説明

エチル及びエテニルリンカーを有するイソオキサゾール/O−ピリジン誘導体

本発明は、式Iの新規なイソオキサゾール−ピリジン誘導体(式中、R、R、R及びLは、本明細書に記載のとおりである)、並びにそれらの薬学的に許容されうる塩及びエステルに関する。本発明の活性化合物は、GABA Aα5受容体に対する親和性及び選択性を有する。さらに、本発明は、式Iの活性化合物の製造、それらを含有する医薬組成物、並びに医薬としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GABA Aα5受容体に対する親和性及び選択性を有するイソオキサゾール−ピリジン誘導体、それらの製造、それらを含有する医薬組成物、並びに医薬としてのそれらの使用に関する。
【0002】
本発明は、特に式I:
【0003】
【化1】


(式中、R、R、R及びLは、以下及び請求項に記載のとおりである)のイソオキサゾール−ピリジン誘導体に関する。
【0004】
主要な抑制性の神経伝達物質であるガンマ−アミノ酪酸(GABA)の受容体は、(1)リガンド・ゲートイオンチャンネルスーパーファミリーの構成員であるGABA A受容体及び(2)Gタンパク質結合受容体ファミリーの構成員である、GABA B受容体の2つの主要クラスに分類される。膜結合性ヘテロ五量体タンパク質ポリマーであるGABA A受容体複合体は、主としてα、β及びγサブユニットで構成されている。
【0005】
現在、GABA A受容体の合計21種のサブユニットがクローニングされ、そして配列決定されている。3種のサブユニット(α、β及びγ)が、哺乳類の脳細胞から得られる天然のGABA A受容体の生化学的、電気生理学的及び薬理学的機能を最も厳密に模倣する組換えGABA A受容体の構築に必要である。ベンゾジアゼピン結合部位がαサブユニットとγサブユニットの間にあることを示す有力な証拠が存在する。組換えGABA A受容体のうち、α1β2γ2は、古典的なI型BzRサブタイプの多くの作用を模倣し、一方、α2β2γ2、α3β2γ2及びα5β2γ2イオンチャンネルはII型BzRと名付けられている。
【0006】
McNamara及びSkeltonは、Psychobiology, 1993, 21:101-108において、ベンゾジアゼピン受容体の逆アゴニストであるβ−CCMがMorris水迷路における空間学習を増強することを明らかにしている。しかし、β−CCM及び他の従来のベンゾジアゼピン受容体逆アゴニストは、痙攣促進性または痙攣性であり、これがヒトにおける認知増強剤としてのそれらの使用の妨げとなっている。さらに、これらの化合物は、GABA A受容体サブユニット間で非選択的であるが、GABA Aα1及び/又はα2及び/又はα3受容体結合部位における活性が相対的にないGABA Aα5受容体の部分逆アゴニスト又は完全逆アゴニストを用いると、痙攣促進活性が低いか又はない状態で認知を増強するのに有用な医薬を提供することができる。また、GABA Aα1及び/又はα2及び/又はα3受容体結合部位において活性がなくはないが、α5含有サブユニットに対して機能的に選択的であるGABA Aα5逆アゴニストを使用することも可能である。しかしながら、GABA Aα5サブユニットに選択的であり、GABA Aα1、α2及びα3受容体結合部位における活性が相対的にない逆アゴニストが好ましい。
【0007】
GABA Aα5サブユニットと中枢神経系の様々な疾患の処置との関連を確立する文献が発表されている。例えば、Neuroscience Letts., 2005, 381, 108-13, Neuropsychobiology, 2001,43(3), 141-44, Amer. J. Med. Genetics, 2004, 131B, 51-9, Autism 2007, 11(2):135-47, Investigacion Clinica, 2007, 48, 529-41, Nature Neuroscience, 2007, 10,411-13, Neuroscience Letts., 2008, 433, 22-7及びCell2008, 135, 549-60である。
【0008】
本発明の化合物は、好ましくはGABA Aα5の逆アゴニストである。
【0009】
本発明の目的は、式Iの化合物並びにそれらの薬学的に許容しうる塩及びエステル、前記化合物の調製、それらを含有する医薬及びそれらの製造、そしてGABA Aα5受容体に関連する疾患の治療もしくは予防における、前記化合物の使用である。
【0010】
本発明の化合物並びにそれらの薬学的に許容されうる塩及びエステルは、認知増強剤として、又は、急性及び/もしくは慢性神経性の障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/もしくは認知症状、双極性障害、自閉症、ダウン症候群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる認知症、精神障害、物質誘発性精神病性障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性痴呆、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経因性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のために、単独で又は他の薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0011】
本明細書で用いる一般用語の下記の定義は、該用語が単独又は組み合わせのいずれで表わされているかに関係なく、適用される。
【0012】
用語「置換されている」は、他に特に定義されない限り、特定の基又は部分が、1個、2個、3個、4個、5個又は6個の置換基を持ち得ることを意味する。任意の基が複数の置換基を有してよく、様々な可能な置換基が提供されるが、それら置換基は、独立して選択され、同一である必要はない。用語「非置換の」は、特定の基が置換基を有しないことを意味する。用語「場合により置換されている」は、特定の基が、非置換であるか、又は、可能な置換基群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されていることを意味する。置換基の数を指す場合、用語「1個以上」は、1個の置換基から最大可能数の置換基、すなわち、置換による1個の水素の置き換えから、すべての水素の置き換えまでを意味する。他に特に定義されない限り、1個、2個、3個、4個又は5個の置換基が好ましい。特に好ましいのは、1個、2個、3個又は4個の置換基である。
【0013】
用語「アルキル」は、単独又は他の基と組み合わせて、1個〜20個の炭素原子の、好ましくは1個〜16個の炭素原子の、より好ましくは1個〜10個の炭素原子の、分岐鎖又は直鎖の一価の飽和脂肪族炭化水素基を指す。以下に記載する低級−アルキル基もまた好適なアルキル基である。
【0014】
本明細書で使用する用語「低級−アルキル」は、1〜7個の炭素原子を含有する、飽和の直鎖又は分岐鎖の基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等を表す。好適な低級−アルキル基は、n−ブチル、イソプロピル及びメチルである。
【0015】
用語「ヒドロキシ−低級−アルキル」は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個が、ヒドロキシ基で置き換えられている、上記定義の低級−アルキル基を表す。ヒドロキシ−低級−アルキルの例は、1個以上のヒドロキシ基、特に1個、2個又は3個のヒドロキシ基、好ましくは1個又は2個のヒドロキシ基で置換されている、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル又はn−ヘキシル、並びに本明細書において以下の実施例で具体的に説明する基を含むがこれらに限定されない。好適なヒドロキシ−低級−アルキル基には、2−ヒドロキシ−エチル、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピルがある。
【0016】
用語「シアノ−低級−アルキル」は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個がシアノ基で置き換えられている、上記定義の低級−アルキル基を表す。シアノ−低級−アルキルの例は、1個以上のシアノ基、好ましくは1個、2個又は3個、そしてより好ましくは1個のシアノ基で置換されている、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル又はn−ヘキシル、並びに本明細書において以下の実施例で具体的に説明する基を含むがこれらに限定されない。シアノ−低級−アルキル基の例は、例えば、C(CN)H、C(CN)H、C(CN)HCH、C(CN)H(CH及び(C(CN)HCHである。
【0017】
用語「フルオロ−低級−アルキル」は、フッ素でモノ−又は多重置換されている低級−アルキル基を指す。フルオロ−低級−アルキル基の例は、例えば、CFH、CFH、CF、CFCH、CF(CH、(CFCH及びCFH−CFである。
【0018】
用語「低級−アルコキシ」は、Rが上記定義の低級−アルキルである、基−O−Rを表す。
【0019】
用語「フルオロ−低級−アルコキシ」は、R’が上記定義のフルオロ−低級−アルキルである基−O−R’を指す。フルオロ−低級−アルコキシ基の例は、例えば、CFH−O、CFH−O、CF−O、CFCH−O、CF(CH−O、(CFCH−O、及びCFH−CF−Oである。
【0020】
用語「シクロアルキル」は、3〜7個の環炭素原子、好ましくは3〜6個の炭素原子の、一価の飽和環式炭化水素基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルを指す。
【0021】
用語「ヘテロシクリル」は、N、O又はSから選択される1個、2個又は3個の環ヘテロ原子を含有する、一価の3員〜7員の飽和単環式の環を指す。1個又は2個の環ヘテロ原子が好ましい。好適であるのは、各々、N、O又はSから選択される1個又は2個の環ヘテロ原子を含有する、4員〜6員のヘテロシクリル又は5員〜6員のヘテロシクリルである。ヘテロシクリル部分の例は、テトラヒドロ−フラニル、テトラヒドロ−ピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、又はピペラジニルである。好適なヘテロシクリルには、テトラヒドロ−フラン−3−イル、テトラヒドロ−ピラン−4−イルがある。ヘテロシクリルは、場合により、アリールに関して記載したように置換されうる。
【0022】
用語「アリール」は、一価の芳香族炭素環系を、好ましくはフェニル又はナフチルを、そしてより好ましくはフェニルを指す。アリールは、場合により、本明細書において記載したように置換されうる。
【0023】
式Iの化合物は、薬学的に許容されうる酸付加塩を形成し得る。このような薬学的に許容されうる塩の例は、生理学的に適合しうる鉱酸、例えば、塩酸、硫酸、亜硫酸又はリン酸;又は、有機酸、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸又はサリチル酸と、式Iの化合物との塩である。用語「薬学的に許容されうる塩」は、このような塩を指す。例えばCOOH基のような酸性の基を含む式Iの化合物は、さらに塩基と塩を形成し得る。このような塩の例は、例えば、Na−、K−、Ca−及びトリメチルアンモニウム塩のような、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウム塩である。用語「薬学的に許容されうる塩」は、また、このような塩をも指す。
【0024】
用語「薬学的に許容されうるエステル」は、カルボキシ基がエステルに変換されている式Iの化合物の誘導体を包含する。低級−アルキル、ヒドロキシ−低級−アルキル、低級−アルコキシ−低級−アルキル、アミノ−低級−アルキル、モノ−又はジ−低級−アルキル−アミノ−低級−アルキル、モルホリノ−低級−アルキル、ピロリジノ−低級−アルキル、ピペリジノ−低級−アルキル、ピペラジノ−低級−アルキル、低級−アルキル−ピペラジノ−低級−アルキル及びアリール−低級−アルキルエステルが、適切なエステルの例である。メチル、エチル、プロピル、ブチル及びベンジルエステルが、好適なエステルである。用語「薬学的に許容されうるエステル」は、さらに、ヒドロキシ基が、無機又は有機酸、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等(これらは、生体に対し有毒でない)、で対応するエステルに変換されている式Iの化合物を包含する。
【0025】
詳しくは、本発明は、一般式I:
【0026】
【化2】


[式中、
Lは、−CH−CH−又は−CH=CH−であり;
は、低級−アルキル又はアリール(ここで、低級−アルキルは、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、低級−アルコキシ及びフルオロ−低級−アルコキシからなる群より独立して選択される、1〜4個の置換基で場合により置換され;
そして、ここで、アリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、低級−アルキル、フルオロ−低級−アルキル、シアノ−低級−アルキル、ヒドロキシ−低級−アルキル、低級−アルキル−C(O)OH、低級−アルキル−C(O)O−低級−アルキル、低級−アルキル−CO−NH、低級−アルキル−CO−N(H,低級−アルキル)、低級−アルキル−CO−N(低級−アルキル)、低級−アルキル−N(H,低級−アルキル)、低級−アルキル−N(低級−アルキル)、低級−アルコキシ−低級−アルキル、CO−低級−アルキル、COOH、COO−低級−アルキル、CONH、CON(H,低級−アルキル)、CON(低級−アルキル)、NH、N(H,低級−アルキル)、N(低級−アルキル)、低級−アルコキシ、フルオロ−低級−アルコキシ、SO−低級−アルキル、SO−NH、SO−N(H,低級−アルキル)、SO−N(低級−アルキル)、シクロアルキル、フェニルオキシ及びフェニルからなる群より独立して選択される、1〜4個の置換基で場合により置換されうる)であり;
は、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、低級−アルコキシ及びフルオロ−低級−アルコキシからなる群より独立して選択される1〜4個の置換基で場合により置換されうる低級−アルキルであり;
は、−O−R又はN(R,R)であり;
は、水素又は低級−アルキルであり;
は、水素又は低級−アルキルであり;
は、低級−アルキル、ヒドロキシ−低級−アルキル又はヘテロシクリルであるか、
又はここで、R及びRは、一緒に結合して、それらが結合している窒素原子と共にヘテロシクリルを形成する]の化合物、並びにその薬学的に許容されうる塩及びエステルに関する。
【0027】
式Iの化合物はそれぞれ好適であり、そして、その薬学的に許容されうる塩はそれぞれ好適であり、さらに薬学的に許容されうるそのエステルはそれぞれ好適であるが、式Iの化合物が特に好適である。
【0028】
式Iの化合物は、1つ以上の不斉炭素原子を有することができ、光学的に純水な鏡像異性体、そのような鏡像異性体の混合物、例えば、ラセミ体、光学的に純水なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体又はジアステレオ異性体のラセミ体の混合物の形態で存在し得る。光学的に活性な形態は、例えば、ラセミ体の分割によるか、不斉合成もしくは不斉クロマトグラフィー(キラル吸着剤又は溶離剤によるクロマトグラフィー)により得ることができる。本発明は、これらのすべての形態を包含する。
【0029】
さらに、当然のことながら、本明細書において開示される特定の残基R〜Rに関連するあらゆる実施態様は、本明細書において開示される別の残基R〜Rに関連する任意の他の実施態様と組み合わせてよい。
【0030】
式Iの化合物の特定の実施態様において、Lは、好ましくは−CH=CH−である。
【0031】
式Iの化合物の特定の実施態様において、Rは、アリール又は低級−アルキルであり、好ましくは低級−アルキルである。さらに好適な本発明の化合物は、Rがn−ブチルであるそれらである。
【0032】
式Iの化合物の特定の実施態様において、Rは、低級−アルキルであり、好ましくはメチルである。
【0033】
式Iの化合物の特定の実施態様において、Rは、好ましくはN(R,R)である。
【0034】
式Iの化合物の特定の実施態様において、Rは、好ましくは水素又はメチルである。
【0035】
式Iの化合物の特定の実施態様において、Rは、好ましくは水素である。
【0036】
式Iの化合物の特定の実施態様において、Rは、低級−アルキル、ヒドロキシ−低級−アルキル又はヘテロシクリルであり、好ましくはヒドロキシ−低級−アルキル又はヘテロシクリルである。さらに好適な本発明の化合物は、Rが、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル又はテトラヒドロ−フラン−3−イルであるものである。
【0037】
とりわけ、好適な化合物は、個々の化合物として実施例に記載されている式Iの化合物、並びにその薬学的に許容されうる塩及び薬学的に許容されうるエステルである。さらに、以下に記載される具体的な例において見出される置換基は、それぞれ別個の本発明の好適な実施態様を成す。
【0038】
本発明の特に好適な式Iの化合物は、以下からなる群より選択されるものである:
6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル、
N−イソプロピル−6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−ニコチンアミド、
N−(2−ヒドロキシ−エチル)−6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチンアミド、
N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−イソプロピル−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル)−ニコチンアミド、
N−イソプロピル−6−[2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−ニコチンアミド、
6−[2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド、及び
6−[2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−N−(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−ニコチンアミド、
並びにその薬学的に許容されうる塩及びエステル。
【0039】
さらに好適な本発明の式Iの化合物は、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−ニコチンアミド、及び
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミドからなる群より選択されるもの、並びにその薬学的に許容されうる塩及びエステルである。
【0040】
式Iの化合物に包含される、式IA及びIBの化合物、並びにその薬学的に許容されうる塩及びエステルは、以下の工程を含む方法により調製することができる:
【0041】
a)式II:
【化3】


の化合物を、式III:
【化4】


の化合物と反応させて、式IA:
【化5】


の化合物とする工程、又は
【0042】
b)式IV:
【化6】


の化合物を、式III:
【化7】


の化合物と反応させて、式IB:
【化8】


の化合物とする工程、又は
【0043】
c)式IA:
【化9】


の化合物を水素化して、式IB:
【化10】


の化合物とする工程(式中、R、R及びRは、上記定義のとおりである)。
【0044】
式IIの化合物と式IIIの化合物との反応は、実施例に記載されているとおりの条件下で、又は当業者に周知の条件下で実施することができる。例えば、反応は、無水酢酸及び酢酸のような溶媒/試薬の存在下、高温で、例えば、100〜200℃で行うことができる。
【0045】
式IVの化合物と式Vの化合物との反応は、実施例に記載されているとおりの条件下で、又は当業者に周知の条件下で実施することができる。例えば、反応は、THFのような適切な溶媒中で、ブチルリチウムのような塩基の存在下、−80〜−40℃のような低温で行うことができる。
【0046】
本発明はまた、上記記載の方法で調製した場合の、上記定義の式Iの化合物にも関する。
【0047】
式Iの本化合物、並びにそれらの薬学的に許容されうる塩及びエステルは、以下の工程を含む方法により調製することができる:
【0048】
a)式1
【化11】


の化合物を、ヒドロキシルアミン塩酸塩と、適切な溶媒(例えば、エタノール及び水)中で、塩基(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)の存在下で反応させて、式2:
【化12】


の化合物を得る工程、
b)式2の化合物を、塩素化剤(例えば、N−クロロスクシンイミド)と、適切な溶媒(例えば、DMF)中で反応させて、式3:
【化13】


の化合物を得る工程、
【0049】
c)さらに、次に、式3の化合物を、式4:
【化14】


の化合物と反応させて、式5:
【化15】


化合物を得る工程、
【0050】
d)式5の化合物を、加水分解剤(例えば、NaOH又はLiOH)と、適切な溶媒(例えば、THF、MeOH又はEtOH、水)中で反応させて、式6:
【化16】


の化合物を得て、
続いて、式6の化合物を還元剤(例えば、水素化リチウムアルミニウム又はエチルクロロホルマート)と、水素化ホウ素ナトリウムの存在下、適切な溶媒(例えば、THF又は水)中で反応させて、式7:
【化17】


の化合物を得る工程、
【0051】
e)式7の化合物を、酸化剤(例えば、二酸化マンガン又はPCC)と、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中で反応させて、式II:
【化18】


の化合物を得る工程、
【0052】
f)式7の化合物を、塩化チオニルと、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)中で反応させて、式IV:
【化19】


の化合物を得る工程、
【0053】
g)式8:
【化20】


の化合物を、式IIの化合物と、溶媒/試薬(例えば、無水酢酸及び酢酸)の存在下、高温(例えば、120℃)で反応させて、式IA−1:
【化21】


の化合物を得る工程、
【0054】
h)式9:
【化22】


の化合物を、塩基(例えば、ブチルリチウム)と、低温(例えば、<−68℃)で適切な溶媒(例えば、THF)中で、式IVの化合物と反応させて、式IB−1:
【化23】


の化合物を得る工程。
【0055】
スキーム1に基づいて、式Iの化合物を標準的方法に従い調製することができる。
【0056】
【化24】


on=一晩
rt=室温
DMF=N、N−ジメチルホルムアミド
DCM=ジクロロメタン
TBD=1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン
PCC=クロロクロム酸ピリジニウム
【0057】
酸との対応する塩は、当業者に公知の標準的方法、例えば、式Iの化合物を適切な溶媒(例えば、ジオキサン又はTHF等)に溶解し、適切な量の対応する酸を加えることにより得ることができる。生成物は、通常、濾過又はクロマトグラフィーにより単離することができる。式Iの化合物の薬学的に許容されうる塩への塩基を用いての変換は、このような化合物をこのような塩基で処理することにより実施することができる。このような塩を形成する1つの可能な方法は、例えば、1/n当量の塩基性の塩(例えば、M(OH)(ここで、M=金属又はアンモニウムカチオンであり、n=水酸化物アニオンの数である)等)を、適切な溶媒(例えば、エタノール、エタノール−水混合物、テトラヒドロフラン−水混合物)中の化合物の溶液に加え、蒸発又は凍結乾燥によりその溶媒を除去する方法である。
【0058】
式Iの化合物の薬学的に許容されうるエステルへの変換は、例えば、分子内に存在する適切なカルボキシ基を、例えば、縮合試薬(例えば、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムへキサフルオロホスファート(BOP)、N、N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)もしくはO−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N,N−テトラ−メチルウロニウム−テトラフルオロボラート(TPTU))を用いて、適切なアルコールで処理することによってか、又は、酸性の条件下、例えば、塩酸、硫酸等のような強い鉱酸の存在下で、適切なアルコールとの直接反応により、実施することができる。水酸基を有する化合物は、適切な酸を用いて、類似の方法により、エステルに変換することができる。
【0059】
それらの調製が、実施例に記載されていない場合、式Iの化合物並びにあらゆる中間体の生成物は、類似の方法に従って又は上記記載の方法に従って調製することができる。出発物質は市販であるか、当該技術において公知であるか、又は当該技術において公知の方法もしくは類似の方法により調製できる。
【0060】
本発明における一般式Iの化合物は、官能基で誘導体化し、インビボで親化合物に変換し戻すことができる誘導体を提供し得ることが理解されよう。
【0061】
上述したように、本発明の新規な化合物及びそれらの薬学的に使用しうる塩及びエステルは、有益な薬理学的特性を有し、GABA Aα5受容体のリガンドであることが見出された。本発明の化合物は、したがって、単独で又は他の薬剤と組み合わせて、α5サブユニットを含有するGABA A受容体のリガンドで調節される疾患の治療又は予防のために使用することができる。これらの疾患には、急性及び/又は慢性神経性の障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、陽性、陰性及び/又は認知症状に関連する統合失調症、双極性障害、自閉症、ダウン症候群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる認知症、精神障害、物質誘発性精神病性障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性痴呆、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経因性疼痛、脳卒中、注意障害及び認知増強(cognition enhancement)の必要性を含むが限定されない。
【0062】
したがって、本発明はまた、上記定義の化合物及び薬学的に許容されうる担体及び/又は補助剤を含有する医薬組成物にも関する。
【0063】
本発明は、同様に、治療活性物質としての使用のための、特に、GABA Aα5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための、特に急性及び/もしくは慢性神経性の障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/もしくは認知の症状、双極性障害、自閉症、ダウン症候群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる認知症、精神障害、物質誘発性精神病性障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性痴呆、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経因性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のための治療活性物質としての使用のための、あるいは認知増強剤としての使用のための上記の化合物を包含する。
【0064】
もう1つの好適な実施態様において、本発明は、GABA Aα5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための方法、特に、急性及び/もしくは慢性神経性の障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/もしくは認知の症状、双極性障害、自閉症、ダウン症候群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる認知症、精神障害、物質誘発性精神病性障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性痴呆、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経因性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のための方法、あるいは認知増強のための方法に関し、その方法は、上記定義の化合物をヒト又は動物に投与することを含む。
【0065】
本発明はまた、GABA Aα5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための、特に、急性及び/もしくは慢性神経性の障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/もしくは認知の症状、双極性障害、自閉症、ダウン症候群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる認知症、精神障害、物質誘発性精神病性障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性痴呆、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経因性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のための、あるいは認知増強のための、上記定義の化合物の使用をも包含する。
【0066】
本発明はまた、GABA Aα5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための、特に急性及び/もしくは慢性神経性の障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/もしくは認知の症状、双極性障害、自閉症、ダウン症候群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる認知症、精神障害、物質誘発性精神病性障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性痴呆、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経因性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のための医薬の調製のための、あるいは認知増強剤の調製のための、上記の化合物の使用にも関する。このような医薬は、上記の化合物を含む。
【0067】
認知障害、アルツハイマー病、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/もしくは認知の症状、ダウン症候群、及び神経線維腫I型の治療又は予防が好ましい。
【0068】
特に好適であるのは、アルツハイマー病の治療又は予防である。
【0069】
特に好適であるのは、ダウン症候群の治療の治療又は予防である。
【0070】
特に好適であるのは、神経線維腫I型の治療又は予防である。
【0071】
下記に示した試験に従って化合物を調査した:
【0072】
膜調製及び結合アッセイ
GABA A受容体サブタイプでの化合物の親和性は、組成α1β3γ2、α2β3γ2、α3β3γ2、及びα5β3γ2のラット(安定にトランスフェクトした)又はヒト(一時的にトランスフェクトした)受容体を発現するHEK293細胞への[3H]フルマゼニル(85Ci/mmol;Roche)の結合に対する競合により測定した。
【0073】
細胞ペレットは、Krebs−トリス緩衝液(4.8mM KCl、1.2mM CaCl、1.2mM MgCl、120mM NaCl、15mM Tris;pH7.5;結合アッセイ緩衝液)に懸濁して、ポリトロンにより約20秒間氷上でホモジナイズして、4℃で60分間遠心分離(50000g;Sorvall、ローター:SM24=20000rpm)した。細胞ペレットを、Krebs−トリス緩衝液に再懸濁して、ポリトロンにより約15秒間氷上でホモジナイズした。タンパク質を測定(Bradford法、Bio-Rad)し、そして1mLのアリコートを調製して−80℃で貯蔵した。
【0074】
放射リガンド結合アッセイは、細胞膜を100mL、[3H]フルマゼニルをα1、α2、α3サブユニットには1nM、そしてα5サブユニットには0.5nMの濃度で、及び試験化合物を10×10−3〜10−6Mの範囲で含有する、200mLの容量(96ウェルプレート)中で実施した。非特異結合は、10−5Mジアゼパムにより規定され、典型的には総結合の5%未満に相当した。アッセイ試料は、4℃で1時間平衡化するまでインキュベートして、Packard採取器を使用して、氷冷洗浄緩衝液(50mM トリス;pH7.5)で洗浄する濾過により、GF/Cユニフィルター(Packard)上に採取した。乾燥後、フィルター保持放射活性を液体シンチレーション計数により検出した。Ki値は、Excel-Fit(Microsoft)を使用して算出し、2回の測定の平均とした。
【0075】
添付の実施例の化合物は、上述のアッセイで試験して、好ましい化合物は、ラットGABA A受容体のα5サブユニットからの[3H]フルマゼニルの置換について100nM以下のKi値を有することが見出された。最も好ましいものは、Ki(nM)<35の化合物である。好ましい実施態様において、本発明の化合物は、α1、α2及びα3サブユニットと比較してα5サブユニットに対して選択的に結合する。
【0076】
ヒト(h)受容体を発現しているHEK293細胞に対する結合親和性を測定する上記記載のアッセイによって得た代表的な試験結果を、以下の表1に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
式Iの化合物及び薬学的に使用されうる塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし、投与はまた、例えば、坐剤の剤形で直腸内に、又は、例えば、注射液の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0079】
式Iの化合物及び薬学的に使用されうるその塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機の賦形剤と一緒に加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等は、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤のためのそのような賦形剤として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤に適切な賦形剤は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール等である。
【0080】
液剤及びシロップ剤の製造に適切な賦形剤は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコース等である。
【0081】
注射液に適切な賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、植物油等である。
【0082】
坐剤に適切な賦形剤は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体ポリオール等である。
【0083】
さらに、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変えるための塩類、緩衝液、マスキング剤又は抗酸化剤を含有することができる。それらはまた、その他の治療上価値のある物質もさらに含有することができる。
【0084】
投与量は、広い限度内で変更することができ、当然、それぞれの特定の症例ごとに個々の要件に適合されるであろう。一般的に、経口投与の場合、一般式Iの化合物の、1人当たり約0.1〜1000mgの1日投与量が適切であるが、必要であれば上記の上限を超えることもできる。
【0085】
以下の実施例は、本発明を限定することなく例示する。全ての温度は摂氏で示される。
【0086】
実施例A
通常の方法で、以下の組成の錠剤を製造する:
mg/錠剤
活性物質 5
乳糖 45
トウモロコシデンプン 15
微結晶性セルロース 34
ステアリン酸マグネシウム 1
錠剤重量 100
【0087】
実施例B
以下の組成のカプセル剤を製造する:
mg/カプセル
活性物質 10
乳糖 155
トウモロコシデンプン 30
タルク 5
カプセル充填重量 200
【0088】
活性物質、乳糖及びトウモロコシデンプンを、最初にミキサーで、次に、微粉砕機で混合する。混合物をミキサーに戻し、タルクを加えて、十分に混合する。混合物を機械により硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0089】
実施例C
以下の組成の坐剤を製造する:
mg/坐剤
活性物質 15
坐剤用錬剤 1285
合計 1300
【0090】
坐薬用錬剤をガラス又はスチール容器で溶解し、十分に混合し、45℃に冷却する。その後、微粉砕した活性物質をそこに加え、それが完全に分散するまで撹拌する。混合物を適切な大きさの坐剤成形型に注ぎ、放置して冷却し、次に坐剤を成形型から取り外し、パラフィン紙又は金属箔で個別に包む。
【0091】
以下の実施例1〜18は、本発明の例示のため提供される。それらは、本発明の範囲を制限するものと見なされるべきではなく、単に本発明の代表的なものとして見なされるべきである。
【0092】
実施例1
6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル
【化25】

【0093】
a)5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−カルバルデヒド
ジクロロメタン(1L)中の(5−メチル−3−フェニル−4−イソオキサゾリル)メタノール(8.0g、42mmol)の溶液に、酸化マンガン(IV)(81.7g、0.85mol)を加え、得られた混合物を7日間激しく撹拌した。混合物を次に濾過しし、濾液を蒸発させて、標記化合物(7.1g、89%)を明黄色の固体として得た。MS: m/e = 188.2 [M+H]+.
【0094】
b)6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル
無水酢酸(2.5ml)及び酢酸(0.5ml)中の6−メチルニコチン酸メチル(800mg、5、29mmol)の溶液に、5−メチル−3−フェニル−4−イソオキサゾールカルバルデヒド(1.0g、5.34mmol)を加え、反応混合物を120℃に温めた。この温度で8日間後、反応混合物を室温に冷まし、次に水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次に乾燥させ、濾過し、濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン:酢酸エチル=100:0〜1:1)により精製して、標記化合物(920mg、54%)をオフホワイトの固体として得た。MS:m/e = 321.0 [M+H]+.
【0095】
実施例2
N−イソプロピル−6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチンアミド
【化26】


トリメチルアルミニウム(トルエン中 2M、1.25ml、2.0mmol)の溶液を、ジオキサン(6ml)中のイソプロピルアミン(210μL 2.0mmol)の溶液に滴下(発熱をともなった)し、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。次に、6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(200mg、0.62mmol)を加えた。得られた混合物を、次に90℃で2時間加熱し、次に室温に冷まし、次に水に注ぎ、酢酸エチルで抽出して、これを次にブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させた。クロマトグラフィー(SiO、ヘプタン:酢酸エチル=100:0〜1:4)により精製して、ジイソプロピルエーテル/酢酸エチルからトリチュレーションした後、標記化合物(170mg、78%)を白色の固体として得た。MS: m/e = 348.3 [M+H]+.
【0096】
実施例3
6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−ニコチンアミド
【化27】


6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステルの代わりに6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(200mg、0.62mmol)及びイソプロピルアミンの代わりに4−アミノテトラヒドロピランを、実施例2に記載したように変換し、標記化合物(188mg、77%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜95:5)により精製した後、白色の固体として得た。MS:m/e = 390.4 [M+H]+.
【0097】
実施例4
N−(2−ヒドロキシ−エチル)−6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチンアミド
【化28】


トルエン(0.5ml)中の6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(200mg、0.62mmol)の撹拌した溶液に、エタノールアミン(46mg、0.75mmol)及びTBD(26mg、0.10mmol)を加え、次に反応混合物を35℃に温めた。3時間後、反応混合物を濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール100:0〜93:7)により精製して、標記化合物(155mg、71%)を、ヘキサン/酢酸エチルでのトリチュレーション後に白色の固体として得た。MS:m/e = 350.4 [M+H]+.
【0098】
実施例5
N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチンアミド
【化29】


6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(200mg、0.62mmol)を、エタノールアミンの代わりにDL−2−アミノ−1−プロパノールを用いて、実施例4に記載したように変換、標記化合物(170mg、75%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜93:7)により精製した後、白色の固体として得た。MS: m/e = 364.4 [M+H]+.
【0099】
実施例6
6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸
【化30】


THF(1.5ml)及びメタノール(0.5ml)中の6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(150mg、0.47mmol)の懸濁液に、水(1.5ml)中の水酸化リチウム一水和物(39.2mg、0.94mmol)の溶液を加え、得られた混合物を室温で1時間撹拌した。混合物をHCl(1N)でpH4に酸性化し、0℃に冷却した。沈殿物を濾別し、乾燥させて、標記化合物(134mg、93%)を白色の固体として得た。MS: m/e = 305.4 [M-H]-.
【0100】
実施例7
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル
【化31】

【0101】
a)3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−カルボン酸エチルエステル
クロロホルム(250ml)中のN−クロロスクシンイミド(16.1g、121mmol)の懸濁液に、室温でピリジン(0.95g、12.0mmol)を加え、次にクロロホルム(250ml)中のペンタナールオキシム(12.2g、121mmol)溶液を20分かけて滴下した。反応混合物を50℃で2時間撹拌し、次に室温に冷まし、クロロホルム(120ml)中の(E)−3−(1−ピロリジノ)−2−ブテン酸エチル(22.1g、121mmol)の溶液を滴下した。反応混合物を50℃に温め、クロロホルム(120ml)中のトリエチルアミン(12.2g、121mmol)の溶液を滴下した。15時間後、反応混合物を冷却し、水で、次にクエン酸(10%w/w水溶液)で抽出した。合わせた水相をジクロロメタンで抽出し、次に合わせた有機相を乾燥させ、濾過し、濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン:酢酸エチル=100:0〜9:1)により精製して、標記化合物(10.9g、43%)を淡黄色の液体として得た。MS: m/e = 232.2 [M+H]+.
【0102】
b)(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−メタノール
THF(100ml)中の3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−カルボン酸エチルエステル(9.8g、46.3mmol)の撹拌した溶液に、アルゴン下、0℃で、水素化アルミニウムリチウム(2.03g、53.4mmol)を5回に分けて加えた。1時間後、反応混合物をセニエット塩溶液での滴下によりクエンチした。反応混合物を濾過し、濾液を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をセニエット塩溶液で洗浄し、次に乾燥させ、濾過し、濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン:酢酸エチル=100:0〜4:6)により精製して、標記化合物(7.5g、95%)を黄色の液体として得た。MS: m/e = 170.3 [M+H]+.
【0103】
c)3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−カルバルデヒド
DCM(60ml)中のPCC(4.96g、23mmol)及び無水硫酸マグネシウム(7.40g、61mmol)の撹拌した溶液に、DCM(60ml)中の(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−メタノール(2.6g、15mmol)の溶液を室温及びアルゴン下で加えた。3時間後、反応混合物をエーテル(100ml)で希釈し、シリカのベッドを通して濾過し、濾液を濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ ヘプタン:酢酸エチル=100:0〜1:1)により精製して、標記化合物(2.15g、84%)を無色の液体として得た。MS: m/e = 170.3 [M+H]+.
【0104】
d)6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル
5−メチル−3−フェニル−4−イソオキサゾールカルバルデヒドの代わりに3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−カルバルデヒド(1.0g、6.0mmol)を、1bに記載したように変換し、標記化合物(760mg、43%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール100:0〜97.5:2.5)により精製した後、明褐色の固体として得た。MS: m/e = 170.3 [M+H]+.
【0105】
実施例8
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−イソプロピル−ニコチンアミド
【化32】


6−[2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−ニコチン酸メチルエステルの代わりに、6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(80mg、0.21mmol)を、実施例2に記載したように変換し、標記化合物(44mg、63%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜95:5)により精製した後、明黄色の油状物として得た。MS: m/e = 328.4 [M+H]+.
【0106】
実施例9
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−ニコチンアミド
【化33】


6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(200mg、0.57mmol)、及びイソプロピルアミンの代わりにテトラヒドロフラン−3−アミンを、実施例8に記載したように変換し、標記化合物(140mg、70%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜94:6)により精製した後、明赤色の固体として得た。MS:m/e = 328.4 [M+H]+.
【0107】
実施例10
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド
【化34】


6−[2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−ニコチン酸メチルエステルの代わりに6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(100mg、0.28mmol)、及びエタノールアミンの代わりにDL−2−アミノ−1−プロパノールを、実施例4に記載したように変換し、標記化合物(85mg、87%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜94:6)により精製した後、明黄色の油状物として得た。MS:m/e = 364.4 [M+H]+.
【0108】
実施例11
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−ニコチンアミド
【化35】


6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(100mg、0.28mmol)及びDL−2−アミノ−1−プロパノールの代わりに1−アミノ−2−メチル−プロパン−2−オールを、実施例10で記載したように変換し、標記化合物(7.5mg、7%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜94:6)により精製した後、無色の固体として得た。MS: m/e = 364.4 [M+H]+.
【0109】
実施例12
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−ニコチンアミド
【化36】


6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(100mg、0.28mmol)、及びテトラヒドロフラン−3−アミンの代わりに4−アミノテトラヒドロピランを、実施例9に記載したように変換し、標記化合物(56mg、46%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜96.5:3.5)により精製し、イソプロピルエーテルでトリチュレーションした後、白色の固体として得た。MS:m/e = 328.4 [M+H]+.
【0110】
実施例13
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド
【化37】


6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(100mg、0.28mmol)及びDL−2−アミノ−1−プロパノールの代わりにD−2−アミノ−1−プロパノールを、実施例10で記載したように変換し、標記化合物(36mg、31%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜96.5:3.5)により精製した後、無色の油状物として得た。MS:m/e = 364.4 [M+H]+.
【0111】
実施例14
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド
【化38】


6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(100mg、0.28mmol)、及びDL−2−アミノ−1−プロパノールの代わりにL−2−アミノ−1−プロパノールを、実施例10で記載したように変換し、標記化合物(41mg、36%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜96.5:3.5)より精製した後、無色の油状物として得た。MS:m/e = 364.4 [M+H]+.
【0112】
実施例15
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル)−ニコチンアミド
【化39】


6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル(150mg、0.50mmol)、及びDL−2−アミノ−1−プロパノールの代わりに2−アミノ−1,3−プロパノールを、実施例10で記載したように変換し、標記化合物(26mg、14%)をクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜95:5)により精製した後、黄色の固体として得た。MS:m/e = 364.4 [M+H]+.
【0113】
実施例16
N−イソプロピル−6−[2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−ニコチンアミド
【化40】

【0114】
a)6−[2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−ニコチン酸
n−ブチルリチウム溶液を、THF(3ml)中の6−メチルニコチン酸(137mg、1.0mmol)の撹拌した懸濁液に、−74℃で30分かけて滴下した。1時間後、THF(3ml)中の4−クロロメチル−5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール(208mg、1.0mmol)の溶液を、温度が−68℃を超えないように滴下した。反応混合物を、−74℃で1時間撹拌し、次にHCl(1N、10ml)を加え、反応混合物を室温に温め、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ、濾過し、濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン:酢酸エチル=100:0〜9:1)により精製して、標記化合物(20mg、6%)を明黄色の油状物として得た。MS: m/e = 168.3 [M+H]+.
【0115】
b)N−イソプロピル−6−[2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−ニコチンアミド
トリメチルアルミニウム(トルエン中 2M、0.32ml、0.65mmol)の溶液を、ジオキサン(1.5ml)中のイソプロピルアミン(38mg、0.65mmol)の溶液に、アルゴン下、室温で滴下した。1時間後、ジオキサン(1.5ml)中の6−[2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−ニコチン酸(50mg、0.16mmol)の溶液を加え、反応混合物を90℃に温めた。15時間後、反応混合物を冷却し、注意深くセニエット塩溶液(0.5ml)で希釈した。混合物を濾過し、フィルターケークをジクロロメタンで洗浄し、次に合わせた濾液を濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール100:0〜96:4)により精製して、標記化合物(45mg、79%)を明黄色の油状物として得た。MS: m/e = 350.5 [M+H]+.
【0116】
実施例17
6−[2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド
【化41】


エタノール(5ml)中の6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド(実施例10、32mg、0.093mmol)及び10%パラジウム担持炭(5mg)の撹拌混合物を、水素雰囲気下で2時間振とうした。反応混合物を濾過し、濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜9:1)により精製して、標記化合物(20mg、63%)を、無色の油状物として得た。MS: m/e = 364.4 [M+H]+.
【0117】
実施例18
6−[2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−N−(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−ニコチンアミド
【化42】


エタノール(5ml)中の6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−ニコチンアミド(31mg、0.087mmol)及び10%パラジウム担持炭(5mg)の撹拌混合物を、水素雰囲気下で3時間振とうした。反応混合物を濾過し、濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン:メタノール 100:0〜9:1)により精製して、標記化合物(17mg、55%)を無色の油状物として得た。MS: m/e = 328.4 [M+H]+.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化43】


[式中、
Lは、−CH−CH−又は−CH=CH−であり;
は、低級−アルキル又はアリールであり、
(ここで、低級−アルキルは、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、低級−アルコキシ及びフルオロ−低級−アルコキシからなる群より独立して選択される、1〜4個の置換基で場合により置換され;
そして、ここで、アリールは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、低級−アルキル、フルオロ−低級−アルキル、シアノ−低級−アルキル、ヒドロキシ−低級−アルキル、低級−アルキル−C(O)OH、低級−アルキル−C(O)O−低級−アルキル、低級−アルキル−CO−NH、低級−アルキル−CO−N(H,低級−アルキル)、低級−アルキル−CO−N(低級−アルキル)、低級−アルキル−N(H,低級−アルキル)、低級−アルキル−N(低級−アルキル)、低級−アルコキシ−低級−アルキル、CO−低級−アルキル、COOH、COO−低級−アルキル、CONH、CON(H,低級−アルキル)、CON(低級−アルキル)、NH、N(H,低級−アルキル)、N(低級−アルキル)、低級−アルコキシ、フルオロ−低級−アルコキシ、SO−低級−アルキル、SO−NH、SO−N(H,低級−アルキル)、SO−N(低級−アルキル)、シクロアルキル、フェニルオキシ及びフェニルからなる群より独立して選択される、1〜4個の置換基で場合により置換されうる);
は、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、低級−アルコキシ及びフルオロ−低級−アルコキシからなる群より独立して選択される1〜4個の置換基で場合により置換されうる低級−アルキルであり;
は、−O−R又はN(R,R)であり;
は、水素又は低級−アルキルであり;
は、水素又は低級−アルキルであり;
は、低級−アルキル、ヒドロキシ−低級−アルキル又はヘテロシクリルであるか、
又はここで、R及びRは、一緒に結合して、それらが結合している窒素原子と共にヘテロシクリルを形成する]の化合物、並びにその薬学的に許容されうる塩及びエステル。
【請求項2】
Lが−CH=CH−である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Lが−CH−CH−である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がアリール又は低級−アルキルである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
が低級−アルキルである、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
がn−ブチルである、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
が低級−アルキルである、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
がメチルである、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
がN(R,R)である、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
が水素又はメチルである、請求項1〜9のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
が水素である、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
が低級−アルキル、ヒドロキシ−低級−アルキル又はヘテロシクリルである、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
がヒドロキシ−低級−アルキル又はヘテロシクリルである、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項14】
が2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル又はテトラヒドロ−フラン−3−イルである、請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
化合物が、以下からなる群より選択される、請求項1〜14のいずれか一項記載の化合物:
6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル、
N−イソプロピル−6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−ニコチンアミド、
N−(2−ヒドロキシ−エチル)−6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチンアミド、
N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−ニコチン酸メチルエステル、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−イソプロピル−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル)−ニコチンアミド、
N−イソプロピル−6−[2−(5−メチル−3−フェニル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−ニコチンアミド、
6−[2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミド、及び
6−[2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−エチル]−N−(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−ニコチンアミド、
並びにその薬学的に許容されうる塩及びエステル。
【請求項16】
化合物が、
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−ニコチンアミド、及び
6−[(E)−2−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−ビニル]−N−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ニコチンアミドからなる群より選択される請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物、並びにその薬学的に許容されうる塩及びエステル。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に定義された式Iの化合物に包含される式IA及びIBの化合物の調製方法であって、
a)式II:
【化44】


の化合物を、式III:
【化45】


の化合物と反応させて、式IA:
【化46】


の化合物とする工程、又は
b)式IV:
【化47】


の化合物を、式III:
【化48】


の化合物と反応させて、式IB:
【化49】


の化合物とする工程、又は
c)式IA:
【化50】


の化合物を水素化して、式IB:
【化51】


の化合物とする工程(式中、R、R及びRは、上記定義のとおりである)を含む方法。
【請求項18】
請求項17の方法により得ることができる、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれか一項記載の式Iの化合物並びに薬学的に許容されうる担体及び/又は補助剤を含む、医薬組成物。
【請求項20】
治療活性物質としての使用のための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項21】
GABA Aα5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための治療活性物質としての使用のための請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項22】
GABAAα5受容体に関連する疾患、特に、急性及び/もしくは慢性神経性の障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/もしくは認知の症状、双極性障害、自閉症、ダウン症候群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる認知症、精神障害、物質誘発性精神病性障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性痴呆、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経因性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防のための、あるいは認知増強のための方法であって、その方法が、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物をヒト又は動物に投与することを含む方法。
【請求項23】
GABA Aα5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための医薬の調製のための請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項24】
急性及び/もしくは慢性神経性の障害、認知障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/もしくは認知の症状、双極性障害、自閉症、ダウン症候群、神経線維腫I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる認知症、精神障害、物質誘発性精神病性障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認知欠陥障害、多発梗塞性痴呆、気分障害、鬱病、神経精神病症状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経因性疼痛、脳卒中及び注意障害の治療又は予防に有用な医薬の調製のための、あるいは認知増強剤の調製のための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項25】
上記記載の本発明。

【公表番号】特表2012−518621(P2012−518621A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550597(P2011−550597)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052224
【国際公開番号】WO2010/097368
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】