説明

エレベータの制御装置

【課題】制御パラメータをユーザが専用装置を使わずに容易に変更できるエレベータの制御装置を提供する。
【解決手段】エレベータの制御装置は、標準釦が備えられるかご操作盤の操作による信号に基づき運行を制御し、標準釦の予め定められた特定操作による信号が入力されるとき、制御モードを通常運行とパラメータ変更との間で切り換えるモード切換手段と、パラメータ変更モードにおいて、戸閉釦と戸開釦との一方の操作による信号の入力を操作の度に増加または減少する0から9までの数の入力として処理し、他方の操作による信号の入力を入力の確定を意味する入力として処理する操作盤入力処理手段と、パラメータ変更モードにおいて、予め定められるメニューに基づく操作による数の入力に従って運行の制御のパラメータを変更するパラメータ変更手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの運転制御パラメータをかご操作盤から変更するエレベータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、特定者に必要な運転機能をタッチ入力によって表示する画像表示部と、この画像表示部に表示された画像を切り換えるスイッチと、画像表示部に表示される表示画像を制御する表示制御部と、画像表示部の表示面からタッチ式で入力されるデータを読みとる入力部と、この入力部で読み取ったデータを制御するデータ制御部を備える(例えば、特許文献1参照。)。
また、エレベータの制御装置は、エレベータのかご内に設けられ、行先階の登録を行なう行先階釦と、基準階、サービス切り離し階、パーキング階設定用の設定スイッチを有するかご操作盤と、前記行先階釦と設定スイッチの操作の組み合わせで、基準階、サービス切り離し階、パーキング階の設定を判別する機能判別回路とを備える(例えば、特許文献2参照。)。
また、エレベータの制御装置は、エレベータに対する呼びが無いときに、エレベータを適切な階へ分散待機させるようにしたものにおいて、エレベータのカゴ内に行先階ボタン、戸開ボタン及び戸閉ボタンを備えたカゴ操作盤を設け、このカゴ操作盤により分散待機するエレベータの待機階を設定可能にした。また、カゴ操作盤により設定された待機階及びその設定された時間を記憶して学習し、分散待機の待機階をその学習結果に基づいて設定する(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−215601号公報
【特許文献2】特開2000−143105号公報
【特許文献3】特開平7−25551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエレベータは、制御パラメータの変更のために液晶タッチパネルを使用したり、特別のディスプレイを備えたりする必要があるので、コストが高くなり、既納品に対しても容易に追加改造することが困難であるという問題がある。
また、パラメータに含まれる時間、時間帯等のデータを直接入力できないという問題がある。
また、エレベータの速度及びドアの速度等を変更できるようなメニューも無く機能として限られているという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、エレベータの運行の制御パラメータをユーザが特別の専用装置を使わずに容易に変更可能となるエレベータの制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わるエレベータの制御装置は、行先階呼び釦、戸閉釦および戸開釦を含む標準釦が備えられるかご操作盤の操作による信号に基づきエレベータの運行を制御するエレベータの制御装置において、上記行先階呼び釦、戸閉釦または戸開釦の少なくとも1つの予め定められた特定操作による信号が入力されるとき、上記エレベータの制御モードを通常運行モードとパラメータ変更モードとの間で切り換えるモード切換手段と、パラメータ変更モードにおいて、上記戸閉釦と上記戸開釦を数の入力に割り当て、上記戸閉釦と上記戸開釦の一方の操作による信号の入力を、上記操作の度に増加または減少する0から9までの数の入力として処理し、他方の操作による信号の入力を、入力の確定を意味する入力として処理する操作盤入力処理手段と、パラメータ変更モードにおいて、予め定められるメニューに基づく操作による上記数の入力に従って上記運行の制御のパラメータを変更するパラメータ変更手段と、を有し、変更されるパラメータに従って上記エレベータの運行を制御する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係わるエレベータの制御装置の効果は、特殊な入力装置ではなく、エレベータのかご操作盤に標準的に備えられる釦だけを用いて、ユーザが設置後運行制御のパラメータを変更できるので、安価にパラメータ変更のできるエレベータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わるパラメータ制御装置が設置されたエレベータの概観図である。図2は、パラメータの変更に用いるかご操作盤の平面図である。図3は、パラメータ変更シートの記載内容を示す図である。図4は、実施の形態1のパラメータ変更装置の機能ブロック図である。図5は、かご操作盤からの信号の入力の処理の内容を示す図である。図6は、パラメータを変更する手順を示すフローチャートである。
【0009】
エレベータ1は、図1に示すように、昇降路2内を昇降するかご3、各階床の乗場に備えられる一般の呼び釦4、かご3内に備えられる標準のかご操作盤5、かご3を昇降するかご駆動装置6、かご駆動装置6を制御するエレベータ制御装置7から構成されている。
かご3は、内部に放送手段としてのスピーカ8が備えられている。
エレベータ制御装置7は、呼び釦4、かご操作盤5の操作による信号の入力に基づき、かご3などの運行を制御する。この運行のパラメータのうち、安全上変更されても問題がなく、かつユーザの好みに合わせて変更されてもよいパラメータは、変更可能なパラメータファイルとしてエレベータ制御装置7に記憶されている。エレベータ制御装置7は、変更されたパラメータを含むパラメータファイルに基づき、エレベータの運行を制御する。
エレベータ制御装置7は、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路を有するコンピュータから構成される。
変更可能なパラメータファイルは、エレベータ制御装置7に備えられるパラメータ変更装置10により変更される。
呼び釦4、かご操作盤5は、通信回線9を介してエレベータ制御装置7に接続されている。
【0010】
かご操作盤5は、図2に示すように、エレベータ1がサービスする階床分準備され、表面に数字が画かれている行先階呼び釦11、戸閉釦12、戸開釦13、下半分に数字(以下、下表示と称す。)と上半分に記号(以下、上表示と称す。)が表示されるインジケータ14から構成されている。これら行先階呼び釦11、戸閉釦12、戸開釦13は、通常のエレベータ1のかご操作盤5に備えられているので、合わせて標準釦と称す。
【0011】
エレベータ制御装置7のパラメータファイルの変更は、予め許可され、暗証番号が知らされた操作員により行われる。操作員は、エレベータ1の呼び登録がないとき、エレベータ1の標準釦の特定操作により運行制御モードを通常運行モードからパラメータ変更モードに切り換える。そして、操作員は、取り扱い説明書に添付される予め定められるパラメータ設定シートに基づき、かご操作盤5から所定の項目に所望の数を入力する。
【0012】
パラメータ変更シートは、例えば、時間帯に応じた待機階床の設定の場合、図3に示すようなものである。
所定の項目として、開始時刻と終了時刻とからなる時間帯と対象の階床との2項目からなる。開始時刻は、4桁の数字により設定され、先の2桁の数字は時間、後の2桁の数字は分として設定される。終了時刻も開始時刻と同様に、4桁の数字により設定される。対象の階床は、1桁の数字である。なお、以下の説明では、総階床が6階とする例について説明するが、総階床の数は1桁に限るものではない。
【0013】
また、エレベータの定格以下の速度の設定の場合、設定する速度の定格速度との割合とかごの走行方向との2項目が設定項目となる。設定する速度の定格速度に対する割合は、%を単位として、2桁の00から99までである。また、走行方向は、1桁の1、2、3であり、1は上昇、2は下降、3は両方向を意味する。
【0014】
パラメータ変更装置10は、図4に示すように、操作盤入力処理手段21、モード切換手段22、暗証番号照合手段23、メニュー選択手段24、設定項目記憶手段25、パラメータ変更手段26、音声確認手段27から構成されている。
【0015】
操作盤入力処理手段21は、かご操作盤5の普通釦の操作による信号の入力を通常運行モードとパラメータ変更モードとで異なる情報の入力として処理する。かご操作盤5の普通釦の操作は、短時間1回だけ押す通常操作と2つの釦を5秒間に亘って押し続ける特定操作がある。以下の説明において、戸閉釦12と戸開釦13とが同時に5秒間押し続ける例を挙げるが、特定操作はこれに限るものではない。
以下、操作盤入力処理手段21における信号の処理について図5を参照して説明する。
通常運行モードにおいて、行先階呼び釦11が押されて入力される信号は、行先階呼び釦11の表面に画かれている数の入力とし、行き先呼び登録の階床の情報として用いられる。
また、通常運行モードにおいて、戸閉釦12が通常操作のように押されて入力される信号は、エレベータ1のドアを閉めるための戸閉信号の入力と処理される。
また、通常運行モードにおいて、戸開釦13が通常操作のように押されて入力される信号は、かご3が停止中にエレベータ1のドアを開けておくための戸開信号の入力と処理される。
また、通常運行モードにおいて、操作盤入力処理手段21は、インジケータ14の下表示として直近に到達した階床の数字を、上表示として移動方向を表す上向きまたは下向きの矢印を表示する。
また、通常運行モードにおいて、戸閉釦12と戸開釦13との特定操作として同時に5秒間押されて入力される信号は、モード切換信号の入力と処理される。
【0016】
次に、パラメータ変更モードにおいて、行先階呼び釦11が通常操作のように押されて入力される信号は、パラメータの変更のための表面に画かれている数の入力と処理される。
また、パラメータ変更モードにおいて、戸閉釦12が最初に押されて入力される信号は、設定のための0の入力と処理され、次に押されて入力される信号は、1が加算された1の入力と処理される。以降も1回押されて入力される度の信号は、1がその前の操作で入力された数に加算された数の入力と処理される。9の入力と処理された後にさらに押されて入力された信号は、0の入力と処理される。
また、パラメータ変更モードにおいて、戸開釦13が通常操作のように押されて入力される信号は、入力操作における確定信号と処理される。
また、操作盤入力処理手段21は、パラメータ変更モードにおいて、行先階呼び釦11または戸閉釦12から入力される数をインジケータ14の下表示に点滅して表示し、確定信号が入力されたとき点灯して表示する。
また、パラメータ変更モードにおいて、戸閉釦12と戸開釦13との特定操作として同時に5秒間押されて入力される信号は、モード切換信号の入力と処理される。
【0017】
次に、図4に戻ってパラメータ変更装置10の機能の説明を続ける。
モード切換手段22は、操作盤入力処理手段21からモード切換信号を受信したとき、現モードを他のモードに切り換える。モードは、通常運行モードとパラメータ変更モードの2つのモードからなる。そして、モード切換手段22は、現モードが通常運行モードであるときにモード切換信号を受信したとき、パラメータ変更モードに切り換える。逆に、現モードがパラメータ変更モードであって、モード変更信号を受信したとき、通常運行モードに切り換える。そして、モード切換手段22は、モード切換指令をエレベータ制御装置7と暗証番号照合手段23とに送る。同時に、パラメータ変更モードに切り換えるときは、インジケータ14の上表示に「−」を点灯して表示する。
【0018】
暗証番号照合手段23は、モード切換手段22からモード切換指令が送信され、パラメータ変更モードに切り換えられたとき、操作盤入力処理手段21から数が入力され、確定され、次に確定信号を受信したとき、その入力された数をパラメータの変更が許可された人に予め与えられた暗証番号と照合する。入力された数と暗証番号とが一致したとき、メニュー選択手段24に変更許可指令を送る。暗証番号は、管理者以外の利用者のパラメータの変更を防止するためである。同時に、インジケータ14の上表示に「−」を点滅して表示する。かご操作盤5の行先階呼び釦11または戸閉釦12から入力される数はインジケータ14の下表示に点滅しながら表示される。そして、確定信号が入力されると、その数が確定され、インジケータ14の下表示にその数が点灯して表示される。
【0019】
メニュー選択手段24は、暗証番号照合手段23から変更許可指令を受けたとき、操作盤入力処理手段21から送られるメニュー番号に相当する数を受け付け、インジケータの下表示にその数字を点滅する。次に、操作盤入力処理手段21から確定信号を受け付けると、その相当する数のメニューのパラメータファイルをエレベータ制御装置7から読み出す。同時に、インジケータ14の下表示にその数字を点灯する。
【0020】
パラメータの変更のメニューは、以下の5つである。
1:時間帯に応じた待機階床の設定。
2:エレベータの定格以下の速度の設定。すなわち、エレベータの上昇速度、下降速度、上昇下降速度を夫々定格速度以下の範囲で設定することである。
3:ドア(戸)の定格以下の開閉速度の設定。すなわち、戸開速度、戸閉め速度、戸開閉速度の夫々を定格速度以下の範囲で設定することである。
4:戸開時間の設定。すなわち、エレベータが目的階に到着したときに、ドアが開かれている時間を設定することである。
5:自動休止時間の設定。すなわち、目的階に到着後、照明OFF等省エネモードに移行するまでの時間を設定することである。
6:工場出荷時のパラメータに戻す。すなわち、全ての設定をクリアすることである。
【0021】
なお、パラメータの変更のメニューとして、停止せずに通過する階床としての非停止階の設定を採り上げてもよい。たとえば、6階建てのビルにおいて4階に停止しないようにするときには、非停止階設定を4階とすればよい。
【0022】
また、かご内空調の温度の設定、照明の明るさの設定など変更しても安全上問題が無いパラメータで有れば、パラメータの変更のメニューに追加してもよい。
【0023】
設定項目記憶手段25は、各メニューのパラメータファイルが記憶されている。
【0024】
パラメータ変更手段26は、操作員によるパラメータ変更シートに基づく各項目の値のかご操作盤5からの入力を受け付ける。なお、かご操作盤5の行先階呼び釦11または戸閉釦12から入力される数はインジケータ14の下表示に点滅しながら表示される。そして、確定信号が入力されると、その数が確定され、インジケータ14の下表示の数が点灯される。そして、パラメータ変更手段26は、かご操作盤5からの確定された数をパラメータファイルに代入し、パラメータファイルを更新する。そして、パラメータ変更手段26は、更新されたパラメータファイルが形式的に正しいか否かを判断する。形式的に正しいと判断したとき、該パラメータファイルを書き換える。同時に、正常終了を音声確認手段27に通知する。また、更新されたパラメータファイルが形式的に異常と判断したとき、エレベータ制御装置7と音声確認手段27とに異常終了を通知する。
【0025】
音声確認手段27は、パラメータ変更手段26から正常終了が通知されたとき、該当するメニューの音声案内フレーズを設定項目記憶手段25から読み出し、更新されたパラメータファイルから所望の項目を音声案内フレーズに挿入し、かご内のスピーカ8から放送する。
例えば、メニューが時間帯に応じた待機階床の設定の場合、「10時00分から12時05分の間の待機階は5階と設定されました。」と放送される。
また、メニューがエレベータの定格以下の速度の設定の場合、「下降時の速度は定格速度の50%と設定されました。」と放送される。
【0026】
また、音声確認手段27は、パラメータ変更手段26からデータ異常が通知されたとき、異常通知フレーズをスピーカ8から放送する。例えば、「異常データが入力されました。」と放送される。
【0027】
なお、パラメータの変更が正常に行われたとき、インジケータ14の下表示として「0」を点灯し、異常のとき「E」を点灯しても確認する効果を奏することができる。
【0028】
エレベータ制御装置7は、現モードが通常運行モードのときにモード切換指令を受信したとき、かご呼びの登録の有無を判断し、かご呼びが登録されていないとき、かご呼び釦の入力を無効にするとともにメニュー選択手段24に変更許可指令を送る。
また、エレベータ制御装置7は、現モードがパラメータ変更モードのときにモード切換指令を受信したとき、かご呼び釦の入力を有効にする。
また、エレベータ制御装置7は、パラメータファイルが更新されたとき、そのパラメータファイルに基づきエレベータの制御のパラメータを変更する。そして、エレベータ制御装置7は、変更されたパラメータに基づき、エレベータの運行を再開する。
また、エレベータ制御装置7は、異常終了を受信したとき、呼び釦からの呼びを有効に変更し、パラメータの変更を行わずにエレベータの運行を再開する。
【0029】
次に、パラメータの変更の手順について図6を参照して説明する。
操作員は、暗証番号が知らされていて、さらにパラメータ変更シートが渡されている。
ステップ101で、操作員は、かご操作盤5からかご呼び登録が無いかどうか判断し、かご呼び登録がないとき、ステップ102へ進み、かご呼び登録があるとき、ステップ101を繰り返す。
ステップ102で、操作員は、戸閉釦12と戸開釦13とを同時に5秒間以上に亘って押し続ける。モード切換手段22は、モード切換信号をエレベータ制御装置7に送信する。また、モード切換手段22は、インジケータ14の上表示として「−」を点灯する。エレベータ制御装置7は、モード切換信号を受信すると、各階床の呼び釦4からの入力を無視する。一般利用客からの呼びには応答しない。
ステップ103で、暗証番号照合手段23は、行先階呼び釦11および戸閉釦12から入力される数を予め定められた暗証番号と照合し、一致したときステップ104へ進み、不一致のときステップ101へ戻る。
例えば、暗証番号が1234のとき、戸閉釦12を用いて入力することができる。すなわち、戸閉釦12を2回押す。そこで戸開釦13を押すと「1」が確定される。次に、戸閉釦12を1回押し、戸開釦13を押すと「2」が確定される。次に、戸閉釦12を1回押し、戸開釦13を押すと「3」が確定される。次に、戸閉釦12を1回押し、戸開釦13を押すと「4」が確定される。この4桁の数字が入力されると、暗証番号照合手段23は照合し、一致するとインジケータ14の上表示として「−」を点滅する。
ステップ104で、操作員はパラメータ変更シート(図3)を参照して所望のメニューの番号を戸閉釦12と戸開釦13とを操作して入力し、メニュー選択手段24は、入力されたメニューのパラメータファイルをエレベータ制御装置7から読み出す。
ステップ105で、操作員はパラメータ変更シートを参照して所望のメニューの変更項目の値を戸閉釦12と戸開釦13とを操作して入力し、パラメータ変更手段26は、所望のメニューに係わるパラメータファイルに、その入力された値を代入する。
ステップ106で、パラメータ変更手段26は、更新されたパラメータファイルが形式的に正しいか否かを判断する。形式的に正しいと判断したとき、該パラメータファイルを書き換える。同時に、正常終了を音声確認手段27に通知してステップ107へ進む。一方、更新されたパラメータファイルが形式的に異常と判断したとき、エレベータ制御装置7と音声確認手段27とに異常終了を通知し、ステップ107へ進む。
ステップ107で、音声確認手段27は、正常終了の通知を受けたとき変更内容を、異常終了の通知を受けたとき異常終了する旨を、かご3内に設置されたスピーカ8から放送する。
ステップ108で、エレベータ制御装置7は正常終了または異常終了の通知をうけたとき、かご呼びの登録を「有効」に切り換えて、通常の運転に戻る。
【0030】
次に、ステップ105における数の入力に関して詳しく説明する。
メニュー1、時間帯に応じた待機階床の設定を例に挙げて説明する。メニュー1では、時間帯を規定する開始時間と終了時間および待機階床の階数を変更する。
例えば、待機階床を10:00〜12:10の間5階に変更する場合を示す。
メニュー選択時に「1」を設定しているので、再度戸開釦13を押して「1」を確定する。次に、戸閉釦12を9回押すと「0」となるので、戸開釦13を押して「0」を確定する。次に、戸閉釦12を操作しないと「0」のままなので、戸開釦13を押して「0」を確定する。次に、戸閉釦12を操作しないと「0」のままなので、戸開釦13を押して「0」を確定する。次に、戸閉釦12を1回押すと「1」になるので、戸開釦13を押して「1」を確定する。次に、戸閉釦12を1回押すと「2」になるので、戸開釦13を押して「2」を確定する。次に、戸閉釦12を9回押すと「1」になるので、戸開釦13を押して「1」を確定する。次に、戸閉釦12を9回押すと「0」になるので、戸開釦13を押して「0」を確定する。
次に、戸閉釦12を5回押すと「5」になるので、戸開釦13を押して「5」を確定する。最後に、戸開釦13を押すと入力が確定される。
【0031】
次に、メニュー2、エレベータの定格以下の速度の設定を例に挙げて説明する。メニュー2では、速度の定格速度に対する割合と走行の方向を変更する。
例えば、下降時の速度を定格速度の50%に変更する場合を示す。
メニュー選択時に「2」を設定しているので、戸閉釦12を3回押すと「5」になり、戸開釦13を押して「5」を確定する。次に、戸閉釦12を5回押すと「0」になるので、戸開釦13を押して「0」を確定する。次に、戸閉釦12を2回押すと「2」になるので、戸開釦13を押して「2」を確定する。
【0032】
以下、同様に繰り返し操作を行うことで別のパラメータも変更することができる。
なお、途中で入カミス等によりリセットしたい場合、戸閉釦12と戸開釦13とを同時に5秒以上に亘って押してモードを通常運行モードに切り換える。
【0033】
このようなエレベータの制御装置は、特殊な入力装置ではなく、エレベータのかご操作盤に標準的に備えられる釦だけを用いて、ユーザが設置後運行制御のパラメータを変更できるので、安価にパラメータ変更のできるエレベータを提供することができる。
【0034】
また、ハードウエアの変更ではなく、ソフトウエアの変更だけで納入済みのエレベータに低コストでかつ大幅な改造工事を施すことなくパラメータの変更の機能を追加することができる。
【0035】
また、変更可能なパラメータがメニュー化されているので、ユーザの使用条件に合わせてユーザが容易にパラメータを変更することができる。
【0036】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2のエレベータ制御装置が備えられたエレベータの概略図である。
実施の形態2のエレベータ制御装置30は、実施の形態1のエレベータ制御装置7に通信手段31がさらに備えられており、その他は実施の形態2のエレベータ制御装置7と同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明を省略する
通信手段31は、公衆回線32を介してエレベータの保守管理を行う保守センター33に接続されている。
そして、通信手段31は、変更されたパラメータを随時公衆回線32を介して保守センターに送信する。
【0037】
このようなエレベータ制御装置は、変更されたパラメータが公衆回線を介してエレベータの保守管理する保守センターヘ送信されるので、ユーザによるエレベータのパラメータの変更を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の実施の形態1に係わるパラメータ制御装置が設置されたエレベータの概観図である。
【図2】パラメータの変更に用いるかご操作盤の平面図である。
【図3】パラメータ変更シートの記載内容を示す図である。
【図4】実施の形態1のパラメータ変更装置の機能ブロック図である。
【図5】かご操作盤からの入力の処理の内容を示す図である。
【図6】パラメータを変更する手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2のエレベータ制御装置が備えられたエレベータの概略図である。
【符号の説明】
【0039】
1 エレベータ、2 昇降路、3 かご、4 呼び釦、5 かご操作盤、6 かご駆動装置、7 エレベータ制御装置、8 スピーカ、9 通信回線、10 パラメータ変更装置、11 行先階設定釦、12 戸閉釦、13 戸開釦、14 インジケータ、21 操作盤入力処理手段、22 モード切換手段、23 暗証番号照合手段、24 メニュー選択手段、25 設定項目記憶手段、26 パラメータ変更手段、27 音声確認手段、30 エレベータ制御装置、31 通信手段、32 公衆回線、33 保守センター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行先階呼び釦、戸閉釦および戸開釦を含む標準釦が備えられるかご操作盤の操作による信号に基づきエレベータの運行を制御するエレベータの制御装置において、
上記行先階呼び釦、戸閉釦または戸開釦の少なくとも1つの予め定められた特定操作による信号が入力されるとき、上記エレベータの制御モードを通常運行モードとパラメータ変更モードとの間で切り換えるモード切換手段と、
パラメータ変更モードにおいて、上記戸閉釦と上記戸開釦を数の入力に割り当て、上記戸閉釦と上記戸開釦の一方の操作による信号の入力を、上記操作の度に増加または減少する0から9までの数の入力として処理し、他方の操作による信号の入力を、入力の確定を意味する入力として処理する操作盤入力処理手段と、
パラメータ変更モードにおいて、予め定められるメニューに基づく操作による上記数の入力に従って上記運行の制御のパラメータを変更するパラメータ変更手段と、
を有し、
変更されるパラメータに従って上記エレベータの運行を制御することを特徴とするエレベータの制御装置。
【請求項2】
上記操作盤入力処理手段は、パラメータ変更モードにおいて、上記行先階呼び釦を数の入力に割り当て、上記行先階呼び釦の操作による信号の入力を、上記行先階呼び釦が示す行先階の階数と同じ数の入力として処理することを特徴とする請求項1に記載するエレベータの制御装置。
【請求項3】
パラメータ変更モードにおいて、上記入力される数を予め定められた暗証番号と照合し、両者が一致するときに上記パラメータ変更手段にパラメータの変更を許可する暗証番号照合手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載するエレベータの制御装置。
【請求項4】
パラメータ変更モードにおいて、上記変更されるパラメータをエレベータの保守管理するセンターに通信回線を介して送信する送信手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載するエレベータの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−16149(P2006−16149A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195768(P2004−195768)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】