説明

エネルギー貯蔵装置及びそのセル構造

物品が提供される。この物品は電気化学セルを含み得る。このセルは溶融電解質と、少なくとも1つの溶融電極を含み得る。セルはアノードとカソードを分離する一方で、アノードとカソードの間のイオン性連通を可能にする構造体を含み得る。この物品を含むエネルギー貯蔵装置も提供される。この物品及びエネルギー貯蔵装置に関連する方法が提供され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融塩電気化学セル(電池)として使用される物品に関する実施形態を包含し得る。本発明は、かかる電気化学セルを使用する方法、及びかかる電気化学セルを含むエネルギー貯蔵装置に関する実施形態を包含し得る。
【背景技術】
【0002】
現在種々の再充電可能なバッテリー(電池)及び電池化学が利用可能である。ナトリウム/イオウ(NaS)及びリチウム/イオウ(LiS)電池は2つの市販されている溶融塩電池である。製造された第1の市販電池は、正極として液体イオウを有し、セパレーターとしてβ−アルミナセパレーター電解質(BASE)のセラミック管を有するナトリウム/イオウ電池であった。絶縁体の腐食は、かかる電池で通例見られる過酷な化学的環境内で問題となる可能性がある。この結果、絶縁体は徐々に導電性になり、そのため自己放電率が増大することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4358516号明細書
【特許文献2】米国特許第4894298号明細書
【特許文献3】米国特許第4894299号明細書
【特許文献4】米国特許第4895776号明細書
【特許文献5】米国特許第4910105号明細書
【特許文献6】米国特許第4913754号明細書
【特許文献7】米国特許第4945012号明細書
【特許文献8】米国特許第5194343号明細書
【特許文献9】米国特許第5476733号明細書
【特許文献10】米国特許第5532078号明細書
【特許文献11】米国特許第5554457号明細書
【特許文献12】米国特許第6007943号明細書
【特許文献13】米国特許第6117807号明細書
【特許文献14】米国特許第6632763号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】PARTHASARATHY et al., "High Temperature Sodium - Zinc Chloride Batteries With Sodium Beta - Alumina Solid Electrolyte", 1 page, Retrieved from the Internet:< URL: http://ecsmeet3.peerx-press.org/ms#files/ecsmeet3/2006/11/27/00000574/00/574#0#art#0#j9ezlk.pdf>
【非特許文献2】TAO, "V.9 A High Temperature (400 to 650・C) Secondary Storage Battery Based on Liquid Sodium and Potassium Anodes", V. Advanced Research, Office of Fossil Energy Fuel Cell Program, pp.1-4, FY 2006 Annual Report
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在利用可能な電気化学セルとは異なる化学を有する溶融塩電気化学セルがあれば望ましいであろう。現在利用可能な方法とは異なるエネルギー貯蔵装置があれば望ましいであろう。現在利用可能な装置とは異なるエネルギー貯蔵装置があれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、第1のチャンバーの少なくとも一部分を画成する第1の表面、及び第2のチャンバーを画成する第2の表面を有するセパレーターを含む物品が提供される。この第1のチャンバーはセパレーターを介して第2のチャンバーとイオン連通している。カソード物質はセパレーターと電気連通しており、金属ハロゲン化物を形成することができる。支持構造体が、第1のチャンバー又は第2のチャンバーの少なくとも1つの内部に配置されている。この支持構造体は導電性であり、集電器と電気連通している。カソード物質は支持構造体の表面上に支持されている。
【0007】
本発明の実施形態では、さらに、前記物品を含むエネルギー貯蔵装置及びエネルギー管理システムが提供される。前記物品を作成及び/又は使用する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の透視図である。
【図2】図2Aは、本発明の一実施形態の断面概略側面図である。
【0009】
図2Bは、図2Aの構造体の断面概略平面図である。
【図3】図3A〜3Jは、本発明の様々な実施形態で使用する一連の図案である。
【図4】図4は、ZnCl2:NaCl溶融物中のZnを被覆したRVC発泡体に対する100mA/cm2における充電曲線のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、溶融塩電気化学セルとして使用される物品に関する実施形態を包含し得る。本発明は、かかる電気化学セルを使用する方法、及びかかる電気化学セルを含むエネルギー貯蔵装置に関する実施形態を包含し得る。
【0011】
一実施形態では、第1のチャンバーの少なくとも一部分を画成する第1の表面、及び第2のチャンバーを画成する第2の表面を有するセパレーターを含む物品が提供される。この第1のチャンバーはセパレーターを介して第2のチャンバーとイオン連通している。カソード物質は、セパレーターと電気連通しており、金属ハロゲン化物を形成することができる。支持構造体が第1のチャンバー又は第2のチャンバーのうちの少なくとも1つの内部に配置されている。カソード物質はこの支持構造体の表面上に支持されている。
【0012】
適切なセパレーターはその用途に応じて様々な幾何学的形状のいずれかを有し得る。例えば、ある種のセパレーターはほぼ平面状であってもよいし、又は半球状若しくは窪みのある形状を有していてもよい。平面状、半球状、又は窪みのある幾何学的形状はボタン型電池に有用であろう。他のセパレーターはうねったり、波形、又は網状であってもよい。さらに他のセパレーターは円筒形、球形、楕円形、円錐形、その他あらゆる適当な幾何学的形状、又はこれらの任意の組合せであってもよい。幾つかのセパレーターは閉鎖面であってもよいが、他のものはその表面を閉鎖する機能を果たし得る構造体と組み合わせて開放面を含んでいてもよい。例えば、一実施形態では、セパレーターはほぼ円筒形であって1以上の開放端を有し得る。しかし、これらの開放端はハウジング又は蓋に対してシールすることができ、従って第1のチャンバーと第2のチャンバーとの隔離を維持することができる。さらにセパレーターに関しては、軸に対して垂直な方向に、長方形、楕円形、三角形、多角形、十字形、又は星形の断面外形を有し得る。また、この断面外形はクローバー葉形、円形、又は正方形であってもよい。この外形は断面のスライスを作成する場所に応じて異なり得るので、セパレーターはそのスライスの位置に基づいて2以上の断面外形を有し得る。
【0013】
セパレーターは、熱サイクル、圧力差、及び/又は振動に起因する機械的損傷に耐えることができる。一実施形態では、より厚いセパレーターを使用することにより機械的強度が高められる。しかし、より厚い壁は抵抗が増大するため性能の低下を生じ得る。別の実施形態では、セパレーターはその組成の変化、添加剤の導入、製造方法の修正などに起因する機械的損傷に耐えることができる。場合により、幾つかの実施形態は、イオンの流れを促進する大きめの細孔径、ドーパント、及び/又はコーティングのようなイオン導電率を増大させる特徴を含み得る。幾つかの実施形態では、これらの特徴は、セパレーターを強化する工夫の結果生じる導電率の損失を補償し得る。
【0014】
セパレーターは細長くて軸をもっていることができる。第1のチャンバーはこの軸の回りで同軸に配置することができる。セパレーターは、互いに対して軸方向及び/又は半径方向に間隔をあけた2以上の領域を含んでいることができる。実施形態によっては、半径方向のゾーンと軸方向の領域の組合せを含んでいてもよい。一実施形態によると、成分の濃度、存在、及び/又は種類は、第1の軸方向領域から第2の軸方向領域に向かって、又は第1の半径方向ゾーンから第2の半径方向ゾーンに向かって連続的に、不連続に、又は所定のパターンに従って変化し得る。
【0015】
セパレーターの表面に隣接して、セパレーター表面から離れて延びることができる支持構造体がある。この支持構造体はセパレーター表面から離れて約0.1mm超の厚さまで延びることができる。一実施形態では、この厚さは約0.1〜約0.2mm、約0.2〜約0.5mm、約0.5〜約0.6mm、約0.6〜約1mm、約1〜約5mm、約5〜約10mm、又は約10〜約20mmの範囲である。より大きい容量のエネルギー貯蔵装置を含む実施形態の場合、この厚さは20mmより大きくなり得る。
【0016】
支持構造体は連続マトリックス又は固体の構造体であることができる。いずれの場合も、支持構造体は導電性であり、集電器と電気連通している。粉末を使用する場合は、使用中、相対的に電気的に絶縁性の塩層が粉末粒子の回りに形成され、粉末粒子をお互いに(電気的に不連続)、かつ集電器から(電気的に絶縁)電気的に絶縁し得る。従って、粉末の支持構造体を使用する実施形態の場合、カソード物質と支持電解質は、充電の状態に基づいて、相対的に電気的に絶縁性の塩層が形成されないように、すなわち、かかる層が形成されないか、又は層が形成されてもその層が電気的に絶縁性又は電気的に抵抗性でないように選択され得る。
【0017】
カソード物質を液体溶融物中ではなく支持構造体上に配置すると、不均一な分布が形成され維持され得る。例えば、カソード物質の濃度がセパレーターにより近い点とセパレーターからより遠い点で異なることができる。代わりの実施形態では、支持構造体は、互いに異なる活性化電圧を有する複数のカソード物質を含んでいてもよい。かかる代わりの実施形態の場合、支持構造体は充電状態インジケーターとして機能し得る。
【0018】
支持構造体は多孔質であり得る。適切な多孔質支持構造体は発泡体、メッシュ、織物・編物、フェルト、繊維、又はウィスカーであり得る。一実施形態では、支持構造体は複数のパック入り粒子であってもよい。適切な支持構造体として、セラミック、サーメット、ガラス、及び金属を挙げることができる。他の適切な支持構造体は炭素から形成し得る。適切な炭素発泡体としては、Electrosynthesis社(米国ニューヨーク)から市販されている網状ガラス質炭素(RVC)を挙げることができる。その他の適切な発泡体はセラミック又は電気化学的に不活性な金属から形成し得る。
【0019】
網状ガラス質炭素(RVC)発泡体はガラス質炭素を含む開放気孔の発泡体材料である。ガラス質炭素は非晶質構造を含み、ガラスの特性の幾つかをカーボンブラック、炭素繊維、又はグラファイトのような他の産業用炭素の特性と共に併せもつ。グラファイトコーティング及び炭素繊維のような他の炭素質材料とは違って、RVCはその物性が等方性である。RVCは並外れて低い相対密度(3%)、高い表面積、流体の流れに対する低い抵抗を有しており、非酸化性の雰囲気中で極めて高い温度に耐えることができる。
【0020】
適切な発泡体は1インチ当たりの細孔数(PPI)約5未満乃至〜約10000の広範囲の細孔径グレードで市販されている。一実施形態では、RVCは1インチ当たりの細孔数約5〜約100、約100〜約1500、約1500〜約2000、約2000〜約2500、約2500〜約3000、約3000〜約3500、約3500〜約4000、約4000〜約4500、約4500〜約7500、約7500〜約8000、約8000〜約10000、又は約10000超の平均細孔径を有し得る。代わりの実施形態では、RVCは元の体積の1/9に圧縮してさらに大きい比表面積(すなわち、単位質量当たりの表面積)を得ることができる。
【0021】
【表1】

カソード物質は、セパレーターに最も近い領域から始まりセパレーターから離れて前進する電気化学的反応フロントによって消費される。カソード物質がセパレーターを同軸で取り囲む実施形態の場合、反応フロントの表面積はフロントが半径方向を外側に移動するにつれて増大する。反応フロントが外側に前進するにつれてイオン抵抗増大のために反応速度が低下する。抵抗の増大に合わせてカソード物質の濃度が増大するようにカソード物質の勾配を創成することで、反応速度を安定化することができる。
【0022】
カソード物質がセパレーター内部に含まれている実施形態では、反応フロントはセパレーター内面に最も近いところから内側に前進する。従って、反応フロントの表面積は、内側に前進するにつれて低下する。表面積の変化は、利用可能なカソード物質の量が減少するためエネルギー貯蔵装置の性能に影響を及ぼし得る。他の実施形態では、この表面積効果は、利用可能なカソード物質の濃度勾配を軸に向かって半径方向内側に増大させることによって、緩和又は排除することができる。
【0023】
上述したように、カソード物質及びその他の成分は、セル構造に応じて支持構造体上で軸方向又は半径方向の位置に関して段階的濃度を有することができる。カソード物質濃度は支持構造体上の位置の関数であり得る。電気化学的反応はカソード物質の反応フロントに関して制御され得るので、セパレーターから最も遠いカソード物質は、消費される最後のカソード物質であり得、従って、いろいろな活性化電圧を有する材料、及びカソード物質の主要なバルクとは異なって検出できるものから形成され得る。この濃度勾配は直線状、非直線状であってもよいし、又は軸方向及び/又は半径方向の位置に関して階段状になっていてもよい。幾つかの実施形態では、かかる勾配濃度分布によって、より安定なエネルギー貯蔵装置が可能になり、又は充電状態(SOC)に関係なく実質的に平坦な放電プロフィールを有するエネルギー貯蔵装置が可能になる。他の実施形態では、かかる勾配は充電状態インジケーターとして機能し得る。
【0024】
支持構造体が1以上のプレートを含む実施形態は隣接する領域又はゾーン間で異なるカソード物質濃度を維持し得る。これらのプレートは多孔質支持構造体と共に、又はそのような構造体なしで使用できる。このプレートを主体とする支持構造体は軸を横切る少なくとも1つの横断プレートを含んでいることができ、少なくとも第1の軸方向領域及び第2の軸方向領域を画成することができる。このプレートは主要なセパレーターの体積内部で質量及び/又は荷電粒子の流れに対して物理的障壁として機能し得る。別の実施形態では、支持構造体は軸方向領域及び/又は半径方向ゾーンを画成する一連のプレートである。
【0025】
これらのプレートは1つの領域からもう1つ別の領域へのイオンの流れ及び/又は電気の流れを遮断する連続の多孔質支持体であってもよい。一実施形態では、軸方向領域はカソード物質又は添加剤の軸方向の濃度勾配によって規定され得る。この勾配が連続である場合、例えば充電状態に関連する領域境界として任意の濃度を選択し得る。勾配が階段状の勾配である場合には、かかる領域は階段状の変化単独で画成され得る。
【0026】
1以上のプレートはシール構造体を介してセパレーターの表面と係合し得る。このシール構造体は、存在する場合蓋をハウジングに対してシールするのに使用するシール構造体と同じでよい。適切なシール構造体としてはガラス様組成物を挙げることができる。適切なガラス様組成物としては、1種以上のリン酸塩、ケイ酸塩、又はホウ酸塩を挙げることができる。他の適切なシール構造体としてはサーメットを挙げることができる。
【0027】
半径方向のゾーンに関して、かかるゾーンは同軸に間隔をあけたシリンダーにより、又はカソード物質の濃度勾配により画成することができる。軸方向の領域と同様に、これらのゾーンは添加剤のような他の物質の存在又は量によっても画成することができる。
【0028】
適切なカソード物質は、元素形態、塩形態、又は元素と塩の両形態で存在する少なくとも1つのカソード物質を含み得る。元素形態は元素及び塩形態の総重量を基準にして約1〜約99重量%の範囲の量で存在し得る。塩形態は元素及び塩形態の総重量を基準にして約99〜約1重量%の範囲の量で存在し得る。一実施形態によると、元素形態のカソード金属の重量%と塩形態のカソード金属の重量%との比は電気化学セルの充電状態に基づく。カソード金属としては、亜鉛、銅、鉄、ニッケル、又はこれらの任意の組合せを挙げることができる。一実施形態では、カソード金属は本質的に亜鉛からなる。幾つかの実施形態では、集電器がカソード物質と電気連通していることができる。
【0029】
幾つかの実施形態によると、カソード物質はさらに1種以上の添加剤を含んでいてもよい。カソード物質中に使用するのに適した添加剤としては、適当な酸化状態にあるタングステン、チタン、ニオブ、モリブデン、タンタル、及びバナジウム又はこれらの任意の組合せを挙げることができる。カソード金属は1種以上の添加剤に対して約100:1未満の比で存在していてもよい。カソード金属は1種以上の添加剤に対して約1:100超の比で存在していてもよい。この1種以上の添加剤はカソード金属と共に固溶体であってもよいし、カソード金属内に隔離されるか又はカソード金属内に溶解かつ隔離されていてもよい。
【0030】
塩形態のカソード物質には、金属ハロゲン化物が包含され得る。一実施形態では、ハロゲン化物は塩素、ヨウ素、フッ素、又はこれらの任意の組合せを含み得る。幾つかの実施形態では、ハロゲン化物は本質的に塩素を含み得る。さらに、幾つかの実施形態には、1種以上の金属が同時に複数の酸化状態で存在する混合金属ハロゲン化物が包含され得る。
【0031】
塩形態のカソード金属は電解質を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、電解質としては、カソード及び/又はアノードの金属とは異なる金属の塩を挙げることができる。電解質はイオウ及び/又はリン含有添加剤、並びにニッケルハロゲン化物、銅ハロゲン化物、及びスズハロゲン化物のような金属ハロゲン化物のような添加剤を含有し得る。一実施形態では、電解質はチャンバー内に配置され得る。
【0032】
一実施形態は三元電解質を含む。三元電解質は、塩を溶融させるのに十分に高い作動温度において塩形態のカソード金属、塩形態のアノード金属、及び塩形態の第3の金属を含み得る。例えば、三元電解質としては、ZnCl2:NaCl:AlCl3を挙げることができる。一実施形態では、三元電解質は本質的にZnCl2:NaCl:AlCl3からなる。従って、塩形態の第3の金属としてはアルミニウムを挙げることができる。ZnCl2対NaCl対AlCl3の適切な比は320℃未満の作動温度で約19重量%までのZnCl2含有率を有することができる。この三元系において塩化アルミニウムの濃度が増大するにつれて、塩化アルミニウムの種は主としてAl2Cl7-になる。塩化アルミニウムは重量基準でNaClの量超の量で存在し得る。イオウ又はリン含有添加剤が電解質内に含まれていてもよい。例えば、適当な添加剤としてはトリフェニルスルフィドを挙げることができる。
【0033】
別の実施形態は二元電解質を含む。適切な二元電解質として、ZnCl2及びNaClのような別の塩を挙げることができる。作動温度において、この亜鉛塩は他の塩溶融物に20重量%より多く可溶性である。一実施形態では、亜鉛塩は約20〜約35重量%、約35〜約50重量%、約50〜約75重量%、又は約75〜約99重量%約20〜約35重量%、約35〜約50重量%、約50〜約75重量%、又は約75〜約99重量%の範囲の溶解度を有する。一実施形態では、この溶解度は他の塩中に約100重量%のZnCl2である。
【0034】
ZnCl2に富む溶融物(すなわち重量で約半分より多い)を有する実施形態は酸性であり、ルイス酸基を形成することができる。約1.7Vで、アルミニウムはアルミニウム金属に変換されるので、塩化アルミニウム電解質を含有するセルはセルの損傷を回避するために約1.7ボルトより低いカットオフ電圧を有し得る。幾つかの実施形態では、ZnCl2含有率が増大するので、より低いカットオフレベルが低下し得、又は不必要となり得る。従って、二元又は三元電解質を含む幾つかの実施形態は1.7〜2.6ボルトの枠ではなくゼロ〜約2.6ボルトの全電圧範囲を使用することができよう。
【0035】
適切なアノード物質は元素形態、塩形態、又は元素形態と塩形態の両方で存在する少なくとも1つのアノード金属を含み得る。元素形態のアノード金属は元素及び塩形態の総重量を基準にして約1〜約99重量%の範囲の量で存在し得る。塩形態のアノード金属は元素及び塩形態の総重量を基準にして約1〜約99重量%の範囲の量で存在し得る。一実施形態によると、元素形態のアノード金属の重量%割合対塩形態のアノード金属の重量%割合は電気化学セルの充電状態に基づく。アノード金属としては、リチウム、ナトリウム又はこれらの任意の組合せを挙げることができる。一実施形態では、アノード金属は本質的にナトリウムからなる。幾つかの実施形態では、集電器がアノード物質と電気連通していることができる。
【0036】
一実施形態では、アノード物質は1種以上の添加剤を含んでいてもよい。アノード物質内に使用するのに適した添加剤としては、適当な酸化状態にあるチタン、マンガン、ジルコニウム、バナジウム、アルミニウム又はこれらの任意の組合せを始めとする脱酸素剤を挙げることができる。アノード金属は1種以上の添加剤に対して約100:1未満の比で存在していてもよい。アノード金属は1種以上の添加剤に対して約1:100超の比で存在していてもよい。1種以上の添加剤はアノード金属内に溶解していてもよいし、アノード金属と接触していてもよいし、又はアノード金属内に溶解し、かつ接触していてもよい。
【0037】
幾つかの実施形態によると、溶融したアノード金属のレベルは充電状態の関数として変化する。従って、幾つかの実施形態は溶融したアノード金属のレベルを検知することによって充電状態を追跡又は決定することができる。さらに、適切な制御装置は、電気化学セルの性能を制御及び/又は調節するために、アノードヘッド高さデータを使用することができよう。
【0038】
一実施形態では、ハウジングは正方形、多角形、又は円形の断面形状を有することができる。さらに、適切なハウジングは約1:10〜約10:1の範囲の長さ対幅の比を有することができる。ハウジングは金属、セラミック、又はポリマーから選択される材料を含むことができる。金属はニッケル金属及びニッケル合金又は鉄を主体とする金属及び合金から選択され得る。セラミックとしては、各種の適切な金属酸化物のいずれかを挙げることができる。ポリマーとしては、正常な作動温度及び条件に耐える能力を有する熱可塑性又は熱硬化性物質を挙げることができる。
【0039】
本発明の一実施形態を例証する物品100を図1に示す。この物品では、カソード物質の濃度及び/又は種類が、セパレーターの内面によって画成される体積全体にわたって軸方向に異なっている。物品100は円筒形のハウジング102及びセパレーター104を含んでおり、その各々が円形の断面形状を有し、また軸110を規定している。ハウジングは、全体空間112を画成する内面(参照番号は付してない)を有している。セパレーターは、体積114を画成する内面(参照番号は付してない)を有している。プレート116が軸を横断しており、前記体積を2つの領域、すなわち軸方向の領域1(122)と軸方向の領域2(124)に分割している。図示されている実施形態では、カソード物質の濃度は領域1から領域2への遷移として階段状の変化を有しており、カソード物質は多孔質の支持構造体上に配置されている。プレートは連続であり、セパレーターの内面に対して密閉されている。従って、このプレートは異なる組成濃度を有する領域間の境界として機能する。他の実施形態では、追加のプレートを加えてさらなる軸方向の領域を創成してもよい。同様に、他の実施形態は多孔質支持体の代わりに複数のプレートを含んでいてもよい。
【0040】
使用中、アノード物質は体積114からセパレーターを通って全体空間112の残りの部分へ流れる。重力により液体のアノード物質は底に溜まり、物品の充電状態が変化するにつれて上方に向かって満ちる。そこで、セパレーターを横切るアノード物質の濃度勾配は、セルの頂部からセルの底部に向かって異なり得る。任意の支持リング130は不連続であり、アノード物質はそこを通って流れることが可能である。
【0041】
図示した実施形態を調製するには、支持構造体を含浸させ、次いでその支持構造体をセパレーター内に挿入するとよい。その後セパレーターを蓋(図示してない)に対してシールしてカソード物質をセル内に密封することができる。或いは、支持構造体を裸のままでセパレーター内に入れ、次にカソード物質を支持構造体内に流入させることにより含浸することができる。一定の高さまで充填させ、カソード物質を放冷することによって、追加の異なるカソード物質を支持構造体内に注入して層ケーキ効果を作り出すことができる。プレートを使用する場合、充填穴により、異なるカソード物質を異なる軸方向の領域内に満ちる・充填することができよう。
【0042】
半径方向のゾーン配列を例証する実施形態を図2A及び2Bに示す。物品200は軸214を規定する細長いハウジング210及びセパレーター212を含んでいる。ハウジングとセパレーターは各々が円形の断面形状を有しており、セパレーターがハウジング内に同軸の関係で配置されるように入れ子式になっている。
【0043】
アノードチャンバー230はセパレーターの内面232により画成される。カソードチャンバー236はハウジングの内面240及びセパレーターの外面242により画成される。多孔質発泡体の支持構造体248がカソードチャンバー内に配置されている。カソードチャンバーは軸に向かって内側に延びる半径方向のゾーン250、252、254に分割されている。各々のゾーンは多孔質支持構造体の表面上に支持された少なくとも1つのカソード物質を含有している。カソード物質の濃度(量)と種類は、軸から外側に向かう半径方向の距離の関数として不連続に異なっている。図示した実施形態では、一例としてだけだが、最も内側の半径方向ゾーン256は、この半径方向のゾーン全体にわたって均一の第1の濃度で亜鉛のみを含んでいる。中央の半径方向ゾーン254は第2の濃度で等量の亜鉛と銅を含んでおり、これらの合計は第1の濃度と同じであり、それらの分布は逆の勾配を形成していて、最も内側の半径方向ゾーンに隣接する半径方向ゾーンの一部分が100%亜鉛、0%銅で、中央の半径方向ゾーンの反対側は100%銅、0%亜鉛である。最も外側の半径方向ゾーン250はアルミニウムを覆う銅を含んでおり、各々は連続層であって、最も外側の半径方向のゾーン全体にわたって均一である。アルミニウムは、一旦露出されると、充電状態のインジケーターとして機能することができ、銅オーバーコート層が反応したときにのみ化学的に利用可能である。
【0044】
図示した実施形態は、3つの別個の支持構造体を独立して製造した後、互いに入れ子式に嵌め、ハウジング中に挿入することによって組み立てることができる。
【0045】
図3を参照すると、様々な設計の選択可能性を示すために複数のエネルギー貯蔵装置の構成が示されている(図3A〜3J)。図3A〜図3Jを通じて同一の参照番号を用いて機能的に類似の部分を示す。これらの同一の数字は同一の目的で他の図でも繰り返され得る。従って、コレクション300は軸320を規定する細長いハウジング310を有するエネルギー貯蔵装置を含んでいる。ハウジング壁の内面は体積を画成する。この体積にはアノード330とカソード340が含まれており、これらはセパレーター350とウィック360により互いに物理的に分離されている。ウィックはセパレーターの外側に向いた表面上に配置されており、液体のアノード物質をセパレーター表面上に案内してセパレーターを横切って輸送する。幾つかの実施形態では、セパレーターは両端で蓋をされた閉鎖空間であり、前記体積内に2つのチャンバー、すなわち内側チャンバーと外側チャンバーを画成する。
【0046】
図3Aは、アノード物質を含有し、カソード物質により包囲された円筒形のセパレーター350を有する基本的なセルを示す。カソード物質はセパレーターに最も近い表面から始まり、外側に向かって消費される。従って、反応フロントの表面積は反応が進むにつれて増大する。セパレーターは、内側チャンバー340を画成しており、ハウジング310内に配置されている。セパレーター350の外側に向いた表面とハウジング310の内側に向いた表面との間の空間が外側チャンバー330を画成する。図3B、3D、及び3Fは、セパレーターが断面形状において変化している類似の配置を示す。図3Dは、使用中にカソード物質が消費されるにつれて未使用物質の表面積があまり変化しないような形状のセパレーターを示している。従って、図3Dは一定の表面積構成と考えることができる。図3Eの構成も3Dのものに類似する一定の表面積構成であるが、3Eの方が大きい表面積を有している。セパレーターの表面積をさらに増す又は大きくするために他の類似の形状を製造してもよい。
【0047】
図3Cは、複数のセパレーターを有していて、各々のセパレーターが別個のアノードコアを画成しているセルを示す。断面形状は多角形、卵形若しくは楕円形、星形、又は十字形−形状のようないかなる他の適当な又は好都合な形状であってもよい。複数の小さめのカソードコアは、同じ全体積を有する単一のカソードコアより比較的大きい表面積を創成することができる。
【0048】
図3Iは、アノードとカソードが図3A〜3Hに対して逆転しているセル構造を示す。この場合、内側チャンバー370はアノード物質ではなくカソード物質を含有する。外側チャンバー372はアノード物質を含有する。この実施形態では、セパレーター376はそのセパレーター376の内面上にウィック374を有する。この実施形態では、津のセパレーターが含まれているが、より小さいか又はより大きい数も本発明の範囲内である。ハウジングに隣接してアノード物質を有するこの例のような実施形態では、アノード物質に対して十分に高い酸化電位を有するようなハウジング材料が選択されない限りハウジングの酸化が起こる可能性があろう。従って、亜鉛カソードはニッケルハウジングと共に使用できる。
【0049】
或いは、ハウジングがアノード物質とハウジングとの間に絶縁障壁を含むことができるであろう。ハウジング内面が絶縁障壁層で覆われている場合、ハウジング材料は酸化電位によって制限されない。絶縁障壁層の代わりに、ハウジングはセラミック又は適当なポリマーのような高融点の非金属材料から作成することができるであろう。
【0050】
幾つかの実施形態によると、カソード物質は発泡支持体上に付着させることができる。別の実施形態では、図3Iに示されているように、支持物質がセパレーターを支持してもよい。かかる支持体は熱サイクル、圧力差、及び振動によって生じる損傷を低下又は排除することができる。
【0051】
図3Jを参照すると、2つの断面が卵形のセパレーターが提供されている。図3Jに示されているように、偶数のセパレーターを有する実施形態は、ハウジング内で中央に位置するセパレーターを有する必要はない。むしろ、ハウジングの軸は2以上のセパレーターの間に位置することができる。
【0052】
複数の電気化学セルを1つのエネルギー貯蔵システム内に並べることができる。多数のセルを直列又は並列に配列してスタックを形成することができる。このスタックの出力及びエネルギーの定格は、スタックの大きさ又はスタック内のセルの数のような要因に依存し得る。他の要因は最終用途の特定の基準に基づき得る。
【0053】
様々な実施形態のエネルギー貯蔵装置は約0.1キロワット時(kWh)〜約100kWhの範囲の量のエネルギーを貯蔵することができる。一実施形態のエネルギー貯蔵装置は100ワット時/キログラム超のエネルギー/重量比、及び/又は160ワット時/リットル超のエネルギー/体積比を有する。別の実施形態のエネルギー貯蔵装置は150ワット/キログラム超の比出力定格を有する。
【0054】
適切なエネルギー貯蔵装置は10対1未満の特定用途向けの出力対エネルギー比を有し得る。一実施形態では、特定の出力対エネルギー比は約1:1〜約2:1、約2:1〜約4:1、約4:1〜約6:1、約6:1〜約8:1、又は約8:1〜約10:1の範囲である。他の実施形態では、特定の出力対エネルギー比は約1:1〜約1:2、約1:2〜約1:4、約1:4〜約1:6、約1:6〜約1:8、又は約1:8〜約1:10の範囲である。
【0055】
幾つかの実施形態は複数のセルと連通しそれらの出力を調節するための制御装置を含み得る。この制御装置は、セルの充電状態を指示するフィードバック信号に応答してセルスタック内の選択されたセルに電気的負荷を分配することができる。幾つかの実施形態によると、制御装置は、1以上の加熱素子に所定の順に電圧を印加してエネルギー貯蔵装置の凍結した部分を溶融させる再暖機法を実行するように作動可能である。
【0056】
適切な制御装置としては、比例−積分−微分 制御装置(PID制御装置)を挙げることができる。この制御装置はプロセス又は他の装置からの値を測定し、その値を基準設定値と比較することができる。その差(すなわち「エラー」信号)を用いて、プロセスの測定値をその所望の設定値に戻すためにプロセスの1以上の入力を調整することができる。
【0057】
幾つかの実施形態は、装置の溶融した部分が凍結するのを防止するためのコンポーネント又はサブシステム、すなわち凍結保護系を含み得る。本発明の実施形態に使用するのに適した凍結保護系はマトリックス材料の凝固点を低下させる共融添加剤を含むことができる。別の実施形態では、凍結保護系は溶融プロフィールに影響を及ぼし、及び/又はマトリックスの熱膨張特性を変化させる少なくとも1種の添加剤を含んでいてもよい。さらに他の実施形態では、凍結保護系はセル試薬の凍結を防止するのに十分な最小加熱レベルを維持することができる解凍プロフィールを有するヒーターを含んでいてもよい。その他の実施形態はエネルギー貯蔵装置が冷た過ぎる場合にはこれを暖め、エネルギー貯蔵装置が暖か過ぎる場合にはこれを冷却することができる加熱管理装置又はサブシステムを含み得る。
【0058】
もう1つ別の実施形態では、二元エネルギー貯蔵装置を含むエネルギー管理システムが提供される。適切な二元エネルギー貯蔵装置は第1のエネルギー貯蔵装置、及びこの第1のエネルギー貯蔵装置とは異なる第2のエネルギー貯蔵装置を含み得る。幾つかの実施形態では、第1のエネルギー貯蔵装置はより高い出力対エネルギー比を有し得る。幾つかの実施形態では、第2のエネルギー貯蔵装置はより低い出力対エネルギー比を有し得る。従って、幾つかの実施形態では、第1のエネルギー貯蔵装置は大きい量のエネルギーを迅速に短時間で放出することができ、第2のエネルギー貯蔵装置はより少ない量のエネルギーをより長い時間にわたってゆっくり放出することができる。幾つかの実施形態は、エネルギー貯蔵効率を高めることができ、及び/又は出力送出を増大することができる。適切な制御装置は必要に応じていずれか一方のエネルギー貯蔵装置から取り出し、また再充電することができる。
【0059】
出力増大のために適切な第2のエネルギー貯蔵装置としては、限定されることはないが、リチウムイオン電池、ニッケル金属水素化物、又はウルトラキャパシターを挙げることができる。適切なリチウムイオン電池には、リチウムポリマー電池が含まれ得る。一実施形態では、第2のエネルギー貯蔵装置は亜鉛マトリックス電池を含み得る。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は本発明の方法と実施形態を例証することを意図したのみのものであり、従って特許請求の範囲に限定を課するものと解してはならない。特に断らない限り、全ての成分はAlpha Aesar社(米国マサチューセッツ州ワードヒル)、Spectrum Chemical Mfg社(米国カリフォルニア州ガーデナ)などの一般の化学品供給業者から市販されている。
【0061】
実施例1−電極の調製
発泡した炭素に銅層、亜鉛層、又はニッケル層を適宜電気メッキすることにより、1.25cm×1.25cm×2mm厚の寸法を有する幾つかの金属で被覆された炭素発泡体電極を調製する。この炭素発泡体はERG Materials and Aerospace社(米国カリフォルニア州オークランド)から得ることができる。この発泡体電極は網状ガラス質炭素(RVC)発泡体の炭素質骨格を有する。この炭素発泡体の細孔密度は1インチ当たりの細孔数100(PPI)であり、細孔径は平均約100μmである。
【0062】
電気メッキは適宜銅、亜鉛、又はニッケルの水溶液中で行う。メッキが炭素発泡体を包んで調製金属被覆多孔質電極基材を形成する。幾つかのニッケル被覆多孔質電極をさらに亜鉛溶液中に浸漬し、亜鉛金属をニッケル層上にメッキして二元金属カソードを形成する。幾つかの銅被覆多孔質電極をさらに亜鉛溶液に浸漬し、亜鉛金属を銅層上にメッキして二元金属カソードを形成する。
【0063】
完成した金属被覆炭素発泡体電極を分析し特性を決定する。銅被覆電極基材の表面は光学顕微鏡で200倍に拡大して滑らかで輝いて見える。有効銅密度は約0.01g/cm3である。ニッケル被覆電極基材の表面は光学顕微鏡で200倍に拡大して滑らかで輝いて見える。有効ニッケル密度は0.01g/cm3である。
【0064】
亜鉛被覆ニッケル電極基材の表面は光学顕微鏡で200倍に拡大して鈍く節があるように見える。有効亜鉛密度は0.49g/cm3である。ニッケル電極上の亜鉛のメッキ金属は約0.2μmの厚さであり、作用電極は長方形の断面厚さが1.5cmで、深さが2mmである。
【0065】
亜鉛被覆多孔質電極をZnCl2:NaCl溶融物中100mA/cm2で充電・放電サイクルにかける。充電曲線を図4に示す。電位曲線は参照文字「a」で示し、電荷は参照文字「b」で示す。
【0066】
発泡ニッケル及び市販のコバルト被覆発泡ニッケルの支持構造体上に銅層又は亜鉛層を無電解メッキすることによって、1.25cm×1.25cm×2mm厚の寸法を有する追加の一組の電極を調製する。このニッケル発泡体はInco社(カナダ、トロント)及びMarketech International社(米国ワシントン州ポートタウンゼンド)から入手することができる。これらの発泡電極はニッケル発泡体の骨格を有する。密度は約0.45g/cm3、表面積密度は約500g/m2、気孔率は95%、そして細孔径は約40ppcm(100ppi)である。
【0067】
実施例2−セパレーターの調製
複数のセパレーターを調製する。これら複数の中には2つのグループのセパレーターが含まれ、各々安定剤相の種類が異なる。この2つの異なるジルコニア相の種類には、(i)8mol%Y23安定化立方相ジルコニア(8YSZ)及び(ii)4.5mol%Y23安定化正方及び立方相ジルコニア(4.5YSZ)がある。
【0068】
安定化ジルコニアを使用して形成されるセパレーターは3種類のディスクとして形成される。これら3種類のディスクには2種類の(i)、及び1種類の(ii)が含まれる。これら3つの試料の組は、(a)50体積%α−アルミナ+50体積%8YSZ、(b)70体積%α−アルミナ+30体積%8YSZ、及び(c)50体積%α−アルミナ+50体積%4.5YSZの組成を有するとして特徴付けられる。組成(a)、(b)、及び(c)の2.5mm厚のディスク形状の試料を、必要な粉末混合物を使用して製造し、ダイプレスした後、静水圧プレス成形し、次いで空気中1600℃で焼結する。これらの焼結したディスクを粉末混合物中に入れる。この粉末混合物は8.85wt%Na2O、0.75wt%Li2O、及び90.45wt%Al23の組成を有する。これら粉末中のディスクを1250℃で2時間カ焼してナトリウム−β″−アルミナを形成し、反応中ナトリウム及びリチウムの酸化物源として機能する。試料を1450℃に2〜約16時間維持する。試料の横断面を取り、生成したナトリウム−β″−アルミナの厚さを測定する。
【0069】
組成(a)の1つの試料を1450℃でより長い時間(32時間)さらに熱処理して、確実に全体を完全にNa−β−アルミナに変換する。導電率(σ)をセ氏約200〜約500度の範囲で測定した。活性化エネルギーは約15.7キロジュール/モル(kJ/mol)と測定される。300℃における導電率は0.0455ジーメンス/cm(S/cm)である(抵抗率22オーム−cm(Ωcm))。この試料は50体積%のジルコニアを有する。また、Na−β−アルミナの粒度は数μmである。この測定された導電率は細粒構造のNa−β−アルミナで報告された値と一致している。
【0070】
実施例3−テストセルの形成、及びその試験
円筒形の形状の複合セパレーター管を、組成(a)を使用して実施例2の方法に従って形成する。この円筒の寸法は長さ228mm、内径36mm、及び外径38mmである。この複合セパレーター管をαアルミナカラーにガラスシールする。このアセンブリをステンレス鋼缶に入れる。この缶の大きさは約38mm×38mm×230mmである。複合セパレーターは50gのCu、22gのNaCl、及び25gのNaAlCl4を含有する。さらに、11gの網状ガラス質炭素をカソードに添加して、充電と放電間のCuClの沈降を防止する。電気ヒーターでセルを包囲する。作動中、セルを300℃の作動温度に加熱する。セルは、電流4アンペア及び12アンペアで充放電させる。数サイクルの充放電の後、セルを停止し、冷却し、検査する。セパレーター粒の顕微鏡検査により、隙間への銅の含浸がないことが示される。
【0071】
参照電極はβアルミナ管にシールされたナトリウム金属である。集電器は、管壁を通って延び、作動中アノード物質(Na)によって濡らされる0.5−mmのPt線である。作用電極は実施例1の亜鉛被覆ニッケル電極である。二次電極はニッケルのみが被覆された発泡体電極である。
【0072】
作用電極及び二次電極用の集電器はチタンから形成された長方形のパドルであり、発泡体を主体とする電極と同じ断面形状及び面積を有する。これらのパドルは1−mmのTi線にスポット溶接される。数片の不織ホウケイ酸塩−ガラス−繊維ろ過材(Whatman GF/C)を厚さ0.15cmに積み重ねる。追加のガラスろ過材をTiパドルの背面上に配置する。長さ1−mmのチタン線をW形に曲げることによってばねを作る。このばねはチタンパドルの背面を押し、アセンブリ全体を少し圧縮する。パドルの背面上の追加のガラス媒質により、電気的絶縁が得られるため、ばねは2つの電極間の電気的通路を形成しない。
【0073】
3つの電極の接続線が、フラスコの中央の首部に嵌るPTFEテーパー付きプラグを貫通する。湿気に感受性のナトリウム電極は、N2パージした乾燥グローブバッグを用いて最後に接続する。これらの線を調整して、発泡体電極が溶融塩中に十分に浸漬するようにする。ナトリウム参照電極は作用/二次電極アセンブリに隣接しているが、外部にある。
【0074】
外部の線の端部をコンピューターに接続されたガルバノスタット(PARSTAT 2273、AMETEK Princeton Applied Research社(米国テネシー州オークリッジから入手可能)に接続し、定電流データを測定する。作用電極は最初に3600秒100ミリアンペア(mA)で酸化され、次に400ミリアンペアで900秒還元される。Naに対する開回路電位は2.077ボルトと測定される。充電電圧は2.17ボルトであり、放電電圧は2.02ボルトである。全てのZnがNi被覆発泡体から枯渇したとき、開回路電圧は2.58ボルトである。
【0075】
実施例4−試験エネルギー貯蔵装置の形成
β″−アルミナ管と銅管を使用してエネルギー貯蔵装置を形成する。β″−アルミナ管は内径6.5mm、外径8.6mm、及び全長68mmである。銅管はそのβ″−アルミナ管を受容する大きさと形状である。銅管は内径12.7mmを有する。β″−アルミナ管を銅管の内部に入れる。銅管に加えて、1.2gの塩化ナトリウム及び3.4gの電解質AlCl3:NaClをβ″−アルミナ管内面と銅管外面との間の空間に入れる。β″−アルミナ管の内部に、(集電器としての)1mmの直径のニッケル線と接触させて0.2gのナトリウムを入れる。
【0076】
エネルギー貯蔵装置本体とβ″−アルミナ管の内部のニッケル集電器とをPARポテンショスタット/ガルバノスタットModel 2273に接続する。電気ヒーターでエネルギー貯蔵装置を包囲する。試験中、ヒーター(続いてエネルギー貯蔵装置)を300℃の作動温度に加熱する。
【0077】
電流0.025Aで合計電荷1360クーロンまでの初期充電サイクルの後、エネルギー貯蔵装置を電流0.5A(61.8mA/cm2)で140回充放電させる。1サイクル当たりの電荷は500クーロンである。電池の端子間の電圧はサイクルの際におよそ2ボルトと3.2ボルトの間で振動する。電池抵抗の増大は観察されない。
【0078】
実施例5−試験エネルギー貯蔵装置の形成
各々が商業的に入手できる円筒形β″−アルミナ管を含む2つのエネルギー貯蔵装置を建造する。これらの管は安定剤を含有していなかった。また各々の管は粒子間に存在するアルミン酸ナトリウムを有しており、これらの粒子はかなりの大きさであった。各々の管は内径36mm、外径38mm、及び全長228mmである。ニッケル箔をαアルミナカラーに熱圧縮接合する。β″−アルミナ管を箔で被覆されたαアルミナカラーにガラスシールしてアセンブリを形成する。このアセンブリを概略寸法38mm×38mm×230mmの正方形のステンレス鋼ハウジングの内部に入れる。このアセンブリをハウジングに溶接してハーメチックシールを作成する。ニッケル箔とαアルミナカラーはアセンブリ内の開口を画成する。その開口を介してβ″−アルミナ管にカソード物質及び他の物質を充填する。β″−アルミナ管の内部に、100gの銅、44gの塩化ナトリウム、1gのアルミニウム、及び48gのNaAlCl4の形態の電解質を充填する。ニッケルロッドをアノード物質と接触させてβ″−アルミナ管の中央に入れて集電器として機能させる。開口を金属キャップで覆う。このキャップをカラーに溶接して完全に密閉された電池を作成する。
【0079】
この電池の理論容量は20.18アンペア−時である。電気ヒーターでエネルギー貯蔵装置を包囲する。ヒーターのスイッチを入れて、ハウジングの温度を約350℃の作動温度に上げる。電流2.0アンペアで合計電荷17.95アンペア−時(64620クーロン)までの初期の低電流充電サイクルの後、エネルギー貯蔵装置を電流2アンペア及び4アンペア(電池全体に対する6アンペア及び12アンペアと等価)で電荷・充放電する。
【0080】
両方のエネルギー貯蔵装置の電圧は互いに類似しており、放電サイクルを通して平坦である。これらの電池の容量は温度に依存しており、300℃において等価な2アンペアの放電の結果は2.25アンペア−時であり、380℃における2アンペアの放電では8.75アンペア−時となる。
【0081】
これらの試験電池は比較的に低い抵抗とより低い抵抗上昇対アンペア−時充電を有する。たった数サイクルで各β″−アルミナ管は割れた。銅はβ″−アルミナ管の壁を通って約1/3の距離まで移動する。
【0082】
実施例6−試験エネルギー貯蔵装置の形成
11gの炭素をカソード物質に加える以外は実施例5のエネルギー貯蔵装置と同じようにしてエネルギー貯蔵装置を製造する。加えた炭素は充電モードの作動及び放電モードの作動中のCuClの沈降を防止する。電気ヒーターでエネルギー貯蔵装置を包囲する。ヒーターを始動させて約300℃の作動温度にエネルギー貯蔵装置を加熱する。
【0083】
電流3〜15アンペアで合計電荷10アンペア−時までの初期の定電圧充電サイクルの後、エネルギー貯蔵装置を4アンペア及び12アンペアの電流で充放電する。この電池の充電性能は実施例4のエネルギー貯蔵装置の充電性能とほぼ同じである。放電電圧もほぼ同じである。実施例4のエネルギー貯蔵装置との差は、放電の際のCuClの利用率がより高いことであり、実施例4の装置の平均約50%と比較して85%である。たった数サイクルの後、セパレーター管は割れた。銅はβ″−アルミナ管の壁を通って約1/3の距離まで移行する。
【0084】
実施例7−試験エネルギー貯蔵装置の形成
β″−アルミナ管が異なる以外は実施例6と同じようにして、エネルギー貯蔵装置を建造する。この実施例のβ″−アルミナ管は蒸気相含浸プロセスによって製造される。β″−アルミナ管は、実施例5と6で使用した管と比べて粒子隙間相内のアルミン酸ナトリウムが少ない。この実施例のエネルギー貯蔵装置の性能は実施例6のエネルギー貯蔵装置と類似である。差は、使用後β″−アルミナ管の壁内への銅の含浸又は移行がないことである。
【0085】
本明細書で使用する場合、カソード物質は、充電中電子を供給する物質であり、レドックス反応において、その反応の側で関与する電気化学反応物質の約5重量%より多い部分として存在する。本明細書及び特許請求の範囲を通じて使用する場合、概略表現は、その関係し得る基本的な機能に変化を生じさせることなく変化し得るあらゆる定量的表示を修飾するために使用し得る。従って、「約」のような用語により修飾された値はその特定された正確な値に限定されることはない。幾つかの場合において、概略表現はその値を測定する機器の精度に相当し得る。
【0086】
本明細書に記載した実施形態は、特許請求の範囲に記載の本発明の要素に対応する要素を有する組成物、構造体、システム・系及び方法の例である。この説明により、当業者は、同様に特許請求の範囲に記載の本発明の要素に対応する代わりの要素を有する実施形態を実施し使用することができる。従って、その範囲には、特許請求の範囲の文言と異ならない組成物、構造体、システム・系及び方法が含まれ、さらに、特許請求の範囲の文言とは実質的な差がある他の組成物、構造体、システム・系及び方法が包含される。本明細書では幾つかの特徴及び実施形態についてのみ例示し説明して来たが、多くの変更・修正及び変化が当業者には明らかであろう。特許請求の範囲はかかる変更・修正及び変化を全て包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチャンバーの少なくとも一部分を画成する第1の表面、及び第2のチャンバーを画成する第2の表面を有するセパレーターであって、第1のチャンバーが当該セパレーターを介して第2のチャンバーとイオン連通している、前記セパレーター、並びに
前記セパレーターと電気連通しており、金属ハロゲン化物を形成することができるカソード物質
を含んでなり、
支持構造体が前記第1のチャンバー又は第2のチャンバーの少なくとも1つの内部に配置されており、前記支持構造体は導電性であって集電器と電気連通しており、前記カソード物質は前記支持構造体の表面上に支持されている、物品。
【請求項2】
支持構造体が連続マトリックスである、請求項1記載の物品。
【請求項3】
支持構造体がセパレーターの第1の表面から離れて延びていて、約0.1〜約20mmの範囲の厚さを有する層を形成する、請求項1記載の物品。
【請求項4】
セパレーターがほぼ平面状であり、周辺端部を有する、請求項1記載の物品。
【請求項5】
セパレーターが平坦である、うねっている、半球状である、又は窪みがある、請求項4記載の物品。
【請求項6】
セパレーターが、楕円形、三角形、長方形、十字形、又は星形である軸に垂直な断面形状を有する、請求項1記載の物品。
【請求項7】
セパレーターが、円形、クローバー葉形、又は正方形である軸に垂直な断面形状を有する、請求項1記載の物品。
【請求項8】
第2のチャンバー全体が第1のチャンバー内に配置されている、請求項1記載の物品。
【請求項9】
支持構造体が第一鉄に基づく合金からなる、請求項1記載の物品。
【請求項10】
支持構造体がセラミックからなる、請求項1記載の物品。
【請求項11】
支持構造体が炭素からなる、請求項1記載の物品。
【請求項12】
炭素支持構造体がガラス質炭素である、請求項11記載の物品。
【請求項13】
支持構造体が金属である、請求項1記載の物品。
【請求項14】
カソード物質が亜鉛であり、支持構造体が銅、ニッケル、モリブデン、タングステン、及びチタンからなる群から選択される金属である、請求項13記載の物品。
【請求項15】
カソード物質が銅であり、支持構造体がニッケル、モリブデン、タングステン、及びチタンからなる群から選択される金属である、請求項13記載の物品。
【請求項16】
支持構造体が多孔質である、請求項1記載の物品。
【請求項17】
多孔質支持構造体が発泡体、メッシュ、織物・編物、マット、又は多数の繊維である、請求項16記載の物品。
【請求項18】
多孔質支持構造体が粉末である、請求項1記載の物品。
【請求項19】
支持構造体の細孔が約1μm超の平均直径を有する、請求項16記載の物品。
【請求項20】
支持構造体の細孔が約250μm未満の平均直径を有する、請求項16記載の物品。
【請求項21】
支持構造体の細孔が約10〜約50μmの範囲の平均直径を有する、請求項16記載の物品。
【請求項22】
支持構造体が約0.1m2/g超の比表面積を有する、請求項16記載の物品。
【請求項23】
支持構造体が約10m2/g未満の比表面積を有する、請求項16記載の物品。
【請求項24】
支持構造体が約30%未満の体積密度を有する、請求項16記載の物品。
【請求項25】
支持構造体の細孔が、カソード物質の塩形態から元素形態への電気化学的変換により形成されるか、又は導電性イオンの元素形態から塩形態への電気化学的変換により形成される粒子の粒度に基づいて選択される平均直径を有する、請求項16記載の物品。
【請求項26】
支持構造体が、化学蒸着、無電解メッキ、粉体塗装、又は浸漬塗装によりカソード物質で被覆されている、請求項1記載の物品。
【請求項27】
支持構造体が電気メッキによりカソード物質で被覆されている、請求項1記載の物品。
【請求項28】
支持構造体が、その上に支持されるカソード物質の有効密度として、約0.01g/cm3超の有効密度を有する、請求項1記載の物品。
【請求項29】
支持構造体が、その上に支持されるカソード物質の有効密度として、約0.5g/cm3超の有効密度を有する、請求項1記載の物品。
【請求項30】
支持構造体が、約0.2μm超の厚さを有するカソード物質の層を支持する、請求項1記載の物品。
【請求項31】
支持構造体が、約200倍の拡大倍率で節がある外観を有するカソード物質の層を支持する、請求項1記載の物品。
【請求項32】
支持構造体が、連続的なカソード物質の層を支持する、請求項1記載の物品。
【請求項33】
支持構造体が複数の副層を含む、請求項1記載の物品。
【請求項34】
複数の副層が、少なくとも1つのボンディング層若しくは接着層、導電層、耐食層、又は充電状態指示層、及び最外層としての活性層を含んでおり、活性層がカソード物質を含む、請求項33記載の物品。
【請求項35】
複数の副層が活性層を含んでおり、活性層が異なるカソード物質の2つの副層を含む、請求項33記載の物品。
【請求項36】
支持構造体表面上のカソード物質が、セパレーターの第1の表面に隣接しており、そこから離れて延びている、請求項1記載の物品。
【請求項37】
物品が細長くて軸を画成しており、前記軸が使用中ほぼ垂直であって、軸方向に上昇方向及び下降方向があるように、物品が構成されており、支持構造体がカソード物質を含有するチャンバー内に配置されており、支持構造体が、軸を取り囲み軸方向に互いに間隔をあけた複数のプレートを含んでいる、請求項1記載の物品。
【請求項38】
前記プレートがカソード物質の軸方向の領域を画成しており、前記プレートが、連続で電気的に絶縁性であり、1つの軸方向の領域を別の軸方向の領域から電気的に絶縁するように構成されている、請求項37記載の物品。
【請求項39】
前記プレートがカソード物質の軸方向の領域を画成しており、前記プレートが、不連続であるが、少なくとも幾らかの物質の1つの軸方向の領域から別の軸方向の領域への沈降を遮断する、請求項37記載の物品。
【請求項40】
さらに、前記複数のプレートを貫通して延びる集電器を含む、請求項37記載の物品。
【請求項41】
第2のチャンバーが細長くて軸を画成する、請求項1記載の物品。
【請求項42】
第1のチャンバーが前記軸に関して同軸に配置される、請求項41記載の物品。
【請求項43】
互いに軸方向に間隔をあけた少なくとも2つの領域があり、添加剤の濃度が領域1と領域2で異なるか、又はカソード物質の種類が領域1と領域2で異なるか、又はカソード物質の量が領域1と領域2で異なるか、又は各々の領域に複数のカソード物質が存在しており第1のカソード物質と第2のカソード物質の比が領域1と領域2で異なるか、の少なくとも1つがある、請求項41記載の物品。
【請求項44】
さらに、領域1を領域2から分離するプレートを含む、請求項43記載の物品。
【請求項45】
前記プレートがほぼ平坦であり前記軸を横断する、請求項44記載の物品。
【請求項46】
前記プレートがほぼ円錐形で上方に開放しており、相対的により重い又はより密度の濃い物質がプレートの内面に沿って軸の方に移行又は流下する、請求項44記載の物品。
【請求項47】
前記プレートがほぼ円錐形で下方に開放しており、wherein 相対的により重い又はより密度の濃い物質がプレートの外側に向いた表面に沿って軸から離れて移行又は流下する、請求項44記載の物品。
【請求項48】
互いに半径方向に間隔をあけた少なくとも2つのゾーンがあり、添加剤の濃度がゾーン1とゾーン2で異なるか、又はカソード物質の種類がゾーン1とゾーン2で異なるか、又はカソード物質の量がゾーン1とゾーン2で異なるか、又は各々のゾーンに複数のカソード物質が存在しており第1のカソード物質と第2のカソード物質の比がゾーン1とゾーン2で異なるか、の少なくとも1つがある、請求項42記載の物品。
【請求項49】
請求項1記載の物品を含むエネルギー貯蔵装置。
【請求項50】
第1のチャンバーの少なくとも一部分を画成する第1の表面、及び第2のチャンバーを画成する第2の表面を有するセパレーターであって、第1のチャンバーが当該セパレーターを介して第2のチャンバーとイオン連通している、前記セパレーター、
前記セパレーターと電気連通しており、金属ハロゲン化物を形成することができるカソード物質、並びに
連続マトリックスであり、前記第1のチャンバー又は第2のチャンバーの少なくとも1つの内部に配置された支持構造体
を含んでなり、前記カソード物質が前記支持構造体の表面上に支持されている、物品。
【請求項51】
第1のチャンバーの少なくとも一部分を画成する第1の表面、及び第2のチャンバーを画成する第2の表面を有するセパレーターであって、第1のチャンバーが当該セパレーターを介して第2のチャンバーとイオン連通している、前記セパレーター、
前記セパレーターと電気連通しており、金属ハロゲン化物を形成することができるカソード物質、並びに
カソード物質を支持する手段
を含んでなる物品。
【請求項52】
支持構造体をハウジング内に配置し、ここで前記ハウジングは細長く、支持構造体の第1の端部が相対的に軸方向で下にある支持構造体の第2の端部に対して軸方向で上方にあるように直立の位置に配向し得る軸を規定し、
第1のカソード物質を第1の量及び第1の濃度で支持構造体の表面上に配置して、軸方向で下方の部分を含浸又は被覆し、
第2のカソード物質を第2の量及び第2の濃度で支持構造体の表面上に配置して、軸方向で上方の部分を含浸又は被覆し、
ハウジングを密封する
ことを含んでなる方法。
【請求項53】
第1のカソード物質と第2のカソード物質が同じであるが、第1の濃度が第2の濃度と異なる、請求項52記載の方法。
【請求項54】
第1のカソード物質と第2のカソード物質が異なる、請求項52記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−529638(P2010−529638A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512231(P2010−512231)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/062843
【国際公開番号】WO2008/156927
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】