説明

ウレイドフェニル置換トリアジン誘導体類及びそれらの治療応用

本発明は、ウレイドフェニル置換トリアジン誘導体、並びに、プロテインキナーゼを調節するためのこれらの化合物の使用方法、及びプロテインキナーゼ介在疾患及び状態を治療するためのこれらの化合物の使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、様々な障害、疾患、及び病態の治療のための化合物の使用に関し、より具体的には、プロテインキナーゼを調節するため、及びプロテインキナーゼ介在疾患を治療するためのトリアジン化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、構造的に関連があって細胞内の様々なシグナル伝達過程の調節に関与する酵素の巨大ファミリーを構成する。類似する250〜300アミノ酸の触媒ドメインを含有するプロテインキナーゼは標的タンパク質基質のリン酸化を触媒する。
【0003】
当該キナーゼはリン酸化物(phosphorylate)中の基質によってファミリーに分類され得る(例、プロテイン−チロシン、プロテイン−セリン/スレオニン、脂質、等)。チロシンのリン酸化は細胞の増殖、移動、分化及び生存等の様々な生物学的過程の制御において中心的なイベントである。いくつかのファミリーの受容体型チロシンキナーゼ及び非受容体型チロシンキナーゼは、ATPに由来するリン酸の、特定の細胞タンパク質標的のチロシン残基への転移を触媒することによりこれらのイベントを調節する。これらの各キナーゼファミリーに一般的に対応する配列モチーフが同定されている[Hanks et al.,FASEB J., (1995), 9, 576-596; Knighton et al., Science, (1991), 253, 407-414; Garcia-Bustos et al., EMBO J., (1994),13:2352-2361)。当該プロテインキナーゼファミリー中のキナーゼの例としては、限定されないが、ab1、Akt、bcr−ab1、Blk、Brk、Btk、c−kit、c−Met、c−src、c−fms、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、CDK10、cRafl、CSF1R、CSK、EGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4、Erk、Fak、fes、FGFRl、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFR5、Fgr、flt−1、Fps、Frk、Fyn、Hck、IGF−1R、INS−R、Jak、KDR、Lck、Lyn、MEK、p38、PDGFR、PIK、PKC、PYK2、ros、Tie、Tie−2、TRK、Yes、及びZap70が挙げられる。
【0004】
プロテインキナーゼは非常に様々な細胞過程及び細胞機能の制御及び維持において中心的な役割を果たすことが研究により示された。例えば、キナーゼ活性は細胞の増殖、活性化、及び/又は分化を制御する分子スイッチとして作用する。制御されていないキナーゼ活性又は過剰なキナーゼ活性が、良性及び悪性の増殖障害並びに免疫系の不適切な活性化に起因する疾患(自己免疫疾患)、同種移植の拒絶反応、及び移植片対宿主病を含む多くの疾患状態において観察されてきた。
【0005】
多くの疾患が、プロテインキナーゼが介在するイベントにより誘起される異常な細胞応答と関係することが報告されている。これらの疾患としては自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経疾患及び神経変性疾患、癌、心臓血管疾患、アレルギー及び喘息、アルツハイマー病及びホルモン関連の疾患が挙げられる。更に、VEGF−2及びTie−2等の内皮細胞特異的受容体PTKは血管形成過程に介在し、癌及び制御されていない血管新生を含む他の疾患の進行の支援に関与する。従って、治療剤として有効なプロテインキナーゼ阻害剤を見出すために、医薬品化学において相当な努力がなされてきている。
【0006】
とりわけ興味を引くキナーゼファミリーの1つは、Srcキナーゼファミリーである。Srcキナーゼは多くのタイプの細胞における増殖及び移動応答、細胞活性化、接着、運動性、及び生存、増殖因子受容体シグナル伝達、及び破骨細胞活性化に関与する(Biscardi et al., Adv. Cancer Res. (1999), 76, 61-119; Yeatman et al., Nat. Rev. Cancer (2004), 4, 470-480; Owens, D. W.; McLean et al., Mol. Biol. Cell (2000), 11, 51-64)。Srcファミリーのメンバーとしては、哺乳動物における以下の8つのキナーゼ:Src、Fyn、Yes、Fgr、Lyn、Hck、Lck、及びBlkが挙げられる(Bolen et al., Annu. Rev. Immunol, (1997), 15, 371)。これらは、分子量52〜62kDにわたる非受容体型プロテインキナーゼである。全てが6つの異なる機能ドメイン:Srcホモロジードメイン4(SH4)、ユニークドメイン、SH3ドメイン、SH2ドメイン、触媒ドメイン(SH1)、及びC末端調節領域から構成される共通の構造的構成によって特徴付けられる(Brown et al., Biochim Biophys Acta (1996), 1287, 121-149; Tatosyan et al. Biochemistry (Moscow) 2000, 65, 49-58)。SH4ドメインはSrc分子を細胞膜に導くミリスチル化シグナルを含有する。このSrcタンパク質のユニークドメインは、特定の受容体及び標的タンパク質との特異的相互作用に関与する(Thomas et al., Annu Rev Cell Dev Biol (1997), 13, 513-609)。調節領域のSH3及びSH2は、Srcの触媒活性、局在及び標的タンパク質との結合に影響する基質タンパク質との分子内及び分子間相互作用を調節する(Pawson T., Nature (1995), 373, 573-580)。Srcファミリーの全てのタンパク質中に見られるキナーゼドメインSH1は、チロシンキナーゼ活性に関与し基質の結合に中心的な役割を持つ。SrcキナーゼのN末端側半分にはそのチロシンリン酸化のための部位が含有され、Srcの触媒活性を制御する(Thomas et al., Annu Rev Cell Dev Biol (1997), 13 : 513-609)。v−Srcは、キナーゼ活性の制御に関与するC末端領域中の構造的差異により、細胞性Src(c−Src)とは異なる。
【0007】
Srcファミリーのプロテインチロシンキナーゼのプロトタイプのメンバーは、元々、発癌性レトロウィルスであるラウス肉腫ウィルス(RSV)の形質転換タンパク質(v−Src)として同定された(Brugge et al., Nature (1977), 269, 346-348); Hamaguchi et al. (1995), Oncogene 10: 1037-1043)。ウィルスのv−Srcは、内因性チロシンキナーゼ活性を持つ正常な細胞性タンパク質(c−Src)が変異し、且つ活性化した型である(Collett et al., Proc Natl Acad Sci U S A (1978), 75, 2021-2024)。このキナーゼは、専らその基質タンパク質をチロシル残基でリン酸化する(Hunter et al., Proc Natl Acad Sci U S A (1980), 77, 1311-1315)。
【0008】
Srcは細胞質プロテインチロシンキナーゼであり、その活性化及び膜周縁のシグナル伝達複合体への動員が細胞運命に重要な意味合いをもつことが研究により示された。Srcタンパク質レベル及びSrcキナーゼ活性は、ヒト乳癌(Muthuswamy et al., Oncogene, (1995), 11, 1801-1810); Wang et al., Oncogene (1999), 18, 1227-1237; Warmuth et al., Curr. Pharm. Des. (2003), 9, 2043-2059]、結腸癌(Irby et al., Nat Genet (1999), 21, 187-190)、膵臓癌(Lutz et al., Biochem Biophys Res Commun (1998), 243, 503-508]、ある種のB細胞白血病及びリンパ腫(Talamonti et al., J, Clin. Invest. (1993), 91 , 53; Lutz et al., Biochem. Biophys. Res. (1998), 243, 503; Biscardi et al., Adv. Cancer Res. (1999), 76, 61; Lynch et al., Leukemia (1993), 7, 1416; Boschelli et al., Drugs of the Future (2000), 25(7), 717)、消化管癌(Cartwright et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1990), 87, 558-562及びMao et al., Oncogene, (1997), 15, 3083-3090)、非小細胞肺癌(NSCLC)(Mazurenko et al., European Journal of Cancer, (1992), 28, 372-7)、膀胱癌(Fanning et al., Cancer Research, (1992), 52, 1457-62)、食道癌(Jankowski et al., Gut, (1992), 33, 1033-8)、前立腺癌及び卵巣癌(Wiener et al., Clin. Cancer Research, (1999), 5, 2164-70)、黒色腫及び肉腫(Bohlen et al., Oncogene, (1993), 8, 2025-2031 ; tatosyan et al., Biochemistry (Moscow) (2000), 65, 49-58)において有意に上昇することが、よく報告されてきた。更に、Srcキナーゼは、EGFR、Her2/neu、PDGFR、FGFR及びVEGFRを含む複数の発癌経路を通してシグナル伝達を調節する(Frame et al., Biochim. Biophys. Acta (2002), 1602, 114-130; Sakamoto et al., Jpn J Cancer Res, (2001), 92: 941-946)。
【0009】
従って、Srcキナーゼ活性の阻害を通してシグナル伝達を遮断することは、細胞の腫瘍への形質転換を駆動する異常な経路を調節する有効な手段になると予想される。Srcキナーゼ阻害剤は有用な抗がん剤であり得る(Abram et al., Exp. Cell Res., (2000), 254, 1)。srcキナーゼ阻害剤が腫瘍細胞株に対して有意な抗増殖活性を有し(M. M. Moasser et al., Cancer Res., (1999), 59, 6145; Tatosyan et al., Biochemistry (Moscow) (2000), 65, 49-58)、腫瘍形成性の表現型への細胞の形質転換を阻害する(R. Karni et al., Oncogene (1999), 18, 4654)ことが報告されている。更に、卵巣及び結腸の腫瘍細胞において発現させたアンチセンスSrcが腫瘍増殖を阻害することが示されている(Wiener et al., Clin. Cancer Res., (1999), 5, 2164; Staley et al., Cell Growth Diff. (1997), 8, 269)。Srcキナーゼ阻害剤は脳虚血の動物モデルにおいても有効であると報告されており(Paul et al. Nature Medicine, (2001), 7, 222)、このことはSrcキナーゼ阻害剤が脳卒中後の脳損傷を制限するのに有効であり得ることを示唆する。関節炎の骨破壊の抑制が、リウマチ滑膜細胞及び破骨細胞においてCSKを過剰発現することにより達成されている(Takayanagi et al., J. Clin. Invest. (1999), 104, 137)。CSK即ちC末端Srcキナーゼは、Srcをリン酸化することによってSrc触媒活性を阻害する。これはSrc阻害により、関節リウマチに罹患している患者において特徴的な関節破壊を予防し得ることを暗示する(Boschelli et al., Drugs of the Future (2000), 25(7), 717)。
【0010】
Srcファミリーキナーゼは、他の免疫細胞受容体の下流のシグナル伝達にも重要であることが十分報告されている。FynはLckのようにT細胞におけるTCRシグナル伝達に関与する(Appleby et al., Cell, (1992), 70, 751)。Hck及びFgrは好中球の活性化につながるFcγ受容体のシグナル伝達に関与する(Vicentini et al., J. Immunol. (2002), 168, 6446)。Lyn及びSrcは、ヒスタミン及び他のアレルギー性メディエーターの放出につながるFcγ受容体のシグナル伝達にも関与する(Turner, H. 及びKinet, J-P Nature (1999), 402, B24)。これらの知見から、Srcファミリーキナーゼ阻害剤はアレルギー性疾患及び喘息の治療に有用であり得ることが示唆される。
【0011】
他のSrcファミリーキナーゼも潜在的治療標的である。LckはT細胞シグナル伝達において役割を果たす。Lck遺伝子を欠くマウスは、胸腺細胞を発達させるための能力が不足している。T細胞シグナル伝達の正の活性化因子としてのLckの機能により、Lck阻害剤は関節リウマチ等の自己免疫疾患の治療に有用であり得ることが示唆される(Molina et al., Nature, (1992), 357, 161)。
【0012】
HckはSrcプロテイン−チロシンキナーゼファミリーのメンバーであり、重要なHIV標的細胞であるマクロファージにおいて強く発現し、HIVに感染したマクロファージ中でそれを阻害することによって、疾患の進行を遅くし得る(Ye et al., Biochemistry, (2004), 43 (50), 15775-15784)。
【0013】
Hck、Fgr及びLynは、骨髄性白血球中のインテグリンシグナル伝達の重要なメディエーターとして同定されている(Lowell et al., J. Leukoc. Biol., (1999), 65, 313)。したがって、これらキナーゼメディエーターの阻害が、炎症治療に有用であり得る(Boschelli et al., Drugs of the Future (2000), 25(7), 717)。
【0014】
Sykは細胞脱顆粒及び好酸球活性化において重要な役割を果たすチロシンキナーゼであり、Sykキナーゼは様々なアレルギー性疾患、特に喘息に関係すると報告されている(Taylor et al., Mol. Cell. Biol (1995), 15, 4149)。
【0015】
BCR−ABLは、全ての慢性骨髄性白血病(CML)患者の90%及び成人の急性リンパ芽球性白血病(ALL)患者の15〜30%に存在する、構成的に活性な細胞質チロシンキナーゼ、BCR−AELタンパク質をコードする。数々の研究により、BCR−ABLの活性がこのキメラタンパク質の癌誘導能に必要であることが証明されている。
【0016】
SrcキナーゼはB型肝炎ウィルスの複製において役割を果たす。ウィルス増殖に必要な段階で、ウィルスにコードされる転写因子HBxがSrcを活性化する(Klein et al., EMBO J. (1999), 18, 5019; Klein et al., Mol. Cell. Biol. (1997), 17, 6427)。いくつかの遺伝学的及び生化学的データにより、Srcファミリーチロシンキナーゼはc−Cblのリン酸化を介して、脂肪蓄積のための重要なシグナル中継として役立ち、肥満治療のための可能性のある新しい戦略を提供することが明瞭に示されている(Sun et al., Biochemistry, (2005), 44 (44), 14455-14462)。Srcは更なるシグナル伝達経路において役割を果たすので、骨粗鬆症及び脳卒中を含む他の疾患の治療のためのSrc阻害剤も追求されている(Susva et al., Trends Pharmacol. Sci. (2000), 21, 489-495; Paul et al., Nat. Med. (2001), 7, 222-227)。
【0017】
Srcキナーゼ活性阻害剤が骨粗鬆症(Soriano et al., Cell (1991), 64, 693; Boyce et al. J Clin. Invest (1992), 90, 1622; Owens et al., Mol. Biol. Cell (2000), 11, 51-64)、T細胞介在性の炎症(Anderson et al., Adv. Immunol. (1994), 56, 151;Goldman, F D et al. J. Clin. Invest. (1998), 102, 421)、及び脳虚血(Paul et al. Nature Medicine (2001), 7, 222)の治療において有用である可能性もある。
【0018】
更に、srcファミリーキナーゼはいくつかのタイプの細胞中でシグナル伝達に関わる。例えば、fynはIckのように、T細胞活性化に関与する。Hck及びfgrは、好中球のFeガンマ受容体介在性の酸化的バーストに関与する。Src及びlynはFcイプシロン誘導性の肥満細胞脱顆粒において重要で、従って喘息及び他のアレルギー性疾患において役割を果たし得ると考えられている。キナーゼlynは紫外線(Hiwasa et al., FEBS Lett. (1999), 444, 173)又はイオン化放射線(Kumar et al., J Biol Chein, (1998), 273, 25654)により誘導されるDNA損傷への細胞応答に関与することが知られている。従って、lynキナーゼ阻害剤は放射線治療における増強剤として有用であり得る。
【0019】
T細胞は、免疫応答の制御においてきわめて重要な役割を果たし、病原体に対する免疫の確立にとって重要である。更にT細胞は、関節リウマチ、炎症性腸疾患、タイプI糖尿病、多発性硬化症、シェーグレン病、重症筋無力症、乾癬、及び狼瘡等の炎症性自己免疫疾患の間にしばしば活性化される。T細胞活性化は移植片拒絶反応、アレルギー反応、及び喘息の重要な構成要素でもある。
【0020】
T細胞は特異的抗原により、細胞表面上に発現しているT細胞受容体を通して活性化される。この活性化で、細胞内に発現している酵素が介在する一連の細胞内シグナル伝達カスケードが誘起される(Kane et al. Current Opinion in Immunol. (2000), 12, 242)。これらのカスケードは、インターロイキン−2(IL−2)のようなサイトカインの生産をもたらす遺伝子制御イベントを引き起こす。IL−2はT細胞活性化に必要なサイトカインであり、特異的免疫応答の拡散及び増幅を引き起こす。
【0021】
従って、Srcキナーゼ及び他のキナーゼは興味深い創薬標的となっている(Parang et al., Expert Opin. Ther. Pat. (2005), 15, 1183-1207; Parang et al., Curr. Opin. Drug Discovery Dev. (2004), 7, 630-638)。キナーゼ関連の状態又は他の疾患の治療用に、キナーゼ活性を調節、又はより具体的には阻害する多くのクラスの化合物が開示されている。例えば、米国特許第6,596,746号及びPCT国際公開第05/096784A2号にはキナーゼ阻害剤としてベンゾトリアンが開示されている;PCT国際公開第01/81311号には、血管形成(angiogenisis)阻害のための置換安息香酸アミドが開示されている;米国特許第6,440,965号には神経変性疾患又は神経疾患の治療における置換ピリミジン誘導体が開示されている;PCT国際公開第02/08205号には神経栄養活性を有するピリミジン誘導体が報告されている;PCT国際公開第03/014111号にはアリールピペラジン類及びアリールピペリジン類並びにそれらのメタロプロテイナーゼ阻害剤としての使用が開示されている;PCT国際公開第03/024448号にはヒストンデアセチラーゼ酵素活性阻害剤としての化合物が記載されている;PCT国際公開第04/058776号には抗血管形成活性を有する化合物が開示されている。PCT国際公開第01/94341号及び国際公開第02/16352号にはキナゾリン誘導体のSrcキナーゼ阻害剤が開示されている。PCT国際公開第03/026666Al号及び国際公開第03/018021A1号にはキナーゼ阻害剤としてのピリミジニル誘導体が開示されている。米国特許第6498165号にはピリミジン化合物のSrcキナーゼ阻害剤化合物が報告されている。Srcチロシンキナーゼ阻害剤としてのペプチドが最近報告されている(Kumar et al., J. Med. Chem., (2006), 49 (11), 3395-3401)。キノリンカルボニトリル誘導体がSrc及びAblキナーゼの強力な二重阻害剤であると報告された(Diane et al., J. Med. Chem. (2004), 47 (7), 1599-1601)。
【0022】
とりわけ興味を引く他のキナーゼファミリーは、Auroraキナーゼである。Auroraキナーゼファミリーは、親から娘細胞へのゲノム物質の正確で等しい分離に重要な有糸分裂の主要調節因子である、高度に関連したセリン/スレオニンキナーゼの一群である。Auroraキナーゼファミリーのメンバーには、Aurora−A、Aurora−B及びAurora−Cとして知られる3つの関連したキナーゼが含まれる。顕著な配列相同性にも関わらず、これらのキナーゼの局在性及び機能は互いに大きく異なっている(Richard D. Carvajal, et al. Clin Cancer Res 2006; 12(23): 6869-6875; Daruka Mahadevan, et al. Expert Opin. Drug Discov. 2007 2(7): 1011-1026)。
【0023】
Aurora−Aは、普遍的に発現し、late S期からM期を経て起こる細胞周期事象[中心体成熟(Berdnik D, et al. Curr Biol 2002; 12: 640-7)、有糸分裂開始(Hirota T, et al. Cell 2003; 114: 585-98; Dutertre S, et al. J Cell Sci 2004; 117: 2523-31)、中心体分離(Marumoto T, et al. J Biol Chem 2003; 278: 51786-95)、二極性紡錘体集合(Kufer TA, et al. J Cell Biol 2002; 158: 617-23; Eyers PA, et al. Curr Biol 2003; 13: 691-7.)、染色体の中期板整列(Marumoto T, et al. J Biol Chem 2003; 278: 51786-95; Kunitoku N, et al. Dev Cell 2003; 5: 853-64.)、細胞質分裂(Marumoto T, et al. J Biol Chem 2003; 278: 51786-95)及び有糸分裂停止を含む]を調節する。Aurora−Aタンパク質レベルおよびキナーゼ活性の両方が、late G2期からM期を経由して増加し、前中期において最大の活性となる。一度活性化されると、Aurora−Aは、セントロソミン(centrosomin)、形質転換酸性コイルドコイルタンパク質、cdc25b、Eg5及びセントロメアタンパク質Aを含む様々な基質と相互作用することにより、その多機能を調節する。
【0024】
Aurora−Bは、正確な染色体分離、細胞質分裂(Hauf S, et al. J Cell Biol 2003; 161: 281-94; Ditchfield C, et al. J Cell Biol 2003; 161: 267-80; Giet R, et al. J Cell Biol 2001; 152: 669-82; Goto H, et al. J Biol Chem 2003; 278: 8526-30)、セントロメア及び動原体へのタンパク質局在化、正しい微小管−動原体結合(Murata-Hori M, et al. Curr Biol 2002; 12: 894-9)及び有糸分裂チェックポイントの制御に重要な染色体パッセンジャータンパク質である。Aurora−Bは、前期の間、初めに染色体に局在し、その後、前中期及び中期の間、姉妹染色分体間のインナーセントロメア領域に局在する(Zeitlin SG, et al. J Cell Biol 2001; 155: 1147-57)。Aurora−Bは、染色体の両方向性(すなわち、姉妹動原体がamphitelic結合を介して二極性紡錘体の反対極に結合する状態)の確立に関与する。この過程での誤りは、メロテリック結合状態(両極からの微小管に結合した1つの動原体)又はシンテリック結合状態(同極からの微小管に結合した両方の姉妹動原体)として現れ、後期の開始前に修正されなければ、染色体不安定性及び異数性をもたらす。有糸分裂のこの点におけるAurora−Bの主な役割は、不正確な微小管−動原体結合を修復することである(Hauf S, et al. J Cell Biol 2003; 161: 281-94; Ditchfield C, et al. J Cell Biol 2003; 161: 267-80; Lan W, et al. Curr Biol 2004; 14: 273-86.)。Aurora−B活性がなければ有糸分裂チェックポイントは危険にさらされ、不正確な数の異数性細胞、遺伝的不安定性及び腫瘍形成が起こる(Weaver BA, et al. Cancer Cell 2005; 8: 7-12)。
【0025】
Aurora−Aの過剰発現は、Aurora−A誘導腫瘍形成の必須の特徴である。Aurora−Aの過剰発現を伴う細胞においては、有糸分裂は多数の中心体及び多極紡錘体の存在により特徴付けられる(Meraldi P et al. EMBO J 2002; 21: 483-92.)。結果として起こる異常な微小管−動原体結合にも関わらず、細胞は有糸分裂チェックポイントを無効にし、中期から後期まで進行し、多数の染色体分離不備を起こす。これらの細胞は、細胞質分裂を受け損ない、付加的な細胞周期を伴い、倍数性及び進行性の染色体不安定性が進行する(Anand S, et al. Cancer Cell 2003; 3: 51-62)。
【0026】
Aurora過剰発現と悪性腫瘍を結び付ける証拠は、癌治療におけるAurora阻害剤の開発に興味を与えた。正常細胞では、Aurora−A阻害により、有糸分裂開始が遅延(阻害でななく)し、中心体分離不備(単極性の有糸分裂紡錘体へと導く)及び細胞質分裂の不全が起こる(Marumoto T, et al. J Biol Chem 2003; 278: 51786-95)。Aurora−A阻害による有望な抗腫瘍効果が、細胞培養における増殖抑制、及びマウス異種移植における発癌性のほぼ解消を伴い、3つのヒト膵臓癌細胞株(Panc-1、MIA PaCa-2及びSU.86.86)において示された(Hata T, et al. Cancer Res 2005; 65: 2899-905.)。
【0027】
Aurora−B阻害は、異常な微小管−動原体結合、染色体二極性の確立の不備、及び細胞質分裂の不全を起こす(Goto H, et al. J Biol Chem 2003; 278: 8526-30; Severson AF, et al. Curr Biol 2000; 10: 1162-71)。細胞質分裂を伴わない異常な有糸分裂の再発性の周期は、重度の倍数性を起こし、最終的にはアポトーシスへと導く(Hauf S, et al. J Cell Biol 2003; 161: 281-94; Ditchfield C, et al. J Cell Biol 2003; 161: 267-80; Giet R, et al. J Cell Biol 2001; 152: 669-82; Murata-Hori M, Curr Biol 2002; 12: 894-9; Kallio MJ, et al. Curr Biol 2002; 12: 900-5)。
【0028】
腫瘍細胞におけるAurora−A又はAurora−B活性の阻害は、染色体整列の障害、有糸分裂チェックポイントの停止、倍数性及びそれに続く細胞死を起こす。これらのインビトロ効果は、形質転換されていない細胞又は分裂していない細胞のいずれかよりも、形質転換細胞において大きい(Ditchfield C, et al. J Cell Biol 2003; 161: 267-80)。従って、Auroraをターゲティングすることにより、癌におけるインビボ選択性を達成し得る。造血系及び胃腸系の急速に分裂する細胞への毒性が予想されるが、異種移植モデルにおいて示される活性および臨床上の認容性は、十分な治療指数の存在を示すものである。
【0029】
臨床前の抗腫瘍活性及び腫瘍選択性の可能性を考慮すると、いくつかのAuroraキナーゼ阻害剤が開発されてきた。開示された最初の3つの小分子Aurora阻害剤は、ZM447439(Ditchfield C, et al. J Cell Biol 2003; 161: 267-80)、ヘスペラジン(Hesperadin)(Hauf S, et al. J Cell Biol 2003; 161: 281-94)及びMK0457(VX680)(Harrington EA, et al. Nat Med 2004; 10: 262-7)を含む。以下の薬剤は、非選択的阻害剤である:ZM447439はAurora−A及びAurora−Bを阻害する;ヘスペラジンは主にAurora−Bを阻害する;MK0457は3つのAuroraキナーゼ全てを阻害する。それぞれは、細胞に基づくアッセイにおいて同様の表現型を誘導し、それはSer10のヒストンH3のリン酸化反応の阻害、細胞質分裂の阻害、及び倍数性の進行により特徴付けられる。また、Auroraの選択的阻害剤も開発されてきた。選択的Aurora−A阻害剤はMLN8054である(Hoar HM, et al. [abstract C40]. Proc AACR-NCI-EORTC International Conference: Molecular Targets and Cancer Therapeutics 2005)。選択的Aurora−B阻害剤の例は、AZD1152である(Schellens J, et al. [abstract 3008]. Proc Am Soc Clin Oncol 2006; 24: 122s)。今や次世代のAurora阻害剤が開発されており、Nerviano Medical Sciences(PHA-680632及びPHA-739358)、Rigel(R763)、Sunesis(SNS-314)、NCE Discovery Ltd.(NCED#17)、Astex Therapeutics(AT9283)及びMontigen Pharmaceuticals(MP-235及びMP-529)による薬剤を含む。これらの薬剤のいくつかは、臨床試験において評価を受けているところである。
【0030】
多くの癌は、細胞内シグナル伝達経路における障害に特徴があり、これにより癌性細胞の制御されない成長及び増殖を引き起こす。受容体型チロシンキナーゼ(RTK)は、これらのシグナル伝達経路において重要な役割を担い、細胞外の分子シグナルを細胞質及び/又は細胞核中に伝達する。RTKは、一般的に細胞外のリガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び触媒の細胞質チロシンキナーゼドメインを含む膜貫通タンパク質である。リガンドの細胞外タンパク質への結合は、二量体化を促進し、リン酸転移及び細胞内チロシンキナーゼドメインの活性化を起こすと考えられている(Schlessinger et al. Neuron 1992; 9: 383-391)。
【0031】
とりわけ興味を引く他のキナーゼファミリーは、FLT3である。FMS関連チロシンキナーゼ3(FLT3)は、FLK−2(胎児肝臓キナーゼ2)及びSTK−1(ヒト幹細胞キナーゼ1)としても知られ、KIT、PDGFR、FMS及びFLT1(Stirewalt DL, et al. Nat. Rev. Cancer 2003; 3: 650-665; Rosnet O, et al. Genomics 1991; 9: 380-385; Yarden Y, et al. Nature 1986; 323: 226-232; Stanley E R, et. al. J. Cell. Biochem. 1983 21: 151-159; Yarden Y, et al. EMBO J 1987; 6: 3341-3351)を含むクラスIII受容体チロシンキナーゼ(RTKIII)ファミリーに属する。FLT3は、膜貫通タンパク質であり、4つのドメインからなる;5つの免疫グロブリン様構造からなる細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通(TM)ドメイン、膜近傍(JM)ドメイン及び細胞質C末端チロシンキナーゼ(TK)ドメイン(Agnes F, et al. Gene 1994; 145: 283-288; Scheijen B, et al. Oncogene 2002; 21: 3314-3333)。
【0032】
FLT3(FLT3又はFL)のリガンドは、1993年にクローニングされ、骨髄線維芽細胞及び他の細胞を含む造血骨髄の微小環境の細胞において発現するI型膜貫通タンパク質であることが示された(Lyman SD, et al. Cell 1993; 75: 1157-1167)。膜結合及び可溶型の両方が受容体のチロシンキナーゼ活性を活性化し、髄及び血液中の前駆細胞の増殖を刺激し得る。リガンドの受容体への結合は、受容体の二量体化及びキナーゼドメインの活性化を誘導し;その後、自己リン酸化し、細胞増殖、分化及び生存において重要な役割を担う、シグナル伝達性転写因子5(STAT5)、RAS/マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(RAS/MAPK)、ホスホイノシチド 3−キナーゼ(PI3K)、src類似体及びコラーゲン遺伝子(SHC)、SH2含有イノシトール−5−ホスファターゼ(SHIP)、及び2Src相同性2(SH2)ドメイン(SHP2)を有する細胞質チロシンホスファターゼのような様々なシグナル伝達経路の基質タンパク質のリン酸化を触媒する(Dosil M, et al. Mol Cell Biol 1993; 13: 6572-6585. Zhang S, Biochem Biophys Res Commun 1999; 254: 440-445)。造血細胞に加え、FLT3遺伝子もまた胎盤、生殖腺及び脳において発現し(Maroc N, et al. Oncogene 1993; 8: 909-918)、免疫反応において重要な役割も果たす(deLapeyriere O, et al. Leukemia 1995; 9: 1212-1218)。
【0033】
FLT3は、急性骨髄性白血病(AML)の70〜100%のケース、及びT急性リンパ性白血病(ALL)のケースの高い割合で過剰発現する(Griffin JD, et al. Haematol J. 2004; 5: 188-190)。また、それは、急性転化における慢性骨髄性白血病(CML)においても、より少ない割合で過剰発現する。研究により、B系列ALL及びAMLの白血病細胞は高い頻度でFLを共発現し、自己分泌又はパラクリンシグナル伝達ループを構築し、FLT3の構成的活性化を引き起こすことが示された(Zheng R, et. al. Blood. 2004; 103: 267-274)。
【0034】
多くの種の白血病及び骨髄増殖性症候群が、チロシンキナーゼに変異を有するという証拠が急速に蓄積されている。FLT3変異は、AMLにおける最も頻度の高い体細胞変異の1つであり、およそ1/3の患者において起こる。白血病の患者において、FLT3変異の活性化には2種存在することが開示されている。これらは、自己阻害膜近傍ドメイン内に起こる遺伝子内縦列重複(ITD)のスペクトル(Nakao M, et al. Leukemia 1996; 10: 1911-1918; Thiede C, et al. Blood 2002; 99: 4326-4335)、及び活性化ループ変異[Asp835Tyr(D835Y)、Asp835Val(D835V)、Asp835His(D835H)、Asp835Glu(D835E)、Asp835Ala(D835A)、Asp835Asn(D835N)、Asp835欠失及びIle836欠失を含む]を含む(Yamamoto Y, et al., Blood 2001: 97: 2434-2439; Abu-Duhier FM, et al. Br. J. Haematol. 2001; 113: 983-988)。JMドメイン内の遺伝子内縦列重複(ITD)変異は、AMLにおけるFLT3活性化変異の約17〜34%に寄与する。FLT3−ITDはまた、骨髄異形成症候群(MDS)において、低い頻度で検出された(Yokota S, et al. Leukemia 1997; 11: 1605-1609; Horiike S, et al. Leukemia 1997; 11: 1442-1446)。ITDは常にインフレームであり、JMドメインに限定される。しかしながら、それらは患者によって長さ及び位置が異なる。これらの反復配列は、JMドメインの自己阻害活性を妨げるように働き、FLT3の構成的活性化をもたらし得る。FLT3−ITD及びFLT3−Asp835変異の両方が、FLT3自己リン酸化及び下流標的のリン酸化に関与する(Mizuki M, et al. Blood 2000; 96: 3907-3914; Mizuki M, et al. Blood 2003; 101: 3164-3173; Hayakawa F, et al. Oncogene 2000; 19: 624-631)。
【0035】
FLT3の阻害は、目下研究されており、再発性又は難治性AML患者(何人か又は全員がFLT3変異を有する)における単剤療法として臨床試験に到達した。PKC412(N−ベンゾイルスタウロスポリン)(Fabbro D, et al. Anticancer Drug Des 2000; 15: 17-28; Weisberg E, et al. Cancer Cell 2002; 1: 433-443)、CT53518(MLN518としても知られる)(Kelly LM, et al. Cancer Cell 2002; 1: 421-432)、SU11248(O'Farrell AM, et al. Blood 2003; 101: 3597-3605)、SU5614(Spiekermann K, et al. Blood 2003; 101: 1494-1504)及びSU5416(Giles FJ, et al. Blood 2003; 102: 795-801)のようなFLT3阻害剤は、抗腫瘍活性を有することが示された。まとめると、これらのデータは、FLT3が、AML及び他の関連する疾患におけるキナーゼ阻害剤の開発における魅力的な治療ターゲットであることを示唆するものである。
【0036】
プロテインキナーゼに関連する状態の多くにおいて、現在利用可能な治療選択肢が不足しておることを考慮すると、これらのタンパク質ターゲットを阻害する新規の治療剤がなお大いに必要である。特に、Auroraキナーゼ阻害剤は、癌を含むいくつかの障害の治療において、特に興味深い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
発明の要旨
従って、式(I)に記載のトリアジン誘導体を含む抗癌剤、医薬上許容されるそれらの製剤、新規化合物の作製方法、並びに当該化合物を使用するための組成物を提供することが本発明の目的である。当該化合物及び式(I)の化合物を含む組成物は種々の疾患の治療において役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0038】
式(I)のトリアジン誘導体及び他の治療剤を別個の医薬製剤として調製し、続いてそれらを患者に同時に、ほぼ同時(semi-simultaneously)に、別個に又は一定の間隔で投与することにより、本明細書中に記載される併用療法が提供され得る。
【0039】
本発明は、例えば癌、及び心筋梗塞(MI)、脳卒中、又は虚血等の血管障害といった様々な疾患、障害、及び病態の治療における、キナーゼ阻害剤等のいくつかの化合物の使用方法を提供する。本発明中に記載のトリアジン化合物は、他の受容体型及び非受容体型キナーゼ活性を遮断するのに加えて、いくつか又は多くのAuroraキナーゼファミリーメンバーの酵素活性を遮断し得る。そのような化合物は、障害が細胞の運動、接着、及び細胞周期の進行に影響する疾患の治療に加えて、関連する低酸素状態、骨粗鬆症、並びに血管透過性の上昇、炎症又は呼吸困難、腫瘍増殖、浸潤、血管形成、転移及びアポトーシスに起因するか、又はそれらに関連する状態を伴う疾患の治療にとって有益であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な説明
本発明は、式(I)に示される化合物又はその医薬上許容される塩に関する:
【0041】
【化1】

【0042】
[式中、
W及びYは、独立して、S、O、NR又はCRから選択され;
は、独立して、水素又は置換されていてもよいC1−4脂肪族基から選択され;
Kは、−NR、O又はSから選択され;
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルチオ、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル及びアルキルカルボニルを示し;
は、
(i)それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、
(ii)アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、
(iii)式(Ia):
【0043】
【化2】

【0044】
(式中、
は、水素、C−Cアルキル、オキソを示し;
が水素のときXはCHであるか;又はX−RがOであるか;又は、XがNであり、Rが、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、モノ−及びジ−(C−Cシクロアルキル)アミノC−Cアルキル、(4〜7員複素環)C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、並びにモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルの基を示す。)の基
から選択され;
は、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキルである。]
【0045】
以降の定義で上記及び開示全体で用いる種々の用語に言及する。
【0046】
本明細書中、化合物は通常標準的な命名法を用いて記載される。不斉中心を有する化合物については、(別段の定めがない限り)全ての光学異性体及びそれらの混合物が包含されると理解されるべきである。更に、炭素−炭素二重結合を伴う化合物は、Z体であってもE体であってもよく、別段の定めがない限り当該化合物の全ての異性型を本発明中に含める。化合物が様々な互変異性型で存在する場合は、列挙された化合物はいずれか1つの特定の互変異性体に限定されず、むしろ全ての互変異性型を含むことが意図される。本明細書中、いくつかの化合物は可変基(variables;例、X、Ar)を含む一般式を用いて記載される。別段の定めがない限り、そのような式中の各可変基は任意の他の可変基と独立に定義され、且つ式中二度以上現れる可変基は全て出現のたびごとに独立に定義される。
【0047】
用語「ハロ」又は「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0048】
本明細書中、別段の定めがない限り、単独での又は他の基の一部としての用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子を含有する一価のアルカン(炭化水素)由来の基(radical)を指す。アルキル基は任意の利用可能な結合点で置換されてもよい。別のアルキル基で置換されたアルキル基は「分枝鎖アルキル基」としても言及される。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が挙げられる。例示的な置換基としては以下の1以上の基が挙げられるが、これらに限定されない:アルキル、アリール、ハロ(F、Cl、Br、I等)、ハロアルキル(CCl又はCF等)、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシ、カルボキシ(−COOH)、アルキルオキシカルボニル(−C(O)R)、アルキルカルボニルオキシ(−OCOR)、アミノ(−NH2)、カルバモイル(−NHCOOR−又は−OCONHR−)、尿素(−NHCONHR−)又はチオール(−SH)。本発明のいくつかの好ましい実施形態においては、アルキル基は例えば、アミノ、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、アゼチジン等のヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、メトキシ、又はピロリジン等のヘテロアリール基で置換される。
【0049】
本明細書中、単独での又は他の基の一部としての用語「シクロアルキル」は、3〜9個、好ましくは3〜7個の炭素原子の完全飽和又は部分不飽和の炭化水素環を指す。例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等が挙げられる。更に、シクロアルキルは置換されていてもよい。置換シクロアルキルは、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、オキソ(=O)、ヒドロキシ、アルコキシ、チオアルキル、−COH、−C(=O)H、CO−アルキル、−C(=O)アルキル、ケト、=N−OH、=N−O−アルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、−NR’R’’、−C(=O)NR’R’’、−CONR’R’’、−C(=O)NR’R’’、−NR’COR’’、−NR’C(=O)R’’、−SONR’R’’、及び−NR’SOR’’(式中、R’及びR’’のそれぞれは水素、アルキル、置換アルキル、及びシクロアルキルから独立に選ばれるか、又はR’及びR’’は一緒になって複素環又はヘテロアリール環を形成する)よりなる群から選ばれる1、2、又は3個の置換基を有するような環を指す。
【0050】
本明細書中、単独での又は他の基の一部としての用語「アルケニル」は、2〜12個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭化水素基を指す。そのような基の例としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル等が挙げられる。アルケニル基は利用可能ないずれの結合点で置換されていてもよい。アルケニル基の例示的な置換基には、アルキル基について上で列挙されたものが挙げられ、特にシクロプロピル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のC〜Cシクロアルキル基であって、例えばアミノ、オキソ、ヒドロキシル等で更に置換されていてもよいシクロアルキル基が挙げられる。
【0051】
用語「アルキニル」は、1つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有し、そのうちの少なくとも1つが三重結合である、直鎖又は分枝鎖のアルキン基を指す。アルキニル基には、C−Cアルキニル、C−Cアルキニル及びC−Cアルキニル基が含まれ、これらはそれぞれ、2〜8、2〜6又は2〜4個の炭素原子を有する。アルキニル基の例としては、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルが挙げられる。アルキニル基は利用可能ないずれの結合点で置換されていてもよい。アルキニル基の例示的な置換基には、アミノ、アルキルアミノ等の、アルキル基について上で列挙されたものが挙げられる。記号「C」後の下付き文字での数字は、個々の基が含有できる炭素原子数を規定する。
【0052】
単独での又は他の基の一部としての用語「アルコキシ」は、酸素連結(−O−)を通して結合した、上記のようなアルキル基を意味する。好ましいアルコキシ基は1〜8個の炭素原子を有する。そのような基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ及び2−エチルヘキシルオキシが挙げられる。
【0053】
用語「アルキルチオ」は硫黄架橋を介して結合した上記のようなアルキル基を指す。好ましいアルコキシ基及びアルキルチオ基は、アルキル基がヘテロ原子架橋を介して結合するものである。好ましいアルキルチオ基は1〜8個の炭素原子を有する。そのような基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピチオール(propythiol)、n−ブチルチオール等が挙げられる。
【0054】
用語「オキソ」は本明細書で使用する場合、ケト(C=O)基を指す。非芳香族炭素原子の置換基であるオキソ基は、−CH−の−C(=O)−への転換をもたらす。
【0055】
本明細書中、単独での又は他の基の一部としての用語「アルコキシカルボニル」は、カルボニル基を通して結合したアルコキシ基を意味する。アルコキシカルボニル基は式:−C(O)OR(式中、R基は直鎖又は分枝鎖C−Cアルキル基、シクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである)により表される。
【0056】
本明細書中、単独での又は他の基の一部としての用語「アルキルカルボニル」は、カルボニル基即ち−C(O)Rを通して結合したアルキル基を指す。
【0057】
本明細書中、単独での又は他の基の一部としての用語「アリールアルキル」は、上記のようなアルキル基を通して結合した芳香族環(ベンジル基等)を意味する。
【0058】
本明細書中、単独での又は他の基の一部としての用語「アリール」は、単環式又は二環式の芳香族環(例、フェニル、置換フェニル等)及び縮合した基(例、ナフチル、フェナントレニル等)を指す。従ってアリール基は、少なくとも6原子を有する少なくとも1つの環を含み、そのような環が最大で5つ存在し、そこには最大で20個の原子が含まれ、隣接する炭素原子間又は好適なヘテロ原子間の交互の(共鳴した)二重結合を有する。アリール基は、I、Br、F、又はCl等のハロゲン;メチル、エチル、プロピル等のアルキル;メトキシ又はエトキシ等のアルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、アルキルオキシカルボニル、ニトロ、アルケニルオキシ、トリフルオロメチル、アミノ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、アルキルS(O)(m=O、1、2)、又はチオールを含むがこれらに限定されない1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0059】
用語「芳香族」は、非局在化により、ケクレ構造等の仮想的な局在構造よりも安定性が有意に高い、環状に結合した分子実体を指す。
【0060】
本明細書中、単独での又は他の基の一部としての用語「アミノ」は、−NHを指す。「アミノ」は、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロへテロアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、チオアルキル、カルボニル又はカルボキシル等の、同一であっても異なっていてもよい1つ又は2つの置換基で置換されていてもよい。これらの置換基は、カルボン酸、本明細書中で提示するアルキル又はアリール置換基のいずれかで更に置換されていてもよい。ある実施形態においては、アミノ基はカルボキシル又はカルボニルで置換されて、N−アシル誘導体又はN−カルバモイル誘導体を形成する。
【0061】
用語「アルキルスルホニル」は、硫黄原子が結合点である式(SO)−アルキルの基を指す。好ましくはアルキルスルホニル基は、1〜6個の炭素原子を有するC−Cアルキルスルホニル基を含む。メチルスルホニルは1つの代表的なアルキルスルホニル基である。
【0062】
用語「ヘテロ原子」は、炭素以外の任意の原子、例えばN、O、又はSを指す。
【0063】
本明細書中、単独での又は他の基の一部としての用語「ヘテロアリール」は、置換された、又は置換されていない、5又は6員の単環式芳香族基、9又は10員の二環式芳香族基、及び11〜14員の三環式芳香族基であって、少なくとも1つのヘテロ原子(O、S又はN)を環のうちの少なくとも1つの中に有する基を指す。ヘテロ原子を含有するヘテロアリール基の環はそれぞれ、各環中の合計ヘテロ原子数が4以下で且つ各環が少なくとも1つの炭素原子を有するという条件で、1個又は2個の酸素又は硫黄原子及び/或いは1〜4個の窒素原子を含有できる。
【0064】
二環式及び三環式の基を完成させる縮合環は炭素原子のみを含んでいてもよく、且つ飽和、部分飽和、又は不飽和であってもよい。窒素原子及び硫黄原子は酸化されていてもよく、窒素原子は4級化されていてもよい。二環式又は三環式のヘテロアリール基は少なくとも1つの完全に芳香族の環を含まなければならないが、他の縮合環は芳香族でも非芳香族でもよい。ヘテロアリール基は任意の環の利用可能ないずれの窒素原子又は炭素原子に結合していてもよい。ヘテロアリール環系はハロ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、チオアルキル、−COH、−C(=O)H、CO−アルキル、−C(=O)アルキル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルオキシ、フェニルチオ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール、−NR’R’’、−C(=O)NR’R’’、−CONR’R’’、−C(=O)NR’R’’、−NR’COR’’、−NR’C(=O)R’’、−SONR’R’’、及び−NR’SOR’’(式中、R’及びR’’は、水素、アルキル、置換アルキル、及びシクロアルキルからそれぞれ独立して選ばれるか、又はR’及びR’’は一緒になって複素環又はヘテロアリール環を形成する)よりなる群から選ばれる0、1、2、又は3個の置換基を含有してもよい。
【0065】
好ましくは、単環式ヘテロアリール基としては、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、ジアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、S イソチアゾリル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、及びトリアジニル等が挙げられる。
【0066】
二環式へテロアリール基としては、好ましくはインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾキサキソリル(benzoxaxolyl)、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、ジヒドロイソインドリル、及びテトラヒドロキノリニル等が挙げられる。
【0067】
三環式へテロアリール基としては、好ましくはカルバゾリル、ベンジドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、及びキサンテニル等が挙げられる。
【0068】
本明細書では、単独での又は他の基の一部としての用語「複素環」又は「ヘテロシクロアルキル」は、環中の炭素原子の1つがO、S又はNから選ばれるヘテロ原子で置換されたシクロアルキル基(非芳香族)を指す。「複素環」は1〜3個の縮合環、ペンダント環又はスピロ環を有し、そのうちの少なくとも1つが複素環(即ち、1つ以上の環原子がへテロ原子で、残りの環原子が炭素である)である。複素環は置換されていてもよいが、これは複素環がアルキル(好ましくは、低級アルキル)、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ(好ましくは、低級アルコキシ)、ニトロ、モノアルキルアミノ(好ましくは、低級アルキルアミノ)、ジアルキルアミノ(好ましくは、アルキルアミノ)、シアノ、ハロ、ハロアルキル(好ましくは、トリフルオロメチル)、アルカノイル、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミド(好ましくは、低級アルキルアミド)、アルコキシアルキル(好ましくは、低級アルコキシ;低級アルキル)、アルコキシカルボニル(好ましくは、低級アルコキシカルボニル)、アルキルカルボニルオキシ(好ましくは、低級アルキルカルボニルオキシ)及びアリール(好ましくは、フェニル;当該アリールはハロ、低級アルキル及び低級アルコキシ基で置換されていてもよい)から独立に選ばれる1以上の基で、環の1以上の置換可能な位置で置換されてもよいことを意味する。複素環基は一般的に、安定な化合物を生じるという条件で、いずれの環原子又は置換基原子を介して結合してもよい。N−結合型複素環基は成分窒素原子を介して結合する。
【0069】
典型的には、複素環は1〜4個のへテロ原子を含み;いくつかの実施形態中では各複素環が1環当たり1個又は2個のヘテロ原子を有する。一般的に、各複素環は3〜8環員を含有し(7環員までを有する環がいくつかの実施形態で列挙される)、縮合環、ペンダント環又はスピロ環を含む複素環は典型的に、炭素原子から成り、且つ窒素、酸素及び/又は硫黄から選ばれる1、2、又は3個のヘテロ原子を含有する9〜14環員を含有する。
【0070】
「複素環」基又は「ヘテロシクロアルキル基の例としては、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジン、イミダゾリジン及びチアゾリドが挙げられる。
【0071】
用語「置換基」は、本明細書中で用いる場合、対象とする分子内の特定の原子に共有結合する分子の部分を指す。例えば、「環置換基」は環員の原子(好ましくは、炭素原子又は窒素原子)に共有結合する、本明細書で論じるハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基又は他の基等の部分であってもよい。
【0072】
用語「置換されていてもよい」とは、アリール又は複素環基又は他の基が、アルキル(好ましくは、低級アルキル)、アルコキシ(好ましくは、低級アルコキシ)、ニトロ、モノアルキルアミノ(好ましくは、1〜6個の炭素を有する)、ジアルキルアミノ(好ましくは、1〜6個の炭素を有する)、シアノ、ハロ、ハロアルキル(好ましくは、トリフルオロメチル)、アルカノイル、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミド(好ましくは、低級アルキルアミド)、アルコキシアルキル(好ましくは、低級アルコキシ及び低級アルキル)、アルコキシカルボニル(好ましくは、低級アルコキシカルボニル)、アルキルカルボニルオキシ(好ましくは、低級アルキルカルボニルオキシ)及びアリール(好ましくはフェニル;当該アリールはハロ、低級アルキル及び低級アルコキシ基で置換されていてもよい)から独立に選ばれる1以上の基によって、1以上の置換可能な位置において置換されてもよいことを指す。任意の置換は「0〜X個の置換基で置換される」(式中、Xは可能な置換基の最大数である)との表現によっても示される。ある置換されてもよい基は、独立に選ばれた0〜2、3又は4個の置換基で置換される。
【0073】
2つの文字間又は記号間にないダッシュ(「−」)は、置換基の結合点を表示するために用いられる。例えば、−CONHは炭素原子を通して結合する。
【0074】
複素環の内部に位置するダッシュの環は、共役系を示すために使用する。2つの原子間の結合は、単結合であっても二重結合であってもよい。
【0075】
用語「抗癌」剤には、癌の治療に有用なあらゆる公知の剤が含まれ、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン(AcrQnine);アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィド ジメシレート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトール メシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニン メシレート;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン(Eflomithine);エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;ヨード化ケシ油エチルエステル I 131;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;フォスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;金 Au 198;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン;インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−n1;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−Ia;インターフェロンガンマ−Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール(Safmgol);塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;塩化ストロンチウム Sr 89;スロフェヌル;タリソマイシン;タキサン;タキソイド;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;塩酸トポテカン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び塩酸ゾルビシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
用語「キナーゼ」はタンパク質残基へのリン酸基の付加を触媒する任意の酵素を指す;例えば、セリン及びスレオニンキナーゼはセリン及びスレオニン残基へのリン酸基の付加を触媒する。
【0077】
用語「Srcキナーゼ」、「Srcキナーゼファミリー」、及び「Srcファミリー」は、例えばc−Src、Fyn、Yes及びLynキナーゼ並びに造血限定のキナーゼHck、Fgr、Lck及びBlkを含む、哺乳動物のSrcキナーゼファミリーに属する関連のホモログ又はアナログを指す。
【0078】
用語「治療上有効量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により追及されている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答(例、血管恒常性の回復又は維持或いは血管恒常性の(or)障害又は喪失の予防;腫瘍量の低減;疾病率及び/又は死亡率の低減)を引き起こす、化合物又は医薬組成物の量を指す。
【0079】
用語「医薬上許容される」は、担体、希釈剤又は賦形剤に製剤の他の成分と適合性がなくてはならず、且つその受容者に有害であってはならないということを指す。
【0080】
用語「化合物の投与」又は「化合物を投与すること」は、本発明の化合物又は医薬組成物を治療を必要とする対象に与える行為を指す。
【0081】
用語「保護された」は、当該保護された部位において、望まれない副反応を不可能にするために、基が修飾された形態であることを指す。本発明の化合物に好適な保護基は当該技術の水準を考慮に入れて本出願から、及びGreene, T. W. et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York(1999)等の標準的な教科書を参照して理解されるであろう。
【0082】
本明細書中で列挙された化合物についての、用語「医薬上許容される塩」は、過度の毒性又は発癌性なく、且つ好ましくは刺激、アレルギー反応、或いは他の問題又は合併症なく、ヒト又は動物の組織と接触させて使用するのに適した酸又は塩基の塩である。そのような塩としては、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩及び有機酸塩、並びにカルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩が挙げられる。具体的な医薬塩としては、塩酸、リン酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、アルカン酸(酢酸、HOOC−(CH−COOH(式中、nは0〜4である)等)等の酸の塩が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、医薬上許容される陽イオンとしてはナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は本明細書中で提供される化合物の更なる医薬上許容される塩を把握するであろう。一般的に、医薬上許容される酸又は塩基の塩は、任意の従来の化学的方法によって、塩基部分又は酸部分を含有する親化合物から合成できる。端的には、そのような塩は、これら化合物の遊離酸又は塩基形態を、水中又は有機溶媒中、或いはその2つの混合物中(一般的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリル等の非水性媒体の使用が好ましい)で化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製できる。式Iの各化合物は、それが必要というわけではないが、水和物、溶媒和物又は非共有結合性の複合体として製剤化され得ることは明らかであろう。更に、様々な結晶形態及び結晶多形が本発明の範囲内である。式Iの化合物のプロドラッグもまた、本明細書中で提供される。
【0083】
用語「プロドラッグ」は、本明細書中で提供される化合物の構造的な要件を完全には満たさなくてもよいが、患者への投与後にin vivoで修飾されて式Iの化合物又は本明細書中で提供される他の式の化合物を生成する化合物を指す。例えば、プロドラッグは本明細書中で提供される化合物のアシル化誘導体であってもよい。プロドラッグとしては、いずれかの基にヒドロキシ、アミン又はチオール基が結合し、対象哺乳動物に投与した場合、開裂して遊離ヒドロキシ、アミノ、又はチオール基をそれぞれ形成する化合物が挙げられる。プロドラッグの例としては、本明細書中で提供される化合物中のアルコール及びアミン官能基の、酢酸塩、ギ酸塩及び安息香酸塩の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で提供される化合物のプロドラッグは、in vivoで開裂して親化合物を生じるように、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製されてもよい。
【0084】
「置換されていてもよい」基は、置換されていないか、又は1以上の利用可能な位置で水素以外により置換されている。そのような任意の置換基としては、例えば、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルチオ、アミノ、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cハロアルキル、−COOH、−CONH、モノ−又はジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニル、−SONH並びに/或いはモノ又はジ(C−Cアルキル)スルホンアミド、並びに炭素環基及び複素環基が挙げられる。
【0085】
任意の置換は「0〜X個の置換基で置換される」(式中、Xは可能な置換基の最大数である)との表現によっても示される。ある置換されてもよい基は、独立に選ばれた0〜2、3又は4個の置換基で置換される。
【0086】
式Iの好ましいR基は以下に列挙される:
−H、−CH、−CHCH、−CH=CHCH、−CHCHCH、−CHCHCHCH、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、tert−ブチル、フェニル(−Ph)、−CHOH、−COOCHCH、−Cl、−F、−Br。
【0087】
式(I)の好ましいR基は以下に列挙される:
【0088】
【化3】

【0089】
式(I)の好ましいR基は以下に列挙される:
【0090】
【化4】

【0091】
好ましくは、本発明の化合物は、
式(I)のR基が、以下に列挙され:
−H、−CH、−CHCH、−CH=CHCH、−CHCHCH、−CHCHCHCH、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、tert−ブチル、フェニル(−Ph)、−CHOH、−COOCHCH、−Cl、−F、−Br;
W及びYが、独立して、S、O、NR又はCRから選択され;
が、独立して、水素又は置換されていてもよいC1−4脂肪族基から選択され;
Kが、−NR、O又はSから選択され;
が、
(i)それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、
(ii)アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、
(iii)式(Ia):
【0092】
【化5】

【0093】
(式中、
は、水素、C−Cアルキル、オキソを示し;
が水素のときXはCHであるか;又はX−RがOであるか;又は、XがNであり、Rが、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、モノ−及びジ−(C−Cシクロアルキル)アミノC−Cアルキル、(4〜7員複素環)C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、並びにモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルの基を示す。)の基
から選択され;
が、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキルである、式(I)の化合物であり得る。
【0094】
より好ましくは、本発明の化合物は、
が、−CH、−CHCH、−CH=CHCH、−CHCHCH、−CHCHCHCH、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、フェニル(−Ph)、−CHOH、−Cl、−F、−Brを示し;
W及びYが、独立して、S、O、NR又はCRから選択され;
が、独立して、水素又は置換されていてもよいC1−4脂肪族基から選択され;
Kが、−NR、O又はSから選択され;
が、
(i)それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、
(ii)アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、
(iii)式(Ia):
【0095】
【化6】

【0096】
(式中、
は、水素、C−Cアルキル、オキソを示し;
が水素のときXはCHであるか;又はX−RがOであるか;又は、XがNであり、Rが、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、モノ−及びジ−(C−Cシクロアルキル)アミノC−Cアルキル、(4〜7員複素環)C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、並びにモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルの基を示す。)の基
から選択され;
が、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキルである、式(I)の化合物であり得る。
【0097】
最も好ましくは、本発明の化合物は、
が、−CH、−CHCH、−CH=CHCH、イソプロピル、シクロプロピル、フェニル(−Ph)、−Fを示し;
W及びYが、独立して、S、O、NH又はCHから選択され;
Kが、−NH、O又はSから選択され;
が、
(i)アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、
(ii)式(Ia):
【0098】
【化7】

【0099】
(式中、
は、水素、C−Cアルキル、オキソを示し;
が水素のときXはCHであるか;又はX−RがOであるか;又は、XがNであり、Rが、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、モノ−及びジ−(C−Cシクロアルキル)アミノC−Cアルキル、(4〜7員複素環)C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、並びにモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルの基を示す。)の基
から選択され;
が、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキルである、式(I)の化合物であり得る。
【0100】
式(I)の化合物中の好ましい複素環基としては、
【0101】
【化8】

【0102】
が挙げられ、これらは置換されていてもよい。
【0103】
別の実施形態によれば、本発明は、Rが水素である式(I)の化合物に関する。
【0104】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがクロロである式(I)の化合物に関する。
【0105】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがメチルである式(I)の化合物に関する。
【0106】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがエチルである式(I)の化合物に関する。
【0107】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがプロピルである式(I)の化合物に関する。
【0108】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがイソプロピルである式(I)の化合物に関する。
【0109】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがイソブチルである式(I)の化合物に関する。
【0110】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがtert−ブチルである式(I)の化合物に関する。
【0111】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがシクロプロピルである式(I)の化合物に関する。
【0112】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがシクロブチルである式(I)の化合物に関する。
【0113】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがメチル−ピペラジニルである式(I)の化合物に関する。
【0114】
別の実施形態によれば、本発明は、Rが(2−ヒドロキシルエチル)−ピペラジニルである式(I)の化合物に関する。
【0115】
別の実施形態によれば、本発明は、Rが(4−ピリジニル)−ピペラジニルである式(I)の化合物に関する。
【0116】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがメチルである式(I)の化合物に関する。
【0117】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがエチルである式(I)の化合物に関する。
【0118】
別の実施形態によれば、本発明は、Rがシクロプロピルである式(I)の化合物に関する。
【0119】
本発明の具体的な化合物の例は、以下に明示する化合物である:
【0120】
【化9】

【0121】
【化10】

【0122】
【化11】

【0123】
【化12】

【0124】
【化13】

【0125】
【化14】

【0126】
別の実施形態においては、発明化合物の調製方法が提供される。本発明の化合物は、一般的には塩化シアヌルを出発物質として用い、調製できる。式(I)の化合物は、様々な立体異性体、幾何異性体、互変異性体等を含有してもよい。あり得る全ての異性体及びそれらの混合物が本発明中に含められ、混合比は特に限定されない。
【0127】
本発明における式(I)のトリアジン誘導体化合物は、先行技術で公知の手順により調製できる。実例は米国特許第20050250945 A1号、米国特許第20050227983 A1号、PCT国際公開第05/007646A1号、PCT国際公開第05/007648A2号;PCT国際公開第05/003103A2号;PCT国際公開第05/011703 A1号;及び J. Med. Chem. (2004), 47(19), 4649-4652中に見受けられ得る。出発物質はSigma-Aldrich Corp. (St, Louis, MO)等の供給業者より市販のものが入手できるか、又は市販されていて入手できる前駆体から、確立されたプロトコールを用いて合成され得る。例として、有機合成化学分野において公知の合成方法か、又は当業者が理解するようなそれらの変形と共に、以下のいずれかのスキームにおいて示される合成経路と同様の合成経路を使用してもよい。以下のスキーム中の各可変基は本明細書中で提供される化合物の記載と整合する任意の基を指す。
【0128】
以下のスキーム中、用語「還元」はニトロ官能基をアミノ官能基に還元する過程、又はエステル官能基をアルコールに変換する過程を指す。ニトロ基の還元は、触媒的水素化、SnClによる還元及び二塩化チタンによる還元を含むがこれらに限定されない、有機合成の当業者に周知の多くの方法で実施できる。エステル基の還元は典型的には、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)、水素化リチウムアルミニウム(LAH)、及び水素化ホウ素ナトリウムを含むがこれらに限定されない金属水素化物試薬を用いて実施される。還元方法の概説については、Hudlicky, M. Reductions in Organic Chemistry, ACS Monograph 188, 1996を参照のこと。以下のスキーム中、用語「加水分解」は、基質又は反応物と水との反応を指す。より具体的には、「加水分解」はエステル又は亜硝酸官能基のカルボン酸への変換を指す。この過程は、有機合成の当業者に周知の種々の酸又は塩基により触媒できる。
【0129】
式(I)の化合物は、公知の化学反応及び手順を使用することによって調製してもよい。以降の一般的な調製方法は阻害剤合成の当業者を補助するために提示されるが、より詳細な事例が実施例を記載する実験の項に提示される。
【0130】
複素環アミンは式(II)中で明示される。いくつかの複素環アミンは市販されているが、他のものは先行技術において公知の手順により(Katritzky, et al. Comprehensive Heterocyclic Chemistry; Permagon Press: Oxford, UK, 1984, March. Advanced Organic Chemistry, 3” Ed.; John Wiley: New York, 1985)、又は有機化学の一般的知識を用いて、調製され得る。
【0131】
【化15】

【0132】
例えば、置換複素環アミンは標準的な方法(March, J., Advanced Organic Chemistry, 4th Ed.; John Wiley, New York (1992); Larock, R.C. Comprehensive Organic Transformations, 2nd Ed., John Wiley, New York (1999); 国際公開第99/32106号)を用いて生成してもよい。スキーム1に示すとおり、複素環アミンは一般に、Ni、Pd、又はPt等の金属触媒及びH或いはギ酸塩、シクロヘキサジエン、又は水素化ホウ素等の水素化物移動剤を用いてニトロヘテロ(nitrohetero)を還元することにより合成できる(Rylander. Hydrogenation Methods; Academic Press: London, UK (1985))。ニトロヘテロはLAH(Seyden-Penne. Reductions by the Alumino- and Borohydrides in Organic Synthesis; VCH Publishers: New York(1991))等の強水素化物源を用いて、又はFe、Sn又はCa等の0価金属をしばしば酸性溶媒中で用いて直接的に還元されてもよい。ニトロアリール合成のためには多くの方法が存在する(March, J. Advanced Organic Chemistry, 4th Ed.; John Wiley, New York (1992); Larock, R.C. Comprehensive Organic Transformations, 2nd Ed., John Wiley, New York (1999)))。
【0133】
【化16】

【0134】
スキーム2に示すとおり、置換基を有するチアゾールアミン(IIb)は、スキーム2に示す市販の化合物から調製することができる。経路1により、市販の又はアルコールを酸化することにより調製し得る置換アルデヒドを、臭素又はNBS(N−ブロモスクシンイミド)により臭素化し;臭素化後、チオ尿素との反応により、アルデヒドを対応するチアゾールアミン(IIb)に変換することができる。酸化工程については、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、活性化ジメチルスルホキシド(DMSO)、超原子価ヨウ素化合物、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)又は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)等の様々な酸化試薬を使用することができる。多くのチアゾールアミンがこの方法で調製可能である。
【0135】
【化17】

【0136】
多くの置換ピラゾールアミンが市販されており、直接使用可能である。いくつかの特定の場合には、置換基を有するピラゾールアミン(IIc)は、米国特許第6407238号; F. Gabrera Escribano, et al. Tetrahedron Letters, Vol. 29, No. 46, pp. 6001-6004, 1988; Org. Biomol. Chem., 2006, 4, 4158-4164;国際公開第2003/026666号等の先行技術において公知の手順により調製することができる。
【0137】
【化18】

【0138】
前駆体RHは、Alderich等の供給業者から購入可能である。
中間体の尿素化合物(III)は、当該技術分野で公知の尿素合成における一般的知見により調製し得る。スキーム3に示すとおり、置換イソシアネートを用い、中間体(III)を製造するのに適切な条件下で置換アニリンと反応させることができる。
【0139】
【化19】

【0140】
本発明の式(I)の化合物の調製は当該技術において公知の方法(例、J. Med. Chem. 1996, 39, 4354-4357; J. Med. Chem. 2004, 47, 600-611; J. Med. Chem. 2004, 47, 6283-6291; J. Med. Chem. 2005, 48, 1717-1720; J. Med. Chem. 2005, 48, 5570-5579; 米国特許第6340683 Bl号; JOC, 2004, 29, 7809-7815; Karen A. Hyre. Et al. J. org. Chem. 1962, 27, 1717-1722)により実施できる。触媒還元によるアルキン基のアルケン基への変換等の、化学における他の共通の官能基変換も、用いられる。
【0141】
【化20】

【0142】
スキーム4は、Rとしてアルキル又はアリールを有する化合物の合成方法を説明する。6−アルキル又はアリール置換ジクロロ−トリアジン(b)は、塩化シアヌル(a)及びグリニャール試薬から、当該技術分野で公知の方法(例、J. Med. Chem. 1999, 42, 805-818及びJ. Med. Chem. 2004, 47, 600-611)により合成することができる。モノクロロトリアジン(c)は、6−アルキル又はアリール置換ジクロロトリアジン(b)と複素環アミンとの反応から形成し得、これを中間体(III)との反応によりトリアジン誘導体(I)に変換することができる。あるいは、ジクロロトリアジン(b)を中間体(III)との反応によりモノクロロトリアジン(d)に変換し、これを複素環アミンとの反応によりトリアジン誘導体(I)に変換することもできる。
【0143】
【化21】

【0144】
スキーム5に示すとおり、トリアジン誘導体は、塩化シアヌルを一連の複素環アミン及びHRと反応させ、2,4−ジ置換−6−クロロ−1,3,5−トリアジンを得ることによっても合成することができる。中間体(III)による最後の塩素の置換は、温度を上げることにより達成され、三置換−1,3,5−トリアジン(I)を得ることができる。本反応は、ワンポットで又は段階的に完了し得る。
【0145】
【化22】

【0146】
スキーム6に示すような別の反応順序を用いてトリアジン誘導体を作成することもできる。他の反応順序も使用し得る。
【0147】
【化23】

【0148】
さらに、トリアジン誘導体は、中間体(IV)を合成し、これを置換イソシアネート等の適切な試薬と反応させることにより化合物(I)を製造することによって得ることができる。アミンから尿素化合物を調製するために、当該技術分野で公知の方法(E. Artuso, I. Degani, R. Fochi, C. Magistris, Synthesis, 2007, 3497-3506; C. Han, J. A. Porco, Jr, Org. Lett., 2007, 9, 1517-1520; H. Lebel, O. Leogane, Org. Lett., 2006, 8, 5717-5720; M. B. Bertrand, J. P. Wolfe, Tetrahedron, 2005, 61, 6447-6459; M. McLaughlin, M. Palucki, I. W. Davies, Org. Lett., 2006, 8, 3311-3314; J. A. Fritz, J. S. Nakhla, J. P. Wolfe, Org. Lett., 2006, 8, 2531-2534; L. Marinescu, J. Thinggaard, I. B. Thomsen, M. Bols, J. Org. Chem., 2003, 68, 9453-9455; S.-H. Lee, H. Matsushita, B. Clapham, K. D. Janda, Tetrahedron, 2004, 60, 3439-3443.)等の他の方法も使用し得る。
【0149】
【化24】

【0150】
反応は不活性溶媒存在下で行うことが好ましい。関与する反応又は試薬に不都合な影響を有さず、且つ少なくともある程度まで試薬を溶解できる限り、使用される溶媒の性質に特に制限はない。好適な溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン及び石油エーテル等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素;ハロゲン化炭化水素、とりわけ塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン等の芳香族及び脂肪族炭化水素;ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及び炭酸ジエチル等のエステル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン及びジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン及びシクロヘキサノン等のケトン;ニトロエタン及びニトロベンゼン等の、ニトロアルカン又はニトロアレン(nitroarane)であってもよいニトロ化合物;アセトニトリル及びイソブチロニトリル等のニトリル;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の、脂肪酸アミドであってもよいアミド;並びにジメチルスルホキシド及びスルホラン等のスルホキシドが挙げられる。
【0151】
反応は広範な範囲の温度にわたって起こり得、正確な反応温度は本発明にとって決定的に重要ではない。我々は一般的に、温度−50℃〜100℃で反応を実施することが好都合とみている。
【0152】
本発明は、1種以上の有効薬物及び医薬上許容される担体の製剤である組成物を提供する。この関連で、本発明は対象哺乳動物へ投与するための組成物を提供し、当該組成物は式Iの化合物、又は医薬上許容されるその塩を含み得る。
【0153】
本発明の化合物の医薬上許容される塩としては、医薬上許容される無機及び有機の酸及び塩基由来のものが挙げられる。好適な酸性塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体は医薬上許容できないが、本発明の化合物及び医薬上許容できるそれらの酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において使用し得る。
【0154】
適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属(例、ナトリウム及びカリウム)、アルカリ土類金属(例、マグネシウム)、アンモニウム及びN(Cアルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示した化合物のいずれかの塩基性窒素含有基の四級化を想定している。そのような四級化により、水溶性又は油溶性又は分散性の生成物が得られ得る。
【0155】
本発明の組成物は、経口的、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から、鼻から、頬から、膣から、又は移植したリザーバーを介して、投与し得る。本明細書中で使用する場合、用語「非経口的」には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内及び頭蓋内の注射技術又は注入技術が含まれる。好ましくは当該組成物は、経口、腹腔内又は静脈内で投与される。
【0156】
本発明の医薬的上許容できる組成物は、経口的に許容できる任意の投薬形態(これには、カプセル、錠剤、トローチ剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェハー剤、チューインガム、水性懸濁液又は水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、経口投与し得る。
【0157】
当該経口用組成物は:微結晶セルロース、トラガカントガム又はゼラチン等の結合剤;澱粉又は乳糖等の賦形剤;アルギン酸、トウモロコシ澱粉等などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑剤;コロイド状二酸化珪素等の流動促進剤;及び蔗糖又はサッカリン等の甘味剤;或いはペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジフレーバー等のフレーバー剤等の追加の成分を含有してもよい。単位用量形態がカプセルである場合、それは脂肪油等の液体担体を更に含有してもよい。他の単位用量形態は、単位用量の物理的形態を変更する、例えば被覆剤等の他の種々の物質を含有できる。従って錠剤又は丸薬は、糖、シェラック、又は他の腸溶被覆剤で被覆されてもよい。シロップ剤は有効成分のほか、甘味剤としての蔗糖、及びある種の防腐剤、色素及び着色剤及び香料を含有してもよい。これらの種々の組成物を調製するのに用いられる物質は、医薬的又は獣医学的に純粋なもので、且つ使用される量において無毒であるべきである。
【0158】
非経口的な治療投与目的のため、有効成分を溶液又は懸濁液に取り込んでもよい。溶液又は懸濁液は、以下の成分:注射用の水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒等の滅菌希釈液;ベンジルアルコール又はメチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩等の緩衝剤;塩化ナトリウム又はデキストロース等の浸透圧調整のための剤も含み得る。非経口用製剤は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ又は複数回投与用バイアル中に収納できる。
【0159】
注射用途のために好適な医薬形態としては、滅菌溶液、分散物、乳剤及び滅菌粉末が挙げられる。最終的な形態は製造及び保存条件下で安定でなくてはならない。更に、最終的な医薬形態は汚染から保護されなくてはならず、従って細菌又は真菌等の微生物の増殖を阻害できなくてはならない。単回の静脈内又は腹腔内投与量が投与できる。或いは、長時間徐々に注入したり、又は毎日短期間複数回注入したりして利用されてもよく、典型的には1〜8日間継続する。隔日投与又は数日に1回ごとに投与しても利用され得る。
【0160】
滅菌注射用溶液は、上記に列挙されたか又は当業者に公知の他の成分を必要に応じて加えてもよい1種以上の適切な溶媒中に、必要量の化合物を含めることによって調製してもよい。滅菌注射用溶液は適切な溶媒中に、必要に応じて他の種々の成分と共に、必要量の化合物を含めることによって調製してもよい。次いで濾過等の滅菌手段を施してもよい。典型的には分散物は、分散媒及び必要な他の上記成分も含有する滅菌ビヒクルに化合物を含めることによって作製される。滅菌粉末の場合、好ましい方法としては、必要な任意の成分が添加される真空乾燥及び凍結乾燥が挙げられる。
【0161】
適切な医薬的担体としては、滅菌水;生理食塩水、デキストロース;水又は生理食塩水中のデキストロース;ひまし油1モルにつきエチレンオキシド約30〜約35モルを合わせた、ひまし油とエチレンオキシドの縮合生成物;液体の酸;低級アルカノール;トウモロコシ油等の油;脂肪酸のモノ−又はジ−グリセリド又はホスファチド(例、レシチン)等の乳化剤を伴うピーナツ油及びゴマ油等;グリコール;ポリアルキレングリコール;懸濁化剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム)が存在する水性媒体;アルギン酸ナトリウム;ポリ(ビニルピロリドン)等(単独又はレシチン;ステアリン酸ポリオキシエチレン等などの好適な分散剤と共に)が挙げられる。担体は、浸透促進剤と一緒に保存剤、安定化剤(preserving stabilizing)、湿潤剤、及び乳化剤等の佐剤を含有してもよい。述べたように、あらゆる場合において、最終的な形態は無菌でなければならず、中空針等の注射機器も容易に通過できなくてはならない。適切な溶媒又は賦形剤を選択することにより、適切な粘性が達成及び維持され得る。その上、レシチン等の分子又は粒子コーティング剤の使用、分散物中の粒子サイズの適切な選択、又は界面活性剤の性質を持つ物質の使用が利用されてもよい。
【0162】
本発明によれば、トリアジン誘導体を含有する組成物及びナノ粒子形態のトリアジン誘導体のin vivoでの送達に有用な方法が提供され、これらは前記投与経路のいずれのためにも好適である。
【0163】
米国特許第5,916,596号、6,506,405号及び6,537,579号では、アルブミン等の生体適合性ポリマーからのナノ粒子調製が教示されている。従って本発明によれば、溶媒留去法により、高剪断力(例、超音波破砕、高圧ホモジェナイゼーション等)条件下で調製された水中油型乳剤から本発明のナノ粒子を形成する方法が提供される。
【0164】
或いは、医薬的上許容できる本発明の組成物は、直腸投与用の坐剤の形態で投与されてもよい。これらは、剤を、室温で固体であるが直腸の温度では液体であり、従って直腸中で融解し薬物を放出する好適な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製できる。そのような物質としては、ココアバター、蜜蝋及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0165】
医薬上許容できる本発明の組成物は、治療標的が、局所適用により容易に到達できる領域又は器官を含む場合(眼、皮膚、又は下部腸管の疾患が挙げられる)は特に、局所的に投与されてもよい。好適な局所製剤はこれらの各領域又は器官用に容易に調製される。
【0166】
下部腸管のための局所適用は、直腸用坐剤製剤(上記参照)又は好適な浣腸製剤で達成できる。局所経皮貼付剤が使用されてもよい。
【0167】
局所適用用に、医薬上許容される組成物が、1種以上の担体中に懸濁又は溶解された有効成分を含有する好適な軟膏に製剤化されてもよい。本発明の化合物の局所投与用の担体としては、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋及び水があげられるが、これらに限定されない。或いは、医薬上許容される組成物は、1種以上の医薬上許容される担体中に懸濁又は溶解された活性成分を含有する好適なローション剤又はクリーム剤に製剤化できる。好適な担体としては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
眼科用使用のために、医薬上許容される組成物は、塩化ベンジルアルコニウム(benzylalkonium chloride)等の保存剤あり又はなしのいずれかで、pHが調整された等張の滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁液として、又は好ましくは、pHが調整された等張の滅菌生理食塩水中の溶液として製剤化されてもよい。或いは眼科用使用のために、医薬上許容される組成物は、ワセリン等の軟膏に製剤化されてもよい。
【0169】
医薬上許容される本発明の組成物は、鼻エアロゾル又は吸入により投与されてもよい。そのような組成物は医薬製剤化の分野において周知の技法で調製され、ベンジルアルコール又は他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを向上させるための吸収促進剤、フッ化炭素、及び/或いは他の従来の可溶化又は分散剤を使用して生理食塩水中の溶液として調製されてもよい。
【0170】
最も好ましくは、医薬上許容される本発明の組成物は、経口投与用に製剤化される。
【0171】
本発明によれば、本発明の化合物は鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔、中咽頭、喉頭、下咽頭、唾液腺の腫瘍及び傍神経節腫を含むがこれらに限定されない癌等の、細胞の増殖又は過剰増殖に関係する疾患の治療に用いられ得る。本発明の化合物は、肝臓及び胆管の癌(特に肝細胞癌)、腸癌、特に結腸直腸癌、卵巣癌、小細胞及び非小細胞肺癌、乳癌、肉腫(繊維肉腫、悪性線維性組織球腫、胎児性横紋筋肉腫(rhabdomysocarcoma)、平滑筋肉腫(leiomysosarcoma)、神経線維肉腫、骨肉腫、滑膜肉腫、脂肪肉腫、及び胞状軟部肉腫が挙げられる)、中枢神経系の腫瘍(特に脳腫瘍)及びリンパ腫(ホジキンリンパ腫、リンパ形質細胞様リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、B系大細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、及びT細胞未分化大細胞リンパ腫が挙げられる)を治療するためにも用いられ得る。
【0172】
本発明の化合物及び方法は、単独か又は他の剤(例、下記の化学療法剤又はタンパク質治療剤)と組み合わせて投与するかのいずれの場合でも、例えば脳卒中、循環器疾患、心筋梗塞、鬱血性心不全、心筋症、心筋炎、虚血性心疾患、冠動脈疾患、心原性ショック、血管性ショック、肺高血圧症、肺水腫(心原性肺水腫を含む)、胸水貯留、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症、及び糖尿病性網膜症及び未熟児網膜症を含む網膜症、炎症性疾患、再狭窄、喘息、急性又は成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、狼瘡、血管漏出、臓器移植,移植寛容誘導の間に起こる虚血又は再灌流傷害等の虚血又は再灌流傷害からの保護;血管形成後の虚血又は再灌流傷害;関節炎(関節リウマチ、乾癬性関節炎又は骨関節炎等);多発性硬化症;潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む炎症性腸疾患;狼瘡(全身性エリテマトーデス(crythematosis));移植片対宿主病;接触過敏症、遅延型過敏症、及びグルテン過敏性腸症(セリアック病)を含むT細胞介在性過敏性疾患;I型糖尿病;乾癬;接触性皮膚炎(ツタウルシ起因のものを含む);橋本甲状腺炎;シェーグレン症候群;グレーブス病等の自己免疫性甲状腺機能亢進症;アジソン病(副腎の自己免疫疾患);多腺性自己免疫疾患(多腺性自己免疫症候群としても知られる);自己免疫性脱毛症;悪性貧血;白斑;自己免疫性下垂体機能低下症(hypopituatarism);ギラン・バレー症候群;他の自己免疫疾患;結腸癌及び胸腺腫等の、Srcファミリーキナーゼ等のキナーゼが活性化又は過剰発現された癌を含む癌、又はキナーゼ活性が腫瘍の増殖又は生存を促進する癌;糸球体腎炎、血清病;蕁麻疹(uticaria); 呼吸アレルギー(喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎)又は皮膚アレルギー等のアレルギー性疾患;菌状息肉腫;急性炎症反応(急性又は成人呼吸窮迫症候群及び虚血再灌流傷害等);皮膚筋炎;円形脱毛症;慢性光線過敏性皮膚炎;湿疹;ベーチェット病;掌蹠膿疱症(Pustulosis palmoplanteris);壊疽性膿皮症(Pyoderma gangrenum);セザリー症候群;アトピー性皮膚炎;全身性硬化症(systemic schlerosis);モルフェア;末梢肢虚血及び虚血性肢疾患;骨粗鬆症、骨軟化症、副甲状腺機能亢進症、パジェット病、及び腎性骨ジストロフィー等の骨疾患;化学療法又はIL−2等の免疫調節剤により誘導される血管漏出症候群を含む血管漏出症候群;脊髄及び脳の傷害又は外傷;緑内障;黄斑変性症を含む網膜疾患;硝子体網膜疾患;膵臓炎;血管炎、川崎病、閉塞性血栓血管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症及びベーチェット病を含む血管炎(vasculatides);強皮症;子癇前症;地中海貧血;カポジ肉腫;フォンヒッペル・リンダウ病等を含むがこれらに限定されない種々の疾患の治療にも有用である。
【0173】
本発明によれば、本発明の化合物は、キナーゼに関係している疾患又は状態に罹患した哺乳動物を同定すること及び当該罹患哺乳動物に式1の化合物を含む組成物を投与することを含む、望まれない細胞増殖又は過剰増殖に関係する疾患の治療に用いられ得る。
【0174】
本発明によれば、本発明の化合物は、チロシンキナーゼに関係している疾患又は状態に罹患した哺乳動物を同定すること及び当該罹患哺乳動物に式1の化合物を含む組成物を投与することを含む、望まれない細胞増殖又は過剰増殖に関係する疾患の治療に用いられ得る。
【0175】
本発明によれば、本発明の化合物は、セリンキナーゼ又はスレオニンキナーゼであるキナーゼに関係している疾患又は状態に罹患した哺乳動物を同定すること及び当該罹患哺乳動物に式1の化合物を含む組成物を投与することを含む、望まれない細胞増殖又は過剰増殖に関係する疾患の治療に用いられ得る。
【0176】
本発明によれば、本発明の化合物は、Srcファミリーキナーゼであるキナーゼに関係している疾患又は状態に罹患した哺乳動物を同定すること及び当該罹患哺乳動物に式1の化合物を含む組成物を投与することを含む、望まれない細胞増殖又は過剰増殖に関係する疾患の治療に用いられ得る。
【0177】
本発明は、上記疾患及び状態に罹患した哺乳動物の治療方法も提供する。単回投与形態の組成物を製造するための担体物質と組み合わされ得る本発明の化合物の量は、治療される宿主、具体的な投与態様によって異なるであろう。好ましくは、組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の阻害剤の投与量をこれらの組成物を受容する患者に投与できるように製剤化すべきである。
【0178】
1つの態様において、本発明化合物は、化学療法剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、化学療法剤、免疫調節剤、治療抗体又はプロテインキナーゼ阻害剤(例、チロシンキナーゼ阻害剤)と組み合わせて、そのような治療が必要な対象に投与される。
【0179】
当該方法は、1種以上の発明化合物を罹患哺乳動物に投与することを含む。当該方法は、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、マイクロチューブリン(microtubulin)阻害剤、及びトポイソメラーゼ阻害剤を含む細胞毒性剤等の第二の活性薬剤の投与を更に含んでもよい。当該第二の活性薬剤は同一の組成物で共投与してもよいし、第二の組成物で共投与してもよい。好適な第二の活性薬剤の例としては、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン(AcrQnine);アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィド ジメシレート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトール メシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニン メシレート;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン(Eflomithine);エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;ヨード化ケシ油エチルエステル 131;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;フォスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;金 Au 198;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン;インターフェロンアルファ−2a;インターフェロンアルファ−2b;インターフェロンアルファ−n1;インターフェロンアルファ−n3;インターフェロンベータ−□a;インターフェロンガンマ−Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール(Safmgol);塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;塩化ストロンチウム Sr 89;スロフェヌル;タリソマイシン;タキサン;タキソイド;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;塩酸トポテカン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び塩酸ゾルビシン等の細胞毒性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0180】
本発明はまた、式(A)に示される化合物又はその医薬上許容される塩に関する:
【0181】
【化25】

【0182】
(式中、
Yは、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、−NR及び−Q−Rから選択され;
Qは、C−Cアルキル又はオキソで置換されていてもよいヘテロシクロアルキルであり;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール及びヘテロアリールから選択され;
及びRは、それぞれ独立して、H及びC−Cアルキルから選択され;
Xは、−K−Ar−Rであり;
Kは、NR、S及びOから選択され;
Arは、フェニルであり;
は、−NHC(O)NH−Rであり;
は、それぞれハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル及びC−Cアルコキシで置換されていてもよい、H、C−Cアルキル、アリール、アリール(C−C)アルキルから選択され;
Zは、−NH−Ar−Rであり;
Arは、少なくとも1個の窒素を含有するヘテロアリールであり;
は、ハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、−C(O)NH−W、C−Cアルケニル及びC−Cアルキニルから独立して選択される1個以上の置換基であり;
Wは、C−Cアルキルである。)。
【0183】
本発明はまた、式(A)に示される化合物又はその医薬上許容される塩に関する:
【0184】
【化26】

【0185】
(式中、
Yは、C−Cアルキル及び−Q−Rから選択され;
Qは、ピペラジニルであり;
は、C−Cアルキルであり;
Xは、−K−Ar−Rであり;
Kは、NH及びSから選択され;
Arは、フェニルであり;
は、−NHC(O)NH−Rであり;
は、C−Cアルキル、フェニル、ベンジル(フェニル及びベンジルは、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル及びC−Cアルコキシで置換されていてもよい。)から選択され;
Zは、−NH−Ar−Rであり;
Arは、チアゾリル及びピラゾリルから選択され;
は、C−Cアルキル及び−C(O)NH−Wから独立して選択される1個以上の置換基であり;
Wは、C−Cアルキルである。)。
【0186】
本発明によれば、化合物及び組成物は、心疾患、脳卒中及び神経変性疾患等の非腫瘍性疾患の治療において高度に選択的な活性を達成するために、他の剤と組み合わせて、準細胞毒性レベルで使用してもよい(Whitesell et al., Curr Cancer Drug Targets (2003), 3(5), 349-58)。
【0187】
発明化合物と組み合わせて投与されてもよい例示的な治療剤としては、ゲフィチニブ、エルロチニブ、及びセツキシマブ等のEGFR阻害剤が挙げられる。Her2阻害剤としては、カネルチニブ、EKB−569、及びGW−572016が挙げられる。Src阻害剤のダサチニブ、及びカソデクス(ビカルタミド)、タモキシフェン、MEK−1キナーゼ阻害剤、MARKキナーゼ阻害剤、PI3阻害剤、及びイマチニブ等のPDGF阻害剤、17−AAG及び17−DMAG等のHsp90阻害剤も挙げられる。固形腫瘍への血流を遮断することによって、癌細胞から栄養分を奪うことにより癌細胞を静止させる抗血管形成剤及び抗血管剤も挙げられる。これもアンドロゲン依存性腫瘍を非増殖性にする去勢も利用され得る。IGF1R阻害剤、非受容体型チロシンキナーゼ阻害剤及び受容体型チロシンキナーゼ阻害剤、並びにインテグリンの阻害剤も挙げられる。
【0188】
本発明の医薬組成物及び方法は、サイトカイン、免疫調節剤及び抗体等の他のタンパク質治療剤と更に組み合わせてもよい。本明細書中で用いられる場合、用語「サイトカイン」は、ケモカイン、インターロイキン、リンホカイン、モノカイン、コロニー刺激因子、及び受容体関連タンパク質、並びにそれらの機能的断片を包含する。本明細書中で用いられる場合、用語「機能的断片」は、定められた機能アッセイを通して同定される生物学的機能又は活性を有するポリペプチド又はペプチドを指す。サイトカインとしては、内皮単球活性化ポリペプチドII(EMAP−II)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)、顆粒球−CSF(G−CSF)、マクロファージ−CSF(M−CSF)、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−12、及びIL−13、及びインターフェロン等が挙げられ、これらは細胞又は細胞機構における特定の生物学的、形態学的、又は表現形変化に関係している。
【0189】
併用療法のための他の治療剤としては、シクロスポリン(例、シクロスポリンA)、CTLA4−Ig、抗体(ICAM−3、抗IL−2受容体(抗Tac)、抗CD45RB、抗CD2、抗CD3(OKT−3)、抗CD4、抗CD80、抗CD86等)、CD40に特異的な抗体及びgpn39(即ち、CD154)に特異的な抗体等の、CD40とgp39との間の相互作用を遮断する剤、CD40及びgp39から構築された融合タンパク質(CD40Ig及びCD8gp39)、デオキシスペルグアリン(DSG)等の核移行阻害剤等のNF−κB機能の阻害剤、HM:G CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン及びシンバスタチン)等のコレステロール生合成阻害剤、イブプロフェン及びシクロオキシゲナーゼ阻害剤(ロフェコキシブ等)等の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、プレドニソン又はデキサメタゾン等のステロイド、金化合物、メトトレキセート等の抗増殖剤、FK506(タクロリムス、プログラフ)、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン及びシクロホスファミド等の細胞毒性薬、テニダップ、抗TNF抗体、可溶性TNF受容体等のTNF−a阻害剤、並びにラパマイシン(シロリムス又はラパミューン)或いはそれらの誘導体が挙げられる。
【0190】
他の治療剤が本発明の化合物と組み合わせて使用される場合、それらは例えば、米医薬品便覧(PDR)中で言及されたとおりの量で、又は当業者により別途決められた量で用いてもよい。
【実施例】
【0191】
本発明を更に説明するために以降の実施例を提供するが、当然ながら決して本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0192】
明記される場合を除き、アルゴン雰囲気中無水条件下(即ち、乾燥溶媒)で、オーブンで乾燥した器具を使用し、且つ空気感受性物質の取り扱いにおける標準技法を用いて、全ての実験を実施した。重炭酸ナトリウム(NaHCO)及び塩化ナトリウム(ブライン)の水溶液は、飽和であった。
【0193】
分析的薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Merk Kieselゲル60 F254プレート上で、紫外線及び/又はアニスアルデヒド、過マンガン酸カリウム又はリンモリブデン酸浸漬により可視化して実施した。
【0194】
NMRスペクトル:1H核磁気共鳴スペクトルを400MHzで記録した。データは次のように提示する:化学シフト、多重度(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、qn=クインテット、dd=ダブルダブレット、m=マルチプレット、bs=ブロードシングレット)、結合定数(J/Hz)及び積分値。結合定数はスペクトルから直接取り出して計算したものであり、補正はしていない。
【0195】
低解像度マススペクトル:電気スプレー(ES+)イオン化を用いた。プロトン化親イオン(M+H)又は親ナトリウムイオン(M+Na)又は最高質量のフラグメントを提示する。他の記載がない限り、分析勾配は、5分間での水中10%ACNから100%ACNまでの傾斜から成った。
【0196】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)をトリアジン誘導体の純度を分析するために用いた。HPLCは、SPD−M10A フォトダイオードアレイ検出器を備えたvShimadzusystemを用い、Phenomenex Synergi Polar-RP, 4u, 80A, 150 x 4.6 mmカラム上で行った。移動相Aは水であり、移動相Bはアセトニトリルであり、60分かけて20%〜80% Bのグラジエントを行い、10分間A/B(80:20)で再平衡化した。UV検出は220nm及び54nmであった。
【0197】
実施例1
【0198】
【化27】

【0199】
2−アミノ−5−メチルチアゾール(1.30 g, 13.56 mmol)及びDIPEA(2.00 mL, 11.48 mmol)のTHF(55 ml)溶液を、塩化シアヌル(2.50 g, 13.56 mmol)のTHF(70 mL)撹拌溶液に−5℃で滴下した。滴下完了後、反応混合物を−5℃でさらに15分間(15 more minute)撹拌した。撹拌の間、大量の黄色沈殿物が形成され、これを濾過により集め、THF(3X20 mL)、酢酸エチル(3X20 mL)及びヘキサン(1X10 mL)で洗浄した。化合物1(2.72 g, 91%)は、精製することなく、さらなる反応のために直接用いた。
【0200】
実施例2
【0201】
【化28】

【0202】
化合物1(565 mg, 2.16 mmol)のDMF(60 mL)溶液に、1−メチルピペラジン(0.20 mL, 1.80 mmol)及びDIPEA(0.35 mL, 1.80 mmol)のDMF(30 mL)溶液を−15℃で滴下した。滴下後、混合物を0℃で30分間撹拌した。4−アミノチオフェノール(700 mg, 5.60 mmol)及び水素化ナトリウム(60%, 260 mg, 6.50 mmol)のDMF(7 mL)溶液を上記反応フラスコに室温で添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NH4Cl水をフラスコに添加し、混合物をDCM/イソプロパル(isopropal)(v/v:97/3、3x)により抽出した。混合有機相(organic)を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物を、溶離液としてメタノール/DCM:10/90 v/vを用いるシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固形物として化合物2を得た(320 mg, 43%)。1H NMR(400 MHz, DMSO−d6)δ 11.20(br, 1H), 7.14(d, J = 8.4Hz, 2H), 7.00(br, 1H), 6.60(d, J = 8.4Hz, 2H), 5.60(br, 2H), 3.80(m, 4H), 2.25(m, 10 H); ESI−MS:calcd for(C18H22N8S2)414, found 415(MH). HPLC:保持時間:11.648分. 純度:97%.
【0203】
実施例3
【0204】
【化29】

【0205】
化合物1(1.30, 4.96 mmol)のDMF(60 mL)溶液に、1−メチルピペラジン(0.42 mL, 3.81 mmol)及びDIPEA(0.66 mL, 3.81 mmol)のDMF(50 mL)溶液を−15℃で滴下した。滴下後、混合物を0℃で30分間撹拌した。3−アミノチオフェノール(700 mg, 5.60 mmol)及び水素化ナトリウム(60%, 260 mg, 6.50 mmol)のDMF(7 mL)溶液を上記反応フラスコに室温で添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NH4Cl水(20 mL)をフラスコに添加し、混合物を濃縮した。残留物を水により洗浄し、デカンテーションし、DCMに懸濁した。得られた粗生成物を、溶離液としてメタノール/DCM:15/85 v/vを用いるシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固形物として化合物3を得た(210 mg, 13%)。1H NMR(400 MHz, DMSO−d6)δ 11.80(br, 1H), 7.20−6.80(m, 5H), 5.20(br, 2H), 3.80(m, 4H), 3.00(m, 4H), 2.25(m, 6 H); ESI−MS:calcd for(C18H22N8S2)414, found 415(MH).
【0206】
実施例4
【0207】
【化30】

【0208】
化合物2(75 mg, 0.18 mmol)のDMM(5 mL)溶液に、フェニルイソシアナート(0.05 mL, 0.45 mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を約1 mLまで濃縮し、DCM(15 mL)を添加した。室温で一晩撹拌後、白色固形物が沈殿し、これを濾過により集めて、化合物4を得た(65mg, 68%)。1H NMR(400 MHz, DMSO−d6)δ 11.50(s, 1H), 9.00(s, 1H), 8.70(s, 1H), 7.50−7.00(m, 10H), 3.70(m, 4H), 2.34(m, 4H), 2.25(br, 3H) 2.17(s, 1H); ESI−MS:calcd for(C25H27N9OS2)533, found 534(MH). HPLC:保持時間:21.643分. 純度:97%.
【0209】
実施例5
【0210】
【化31】

【0211】
シクロプロピルマグネシウムブロミドのTHF溶液(0.5 M, 25 ml, 12.5 mmol)を、塩化シアヌル(1.8 g, 10.00 mmol)の無水ジクロロメタン撹拌溶液に−10〜0℃で滴下した。滴下完了後、反応混合物を0℃で3時間撹拌した。反応温度が10℃以下(below)となるような速度で、反応混合物に水を滴下した。室温まで温めた後、反応混合物を追加の水及び塩化メチレンで希釈し、シライト(cilite)パッドに通した。有機層を乾燥し、溶媒留去して、黄色液体として2,4−ジクロロ−6−シクロプロピル−1,3,5−トリアジンである5を得、冷蔵庫で保存(storied)した後固化した(1.8 g, 95%)。1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ 2.20(m, 1H), 1.38(m, 2H), 1.32(m, 2H).
【0212】
実施例6
【0213】
【化32】

【0214】
化合物5(200mg, 1.05mMol)のTHF(5mL)溶液に、室温で、5mL THF中の、3−アミノ−5−メチルピラゾール(102mg, 1.05mMol)及びDIPEA(201μL, 150mg, 1.15mMol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。1,3−フェニレンジアミン(114mg, 1.05mMol)及びDIPEA(201μL, 150mg, 1.15mMol)をTHF(5mL)に添加し、反応混合物を60℃で一晩撹拌した。30 mL EtOAcを添加し、反応混合物を飽和NaHCO3、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒留去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 98/2〜95/5〜90/10)により、140mg(74%)の所望の生成物である化合物6を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.89(s, 1H), 9.40(s, 1H), 9.19(s, 1H), 6.88(s, 2H), 6.42(s, 1H), 6.24(s, 1H), 5.05(s, 1H), 4.87(s, 2H), 2.21(s, 3H), 1.82(m, 1H), 1.00(m, 4H).
【0215】
実施例7
【0216】
【化33】

【0217】
化合物6(40mg, 0.12mMol)のCH2Cl2(2mL)溶液に、フェニルイソシアナート(15μL, 17mg, 0.14mMol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 100/0〜95/5〜90/10)により、7mg(13%)の所望の生成物である化合物7を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.90(s, 1H), 9.51(s, 1H), 9.46(s, 1H), 8.66(s, 1H), 8.53(s, 1H), 7.75 - 6.90(m, 9H), 6.43(bs, 1H), 2.18(s, 3H), 1.82(m, 1H), 1.00(m, 4H). MS(ESI)m/z 442 [M+H].
【0218】
実施例8
【0219】
【化34】

【0220】
エチルマグネシウムブロミドのエーテル溶液(3M, 15 ml, 45 mmole)を、塩化シアヌル(5.64 g, 30.58 mmole)の無水ジクロロメタン撹拌溶液に−10℃で滴下した。滴下完了後、反応混合物を−5℃で1時間撹拌し、その後、反応温度が10℃以下(below)となるような速度で水を滴下した。室温まで温めた後、反応混合物を追加の水及び塩化メチレンで希釈し、シライト(cilite)パッドに通した。有機層を乾燥し、溶媒留去して、黄色液体として化合物8である2,4−ジクロロ−6−エチル−1,3,5−トリアジンを得、冷蔵庫で保存(storied)後固化した(5.20 g, 96%)。1H NMR(500 MHz, CDCl3)δ 2.95(q, J = 7.5 Hz. 2H), 1.38(t, J = 7.5 Hz. 3H).
【0221】
実施例9
【0222】
【化35】

【0223】
化合物8(3 g, 16.9 mMol)のTHF(10 mL)溶液に、5 mL THF中の、3−アミノ−5−メチルピラゾール(1.64 g, 16.9 mMol)及びDIPEA(3.24 mL, 2.41 g, 18.6 mMol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。1,4−フェニレンジアミン(1.83 g, 16.9 mMol)及びDIPEA(3.24 mL, 2.41 g, 18.6 mMol)を添加し、反応物を100℃、60分間マイクロ波照射(microwaved)した。溶媒を留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 95/5〜90/10 0.1% Et3N)により、2.7 g(51%)の所望の生成物である化合物9を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.87(s, 1H), 9.46(s, 1H), 9.17(s, 1H), 7.33(m, 2H), 6.51(d, J = 8.4Hz, 2H), 6.36(bs, 1H), 4.82(s, 2H), 2.47(m, 2H), 2.20(s, 3H), 1.20(t, J = 7.6Hz, 3H). MS(ESI)m/z 311 [M+H].
【0224】
実施例10
【0225】
【化36】

【0226】
化合物8(3 g, 16.9 mMol)のTHF(10 mL)溶液に、5 mL THF中の、2−アミノ−5−メチルチアゾール(1.93 g, 16.9 mMol)及びDIPEA(3.24 mL, 2.41 g, 18.6 mMol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。1,4−フェニレンジアミン(1.83 g, 16.9 mMol)及びDIPEA(3.24 mL, 2.41 g, 18.6 mMol)を添加し、反応物を150℃、120分間マイクロ波照射した。溶媒を留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 95/5〜90/10 0.1% Et3N)により、1.9 g(34%)の所望の生成物である化合物10を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.27(s, 1H), 9.47(s, 1H), 7.32(m, 2H), 7.05(s, 1H), 6.53(d, J = 8.4Hz, 2H), 4.88(s, 2H), 2.56(q, J = 7.2Hz, 2H), 2.32(s, 3H), 1.26(m, 3H). MS(ESI)m/z 328 [M+H].
【0227】
実施例11
【0228】
【化37】

【0229】
化合物9(150 mg, 0.48 mMol)のCH2Cl2(15 mL)溶液に、フェニルイソシアナート(57μL, 63 mg, 0.53 mMol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 98/2〜95/5〜90/10)により、45 mg(22%)の所望の生成物である化合物11を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.92(s, 1H), 9.60(s, 1H), 9.49(s, 1H), 8.59(s, 1H), 8.45(s, 1H), 7.65(bs, 2H), 7.44(m, 2H), 7.35(m, 2H), 7.27(m, 2H), 6.95(m, 1H), 6.45(bs, 1H), 2.52(m, 2H), 2.22(s, 3H), 1.23(t, J = 7.6Hz, 3H). MS(ESI)m/z 430 [M+H].
【0230】
実施例12
【0231】
【化38】

【0232】
化合物9(100 mg, 0.32 mMol)のCH2Cl2(10 mL)溶液に、α,α,α−トリフルオロ−4−メチルフェニルイソシアナート(54μL, 72 mg, 0.39 mMol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 5%〜10%)により、31 mg(20%)の化合物12を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.94(s, 1H), 9.58(bs, 2H), 9.05(s, 1H), 8.70(s, 1H), 7.64(m, 6H), 7.37(m, 2H), 6.45(bs, 1H), 2.56(m, 2H), 2.21(s, 3H), 1.22(m, 3H). MS(ESI)m/z 498 [M+H].
【0233】
実施例13
【0234】
【化39】

【0235】
化合物9(100 mg, 0.32 mMol)のCH2Cl2(10 mL)溶液に、エチルイソシアナート(30μL, 27 mg, 0.38 mMol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 2%〜5%)により、41 mg(28%)の化合物13を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.37(s, 1H), 9.80(bs, 1H), 8.46(t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.35(bs, 1H),7.70 - 7.25(m, 4H), 7.00 - 6.45(bs, 1H), 6.05(t, J = 5.6 Hz), 3.26(m, 2H), 3.10(m, 2H), 2.59(m, 2H), 2.19(s, 3H), 1.24(t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.13(t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.05(t, J = 7.2 Hz, 3H). MS(ESI)m/z 453 [M+H].
【0236】
実施例14
【0237】
【化40】

【0238】
化合物9(100 mg, 0.32 mMol)のCH2Cl2(10 mL)溶液に、イソプロピルイソシアナート(38μL, 33 mg, 0.38 mMol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 2%〜5%)により、55 mg(28%)の化合物9を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 10.34(s, 1H), 9.78(bs, 1H), 8.22(bs, 1H), 8.10(d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.70 - 7.25(m, 4H), 7.00 - 6.45(bs, 1H), 5.92(d, J = 7.6 Hz), 3.97(m, 1H), 3.73(m, 1H), 2.57(m, 2H), 2.18(s, 3H), 1.22(t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.18(d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.05(t, J = 6.8 Hz, 3H). MS(ESI)m/z 481 [M+H].
【0239】
実施例15
【0240】
【化41】

【0241】
化合物10(100 mg, 0.31 mMol)のDMF(10 mL)溶液に、フェニルイソシアナート(36μL, 40 mg, 0.33 mMol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。30 mL EtOAcを添加し、ブラインで洗浄した。水層をEtOAcで抽出し、有機画分を混合し、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、溶媒を留去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 15%)により、8 mg(6%)の化合物15を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.39(s, 1H), 9.80(s, 1H), 8.61(m, 2H), 7.70(bs, 2H), 7.42(m, 4H), 7.27(m, 2 H), 7.08(s, 1H), 6.96(m, 1H), 2.62(m, 2H), 2.34(s, 3H), 1.29(t, J = 7.6 Hz, 3H). MS(ESI)m/z 447 [M+H].
【0242】
実施例16
【0243】
【化42】

【0244】
80 mL CH2Cl2中の1,4−フェニレンジアミン(1 g, 9.25 mMol)に、40 mL CH2Cl2中のイソプロピルイソシアナート(910μL, 787 mg, 9.25 mMol)を滴下した。滴下完了後、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去し、必要最低限量(minimal amount)のCH2Cl2を添加した。形成された固形物を濾過して、1.45 g(81%)の化合物16を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 7.71(s, 1H), 6.99(d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.45(d, J = 8.8 Hz, 2H), 5.70(d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.63(s, 2H), 3. 70(m, 1H), 1.06(d, J = 6.8 Hz, 6H). MS(ESI)m/z 194 [M+H].
【0245】
実施例17
【0246】
【化43】

【0247】
80 mL CH2Cl2中の1,4−フェニレンジアミン(1 g, 9.25 mMol)に、40 mL CH2Cl2中のエチルイソシアナート(727μL, 660 mg, 9.25 mMol)を滴下した。滴下完了後、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去し、必要最低限量のCH2Cl2を添加した。形成された固形物を濾過して、1.28 g(77%)の化合物17を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 7.80(s, 1H), 6.98(d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.45(d, J = 8.8 Hz, 2H), 5.81(t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.64(s, 2H), 3.05(qd, J = 7.2, 5.6 Hz, 1H), 1.02(t, J = 7.2 Hz, 3H). MS(ESI)m/z 180 [M+H].
【0248】
実施例18
【0249】
【化44】

【0250】
80 mL CH2Cl2中の1,4−フェニレンジアミン(1 g, 9.25 mMol)に、40 mL CH2Cl2中のo−トリルイソシアナート(1.15 mL, 1.23 g, 9.25 mMol)を滴下した。滴下完了後、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去し、必要最低限量のCH2Cl2を添加した。形成された固形物を濾過して、2.2 g(98%)の化合物18を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 8.50(s, 1H), 7.84(dd, J = 8.0, 1.2 Hz, 1H), 7.69(s, 1H), 7.13(m, 2H), 7.08(d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.89(td, J = 7.6, 1.2 Hz, 1H), 6.50(d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.75(s, 2H), 2.21(s, 3H). MS(ESI)m/z 242 [M+H].
【0251】
実施例19
【0252】
【化45】

【0253】
80 mL CH2Cl2中の1,4−フェニレンジアミン(1 g, 9.25 mMol)に、40 mL CH2Cl2中の4−メトキシイソシアナート(1.2 mL, 1.38 g, 9.25 mMol)を滴下した。滴下完了後、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去し、必要最低限量のCH2Cl2を添加した。形成された固形物を濾過して、2.3 g(97%)の化合物19を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 8.24(s, 1H), 8.00(s, 1H), 7.31(d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.05(d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.83(d, J = 9.2 Hz, 2H), 6.49(d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.74(s, 2H), 3.70(s, 3H). MS(ESI)m/z 258 [M+H].
【0254】
実施例20
【0255】
【化46】

【0256】
80 mL CH2Cl2中の1,4−フェニレンジアミン(1 g, 9.25 mMol)に、40 mL CH2Cl2中のベンジルイソシアナート(1.13 mL, 1.23 g, 9.25 mMol)を滴下した。滴下完了後、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を留去し、必要最低限量のCH2Cl2を添加した。形成された固形物を濾過して、2.0 g(90%)の化合物20を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 7.96(s, 1H), 7.40 - 7.20(m, 5H), 7.01(d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.46(d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.35(t, J = 6.0 Hz, 1H), 4.68(s, 2H), 4.25(d, J = 6.0 Hz, 3H). MS(ESI)m/z 242 [M+H].
【0257】
実施例21
【0258】
【化47】

【0259】
化合物8(100 mg, 0.56 mMol)のTHF(4 mL)溶液に、1mL THF中の、3−アミノ−5−メチルピラゾール(55 mg, 0.56 mMol)及びDIPEA(108μL, 80 g, 0.62 mMol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。化合物16(108 mg, 0.56 mMol)及びDIPEA(108μL, 80 mg, 0.62 mMol)を添加し、反応物を150℃、20分間マイクロ波照射した。溶媒を留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 9/1〜8/2)により、21 mg(10%)の所望の化合物21を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.98(bs, 1H), 9.67(bs, 1H), 9.48(s, 1H), 8.16(s, 1H), 7.56(bs, 2H), 7.26(d, J = 9.2Hz, 2H), 6.31(bs, 1H), 5.89(d, J = 7.6Hz, 1H), 3.74(m, 1H), 2.51(m, 2H), 2.18(s, 3H), 1.21(t, J = 7.6Hz, 3H), 1.07(d, J = 6.4Hz, 6H). MS(ESI)m/z 396 [M+H].
【0260】
実施例22
【0261】
【化48】

【0262】
化合物8(100 mg, 0.56 mMol)のTHF(4 mL)溶液に、1mL THF中の、3−アミノ−5−メチルピラゾール(55 mg, 0.56 mMol)及びDIPEA(108μL, 80 g, 0.62 mMol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。化合物17(100 mg, 0.56 mMol)及びDIPEA(108μL, 80 mg, 0.62 mMol)を添加し、反応物を150℃、20分間マイクロ波照射した。溶媒を留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 9/1〜8/2)により、61 mg(29%)の所望の化合物22を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.92(bs, 1H), 9.57(bs, 1H), 9.43(s, 1H), 8.27(s, 1H), 7.57(bs, 2H), 7.30(d, J = 9.2Hz, 2H), 6.41(bs, 1H), 6.00(m, 1H), 3.10(m, 1H), 2.52(m, 2H), 2.20(s, 3H), 1.22(t, J = 7.6Hz, 3H), 1.05(t, J = 7.2Hz, 3H). MS(ESI)m/z 382 [M+H].
【0263】
実施例23
【0264】
【化49】

【0265】
化合物8(100 mg, 0.56 mMol)のTHF(4 mL)溶液に、慎重に、1 mL THF中の、3−アミノ−5−メチルピラゾール(55 mg, 0.56 mMol)及びDIPEA(108μL, 80 g, 0.62 mMol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。化合物18(135 mg, 0.56 mMol)及びDIPEA(108μL, 80 mg, 0.62 mMol)を添加し、反応物を150℃、20分間マイクロ波照射した。溶媒を留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 9/1〜8/2)により、67 mg(27%)の所望の化合物23を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.94(bs, 1H), 9.60(bs, 1H), 9.51(s, 1H), 8.91(s, 1H), 7.84(m, 2H), 7.66(bs, 2H), 7.37(m, 2H), 7.16(m, 2H), 6.93(m, 1H), 6.42(bs, 1H), 2.53(m, 2H), 2.24(s, 3H), 2.21(s, 3H), 1.23(t, J = 7.6Hz, 3H). MS(ESI)m/z 444 [M+H].
【0266】
実施例24
【0267】
【化50】

【0268】
化合物8(100 mg, 0.56 mMol)のTHF(4 mL)溶液に、慎重に、1 mL THF中の、3−アミノ−5−メチルピラゾール(55 mg, 0.56 mMol)及びDIPEA(108μL, 80 g, 0.62 mMol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。化合物19(144 mg, 0.56 mMol)及びDIPEA(108μL, 80 mg, 0.62 mMol)を添加し、反応物を150℃、20分間マイクロ波照射した。溶媒を留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 9/1〜8/2)により、87 mg(34%)の所望の化合物24を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.93(bs, 1H), 9.60(bs, 1H), 9.49(bs, 1H), 8.46(1H), 8.40(s, 1H), 7.64(bs, 2H), 7.34(m, 4H), 6.86(d, J = 9.2Hz, 2H), 6.45(bs, 1H), 3.71(s, 3H), 2.53(m, 2H), 2.21(s, 3H), 1.23(t, J = 7.6Hz, 3H). MS(ESI)m/z 460 [M+H].
【0269】
実施例25
【0270】
【化51】

【0271】
化合物8(100 mg, 0.56 mMol)のTHF(4 mL)溶液に、慎重に、1 mL THF中の、3−アミノ−5−メチルピラゾール(55 mg, 0.56 mMol)及びDIPEA(108μL, 80 g, 0.62 mMol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。化合物20(135 mg, 0.56 mMol)及びDIPEA(108μL, 80 mg, 0.62 mMol)を添加し、反応物を150℃、20分間マイクロ波照射した。溶媒を留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/MeOH 9/1〜8/2)により、78 mg(31%)の所望の化合物25を得た。1H NMR(400 MHz, DMSO)δ 11.92(bs, 1H), 9.57(bs, 1H), 9.43(bs, 1H), 8.43(1H), 7.59(bs, 2H), 7.40−7.20(m, 7H), 6.53(m, 1H), 6.45(bs, 1H), 4.30(d, J = 5.6Hz, 2H), 2.53(m, 2H), 2.21(s, 3H), 1.22(t, J = 7.6Hz, 3H). MS(ESI)m/z 444 [M+H].
【0272】
実施例26
本実施例では、本発明から選択した化合物の、c−Srcキナーゼ、Aurora−Aキナーゼ、Flt3キナーゼ、Retキナーゼ、及びTrkAキナーゼアッセイを例示した(Daniele Fancelli et al, J. Med. Chem., 2006, 49(24), pp 7247-7251を参照されたい)。KinaseProfilerTM サービスアッセイプロトコール(Millipore)を用いて、本発明の新規化合物のキナーゼ阻害活性を試験した。これを実施するために、バッファー組成は、以下のとおりであった:20 mM MOPS、1 mM EDTA、0.01% Brij−35、5% グリセロール、0.1% β−メルカプトエタノール、1 mg/mL BSA。試験化合物は、最初に、所望の濃度でDMSOに溶解し、ついで、キナーゼアッセイバッファーに段階的に希釈した。25μLの最終反応量において、Aurora−A(h)(5〜10 mU)を、8 mM MOPS pH 7.0、0.2 mM EDTA,、200μM LRRASLG(Kemptide)、10 mM 酢酸マグネシウム及び[γ33P−ATP]とともにインキュベートする。MgATPミックスの添加により反応を開始した。室温で40分間インキュベートした後、5μLの3%リン酸溶液を添加することにより反応を止めた。ついで、10μLの反応物をP30フィルターマット(filtermat)上にスポットし、50 mM リン酸で5分間、3回洗浄し、メタノールで1回洗浄した後、乾燥し、シンチレーションカウンタ測定した。基質を含むがキナーゼを含まないウェル及びホスホペプチドコントロールを含むウェルを用いて、それぞれ、0%及び100%リン酸化値を設定した。
また、Kinase HotspotSM キナーゼアッセイを用いて、IC50又は阻害%について化合物を試験した(Reaction Biology Corp.)。インヒビターIC50値は、最適なキナーゼ濃度(キナーゼEC50)での化合物の滴定(titration)により決定した。
表1は、1μM 濃度での本発明化合物によるc−Srcキナーゼ、Aurora−Aキナーゼ、Flt3キナーゼ、Retキナーゼ及びTrkAキナーゼの阻害についての代表的なデータを示す。
【0273】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
W及びYは、独立して、S、O、NR又はCRから選択され;
は、独立して、水素又は置換されていてもよいC−C脂肪族基から選択され;
Kは、−NR、O又はSから選択され;
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルチオ、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシカルボニル及びアルキルカルボニルを示し;
は、
(i)それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、
(ii)アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、
(iii)式(Ia):
【化2】

(式中、
は、水素、C−Cアルキル、オキソを示し;
が水素のときXはCHであるか;又はX−RがOであるか;又は、XがNであり、Rが、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、モノ−及びジ−(C−Cシクロアルキル)アミノC−Cアルキル、(4〜7員複素環)C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、モノ−及びジ−(C−Cアルキル)スルホンアミド、並びにモノ−及びジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニルの基を示す。)の基
から選択され;
は、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、−COOH及びオキソから独立して選択される0〜4個の置換基で置換されている、水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10アリール若しくはヘテロアリール、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cハロアルキルである。]
の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項2】
請求項1記載の化合物、又はその医薬上許容可能な塩、水和物、溶媒和物、結晶形態の塩及び個々のジアステレオマーの製造方法。
【請求項3】
少なくとも1種の請求項1記載の化合物、又はその医薬上許容可能な塩、水和物、溶媒和物、結晶形態の塩及び個々のジアステレオマー、並びに医薬上許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項4】
以下:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

からなる群より選択される化合物。
【請求項5】
追加の治療剤をさらに含む、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
哺乳動物において、望まれない細胞増殖又は過剰増殖を特徴とする疾患又は状態を治療する方法であって、該疾患又は状態に罹患した哺乳動物を同定すること、及び請求項1記載の化合物を含む組成物を該罹患した哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項7】
疾患又は状態が、癌、脳卒中、鬱血性心不全、虚血又は再灌流傷害、関節炎又は他の関節障害、網膜症又は硝子体網膜疾患、黄斑変性症、自己免疫疾患、血管漏出症候群、炎症性疾患、水腫、移植片拒絶反応、熱傷、又は急性若しくは成人呼吸窮迫症候群である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
疾患又は状態が癌である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
式(A):
【化9】

(式中、
Yは、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、−NR及び−Q−Rから選択され;
Qは、C−Cアルキル又はオキソで置換されていてもよいヘテロシクロアルキルであり;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール及びヘテロアリールから選択され;
及びRは、それぞれ独立して、H及びC−Cアルキルから選択され;
Xは、−K−Ar−Rであり;
Kは、NR、S及びOから選択され;
Arは、フェニルであり;
は、−NHC(O)NH−Rであり;
は、それぞれハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル及びC−Cアルコキシで置換されていてもよい、H、C−Cアルキル、アリール、アリール(C−C)アルキルから選択され;
Zは、−NH−Ar−Rであり;
Arは、少なくとも1個の窒素を含有するヘテロアリールであり;
は、ハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、−C(O)NH−W、C−Cアルケニル及びC−Cアルキニルから独立して選択される1個以上の置換基であり;
Wは、C−Cアルキルである。)
で示される化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項10】
式(A):
【化10】

(式中、
Yは、C−Cアルキル及び−Q−Rから選択され;
Qは、ピペラジニルであり;
は、C−Cアルキルであり;
Xは、−K−Ar−Rであり;
Kは、NH及びSから選択され;
Arは、フェニルであり;
は、−NHC(O)NH−Rであり;
は、C−Cアルキル、フェニル、ベンジル(フェニル及びベンジルは、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル及びC−Cアルコキシで置換されていてもよい。)から選択され;
Zは、−NH−Ar−Rであり;
Arは、チアゾリル及びピラゾリルから選択され;
は、C−Cアルキル及び−C(O)NH−Wから独立して選択される1個以上の置換基であり;
Wは、C−Cアルキルである。)
で示される化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項11】
請求項9記載の化合物、又はその医薬上許容可能な塩、水和物、溶媒和物、結晶形態の塩及び個々のジアステレオマーの製造方法。
【請求項12】
少なくとも1種の請求項9記載の化合物、又はその医薬上許容可能な塩、水和物、溶媒和物、結晶形態の塩及び個々のジアステレオマー、並びに医薬上許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
哺乳動物において、望まれない細胞増殖又は過剰増殖を特徴とする疾患又は状態を治療する方法であって、該疾患又は状態に罹患した哺乳動物を同定すること、及び請求項9記載の化合物を含む組成物を該罹患した哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項14】
請求項10記載の化合物、又はその医薬上許容可能な塩、水和物、溶媒和物、結晶形態の塩及び個々のジアステレオマーの製造方法。
【請求項15】
少なくとも1種の請求項10記載の化合物、又はその医薬上許容可能な塩、水和物、溶媒和物、結晶形態の塩及び個々のジアステレオマー、並びに医薬上許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項16】
哺乳動物において、望まれない細胞増殖又は過剰増殖を特徴とする疾患又は状態を治療する方法であって、該疾患又は状態に罹患した哺乳動物を同定すること、及び請求項10記載の化合物を含む組成物を該罹患した哺乳動物に投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2012−529527(P2012−529527A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515092(P2012−515092)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/037890
【国際公開番号】WO2010/144522
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(508235494)アブラクシス バイオサイエンス リミテッド ライアビリティー カンパニー (22)
【Fターム(参考)】