説明

エゼチミブ製造のための還元方法

ケトレダクターゼを用いたエゼチミブ関連化合物の製造方法、及びエゼチミブの精製方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エゼチミブ又はその誘導体を得るための、エゼチミブ中間体の還元方法に関する。
【0002】
本願は米国仮出願番号60/933,837(2007年7月7日出願)、米国仮出願番号60/971,504(2007年9月11日出願)、米国仮出願番号61/004,725(2007年11月28日出願)、米国仮出願番号61/005,389(2007年12月4日出願)、及び米国仮出願番号61/050,875(2008年5月6日出願)の利益を主張し、当該各仮出願の全内容を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0003】
ヒドロキシ-アルキル置換されたアセチジノンは、アテローム硬化症の治療及び予防において高コレステロール血症剤として有用である。エゼチミブ、すなわち1-(4-フルオロフェニル)-3(R)-[3-(4-フルオロフェニル)-3(S)-ヒドロキシプロピル]-4(S)-(4-ヒドロキシフェニル)-2-アゼチジノンは、腸コレステロールの選択的阻害剤であり、フィロステロールの吸収に関係する。エゼチミブの実験式はC24212NO3、その分子量は409.4である。エゼチミブはエタノール、メタノール及びアセトンには非常に高い溶解性を有し、水には実質的に不要な、白色の結晶性粉末である。エゼチミブは下記の化学構造を有する:
【化1】

【0004】
エゼチミブは、メルク/シェリング-プラウ製薬会社(Merck/Schering-Plough Pharmaceuticals)より製造され、商標名ゼチア(ZETIA(商標))で市販されている薬品の活性成分である。ゼチアは、高コレステロール患者において低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール及び総コレステロールを下げる用途で米国食品医薬品局の認可を受けている。
【0005】
エゼチミブは、下記スキーム1に示されるように、コーリー(Corey)試薬の存在下でテトラヒドロフラン中、(3R,4S)-4-((4-ベンジルオキシ)フェニル)-1-(4-フルオロフェニル)-3-(3-(4-フルオロフェニル)-3-オキソプロピル)-2-アゼチジノン(「化合物1」)をボランジメチルスルフィド錯体又はボランテトラヒドロフラン錯体を用いて還元し、続いて、ベンジル基を脱保護することにより調製され得る。該方法は、米国特許番号第5,631,365号(「‘365特許」)及び第6,627,757号に開示され、当該文献は本願明細書に組み入れられる。開始物質である化合物1又はその類似化合物は、例えば‘365特許に開示されるような当技術分野において既知の方法により製造され得る。
【化2】

【0006】
上記の還元方法によって、次の2種の異性体が生成される:(3R,4R)-4-((4-ベンジルオキシ)フェニル)-1-(4-フルオロフェニル)-3-((S)-3-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-2-アゼチジノン(「化合物2a」)、及び(3R,4R)-4-((4-ベンジルオキシ)フェニル)-1-(4-フルオロフェニル)-3-((R)-3-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-2-アゼチジノン(「化合物2b」)。化合物2aは、適切なキラリティーのエゼチミブを生成する所望の異性体である。化合物2bは、エゼチミブを形成する最終合成中と同様に還元中においても除去するのが非常に困難な、所望でない異性体である。化合物2bは通常、還元工程の間に約8〜10%の収率で生成されることが報告されている。
【0007】
‘365特許には下記のように、(R)-(+)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジン(「CBS」;Corey-Bakshi-Shibata触媒)とボロヒドリド ジメチルスルフィド複合体(「BMS」)とを用い、化合物1から化合物2aへ還元することが記載されている。
【化3】

【0008】
米国特許第6,133,001号には下記のように、エゼチミブ-ケトンからエゼチミブへの立体選択的な微生物的還元方法が記載されている。
【化4】

【0009】
国際公開公報WO2005/066120には、(-)-B-クロロジイソピノカンフェイルボラン(「DIP-Cl」)を用いた、エゼチミブ-ケトンからエゼチミブへのエナンチオ選択的還元が記載されている。
【0010】
エゼチミブ及びその誘導体の改良された製造方法が望まれていた。
【発明の概要】
【0011】
一つの態様においては、本発明は、以下の式I:
【化5】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]
で表される化合物の製造方法であって、以下の式II:
【化6】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]
で表される化合物を、単離、合成、又は精製された毛とレダクターゼと混合することを含む、前記方法を包含する。好ましくは、ケトレダクターゼは、KRED-NADH-105、KRED-NADH-107、KRED-116、KRED-118、KRED-119、KRED-120、KRED-128、KRED-133、及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群より選択される。
【0012】
一つの態様においては、本発明は、以下の式I:
【化7】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]
で表される化合物の製造方法であって、以下の式II:
【化8】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]
で表される化合物を、ケトレダクターゼ酵素、補因子、及び約4から約9のpHを有する緩衝液を混合すうることを含む、前記方法を包含する。
【0013】
一つの態様においては、本発明は、MIBKからエゼチミブを晶出することを含む、EZT-ケトンからエゼチミブを精製する方法を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一つの観点においては、本発明は酵素を触媒として用い、かつ任意に水混和性有機溶媒を使用することを含む、以下の式I:
【化9】

で表される化合物の製造方法に関する。
【0015】
本明細書中、用語「収率」とは、開始物質の最初の量に対して合成された化合物の百分率をいう。収率は、HPLCクロマトグラムの全面積に対する合成された化合物のピークを基に、面積百分率により決定される。収率は通常、反応の間又は直後に測定される。
【0016】
本明細書中、用語「純度」とは、他の化合物に対するある化合物の百分率をいう。純度は、HPLCクロマトグラムの全面積に対する合成された化合物のピークを基に、面積百分率により決定される。純度は通常、精製工程の後に測定される。
【0017】
本明細書中、用語「d.e.」とは、次のように定義されるジアステレオマー過剰率を意味する:
(エゼチミブのモル分率)-(エゼチミブのR,R,S-ジアステレオマーのモル分率)。
【数1】

エゼチミブは以下に示すようなS,R,S立体配置を有する:
【化10】

R,R,S-ジアステレオマーは、プロピル鎖の第3番目の炭素上のキラル中心について(R)の立体配置を有する点で異なる。
【0018】
本明細書中、用語「EZT」はエゼチミブ、すなわち1-(4-フルオロフェニル)-3(R)-[3-(4-フルオロフェニル)-3(S)-ヒドロキシプロピル]-4(S)-(4-ヒドロキシフェニル)-2-アゼチジノンを指す。本明細書中、用語「EZT R,R,S-異性体」は1-(4-フルオロフェニル)-3(R)-[3-(4-フルオロフェニル)-3(R)-ヒドロキシプロピル]-4(S)-(4-ヒドロキシフェニル)-2-アゼチジノンを指す。本明細書中、用語「エゼチミブ-ケトン」又は「EZT-ケトン」は、下記のような化学構造:
【化11】

を有する1-(4-フルオロフェニル)-3(R)-[3-(4-フルオロフェニル)-3-オキソプロピル]-4(S)-(4-ヒドロキシフェニル)-2-アゼチジノンを指す。
【0019】
本明細書中、用語「化合物1」は(3R,4S)-4-((4-ベンジルオキシ)フェニル)-1-(4-フルオロフェニル)-3-(3-(4-フルオロフェニル)-3-オキソプロピル)-2-アゼチジノンを指す。本明細書中、用語「化合物2a」は(3R,4S)-4-((4-ベンジルオキシ)フェニル)-1-(4-フルオロフェニル)-3-((S)-3-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-2-アゼチジノンを指す。本明細書中、用語「化合物2b」は(3R,4S)-4-((4-ベンジルオキシ)フェニル)-1-(4-フルオロフェニル)-3-((R)-3-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル)-2-アゼチジノンを指す。
【0020】
本明細書中、酵素について用いられている場合、用語「単離された」とは、天然の環境から分離又は取り出された酵素をいう。「単離された」酵素とは、通常の細胞環境から取り出された天然の酵素又は組み換え酵素を示す。単離された酵素は無細胞系にあることが好ましい。単離された酵素は他の物質を除去する労力に応じて、粗酵素でも高度に精製された酵素であってもよい。「単離された」とは、単離された酵素が存在する唯一の酵素であることを意味するものではなく、存在する主たる酵素であることを意味する(少なくとも他の酵素よりも10〜20%多い)。本明細書中、酵素について用いられている場合、用語「合成された」とは、酵素が化学合成、組み換え法、又はそれらの組み合わせにより製造された酵素をいう。本明細書中、酵素について用いられている場合、用語「精製された」とは、酵素が本質的に非酵素物質又は他の酵素を含まない(少なくとも純度約90〜95%)ことをいう。
【0021】
本明細書中、用語「デヒドロゲナーゼ」或いは「デヒドロゲナーゼ酵素」とは、一つ以上のプロトンと電子対をアクセプタに移動させることにより基質を酸化させる酵素をいう。デヒドロゲナーゼの例として、アルコールデヒドロゲナーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、及び亜リン酸デヒドロゲナーゼが挙げられるが、これらに限定されるものではない。グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)には、例えば、EC(Enzyme Commission)番号1.1.1.47及びCAS(Chemical Abstract Service)番号9028-53-9が付与されるものが含まれ、例えばコデクシス社(Codexis Inc.、前バイオキャタリティックス社(BioCatalytics Inc.))からカタログ番号GDH-102〜GDH-104として市販されている。ギ酸デヒドロゲナーゼ(FDH)には、例えば、EC番号1.2.1.2.及びCAS番号9028-85-7が付与されるものが含まれ、例えばコデクシス社からカタログ番号FDH-101で市販されている。亜リン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)には、例えば、EC番号1.20.1.1.及びCAS番号9031-35-0が付与されるものが含まれ、例えばコデクシス社からカタログ番号PDH-101で市販されている。
【0022】
本明細書中、用語「ケトレダクターゼ」、「ケトレダクターゼ酵素」、又は「KRED」とは、ケトンの還元を触媒してケトンに対応するアルコールを生成する酵素をいう。ケトレダクターゼには、例えば、EC番号1.1.1.が付与されるものが含まれる。このような酵素にはケトレダクターゼ以外にも多様な命名がされており、例えばアルコールデヒドロゲナーゼ、カルボニルレダクターゼ、ラクターゼデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼ、ヒドロキシイソカプロン酸デヒドロゲナーゼ、β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、ステロイドデヒドロゲナーゼ、ソルビトールデヒドロゲナーゼ、アルドレダクターゼ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。NADPH依存性ケトレダクターゼには、EC番号1.1.1.2及びCAS番号9028-12-0が付与される。NADH依存性レダクターゼには、EC番号1.1.1.1及びCAS番号9031−72−5が付与されている。ケトレダクターゼは、例えばコデクシス社からカタログ番号KRED-100〜KRED-177で市販されている。
【0023】
本明細書中、用語「補因子」とは注目している反応を触媒する酵素と結合して働く非タンパク質化合物をいう。補因子には、例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、及びこれらの誘導体又は類似体などのニコチンアミド補因子が挙げられる。
【0024】
本明細書中、用語「MeOH」はメタノールを指し、用語「EtOAc」は酢酸エチル、用語「IPA」はイソプロピルアルコール、用語「DMSO」はジメチルスルホキシド、用語「MIBK」はメチルイソブチルケトン、用語「DCM」はジクロロメタン、用語「MTBE」はメチル tert-ブチルエーテル、用語「DTT」はジチオトレイトールを指す。
【0025】
本明細書中、用語「室温」又は「RT」とは標準的な実験室の外気温をいい、通常、約15℃〜約30℃である。
【0026】
本明細書中、用語「真空」とは約2mmHgから約10mmgの圧力をいう。
【0027】
一つの態様においては、本発明は、以下の式I:
【化12】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]と
で表される化合物を製造する方法であって、以下の式II:
【化13】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]と
で表される化合物を、単離され、合成され、又は精製されたケトレダクターゼと混合することを含む前記方法を包含する。好ましくは、ケトレダクターゼは、KRED-NADH-105、KRED-NADH-107、KRED-116、KRED-118、KRED-119、KRED-120、KRED-128、KRED-133、及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群より選択される。
【0028】
一つの態様においては、本発明は、以下の式I:
【化14】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]
で表される化合物を製造する方法であって、以下の式II:
【化15】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]
で表される化合物を生体触媒及び緩衝液を混ぜ合わせることを含む前記方法を包含する。
【0029】
好ましくは、ケトレダクターゼは、KRED-NADH-105、KRED-NADH-107、KRED-116、KRED-118、KRED-119、KRED-120、KRED-128、KRED-133、及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群より選択される。
【0030】
一つの態様においては、本発明は、以下の式I:
【化16】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]、
で表される化合物を製造する方法であって、以下の式II:
【化17】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]、
で表される化合物を、ケトレダクターゼ酵素、補因子及び約4から約9のpHを有する緩衝液と混合することを含む、前記方法を包含する。
【0031】
RがHである場合、式Iで表される化合物はエゼチミブであり、式IIで表される化合物はエゼチミブ-ケトンである。Rがヒドロキシル保護基である場合、式IIで表される化合物はエゼチミブを得るためにさらに脱保護され得る。脱保護は‘365特許の実施例6に記載の方法のような既知の方法により行うことができる。
【0032】
当該反応は以下に示すような酵素過程である:
【化18】

この反応において、ケトレダクターゼは立体選択的にカルボニル基を還元し、同時にNADH又はNADPHなどの補因子が酸化される。
【0033】
好ましくは、ヒドロキシル保護基はベンジル、tert-ブチルオキシカルボニル、アシル、及びシリル基からなる群より選択される。適切なシリル保護基の例として、(Ra)(Rb)(Rc)-Si- {式中、Ra、Rb及びRcはC1−C6アルキル、フェニル、ベンジル、アセチル等からなる群よりそれぞれ独立に選択される}が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0034】
好ましくは、ケトレダクターゼは単離されたものである。ケトレダクターゼは哺乳動物、糸状菌、酵母、細菌などのいかなる宿主からも分離され得る。NADH依存性ケトレダクターゼの単離、精製、及び特性解析については、例えばKosjekらによる“Purification and Characterization of a Chemotolerant Alcohol Dehydrogenase Applicable to Coupled Redox Reactions,Biotechnology and Bioengineering,86:55-62(2004)”に記載されている。好ましくは、ケトレダクターゼは合成されたものである。ケトレダクターゼは化学的に、又は組み換え法を用いて合成され得る。ケトレダクターゼの化学的生成、及び組み換え体による生成については、例えば欧州特許第0918090号に記載されている。好ましくは、ケトレダクターゼは大腸菌中において組み換え法を用いて合成される。好ましくは、ケトレダクターゼは精製されたものであり、好ましくは純度が約90%以上、さらに好ましくは純度が約95%以上である。ケトレダクターゼは実質的に細胞フリー(cell-free)であることが好ましい。
【0035】
本発明の方法において、好ましくは、ケトレダクターゼはd.e.値が約90%以上のエゼチミブを生産し得るケトレダクターゼである。好ましくは、本発明の方法において、ケトレダクターゼは約50%以上の収率でエゼチミブを生産し得る。
【0036】
ケトレダクターゼは、好ましくはNADH依存性ケトレダクターゼ、NADPH依存性ケトレダクターゼからなる群から選択される。好適なケトレダクターゼとして次のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない;a)カタログ番号KRED-NADH-105、KRED-NADH-107、KRED-116、KRED-118、KRED-119、KRED-120、KRED-128、KRED-133のコデクシス社製品、これらの同等品、及びこれらの混合物、b)カタログ番号KRED-NADH-105、KRED-NADH-107、KRED-116、KRED-118、KRED-119、KRED-120、KRED-128、KRED-133のコデクシス社製品、これらの同等品、及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素。本明細書中、「同等品」とは類似又は同一の酵素活性を有する酵素又は製品をいう。好ましくは、ケトレダクターゼは、カタログ番号KRED-NADH-105、KRED-NADH-107、KRED-116、KRED-118、KRED-119、KRED-120、KRED-128、KRED-133のコデクシス社製品、及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群から選択される。好ましくは、ケトレダクターゼは、KRED-NADH-105、KRED-116、KRED-118、KRED-119、KRED-128、及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群から選択される。より好ましくは、ケトレダクターゼはKRED-118、KRED-119、KRED-128、又はこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群より選択される。
【0037】
一つの態様においては、本発明の方法は、さらに補因子をケトレダクターゼと混ぜ合わせることを含む。好ましくは、補因子はNADH、NADPH、NAD+、NADP+、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。ケトレダクターゼがNADH依存性である場合、好ましくは、補因子はNADH、NAD+、これらの塩、又はこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、補因子はNADH、又はその塩である。ケトレダクターゼがNADPH依存性である場合、好ましくは、補因子はNADPH、NADP+、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、補因子はNADPH又はその塩である。
【0038】
一つの態様においては、本発明の方法は緩衝液中で実施される。好ましくは、緩衝液のpHは約4〜約9であり、より好ましくは約4〜約8、さらに好ましくは約5〜約8であり、最も好ましくは約6〜約8又は約5〜約7である。好ましくは、緩衝液は塩の溶液である。好ましくは、塩はリン酸カリウム、硫酸マグネシウム、及びこれらの混合物からなる群より選択される。任意には、緩衝液はチオールを含み得る。好ましくは、チオールはDTTである。好ましくは、チオールは酵素中のジスルフィド結合を減少させる。
【0039】
一つの態様においては、本発明の方法は約10℃〜約50℃の温度で実施される。好ましくは、該方法は室温で実施され、温度は約24℃〜28℃、又は約25℃から約35℃である。好ましくは、該方法は約25℃から約30℃の温度で実施される。好ましくは、該方法は約30℃の温度で実施される。
【0040】
任意には、反応混合物はさらに補因子再生システムを含む。補因子再生システムは基質とデヒドロゲナーゼを含む。基質とデヒドロゲナーゼ間の反応により補因子が再生される。好ましくは、補因子再生システムは、D-グルコース/グルコースデヒドロゲナーゼ、ギ酸ナトリウム/ギ酸デヒドロゲナーゼ、及び亜リン酸塩/亜リン酸デヒドロゲナーゼからなる群より選択される基質/デヒドロゲナーゼの対を含む。好ましくは、グルコースデヒドロゲナーゼはカタログ番号GDH-102、GDH-103、GDH-104のコデクシス社製品、及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群より選択される。好ましくは、グルコースデヒドロゲナーゼはGDH-104中の酵素である。好ましくは、ギ酸デヒドロゲナーゼは、カタログ番号FDH-101のコデクシス社製品中の主たる酵素である。好ましくは、亜リン酸デヒドロゲナーゼは、カタログ番号PDH-101のコデクシス社製品中の主たる酵素である。
【0041】
一つの態様においては、本発明の方法は、さらに溶媒を添加することを含む。好ましくは、溶媒は有機溶媒である。有機溶媒は、水混和性であることが好ましい。好ましくは、水混和性有機溶媒はアルコール類及びDMSOからなる群より選択される。アルコール類は、好ましくはC1−C4アルコール、さらに好ましくはメタノール又はIPAである。本発明の方法において用いられる好適な溶媒は大部分が水であるため、より環境にやさしい反応ですむ点で、従来文献で用いられる有機溶媒と比べて優れている。
【0042】
好ましくは、該方法は以下の工程からなる:
(a)式IIで表される化合物を溶媒に溶解する工程、及び
(b)(a)で得られた溶液を、補因子及びケトレダクターゼを含む緩衝液と混ぜ合わせる工程。
好ましくは、得られた混合物は、式Iで表される化合物を得るために十分な時間撹拌される。撹拌は、好ましくは約25℃〜約35℃、又は約25℃〜約40℃、さらに好ましくは約24℃〜約28℃、約25℃〜約30℃、又は約30℃で行われる。
撹拌は、好ましくは約0.5時間以上、約1.5時間以上、又は約2.5時間以上行われる。撹拌は約50時間以下であることが好ましい。好ましくは、撹拌は約3時間〜約40時間、より好ましくは約6時間〜約24時間、又は約6時間〜約16時間行われる。
【0043】
任意には、水非混和性有機溶媒が前記混合物に添加され、該添加は前記撹拌の後に行うのが好ましい。水非混和性有機溶媒の添加後、任意には、前記反応混合物は有機相と水相とに分離される。任意には、式Iで表される化合物は有機相を蒸散させることにより回収される。水非混和性有機溶媒の例としては、C2-8のエーテル、EtOAcなどのC3-8のエステル、MIBKなどのC4-8のケトン、及びDCMなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましくは、水非混和性有機溶媒はEtOAc、MTBE、ジエチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群より選択される。好ましくは、水非混和性有機溶媒はEtOAcである。
【0044】
任意には、前記反応混合物は、好ましくは撹拌後に、固体生成物を回収するために濾過される。任意には、該固体生成物は式Iで表される化合物を得るためにさらに精製され得る。
【0045】
任意には、生成物を分離後、酵素、補因子、及び/又はデヒドロゲナーゼを再利用するために、水相は補因子再生システム中で処理され得る。任意には、水相のpHは所望のpHを得るために調整することができる。任意には、水相は有機溶媒の残留を除去するために蒸散させる。任意には、本発明の方法において水相は再利用される。
【0046】
好ましくは、上述の方法はエゼチミブに対する高い立体選択性を有する。得られるエゼチミブのd.e.値は好ましくは約90%以上、より好ましくは約98%以上、又は約99%以上であり、最も好ましくは約99%以上である。
【0047】
好ましくは、上述の方法は高い収率を有する。式Iで表される化合物の収率は好ましくは約50%以上、より好ましくは約60%以上、又は約70%以上、約80%以上であり、最も好ましくは約85%以上である。
【0048】
一つの態様においては、本発明はMIBKからエゼチミブを結晶化することを含むEZT-ケトンからエゼチミブを精製する方法を包含する。好ましくは、該方法は以下の:
(a)エゼチミブとEZT-ケトンを含む試料をMIBKに溶解する工程、
(b)工程(a)の溶液を冷却する工程、及び
(c)エゼチミブを回収する工程
を含む。
【0049】
好ましくは、工程(a)は加熱しながら行われる。好ましくは、加熱は約50℃〜およそ還流温度まで、より好ましくは、およそ還流温度まで行われる。任意には、冷却はおよそ室温以下までであり、好ましくは約10℃まで行われる。任意には、冷却工程後、スラリーが得られる。任意には、エゼチミブは前記スラリーを濾過し、任意に乾燥することによって回収される。乾燥は、好ましくは約40℃〜約50℃、好ましくは真空下で行われる。
【0050】
好ましくは、得られるエゼチミブの純度は約98%以上、より好ましくは約99%以上である。
【0051】
本発明について特定の好適な態様及び例示のための実施例を参照して記載したが、当業者には、本明細書に開示される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明を変更することが理解されるであろう。実施例は、本発明の理解を助けるために示されるもので、本発明の範囲を何ら制限する意図はなく、また制限すると解釈されるべきでもない。特に断らない限り、上記に記載される特定の態様のいずれかの組み合わせは、本発明と矛盾せず、本発明に包含される。
【実施例】
【0052】
エゼチミブの不純物プロフィール測定のためのHPLC法
カラム及びパッキング:Hypersil GOLD(商標)、C8、150*4.6mm、3μm、25203-154630
緩衝液: 0.05% TFA(トリフルオロ酢酸)
溶離液A: 51:49 メタノール:緩衝液
溶離液B: 75:25 アセトニトリル:溶離液A
時間 溶離液A(%) 溶離液B(%)
勾配: 0 100 0
18 100 0
35 0 100
35.1 100 0
平衡時間: 7分
試料容量: 5μL
流速: 1.5ml/分
検出器: 235nm
カラム温度: 30℃
オートサンプラー温度: 10℃
希釈剤: メタノール
【表1】

【0053】
実施例1 KRED-128を用いたEZT-ケトンの還元
KRED-128(5mg、コデクシス社製、ロット番号:090305CL、製造年:2005)を5mlの緩衝液(250mM リン酸カルシウム、0.5mM DTT、2mM 硫酸マグネシウム、1.1mM NADP+、80mM D-グルコース、10U/ml グルコースデヒドロゲナーゼを含む、pH7.0)中に溶解し、EZT-ケトンを溶解したメタノール溶液(0.25ml中10mg)を添加した。混合液を30℃で40時間撹拌し、HPLCで測定した。EtOAc(5ml)を添加し、液相分離させた。有機相中のEZTを分析にかけた(収率:71.55%、d.e.:99.9%)。
【0054】
実施例2 KRED-133を用いたEZT-ケトンの還元
KRED-133(5mg、コデクシス社製、ロット番号:113006MM、製造年:2006)を5mlの緩衝液(250mM リン酸カルシウム、0.5mM DTT、2mM 硫酸マグネシウム、1.1mM NADP+、80mM D-グルコース、10U/ml グルコースデヒドロゲナーゼ含有、pH7.0)中に溶解し、EZT-ケトンを溶解したメタノール溶液(0.25ml中10mg)を添加した。混合液を30℃で40時間撹拌し、HPLCで測定した。EtOAc(5ml)を添加し、液相分離させた。有機相中のEZTを分析にかけた(収率:17.6%、d.e.:99.3%)。
【0055】
実施例3 KRED-NADH-105を用いたEZT-ケトンの還元
KRED-NADH-105(5mg、コデクシス社製)を5mlの緩衝液(250mM リン酸カルシウム、0.5mM DTT、2mM 硫酸マグネシウム、1.3mM NAD+、80mM D-グルコース、10U/ml グルコースデヒドロゲナーゼ含有、pH7.0)中に溶解し、EZT-ケトンを溶解したメタノール溶液(0.25ml中20mg)を添加した。混合液を30℃で一晩撹拌し、HPLCで測定した。EtOAc(5ml)を添加し、液相分離させた。有機相中のEZTを分析にかけた(収率:57.11%、d.e.:90.7%)。
【0056】
実施例4 KRED-NADH-107を用いたEZT-ケトンの還元
KRED-NADH-107(5mg、コデクシス社製)を5mlの緩衝液(250mM リン酸カルシウム、0.5mM DTT、2mM 硫酸マグネシウム、1.3mM NAD+、80mM D-グルコース、10U/ml グルコースデヒドロゲナーゼ含有、pH7.0)中に溶解し、EZT-ケトンを溶解したメタノール溶液(0.25ml中20mg)を添加した。混合液を30℃で一晩撹拌し、HPLCで測定した。EtOAc(5ml)を添加し、液相分離させた。有機相中のEZTを分析にかけた(収率:16.6%、d.e.:98.5%)。
【0057】
実施例5 KRED-116を用いたEZT-ケトンの還元
KRED-116(5mg、コデクシス社製)を5mlの緩衝液(250mM リン酸カルシウム、0.5mM DTT、2mM 硫酸マグネシウム、1.1mM NADP+、80mM D-グルコース、10U/ml グルコースデヒドロゲナーゼ含有、pH7.0)中に溶解し、EZT-ケトンを溶解したメタノール溶液(0.25ml中20mg)を添加した。混合液を30℃で一晩撹拌し、HPLCで測定した。EtOAc(5ml)を添加し、液相分離させた。有機相中のEZTを分析にかけた(収率:57.97%、d.e.:99.9%)。
【0058】
実施例6 KRED-118を用いたEZT-ケトンの還元
KRED-118(5mg、コデクシス社製)を5mlの緩衝液(250mM リン酸カルシウム、0.5mM DTT、2mM 硫酸マグネシウム、1.1mM NADP+、80mM D-グルコース、10U/ml グルコースデヒドロゲナーゼ含有、pH7.0)中に溶解し、EZT-ケトンを溶解したメタノール溶液(0.25ml中20mg)を添加した。混合液を30℃で一晩撹拌し、HPLCで測定した。EtOAc(5ml)を添加し、液相分離させた。有機相は蒸散させた(収率:87.59%、d.e.:99.9%)。
【0059】
実施例7 KRED-119を用いたEZT-ケトンの還元
KRED-119(5mg、コデクシス社製、ロット番号:100407WW、製造年:2007)を5mlの緩衝液(250mM リン酸カルシウム、0.5mM DTT、2mM 硫酸マグネシウム、1.1mM NADP+、80mM D-グルコース、10U/ml グルコースデヒドロゲナーゼ含有、pH7.0)中に溶解し、EZT-ケトンを溶解したメタノール溶液(0.25ml中20mg)を添加した。混合液を30℃で一晩撹拌し、HPLCで測定した。EtOAc(5ml)を添加し、液相分離させた。有機相を蒸散させ、残留物中のEZTを分析にかけた(収率:83.19%、d.e.:99.9%)。
【0060】
実施例8 KRED-120を用いたEZT-ケトンの還元
KRED-120(5mg、コデクシス社製)を5mlの緩衝液(250mM リン酸カルシウム、0.5mM DTT、2mM 硫酸マグネシウム、1.1mM NADP+、80mM D-グルコース、10U/ml グルコースデヒドロゲナーゼ含有、pH7.0)中に溶解し、EZT-ケトンを溶解したメタノール溶液(0.25ml中20mg)を添加した。混合液を30℃で一晩撹拌し、HPLCで測定した。EtOAc(5ml)を添加し、液相分離させた。有機相を蒸散させ、残留物中のEZTを分析にかけた(収率:37.41%、d.e.:99.9%)。
【0061】
実施例9 KRED-128を用いたEZT-ケトンの還元
10mgのEZT-ケトンを0.25mlのメタノールに溶解した溶液を、以下の溶液に添加した:5mg KRED-128(コデクシス社製、ロット番号:090305CL、製造年:2005)、36mg(40mM) D-グルコース、4mg(1mM) NADP+、2.5mg グルコースデヒドロゲナーゼを含む5mlのリン酸緩衝液(pH7)。得られた乳白色の混合液を、35℃において1.5時間撹拌した。混合液を濾過し、濾過された物質を分析にかけた(収率:89.26%、d.e.:99.9%)。
【0062】
実施例10 KRED-119を用いたEZT-ケトンの還元
600mgのEZT-ケトンを4mlのIPAに溶かした溶液を、800mg(0.25M) D-グルコース、40mg グルコースデヒドゲナーゼ、16mg(1mM) NADP+、及び20mg KRED-119(コデクシス社製、ロット番号:100407WW、製造年:2007)を含む、20mlの100mMリン酸緩衝液(pH6)に添加した。得られた乳白色の混合液を室温で2.5時間撹拌した(変換率が74.4%になるまで、反応をHPLCによってモニターした)。混合液を濾過し、0.59gの湿潤生産物を得た(収率:65.43%*)。
* 変換率(%)が74.4%より低いのは、おそらく反応が可逆的なためであろう。
【0063】
実施例11 エゼチミブの精製
2gのエゼチミブとEZT-ケトンの混合物(エゼチミブの純度82%;EZT-ケトンの含有量:15.8%)を還流温度において、5mlのMIBKに溶解した。溶液を室温まで冷却し、一晩撹拌した。得られたスラリーを濾過し、乾燥して0.9gの白色生成物を得た(エゼチミブの純度99%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I:
【化1】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]
で表される化合物の製造方法であって、以下の式II:
【化2】

[式中、RはH又はヒドロキシル保護基]
で表される化合物を、単離され、合成され、又は精製されたケトレダクターゼと混合することを含む、前記製造方法。
【請求項2】
前記ケトレダクターゼが単離されたケトレダクターゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ケトレダクターゼが合成されたケトレダクターゼである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ケトレダクターゼが精製されたケトレダクターゼである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
Rが水素である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
Rがヒドロキシル保護基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
Rがベンジル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、アシル基、又はシリル基からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリル基が(Ra)(Rb)(Rc)-Si-{式中、Ra、Rb及びRcはC1〜C6アルキル基、アセチル基又はベンジル基からなる群よりそれぞれ独立に選択される}である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ケトレダクターゼが、KRED-NADH-105、KRED-NADH-107、KRED-116、KRED-118、KRED-119、KRED-120、KRED-128、KRED-133及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ケトレダクターゼが、KRED-NADH-105、KRED-116、KRED-118、KRED-119、KRED-128及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ケトレダクターゼが、KRED-118、KRED-119、KRED-128及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
補因子をケトレダクターゼと混合することをさらに含み、ここで当該補因子がNADH、NADPH、NAD+、NADP+、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記補因子がNADH又はその塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記補因子がNADPH又はその塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が約4から約9のpHを有する緩衝液中で行われる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記緩衝液が約4から約8のpHを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記緩衝液が約6から約8のpHを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記緩衝液がリン酸カリウム及び硫酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1つの塩の溶液である、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記緩衝液がジチオトレイトールを含む、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が約10℃から約50℃の温度で行われる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が約25℃から約35℃の温度で行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が約25℃から約30℃の温度で行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
反応混合物がさらに補因子再生システムを含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記補因子再生システムが、D-グルコース/グルコースデヒドロゲナーゼ、ギ酸ナトリウム/ギ酸デヒドロゲナーゼ、及び亜リン酸塩/亜リン酸デヒドロゲナーゼからなる群より選択される基質/デヒドロゲナーゼの対を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記基質/デヒドロゲナーゼの対がD-グルコース/グルコースデヒドロゲナーゼである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記グルコースデヒドロゲナーゼが、GDH-102、GDH-103、GDH-104、及びこれらの混合物中のそれぞれの主たる酵素からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記グルコースデヒドロゲナーゼがGDH-104中の酵素である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記基質/デヒドロゲナーゼの対がギ酸ナトリウム/ギ酸デヒドロゲナーゼである、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記ギ酸デヒドロゲナーゼがFDH-101中の主たる酵素である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記基質/デヒドロゲナーゼの対が亜リン酸ナトリウム/亜リン酸デヒドロゲナーゼである、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記亜リン酸デヒドロゲナーゼがPDH-101中の主たる酵素である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
溶媒を添加することをさらに含む、請求項1〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記溶媒が水混和性有機溶媒である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記溶媒がアルコールとジメチルスルホキシドとからなる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記アルコールがC1-4アルコールである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記アルコールがメタノール又はイソプロピルアルコールである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項32〜36のいずれか1項に記載の方法であって、以下の:
(a)式IIで表される化合物を溶媒に溶解する工程と
(b)(a)の溶液と補因子とケトレダクターゼを含む緩衝液とを混合する工程
を含む、前記方法。
【請求項38】
前記反応混合液が約3時間から約40時間撹拌される、請求項1〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記反応混合液が約14時間から約24時間撹拌される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記反応混合液が約25℃から約35℃の温度で撹拌される、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
前記反応溶液を濾過して生成物を回収する工程をさらに含む、請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
水非混和性有機溶媒が前記反応混合液に添加される、請求項1〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記水非混和性有機溶媒が撹拌後に前記反応混合液に添加される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記反応混合液が、水非混和性有機溶媒の添加後に有機相と水相中とに分離される、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記水混和性有機溶媒が、C2-8エーテル、C3-8エステル、C4-8ケトン、ハロゲン化炭化水素、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項42〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記有機相を蒸散させて生成物を回収する工程をさらに含む、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
式Iで表される化合物の収率が約50%以上である、請求項1〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記収率が約60%以上である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記収率が約70%以上である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記収率が約80%以上である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記収率が約85%以上である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
式Iで表される化合物がエゼチミブである、請求項1〜5及び請求項9〜51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
エゼチミブのジアステレオマー過剰率が約90%以上である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
エゼチミブのジアステレオマー過剰率が約98%以上である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
エゼチミブのジアステレオマー過剰率が約99%以上である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
エゼチミブのジアステレオマー過剰率が約99.9%以上である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
請求項1〜56のいずれかの方法により製造されるエゼチミブ。
【請求項58】
メチルイソブチルケトンからエゼチミブを晶出することを含む、EZT-ケトンからエゼチミブを精製する方法。
【請求項59】
請求項58に記載の方法であって、以下の:
(a)エゼチミブとEZT-ケトンを含む試料をメチルイソブチルケトンに溶解する工程;
(b)(a)の工程で得られた溶液を冷却する工程;及び
(c)エゼチミブを回収する工程
を含む、前記方法。
【請求項60】
工程(a)を加熱しながら行う、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
約50℃からおよそ還流温度まで加熱される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
およそ還流温度まで加熱される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
およそ室温又はそれ以下まで冷却される、請求項59〜62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
約10℃まで冷却される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
冷却工程後にスラリーを得、濾過により前記スラリーからエゼチミブを回収する、請求項59〜64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
得られるエゼチミブの純度が約98%以上である、請求項58〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
得られるエゼチミブの純度が約99%以上である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
請求項58〜67のいずれか1項に記載の方法により得られるエゼチミブ。

【公表番号】特表2010−529148(P2010−529148A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511428(P2010−511428)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/066351
【国際公開番号】WO2008/151324
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】