説明

エアバッグフラップシステム

本発明はエアバッグフラップシステム、およびこのエアバッグフラップシステムを製造するための方法に関する。エアバッグフラップシステムは、エアバッグカバー(1)および支持体(2)を含む。エアバッグカバー(1)は第1プラスチック材料を少なくとも80重量パーセントまで含み、支持体(2)は第2プラスチック材料を少なくとも80重量パーセントまで含む。ここで、第1プラスチック材料は第2プラスチック材料よりも小さな曲げ弾性係数を有する。エアバッグカバーは、支持体内に少なくとも部分的に延びる枠部(3)を有し、枠部(3)は上面および下面が支持体(2)によって覆われる。本発明の目的は、エアバッグカバー(1)と支持体(2)との安定した接続を保証することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体およびエアバッグカバーを含むエアバッグフラップシステム、ならびにこのエアバッグフラップシステムを製造するための方法に関する。
【0002】
支持体およびエアバッグカバーを含むエアバッグフラップシステムは、自動車に組み込まれるエアバッグ装置の一部であり、事故の場合に人間を重傷から保護することを目的とする。この理由により、最近は自動車に一つ以上のエアバッグ装置を組み込むことが一般的である。
【0003】
中にエアバッグカバーを備えるエアバッグフラップシステムに加えて、エアバッグ装置のさらに重要な構成要素はエアバッグおよびエアバッグトリガである。こうした構成要素は様々な役割を果たす必要がある。エアバッグトリガは、トリガされたとき可能な限り急速にエアバッグを膨張させることを目的とする。エアバッグカバーは、初期状態のエアバッグと、自動車の内部空間とを分離する。エアバッグカバーには、一つ以上のエアバッグフラップが一体化されている。エアバッグフラップは、内部空間へのエアバッグの展開を可能にすることを目的とする。エアバッグカバーはハウジングに接続されるのが一般的である。エアバッグおよびエアバッグトリガは、ハウジング内に収容され、エアバッグフラップの下に配置される。
【0004】
乗員保護が最重要であることから、エアバッグ装置は可能な限り完璧に機能するように保証する必要がある。とりわけ、エアバッグカバーに一体化されたエアバッグフラップは、エアバッグの保護効果を低減させるほどまでエアバッグの展開を妨げるということがないように保証する必要がある。エアバッグカバーに一体化されたエアバッグフラップの場合、エアバッグが展開するときに、それがその支持体から分離するかまたはばらばらになって乗員をさらに危険にさらすことがないように保証する必要もある。
【0005】
例えば熱可塑性エラストマのような軟質合成樹脂でエアバッグカバーを製造し、このエアバッグカバーを例えばポリプロピレンのような硬質合成樹脂から形成された支持体内に挿入物(Einsatz)として挿入することが知られている。エアバッグカバーには所定の破断点が与えられる。これによって、エアバッグの展開時に開くエアバッグフラップが画定される。カバーの軟質合成樹脂によって、フラップが開く際のヒンジ効果が与えられる。これによって、支持体からの分離が防止される。軟質合成樹脂の弾性的な特性ゆえに、そのままであっても、エアバッグフラップがばらばらになることも防止される。
【0006】
硬質合成樹脂を支持体として使用し、かつ、軟質合成樹脂をカバーとして使用する際の欠点は、合成樹脂同士の接着が不良となることである。
【発明の開示】
【0007】
本発明の目的は、支持体およびエアバッグカバーを含むエアバッグフラップシステムを設計することにある。これによって、支持体とエアバッグカバーとの接続が特に強固かつ耐経年性のあるものとなり、エアバッグフラップを分離することなく良好なヒンジ効果が保証される。詳しくは、本発明は、かかるエアバッグフラップシステムを経済的に製造できる方法を提供する。
【0008】
本発明において、その目的は請求項1の特徴によって達成される。請求項16は、本発明に係るエアバッグフラップシステムを製造する方法を開示する。
【0009】
本発明は、内部空間側を向くことが可能な可視端部表面、および支持体を備えるエアバッグカバーを含むエアバッグフラップシステムに関する。本発明によれば、エアバッグフラップシステムのエアバッグカバーは、第1合成樹脂を少なくとも80重量パーセントまで含む。エアバッグフラップシステムの支持体は、第2合成樹脂を少なくとも80重量パーセントまで含む。これによれば、第1合成樹脂の曲げ弾性係数は、第2合成樹脂の曲げ弾性係数よりも小さい。エアバッグカバーは、支持体内に少なくとも部分的に(zumindestens bereichsweise)突出する枠部を有する。エアバッグカバーのこの枠部は、上面および下面が支持体によって覆われる。
【0010】
本明細書における「合成樹脂」とは、合成樹脂の純粋形態もしくは複数の合成樹脂の混合物、その純粋形態もしくは混合物に添加可能な添加物もしくは補助物と理解され、それらは「第1」または「第2」「合成樹脂」にパーセント表現を関連させて同様に扱われる。さらに、用語「合成樹脂」は、用語「プラスチック材料」の同意語として使用される。
【0011】
上面および下面が支持体によって覆われる枠部をエアバッグカバーが有するので、エアバッグカバーおよび支持体は互いにくさび状に固定される(miteinander verkeilt)。その結果、2つの合成樹脂の接着特性が不良であったとしても、エアバッグの展開中でもエアバッグカバーと支持体とが互いに強固に接続されることが保証される。第1合成樹脂が第2合成樹脂よりも小さい曲げ弾性係数を有するという事実の結果、エアバッグフラップが開く際のヒンジ動作が達成される。エアバッグカバーの枠部の、上面および下面において支持体に覆われる領域は特に、ヒンジ動作の軸として好適である。
【0012】
本発明の有利な実施例によると、一つ以上の切り落としを備える枠部が提供される。エアバッグカバーと支持体との接続は、かかる切り落としによってさらに固定される。
【0013】
本発明のさらなる有利な実施例によると、孔が枠部に配置されるようにかかる切り落としが製造される。孔は非常に容易に製造できる。かかる孔は、詳しくは貫通孔である。凹部であっても同様に製造が容易である。
【0014】
本発明のさらなる有利な実施例によると、一つ以上のノブを備える枠部が提供される。エアバッグカバーは、かかるノブによって支持体にさらに固定される。
【0015】
本発明のさらなる有利な実施例によると、一つ以上のノブは、エアバッグカバーの前面の部位で終端する。これは特に、かかるエアバッグフラップシステムの製造方法に対して有利である。というのは、あらかじめ製造されたエアバッグカバーが支持体材料に組み込まれる場合に、エアバッグカバーと支持体材料との高い温度差ゆえに局所的な機械的応力が発生し、特にエアバッグカバーの枠部においてエアバッグカバーが盛り上がるからである。枠部に配置されるノブの長さが射出成形のダイの形状に適合されれば、かかるノブは、スペーサとして枠部の変形に対抗する。したがって、射出完了後かつ冷却後において、特にエアバッグカバーの前面が、枠部の変形ゆえに望ましくない湾曲になることが防止される。
【0016】
本発明のさらなる有利な実施例によると、網状構造のウェブを備える前面および/または前面に対向するエアバッグカバーの面が提供される。例えば矩形またはハニカム形状のようなかかる網状構造のウェブによって、熱膨張に起因する前面の湾曲が低減される。この網状構造にはさらに、低い材料費でエアバッグカバーを強化するという効果がある。よって、エアバッグ展開中のエアバッグカバーの望ましくない裂け方が低減される。このため、例えば金属板をなしで済ませることができる。
【0017】
本発明のさらなる有利な実施例によると、エアバッグカバーは、その前面の周縁にカラーを有する。かかるエアバッグフラップシステムの製造方法においては、射出成形のダイがカラーに対応して適合されるので、カラーによって、支持体材料によるエアバッグカバーの成形中、望ましくない態様で支持体材料が前面に到達することが確実になくなる。
【0018】
本発明の特に有利な実施例によると、支持体とエアバッグカバーとは、気泡が入らない態様で互いに密着する。
【0019】
したがって、さもなくば存在する支持体−エアバッグカバーの中間領域に気泡が望ましくない態様で侵入することを防ぐためのさらなる手段をとることなく、支持体とエアバッグカバーとの上に共通の気泡層を適用することができる。
【0020】
この気泡の不透過性は、例えば、エアバッグカバーを、その後支持体を形成する合成樹脂で成形することによって達成することができる。
【0021】
本発明のさらなる有利な実施例によると、単数または複数の上層が支持体およびエアバッグカバーを覆う。支持体およびエアバッグカバーを上層で覆うことは、特に視覚的外観にとって有利である。この上層は、具体的にはプラスチック材料、織物繊維または皮革を含んでよい。
【0022】
本発明のさらなる有利な実施例によると、エアバッグカバーの外縁には一つ以上の凹部が設けられる。ここで、外縁とは、支持体内に突出する枠部を除いて、エアバッグの展開が誘導されるエアバッグカバーの放出チャネルの外縁と理解すべきである。かかる凹部は、枠部の下におけるエアバッグカバーの外縁および枠部の上におけるエアバッグカバーの外縁の両方に配置されてよい。製造容易な形態として、凹部は、特にブラインド孔として製造してもよい。しかし、例えば切り落としを備える凹部または溝型凹部も可能である。かかる凹部は、エアバッグカバーの前面に対して平行に配列されると有利である。好ましくは、支持体はかかる凹部に係合する。その結果、エアバッグはさらに固定される。エアバッグの展開によりエアバッグカバーが開いている間、支持体内に突出する枠部が外れても、エアバッグが支持体から外れる危険性が低減される。
【0023】
本発明のさらなる有利な実施例によると、第2合成樹脂は、2000MPaから5000MPaまでの範囲の曲げ弾性係数を有する。ここで、曲げ弾性係数は、以下の記載での曲げ弾性係数データの場合も含めてDIN53457に従って決定される必要がある。2000MPaよりも小さい曲げ弾性係数を備える合成樹脂は、その低い剛性ゆえに取り扱いが難しく、5000MPaよりも大きい曲げ弾性係数を備える合成樹脂は脆性なので割れやすい。
【0024】
本発明のさらなる有利な実施例によると、第2合成樹脂は、1×10−℃−から6×10−℃−までの熱膨張係数を有する。ここで、熱膨張係数は、以下の記載でのデータの場合も含めてDIN53752に従って決定される必要がある。1×10−℃−よりも小さい熱膨張係数には、支持体とエアバッグカバーとの間の機械的応力が大きくなりすぎて破損するようになるという影響がある。6×10−℃−よりも大きな熱膨張係数には、例えば支持体が、自動車の内装被覆などにおける多構成要素システムの一部である場合に、大きな力が支持体に接続された部品にかかり変形を引き起こすという影響があり得る。
【0025】
本発明のさらなる有利な実施例によると、第1合成樹脂は、100MPaから1000MPaまでの範囲の曲げ弾性係数を有する。100MPaよりも小さい曲げ弾性係数を備える合成樹脂は、エアバッグの展開中にエアバッグカバーに所定の破断を生じさせることが難しくなる。低い温度では剛性および脆性が増加するので、1000MPaよりも大きい曲げ弾性係数を備える合成樹脂は、エアバッグの機能を損なう可能性がある。
【0026】
本発明のさらなる有利な実施例によると、第1合成樹脂は、約8×10−℃−から20×10−℃−までの熱膨張係数を有する。8×10−℃−よりも小さい熱膨張係数は、エアバッグカバーが脆性となり割れやすくなることを意味する。20×10−℃−よりも大きい熱膨張係数は、エアバッグカバーと支持体との間の機械的応力が大きくなりすぎてエアバッグの前面が目に見えて盛り上がり、エアバッグフラップシステムが永久的に破損する可能性がある。
【0027】
本発明のさらなる有利な実施例によると、第1合成樹脂は、熱可塑性オレフィン、熱可塑性スチレン、熱可塑性ポリウレタン、熱平衡性(thermostatische)ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルまたはゴムのグループの一つ以上の合成樹脂を含む。かかる合成樹脂は、曲げ弾性係数および熱膨張係数に対する上記条件を満たすには好適である。
【0028】
本発明のさらなる有利な実施例によると、第2合成樹脂は、熱可塑性オレフィン、熱可塑性スチレン、熱可塑性ポリウレタン、熱平衡性ポリウレタンまたはゴムのグループの一つ以上の合成樹脂を含む。かかる合成樹脂は、曲げ弾性係数および熱膨張係数に対する上記条件を満たすには好適である。
【0029】
本発明のさらなる有利な実施例によると、支持体は計器パネルである。
【0030】
さらに、本発明はエアバッグフラップシステムを製造する方法を開示する。この方法はまず、第1合成樹脂を少なくとも80%まで含み少なくとも部分的に枠部3を有するエアバッグカバーが、閉じられた射出成形ダイ10内でエアバッグカバーの枠部がダイ表面に接触しないように射出成形ダイ10内に挿入されるステップを有する。枠部には一つ以上のノブ5が設けられ、ノブ5がスペーサとして射出成形ダイ内での枠部3の変形を低減するようにノブ5はダイ表面の部位で終端する。次のステップでは、エアバッグカバー1は第2合成樹脂を少なくとも80%まで含む支持体材料で成形される。
【0031】
好ましくは、第2合成樹脂は、第1合成樹脂よりも大きな曲げ弾性モーメントを有する。
【0032】
上記特徴を備えるエアバッグカバーは、ノブを含む枠部が成形後支持体内に突出するように射出成形ダイ内に配置される。好ましくは、エアバッグカバーの枠部に配置されるノブは、両端が射出成形ダイに接触し、それゆえに成形中の枠部の変形が低減される(ノブと射出成形ダイのダイ表面との直接的な接触は実際には非常に有利であるが、絶対的に必須というわけではない。しかし、ノブの端部とダイ表面との間のスペースが大きいほど、枠部の変形度合いは大きくなる)。
【0033】
ノブが配置される閉じられたダイのギャップサイズと比較して、ノブがわずかに過剰な寸法を有すると特に有利である。その結果、締め付け効果が生じる。
【0034】
枠部の変形を低減することに加えて、ノブはエアバッグカバーを支持体材料内に固定する。これにより、互いに全く接着しないか不良な状態でしか接着しない支持体とエアバッグカバーとのために合成樹脂を使用することも具体的には可能となる。本発明によれば、エアバッグカバーと支持体との接続が、2つの構成要素がぴったり合う接続によって保証できる。
【0035】
ノブがダイ表面に両面で接触することは絶対的に必須というわけではない。ノブが、枠部の一方の面にのみ配置されてダイの一方のダイ表面にのみ当接することもできる。これが可能となるのは、特に射出チャネルがダイ内に配置されている場合である。プラスチック材料の射出中、プラスチック材料が枠部に圧力を及ぼす。これにより、枠部は、ノブが当接するダイ表面の方向に押圧される。すなわち、枠部が支持される。
【0036】
ノブは形状が多様であってよい。例えば、短いウェブとして構成されてもよい。しかし、ノブは、支持体材料による形成中に、その寸法ゆえに合成樹脂材料の流れが大きく妨げられることが確実にないようにする必要がある。このため、小さな寸法のノブ/ウェブが複数あることがとりわけ推奨される。
【0037】
好ましくは、ノブは直径が約1.5mmから2mmであり、高さが約2mmである。当然ながら、かかる寸法は構成要素に依存し、基本的にはかなり多様であってよい。かかる種類のノブが、プラスチック材料のダイ内への射出中に流れを抑制する影響が強すぎることのないようにするために、5mmよりも小さい直径が推奨される。
【0038】
さらに、ノブが構成要素の枠部周辺に均一に分散されることによって、ノブをダイ表面へ均一に配置しやすくなる。
【0039】
ノブは、枠部と一体的に接続されてもよいし、例えば接着剤によって枠部に引き続き固定されてもよい。
【0040】
本方法のさらなる利点は、エアバッグフラップシステムが数ステップで特に経済的に製造できるということである。かかる方法は、例えばエアバッグカバーと支持体との確実な接続を作り出すようなシステムの要求を満たす。エアバッグカバーおよび支持体は、それらの役割に対応した異なる曲げ弾性係数を有し、エアバッグカバーの前面を可能な限り滑らかにすることが保証される。
【0041】
基本的には、本方法はエアバッグフラップシステムの製造に限られない。特に個々の要素の安定かつ不透過な、具体的には気泡が不透過な、接続が重要となる場合に、その他の複数部品の構成要素に対して使用することもできる。
【0042】
本方法の有利な改良によると、エアバッグカバーは、好ましくは一つの加工ステップで熱可塑性合成樹脂材料を射出成形することによって製造される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
いくつかの図面を参照して本発明が以下に説明される。
【0044】
図1は、本発明の教示によるエアバッグフラップシステムの断面を概略的に示す。平坦な前面(1a)を備えるエアバッグカバー(1)は内部空間の方を向いており、100重量パーセントの熱可塑性ポリエステルエラストマで作られる。このエラストマは、600MPaの曲げ弾性係数および14×10−℃−の線形熱膨張係数を有し、周縁面が支持体(2)で囲まれている。支持体(2)は、70重量パーセントのポリプロピレンおよび30重量パーセントのガラス繊維の構成要素で作られる。この合成樹脂は、3500MPaの曲げ弾性係数および2.5×10−℃−の熱膨張係数を有するポリプロピレンおよびガラス繊維から形成される。
【0045】
エアバッグカバー(長さ312mm、幅216mm)は、支持体内に突出して上面および下面が支持体で覆われるウェブ(エアバッグカバーの長手方向面の幅:28mm、エアバッグカバーの短手方向面の幅:32mm)として形成された枠部(3)を有する。枠部には、直径10mmの貫通孔(4)が中央部に設けられている。この貫通孔は切り落としとして機能し、さらにはエアバッグカバーを支持体に固定する。枠部はまた、貫通孔それぞれの間にほぼ2列で連なって配置される複数のノブ(Noppen)を含む。ノブは、エアバッグカバーの前面の部位で終端する。他端は共通の平面内に同様に存在する。2つのネジ(10)に関して対向関係にある2つの金属ブリッジは、枠部と一体化されている。かかるネジは、エアバッグモジュールをカバーに取り付けるために設けられる。
【0046】
エアバッグカバーの外部フレームには、複数のブラインド孔(11)が周方向に設けられる。さらに、かかるブラインド孔によってエアバッグカバーの支持体内の固定が行われる。また、エアバッグカバーは、エアバッグの展開を誘導することを目的として、その下部フレーム(1b)が支持体(2)を越えて突出するように構成される。
【0047】
エアバッグカバー(1)の前面(1a)は、その周縁に、高さ1mm幅0.5mmのカラー(7)を有する。したがって、支持体材料は、支持体材料による成形中に望ましくない態様で前面に到達することが防止される。
【0048】
エアバッグカバーの前面に対向して配置される面には、狭い外縁から離れて矩形ウェブの網状構造(6)が設けられる。矩形ウェブの網状構造は8mm×8mmの箱型を有し、ウェブの幅は1mm、構造の隆起は6mmである。その代わりに、同程度の寸法を備えるハニカム構造も可能である。さらに、いわゆる衰弱線(Schwachungslinien)(9)が、エアバッグカバーの前面に対向する面の外縁に刻み込まれている。したがって、エアバッグの展開中にカバーの所定の開口が保証される。かかる衰弱線の全体の経路はこの後の図面に示される。
【0049】
基本的には、網状構造の上記寸法は様々であってよい。ウェブの隆起に対しては4mmから10mmまで、ウェブの幅に対しては0.5mmから3mmまで、および個々のハニカムの表面積に対しては30mm2から80mmまでの範囲が有利であることが示されている。かかる値は、上記矩形形状以外にハニカム形状にも特に当てはまる。
【0050】
本実施例では、網状構造は、エアバッグカバーに一体的に接続される。また、本発明において好ましいのは、例えばエアバッグカバーが一回の射出成形工程で網状構造とともに製造されることである。
【0051】
その代わりに、かかる構造が例えば溶接または接着によってその後適用されることもできる。しかし、このためには付加的な操作ステップが必要となる。
【0052】
エアバッグカバー(1)および支持体(2)は、全面にわたり2層の上層(8)で覆われる。第1層(8a)は3mm厚のポリウレタン発泡体を含み、第2層(8b)は1mm厚のポリ塩化ビニルを含む。
【0053】
図2は、図1のエアバッグカバー(1)の上面図を示す。図は、本実施例におけるウェブ形状の枠部(3)が連続領域であることを示す。切り落とし(4)およびノブ(5)は枠部全体に沿って配置される。カラー(7)は、エアバッグカバーの前面の周縁に配置される。
【0054】
図3は、図1のエアバッグカバー(1)の下面図を示す。この図では、網構造の矩形凹部(6)を備える、前面に対向する面が可視である。カバーは、いわゆる衰弱線(9)に沿って切り込みが入れられている。したがって、エアバッグの展開中にカバーの所定の開口が達成される。
【0055】
本発明に係るエアバッグフラップシステムを製造するための方法の実施例は、図を参照しながら以下に同様に記載される。
【0056】
本方法の第1ステップでは、100重量パーセントの熱可塑性ポリエステルエラストマを含むエアバッグカバーは、大部分が2列に配置されたノブを備えるウェブ形状の枠部を有し、射出成形ダイに配置される。エアバッグカバー(1)の枠部は閉じられた射出成形ダイ内でダイ表面に接触しないが、ノブ(5)は射出成形ダイ表面に接触するように、エアバッグカバー(1)がダイ内に挿入される。
【0057】
図4は、射出成形ダイ(10)内に配置されたエアバッグカバー(1)を示す。
【0058】
本方法によれば、エアバッグカバー(1)は、次のステップにおいて支持体材料のポリプロピレンで成形される。成形中、ポリプロピレンは温度が約190℃である一方、エアバッグカバーは室温である。エアバッグカバーと支持体材料との高い温度差ゆえに、枠部(3)が大きく変形する危険性がある。ノブのスペーサとしての作用により、かかる変形は防止される。
【0059】
枠部(3)、ノブ(5)および網状構造(6)を備えるエアバッグカバー(1)が、上記合成樹脂材料の射出成形によって一つの加工ステップで事前に製造された。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】エアバッグカバーを備えるエアバッグフラップシステムの断面を概略的に示す。
【図2】図1のエアバッグカバー(1)の上面図を示す。
【図3】図1のエアバッグカバー(1)の下面図を示す。
【図4】射出成形ダイに配置されたエアバッグカバーを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間の方を向くことが可能な可視前面(1a)を備えるエアバッグカバー(1)と、
支持体(2)と
を含み、
前記エアバッグカバーは第1プラスチック材料を少なくとも80重量パーセントまで含み、
前記支持体は第2プラスチック材料を少なくとも80重量パーセントまで含み、
前記第1プラスチック材料は第2プラスチック材料よりも小さな曲げ弾性係数を有し、
前記エアバッグカバーは支持体内に少なくとも部分的に突出する枠部を有し、
前記エアバッグカバーの枠部(3)は上面および下面が支持体によって覆われる
エアバッグフラップシステム。
【請求項2】
前記枠部は一つ以上の切り落とし(4)を有する、請求項1に記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項3】
前記切り落としは枠部の孔によって設けられる、請求項2に記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項4】
前記枠部には一つ以上のノブ(5)が設けられる、請求項1から3のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項5】
一つ以上のノブは、前記エアバッグカバーの前面の部位で終端する、請求項4に記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項6】
前記前面および/または前記前面に対向する前記エアバッグカバーの面には、強化のための網状構造のウェブ(6)が設けられる、請求項1から5のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項7】
前記エアバッグカバーは、その前面の周縁にカラー(7)を有する、請求項1から6のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項8】
前記エアバッグカバーおよび支持体は、気泡が入らない態様で互いに密着される、請求項1から7のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項9】
単層または多層の上層(8)が前記支持体および前記エアバッグカバーを覆う、請求項1から8のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項10】
前記エアバッグカバーの前記外縁には、一つ以上の凹部(11)が設けられる、請求項1から9のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項11】
前記第2プラスチック材料は、2000MPaから5000MPaまでの範囲の曲げ弾性係数を有する、請求項1から10のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項12】
前記第2プラスチック材料は1×10−℃−から6×10−℃−までの熱膨張係数を有する、請求項1から11のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項13】
前記第1プラスチック材料は100MPaから1000MPaまでの範囲の曲げ弾性係数を有する、請求項1から12のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項14】
前記第1プラスチック材料は8×10−℃−から20×10−℃−までの熱膨張係数を有する、請求項1から13のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項15】
前記第1プラスチック材料は、熱可塑性オレフィン、熱可塑性スチレン、熱可塑性ポリウレタン、熱平衡性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルまたはゴムのグループの一つ以上のプラスチック材料を含む、請求項1から14のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項16】
前記第2プラスチック材料は、熱可塑性オレフィン、熱可塑性スチレン、熱可塑性ポリウレタン、熱平衡性ポリウレタンまたはゴムのグループの一つ以上のプラスチック材料を含む、請求項1から15のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項17】
前記支持体は計器パネルである、請求項1から16のいずれか一つに記載のエアバッグフラップシステム。
【請求項18】
エアバッグカバーを射出成形ダイで成形するステップを有し、
前記エアバッグカバーは第1合成樹脂を少なくとも80%まで含み少なくとも部分的に枠部を有し、
前記枠部には一つ以上のノブが設けられ、
前記ノブは前記射出成形ダイ内でスペーサとして前記枠部の変形を低減するように構成され、
前記ノブを含む前記枠部が前記支持体内に突出する態様で支持体材料が設けられ、
前記支持体材料は第2合成樹脂を少なくとも80%まで含み、
前記第2合成樹脂は前記第1合成樹脂よりも大きな曲げ弾性係数を有する
エアバッグフラップシステムを製造するための方法。
【請求項19】
まず、第1プラスチック材料を少なくとも80%まで含み、一つ以上のノブが設けられた枠部を少なくとも部分的に有するエアバッグカバーが、閉じられた射出成形ダイ内で前記エアバッグカバーの枠部がダイ表面に接触しないように射出成形ダイ内に挿入され、
前記ノブがスペーサとして射出成形ダイ内での枠部の変形を低減するように前記ノブはダイ表面の部位で終端し、
次のステップでは、エアバッグカバーは第2プラスチック材料を少なくとも80%まで含む支持体材料で成形される
エアバッグフラップシステムを製造するための方法。
【請求項20】
前記エアバッグカバーは好ましくは一つの加工ステップで熱可塑性プラスチック材料を射出成形することによって製造される、請求項18または19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−517826(P2008−517826A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538356(P2007−538356)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011705
【国際公開番号】WO2006/045635
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(504328912)フォールシア インネンラオム システム ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】