説明

エストロゲン補充療法の副作用を軽減する医薬組成物及び方法

本発明は、閉経後の女性における病理的状態を軽減するための医薬組成物であって、リジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、及び、医薬として許容される1成分であってキャリア、希釈剤、及び賦型剤から成る群から選択されるものを含み、該組成物が24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含むことを特徴とする医薬組成物を提供する。この医薬組成物を用いる治療方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明が属する技術分野
本発明は、閉経後の女性におけるエストロゲン補充療法の副作用、特に心臓血管系及び腫瘍性疾病を軽減する医薬組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の要約
本発明は、閉経後の女性における病理的症状を軽減するための、リジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、を含む医薬組成物であって、24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含む医薬組成物を提供する。本発明は、また、この医薬組成物を用いる治療方法を提供する。
【0003】
発明の背景
閉経後症候群は、閉経した女性がかかる病気である。よく見られる症状は、骨粗鬆症、吐き気、便秘、下痢、関節痛、筋肉痛、のぼせ、発汗、疲労、不眠、苛立ち、神経過敏などの心理的及び情緒的症状、である。The Merck Manual, 1793 (16th Ed. 1992) を見よ。米国や他の多くの国々では、エストロゲン補充療法が閉経後症候群の標準的な治療法となっている。このホルモン療法にはいくつかの利点がある。例えば、データは、エストロゲンが骨粗鬆症による骨量減少の進行を抑制できることを裏付けている。いくつかの研究は、閉経後のエストロゲン補充療法が冠状動脈心疾患の発生と心臓血管系疾病による死亡率を減少させることを示してエストロゲンの心臓保護効果を支持している(Stampfer, M. J. et al., N. Engl. J. Med. 325, 756-762 (1991))。このような有益な効果が報告されているが、エストロゲン補充療法はまた、望ましくない副作用もある。例えば、エストロゲン補充療法の心臓血管系への有益な効果は最近の研究では確認されていない。最近の臨床試験のメガ分析は、ホルモン補充療法が以前に考えられていたような心臓血管系への有益な効果を生じないことを示し、むしろ有害である可能性もあることが見出されている(Waters et al., JAMA, vol.288, pp.2432-2440, 2002)。
【0004】
認められる多くの症状のうち、エストロゲン補充療法の次の2つの主要な副作用が長期的な医学的問題となる:すなわち、a) 高血圧及びアテローム性動脈硬化などの心臓血管系の異常;及びb) エストロゲン依存的な癌、特に乳癌である。
【0005】
エストロゲン補充療法は、血栓塞栓性、虚血性、及び高血圧性疾病などの心臓血管系の疾病の発生率の増加と関連することが知られている。この心臓血管系の疾病の増加は、エストロゲンが平滑筋細胞の増殖を誘発することができ、その結果高血圧を生ずることと関係があるかもしれない。さらに、エストロゲンは、アテローム性動脈硬化の進行を速める可能性がある。血栓塞栓性及び虚血性疾病、高血圧の増加、の場合、エストロゲン補充療法は直ちに停止しなければならない(Pschrembel, Klinisches Worterbuch, 259版)。
【0006】
エストロゲン補充療法は、また、腫瘍性の疾病、特に乳癌、の発生率の増加と関連している。例えば、エストロゲン療法を受けている女性の乳癌のリスクは約7%であるが、これに対してエストロゲン治療を受けていない女性のリスクは2%である。エストロゲン及び関連ホルモンの長期的使用は、癌細胞の増殖に導き、かつ癌細胞の拡散を促進する可能性がある。
【0007】
閉経後の女性におけるエストロゲン補充療法の副作用を軽減する最近のアプローチは、1)タモキシフェンなどの化学療法化合物、2)弱いアンドロゲンなどの抗エストロゲン化合物、又は3)プロゲスチン、の投与などである。このような組み合わせ治療は理想的ではない。例えば、アンドロゲンは子宮におけるいくつかの細胞集団に刺激的な作用を及ぼす可能性があり、生殖阻害作用がある。プロゲスチンの連続投与は無月経を誘発し、子宮ない成長を退行させる可能性がある。プロゲスチンの長期使用は不快な中枢神経系への副作用を生じ,不妊に導く可能性がある。
【0008】
いくつかの米国特許が、閉経後の女性で一般に使用できる食物サプリメントを開示している。例えば、U.S, Pat, No. 5,514,382は、ビタミンC、マンガン、マグネシウム・バイオフラビノイド、及びセレンの毎日のサプリメントを開示している。U.S, Pat, No. 5,569,459は、フィトエストロゲン、マグネシウム、カルシウム、ビタミンE、西洋人参粉末、及びパントテン酸塩のサプリメントを開示している。U.S, Pat, No. 5,654,011は、フィトエストロゲンとビタミンのサプリメントを開示している。U.S, Pat, No. 5,998,401は、置換されたナフタレン化合物のあるクラスを開示している。U.S, Pat, No. 6,359,017は、フィトエストロゲンとフィトアンドロゲンのサプリメントを開示している。U.S, Pat, No. 6,476,012は、オプションとしてビタミンCを含むエストラジオール類似体を開示している。U.S, Pat, No. 6,479,545は、脂肪酸化合物、カルシウム、ビタミンC、及び葉酸のサプリメントを開示している。開示されたサプリメントはすべて、エストロゲン補充療法の特定副作用を軽減するように、そしてその効果を高めるように改善できるであろう。
【0009】
欧州特許出願00115643.9は、アテローム性動脈硬化などの細胞外マトリックスの劣化に関連した成人病、癌、及びその他の関連疾病に一般に使用できる医薬組成物を開示している。この組成物はアスコルビン酸塩、血栓溶解阻害剤、及びその他の微量元素を含む。
【0010】
合成エストロゲン及びプロゲスチン製剤を用いるホルモン補充療法に関連した副作用、特に心臓血管系の異常と腫瘍性疾病、を軽減するための安全で有効な医薬組成物を提供する必要性がずっと前から感じられている。
【発明の開示】
【0011】
発明の目的と要約
エストロゲン補充療法を受けている女性における閉経後症候群の病理症状を軽減するために有用な医薬組成物を提供することが本発明の目的である。病理症状には、エストロゲン補充療法の結果として女性に生ずる心臓血管系への有害な影響(例えば、高血圧やアテローム性動脈硬化)及び腫瘍性の有害な影響(例えば、乳癌)などがある。
【0012】
したがって、本発明は閉経後の女性における病理症状を軽減する医薬組成物であって、リジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、及び医薬として許容されるキャリア、希釈剤、及び賦型剤から成る群から選択される一つの成分を含む医薬組成物を提供し、この組成物は24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含む。
【0013】
オプションとして、この医薬組成物はさらに、エチニル・エストロゲン、メストラノール、エストラジオール、エチニル・エストラジオール、エストリオール、ノレチステロン、リネストレノール、エチノジオール、ジエノエストロール、ビペラジン、エストロン・スルフェート、及びフィトエストロゲンから成る群から選択されるエストロゲン化合物を含む。
【0014】
オプションとして、この医薬組成物はさらに、メドロキシプロジェステロン、ノレチルノドレル、及びノレチンドロンから成る群から選択されるプロゲスチン化合物を含む。
本発明は、リジン750 mg−15グラム、プロリン500 mg−10グラム、アルギニン400 mg−8グラム、アスコルビン酸500 mg−10グラム、マグネシウム40 mg−750 mg、緑茶エキス750 mg−15グラム、N-アセチル-システイン150 mg−2グラム、セレン20−700 mcg、銅1.5 mg−20 mg、マンガン0.8 mg−15 mgを含む医薬組成物であって、24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含む医薬組成物を提供する。
【0015】
好ましくは、本発明は、リジン1 グラム−5.5グラム、プロリン750 mg−4グラム、アルギニン500 mg−3グラム、アスコルビン酸710 mg−4グラム、マグネシウム50 mg−300 mg、緑茶エキス1グラム−5グラム、N-アセチル-システイン200 mg−1グラム、セレン30−400 mcg、銅2 mg−10 mg、マンガン1 mg−8 mgを含む医薬組成物であって、24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含む医薬組成物を提供する。
【0016】
さらに好ましくは、本発明は、リジン1 グラム、プロリン750 mg、アルギニン500 mg、アスコルビン酸710 mg、マグネシウム50 mg、緑茶エキス1グラム、N-アセチル-システイン200 mg、セレン30、銅2 mg、マンガン1 mgを含む医薬組成物であって、24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含む医薬組成物を提供する。
【0017】
好ましくは、医薬組成物は経口又は非経口(parenteral)形態である。さらに好ましくは、経口形態は錠剤又はカプセルである。
【0018】
本発明は、閉経後の女性における病理症状を軽減する方法であって、治療を必要とする女性に、リジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、及び医薬として許容されるキャリア、希釈剤、及び賦型剤から成る群から選択される一つの成分を含み、24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含む有効な量の医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。オプションとして、この組成物はエストロゲン化合物及び/又はプロゲスチン化合物を含む。
【0019】
本発明は、閉経後の女性における病理症状を軽減する方法であって、治療を必要とする女性に有効な量の医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。普通、一日の投薬量としては、10-208 mg/kgのリジン、7-139 mg/kgのプロリン、5-111 mg/kgのアルギニン、7-139 mg/kgのアスコルビン酸、0.5-10 mg/kgのマグネシウム、10-208 mg/kgの緑茶エキス、2-28 mg/kgのN-アセチル-システイン、0.0003-0.01 mg/kgのセレン、0.02-0.3 mg/kgの銅、0.01-0.2 mg/kgのマンガンという量で、組成物が24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含むものが勧告される。
【0020】
好ましくは、医薬組成物の一日の投薬量は:13-70 mg/kgのリジン、10-56 mg/kgのプロリン、7-42 mg/kgのアルギニン、9.8-4 mg/kgのアスコルビン酸、0.7-4.2 mg/kgのマグネシウム、13-70 mg/kgの緑茶エキス、3-14 mg/kgのN-アセチル-システイン、0.0004-0.006 mg/kgのセレン、0.03-0.15 mg/kgの銅、0.01-0.1 mg/kgのマンガンを含み、組成物は24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含む。
【0021】
さらに好ましくは、一日の投薬量は:13 mg/kgのリジン、10 mg/kgのプロリン、7 mg/kgのアルギニン、9.8 mg/kgのアスコルビン酸、0.7 mg/kgのマグネシウム、13 mg/kgの緑茶エキス、3 mg/kgのN-アセチル-システイン、0.0004 mg/kgのセレン、0.03 mg/kgの銅、0.01 mg/kgのマンガンであり、組成物は24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含む。
【0022】
好ましくは、この医薬組成物は経口的、静脈注射、又は非経口的(parenterally)に投与される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本明細書で用いる場合、“軽減する”という用語は、エストロゲン療法を受けている閉経後の女性によく見られる症状を減少させる、抑制する、減衰させる、又は治療することを意味するように用いられる。“エストロゲン療法の症状”は、よく認識されている用語であり、本明細書では主に、エストロゲン補充療法を受けている女性における高血圧、アテローム性動脈硬化、及び乳癌などの心臓血管系の問題及び腫瘍性の問題を指す。“有効な量”という用語は、ここで述べるいろいろな病理状態の症状を軽減できる本発明の組成物の量を意味する。キャリア、希釈剤、及び賦型剤に関する“医薬として許容される”という用語は、製剤の他の成分と両立し、そのレシピエントに無害でなければならないということを意味する。“wt%”とは、組成物の全重量の比率としてのその成分の%を指す;例えば、25 wt%のリジンとは、組成物の全重量の25%がリジンから成ることを示す。
【0024】
ホルモン療法において用いられるエストラジオールとプロゲステロンの量は大きく変動する。エストラジオールの投薬量の一例は0.2-0.5 mgである。プロゲステロンの投薬量の一例は50-100 mgである。
【0025】
本発明は、閉経後の女性におけるエストロゲン補充療法に関連した病理的状態を治療するための組成物であって、リジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、を含み、オプションとしてエストロゲン又はプロゲスチンを含む組成物を提供する。
【0026】
理論によって束縛されたくはないが、本発明の組成物はエストロゲンによって誘発される平滑筋細胞の増殖と浸潤を効果的に阻害する。平滑筋細胞の増殖と浸潤は、衝動脈を狭めるのに中心的な役割を演ずるので、この組成物は血圧を調節し、じゅく状硬化斑の発現を制御する。リジンやプロリンなどの成分の全体的な効果が結合組織のひどい劣化を阻止し、それがさらに増殖と浸潤のプロセスを抑制するように見える。さらに、緑茶エキスとビタミンCも、それらの抗酸化性によって結合組織の劣化を鈍らせるであろう。正確な作用メカニズムは完全には分かっていないが、それは多分、組成物に含まれる成分が心臓血管系の劣化と癌の発現というエストロゲンの作用に対抗する相乗効果によって達成されるのであろう。
【0027】
閉経後のエストロゲンとプロゲステロンの欠乏を治療する方法はいろいろある。それは一般に、経口的に作用する、注射可能な、又は経皮的なエストロゲン製剤、及び経口的又は注射可能な形態のプロゲスチン、の投与を用いる。臨床研究は、本発明の製剤の最適投薬量が、各カプセルが0.3-0.4 mgのエストラジオールと50又は100 gのmicronized プロゲスチンを含むもので、一日3カプセルの投与であることを実証した。
【0028】
本発明によれば、この医薬組成物はエストロゲン療法を受けている閉経後の女性における閉経後症候群の症状を軽減するのに有用である。
【0029】
いろいろな形態のエストロゲンが市販されている。エストロゲンには、例えば、エチニル・エストロゲン(0.01-0.03 mg/day)、メストラノール(0.05-0.15 mg/day)、及びPremarin RTM. (Wyeth-Ayerst; 0.3-2.5 mg/day)などの結合型エストロゲン・ホルモンなどがある。典型的なエストロゲンはPremarinである。
【0030】
人体に吸収されると、エストロゲンはエストラジオール(17βエストラジオール)に変換される。これは生物活性を有するエストロゲンの代謝産物である。エストロゲンの一日の投薬量は一日あたり約375 mcg乃至1.25 mgであり、これは一日のエストラジオールの量としては0.05 mg乃至1 mgである。エストロゲンのその他の機能的等価物としてはエチニル・エストラジオール、エチノジオール、ジエネストロール、エストラジオール、及びビペラジン・エストロン・スルフェートなどがある。
【0031】
閉経後症候群は、年齢の増加に伴う体内のエストロゲン・プロフィールの変化と関連する。この点で、フィトエストロゲンに富む食物が合成ホルモンに代わるモノとして適当であり、臨床的症状を軽減するという証拠がある。フィトエストロゲンはエストロゲン代謝にバランスを回復するように働くと考えられる。
【0032】
フィトエストロゲンは植物から得られるエストロゲン化合物である。フィトエストロゲンには3つの主なクラスがある:すなわち、イソフラボン、リグナン、及びクーメスタン、である。フィトエストロゲンの例としては、Genistein (5,7-ジヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)-4H-1-ベンゾピラン-4-one)とResveratrol (5-[(1E)-2-(4-ヒドロキシフェニル)-エテニル]-1,3-ベンゼンジオールがある。フィトエストロゲンは、低い親和度ながらエストロゲン受容体と結合し、エストロゲンの生物学的効果を模倣することが示されている。フィトエストロゲン補充療法には確立された投薬量はない;Genisteinについての臨床研究は20 mg 乃至600 mg という日投薬量を示唆している。
【0033】
本発明によるフィトエストロゲンは、いくつかの異なる源から得られる。好ましくは、フィトエストロゲンは、レッドクローバーや地中海クローバーなどのクローバー、又は高レベルのフィトエストロゲンを含むダイズ(soya)から抽出される。
【0034】
いろいろな形態のプロゲスチンも市販されている。プロゲスチンの例としては、例えば、Provera RTM. (Upjohn; 2.5-10 mg/日)などのメドロキシプロゲスチン、ノレチルノドレル(1.0-10.0 mg/日)、及びノルンチンドロン(0.5-2.0 mg/日)、などがある。典型的なプロゲスチンはノレチルノドレルとノルンチンドロンである。
【0035】
本明細書で言及される場合、エストロゲン化合物は、エストロゲン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エストリオール、ノレチステロン、及びリネストレノールを含む。
【0036】
リジンは、ヒドロキシリジン及びヒドロキシリジン塩などのリジン塩を含む。普通、L-リジンは、10乃至208 mg/kg、好ましくは13乃至70 mg/kg、さらに好ましくは13 mg/kg、という日投薬量で投与される。L-リジンは、ある投薬形態で経口的に一日に1回、2回、又は3回投与することができる。体重が72 kgの平均的な人で、一日あたりのリジン投与で勧告される総量は750 mg乃至15グラム、好ましくは1グラム乃至5.5グラム、さらに好ましくは1,000 mgである。
【0037】
プロリンは、プロリン、プロリン塩、ヒドロキシプロリン、及びヒドロキシプロリン塩を含む。普通、L-プロリンは、7乃至139 mg/kg、好ましくは10乃至56 mg/kg、さらに好ましくは10 mg/kg、という日投薬量で投与される。L-プロリンは、ある投薬形態で経口的に一日に1回、2回、又は3回投与することができる。体重が72 kgの平均的な人で、一日あたりのプロリン投与で勧告される総量は500 mg乃至10グラム、好ましくは750 mg乃至4グラム、さらに好ましくは750 mgである。
【0038】
アルギニンはアルギニンとアルギニン塩を含む。普通、L-アルギニンは、5乃至111 mg/kg、好ましくは7乃至42 mg/kg、さらに好ましくは7 mg/kg、という日投薬量で投与される。L-アルギニンは、ある投薬形態で経口的に一日に1回、2回、又は3回投与することができる。体重が72 kgの平均的な人で、一日あたりのアルギニン投与で勧告される総量は400 mg乃至8グラム、好ましくは500 mg乃至3グラム、さらに好ましくは500 mgである。アスコルビン酸はアスコルビン酸塩及びその誘導体を含む。本明細書で用いる場合、アスコルビン酸とビタミンCは交換可能に用いられ、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウム、又はパルミチン酸アスコルビルを含む。普通、アスコルビン酸は、7乃至139 mg/kg、好ましくは9.8乃至4 mg/kg、さらに好ましくは9.8 mg/kg、という日投薬量で投与される。アスコルビン酸は、ある投薬形態で経口的に一日に1回、2回、又は3回投与することができる。体重が72 kgの平均的な人で、一日あたりのアスコルビン酸投与で勧告される総量は500 mg乃至10グラム、好ましくは710 mg乃至4グラム、さらに好ましくは710 mgである。
【0039】
本発明において特許請求されるいろいろな化合物は、共有結合した化合物の形で、又は物理的混合物として、又は他の組み合わせで一緒に用いることができる。
【0040】
理論によって束縛されることは望まないが、本発明の組成物は細胞外マトリックスの劣化を抑制する能力によって有益な効果を及ぼすと考えられる。エストロゲン補充療法に関連した心臓血管系の疾病は細胞外マトリックスの劣化に基因するとされる。さらに、癌の転移も、結合組織を劣化させるプラスミンやコラゲナーゼなどの酵素を活性化させることによって細胞外マトリックスを弱めるエストロゲンの能力に基因するとされる。
【0041】
本発明は、エストロゲン、アスコルビン酸化合物、プロリン、リジン、又はそれらの組み合わせを含む医薬組成物を提供する。したがって、本発明は、エストロゲン、アスコルビン酸化合物、プロリン、又はリジンに限定されず、本発明の好ましい用途に応じて用いることができる等価構造も含む。
【0042】
本明細書で用いられる緑茶エキスは、緑茶に存在するポリフェノール化合物を指す。緑茶に存在するポリフェノール化合物は乾燥重量の30%に達することがある。それはフラバノール、フラボノイド、及びフェノール酸を含む。フラバノールは緑茶に最も多く含まれるポリフェノールであり、普通、カテキンと呼ばれる。緑茶エキスに含まれる主なカテキンとしては:1)(-)-エピカテキン、2)(-)-エピカテキン-3-ガレート、3)(-)-エピガロカテキン、4)(-)-エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)、がある。カテキンのうち、EGCGは緑茶に含まれる主要なポリフェノール成分である。ここで用いられる場合、緑茶エキスは重量で約80%のポリフェノールを含み、カフェインを含まない。
【0043】
緑茶エキスは、10乃至208 mg/kg、好ましくは13乃至70 mg/kg、さらに好ましくは13 mg/kg、という日投薬量で投与される。緑茶エキスは、ある投薬形態で経口的に一日に1回、2回、又は3回投与することができる。体重が72 kgの平均的な人で、一日あたりの投与で勧告される緑茶エキスの総量は750 mg乃至15グラム、好ましくは1 グラム乃至5グラム、さらに好ましくは1グラムである。
【0044】
N-アセチル-システインは、システイン又はシスチン(システインの二量体)及びそのシステイン塩を含む。N-アセチル-システインは、2乃至28 mg/kg、好ましくは3乃至14 mg/kg、さらに好ましくは3 mg/kg、という日投薬量で投与される。N-アセチル-システインは、ある投薬形態で経口的に一日に1回、2回、又は3回投与することができる。体重が72 kgの平均的な人で、一日あたりの投与で勧告されるN-アセチル-システインの総量は150 mg乃至2グラム、好ましくは200 mg乃至1グラム、さらに好ましくは200 mgである。
【0045】
本発明はさらにミネラル及び/又は微量元素を提供する。微量元素は、結合組織に必要な高分子の生成を触媒するのに役立つ。
【0046】
マグネシウムは、0.5乃至10 mg/kg、好ましくは0.7乃至4.2 mg/kg、さらに好ましくは0.7 mg/kg、という日投薬量で投与される。マグネシウムは、ある投薬形態で経口的に一日に1回、2回、又は3回投与することができる。体重が72 kgの平均的な人で、一日あたりの投与で勧告されるマグネシウムの総量は40 mg乃至750 mg、好ましくは50 mg乃至300 mg、さらに好ましくは50 mgである。
【0047】
セレンは、0.0003乃至0.01 mg/kg、好ましくは0.0004乃至0.006 mg/kg、さらに好ましくは0.0004 mg/kg、という日投薬量で投与される。セレンは、ある投薬形態で経口的に一日に1回、2回、又は3回投与することができる。体重が72 kgの平均的な人で、一日あたりの投与で勧告されるセレンの総量は20 mcg乃至700 mcg、好ましくは30 mcg乃至400 mcg、さらに好ましくは30 mcgである。
【0048】
銅は、0.02乃至0.3 mg/kg、好ましくは0.03乃至0.15 mg/kg、さらに好ましくは0.03 mg/kg、という日投薬量で投与される。銅は、ある投薬形態で経口的に一日に1回、2回、又は3回投与することができる。体重が72 kgの平均的な人で、一日あたりの投与で勧告される銅の総量は1.5 mg乃至20 mg、好ましくは2 mg乃至10 mg、さらに好ましくは2 mgである。
【0049】
マンガンは、0.01乃至0.2 mg/kg、好ましくは0.01乃至0.1 mg/kg、さらに好ましくは0.01 mg/kg、という日投薬量で投与される。マンガンは、ある投薬形態で経口的に一日に1回、2回、又は3回投与することができる。体重が72 kgの平均的な人で、一日あたりの投与で勧告されるマンガンの総量は0.8 mg乃至15 mg、好ましくは1 mg乃至8 mg、さらに好ましくは1 mgである。
【0050】
本発明によると組成物の成分のいくつかは多量に含まれる。リジンは(組成物全体に対して)24-25 wt%の間、好ましくは24 % wt%で含まれる。ビタミンCは(組成物全体に対して)16-25 wt%の間、好ましくは17 wt%で含まれる。緑茶エキスは、(組成物全体に対して)22-25 wt%の間、好ましくは22-24 wt%の間、さらに好ましくは24 wt%で含まれる。
【0051】
理論によって束縛されることは望まないが、高い比率(すなわち、24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキス)のこれらの成分は、独立に又は相乗効果で、エストロゲン補充療法の副作用に対抗するように働くと考えられる。
【0052】
本発明の組成物は、過剰な平滑筋細胞の増殖(平滑筋細胞過増殖)によって特徴づけられる心臓血管系の疾病を治療又は抑制するのに有用である。この組成物は、エストロゲン補充療法を受けている女性における平滑筋細胞過増殖によってしばしば起こる高血圧とアテローム性動脈硬化を治療するのに特に有用である。
【0053】
本発明の組成物は、また、癌細胞の増殖と転移によって特徴づけられる乳癌などの腫瘍性疾病を治療又は抑制するのにも有用である。
【0054】
本発明は、また、女性における閉経後症候群を治療する方法であって、有効な量の本発明の組成物を女性に投与するステップを含む方法を提供する。この治療は、心臓血管系の異常(例えば、高血圧とアテローム性動脈硬化)及び腫瘍(例えば、乳癌)を治療するのに特に有用であり、患者はエストロゲン補充療法の利益を享受しながら、本発明の組成物がエストロゲンの望ましくない副作用を抑制する。この治療は、また、組み合わせホルモン療法(すなわち、エストロゲンとプロゲスチン)でも有益であろう。
【0055】
必要な投薬量は、投与ルート、症状の重篤さ、及び治療される個々の被験者、二よって異なる。勧告される組成物の日投薬量は、経口的に投与されるmg/kg になる。日投薬量として、10-208 mg/kgのリジン、7-139 mg/kgのプロリン、5-111 mg/kgのアルギニン、7-139 mg/kgのアスコルビン酸、0.5-10 mg/kgのマグネシウム、10-208 mg/kgの緑茶エキス、2-28 mg/kgのN-アセチル-システイン、0.0003-0.01 mg/kgのセレン、0.02-0.3 mg/kgの銅、0.01-0.2 mg/kgのマンガン、という値が勧告される。好ましくは、日投薬量は:13-70 mg/kgのリジン、10-56 mg/kgのプロリン、7-42 mg/kgのアルギニン、9.8-4 mg/kgのアスコルビン酸、0.7-4.2 mg/kgのマグネシウム、13-70 mg/kgの緑茶エキス、3-14 mg/kgのN-アセチル-システイン、0.0004-0.006 mg/kgのセレン、0.03-0.15 mg/kgの銅、0.01-0.1 mg/kgのマンガン、である。さらに好ましくは、日投薬量は:13 mg/kgのリジン、10 mg/kgのプロリン、7 mg/kgのアルギニン、56 mg/kgのアスコルビン酸、0.7 mg/kgのマグネシウム、13 mg/kgの緑茶エキス、3 mg/kgのN-アセチル-システイン、0.0004 mg/kgのセレン、0.03 mg/kgの銅、0.01 mg/kgのマンガンである。
【0056】
本発明の組成物は、経口、静脈内、又は非経口投与などを含むが、それだけに限定されないいろいろなルートで投与することができる。経口、静脈内、又は非経口投与での正確な投薬量は異なることがあり、治療する個々の被験者についての経験に基づいて決定される。好ましくは、医薬組成物は単位投薬形態、例えば錠剤又はカプセル、である。このような形態では、組成物は適当な量の活性成分を含む単位投薬に細分去れる。単位投薬形態はパッケージされた組成物、例えば、パッケージされた粉末、バイアル(vial)、又はアンプル、とすることができる。単位投薬形態は、例えば、カプセル、ピル、又は錠剤そのもの、であっても適当な個数のこのようなパッケージされた形態の組成物であってもよい。
【0057】
本発明の別の様態は、有効な量の組成物と医薬として許容されるキャリア、希釈剤、又は賦型剤を提供することである。
【0058】
本発明の別の様態は、リジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、及びオプションとして有効な量のエストロゲン又はプロゲスチンを含む医薬組成物を提供することである。
【0059】
本発明の医薬組成物は周知の容易に入手できる成分を用いて当業者に公知の手順によって調製できる。例えば、エストロゲン又はプロゲスチン化合物を含む又は含まない本発明の組成物の成分は、普通の賦型剤、希釈剤、又はキャリアによって製剤し、錠剤、カプセル、懸濁液、粉末、などの形に形成することができる。この製剤に適当な賦型剤、希釈剤、及びキャリアの例は次のようなものである:スターチ、砂糖、マンニトール、及びケイ素誘導体などの充填剤と増量剤;カルボキシメチル・セルロースやその他のセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、及びポリビニル-ピロリドンなどの結合剤;グリセリンなどの湿潤剤;炭酸カルシウムや炭酸水素ナトリウムなどの崩壊剤;パラフィンなどの溶解を遅らせる物質;第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;セチル・アルコール、及びモノステアリン酸グリセロールなどの界面活性剤;カオリンやベントナイトなどの吸着性キャリア;及び、タルク、ステアリン酸カルシウム及びマグネシウム、及び固体ポリエチル・グリコールなどの滑剤。
【0060】
本発明の治療化合物は、その使用を最適化又は容易にする医薬組成物に製剤することができる。特に、この医薬組成物は、エストロゲン補充療法に関連した細胞外マトリックスの障害の治療のために有効な量を含む。このような医薬組成物は、しばしば、医薬として許容されるキャリア又は希釈剤、及び該当する場合、賦型剤を含む。
【0061】
この組成物は、また、経口投与に便利なように、又は非経口投与、例えば、筋肉内、皮下、又は静脈内注射による非経口投与二適当な溶液として、エリクシール又は溶液として製剤することもできる。理想的には、製剤は、ピル、錠剤、カプセル、ロゼンジ(lozenge)、液体やその他の投薬形態である。組成物は、持続的投薬形態などに製剤するにも十分適している。製剤は、活性成分のみを放出するように、又は、好ましくは特定の生理的場所で、できればある時間にわたって放出するように、構成することができる。コーティング、包み、及び保護マトリックスを、例えばポリマー物質又はワックスから、作ることができる。
【0062】
本発明の医薬組成物は、周知の容易に入手できる成分を用いて当業者に公知の手順によって調製できる。例えば、エストロゲン又はプロゲスチン化合物を含む又は含まない本発明の組成物の成分は、普通の賦型剤、希釈剤、又はキャリアによって製剤し、錠剤、カプセル、懸濁液、粉末、などの形に形成することができる。この製剤に適当な賦型剤、希釈剤、及びキャリアの例は次のようなものである:スターチ、砂糖、マンニトール、及びケイ素誘導体などの充填剤と増量剤;カルボキシメチル・セルロースやその他のセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、及びポリビニル-ピロリドンなどの結合剤;グリセリンなどの湿潤剤;炭酸カルシウムや炭酸水素ナトリウムなどの崩壊剤;パラフィンなどの溶解を遅らせる物質;第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;セチル・アルコール、及びモノステアリン酸グリセロールなどの界面活性剤;カオリンやベントナイトなどの吸着性キャリア;及び、タルク、ステアリン酸カルシウム及びマグネシウム、及び固体ポリエチル・グリコールなどの滑剤。
【0063】
別に定義去れる場合を除き、本明細書で用いられる科学用語は、当業者によって通常理解されると同じ意味を有する。以下で例示的な方法及び物質が記述されるが、その等価物を使用することができる。本明細書であげられるすべての刊行物とその他の参照文献は参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0064】
以下の実施例は、本発明をさらに詳しく例示するためのものである。本発明は以下の実施例によってその範囲が制限されるののではない。
【実施例】
【0065】
実験
実験の合理的根拠及び手順
合理的根拠:上述したように、平滑筋細胞及び癌細胞の過剰な増殖速度は、それぞれ、加速的なアテローム性動脈硬化プロセスと悪性腫瘍の増殖と直接関連している。培養された細胞の増殖速度は、インキュベーション期間に細胞DNAに取り込まれるトリチウム・ラベルされた代謝前駆物質の量によって(すなわち、[3H]チミジン取り込み)評価される新たな(de novo)DNA合成によって推定される。
【0066】
[3H]チミジン取り込み
ヒト平滑筋細胞(Aortic-Cambrex Corporation, San Diego, CA, Cat. No. CC-2571)が適当な成長培地(DMEMプラス10% FBS)を含む24-ウエル・プレートにウエル毎に40,000細胞/ml (0.5 mL)という細胞濃度で植え付けられた。3時間のインキュベーションの後、細胞は洗浄され、テストされる組成物を記された量で含む新しい培地が加えられた。細胞はさらに3-4日間そのまま培養された。この培養の最後に、ある分量の[3H]チミジン(DuPont-NEN, Boston, Mass.)が、最終濃度1 microCi/mL(1 mCi = 37 kBq)で加えられた。24時間後、細胞は氷温のDulbecco’s PBSで洗浄され、冷たい10% TCA(トリクロロ酢酸)で少なくとも0.5時間固定され、0.5 mLの0.1 N水酸化ナトリウムと共に2時間、37℃でインキュベートされた。細胞に結合した[3H]チミジンは0.1 N NaH中で抽出され、液体シンチレーション・カウンター(LS 8000, Beckman Coulter)で測定された。
【0067】
心臓血管系疾病の進行を示すインジケーターとしての平滑筋細胞の増殖と浸潤
合理的根拠:病理的な刺激に応答して平滑筋細胞はまず動脈癖の中膜から内膜へ移動し、次に内膜の内部で増殖する。このできごとがアテローム性動脈硬化斑の最初の発現で決定的に重要である。内膜におけるじゅく状硬化病変の形成が、高血圧、アテローム性動脈硬化、心筋虚血、梗塞、及び卒中など、多くの心臓血管系の疾病で起こっている。(R. Ross, Cellular Mechanism of Atherosclerosis, Atherosclerosis Review, 103, Vol. 25, p. 195-200)、本発明の組成物は、平滑筋細胞の浸潤と増殖を阻止するようになっており、閉経後の女性におけるエストロゲン補充療法の副作用を軽減する治療法になると考えられる。
【0068】
以下の実験で用いられる“組成物”は、以下の特定成分を特定の量で含む組成物である:すなわち、リジンは1グラムで含まれ、プロリンは750 mgで含まれ、アルギニンは500 mgで含まれ、アスコルビン酸は710 mgで含まれ、マグネシウムは50 mgで含まれ、緑茶エキスは1グラムで含まれ、N-アセチル-システインは200 mgで含まれ、セレンは30 mcgで含まれ、銅は2 mgで含まれ、マンガンは1 mgで含まれる。上記の組成を含むカプセルがまず培地に溶解され、適当な濃度に希釈されてから使用される。
【0069】
図1に示されているデータは、エストロゲンのみ及びエストロゲンとこの組成物(リジン1グラム、プロリン750 mg、アルギニン500 mg、アスコルビン酸710 mg、マグネシウム50 mg、緑茶エキス1グラム、N-アセチル-システイン200 mg、セレン30 mcg、銅2 mg、マンガン1 mgを含む)を用いた平滑筋細胞の増殖に関するin vitro実験を示している。比較はANOVAで調べられ、続いてFisherの最小有意差テストにかけられた。有意性はp < 0.05で受容された。“%”は対照値の%を表す;例えば、%[3H]チミジン取り込みは、対照細胞に対する%を指す。
【0070】
図1に示されているように、50-450 nMという投与量のエストロゲンはヒト平滑筋細胞における[3H]チミジン取り込みの増加を誘発することが見出され、これはエストロゲンと抗高血圧効果との関連に合致している。20 mcg/mlの濃度での組成物はエストロゲンによって誘発される平滑筋細胞増殖を効果的に阻止した。組成物は、また、プロゲステロン(50-45 nM)及びデヒドロエピアンドロステロン硫酸塩(25-100μM)によって誘発される[3H]チミジン取り込みも効果的にブロックすることが見出された。このように、この組成物はエストロゲンによって誘発される平滑筋細胞の増殖を効果的にブロックする。
【0071】
平滑筋細胞浸潤の分析
平滑筋細胞と癌細胞が細胞外マトリックスに浸潤する能力の上昇は、それぞれ、じゅく状動脈硬化斑の形成開始と転移形成に直接に関係している。培養された細胞の浸潤性(invasiveness)は、天然の細胞外マトリックスに覆われた多孔質のプラスチック膜を貫通する細胞の数によって推定される(Matigel, Beckton-Dickinson)。培養細胞は75 cm2フラスコ内で10%胎児ウシ血清(FBS)を含む培地で37℃でコンフルエンシー(confluency)近くまで育成された。インキュベーションの最後の48時間、1 microCi/mlの[3H]チミジンを加えることによって新しく合成される細胞DNAは代謝的にラベルされた。ラベルされた細胞は、細胞相をPBS中0.025%トリプシンで処理することによってプラスチック表面から切り離された。培養された細胞は、24ウエルのプラスチック・プレートのウエルに入れられるインサート(inserts)のプラスチック底膜上面に、10%胎児ウシ血清(FBS)を含む0.5 mLの培地で40,000細胞/mLの濃度で植え付けられた。インサート底膜は直径8ミクロンのコントロールされたサイズの孔を有し、Matrigelの層で覆われている。細胞は37℃でのインキュベーションによってMatrigel表面に3時間付着させられた。細胞培地は、FBSを含まず記された量のテストされる化合物を含む新しい培地に取り替えられた。細胞は37℃で24時間インキュベートされた。このインキュベーション期間の最後に、インサートをウエルから取り出し、PBSでよく洗浄した。インサート底膜の上面を木綿の布で拭って付着した細胞を除去した。次に、膜を切り出してシンチレーション液で満たされたシンチレーション・バイアルに移した。細胞層は氷温の10% TCAで30分間処理された。多孔質の膜の反対側に貫通した細胞の数が、シンチレーション・カウンター(LS 8000, Beckman-Coulter)で測定された膜下面に結合した放射能の量によって評価された。
【0072】
図2に示されたように、100 nMのエストロゲンはヒト平滑筋細胞の浸潤の増加を誘発することが認められる。20 mcg/mlの濃度の組成物はエストロゲンで誘発される平滑筋細胞の浸潤を効果的に阻止した。
【0073】
オートクライン炎症応答のインジケーターとしての平滑筋細胞におけるインターロイキン-6の発現
合理的根拠:サイトカインの発現と炎症応答へのその関与は公知である。最近、心臓血管系の疾病で現れる血管及び平滑筋の病理ハアテローム性動脈硬化と高血圧の際の炎症応答の一つであると認められている。インターロイキン-6は、炎症プロセスの引き金を引く重要なサイトカインの一つである。病理的刺激の下で平滑筋細胞におけるインターロイキン-6の過発現は、炎症的病変をさらに増幅させる可能性がある。本発明の組成物は、平滑筋細胞におけるサイトカイン(特に、インターロイキン-6)の過発現を阻止するようになっている。平滑筋細胞におけるインターロイキン-6の発現を阻止することによって、本発明の組成物は閉経後の女性におけるエストロゲン補充療法の副作用を軽減する治療法になると考えられる。
【0074】
図3に示されているように、100 nMのエストロゲンはヒト平滑筋細胞におけるインターロイキン-6の放出の増加を誘発することが認められる。我々は、20 mcg/mlの濃度の本発明の組成物が、平滑筋細胞におけるエストロゲンに誘発されるインターロイキン-6の放出を効果的に阻止することを見出した。
【0075】
腫瘍性疾病の進行のインジケーターとしての乳癌細胞の増殖
図4に示されているように、20-500 nMという量のエストロゲンは、ヒト乳癌細胞(MCK-7細胞;ATCC No. HTB-22)の[3H]チミジン取り込みの増加を誘発することが認められる。この所見は、閉経後の女性におけるエストロゲン補充療法が乳癌の発生と関連しているという所見と矛盾しない。100 mcg/mlの濃度の本発明の組成物はエストロゲンによって誘発されるMCK-7細胞の増殖を効果的に抑制する。同様の抑制は別の細胞系統(すなわち、MDA-MB-MB-231; ATCC No. HTB-26)を用いても認められた。この組成物は、また、プロゲステロン(100 nM)によって誘発される[3H]チミジン取り込みを効果的に阻止することも認められた。すなわち、この組成物はエストロゲンで誘発される乳癌細胞の増殖を効果的にブロックすることができる、
【0076】
図5に示されているように、30 mcg/mlの濃度でこの組成物はフィトエストロゲンによって(25μMで)誘発されるヒト乳癌細胞(MCF-7)の増殖(これらの細胞の[3H]チミジン取り込みに反映される)を効果的にブロックした。
【0077】
癌細胞におけるVEGF(血管内皮増殖因子)の測定
合理的根拠:腫瘍の層の内部における新しい血管形成(すなわち、新生血管形成)波腫瘍の増殖に不可欠である。増殖する腫瘍細胞への養分と酸素の供給は腫瘍のまわりの血管に依存するから、新しい血管の形成がなければ、たいていの腫瘍は直径約1 mmまでしか増殖できない。腫瘍は血管内皮増殖因子(VEGF)として知られる蛋白質を放出することによって、新しい血管の形成(新生血管形成)を引き寄せることができる。癌細胞におけるVEGFの発現を抑制して、新生血管形成を妨げ、腫瘍の増殖を抑えることが望ましい。(Vascular Endotherial Cell Growth Factor, an Emerging Target for Cancer Chemothrapy, Shinkaruk et al., Current Medicinal Chemistry and Anti-Cancer Agents, 2003, Vol. 3, p. 95-117,を見よ)
【0078】
サイトカイン発現の分析
細胞の血管内皮増殖因子(VEGF)産生のレベルは新生血管形成プロセスの刺激のインジケーターである。培養された細胞によるサイトカインの合成と培地への分泌が市販されている免疫化学分析キットによって測定された。培養された細胞が48ウエル・プレートに10% FBSを含む0.5 mLの培地で40,000細胞/mLの濃度で植え付けられた。ウエル内の細胞は37℃で2-5日間のインキュベーションによってコンフルエント層にまで育成された。細胞層はリン酸緩衝溶液(PBS)で洗浄され、テストされる化合物を含み血清を含まない新しい培地がウエルに入れられ24 時間37℃に保たれた。細胞培地に分泌されたサイトカインのレベルはELISAキットを用いてメーカーの支持する手順に従って測定された(R & D Systems)。
【0079】
図6に示されているように、エストロゲン(10-100 nMの間)は、ヒト乳癌細胞(MCF-7細胞)におけるVEGF放出の増加を誘発することが認められる。我々は、本発明の組成物が100 mcg/mlの濃度で、ヒト乳癌細胞にエストロゲンで誘発されるVEGFの放出を効果的に阻止することを見出した。この組成物は、また、プロゲステロン(10 nM)によって誘発される乳癌細胞におけるVEGF放出も効果的にブロックすることが認められた。このように、この組成物はヒト乳癌細胞にエストロゲンで誘発されるサイトカイン発現を効果的にブロックすることができる。
【0080】
臨床的適用
本発明の組成物を用いてエストロゲンの作用に対抗して細胞外マトリックスの劣化を防ぐことができる。本発明を病理的な状態で用いて、有益なホルモン療法の副作用に対してここに開示されたような組成物の組み合わせ使用によって対抗することができる。閉経期及び閉経後の結合組織を強化する自然のメカニズムの代わりに本発明による組み合わせを治療的に用いることができる。それは、癌及びその他の深刻な健康状態を含む長期ホルモン治療の副作用を最小に減らし又は防止しながら、エストロゲン及び関連ホルモンの望ましい医学的な又は治療的な効果を可能にする。
【0081】
高血圧
エストロゲン補充療法は、脂肪物質の沈着、動脈の内膜における線維症、などの因子への関与によって、動脈壁の肥厚化を生じてアテローム性動脈硬化を悪化させる。動脈の肥厚化はじゅく状斑又は病変への内膜平滑筋細胞の浸潤を増加させる。そのまま進行させると、動脈壁の肥厚化は動脈の管腔の厳しい狭隘化と妨害、血流の減少又は閉塞、そして結果的に、高血圧と、最終的には脳、心臓,腸管、又は四肢など主に影響される器官又は解剖学的部位の虚血又は梗塞を引き起こす。
【0082】
疾病が顕著な永続的症状と機能低下を示す段階に進行すると、損傷した動脈に代わる動脈バイパスの移植が必要になる。米国における動脈バイパス手術には相当なリスクがある。外科手術は依然としてこの問題に対する最後の選択肢であり、死亡率は高い。本発明は、平滑筋細胞の増殖と移動を軽減し、著しく遅らせ、それによってエストロゲン補充療法におけるアテローム性動脈硬化と高血圧を抑制する医薬組成物を提供する。
【0083】
アテローム性動脈硬化
アテローム性動脈硬化ハコレステロール代謝と関連し、それはさらにエストロゲン代謝と密接に関連する。閉経後の女性におけるその発生率の上昇とエストロゲン補充療法を受けている閉経後の女性における低い発生率は、すべて、平滑筋細胞の移動とコレステロール代謝を含む多くの側面でエストロゲンが及ぼしている緩和的な影響を指し示している。エストロゲンは有力なミトゲンであることが示されており、平滑筋細胞の移動と増殖を誘発することができる。エストロゲンの別の主要な作用は、肝臓を刺激してコレステロールを、特に高動脈硬化性低密度リポ蛋白質を処理して胆汁酸塩にすることである。
【0084】
エストロゲンをアスコルビン酸塩、リジン、プロリン、及びその他の物質と組み合わせて投与する場合、組成物に存在する各成分の作用は互いにうち消し合うと考えられた。エストロゲン治療は細胞外マトリックスの劣化を生ずるが、アスコルビン酸の組成物、特にリジン及びプロリンとの組み合わせ、はこのような劣化を減少又は阻止し、したがってエストロゲン治療が無益になるであろう、と考えられた。しかし、このようなアスコルビン酸組成物の、特にリジン及びプロリン(特に多量のリジン)と組み合わせたときのアスコルビン酸組成物の相乗作用のために、これは少なくとも部分的にあてはまらない。この組成物は、一方においては細胞外マトリックスの劣化を減少又は阻止し、他方においてコラーゲンの合成を、特に細胞外マトリックスを生成しサポートするアスコルビン酸によって強化する。
【0085】
エストロゲンと関連ホルモンは結合組織を弱めることが知られている。したがって、ある好ましい実施形態では、本発明はエストロゲン化合物のこの弱める作用に対抗する化合物の組み合わせ使用又は治療への応用を提供する。すなわち、本発明は結合組織を強化して、エストロゲン化合物のこの弱める作用に対してバランスを取るのに有効な量のアスコルビン酸化合物、リジン、及びプロリン、を提供する。アスコルビン酸塩は繊維芽細胞や関連細胞からのコラーゲン、エラスチン、及びその他の結合組織巨大分子の合成を刺激することが知られてイル。アミノ酸であるリジンとプロリンは、結合組織分子の合成に必要な主要アミノ酸である。
【0086】
ある実施形態で、本発明の医薬組成物は平滑筋細胞の増殖を抑制するのに効果的であることが示される。この組成物は、抗高血圧剤などの用途に臨床的な重要性がある。平滑筋細胞の増殖を抑えることにより、この組成物は血管の内径を増加させ、末梢血管の全体的な抵抗を減少させる。
【0087】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、アテローム性動脈硬化の発現と進行に不可欠であることが示されている平滑筋細胞の増殖を阻止できることが示される。我々のin vivoデータは、この組成物が増殖(3Hチミジン取り込みによって測られる)の抑制剤として持つ有力な効果を示している。したがって、この組成物はアテローム性動脈硬化を抑えることが予期される。
【0088】
本発明の医薬組成物は、また、平滑筋細胞の移動を抑制し、それによってアテローム性動脈硬化の発現と進行を抑制する。中膜の平滑筋細胞の内膜へのケモスタティックな(chemostatic)移動がアテローム性動脈硬化のさいの新しい内膜形成の病理における最初の重要なステップである。PDGFは、平滑筋細胞の移動を促進する重要物質であると考えられる(Russel R. (1986) N. Engl. J. Med. 314, 488-500)。メカニズムの説明や動作についての理論には制約されずに言うと、ここで開示される組成物がin vivoでの血管内膜形成を阻止する能力は、血管の平滑筋細胞の中膜から内膜への物理的移動の阻止に部分的に関わっている可能性がある。
【0089】
別の実施形態では、本発明は、哺乳類、特にヒト、における平滑筋細胞の増殖を阻止するため、特に閉経後の女性の血管における増殖を阻止するため:アテローム性動脈硬化の発現を阻止するため;そして高血圧に関連した血管肥厚の進行を阻止するための、リジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、を含み、オプションとしてエストロゲンとプロゲスチン、又は医薬として許容されるその賦型剤を含む医薬組成物を提供する。
【0090】
別の実施形態では、本発明はまた、哺乳類、好ましくはヒト、における平滑筋細胞の増殖と移動を阻止するための治療方法、特に閉経後の女性の血管における増殖を阻止するため、アテローム性動脈硬化の発現を阻止するため;又は高血圧と関連する血管肥厚の進行を抑制するための治療方法、であって、それを必要とする患者に、有効な量の、ここに開示されたリジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、を含み、オプションとしてエストロゲンとプロゲスチン、又は医薬として許容されるその賦型剤を含む医薬組成物を投与するステップを含む治療方法を提供する。本発明の組成物は、いろいろなミトゲンによって誘発される平滑筋細胞増殖と移動を阻止するのに有効であることが示されている。
【0091】
腫瘍性疾病
月経サイクルの一定段階にある女性と乳癌の間には強い相関があり、このことはエストロゲンがその病因に大きな役割を演じていることを示唆する。乳癌は依然として多く見られる癌であり、臨床研究によれば乳癌のほぼ3分の1はエストロゲン依存的である。これは、閉経前の患者においても閉経後の患者においてもそのような乳腫瘍の増殖にはエストロゲンが必要であるという意味である。乳癌が最も多く見られる閉経後の女性において、乳腫瘍のエストロン及びエストラジオールの濃度は血中のエストロゲン・レベルよりもかなり高い。この所見は、乳腫瘍におけるエストロゲン受容体の存在と関連する。乳癌の増殖と転移がエストロゲン依存的であることは十分に考えられる。乳癌細胞がエストロゲン受容体を含む女性は、非ステロイドのエストロゲン拮抗物質であるタモキシフェンなどのエストロゲン・ブロッキング剤で治療されると生き残るチャンスがずっと高くなると考えられる。
【0092】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は乳癌の発現と進行に不可欠な癌細胞の増殖と移動を阻止することが示される。
【0093】
別の実施形態では、本発明は、哺乳類、特にヒトにおける乳癌細胞の増殖を阻止するための、特に乳癌の発現(development)を阻止するための、リジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、を含見、オプションとしてエストロゲン及びプロゲスチン、又は医薬として許容されるその賦型剤を含む医薬組成物を提供する。
【0094】
別の実施形態では、本発明は、また、哺乳類、好ましくはヒト、における乳癌細胞の増殖と移動を阻止するための治療方法であって、それを必要とする患者に、有効な量の、リジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、を含み、オプションとしてエストロゲンとプロゲスチン、又は医薬として許容されるその賦型剤を含む医薬組成物を投与するステップを含む治療方法を提供する。
【0095】
本発明は、開示された好ましい実施形態に限定されるものではなく、本発明の本質と範囲に含まれるすべての変更及び代替構成も含むものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本発明の組成物(20 mcg/ml)がヒト平滑筋細胞の[3H]チミジン取り込みに及ぼす効果を示すグラフである。チミジン取り込みは対照グループの値(100%)のパーセンテージとして表されている。
【図2】図2は、本発明の組成物(20 mcg/ml)がエストロゲン(100 nM)に媒介される平滑筋細胞浸潤をブロッキングに及ぼす効果を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の組成物(20 mcg/ml)がエストロゲン(100 nM)に媒介されるヒト平滑筋細胞におけるインターロイキン-6の放出のブロッキングに及ぼす効果を示すグラフである。
【図4】図4は、この組成物(100 mcg/ml)がヒト乳癌細胞(MCF-7細胞)におけるエストロゲン(20-500 nM)に媒介される[3H]チミジン取り込みのブロッキングに及ぼす効果を示すグラフである。
【図5】図5は、この組成物(30 mcg/ml)がヒト乳癌細胞(MCF-7細胞)の[3H]チミジン取り込みに反映されるフィトエストロゲン(25μM)に媒介されるこれらの細胞の増殖に及ぼす効果を示すグラフである。
【図6】図6は、この組成物(100 mcg/ml)がヒト乳癌細胞(MCF-7細胞)におけるエストロゲン(10-100 nM)に媒介されるVEGF放出のブロッキングに及ぼす効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉経後の女性における病理的状態を軽減するための医薬組成物であって、リジン、プロリン、アルギニン、アスコルビン酸、マグネシウム、緑茶エキス、N-アセチル-システイン、セレン、銅、マンガン、及び、医薬として許容される1成分であってキャリア、希釈剤、及び賦型剤から成る群から選択されるものを含み、該組成物が24-25 wt%のリジン、16-25 wt%のアスコルビン酸、及び22-25 wt%の緑茶エキスを含むことを特徴とする前記医薬組成物。
【請求項2】
さらに、エチニル・エストロゲン、メストラノール、エストラジオール、エチニル・エストラジオール、エストリオール、ノレチステロン、リネストレノール、エチノジオール、ジエノエストロール、ビペラジン、エストロン・スルフェート、及びフィトエストロゲンから成る群から選択されるエストロゲン化合物を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
さらに、メドロキシプロジェステロン、ノレチルノドレル、及びノネチンドロンから成る群から選択されるプロゲスチン化合物を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
リジンが750 mg−15グラムで存在し、プロリンが500 mg−10グラムで存在し、アルギニンが400 mg−8グラムで存在し、アスコルビン酸が500 mg−10グラムで存在し、マグネシウムが40 mg−750 mgで存在し、緑茶エキスが750 mg−15グラムで存在し、N-アセチル-システインが150 mg−2グラムで存在し、セレンが20−700 mcgで存在し、銅が1.5 mg−20 mgで存在し、マンガンが0.8 mg−15 mgで存在することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
リジンが1 グラム−5.5グラムで存在し、プロリンが750 mg−4グラムで存在し、アルギニンが500 mg−3グラムで存在し、アスコルビン酸が710 mg−4グラムで存在し、マグネシウムが50 mg−300 mgで存在し、緑茶エキスが1グラム−5グラムで存在し、N-アセチル-システインが200 mg−1グラムで存在し、セレンが30−400 mcgで存在し、銅が2 mg−10 mgで存在し、マンガンが1 mg−8 mgで存在することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
リジンが1 グラムで存在し、プロリンが750 mgで存在し、アルギニンが500 mgで存在し、アスコルビン酸が710 mgで存在し、マグネシウムが50 mgで存在し、緑茶エキスが1グラムで存在し、N-アセチル-システインが200 mgで存在し、セレンが30mcgで存在し、銅が2 mgで存在し、マンガンが1 mgで存在することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
該病理的状態が、高血圧、アテローム性動脈硬化、及び乳癌から成る群から選択される少なくとも一つの疾病であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
該組成物が経口形態又は非経口形態であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
該経口形態が錠剤、ピル、又はカプセルであることを特徴とする、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
閉経後の女性における病理的状態を軽減する方法であって、治療を必要としている女性に有効な量の請求項1,2,又は3に記載の医薬組成物を投与するステップを含む前記方法。
【請求項11】
該有効な量の組成物が、日投薬量で10-208 mg/kgのリジン、7-139 mg/kgのプロリン、5-111 mg/kgのアルギニン、7-139 mg/kgのアスコルビン酸、0.5-10 mg/kgのマグネシウム、10-208 mg/kgの緑茶エキス、2-28 mg/kgのN-アセチル-システイン、0.0003-0.01 mg/kgのセレン、0.02-0.3 mg/kgの銅、0.01-0.2 mg/kgのマンガンであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該有効な量の組成物が、日投薬量で13-70 mg/kgのリジン、10-56 mg/kgのプロリン、7-42 mg/kgのアルギニン、9.8-4 mg/kgのアスコルビン酸、0.7-4.2 mg/kgのマグネシウム、13-70 mg/kgの緑茶エキス、3-14 mg/kgのN-アセチル-システイン、0.0004-0.006 mg/kgのセレン、0.03-0.15 mg/kgの銅、0.01-0.1 mg/kgのマンガンであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
該有効な量の組成物が、日投薬量で13 mg/kgのリジン、10 mg/kgのプロリン、7 mg/kgのアルギニン、56 mg/kgのアスコルビン酸、0.7 mg/kgのマグネシウム、13 mg/kgの緑茶エキス、3 mg/kgのN-アセチル-システイン、0.0004 mg/kgのセレン、0.03 mg/kgの銅、0.01 mg/kgのマンガンであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
該医薬組成物が経口的に、静脈内に、又は非経口的に投与されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−500754(P2007−500754A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533732(P2006−533732)
【出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/018627
【国際公開番号】WO2004/110383
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505459448)
【Fターム(参考)】