説明

エレベーター用巻上機及びエレベーター装置

【課題】ブレーキ性能を確保しながら、容易にブレーキシューの取付け,取外しが可能な構造を有するエレベーター用巻上機及びエレベーター装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ブレーキシュー12を回転することによりブレーキ装置13と係合,離脱が可能に構成され、ブレーキ装置13は、通常時にブレーキシュー12が係合された状態で、ブレーキシュー12が回転することを規制するガイド25によって形成されたブレーキシュー可動経路内にブレーキシュー12が配置される位置に固定され、ブレーキシュー12をブレーキ装置13から離脱する必要が生じた際には、ブレーキシュー12を可動経路から出る位置までブレーキ装置13を移動させるブレーキ装置移動機構を介して本体フレーム10に取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブレーキ装置を備えたエレベーター用巻上機及びエレベーター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーター用巻上機ブレーキ装置として、制動ばねの力を制動部材に伝達して、被制動体に制動部材を押圧し制動する直動式のブレーキが知られている(例えば特許文献1,2参照)。これらのブレーキはブレーキシューをブレーキドラムに押し付けて回転に制動をかけるものである。ブレーキシューは制動をかけるためにブレーキドラムと摺動するため定期的な点検や交換が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−533283号公報
【特許文献2】特開2006−161920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレーキシューは被制動材に接触するパッド部とこれを固定する固定部から構成される。ブレーキシューの点検や交換のためには、ブレーキシューのブレーキ装置から取外し、及び、ブレーキシューのブレーキ装置への取付けが可能な構造とする必要がある。しかし、従来は例えば特許文献1,2に記載されたブレーキ装置ではブレーキシューの交換時にブレーキ装置を設置部分から取外さなければ、ブレーキシューの点検,交換を行うことができないものであった。このためこのような作業は非常に煩雑で時間がかかるものとなっていたため、より簡便に行え、時間短縮できることが望まれていた。特に近年、機械室を設けずに昇降路の中に巻上機を設けた機械室レスエレベーターの需要が高まってきている。このような機械室レスエレベーターにおいては、設置されるスペースが機械室に比べて小さいため保守作業を行う作業スペースも小さい上、ブレーキ装置もせまい空間に実装されているため、ブレーキシューの取付け,取外しが難しいものであった。
【0005】
また、ブレーキシューはブレーキドラムに押し付けられた際に、ブレーキドラムが回転する方向に一緒に動かそうとする摩擦力と、ブレーキドラムに押し付けられることによる反力を受けるため、ブレーキシューに対してひねりを与えるような複雑な力が働き、ブレーキシューの取付け,取外しを簡易化する構造を採ろうとすると、これらの力によってブレーキシューが取外され、脱落してしまうなどの問題が発生することも想定される。しかしブレーキ装置は安全装置として極めて高い信頼性を要求されるものであるから、このような事態を発生させない、しっかりとしたブレーキ性能の確保が必要である。
【0006】
本発明は前記課題に鑑み為されたものであり、ブレーキ性能を確保しながら、容易にブレーキシューの取付け,取外しが可能な構造を有するエレベーター用巻上機及びエレベーター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のエレベーター用巻上機及びエレベーター装置は、本体フレームを有するモータと、前記モータの出力軸に設けられたシーブと、前記シーブと同心状に設けられて前記シーブと共に回転するブレーキドラムと、前記ブレーキドラムに摺接して前記シーブの回転を制動するブレーキシューと、前記ブレーキシューを前記ブレーキドラムに押圧するブレーキ装置とを備えた巻上機において、前記ブレーキシューは前記ブレーキドラムに押圧される方向と直交する平面内で回転することにより前記ブレーキ装置と係合,離脱が可能に構成され、前記ブレーキ装置は、通常時には前記ブレーキシューが係合された状態で、前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムに押圧される方向と直交する平面内で回転することを規制するガイドによって形成されたブレーキシュー可動経路内に前記ブレーキシューが配置される位置に固定され、前記ブレーキシューを前記ブレーキ装置から離脱する必要が生じた際には、前記ブレーキシューを前記可動経路から出る位置まで前記ブレーキ装置を移動させるブレーキ装置移動機構を介して前記本体フレームに取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブレーキ性能を確保しながら、容易にブレーキシューの取付け,取外しが可能な構造を有するエレベーター用巻上機及びエレベーター装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態にかかるエレベーター装置の全体概要を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるエレベーター装置の機器配置の状態を示す昇降路の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機の正面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機の制動時の制動部を示す正面拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機のブレーキシューを示す正面図及び側面図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機のブレーキシューの取付け時及び取外し時の状態を示す上面図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機の通常時の制動部を示す正面拡大図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機のブレーキシュー取外し時の様子を示す正面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、図面を用いながら実施例を挙げて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態にかかるエレベーター装置の全体概要を示す斜視図である。同図に示すエレベーター装置1は、昇降路2内を昇降する乗りかご3及びつり合いおもり4と、乗りかご3及びつり合いおもり4を吊持する主索5と、主索5を駆動して乗りかご3及びつり合いおもり4を互いに上下反対に昇降させる巻上機6とを有している。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態にかかるエレベーター装置の機器配置の状態を示す昇降路の断面図である。本実施形態のエレベーター装置1は、巻上機6は昇降路2内の乗りかご3と昇降路壁の間に、つり合いおもり4と並列に配置されている。本実施形態における巻上機6は乗りかご3と昇降路壁との間に設置するために、モータの出力軸の軸方向長さが、モータの直径と比較して短い薄型タイプとなっている。巻上機6は、主索5が巻き掛けられた駆動シーブ7、駆動シーブ7を回転させるモータ8を内蔵し、駆動シーブ7の回転を制動する制動部9を有している。
【0013】
図3は、本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機の正面図である。巻上機6は、モータ8を内蔵する本体フレーム10と、モータ8の図示しない出力軸に設けられた駆動シーブ7と、駆動シーブ7と同心状に設けられて駆動シーブ7と共に回転するブレーキドラム11とを備えている。
【0014】
そして、本実施形態の巻上機6には、ブレーキドラム11の外周部に対向して上下に一対の制動部9が設けられている。このように上下に制動部9を設けることにより、昇降路2内の設置スペースとして比較的余裕のある縦方向の寸法は伸びるものの、スペース的に余裕のない横方向の広がりを抑えることができ、機械室レスエレベーター装置としての機器の設置効率を上げ、不要な昇降路断面積の増加を防止することができる。
【0015】
そして、制動部9は、ブレーキドラム11に摺接して駆動シーブ7の回転を制動するブレーキシュー12と、ブレーキシュー12をブレーキドラム11に押圧するブレーキ装置13とを備えている。
【0016】
図4は、本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機の制動時の制動部を示す正面拡大図である。図4に示すように、本実施形態におけるブレーキ装置13は固定鉄片14と可動鉄片15を持ち、可動鉄片15と一体となっている先端が球面状のロッド16は固定鉄片14内部に挿入されている。固定鉄片14と可動鉄片15の間には制動ばね21が設けられており、制動ばね21は可動鉄片15、可動鉄片15に固定されたロッド16、及び、ロッドの先端に固定されたブレーキシュー12をブレーキドラム11に向かって押圧している。そして、ブレーキ装置13は、固定鉄片14内部に備えられた電磁石への通電,断電により制動ばね21の押圧力に抗して可動鉄片15を吸引する吸引力の発生,停止を制御して、ブレーキシュー12をブレーキドラム11へ摺動,離間させている。
【0017】
図5は、本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機のブレーキシューを示す正面図及び側面図である。なお図5(a)はブレーキシューの正面図、図5(b)はブレーキシューの側面図となっている。同図に示すように、ブレーキシュー12とロッド16の連結は、係合部材である板ばね17によりなされている。板ばね17はブレーキシュー12に設けられているものであり、ロッド16の先端部分に形成された係合片19と係合し、板ばね17の弾性力により、ブレーキシュー12を球面皿18と共にロッド16に向かって付勢することでブレーキシュー12をロッドに連結している。このような構造により、ロッド16の先端に形成された係合片19のブレーキシュー12対向面側に形成された球面部が、板ばね17の弾性力によりブレーキシュー12によって球面部に押し付けられる球面皿18と接触し、この球面間で摺動することで、ロッド16の先端に設けられたブレーキシュー12が揺動可能となっている。これによりブレーキシュー12の制動面とブレーキドラム11の被制動面との接触性能を向上させる機能を持っている。
【0018】
図6は本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機のブレーキシューの取付け時及び取外し時の状態を示す上面図である。なお図6の(a)はブレーキシューをロッドに取付けた状態、図6の(b)はブレーキシューをロッドから取外す状態となっている。板ばね17には長方形の穴20が設けられており、係合片19も長方形の形状をしている。組立時には板ばね17の穴20に係合片19を挿入し、ブレーキシュー12がブレーキドラム11に押圧される方向と直交する平面内でブレーキシュー12を90度回転させることで、係合片19の長部部分に板ばね17が係合し、ロッド16とブレーキシュー12を連結する。なお係合片19には図5(a)に示すように、その周辺が丸く形成されたR部19aが設けられているため、ブレーキシュー12をブレーキシュー12がブレーキドラム11に押圧される方向と直交する平面内で90度回転させる際に、板ばね17の端部が係合片19と接触し、さらに係合されていく過程において、係合片の周辺の板ばね17が引っ掛かってしまうことを避け、ブレーキシュー12を取付け容易な構造とすることができる。
【0019】
このように、ブレーキ装置13はロッド16を備え、ロッド16にはブレーキシュー12がブレーキドラム11に押圧される方向と直交する平面内で長部及び短部を有する形状の係合片19が備えられていると共に、ブレーキシュー12には係合片19の短部には係合せず、係合片19の長部には係合する係合部材としての板ばね17が設けられたことにより、ブレーキシュー12を回転させるだけで容易に取付け,取外しが可能なとすることができ、メンテナンス性に優れた巻上装置用ブレーキ装置13とすることができる。
【0020】
なお、本実施形態では、係合片19、及び、穴20の形状として長方形であるものを上げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば長円や多角形上など、ブレーキシュー12がブレーキドラム11に押圧される方向と直交する平面内で長部及び短部を有し、板ばね17が係合片19の短部には係合せず、係合片19の長部には係合するように構成されていればよい。
【0021】
次にブレーキ制動時,開放時の各部品の役割について説明する。図4に示すように本実施形態においては、本体フレーム10に取付けられたブレーキ装置保持部材22がブレーキ装置13のブレーキドラム11側とは反対側の外方部(以下、単純に反ドラム側と言う。図4ではブレーキ装置13の上方側を意味する)を覆うように設けられており、このブレーキ装置保持部材22にはブレーキ装置保持部材22に設けられた螺合穴より反ドラム側から位置調整ボルト23がねじ込まれている。そして、本体フレーム10表面とブレーキ装置13の間に浮遊ばね24が設けられており、ブレーキ装置13をブレーキドラム11の径方向外方、即ち図4においては反ドラム側である上方に向かってブレーキ装置13を付勢する。なお、巻上機の下側に取付けられたブレーキ装置13は下方に向かって付勢されるものである。そして位置調整ボルト23は浮遊ばね24のばね力に抗してブレーキ装置13を固定位置に保持するように構成されている。
【0022】
また、本体フレーム10は図4に示すように設置状態でのブレーキシュー12の横幅よりわずかに大きい空隙を有してブレーキドラム11の回転する周方向において対向する面が形成されている。これらの本体フレーム10により形成された面が、通常時にはブレーキシュー12が係合された状態で、ブレーキシュー12がブレーキドラム11に押圧される方向と直交する平面内で回転することを規制するガイド25を形成している。なお、本実施形態ではブレーキドラム11の回転する周方向(図4における左右の方向)において対向する2面によってガイド25を形成しているが、モータ8の出力軸の軸方向に直行する面によりブレーキシュー12の3面を覆う或いは全面を覆うように形成してもよい。
【0023】
図7は、本発明の一実施形態にかかるエレベーター用巻上機の通常時の制動部を示す正面拡大図である。なお、図7には説明の都合上、ロッド16に開放ボルト26が取付けられた状態で記載されているが、通常使用時には開放ボルト26はロッド16より取外されて使用される。開放ボルトを使用する場合については後述する。
【0024】
図4及び図7を見てわかるように、ブレーキシュー12は巻上機6のガイド25の間に僅かに空隙を有する状態で挿入されており、図4のようにブレーキシュー12がブレーキドラム11に押し付けられた際、ブレーキドラム11の回転に伴いブレーキシュー12が摺接して僅かにブレーキドラム11の回転方向に動いてガイド25に接触する。すると本来であれば、ブレーキドラム11を制動するために、ブレーキシュー12及びそれを保持するロッド16に掛かるはずであったブレーキドラム11の回転力により発生するブレーキドラム11の回転方向への荷重を、ガイド25が負担する。この状態でブレーキ装置13はブレーキシュー12によってブレーキドラム11の押圧を継続し、ブレーキドラム11の回転を制動する。また、同時に前述のようにガイド25はブレーキシュー12のロッド16の軸周り方向の回転も抑制しており、ブレーキシュー12の簡易な着脱構造を実現しながら、ブレーキシュー12が係合片19から脱落することを防止し、良好な制動性能を発揮することを可能としている。さらに、ガイド25は図4及び図7を見てわかるようにブレーキシュー12が可動する可動経路をも形成している。
【0025】
このような構造において、ブレーキ制動時は、図4に示すように制動ばね21によりブレーキシュー12が被制動体であるブレーキドラム11に押し付けられる。このブレーキシュー12をブレーキドラム11に押し付けた反力は、位置調整ボルト23に対する圧縮荷重で負担している。ブレーキ開放時は、電磁吸引力により固定鉄片14にひきつけられた可動鉄片15及びブレーキシュー12は、浮遊ばね24で本体フレーム10表面から引き離された状態となる。浮遊ばね24が固定鉄片14を調整ボルト23に押し付けることで、開放時位置出しがなされる。よって調整ボルト23の締込量を設定することで、開放時の空隙を調整できる仕組みとなっていて、ブレーキ装置13は、通常時にはブレーキシュー12が係合された状態で、ブレーキシュー12がブレーキドラム11に押圧される方向と直交する平面内で回転することを規制するガイド25によって形成されたブレーキシュー可動経路内にブレーキシュー12が配置される位置に固定される。
【0026】
そして、ブレーキシューの分解などのブレーキシュー12をブレーキ装置13から離脱する必要が生じた際には、図7に示すように、開放ボルト26をロッド16のブレーキシュー12が取付けられた端部とは反対の端部に締込んで、固定鉄片14と可動鉄片15およびブレーキシュー12を一体化した状態で、ブレーキ装置13の通電を解除する。この状態で位置調整ボルト23を緩めると、図8に示すように一体化された固定鉄片14と可動鉄片15およびブレーキシュー12が浮遊ばね24によってガイド25端部よりも外方に引き出され、可動経路に挿入されているブレーキシュー12をブレーキドラム11に押圧される方向と直交する平面内で回転させることが可能な位置までブレーキ装置13を移動させることが可能である。さらに、ブレーキシュー12は図6のように90度回転させることで、ロッド16の係合片19から板ばね17を外すことができ、ブレーキシュー12のみを容易に取外すことができる。ブレーキシュー12組立時も分解とは逆の手順を用いることが可能である。
【0027】
このように本実施形態においては、本体フレーム10に設けられたブレーキ装置保持部材22と、ブレーキ装置13をブレーキドラム11の径方向外方に向かって付勢する浮遊ばね24と、浮遊ばね24のばね力に抗してブレーキ装置13を固定位置に保持するブレーキ装置保持部材22に設けられた位置調整ボルト23によってブレーキ装置移動機構が構成されている。これによりブレーキシュー12の取外しが必要となった際に、容易にブレーキシュー12をロッド16から取外し可能な位置まで移動させることができる。また浮遊ばね24を設けることで、ブレーキが巻上機に対して上下左右どこに存在しても、重力の影響を受けずに容易にブレーキシュー12の脱着が可能な位置までブレーキ装置13を移動させることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 エレベーター装置
2 昇降路
3 乗りかご
4 つり合いおもり
5 主索
6 巻上機
7 駆動シーブ
8 モータ
9 制動部
10 本体フレーム
11 ブレーキドラム
12 ブレーキシュー
13 ブレーキ装置
14 固定鉄片
15 可動鉄片
16 ロッド
17 板ばね
18 球面皿
19 係合片
20 穴
21 制動ばね
22 ブレーキ装置保持部材
23 位置調整ボルト
24 浮遊ばね
25 ガイド
26 開放ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームを有するモータと、前記モータの出力軸に設けられたシーブと、前記シーブと同心状に設けられて前記シーブと共に回転するブレーキドラムと、前記ブレーキドラムに摺接して前記シーブの回転を制動するブレーキシューと、前記ブレーキシューを前記ブレーキドラムに押圧するブレーキ装置とを備えた巻上機において、
前記ブレーキシューは前記ブレーキドラムに押圧される方向と直交する平面内で回転することにより前記ブレーキ装置と係合,離脱が可能に構成され、
前記ブレーキ装置は、通常時には前記ブレーキシューが係合された状態で、前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムに押圧される方向と直交する平面内で回転することを規制するガイドによって形成されたブレーキシュー可動経路内に前記ブレーキシューが配置される位置に固定され、前記ブレーキシューを前記ブレーキ装置から離脱する必要が生じた際には、前記ブレーキシューを前記可動経路から出る位置まで前記ブレーキ装置を移動させるブレーキ装置移動機構を介して前記本体フレームに取付けられていることを特徴とするエレベーター用巻上機。
【請求項2】
請求項1のエレベーター用巻上機において、前記ブレーキ装置移動機構は、前記本体フレームに設けられたブレーキ装置保持部材と、前記ブレーキ装置を前記ブレーキドラムの径方向外方に向かって付勢する浮遊ばねと、前記浮遊ばねのばね力に抗して前記ブレーキ装置を固定位置に保持する前記ブレーキ装置保持部材に設けられた位置調整ボルトにより構成されていることを特徴とするエレベーター用巻上機。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかのエレベーター用巻上機において、前記ガイドは前記本体フレームにより形成されており、前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムに摺接した際に前記ブレーキシューと接触することを特徴とするエレベーター用巻上機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかのエレベーター用巻上機において、前記ブレーキ装置はロッドを備え、前記ロッドの先端には前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムに押圧される方向と直交する平面内で長部及び短部を有する形状の係合片が備えられていると共に、前記ブレーキシューには前記係合片の短部には係合せず、前記係合片の長部には係合する係合部材が設けられていることを特徴とするエレベーター用巻上機。
【請求項5】
昇降路内を昇降する乗りかごと、前記乗りかごを吊持する主索と、前記主索を駆動して前記乗りかごを昇降させる巻上機とを有し、前記巻上機は前記昇降路内に配置されるエレベーター装置において、
前記巻上機は、本体フレームを有するモータと、前記モータの出力軸に設けられたシーブと、前記シーブと同心状に設けられて前記シーブと共に回転するブレーキドラムと、前記ブレーキドラムに摺接して前記シーブの回転を制動するブレーキシューと、前記ブレーキシューを前記ブレーキドラムに押圧するブレーキ装置とを備え、
前記ブレーキシューは前記ブレーキドラムに押圧される方向と直交する平面内で回転することにより前記ブレーキ装置と係合,離脱が可能に構成され、
前記ブレーキ装置は、通常時には前記ブレーキシューが係合された状態で、前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムに押圧される方向と直交する平面内で回転することを規制するガイドによって形成されたブレーキシュー可動経路内に前記ブレーキシューが配置される位置に固定され、前記ブレーキシューを前記ブレーキ装置から離脱する必要が生じた際には、前記ブレーキシューを前記可動経路から出る位置まで前記ブレーキ装置を移動させるブレーキ装置移動機構を介して前記本体フレームに取付けられていることを特徴とするエレベーター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−158397(P2012−158397A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17378(P2011−17378)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】