説明

エッジ材

【課題】化粧板の木口部の幅に合わせて幅を調整可能なエッジ材を提供することである。
【解決手段】エッジ材1は、エッジ材本体2と表皮部3を有しており、表皮部3の上にエッジ材本体2が積層されている。表皮部3は、エッジ材本体2と重複している固定部3aと、エッジ材本体2の長手側面2cから延びる可動部3bを有している。可動部3bは、固定部3aと可動部3bとの境界であるエッジ材本体2の長手側面2c又は長手側面2cの近傍で折り曲げ可能である。可動部3bはエッジ材本体2の表面2aを被覆できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジ材に関し、さらに詳細には、化粧板の木口部に貼付されるエッジ材に関する。
【背景技術】
【0002】
製品表面に化粧フィルムを有した化粧板は、室内用扉や天板、棚板等に用いられている。室内用扉等においては、製品端面の木口部にエッジ材等が貼付されていることが多い。エッジ材は、いわゆる仕上げ部材であり、木口部に意匠性を持たせることができ、さらに保護部材として木口部に傷がつくことを防止できる。
【0003】
市販のエッジ材は、木質材料や合成樹脂等、様々な材料で作られており、所定の幅と厚みを有したものが複数存在している。そのため、利用者は、複数のエッジ材の中から、必要なものを選択できる。しかし、規格化されたエッジ材は、2次加工を行うと見栄えが悪くなってしまう恐れがある。
【0004】
例えば、木質材料製のエッジ材において、木口部の幅よりもエッジ材の幅の方が広い場合、木口部からエッジ材が外側にはみ出してしまう。そのため、はみ出した分のエッジ材を切断し、切断箇所を研磨すると、エッジ材全体と切断箇所とで色合いが相違し、不細工な仕上がりになることがあった。そのため、一般的に、化粧板等の規定の幅と同一か或いは短くなるように、エッジ材の幅の寸法公差をマイナス側に設定して製造することで、はみ出しが防止されている。
【0005】
一方、木口部の幅よりもエッジ材の幅の方が明らかに狭い場合、エッジ材の長さが足りないため、仕上げ処理のされていない木口部の一部が見えてしまい、製品の木口部の見栄えが悪くなるということがあった。特許文献1には、エッジ材の幅を調整することが可能なドアパネルが開示されている。特許文献1に記載のドアパネルでは、ドアパネルの両面に貼付された表面板が、木口部にまで延びて外側に折り返され、折り返された表面板の両端部にC字状のエッジ材が係合されている。つまり、エッジ材は、木口部の幅に合うように、折り曲げる量を調整可能である。そのため、特許文献1に記載のエッジ材を用いることで、木口部の一部が見えることがなく、ドアパネルを見栄え良く仕上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−269284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載のドアパネルでは、ドアパネルの両面に貼付された表面板が、木口部にまで延びている必要がある。そのため、例えば、表面板がドアパネルの両面の端部で処理されたドアパネルには、特許文献1に記載の略C字状のエッジ材は用いることができない。
【0008】
そこで、本発明は、化粧板の木口部の幅に合わせて幅を調整可能なエッジ材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、化粧板の木口部に貼付されるエッジ材であって、板状且つ長尺状のエッジ材本体と、エッジ材本体の長手側面から延びるシート状の表皮部を有し、表皮部は、エッジ材本体との境界又はその近傍で折り曲げ可能であり、表皮部はエッジ材本体の表面全体を被覆可能であることを特徴とするエッジ材である。尚、表皮部はエッジ材本体の長手側面から延びるシート状のものであるが、特に限定的に解釈されるものでなく、エッジ材本体の表面全体を被覆可能であれば良いものである。
【0010】
本発明で採用するエッジ材は、一部が変形可能な組み立て式の部材であり、全体の幅を調整可能な調整シロを有している。
【0011】
詳述すると、「組み立て式」とは、エッジ材本体の長手側面から延びるシート状の表皮部で、エッジ材本体の表面全体を被覆して用いることを表している。
【0012】
また、「調整シロ」とは、エッジ材本体と表皮部との間に形成される一定の隙間を指している。当該隙間とエッジ材本体の両方を合わせたものが、エッジ材全体の幅となる。隙間の大きさは、エッジ材本体の長手側面から延びる表皮部を、エッジ材本体との境界又はその近傍のどの辺りで折り曲げるかによって決まる。例えば、本発明のエッジ材よりも化粧板の木口部の幅の方が小さい場合、表皮部をエッジ材本体との境界又はその近傍で折り曲げ、当該隙間を無くすか又は当該隙間を小さくすることで、エッジ材全体の幅を木口部の幅と同一に調整することが可能である。なお、本発明のエッジ材を用いた際には、調整シロである当該隙間に合成樹脂等を充填して仕上げることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエッジ材によれば、化粧板の木口部の幅に合わせて幅を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るエッジ材を示す斜視図であり、(a)は表面側、(b)は裏面側である。
【図2】図1のエッジ材を示す正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るエッジ材を化粧板の木口部に貼着する方法を示す正面図であり、(a)はエッジ材が木口部に貼着された状態、(b)は表皮材で芯材が覆われた状態、(c)は表皮材同士に生じた空洞に合成樹脂が充填された状態である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のエッジ材の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0016】
本発明の実施形態に係るエッジ材1は、後述する化粧板10の木口部11に意匠性を持たせると共に、木口部11を保護するための組み立て式の部材である。図1(a),(b)に示すように、エッジ材1は、エッジ材本体2と表皮部3を有しており、表皮部3の上にエッジ材本体2が積層されている。
【0017】
エッジ材本体2は、合成樹脂で形成された長尺状の板部材である。図2に示すように、エッジ材本体2の表面2aにおいて、長手側面2b,2cの角近傍は、トリミングされており、それぞれ丸みを有している。
【0018】
エッジ材本体2の幅W1は、後述する表皮部3の固定部3aの幅W2と同じである。また、エッジ材本体2の厚みD1は、後述する表皮部3の厚みD2の約1.5倍以上であることが好ましい。
【0019】
表皮部3は、合成樹脂で形成された薄いシート状の部材であり、例えば加飾されたシートで形成されている。図1(a),(b)に示すように、表皮部3は、エッジ材本体2と重複している固定部3aと、エッジ材本体2の長手側面2cから延びる可動部3bとに区分されている。つまり、エッジ材本体2の長手側面2cが、固定部3aと可動部3bとの境界である。尚、表皮部3とエッジ材本体2は合成樹脂で一体に形成されても良いものである。
【0020】
表皮部3の天面3cにおいて、固定部3aの上には、エッジ材本体2が位置している。表皮部3の底面3dにおいて、区分された可動部3bの意匠面3eは、合成樹脂等で加飾されている。意匠面3eが加飾されている場合はエッジ材本体2の多少の色違いを目立たなくすることができるものである。
【0021】
また、図2に示すように、可動部3bの幅W3は、固定部3aの幅W2よりも十分に大きい。なお、固定部3aの幅W2と可動部3bの幅W3を足した表皮部3全体の幅W4は、エッジ材本体2の幅W1よりも大きい。
【0022】
つぎに、本発明の実施形態に係るエッジ材1を化粧板10の木口部11に貼着する方法について、図3(a)〜(c)を用いて説明する。
【0023】
図3(a)は、エッジ材1が化粧板10の木口部11に貼着された状態を示している。詳述すると、エッジ材1は、表皮部3を底面として、木口部11に接着性樹脂等で貼着されている。表皮部3の固定部3aは木口部11に当接しており、可動部3bの大部分は木口部11の外側へ突出している。なお、この時、可動部3bの意匠面3eは、下側を向いている。
【0024】
一方、エッジ材本体2の角部2b側の端部は、木口部11の端部に揃えられている。前述の通り、エッジ材本体2の幅W1は、木口部11の幅W5よりも小さい。そのため、木口部11において、エッジ材本体2の長手側面2c側に、エッジ材本体2の幅が足りない帯状部Aが生じている。
【0025】
図3(b)は、表皮部3でエッジ材本体2が覆われた状態を示している。詳述すると、木口部11の帯状部Aにおいて、可動部3bは折り返されており、折り返された可動部3b同士の間に、隙間Bが生じている。なお、帯状部Aは、固定部3aと可動部3bとの境界であるエッジ材本体2の長手側面2cの近傍である。
【0026】
折り返された可動部3bの天面3cは下向きとなり、エッジ材本体2の表面2aに接着性樹脂等で貼着されている。また、可動部3bの端部は、エッジ材本体2の長手側面2bに接着性樹脂等で貼着されている。つまり、木口部11の帯状部A及びエッジ材本体2の表面2aが、可動部3bで被覆されている。すなわち、可動部3bは、エッジ材本体2と表皮部3との間に隙間Bを形成しながら、エッジ材本体2の表面2aを被覆している。
【0027】
この状態において、エッジ材1の全体の幅は、木口部11の幅W5と同一である。また、可動部3bが折り返されていることで、天面3cは下向きとなり、合成樹脂等で加飾された意匠面3eが上側を向いている。すなわち、エッジ材1が、意匠面3eを上側として、木口部11の幅W5と同一の幅に合わされて完成している。
【0028】
図3(c)は、表皮部3同士の間に生じた隙間Bに合成樹脂20が充填された状態を示している。隙間Bに充填された合成樹脂20は、エッジ材本体2と同一の高さに仕上げられている。
【0029】
以上の通り、本発明の実施形態に係るエッジ材1において、図3(a)〜(c)に示した手順でエッジ材1を化粧板10の木口部11に貼着することで、木口部11の幅W5に合わせて、エッジ材1の幅を調整することができた。
【0030】
上記実施形態において、エッジ材本体と表皮部とを別々の構成としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、エッジ材本体と表皮部とが一体的に成形されたものを用いても構わない。
【符号の説明】
【0031】
1 エッジ材
2 エッジ材本体
2a 表面
2c 長手側面
3 表皮部
10 化粧板
11 木口部
B 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧板の木口部に貼付されるエッジ材であって、板状且つ長尺状のエッジ材本体と、エッジ材本体の長手側面から延びるシート状の表皮部を有し、表皮部は、エッジ材本体との境界又はその近傍で折り曲げ可能であり、表皮部はエッジ材本体の表面全体を被覆可能であることを特徴とするエッジ材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−67125(P2013−67125A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208421(P2011−208421)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】