説明

エレクトロオプティカルディスプレイを備えた表示器

本発明は、エレクトロオプティカルディスプレイ(1)を備えた表示器に関しており、ここではディスプレイ(1)を部分的にカバーする遮蔽部(2)がディスプレイ(1)前方に配設され、該遮蔽部(2)はディスプレイ(1)をカバーする領域を有している。これによりディスプレイ(1)のカバーされた領域が、光を通過させるように構成された遮蔽部(2)の一部(2a,2b,2d,2f,2g)によって遮蔽部(2)を照明するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレクトロオプティカルディスプレイを備えた表示器に関する。
【0002】
背景技術
従来技術からは例えば液晶ディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)又は電子管などが公知である。例えばTFTディスプレイとして構成されている液晶ディスプレイや電子管はほぼ矩形の形態を有している。特別な形状は製造できないか若しくはできたとしても非常に高価である。そのようなエレクトロオプティカルディスプレイと他の表示器、例えば自動車用の組合わせ計器盤から公知のようなアナログ指針型計器盤とを組合わせる場合には、エレクトロオプティカルディスプレイは比較的小さくデザインするしかなく、使えない空間が残ってしまう。
【0003】
本発明の課題は、非常に良好な有効利用が可能となるエレクトロオプティカルディスプレイを備えた表示器を提供することである。この課題は、ディスプレイの前方にディスプレイを部分的にカバーする遮蔽部が配置され、前記遮蔽部はディスプレイをカバーする領域を有し、前記ディスプレイはカバーされた領域を有しており、さらにディスプレイのカバーされた領域が遮蔽部を照明し、該遮蔽部の一部が光透過的に構成されることによって解決される。これにより、観察者にとって光学的な知覚印象が非矩形に映るようなエレクトロオプティカルディスプレイを備えた表示器が実現できる。さらに例えば遮蔽部において警告指示や表示器の目盛のような記号がシミュレート可能であり、それらはディスプレイによって異なる輝度で照明される。
【0004】
前記ディスプレイがカラーディスプレイであるならば、遮蔽部上の記号は種々のカラーで照明され、それによって様々な色彩で現われる。さらに表示すべき情報に応じて照明の色も変更することが可能である。
【0005】
特に簡単な構成の表示器によれば、ディスプレイのカバーされる領域が遮蔽部のカバーする部分を照明する。この場合遮蔽部はディスプレイ上に直接被着されてもよい。それによりフラットで簡素な構造が得られる。ディスプレイと遮蔽部の間に光導波路が設けられるならば、ディスプレイの光は遮蔽部におけるディスプレイをカバーしない領域にも導かれる。これにより付加的な発光手段が節約できる。遮蔽部がスイッチとして構成されるならば、一方ではスイッチの付加的な照明を省くことができ、また他方では例えばカラー及び/又は輝度の変更された照明によってスイッチの瞬時のスイッチング状態を表すことが可能となる。
【0006】
また遮蔽部が可動部分を有するならば、さらに例えば付加的な情報を表示することが可能となる。このことは特に前記可動部分が指針要素として構成されている場合に当てはまる。その場合には指針が、ディスプレイの指針によってカバーされる各部分が指針を照明することによって指針が直接背面照明され得る。またカラーディスプレイの場合には、各指針位置に応じて、あるいは付加的な情報表示のために、照明のカラー及び/又は輝度が変更されるようにしてもよい。特に簡単かつ好適にはこの指針要素がリング指針として構成される。この場合前記リング指針はディスプレイを介して、例えば直接的な光入力結合によって照明されてもよいし、あるいは、例えばその内部で光がディスプレイを介して入力結合されるような回転する光導波リングによって照明されてもよい。
【0007】
また次のようなディスク指針も可能である。すなわち指針部が透明なディスク上に配置され、この透明なディスクがディスプレイ前方で特にその中心点周りで回転可能に配設されているディスク指針である。
【0008】
ディスプレイがLCDとして構成されるならば、僅かな電流消費しか有さない。特にTFT液晶(LCD)としてカラーディスプレイが用いられてもよい。ディスプレイが電子管として構成されている場合には、特に鮮鋭な表示が提供できる。
【0009】
以下では本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図面
図1は本発明の第1実施例の断面図であり、
図2は本発明の第2の実施例の断面図を示し、
図3は本発明の第3実施例の平面図であり、
図4は本発明の第4実施例の平面図であり、
図5は図4による実施例の一部機械的な構造を示した図であり、
図6はさらに別の実施例を示す。
【0010】
実施例
図1には、ディスプレイ1,光通過部2aを備えた遮蔽部2、ライトボックスの形態の光案内部3,照明装置4,象徴的に描かれている観察者の目E及び光ビームSが示されている。このディスプレイは照明装置4によって照明される。ディスプレイ1を透過した光ビームSの一部は観察者の目Eに直接届くのではなく、ライトボックス3を介して遮蔽部2の光通過部2aに案内される。そのためこの光通過部2aによって例えば目盛や数値の形態の情報も表示が可能である。前記ディスプレイが相応の光ビーム放出する場合にはこれらの情報は様々な色で表示可能となる。またディスプレイ1がLCDの代わりに有機発光ダイオード(OLED)を備えたディスプレイとして構成されているならば、照明装置4は余分となる。
【0011】
図2においては遮蔽部2がディスプレイをカバーする領域2bのみを有さないように構成されている。この図2による実施例は図1による実施例と次の点で異なっている。すなわち遮蔽部2が観察者の目Eから見てその後方にディスプレイが存在しない領域2cを有している点である。さらに光導波路5の形態の光案内部が例えばガラスかまたはポリアクリルのような光導波性プラスチックから形成されている。光導波路5は光ビームを、観察者側から見て遮蔽部2の後方にディスプレイが存在していない領域2c内にも案内している。そのためディスプレイから離れた所にある遮蔽部領域も照明することが可能である。それにより表示器事態の形態は、たとえディスプレイ1が矩形に構成されていたとしても任意に自由に選択することが可能となる。
【0012】
図3による平面図においては、ディスプレイ1と遮蔽部2が認識できる。この遮蔽部2は、ディスプレイ上方に配置されている領域2bと、(観察者側から見て)その後方にディスプレイの存在していない領域2cとを有している。さらに遮蔽部2は目盛の形態の光通過部2aと、給油マーク2dと、警告マーク2eを有している。前述の光通過部2a,2d,2eは図には示されていない光導波路を介してディスプレイ1から照明される。前記目盛2aに対応付けられる指針は例えばディスプレイ1上に表示されてもよい。
【0013】
図4に示されている平面図においては、ディスプレイ1と、遮蔽部2とリング指針10と部分的にカバーされたリング11が認識できる。有利には図示のようなポジティブ表示形態(白地の背景に黒地の目盛と目盛値)ではなくて、ネガティブ表示形態(黒ないしはダーク色の背景に白ないしは明るい色の目盛と目盛値)が選択されてもよい。その際には目盛と目盛値が遮蔽部の光通過部によって構成される。これらの光通過部は例えば遮蔽部内の開口部として構成されてもよいし、あるいは光通過領域によって実現されてもよい。図4におけるポジティブ表示部はより簡素な表示手段が故にのみ選択される。リング11は、例えば図示のように自身で発光する材料で形成されてもよいし、光透過性の材料から形成されてもよい。この透過性材料は観察者の方向に向けて光を透過させるか減光させるように構成されており、その内部に存在する光をリング指針に入射させ、それによってリング指針10を照明している。光はディスプレイ1または別個の光源によってリング11内に入射される。またリング11の他に付加的な光導波路を配置して光を直接リング指針10内に入射させることも可能である。
【0014】
図3による平面図においては、ディスプレイ1と遮蔽部2が認識できる。さらにリングの支承部12と、ギヤ14を備えた駆動部13が示されている。このギヤ14はリング11と一体的に形成されているリングギヤないしリム11aの歯に噛み合っている。またこれらのギヤの代わりにその他の摩擦結合ないし応力結合による伝動装置、例えばVベルトや歯付きベルトなどが用いられてもよい。光はディスプレイ1からリング11内に入射され、そこからリング指針10内へ入射されてリング指針10が照明される。リング11自体は観察者に向けて光透過層によってカバーされるかないしは覆われる。
【0015】
またリング指針の代わりに、クランク状に多重に曲げられた指針15が用いられてもよい。この指針の駆動部16はディスプレイ1の後方に配設されており、それによってディスプレイ後方からディスプレイの境界を越えて外方に案内され、さらに二重に折り曲げられて再びその回転軸線方向に向かっている。これにより指針先端15aは、ディスプレイ1を貫通するドライブシャフトによる誘導なしでも、ディスプレイ1と遮蔽部2の上方を移動することが可能となる(図6)。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例の断面図
【図2】本発明の第2実施例の断面図
【図3】本発明の第3実施例の平面図
【図4】本発明の第4実施例の平面図
【図5】図4による実施例の一部機械的な構造を示した図
【図6】さらに別の実施例を示した図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロオプティカルディスプレイ(1)を備えた表示器において、
ディスプレイ(1)の前方にディスプレイ(1)を部分的にカバーする遮蔽部(2)が配設され、前記遮蔽部(2)はディスプレイ(1)をカバーする領域を有しており、さらにディスプレイ(1)のカバーされた領域が遮蔽部(2)を照明し、該遮蔽部(2)の一部(2a,2b,2d,2f,2g)が光を通過させるように構成されていることを特徴とする表示器。
【請求項2】
ディスプレイ(1)のカバーされた領域が遮蔽部(2)のカバーする部分(2b)を照明する、請求項1記載の表示器。
【請求項3】
前記ディスプレイ(1)と前記遮蔽部(2)との間に光導波路(5)が配置されている、請求項1または2記載の表示器。
【請求項4】
前記遮蔽部(2)は、ディスプレイ(1)が存在していない領域(2c)を有し、光導波路(5)がこの領域に光を導いている、請求項3記載の表示器。
【請求項5】
前記遮蔽部(2)はスイッチとして構成されている、請求項1から4いずれか一項記載の表示器。
【請求項6】
前記遮蔽部(2)は可動部分(11)を有している、請求項1から5いずれか一項記載の表示器。
【請求項7】
前記可動部分(11)は指針要素として構成されている、請求項6記載の表示器。
【請求項8】
前記可動部分は当該可動部分によってカバーされるディスプレイ部分の前方で照明される、請求項6または7記載の表示器。
【請求項9】
前記指針はリング指針(10)として構成されている、請求項7または8記載の表示器。
【請求項10】
前記リング指針(10)はディスプレイ(1)によって付加的に照明可能である、請求項9記載の表示器。
【請求項11】
前記ディスプレイ(1)は液晶ディスプレイ(LCD)として構成されている、請求項1から10いずれか一項記載の表示器。
【請求項12】
前記ディスプレイ(1)はTFT液晶(LCD)として構成されている、請求項11記載の表示器。
【請求項13】
前記ディスプレイ(1)は有機発光ディスプレイ(OLCD)として構成されている、請求項1から10いずれか一項記載の表示器。
【請求項14】
前記ディスプレイ(1)は電子管として構成されている、請求項1から10いずれか一項記載の表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−508152(P2009−508152A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529593(P2008−529593)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065716
【国際公開番号】WO2007/028730
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(508029952)ヴィディーオー オートモーティヴ アクチエンゲゼルシャフト (27)
【氏名又は名称原語表記】VDO Automotive AG
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】