説明

エレクトロルミネセンス機能性界面活性剤

本発明は、特に、機能性界面活性剤、これを含有する調合物並びにその使用、前記機能性界面活性剤を含有する素子、及び、前記調合物及び素子の製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、機能性界面活性剤、これを含有する調合物、その製造方法、及び、電子素子又は光電子素子の製造における前記調合物の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機光起電力電池(OPV)、有機発光電気化学電池(OLEC)などの有機エレクトロニクスは、材料設計、軽量、大面積での使用に対する適正において多目的な用途に利用できるため、ここ20年間において大きく注目されている。これらの有機電子素子は通常、多層構造を含む。これにより、活性有機材料を基材上にナノスケールからメゾスコピックスケールにおいて堆積させることは重要である。加えて、有機多層構造は下位層に制御できない態様で影響することなく形成される必要がある。有機エレクトロニクスの大量生産のための費用対効果の優れたテクノロジーの開発は、現在使用されているテクノロジーと比較して、その競争力に決定的役割を果たし得る。したがって、大量生産における費用削減は、有機エレクトロニクスの商業的成功に必須の前提条件である。この目的を達成するために、堆積法に基づく溶液が解決法を提供する。しかしながら、現在のテクノロジーは、有機エレクトロニクス用多層構造を適切に製造する競合的方法を提供するものではなく、小分子を含有する場合には特にそうである。これは、既に堆積されている層が、その上に他の層が堆積するときに、少なくとも一部が溶解し、または浸食され得るという事実のためである。
【0003】
OLEDの場合、パターン化された発光層の形成は、エレクトロルミネセンス素子の製造において重要であるが困難な工程である。例えば、単独赤色、緑色及び青色パターン化発光層の形成は、典型的に、エレクトロルミネセンスフルカラーディスプレイ素子の製造において要求される。真空エバポレーション(例えば、シャドーマスク使用)は、各パターン化層を形成する最も一般的な技術である。しかしながら、真空エバポレーション技術には、OLEDなどの有機材料を含む多層構造の商業開発を著しく阻害し得る欠点がいくつかある。これらの技術は、必要とされる装置においてかなり複雑である。特に大きなフォーマットディスプレイにおいて、パターン化層を製造する他の方法が必要とされている。溶液から材料を堆積させることに基づく方法は、大きいサイズの素子製造との期待される適合性のために特に望ましい。
【0004】
可能な技術としては、例えば、インクジェット印刷、ディップコーティング、スピンコーティング、レタープレス印刷、スクリーン印刷、ドクターブレードコーティング及びスロットダイコーティングなどがある。インクジェット印刷は、高解像度ディスプレイの製造を可能とすることから特に好ましい。しかしながら、最初は、多層構造を構築するための、これらの技術を用いる好適な方法を見出さなければならない。これには二つの公知の技術が提案されている。一つは、特許文献1に開示されているような架橋性化合物を使用することであり、それは最初に第一層を、次の層がその上に被覆又は印刷される前に、熱又は露光(UV)により誘導される架橋により固定化するものである。この技術の問題点は、架橋性化合物を該層中に導入する必要があり、更には機能性基を含有する有機化合物における架橋性機能性基を設計しなければならず、また、残渣架橋性基が素子性能に有害ともなり得ることである。二つ目の技術は、いわゆる直交溶媒(オルトゴナル溶媒)を使用するものであり、例えば、第一層が溶液の溶剤に不溶であり、それから第二層が被覆され得る。そのためには、直交溶媒に溶解する一対の化合物を有するか、直交溶媒の条件を満たす好適な調合物を見出す必要がある。
【0005】
ミニエマルジョンから共役ポリマー分散液を調製する一つの技術が特許文献2に開示されている。当該文献に開示されている共役ポリマーは、半導体ポリマーナノ粒子(SPN)と呼ばれる小球状粒子の形態である。ミニエマルジョンは、1〜7000nmの明確なサイズを有する小滴の安定なエマルジョンであると理解され、溶剤A、溶剤Aに不溶の化合物の溶液(溶剤B)、及び少量の界面活性剤を含む系のせん断により製造され、溶剤Aは溶剤Bと非混和である。ポリマー粒子は、溶剤Aを蒸発させた後の小滴から得ることができる。特許文献2に開示された分散液における共役ポリマーの調合物は、多層構造(例えば、OLED及びOPV)を構築するために使用することができる。ポリマーの堆積は先行技術において公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP0637899A1
【特許文献2】WO2003/050147A1
【発明を実施するための形態】
【0007】
しかしながら、小分子に基づくOLED(SMOLED)の性能は、ほとんどの場合、共役ポリマーに基づくOLED(PLED)と比較して遥かに優れている。PLEDは、例えば、寿命が十分でないという問題を有している。一方、近年のSMOLEDは、色、寿命及び駆動電圧の面で優れた性能を見せている。実際に、SMOLEDは、携帯電話などの小ディスプレイ市場への商業的参入を既に果たしている。材料開発が乏しく、また、素子寸法が制限される熱真空蒸着の問題点を解消するために、本発明は特に、多層構造の形成を図るためのミニエマルジョン及び分散液における小分子化合物の調製方法に関するものである。
【0008】
ミニエマルジョン又は分散液を安定化させるために、通常、界面活性剤が必要とされる。しかしながら、先行技術において使用される界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)は、電子的に不活性である。その種の不活性化合物は、OLED又はOPVなどの電子素子及び光電子素子において全く望まれていない。SDSに見られるNa+等の可動イオンは、素子性能にとって有害となり得る。望まれない界面活性剤は、異なる技術により部分的に除去され得るが、少なくとも界面活性剤の形跡は残される。したがって、ミニエマルジョン及び分散液を安定化させるための他の方法が特に所望される。
【0009】
本発明の目的は、先行技術において公知の問題点を解決することにあり、特に、エマルジョン及び分散液、それらの製造方法、及び、電子素子及び光電子素子(特に、多層構造を有する素子)の製造におけるそれらの使用を提供することにある。
【0010】
驚くことに、有益な製造特性と光電子特性を有する機能性界面活性剤を含有するエマルジョン及び分散液が形成され得ることを見出した。これらエマルジョン及び分散液(ここでは一般に調合物という)は、溶液からの単一の堆積技術を使用することにより、層又は多層構造の素子の製造に使用することができる。本発明に係る調合物は、OLED、太陽電池、光電池などの光電子素子の製造に特に重要かつ有用である。
【0011】
一般的な態様において、本発明は、溶液又は素子製造における高いフレキシビリティを可能とする成分の分散を調節する新たな側面、及び、界面活性剤に機能的要素を取り込むことにより新規なミクロ又はナノ構造を形成する新たな可能性を開示する。
【0012】
エマルジョン及び分散液の一般的区別は、一又は二以上の不連続相の組成物次第である。エマルジョンは、下記に定義される機能性材料に加え、少なくとも一種の溶剤を含有する。溶剤が除去されると分散液が得られる。調合物の不連続相は、エマルジョン及び分散液各々において、ナノ液滴及びナノ粒子の形態で存在し得る。
【0013】
本発明は、少なくとも1つの連続相と、少なくとも1つの不連続相と、少なくとも1つの機能性界面活性剤を含有する調合物であって、該機能性界面活性剤が少なくとも1つの機能性基と、該調合物の形成を促進する少なくとも1つの基を含有する界面活性剤を含有することを特徴とする調合物に関する。
【0014】
本発明に係る調合物は、少なくとも1つの溶剤を更に含有していてもよい。
【0015】
機能性基という用語は、好ましくは、有機導電体、有機半導体、有機色素、有機蛍光化合物、有機燐光化合物、有機光吸収化合物、有機感光性化合物、有機光増感剤及び他の有機光活性化合物から選択される有機機能性基を意味する。有機機能性基という用語はまた、遷移金属、レアアース、ランタニド及びアクチニドの有機金属錯体を含む。
【0016】
特に好ましい機能性基は、ホスト基、エミッター基、正孔注入基、正孔輸送基、正孔障壁基、電子注入基、電子輸送基、電子障壁基、励起子障壁基、励起子形成基、光吸収基、色素基及び金属錯体から選択される。
【0017】
好ましいものとしては、ホスト基から選択される機能性基が挙げられる。
更に好ましいものとしては、エミッター基から選択される基が挙げられる。更に好ましいものとしては、正孔注入基から選択される基が挙げられる。更に好ましいものとしては、正孔輸送基から選択される基が挙げられる。更に好ましいものとしては、正孔障壁基から選択される基が挙げられる。更に好ましいものとしては、電子注入基から選択される基が挙げられる。更に好ましいものとしては、電子輸送基から選択される基が挙げられる。更に好ましいものとしては、電子障壁基から選択される基が挙げられる。更に好ましいものとしては、励起子形成基から選択される基が挙げられる。更に好ましいものとしては、光吸収基から選択される基が挙げられる。更に好ましいものとしては、色素基から選択される基が挙げられる。更に好ましいものとしては、金属錯体から選択されるものが挙げられる。
【0018】
有機機能性基は、小分子、ポリマー、オリゴマー又はデンドリマー、これらのブレンド又は混合物から選択することができる。
【0019】
機能性基は、更なる機能性材料として以下に説明する基及び/又は材料から選択することができる。好ましくは、機能性界面活性剤は、更なる機能性材料により機能化され、更なる機能性材料の用語が以下に定義される。
【0020】
機能性界面活性剤はまた、調合物の形成を促進する基を含有す。調合物の形成の促進には、既に形成された調合物の安定化も含まれる。
【0021】
機能性界面活性剤は両親媒性を有する。したがって、該要素、すなわち、機能性基と調合物の形成及び安定化を促進する基は、異なる極性を有するか、少なくともそれらの分子構造が部分的に異なる極性を有することが好ましい。
【0022】
本発明に係る機能性界面活性剤は、一般式1又は2を有することが好ましい。
【化1】

【0023】
式中、A及びCは、異なる極性を有する基であり、Bは、本発明においていずれかに記載の上記機能性基である。
【0024】
A及びC基は、例えば、各々親水性基と疎水性基であり得る
他の態様において、C及びA基は、同じであるか、あるいは同様の極性を有してもよい。これは、素子の製造及び光―電子特性に有利なリポソーム及び他のラメラ構造の形成を促進し得る。
【0025】
実際には、A及びC型の3つ以上の基がBに連結し得る。これにより、本発明に係る調合物を安定化し、且つ、本発明に係る素子の製造のための上記調合物において使用される材料の電子特性及び光電子特性を満たすために要求される特性を有する機能性界面活性剤の調整された設計が可能となる。
【0026】
好ましくは、上記A基は、式3〜8を有する化合物から選択される。
【化2】

【0027】
式中、Rは、置換又は非置換のシリル、又は、1〜40個のC原子、好ましくは3〜20個のC原子、より好ましくは5〜15個のC原子を有する、1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいカルビル若しくはハイドロカルビルである。
【0028】
及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、H、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NH、−NR00、−SH、−SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、任意に置換されるシリル、又は、1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい、1〜6個のC原子を有するカルビルもしくはハイドロカルビルである。
【0029】
及びR00は、互いに独立に、H、又は、1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい、任意に置換されるカルビル若しくはハイドロカルビル基である。
【0030】
nは1以上である。
【0031】
好ましくは、上記C基は、任意に置換されるシリル、又は、1〜40個のC原子、好ましくは3〜20個のC原子、より好ましくは5〜15個のC原子を有する、任意に置換され、且つ、1以上のヘテロ原子を含んでいてもよいカルビル若しくはハイドロカルビルから選択され得る。
【0032】
機能性界面活性剤の具体例の一部を以下に挙げる。
【化3】

【0033】
原則として、複数の機能性界面活性剤が、本発明の調合物の不連続相及び連続相の双方に存在し得る。好ましくは、本発明に係る調合物は、3つの機能性界面活性剤を含有し、より好ましくは2つ、更に好ましくは1つの機能性界面活性剤を含有する。
【0034】
好ましくは、調合物は3つの連続相を含有し、より好ましくは2つ、更に好ましくは1つの連続相を含有する。
【0035】
好ましくは、調合物は3つの不連続相を含有し、より好ましくは2つ、更に好ましくは1つの不連続相を含有する。
【0036】
好ましいものとして、1つの連続相と1つの不連続相を含有する調合物が挙げられる。
【0037】
他の好ましい態様において、調合物は、1つの連続相と2つの不連続相を含有する。
【0038】
好ましくは、連続相は、高い極性をもつ第1の溶媒を含む。特に好ましくは、第1の溶媒は、水、アルコール、グリコール、エーテルおよびグリコールエーテルから選ばれる。好ましくは、不連続相は、第2の溶媒を含み、第2の溶媒は、第1の溶媒と比べてより低い極性の有機溶媒または少なくとも2つの有機溶媒の混合物である。
【0039】
本発明の調合物は、水中油型エマルジョン(通常のエマルジョン)であってよい。
【0040】
さらに好ましい態様では、連続相は、低い極性の第1の溶媒を含み、不連続相は、第1の溶媒と比べてより高い極性の第2の溶媒を含む。好ましくは、第2の溶媒は、水とアルコールから選ばれ、ここで、第1の溶媒は、有機溶媒または少なくとも2つの有機溶媒の混合物である。
【0041】
さらに、本発明の調合物は、油中水型エマルジョン(逆相エマルジョン)であってよい。
【0042】
適切なアルコールは、1)作業温度で液状であり、2)調合物が被覆された後、加熱により除去することができるように、200℃未満の沸点を有し、3)溶媒として水と一緒の場合には、水と混和性で、好ましくは、2g/L超の水での溶解度を有するアルコールである。上記作業温度は、調合物が調製される温度であり、好ましくは、室温である。アルコールに関するより詳細な説明は、有機化学の教科書や適切なハンドブックで見出すことができる。好ましいアルコールは、例えば、限定されるものではないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、n−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、ネオペンチルアルコール、3−ペンタノール、2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノールおよび2−メチル−2−ブタノール等の直鎖あるいは分岐アルキル鎖を有する1〜12個のC原子を有するアルコールである。
【0043】
本発明の好ましい態様では、調合物中の連続相の濃度は、10〜99質量%、好ましくは20〜95質量%、より好ましくは40〜95質量%、特に好ましくは50〜95質量%である。
【0044】
別の好ましい態様では、上記少なくとも二つの有機溶媒の混合物は、2、3、4、5以上の溶媒を含んでよい。
【0045】
適切な有機溶媒は、ケトン、エステル、アミド、硫黄化合物、ニトロ化合物、ハロゲン化炭化水素および炭化水素を含む。芳香族及び複素環式芳香族炭化水素と塩素化炭化水素は、好ましい有機溶媒である。
【0046】
特に、好ましい有機溶媒は、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、アニソール、モルホリン、トルエン、クロロホルム、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラリン、デカリン、インダンおよび/またはそれらの混合物である。
【0047】
好ましい態様では、上記連続相および/または上記不連続相の一方は、表面張力を減少させるか、フィルム形成を改善するさらなる添加剤を含む。適切な添加剤としては、例えば、WO2003/019693A2を好適に参照することができる。
【0048】
本発明による調合物は、例えば、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性改善剤、消泡剤、脱気剤、反応性もしくは非反応性であってよい希釈剤、補助剤、着色剤、染料あるいは顔料、感光剤、安定化剤または抑制剤等の一以上のさらなる成分を追加的に含むことができる。
【0049】
本発明の別の主題において、調合物がエマルジョンである場合には、該調合物は、不連続相が、1〜7000nmの範囲の、好ましくは1〜3000nmの範囲の、より好ましくは5〜2000nmの範囲の、特に好ましくは5〜1000nmの範囲の平均直径を有するナノ液滴を形成することを特徴とする。
【0050】
ミニエマルジョンは、ナノ液滴の平均直径が、1〜7000nmの範囲、好ましくは10〜2000nmの範囲、より好ましくは10〜500nmの範囲、更に好ましくは10〜300nmの範囲、特に好ましくは20〜100nmの範囲である。ここで使用されるエマルジョンという用語は、ナノ液滴の平均サイズに応じて、エマルジョンおよびミニエマルジョンの双方をいう。
【0051】
本発明の別の主題では、調合物が分散液である場合には、該調合物は、不連続相が、1〜5000nmの範囲の、好ましくは1〜2000nmの範囲の、より好ましくは5〜500nmの範囲の、更に好ましくは10〜300nmの範囲の、特に好ましくは20〜100nmの平均直径を有するナノ液滴を形成することを特徴とする。
【0052】
本発明のさらに別の態様では、調合物がエマルジョンか分散液のいずれかである場合には、調合物は、不連続相が各々ナノ液滴またはナノ粒子を形成することを特徴とし、ナノ液滴の75%超、好ましくは80%超、より好ましくは90%超、特に好ましくは98%超が、55%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下のナノ液滴の全平均直径の平均から逸脱する平均直径を有する。
【0053】
ナノ液滴およびナノ粒子エマルジョンならびに分散液のサイズとサイズ分布は、夫々、当業者に知られる標準技術を使用して測定することができる。動的光散乱法を、双方のパラメーターを測定するために使用することができる(Chu, B. Laser Light scattering: Basic Principles and Practice, 2nd Edition. Academic Press (1992))。
【0054】
本発明に係る調合物はまた、少なくとも1つの更なる機能性材料を含有してもよい。好ましい更なる機能性材料は、有機機能性材料である。特に好ましい更なる機能性材料は、ホスト材料、発光材料(EM)、正孔注入材料(HIM)、正孔輸送材料(HTM)、正孔障壁材料(HBM)、電子注入材料(EIM)、電子輸送材料(ETM)、電子障壁材料(EBM)、励起子障壁材料(ExBM)、光吸収材料、染料及び金属錯体から選択される。
【0055】
好ましいものとして、ホスト基から選択される更なる機能性材料が挙げられる。更に好ましいものとして、エミッター基から選択される更なる機能性材料が挙げられる。更に好ましいものとして、正孔注入基から選択される更なる機能材材料が挙げられる。更に好ましいものとして、正孔輸送基から選択される更なる機能材材料が挙げられる。更に好ましいものとして、正孔障壁基から選択される更なる機能材材料が挙げられる。更に好ましいものとして、電子注入基から選択される更なる機能材材料が挙げられる。更に好ましいものとして、電子輸送基から選択される更なる機能材材料が挙げられる。更に好ましいものとして、電子障壁基から選択される更なる機能材材料が挙げられる。更に好ましいものとして、励起子障壁基から選択される更なる機能材材料が挙げられる。更に好ましいものとして、励起子形成基から選択される更なる機能材材料が挙げられる。更に好ましいものとして、光吸収基から選択される更なる機能材材料が挙げられる。更に好ましいものとして、色素基から選択される更なる機能材材料が挙げられる。更に好ましいものとして、金属錯体から選択される更なる機能材材料が挙げられる。
【0056】
好ましくは、本発明に係る調合物は、3つの更なる機能性材料を含有し、より好ましくは2つのさらなる機能性材料を含有し、更に好ましくは1つの更なる機能性材料を含有する。
【0057】
更なる機能性材料は、連続相及び不連続相のいずれか一方に存在してもよく、双方のタイプの相に存在してもよい。
【0058】
エミッター材料は、好ましくは、本発明の範囲内でいずれかで説明される有機エレクトロルミネセンスエミッター材料の分類から選ばれる。染料は、好ましくは、以下に説明される有機太陽電池、有機光電池および色素増感太陽電池と組み合わせて使用される化合物から選ばれる。
【0059】
更なる機能性材料は、小分子、ポリマー、オリゴマー、又はデンドリマー、もしくはこれらのブレンド又は混合物から選択することができる。
【0060】
ここで使用される小分子という用語は、ポリマー、オリゴマー、デンドリマーまたはブレンドではない分子として定義される。特に、繰り返し構造は、小分子には存在しない。小分子の分子量は、典型的には、繰り返し単位数が低いポリマー、オリゴマーの範囲以下である。
【0061】
小分子の分子量は、好ましくは5000g/mol未満、より好ましくは3000g/mol未満、特に好ましくは2000g/mol未満である。
【0062】
本発明のポリマーは、好ましくは10〜10000、より好ましくは20〜5000、特に好ましくは50〜2000の繰り返し単位を有する。本発明のオリゴマーは、好ましくは、2〜9の繰り返し単位を有する。ポリマーとオリゴマーの分岐指数は、0(分岐の無い直鎖ポリマー)から1(完全に分岐したデンドリマー)の間である。ここで使用されるデンドリマーという用語は、M.Fischer等、Angew.Chem., Int.編者、1999、38、885、により定義される。
【0063】

本発明のポリマーの分子量(MW)は、好ましくは、10000〜2000000g/molの範囲、より好ましくは100000〜1500000g/molの範囲、特に好ましくは200000〜1000000g/molの範囲である。MWの測定は、例えば、内部標準としてポリスチレンを使用するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用することによって当業者に知られた標準的方法により実施することができる。
【0064】
ブレンドは、少なくとも一つのポリマー状、デンドリマー状又はオリゴマー状成分を含む混合物である。
【0065】
機能性界面活性剤の更なる機能性材料及び機能性基(ここでは、該して機能性材料と呼んでいる)は、その分子フロンティア軌道、すなわち、最高占有分子軌道(HOMO)(時々、価電子帯とも呼ばれる)および最低空分子軌道(LUMO)(時々、伝導帯とも呼ばれる)により特徴付けられることが多い。HOMOおよびLUMO準位は、通常、当業者に知られた方法で測定され(例えば、XPS=X線光電子分光法、UPS=紫外線光電子分光法もしくはCV=シクロボルタンメトリーにより測定される)、あるいは、計算される(例えば、DFT=(時間依存的)濃度関数理論等の量子化学法により計算される)。当業者は、これらのエネルギー準位の絶対値が、使用される方法に顕著に依存するという事実にも気付いている。本出願人は、有機半導体のエネルギー準位を測定するための一定の組み合わせ方法を確立した。1セットの半導体(20を超える異なる半導体)のHOMO/LUMO準位は、信頼性のある評価法を有するCVにより測定され、また、同じ補正関数、例えば、B3PW91と同じ基本セット、例えば、6−31G(d)をもつGaussian03WのDFTにより計算される。計算値は、次いで、測定値により較正される。このような較正因子はさらなる計算のために使用される。計算値と測定値の一致は、非常に良好である。したがって、本発明のエネルギー準位の比較は、妥当な基礎で設定される。エネルギーギャップまたはバンドギャップは、HOMOおよびLUMOエネルギー準位の間の相違により得られる。
【0066】
本発明の調合物は、正孔注入材料(HIM)から選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。HIMは、アノードから有機層またはアノードに注入される正孔(すなわち、正電荷)を促進することができる材料または単位をさす。典型的には、HIMは、アノードの作業関数と同等か、より高いHOMO準位、すなわち、−5.3eV以上のHOMO準位を有する。
【0067】
本発明の調合物は、正孔輸送材料(HTM)から選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。HTMは、正孔注入材料またはアノードから注入される正孔(すなわち、正電荷)を輸送することができる材料または単位であることを特徴とする。HTMは、通常、高いHOMOを有し、典型的には、−5.4eVより高い。多くの場合において、HIMは、隣接する層に応じて、HTMとしても機能することができる。
【0068】

本発明の調合物は、正孔障壁材料(HBM)から選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。HBMは、多層構造における発光層または正孔輸送層に隣接して堆積される場合に、正孔が流出することを妨げる材料をさす。通常、隣接する層中のHTMのHOMO準位と比べてより低いHOMOを有する。正孔障壁層は、OLED中で発光層と電子輸送層との間に挿入されることが多い。
【0069】
本発明の調合物は、電子注入材料(EIM)から選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。EIMは、有機層中でカソードから注入される電子(すなわち、負電荷)を促進することができる材料をさす。EIMは、通常、カソードの作業関数と同等か、より低いLUMO準位を有する。典型的には、EIMは、−2.6eVより低いLUMOを有する。
【0070】
本発明の調合物は、電子輸送材料(ETM)から選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。ETMは、EIMまたはカソードから注入される電子(すなわち、負電荷)を輸送することができる材料をさす。ETMは、通常、低いLUMOを有し、典型的には、−2.7eVより低いLUMOを有する。多くの場合、EIMは、隣接する層に応じて、ETMとして機能することができる。
【0071】
本発明の調合物は、電子障壁材料(EBM)から選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。EBMは、多層構造中で発光層または電子輸送層に隣接して堆積される場合に、電子が流出することを妨げる材料をさす。EBMは、通常、隣接する層中のETMのLUMO準位と比べてより高いLUMOを有する。
【0072】
本発明の調合物は、励起子障壁材料(ExBM)から選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。ExBMは、多層構造中で発光層に隣接して堆積される場合に、励起子が拡散することを妨げる材料をさす。ExBMは、発光層または他の隣接層と比べて、より高い三重項準位か一重項準位を有する必要がある。
【0073】
本発明の調合物は、エミッターから選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。エミッターという用語は、他の材料からの任意の種類のエネルギー移送による励起エネルギーを受けて、あるいは電気的または光学的いずれかの励起を生じることにより、放射減衰を起こして発光する材料をさす。二種のエミッター、蛍光エミッターおよび燐光エミッターが存在する。蛍光エミッターという用語は、励起一重項状態から基底状態への放射遷移を受ける材料または化合物に関する。ここで使用される燐光エミッターという用語は、遷移金属を含むルミネセンス材料または化合物に関する。これは、典型的には、スピン禁止遷移、例えば励起三重項状態からの遷移により発光する材料を含む。
【0074】
ここで使用されるドーパントという用語は、エミッターまたはエミッター材料の用語のためにも使用される。
【0075】
本発明の調合物は、ホスト材料から選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。ホスト材料は、通常、エミッターと組み合わせて使用され、一般的に、エミッター材料と比べてより大きなHOMOおよびLUMO間のエネルギーギャップを有する。さらに、ホスト材料は、電子または正孔輸送材料の何れかとして機能する。ホスト材料はまた、電子及び正孔輸送特性の双方を有し得る。一重項遷移がOLEDにおけるフォトルミネンスの主たる原因である場合には、エミッターの吸収スペクトルとホスト材料のフォトルミネセンススペクトルとの間の最大重複が、極めて望ましい。これは、ホスト材料からエミッターへのエネルギー移送を確保する。
【0076】
ホスト材料は、特に、ホストがOLED中で燐光エミッターと組み合わせて使用されることが意図される場合には、マトリックスまたはマトリックス材料とも呼ばれる。そして、エミッター単位を含むポリマーに対しては、ポリマー骨格は、ホストと同じ意味を有する。
【0077】
本発明の調合物は、金属錯体から選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。量子力学により、高スピン多重度を有する励起状態から、例えば、励起三重項状態から基底状態への遷移は、禁止されている。
【0078】
しかしながら、重い原子、例えば、イリジウム、オスミウム、白金およびユウロピウムの存在は、強いスピン−軌道結合をもたらす。すなわち、励起一重項および三重項が混合され、三重項が多少の一重項的性質を得、一重項−三重項混合により非放射現象より迅速な放射減衰速度がもたらされる場合には、ルミネセンスは効率的であり得る。この種の発光は、Baldo等、Nature395、151−154(1998)により最初に報告されたとおり、金属錯体を使用して達成することができる。さらに、金属錯体は、例えば、B.O’Regan及びM.Graetzel、Nature353、737(1991)により報告されたRu錯体のような効率的で広帯域の光吸収材料または染料としても機能する。
【0079】
本発明の調合物は、染料から選ばれる一以上の機能性材料を含んでもよい。染料は、一般的には、光を吸収し、それゆえに着色した外観を有する無機または有機物質として説明することができる。光吸収材料としての染料の定義は、光エネルギーを光としてまたは任意の他の種類の変換エネルギーとして更なる材料へ伝達するために光を集める光吸収材料である。
【0080】
ここのどこかで言及されたHIMに加えて、適切なHIMは、フェニレンジアミン誘導体(US3615404)、アリールアミン誘導体(US3567450)、アミノ置換カルコン誘導体(US3526501)、スチレンアントラセン誘導体(JP昭54(1979) 110837)、ヒドラゾン誘導体(US3717462)、アシルヒドラゾン、スチルベン誘導体(JP昭和61(1986)210363)、シラザン誘導体(US4950950)、ポリシラン化合物(JP平成2(1990)204996)、PVKおよび他の電気伝導性巨大分子アニリン系コポリマー(JP平成2(1990)282263)、電気伝導性巨大分子チオフェンオリゴマー(JP平成1(1989)211399)、PEDOT:PSS(スピンコートポリマー)、プラズマ堆積フルオロカーボンポリマー(US6127004、US6208075、US6208077)、ポルフィリン化合物(JP昭和63(1988)2956965、US4720432)、芳香族三級アミンおよびスチリルアミン(US4127412)、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミンおよびジアミン型トリフェニルアミンである。アリールアミンデンドリマーも使用することができ(JP平成8(1996)193191)、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体またはブタジエン誘導体も適している。
【0081】
好ましくは、HIMは、アミン、トリアリールアミン、チオフェン、カルバゾール、フタロシアニン、ポルフィリンおよびそれらの誘導体を含むモノマー有機化合物から選ばれる。
【0082】
特に好ましいのは、三級芳香族アミン(US2008/0102311A1)、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−トリル)ベンジジン(=4,4’−ビス[N−3−メチルフェニル]−N−フェニルアミノ)ビフェニル(NPD)(US5061569)、N,N’−ビス(N,N’−ジフェニル−4−アミノフェニル)−N,N−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD232)および4,4’,4”−トリス[3−メチルフェニル)フェニルアミノ]−トリフェニルアミン(MTDATA)(JP平成4(1992)308688)またはフタロシアニン誘導体(例えば、H2Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc)である。
【0083】
特に、好ましいのは、以下に示す式15(TPD232)、16、17および18の置換されてもよいトリアリールアミン化合物と、US7399537B2、US2006/0061265A1、EP1661888A1及びJP08292586に開示された更なる化合物である。正孔注入材料として適するさらなる化合物は、EP0891121A1およびEP1029909A1に開示されている。正孔注入層は、一般的に、US2004/0174116に開示されている。
【化4】

【0084】
原則として、当業者に知られる任意のHTMが、本発明による調合物に使用することができる。ここで、ここのいずれかに言及されるHTMに加えて、HTMは、好ましくは、アミン、トリアリールアミン、チオフェン、カルバゾール、フタロシアニン、ポルフィリン、それらの異性体および誘導体から選ばれる。HTMは、特に好ましくは、アミン、トリアリールアミン、チオフェン、カルバゾール、フタロシアニンおよびポルフィリンから選ばれる。
【0085】
正孔輸送層に適する材料は、フェニレンジアミン誘導体(US3615404)、アリールアミン誘導体(US3567450)、アミノ置換カルコン誘導体(US3526501)、スチリルアントラセン誘導体(JP−A−56−46234)、多環式芳香族化合物(EP1009041)、ポリアリールアルカン誘導体(US3615402)、フルオレン誘導体(JP−A−54−110837)、ヒドラゾン誘導体(US3717462)、スチルベン誘導体(JP−A−61−210363)、シラザン誘導体(US4950950)、ポリシラン(JP−A−2−204996)、アニリンコポリマー(JP−A−2−282263)、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン、PVK、ポリピロール、ポリアニリンおよびさらなるコポリマー、ポルフィリン化合物(JP−A−63−2956965)、芳香族ジメチリデン型化合物、例えば、CDBP、CBP、mCP等のカルバゾール化合物、芳香族三級アミン及びスチリルアミン化合物(US4127412)、および、モノマートリアリールアミン(US3180730)である。トリアリールアミノ基が分子中に存在してもよいことは勿論である。
【0086】
好ましいものとして、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)(NPD)(US5061569)もしくはMTDATA(JP−A−4−308688)、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニル)ジアミノフェニレン(TBDB)、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン(TAPC)、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−3−フェニルプロパン(TAPPP)、1,4−ビス[2−[4−[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]フェニル]ビニル]ベンゼン(BDTAPVB)、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノフェニル(TTB)、TPD、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’’’ジアミノ−1,1’,4’,1’’,4’’,1’’’−クオーターフェニルのような少なくとも二個の三級アミン単位を含む芳香族三級アミン(US4720432およびUS5061569)、同様に、例えば、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−N,N−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ベンゼンアミン)(TCTA)等のカルバゾール単位を含む三級アミンが挙げられる。同様に好ましいものとして、US 2007/0092755A1に従うヘキサアザトリフェニレン化合物が挙げられる。
【0087】
特に、好ましいのは、以下に示す式19〜24で表されるトリアリールアミン化合物であり、これらは置換されていてもよく、EP1162193A1、EP650955A1、Synth.Metals1997、91(1−3)、209、DE19646119A1、WO2006/122630A1、EP1860097A1、EP1834945A1、JP08053397A、US6251531B1およびWO2009/041635に記載されている。
【化5】

【0088】
原則として、当業者に知られる任意のHBMを、本発明による調合物に使用することができる。ここでのいずれかに言及されるHBMに加えて、適切な正孔障壁材料は、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)−アルミニウム(III)(BAlQ)等の金属錯体である(US2003/0068528)。ファク−トリス(1−フェニルピラゾラート−N,C2)イリジウム(III)(Ir(ppz))も、この目的のために同様に使用される(US2003/0175553A1)。例えばBCP等のフェナントロリン誘導体、または、例えばTMPP等のフタルイミドも同様に使用される。
【0089】
また、適切な正孔障壁材料が、WO00/70655A2、WO01/41512およびWO01/93642A1に記載されている。
原則として、当業者に知られる任意のEIMを、本発明による調合物に使用することができる。ここでのいずれかに言及されるEIMに加えて、8−ヒドロキシキノリン、ヘテロ環有機化合物、フルオレノン、フルオレニリデンメタン、ペリレンテトラカルボン酸、アントラキノンジメタン、ジフェノキノン、アントロン、アントラキノンジエチレン-ジアミン、その異性体および誘導体から選ばれる少なくとも一つの有機化合物を含むEIMが、本発明により使用することができる。
【0090】
例えば、AlqおよびGaq等の8−ヒドロキシキノリンの金属錯体を、電子注入層のためのEIMとして使用することができる。例えば、Li、Cs、CaまたはMg等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属により、カソード界面で還元ドーピングすることが有利である。好ましいものは、Csを含む組み合わせであり、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、または、Cs、NaおよびKである。
【0091】
1,10フェナントロリン誘導体、ベンズイミダゾール、チオピランジオキシド、オキサゾール、トリアゾール、イミダゾールまたはオキサジアゾール等のヘテロ環有機化合物が、同様に適している。窒素を含む適切な五員環の例は、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、及び、US2008/0102311A1に記載される化合物である。
【0092】
好ましいEIMは、式25〜27を有する化合物から選ばれる。これらは置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。
【化6】

【0093】
フルオレノン、フルオレニリデンメタン、ペリレンテトラカルボン酸、アントラキノンジメタン、ジフェノキノン、アントロン、アントラキノンジエチレンジアミン等の有機化合物も、使用することができ、例えば下記である。
【化7】

【0094】
原則として、当業者に知られる任意のETMを、本発明による調合物に使用することができる。ここでのいずれかに言及されるETMに加えて、適切なETMは、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリン、アントラセン、ベンズアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンズイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフィンオキシド、フェナジン、フェナントロリン、トリアリールボラン、それらの異性体および誘導体から選ばれる。
【0095】
電子輸送層に適するETMは、8−ヒドロキシキノリンの金属キレート(例えば、Liq、Alq、Gaq、Mgq、Znq、InqおよびZrq)、Balq、4−アザフェナントレン−5−オル/Be錯体(US5529853A;例えば式30)、ブタジエン誘導体(US4356429)、ヘテロ環光沢剤(US4539507)、例えば1,3,5−トリス(2−N−フェニルベンズイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)(US5766779、式31)等のベンズアゾール、1,3,5−トリアジン、ピレン、アントラセン、テトラセン、フルオレン、スピロフルオレン、デンドリマー、テトラセン、例えばルブレン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体(JP2003−115387、JP2004−311184、JP−2001−267080、WO2002/043449)、シルアシル−シクロペンタジエン誘導体(EP1480280、EP1478032、EP1469533)、ピリジン誘導体(JP2004−200162Kodak)、フェナントロリン、例えば、BCP及びBphen、また、ビフェニルもしくは他の芳香族基を介して結合した多くのフェナントロリン(US2007/0252517A1)又はアントラセンに結合したフェナントロリン(US2007/0122656A1、例えば、式32及び33)、1,3,4−オキサジアゾール、例えば、式34、トリアゾール、例えば、式35、トリアリールボラン、例えば、Siをもつもの(例えば、式62)、ベンズイミダゾール誘導体と他のNヘテロ環化合物(例えば、US2007/0273272A1)、シルアシルシクロペンタジエン誘導体、ボラン誘導体、Gaオキシノイド錯体である。
【0096】
好ましいものは、2,9,10−置換アントラセン(1−あるいは2−ナフチルおよび4−あるいは3−ビフェニルを有する)もしくは二個のアントラセン単位を含む分子である(US2008/0193796A1)。
【化8】

【0097】
アントラセン−ベンズイミダゾール誘導体も、同様に好ましく、例えば、式36〜38の化合物や、US6878469B2、US2006/147747A及びEP1551206A1に記載された化合物が挙げられる。
【化9】

【0098】
原則として、当業者に知られる任意のEBMを、本発明による調合物に使用することができる。ここでのいずれかに言及されるEBMに加えて、例えば、Ir(ppz)(US2003/0175553)等の遷移金属錯体を、電子障壁層のための材料として使用することができる。
【0099】
好ましくは、EBMは、アミン、トリアリールアミンおよびそれらの誘導体からさらに選ばれる。
【0100】
本発明の調合物に適するExBMの選択が、隣接する層のエネルギーギャップに依存することは、当業者に知られている。適切なExBMは、好ましくは発光層である隣接層中の機能性材料よりも大きいエネルギーギャップを有する一重項もしくは三重項の何れかであると思われる。ここでのいずれかに言及されるExBMに加えて、例えば、MTDATA又は4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)等の置換トリアリールアミンを、電子障壁層のためのExBMとして使用することができる。置換トリアリールアミンは、例えば、US2007/0134514A1に記載されている。
【0101】
例えばTCTA等のN−置換カルバゾール化合物、もしくは、例えばBCP等のヘテロ環も好適である。
【0102】
例えば、Ir(ppz)もしくはAlq等の金属錯体も、この目的のために同様に使用することができる。
【0103】
原則として、当業者に知られる任意のホスト材料が、本発明による調合物に使用することができる。使用されるエミッターの種類に応じて、ホスト材料は、二つのカテゴリー、すなわち、蛍光エミッターのためのホストと燐光エミッターのためのホストに分けることができ、ここで、後者はマトリックスまたはマトリックス材料と呼ばれることが多い。
【0104】
本発明の調合物は、一以上のホスト材料を含んでもよく、好ましくは3個のホスト材料を、より好ましくは2個のホスト材料を、特に好ましくは1個のホスト材料を含む。本発明の調合物が、少なくとも一つの二個のホスト材料を含む場合には、ホスト材料は、コ−ホストまたはコ−ホスト材料とも呼ばれる。
【0105】
蛍光エミッターに適する好ましいホスト材料は、アントラセン、ベンズアントラセン、インデノフルオレン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、チオフェン、トリアジン、イミダゾールおよびそれらの誘導体から選ばれる。
【0106】
蛍光エミッターに特に好ましいホスト材料は、オリゴアリーレン(例えば、EP676461に記載の2,2’,7,7’−テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、具体的には、例えばフェナントレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレン、スピロフルオレン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタルペリレン、デカシクレン、ルブレン等の縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルエテニル)−1,1’−ビフェニル(DPVBi)もしくはEP676461に記載の4,4−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−1,1−スピロビフェニル(スピロ−DPVBi))、ポリポダル金属錯体(例えば、WO2004/081017に従う)、特に、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体、例えば、アルミニウム(III)トリス(8−ヒドロキシキノリン)(アルミニウムキノラート、Alq)もしくはビス(2−メチル−8−キノリノラート)−4−(フェニルフェノリノラート)アルミニウム(イミダゾールキレート (US2007/0092753A1)を有してもよい)及びキノリン−金属錯体、アミノキノリン−金属錯体、ベンゾキノリン−金属錯体、正孔伝導化合物(例えば、WO2004/058911に記載されている)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(例えば、WO2005/084081およびWO2005/084082に記載されている)、アトロプ異性体(例えば、WO2006/048268に記載されている)、ボロン酸誘導体(例えば、WO2006/177052に記載されている)またはベンズアントラセン(例えば、DE102007024850)の分類から選択される。より好ましいホスト材料は、ナフタレンン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、ケトン、ホスフィンオキシド及びスルホキシドの分類から選ばれる。特に好ましいホスト材料は、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体の分類から選ばれる。本発明の目的のためにオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合する化合物を意味するものと解される。
【0107】
蛍光エミッターにさらに好ましいホスト材料は、具体的には、式39により表される化合物から選ばれる。
【化10】

【0108】
式中、
Ar、Ar、Arは、出現毎に同一であるか異なり、5〜30個の芳香族環原子を含むアリールもしくはヘテロアリール基であり、一以上の基により置換されていてもよい。
【0109】
pは、1、2または3である。
【0110】
Ar、ArおよびAr中のπ電子の合計は、p=1の場合は少なくとも30であり、p=2の場合は少なくとも36であり、p=3の場合は少なくとも42である。
【0111】
式39で表されるホスト材料において、Ar基は、アントラセンであることがより好ましく、一以上のR基により置換されてよい。ArおよびAr基は、9−および10−位で結合することがより好ましい。特に好ましいものは、Arおよび/またはAr基の少なくとも一つが、1−あるいは2−ナフチル、2−,3−あるいは9−フェナントレニルもしくは2−,3−,4−,5−,6−あるいは7−ベンズアントラセニルから選ばれる縮合アリール基であり、これらは一以上のR基により置換されていてもよい。アントラセン系化合物は、US2007/0092753A1およびUS2007/0252517A1に記載されており、例えば、2−(4−メチルフェニル)−9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン、9−(2−ナフチル)−10−(1,1’−ビフェニル)−アントラセンおよび9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセンおよび1,4−ビス(9’−エチニルアントラセニル)ベンゼンである。二個のアントラセン単位を含むホスト材料(US2008/0193796A1)、例えば、10,10’−ビス[1,1’,4’,1’’]ターフェニル−2−イル−9,9’−ビスアントラセニルもまた好ましい。
【0112】
さらに好ましいホスト材料は、以下の各誘導体:アリールアミン、スチリルアミン、フルオレセイン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、シクロペンタジエン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾオキサゾリン、オキサゾン、ピリジン、ピラジン、イミン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール(US2007/0092753A1)、例えば、2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレン)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール]、アルダジン、スチルベン、スチリルアリーレン誘導体、例えば、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセンおよびジスチリルアリーレン誘導体(US5121029)、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ジケトピロロピロール、ポリメチン、メロシアニン、アクリドン、キナクリドン、桂皮酸エステルおよび蛍光染料である。
【0113】
特に好ましいものは、アリールアミンおよびスチリルアミン誘導体、例えば、4,4`−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル)(TNB)である。
【0114】
蛍光エミッターのためのホストとしてオリゴアリーレンを有する好ましい化合物は、例えば、US2003/0027016A1、US7326371B2、US2006/043858A、US7326371B2、US2003/0027016A1、WO2007/114358、WO2008/145239、JP3148176B2、EP1009044、US2004/018383、WO2005/061656A1、EP0681019B1、WO2004/013073A1、US5077142、WO2007/065678およびUS2007/0205412A1に記載される化合物である。特に好ましいオリゴアリーレン系化合物は、式(40)〜(46)を有する化合物である。
【化11】

【0115】
蛍光エミッターのためのさらなるホスト材料は、スピロビフルオレンおよびその誘導体から選ぶことができ、例えば、EP0676461に開示されたスピロ−DPVBiおよびUS6562485に開示されたインデノフルオレンである。
【0116】
燐光エミッターのための好ましいホスト材料、すなわち、マトリックス材料は、ケトン、カルバゾール、トリアリールアミン、インデノフルオレン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、チオフェン、トリアジン、イミダゾールおよびこれらの誘導体から選ばれる。好ましい誘導体の一部が、以下でより詳細に説明される。
【0117】
燐光エミッターが、例えばエレクトロルミネセンス成分として有機発光ダイオード(OLED)中に使用される場合に場には、ホスト材料は、蛍光エミッターに使用されるホスト材料と比べてむしろ異なる特性を満足しなければならない。燐光エミッターに使用されるホスト材料は、エミッターの三重項準位と比べてエネルギー的により高い三重項準位を有することが要求される。ホスト材料は、電子または正孔の何れか、もしくはそれら双方を輸送し得る。さらに、エミッターは、一重項−三重項混合を十分に促進するために、大きなスピン軌道結合定数を有することが推定される。これは、金属錯体を使用することで可能とされ得る。
【0118】

好ましいマトリックス材料は、N,N−ビスカルバゾリルビフェニル(CBP)、カルバゾール誘導体(例えば、WO2005/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527もしくはDE102007002714に従う)、アザカルバゾール(例えば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160)、ケトン(例えば、WO2004/093207に従う)、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン(例えば、WO2005/003253に従う)、オリゴフェニレン、芳香族アミン(例えば、US2005/0069729)、バイポーラーマトリックス材料(例えば、WO2007/137725に記載されている)、シラン(例えば、WO2005/111172に従う)、9,9−ジアリールフルオレン誘導体(例えば、DE102008017591に従う)、アザボロールもしくはボロン酸エステル(例えば、WO2006/117052に従う)、トリアゾール誘導体、オキサゾールおよびオキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フェニレンジアミン誘導体、芳香族三級アミン、スチリルアミン、インドール、アントロン誘導体、フルオレノン誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン化合物、カルボジイミド誘導体、ジフェニルキノン誘導体、フタロシアニン誘導体、例えばAlq等の8−ヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体(8−ヒドロキシキノリン錯体はまた、トリアリールアミノフェノール配位子を含んでもよい(US2007/0134514))、配位子として金属フタロシアニン、ベンズオキサゾールもしくはベンゾチアゾールを有する種々の金属錯体−ポリシラン化合物、例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)等の正孔伝導ポリマー、アニリンコポリマー、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体およびオリフルオン誘導体である。
【0119】
さらに特に好ましいマトリックス材料は、例えばDE102009023155.2、EP0906947B1、EP0908787B1、EP906948B1、WO2008/056746A1、WO2007/063754A1、WO2008/146839A1、およびWO2008/149691A1に開示されている、インドロカルバゾールおよびその誘導体(例えば、式47〜53)を含む化合物から選ばれる。
【化12】

【0120】
好ましいカルバゾール誘導体の例は、1,3−N,N−ジカルバゾールベンゼン(=9,9’−(1,3−フェニレン)ビス−9H−カルバゾール)(mCP)、9,9’−(2,2’−ジメチル[1,1‘−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス−9H−カルバゾール(CDBP)、1,3−ビス(N,N’−ジカルバゾル)ベンゼン(=1,3−ビス(カルバゾル−9−イル)ベンゼン)、PVK(ポリビニルカルバゾール)、3,5−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニルおよび式40〜44の化合物である。
【化13】

【0121】
好ましいSiテトラアリール化合物は、例えば、式59〜64の化合物(US2004/0209115、US2004/0209116、US2007/0087219A1およびUS2007/0087219A1)である。
【化14】

【0122】
燐光ドーパントに特に好ましいマトリックスは、式65で表される化合物である(EP652273B1)。
【化15】

【0123】
燐光ドーパントに特に好ましいマトリックス材料は、一般式66で表される化合物から選ばれる(EP1923448A1)。
【化16】

【0124】
ここで、M、Lおよびnは、文献に定義される通りである。好ましくは、MはZnであり、Lはキノリナートであり、nは2、3または4である。特に好ましいのは、[Znq、[Znqおよび[Znqである。
【0125】
好ましいものは、金属オキシノイド錯体から選ばれるコ−ホストであり、リチウムキノレート(Liq)およびAlqが、特に好ましい。
【0126】
エミッター化合物は、ホスト化合物と比べてより小さいバンドギャップを有することが要請される。一般的に、より小さいバンドギャップは、共役分子系のπ電子系を拡張することにより達成することができる。したがって、エミッター化合物は、ホスト分子よりもより拡張された共役π電子系を有する傾向にある。多くの例が公開されてきており、例えば、JP2913116BおよびWO2001/021729A1に開示されたスチリルアミン誘導体、WO2008/006449およびWO2007/140847に開示されたインデノフルオレン誘導体である。
【0127】
青色蛍光エミッターは、好ましくは、例えば9,10−ジ(2−ナフチルアントラセン)等のポリ芳香族化合物および他のアントラセン誘導体、テトラセン、キサンテンの各誘導体、例えば2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン等のペリレン誘導体、フェニレン、例えば、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル、フルオレン、アリールピレン(US2006/0222886)、アリールビニレン(US5121029、US5130603)、ルブレン、クマリン、ローダミンの各誘導体、例えば、N,N’−ジメチルキナクリドン(DMQA)等のキナクリドン誘導体、例えば、4−(ジシアノエチレン)−6−(4-ジメチルアミノスチリル−2−メチル)−4H−ピラン(DCM)等のジシアノメチレンピラン、チオピラン、ポリメチン、ピリリウムおよびチアピリリウム塩、ペリフランセン、インデノペリレン、ビス(アジニル)イミン−ボロン化合物(US2007/0092753A1)、ビス(アジニル)メセン化合物およびカルボスチリル化合物等である。
【0128】
さらに好ましい青色蛍光エミッターが、C.H.Chen等、“有機エレクトロルミネッセンス材料の最近の開発”、Macromol.Symp.125、(1997)、1−48、及び、“分子状有機エレクトロルミネッセンス材料および素子の最近の進展”、Mat.Sci.and Eng.R、39(2002)、143−222に記載されている。
【0129】
本発明の好ましい蛍光ドーパントは、モノスチリルアミン、ジスチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン、スチリルホスフィン、スチリルエーテルおよびアリールアミンの分類から選択される。
【0130】
モノスチリルアミンは、1個の置換あるいは非置換スチリル基と、少なくとも1個の、好ましくは芳香族のアミンを含む化合物を意味するものと解される。ジスチリルアミンは、2個の置換あるいは非置換スチリル基と、少なくとも1個の、好ましくは芳香族のアミンを含む化合物を意味するものと解される。トリスチリルアミンは、3個の置換あるいは非置換スチリル基と、少なくとも1個の、好ましくは芳香族のアミンを含む化合物を意味するものと解される。テトラスチリルアミンは、4個の置換あるいは非置換スチリル基と、少なくとも1つの、好ましくは芳香族のアミンを含む化合物を意味するものと解される。スチリル基は、特に好ましくはスチルベンであり、さらに置換されていてもよい。対応するホスフィンとエーテルはアミンと同様に定義される。本発明の目的のために、アリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくはヘテロ芳香族環系を含む化合物を意味するものと解される。これら芳香族もしくはヘテロ芳香族環系の少なくとも1個は、好ましくは縮合環系であり、好ましくは少なくとも14個の芳香族環原子を有する。これらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9−位で結合する化合物を意味するものと解される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9、10−位で結合する化合物を意味するものと解される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくはピレンに1位もしくは1、6−位で結合する。
【0131】
さらに好ましい蛍光ドーパントは、例えば、WO2006/122630に従うインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、例えば、WO2008/006449に従うベンゾインデノフルオレンアミンあるいはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、例えば、WO2007/140847に従うジベンゾインデノフルオレンアミンあるいはジベンゾインデノフルオレンジアミンから選択される。
【0132】
スチリルアミンの分類からのドーパントの例は、置換あるいは非置換トリスチルベンアミン、またはWO 2006/000388、WO 2006/058737、wo 2006/000389、WO 2007/065549およびWO 2007/115610に記載されるドーパントである。ジスチリルベンゼンおよびジスチリルビフェニル誘導体は、US 5121029に記載されている。さらなるスチリルアミンは、US 2007/0122656 A1に見出される。
【0133】
特に、好ましいスチリルアミンドーパントとトリアリールアミンドーパントは、式67〜72により表される化合物であり、US7250532B2、DE102005058557A1、CN1583691A、JP08053397A、US6251531B1、およびUS2006/210830Aに開示される。
【化17】

【0134】
さらに好ましい蛍光ドーパントは、EP1957606 A1およびUS2008/0113101A1に開示されるトリアリールアミン基から選ばれる。
【0135】
さらに好ましい蛍光ドーパントは、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、フルオレン、ペリフランセン、インデノペリレン、フェナントレン、ペリレン(US2007/0252517A1)、ピレン、クリセン、デカクリセン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、フルオレン、スピロフルオレン、ルブレン、クマリン(US4769292、US6020078、US2007/0252517A1)、ピラン、オキサゾン、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズイミダゾール、ピラジン、桂皮酸エステル、ジケトピロロピロール、アクリドンおよびキナクリドン(US2007/0252517A1)の誘導体から選択される。
【0136】
アントラセン化合物のうち、特に、好ましいものは、例えば、9,10−ジフェニルアントラセンおよび9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン等の9,10−置換アントラセンである。1,4−ビス(9’−エチニルアントラセニル)ベンゼンも好ましいドーパントである。
【0137】
燐光エミッターの例は、WO00/70655、WO01/41512、WO02/02714、WO02/15645、EP1191613、EP1191612、EP1191614およびWO05/033244に示される。一般的に、燐光OLEDのために先行技術に従い使用され、また、有機エレクトロルミネッセンス素子分野で当業者に知られるすべての燐光錯体が適切であり、当業者は、創作能力を要することなくさらなる燐光錯体を使用することができる。
【0138】
燐光エミッターは金属錯体であり得、好ましくは、式M(L)を有する金属錯体である。ここで、Mは金属原子であり、Lは、出現毎に互いに独立して、一または二以上の位置を介してMに結合または配位する有機配位子であり、zは、≧1の整数、好ましくは、1、2、3、4、5または6である。ここで、任意に、これらの基は、1個以上の、好ましくは1、2または3個の位置を介して、好ましくは配位子Lを介して、ポリマーに結合し得る。
【0139】
Mは、具体的には遷移金属から選ばれる金属原子であり、好ましくは、VIII族の遷移金属もしくはランタノイドもしくはアクチニドから選ばれる金属原子である。Mは、特に好ましくは、Rh、Os、Ir、Pt、Pd、Au、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Re、Cu、Zn、W、Mo、Pd、Ag、またはRuから選ばれ、更に好ましくは、Os、Ir、Ru、Rh、Re、PdまたはPtから選ばれる。Mは、Znであってもよい。
【0140】
好ましい配位子は、2フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2(2−チエニル)ピリジン誘導体、2(1−ナフチル)ピリジン誘導体もしくは2フェニルキノリン誘導体である。これらすべての化合物は置換されていてもよく、例えば、青色のためにフッ素またはトリフルオロメチル青色置換基により置換されてよい。補助配位子は、好ましくは、アセチルアセトンもしくはピコリン酸である。
【0141】
特に、US2007/0087219A1に開示される式73の四座配位子を有するPtもしくはPd錯体(ここで、R〜R14とZ〜Zは、文献で定義されるとおりである)、拡張環系を有するPt−ポルフィリン錯体(US2009/0061681A1)およびIr錯体が適している。例えば、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン−Pt(II)、テトラフェニル−Pt(II)−テトラベンゾポルフィリン(US2009/0061681A1)、シス−ビス(2−フェニルピリジナート−N,C2’)Pt(II)、シス−ビス(2−(2’−チエニル)ピリジナート−N,C3’)Pt(II)、シス−ビス(2−(2’−チエニル)キノリナート−N,C5’)Pt(II)、(2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナート−N,C2’)Pt(II)アセチルアセトネートもしくはトリス(2−フェニルピリジナート−N,C2’)Ir(III)(Ir(ppy)、緑色)、ビス(2−フェニルピリジナート−N,C2)Ir(III)アセチルアセトネート(Ir(ppy)2アセチルアセトネート、緑色、US2001/0053462A1、Baldo、Thompson等、Nature403、(2000)、750−753)、ビス(1−フェニルイソキノリナート−N,C2’)(2−フェニルピリジナート−N,C2’)イリジウム(III)、ビス(2−フェニルピリジナート−N,C2’)(1−フェニルイソキノリナート−N,C2’)イリジウム(III)、ビス(2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナート−N,C3’)イリジウム(III)アセチルアセトネート、ビス(2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナート−N,C2’)イリジウム(III)ピコリナート(FIrpic、青色)、ビス(2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナート−N,C2’)Ir(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート、トリス(2−(ビフェニル−3−イル)−4−tert−ブチルピリジン)イリジウム(III)、(ppz)Ir(5phdpym)(US2009/0061681A1)、(45ooppz)Ir(5phdpym)(US2009/0061681A1)、2−フェニルピリジン−Ir錯体の誘導体、例えば、イリジウム(III)ビス(2−フェニルキノリル−N,C2’)アセチルアセトネート(PQIr)、トリス(2−フェニルイソキノリナート−N,C)Ir(III)(赤色)、ビス(2−(2’−ベンゾ[4,5−a]チエニル)ピリジナート−N,C3)Irアセチルアセトネート([BtpIr(acac)]、赤色、Adachi等、Appl.Phys.Lett.78(2001)、1622−1624)が挙げられる。
【化18】

【0142】
また、例えば、Tb3+およびEu等の三価のランタニドの錯体(J.Kido等、Appl.Phys.Lett.65(1994)、2124、Kido等、Chem.Lett.657、1990、US2007/0252517A1)、またはマレオニトリルジチオレートを有するPt(II)、Ir(I)、Rh(I)の燐光錯体(Johnson等、JACS105、1983、1795)、Re(I)トリカルボニルジイミン錯体(Wrighton、JACS96、1974、998 inter alia)、シアノ配位子とビピリジルもしくはフェナントロリン配位子を有するOs(II)錯体(Ma等、Synth.Metals94、1998、245)またはホストのないAlqもまた好適である。
【0143】
三座配位子を有するさらなる燐光エミッターは、US6824895およびUS707292766に記載されている。赤色発光燐光錯体は、US6835469およびUS6830828に言及される。
【0144】
特に、好ましい燐光ドーパントは、式74を有する化合物と、例えばUS2001/0053462A1に開示される更なる化合物である。
【0145】
特に好ましい燐光ドーパントは、式75を有する化合物と、例えばWO2007/095118A1に開示される更なる化合物である。
【化19】

【0146】
さらなる誘導体は、US7378162B2、US6835469B2およびJP2003/253145Aに記載されている。
【0147】
ここでのいずれかに言及される金属錯体に加えて、本発明の適切な金属錯体は、遷移金属、希土類元素、ランタニドおよびアクチニドから選ばれ得、本発明の主題でもある。好ましい金属は、Ir、Ru、Os、Eu、Au、Pt、Cu、Zn、Mo、W、Rh、PdまたはAgから選ばれる。
【0148】
ここでのいずれかに言及される染料に加えて、本発明に係る染料は、ペリレン、ルテニウム染料、フタロシアニン、アゾ染料、ペリレンジミド、ポルフィリン、スクアレンその異性体および誘導体から選ばれ得る。
【0149】
好ましくは、染料は、ペリレン、ルテニウム染料、フタロシアニン、アゾ染料、ペリレンジミド、ポルフィリンおよびスクアレンから選ばれる。また、Yu Bai等、Nature Materials、Vol7、626(2008)及びB.O‘Regan等、Nature353、737(1991)に開示されたルテニウム錯体、Bessho等、Chem.Commun.3717(2008)に開示されたCu系錯体から選ばれる染料も好ましい。
【0150】
さらなる染料は、アクリジン、アントラキノン、アリールメタン、ジアリールメタン、トリアリールメタン、アゾ系染料、サイアニン、ジアゾニウム系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、キノン-イミン、アジン系染料、ユウロジン、サフラニン、インジュリン、インダミン、インドフェノール、オキサジン、オキサゾン、チアジン、チアゾール、キサンテン、フルオレン、ピロニン、フルオロンおよびローダミンから選ばれる。
【0151】
本発明の染料に加えて、電荷生成材料も染料として同じ機能を有し得る。それらは、例えば、電子写真素子に使用される。したがって、Paul M.Borsenberger及びDavid S.Weiss、Organic Photorecptors for Xerography;Marcel Dekker,Inc.,1998,Chapter6、及び、K.Y.Law、Chem.Rev.Vol93,449−486(1993)により要約される電荷生成材料も、ここで適切な染料と認められる。
【0152】
さらに適切な染料は、縮合環系、例えば、アントラセン、ナフタレン、ペンタセンおよびテトラセン誘導体を含む有機化合物から選ばれる。
【0153】
本発明の調合物は、小分子、ポリマー、オリゴマー、デンドリマーおよびブレンドから選ばれる機能性材料を含み得る。機能性ポリマーは、異なる機能が、一つの大分子または大分子のブレンドに組み込まれ得ることを特徴とする。機能は、特に、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子障壁材料、発光材料、正孔障壁材料、電子注入材料、電子輸送材料および染料の機能である。ポリマーに組み込まれる機能は、異なる群に分類することができる。所望の機能性基とそれらの間の比を選択することにより、ポリマーは、所望の機能を有するように調整され得る。
【0154】
ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマー間の相違は、上記に定義される分子全体のサイズ、サイズ分布および分岐度に基づいている。
【0155】
異なる構造は、とりわけ、WO 2002/077060A1およびDE10337346A1に開示され、広範に挙げられるものである。構造単位は、例えば、以下の群から生じ得る:
群1:ポリマーの正孔注入及び/又は輸送特性を増大させる単位。上述したHIM又はHTMに対応する。
【0156】
群2:ポリマーの電子注入及び/又は輸送特性を増大させる単位。上述したEIM又はETMに対応する。
【0157】
群3:群1及び群2からの各単位の組み合わせを有する単位。
【0158】
群4:発光特性を、電子蛍光に替えて電子燐光が得られ得るような範囲まで変更する単位。典型的には、燐光エミッターに対応し、より好ましくは上述した発光金属錯体に対応する。
【0159】
群5:いわゆる一重項状態からより高いスピン状態、例えば、三重項状態へ遷移を改善する単位。
【0160】
群6:得られるポリマーのモルホロジー及び/又は発光色に影響する単位。
【0161】
群7:典型的には、骨格として使用され、電子輸送機能、正孔輸送機能または双方を有し得る単位。
【0162】
群8:UVから赤外までの少なくとも一つの波長に強い吸収を有する単位。上述した染料材料に対応する。
【0163】
好ましくは、上記機能性材料は、群1の単位を含む正孔輸送もしくは注入ポリマーであり、好ましくは、上述した低分子量HTMまたはHIMを含む単位から選ばれる。
【0164】
群1からの更に好ましい単位は、例えば、トリアリールアミン、ベンジジン、テトラアリール−パラ−フェニレンジアミン、カルバゾール、アズレン、チオフェン、ピロール及びフラン誘導体、及び、高HOMOを有する更なるO、SもしくはN含有へテロ環である。これらのアリールアミンおよびへテロ環は、ポリマー中で、好ましくは、5.8eVを超える(真空準位に対して)、特に好ましくは5.5eVを超えるHOMOを生じる。
【0165】
好ましいポリマーHTMまたはHIMは、以下に示す式76の繰り返し単位の少なくとも1つを含むポリマーである。
【化20】

【0166】
式中、
Arは、異なる繰り返し単位では同一でも異なってもよく、独立して、単結合または任意に置換される単核もしくは多核アリール基を示す。
Arは、異なる繰り返し単位では同一でも異なってもよく、独立して、任意に置換される単核もしくは多核アリール基を示す。
Arは、異なる繰り返し単位では同一でも異なってもよく、独立して、任意に置換される単核もしくは多核アリール基を示す。
mは、1、2または3である。
式76で表される特に好ましい単位は、式77〜79から成る群から選ばれる。
【化21】

【0167】
式中、
Rは、出現毎に同一でも異なってもよく、H、置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族基、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アラルキル、アリールチオ、アルコキシカルボニル、シリル、カルボキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基から選ばれる。
rは、1、2、3または4である。
sは、0、1、2、3、4または5である。
【0168】
さらに好ましいポリマーHTMまたはHIMは、少なくとも一つの以下の式80により表される繰り返し単位を含むポリマーである。
【化22】

【0169】
式中、
およびTは、互いに独立して、チオフェン、セレノフェン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ピロール、アニリンであり、すべて任意にRで置換され、
は、出現毎に互いに独立して、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NH、−NR00、SH、SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、置換されていてもよいシリル、置換されていてもよい、ヘテロ原子を任意に含む1〜40個のC原子を含むカルビルもしくはヒドロカルビルであり、
ArおよびArは、互いに独立して、単核もしくは多核アリールまたはヘテロアリールであり、任意に置換され、任意に、隣接するチオフェンもしくはセレノフェン基の一方あるいは双方に2,3−位で縮合しており、
cとeは、互いに独立して、0、1、2、3または4であり、1<c+e≦6であり、
dとfは、互いに独立して、0、1、2、3または4である。
【0170】
ポリマーHTMの例は、WO2007131582A1およびWO2008/009343A1に開示されるとおりである。
【0171】
好ましくは、上記機能性材料は、群2を含む電子輸送もしくは注入ポリマーであり、好ましくは、上述した低分子量ETMまたはEIMを含む群から選ばれる。
【0172】
電子注入又は電子輸送特性を有する2群からの更に好ましい単位は、例えば、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、キノリン、キノキサリンおよびフェナジン誘導体であり、更には、トリアリールボラン及び低LUMOを有する更なるO、SもしくはN含有ヘテロ環である。ポリマー中でこれらの単位は、2.7eV(真空準位に対して)未満、好ましくは、2.8eV未満のLUMOを生じる。
【0173】
好ましくは、上記機能性材料は、正孔移動性と電子移動性を増加する構造(群1と群2からの単位)が、互いに直接結合した群3からの単位を含むポリマーである。これらの単位のいくつかは、エミッターとして機能し、発光色を、緑色、黄色、あるいは赤色にシフトし得る。したがって、それらの使用は、例えば、他の発光色または元々は青色の発光ポリマーからの広帯域発光の製造のために適している。
【0174】
好ましくは、上記機能性材料は、群4からの単位を含むポリマーであり、好ましくは、燐光エミッター、特に、上述した発光金属錯体を含む群から選ばれる。ここで、特に好ましいのは、8〜10族(Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)からの元素を含む対応する構造単位である。
【0175】
好ましくは、上記機能性材料は、群5の単位を含むポリマー三重項マトリックスであり、一重項状態から三重項状態への遷移を改善し得るものであり、群4からの構造要素のサポートに使用され、これら構造要素の燐光特性を改善する。この目的のために適するものは、特に、カルバゾールおよび架橋カルバゾール2量体単位であり、たとえば、DE10304819A1およびDE10328627A1に記載されている。また、この目的のために適するものは、DE10349033A1に記載されている通りのケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、シラン誘導体および類似化合物である。さらに好ましい構造単位は、上述した低分子量燐光マトリックスを含む群から選択され得る。
【0176】
好ましくは、上記機能性材料は、群6の単位を含み、ポリマーのモルホロジーおよび/または発光色に影響し、上述したものに加えて、上述した群に入らない少なくとも一つのさらなる芳香族もしくは別の共役構造を有する。すなわち、電荷担持移動性にほんの少ししか影響しないものであり、有機金属錯体ではなく、あるいは一重項−三重項遷移に影響しない。この型の構造要素は、得られるポリマーのモルホロジーおよび/または発光色に影響し得る。したがって、それらは、単位に応じて、エミッターとして使用することもできる。ここで好ましいのは、蛍光OLEDの場合には、6〜40個のC原子を有する芳香族構造であり、また、トラン、スチルベンもしくはビススチリルアリーレン誘導体であり、夫々は、一以上のラジカルRにより置換されていてもよい。ここで特に好ましいのは、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、1,4−あるいは9,10−アントリレン、1,6−、2,7−あるいは4,9−ピレニレン、3,9−あるいは3,10−ペリレニレン、4,4’−ビフェニリレン、4,4”−ターフェニリレン、4,4’ビ1,1’−ナフチリレン、4,4’−トラニレン、4,4’−スチルベニレンまたは4,4”−ビスチリルアリーレン誘導体である。
【0177】
好ましくは、上記機能性材料は、群7の単位を含み、6〜40個のC原子を有する芳香族構造を含み、典型的には、ポリマーの骨格として使用される。これらは、たとえば、4,5−ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10−テトラヒドロピレン誘導体、たとえば、US5962631、WO2006/052457A2およびWO2006/118345A1に記載されたフルオレン誘導体、たとえば、WO2003/020790A1に記載された9,9’−スピロビフルオレン誘導体、たとえば、WO2005/104264A1に記載された9,10−フェナントレン誘導体、たとえば、WO2005/014689A2に記載された9,10−ジヒドロフェナントレン誘導体、たとえば、WO2004041901A1、WO2004113412A2に記載された5,7−ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体およびシス−,トランス−インデノフルオレン誘導体、たとえば、WO2006/063852A1に記載されたビナフチレン誘導体、更に、たとえば、WO2005/056633A1、EP1344788A1およびWO2007/043495A1、WO2005/033174A1、WO2003/099901A1およびDE102006003710.3に記載された単位である。
【0178】
群7からのさらに好ましい構造要素は、たとえば、US5962631、WO2006/052457A2およびWO2006/118345A1に記載されたフルオレン誘導体、たとえば、WO2003/020790A1に記載されたスピロビフルオレン誘導体、たとえば、WO2005/056633A1、EP1344788A1およびWO2007/043495A1に記載されたベンゾフルオレン、ジベンゾフルオレン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフルオレンおよびそれらの誘導体から選択される。
【0179】
非常に好ましい群7の構造要素は、式81で表される。
【化23】

【0180】
式中、
A、BおよびB’は、互いに独立して、また、複数存在する場合には互いに独立して、二価の基であり、好ましくは、−CR−、−NR−、−PR−、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CS−、−CSe−、−P(=O)R−、−P(=S)R−および−SiR−から選ばれる。
【0181】
およびRは、互いに独立して、同一であるか異なり、H、ハロゲン、−CN、−NC、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NH、−NR00、−SH、−SR、−SOH、−SO、−OH、−NO、−CF、−SF、任意に置換されたシリル、または、任意に置換され、且つ、任意に一以上のヘテロ原子を含む1〜40個のC原子を有するカルビルもしくはヒドロカルビルから選ばれる。RとR基は、それらが連結するフルオレン部位と共にスピロ基を任意に形成し得る。
Xは、ハロゲンである。
【0182】
とR00は、互いに独立して、Hまたは、任意に一以上のヘテロ原子を含む、任意に置換されたカルビルもしくはヒドロカルビル基である。
各gは、独立して、0または1であり、同じ副単位中の夫々対応するhは、0または1の他方である。
mは、≧1の整数である。
【0183】
ArとArは、互いに独立して、単核あるいは多核アリールもしくはヘテロアリール基であり、置換されていてもよく、インデノフルオレン基の7,8−位あるいは8,9−位で縮合していてもよい。
aとbは、互いに独立して、0または1である。
基とR基が、それらが連結するフルオレン基と共にスピロ基を形成する場合、スピロビフルオレンであることが好ましい。
【0184】
式81により表される基は、好ましくは、以下の式82〜86から選択される。
【化24】

【0185】
式中、
は、式81で定義される通りであり、rは、0、1、2、3または4であり、Rは、Rの意味の一つを有する。
【0186】
Rは、好ましくは、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)NR00、−C(=O)X、−C(=O)R、−NR00、任意に置換されたシリル、4〜40個、好ましくは、6〜20個のC原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基、または、1〜20個、好ましくは、1〜12個のC原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシである。ここで、一以上のH原子は、任意に、FまたはClで置き代えられ、また、R、R00およびXは、上記定義のとおりである。
【0187】
特に好ましい式81で表される基は、以下の式87〜90から選択される。
【化25】

【0188】
式中、
Lは、H、ハロゲンまたは任意にフッ素化された1〜12個のC原子を有する直鎖あるいは分岐アルキルもしくはアルコキシ基であり、好ましくは、H、F、メチル、i−プロピル、t−ブチル、n−ペントキシまたはトリフルオロメチルである。
【0189】
L’は、任意にフッ素化された1〜12個のC原子を有する直鎖あるいは分岐アルキルもしくはアルコキシ基であり、好ましくは、n−オクチルまたはn−オクチルオキシである。
【0190】
L’は、任意にフッ素化された1〜12個のC原子を有する直鎖あるいは分岐アルキルもしくはアルコキシ基であり、好ましくは、n−オクチルまたはn−オクチルオキシである。
【0191】
好ましくは、上記機能性材料は、群8を含むポリマーであり、上述した染料材料を含む群から選ぶことができる。有機太陽電池に適する共役ポリマーは、F.C.Krebs、Solar Energy Materials and Solar Cells、Vol91、953(2007)により要約されるとおりに、本発明の上記有機機能性材料として使用することもできる。
【0192】
本発明における使用に好ましいポリマーは、群1〜8から選ばれる一以上の単位を同時に含む。同様に、ある群からの二以上の構造単位が同時に存在することも好ましい場合がある。
【0193】
本発明における使用に適するポリマーは、エミッターの構造単位に加えて、上述した群からの少なくとも一つの構造単位をも含む。少なくとも二つの構造単位は、特に好ましくは上記言及したものの異なるクラスからのものである。
【0194】
異なる分類の群の割合は、ポリマー中に存在する場合には、好ましくは、各場合において少なくとも5モル%、より好ましくは、各場合において少なくとも10モル%である。特に、これらの構造単位の一つは、正孔伝導単位から選ばれ、その他の単位は、発光単位であり、これら二つの機能(正孔伝導と発光)は、同じ単位により担われてもよい。
【0195】
しかしながら、より少ない割合の発光単位、特に、緑色および赤色発光単位が、例えば、白色発光コポリマーの合成に好ましい場合がある。白色発光コポリマーを合成することができる方法は、DE10343606A1に詳細に記載されている。
【0196】
適切な溶解度を確保するために、平均して少なくとも2個の非芳香族C原子が、繰り返し単位毎の置換基中に存在することが好ましい。ここで好ましいのは、少なくとも4個のC原子であり、より好ましくは、少なくとも8個のC原子である。さらに、これらの個々のC原子は、OまたはSにより置き代えられてよい。しかしながら、ある割合の繰り返し単位は、さらなる非芳香族置換基をまったく有さないことも、完全に可能である。
【0197】
フィルムのモルホロジーを損なわないために、直鎖中に12個を超えるC原子を有する長鎖置換基を有さないことが好ましく、8個を超えるC原子を有する長鎖置換基を有さないことがより好ましく、特に6個を超えるC原子を有する長鎖置換基を有さないことが好ましい。
【0198】
本発明において機能性材料として使用されるポリマーは、統計的またはランダムコポリマー、交互もしくはレジオレギュラーコポリマー、ブロックコポリマーまたはこれらの組み合わせであってよい。
【0199】
他の好ましい態様において、上記ポリマーは、側鎖非共役ポリマーであって、ポリマーベースの燐光OLEDに特に重要である。一般的に、このような燐光ポリマーは、US7250226B2に開示されるとおり、ビニル化合物のラジカル共重合により得ることができ、少なくとも一つの燐光エミッターと少なくとも一つの電荷輸送単位を側鎖に含む。このような燐光ポリマーのさらなる例は、例えば、JP2007/211243A2、JP2007/197574A2、US7250226B2、JP2007/059939Aに開示されている。
【0200】
さらに好ましい態様において、上記ポリマーは、主鎖非共役ポリマーであって、骨格単位は、主鎖にスペーサーにより連結されている。側鎖非共役ポリマーと同様に、主鎖非共役ポリマーはまた、高い三重項準位をももたらす。主鎖非共役ポリマー系の三重項OLEDの例は、DE102009023154.4に開示されている。
【0201】
さらなる態様において、上記ポリマーは、蛍光OLEDのために非共役ポリマーでもあり得る。好ましい一重項非共役ポリマーは、たとえば、JP2005/108556、JP2005/285661、JP2003/338375等に開示されるとおりの、側鎖中にアントラセン、ベンズアントラセンおよびその誘導体を有する側鎖ポリマーである。
【0202】
上記ポリマーは、ETMまたはHTMとしても機能することができ、好ましくは、ポリマーは、非共役ポリマーである。
【0203】
本発明に係る素子は、本発明の調合物、すなわち、エマルジョンまたは分散液を使用して堆積されたものではない追加的な層を含んでもよい。追加的層は、溶液からの技術または蒸着により堆積されてよい。ここで使用される特定の方法は、使用される材料の特性に依存し、当業者は問題なく適切な技術を選択する。堆積される材料は、電子および光電子多層構造分野で使用される任意の材料であり得る。特に、材料は、ここに記載される任意の材料であり得る。さらに、材料は、以下に概説される有機および無機機能性材料から選択され得る。
【0204】
p型Siとp型SiC等の無機化合物、および、例えば酸化バナジウム(VO)、酸化モリブデン((MoO)または酸化ニッケル(NiO)等の無機酸化物も、HIMとして使用することができる。
【0205】
電子注入層(EIL)は、絶縁体および半導体から構築されることが多い。
【0206】
EILのための好ましいアルカリ金属カルコゲナイドは、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaO、KO、CsOである。
【0207】
EILのための好ましいアルカリ土類金属カルコゲナイドは、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、CaSeである。
【0208】
EILのための好ましいアルカリ金属ハロゲン化物は、LiF、NaF、KF、CsF、LiCl、KCl、NaClである。
【0209】
EILのための好ましいアルカリ土類金属ハロゲン化物は、CaF、BaF、SrF、MgF、BeFである。
【0210】
同様に、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属(Sc、Y、Ce、Th、Yb)、希土類金属錯体、希土類金属化合物(好ましくは、YbF、ScF、TbF)等を使用することも可能である。
【0211】
EILの構造は、例えば、US5608287、US5776622、US5776623、US6137223、US6140763、US6914269に記載されている。
【0212】
電子輸送層は、固有材料から構成されてもよいし、ドーパントを含んでもよい。Alq(EP278757 B1)とLiq(EP0569827 A2)が、固有層の例である。4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen):Li1:1(US2003/02309890)とルブレン/LiFが、ドープ層の例である。
【0213】
上述した材料に加えて、本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は、少なくとも一つのアノード、少なくとも一つのカソードおよび一以上の基板を含んでもよい。
【0214】
アノードに好ましい材料は、限定するものではないが、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、錫酸化物(SnO)、ZnO、InO、アルミニウム亜鉛酸化物(AlZnO)、ならびに、亜鉛酸化物でドープされたAlおよびIn亜鉛酸化物、マグネシウムインジウム酸化物およびニッケルタングステン酸化物等の他の酸化物から選ばれる金属酸化物である。窒化ガリウム等の金属窒化物およびセレン化亜鉛等の金属セレン化物および硫化亜鉛等の金属硫化物を使用することもできる。アノードに使用することのできるさらなる材料は、電気伝導性ポリマー、例えば、ポリチオフェンおよびポリピロールである。
【0215】
アノードは、透明、オパール色、反射性であり得る。アノードは、中間的状態、例えば、部分的に反射性で部分的に透明状態をとることもできる。
【0216】
アノードが透明でないか、部分的に透明であるだけならば、さらなる伝導性材料を使用することができる。非透明あるいは部分透明アノードに好ましい材料は、限定するものではないが、Au、Ir、Mo、Pd、Pt、Cu、Ag、Sn、C、Al、V、Fe、Co、Ni、Wおよびそれらの混合物から選ばれる。伝導性材料は、上記記載のとおりのさらなる伝導性材料、例えば、In-Cuと混合することもできる。
【0217】
アノードは、好ましくは透明であり、アノードに特に好ましい材料は、ITOである。底部発光素子の場合には、ガラスまたはプラスチックは、好ましくはITOで被覆される。頂部発光素子の場合には、アノードは、好ましくは、反射性材料を含む。当業者に知られるさらなる材料を、アノードに使用することができる。
【0218】
基板とアノードの柔軟で透明な組み合わせは、例えば、US5844363B2およびUS6602540B2に記載されている。
【0219】
カソードは、透明、オパール色、反射性であり得る。カソードは、低い仕事関数を有する金属または合金から選ばれる。4.0eV未満の仕事関数を有する好ましい金属、合金または伝導性化合物もしくは材料が使用される。特に、好ましいカソードは、限定するものではないが、Ba、Ca、Sr、Yb、Ga、Cd、Si、Ta、Sb、Zn、Mg、Al、In、Li、Na、Cs、Ag、または、Mg/AlもしくはAl/LiもしくはAl/Sc/LiもしくはMg/Agを含む合金等の二以上の元素の混合物、または、ITOもしくはIZO等の金属酸化物から選ばれる。
【0220】
薄い誘電体層を形成するために使用されるカソードのためのさらに好ましい材料は、LiF、LiO、BaF、MgOもしくはNaFと混合される金属から選ばれる。典型的な組み合わせは、LiF/Alである。
【0221】
トップにITO層をもつMg/Alカソードは、US5703436、US5707745、US6548956B2、US6576134B2に記載されている。Mg/Ag合金は、US4885221に記載されている。
【0222】

基板は剛直か柔軟であってよい。基板は透明、半透明、オパール色もしくは反射性であり得る。使用される材料は、ガラス、プラスチック、セラミックもしくは金属箔であり得、プラスチックと金属箔は、好ましくは、柔軟性基板のために使用される。しかしながら、例えば、シリコンウェハーもしくは印刷回路基板(PCB)等の半導体材料も、導電路の生成を簡単にするために、使用し得る。他の基板も使用することもできる。
【0223】
使用されるガラスは、例えば、ソーダライムガラス、BaあるいはSr含有ガラス、鉛ガラス、アルミノ珪酸ガラス、硼珪酸ガラス、Ba硼珪酸ガラスまたは水晶であり得る。
【0224】
プラスチック板は、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステルスルフィド樹脂またはポリスルホン樹脂から構成され得る。
【0225】
透明フィルムに対しては、例えば、ポリエチレン、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、PVC、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエステルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、ポリビニルフルオリド、テトラフルオロエチレン-エチレンコポリマー、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミドまたはポリエテルイミドが使用される。
【0226】
基板は疎水性層を備える。基板は、好ましくは、透明である。
【0227】
ここで言及したもの以外の材料も使用し得る。適切な材料は、当業者に知られている。
【0228】
本発明に係る好ましい調合物は、機能性界面活性剤がホスト基を含み、不連続相が少なくとも一つの更なる機能性材料を含むことを特徴とする。好ましくは、更なる機能性材料は、発光材料と金属錯体から選択され、好ましくは発光金属錯体から選択される。ホスト基、発光材料、及び金属錯体は、本発明の範囲内において記載した機能性材料から選択され得る。
【0229】
好ましいホスト材料は、アントラセン、ベンズアントラセン、インデノフルオレン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、デヒドロフェナントレン、チオフェン、トリアジン、イミダゾール、ケトン、カルバゾール、トリアリールアミン及びこれらの誘導体から選択される。
【0230】
本発明はまた、エミッター材料から選択される少なくとも2つの更なる機能性材料を含有し、このエミッター材料は互いに独立して、蛍光材料及び燐光材料から選択されることを特徴とする上記調合物に関するものである。
【0231】
上記調合物は、好ましくは4つの、より好ましくは3つの、更に好ましくは2つのエミッター材料を含有する。エミッター材料は、調合物の同じ相でも異なる相でもよく、好ましくはエミッター材料は同じ相であり、より好ましくはエミッターは同じ不連続相である。
【0232】
公知の任意のエミッター材料を使用することができるが、本発明内のいずれかで記載したエミッター材料が好ましい。
【0233】
機能性界面活性剤が1つの発光機能性基を含有することを特徴とする上記調合物が好ましい。さらに、この調合物は、発光材料から好ましくは選択される少なくとも1つの更なる機能性材料を含有することが好ましい。調合物は、特に好ましくは2つの、更に好ましくは1つの更なる発光材料を含有する。好ましくは、不連続相は更なる発光材料発光材料を含有する。
【0234】
連続相が、ホスト材料、HTM及びETMから選択される少なくとも1つの更なる機能性材料を含有することを特徴とする上記調合物が更に好ましい。
【0235】
一つの発光機能性基を含有する少なくとも一つの機能性界面活性剤を含有し、不連続相が発光材料から選択される少なくとも一つの更なる機能性材料を含有し、連続相がホスト材料から選択される少なくとも一つの更なる機能性材料を含有することを特徴とする調合物が特に好ましい。
【0236】
一つの発光機能性基を含有する少なくとも一つの機能性界面活性剤を含有し、不連続相が発光材料から選択される少なくとも一つの更なる機能性材料を含有し、連続相がETMから選択される少なくとも一つの更なる機能性材料を含有することを特徴とする調合物が特に好ましい。
【0237】
一つの発光機能性基を含有する少なくとも一つの機能性界面活性剤を含有し、不連続相が発光材料から選択される少なくとも一つの更なる機能性材料を含有し、連続相がホストHTMから選択される少なくとも一つの更なる機能性材料を含有することを特徴とする調合物が特に好ましい。
【0238】
調合物の上記不連続相は、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの、発光材料から選択される更なる機能性材料を含有する。
【0239】
調合物の上記連続相は、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの、ホスト材料から選択される更なる機能性材料を含有する。
【0240】
調合物の上記連続相は、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの、ETMから選択される更なる機能性材料を含有する。
【0241】
調合物の上記連続相は、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの、HTMから選択される更なる機能性材料を含有する。
【0242】
公知の任意の発光機能性基、及び、発光材料、ホスト材料、ETM及びHTMから選択される更なる機能性材料を使用することができるが、本発明の範囲内においていずれかに記載したエミッター材料が好ましい。
【0243】
好ましいETMは、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサジアゾール、チノリン、チノキサリン、アントラセン、ベンズアントラセン、ピレン、ペリレン、ベンズイミダゾール、トリアジン、ケトン、ホスフィンオキシド、フェナジン、フェナントロリン、トリアリールボラン、及び、これらの誘導体から選択される。
【0244】
好ましいHTMは、アミン、トリアリールアミン、チオフェン、カルバゾール、フタロシアニン、ポルフィリン、及び、これらの誘導体から選択される。
【0245】
好ましい態様において、上記調合物は、(1)少なくとも1つの一重項発光基を含む少なくとも1つの機能性界面活性剤、及び、(2)少なくとも1つのホスト材料及び少なくとも1つの金属錯体の混合物、を含有する。
【0246】
上記調合物は、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの機能性界面活性剤を含有し、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの一重項発光基を含有する。混合物は、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つのホスト材料を含有する。更に、混合物は、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの金属錯体を含有する。例えば、本発明において言及した基及び材料を使用することができる。
【0247】
遷移金属、希土類元素、ランタニド及びアクチニドから選択される金属錯体が特に好ましい。Ir、Ru、Os、Eu、Au、Pt、Cu、Zn、Mo、W、Rh、Pd及びAgから選択される金属を含む金属錯体が特に好ましい。
【0248】
好ましくは、ホスト材料及び金属錯体は不連続相に配置される。
【0249】
更に好ましい態様において、本発明に係る調合物は、(1)少なくとも1つの色素基を含有する少なくとも1つの機能性界面活性剤、及び、(2)少なくとも1つのETMを含有する。
【0250】
上記調合物は、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの機能性界面活性剤を含有し、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの色素基を含有する。調合物は、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つのETMを含有する。
【0251】
好ましくは、ETMは調合物の不連続相に配置される。
【0252】
本発明の他の好ましい態様において、調合物は、少なくとも1つの不連続相が少なくとも1つの染料を含有することを特徴とする。
【0253】
好ましくは3個の、より好ましくは2個の、更に好ましくは1個の不連続相は、好ましくは3個の、より好ましくは2個の、更に好ましくは1個の染料を含む。光電子素子での使用に好適な当業者に知られた任意の染料が、本発明の範囲内におけるいずれかに記載される本発明の目的のために使用することができる
好ましい染料は、ペリレン、ルテニウム染料、フタロシアニン、アゾ化合物、ペリレンジミド、ポルフィリン、スクアレン化合物、及びこれらの誘導体から選ばれる。
【0254】
さらに、好ましい染料は、ペリレン、ルテニウム染料、フタロシアニン、アゾ化合物、ペリレンジミド、ポルフィリン、スクアレン化合物、及びこれらの誘導体から選ばれる。
【0255】
さらに好ましい機能性材料は、フラーレン、たとえば、C60、カーボンナノチューブ、グラーフェン、それらの異性体および誘導体から選ばれる電子受容体である。光電池用途のために好ましくは、前記染料と前記さらなる有機機能性材料は、0.4eVより大きい、好ましくは0.5eVより大きい、より好ましくは、0.6eVより大きいエネルギーオフセットを有するエネルギーオフセットII型構造を形成する。
【0256】
したがって、少なくとも一つのフラーレンまたはその誘導体を含む調合物(ここで、好ましくは、少なくとも一つの不連続相は上記フラーレンおよびその誘導体を含む)は、本発明の主題である。好ましくは、フラーレンは、C60、C70、C76、C80、C86、C90およびC94、それらの異性体および誘導体から選択される。C60フラーレン、その異性体およびそれらの誘導体が、特に好ましい。
【0257】
本発明に適するさらに好ましいフラーレンは、炭素同位体、中空球状の形態で全体が炭素から成る分子、エリプソイド、チューブもしくはプレーンより成る群から選ばれる。球状フラーレンは、バッキーボールとも呼ばれ、円筒状のものは、カーボンナノチューブもしくはバッキーチューブと呼ばれる。グラーフェンは、平面状フラーレンシートの例である。
【0258】
好ましくは3個の、より好ましくは2個の、特に好ましくは1個の不連続相は、好ましくは3個の、より好ましくは2個の、特に好ましくは1個のフラーレンを含む。
【0259】
本発明は、少なくとも1つの連続相と少なくとも1つの不連続相を含有する調合物であって、少なくとも1つの量子ドットを含有することを特徴とする調合物に関するものである。
【0260】
好ましくは、調合物は、一つの連続相と一つの不連続相と少なくとも一つの量子ドットを含有し、量子ドットは、好ましくは1〜100個、より好ましくは1〜50個、更に好ましくは1〜10個である。
【0261】
更に好ましくは、調合物は、一つの連続相と一つの不連続相と1〜5個の、好ましくは1〜4個の、より好ましくは1〜3個の、更に好ましくは1又は2個の量子ドットを含有する。
【0262】
特に好ましくは、調合物は、一つの連続相と一つの不連続相と一つの量子ドットを含有する。
【0263】
量子ドットは、不連続相及び/又は連続相の双方に位置し得る。好ましくは、量子ドットは、調合物の不連続相に位置する。
【0264】
本発明の他の態様は、少なくとも1つの連続相と、少なくとも1つの不連続相と、少なくとも1つの機能性界面活性剤を含有する上述した調合物であって、機能性界面活性剤が、少なくとも1つの機能性基と調合物の形成を促進する少なくとも1つの基を含有し、該機能性基が、ホスト基、エミッター基、正孔注入基、正孔輸送基、正孔障壁基、電子注入基、電子輸送基、電子障壁基、励起子障壁基、励起子形成基、光吸収基、色素基、及び金属錯体から選択されることを特徴とする調合物に関するものであり、更に、少なくとも1個の、好ましくは1〜100個の、より好ましくは1〜50個の、更に好ましくは1〜10個の量子ドットを含有する調合物に関するものである。
【0265】
好ましくは、調合物は、1つの連続相と、1つの不連続相と、少なくとも1つの、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの機能性界面活性剤を含有し、更に少なくとも1つの、好ましくは1〜100の、より好ましくは1〜50の、更に好ましくは1〜10の量子ドットを含有する。ここで、機能性界面活性剤という用語は、上述した意味を有する。
【0266】
更に好ましくは、調合物は、1つの連続相と、1つの不連続相と、少なくとも1つの、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの機能性界面活性剤を含有し、更に少なくとも1つの、好ましくは3つの、より好ましくは2つの、更に好ましくは1つの量子ドットを含有する。
【0267】
量子ドットは、連続相又は不連続相のいずれかに位置し得る。
【0268】
機能性界面活性剤と量子ドットを含有する調合物は、ホスト材料、発光材料(EM)、正孔注入材料(HIM)、正孔輸送材料(HTM)、正孔障壁材料(HBM)、電子注入材料(EIM)、電子輸送材料(ETM)、電子障壁材料(EBM)、励起子障壁材料(ExBM)、光吸収材料、染料及び金属錯体から選択から選択される少なくとも1つの更なる機能性材料を含有してもよい。上記材料は上述したものと同じである。
【0269】
本発明に係る調合物が量子ドットを含有する場合、同じ相、すなわち、不連続相又は連続相のいずれかに量子ドットと発光材料を有することが好ましい。好ましくは、本発明に係る調合物は、同じ相に蛍光エミッターと量子ドットを含有する。更に好ましくは、本発明に係る調合物は、同じ相に燐光エミッターと量子ドットを含有する。
【0270】
しかしながら、ある場合には、異なる相に分かれたエミッターと量子ドットを有することが望ましい。
【0271】
量子ドットは、発光材料の別の分類である。量子ドットは、以下に記載するように、単分散ナノ結晶とも呼ばれる。量子ドットの利点は、1)一重項有機エミッターの25%と比べて、100%の高い理論内部量子効率、2)通常の有機溶媒に可溶、3)発光波長は、コアサイズにより容易に調整することができる、4)狭い発光スペクトル、5)無機材料中での固有の安定性である。
【0272】
ここで量子ドットもしくはQDとも呼ばれる、半導体材料を含む最初の単分散ナノ結晶は、CdE(E=S、Se、Te)系であり、Bawendiにより、いわゆるTOPO(トリオクチルホスフィンオキシド)を使用して製造され、その後、Katari等により修正された。QDの合成に関するレビューが、Murray、Norris及びBawendi、“Synthesis and characterization of nearly monodisperse CdE(E=sulfur, selen, tellurium)semiconductor nanocrystallites”,J.Am.Chem.Soc.、115[19]、8706−8715、1993により提供されている。ほぼ報告された量子ドットの最高のものは、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)もしくはトリオクチルホスフィン(TOP)系であり、電子輸送特性を有すると推測される。
【0273】
量子ドットは、簡単に製造することができ、有機蛍光もしくは燐光化合物と比べて、狭い発光スペクトルを有する。量子ドットは、量子ドットの発光極大を決定するサイズに適合させることができる。高い光ルミネセンス効率が、量子ドットにより得ることもできる。さらに、その発光強度は、使用される濃度により適合させることができる。さらに、量子ドットは多くの溶媒に可溶であるか、通常の有機溶媒中に容易に可溶にすることができ、汎用性のある加工方法、特に、スクリーン印刷、オフセット印刷およびインクジェット印刷等の印刷方法を可能とする。
【0274】
一般的に、量子ドットは、その励起子が全三次元空間で制限される半導体である。その結果、量子ドットは、バルク半導体の特性と別々の分子の特性との間である特性を有する。量子ドット構造を調製するいくつかの方法があり、たとえば、化学的方法によるもの、イオンインプランテーションによるものもしくは最新のリソグラフィー技術により製造されるナノ素子である。
【0275】
本発明の量子ドットは、コロイド状量子ドットとも呼ばれるコロイド状半導体ナノ結晶、又は、ナノドット、又は、ナノ結晶を意味し、化学的方法により製造される。
【0276】
量子ドット(QD)という用語は、実質的に単分散サイズであるナノ結晶をさす。QDは、約500nm未満の大きさで約1nm未満の大きさまでの大きさをもつ少なくとも一つの領域または特徴的大きさを有する。単分散の用語は、サイズ分布が、規定値の±10%以内を意味し、たとえば、直径100nmの単分散ナノ結晶は、90nm以上110nm以下のサイズの範囲を包含する。
【0277】
調合物中の量子ドット濃度範囲は、調合物の全質量に対して、0.01〜20質量%、0.05〜10質量%および0.1〜5質量%から選択することができる。
【0278】
半導体材料を含む最初の単分散ナノコロイド状量子ドットは、CdE(E=S、Se、Te)系であり、Bawendiにより、いわゆるTOPO(トリオクチルホスフィンオキシド)法を使用して製造され、その後、Katari等により修飾された。QDの合成に関するレビューは、Murray,Norris and Bawendi,“Synthesis and characterization of nearly monodisperse CdE(E=sulfur,selen,tellurium) semiconductor nanocrystallites”, J.Am.Chem.Soc.115[19],8706−8715,1993により提供される。
【0279】
当業者に知られる任意の方法が、QDを製造するために使用することができるが、好ましくは、無機QDの成長を制御するために溶液相コロイド法が使用される。上記コロイド法は、例えば、Alivisatos, A. P., "Semiconductor clusters, nanocrystals, and quantum dots," Science 271:933 (1996); X. Peng, M. Schlamp, A. Kadavanich, A. P. Alivisatos, "Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS Core/Shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility," J. Am. Chem. Soc. 30:7019-7029 (1997);およびC. B. Murray, D. J. Norris, M. G. Bawendi, "Synthesis and characterization of nearly monodisperse CdE (E=sulfur, selenium, tellurium) semiconductor nanocrystallites," J. Am. Chem. Soc. 115:8706 (1993)、に開示されている。これらの方法は、クリーンルームや高価な製造設備を必要とすることなく、低費用の加工可能性を可能とする。これらの方法において、高温での熱分解を受ける金属前駆体は、有機界面活性剤分子の熱溶液中に迅速に注入される。これらの前駆体は、高温で分裂し、ナノ結晶の核となるために反応する。この初期核化相後に、成長相が成長する結晶へのモノマーの添加により始まる。このように、結晶性ナノ粒子は、その表面を被覆する有機界面活性剤分子を有する溶液中で得られる。
【0280】
この方法では、合成は、数秒にわたって生じる初期核化現象として起こり、次いで、数分間の高温での結晶成長が起こる。温度、存在する界面活性剤の型、前駆体材料およびモノマーに対する界面活性剤の割合等のパラメーターは、反応の性質と進行を変化するために変更することができる。温度は、核化現象の構造相、前駆体の分解速度および成長速度を制御する。有機界面活性剤分子は、ナノ結晶形状の溶解性と制御との両者を媒介する。モノマーに対する界面活性剤の比、界面活性剤同士の比、モノマー同士の比、及び、モノマーの個々の濃度は、成長の動力学に強く影響する。
【0281】
QDに組み込むことができる適切な半導体材料は、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnO、ZnS、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族元素、及びCdZnSe等のそれらの合金;InAs、InP、GaAs、GaP、InN、GaN、InSb、GaSb、AlP、AlAs、AlSb等のIII−V族元素、及びInAsP、CdSeTe、ZnCdSe、InGaAs等のそれらの合金;PbSe、PbTe及びPbS等のIV−VI族元素、及びそれらの合金;InSe、InTe、InS、GaSe等のIII-VI族元素、及びInGaSe、InSeS等のそれらの合金;Si及びGe、及びそれらの合金等のIV族半導体および複合材料構造中のそれらの組み合わせから選ばれる。
【0282】
さらに適切な半導体材料は、US特許出願番号10/796,832に開示されたものを含み、II-VI族、III-V族、IV-IV族およびIV族半導体を含む任意の型の半導体を含む。適切な半導体材料は、限定するものではないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlS、AlSb、BaS、BaSe、BaTe、CaS、CaSe、CaTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al(Al,Ga,In)(S,Se,Te)およびAlCOを含む。また、さらに適切な半導体材料は、上述した半導体の組み合わせ、及び/又は、コア/シェル、コアマルチシェル層構造との組み合わせを含む。
【0283】
本発明は、以下の工程を含む本発明の調合物の製造方法にも関する。
【0284】
(a)少なくとも一つの第1の溶媒中に少なくとも一つの第1の更なる機能性材料を含み、且つ、少なくとも一つの機能性界面活性剤を含む第1の溶液を調製すること、
(b)少なくとも一つの第2の溶媒中に少なくとも一つの第2の機能性材料を含む第2の溶液を調製すること、
(c)工程(a)で得られた第1の溶液と工程(b)で得られた第2の溶液を特定の比で混合すること、
(d)工程(c)で得られた混合物から物理的方法により調合物を形成すること。
【0285】
好ましくは、調合物は、高せん断力を適用することにより得られ、ここで、この目的のために工程(d)で使用される好ましい物理的技術は、超音波である。
【0286】
好ましい質量比は、3:1〜15:1の範囲である。一つの好ましい第1の溶媒は、水および/またはアルコールである。
【0287】
適切な第2の有機溶媒は、本発明のいずれかに記載された有機溶媒から選ぶことができる。好ましくは、第2の溶液中の機能性材料の質量濃度は、0.5〜10%、好ましくは1〜5%、より好ましくは2〜4%である。
【0288】
好ましくは、第1の溶液中の機能性材料の質量濃度は、0.5〜10%、好ましくは1〜5%、より好ましくは2〜4量%である。
【0289】
本発明の更なる態様では、工程d)は、超音波処理、高圧均質機又はジェット分散機によりなされ、好ましくは超音波処理によりなされる。
【0290】
本発明のさらに別の態様は、上述した工程と同様の工程を含む油中水型エマルジョンである調合物の製造方法に関し、第1の溶液は、少なくとも一つの第1の機能性材料と任意に界面活性剤を含む有機溶媒であり、第2の溶液は、少なくとも一つの第2の機能性材料を含む水および/またはアルコール溶液である。
【0291】
調合物はまた、少なくとも1つの適切な更なる非機能性界面活性剤を含有してもよい。好ましくは、ドデカ硫酸ナトリウム(SDS)が使用される。更なる非機能性界面活性剤の量は、調合物の全質量を基準として、好ましくは0.1〜10質量%の範囲であり、より好ましくは0.2〜5質量%の範囲であり、更に好ましくは0.5〜2質量%の範囲である。
【0292】
本発明の調合物に使用することができる適切な更なる非機能性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び、これらの組合わせから選択される。
【0293】
好ましくは、本発明の調合物は、少なくとも一つの界面活性剤を含み、好ましくは3つの界面活性剤を含み、より好ましくは2つの界面活性剤を含み、更に好ましくは1つの界面活性剤を含む。更なる非機能性界面活性剤は、エマルジョンを安定化させるために使用することができる。
【0294】
ここでの使用に適するアニオン性界面活性剤の非限定的な例は、アルキルおよびアルキルエーテル硫酸塩、硫酸化モノグリセリド、硫酸化オレフィン、アルキルアリール硫酸塩、一級もしくは二級アルカン硫酸塩、アルキルスルホサクシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルグリセリルエーテル硫酸塩、硫酸化メチルエステル、硫酸化脂肪酸、アルキルホスフェート、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アルキルスルホアセテート、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルラクチレート、アニオン性フッ素界面活性剤、ラウリルグルタミン酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせを含む。
【0295】
本発明の使用に適するアニオン性界面活性剤は、アルキルおよびアルキルエーテル硫酸塩を含む。これらの材料は、夫々、式ROSOMおよびRO(CO)SOMであって、ここで、Rは、約8〜約24個の炭素原子のアルキルもしくはアルケニルであり、xは、1〜10であり、Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウムおよびトリエタノールアミン等の水溶性カチオンである。アルキルエーテル硫酸塩は、典型的には、エチレンオキシドと約8〜約24個の炭素原子を有する一価アルコールとの縮合物として製造される。好ましくは、Rは、アルキルおよびアルキルエーテル硫酸塩中で約10〜約18個の炭素原子を有する。アルコールは、脂肪酸(例えば、ココナツ油もしくは獣脂)由来であってもよいし、合成であってもよい。ココナツ油由来のラウリルアルコールおよび直鎖アルコールが、ここでは好ましい。このようなアルコールは、約1〜約10、好ましくは約3〜約5、特に好ましくは約3のモル比のエチレンオキシドと反応し、例えば、アルコール1モルあたり平均3モルのエチレンオキシドのモル比を有する、得られた混合物は、硫酸化され、中和される。
【0296】
本発明により使用され得るアルキルエーテル硫酸塩の具体例は、ココナツアルキルトリエチレングリコールエーテル硫酸塩;獣脂アルキルトリエチレングリコールエーテル硫酸塩および獣脂アルキルヘキサオキシエチレン硫酸塩のナトリウムおよびアンモニウム塩である。極めて好ましいアルキルエーテル硫酸塩は、個々の化合物の混合物を含み、ここで、前記混合物は、約10〜約16個の炭素原子の平均アルキル鎖長と約1〜約4モルのエチレンオキシドの平均エトキシ化度を有する。
【0297】
本発明による好ましいアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル(laureth)硫酸アンモニウム、トリエチルアミンラウリル硫酸塩、トリエチルアミンラウリルエーテル(laureth)硫酸塩、トリエタノールアミンラウリル硫酸塩、トリエタノールアミンラウリルエーテル(laureth)硫酸塩、モノエタノールアミンラウリル硫酸塩、モノエタノールアミンラウリルエーテル(laureth)硫酸塩、ジエタノールアミンラウリル硫酸塩、ジエタノールアミンラウリルエーテル(laureth)硫酸塩、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル(laureth)硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリルエーテル(laureth)硫酸カリウム、ラウリルサルコシネートナトリウム、ラウロイルサルコシネートナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウロイル硫酸カリウム、トリエタノールアミンラウリル硫酸塩、トリエタノールアミンラウリル硫酸塩、モノエタノールアミンココイル硫酸、モノエタノールアミンラウリル硫酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせを含む。
【0298】
特に、好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルベンジル硫酸塩、
アルキルスルホン酸塩、アルキルベンジルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩およびアルキル炭酸塩から選ばれ、特に好ましくはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。
【0299】
本発明による使用に適する両性イオン性界面活性剤は、脂肪族基が、直鎖あるいは分岐鎖であり得る脂肪族二級および三級アミン(ここで、脂肪族置換基の一つが、約8〜約18個の炭素原子を含み、且つ、脂肪族置換基の一つはアニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩もしくはホスホン酸塩を含む)の誘導体として広範に記載されるものを含む。この定義に包含される化合物の例は、3−ドデシル−アミノプロピオン酸ナトリウム、3−ドデシル−アミノプロパン硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシネートナトリウム、N−アルキルタウリン(例えばUS2658072に教示された、ドデシルアミンとイセチオン酸ナトリウムとを反応させることにより調製される化合物等)、N−高級アルキルアスパラギン酸(例えば、US2438091の教示により製造される化合物等)およびUS2528378に記載される製造物である。
【0300】
カチオン性界面活性剤も、本発明により使用することができる。好ましいカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)および他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ポリエトキシ化タローアミン(POEA)、ベンザルコニウムクロライド(BAC)およびベンゼトニウムクロライド(BZT)から選ばれる。
【0301】
本発明による使用に適切な非イオン性面活性剤は、McCutcheion's Detergents and Emulsifiers, North American edition (1986), Allured Publishing Corp.及び McCutcheion's Functional Materials, North American edition (1992)に記載されるものを含み、参照によりここに組み込まれる。本発明における使用に適切な非イオン性面活性剤には、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルコキ化脂肪酸エステル、蔗糖エステル、アミンオキシド、及び、これらの組み合わせが含まれる。
【0302】
本発明による使用に適切な非イオン性面活性剤には、アルキレンオキシド基(本来、水溶性)と有機疎水性化合物との縮合生成物が含まれ、本来脂肪族もしくはアルキル芳香族であってよい。非イオン性面活性剤の好ましい分類は、以下を含む。
【0303】
1)アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、例えば、直鎖か分岐鎖形状の何れかに約6〜約20個の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルフェノール基と、アルキルフェノール1モルあたり約10〜約60モルのエチレンオキシドの量で存在するエチレンオキシドとの縮合生成物;
2)プロピレンオキシドとエチレンジアミン生成物との反応から得られる生成物とエチレンオキシドとの縮合に由来する非イオン性面活性剤;
3)直鎖か分岐鎖形状の何れかに約8〜約18個の炭素原子を含む脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ココナツアルコールの1モルあたり約10〜約30モルのエチレンオキシドを有するココナツアルコールとエチレンオキシドとの縮合物であり、ココナツアルコール部分は約10〜約14個の炭素原子を有する;
4)長鎖三級アミンオキシド;
5)長鎖三級ホスフィンオキシド;
6)約1〜約3個の炭素原子を有する一つの短鎖アルキルもしくはヒドロキシアルキル基(通常メチル)と、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、又は、約8〜約20個の炭素原子、0〜約10個のエチレンオキシド部分及び0〜約1個のグリセリル部分を含むケトアルキル基を含む一つの疎水性長鎖を含有する長鎖ジアルキルスルホキシド;
7)US4565647に記載されたとおりの、アルキルポリグリコシド等のアルキル多糖(APS)界面活性剤であって、約6〜約30個の炭素原子を有する疎水性基と親水性基としての多糖(例えば、ポリグリコシド)を有し、任意に、疎水性および親水性部分を結合するポリアルキレンオキシドを有する界面活性剤であり、アルキル基(すなわち、疎水性部分)は、飽和でも不飽和でもよく、分岐でも非分岐でもよく、非置換でも置換(例えば、水酸基あるいは環)されていてもよい、および
8)式:R(O)OCHCH(OH)CH(OCHCHOH(ここで、nは、約5〜約200、好ましくは、約20〜約100であり、Rは、約8〜約20個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルである)で表される化合物等のポリエチレングリコール(PEG)グリセリル脂肪酸エステル。
【0304】
本発明による使用に適切な両性イオン性界面活性剤は、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウムおよびスルホニウムの化合物の誘導体(脂肪族基は、直鎖あるいは分岐鎖であり得、脂肪族置換基の一つは約8〜約18個の炭素原子を有し、且つ、脂肪族置換基の一つは、アニオン性基、例えば、カルボキシル、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩を含む。)として、広範に記載されるものを含む。
【0305】
本発明における使用に適切な両性イオン性面活性剤は、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウリルアミノプロピルベタイン、オレイルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルアルファカルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルガンマ-カルボキシプロピルベタインおよびラウリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)アルファ-カルボキシエチルベタイン等の高級アルキルベタインを包含するベタインを含む。スルホベタインは、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)スルホプロピルベタイン等により代表され得、RCONH(CH基がベタインの窒素原子に付属するアミドベタインとアミドスルホベタインも本発明に有益である。
【0306】
本発明の調合物は、さらに、少なくとも一つの補助安定剤を含んでもよい。補助安定剤として使用される疎水性化合物は、オストワルド熱成に対して調合物を浸透圧的に安定化する。
【0307】
DE19852784に開示された適切な補助安定剤(例えば、シラン、有機シラン、シロキサンおよび長鎖エステル)を、本発明の調合物に使用することができる。
【0308】
好ましくは、本発明の調合物は、エマルジョンであり、連続相と不連続相の双方が少なくとも一つの溶媒を含む。
【0309】
本発明の別の好ましい態様では、調合物は分散液であり、少なくとも一つのナノ液滴は、連続相中に分散された固体ナノ粒子である。分散液は、例えば、本発明の範囲内のいずれかで概説する不連続相から単独又は複数の溶媒を除去することによって得ることができる。
【0310】
本発明の調合物は、機能性材料の積層を構築することを目的として、単層および多層構造の調製のために、たとえば、OLED等の電子または光電子素子の調製のために、使用することができる。さらなる加工のために、被覆前に一以上の不連続相から溶媒を除去することが有利な場合もあり、連続相と、連続相中に分散する少なくとも1つの不連続相に固体ナノ粒子として機能性材料を含有する不連続相とを含む分散液である調合物を生じる。
【0311】
このように、本発明はまた分散液に関するものであり、分散液は、本発明のエマルジョンの不連続相の溶媒を除去することにより形成される連続相中に分散するナノ粒子を含むことを特徴とする。したがって、本発明のエマルジョンのナノ液滴は、調合物の連続相中に分散された固体ナノ粒子に変換される。ここで分散液という用語は、少なくとも一つの液体媒体(たとえば、水性あるいはアルコール系相)と、固体粒子(好ましくはナノ粒子)として懸濁された相を含む系に使用される。
【0312】
本発明は、本発明の調合物の連続相中に分散されたナノ粒子を含む分散液にも関するものであり、ナノ粒子は少なくとも一つの機能性材料を含み、連続相は少なくとも一つの機能性材料を含むことを特徴とする。
【0313】
ナノ粒子は、好ましくは3個の、より好ましくは2個の、特に好ましくは1個の有機機能性材料を含む。
【0314】
調合物中に更なる非機能性界面活性剤が存在する場合には、それは少なくとも部分的には除去される。
【0315】
本発明に係る任意の調合物は、エマルジョン又は分散液のいずれかであってよい。本発明に係る任意のエマルジョンは、分散液に変換され得る。
【0316】
層構造は、種々の電子もしくは光電子素子において重要である。本発明は、さらに、調合物、すなわち、エマルジョン及び/又は分散液を使用することによる直交溶媒を使用する層構造の調製方法にも関する。本発明の調合物は、層構造を調製するために種々の方法で使用することができる。好ましくは、層構造は、多層構造である。
【0317】
好ましい方法を以下に記載する。
第1の方法は、以下の工程:
(a)第1の有機層を基板上に形成すること、
(b)本発明の調合物(すなわち、エマルジョンまたは分散液)を被覆することにより、第1の有機層上に第2の有機層を形成すること、
を含み、第1の有機層は、上記エマルジョン又は分散液の連続相中の溶媒に不溶であるか、または限定された溶解性を有することを特徴とする。
【0318】
上記第1の方法において、第1の層は、熱蒸発により蒸着するか、好ましくは、溶液から、例えばスピンコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スロット印刷、ノズル印刷等により被覆することができる。工程(b)においては、第1の有機層が、上記エマルジョン又は分散液の連続相中の溶媒に不溶であるか、または限定されたわずかな溶解性を有することが重要であり、その結果、第1の層は、エマルジョンまたは分散液の被覆後においても依然として閉じられている。好ましくは、第1の層の最大溶解度は、上記エマルジョンまたは分散液の連続層の溶媒中に作業温度で0.4質量%未満である。最も好ましくは、第1の層は、上記エマルジョンまたは分散液の連続層の溶媒に不溶性である。
【0319】
第2の方法は、以下の工程:
(a)本発明の調合物(すなわち、エマルジョンまたは分散液)を被覆することにより、第1の有機層を基板上に形成すること、
(b)第1の有機層上に第2の溶液から第2の有機層を形成すること、
を含み、第1の有機層中の第1の機能性材料は、第2の溶液の溶媒に不溶性であるか、限定された溶解度を有することを特徴とする。
【0320】
上記第2の方法において、双方の層は、スピンコーティングまたはインクジェット印刷、スクリーン印刷、スロット印刷、ノズル印刷等の印刷技術から選択することができる被覆技術により、溶液から被覆される。工程(b)においては、第1の有機層が、第2の溶液の溶媒に限定されたわずかな溶解度を有することを本質とし、その結果、第1の層は、エマルジョンまたは分散液の被覆後においても依然として閉じられている。好ましくは、第1の層の最大溶解度は、上記エマルジョンまたは分散液の連続層の溶媒中に作業温度で0.4質量%未満である。最も好ましくは、第1の層は、第2の溶液の溶媒に不溶性である。
【0321】
第3の方法は、以下の工程:
(a)本発明の調合物(すなわち、エマルジョンまたは分散液)を被覆することにより、第1の有機層を基板上に形成すること、
(b)本発明の第2もしくは第2の分散液から、第1の有機層上に第2の有機層を形成すること、
を含み、第1の有機層の第1の機能性材料は、第2のエマルジョン又は分散液の連続相の溶媒に不溶性であるか、限定された溶解度を有することを特徴とする。
【0322】
上記第3の方法において、双方の層は、スピンコーティングまたはインクジェット印刷、スクリーン印刷、スロット印刷、ノズル印刷等の印刷技術から選択される技術により、溶液から被覆される。工程(b)においては、第1の有機層は上記エマルジョン又は分散液の連続相の溶媒に限定されたわずかな溶解度を有することを本質とし、その結果、第1の層は、エマルジョンまたは分散液の被覆後においても依然として閉じられている。好ましくは、第1の層の最大溶解度は、上記エマルジョン又は分散液の連続層の溶媒中に作業温度で0.4質量%未満である。最も好ましくは、第1の層は、上記エマルジョン又は分散液の連続相の溶媒に不溶性である。
【0323】
非常に好ましい態様では、多層構造を調製するための上述した方法は、被覆媒体として、分散液を使用する。
【0324】
本発明のさらに好ましい態様では、上述した多層構造の調製方法は、少なくとも一つの添加剤が、分散液に添加されることを特徴とする。
【0325】
好ましくは3個の、より好ましくは2個の、特に好ましくは1個の添加剤が、分散液に添加される。
【0326】
添加剤の好ましい機能は、多層構造の調製を容易にするための物理特性の変性である。
【0327】
特に、好ましい添加剤は、フィルム形成を可能とするために分散液の表面張力を変える。直交溶媒を使用する多層構造の調製の文脈での典型的な問題は、下層上への溶液もしくは分散液の湿潤である。したがって、使用する前に、溶液もしくは分散液を変性すること、例えば、その表面張力を変性する必要がある。それは、追加的な添加剤、たとえば、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤等を添加することによって、達成することができる。さらに適切な添加剤は、たとえば、WO2003/019693A2を参照することができる。
【0328】
溶液もしくは分散液からの堆積技術に重要なパラメーターは、例えば、溶液の粘度、表面張力、濃度、分子量や、分散液の粒子サイズ、溶媒の沸点等である。実際に、異なる堆積技術は、異なるパラメーターを要求する。最も広く使用される技術であるスピンコーティングとインクジェット印刷は、共通のいくつかのパラメーターを有する。最適条件は使用する方法や基板に依存して互いに異なってもよいが、それらは、例えば、4〜12mPasの粘度と、<40mN/mの表面張力と、≦1μmのサイズの粒子と、70〜190℃の溶媒沸点を要求する。
【0329】
所望のコリドー(corridor)において溶液もしくは分散液の上述したパラメーターを調節することが重要である。これは、異なる添加剤を添加することによって達成することができる。しかしながら、添加剤はフィルム中に残り得、これは望ましくない。驚くべきことに、上述した物理的パラメーターは、溶液もしくは分散液の溶媒と不混和性である適切な共溶媒を使用して適性に変性することができるが、溶液の溶質もしくは分散液の不連続相中の有機機能性材料のための溶媒は必要ない。本発明の水系分散液を有機層上に被覆するためには、適切な共溶媒は、1)10〜40mPasの範囲の表面張力、又は、2)70〜200℃の沸点の何れかを満たさねばならず、特に適切な共溶媒は、両方の条件を満たさねばならない。本発明の水系分散液のための適切な共溶媒の好ましい例は、イソプロパノール(実施例を参照)である。
【0330】
このように、好ましい添加剤は共溶媒であり、特に好ましくはアルコールであり、更に好ましくはイソプロパノールである。
【0331】
さらに別の態様では、本発明は、上掲及び後掲のエマルジョンおよび/または分散液を使用する被覆方法に関する。費用(より多い素子/単位面積)とパワー消費を低減するために、最新のマイクロエレクトロニクスにおい小さい構造とパターンを生成することが望ましい。本発明の層のパターン化は、たとえば、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー、ナノインプリントリソグラフィー(たとえば、Science(96)、272、85−87、に報告されている)、「ディッペン」ナノリソグラフィー(例えば、Science(99)、283、661−663に報告されている)により行うことができる。電子もしくは光電子素子での薄層としての使用のために、本発明の有機機能性材料もしくはエマルジョンあるいは分散液は、任意の適切な方法により堆積されてよい。OLED等の素子の液体被覆は、真空蒸着技術よりも望ましい。溶液堆積方法が特に好ましい。好ましい堆積技術には、限定するものではないが、ディップコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、活版印刷、スクリーン印刷、ドクターブレードコーティング、ローラー印刷、逆ローラー印刷、オフセットリソグラフィー印刷、フレキソグラフィック印刷、ウェブ印刷、スプレー被覆、ブラシコーティングあるいはパッド印刷、スロット−ダイコーティング等が含まれる。インクジェット印刷が、高解像度ディスプレーの調製を可能とすることから、特に好ましい。
【0332】
本発明の選択されたエマルジョンおよび/または分散液は、インクジェット印刷または微小分配(microdispensing)によりあらかじめ製造されたデバイス基板に被覆されてよい。限定するものではないが、Aprion、Hitachi−Koki、InkJet Technology、On Target Technology、Picojet、Spectra、Trident、Xaarにより供給されるような工業的圧電印刷ヘッドが、有機機能性材料層を基板に形成するために好適に使用することができる。加えて、Brother、Epson、Konica、Seiko Instruments、Toshiba TECにより製造されるような半工業的ヘッド、または、MicrodropおよびMicrofabにより供給されるようなシングルノズルマイクロディスペンサー(microdispenser)を使用することができる。
【0333】
インクジェット印刷または微小分配を適用するために、本発明のエマルジョンおよび/または分散液は、まず、連続相中の適切な溶媒中で調製されるべきである。溶媒は、上掲に記載した要件を満足する必要があり、選ばれた印刷ヘッドにいかなる決定的な影響を与えあるものであってはならない。水系または他の極性溶媒系エマルジョンの場合には、このようなエマルジョンまたは分散液の使用は、デスクトップインクジェットプリンターと連動して知られている。連続相が非極性である、その逆相エマルジョンまたは分散液については、溶媒は、印刷ヘッド内側の溶液が完全に乾燥することにより引き起こされる操作上の問題を防止するために、>100℃、好ましくは、>140℃、より好ましくは、>150℃の沸点を有するべきである。ここで既に開示された溶媒とは別に、適切な溶媒には、置換及び非置換キシレン誘導体、ジ-C1−2−アルキルホルムアミド、置換及び非置換アニソールおよび他のフェノールエーテル誘導体、置換ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジノン等の置換ヘテロ環、置換及び非置換N,N−ジ−C1−2−アルキルアニリン及び他のフッ素化あるいは塩素化芳香族が含まれる。
【0334】
インクジェット印刷により本発明の逆相エマルジョンまたは分散液を堆積するための好ましい溶媒は、一以上の置換基により置換され、この一以上の置換基中の炭素原子の合計が少なくとも三つであるベンゼン環を有するベンゼン誘導体を含む。ベンゼン誘導体は、例えば、プロピル基または三つのメチル基で置換されていてもよく、双方の場合において、合計で三つの炭素原子が存在する。このような溶媒は、形成されるインクジェット流体がポリマーを有する溶媒を含むことを可能とし、噴霧中のジェットの詰まりと成分の分離を低減又は抑制する。溶媒は、以下に列挙する例示から選ばれる化合物を含み得る。すなわち、ドデシルベンゼン、1−メチル−4−tert−ブチルベンゼン、ターピネオルリモネン、イソジュレン、ターピノレン、シメン、ジエチルベンゼンである。溶媒は、二以上の溶媒の組み合わせからなる溶媒混合物であってよく、夫々の溶媒は、好ましくは、>100℃、より好ましくは、>140℃の沸点を有する。このような溶媒は、堆積される層におけるフィルム形成性を向上し、層における欠陥を低減する。インクジェット流体(すなわち、本発明のエマルジョン)は、20℃における粘度が、好ましくは1〜100mPa.sであり、より好ましくは1〜50mPa.sであり、最も好ましくは1〜30mPa.sである。
【0335】
本発明の他の主題は、電子及び光電子素子の製造における本発明の調合物の使用、
電子及び光電子素子の製造における請求項13〜15の一以上に係る方法の使用に関する。
【0336】
本発明の他の主題は、電子及び光電子素子の製造のための本発明に係る層構造の製造方法の使用に関する。
【0337】
好ましいものとしては、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード(PLED)、ファイバーOLED、有機発光電気化学電池(OLEC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機太陽電池(O−SC)、色素増感太陽電池(DSSC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)、有機集積回路(O−IC)、無線周波識別(RFID)タグ、光検知器、センサー、論理回路、記憶素子、コンデンサー、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、伝導性基板もしくはパターン、光伝導体、電子写真素子、有機発光トランジスタ(OLET)、有機スピントロニック素子および有機プラズモン発光素子(OPED)から選択される電子及び光電子素子における本発明の調合物、すなわち、エマルジョン及び/又は分散液の使用が挙げられる。
【0338】
本発明は更に、本発明に係る方法により得られる電子又は光電子素子に関する。好ましくは、この素子は、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード(PLED)、ファイバーOLED、有機発光電気化学電池(OLEC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機太陽電池(O−SC)、色素増感太陽電池(DSSC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)、有機集積回路(O−IC)、無線周波識別(RFID)タグ、光検知器、センサー、論理回路、記憶素子、コンデンサー、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、伝導性基板もしくはパターン、光伝導体、電子写真素子、有機発光トランジスタ(OLET)、有機スピントロニック素子および有機プラズモン発光素子(OPED)から選択される。特に好ましい素子は、OLED及びO−SCである。
【0339】
通常は、素子内、同じ層か二つの隣接する層の何れかに、複数の有機機能性材料を有し、層間でのヘテロ接合か層中でのバルクヘテロ接合を形成することが有利である(図2参照)。無機半導体と類似して、このようなヘテロ接合は、二個のクラスに分類することができる。すなわち、I型は、図2の左側に説明されるように、一つの材料(材料A)のLUMOおよびHOMO準位が、第2の材料(材料B)のLUMO−HOMOエネルギーギャップ内にあり、II型は、図2の右側に説明されるように、最高HOMO状態と最低LUMO状態の間の最小エネルギー差は、ヘテロ接合の異なる側の準位の間である。電子は、エネルギー的に最低のLUMO準位を占める傾向にあり、正孔は、エネルギー的に最高のHOMO準位を占める傾向にある。したがって、I型のヘテロ接合においては、電子と正孔は、接合の同じ側に位置し、II型のヘテロ接合においては、電子と正孔の双方は、接合の異なる側に位置する。しかしながら、有機機能性材料において、励起子束縛エネルギーは、通常0.5eV以上と推測され、II型のバンドオフセットは、ヘテロ接合での効率的な励起子解離を確保するために約0.5eVよりも必然的に大きく、これは、特に有機太陽電池に重要な論点である。
【0340】
好ましいのは、本発明のエマルジョンまたは分散液を使用することにより調製されるOLEDであり、上記エマルジョンまたは分散液は、上述した少なくとも一つのエマルジョンまたは分散液を含む。
【0341】
OLEDおよびO−SCで見出される典型的な層配列は、たとえば、以下のとおりである。
【0342】
− 任意に、第1の基板、
− アノード層、
− 任意に、正孔注入層(HIL)、
− 任意に、正孔輸送層(HTL)および/または電子障壁層(EBL)、
− 電気的または光励起により励起子を発生する活性層、
− 任意に、電子輸送層(ETL)および/または正孔障壁層(HBL)、
− 任意に、電子注入層(EIL)、
− カソード層、
− 任意に、第2の基板。
【0343】
所定の層構造の配列は、例示的なものであり、他の配列が可能である。上掲の素子における活性層に応じて、異なる光電子素子を得ることが可能である。第1の好ましい態様では、活性層は、アノードとカソード間に電圧を適用することにより電気的励起により励起子を発生し、更に、励起子の放射減衰により発光する。一般的に、これは発光素子と呼ばれる。別の好ましい態様では、活性層は、光の吸収により励起子を発生し、更に、励起子の解離により自由電荷担体を生じる。一般的に、これは光電池または太陽電池と呼ばれる。
【0344】
ここで使用される中間層という用語は、ポリマー発光ダイオード(PLED)における正孔注入層(または、バッファー層)と発光層との間の層として定義され、電子障壁層であり、例えば、WO2004/084260A2に開示される。中間層を有するPLEDの典型的な素子構造は、図1に示される。しかしながら、この種の素子が有する問題の一つは、中間層は、通常、EML層を被覆するときに、少なくとも部分的に洗い流され、非常に薄い層となることである。このプロセスは先行技術では十分に制御されない。図3に示されように、高い効率と寿命を達成するために、EML中で正孔と励起子のより良好な制限を得ることを目的として、PLED中でETLまたはHMBを使用することが、きわめて望ましい。
【0345】
別の好ましい態様では、本発明の電子素子は、例えば、WO2004/084260A2に開示されるように、溶解系のOLED、特に、PLEDであり、以下の多層構造を有する。すなわち、アノード/HIL/EML/カソードであり、ここで、二重層HIL/EMLは、少なくとも一つの分散液と上記に記載の多層構造のための方法を使用して製造される。
【0346】
HILは、通常、HIMを含む透明伝導性ポリマー薄膜である。好ましいHIMは、上記に言及されるものである。発光材料は、さらに、二以上の異なるエミッター、たとえば、異なる型の二個のエミッターおよび/または異なる色で発光するエミッターのブレンドまたは混合物を含んでもよい。したがって、本発明の素子は、白色光を提供し得る。
【0347】
上述した更なる電子素子の素子構造は、当業者には明らかである。しかしながら、明確さのために、いくつかの詳細な素子構造が参照される。
【0348】
有機プラズモン発光素子は、好ましくは、Koller等、Nature Photonics (2008)、2、684−687で報告された素子を示す。OPEDは、アノードとカソードの少なくとも一つが、発光層からの表面プラズモンとカップリングすることが可能であるべきことを除いて、上掲のOLEDに非常に類似している。本発明において、OLEDは、エマルジョンまたは分散液と、ここで記載の方法を使用することにより調製されることが好ましい。
【0349】
一つの好ましい有機スピントロニック素子は、例えば、Z.h.Xiong等、Nature 2004、Vol.427、821に報告されるスピン−バルブ素子であり、二個のフェロ磁性電極と二個のフェロ磁性電極の間の有機層を含む。フェロ磁性電極は、Co、Ni、Feまたはこれらの合金、またはReMnOもしくはCrOから構成され、ここで、Reは希土類元素である。少なくとも一つの有機層は、本発明のエマルジョンまたは分散液から被覆されることが好ましい。
【0350】
有機発光電気化学電池(OLEC)は、Pei&Heeger、Science(1995)、269、1086−1088により最初に報告されたように、二つの電極と、間に電解質と蛍光種の混合物又はブレンドを含む。本発明において、OLECは、上掲及び後掲のエマルジョンまたは分散液と方法を使用して調製されることが好ましい。
【0351】
色素増感太陽電池(DSSC)は、O’Regan&Gratzel、Nature(1991)、353、737−740により最初に報告されたように、配列中に、電極/色素増感TiO多孔薄膜/電解質/カウンター電極を含む。液体電解質は、Nature (1998)、395、583−585に報告されるように、固体正孔輸送層により置き代えることができる。
【0352】
本発明の開示に従い製造される素子の層は、分散液中のナノ粒子又はエマルジョン中のナノ液滴の粒子関連構造に起因する特定構造を有する。この特定ナノ構造は、次には、対応する層の構造と、層自体及び素子全体の有益な光電子特性を大きく決定する。本発明はまた、本発明に係る調合物の使用により得られる層及び多層構造に関する。本発明はまた、上記層を含む素子に関する。この素子は、好ましくは、本発明のいずれかにおいて説明した光−電子素子である。
【0353】
本発明はまた、本発明に係る調合物の使用により得られる素子に関する。
【0354】
機能性界面活性剤も本発明の主題であり、この機能性界面活性剤は、少なくとも1つの機能性基と、連続相と不連続相の形成を促進する少なくとも1つの基を含有し、該機能性基が、ホスト基、燐光エミッター基、正孔注入基、正孔輸送基、正孔障壁基、電子注入基、電子輸送基、電子障壁基、励起子障壁基、励起子形成基、光吸収基、色素基及び金属錯体から選択されることを特徴とする。
【0355】
好ましくは、この機能性基は、ホスト基、燐光エミッター基、正孔注入基、正孔輸送基、正孔障壁基、電子注入基、電子輸送基、電子障壁基、励起子障壁基、励起子形成基、光吸収基、色素基及び金属錯体から選択される
好ましくは、機能性基はホスト基から選択される。更に好ましくは、機能性基はエミッター基から選択される。更に好ましくは、機能性基は燐光エミッター基から選択される。更に好ましくは、機能性基は蛍光エミッター基から選択される。更に好ましくは、機能性基は正孔注入基から選択される。更に好ましくは、機能性基は正孔輸送基から選択される。更に好ましくは、機能性基は正孔障壁基から選択される。更に好ましくは、機能性基は電子注入基から選択される。更に好ましくは、機能性基は電子輸送基から選択される。更に好ましくは、機能性基は電子障壁基から選択される。更に好ましくは、機能性基は励起子障壁基から選択される。更に好ましくは、機能性基は励起子形成基から選択される。更に好ましくは、機能性基は光吸収基から選択される。更に好ましくは、機能性基は色素基から選択される。更に好ましくは、機能性基は金属錯体から選択される。
【0356】
機能性基は、本発明の範囲内の何れかにおいて記載した任意の機能性材料から選択することができる。本発明に係る機能性材料は、両親媒性であり、機能性基とは異なってもよい極性を有する少なくとも1つの基で材料を機能化することにより実現され得る。好ましくは、この基は、機能性基と比較してより親水性である。特に好ましくは、機能性材料は、更なる疎水性基を含み得る。機能化については本発明のいずれかにおいて更に記載される。
【0357】
好ましくは、機能性界面活性剤はホスト基を含み、このホスト基が、アントラセン、ベンズアントラセン、ケトン、カルバゾール、トリアリールアミン、インデノフルオレン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、チオフェン、トリアジン、これらの異性体及び誘導体から選択されることを特徴とする。
【0358】
本発明に係る機能性界面活性剤は、本発明の範囲内のいずれかにおいて説明した基から選択される、ミニエマルジョンの形成を促進する一つの基を含むことを特徴とする。
【0359】
本発明の調合物(分散液、エマルジョン)、これを含む素子、上記調合物を使用して得ることのできる素子は、任意の種類の光源に使用することができ、限定するものではないが、照明および表示用途を含む。光源は、多くの治療用途、化粧品用途、予防および診断用途で重要な役割をも果たす。これらの用途の中には、光源の機能が、単にディスプレイや処理される対象に光を当てることに向けられるものがある。他の場合に、光の有利な効果は、ヒトや動物対象が治療されるときに活用される。したがって、本発明の調合物、すなわち、エマルジョンおよび分散液の双方は、治療的疾患及び/又は美容的症状の治療、予防及び/又は診断のために使用することができる。これには、任意の種類の光治療、光力学治療、および、光治療と薬物治療等の光を使用しない治療との組み合わせ(本発明において、一般に、光治療もしくは光処置という)が包含される。多くの光処置は、皮膚、創傷、粘膜、眼、毛髪、爪、爪床、歯肉および舌等の、処置される対象の外側表面に向けられるが、光処置は、処置される対象の内側、例えば、肺、血管、胸および対象の他の器官を処置するためにも適用することができる。
【0360】
これらの疾患及び/又は症状には、例えば、皮膚疾患、並びに、皮膚の老化及びセルライトを含む皮膚に関連する症状、毛穴の拡大、油性肌、毛嚢炎、前癌状態の日光性角化症、皮膚損傷、老化、皺の多い皮膚及び太陽で傷んだ皮膚、目じりの皺、皮膚潰瘍(糖尿病性、褥瘡、静脈うっ滞)、酒さ性座瘡、セルライト;脂腺及び周辺組織の光調整、皺とり、ニキビの痕及びニキビの細菌、炎症、痛み、外傷、精神的及び神経系に関連する疾患及び症状、浮腫、パジェット病、原発腫瘍及び転移性腫瘍、結合組織病、コラーゲン処置、線維芽細胞、及び哺乳類の組織における線維芽細胞由来の細胞レベル、網膜照射、腫瘍性疾患、新生血管疾患及び肥大性疾患、炎症反応及びアレルギー反応、汗、エクリン汗腺(汗腺)又はアポクリン腺からの汗かき及び過剰な発汗(hyper-hydrosis)、黄疸、白斑、眼球新生血管疾患、神経性大食症、疱疹、季節性情動障害、憂うつ、睡眠障害、皮膚癌、クリーグラー・ナジャー病、アトピー性皮膚炎、糖尿病性皮膚潰瘍、褥瘡、膀胱感染症、筋肉痛の軽減、痛み、関節のこわばり、細菌の低減、消毒、液体の消毒、水等の飲料の消毒、食物の消毒、歯肉炎、歯のホワイトニング、歯及び口中の組織の治療、創傷治癒が含まれる。
【0361】
上記調合物、これを含む素子及び本発明の調合物の使用により得ることができる素子は、200〜1000nm、好ましくは300〜1000nm、より好ましくは300〜950nm、特に好ましくは400〜900nmの範囲で発光する少なくとも一つの有機エレクトロルミネセンス化合物を含む。
【0362】
当然のことながら、上述した本発明の種々の態様は、本発明の範囲内に包含され得る。本明細書に開示した各特徴は、特に記載のない限り、同様に作用し、同等又は類似の目的の選択的特徴と置換され得る。このように、特に記載のない限り、開示された各特徴は、同じ又は類似の総括的な一連の特徴の一例に過ぎない。
【0363】
本明細書に開示されたすべての特徴は、少なくともこのような特徴及び/又は工程のいくつかが相互排他的である組成物を除き、どのような組み合わせにおいても組み合わされ得る。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明のすべての側面に適用可能であり、どのような組み合わせにおいても使用され得る。同様に、非本質的な組み合わせにおいて開示された特徴は、分離されることができる(すなわち、組み合わされなくてもよい)。
【0364】
当然のことながら、上掲に記載した多くの特徴(特に好ましい態様)は、各々の権利において進歩性を有するものであり、本発明の態様の単なる一部ではない。独立した保護は、現在特許請求の範囲に記載されている発明に加えて、もしくは替えて、これらの特徴について考えられ得る。ここで開示した教示は、開示された他の実施例に取り込まれ、組み合わされ得る。
本発明の他の特徴は、以下の典型的な態様と図面から明らかとなるであろうが、それらは本発明の例示であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0365】
【図1】図1は、カソード、EML、中間層、HILおよびITO(アノード)を含むOLDEの典型的な層構造を示す。
【図2】図2は、I型およびII型ヘテロ接合の軌道エネルギーの概要を示す。
【実施例】
【0366】
例1
材料
下記ポリマーIL1はスズキカップリングを使用して合成することができる。その反応は当業者に周知の合成方法に従い行うことができ、例えば、WO2003/048225に記載されている。
【0367】
中間層に使用されるポリマーIL1は、下記モノマーを下記に示すmol%にて含有する共重合体である。
【化26】

【0368】
得られるポリマーの分子量(MW)は、200.000〜300.000g/molの範囲にある。
【0369】
下記材料は、発光層(EML)におけるエミッター又は母材として使用される。SM1は青色エミッターであり、SM2は母材である。
【化27】

【0370】
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びPyBAが界面活性剤として使用される。PyBAはシグマアルドリッチから購入することができ、そのまま使用される。
【化28】

【0371】
例2
調合物の調製(エマルジョン/分散液)
SM1及びSM2を含有するミニエマルジョン及び分散液の調製について以下に説明する。
【0372】
ミニエマルジョンE1の調製
a)トルエン10gに、285mgのSM2と20mgのSM1を溶解して溶液1を形成する。
【0373】
b)2gの溶液1を、100mgのSDSを含有する水20gに添加する。
【0374】
c)得られた混合物を高速で1時間、磁気的に撹拌する。
【0375】
d)得られた混合物を4分間、超音波処理装置(Banson sonifier 450W、1/2インチチップ、90%振幅)を用いて乳化する。
【0376】
ミニエマルジョンE2の調製
a)トルエン10gに、285mgのSM2と20mgのSM1を溶解して溶液1を形成する。
【0377】
b)2gの溶液1を、水20g、DMSO10g及びPyBA200mgの溶液に添加する。
【0378】
c)得られた混合物を高速で1時間、磁気的に撹拌する。
【0379】
d)得られた混合物を4分間、超音波処理装置(Banson sonifier 450W、1/2インチチップ、90%振幅)を用いて乳化する。
【0380】
ミニエマルジョンの安定性を評価するために、得られたミニエマルジョンE1及びE2をキャップで密閉された容器中で少なくとも6時間観察する。
【0381】
ミニエマルジョンの安定性は、目視検査により評価する。安定なエマルジョン及び分散液は、所定の期間内において相分離や沈殿を生じない。ミニエマルジョンE1及びE2は双方とも、少なくとも6時間は相分離や沈殿が観察されず安定である。
【0382】
分散液D1及びD2の調製
a)上記に概要を説明した手順に従いミニエマルジョンE1及びE2を調製する。
【0383】
b)容器を開にした状態でミニエマルジョンを撹拌することにより3時間以内にトルエンを蒸発させる。
【0384】
D1の場合において、界面活性剤SDSは、少なくとも一部は除去される。これは、洗浄水の導電率が<3μS/cmに達するまで、ろ過(膜の排除サイズ:100kDa)を通してなされ得る。分散液D2からは界面活性剤は除去されない。
【0385】
ナノ粒子の直径及びその分布は、動的光散乱(ゼータナノサイザー(マルバーンインスツルメント(Malvern Instruments)、UK))によって決定され得る。D1におけるナノ粒子の最終粒子サイズは直径約55nmであり、D2では直径約66nmであり、双方とも約20%FWHM(半値全幅)である。
【0386】
例3
制御装置の製造
図1に示される標準素子構造を有するOLED1が以下の手順に従い製造される。
【0387】
a)スピンコーティングによりITO被膜を有するガラス基板上に80nmのPEDOT(Baytron P AI 4083)を蒸着すること、
b)大気中において180℃で10分間加熱し残留水を除去すること、
c)グローブボックス中で、0.5質量/lの濃度を有するトルエン溶液からスピンコーティングにより20nmのIL1を蒸着すること、
d)グローブボックス中で、180℃で1時間IL1層を加熱すること、
e)トルエン1ml中に23.75mgのSM2と1.25mgのSM1が溶解している濃度を有するSM1及びSM2のトルエン溶液をスピンコーティングすることにより、厚さ65nmのEML層を蒸着すること、
f)グローブボックス中で、素子を80℃で20分間加熱すること、
g)真空熱蒸着により発光層上にカソードBa/Al(3nm/150nm)を蒸着すること、
h)当業者に周知の方法により素子を封止すること。
【0388】
例4
OLED2の製造
OLED2の製造において、界面活性剤としてSDSを含有するミニエマルジョンから調製される分散液が使用され、直交溶媒(オルトゴナル溶媒)により多層構造が形成される。OLED2は、以下の手順に従い製造される。
【0389】
a)例3の工程a)を参照、
b)例3の工程b)を参照、
c)例3の工程c)を参照、
d)例2に従い分散液D1に20質量%イソプロパノールを添加し、完全に撹拌すること、
e)SM1及びSM2を含有するナノ粒子を含有する工程d)の堆積をスピンコーティングすることによりEML層を厚さ50〜60nmに蒸着すること、
f)素子を80℃で20分間加熱すること、
g)真空熱蒸着により発光層上にカソードBa/Al(3nm/150nm)を蒸着すること、
h)当業者に周知の方法で素子を封止すること。
【0390】
例5
OLED3の製造
OLED3の製造において、本発明に係る機能性界面活性剤を含有するミニエマルジョンから調製される堆積が使用され、直交溶媒(オルトゴナル溶媒)により多層構造が形成される。OLED3は、以下の手順に従い製造される。
【0391】
a)例3の工程a)を参照、
b)例3の工程b)を参照、
c)例3の工程c)を参照、
d)例2に従い堆積D2に20質量%イソプロパノールを添加し、完全に撹拌すること、
e)SM1及びSM2を含有するナノ粒子を含有する工程d)の堆積をスピンコーティングすることによりEML層を厚さ約65nmに蒸着すること、
f)素子を80℃で20分間加熱すること、
g)真空熱蒸着により発光層上にカソードBa/Al(3nm/150nm)を蒸着すること、
h)当業者に周知の方法により素子を封止すること。
【0392】
例6
性能比較
素子OLED1−3について、当業者に周知の標準方法を用いて種々の物理的特性が評価される。記録される特性は、電圧−電流−ルミネッセンス(VIL)特性、エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトル、色座標(CIE)、効率及び駆動電圧である。
【0393】
対照としてOLED1を使用する比較が表1にまとめられている。表1において、Uonはターンオン電圧を表し、U(100)は100ニット(100Cd/m)における電圧を表す。外部量子効率はEQEと略記する。
【表1】

【0394】
表1中のデータは、直交溶媒を使用する多層構造は、OLEDの性能を有意に改善することを示している。対照素子のOLED1と比較して、OLED2は、(Cd/A及びEQEの双方において)2倍近く高い効率を示している。この改善は、以下に示す2つの有力な理由によるものと考えられる。一つ目の理由は、例4及び例5に示すように、直交溶媒を使用することによる、厚みがあり且つ明確な中間層(IL1)である。二つ目の理由は、ナノ粒子における予め明確なナノ構造のためであり得る。
【0395】
OLED3に関わる本発明の素子は、OLED2と比較して更に性能を改善するものである。OLED3では機能性界面活性剤のPyBAが使用され、その機能性界面活性剤はマトリックス又は補助エミッターとしても機能し得る。界面活性剤は除去されるにもかかわらず、少量のSDSはOLED2に残され得、OLED2の光電子工学特性を阻害する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの連続相、少なくとも1つの不連続相及び少なくとも1つの機能性界面活性剤を含有する調合物であって、該機能性界面活性剤が少なくとも1つの機能性基と、調合物の形成を促進する少なくとも1つの基を含有し、該機能性基が、ホスト基、エミッター基、正孔注入基、正孔輸送基、正孔障壁基、電子注入基、電子輸送基、電子障壁基、励起子障壁基、励起子形成基、光吸収基、色素基及び金属錯体から選択されることを特徴とする調合物。
【請求項2】
前記不連続相が、1〜7000nmの範囲の平均直径を有するナノ液滴を形成することを特徴とする請求項1に記載の調合物。
【請求項3】
前記不連続相が、ナノ液滴の75%超が、55%以下のナノ液滴の全平均直径の平均から外れる平均直径を有するナノ液滴を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の調合物。
【請求項4】
前記調合物が、ホスト材料、発光材料(EM)、正孔注入材料(HIM)、正孔輸送材料(HTM)、正孔障壁材料(HBM)、電子注入材料(EIM)、電子輸送材料(ETM)、電子障壁材料(EBM)、励起子障壁材料(ExBM)、光吸収材料、染料及び金属錯体から選択される少なくとも1つの更なる機能性材料を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項5】
前記機能性界面活性剤がホスト基を含有し、前記不連続相が発光材料及び金属錯体から選択される少なくとも1つの更なる機能性材料を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項6】
エミッター材料から選択される少なくとも2つの更なる機能性材料を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の調合物であって、該エミッター材料が、互いに独立して蛍光材料及び燐光材料から選択されることを特徴とする調合物。
【請求項7】
前記機能性界面活性剤が1つの発光機能性基を含有し、前記不連続相が少なくとも1つの更なる発光材料を含有し、前記連続相がホスト材料、HTM及びETMから選択される1つの更なる機能性材料を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項8】
前記調合物が、(1)少なくとも1つの一重項発光基を含有する少なくとも1つの機能性界面活性剤、及び、(2)少なくとも1つのホスト材料及び少なくとも1つの金属錯体の混合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項9】
前記調合物が、(1)少なくとも1つの色素基を含有する少なくとも1つの機能性界面活性剤、及び、(2)前記不連続相に存在する少なくとも1つのETMを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項10】
下記工程を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の調合物の製造方法:
(a)少なくとも1つの第一溶剤中に少なくとも1つの更なる第一の機能性材料と、少なくとも1つの機能性界面活性剤を含有する第一溶液を調製すること、
(b)少なくとも1つの第二溶剤中に前記少なくとも1つの第二の機能性材料を含有する第二溶液を調製すること、
(c)工程(a)で得られる第一溶液と工程(b)で得られる第二溶液とを特定比率で混合すること、
(d)工程(c)で得られる混合物から物理的方法により調合物を形成すること。
【請求項11】
請求項10に記載の方法により得られる調合物の少なくとも1つの不連続相の溶剤が除去され、更なる非機能性界面活性剤が調合物中に存在する場合には、該非機能性界面活性剤の少なくとも一部が除去されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の調合物の製造方法。
【請求項12】
下記工程:
(a)基板上に第一の層を形成すること、
(b)請求項1〜9のいずれか1項に記載の調合物を前記第一の層上に被覆して第二の層を形成すること、
を含む多層構造の製造方法であって、前記第一の層が、前記調合物の連続相の溶媒に作業温度において不溶であるか、溶解限度(好ましくは0.4質量%未満)を有することを特徴とする多層構造の製造方法。
【請求項13】
下記工程:
(a)請求項1〜9のいずれか1項に記載の調合物を基板上に被覆して第一の層を形成すること、
(b)前記第一の層上に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の追加の溶液または他のエマルジョンもしくは分散液から第二の層を形成すること、
を含む層構造の製造方法であって、前記第一の層における機能性材料が、追加溶液の溶媒、又は、前記調合物の連続相の溶媒に作業温度において不溶であるか、0.4質量%以下の溶解限度を有することを特徴とする層構造の製造方法。
【請求項14】
前記調合物に少なくとも1つの添加剤を加えることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
電子及び光電子素子の製造のための請求項1〜9のいずれか1項に記載の調合物の使用。
【請求項16】
電子及び光電子素子の製造のための請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項17】
前記素子が、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード(PLED)、ファイバーOLED、有機発光電気化学電池(OLEC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機太陽電池(O−SC)、色素増感太陽電池(DSSC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)、有機集積回路(O−IC)、無線周波識別(RFID)タグ、光検知器、センサー、論理回路、記憶素子、コンデンサー、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、伝導性基板もしくはパターン、光伝導体、電子写真素子、有機発光トランジスタ(OLET)、有機スピントロニック素子および有機プラズモン発光素子(OPED)から選ばれる、請求項15又は16に記載の使用。
【請求項18】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の調合物の使用により得られる層。
【請求項19】
請求項18に記載の層を含む素子。
【請求項20】
明るくするための用途、ディスプレイ用途、並びに、治療的及び/又は美容的用途のための請求項18又は19に記載の素子の使用。
【請求項21】
少なくとも1つの機能性基と、連続相及び不連続相の形成を促進する少なくとも1つの基を含有する機能性界面活性剤であって、該機能性基が、ホスト基、燐光エミッター基、正孔注入基、正孔輸送基、正孔障壁基、電子注入基、電子輸送基、電子障壁基、励起子障壁基、励起子形成基、光吸収基、色素基及び金属錯体から選択されることを特徴とする機能性界面活性剤。
【請求項22】
前記ホスト基が、アントラセン、ベンズアントラセン、ケトン、カルバゾール、トリアリールアミン、インデノフルオレン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、チオフェン、トリアジン、これらの異性体及び誘導体から選択されることを特徴とする、請求項21に記載の機能性界面活性剤。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−515362(P2013−515362A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545118(P2012−545118)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007133
【国際公開番号】WO2011/076326
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】