,m)5.53−5.60(1H,m)5.36−5.44(1H,m)4.98−5.07(1H,m)4.25−4.37(1H,m)4.09−4.25(1H,m)4.00−4.09(1H,m)3.87−3.98(1H,m)3.67−3.84(1H,m)1.70−1.88(2H,m)1.44−1.69(6H,m)1.16−1.27(3H,m)1.02−1.15(1H,m)0.46−0.64(3H,m).LC−MS:R=2.65分および2.76分,m/z=548(M−H)
【0096】
化合物(15)
【化28】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.42−0.62(m,3H)0.74−0.86(m,3H)1.02−1.10(m,1H)1.11−1.32(m,5H)1.34−1.52(m,2H)3.80−4.01(m,4H)4.06(t,J=6.36Hz,1H)4.16−4.32(m,1H)4.32−4.42(m,1H)5.38(d,J=5.48Hz,1H)5.40−5.51(m,1H)5.95(s,1H)6.14−6.35(m,1H)7.40−7.63(m,5H)7.74(d,J=5.67Hz,1H)7.95(d,J=6.06Hz,1H)8.05−8.18(m,1H)11.30(br.s.,1H).LC−MS:R=2.19分,m/z=588(M+H)
【0097】
化合物(16)
【化29】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.43−0.64(m,3H)1.02−1.11(m,1H)1.19−1.30(m,3H)1.62(s,9H)3.86−3.99(m,2H)4.03(t,J=6.05Hz,1H)4.11−4.24(m,1H)4.25−4.35(m,1H)5.04−5.13(m,2H)5.33−5.42(m,1H)5.48−5.56(m,1H)5.93−5.99(m,1H)6.00−6.13(m,1H)6.66(d,J=2.93Hz,1H)7.09−7.21(m,1H)7.23−7.36(m,5H)7.40−7.47(m,1H)7.47−7.58(m,1H)7.69(d,J=2.93Hz,1H)7.97(d,J=8.20Hz,1H)11.28(br.s.,1H).LC−MS:R=3.54分および3.60分,m/z=711(M+H)
【0098】
化合物(17)
【化30】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.42−0.66(m,3H)0.95−1.13(m,4H)2.76−2.87(m,1H)2.87−3.01(m,1H)3.76−4.14(m,7H)5.32−5.43(m,1H)5.50−5.57(m,1H)5.91−6.01(m,1H)6.09−6.27(m,lH)7.00−7.08(m,2H)7.11−7.35(m,8H)7.46−7.56(m,1H)11.30(br.s.,1H).LC−MS:R=2.69分および2.78分,m/z=586(M+H)
【0099】
化合物(18)
【化31】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.46−0.63(m,3H)1.02−1.13(m,1H)1.17−1.28(m,3H)1.30−1.43(m,2H)1.47−1.60(m,2H)1.94−2.07(m,2H)3.75(s,3H)3.79−4.09(m,5H)4.09−4.24(m,1H)4.25−4.37(m,1H)4.88−5.14(m,4H)5.33−5.44(m,1H)5.55(d,J=8.00Hz,1H)5.67−5.80(m,1H)5.80−5.90(m,1H)5.89−6.03(m,2H)6.64−6.74(m,1H)6.84−6.94(m,1H)7.13−7.23(m,1H)7.54−7.65(m,1H)11.31(br.s.,IH).LC−MS:R=3.44分および3.51分,m/z=634(M+H)
【0100】
化合物(19)
【化32】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.41−0.62(m,3H)1.00−1.11(m,1H)1.23(s,12H)3.81−3.96(m,2H)3.96−4.05(m,1H)4.06−4.20(m,1H)4.20−4.31(m,1H)5.00−5.12(m,2H)5.31−5.42(m,1H)5.52(d,J=8.02Hz,1H)5.93(s,1H)5.98−6.11(m,1H)7.00−7.12(m,2H)7.25−7.38(m,7H)7.46−7.61(m,1H)11.29(br.s.,1H).LC−MS:R=2.44分,m/z=628(M+H)
【0101】
化合物(20)
【化33】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.40−0.62(m,3H)1.01−1.10(m,1H)1.19−1.30(m,3H)3.84−3.96(m,2H)3.99−4.06(m,1H)4.08−4.22(m,1H)4.22−4.33(m,1H)5.00−5.12(m,2H)5.39(br.s.,1H)5.45−5.52(m,1H)5.91−6.02(m,2H)6.37(s,1H)6.92(t,J=10.37Hz,1H)7.27−7.41(m,8H)7.44−7.61(m,1H)11.12(br.s.,1H)11.29(br.s.,1H).LC−MS:R=1.89分,m/z=611(M+H)
【0102】
化合物(21)
【化34】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.43−0.63(m,3H)0.71−0.85(m,3H)1.01−1.14(m,1H)1.48−1.73(m,2H)3.64−3.80(m,1H)3.85−3.97(m,1H)3.97−4.07(m,1H)4.07−4.23(m,1H)4.24−4.34(m,lH)5.01−5.16(m,2H)5.32−5.46(m,1H)5.50−5.60(m,1H)5.93−5.98(m,1H)6.00−6.11(m,1H)7.08−7.24(m,3H)7.26−7.43(m,7H)7.50−7.62(m,1H)11.30(br.s.,1H).LC−MS:R=2.83分および2.94分,m/z=586(M+H)
【0103】
化合物(22)
【化35】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.45−0.63(m,3H)1.02−1.18(m,7H)1.29(d,J=6.06Hz,3H)2.20(s,3H)3.12−3.28(m,1H)3.85−3.98(m,2H)3.99−4.09(m,1H)4.09−4.23(m,1H)4.23−4.34(m,1H)5.02−5.16(m,2H)5.35−5.45(m,1H)5.45−5.55(m,1H)5.92−6.02(m,1H)6.08−6.24(m,1H)6.93(d,J=7.63Hz,1H)7.10−7.21(m,2H)7.34(br.s.,5H)7.50−7.63(m,1H)11.32(br.s.,1H).LC−MS:R=2.40分,m/z=628(M+H)
【0104】
化合物(23)
【化36】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.46−0.63(m,3H)0.85(t,J=6.65Hz,3H)1.04−1.12(m,1H)1.15−1.32(m,13H)1.44−1.56(m,2H)3.73−4.08(m,5H)4.10−4.24(m,1H)4.24−4.36(m,1H)5.35−5.45(m,1H)5.55−5.63(m,1H)5.92−5.98(m,1H)6.05−6.20(m,1H)7.17−7.27(m,2H)7.43(d,J=8.80Hz,2H)7.55−7.62(m,1H)11.32(br.s.,1H).LC−MS:R=3.72分,m/z=626(M−H)
【0105】
化合物(24)
【化37】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.46−0.65(m,3H)0.81(t,J=7.40Hz,3H)1.02−1.17(m,4H)1.17−1.31(m,3H)1.49(dq,J=7.28,7.11Hz,2H)3.67−3.87(m,1H)3.87−3.99(m,1H)3.99−4.10(m,1H)
4.10−4.24(m,1H)4.24−4.37(m,1H)4.63−4.81(m,1H)5.32−5.44(m,1H)5.50−5.62(m,1H)5.90−5.97(m,1H)5.97−6.07(m,1H)7.12−7.25(m,3H)7.32−7.41(m,2H)7.54−7.62(m,1H)11.30(s,1H).LC−MS:R=2.58分および2.69分,m/z=536(M−H)
【0106】
化合物(25)
【化38】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.45−0.63(m,3H)1.04−1.09(m,1H)1.10−1.17(m,6H)1.22−1.33(m,3H)2.09−2.21(m,3H)2.78(spt,J=6.91Hz,1H)3.84−3.97(m,2H)3.98−4.07(m,1H)4.09−4.24(m,1H)4.24−4.34(m,1H)5.03−5.16(m,2H)5.34−5.45(m,1H)5.48−5.57(m,1H)5.92−6.00(m,1H)6.07−6.17(m,1H)6.93(d,J=7.82Hz,1H)7.12(d,J=7.82Hz,1H)7.15(s,1H)7.27−7.39(m,5H)7.58(d,J=8.02Hz,1H)11.30(br.s.,1H).LC−MS:R=2.44分,m/z=628(M+H)
【0107】
化合物(26)
【化39】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.27−11.35(1H,m)7.51−7.64(1H,m)7.39−7.48(2H,m)7.17−7.28(1H,m)6.27−6.38(1H,m)5.90−5.97(1H,m)5.53−5.60(1H,m)5.34−5.42(1H,m)4.26−4.38(1H,m)4.14−4.26(1H,m)3.97−4.12(3H,m)3.85−3.96(1H,m)2.34−2.44(2H,m)2.17−2.28(1H,m)2.05−2.17(1H,m)1.67−1.88(2H,m)1.11−1.19(3H,m)1.04−1.11(1H,m)0.46−0.64(3H,m).LC−MS:R=2.57分,m/z=568(M−H)
【0108】
化合物(27)
【化40】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.27−11.36(1H,m)7.50−7.65(1H,m)7.30−7.43(2H,m)7.12−7.25(3H,m)5.86−5.98(2H,m)5.50−5.59(1H,m)5.36−5.45(1H,m)4.24−4.36(1H,m)4.14−4.24(1H,m)3.98−4.11(1H,m)3.87−3.97(1H,m)3.52−3.60(3H,m)1.28−1.42(6H,m)1.02−1.13(1H,m)0.45−0.64(3H,m).LC−MS:R=1.57分,m/z=510(M+H)
【0109】
化合物(28)
【化41】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.17−11.41(1H,m)7.48−7.64(1H,m)7.30−7.41(2H,m)7.12−7.26(3H,m)5.91−5.96(1H,m)5.74−5.86(1H,m)5.49−5.57(1H,m)5.32−5.41(1H,m)4.77−4.90(1H,m)4.26−4.36(1H,m)4.14−4.25(1H,m)3.99−4.10(1H,m)3.87−3.95(1H,m)1.28−1.41(6H,m)1.11−1.20(6H,m)1.04−1.10(1H,m)0.45−0.63(3H,m).LC−MS:R=2.41分,m/z=536(M−H)
【0110】
化合物(29)
【化42】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.24−11.38(1H,m)7.49−7.65(1H,m)7.29−7.41(2H,m)7.11−7.23(3H,m)6.41−6.56(1H,m)5.90−5.97(1H,m)5.51−5.60(1H,m)5.34−5.44(1H,m)4.26−4.38(1H,m)4.15−4.26(1H,m)3.95−4.08(3H,m)3.87−3.95(1H,m)1.19−1.33(2H,m)1.02−1.17(5H,m)0.92−1.02(1H,m)0.45−0.63(3H,m).LC−MS:R=1.
59分,m/z=522(M+H)
【0111】
化合物(30)
【化43】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.23−11.38(1H,m)7.53−7.64(1H,m)7.29−7.43(2H,m)7.11−7.26(3H,m)5.85−6.01(2H,m)5.50−5.62(1H,m)5.34−5.46(1H,m)4.25−4.38(1H,m)4.09−4.25(1H,m)3.99−4.09(1H,m)3.86−3.98(1H,m)3.59−3.77(1H,m)1.30−1.43(9H,m)1.14−1.28(3H,m)1.00−1.13(1H,m)0.44−0.64(3H,m).LC−MS:R=1.90分,m/z=538(M+H)
【0112】
化合物(31)
【化44】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.19−11.38(1H,m)7.52−7.63(1H,m)7.30−7.41(2H,m)7.12−7.24(3H,m)5.90−6.01(2H,m)5.52−5.60(1H,m)5.33−5.43(1H,m)4.79−4.92(1H,m)4.24−4.35(1H,m)4.09−4.24(1H,m)3.99−4.08(1H,m)3.85−3.97(1H,m)3.51−3.67(1H,m)1.45−1.71(2H,m)1.10−1.19(6H,m)1.03−1.10(1H,m)0.75−0.84(3H,m)0.47−0.62(3H,m).LC−MS:R=2.36分および2.46分,m/z=536(M−H)
【0113】
化合物(32)
【化45】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.21−11.40(1H,m)7.49−7.66(1H,m)7.30−7.43(2H,m)7.12−7.
25(3H,m)6.21−6.31(1H,m)5.90−5.98(1H,m)5.50−5.59(1H,m)5.36−5.44(1H,m)4.26−4.37(1H,m)4.15−4.26(1H,m)3.98−4.11(3H,m)3.88−3.97(1H,m)2.32−2.45(2H,m)2.17−2.29(1H,m)2.04−2.18(IH,m)1.67−1.88(2H,m)1.11−1.21(3H,m)1.01−1.11(1H,m)0.45−0.65(3H,m).LC−MS:R=1.76分,m/z=536(M+H)
【0114】
化合物(33)
【化46】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.45−0.65(m,3H)0.93−1.04(m,1H)1.04−1.17(m,5H)1.21−1.35(m,2H)3.86−3.95(m,1H)3.95−4.09(m,3H)4.16−4.26(m,1H)4.27−4.38(m,1H)5.35−5.43(m,lH)5.54−5.62(m,1H)5.94(s,1H)6.50−6.64(m,1H)7.17−7.26(m,2H)7.38−7.47(m,2H)7.50−7.63(m,1H)11.31(s,1H).LC−MS:R=2.29分,m/z=554(M−H)
【0115】
化合物(34)
【化47】

H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.44−0.65(m,3H)1.01−1.13(m,1H)1.18−1.33(m,6H)3.84−4.08(m,3H)4.12−4.37(m,4H)4.99−5.16(m,2H)5.31−5.43(m,1H)5.50−5.61(m,1H)5.91−6.00(m,lH)6.00−6.17(m,1H)7.21−7.40(m,6H)7.40−7.50(m,1H)7.50−7.63(m,2H)7.69−7.83(m,1H)11.29(br.s.,1H).LC−MS:R=2.96分,m/z=644(M+H)
【実施例2】
【0116】
(C)のヨウ素化アナログ、化合物(F)は下記の方法を用いて製造した。
【化48】

【0117】
乾式DMF(30mL)中の(D)(1.44g、2.9mmol)の溶液に室温でN−ヨードスクシンイミド(1.63g、7.25mmol、2.5eq)を加えた。反応混合物を110℃に加熱し、そしてその温度で一晩攪拌した。室温まで冷却した後に、飽和NaHCO溶液中のNaHSOの7.5%w/v溶液を加えることにより反応をクエンチした。混合物を飽和NaHCO溶液(250mL)でさらに希釈し、そして酢酸エチル(3x200mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして濃縮して黄色の油を生成せしめた。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル10〜30%勾配)により精製して(E)を白色の固体(1.44g、80%)として生成せしめた。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.54(dt,J=10.05,5.12Hz,1H)0.62−0.70(m,1H)0.76(dt,J=10.05,5.12Hz,1H)0.87−1.14(m,29H)3.74−3.82(m,1H)3.96(dd,J=12.88,2.34Hz,1H)4.09(dd,J=12.88,3.90Hz,1H)4.53(d,J=7.80Hz,1H)5.73(s,1H)7.89(s,1H)11.73(s,1H)LC−MS:R=8.94分,m/z=645(M+Na)
【0118】
メタノール(20mL)中の(E)(1.24g、1.99mmol)の懸濁液に室温でフッ化アンモニウム(369mg、5eq)を加えた。反応混合物をアルゴン下で50℃まで温め、そして7時間攪拌した。混合物の濃縮後に、得られる残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール2.5〜10%勾配)により精製した。これにより(F)を白色の固体(711mg、92%)として生成せしめた。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.50−0.65(m,3H)1.05(t,J=5.95Hz,1H)3.56−3.67(m,1H)3.70−3.80(m,2H)4.05−4.15(m,1H)5.13−5.27(m,2H)5.85(s,1H)8.44(s,1H)11.65(br.s.,1H)LC−MS:R=1.32分,m/z=403(M+Na)
【実施例3】
【0119】
ホスホルアミデート(35〜38)の合成
【化49】

【0120】
ピリジンと共蒸発させることにより予備乾燥させた(F)(120mg、0.316mmol)をN−メチルイミダゾール(0.3mL、3.79mmol、12eq)及び乾燥ジクロロメタン(3.2mL)に溶解し、アルゴン下で室温で適切なホスホルアミドクロリデート(1.2eq)の〜1M溶液に加えた。反応物を3時間攪拌した。必要に応じて追加の試薬を加えた。出発物質の完全な消費後に、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、そして0.5M水性HCl溶液で洗浄した。水層をジクロロメタンで抽出し、そして合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール1〜10%勾配)により精製して生成物36〜39を白色の固体(収率68〜77%)として生成せしめた。
【0121】
化合物(35)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.50−0.62(m,3H)1.01−1.11(m,1H)1.19−1.31(m,3H)3.84−4.00(m,2H)4.01−4.09(m,1H)4.11−4.33(m,2H)5.02−5.14(m,2H)5.29−5.41(m,1H)5.83−5.95(m,1H)6.00−6.14(m,1H)7.11−7.23(m,3H)7.26−7.40(m,7H)7.93(s,1H)11.69(br.s.,1H).LC−MS:R=5.27分,m/z=698(M+H)
【0122】
化合物(36)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.44−0.64(m,3H)0.70−0.86(m,3H)1.00−1.12(m,1H)1.46−1.73(m,2H)3.67−3.82(m,1H)3.84−3.98(m,1H)4.00−4.10(m,1H)4.10−4.36(m,2H)4.98−5.15(m,2H)5.27−5.40(m,1H)5.83−5.94(m,1H)5.94−6.07(m,1H)7.09−7.24(m,3H)7.26−7.43(m,7H)7.87−7.99(m,1H)11.69(br.s.,1H).LC−MS:R=5.58分,m/z=712(M+H)
【0123】
化合物(37)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.48−0.64(m,3H)1.02−1.11(m,1H)1.14(t,J=6.93Hz,3H)1.18−1.30(m,3H)3.74−3.86(m,1H)3.86−3.97(m,1H)3.98−4.10(m,3H)4.11−4.37(m,2H)5.27−5.42(m,1H)5.84−5.92(m,1H)5.93−6.06(m,1H)7.11−7.27(m,3H)7.31−7.42(m,2H)7.93(s,1H)11.70
(br.s.,1H).LC−MS:R=4.24分,m/z=653(M+NH
【0124】
化合物(38)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm0.49−0.63(m,3H)1.02−1.10(m,1H)1.15(d,J=5.07Hz,6H)1.18−1.25(m,3H)3.70−3.84(m,1H)3.86−3.97(m,1H)4.02−4.10(m,1H)4.12−4.34(m,2H)4.78−4.90(m,1H)5.29−5.40(m,1H)5.85−5.91(m,1H)5.91−5.99(m,1H)7.12−7.24(m,3H)7.31−7.40(m,2H)7.93(s,1H)11.70(br.s.,1H).LC−MS:R=4.74分,m/z=667(M+NH
【0125】
[生物学的実施例]
レプリコンアッセイ
HCVレプリコンとしても知られている、HCV機能性細胞複製細胞系を阻害する化合物を同定することを目的とする細胞アッセイにおいてHCV RNA複製の阻害における活性について式Iの化合物を調べた。細胞アッセイは、複数標的スクリーニング戦略における、Krieger et al.(2001),Journal of Virology 75:4614−4624により記述される改変を有するLohmann et
al.(1999),Science vol.285 pp.110−113により記述されるような、2シストロン性発現構築物に基づいた。
【0126】
アッセイは、安定にトランスフェクションされた細胞系Huh−7 luc/neo(以下にHuh−Lucと称する)を利用した。この細胞系は、レポーター部分(FfL−ルシフェラーゼ)および選択可能なマーカー部分(neo、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)が前に置かれる、脳心筋炎ウイルス(EMCV)からの内部リボソーム侵入部位(IRES)から翻訳されるHCV 1b型の野生型NS3−NS5B領域を含んでなる2シストロン性発現構築物をコードするRNAを保有する。構築物には、HCV 1b型からの5’および3’NTR(非翻訳領域)が隣接している。G418(neo)の存在下でのレプリコン細胞の継続培養は、HCV RNAの複製に依存する。とりわけルシフェラーゼをコードする、自律的にそして高レベルに複製するHCV RNAを発現する安定にトランスフェクションされたレプリコン細胞は、抗ウイルス化合物をスクリーニングするために使用した。
【0127】
様々な濃度で加えた試験およびコントロール化合物の存在下でレプリコン細胞を384ウェルプレートにおいて平板培養した。3日のインキュベーションの後に、ルシフェラーゼ活性をアッセイすることにより(標準的なルシフェラーゼアッセイ基質および試薬ならびにPerkin Elmer ViewLuxTM ultraHTSマイクロプレート撮像装置を用いて)HCV複製を測定した。コントロール培養物におけるレプリコン細胞は、任意の阻害剤の不在下で高いルシフェラーゼ発現を有する。ルシフェラーゼ活性に対する化合物の阻害活性をHuh−Luc細胞上でモニターし、各試験化合物について用量反応曲線を可能にした。次にEC50値を計算し、この値は検出されるルシフェラーゼ活性のレベル、もしくはさらに特に、遺伝子的に連結されたHCVレプリコンRNAが複製する能力を50%減少するために必要とされる化合物の量を表す。
【0128】
細胞毒性
細胞毒性は、Huh7−CMV−Lucレプリコンアッセイにおいて決定した。サイトメガロウイルス(CMV)構成的プロモーターの制御下のルシフェラーゼレポーター遺伝子で安定に形質転換されたレプリコン細胞(2500細胞/ウェル)を試験化合物濃度の
存在下もしくは不在下で培養した。加湿した5%CO大気中37℃で3日のインキュベーション後に、Luc活性を測定することにより細胞増殖を定量し、そしてCC50値(細胞毒性、細胞増殖の50%阻害濃度)として表した。試験は、384ウェルプレートにおいて行った。
【0129】
HCVアッセイ
本発明の化合物を野生型ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対するそれらの効能について試験した。抗ウイルス活性は、以下の方法に従って行う細胞アッセイを用いて評価した。ヒトT細胞系MT4を緑色蛍光タンパク質(GFP)およびHIV特異的プロモーター、HIV−1長い末端反復(LTR)で改変した。MT4 LTR−EGFPと称するこの細胞系は、研究化合物の抗HIV活性のインビトロ評価に用いることができる。HIV−1感染細胞において、Tatタンパク質が生産され、それはLTRプロモーターをアップレギュレーションし、そして最終的にGFPレポーター生産の刺激をもたらし、進行中のHIV感染を蛍光分析で測定することを可能にする。50%有効濃度(EC50)のような有効濃度値を決定することができ、そして通常はμM単位で表される。EC50値は、HIV感染細胞の蛍光を50%減少する試験化合物の濃度として定義される。HIV感染のモニタリングは、走査型顕微鏡を用いて行われた。画像解析は、ウイルス感染の非常に高感度の検出を可能にする。測定は、通常は感染後約5日で起こる細胞壊死の前に行われ、特に測定は感染後3日で行われた。表中の縦列IIIBは、野生型株IIIBに対するEC50値を記載する。
【0130】
表1における結果は、本発明の化合物が、HIVに対する活性を欠きながら、HCVに対する活性を示すことを例示する。それらは毒性に関して好ましい結果を示し、そして許容しうる選択性指数(EC50とCC50間の比率)を有する。
【0131】
結果
表1は、上記に示した実施例の化合物について得られるレプリコン結果(EC50、レプリコン)および細胞毒性結果(CC50(μM))(Huh−7)を示す。また、HIV活性(EC50HIV(μM))およびHIV細胞系における細胞毒性(CC50(μM)(MT−4))も示される。
【0132】
【表1−1】

【表1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
その任意の可能な立体異性体を包含する、式I:
【化1】

[式中:
は水素もしくはハロであり;
は1リン酸、2リン酸もしくは3リン酸エステルであるか;またはRは式
【化2】

の基であり;
は場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、ヒドロキシおよびアミノから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRはナフチルであるか;またはRはインドリルもしくはN−C〜Cアルキルオキシ−カルボニルインドリルであり;
は水素、C〜Cアルキル、ベンジルであり;
8’は水素、C〜Cアルキル、ベンジルであるか;または
およびR8’はそれらが結合している炭素原子と一緒になってC〜Cシクロアルキルを形成し;
はC〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、ベンジルもしくはフェニルであり、このフェニルは場合によりヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、モノ−およびジC〜Cアルキルアミノから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい]
の化合物またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
が式
【化3】

の基である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が場合によりハロ、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルコキシから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであるか;またはRがナフチルである請求項1〜2のいずれかに記載の化
合物。
【請求項4】
が場合によりハロおよびC〜Cアルキルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである請求項1〜2のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
が場合によりハロもしくはC〜Cアルキルで置換されていてもよいフェニルであるか、またはRがナフチルである請求項1〜2のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が水素であり、そしてR8’が水素もしくはC〜Cアルキルである請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
【化4】

部分が構造
【化5】

を有し、ここで、Rは水素であり、そしてR8’は水素、C〜Cアルキル、ベンジルである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
が水素であり、そしてR8’がC〜Cアルキルである請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が水素であり、そしてR8’がメチルである請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
がC〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニルもしくはベンジルである請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
がC〜Cアルキルもしくはベンジルである請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
がメチル、エチル、イソプロピル、1−メチル−プロピル、イソブチル、ブチル、t−ブチル、ベンジル、シクロペンチル、5−ヘキセニル、2,2−ジメチル−ブチル、オクチルもしくは2−プロピル−ペンチルである請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
がエチル、イソブチル、ブチル、ベンジル、シクロペンチル、5−ヘキセニル、2,2−ジメチル−ブチルもしくは2−プロピル−ペンチルである請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の式Iの化合物の抗ウイルス的に有効な量および製薬学的に許容しうる担体を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項15】
HCV阻害剤としての請求項1〜13のいずれかに記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−510980(P2012−510980A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539051(P2011−539051)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066562
【国際公開番号】WO2010/066699
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511004014)セントコア・オーソ・バイオテツク・プロダクツ・エル・ピー (2)
【出願人】(508030109)
【Fターム(参考)】