説明

エラストマーに室温加硫可能なオルガノポリシロキサン組成物及び新規なオルガノポリシロキサン重縮合触媒

本発明は、重縮合によって架橋され、かつアルキルスズベースの触媒を含まない、エラストマーへ室温で加硫され得るオルガノポリシロキサン組成物に関し、また新規なオルガノポリシロキサン重縮合触媒にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重縮合によって架橋され、かつ毒性の問題を呈するアルキル錫系触媒を含有しない、エラストマーへ室温で加硫され得るオルガノポリシロキサン組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、シリコーン化学における新規な重縮合触媒に、及びオルガノポリシロキサン類の重縮合反応のための触媒としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
重縮合を介して架橋するエラストマー処方物は一般にはシリコーン油、一般には、アルコキシ末端を有するようにシランによって場合により予め官能化された、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン、架橋剤、重縮合触媒、従来通り錫塩又はアルキルチタン酸塩、補強材及び他の任意の添加物、例えば、増量剤、接着促進剤、着色剤、殺生剤などを含む。
【0004】
これらの室温加硫オルガノポリシロキサン組成物は周知であり、2つの異なる群:単一成分組成物(RTV−1)及び二成分組成物(RTV−2)に分類される。
【0005】
架橋の間、水(RTV−1組成物の場合には大気中の湿度によって与えられるか、又はRTV−2組成物の場合には組成物の一部に導入される)によって重縮合反応が可能になり、これでエラストマーの網目状構造の形成が生じる。
【0006】
一般には、単一成分(RTV−1)組成物は、それらが空気の湿度に晒された場合架橋する。言い換えると、閉じた媒体中では架橋できない。例えば、シーラント又は低温硬化接着剤として用いられる単一成分のシリコーン組成物は、アセトキシシラン、ケチミノキシシラン、アルコキシシランなどのタイプの反応性官能基の加水分解、続いて、形成されるシラノール基と他の残余の反応性官能基との間の重縮合反応の機構に従う。この加水分解は一般には、大気に晒された表面からその物質に拡散する水蒸気により生じる。一般には、この重縮合反応の反応速度は極めて遅い。つまり、これらの反応は、適切な触媒によって触媒される。用いられる触媒としては、錫、チタン、アミンを主成分とする触媒、又はこれらの触媒の組成物が利用される場合が最も多い。錫(詳しくは仏国特許第2557582号参照)及びチタン(特に仏国特許第2786497号参照)に基づく触媒が極めて効果的な触媒である。
【0007】
二成分組成物に関しては、それらは2つの成分の形態で販売及び貯蔵されており、第一の成分はベースの重合体物質を含有しており、第二の成分は触媒を含有する。2つの成分は使用の時点で混合されて、その混合物は比較的硬いエラストマーの形態で架橋する。これらの二成分組成物は周知であり、かつ、特にWalter Nollの書籍「Chemistry and Technology of Silicones」1968,第2版,第395〜398頁に記載されている。これらの組成物は本質的には以下の4つの異なる成分を含む:
−反応性のα,ω−ジヒドロキシジオルガノポリシロキサン重合体、
−架橋剤、一般にはケイ酸塩又はポリケイ酸塩、
−錫触媒、及び
−水。
【0008】
通常、縮合触媒は、有機錫化合物を主成分とする。実際、既に、多くの錫系触媒がこれらのRTV−2組成物の架橋触媒として提案されている。最も広範に用いられる化合物は、アルキル錫カルボキシレート類、例えば、トリブチル錫モノオレエート又はジアルキル錫ジカルボキシレート類、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート又はジメチル錫ジラウレート(Nollの書物「Chemistry and Technology of silicones」第337頁,Academic Press,1968−第2版又は欧州特許第147323号又は同第235049号を参照のこと)。
【0009】
しかし、アルキル錫系触媒類は、極めて効果的であり、通常無色での液体でシリコーン油の中に可溶ではあるものの、毒性であるという欠点を有する(生殖に対するCMR2毒性)。
【0010】
チタン系触媒類はまた、RTV−1組成物中で広範に用いられるが、大きな欠点を有する。それらは、錫系触媒類よりも反応速度が遅い。さらに、これらの触媒はゲル化の問題のためRTV−2組成物には用いることができない。
【0011】
亜鉛、ジルコニウム又はアルミニウムを主成分とする触媒など他の触媒類が言及される場合があるが、それらは有効性に乏しいのでわずかな産業開発しかなされていない。
【0012】
従って、持続可能な発展のために、オルガノポリシロキサン類の重縮合反応のための非毒性の触媒を開発する必要がある。
【0013】
オルガノポリシロキサン類の重縮合反応の触媒のための別の重要な局面はポットライフであり、言い換えれば、組成物が混合後硬化なしに用いられ得る時間である。この時間は、使用できる程度に長くなければならないが、製造された後長くとも2〜3分又は2〜3時間取り扱い可能な成形品得ることができる程度に短くなければならない。従って、この触媒は、触媒された混合物のポットライフとその成形品を取り扱うことができる時間の周期との兼ね合いを良好なものにすることを可能にしなければならない(これらの時間は、例えば、成形又はシールの製造などの目的の適用に依存する)。さらに、この触媒は触媒された混合物に対して、貯蔵時間に応じて変化しない広がり時間を与えなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】仏国特許第2557582号
【特許文献2】仏国特許第2786497号
【特許文献3】欧州特許第147323号
【特許文献4】欧州特許第235049号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Walter Noll,「Chemistry and Technology of Silicones」、1968年、第2版、395〜398頁
【非特許文献2】Noll,「Chemistry and Technology of silicones」、337頁、Academic Press、1968年、第2版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の主要な目的は、単一成分及び二成分のエラストマー組成物の架橋の両方で用いられ得る触媒を見出すことである。
【0017】
本発明の別の主要な目的は、2つのタイプの単一成分及び二成分のエラストマー組成物の貯蔵の、処理の、及び架橋の制限を同時に満たし続ける触媒系を提案することである。
【0018】
本発明の別の主要な目的は、2つのタイプの単一成分及び二成分のエラストマー組成物の貯蔵の、処理の、及び架橋の制限を同時に満たし続ける触媒系を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
オルガノポリシロキサン組成物が現在見出されており、それが本発明の主題を構成しており、一方では、シリコーンエラストマーへ重縮合反応を介して硬化し得るシリコーンベースBを、他方では、下の式(1)の金属錯体又は塩Aである少なくとも1つの重縮合触媒の触媒有効量を含むことを特徴とし:
[Mo(L1r1(2r2(Y)x](1)
式中:
−r1≧1、r2≧0及びx≧0であり;
−記号L1はカルボン酸陰イオンである配位子を表し、かつr1≧2である場合、記号L1は同一であるか又は異なり、
−記号L2はL1とは異なる陰イオン配位子を表し、かつr2≧2である場合、記号L2は同一であるか又は異なり、及び
−記号Yは中性の配位子を表し、かつx≧2である場合、記号Yは同一であるか又は異なる。
【0020】
「式(1)の金属錯体又は塩A」の定義は、上記金属錯体又は塩Aの任意のオリゴマー型又はアナログを含むこと解される。
【0021】
全く驚くべきことにかつ予想されないことに、オルガノポリシロキサン類のポリ縮合反応の優れた触媒を得るために、その少なくとも1つの配位子がカルボン酸陰イオンである所定の金属の金属錯体を使用することが望ましいということを見出したことは本発明者らの功績である。
【0022】
アルコラート配位子を有する金属の特定の錯体がオリゴポリシロキサンの重縮合反応で二流程度の活性しか有さないか、又は架橋作用を全く有さないということを今まで運命付けていた技術的先入観を本発明者らが克服したことも本発明者らの成果である(仏国特許第1423477号、第2頁)。
【0023】
配位子の定義は「Chimie Organometallique」[Organometallic Chemistry]Didier Astruc,2000年発行,EDP Sciencesの本からとっており、特に参照、第1章「Les complexes monometalliques」[Single metal complexes]、第31頁以下参照。
【0024】
天然の配位子Yの性質はそれほど重要ではなく、当業者は、該当の金属に適切な任意のタイプの天然の配位子を用いる。
【0025】
本発明による触媒は固体状態であっても液体状態であってもよい。これはまた単独で組み込まれてもよいし、又は適切な溶媒の中であってもよい。これが溶媒中である場合、シリコーン油が添加されてもよく、次にこの溶媒が蒸発されてシリコーン媒体中へ触媒を輸送する。得られた混合物は触媒ベースとして作用する。
【0026】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明による重縮合触媒は、下の式(1’)の金属錯体又は塩Aであり:
[Mo(L1r1(2r2](1’)
式中:
−r1≧1、及びr2≧0であり;
−記号L1はカルボン酸陰イオンである配位子を表し、かつr1≧2である場合、記号L1は同一であるか又は異なり、及び
−記号L2はL1とは異なる陰イオン配位子を表し、かつr2≧2である場合、記号L2は同一であるか又は異なる。
【0027】
本発明を行うためには、下の式の化合物(2)、(3)、(4)及び(5)
(2):[MoO2(OAc)2]、
(3):[MoO2(ヘプタノアート)2]、
(4):[MoO2(ナフテナート)2]、及び
(5):Mo[OOCCH(C25)C49x
によって構成される群から選択される金属錯体又は塩Aの、本発明による重縮合触媒としての利用が好ましい。
【0028】
本発明の性質の少なくとも一部は、重縮合触媒として用いられる金属錯体又は塩Aの既定の会合の思慮深くかつ有利な選択に起因することに注意すべきである。
【0029】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、上記配位子L1は以下の陰イオン類:酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、安息香酸イオン、イソ酪酸イオン、ステアリン酸イオン及びナフテン酸イオンによって構成される群より選択されるカルボン酸イオンである。
【0030】
本発明による金属錯体Aの構成要素の性質をさらに少々詳細に説明するためには、L2が以下の陰イオン類:フルオロ(F-)、クロロ(Cl-)、トリヨード(1-)(I3-、ジフルオロクロラト(1-)[ClF2-、ヘキサフルオロイオダト(1-)[IF6-、オキソクロラト(1-)(ClO)-、ジオキソクロラト(1-)(ClO2-、トリオキソクロラト(1-)(ClO3-、テトラオキソクロラト(1-)(ClO4-、ヒドロキソ(OH)-、メルカプト(SH)-、セラニド(SeH)-、ヒペルオキソ(O2-、オゾニド(O3-、ヒドロキソ(OH-)、ヒドロジスルフィド(HS2-、メトキソ(CH3O)-、エトキソ(C25O)-、プロポキシド(C37O)-、メチルチオ(CH3S)-、エタンチオラト(C25S)-、2−クロロエタノラト(C24ClO)-、フェノキシド(C65O)-、フェニルチオ(C65S)-、4−ニトロフェノラト[C64(NO2)O]-、ホルマト(HCO2-、ニトリド(N3-、シアノ(CN)-、シアナト(NCO)-、チオシアナト(NCS)-、セレノシアナト(NCSe)-、アミド(NH2-、ホスフィノ(PH2-、クロロアザニド(ClHN)-、ジクロロアザニド(Cl2N)-、[メタンアミナト(1-)](CH3NH)-、ジアゼニド(HN=N)-、ジアザニド(H2N-NH)-、ジホスフェニド(HP=P)-、ホスホニト(H2PO)-、ホスフィナト(H2PO2-、カルボキシラト、エノラト、アミド、アルキラト及びアリラトによって構成される群から選択され得る陰イオン性配位子であるということを特定することが重要である。
【0031】
特に好ましい実施形態によれば、L2は以下の陰イオン類:アセテート、プロピオネート、ブチレート、イソブチレート、ジエチルアセテート、ベンゾエート、2−エチルヘキサノエート、ステアレート、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、tert−ブトキシド、tert−ペントキシド、8−ヒドロキシキノリネート、ナフテナート、トロポロネート、及びオキシドO2-陰イオンによって構成される群より選択される陰イオン性配位子である。
【0032】
天然の配位子Yの性質は、それほど重要ではなく、当業者は該当の金属に適切な任意のタイプの天然の配位子を用いる。
【0033】
本発明の別の目的は、上記のような本発明による金属錯体又は塩Aのオルガノポリシロキサンの重縮合反応のための触媒としての使用からなる。
【0034】
本発明の別の目的は、式(2)〜(5):
(2):[MoO2(OAc)2]、
(3):[MoO2(ヘプタノアート)2]、
(4):[MoO2(ナフテナート)2]、及び
(5):Mo[OOCCH(C25)C49x
の錯体によって構成される群から選択される金属化合物の重縮合反応のための触媒としての使用からなる。
【0035】
本発明による重縮合触媒(金属錯体又は塩A)の量は、単一成分の調製物であろうと又は二成分の調製物であろうと、総重量の0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0036】
シリコーンベースBの説明:
重縮合反応を介して架橋及び硬化する本発明で用いられるシリコーンベースは周知である。これらのベースは多くの特許において詳細に記載されており、かつそれらは市販されている。
【0037】
これらのシリコーンベースは単一成分のベースであってもよく、これは言い換えれば、単一のパッケージ中に包装され、湿度が無ければ、貯蔵の間安定であり、湿度、特に、大気から、又はその使用の間そのベース内で生成される水によってもたらされる湿度の存在下で硬化し得る。
【0038】
単一成分のベースとは別に、二成分のベースを利用してもよく、これは、言い換えれば、ベースは2つのパッケージ中に包装され、本発明による触媒が組み込まれればすぐに硬化する。それらは触媒の組み込み後に、2つの別々の画分中にパッケージされ、画分の一方は、可能性としては、例えば、本発明による触媒だけ、又は架橋剤との混合物を含有する。
【0039】
本発明による組成物を作製するために用いられるシリコーンベースBは以下を含んでもよい:
−エラストマーへ重縮合を介して架橋し得る少なくとも1つのポリオルガノシロキサンオイルC;
−場合により少なくとも1つの架橋剤D;
−場合により少なくとも1つの接着促進剤E;及び
−場合により少なくとも1つのケイ質の、有機の及び/又は非ケイ質の無機充填剤F。
【0040】
このポリオルガノシロキサンオイルCは好ましくは、α,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサン重合体であり、粘度は25℃で50〜5000000mPa.sであり、架橋剤Dは好ましくは、1分子あたりケイ素原子に結合された3つ以上の加水分解性の基を有する有機ケイ素化合物である。ポリオルガノシロキサンオイルCはまた、ヒドロキシ官能基を有する前駆体と加水分解性基を有する架橋性シランとの縮合によって得られる加水分解性基によってその末端で官能化されてもよい。
【0041】
架橋剤(D)としては、以下が言及され得る:
−以下の一般式のシラン:
1kSi(OR2(4-k)
式中、記号R2は同一であるか、又は異なり、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又は2−エチルヘキシル基、C3−C6オキシアルキレン基を表し、記号R1は直鎖又は分枝の、飽和又は不飽和の、脂肪族炭化水素系基、飽和又は不飽和の及び/又は芳香族の、単環式又は多環式の炭素環基を表し、kは0、1又は2に等しい;ならびに
−このシランの部分的加水分解産物。
【0042】
3−C6アルコキシアルキレン基の例としては、以下の基を挙げることができる:
CH3OCH2CH2
CH3OCH2CH(CH3)−
CH3OCH(CH3)CH2
25OCH2CH2CH2
記号R1は以下を包含するC1−C10炭化水素系基に相当する:
−C1−C10アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル又はデシル基;
−ビニル及びアリル基;ならびに
−C5−C8シクロアルキル基、例えば、フェニル、トリル及びキシリル基。
【0043】
架橋剤Dは、シリコーン類の市場で入手可能な製品であり;さらに、室温硬化性組成物でのそれらの使用は公知である;これは、詳細には、仏国特許第1126411号、同第1179969号、同第1189216号、同第1198749号、同第1248826号、同第1314649号、同第1423477号、同第1432799号及び同第2067636号にある。
【0044】
架橋剤Dのなかでも、アルキルトリアルコキシシラン類、アルキルケイ酸塩類及びアルキルポリシリケート類が好ましく、ここでは有機基は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0045】
用いられ得る架橋剤Dの他の例としては、さらに詳細には以下のシラン類が言及され得る:
−プロピルトリメトキシシラン;
−メチルトリメトキシシラン;
−エチルトリメトキシシラン;
−ビニルトリエトキシシラン;
−メチルトリエトキシシラン;
−ビニルトリエトキシシラン;
−プロピルトリエトキシシラン;
−テトラエトキシシラン;
−テトラプロポキシシラン;
−1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン;
−1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン;及び
−テトライソプロポキシシラン、
あるいは:CH3Si(OCH33;C25Si(OC253;C25Si(OCH33
CH2=CHSi(OCH33;CH2=CHSi(OCH2CH2OCH33
65Si(OCH33;[CH3][OCH(CH3)CH2OCH3]Si[OCH32
Si(OCH34;Si(OC254;Si(OCH2CH2CH34;Si(OCH2CH2CH2CH34
Si(OC24OCH34;CH3Si(OC24OCH33;ClCH2Si(OC253。
【0046】
架橋剤Dの他の例としては、エチルポリシリケート又はn−プロピルポリシリケートが言及され得る。
【0047】
一般に、エラストマーに対して重縮合を介して架橋し得るポリオルガノシロキサンCの100重量部あたり0.1〜60重量部の架橋剤Dが利用される。
【0048】
従って、本発明による組成物は、少なくとも1つの接着促進剤E、例えば、有機ケイ素化合物類を含んでもよく、この化合物は以下の両方を有する:
(1)ケイ素原子に結合される1個以上の加水分解性基、及び
(2)窒素原子を含む基で置換されている1個以上の有機基、又は(メタ)アクリレート、エポキシ及びアルケニル基の群から、及びなおさらに好ましくは単独で又は混合物としてとられる以下の化合物類によって構成される群から選択される基:
ビニルトリメトキシシラン(VTMO);
3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO);
メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO);
[H2N(CH23]Si(OCH2CH2CH33
[H2N(CH23]Si(OCH33
[H2N(CH23]Si(OC253
[H2N(CH24]Si(OCH33
[H2NCH2CH(CH3)CH2CH2]SiCH3(OCH32
[H2NCH2]Si(OCH33
[n−C49−HN−CH2]Si(OCH33
[H2N(CH22NH(CH23]Si(OCH33
[H2N(CH22NH(CH23]Si(OCH2CH2OCH33
[CH3NH(CH22NH(CH23]Si(OCH33
[H(NHCH2CH22NH(CH23]Si(OCH33
【0049】
【化1】


【化2】

又は20%を超える含量でこのような有機基を含むポリオルガノシロキサンオリゴマー類。
【0050】
単一成分及び二成分のベースについては、平均粒子径が0.1μm未満である、極めて微細に分割された製品の無機充填剤Fとして利用される。これらの充填剤は、ヒュームドシリカ及び沈降シリカを含み;それらのBET比表面積は一般には40m2/gより大きい。これらの充填剤はまた、0.1μmより大きい平均粒子径を有する、それより粗く分割された製品の形態であってもよい。このような充填剤の例としては、粉末石英、珪藻土、炭酸カルシウム、焼粘土、ルチル型酸化チタン、鉄、亜鉛、クロム、ジルコニウム、又は酸化マグネシウム、種々の形態のアルミナ(水和又は未水和)、窒化ホウ素、リトポン、メタホウ酸バリウム、硫酸バリウム及びガラスマイクロビーズを挙げることが可能であり;それらの比表面積は一般には30m2/g未満である。
【0051】
これらの充填剤は、この目的のために慣習的に使用される種々の有機ケイ素化合物類での処理によって表面改質されていてもよい。従って、これらの有機ケイ素化合物類は、オルガノクロロシラン類、ジオルガノシクロポリシロキサン類、ヘキサオルガノジシロキサン類、ヘキサオルガノジシラザン類又はジオルガノシクロポリシラザン類(仏国特許出願公開第1126884号、同第1136885号及び同第1236505号、ならびに英国特許出願公開第1024234号)であってもよい。この処理された充填剤はほとんどの場合、有機ケイ素化合物類の重量の3〜30%を含む。この充填剤は、異なる粒子サイズのいくつかのタイプの充填剤の混合物から構成されてもよい;従って、例えば、それらは、40m2/gより多いBET比表面積を有する微細に分割されたシリカの30〜70%、及び30m2/g未満の比表面積を有するそれよりは粗く分割されたシリカの70〜30%から構成されてもよい。
【0052】
充填剤を導入する目的は、本発明による組成物の硬化から生じる、エラストマーに対する良好な機械的及び流体力学的特性を得ることである。
【0053】
これらの充填剤と組み合わせて、鉱物及び/又は有機の顔料が利用されてもよく、またエラストマーの耐熱性(酸化セリウム及び水酸化物などの希土類元素の塩及び酸化物)及び/又は耐火性を改善する剤も利用されてもよい。例えば、国際出願国際公開第98/29488号に記載される酸化物のカクテルを使用することが可能である。これらの剤のなかでも、耐火性を改善するためには、ハロゲン化有機誘導体類、有機リン誘導体類、白金誘導体類、例えば、塩化白金酸(アルカノール又はエーテルとのその反応産物)又は塩化第1白金−オレフィン錯体を挙げることができる。これらの顔料及び剤は充填剤の重量の多くとも20%で一緒に存在する。
【0054】
他の慣用的な補助剤及び添加物が本発明に従う組成物に組み込まれてもよく、これらはこの組成物が用いられる適用の関数として選択される。
【0055】
本発明による組成物を生成するために用いられるシリコーンベースは以下を含み得る:
−エラストマーへ重縮合を介して架橋し得る100部のポリオルガノシロキサンオイルC
−0〜20部の架橋剤D;
−0〜20部の接着促進剤E;及び
−0〜50部の充填剤F。
【0056】
主要な構成要素に加えて、非反応性の直鎖ポリオルガノシロキサン重合体類Gが、本発明に従う組成物の物理的特徴に、及び/又はこれらの組成物の硬化から生じるエラストマーの機械的特性に作用する意図で導入されてもよい。
【0057】
これらの非反応性直鎖ポリオルガノシロキサン重合体類Gは周知であり;それらはさらに特に以下を含む:本質的にジオルガノシロキシ単位及び少なくとも1%のモノオルガノシロキシ及び/又はシロキシ単位から形成される25℃の少なくとも10mPa.sの粘度を有するα,ω−ビス(トリオルガノシロキシ)ジオルガノポリシロキサン重合体類、メチル、ビニル及びフェニル基から選択されるケイ素原子に結合された有機基であって、これらの有機基の少なくとも60%がメチル基であって多くとも10%がビニル基である有機基。これらの重合体類の粘度は、25℃で数千万mPa.sに到達し得る。従って、それらは、オイルと液体とを含み、粘性の外観及び軟性から硬性のゴムである。それらは、仏国特許第978058号、同第1025150号、同第1108764号及び同第1370884号にさらに詳細に記載される通常の技術に従って調製される。25℃で10mPa.sから1000mPa.sにおよぶ粘度を有するα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ジメチルポリシロキサンオイルを利用することが好ましい。可塑剤として作用するこれらの重合体類は、重縮合を介して架橋し得るポリオルガノシロキサンオイルCの100部あたり多くとも70部、好ましくは5〜20部の割合で導入され得る。
【0058】
本発明による組成物は、少なくとも1つのシリコーン樹脂Hをさらに含むことが有利である場合がある。これらのシリコーン樹脂は周知であって、かつ市販されている分岐オルガノポリシロキサン重合体である。それらは1分子あたり、式R’’’3SiO1/2(M単位)、R’’’2SiO2/2(D単位)、R’’’SiO3/2(T単位)及びSiO4/2(Q単位)という単位から選択される少なくとも2つの異なる単位を有する。R’’’基は、同一であるか又は異なり、直鎖若しくは分岐したアルキル基又はビニル、フェニル又は3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される。好ましくは、このアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する。さらに詳細には、アルキルR基として、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル及びn−ヘキシル基が言及され得る。これらの樹脂類は好ましくは、ヒドロキシル化されて、この場合には、ヒドロキシル基の重量含量は5〜500meq/100gである。
【0059】
樹脂類の例としては、MQ樹脂類、MDQ樹脂類、TD樹脂類及びMDT樹脂類が挙げられ得る。
【0060】
本発明による組成物の製造のためには、単一成分組成物の場合には、熱の供給の有無において、湿度なしの環境で種々の基礎的構成要素を緊密に混合することを可能にする装置を用いることが必要であり、場合によりこの構成要素に上述のアジュバント及び添加物が追加される。これらの成分の全ては任意の導入順序でこの装置に装填されてもよい。従って、オルガノポリシロキサンオイルC及び充填剤Fを最初に混合し、次いでこの得られたペーストに本発明による架橋剤D、化合物E及び触媒を添加することが可能である。オイルC、架橋剤D、化合物E及び充填剤Fを混合すること、ならびに引き続いて本発明による触媒を添加することも可能である。これらの操作の間、揮発性物質の除去を促進するために、この混合物を大気圧で、又は減圧下で50〜180℃の範囲内のある温度で加熱してもよい。
【0061】
本発明による単一成分組成物はそのままで、すなわち希釈せずに、又は希釈剤中の分散型で用いられるが、水の非存在下で貯蔵の間安定であって、かつ水の存在下において低温で(分散剤の場合は溶媒の除去後)硬化してエラストマーを形成する。
【0062】
湿った大気中での固体物質上への組成物のそのままの付着後、エラストマーへの硬化のプロセスが生じることが観察され、これはこの付着した固まりの外側から内側へ生じる。外皮がまずこの表面で形成され、次いで架橋が深部にまで持続する。この表面の不粘着感を生じさせする外皮の完全な形成は、2〜3分間の期間を要する;この期間は、この組成物の周囲の外気の相対湿度の程度に、及び後の架橋能力に依存する。
【0063】
さらに、付着した層の深部硬化は、形成されるエラストマーの離型及び取り扱いを可能にするのに十分でなければならず、長期間を要する。実際、この期間は、不粘着感の形成について上述された要因に依存するだけでなく、厚みが一般には0.5mm〜数センチメートルある付着された層の厚みにも依存する。単一成分組成物は多数の適用、例えば、建設業での目地仕上げ、ほとんどの多様な材料(金属、プラスチック、天然ゴム及び合成ゴム、木、ボード(板)、陶器、れんが、セラミック、ガラス、石、コンクリート、石積ユニット)の組み立て、導電体の絶縁、電気回路のポッティング、又は合成樹脂又は発泡体からなる製品のために用いられる型の作製に用いてもよい。
【0064】
本発明に従う二成分組成物の製造はまた、適切な装置中で種々の構成要素を混合することによって行われる。均質の組成物を得るために、重合体Aと充填剤Cとを最初に混合することが好ましく;その混合物全体を80℃より高い温度で少なくとも30分間加熱して、オイルによってこの充填剤の湿潤化を完了してもよい。得られた混合物に、好ましくは80℃より低い温度にして、例えば周囲の室温の温度にして、他の構成要素、すなわち、架橋剤、触媒、及び場合により種々の添加物及びアジュバント及びさらに水を添加してもよい。
【0065】
本発明に従う組成物は、複数の適用、例えば、建設業又は運送業(例えば、自動車、航空宇宙、鉄道、海運及び航空産業)での目地仕上げ及び/又は結合、ほとんどの多様な材料(金属、プラスチック、天然ゴム及び合成ゴム、木、ボード(板)、ポリカーボネート、陶器、れんが、セラミック、ガラス、石、コンクリート、石積ユニット)の組み立て、導電体の絶縁、電気回路のポッティング、及び合成樹脂又は泡状物からなる製品のために用いられる型の作製に使用してもよい。
【0066】
従って、本発明の別の目的は、本発明に従いかつ上記されているオルガノポリシロキサン組成物の前駆体であり、重縮合反応を介してシリコーンエラストマーへ加硫され得、このような組成物を形成するために混合することを意図する2つの別々の部分P1及びP2にあること、ならびにこれらの部分の一方が本発明に従いかつ上記されている金属錯体又は塩Aをオルガノポリシロキサンの重縮合反応のための触媒として、及び架橋剤Dを含むがもう一方の部分は上述の種を含まずかつ:
−エラストマーへ重縮合を介して架橋し得るポリオルガノシロキサンオイルCの100重量部あたり;
−0.001〜10重量部あたりの水を含むことを特徴とする、二成分系からなる。
【0067】
本発明の別の目的はまた、湿度の非存在下で貯蔵の間安定であって、かつ水の存在下においてエラストマーへ架橋する単一成分のポリオルガノシロキサン組成物であって:
−アルコキシ、オキシム、アシル及び/又はエノキシ型、好ましくはアルコキシ型の官能化末端を有する少なくとも1つの架橋可能な直鎖ポリオルガノポリシロキサン;
−充填剤;及び
−本発明に従いかつ上記されている金属錯体Aである重縮合反応の触媒
を含むことを特徴とする単一成分のポリオルガノシロキサン組成物からなる。
【0068】
単一成分のベースは、詳細には、例えば、参考文献として引用される、欧州特許第141685号、同第147323号、同第102268号、同第21859号、仏国特許第2121289号及び同第2121631号に記載されている。
【0069】
これらの単一成分ベースに対して、一方ではアミノ、ウレイド、イソシアネート、エポキシ、アルケニル、イソシアヌレート、ヒダントイル、グアニジド及びメルカプトエステル基の群から選択される基によって置換される有機基を、他方では、加水分解性基、一般にはケイ素原子に結合されたアルコキシ基を同時に有する有機ケイ素化合物類から、例えば、選択される接着促進剤Eを加えることが可能である。このような接着剤の例は、米国特許第3517001号、同第4115356号、同第4180642号、同第4273698号、同第4356116号に、及び欧州特許第31996号及び同第74001号に記載されている。
【0070】
二成分のベースは詳細には、例えば、参考文献として引用される、欧州特許第118325号、欧州特許第117772号、欧州特許第10478号、欧州特許第50358号、欧州特許第184966号、米国特許第3801572号、及び米国特許第3888815号に記載されている。
【0071】
本発明の別の目的は、オルガノポリシロキサン類の重縮合反応のための触媒としての本発明に従いかつ上記されている金属錯体又は塩Aの使用からなる。
【0072】
本発明の最終的な目的は、本発明に従いかつ上記されている二成分系の架橋及び硬化によって得られるエラストマー、又は本発明に従いかつ上記されている組成物からなる。
【0073】
本発明の他の利点及び特徴は、例示によって示しており、かつ決して限定はされない以下の実施例を読めば明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0074】
[実施例1]
初期試験
新規な分子の触媒活性を示すために、2つの簡易な試験を開発した。
【0075】
2つの試験では、下の手順に従った。
【0076】
−官能化又は非官能化オイル、次いで触媒、次いでRTV2組成物の場合には架橋剤、次いで場合により水を、磁気スターラーバーを装備した小型の開放筒状容器に連続して入れて、撹拌は300rpmに設定した。以下を測定した:約1000cP(又はmPa)の粘度に相当する、撹拌停止時間、次いで、オイルがもう流れない時間、不粘着外皮形成時間、及びコア架橋時間。新規な触媒の活性を、RTV1組成物についての最速のジアルキル錫触媒の1つであるテトラブチルジスタノキサンジラウレート若しくはTegokat 225、又はRTV2組成物についてのジメチル錫ビスネオデカノエート若しくはUL28の活性と比較した(Sn当量で1.24mmol)。
【0077】
RTV1の試験:
前に用いた同じオイルはビニルトリメトキシシラン(VTMO)で事前に官能化した;試験すべき種は、前と同じ条件下でこのオイルと接触させ、次に2当量の水を添加した(2当量/初期OH)。
【0078】
言及しない限り、下の実施例で用いた量は以下であった:
−4.77gのVTMO−官能化オイル(このオイルは、短鎖α,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイルであって、100mPa.sという粘度を有する、48V100オイル);
−試験されるべき1.24mmolの種(1/2当量/OH);
−90μlの水(撹拌=t0の1分後に添加した)。
【0079】
RTV1試験の結果は下の表Iに示す:
表I:RTV1の試験
【0080】
【表1】

【0081】
これらの触媒類によって、単一成分系での架橋が可能になるが、ジブチル錫のコントロールほど早くなくなる。
【0082】
RTV2の試験:
試験すべき種は、短鎖α,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル(OH含量に対して1/2当量、100mPa.sという粘度、48V100オイル)次いで架橋剤と接触させ、ケイ酸エチルを添加するか(1当量/OH)、又は同じ容積の「高度の(advenced)」ケイ酸エチル、すなわち、エトキシポリシロキサンの混合物を添加した(この場合、1当量/OHを超える)。
【0083】
言及しない限り、下の実施例で用いた量は以下であった:
−0.553mmolOH/gを有する4.48gの48V100オイル(粘度:100cP又はmPa)
−試験されるべき1.24mmolの種(1/2当量/OH);
−90μlの水(2当量/OH)の有無における0.52gのケイ酸エチル(1当量/OH)、又はケイ酸エチル(=0.82g)と同じ容積の「高度の(advenced)」ケイ酸塩。
【0084】
RTV2試験(ケイ酸エチル架橋剤)の結果は下の表IIに示す:
表II:ケイ酸塩エチルRTV2の試験
【0085】
【表2】

【0086】
観察:試験した4触媒のうち3つがこの試験での錫コントロールよりも早かった。
RTV2試験の結果(「高度のケイ酸塩」架橋剤)を下の表IIIに示す。
表III:「高度の」ケイ酸エチルRTV2試験
【0087】
【表3】

【0088】
観察:モリブデンジアセテートは、遅かった他の3つよりもこのケイ酸塩で早かったが、3つのモリブデンカルボキシレート類は、RTV2系で一般に用いられるジメチル錫触媒よりも早かった。全ての場合に、市販の液体モリブデン2−エチルヘキサノアートのみがシリコーンに可溶性であった。
【0089】
[実施例2]
RTV2ペースト試験
その後、特定の触媒をまた、「ペースト」として公知の閉鎖的な系でも試験した。
【0090】
RTV2組成物では、試験は粘性のジヒドロキシル化オイル(48V14000)と、高度のケイ酸塩架橋剤(22.5gのオイルあたり1g)との混合物で直接行い、この混合物に触媒を添加して、それと混合した。最初に、ポットライフ(その終わりの時点で混合物の粘度によって用いることが妨げられる)を測定し、次いで、別の混合物から開始して、6mmの厚みを有するスラッグを経時的な硬度の測定のために鋳造した。硬度の測定は、このスラッグの上部で、及びこの上部よりも周囲の空気に晒されていないこのスラッグの下部で行った(結果の表ではSAH上部/下部で示される)。
【0091】
比較のために、上記のように、以下も試験した:
−錫ベースの触媒:ジメチル錫ジネオデカノエート(UL28)。
【0092】
その結果を下の表IVに示す。
【0093】
表IV:RTV2ペースト試験
【0094】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方では、シリコーンエラストマーへ重縮合反応を介して硬化できるシリコーンベースBを、他方では、下の式(1)の金属錯体又は塩Aである少なくとも1つの重縮合触媒の触媒有効量を含むことを特徴とし:
[Mo(L1r1(L2r2(Y)x](1)
式中:
−r1≧1、r2≧0及びx≧0であり;
−記号L1はカルボン酸陰イオンである配位子を表し、かつr1≧2である場合、記号L1は同一であるか又は異なり、
−記号L2はL1とは異なる陰イオン配位子を表し、かつr2≧2である場合、記号L2は同一であるか又は異なり、そして
−記号Yは中性の配位子を表し、かつx≧2である場合、記号Yは同一であるか又は異なる、オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
重縮合触媒が、下の式(1’)の金属錯体又は塩Aであることを特徴とし:
[Mo(L1r1(L2r2](1’)
式中:
−r1≧1、及びr2≧0であり;
−記号L1はカルボン酸陰イオンである配位子を表し、かつr1≧2である場合、記号L1は同一であるか又は異なり、
−記号L2はL1とは異なる陰イオン配位子を表し、かつr2≧2である場合、記号L2は同一であるか又は異なる、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
前記配位子L1が以下の陰イオン類:酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、安息香酸イオン、イソ酪酸イオン、ステアリン酸イオン及びナフテン酸イオンよりなる群から選択されるカルボン酸イオンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
前記金属錯体又は塩Aが式:
(2):[MoO2(OAc)2]、
(3):[MoO2(ヘプタノアート)2]、
(4):[MoO2(ナフテナート)2]、及び
(5):Mo[OOCCH(C25)C49x
の化合物(2)〜(5)によって構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
2が以下の陰イオン類:フルオロ(F-)、クロロ(Cl-)、トリヨード(1-)(I3-、ジフルオロクロラト(1-)[ClF2-、ヘキサフルオロイオダト(1-)[IF6-、オキソクロラト(1-)(ClO)-、ジオキソクロラト(1-)(ClO2-、トリオキソクロラト(1-)(ClO3-、テトラオキソクロラト(1-)(ClO4-、ヒドロキソ(OH)-、メルカプト(SH)-、セラニド(SeH)-、ヒペルオキソ(O2-、オゾニド(O3-、ヒドロキソ(OH-)、ヒドロジスルフィド(HS2-、メトキソ(CH3O)-、エトキソ(C25O)-、プロポキシド(C37O)-、メチルチオ(CH3S)-、エタンチオラト(C25S)-、2−クロロエタノラト(C24ClO)-、フェノキシド(C65O)-、フェニルチオ(C65S)-、4−ニトロフェノラト[C64(NO2)O]-、ホルマト(HCO2-、ニトリド(N3-、シアノ(CN)-、シアナト(NCO)-、チオシアナト(NCS)-、セレノシアナト(NCSe)-、アミド(NH2-、ホスフィノ(PH2-、クロロアザニド(ClHN)-、ジクロロアザニド(Cl2N)-、[メタンアミナト(1-)](CH3NH)-、ジアゼニド(HN=N)-、ジアザニド(H2N-NH)-、ジホスフェニド(HP=P)-、ホスホニト(H2PO)-、ホスフィナト(H2PO2-、カルボキシラト、エノラト、アミド、アルキラト及びアリラトによって構成される群から選択される陰イオン性配位子であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の金属錯体又は塩Aである少なくとも1つの重縮合触媒の触媒有効量及びシリコーンベースBを含み、シリコーンベースBが
−エラストマーへ重縮合を介して架橋できる少なくとも1つのポリオルガノシロキサンオイルC;
−場合により少なくとも1つの架橋剤D;
−場合により少なくとも1つの接着促進剤E;及び
−場合により少なくとも1つのケイ質の、有機の及び/又は非ケイ質の無機充填剤F、を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項7】
重縮合反応を介してシリコーンエラストマーへ加硫できる、請求項1〜6のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物の前駆体である二成分系であって、該二成分系は、該組成物を形成させるために混合されることを目的とする2つの別々の部分P1及びP2中にあり、しかも、これらの部分のうちの一方が、オルガノポリシロキサンと架橋剤Dとの重縮合反応用触媒としての、請求項1〜5のいずれかに記載の金属錯体又は塩Aを含むと共に、他方の部分が、上述の種を含まず、かつ、
エラストマーへ重縮合を介して架橋できるポリオルガノシロキサンオイルCの100重量部あたり、0.001〜10重量部の水を含む
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物の前駆体である二成分系。
【請求項8】
湿度なしで貯蔵の間安定であり、かつ水の存在下でエラストマーへ架橋する単一成分のポリオルガノシロキサン組成物であって:
−アルコキシ、オキシム、アシル及び/又はエノキシ型、好ましくはアルコキシ型の官能化末端を有する少なくとも1種の架橋性直鎖ポリオルガノポリシロキサン;
−充填剤;及び
−請求項1〜5のいずれかに記載の金属錯体又は塩Aである重縮合反応の触媒
を含むことを特徴とする、ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項9】
請求項7に記載の二成分系の、又は請求項1〜6若しくは8のいずれかに記載の組成物の架橋及び硬化によって得られるエラストマー。
【請求項10】
オルガノポリシロキサンの重縮合反応のための触媒としての請求項1〜5のいずれかに記載の金属錯体又は塩Aの使用。
【請求項11】
下の式(2)〜(5):
(2):[MoO2(OAc)2]、
(3):[MoO2(ヘプタノアート)2]、
(4):[MoO2(ナフテナート)2]、
(5):Mo[OOCCH(C25)C49x
の金属錯体又は塩Aの、オルガノポリシロキサンの重縮合反応用の触媒としての使用。

【公表番号】特表2011−506744(P2011−506744A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538842(P2010−538842)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001775
【国際公開番号】WO2009/106724
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(507421304)ブルースター・シリコーン・フランス・エスアエス (62)
【氏名又は名称原語表記】BLUESTAR SILICONES FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】21,AVENUE GEORGES POMPIDOU F−69486 LYON CEDEX 03 FRANCE
【Fターム(参考)】