説明

エタンストリッピングを用いるアルキルベンゼンの製造プロセス

【要 約】アルキルベンゼンの製造プロセスは、アルキルベンゼンを含有する第一のアルキル化流出物と第一のアルキル化塔頂留出物流とを生成する第一のアルキル化反応条件下で、第一のアルキル化触媒存在下の第一のアルキル化反応区域にベンゼンとオレフィン供給物とを導入する。第一のアルキル化塔頂留出物流は、ベンゼンを含有する液体部分と未変換のオレフィンおよびエタンとを含有する蒸気部分とに分離される。吸収区域において第一のアルキル化塔頂留出物流の蒸気部分中の未変換のオレフィンの大部分は、ベンゼンとアルキルベンゼンとを含有する脱エタンされた芳香族化合物の低品位油流中に吸収されて、オレフィンと少なくともいくらかのエタンとを含有する高品位油流を生成する。第一の芳香族化合物低品位油流を生成する第二のアルキル化反応条件下で、第二のアルキル化触媒を含有する第二のアルキル化反応区域に、前記高品位油流が送られ、脱エタン装置内で第一の芳香族化合物低品位油流は分留されて、大部分のエタンを含有する脱エタン装置蒸気塔頂留出物と脱エタンされた芳香族化合物の低品位油を含有する液体塔底留出物とを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンと芳香族化合物からのアルキル芳香族化合物の製造のための、アルキル化プロセス、特にエチレンとベンゼンからのエチルベンゼンの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンでのベンゼンのアルキル化によるアルキルベンゼンを生成するためのさまざまなプロセスが、当業技術内で知られている。使用されるもっとも一般的なオレフィンは、エチレンとプロピレンである。エチレンでのベンゼンのアルキル化は、エチルベンゼンを生成する。プロピレンでのベンゼンのアルキル化はクメンを生成する。
【0003】
エチルベンゼンは、ポリスチレンを生成するためにその後重合されるスチレンの生成のための、前駆物質として主に使われている。エチルベンゼンの生成にはさまざまな方法が知られている。一般的には、ベンゼンとエチレンは、適切な触媒の存在下でのアルキル化反応で、結合される。さまざまなアルキル化触媒が知られているが、一般的に使用される触媒は、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ホウ素などのフリーデル−クラフツ(Friedel−Crafts)触媒や、さまざまなゼオライトを含む。
【0004】
この反応は、エチルベンゼンに加えて、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、テトラエチルベンゼンなどのポリエチルベンゼン(“PEB”)を含む副生成物を生成する。ポリエチルベンゼンは望ましくなく、通常はベンゼンとの反応によるエチルベンゼンへの変換のためのトランスアルキル化反応器へと再循環される。
【0005】
エチルベンゼンは、アルキル化反応が触媒的蒸留によって行われるプロセスで生成されてきた。ゼオライト触媒は、特別に梱包された梱包物(bale)に収容されており、アルキル化反応は混合蒸気−液体相で行われる。
【0006】
サルディナ(Sardina)らによる米国特許第5,003,119号は、ここで参照により組み入れられているが、エチルベンゼンやクメンなどのアルキルベンゼンの製造のためのプロセスを開示しており、新鮮な、および再循環のベンゼンの供給物と新鮮なオレフィンが、各反応段階が断熱的である少なくとも二つの反応段階を有するアルキル化装置において、アルキル化触媒存在下で反応する。本質的には、オレフィンのすべてが完全にアルキル化装置の各段階で反応する。新鮮なオレフィンがアルキル化装置の各段階に供給される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在までに、希薄なエチレンの供給に対して、99%のエチレン変換率がアルキル化装置で達成されてきた。この変換のレベルは、大量の触媒を必要とする。アルキル化装置からの排気ガスは、排気吸収器へ送られ、そこでベンゼンは炭化水素流(たとえばポリエチルベンゼン)に吸収される。排気ガス中に含まれるエチレンは最終的には失われていた。少ない必要触媒総量で、エチレンを実質的に完全に変換するのが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
アルキルベンゼンの生成のためのプロセスがここで提供される。このプロセスは、(a) アルキルベンゼンを含有する第一のアルキル化流出物と第一のアルキル化塔頂留出物(overhead)流とを生成する第一のアルキル化反応条件下で、第一のアルキル化触媒存在下の第一のアルキル化反応区域にベンゼンとオレフィン供給物とを導入し、(b) 第一のアルキル化塔頂留出物流を、ベンゼンを含有する液体部分と未変換のオレフィンおよびエタンを含有する蒸気部分とに分離し、(c) 吸収区域において第一のアルキル化塔頂留出物流の蒸気部分中の未変換のオレフィンの大部分を、ベンゼンとアルキルベンゼンとを含有する脱エタンされた芳香族化合物の実質的にオレフィンのない低品位油流中に吸収して、オレフィンと少なくともいくらかのエタンとを含有する高品位油流を生成し、(d) 第一の芳香族化合物低品位油流を生成する第二のアルキル化反応条件下で、第二のアルキル化触媒を含有する第二のアルキル化反応区域に、高品位油流を導入し、(e) 脱エタン装置内で第一の芳香族化合物低品位油流を分留して、大部分のエタンを含有する脱エタン装置蒸気塔頂留出物と脱エタンされた芳香族化合物の低品位油を含有する液体塔底留出物とを生成する、各ステップを含む。
【0009】
プロセスは、エチルベンゼンを生成する目的に特に適しており、従来のシステムよりも必要な触媒がはるかに少なく、それと同時により高い総エチレン変換率を達成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
さまざまな実施態様がここでは、図面を参照して説明される。
【0011】
本発明のアルキル化プロセスは、エチレン、プロピレン、および同様のものなどといった任意の適切なオレフィンでベンゼンをアルキル化するのに用いることができる。しかしながら、ここでのプロセスは特にエチルベンゼンの生成に有利であり、エチレンでのベンゼンのアルキル化と関連させて説明する。プロピレンまたはその他のオレフィンもまた使用できること、また本発明の範囲内にあると見なされることを、銘記すべきである。
【0012】
本発明のプロセスは、アルキル化装置からの排気ガス中で運ばれる残存オレフィンを実質上すべて変換するための、第二のアルキル化最終反応装置を含む。この改良によって、オレフィン収率の損失を防ぎ、アルキル化装置に必要な触媒の量を減らすのである。本願のプロセスはまた、最終反応装置システムを循環する不活性物質の体積を低減するためのエタンストリッピング装置を含む。
【0013】
図1を参照すると、エチレン供給物F−1と、ベンゼン供給物F−2が、示したとおりエチルベンゼン製造プロセス100に導入される。エチレン供給物F−1は、体積で5%から100%のエチレンを含有することができ、所望ならば、FCCなどの精製操作からの発生気体で一般に体積で約10%から約30%のエチレンを含有するものにすることもできる。典型的なFCC発生気体は、50%から70%のメタンと水素とを含有し、残部は、おおよそ等量のエタンとエチレンと、小量のその他の炭水化物成分とを含有する。望ましい供給原料F−1は、体積で30%から50%のエチレン量を含有し、残りの成分は、メタン、エタン、水素その他の成分を含有する。所望ならば、アルキル化装置110への供給物F−1は、ポリマーグレードのエチレンでも可能である。エチレン供給物F−1は、アルキル化装置110に送られ、このアルキル化装置110は好ましくは、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトL、TMAオフレタイト(Offretite)、モルデナイト(mordenite)、アモルファスシリカ−アルミナ、ゼオライトBEA(ベータ)、ゼオライトMWW、またはMFI触媒の中から選択される一つまたは複数の触媒などの適切なアルキル化触媒を含む触媒蒸留カラムである。ゼオライトBEAが望ましい。触媒は所望ならば梱包された梱包物に収容される。
【0014】
さまざまなタイプの触媒蒸留装置と方法と装置とが当業技術内で知られている。アルキル化装置110は、アルキル化反応条件、通常は約270psigから約550psigの圧力で、約185℃から約250℃の温度で、約2.0から約3.5の範囲のフェニル:エチル比で作動する混合相(液体/蒸気)反応器である。
【0015】
アルキル化装置110は、希薄エチレン供給物を扱うのに適しており、エチレン含有量と流量の変動を扱うことができる。
【0016】
供給物F−1は、望ましくは、反応装置の複数の点で注入され、ライン114を介してアルキル化装置110に導入された液体ベンゼンに接触してその中に溶解し、カラム110中の触媒充填物を通って下方へ流れる。ベンゼンによって吸収されたエチレンは、触媒と接触するとベンゼンと反応してエチルベンゼンと小量のPEBとを形成する。アルキル化装置110の塔底からの液体(すなわち、エチルベンゼン含有液体)の流出物は、ライン118を介して蒸留カラム160へと送られる。カラム160はエチルベンゼン生成物およびより重い成分からベンゼンを分離する。ベンゼンは蒸気として塔頂留出物で蒸留され、ライン161を介して凝縮器162に送られ、そこで液化され、蓄積装置163に貯蔵される。蓄積装置163からのベンゼンは、ライン164を介してカラム160へ、還流として送り返される。ベンゼンの一部165は、以下でもっと十分に説明するように、ライン164から引き出され、ライン165aを介して、アルキル化装置110からの塔頂留出物へ、ライン165bを介して排気吸収器130へと送られる。新鮮なベンゼン供給物F−2は、ライン164へと導入される。代替として、新鮮なベンゼンはプロセス中のベンゼンに富む他の場所に供給され得る。新鮮なベンゼンは、このプロセスで使われる触媒に対して毒になり得るアミン、アルデヒド、ケトンおよび塩基性窒素化合物を含んでいない必要がある。塔底流167は、再沸騰器(reboiler)168を通って、カラム160へと再循環で戻される。
【0017】
エチルベンゼンとPEBとを含有する塔底流166は、蒸留カラム170へと送られる。カラム170はエチルベンゼン生成物をPEBから分ける。塔底流177は再沸騰器178を通ってエチルベンゼンカラム170へと再循環で戻される。PEBを含有する塔底流176は、PEBを分離するための蒸留カラム180へと送られる。カラム170からの塔頂留出物エチルベンゼン蒸気流171は、凝縮器172で液化され、蓄積装置173へと送られる。塔頂留出物の一部分は、ライン174を介して還流として、カラム170へと戻される。また別の部分は、エチルベンゼン生成物Pとして、ライン175を介して回収される。
【0018】
カラム180はPEB(たとえばジエチルベンゼン)を重質流動油から分離する。塔底流187は、再沸騰器188を通って、カラム180へと再循環で戻される。塔底留出物の一部分は回収ライン186を介して重質流動油Bとして回収される。流動油は一般的には、ジフェニルエタン、テトラエチルベンゼン、およびその他の高沸点成分を含み、また、熱伝導流体、燃料油あるいは吸収剤として用いることができる。塔頂留出物PEB蒸気流181は、凝縮器182中で液化され、蓄積装置183へと送られる。塔頂留出物の一部分はライン184を介して還流として、カラム180へと戻される。PEB塔頂留出物の別の部分は、以下でより詳しく説明するように、ライン185を介して、排気ストリッピング装置150へと送られる。
【0019】
アルキル化装置110を再度考慮すると、アルキル化装置からの塔頂留出物蒸気111は、未変換のオレフィンばかりでなく、エタンと、水素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、プロパンおよび/または窒素などの一つまたは複数の軽い成分とを含んでおり、凝縮器112によって部分的に液化され、蓄積装置113へと送られる。蓄積装置113中に受け入れられるものには、ベンゼン流165の一部分165aもあり、ベンゼン流165は部分165aと部分165bとに分けられる。従って、蓄積装置113は再循環されたベンゼンと凝縮されたアルキル化装置塔頂留出物との混合物を、凝縮されていない蒸気とともに含有している。蓄積装置113からの液体の一部分は、還流として、アルキル化装置110へと戻される。また別の部分はライン115を介してトランスアルキル化装置120へと送られる。トランスアルキル化装置120もまた、排気ストリッピング装置150からのPEB流をライン152を介して受け取る。トランスアルキル化装置120中では、ベンゼン(ライン115からの)とPEB(ライン152からの)とが反応して、エチルベンゼンを形成し、それはライン121を介してアルキル化装置110へと再循環で戻される。
【0020】
トランスアルキル化装置120は、ゼオライトベータ、ゼオライトYまたはその他のス適切なゼオライトなどの適切なトランスアルキル化触媒を含み、適切なトランスアルキル化反応条件下で操作される。一般的には、トランスアルキル化反応条件は、約185℃から約250℃の温度、約350psigから約600psigの圧力、約3.5から5.0WHSVの空間速度、および、約2.0から約5.0、好ましくは3.0、のフェニル対エチル(phenyl to ethyl)のモル比を含む。
蓄積装置ドラム113からの凝縮されていない蒸気は、熱交換器116中で加熱され、エチレン、ベンゼン、およびエタン、メタン、水素などの不活性物質を含有する蒸気流は、ライン117を介して、芳香族化合物の回収のための排気吸収器130へと送られる。
【0021】
ここで図1と図2の両方を参照すると、蒸気吸収器130中では、排気吸収器130中で上方に流れる蒸気流は、ベンゼンとエチルベンゼンとを含有するがエチレンはほぼ含まないライン142からの脱エタンされた実質的にオレフィンのない低品位の油の下方への流れと接触する。排気吸収器130は、向流モードで操作する充填カラムあるいはトレイ(tray)カラムにすることができる。排気吸収器カラムは当業技術内で知られている。
【0022】
脱エタンされた低品位の油は、エチレンのほとんどすべてを溶解する。排気吸収器130からの塔頂留出物蒸気(ライン132)中のエチレンの損失は、ユニット(ライン117)に供給されるエチレンの約1.0%である。高品位の油(すなわち、溶解したエチレンを有する)を含有する排気吸収器130からの塔底留出物は、ライン131を介して、エチレンとベンゼンとをエチルベンゼンに変換するための最終反応器140へと送られる。高品位油流は重量で少なくとも0.2%のエチレン、好ましくは少なくとも約0.3wt%のエチレン、より好ましくは少なくとも約0.4wt%のエチレンと、少なくとも約5.0wt%のエチルベンゼン、好ましくは少なくとも約10wt%のエチルベンゼン、より好ましくは少なくとも約13wt%のエチルベンゼンとを含有する。高品位油流はまず熱交換器145を通り、そこで熱が、最終反応器140からの脱エタン低品位油(ライン142)から、ライン131の高品位油流へ伝達される。高品位油流はさらに加熱器135中で加熱され、最終反応器140へと送られる。
【0023】
最終反応器140は、隙間のある触媒、好ましくはゼオライトYまたはゼオライトBEA(ベータ)、ゼオライトMWW、モルデナイト、あるいはMFI触媒、の固定層を含む第二のアルキル化装置であり、単一の液相において断熱的に作動する。液相中のアルキル化はより効率的で、混合蒸気/液相中のアルキル化よりも必要な触媒は少ない。この反応器140のエチレン変換率は実質的に完全である。最終反応器140は、約200℃から約230℃の温度、約550psigから約900psigの圧力、約2.0から約10.0のフェニル:エチルモル比までで作動する。高いフェニル:エチルモル比は結果的に、卓越した触媒選択性と安定性をもたらす。
【0024】
最終反応器からの流出物流141は、溶解したエタンおよびメタンと共にベンゼンとエチルベンゼンとを含有する低品位油を運ぶ。
【0025】
この低品位油は、エタンおよびメタンなどの不活性の軽い成分を除去する脱エタン装置190へ送られる。脱エタン装置は、軽い成分を除去するための蒸留カラムである。脱エタン装置からの塔頂留出物191は、凝縮器192を通して送られ、液化された部分は、脱エタンカラム190へ還流される。残りの蒸気は、流れ132(排気吸収器130からの塔頂留出物)へ添加されて、流れ197を形成し、この流れ197は、その後、排気ガス洗浄器(scrubber)150へ送られる。塔頂留出物191は、エタン、メタン、微量の水、非芳香族化合物およびベンゼンを含有する。必要に応じて、塔頂留出物191は代替として、エタンの再利用のためのクラッキング炉へと送ることもできる。脱エタン装置からの塔底流193は、再沸騰器194を通して循環され、脱エタン装置カラム190へと再導入される。別の部分195が、脱エタン装置の塔底から抜き出される。脱エタン装置からの塔底流出物195は、ベンゼンとエチルベンゼンとを含有する脱エタンされた低品位油を運ぶ。脱エタンされた塔底留出物の一部196は、吸収器システムの液体構成(inventory)を維持するためにライン196を介してアルキル化装置110に循環されて戻され、最終反応器140で作成されたエチルベンゼンの正味量を運ぶ。
【0026】
ベンゼンカラムの塔頂留出物165からのベンゼンの一部165bは、低品位油流へと供給されて、この流れ中の望ましいベンゼン濃度を保ち、これが、最終反応器140中の望ましい選択性を提供する。結果的に得られる流れ142が、上述のように、熱交換器145中の排気吸収器からの流出物流131に対して冷却され、さらに冷却器146中で約6℃から約40℃の範囲の温度、望ましくは12℃、にまで冷却され、その後、排気吸収器130の頂部に供給される。
【0027】
メタン、エタン、水素、微量の水や非芳香族化合物やベンゼンやエチレンを含有する、排気吸収器130からの塔頂留出物蒸気は、流れ132により運ばれる。上述したように、脱エタン装置からの塔頂留出物191は、排気吸収器からの塔頂留出物流132へ添加されて流れ197を形成し、この流れ197は、芳香族化合物回収のための排気洗浄器150へと送られ、そこで排気ガスの上方への流れが、PEBカラム180からのPEBの下方への流れと接触する。排気洗浄器150は、塔頂留出物ガス(ライン151)中へ、少量のC非芳香族化合物やベンゼンのみならず不活性物質(水素、メタン、エタン、水その他)を棄却するように作動する。カラム180からのPEB流185は、まず冷却器189で冷却され、その後、排気洗浄器カラム150の頂部へ導入される。洗浄された排気ガスは、ライン151を介して排気洗浄器150から排出される。極めて小量のエチレンも排気洗浄器150から排気されない。このプロセスでのエチレン総変換率は約99.9%である。PEBおよびその他の芳香族化合物を含有する排気洗浄器150からの塔底留出物は、ベンゼンでのトランスアルキル化によるPEBのエチルベンゼンへの変換のためにライン152を介してトランスアルキル化装置120へと送られる。
【0028】
脱エタンカラムを用いて低品位油から軽い成分(エタン、メタン)を除去することにより、不必要な処理量の不活性成分に対処するために最終反応器へ加えられる負担が軽減される。
【0029】
上述した説明は、多くの詳細を含むとはいえ、これらの詳細は、本発明の範囲の限定としてではなく、本発明の好ましい実施態様の単なる例示として解釈すべきである。当業者は、添付の請求項により規定される本発明の範囲および趣旨の中で他の多くの可能な変形例を構想するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】エチルベンゼンを生成するプロセスの概略流れ図である。
【図2】より詳細なプロセスの部分図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルベンゼンの製造プロセスであって、
a)アルキルベンゼンを含有する第一のアルキル化流出物と第一のアルキル化塔頂留出物流とを生成する第一のアルキル化反応条件下で、第一のアルキル化触媒存在下の第一のアルキル化反応区域にベンゼンとオレフィン供給物とを導入し、
b)第一のアルキル化塔頂留出物流を、ベンゼンを含有する液体部分と未変換のオレフィンおよびエタンとを含有する蒸気部分とに分離し、
c)吸収区域において第一のアルキル化塔頂留出物流の蒸気部分中の未変換のオレフィンの大部分を、ベンゼンとアルキルベンゼンとを含有する脱エタンされた芳香族化合物の実質的にオレフィンのない低品位油流中に吸収して、オレフィンと少なくともいくらかのエタンとを含有する高品位油流を生成し、
d)第一の芳香族化合物低品位油流を生成する第二のアルキル化反応条件下で、第二のアルキル化触媒を含有する第二のアルキル化反応区域に、前記高品位油流を導入し、
e)脱エタン装置内で第一の芳香族化合物低品位油流を分留して、大部分のエタンを含有する脱エタン装置蒸気塔頂留出物と脱エタンされた芳香族化合物の低品位油を含有する液体塔底留出物流とを生成する、
各ステップを含むことを特徴とするアルキルベンゼンの製造プロセス。
【請求項2】
少なくとも一部のベンゼンとポリアルキルベンゼンとをアルキルベンゼンに変換するトランスアルキル化反応条件下で、トランスアルキル化触媒存在下のトランスアルキル化区域に、第一のアルキル化塔頂留出物流の液体部分とポリアルキルベンゼン流とを導入するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記オレフィンはエチレンであり、前記アルキルベンゼンはエチルベンゼンであり、前記ポリアルキルベンゼンはポリエチルベンゼンであることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項4】
前記第一のアルキル化反応条件は、約300psigから約550psigの圧力、約185℃から約240℃の温度、および約2.0から約3.5の範囲のフェニル:エチル比を含むことを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項5】
前記第一のアルキル化反応区域は、混合相液体―蒸気モードにおいて作動する触媒蒸留ユニットから成ることを特徴とする請求項4記載のプロセス。
【請求項6】
前記吸収器塔頂留出物蒸気流は、脱エタン蒸気塔頂留出物と混合されて、混合蒸気流を生成し、この混合蒸気流は、洗浄ユニットへと移され、そこで混合蒸気流は、ポリエチレンベンゼンを含有する下方への流れと接触し、洗浄ユニットは、トランスアルキル化区域へと循環されるポリエチルベンゼンを含有する洗浄器塔底流出物を生成することを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項7】
前記第一のアルキル化反応区域からのエチルベンゼン含有流出物は、ベンゼンを含有する第一の蒸留塔頂留出物流と、エチルベンゼンを含有する第一の蒸留塔底流とを生成する第一の蒸留ユニットへと移され、この第一の蒸留塔頂留出物流の少なくとも第一の部分は、脱エタン装置からの脱エタンされた芳香族化合物低品位油流へと循環されることを特徴とする請求項6記載のプロセス。
【請求項8】
前記第一の蒸留塔底流は、エチルベンゼンを含有する第二の蒸留塔頂留出物流と、ポリエチルベンゼンを含有する第二の蒸留塔底流とを生成する第二の蒸留ユニットへと移されることを特徴とする請求項7記載のプロセス。
【請求項9】
前記第二の蒸留塔底流は、ポリエチルベンゼンを含有する第三の蒸留塔頂留出物流を生成する第三の蒸留ユニットへと移され、この第三の蒸留塔頂留出物は、洗浄ユニットへと循環されて戻されることを特徴とする請求項8記載のプロセス。
【請求項10】
前記吸収区域は充填カラムから成ることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項11】
前記吸収区域はトレイカラムから成ることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項12】
前記第一のアルキル化触媒は、ゼオライトベータから成ることを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項13】
前記第二のアルキル化触媒は、ゼオライトYから成ることを特徴とする請求項3記載のプロセス。
【請求項14】
前記第一のアルキル化塔頂留出物流から分離される蒸気部分はさらに、水素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、プロパンおよび窒素から成る群より選択される一つまたは複数の成分を含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項15】
a)オレフィンでベンゼンをアルキル化しかつアルキルベンゼンとベンゼンとを含有する排出物と塔頂留出物流とを生成する第一のアルキル化装置手段と、
b)第一のアルキル化装置手段からの塔頂留出物流を、蒸気流と液体流とに分離する凝縮手段と、
c)第一のアルキル化装置手段の塔頂留出物からの液体流を、ポリアルキルベンゼンを含有する流れと接触させて、アルキルベンゼンとベンゼンとを含有するトランスアルキル化装置流出物を生成するトランスアルキル化装置手段と、
d)第一のアルキル化装置手段の塔頂留出物からの蒸気流を、ベンゼンとアルキルベンゼンとを含有する脱エタンされた低品位油流と接触させて、ベンゼンと、アルキルベンゼンと、未変換のオレフィンとを含有する高品位油流を生成する吸収器手段と、
e)前記未変換のオレフィンと、高品位油流中の少なくとも一部のベンゼンとを変換して、低品位油流を生成する第二のアルキル化装置手段と、
f)第一の低品位油流を脱エタンして脱エタンされた低品位油流を生成するための分留塔と、
を備えることを特徴とするアルキルベンゼン生成のためのシステム。
【請求項16】
前記第一のアルキル化装置手段は、触媒蒸留ユニットから成ることを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記吸収器手段は充填カラムから成ることを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項18】
前記吸収器手段はトレイカラムから成ることを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項19】
前記吸収手段からの蒸気塔頂留出物を、ポリアルキルベンゼンを含有する下方への流れと接触させ洗浄器ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項20】
ベンゼンとアルキルベンゼンとを、アルキル化装置手段の流出物から分離する蒸留手段をさらに備えることを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項21】
熱を脱エタンされた低品位油流と高品位油流との間で伝達させるための熱伝達手段をさらに備えることを特徴とする請求項15記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−537987(P2007−537987A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533595(P2006−533595)
【出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/018086
【国際公開番号】WO2004/110965
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(391011227)エービービー ルマス グローバル インコーポレイテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】ABB LUMMUS CREST INCORPORATED
【Fターム(参考)】