説明

エレベータシステム

【課題】列車のドアに連動させてエレベータを運転して、列車に乗り降りする人をスムーズに運ぶ。
【解決手段】本実施形態のエレベータシステムは、列車4が停車する駅のホーム階10において、列車4の乗降口から直接乗り降りできるように設置されたエレベータ1と、列車4が駅に到着した際に、列車ドア5とエレベータ1のドア3bとが対向する位置に停車したことを検出する列車位置検出受光器6と、列車4のドアの開閉を検出するドア開閉判断受光器7と、列車位置検出受光器6およびドア開閉判断受光器7の検出結果に基づいてエレベータ1の運転を制御するエレベータ制御装置8とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、列車が停車する駅のホーム階に設けられたエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車が停車する駅において、駅のホーム階と改札階とを結ぶエレベータシステムがあり、特にお年寄りや車椅子の人など、歩行困難な人に利用されている。しかし、駅のホームが混雑していると、列車から降りてエレベータ(乗りかご)の乗降口までの移動が大変であり、途中で転倒することもある。エレベータから降りて列車の乗降口まで移動するときも同様である。
【0003】
そこで、駅のホームにおいて、列車のドアに近接させてエレベータを設置しておき、列車とエレベータとの間の移動をスムーズにしたシステムが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−31162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記システムでは、列車のドアに連動させてエレベータを運転制御するものではないため、列車の到着時にエレベータ待ちの人でホームが混雑してしまう可能性があり、人混みでホームから落下してしまう危険性もある。
【0006】
そこで、列車のドアに連動させてエレベータを運転して、列車に乗り降りする人をスムーズに運ぶことのできるエレベータシステムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によれば、列車が停車する駅のホーム階において、上記列車の乗降口から直接乗り降りできるように設置されたエレベータと、上記列車が駅に到着した際に、上記列車のドアと上記エレベータのドアとが対向する位置に停車したことを検出する位置検出手段と、上記列車のドアの開閉を検出するドア開閉検出手段と、上記位置検出手段および上記ドア開閉検出手段の検出結果に基づいて上記エレベータの運転を制御する制御手段とを具備したエレベータシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は第1の実施形態に係る駅のホームに設置されたエレベータシステムの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は同実施形態におけるエレベータと列車との関係を模式的に示した図である。
【図3】図3は同実施形態におけるエレベータ側ドアに設けられた受光器と列車側ドアに設けられた送光器との関係を示す図である。
【図4】図4は同実施形態におけるエレベータシステムの制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は同実施形態におけるエレベータ制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は第2の実施形態におけるエレベータと列車との関係を模式的に示した図である。
【図7】図7は同実施形態における表示装置に表示される乗車禁止のメッセージの一例を示す図である。
【図8】図8は同実施形態における表示装置に表示される乗車許可のメッセージの一例を示す図である。
【図9】図9は同実施形態におけるエレベータシステムの制御系の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は同実施形態におけるエレベータ制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は第3の実施形態におけるエレベータと列車との関係を模式的に示した図である。
【図12】図12は同実施形態におけるエレベータ制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図13】図13は第4の実施形態におけるエレベータと列車との関係を模式的に示した図である。
【図14】図14は同実施形態におけるエレベータシステムの制御系の構成を示すブロック図である。
【図15】図15は同実施形態におけるエレベータ制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る駅のホームに設置されたエレベータシステムの全体構成を示す斜視図である。なお、ここでは、例えば新幹線の始発駅などのように、列車が駅のホームにて所定の時間停車する駅を想定している。
【0011】
また、図2はエレベータと列車との関係を模式的に示した図、図3はエレベータ側ドアに設けられた受光器と列車側ドアに設けられた送光器との関係を示す図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、駅の改札階9とホーム階10との間にエレベータ1の昇降路1aが設置されている。なお、図1の例では、改札階9が上の階、ホーム階10が下の階にあるが、逆の場合であっても良い。また、巻上機やロープなどの駆動機構については省略してある。
【0013】
エレベータ1の昇降路1a内には、列車4を利用する人たちを乗せる乗りかご2が昇降自在に設けられている。この乗りかご2は、2つのかごドア2a,2bを有する。かごドア2aは駅の改札階9に設けられた改札側ドア3aと係合して開閉し、かごドア2bはホーム階10に設けられたホーム側ドア3bと係合して開閉する。
【0014】
また、昇降路1a内の最上部には、小型のエレベータ制御装置8が設置されており、乗りかご2の昇降制御、かごドア2a,2bの開閉制御などを含むエレベータ全体の制御を行っている。
【0015】
ここで、本実施形態において、エレベータ1は、列車4から降りた人あるいは列車4に乗る人がスムーズに移動できるように、列車4から直接乗降できるように列車ドア5に近接して設けられている。なお、図1の例では、エレベータ1が1台しか図示されていないが、列車4の車両毎に複数台のエレベータ1が設置されていても良い。
【0016】
図3に示すように、エレベータ1と対向する列車ドア5の上部には、エレベータ1のホーム側ドア3bに向けて投光器12が設置されている。一方、エレベータ1のホーム側ドア3bの上部には、列車位置検出受光器6とドア開閉検出受光器7がそれぞれに列車ドア5に向けて設置されている。
【0017】
列車位置検出受光器6は、列車4が駅に到着した際に、列車ドア5がエレベータ1のホーム側ドア3bと対向する位置に停車したことを検出するためのものである。ドア開閉検出受光器7は、列車ドアの開閉を検出するためのものである。
【0018】
投光器12から発せられた光が列車位置検出受光器6にて受光されたら、列車4がエレベータ1(乗りかご2)に直接乗り降りできる位置に停車していることを意味する。列車ドア5が開くと、それに伴い投光器12も移動し、列車ドア5が全開した位置でドア開閉検出受光器7と対向する。そして、ドア開閉検出受光器7が投光器12の光を検知すると、列車ドア5が開いたとみなされ、エレベータ1の運転が開始される。つまり、エレベータ1は列車ドア5の戸開動作に連動して運転を開始する。
【0019】
また、列車ドア5が閉じたら、投光器12の光はドア開閉検出受光器7から外れる。投光器12の光がドア開閉検出受光器7から外れると、列車ドア5が閉じたとみなされ、エレベータ1の運転が停止する。つまり、エレベータ1は列車ドア5の戸閉動作に連動して運転を停止する。
【0020】
図4は同実施形態におけるエレベータシステムの制御系の構成を示すブロック図である。
【0021】
本実施形態におけるエレベータシステムは、投光器12、列車位置検出受光器6、ドア開閉検出受光器7、投光器12、エレベータ制御装置8を備える。
【0022】
上述したように、投光器12は、列車ドア5の上部に設置されており、列車4が駅ホームに到着した際に、エレベータ1のホーム側ドア3bに向けて発光する。列車位置検出受光器6およびドア開閉検出受光器7は、エレベータ1のホーム側ドア3bの上部に設置されており、投光器12の光を受光する。図3に示したように、列車位置検出受光器6は列車4の停止位置、ドア開閉検出受光器7は列車ドア5が全開した位置に合わせて設置されている。
【0023】
エレベータ制御装置8は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータからなり、列車位置検出受光器6の検出信号とドア開閉検出受光器7の検出信号に基づいて、ドア開閉制御を含むエレベータ1の運転制御を行う。
【0024】
次に、エレベータ制御装置8の処理動作について詳しく説明する。
なお、以下の各フローチャートで示される処理は、コンピュータであるエレベータ制御装置8が所定のプログラムを読み込むことにより実行される。また、理解を容易にするため、列車4の動きを点線で示している。
【0025】
図5は同実施形態におけるエレベータ制御装置8の処理動作を示すフローチャートである。
【0026】
まず、エレベータ制御装置8は、エレベータ1の乗りかご2を駅ホーム階10に待機させておく(ステップS1−1)。この状態で、列車4が駅に到着し(ステップS1−2)、列車ドア5に取り付けられている投光器12の光を列車位置検出受光器6が検知してONすると(ステップS1−3のYes)、エレベータ制御装置8は、そのときの列車位置検出受光器6の検知信号に基づいて、列車4が駅のホーム階10の定位置に停車したものと判断する。
【0027】
そして、列車ドア5が開き(ステップS1−4)、投光器12の光をドア開閉検出受光器7が検知してONすると(ステップS1−5のYes)、エレベータ制御装置8は、そのときのドア開閉検出受光器7の検知信号に基づいて、列車ドア5が全開したものと判断して、エレベータ1の運転を開始する(ステップS1−6)。これにより、当駅で列車4から降りる人は、乗りかご2に乗って改札階9まで移動することができる。
【0028】
列車4の発車時刻になり、列車4がドア5を閉じると(ステップS1−7)、ドア開閉検出受光器7の受光範囲から投光器12の光が外れて、ドア開閉検出受光器7がOFFする。ドア開閉検出受光器7がONからOFFすると(ステップS1−8のYes)、エレベータ制御装置8は、列車ドア5が閉じたものと判断して、乗りかご2をホーム階10に引き戻した後、エレベータ1の運転を停止する(ステップS1−9)。そして、発車時刻に当駅から列車4が発車する(ステップS1−10)。
【0029】
このように第1の実施形態によれば、駅のホーム階10において、列車ドア5から直接乗り降りできるようにエレベータ1を設置し、列車4が定位置で停車したときに、列車ドア5の開閉動作に連動させてエレベータ1を運転制御することにより、列車4から降りた人をエレベータ1の乗りかご2に乗せて改札階9までスムーズに運ぶことができる。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0031】
第2の実施形態では、上記第1の実施形態の構成に加え、駅の改札階9からエレベータ1を利用してホーム階10に降りる人の流れを制御する構成としている。
【0032】
図6は第2の実施形態におけるエレベータと列車との関係を模式的に示した図である。なお、図6において、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
【0033】
改札階9とホーム階10との間にエレベータ1が設置されている。このエレベータ1の改札階9の乗降口には改札側ドア3a、ホーム階10の乗降口にはホーム側ドア3bが設けられており、それぞれに乗りかご2の到着に合わせて開閉する。
【0034】
ここで、第2の実施形態では、駅の改札階9において、エレベータ1の改札側ドア3aの上部に表示装置11が設置されている。この表示装置11は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などからなり、改札側ドア3aの手前でエレベータ1を待つ人にメッセージ表示を行う。
【0035】
図7及び図8はそのメッセージ表示例を示す図である。図7では、表示装置11に「現在、ご利用できません」といった乗車禁止のメッセージが表示された状態を示している。図8では、表示装置11に「ご利用できます」といった乗車許可のメッセージが表示された状態を示している。
【0036】
すなわち、第2の実施形態では、列車ドア5が開いて、エレベータ1が運転を開始すると、列車4から降車した人のみがエレベータ1を利用できるように、図7に示すように、改札階9の乗降口に設けられた表示装置11に乗車禁止のメッセージが表示される。
【0037】
また、列車4から乗客が全員降り、清掃等のために列車ドア5が一旦閉じると、それに連動してエレベータ1の運転が停止する。そして、再び列車ドア5が開くと、エレベータ1も運転を再開する。このとき、改札階9から列車4に乗る人のみがエレベータ1を利用できるように、図8に示すように、改札階9の乗降口に設けられた表示装置11に乗車許可のメッセージが表示される。
【0038】
図9は同実施形態におけるエレベータシステムの制御系の構成を示すブロック図である。
【0039】
エレベータ制御装置8は、列車位置検出受光器6の検出信号とドア開閉検出受光器7の検出信号に基づいて、ドア開閉制御を含むエレベータ1の運転制御を行う。さらに、エレベータ制御装置8は、改札階9の乗降口に設けられた表示装置11に対するメッセージの表示制御を行う。
【0040】
次に、エレベータ制御装置8の処理動作について詳しく説明する。
図10は同実施形態におけるエレベータ制御装置8の処理動作を示すフローチャートである。
【0041】
まず、エレベータ制御装置8は、エレベータ1の乗りかご2を駅ホーム階10にて待機させておく(ステップS2−1)。この状態で、列車4が駅に到着し(ステップS2−2)、列車ドア5に取り付けられている投光器12の光を列車位置検出受光器6が検知してONすると(ステップS2−3のYes)、エレベータ制御装置8は、そのときの列車位置検出受光器6の検知信号に基づいて、列車4が駅のホーム階10の定位置に停車したものと判断する。
【0042】
そして、列車ドア5が開き、投光器12の光をドア開閉検出受光器7が検知してONすると(ステップS2−4)、エレベータ制御装置8は、そのときのドア開閉検出受光器7の検知信号に基づいて、列車ドア5が全開したものと判断して、エレベータ1の運転を開始する(ステップS2−5)。
【0043】
このとき、列車4から降りた人を改札階9に運ぶことを優先するために、エレベータ制御装置8は、改札階9の乗降口に設けられた表示装置11に図7のような乗車禁止のメッセージを表示する(ステップS2−6)。
【0044】
列車4から乗客が全員降りて、清掃等のため、列車ドア5が一旦閉じると、ドア開閉検出受光器7の受光範囲から投光器12の光が外れて、ドア開閉検出受光器7がOFFする(ステップS2−7)。これにより、エレベータ制御装置8は、列車ドア5が閉じたものと判断して、エレベータ1の運転を停止する(ステップS2−8)。
【0045】
そして、列車4に人を乗せるために再び列車ドア5が開くと、ドア開閉検出受光器7が再び投光器12の光を検出してONし(ステップS2−9)、エレベータ制御装置8は、そのときのドア開閉検出受光器7の検知信号を受信することで、エレベータ1の運転を再開する(ステップS2−10)。
【0046】
このとき、改札階9から列車4に乗る人を運ぶことを優先するために、エレベータ制御装置8は、改札階9の表示装置11に図9のような乗車許可メッセージを表示する(ステップS2−11)。これにより、列車4に乗るために駅の改札階9で待っていた人は、乗りかご2が改札階9に到着した際に、乗りかご2に乗り込んでホーム階10まで移動することができる。
【0047】
列車4の発車時刻になり、列車4がドア5を閉じると、ドア開閉検出受光器7の受光範囲から投光器12の光が外れて、ドア開閉検出受光器7がOFFする(ステップS2−12)。これにより、エレベータ制御装置8は、列車ドア5が閉じたものと判断して、乗りかご2をホーム階10に引き戻した後、エレベータ1の運転を停止する(ステップS2−13)。そして、発車時刻に当駅から列車4が発車する(ステップS2−14)。
【0048】
このように第2の実施形態によれば、改札階9の乗降口に表示装置11を設けておき、列車ドア5の開閉動作に連動させて、表示装置11に乗車禁止あるいは乗車許可のメッセージを表示することで、ホーム階10と改札階9との間でエレベータ1を利用する人をスムーズに運ぶことができる。
【0049】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0050】
上記第1の実施形態では、駅の改札階9において、エレベータ1の乗車口と降車口が共通であったが、第3の実施形態では、改札階9にエレベータ乗車専用口とエレベータ降車専用口を設けて、列車4に乗る人と列車4から降りる人を振り分ける構成としている。
【0051】
図11は第3の実施形態におけるエレベータと列車との関係を模式的に示した図である。なお、図11において、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
【0052】
改札階9とホーム階10との間にエレベータ1が設置されている。第3の実施形態において、このエレベータ1の改札階9には、エレベータ乗車専用口13とエレベータ降車専用口14が設けられている。エレベータ乗車専用口13には乗車専用ドア3c、エレベータ降車専用口14には降車専用ドア3dが設けられており、乗りかご2が改札階9に到着した際に、どちらか一方が開閉するようになっている。また、ホーム階10の乗降口にはホーム側ドア3bが設けられており、乗りかご2の到着に合わせて開閉する。
【0053】
すなわち、第3の実施形態では、列車ドア5が開いて、エレベータ1が運転を開始すると、列車4から降車する人のみがエレベータ1を利用できるように、改札階9ではエレベータ降車専用口14に対応したかごドア2bと降車専用ドア3dのみが開く。なお、駆動源(モータ)はかごドア2b側にあり、降車専用ドア3dはかごドア2bに係合して戸開する。
【0054】
また、列車4から乗客が全員降り、清掃等のために列車ドア5が一旦閉じると、それに連動してエレベータ1の運転が停止する。そして、再び列車ドア5が開くと、エレベータ1も運転を再開する。このとき、改札階9から列車4に乗る人のみがエレベータ1を利用できるように、改札階9ではエレベータ乗車専用口13に対応したかごドア2aと乗車専用ドア3cのみが開く。なお、駆動源(モータ)はかごドア2a側にあり、乗車専用ドア3cはかごドア2aに係合して戸開する。
【0055】
なお、制御系の構成については図4と同様である。
エレベータ制御装置8は、列車位置検出受光器6の検出信号とドア開閉検出受光器7の検出信号に基づいて、かごドア2a,2bの開閉制御を含むエレベータ1の運転制御を行う。
【0056】
次に、エレベータ制御装置8の処理動作について詳しく説明する。
図12は同実施形態におけるエレベータ制御装置8の処理動作を示すフローチャートである。
【0057】
まず、エレベータ制御装置8は、エレベータ1の乗りかご2を駅ホーム階10にて待機させておく(ステップS3−1)。この状態で、列車4が駅に到着し(ステップS3−2)、列車ドア5に取り付けられている投光器12の光を列車位置検出受光器6が検知してONすると(ステップS3−3のYes)、エレベータ制御装置8は、そのときの列車位置検出受光器6の検知信号に基づいて、列車4が駅のホーム階10の定位置に停車したものと判断する。
【0058】
そして、列車ドア5が開き、投光器12の光をドア開閉検出受光器7が検知してONすると(ステップS3−4)、エレベータ制御装置8は、そのときのドア開閉検出受光器7の検知信号に基づいて、列車ドア5が全開したものと判断して、エレベータ1の運転を開始する(ステップS3−5)。
【0059】
このとき、エレベータ制御装置8は、乗りかご2が改札階9に到着した際に、エレベータ降車専用口14側のかごドア2bを戸開する(ステップS3−6)。これにより、かごドア2bの戸開動作に連動して降車専用ドア3dが開き、降車専用ドア3dとホーム側ドア3bとの間で、列車4から降りた人のみがエレベータ1を利用できるようになる。
【0060】
列車4から乗客が全員降りて、清掃等のため、列車ドア5が一旦閉じると、ドア開閉検出受光器7の受光範囲から投光器12の光が外れて、ドア開閉検出受光器7がOFFする(ステップS3−7)。これにより、エレベータ制御装置8は、列車ドア5が閉じたものと判断して、エレベータ1の運転を停止する(ステップS3−8)。
【0061】
そして、列車4に人を乗せるために再び列車ドア5が開くと、ドア開閉検出受光器7が再び投光器12の光を検出してONし(ステップS3−9)、エレベータ制御装置8は、そのときのドア開閉検出受光器7の検知信号を受信することで、エレベータ1の運転を再開する(ステップS3−10)。
【0062】
このとき、エレベータ制御装置8は、乗りかご2が改札階9に到着した際に、エレベータ乗車専用口13側のかごドア2aを戸開する(ステップS3−11)。これにより、かごドア2aの戸開動作に連動して乗車専用ドア3cが開き、乗車専用ドア3cとホーム側ドア3bとの間で、改札階9から列車4に乗る人のみがエレベータ1を利用できるようになる。
【0063】
列車4の発車時刻になり、列車4がドア5を閉じると、ドア開閉検出受光器7の受光範囲から投光器12の光が外れて、ドア開閉検出受光器7がOFFする(ステップS3−12)。これにより、エレベータ制御装置8は、列車ドア5が閉じたものと判断して、乗りかご2をホーム階10に引き戻した後、エレベータ1の運転を停止する(ステップS3−13)。そして、発車時刻に当駅から列車4が発車する(ステップS3−14)。
【0064】
このように第3の実施形態によれば、改札階9にエレベータ乗車専用口13とエレベータ降車専用口14を設けて、列車ドア5の開閉動作に連動させて、ホーム階10で列車4から降りた人を乗りかご2に乗せた場合にはエレベータ降車専用口14側のドア2b,3dを戸開制御し、改札階9で列車4に乗る人を乗りかご2に乗せる場合にはエレベータ乗車専用口13側のドア2a,3cを戸開制御する。これにより、ホーム階10で列車4から降りた人、改札階9で列車4に乗る人をスムーズに運ぶことができる。
【0065】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
【0066】
第4の実施形態では、乗りかご2が満員に近い状態で移動することを防ぐようにしたものである。
【0067】
図13は第4の実施形態におけるエレベータと列車との関係を模式的に示した図である。なお、図13において、上記第3の実施形態における図11の構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
【0068】
改札階9とホーム階10との間にエレベータ1が設置されている。このエレベータ1の改札階9には、エレベータ乗車専用口13とエレベータ降車専用口14が設けられている。エレベータ乗車専用口13には乗車専用ドア3c、エレベータ降車専用口14には降車専用ドア3dが設けられており、乗りかご2が改札階9に到着した際に、どちらか一方が開閉するようになっている。また、ホーム階10の乗降口にはホーム側ドア3bが設けられており、乗りかご2の到着に合わせて開閉する。
【0069】
ここで、第4の実施形態において、乗りかご2には荷重測定装置15と警告装置16が設置されている。荷重測定装置15は、乗りかご2の底部に設置されており、乗りかご2の積載荷重値を測定する。なお、荷重測定方法については、一般的に知らせている方法を用いるものとし、ここでは詳しい説明を省略する。警告装置16は、かごドア2a,2bの近傍に設置されており、荷重測定装置15によって測定された積載重値が予め設定された乗車規制値を超える場合に警告音を発する。
【0070】
図14は同実施形態におけるエレベータシステムの制御系の構成を示すブロック図である。
【0071】
エレベータ制御装置8は、列車位置検出受光器6の検出信号とドア開閉検出受光器7の検出信号に基づいて、かごドアの開閉制御を含むエレベータ1の運転制御を行う。さらに、エレベータ制御装置8は、荷重測定装置15の測定結果に基づいて警告装置16の駆動制御を行う。
【0072】
次に、エレベータ制御装置8の処理動作について詳しく説明する。
図15は同実施形態におけるエレベータ制御装置8の処理動作を示すフローチャートである。
【0073】
上述したように、列車4が駅に到着して、列車ドア5に取り付けられている投光器12の光を列車位置検出受光器6が検知してONすると、エレベータ制御装置8は、そのときの列車位置検出受光器6の検知信号に基づいて、列車4が駅のホーム階10の定位置に停車したものと判断する。
【0074】
そして、列車ドア5が開き、投光器12の光をドア開閉検出受光器7が検知してONすると、エレベータ制御装置8は、そのときのドア開閉検出受光器7の検知信号に基づいて、列車ドア5が全開したものと判断して、エレベータ1の運転を開始する。
【0075】
エレベータ制御装置8は、かごドア2bとホーム側ドア3bを開いて、列車4から降りた人を乗りかご2に乗せたときに(ステップS4−1)、荷重測定装置15により乗りかご2の積載荷重値を測定する(ステップS4−2)。
【0076】
ここで、例えば定格荷重の80%が乗車規制値として設定されているものとすると、荷重測定装置15によって測定された乗りかご2の積載荷重値が上記定格荷重の80%以内であった場合には(ステップS4−3のNo)、エレベータ制御装置8は、図示せぬ戸閉ボタンの押下あるいは所定の時間経過による戸閉指令が出力されるまでの間(ステップS4−4のNo)、乗りかご2への乗車を許可した状態でいる。
【0077】
一方、乗りかご2の積載荷重値が上記定格荷重の80%を超えた場合(ステップS4−3のYes)、エレベータ制御装置8は、乗りかご2への乗車を禁止するべく、警告装置16に警告指令を出す(ステップS4−5)。これにより、乗りかご2の定格荷重に達する前に警告装置16から警告音が発せられ、無理に乗り込もうとする人を規制することができる。
【0078】
定格荷重80%を超えて警告音が発生した時点で、エレベータ制御装置8は、ドア2b,3bを閉じて乗りかご2を改札階9に移動させる(ステップS4−6)。
【0079】
なお、改札階9で列車4に乗る人を乗りかご2に乗せる場合も同様であり、乗りかご2の積載荷重が定格荷重の80%を超えた時点で警告装置16から警告音を発するものとする。
【0080】
このように第4の実施形態によれば、乗りかご2の定格荷重に達する前に警告音を発して乗車を規制することで、満員のために乗りかご2から降りた人が混雑に巻き込まれることを防ぐことができる。
【0081】
なお、ここでは第3の実施形態の構成を例にして説明したが、上記第1または第2の実施形態の構成でも同様に適用可能である。
【0082】
以上のように、これらの実施形態によれば、列車のドアに連動させてエレベータを運転して、列車に乗り降りする人をスムーズに運ぶことが可能なエレベータシステムが提供される。
【0083】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1…エレベータ、1a…昇降路、2…乗りかご、2a,2b…かごドア、3a…改札側ドア、3b…ホーム側ドア3、4…列車、5…列車ドア、6…列車位置検出受光器、7…ドア開閉検出受光器、8…エレベータ制御装置、9…改札階、10…ホーム階、11…表示装置、12…投光器、13…エレベータ乗車専用口、14…エレベータ降車専用口、15…荷重測定装置、16…警告装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車が停車する駅のホーム階において、上記列車の乗降口から直接乗り降りできるように設置されたエレベータと、
上記列車が駅に到着した際に、上記列車のドアと上記エレベータのドアとが対向する位置に停車したことを検出する位置検出手段と、
上記列車のドアの開閉を検出するドア開閉検出手段と、
上記位置検出手段および上記ドア開閉検出手段の検出結果に基づいて上記エレベータの運転を制御する制御手段と
を具備したことを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
上記制御手段は、
上記位置検出手段によって上記列車が定位置に停車したことが検出された後、上記ドア開閉検出手段によって上記列車のドアが開いたことを検出された場合に上記エレベータの運転を開始し、上記ドア開閉検出手段によって上記列車のドアが閉じたことが検出された場合に上記エレベータの運転を停止することを特徴とする請求項1記載のエレベータシステム。
【請求項3】
上記駅の改札階に設置された表示装置を備え、
上記制御手段は、
上記ドア開閉検出手段によって上記列車のドアが開いたことが検出された場合に、上記エレベータの運転により上記列車から降りた人を上記改札階に運ぶことを優先するために上記表示装置に上記改札階からの乗車を禁止する旨のメッセージを表示し、上記列車のドアが一旦閉じて再び開いたことが検出された場合に、上記エレベータの運転により上記改札階から上記列車に乗る人を運ぶことを優先するために上記表示装置に上記改札階からの乗車を許可する旨のメッセージを表示することを特徴とする請求項2記載のエレベータシステム。
【請求項4】
上記エレベータは、
上記駅の改札階に設けられたエレベータ乗車専用口側のドアとエレベータ降車専用口側のドアを有し、
上記制御手段は、
上記ドア開閉検出手段によって上記列車のドアが開いたことが検出された場合に、上記エレベータの運転により上記列車から降りた人を上記改札階に運び、上記改札階で上記エレベータ降車専用口側のドアを開き、上記列車のドアが一旦閉じて再び開いたことが検出された場合に、上記改札階で上記エレベータ乗車専用口側のドアを開き、上記改札階から上記列車に乗る人を運ぶことを特徴とする請求項2記載のエレベータシステム。
【請求項5】
上記エレベータに設けられ、積載荷重を計測する荷重測定装置と、
上記エレベータに設けられ、警告音を発生する警告装置とを備え、
上記制御手段は、
上記エレベータの運転中に、上記荷重測定装置によって定格荷重よりも低く設定された乗車規制値を超える積載荷重値が測定された場合に上記警告装置から警告音を発生させて上記エレベータへの乗車を規制することを特徴とする請求項2記載のエレベータシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−41158(P2012−41158A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185255(P2010−185255)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】