説明

エネルギー貯蔵装置および関連する方法

【課題】正電極が、最大充電サイクル時でも完全に満たされたままであるように正電極と作動連通しているリザーバを含むエネルギー貯蔵装置を提供する。
【解決手段】エネルギー貯蔵装置10はイオン伝導性部材14およびイオン伝導性部材14内に同軸に受け入れられた電流コレクタ部材16を同軸式に中に受け入れるハウジング12を含む。この装置では、第1の領域18が、ハウジング12とイオン伝導性部材14の間の空間内に設けられ、第2の領域20が、イオン伝導性部材14と電流コレクタ部材16の間の空間内に設けられる。電流コレクタ部材16の内部は、装置の充電中第2の領域20内に生成された隙間空間の容積に少なくとも等しい特定の体積を有するリザーバ22を画定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵装置に関する実施形態を含む。より詳細には、本発明は、正電極が、最大充電時でも完全に満たされるエネルギー貯蔵装置に関する実施形態を含む。
【背景技術】
【0002】
溶融ナトリウムアノードおよびベータ−アルミナ固体電解質を有する金属塩化物電池が、エネルギー貯蔵用途に使用されている。このエネルギー貯蔵用途は、金属塩化物電池のエネルギー密度が高く、サイクル寿命が長いことにより自動車用途を含むことができる。そのようなエネルギー貯蔵装置は、ナトリウムイオン伝導性のセラミックベータ−アルミナ構造または材料によって正(カソード)電極から分離されたナトリウム負(アノード)電極を含む。正電極およびベータ−アルミナ内の反応部位間でナトリウムイオンを移送するために、二次電解質、たとえば溶融塩テトラクロロアルミン酸ナトリウムが正電極内に存在する。従来のセル設計は、正電極が中に配設されたベータ−アルミナのチューブを含むことができる。
【0003】
従来のセル設計では、ベータ−アルミナチューブは、正電極材料でチューブの頂部近くまで充填される。充電プロセス中、負電極は、カソードから流れる大量のナトリウムで充填され、正電極内には、その質量の損失に対応する空間または体積が生成される。このため、正電極は、最大充電時、完全に満たされているとは言えない結果になる恐れがある。その結果、特定のセル特性に関してパフォーマンスパラメータが最善ではないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0104570号明細書
【発明の概要】
【0005】
したがって、現在利用可能な設計とは異なるエネルギーセル設計を有することが望ましくなり得る。
【0006】
本発明の1つの態様によれば、正電極が、最大充電サイクル時でも完全に満たされたままであるように正電極と作動連通しているリザーバを含むエネルギー貯蔵装置が、提供される。装置は、より具体的には、第1の領域を画定する内側を向く表面を有するハウジングと、第1の領域内に配設され、第1の領域内に配置された第2の領域を画定する内側を向く表面を有するイオン伝導性部材と、第2の領域の一部分であり、第2の領域の残りの部分と作動連通しているリザーバ領域とを含む。エネルギー貯蔵装置は、複数の作動状態を有し、完全に放電された作動状態では、リザーバ領域は、装置が完全に充電された作動状態にあるときの第2の領域内の隙間空間の体積と少なくとも等しい体積を画定する。
【0007】
1つの実施形態では、装置は、カソード、アノード、およびリザーバを備え、カソードおよびアノードは、イオン伝導性セパレータによって分離されており、カソードおよびリザーバは、電流コレクタによって分離されており、さらに、放電された状態では、カソードは、遷移金属ハロゲン化物、アルカリ金属電解質およびアルカリ金属−アルミニウム−ハロゲン溶融塩電解質を含む活性電極材料を含有し、リザーバは、同じ溶融塩電解質を含有する。
【0008】
1つの実施形態によれば、イオン伝導性部材は、第1の領域と第2の領域の間でイオンを伝達するための通路をもたらすことができる、たとえばベータ−アルミナセパレータであるセパレータであり、第2の領域内に配設された、たとえば中空のニッケルチューブである電流コレクタは、リザーバ領域を画定する。1つの実施形態では、ハウジングは、イオン伝導性部材を同心および同軸で受け入れ、イオン伝導性部材は、電流コレクタを同心および同軸で受け入れる。別の実施形態では、ハウジング、イオン伝導性部材、および電流コレクタの少なくとも1つは、円筒状であり、一部の実施形態では、これらは、各々円筒状であり、円形断面をもたらしている。別の実施形態では、電流コレクタは連続壁を有し、すなわちポアまたは他の空隙を有さず、上側端部において封止されている。
【0009】
1つの実施形態では、中央リザーバを含むエネルギー貯蔵装置であって、同心および同軸の関係で、外部から内部にかけて、ハウジングと、ハウジングとの間に第1の領域が存在するようにハウジング内に配設されたベータ−アルミナチューブと、ベータ−アルミナチューブとの間に第2の領域が存在するようにベータ−アルミナチューブ内に配設された中空のニッケルチューブと、第2の領域と作動連通している中央リザーバを画定する中空のニッケルチューブ内に存在する第3の領域とを備える装置が提供される。ベータ−アルミナチューブは、約30ミリメートルから約65ミリメートルの範囲内の直径と、約200ミリメートルから約500ミリメートルの範囲内の軸方向長さと、約140立方センチメートルから1658立法センチメートルの体積とを有することができ、中空のニッケルチューブは、約10ミリメートルから約35ミリメートルの直径と、約200ミリメートルから約500ミリメートルの軸方向長さと、約16立方センチメートルから約480立方センチメートルの体積とを有することができる。1つの実施形態では、第2の領域は、約13ミリメートルの幅を有することができる。
【0010】
特定の実施形態では、電流コレクタは、第2の領域内に含まれた材料がリザーバ内に入ることを防止することができる。しかし、リザーバは第2の領域と連通しており、それにより、充電中、第2の領域内に含まれた材料の消耗に応答して、リザーバからの材料が、第2の領域内に選択的に毛細管作用によって浸出する。このようにして、第2の領域は、材料がリザーバから第2の領域内に毛細管作用によって浸出することにより、作動中、完全に満たされた状態を維持する。
【0011】
一部の実施形態では、リザーバ領域は溶融塩電解質を含有し、複数の作動状態は、部分的に充電される作動状態を含み、所与の作動状態では、リザーバ領域は、溶融塩電解質が相応に部分的に満ちている。
【0012】
1つの実施形態では、リザーバ領域は多孔質膜材料を含み、そのような多孔質膜は、電流コレクタ内の二等分する膜として、または電流コレクタの長手方向軸周りに配置された径方向のフィンとして配設されている。
【0013】
本発明の一態様によれば、エネルギー貯蔵装置が提供され、この装置は、ベータ−アルミナセパレータチューブが同心および同軸に中に配設されたハウジングを含み、中空のニッケル電流コレクタチューブが、ベータ−アルミナチューブ内に同心および同軸に配設されており、中空のニッケルチューブは、リザーバを画定し、ベータ−アルミナチューブと中空のニッケルチューブの間の領域内に位置する正電極と作動連通している。
【0014】
本発明の一態様によれば、エネルギー貯蔵装置の作動中、完全に満たされた正電極を維持するための方法であって、負電極の近位にある第1の最も外側の領域と、中央リザーバ領域と、第1の領域とリザーバ領域の間、かつ正電極の近位に配設された第2の領域とを有する装置を提供することと、イオン物質を第2の領域から第1の領域に流し、それによって第2の領域内に隙間空間を生成することと、隙間空間の生成に応答して溶融塩をリザーバ領域から第2の領域内に流し、それによってエネルギー貯蔵装置の作動中、完全に満たされた正電極を維持することとを含む方法が提供される。
【0015】
1つの実施形態では、方法は、イオン物質を第1の領域から第2の領域に流すことをさらに含む。別の実施形態では、溶融塩は、リザーバ領域から第2の領域に流れ、溶融塩は、クロロアルミン酸ナトリウムを含む。
【0016】
本発明の一態様によれば、中央リザーバを有するエネルギー貯蔵装置であって、ハウジングと、ハウジングとの間に第1の領域が存在するようにハウジング内に同心および同軸に配設されたベータ−アルミナチューブであって、約60ミリメートルの直径および約300ミリメートルの軸方向長さを有するベータ−アルミナチューブと、ベータ−アルミナチューブとの間に第2の領域が存在するようにベータ−アルミナチューブ内に同心および同軸に配設された中空のニッケルチューブと、リザーバを画定する中空のニッケルチューブ内に存在する第3の領域とを含み、中空のニッケルチューブは、約30ミリメートルの直径および約270ミリメートルの軸方向長さを有し、溶融塩を含浸させた活性電極材料が、約13ミリメートルの径方向幅を有する第2の領域内に配設され、溶融塩をリザーバ内にさらに配設し、リザーバは第2の領域と作動連通している、装置が提供される。
【0017】
本発明のこれらおよび他の特徴および態様は、添付の図を参照してより良好に理解されることになり、図では、同じ記号は同じ部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態によるエネルギー貯蔵装置の軸方向長さに沿った断面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿った装置の断面図である。
【図3A】本発明の実施形態による、ある充電段階におけるエネルギー貯蔵装置の断面図である。
【図3B】本発明の実施形態による、別の充電段階におけるエネルギー貯蔵装置の断面図である。
【図3C】本発明の実施形態による、別の充電段階におけるエネルギー貯蔵装置の断面図である。
【図4A】本発明の実施形態による、中空のニッケルチューブ電流コレクタの断面図である。
【図4B】本発明の一実施形態による、中空のニッケルチューブ電流コレクタの断面図である。
【図5】本発明によるセルに対する従来のセルの充電パフォーマンスを比較するグラフである。
【図6】本発明によるセルに対する従来のセルの放電パフォーマンスを比較するグラフである。
【図7】本発明によるセルに対する従来のセルの放電パフォーマンスを比較するグラフである。
【図8】本発明によるセルに対する従来のセルにおいて、amp時の関数とする充電時間を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、新規のエネルギー貯蔵装置に関する実施形態を含む。一部の実施形態は、装置の正電極と作動連通しており、かつ正電極を完全に満たされた状態に維持するために、装置の充電中、正電極内に毛細管作用によって浸出する溶融塩を含む中央リザーバを有するエネルギー貯蔵装置に関する。本発明は、エネルギー貯蔵装置の使用および作製の方法に関する実施形態を含む。
【0020】
本明細書では、「装置」および「セル」は交換可能に使用されることがある。用語「リザーバ」は、本明細書では、一部の実施形態では、中空のニッケルチューブ、多孔質膜またはそれらの組合せである電流コレクタ内の領域を示すために使用される。用語「アニュラス」および「第2の領域」は、セパレータ/ベータ−アルミナチューブと電流コレクタ/中空のニッケルチューブの間の径方向の空間を示すために交換可能に使用されてよい。「活性電極材料」および「正電極材料」は、第2の領域内に配設された材料を示すために交換可能に使用されてよい。「領域」は、本明細書では装置のさまざまな部材の記載された関係にしたがって装置内にある区域を画定するために使用される。「完全に満たされる」は、本明細書では、材料を含む領域が、その最大容量まで満ちている、またはほぼ満ちている状態を示すために使用される。「作動連通」は、1つの領域内に配設された材料が、境界を越えて別の領域内に入ることができることを意味する。
【0021】
本発明の1つの態様によれば、最大充電サイクル時でも、また複数の充電/放電サイクル後であっても正電極が完全に満たされたままであるように正電極と作動連通しているリザーバを含むエネルギー貯蔵装置が提供される。装置は、より具体的には、第1の領域を画定する内側を向く表面を有するハウジングと、第1の領域内に配設され、第1の領域内に配設された第2の領域を画定する内側を向く表面を有するイオン伝導性部材と、第2の領域の一部分であり、第2の領域の残りの部分と作動連通しているリザーバ領域とを含む。エネルギー貯蔵装置は、複数の作動状態を有し、完全に放電された作動状態では、リザーバ領域は、装置が完全に充電された作動状態にあるときの第2の領域内の隙間空間の体積と少なくとも等しい体積を画定する。
【0022】
1つの実施形態では、装置は、カソード、アノード、およびリザーバを備え、カソードおよびアノードは、イオン伝導性セパレータによって分離されており、カソードおよびリザーバは、電流コレクタによって分離されており、さらに、放電された状態では、カソードは、遷移金属ハロゲン化物、アルカリ金属電解質およびアルカリ金属−アルミニウム−ハロゲン溶融塩電解質を含む活性電極材料を含有し、リザーバは、同じ溶融塩電解質を含有する。
【0023】
1つの実施形態によれば、イオン伝導性部材は、第1の領域と第2の領域の間でイオンを伝達するための通路をもたらすことができる、たとえばベータ−アルミナセパレータであるセパレータであり、第2の領域内に配設された、たとえば中空のニッケルチューブである電流コレクタは、リザーバ領域を画定する。1つの実施形態では、ハウジングは、イオン伝導性部材を同心および同軸で受け入れ、イオン伝導性部材は、電流コレクタを同心および同軸で受け入れる。別の実施形態では、ハウジング、イオン伝導性部材、および電流コレクタの少なくとも1つは、円筒状であり、一部の実施形態では、これらは、各々円筒状であり、円形断面をもたらしている。別の実施形態では、電流コレクタは連続壁を有し、すなわちポアまたは他の空隙を有さず、上側端部において封止されている。
【0024】
1つの実施形態では、中央リザーバを含むエネルギー貯蔵装置であって、同心および同軸の関係で、外部から内部にかけて、ハウジングと、ハウジングとの間に第1の領域が存在するようにハウジング内に配設されたベータ−アルミナチューブと、ベータ−アルミナチューブとの間に第2の領域が存在するようにベータ−アルミナチューブ内に配設された中空のニッケルチューブと、第2の領域と作動連通している中央リザーバを画定する中空のニッケルチューブ内に存在する第3の領域とを備える装置が提供される。ベータ−アルミナチューブは、約30ミリメートルから約65ミリメートルの範囲内の直径と、約200ミリメートルから約500ミリメートルの範囲内の軸方向長さと、約140立方センチメートルから1658立法センチメートルの体積とを有することができ、中空のニッケルチューブは、約10ミリメートルから約35ミリメートルの直径と、約200ミリメートルから約500ミリメートルの軸方向長さと、約16立方センチメートルから約480立方センチメートルの体積とを有することができる。1つの実施形態では、第2の領域は、約13ミリメートルの幅を有することができる。
【0025】
特定の実施形態では、電流コレクタは、第2の領域内に含まれた材料がリザーバ内に入ることを防止することができる。しかし、リザーバは第2の領域と連通しており、それにより、充電中、第2の領域内に含まれた材料の消耗に応答して、リザーバからの材料が、第2の領域内に選択的に毛細管作用によって浸出する。このようにして、第2の領域は、材料がリザーバから第2の領域に毛細管作用によって浸出することにより、作動中、完全に満たされた状態を維持する。
【0026】
一部の実施形態では、リザーバ領域は溶融塩電解質を含有し、複数の作動状態は、部分的に充電される作動状態を含み、所与の作動状態では、リザーバ領域は、溶融塩電解質が相応に部分的に満ちている。
【0027】
1つの実施形態では、リザーバ領域は多孔質膜材料を含み、そのような多孔質膜は、電流コレクタ内の二等分する膜として、または電流コレクタの長手方向軸周りに配置された径方向のフィンとして配設されている。
【0028】
本発明の一態様によれば、エネルギー貯蔵装置が提供され、この装置は、その中にベータ−アルミナセパレータチューブが同心および同軸に中に配設されたハウジングを含み、中空のニッケル電流コレクタチューブが、ベータ−アルミナチューブ内に同心および同軸に配設されており、中空のニッケルチューブは、リザーバを画定し、ベータ−アルミナチューブと中空のニッケルチューブの間の領域内に位置する正電極と作動連通している。
【0029】
本発明の一態様によれば、エネルギー貯蔵装置の作動中、完全に満たされた正電極を維持するための方法であって、負電極の近位にある第1の最も外側の領域と、中央リザーバ領域と、第1の領域とリザーバ領域の間、かつ正電極の近位に配設された第2の領域とを有する装置を提供することと、イオン物質を第2の領域から第1の領域に流し、それによって第2の領域内に隙間空間を生成することと、隙間空間の生成に応答して溶融塩をリザーバから第2の領域内に流し、それによってエネルギー貯蔵装置の作動中、完全に満たされた正電極を維持することとを含む方法が提供される。
【0030】
1つの実施形態では、方法は、イオン物質を第1の領域から第2の領域に流すことをさらに含む。別の実施形態では、溶融塩は、リザーバ領域から第2の領域に流れ、溶融塩は、クロロアルミン酸ナトリウムを含む。
【0031】
本発明のさらに別の態様によれば、中央リザーバを有するエネルギー貯蔵装置であって、ハウジングと、ハウジングとの間に第1の領域が存在するようにハウジング内に同心および同軸に配設されたベータ−アルミナチューブであって、約60ミリメートルの直径および約300ミリメートルの軸方向長さを有するベータ−アルミナチューブと、ベータ−アルミナチューブとの間に第2の領域が存在するようにベータ−アルミナチューブ内に同心および同軸に配設された中空のニッケルチューブと、リザーバを画定する中空のニッケルチューブ内に存在する第3の領域とを含み、中空のニッケルチューブは、約30ミリメートルの直径および約270ミリメートルの軸方向長さを有し、溶融塩を含浸させた活性電極材料が、約13ミリメートルの幅を有する第2の領域内に配設され、溶融塩が、第2の領域と作動連通しているリザーバ内に配設される、装置が提供される。
【0032】
1つの実施形態では、本設計は、アノード、カソード、固体セパレータ、およびリザーバを含むエネルギー貯蔵セルまたは装置を含む。図1を参照すれば、本発明の実施形態によるエネルギー貯蔵装置10の長さに沿った断面図が提供されている。装置10は、ある体積を画定する内部表面を有するハウジング12を含む。ハウジング12は、円筒形状を有する。セパレータ14は、ハウジング内で同心および同軸に配設され、これは、図1の線A−Aに沿った装置の断面図を提供する図2を参照してより良好に見られる。カソード/正電極/第2の領域とアノード/負電極/第1の領域の間でイオンを伝達するための通路をもたらすセパレータ14は、ハウジング12の直径より小さい直径を有し、ハウジング12の内部表面13によってさらに画定された第1の領域18の少なくとも一部分を画定する外面15を有する円筒状のチューブを備える。電流コレクタ/中空のニッケルチューブ16は、セパレータ14内に同心および同軸で配設される。中空のニッケルチューブ16の外面19とセパレータ14の内面17の間の環状空間は、第2の領域20を画定する。チューブ16の中空の内部領域は、開口部または通路21を通して第2の領域20と作動連通しているリザーバ22を画定する。
【0033】
エネルギー貯蔵装置は、円筒形の軸方向に垂直な円形断面を有する円筒形状になり得るが、装置は、この特定の形状に限定されなくてよい。そうではなく、装置が上記で規定された部材を含み、さまざまな部材と領域の間の関係が、全体として、最大充電時に完全に満たされた正電極をもたらすというほぼ同じ能力を保持する限り、そのような装置は、本発明の範囲内に含まれる。さらに、さまざまな部材および領域が、図1および2については、同心および同軸であるように示されているが、これらはまた、同軸だけで同心ではない場合も十分に機能することができる。
【0034】
1つの実施形態では、本発明の実施形態によるエネルギー貯蔵装置は、このタイプの従来のエネルギー貯蔵装置を上回る直径を有する。たとえば、類似の充電能力を有する、同程度の従来のエネルギー貯蔵装置は、62ミリメートルの直径および300ミリメートルの長さを有して、905立法センチメートルの体積を画定することができる。しかし、本発明のエネルギー貯蔵装置はそれより大きく、約70ミリメートルの直径および約300ミリメートルの長さを有して、約1154立方センチメートルの体積を画定する。本明細書による貯蔵装置10のハウジング12内には、セパレータ14および中空のニッケルチューブ16が同軸式に配設されている。セパレータ14は、約30ミリメートルから約65ミリメートルの直径を有することができ、たとえば、約57ミリメートルの内径および約60ミリメートルの外径と、約200ミリメートルから約500ミリメートルの長さ、たとえば約300ミリメートルの長さとを有し、約140立方センチメートルから約1658立方センチメートルの体積、たとえば約730立方センチメートルの体積を画定する。中空のニッケルチューブ16は、約10ミリメートルから約35ミリメートルの直径を有することができ、たとえば約30ミリメートルの外径と、約200ミリメートルから約500ミリメートルの長さ、たとえば約270ミリメートルの長さとを有して、約16立方センチメートルから約480立方センチメートル、たとえば約175立方センチメートルの体積を画定する。
【0035】
エネルギー貯蔵装置は、本明細書ではイオン伝導体としても称されるセパレータを含む。イオンは、アルカリ金属イオンでよい。適切なアルカリ金属は、たとえばナトリウムを含む。セパレータは、作動状態で、イオンを伝導することができる。適切なセパレータは、ベータ−ダブルプライムアルミナから形成されてよい。ハウジング内に配設されたイオン伝導体は、充電/放電サイクル(1回または複数回)の間、装置のカソード/第2の領域とアノード/第1の領域の間でイオンを伝達するための経路をもたらす。装置またはセルはさらに、場合によっては同心式および同軸式の一方または両方でセパレータ内に配設された中空の金属コレクタチューブを含む。金属コレクタチューブの中空の内部領域は、リザーバを画定する。
【0036】
正または活性電極材料、すなわちカソードが、環状のまたは第2の領域20内の、セパレータ14の内部壁17と中空の金属コレクタチューブ16の外部壁19の間に配設される。正電極材料は固体、導電性または活性多孔質または粒子状の材料であり、遷移金属ハロゲン化物、TXを含むことができ、式中、Tは遷移金属、たとえばNi、Fe、Cr、Co、Mn、Cu、およびこれらの2つ以上の混合物であり、Xはハロゲン化物、たとえばCl、Br、またはIである。加えて、二次電解質が、正電極領域、たとえば化学式MAlXを有する溶融塩液体電解質内に含まれ、式中、Mは上記で定義され、電極内に存在するものと一致するアルカリ金属であり、Alはアルミニウムであり、Xは、活性電極材料内に含まれた同じハロゲン化物であり、正電極内に存在してナトリウムイオンを正電極内およびイオン伝導性ベータ−アルミナセパレータ内の反応部位間で移送する。「TX」または「MAlX」を使用することで特有の化学量論比が意図されないことに留意されたい。当業者は、その文脈、たとえば遷移金属Tおよびその酸化状態の選択に基づいた化学式の化学量論比を理解するであろう。通常、二次電解質は、第2の領域内の二次電解質のレベルが、第2の領域内に配設された固体電極材料のレベルと少なくとも等しい、すなわち、二次電解材料の最も上面が、少なくとも、固定電解質材料の最も上面と一致するレベルにあるような量で含まれる。
【0037】
1つの実施形態では、装置またはセルは、ナトリウムイオン伝導性セラミックベータ−アルミナセパレータによって正電極から分離されたナトリウム負電極を含む。この実施形態では、正電極は、NiCl2の遷移金属ハロゲン化物、TXを含むことができる。この実施形態では、TはNiであり、XはClであり、MはNaであり、それにより、活性電極材料はNiCl2になり、溶融塩液体電解質はNaAlCl4になる。
【0038】
従来の単一チューブ設計で使用される際、ベータ−アルミナチューブは、ベータ−−アルミナチューブの頂部近くまで正電極材料で充填され、次いでセルは、正電極を溶接によって封止する前に溶融塩電解質で完全に含浸される。先に述べたように、本明細書では「完全に満たされた」と交換可能に使用され得る、用語「完全に含浸される」は、装置領域が、その最大容量まで材料が満ちていることを示す。この場合、第2の領域は、その領域内の溶融塩電解質のレベルが、第2の領域内に配設された固体電極材料のレベルと少なくとも同じまたはこれを上回るときに完全に含浸される、または満たされる。すでに規定したような電極材料を使用すると、セルが充電されるにつれて、ナトリウムが第1の領域内に形成されて負電極チャンバを画定し、正電極チャンバ内の固体の体積は、ニッケルおよび塩化ナトリウムが塩化ニッケルに変換されるにつれて減少する。以下の等式は、電極間で起こる充電/放電反応を表している:
Ni+2NaCl⇔NiCl2+2Na
前述において、充電サイクルは、左から右の反応を含み、放電反応は、右から左に進む逆反応である。充電反応では、充電サイクルにおいて生成されたNiCl2が、2つの反応体、すなわちNiおよびNaClより小さい体積を有し、Naイオンが、セパレータによって負電極チャンバに伝導されてナトリウムアノードを形成するので、充電のAhごとに、正電極内に0.45cm3の空間が生じる。従来の装置では、正電極材料が減少することにより、最大充電時、正電極は完全に満たされない。これは、充電などの特定のセル特性を損ない得る。以下の表1は、充電中の正電極内での空間の生成を示している。
【0039】
【表1】

しかし、本発明の設計では、溶融塩液体電解質の追加のリザーバが、カソードを補てんする。セルが最適なエネルギーの貯蔵および送出を実現するために、活性電極材料は、常時セパレータのすべての利用可能なイオン伝導部位と作動接触していることが望ましい。本発明の設計では、カソードは、装置の寿命全体にわたって、満たされた、または完全に満たされた状態を維持して、装置のイオン伝導能力、結果的には装置のパフォーマンスを最適化する。図3A〜Cを参照して、図3Aに示された放電の最後では、リザーバ領域22は、溶融塩電解質24で完全に満たされている。たとえば、1つの実施形態では、中空のニッケル電流コレクタは、95cm3の溶融塩電解質を含む20mm直径のチューブでよい。部分的に充電された状態の装置に対応する図3Bに示すように、リザーバ領域22から溶融塩電解質24がカソード内に流れ込み、充電サイクル中、Naイオンが第1の領域内に伝導または輸送されてアノード26を形成するときに生成された空間を充填し、リザーバ内の溶融塩電解質24のレベルは低下する。たとえば、部分的に充電された状態では、すなわち50%充電された状態では、装置の充電は105Ahであり、リザーバ領域22はこのとき、47cm3の溶融塩電解質24しか含んでいない。流れは、重力によって、放散によって、吸引によって、圧力によって、毛細管作用による浸出、圧送によって、または別の流体輸送機構によって達成されてよい。1つの実施形態では、流れは、毛細管作用による浸出によって生成される。図3Cに示す最大充電時、リザーバには、溶融電解質はほとんどまたは全く残っていない。たとえば、最大充電時、装置は211Ah充電を有することができ、リザーバは空である。充電サイクル全体にわたって、第2の領域またはカソード20は、活性電極材料28および溶融塩電解質24に完全に満たされたままであるが、充電サイクルまたは放電サイクルが完了に向けて進むとき、溶融塩電解質の量は、カソード領域18とアノード領域20の間のナトリウムイオンの伝達によって生成されたまたは充填された隙間空間によって変化する。反対に、放電中、反応が逆にされ、材料が正電極内に戻るとき、正電極チャンバを完全に満たされた状態に維持するために、充電サイクル中、そのチャンバ内に毛細管作用によって進んだ余分の溶融塩電解質は、リザーバ内に戻るが、これは、溶融塩電解質のレベルをチャンバ内の固体電極材料のレベルと等しく、またはそれより大きく維持する、すなわち完全に満たされた状態に維持するだけに必要な程度である。
【0040】
リザーバから液体電解質を追加して充電中のカソードからの材料の正常損失を補償しない場合、電極は放電開始時においてその量の溶融塩を欠くことになり、非効率に作動することになる。最初に第2の領域を少ない正電極で充填し、正電極材料の損失を補償するのに十分な溶融塩を加えることによって電解質を増大させることが可能になり得るが、利用可能な電極材料の面積が減少することにより、セルのパフォーマンスが損なわれ、電力の低下を招く。しかし、溶融塩液体電解質の追加のリザーバを含んで電解質を正電極内に予め補足するように正電極を構造化することにより、正電極が、最大充電時、すなわち従来の装置がパフォーマンスを損なう場合でも完全に満たされることが保証される。
【0041】
1つの実施形態では、充電プロセス中に生成された隙間を充填するのに必要とされる余分の溶融塩の所要量を含むのに十分な自由体積を有する、電極の長さに沿った大きい多孔質膜を使用することにより、電極の満たされた状態を維持することができる。
【0042】
1つの実施形態では、リザーバは、中空のチューブを用いてカソード内に生成される。チューブは、上部では封止され、底部では開放し、ベータ−アルミナチューブの中央に同軸に置かれてよい。電極がニッケル/塩化ニッケル電極である場合、適切なチューブは非反応金属から作製されてよい。適切な非反応金属は、ホウケイ酸ガラスまたは金属ニッケルシートを含むことができる。
【0043】
1つの実施形態では、前述の代替策の組合せが使用される。図4Aおよび4Bを参照すれば、多孔質膜30は、図4Aで示すように、分割金属チューブを二等分してよく、または複数の多孔質膜フィン30が、図4Bに示すように、金属チューブリザーバの外側周りに線対称に配置され、ベータ−アルミナチューブの内側までのびてもよい。余分の溶融塩がこのとき、1つまたは複数の多孔質膜または、中空の金属チューブの内側にも含まれる。充電プロセス中、そのイオン物質は、正電極内に選択的に毛細管作用によって浸出することができる。
【0044】
開示した本設計の代替策は各々、正電極がベータ−アルミナ伝導チューブの全面積と接触しているという特徴を含み、すなわちセルを充電するとき、リザーバ内に含まれた溶融塩が正電極内に移動し、充電プロセス中に生成された空間を充填して、活性電極材料がセパレータのほぼすべての利用可能なイオン伝導部位と連続的に接触することを保証する。溶融塩リザーバの追加によるセルのパフォーマンス機能が、以下の例で示される。
【0045】
別途明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲にわたって本明細書で示される装置および構成部分は、Sigma Aldrich,Inc.(ミズーリ州、セントルイス)、Alfa Aesar,Inc.(マサチューセッツ州、ワードヒル)、および/またはFisher Scientific International,Inc.(イリノイ州、ハノーバーパーク)などの一般的な化学物質製造者から市販され得る。
セルの調製および比較
【実施例1】
【0046】
参照セル(A)を調製し、溶融塩のレベルが固体の正電極材料のレベルを上回るように組立時115グラムの溶融塩で含浸させた248グラムのカソード(正電極)材料を含ませた。正電極をベータ−アルミナチューブ内に含め、中央のニッケル電流コレクタにその長さに沿って薄い多孔質膜を嵌める。このアセンブリを、アセンブリとセルケースの内側の間の空間がナトリウム電極またはアノードであるように、鋼セルケース内に含める。
【0047】
本発明の実施形態によるテストセル(B)もまた調製した。セルBを、ここで留意する例外を伴って、セルAと同じ方法で同じ構成要素を使用して調製した。テストセルBにより大きい多孔質膜スペーサを嵌め、230グラムの電極材料および130グラムの溶融塩で同じ電極高さまで充填し、参照セルA内で使用される量を超える溶融塩の余分の量を、多孔質リザーバ内に組み込んだ。テストセルBは、他のあらゆる点では、参照セルAと同じ物理的寸法および形状のものであった。
【0048】
【表2】

参照セルAが40.1Ahである最大充電時において、18.05cm3の自由空間が正電極内に生成されており、一方で多孔質膜内の余分の溶融塩は10.45cm3の量しかなく、7.6cm3の不足空間が隙間のまま残される。故に、電極の一部は溶融塩不足となる。しかしテストセルBに関しては、16.7cm3の自由空間が最大充電時に生成されているが、多孔質膜内に含まれた余分の溶融塩は20.9cm3であり、これは、膜内の溶融塩が正電極内の空間に選択的に毛細管作用によって進んだ後、余りを残す。
【0049】
セルAおよびBのセルパフォーマンスを、直列に接続された10個の同一のセルを有するモジュール、すなわち直列に接続されたタイプAの10個の参照セルを含むモジュールAおよび直列に接続されたタイプBの10個のテストセルを含むモジュールBにおいて各々のタイプのセルをテストすることによって判定した。各モジュール、AおよびBを10Aで2.67Vまで、0.5Aに至るまで充電した。
【0050】
図5は、先ほど説明したパフォーマンステスト中に収集された充電パフォーマンスデータを提供している。図5に示すように、データは、(参照セルAに含まれる量と比較して溶融塩電解質を15グラム多く含む)溶融塩リザーバを有するテストセル(B)を含むモジュールBが、17,402秒間で32Ahに再充電され、一方で(追加の溶融塩電解質のリザーバまたは他の供給源を有さない)参照セル(A)を含むモジュールAは、セルBに使用されたものと同じ充電形態を用いて32Ahを再充電するのに20,659秒かかったことを示している。このデータは、内部リザーバ内に含まれた余分の溶融塩電解質が存在することにより、セルの充電パフォーマンスが高められることを示している。
【0051】
図6は、2つのセル設計AおよびBに関する放電パフォーマンスのデータを提供している。データは、テストセル(B)を含むモジュールBの放電がより高い電圧であり、モジュールは、参照セル(A)を含むモジュールAと比較して、32Ah放電に至るのにより多くのエネルギーを送出したことを示している。充電パフォーマンスデータと一致して、余分の溶融塩電解質を含有するリザーバを含むことが、セルの放電パフォーマンスを高めることが示されている。
【実施例2】
【0052】
この例では、参照セルCを実施例1のセルAと同じ方法で、但しより大きい物理的寸法および形状を有して、同じステップにしたがって調製した。セルCは、セル内に配設された4mm直径のニッケルワイヤの2つの長さの形態のニッケル金属電流コレクタを有する。セルCに、567グラムの溶融塩電解質を完全に含浸させた1274グラムの正電極材料を含め、すなわち溶融塩電解質のレベルは、正電極チャンバまたは第2の領域内の固体電極材料のレベルと少なくとも同じまたはこれを超えていた。
【0053】
テストセルDを、これが、セルC内に使用されるニッケルワイヤに対して中空のニッケルチューブである電流コレクタを含む以外は、参照セルCと同じ方法で調製した。中空のニッケルチューブの直径は20ミリメートルである。テストセル(D)を、640グラムの溶融塩電解質を完全に含浸させた1250グラムの正電極材料で充填する。中空のニッケルチューブを、同軸、同心式にカソード内に配設する。約94立方センチメートルの量の余分の溶融塩を、中空のニッケルチューブ電流コレクタ内に含め、充電中、空間が生成されたときに正電極内に毛細管作用によって浸出させた。
【0054】
【表3】

参照セルCは、最初の充電において215Ahの容量を与え、したがって正電極内に96.9立法センチメートルの隙間空間を生成した。上記で留意したように、充電の生成物、すなわち塩化ニッケルが、2つの反応体、すなわちニッケルおよび塩化ナトリウムよりも小さい体積を有するので、充電のAhごとに、チャンバ内に0.45立法センチメートルの空間が生成される。テストセルDは、その最初の充電において、211Ahの容量を与え、チャンバ内に94立法センチメートルの空間を生成した。20mmの直径の中空のニッケルチューブ電流コレクタは、組立時に溶融塩電解質で充填される94立法センチメートルの内部体積を有する。したがって、充電中、装置の環状のカソードの第2の領域内に空間が生成されるとき、溶融塩がリザーバ内から電極に流れて、材料の反応によって生成された隙間を充填する。放電時、塩化ニッケルがニッケルおよび塩化ナトリウムに変換され、正電極の固体体積が増大するので、リザーバは溶融塩で再充填される。
【0055】
図7は、いずれも20Ampで同一の方法で試験された、参照セルCおよびテストセルDに関して収集された放電データの比較である。新規の中空のニッケルチューブの中央の溶融塩電解質リザーバを含むテストセルDは、放電サイクル全体にわたって参照セルCに比べて大きい作動電圧を示している。
【0056】
テストセル(D)に使用されているような溶融リザーバセル設計を使用する別の利点は、充電パフォーマンスに関して実現される。新規の中空のニッケルチューブの中央の溶融リザーバセル設計を有するテストセル(D)の充電時間は、参照セル(C)のものと比較して大幅に短縮される。これは図8で見ることができ、ここでは、一定の電圧(2.8V/50Amp最大)で充電されるセルCおよびDの各々に対する、充電時間対amp時充電の比較を提供している。参照セルCは160Ahを充電するのに450分かかる。
【0057】
放電状態で組み立てられた従来のナトリウム金属塩化物セルでは、電極は、完全に放電された状態においてのみ完全に含浸される。セルが充電されるとき、正電極内に空間が生成される。これは、電極の頂部が完全に満たされておらず、セパレータのイオン伝導部位は活性電極材料と接触しないままになる、すなわちカソードとアノードの間にイオンが輸送されないため、電極のパフォーマンスが最適とは言えないことを意味する。しかし、正電極と作動連通して配置された、本明細書で提示された新規の溶融リザーバを使用することにより、パフォーマンス不足の問題が克服され、実施例で示すように、充電および放電のパフォーマンスが改良される。この改良は、エネルギーの充電時間がより速くなり、放電がより大きくなるという形で現れる。
【0058】
加えて、本明細書で開示された中央リザーバは、より薄い正電極を生成して、装置の充電および放電のパフォーマンスの改良を高める。
【0059】
本発明の特定の特徴が、あるグループのいくつかの要素の少なくとも1つおよびその組合せを含むまたはそれから構成されると言われるときはいかなるときも、その特徴が、そのグル−−プの要素の任意のものを、個々にまたはそのグループの他の要素の任意のものと組み合わせて含んでも、またはそれから構成されてもよいことが理解される。
【0060】
本明細書および特許請求の範囲全体にわたってここで使用される近似的用語は、これが関連する基本機能における変化を生じさせることなく、許容範囲内で変化し得るあらゆる定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約」などの1つの用語または複数の用語によって修飾された値は、明記された正確な値に限定されない。一部の場合、近似的用語は、値を測定する計測器の正確性に対応し得る。同様に、「含まない」は、用語と組み合わせて使用されてよく、実体のない数または微量を含むことができ得るが、それでも修飾された用語を含まないと考えられている。単数形態「a」、「an」および「the」は、その文脈が別途明確に指示しない限り、複数の参照を含む。「任意選択の」または「適宜」は、その後に説明する事象または状況が起こっても起こらなくてもよく、その説明は、その事象が起こる場合およびそれが起こらない場合を含むことを意味する。
【0061】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきた。明らかなことに、先行する詳細な説明を読み取り理解することにより、改変形態および変更形態が他の人には想定されるであろう。本発明が、すべてのそのような改変形態および変更形態を含むものとして解釈されることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
10 エネルギー貯蔵装置
12 ハウジング
13 ハウジングの内側を向く表面
14 セパレータ
15 外面
16 電流コレクタ/中空のニッケルチューブ
17 内面
18 第1の領域
19 中空のニッケルチューブの外面
20 第2の領域
21 開口部または通路
22 リザーバ領域
24 溶融塩電解質
26 アノード
28 活性電極材料
30 多孔質膜
A 参照セル
B テストセル
C 参照セル
D テストセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域(18)を画定する内側を向く表面(13)を有するハウジング(12)と、
前記第1の領域(18)内に配設されたイオン伝導性部材(14)であって、第2の領域を画定する内側を向く表面(17)を有し、前記第2の領域が、前記第1の領域(18)内に配設される、イオン伝導性部材と、
前記第2の領域(20)の一部であり、かつ前記第2の領域(20)の第2の部分と作動連通しているリザーバ領域(22)とを備えるエネルギー貯蔵装置(10)であって、
複数の作動状態を有し、完全に放電された作動状態では、前記リザーバ領域(22)は、前記装置(10)が完全に充電された作動状態であるときの前記第2の領域(20)内の隙間空間の容積と少なくとも等しい体積を画定する、エネルギー貯蔵装置(10)。
【請求項2】
前記リザーバ領域(22)が、溶融塩(24)電解質を含み、複数の作動状態が、部分的に充電される作動状態をさらに含み、所与の作動状態では、前記リザーバ領域(22)は、溶融塩電解質(24)が相応に部分的に満ちている、請求項1記載のエネルギー貯蔵装置(10)。
【請求項3】
電流コレクタ(16)をさらに備え、前記リザーバ領域(22)が、前記電流コレクタ(16)の内側を向く表面によってさらに画定される、請求項1記載のエネルギー貯蔵装置(10)。
【請求項4】
前記第2の領域(20)が、電解質(24)の第1の部分を含浸させた活性電極材料(28)を含む、請求項1記載のエネルギー貯蔵装置(10)。
【請求項5】
前記リザーバ領域が、前記リザーバ領域の体積と等しい電解質の第2の部分を含む、請求項4記載のエネルギー貯蔵装置。
【請求項6】
電解質(24)の前記第2の部分の少なくとも一部が、前記第2の領域(20)内に配設された多孔質膜材料(30)内に含まれる、請求項5記載のエネルギー貯蔵装置(10)。
【請求項7】
前記イオン伝導性部材(14)が、ベータアルミナセパレータであり、前記リザーバ領域(22)が、中空のニッケルチューブ電流コレクタ(16)によって画定され、前記中空のニッケルチューブ電流コレクタ(16)は、上側端部で封止され、前記第2の領域(20)内に含まれた正電極材料(28)が境界を越えて前記リザーバ領域(22)に入ることを可能にせずに、前記中空のニッケルチューブ電流コレクタ(16)内に含まれた溶融塩電解質(24)が、境界を越えて前記第2の領域(20)に入ることを可能にするように配設された通路(21)を含む、請求項1記載のエネルギー貯蔵装置(10)。
【請求項8】
前記ベータ−アルミナチューブ(14)が、約30ミリメートルから約65ミリメートルの範囲の直径と、約200ミリメートルから約500ミリメートルの範囲の軸方向長さと、約140立方センチメートルから1658立法センチメートルの体積とを有し、前記中空のニッケルチューブ(16)が、約10ミリメートルから約35ミリメートルの直径と、約200ミリメートルから約500ミリメートルの軸方向長さと、約16立方センチメートルから約480立方センチメートルの体積とを有する、請求項7記載のエネルギー貯蔵装置(10)。
【請求項9】
請求項1記載のエネルギー貯蔵装置(10)の作動中、完全に満たされた正電極を維持するための方法であって、
負電極の近位にある第1の最も外側の領域(18)と、中央リザーバ領域(22)と、前記第1の領域(18)と前記リザーバ領域(22)の間、かつ正電極の近位に配設された第2の領域(20)とを有する装置(10)を提供することと、
イオン物質を前記第2の領域(20)から前記第1の領域(18)に流し、それによって前記第2の領域内(20)に隙間空間を生成することと、
前記隙間空間の生成に応答して、溶融塩(24)を前記リザーバ領域(22)から前記第2の領域(20)内に流し、それによって前記エネルギー貯蔵装置の作動中、完全に満たされた正電極を維持することとを含む、方法。
【請求項10】
エネルギー貯蔵セルに作動可能に係合された前記エネルギー貯蔵セル(10)から電源遮断された装置を備える通電装置であって、前記エネルギー貯蔵セル(10)が、イオン通路(14)を共有する少なくとも1つのアノード/カソード電極対(18、20)と、前記カソード(20)内に配設されたリザーバ(22)を画定する電流コレクタ(16)と、前記リザーバ(22)内に配設された電解質(24)の供給源とを備え、前記リザーバ(22)は前記カソード(20)と作動連通している、通電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−41825(P2013−41825A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−173562(P2012−173562)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】