説明

エレクトロルミネッセント装置および画素装置

【課題】EL装置から放出された第一の色の光の輝度が減少すると、第一の色の光から検出される第一信号の減少に従って、第一の色の光を放出するEL画素を除くEL画素への電流を低減し、全てのEL画素から放出された光を合成したCIE値を安定にできるようにすること。
【解決手段】EL装置は、透明基板302、調整装置324および基板上に配置した複数のEL部材を有する。各EL部材は、EL画素303と光検出器322を有する。各EL画素は、陽極層304、発光層308および陰極層312を有する。光検出器は調整装置に接続し、透明基板とEL画素の間に配置し、EL画素から放出された光326の輝度の一部を信号に変換するために導入する。対応するEL画素への電流は、第一の信号の減少に従って調整し、全てのEL画素から放出された光の合成されたCIE値が、所定の組のCIE値を満たすようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般にエレクトロルミネッセント(EL)装置に関する。より詳細には、この発明はEL装置および白色光の安定なCIE値を備えた画素装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、白色光源またはカラー光源は、コンピュータの表示装置、テレビジョン、携帯電話または携帯型装置等の様々な電子製品にとって重要である。例えば、液晶表示(LCD)パネル等の既存の平板表示装置は自発光型ではなく、光源として白色光を提供するためのバックライト・モジュールを必要とする。従来から、冷陰極蛍光灯(CCFL)管が、LCDのバックライト・モジュール用に提供されている。しかし、CCFLは表示画面全体に均一な光源を提供することができず、光源を均一にするために拡散板が必要である。
【0003】
エレクトロルミネッセント(EL)装置は自発光型で、表示領域に均一な画像または光源を提供できるので、近年、表示装置または光源用に次第に採用されている。図1は、既存の白色光EL装置の概略図である。図1を参照すると、既存の白色光EL装置100は、ガラス基板102、インジウム錫酸化物(ITO)陽極104、正孔注入層106、青色発光層108a、緑色発光層108b、赤色発光層108c、電子輸送層110、および金属陰極112を有する。ITO陽極104と金属陰極112を介して、電流114を印加すると、ITO陽極104からの正孔と金属陰極112からの電子が発光層108a、108b、108c内で結合し、励起子が生成される。その結果、励起子は対応する色の光を発光できるので、青、緑および赤色の光122a、122b、122cが発光層108a、108b、108cから生成される。
【0004】
一般に、白色光を実現するには、青、緑および赤色の光122a、122b、122cの各輝度を最適化する必要がある。図2は、既存の白色光EL装置から放出されたカラー光の濃淡度と輝度の関係を示すグラフである。図2を参照すると、青、緑、赤色の光および合成された白色光の輝度と、濃淡度の関係は、曲線202a、202b、202cおよび204によって各々示されている。当初、各色の光の濃淡度は、「濃淡度1」のラインに沿って設定されている。従って、青、緑、赤色の光および合成された白色光の輝度は、各々Lb1、Lg1、Lr1およびLw1になり、合成された白色光の曲線204は例えばLb1、Lg1、およびLr1によって定義された固定のCIE値(国際照明委員会による定義)を有する。しかし、白色光EL装置の動作時間が増大すると、各発光層108a、108b、108cの発光効率も減少する。例えば、青色発光層108aの減少が、緑色発光層108bおよび赤色発光層108cの減少より速い場合、Lb1はLb2まで減少する。従って、青、緑、赤色の光の輝度の比率が変化し、所定の動作時間の後、Lb2、Lg1、およびLr1の比率になり、白色光のCIE値も時間と共に変化し、白色光の色ズレが生じる。従って、白色光EL部材の合成された白色光のCIE値を安定に保持することが重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、この発明はEL装置に関し、ここでEL装置から放出された第一の色の光の輝度が減少すると、第一の色の光から検出される第一信号の減少に従って、第一の色の光を放出するEL画素を除くEL画素への電流を低減し、全てのEL画素から放出された光を合成したCIE値を安定にできるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
さらに、この発明は画素装置に関し、ここでEL装置から放出された第一の色の光の輝度が減少すると、第一の色の光から検出される第一信号の減少に従って、第一の色の光を放出するEL画素を除くEL画素への電流を低減し、全てのEL画素から放出された光を合成したCIE値を安定にできるようにする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の一実施例によると、エレクトロルミネッセント(EL)装置が提供される。EL装置は調整装置に接続し、複数のEL画素の一つから放出された光の輝度の一部を信号に変換する光検出器を有し、前記調整装置は信号とEL画素から放出された光の間の所定の関係、および白色光のCIE値の所定の組を有し、光のCIE値を調整して、CIE値の所定の組を満足させる。
【0008】
この発明の一実施例では、EL画素は青色EL画素、緑色EL画素および赤色画素を有する。
【0009】
この発明の一実施例では、光検出器はフォトダイオードまたはフォト薄膜トランジスタ(TFT)を有する。
【0010】
この発明の別の実施例によると、エレクトロルミネッセント(EL)装置は、透明基板、制御装置、および基板上に配置した複数の白色EL部材を有する。ここで、白色EL部材は各々、カラーフィルタ、陽極層、黄色発光層、青色発光層および陰極層を備えた白色EL画素と、制御装置に接続し、透明基板と白色EL画素の間に配置した光検出器を有する。従って、白色EL画素から放出された光の輝度の一部は信号に変換される。制御装置は、信号とEL画素から放出された光の輝度の所定の関係、および白色光のCIE値の所定の組を有し、光のCIE値を制御して、CIE値の所定の組を満足させる。
【0011】
この発明の別の実施例によると、画素装置のCIE値を調整する方法において、画素装置のセンサが検出した輝度を信号に変換する。信号は、制御装置内で電圧係数に変換する。それから、画素装置から放出された光は、電圧係数と制御装置の所定の設定の比較に従って調整する。
【0012】
当然のことながら、前述の一般的な説明および以降の詳細な説明はどちらも例示的なものであり、請求のとおりの発明をさらに説明するものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
これ以降は、発明の実施例を示した添付の図面を参照しながら、この発明をさらに十分に説明する。しかし、この発明は多くの異なる形態で具現化され、ここで述べる実施例に限定されるものとは解釈すべきではなく、むしろこれらの実施例は、この開示内容が綿密で完全なものとなり、発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。同じ番号は、全体に渡って同様の構成要素を指している。
【0014】
図3Aは、この発明の一実施例による白色光EL部材を示す概略断面図である。図3Aを参照すると、白色光EL部材300は、透明基板302、第一光検出器322aを含む第一EL画素303a、第二光検出器322bを含む第二EL画素303b、第三光検出器322cを含む第三EL画素303c、および調整装置324を有することができる。この発明の一実施例では、第一、第二および第三EL画素は青、緑および赤色のEL画素を有することができる。当然のことながら、この発明では、カラーEL画素の数は三に限定されず、EL画素の色は三原色には限定されない。この発明の一実施例では、透明基板302はガラス基板を有することができる。
【0015】
図3Aを参照すると、EL画素303a/303b/303cは、陽極層304a/304b/304c、正孔注入層306a/306b/306c、発光層308a/308b/308c、電子輸送層310a/310b/310c、および陰極層312a/312b/312cを各々有することができる。この発明の一実施例では、陽極層304a、304b、304cはインジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)を有することができ、陰極層312a、312b、312cは金属を有することができる。さらに、発光層308a、308b、308cの材料は、有機EL材料または無機EL材料を有することができる。有機EL材料は、真空蒸着法により形成可能な色素または顔料等の低分子有機EL材料を有することも、コーティング法により形成可能な高分子有機EL材料を有することもできる。
【0016】
図3Aを参照すると、対応するデータ信号は、EL画素303a/303b/303cを各々駆動するために、データ線340を介して基板302に送られる。その結果、第一の光326a、第二の光326bおよび第三の光326cを生成し、光326a、326bおよび326cを合成した後、白色光を実現する。この発明の一実施例では、光326a、326b、326cは各々、青、緑および赤色光を有することができる。
【0017】
図3Aを参照すると、調整装置324は、EL画素303a/303b/303cと、対応する光検出器322a/322b/322cに接続する。光検出器322a、322bまたは322cは、光326a、326b、326cを信号ESa、ESbおよびEScに各々変換するために導入可能で、信号ESa、ESbおよびEScは調整装置324で受け取ることができる。例えば、信号ESa、ESbおよびEScは調整装置324に直接入ることも、データ線経路を介して調整装置324に入ることもできる。しかし、それは設計上の選択である。この発明の一実施例では、信号ESa、ESbおよびEScは、光エネルギから変換された誘導電流を有することができる。さらに、誘導電流ESa、ESbおよびEScは、調整装置324において対応する電圧値に変換できる。この発明の一実施例では、調整装置324は集積回路(IC)を有することができる。調整装置324は、受け取った信号ESa、ESbおよびEScに従って、適切な調整信号CSa、CSb、およびCSc生成し、光を白色光に調整できる。それから、信号CSa、CSb、CScは再び、データ線340を介してEL画素を調整するように、対応するEL色画素に送られる。白色光は赤、緑、および青色光からなるので、調整は例えば、画素303a等の一つの色画素を能動的に調整したり、他の二つの色画素303bおよび303cを受動的に調整したりすることで行うことができる。言い換えると、調整後、三色の光は白色光用のCIE値の要件を満たすことができる。調整機構については、後ほど説明する。
【0018】
図3Bは、この発明の一実施例による図3Aに示した白色光EL部材の概略平面図である。なお、図3Aに示した白色光EL部材300は、図3Bに示したラインAA’における断面図である。図3Bによると、EL画素303a/303b/303cは、光検出器322a/322b/322cと、駆動部材332a/332b/332cを各々有することができる。この発明の一実施例では、駆動部材332a/332b/332cは、薄膜トランジスタ(TFT)を有することができる。当然のことながら、光検出器322a/322b/322cの面積は、EL画素303a/303b/303cの面積と比べて小さく、光326a/326b/326cに対する光検出器322a/322b/322cの影響は小さい。
【0019】
図4は、この発明の一実施例による白色光EL部材の画素の回路図である。図4を参照すると、例として一つの色画素用の画素回路400は、EL画素(304a−312a)(図3A参照)、トランジスタ404、トランジスタ406、コンデンサ408およびセンサ装置412を有することができる。この発明の一実施例では、EL画素(304a−312a)は、例えば青、緑または赤色ELを有することができる。さらに、この発明の白色光EL部材は、例えば青色の画素、緑色の画素および赤色の画素によって構成でき、前記青色の画素、緑色の画素および赤色の画素は画素回路400を有することができる。その上、白色光EL部材の色画素の数は三に限定されず、EL画素(304a−312a)の色は三原色に限定されない。トランジスタ404は、電源からEL画素(304a−312a)への電流をオンまたはオフにするために導入でき、トランジスタ406は、データ線およびデータ走査線の調整下で、トランジスタ404をオンまたはオフにするために導入できる。コンデンサ408は、電源からEL画素(304a−312a)への電流を調整するために導入できる。
【0020】
図4を参照すると、図4は、一例として図3Aの一つの色画素のみを示している。センサ装置412は、例えばトランジスタ414および光検出器322aを有することができる。光検出器322aは、EL画素(304a−312a)から放出された光326aの輝度を検出し、その輝度を信号ESaに変換するために導入でき、前記信号ESaは電圧信号または電流信号であってもよく、信号ESaの振幅は輝度に比例する。図4および図3Aに示したような調整機構については、発光層308aから放出された光信号326aは光検出器322aで検出され、信号ESaを生成する。例えば、信号ESaは、トランジスタ414を介して、経路440で示されているように、調整装置324に入る。トランジスタ414は、検出走査線444を介して、クロック信号によって制御され、適切な時間にトランジスタ414をオン/オフし、信号ESaを送る。調整装置324がCSa等の適切な調整信号を生成すると、次に調整信号は経路442で示されているように、データ線340を介して、対応する色画素に送られ、対応する色画を調整する。
【0021】
この発明の一実施例では、EL画素(304a−312a)は、図3Aに示したEL画素303a、303b、または303cを有することができる。さらに光検出器322aは、光検出器322a、322bまたは322cを有することができ、光326aは光326a、326bまたは326cを有することができる。これ以降、例えば、EL画素303a/303b/303cは青/緑/赤色EL画素を表すことができる。
【0022】
図5は、この発明の一実施例による白色光EL部材から放出されたカラー光の濃淡度と輝度の関係を示すグラフである。図5を参照すると、濃淡度に対する青、緑、赤色光および合成した白色光の輝度は、曲線502a、502b、502cおよび504で各々示されている。例えば、青、緑、赤色光および合成した白色光の元の輝度は各々Lb1、Lg1、Lr1およびLw1であり、合成した白色光の曲線204は、例えばLb1、Lg1、およびLr1の比率で定義された固定のCIE値を有する。この発明の一実施例では、光検出器322a、322bおよび322cは、輝度Lb1、Lg1、およびLr1を検出し、信号ESa1、ESb1およびESc1を出力できる。
【0023】
図3Aを参照すると、例えば、光326a(つまり青色光)は、所定の時間動作した後、Lb1からLb2に減少し、光検出器322a、322bおよび322cは輝度Lb2、Lg1、およびLr1を検出し、この瞬間に信号ESa2、ESb1およびESc1を出力する。特に、光326aは減少しているので、ESa2はESa1より小さい。
【0024】
この発明の一実施例では、光検出器322a/322b/322cが検出した所定の比率の信号ESa/ESb/ESc等のデータは、調整装置324内に格納できる。さらに、カラー光326a/326b/326cの合成である事前設定した白色光の所定のCIE値も、調整装置324内に格納される。この発明の一実施例では、所定の比率またはCIE値は、参照表を有することができる。
【0025】
従って、調整装置324が信号ESa2を受け取ると、信号ESa2は信号ESa1と比較され、前記ESa2とESa1の差DbはLb2とLb1の差に比例する。その結果、調整装置324は、差Dbに従って調整信号CSbを生成し、光326bをLg1からLg2に低減し、差Dbに従って調整信号CScを生成し、光326cをLr1からLr2に低減できる。その結果、輝度Lb2、Lg2およびLr2はLb1、Lg1およびLr1より小さくなるが、白色光のCIE値(Lb2、Lg2およびLr2の比率に対応する)は、所定のCIE値(Lb1、Lg1およびLr1の比率に対応する)に等しくなる。従って、白色光の輝度は減少するが、CIE値は保持できる。
【0026】
言い換えると、電気信号ESa、ESbおよびEScは調整装置324で受け取り、調整装置324内に格納された所定の値と比較し、検出されるCIE値を決定する。検出されるCIE値が所定のCIE値と異なる場合、EL画素に印加する信号を調整して、検出されるCIE値を変更し、所定のCIE値に適合させる。
【0027】
この発明の一実施例では、光検出器は、フォトダイオードまたはフォト薄膜トランジスタ(TFT)を有することができる。図6は、この発明の一実施例によるフォトダイオード型光検出器の概略断面図である。図6を参照すると、フォトダイオード622は、第一導電層624、光電層626、P型層628および第二導電層630を有することができる。この発明の一実施例では、第一導電層624は金属層を有し、光電層626はαシリコン層を有し、P型層628はP型αシリコン層、および第二導電層630は金属層またはインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電層を有することができる。光642が光電層626を通過すると、光642の吸収された光エネルギは、P型層628から第一導電層624への誘導電流等の信号に変換される。さらに、フォトダイオード622を基板602上に形成し、保護層632を基板602上に形成し、フォトダイオード622を被覆できる。
【0028】
図7は、この発明の一実施例によるフォトTFT型光検出器の概略断面図である。図7を参照すると、フォトTFT722は、ソース/ドレイン領域724a/724b、チャネル領域726、光電層728およびゲート層730を有することができる。この発明の一実施例では、ゲート層730は、金属またはインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電層を有することができる。光742が光電層728を通過すると、光742の吸収された光エネルギは、チャネル領域726を介した誘導電流等の信号に変換できる。フォトTFT722を基板702上に形成し、保護層732を基板702上に形成し、フォトTFT722を被覆できる。さらに、遮光層734を基板702とフォトTFT722の間に形成し、保護層736を基板702上に形成し、遮光層734を被覆できる。
【0029】
図8は、この発明の別の実施例による白色光EL部材を示す概略断面図である。図8を参照すると、白色光EL部材800は、透明基板802、第一光検出器822aを含む第一EL画素803a、第二光検出器822bを含む第二EL画素803b、第三光検出器822cを含む第三EL画素803c、および調整装置824を有することができる。この発明の一実施例では、第一、第二および第三EL画素は、青、緑および赤色EL画素を有することができる。
【0030】
図8を参照すると、EL画素803a/803b/803cは、陽極層804a/804b/804c、発光層806a/806b/806c、および陰極層808a/808b/808cを各々有することができる。駆動機構は図3Aと同様であり、EL画素803a/803b/803cはデータ線340からの対応するデータ信号によって駆動される。調整装置824が信号ESa/ESb/EScを受け取った後、適切な調整信号CSa/CSb/CScを生成し、対応するEL画素に送って、データ線340を介して調整する。この発明の一実施例では、陽極層804a、804bまたは804cはインジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)を有し、陰極層808a、808b、808cは金属を有することができる。さらに、発光層806a、806bまたは806cの材料は、有機発光ダイオード(OLED)高分子材料を有することができる。この発明の一実施例では、光検出器822a/822b/822cは、図6に示したようにフォトダイオード、または図7に示したようなフォト薄膜トランジスタ(TFT)を有することができる。
【0031】
図9は、この発明の別の実施例による白色光EL部材を示す概略断面図である。図9を参照すると、白色光EL部材900は、透明基板902、第一フィルタ932aと第一光検出器922aを含む第一白色EL画素903a、第二フィルタ932bと第二光検出器922bを含む第二白色EL画素903b、第三フィルタ932cと第三光検出器922cを含む第三白色EL画素903c、および調整装置924を有することができる。この発明の一実施例では、第一、第二および第三フィルタは、青、緑および赤色フィルタを有することができる。従って、白色光EL部材900から放出された合成光は白となる。
【0032】
図9を参照すると、EL画素903a/903b/903cは、陽極層904a/904b/904c、正孔注入層906a/906b/906c、NPB正孔輸送層907a/907b/907c、黄色発光層908a/908b/908c、青色発光層909a/909b/909c、電子輸送層910a/910b/910c、および陰極層912a/912b/912cを各々有することができる。駆動機構は図3Aと同様であり、EL画素903a/903b/903cはデータ線340からの対応するデータ信号によって駆動される。調整装置924が信号ESa/ESb/EScを受け取ると、適切な調整信号CSa/CSb/CScを生成し、対応するEL画素に送って、データ線340を介して調整する。この発明の一実施例では、陽極層904a、904bまたは904cはインジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)を有し、陰極層912a、912bまたは912cは金属を有することができる。さらに、黄色または青色発光層908a/908b/908cまたは909a/909b/909cの材料は、有機EL材料または無機EL材料を有することができる。有機EL材料は、真空蒸着法で形成可能な色素または顔料等の低分子有機EL材料、またはコーティング法で形成可能な高分子有機EL材料を有することができる。
【0033】
図10は、この発明の実施例による調整装置を備えた表示装置のレイアウトを概略的に示す図である。図10では、調整装置1006と画素アレイ1000の関係が示されている。一般に、画素アレイ1000内の画素は、走査駆動部1004とデータ駆動部1002で駆動する。次に、上記のような設計原理下で、調整装置1006が、データ駆動部1002と接続される。一例の結果として、検出された信号1008は、例えば図3AのESa/ESb/EScとなる。さらに、調整装置1006からの調整信号CSa/CSb/CScは、データ駆動部1002内のデータ線を介して送られ、対応するEL画素に到達し、画素アレイ1000内でその画素を調整する。
【0034】
この発明の一実施例では、表示パネルは液晶表示パネルを有する。さらに、表示装置には、透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置またはトランスフレクティブ液晶表示装置が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
従って、この発明では、いずれか一つの発光層の発光効率が減少した際、例えば、対応する信号から変換した電圧値を、調整装置内に格納した所定の電圧値と比較することで、その信号の減衰を検出できる。その後、調整装置は調整信号を出力し、EL画素上の電流信号を調整して、白色光を得ることができる。その結果、光を合成したCIE値を固定できる。言い換えると、調整装置が受け取った電気信号を、調整装置内に格納されている所定の値と比較して、検出されるCIE値を決定する。検出されるCIE値が所定のCIE値とは異なる場合、電流値を調整して、検出されるCIE値を変更し、所定のCIE値に適合させる。
【0036】
当業者には明らかなように、この発明の範囲または精神から逸脱することなく、発明の構造に様々な修正および変形を行うことができる。以上の内容を考慮すると、この発明の修正および変形態様が、添付の請求項およびそれらと等価なものの範囲内にある限り、この発明はその修正および変形態様を含むものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
添付の図面はこの発明をさらに理解するために含められ、この明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は発明の実施例を示し、その説明と共に発明の原理を説明するのに役立つ。
【図1】既存の白色光EL装置の概略図である。
【図2】既存の白色光EL装置から放出されたカラー光の濃淡度と輝度低下の関係を示すグラフである。
【図3A】この発明の一実施例による白色光EL部材を示す概略断面図である。
【図3B】この発明の一実施例による図3Aに示した白色光EL部材の概略平面図である。
【図4】この発明の一実施例による白色光EL部材の画素の回路図である。
【図5】この発明の一実施例による白色光EL部材から放出されたカラー光の濃淡度と輝度の関係を示すグラフである。
【図6】この発明の一実施例によるフォトダイオード型光検出器の概略断面図である。
【図7】この発明の一実施例によるフォトTFT型光検出器の概略断面図である。
【図8】この発明の一実施例によるバックライト装置の概略平面図である。
【図9】この発明の一実施例による表示装置の概略平面図である。
【図10】この発明の一実施例による調整装置を備えた表示装置のレイアウトを概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0038】
100 白色光EL装置
102 ガラス基板
104 陽極
106 正孔注入層
108a 青色発光層
108b 緑色発光層
108c 赤色発光層
110 電子輸送層
112 金属陰極
114 電流
122a 青色の光
122b 緑色の光
122c 赤色の光
202a〜202c 曲線
204 曲線
300 部材
302 透明基板
303a/303b/303c第一〜第三EL画素
304a/304b/304c陽極層
306a/306b/306c正孔注入層
308a/308b/308c発光層
310a/310b/310c電子輸送層
312a/312b/312c陰極層
322a、322b、322c第一〜第三光検出器
324 調整装置
326a/326b/326c光
332a/332b/332c駆動部材
340 データ線
400 画素回路
404 トランジスタ
406 トランジスタ
408 コンデンサ
412 センサ装置
414 トランジスタ
440 経路
442 経路
444 検出走査線
502a、502b、502c曲線
504 曲線
602 基板
622 フォトダイオード
624 第一導電層
626 光電層
628 P型層
630 第二導電層
632 保護層
642 光
702 基板
724a/724b ドレイン領域
726 チャネル領域
728 光電層
730 ゲート層
732 保護層
734 遮光層
736 保護層
742 光
800 白色光EL部材
802 透明基板
803a、803b、803c第一〜第三EL画素
804a/804b/804c陽極層
806a/806b/806c発光層
808a/808b/808c陰極層
822a、822b、822c第一〜第三光検出器
824 調整装置
900 白色光EL部材
902 透明基板
903a/903b/903c第一〜第三白色EL画素
904a/904b/904c陽極層
906a/906b/906c正孔注入層
907a/907b/907c正孔輸送層
908a/908b/908c黄色発光層
908a/908b/908c青色発光層
909a/909b/909c青色発光層
910a/910b/910c電子輸送層
912a/912b/912c陰極層
922a、922b、922c第一〜第三光検出器
924 調整装置
932a、932b、932c第一〜第三フィルタ
1000 画素アレイ
1002 データ駆動部
1004 走査駆動部
1006 調整装置
1008 信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が光を放出する複数のエレクトロルミネッセント(EL)画素と、
各EL画素に対応させ、対応するEL画素が放出した光の輝度を検出する光検出器を有するEL装置。
【請求項2】
さらに、EL画素の光検出器に動作可能なように接続し、一つのEL画素の検出された輝度に基づいて、少なくとも別の一つのEL画素の輝度を調整する調整装置を有する請求項1記載のEL装置。
【請求項3】
各光検出器が、対応するEL画素の検出された輝度に基づいて、調整装置に信号を出力する請求項2記載のEL装置。
【請求項4】
信号が、電圧または電流を表す請求項3記載のEL装置。
【請求項5】
調整装置が、一つのグループのEL画素から放出された光の所定の相対輝度を保持し、特定の色の光の所定の組のCIE値を保持する請求項2記載のEL装置。
【請求項6】
特定の色が、白色光である請求項5記載のEL装置。
【請求項7】
EL画素が、青色EL画素、緑色EL画素および赤色画素を有する請求項1記載のEL装置。
【請求項8】
各EL画素が、OLEDを有する請求項7記載のEL装置。
【請求項9】
光検出器が、フォトダイオードまたはフォト薄膜トランジスタ(TFT)を有する請求項1記載のEL装置。
【請求項10】
フォトダイオードが、
透明基板上に配置した第一導電層と、
第一導電層上に配置した光電層と、
第一導電層上に配置したP型層と、
P型層上に配置した第二導電層を有する請求項9記載のEL装置。
【請求項11】
フォトTFTが、
透明基板上に配置したチャネル領域と、
チャネル領域の横の透明基板上に配置したソース/ドレイン領域と、
チャネル領域上に配置した光電層と、
光電層上に配置したゲート層を有する請求項9記載のEL装置。
【請求項12】
発光層の材料が、有機EL材料または無機EL材料を有する請求項1記載のEL装置。
【請求項13】
各EL画素が、カラーフィルタを有する請求項1記載のEL装置。
【請求項14】
カラーフィルタが、青色フィルタ、緑色フィルタまたは赤色フィルタを有する請求項13記載のEL装置。
【請求項15】
各EL画素がさらに、黄色発光層と青色発光層を有する請求項1記載のEL装置。
【請求項16】
EL装置内の複数のEL画素を駆動する方法であって、
EL画素を駆動して光を放出し、
各EL画素に対応した光検出器を設け、
対応するEL画素が放出した光の輝度を検出し、
対応するEL画素の検出された輝度に基づいて、少なくとも別の一つのEL画素の輝度を調整する方法。
【請求項17】
調整ステップで、一つのグループのEL画素から放出された光の所定の相対輝度を保持し、特定の色の光のCIE値の所定の組を保持する請求項16記載の方法。
【請求項18】
特定の色が、白色光である請求項16記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−94344(P2007−94344A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352182(P2005−352182)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(503002765)統寶光電股▲ふん▼有限公司 (37)
【Fターム(参考)】