エレベータの運転装置及び運転方法
【課題】予め利用者の利用時間を調査し、乗場で待つ利用者人数が、かごとつり合い重りの重量が釣り合う人数になる時刻に、エレベータを配車することによりエレベータの消費電力量を必要最小限に減らすようにしたエレベータの運転装置を得る。
【解決手段】建物内に設けられ、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力できる個人用のパソコン3と、パソコンにLAN2等により接続され、パソコンにより入力されたエレベータ利用希望情報を集計するサーバ1と、エレベータの運行を司るとともに、サーバに接続されてエレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込んで、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するエレベータ操作盤4とを備える。
【解決手段】建物内に設けられ、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力できる個人用のパソコン3と、パソコンにLAN2等により接続され、パソコンにより入力されたエレベータ利用希望情報を集計するサーバ1と、エレベータの運行を司るとともに、サーバに接続されてエレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込んで、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するエレベータ操作盤4とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの運転を必要最小限の消費エネルギーに抑えるようにしたエレベータの運転装置及び運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの運転方法は、利用者のニーズにクイックに又合理的に対応するように工夫されている。しかし、近年の地球温暖化の影響により、省エネルギーが世界中で課題となっている今、利便性より省エネルギーが優先すべきであるとの声も上がっている。しかしエレベータの利用は生活に密着しているので、いくら省エネルギーといっても完全に止める訳には行かず、必要最小限の消費の少ない節約運転を行うと共にこの節約運転が利用者の多くから賛同を得られ、末長く継続されることが望まれる。
現在のエレベータは、利用者の利便性に気配りがなされ、例えば利用者が乗場呼びを作るとすぐエレベータが来るようにしている。また団子運転を防ぐ、つまりエレベータを分散させて運転し、いわゆる利用者の長待ちを防ぐため出発階で定められた時間を経過させてから出発させる方法もある。これら無駄を防いだ合理的な運転方法は利用者の利便性を追求したものであるが、必ずしも省エネルギーを追及した訳ではない。
【0003】
【特許文献1】特開平9−227033号公報
【特許文献2】特開2005−200217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記運転方法により、利用者のニーズに沿うようエレベータはクイックに又合理的に対応するが、地球温暖化の影響により、省エネルギーが世界中で課題となっている今、利便性より省エネルギーが優先すべきである。しかしエレベータの利用は生活に影響を与えているので、いくら省エネルギーといっても完全に止める訳には行かない。そこで、必要最小限の消費の少ない節約運転を行うと共にこの節約運転が利用者の多くから賛同を得られ、末永く継続されることが望まれる。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、予め利用者の利用時間を調査し、乗場で待つ利用者人数が、かごとつり合い重りの重量が釣り合う人数になる時刻に、エレベータを配車することによりエレベータの消費電力量を必要最小限に減らすと共に、この節約運転が利用者から賛同を得られて継続できるように、予約利用者が予約無利用者の利用により乗場に取り残された場合はすぐに対応するようにしたエレベータの運転装置及び運転方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータの運転装置は、エレベータのかごと、かご内の利用者の重さを量る秤装置と、かごと巻上機を介してつるべ状につながれたつり合い重りと、巻上機を駆動するモータとを備え、利用人数と消費エネルギーとの関係から必要最小限の消費エネルギーに減らして節約運転を行うようにするエレベータの運転装置であって、建物内に設けられ、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力できる個人用のパソコンと、パソコンにLAN等により接続され、パソコンにより入力されたエレベータ利用希望情報を集計するサーバと、エレベータの運行を司るとともに、サーバに接続されてエレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込んで、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するエレベータ操作盤とを備えたものである。
【0007】
また、エレベータ制御盤は、かご総重量とつり合い重りがアンバランスの場合、利用者を1回運転で運ぶ方が最小エネルギーになるか、利用者を複数回運転に分けて運ぶ方が最小エネルギーになるかを演算した上で、運転計画を決定するものである。
【0008】
また、この発明に係るエレベータの運転方法は、建物内に設けられ個人用のパソコンにより、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力するステップと、パソコンにより入力されたエレベータ利用希望情報をサーバにより集計するステップと、エレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込み、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算し、更に予め定められた時間帯の最終時刻までに出発階に戻れるように、その時間帯における運転回数と出発時刻を決め、各エレベータ利用希望情報に対するエレベータ乗車予想時刻を連絡するステップを備えたものである。
【0009】
また、建物内に設けられ個人用のパソコンにより、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力するステップと、パソコンにより入力されたエレベータ利用希望情報をサーバにより集計するステップと、エレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込み、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するステップと、パソコン予約をしないで乗場釦を手動操作した場合は、省エネルギー運転の協力要請のメッセージを流すステップと、乗場釦の手動呼び登録により積み残しが発生した場合は、即引き返して積み残し対応運転を行う旨のメッセージを流すステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、予め利用者の利用時間を調査し、乗場で待つ利用者人数が、かごと重りの重量が釣り合う人数になる時刻に、エレベータを配車するようにしたのでエレベータの消費電力量を必要最小限に減らすと共に、予約利用者が予約無利用者の利用により乗場に取り残された場合はすぐに対応するようにしたので節約運転が利用者から賛同を得られ継続できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの運転御装置の全体構成を示すシステム構成図、図2〜図5は各個人エレベータ利用情報の表示例を示す図、図6はエレベータ利用情報の集計表を示す図、図7は具体的なエレベータの使用表を示す図、図8はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの運転装置の利用人数とエレベータ消費エネルギーの相関関係を示すグラフ、図9は利用人数によるエレベータ消費エネルギーを示す数表、図10はエレベータの運転装置の利用人数とエレベータ消費エネルギーの相関関係を示す他のグラフ、図11はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの運転装置の動作を説明するためのフローチャート、図12は10分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表、図13は20分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表、図14は40分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表である。
【0012】
図1において、1は建物内に設けられているサーバ、2は建物内に巡らされたLAN、3は各個人用のパソコンで、LAN2によりサーバ1に接続されている。
4はエレベータの制御盤で、エレベータの運行を司るとともに、サーバ1にも接続され、パソコン3にて入力された各々のエレベータ利用希望情報(以下「エレベータ利用情報」という。)とエレベータ利用情報を集計した集計表を読み込んで、予め定められた時間帯の中で最少消費電力量となる運転方法を演算する。制御盤4は、例えば、1階を出発後、最終的に1階に戻る時刻が時間帯の最終時刻までに出発階に戻れるよう、時間帯に於ける運転回数と1階の出発時刻を決め、各エレベータ利用情報に対するエレベータが到着し乗車できる乗車予想時刻を連絡しエレベータを運転させる。
5はエレベータの乗場釦である。前記エレベータ利用情報に対しては制御盤4から自動的に乗場呼びを作るが、エレベータ利用情報を登録せずに直接乗場に来た人は、この乗場釦5を押して乗場呼びを作る。
6はエレベータのかご、7はかご6内の利用者の重さを量る秤装置、8はかご6と巻上機9を介しつるべ状につながれたつり合い重り、10はかご6とつり合い重り8を巻き上げる巻上機9を駆動するモータである。
【0013】
図2は個人エレベータ利用情報の一例を示すもので、10分時間帯(0分0秒〜10分0秒)に1階からエレベータ利用を希望する人がパソコン3で「社員番号」を「12345」、「人数」を「4」、「行先階」を「8」、「乗車階」を「1」、「乗車・降車希望時刻」を「0時03分00秒」と入力し、「利用条件」の欄の「厳守」を選択し、「乗車予想時刻」欄には乗車予想時刻「0時5分40秒」を制御盤4が自動入力した例である。図3は同じく2階からの個人エレベータ利用情報例で、10分時間帯(0分0秒〜10分0秒)に2階からエレベータ利用を希望する人がパソコン3で「社員番号」を「12346」、「人数」を「2」、「行先階」を「3」、「乗車階」を「2」、「乗車・降車希望時刻」を「0時05分00秒」と入力し、「利用条件」の欄の「厳守」を選択し、「乗車予想時刻」欄には乗車予想時刻「0時5分50秒」を制御盤4が自動入力した例である。また、図4は20分時間帯の個人エレベータ利用情報の入力例を示し、図5は30分時間帯の個人エレベータ利用情報の入力例を示すものである。
「人数」欄には利用人数を記入する。「行先階」欄に記入した場合は「乗車・降車希望時刻」欄に降車希望時刻を記入し、「乗車階」欄に記入した場合は「乗車・降車希望時刻」欄に乗車希望時刻を記入する。「利用条件」欄には「厳守」、「自由」区分があり、「厳守」の場合は希望時刻に対し、「乗車予想時刻」を調整する場合、前倒し調整は可能だが、遅らすことは不可である。また「自由」の場合は前倒しも後ろ倒しも可能とする。また「出発階」と「行先階」の内容から利用階床が1階床などの短い区間の場合、前述の「自由」などと同様に時間に拘らない利用として扱う。この利用情報は予め決められた時間が経過すると自動的に削除される。
【0014】
図6は前記エレベータ利用情報の集計表を示す。この集計表は前記エレベータ利用情報が新たに入力される都度集計が更新される。
集計項目は10分間隔で表した「各階のup方向の利用人数」、「down方向の利用人数」である。「定員人数」を15人、「停止階床」を1階〜8階、「1階又は8階からの運転時間」は予め定められている。1階床間は10秒としているが、内訳は走行時間が5秒、扉開閉時間5秒としている。
左から1列目はエレベータ乗場階床名、同じく2列目及び8列目はup運転、down運転の夫々1階又は8階からの運転時間(1階床分約10秒で、計70秒)を示す。上から2行目の10〜50の数字は、10分時間帯(0分〜10分の間)、20分時間帯(10分〜20分の間)、30分時間帯(20分〜30分の間)、40分時間帯(30分〜40分の間)、50分時間帯(40分〜50分の間)を表し、下段には夫々エレベータ利用情報の該当者の人数が記載される。例えば、10分時間帯のup人数は1階から4人が利用、2階から2人が乗り計6人、3階で2人降り計4人が利用することを表している。
【0015】
図7は具体的なエレベータの使用表を示す図であり、定員(容量)=15人で1000kg(1人≒65kg)、かご自重(Mo)=550kg、かご総重量=550kg+利用人数(n)*65kg、重り重量=1000kg、平均走行時間=5秒、バランス人数=7人(1000kg*0.45/65)、速度(V)=150m/分(2.5m/秒)、アンバランス速度=5秒*9.8≒20Vとする。
【0016】
ところで、エレベータのかご6内の利用人数(n)と消費電力量(W)の関係は下記(1)式のように表わせる。但し、機器効率や固定損失などは無視する。
消費工ネルギーW=運動エネルギー+アンバランスエネルギー (1)式
運動エネルギーは、図1において利用者込みのかご総重量とつり合い重り8が定格速度で走行するエネルギーである。交流エレベータの場合、回生運転はしないので加速、減速とも1/2*(M+m)*V2が発生するので*2となる。ここで、M:かご総重量、m:つり合い重り重量、V:速度である。
アンバランスエネルギーは、かご総重量とつり合い重り8の重量差にかかる引力により生ずるエネルギーである。
図6のような条件下における利用人数(n)と消費エネルギー(W)の関係は理論上、下記(2)〜(5)式で表すようになる。
・かご総重量Mがつり合い重り重量mより軽い時のup運転(NLU) 0<n<7
W=1/2*(M+m)*V2*2−1/2*(M−m)*(20V)2
=−80843.75*n+572187.5 (2)式
・かご総重量Mがつり合い重り重量mより重い時のup運転(FLU) 7<n<15
W=1/2*(M+m)*V2*2+1/2*(M−m)*(20V)2
=81656.25*n−552812.5 (3)式
・かご総重量Mがつり合い重り重量mより軽い時のdown運転(NLD) 0<n<7
W=1/2*(M+m)*V2*2+1/2*(M−m)*(20V)2
=−80843.75*n+572187.5 (4)式
・かご総重量Mがつり合い重り重量mより重い時のdown運転(FLD)7<n<15
W=1/2*(M+m)*V2*2−1/2*(M−m)*(20V)2
=81656.25*n−552812.5 (5)式
なお、交流エレベータの場合回生運転はしないので、運動工ネルギーは加速、減速とも1/2*(M+m)*V2が発生するので*2となる。
上記式より、利用人数(n)と消費エネルギー(W)の関係は、図8に示すようなグラフと、図9に示すような数表として表すことができる。又上記数値内容からup運転の場合、同時利用者が11人以上になると、下記のように11人を1度に運ぶより5人と6人に分けて利用する方が省エネルギーとなるので、up運転利用者が11人以上の場合は考えられる全ての運転方法を計算して一番省エネルギーとなる運転計画を選択する必要がある。
・11人のup運転の消費エネルギー345(KN・m)
・(5人のup運転の消費エネルギー)+(6人のup運転の消費エネルギー)=255(KN・m)
・(4人のup運転の消費エネルギー)+(7人のup運転の消費エネルギー)=268(KN・m)
なお、機器効率や空気抵抗などの固定損失を無視しているので、実情の場合との差異は多少ある。
また、同じようにdown運転の場合も12人以上の場合は、6人と6人に分けて利用する方が省エネルギーとなる。
また、図8のup、downのグラフの傾きを極端に示したのが図10であり、upの場合は7人以上の傾きが7人以下より大きく、downの場合はその逆であるので、上記のように運転を2回以上に分けた場合、配分方法により消費エネルギーは異なる。
例えば、14人のup運転の消費エネルギー590(KN・m)を6人+8人に分けると、187(KN・m)となり、5人+9人に分けると、431(KN・m)となり、省エネルギーとなる。
【0017】
次に、エレベータの運転装置の動作を図11に基づいて説明する。
図11はサーバ1内の集計表を読み込んだ制御盤4が、必要最小限の電力量で運転するための運転方法を示したエレベータの動作フローである。これに沿って運転方法を説明する。
まず、10分時間帯の始まり時刻(0分00秒)になると、10分時間帯の運転計画を開始する(ステップS1)。集計表の10分時間帯を図6で見ると、up運転の利用人数は全階11人以下の利用であり、1回での運転が最小消費エネルギーとなるが、down運転の場合は5階からの利用人数が12人となるので、どのような運転が最小消費エネルギーとなるかを、12人の利用情報(図示省略)を詳しく整理し、図12に示すような詳細表で確認する。
図12の詳細表は、該当する利用情報(図示省略)から10分時間帯の利用を、例えば2分間隔に細分し、1回運転の消費エネルギー=2408(KN・m)と、down5階の12人を最小エネルギーに有効な配分と考えられる4分で分け、2回運転した場合の消費量エネルギー=11208(KN・m)を比べ、10分時間帯を1回で運ぶことを選び、2分間の余裕(後述するが出発時の再計算で計画が変わることを考慮)を持たせ、時間帯の最終時刻の2分前である8分00秒迄に1階に戻ってくるように、8分00秒の140秒前に1階を出発させる計画で、各エレベータ利用情報への乗車予想時刻を連絡する(ステップS2)。
出発計画時刻(5分40秒)になると、更新されたエレベータ利用情報と集計表を見直し、計画通り1回の運転でエレベータ利用情報全部を運べる場合(ステップS3)は、各エレベータ利用情報の乗場呼びを自動登録して、エレベータを出発させる(ステップS4)。ここで、もしエレベータ利用情報が追加され、定員以上の利用者が出た場合や、複数回運転の方が最小消費エネルギーになる場合は、運転回数、最小消費エネルギーになる利用の配分等を考慮した、出発時刻と各エレベータ利用情報階の到着時刻を計算し直し、各エレベータ利用情報への乗車予想時刻を連絡し直し、各エレベータ利用情報の乗場呼びを自動登録して、エレベータを出発させる(ステップS5)。
【0018】
次に図6の20分時間帯を見るとup運転で11人以上、down運転で12人以上の利用人数になるので、該当するエレベータ利用情報(図4)を基に作成された図13の詳細表で整理すると、4分又は6分で区切ると図13のとおり、1回運転より2回運転の方が消費エネルギーが低くなるので4分で分けるように計画する。
【0019】
また、30分時間帯の利用者は、図5に示すように「利用条件」は「自由」、また利用階床も1階床又は2階床であり、利用時刻は希望通りで無くても良く、図6で40分台の時間帯を見るとup運転は定員15を超えているので、40分時間帯に2回の運転が必要なことから、まず30分台の時間帯希望に対する運転は行わず、40分台に繰り込む。
40分時間帯は同様に図14の詳細表のとおり、6分で分けた2回運転が最小消費エネルギーとなることが判る。
【0020】
実施の形態2.
図15はこの発明の実施の形態2におけるエレベータの運転装置の動作を説明するためのフローチャートである。
建物内の人或いは外部の人が、利用希望を提示せず(パソコン3で予約しないで)に乗場釦5を手動で操作した場合について、図15により説明する。
図15のステップS11で建物内の人或いは外部の人が、利用希望を提示せず(パソコン3で予約しないで)に乗場釦5を手動で操作した場合は、予約制による省エネルギー運転の協力要請のメッセージ1を流し、秤装置7で計測したかご6内人数と集計した人数との差異を確認し記録する(ステップS12)。手動で呼び登録された階に来て、秤装置7がオーバーロードを検知し積み残しがでたとき(ステップS13)は、即引き返して積み残し対応運転を行う旨のメッセージ2を流し、全呼びが無くなった時点で即反転して積み残し対応運転を行う(ステップS14)。これにより、省エネルギー運転の協力要請に応じて乗場に取り残された人達に対する配慮を通じて継続性の確保を目的としたものである。なお、ステップS13で手動により呼び登録された階に来ても、秤装置7がオーバーロードを検知しなければ、計画通り運転する(ステップS15)。
又、ステップS11で手動による呼び登録が無くても、秤装置7がオーバーロードを検知し積み残しがでたとき(ステップS16)は、前記メッセージ1と前記メッセージ2を流し、同じく全呼びが無くなった時点で即反転して積み残し対応運転を行う(ステップS17)。
なお、マルチカー(複数台群管理運転)の場合も同様の考え方で、例えば20分、40分時間帯のような状況では2台が連携して運転すると、省エネルギーも乗客の待ち時間も具合が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1におけるエレベータの運転御装置の全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】各個人エレベータ利用情報の表示例を示す図である。
【図3】各個人エレベータ利用情報の表示例を示す図である。
【図4】各個人エレベータ利用情報の表示例を示す図である。
【図5】各個人エレベータ利用情報の表示例を示す図である。
【図6】エレベータ利用情報の集計表を示す図である。
【図7】具体的なエレベータの使用表を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1におけるエレベータの運転装置の利用人数とエレベータ消費エネルギーの相関関係を示すグラフである。
【図9】利用人数によるエレベータ消費エネルギーを示す数表である。
【図10】エレベータの運転装置の利用人数とエレベータ消費エネルギーの相関関係を示す他のグラフである。
【図11】この発明の実施の形態1におけるエレベータの運転装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】10分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表である。
【図13】20分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表である。
【図14】40分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表である。
【図15】この発明の実施の形態2におけるエレベータの運転装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1 サーバ
2 LAN
3 パソコン
4 エレベータの制御盤
5 乗場釦
6 エレベータのかご
7 秤装置
8 つり合い重り
9 巻上機
10 モータ
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータの運転を必要最小限の消費エネルギーに抑えるようにしたエレベータの運転装置及び運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの運転方法は、利用者のニーズにクイックに又合理的に対応するように工夫されている。しかし、近年の地球温暖化の影響により、省エネルギーが世界中で課題となっている今、利便性より省エネルギーが優先すべきであるとの声も上がっている。しかしエレベータの利用は生活に密着しているので、いくら省エネルギーといっても完全に止める訳には行かず、必要最小限の消費の少ない節約運転を行うと共にこの節約運転が利用者の多くから賛同を得られ、末長く継続されることが望まれる。
現在のエレベータは、利用者の利便性に気配りがなされ、例えば利用者が乗場呼びを作るとすぐエレベータが来るようにしている。また団子運転を防ぐ、つまりエレベータを分散させて運転し、いわゆる利用者の長待ちを防ぐため出発階で定められた時間を経過させてから出発させる方法もある。これら無駄を防いだ合理的な運転方法は利用者の利便性を追求したものであるが、必ずしも省エネルギーを追及した訳ではない。
【0003】
【特許文献1】特開平9−227033号公報
【特許文献2】特開2005−200217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記運転方法により、利用者のニーズに沿うようエレベータはクイックに又合理的に対応するが、地球温暖化の影響により、省エネルギーが世界中で課題となっている今、利便性より省エネルギーが優先すべきである。しかしエレベータの利用は生活に影響を与えているので、いくら省エネルギーといっても完全に止める訳には行かない。そこで、必要最小限の消費の少ない節約運転を行うと共にこの節約運転が利用者の多くから賛同を得られ、末永く継続されることが望まれる。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、予め利用者の利用時間を調査し、乗場で待つ利用者人数が、かごとつり合い重りの重量が釣り合う人数になる時刻に、エレベータを配車することによりエレベータの消費電力量を必要最小限に減らすと共に、この節約運転が利用者から賛同を得られて継続できるように、予約利用者が予約無利用者の利用により乗場に取り残された場合はすぐに対応するようにしたエレベータの運転装置及び運転方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベータの運転装置は、エレベータのかごと、かご内の利用者の重さを量る秤装置と、かごと巻上機を介してつるべ状につながれたつり合い重りと、巻上機を駆動するモータとを備え、利用人数と消費エネルギーとの関係から必要最小限の消費エネルギーに減らして節約運転を行うようにするエレベータの運転装置であって、建物内に設けられ、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力できる個人用のパソコンと、パソコンにLAN等により接続され、パソコンにより入力されたエレベータ利用希望情報を集計するサーバと、エレベータの運行を司るとともに、サーバに接続されてエレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込んで、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するエレベータ操作盤とを備えたものである。
【0007】
また、エレベータ制御盤は、かご総重量とつり合い重りがアンバランスの場合、利用者を1回運転で運ぶ方が最小エネルギーになるか、利用者を複数回運転に分けて運ぶ方が最小エネルギーになるかを演算した上で、運転計画を決定するものである。
【0008】
また、この発明に係るエレベータの運転方法は、建物内に設けられ個人用のパソコンにより、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力するステップと、パソコンにより入力されたエレベータ利用希望情報をサーバにより集計するステップと、エレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込み、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算し、更に予め定められた時間帯の最終時刻までに出発階に戻れるように、その時間帯における運転回数と出発時刻を決め、各エレベータ利用希望情報に対するエレベータ乗車予想時刻を連絡するステップを備えたものである。
【0009】
また、建物内に設けられ個人用のパソコンにより、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力するステップと、パソコンにより入力されたエレベータ利用希望情報をサーバにより集計するステップと、エレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込み、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するステップと、パソコン予約をしないで乗場釦を手動操作した場合は、省エネルギー運転の協力要請のメッセージを流すステップと、乗場釦の手動呼び登録により積み残しが発生した場合は、即引き返して積み残し対応運転を行う旨のメッセージを流すステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、予め利用者の利用時間を調査し、乗場で待つ利用者人数が、かごと重りの重量が釣り合う人数になる時刻に、エレベータを配車するようにしたのでエレベータの消費電力量を必要最小限に減らすと共に、予約利用者が予約無利用者の利用により乗場に取り残された場合はすぐに対応するようにしたので節約運転が利用者から賛同を得られ継続できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの運転御装置の全体構成を示すシステム構成図、図2〜図5は各個人エレベータ利用情報の表示例を示す図、図6はエレベータ利用情報の集計表を示す図、図7は具体的なエレベータの使用表を示す図、図8はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの運転装置の利用人数とエレベータ消費エネルギーの相関関係を示すグラフ、図9は利用人数によるエレベータ消費エネルギーを示す数表、図10はエレベータの運転装置の利用人数とエレベータ消費エネルギーの相関関係を示す他のグラフ、図11はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの運転装置の動作を説明するためのフローチャート、図12は10分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表、図13は20分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表、図14は40分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表である。
【0012】
図1において、1は建物内に設けられているサーバ、2は建物内に巡らされたLAN、3は各個人用のパソコンで、LAN2によりサーバ1に接続されている。
4はエレベータの制御盤で、エレベータの運行を司るとともに、サーバ1にも接続され、パソコン3にて入力された各々のエレベータ利用希望情報(以下「エレベータ利用情報」という。)とエレベータ利用情報を集計した集計表を読み込んで、予め定められた時間帯の中で最少消費電力量となる運転方法を演算する。制御盤4は、例えば、1階を出発後、最終的に1階に戻る時刻が時間帯の最終時刻までに出発階に戻れるよう、時間帯に於ける運転回数と1階の出発時刻を決め、各エレベータ利用情報に対するエレベータが到着し乗車できる乗車予想時刻を連絡しエレベータを運転させる。
5はエレベータの乗場釦である。前記エレベータ利用情報に対しては制御盤4から自動的に乗場呼びを作るが、エレベータ利用情報を登録せずに直接乗場に来た人は、この乗場釦5を押して乗場呼びを作る。
6はエレベータのかご、7はかご6内の利用者の重さを量る秤装置、8はかご6と巻上機9を介しつるべ状につながれたつり合い重り、10はかご6とつり合い重り8を巻き上げる巻上機9を駆動するモータである。
【0013】
図2は個人エレベータ利用情報の一例を示すもので、10分時間帯(0分0秒〜10分0秒)に1階からエレベータ利用を希望する人がパソコン3で「社員番号」を「12345」、「人数」を「4」、「行先階」を「8」、「乗車階」を「1」、「乗車・降車希望時刻」を「0時03分00秒」と入力し、「利用条件」の欄の「厳守」を選択し、「乗車予想時刻」欄には乗車予想時刻「0時5分40秒」を制御盤4が自動入力した例である。図3は同じく2階からの個人エレベータ利用情報例で、10分時間帯(0分0秒〜10分0秒)に2階からエレベータ利用を希望する人がパソコン3で「社員番号」を「12346」、「人数」を「2」、「行先階」を「3」、「乗車階」を「2」、「乗車・降車希望時刻」を「0時05分00秒」と入力し、「利用条件」の欄の「厳守」を選択し、「乗車予想時刻」欄には乗車予想時刻「0時5分50秒」を制御盤4が自動入力した例である。また、図4は20分時間帯の個人エレベータ利用情報の入力例を示し、図5は30分時間帯の個人エレベータ利用情報の入力例を示すものである。
「人数」欄には利用人数を記入する。「行先階」欄に記入した場合は「乗車・降車希望時刻」欄に降車希望時刻を記入し、「乗車階」欄に記入した場合は「乗車・降車希望時刻」欄に乗車希望時刻を記入する。「利用条件」欄には「厳守」、「自由」区分があり、「厳守」の場合は希望時刻に対し、「乗車予想時刻」を調整する場合、前倒し調整は可能だが、遅らすことは不可である。また「自由」の場合は前倒しも後ろ倒しも可能とする。また「出発階」と「行先階」の内容から利用階床が1階床などの短い区間の場合、前述の「自由」などと同様に時間に拘らない利用として扱う。この利用情報は予め決められた時間が経過すると自動的に削除される。
【0014】
図6は前記エレベータ利用情報の集計表を示す。この集計表は前記エレベータ利用情報が新たに入力される都度集計が更新される。
集計項目は10分間隔で表した「各階のup方向の利用人数」、「down方向の利用人数」である。「定員人数」を15人、「停止階床」を1階〜8階、「1階又は8階からの運転時間」は予め定められている。1階床間は10秒としているが、内訳は走行時間が5秒、扉開閉時間5秒としている。
左から1列目はエレベータ乗場階床名、同じく2列目及び8列目はup運転、down運転の夫々1階又は8階からの運転時間(1階床分約10秒で、計70秒)を示す。上から2行目の10〜50の数字は、10分時間帯(0分〜10分の間)、20分時間帯(10分〜20分の間)、30分時間帯(20分〜30分の間)、40分時間帯(30分〜40分の間)、50分時間帯(40分〜50分の間)を表し、下段には夫々エレベータ利用情報の該当者の人数が記載される。例えば、10分時間帯のup人数は1階から4人が利用、2階から2人が乗り計6人、3階で2人降り計4人が利用することを表している。
【0015】
図7は具体的なエレベータの使用表を示す図であり、定員(容量)=15人で1000kg(1人≒65kg)、かご自重(Mo)=550kg、かご総重量=550kg+利用人数(n)*65kg、重り重量=1000kg、平均走行時間=5秒、バランス人数=7人(1000kg*0.45/65)、速度(V)=150m/分(2.5m/秒)、アンバランス速度=5秒*9.8≒20Vとする。
【0016】
ところで、エレベータのかご6内の利用人数(n)と消費電力量(W)の関係は下記(1)式のように表わせる。但し、機器効率や固定損失などは無視する。
消費工ネルギーW=運動エネルギー+アンバランスエネルギー (1)式
運動エネルギーは、図1において利用者込みのかご総重量とつり合い重り8が定格速度で走行するエネルギーである。交流エレベータの場合、回生運転はしないので加速、減速とも1/2*(M+m)*V2が発生するので*2となる。ここで、M:かご総重量、m:つり合い重り重量、V:速度である。
アンバランスエネルギーは、かご総重量とつり合い重り8の重量差にかかる引力により生ずるエネルギーである。
図6のような条件下における利用人数(n)と消費エネルギー(W)の関係は理論上、下記(2)〜(5)式で表すようになる。
・かご総重量Mがつり合い重り重量mより軽い時のup運転(NLU) 0<n<7
W=1/2*(M+m)*V2*2−1/2*(M−m)*(20V)2
=−80843.75*n+572187.5 (2)式
・かご総重量Mがつり合い重り重量mより重い時のup運転(FLU) 7<n<15
W=1/2*(M+m)*V2*2+1/2*(M−m)*(20V)2
=81656.25*n−552812.5 (3)式
・かご総重量Mがつり合い重り重量mより軽い時のdown運転(NLD) 0<n<7
W=1/2*(M+m)*V2*2+1/2*(M−m)*(20V)2
=−80843.75*n+572187.5 (4)式
・かご総重量Mがつり合い重り重量mより重い時のdown運転(FLD)7<n<15
W=1/2*(M+m)*V2*2−1/2*(M−m)*(20V)2
=81656.25*n−552812.5 (5)式
なお、交流エレベータの場合回生運転はしないので、運動工ネルギーは加速、減速とも1/2*(M+m)*V2が発生するので*2となる。
上記式より、利用人数(n)と消費エネルギー(W)の関係は、図8に示すようなグラフと、図9に示すような数表として表すことができる。又上記数値内容からup運転の場合、同時利用者が11人以上になると、下記のように11人を1度に運ぶより5人と6人に分けて利用する方が省エネルギーとなるので、up運転利用者が11人以上の場合は考えられる全ての運転方法を計算して一番省エネルギーとなる運転計画を選択する必要がある。
・11人のup運転の消費エネルギー345(KN・m)
・(5人のup運転の消費エネルギー)+(6人のup運転の消費エネルギー)=255(KN・m)
・(4人のup運転の消費エネルギー)+(7人のup運転の消費エネルギー)=268(KN・m)
なお、機器効率や空気抵抗などの固定損失を無視しているので、実情の場合との差異は多少ある。
また、同じようにdown運転の場合も12人以上の場合は、6人と6人に分けて利用する方が省エネルギーとなる。
また、図8のup、downのグラフの傾きを極端に示したのが図10であり、upの場合は7人以上の傾きが7人以下より大きく、downの場合はその逆であるので、上記のように運転を2回以上に分けた場合、配分方法により消費エネルギーは異なる。
例えば、14人のup運転の消費エネルギー590(KN・m)を6人+8人に分けると、187(KN・m)となり、5人+9人に分けると、431(KN・m)となり、省エネルギーとなる。
【0017】
次に、エレベータの運転装置の動作を図11に基づいて説明する。
図11はサーバ1内の集計表を読み込んだ制御盤4が、必要最小限の電力量で運転するための運転方法を示したエレベータの動作フローである。これに沿って運転方法を説明する。
まず、10分時間帯の始まり時刻(0分00秒)になると、10分時間帯の運転計画を開始する(ステップS1)。集計表の10分時間帯を図6で見ると、up運転の利用人数は全階11人以下の利用であり、1回での運転が最小消費エネルギーとなるが、down運転の場合は5階からの利用人数が12人となるので、どのような運転が最小消費エネルギーとなるかを、12人の利用情報(図示省略)を詳しく整理し、図12に示すような詳細表で確認する。
図12の詳細表は、該当する利用情報(図示省略)から10分時間帯の利用を、例えば2分間隔に細分し、1回運転の消費エネルギー=2408(KN・m)と、down5階の12人を最小エネルギーに有効な配分と考えられる4分で分け、2回運転した場合の消費量エネルギー=11208(KN・m)を比べ、10分時間帯を1回で運ぶことを選び、2分間の余裕(後述するが出発時の再計算で計画が変わることを考慮)を持たせ、時間帯の最終時刻の2分前である8分00秒迄に1階に戻ってくるように、8分00秒の140秒前に1階を出発させる計画で、各エレベータ利用情報への乗車予想時刻を連絡する(ステップS2)。
出発計画時刻(5分40秒)になると、更新されたエレベータ利用情報と集計表を見直し、計画通り1回の運転でエレベータ利用情報全部を運べる場合(ステップS3)は、各エレベータ利用情報の乗場呼びを自動登録して、エレベータを出発させる(ステップS4)。ここで、もしエレベータ利用情報が追加され、定員以上の利用者が出た場合や、複数回運転の方が最小消費エネルギーになる場合は、運転回数、最小消費エネルギーになる利用の配分等を考慮した、出発時刻と各エレベータ利用情報階の到着時刻を計算し直し、各エレベータ利用情報への乗車予想時刻を連絡し直し、各エレベータ利用情報の乗場呼びを自動登録して、エレベータを出発させる(ステップS5)。
【0018】
次に図6の20分時間帯を見るとup運転で11人以上、down運転で12人以上の利用人数になるので、該当するエレベータ利用情報(図4)を基に作成された図13の詳細表で整理すると、4分又は6分で区切ると図13のとおり、1回運転より2回運転の方が消費エネルギーが低くなるので4分で分けるように計画する。
【0019】
また、30分時間帯の利用者は、図5に示すように「利用条件」は「自由」、また利用階床も1階床又は2階床であり、利用時刻は希望通りで無くても良く、図6で40分台の時間帯を見るとup運転は定員15を超えているので、40分時間帯に2回の運転が必要なことから、まず30分台の時間帯希望に対する運転は行わず、40分台に繰り込む。
40分時間帯は同様に図14の詳細表のとおり、6分で分けた2回運転が最小消費エネルギーとなることが判る。
【0020】
実施の形態2.
図15はこの発明の実施の形態2におけるエレベータの運転装置の動作を説明するためのフローチャートである。
建物内の人或いは外部の人が、利用希望を提示せず(パソコン3で予約しないで)に乗場釦5を手動で操作した場合について、図15により説明する。
図15のステップS11で建物内の人或いは外部の人が、利用希望を提示せず(パソコン3で予約しないで)に乗場釦5を手動で操作した場合は、予約制による省エネルギー運転の協力要請のメッセージ1を流し、秤装置7で計測したかご6内人数と集計した人数との差異を確認し記録する(ステップS12)。手動で呼び登録された階に来て、秤装置7がオーバーロードを検知し積み残しがでたとき(ステップS13)は、即引き返して積み残し対応運転を行う旨のメッセージ2を流し、全呼びが無くなった時点で即反転して積み残し対応運転を行う(ステップS14)。これにより、省エネルギー運転の協力要請に応じて乗場に取り残された人達に対する配慮を通じて継続性の確保を目的としたものである。なお、ステップS13で手動により呼び登録された階に来ても、秤装置7がオーバーロードを検知しなければ、計画通り運転する(ステップS15)。
又、ステップS11で手動による呼び登録が無くても、秤装置7がオーバーロードを検知し積み残しがでたとき(ステップS16)は、前記メッセージ1と前記メッセージ2を流し、同じく全呼びが無くなった時点で即反転して積み残し対応運転を行う(ステップS17)。
なお、マルチカー(複数台群管理運転)の場合も同様の考え方で、例えば20分、40分時間帯のような状況では2台が連携して運転すると、省エネルギーも乗客の待ち時間も具合が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1におけるエレベータの運転御装置の全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】各個人エレベータ利用情報の表示例を示す図である。
【図3】各個人エレベータ利用情報の表示例を示す図である。
【図4】各個人エレベータ利用情報の表示例を示す図である。
【図5】各個人エレベータ利用情報の表示例を示す図である。
【図6】エレベータ利用情報の集計表を示す図である。
【図7】具体的なエレベータの使用表を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1におけるエレベータの運転装置の利用人数とエレベータ消費エネルギーの相関関係を示すグラフである。
【図9】利用人数によるエレベータ消費エネルギーを示す数表である。
【図10】エレベータの運転装置の利用人数とエレベータ消費エネルギーの相関関係を示す他のグラフである。
【図11】この発明の実施の形態1におけるエレベータの運転装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】10分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表である。
【図13】20分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表である。
【図14】40分時間帯のエレベータ利用情報の詳細表である。
【図15】この発明の実施の形態2におけるエレベータの運転装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1 サーバ
2 LAN
3 パソコン
4 エレベータの制御盤
5 乗場釦
6 エレベータのかご
7 秤装置
8 つり合い重り
9 巻上機
10 モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかごと、かご内の利用者の重さを量る秤装置と、かごと巻上機を介してつるべ状につながれたつり合い重りと、巻上機を駆動するモータとを備え、利用人数と消費エネルギーとの関係から必要最小限の消費エネルギーに減らして節約運転を行うようにするエレベータの運転装置であって、
建物内に設けられ、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力できる個人用のパソコンと、
前記パソコンにLAN等により接続され、前記パソコンにより入力された前記エレベータ利用希望情報を集計するサーバと、
エレベータの運行を司るとともに、前記サーバに接続されてエレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込んで、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するエレベータ操作盤と、
を備えたことを特徴とするエレベータの運転装置。
【請求項2】
エレベータ制御盤は、予め定められた時間帯の最終時刻までに出発階に戻れるように、その時間帯における運転回数と出発時刻を決め、各エレベータ利用希望情報に対するエレベータ乗車予想時刻を連絡することを特徴とする請求項1記載のエレベータの運転装置。
【請求項3】
エレベータ制御盤は、かご総重量とつり合い重りがアンバランスの場合、利用者を1回運転で運ぶ方が最小エネルギーになるか、利用者を複数回運転に分けて運ぶ方が最小エネルギーになるかを演算した上で、運転計画を決定することを特徴とする請求項1記載のエレベータの運転装置。
【請求項4】
エレベータのかごと、かご内の利用者の重さを量る秤装置と、かごと巻上機を介してつるべ状につながれたつり合い重りと、巻上機を駆動するモータとを備え、利用人数と消費エネルギーとの関係から必要最小限の消費エネルギーに減らして節約運転を行うようにするエレベータの運転方法であって、
建物内に設けられ個人用のパソコンにより、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力するステップと、
前記パソコンにより入力された前記エレベータ利用希望情報をサーバにより集計するステップと、
前記エレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込み、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するステップと、
を備えたことを特徴とするエレベータの運転方法。
【請求項5】
エレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込み、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算し、更に予め定められた時間帯の最終時刻までに出発階に戻れるように、その時間帯における運転回数と出発時刻を決め、各エレベータ利用希望情報に対するエレベータ乗車予想時刻を連絡するステップを備えたことを特徴とする請求項4記載のエレベータの運転方法。
【請求項6】
エレベータのかごと、かご内の利用者の重さを量る秤装置と、かごと巻上機を介してつるべ状につながれたつり合い重りと、巻上機を駆動するモータとを備え、利用人数と消費エネルギーとの関係から必要最小限の消費エネルギーに減らして節約運転を行うようにするエレベータの運転方法であって、
建物内に設けられ個人用のパソコンにより、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力するステップと、
前記パソコンにより入力された前記エレベータ利用希望情報をサーバにより集計するステップと、
前記エレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込み、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するステップと、
前記パソコン予約をしないで乗場釦を手動操作した場合は、省エネルギー運転の協力要請のメッセージを流すステップと、
前記乗場釦の手動呼び登録により積み残しが発生した場合は、即引き返して積み残し対応運転を行う旨のメッセージを流すステップと、
を備えたことを特徴とするエレベータの運転方法。
【請求項1】
エレベータのかごと、かご内の利用者の重さを量る秤装置と、かごと巻上機を介してつるべ状につながれたつり合い重りと、巻上機を駆動するモータとを備え、利用人数と消費エネルギーとの関係から必要最小限の消費エネルギーに減らして節約運転を行うようにするエレベータの運転装置であって、
建物内に設けられ、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力できる個人用のパソコンと、
前記パソコンにLAN等により接続され、前記パソコンにより入力された前記エレベータ利用希望情報を集計するサーバと、
エレベータの運行を司るとともに、前記サーバに接続されてエレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込んで、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するエレベータ操作盤と、
を備えたことを特徴とするエレベータの運転装置。
【請求項2】
エレベータ制御盤は、予め定められた時間帯の最終時刻までに出発階に戻れるように、その時間帯における運転回数と出発時刻を決め、各エレベータ利用希望情報に対するエレベータ乗車予想時刻を連絡することを特徴とする請求項1記載のエレベータの運転装置。
【請求項3】
エレベータ制御盤は、かご総重量とつり合い重りがアンバランスの場合、利用者を1回運転で運ぶ方が最小エネルギーになるか、利用者を複数回運転に分けて運ぶ方が最小エネルギーになるかを演算した上で、運転計画を決定することを特徴とする請求項1記載のエレベータの運転装置。
【請求項4】
エレベータのかごと、かご内の利用者の重さを量る秤装置と、かごと巻上機を介してつるべ状につながれたつり合い重りと、巻上機を駆動するモータとを備え、利用人数と消費エネルギーとの関係から必要最小限の消費エネルギーに減らして節約運転を行うようにするエレベータの運転方法であって、
建物内に設けられ個人用のパソコンにより、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力するステップと、
前記パソコンにより入力された前記エレベータ利用希望情報をサーバにより集計するステップと、
前記エレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込み、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するステップと、
を備えたことを特徴とするエレベータの運転方法。
【請求項5】
エレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込み、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算し、更に予め定められた時間帯の最終時刻までに出発階に戻れるように、その時間帯における運転回数と出発時刻を決め、各エレベータ利用希望情報に対するエレベータ乗車予想時刻を連絡するステップを備えたことを特徴とする請求項4記載のエレベータの運転方法。
【請求項6】
エレベータのかごと、かご内の利用者の重さを量る秤装置と、かごと巻上機を介してつるべ状につながれたつり合い重りと、巻上機を駆動するモータとを備え、利用人数と消費エネルギーとの関係から必要最小限の消費エネルギーに減らして節約運転を行うようにするエレベータの運転方法であって、
建物内に設けられ個人用のパソコンにより、利用人数、行先階、乗車階、希望時刻等のエレベータ利用希望情報を入力するステップと、
前記パソコンにより入力された前記エレベータ利用希望情報をサーバにより集計するステップと、
前記エレベータ利用希望情報を集計した集計表を読み込み、予め定められた時間帯の中で最小消費エネルギーとなる運転計画を演算するステップと、
前記パソコン予約をしないで乗場釦を手動操作した場合は、省エネルギー運転の協力要請のメッセージを流すステップと、
前記乗場釦の手動呼び登録により積み残しが発生した場合は、即引き返して積み残し対応運転を行う旨のメッセージを流すステップと、
を備えたことを特徴とするエレベータの運転方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−143687(P2009−143687A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323184(P2007−323184)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]