エレベータ装置
【課題】 的確なドア制御を行うことが可能なエレベータ装置を提供する。
【解決手段】 エレベータのドアを駆動するモータ1と、モータの回転に基づく速度を検出する速度検出部4と、速度検出部で検出された速度と予め設定された速度指令との偏差に応じたトルク指令を出力する速度制御部5と、モータの電流を検出する電流検出部8と、速度制御部から出力されたトルク指令に応じた電流と電流検出部で検出された電流との偏差に基づいてモータに対する電流制御を行う電流制御部6と、速度制御部から出力されたトルク指令と予め推定された推定トルクとの偏差を出力するトルク偏差出力部9と、トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差に対して1階微分及び2階微分の少なくとも一方の微分演算を行う微分演算部11と、トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差と微分演算部での演算結果とに基づいてドアの開閉異常を検出する異常検出部15とを備える。
【解決手段】 エレベータのドアを駆動するモータ1と、モータの回転に基づく速度を検出する速度検出部4と、速度検出部で検出された速度と予め設定された速度指令との偏差に応じたトルク指令を出力する速度制御部5と、モータの電流を検出する電流検出部8と、速度制御部から出力されたトルク指令に応じた電流と電流検出部で検出された電流との偏差に基づいてモータに対する電流制御を行う電流制御部6と、速度制御部から出力されたトルク指令と予め推定された推定トルクとの偏差を出力するトルク偏差出力部9と、トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差に対して1階微分及び2階微分の少なくとも一方の微分演算を行う微分演算部11と、トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差と微分演算部での演算結果とに基づいてドアの開閉異常を検出する異常検出部15とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ装置では、ドアに人やその他の物体が挟まれることを防止するため、予め想定した駆動トルクと実際のトルクとの偏差を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−159461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、予め想定した駆動トルクと実際のトルクとの偏差を求める方法では、人やその他の物体がドアに接触してトルク偏差が増大したのか、或いは風等の影響でトルク偏差が増大したのかを判別できない場合がある。そのため、従来のエレベータ装置では、的確なドア制御を行うことが困難であった。
【0005】
したがって、的確なドア制御を行うことが可能なエレベータ装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るエレベータ装置は、エレベータのドアを駆動するモータと、前記モータの回転に基づく速度を検出する速度検出部と、前記速度検出部で検出された速度と予め設定された速度指令との偏差に応じたトルク指令を出力する速度制御部と、前記モータの電流を検出する電流検出部と、前記速度制御部から出力されたトルク指令に応じた電流と前記電流検出部で検出された電流との偏差に基づいて前記モータに対する電流制御を行う電流制御部と、前記速度制御部から出力されたトルク指令と予め推定された推定トルクとの偏差を出力するトルク偏差出力部と、前記トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差に対して1階微分及び2階微分の少なくとも一方の微分演算を行う微分演算部と、前記トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差と前記微分演算部での演算結果とに基づいて前記ドアの開閉異常を検出する異常検出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係り、異常検出部15の構成を示したブロック図である。
【図3】図3(a)は時間に対するトルク偏差を表した図であり、図3(b)は時間に対するトルク偏差の1回微分を表した図である。
【図4】第1の実施形態におけるファジー推論の適用例について説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。
【図6】図6(a)は時間に対するトルク偏差を表した図であり、図6(b)は時間に対するトルク偏差の2回微分を表した図である。
【図7】第3の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。
【図8】図8(a)はドア変位に対するトルク偏差を表した図であり、図8(b)はドア変位に対するトルク偏差の1回微分を表した図である。
【図9】図9(a)はドア変位に対するトルク偏差を表した図であり、図9(b)はドア変位に対するトルク偏差の1回微分を表した図である。
【図10】第4の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を図面を参照して説明する。
【0009】
(実施形態1)
図1は、第1の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。
【0010】
モータ1は、エレベータのドアを駆動するものである。このモータ1にはパルスエンコーダ2が接続されており、パルスエンコーダ2によってモータ1の回転角が検出される。パルスエンコーダ2には速度検出器4が接続されており、この速度検出器4によってモータ1の速度(回転速度)が検出される。
【0011】
速度検出器4で検出された速度は、開閉パターン出力部3に予め設定された速度指令と比較される。この速度指令は、ドアの開閉速度(移動速度)の変化に対応したモータ速度の変化を表すものである。速度制御器5では、速度検出器4で検出された速度と開閉パターン出力部3から出力された速度指令との速度偏差に応じたトルク指令が出力される。
【0012】
なお、速度検出器4によって検出される速度は、モータ1の回転速度そのものではなく、モータ1の回転に基づく速度であればよい。例えば、ドアの開閉速度(移動速度)であってもよい。この場合には、開閉パターン出力部3には、速度指令としてドアの開閉速度(移動速度)の変化が設定される。
【0013】
モータ1の電流(駆動電流)は、電流検出部8で検出される。そして、電流制御器6では、速度制御器5から出力されたトルク指令に応じた電流と電流検出部8で検出された電流との偏差に基づいてモータ1に対する電流制御が行われる。具体的には、電流制御器6では、モータ1への電力供給を行う電力変換器7に対する制御指令を発生する。
【0014】
推定トルク出力部10は、ドアを開閉する際に生じるモータの駆動トルクを予め推定して出力するものである。トルク偏差出力部9では、速度制御器5から出力されたトルク指令と推定トルク出力部10から出力された推定トルクとの偏差を出力する。
【0015】
1回微分演算部11は、トルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差に対して1回微分を行うものである。
【0016】
図3(a)は時間に対するトルク偏差を表したものであり、図3(b)は時間に対するトルク偏差の1回微分を表したものである。図3(a)に示すように、風(風圧)等に起因する軽い負荷の場合には、人やその他の物体等に起因する重い負荷の場合に比べてトルク偏差の増加率が小さい。その結果、図3(b)に示すように、軽い負荷の場合には重い負荷の場合に比べてトルク偏差の1回微分の絶対値が小さくなる。
【0017】
ここで、摩擦等に起因するトルクは一定値となるため、トルク偏差の1回微分値はゼロとなる。人やその他の物体等に起因するトルクは時間的変化が大きいため、トルク偏差の1回微分値は大きな値となる。また、風(風圧)に起因するトルクは、人やその他の物体等に起因するトルクに比べて小さいため、トルク偏差の1回微分値は小さな値となる。したがって、トルク偏差の1回微分値を求めることで、どのような負荷に起因するトルクなのかを判定することが可能である。
【0018】
異常検出部15は、上述したような原理に基づいてドアの開閉異常を検出するものである。この異常検出部15は、トルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差と1回微分演算部11での演算結果とに基づいてドアの開閉異常を検出する。
【0019】
図2は、異常検出部15の構成を示したブロック図である。図2に示すように、異常検出部15は、トルク偏差出力部9から出力されるトルク偏差に対する異常判定基準値を1回微分演算部11での演算結果に応じて補正する補正部21と、トルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差を補正部21で補正された異常判定基準値と比較することでドアの開閉異常を判定する判定部22とを備える。以下、説明を加える。
【0020】
判定部22では、トルク偏差出力部9から出力されるトルク偏差の値が、予め設定された異常判定基準値よりも大きい場合には開閉異常であるとの判定を行う。しかしながら、トルク偏差の絶対値を異常判定基準値と比べただけでは、人やその他の物体等に起因する重い負荷なのか、風等に起因する軽い負荷なのかを判断できない場合がある。人やその他の物体等に起因する負荷の場合には開閉異常と判断すべきであるが、風(風圧)等に起因する負荷の場合には開閉異常と判断すべきではない。
【0021】
そこで、1回微分演算部11の微分値が相対的に大きい場合には、人やその他の物体等に起因する負荷である可能性が高いので、補正部21によりトルク偏差の異常判定基準値を相対的に低く設定し、開閉異常と判定されやすいようにする。一方、1回微分演算部11の微分値が相対的に小さい場合には、風等に起因する負荷である可能性が高いので、補正部21によりトルク偏差の異常判定基準値を相対的に高く設定し、開閉異常と判定されにくいようにする。すなわち、1回微分演算部11の微分値が相対的に小さい場合ほど、異常判定基準値に加算する補正値を大きくする。
【0022】
判定部22では、このようにして補正された異常判定基準値よりもトルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差の方が大きい場合に、開閉異常と判定する。
【0023】
開閉異常と判定された場合には、一連の開閉動作を中止し、人やその他の物体がドアに挟まれたりドアに引き込まれたりすることを防止する。
【0024】
このように、本実施形態では、1回微分演算部11を設け、トルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差と1回微分演算部11での演算結果とに基づいてドアの開閉異常を検出するようにしたので、人やその他の物体がドアに接触してトルク偏差が増大したのか、或いは風等の影響でトルク偏差が増大したのかを的確に判別することができる。その結果、的確なドアの開閉制御を行うことが可能となる。
【0025】
なお、上述した実施形態では、異常検出部15で異常検出を行う際に、1回微分演算部11での演算結果に応じて異常判定基準値の値を補正するようにしたが、1回微分演算部11での演算結果に応じて異常判定に費やす時間を補正するようにしてもよい。図3(a)に示すように、一般にトルク偏差は単調増加する傾向にある。したがって、例えば風等に起因する軽い負荷の場合には、異常判定に費やす時間を短くすることで、異常判定基準値に加算する補正値を大きくすることと等価な補正を行うことができる。
【0026】
また、上述した実施形態における異常検出にファジー推論を適用することも可能である。以下、ファジー推論の適用例について説明する。
【0027】
図4に示すように、トルク偏差1回微分値に対して、「部分値:大」、「部分値:中」及び「部分値:小」のラベルを設け、それぞれに対して「0〜1」のグレードを割り当てる。そして、以下のようなファジールールにしたがって異常判定「硬」「中」及び「軟」を判断し、異常判定基準値に加算する補正値を決定する。
【0028】
もしトルク偏差1回微分値の値が大きければ、異常判定「硬」であるとし、異常判定基準値に加算する補正値を「部分値:小」とする。
【0029】
もしトルク偏差1回微分値の値が中程度であれば、異常判定「中」であるとし、異常判定基準値に加算する補正値を「部分値:中」とする。
【0030】
もしトルク偏差1回微分値の値が小さければ、異常判定「軟」であるとし、異常判定基準値に加算する補正値を「部分値:大」とする。
【0031】
例えば、風等の軽い負荷の場合には、トルク偏差1回微分値は小さくなり、柔らかい負荷であると判断し、異常判定基準値に加算する補正値を「部分値:大」とする。人やその他の物体等の重い負荷の場合には、トルク偏差1回微分値は大きくなり、硬い負荷であると判断し、異常判定基準値に加算する補正値を「部分値:小」とする。
【0032】
一例をあげて説明する。例えば、トルク偏差1回微分値が図4のA点であったとする。そして、「部分値:大」のグレード値が「0.7」で、「部分値:中」のグレード値が「0.3」であるとする。また、「部分値:大」のグレード値が1.0の場合の補正値が「100」であり、「部分値:中」のグレード値が1.0の場合の補正値が「50」であるとする。この場合、上記ファジールールにしたがった補正値は、「100×0.7+50×0.3=85」となる。したがって、異常判定基準値に加算する補正値は「85」となる。
【0033】
上述したようなファジー推論を用いた場合にも、先に述べた効果と同様の効果を得ることが可能である。
【0034】
(実施形態2)
図5は、第2の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。なお、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態で述べた事項についての説明は省略する。
【0035】
本実施形態では、第1の実施形態で述べた1回微分演算部11の代わりに2回微分演算部12を設けている。2回微分演算部12では、トルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差に対して2回微分を行う。
【0036】
人や軽い物体等の場合は、図6(a)に示すように、時間に対するトルク偏差の関係は2次関数的な傾向を示す場合が多い。このような場合、図6(b)に示すように、2回微分を行うことで一定値が得られる。したがって、負荷が人や軽い物体等の場合には、2回微分を行うことが有効である。
【0037】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、的確なドアの開閉制御を行うことが可能となる。特に、本実施形態は、人や軽い物体等の負荷の検出に対して効果的である。
【0038】
なお、第1の実施形態で述べた1回微分演算部11と、第2の実施形態で述べた2回微分演算部12の両者を微分演算部として設けてもよい。すなわち、トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差に対して1階微分及び2階微分の少なくとも一方の微分演算を行う微分演算部を設けることが可能である。
【0039】
(実施形態3)
図7は、第3の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。なお、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態で述べた事項についての説明は省略する。
【0040】
本実施形態では、速度検出部4で検出された速度に基づいてドアの変位を検出するドア変位検出器13を備えている。具体的には、ドア変位検出器13では、速度検出部4で検出された速度を積分することでドアの変位を求めている。そして、異常検出部15では、ドア変位検出器13で検出されたドアの変位と微分演算部(1回微分演算部11、2回微分演算部12)での演算結果との関係にさらに基づいてドアの開閉異常を検出する。
【0041】
図8は本実施形態の一例を説明するための図である。図8(a)はドア変位とトルク偏差との関係を示した図であり、図8(b)はドア変位とトルク偏差の1回微分との関係を示した図である。
【0042】
図8(a)は、かごドアと乗り場ドアとが係合したときに発生するトルクの偏差を示している。かごドアと乗り場ドアとが係合する位置は一定であり、一定のドア変位位置でトルク偏差が発生する。そこで、図8(b)示すように、トルク偏差を微分し、その微分値が所定箇所で所定値以上になった場合には、かごドアと乗り場ドアとが係合したことによってトルク偏差が生じたものと判断する。このような場合には、異常検出部15では、係合による変動分(トルク増加分)を異常判定基準値に加算して異常判定基準値を補正する。これにより、誤って開閉異常と判定されることを防止することができる。
【0043】
図9は、本実施形態の他の例を説明するための図である。図9(a)はドア変位とトルク偏差との関係を示した図であり、図9(b)はドア変位とトルク偏差の1回微分との関係を示した図である。
【0044】
風(風圧)等に起因するトルク偏差は、図9(a)に示すように1次関数的に増加し、トルク偏差の1回微分値は一定値となる傾向にある。そこで、このような場合には風等の影響であると判断し、異常検出部15では、1次関数となるような補正値を異常判定基準値に加算して異常判定基準値を補正する。これにより、誤って開閉異常と判定されることを防止することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態では、ドアの変位と微分演算部での演算結果との関係に基づいてドアの開閉異常を検出するため、誤って開閉異常と判定されることを防止することができる。
【0046】
(実施形態4)
図10は、第4の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。なお、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態で述べた事項についての説明は省略する。
【0047】
本実施形態でも、第3の実施形態と同様に、1回微分演算部11、2回微分演算部12及びドア変位検出器13を備えている。さらに、本実施形態では、ドア変位検出器13で検出されたドアの変位と微分演算部(1回微分演算部11、2回微分演算部12)での演算結果との関係を記憶する変位量記憶部14を備えている。そして、異常検出部15では、現時点で求められた上記関係(ドアの変位と微分演算部での演算結果との関係)と変位量記憶部14に記憶された上記関係(ドアの変位と微分演算部での演算結果との関係)との比較結果にさらに基づいてドアの開閉異常を検出する。
【0048】
上記のように、本実施形態では、ドア変位と微分演算結果との関係を変位量記憶部14に記憶する。変位量記憶部14には、ドアの開閉動作が行われる毎に、ドア変位と微分演算結果との関係が記憶される。そして、新たなドアの開閉動作が行われると、変位量記憶部14に記憶されている関係(ドア変位と微分演算結果との関係)と、現時点(新たなドアの開閉動作の時点)での関係(ドア変位と微分演算結果との関係)とが比較される。両者の関係が同等である場合には、定常的に発生している負荷変動と考えられるため、開閉異常とは判断しない。両者の関係が同等でない場合には、開閉異常であると判断する。なお、階床毎に上述した関係を記憶しておいてもよい。
【0049】
以上のように、本実施形態では、ドア変位と微分演算結果との関係を記憶しておき、現時点で得られた関係と記憶部に記憶されている関係との比較結果に基づいてドアの開閉異常を検出するため、誤って開閉異常と判定されることを防止することができる。
【0050】
なお、上述した第1〜第4の実施形態において、ハンデキャップボタンが押された場合や、エレベータかご内の乗客数が多いと判断された場合には、通常の場合よりもドアに挟まれたり引き込まれたりするリスクが高くなる。したがって、このような場合には、異常判定基準値に加算する補正値を低めに設定してもよい。すなわち、エレベータの利用状況に応じて異常判定基準値に加算する補正値を変化させるようにしてもよい。
【0051】
以上のように、上述した各実施形態によれば、的確なドア制御を行うことが可能となる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…モータ 2…パルスエンコーダ 3…開閉パターン出力部
4…速度検出器 5…速度制御器 6…電流制御器
7…電力変換器 8…電流検出部 9…トルク偏差出力部
10…推定トルク出力部 11…1回微分演算部 12…2回微分演算部
13…ドア変位検出器 14…変位量記憶部 15…異常検出部
21…補正部 22…判定部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ装置では、ドアに人やその他の物体が挟まれることを防止するため、予め想定した駆動トルクと実際のトルクとの偏差を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−159461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、予め想定した駆動トルクと実際のトルクとの偏差を求める方法では、人やその他の物体がドアに接触してトルク偏差が増大したのか、或いは風等の影響でトルク偏差が増大したのかを判別できない場合がある。そのため、従来のエレベータ装置では、的確なドア制御を行うことが困難であった。
【0005】
したがって、的確なドア制御を行うことが可能なエレベータ装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るエレベータ装置は、エレベータのドアを駆動するモータと、前記モータの回転に基づく速度を検出する速度検出部と、前記速度検出部で検出された速度と予め設定された速度指令との偏差に応じたトルク指令を出力する速度制御部と、前記モータの電流を検出する電流検出部と、前記速度制御部から出力されたトルク指令に応じた電流と前記電流検出部で検出された電流との偏差に基づいて前記モータに対する電流制御を行う電流制御部と、前記速度制御部から出力されたトルク指令と予め推定された推定トルクとの偏差を出力するトルク偏差出力部と、前記トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差に対して1階微分及び2階微分の少なくとも一方の微分演算を行う微分演算部と、前記トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差と前記微分演算部での演算結果とに基づいて前記ドアの開閉異常を検出する異常検出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係り、異常検出部15の構成を示したブロック図である。
【図3】図3(a)は時間に対するトルク偏差を表した図であり、図3(b)は時間に対するトルク偏差の1回微分を表した図である。
【図4】第1の実施形態におけるファジー推論の適用例について説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。
【図6】図6(a)は時間に対するトルク偏差を表した図であり、図6(b)は時間に対するトルク偏差の2回微分を表した図である。
【図7】第3の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。
【図8】図8(a)はドア変位に対するトルク偏差を表した図であり、図8(b)はドア変位に対するトルク偏差の1回微分を表した図である。
【図9】図9(a)はドア変位に対するトルク偏差を表した図であり、図9(b)はドア変位に対するトルク偏差の1回微分を表した図である。
【図10】第4の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を図面を参照して説明する。
【0009】
(実施形態1)
図1は、第1の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。
【0010】
モータ1は、エレベータのドアを駆動するものである。このモータ1にはパルスエンコーダ2が接続されており、パルスエンコーダ2によってモータ1の回転角が検出される。パルスエンコーダ2には速度検出器4が接続されており、この速度検出器4によってモータ1の速度(回転速度)が検出される。
【0011】
速度検出器4で検出された速度は、開閉パターン出力部3に予め設定された速度指令と比較される。この速度指令は、ドアの開閉速度(移動速度)の変化に対応したモータ速度の変化を表すものである。速度制御器5では、速度検出器4で検出された速度と開閉パターン出力部3から出力された速度指令との速度偏差に応じたトルク指令が出力される。
【0012】
なお、速度検出器4によって検出される速度は、モータ1の回転速度そのものではなく、モータ1の回転に基づく速度であればよい。例えば、ドアの開閉速度(移動速度)であってもよい。この場合には、開閉パターン出力部3には、速度指令としてドアの開閉速度(移動速度)の変化が設定される。
【0013】
モータ1の電流(駆動電流)は、電流検出部8で検出される。そして、電流制御器6では、速度制御器5から出力されたトルク指令に応じた電流と電流検出部8で検出された電流との偏差に基づいてモータ1に対する電流制御が行われる。具体的には、電流制御器6では、モータ1への電力供給を行う電力変換器7に対する制御指令を発生する。
【0014】
推定トルク出力部10は、ドアを開閉する際に生じるモータの駆動トルクを予め推定して出力するものである。トルク偏差出力部9では、速度制御器5から出力されたトルク指令と推定トルク出力部10から出力された推定トルクとの偏差を出力する。
【0015】
1回微分演算部11は、トルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差に対して1回微分を行うものである。
【0016】
図3(a)は時間に対するトルク偏差を表したものであり、図3(b)は時間に対するトルク偏差の1回微分を表したものである。図3(a)に示すように、風(風圧)等に起因する軽い負荷の場合には、人やその他の物体等に起因する重い負荷の場合に比べてトルク偏差の増加率が小さい。その結果、図3(b)に示すように、軽い負荷の場合には重い負荷の場合に比べてトルク偏差の1回微分の絶対値が小さくなる。
【0017】
ここで、摩擦等に起因するトルクは一定値となるため、トルク偏差の1回微分値はゼロとなる。人やその他の物体等に起因するトルクは時間的変化が大きいため、トルク偏差の1回微分値は大きな値となる。また、風(風圧)に起因するトルクは、人やその他の物体等に起因するトルクに比べて小さいため、トルク偏差の1回微分値は小さな値となる。したがって、トルク偏差の1回微分値を求めることで、どのような負荷に起因するトルクなのかを判定することが可能である。
【0018】
異常検出部15は、上述したような原理に基づいてドアの開閉異常を検出するものである。この異常検出部15は、トルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差と1回微分演算部11での演算結果とに基づいてドアの開閉異常を検出する。
【0019】
図2は、異常検出部15の構成を示したブロック図である。図2に示すように、異常検出部15は、トルク偏差出力部9から出力されるトルク偏差に対する異常判定基準値を1回微分演算部11での演算結果に応じて補正する補正部21と、トルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差を補正部21で補正された異常判定基準値と比較することでドアの開閉異常を判定する判定部22とを備える。以下、説明を加える。
【0020】
判定部22では、トルク偏差出力部9から出力されるトルク偏差の値が、予め設定された異常判定基準値よりも大きい場合には開閉異常であるとの判定を行う。しかしながら、トルク偏差の絶対値を異常判定基準値と比べただけでは、人やその他の物体等に起因する重い負荷なのか、風等に起因する軽い負荷なのかを判断できない場合がある。人やその他の物体等に起因する負荷の場合には開閉異常と判断すべきであるが、風(風圧)等に起因する負荷の場合には開閉異常と判断すべきではない。
【0021】
そこで、1回微分演算部11の微分値が相対的に大きい場合には、人やその他の物体等に起因する負荷である可能性が高いので、補正部21によりトルク偏差の異常判定基準値を相対的に低く設定し、開閉異常と判定されやすいようにする。一方、1回微分演算部11の微分値が相対的に小さい場合には、風等に起因する負荷である可能性が高いので、補正部21によりトルク偏差の異常判定基準値を相対的に高く設定し、開閉異常と判定されにくいようにする。すなわち、1回微分演算部11の微分値が相対的に小さい場合ほど、異常判定基準値に加算する補正値を大きくする。
【0022】
判定部22では、このようにして補正された異常判定基準値よりもトルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差の方が大きい場合に、開閉異常と判定する。
【0023】
開閉異常と判定された場合には、一連の開閉動作を中止し、人やその他の物体がドアに挟まれたりドアに引き込まれたりすることを防止する。
【0024】
このように、本実施形態では、1回微分演算部11を設け、トルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差と1回微分演算部11での演算結果とに基づいてドアの開閉異常を検出するようにしたので、人やその他の物体がドアに接触してトルク偏差が増大したのか、或いは風等の影響でトルク偏差が増大したのかを的確に判別することができる。その結果、的確なドアの開閉制御を行うことが可能となる。
【0025】
なお、上述した実施形態では、異常検出部15で異常検出を行う際に、1回微分演算部11での演算結果に応じて異常判定基準値の値を補正するようにしたが、1回微分演算部11での演算結果に応じて異常判定に費やす時間を補正するようにしてもよい。図3(a)に示すように、一般にトルク偏差は単調増加する傾向にある。したがって、例えば風等に起因する軽い負荷の場合には、異常判定に費やす時間を短くすることで、異常判定基準値に加算する補正値を大きくすることと等価な補正を行うことができる。
【0026】
また、上述した実施形態における異常検出にファジー推論を適用することも可能である。以下、ファジー推論の適用例について説明する。
【0027】
図4に示すように、トルク偏差1回微分値に対して、「部分値:大」、「部分値:中」及び「部分値:小」のラベルを設け、それぞれに対して「0〜1」のグレードを割り当てる。そして、以下のようなファジールールにしたがって異常判定「硬」「中」及び「軟」を判断し、異常判定基準値に加算する補正値を決定する。
【0028】
もしトルク偏差1回微分値の値が大きければ、異常判定「硬」であるとし、異常判定基準値に加算する補正値を「部分値:小」とする。
【0029】
もしトルク偏差1回微分値の値が中程度であれば、異常判定「中」であるとし、異常判定基準値に加算する補正値を「部分値:中」とする。
【0030】
もしトルク偏差1回微分値の値が小さければ、異常判定「軟」であるとし、異常判定基準値に加算する補正値を「部分値:大」とする。
【0031】
例えば、風等の軽い負荷の場合には、トルク偏差1回微分値は小さくなり、柔らかい負荷であると判断し、異常判定基準値に加算する補正値を「部分値:大」とする。人やその他の物体等の重い負荷の場合には、トルク偏差1回微分値は大きくなり、硬い負荷であると判断し、異常判定基準値に加算する補正値を「部分値:小」とする。
【0032】
一例をあげて説明する。例えば、トルク偏差1回微分値が図4のA点であったとする。そして、「部分値:大」のグレード値が「0.7」で、「部分値:中」のグレード値が「0.3」であるとする。また、「部分値:大」のグレード値が1.0の場合の補正値が「100」であり、「部分値:中」のグレード値が1.0の場合の補正値が「50」であるとする。この場合、上記ファジールールにしたがった補正値は、「100×0.7+50×0.3=85」となる。したがって、異常判定基準値に加算する補正値は「85」となる。
【0033】
上述したようなファジー推論を用いた場合にも、先に述べた効果と同様の効果を得ることが可能である。
【0034】
(実施形態2)
図5は、第2の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。なお、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態で述べた事項についての説明は省略する。
【0035】
本実施形態では、第1の実施形態で述べた1回微分演算部11の代わりに2回微分演算部12を設けている。2回微分演算部12では、トルク偏差出力部9から出力されたトルク偏差に対して2回微分を行う。
【0036】
人や軽い物体等の場合は、図6(a)に示すように、時間に対するトルク偏差の関係は2次関数的な傾向を示す場合が多い。このような場合、図6(b)に示すように、2回微分を行うことで一定値が得られる。したがって、負荷が人や軽い物体等の場合には、2回微分を行うことが有効である。
【0037】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、的確なドアの開閉制御を行うことが可能となる。特に、本実施形態は、人や軽い物体等の負荷の検出に対して効果的である。
【0038】
なお、第1の実施形態で述べた1回微分演算部11と、第2の実施形態で述べた2回微分演算部12の両者を微分演算部として設けてもよい。すなわち、トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差に対して1階微分及び2階微分の少なくとも一方の微分演算を行う微分演算部を設けることが可能である。
【0039】
(実施形態3)
図7は、第3の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。なお、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態で述べた事項についての説明は省略する。
【0040】
本実施形態では、速度検出部4で検出された速度に基づいてドアの変位を検出するドア変位検出器13を備えている。具体的には、ドア変位検出器13では、速度検出部4で検出された速度を積分することでドアの変位を求めている。そして、異常検出部15では、ドア変位検出器13で検出されたドアの変位と微分演算部(1回微分演算部11、2回微分演算部12)での演算結果との関係にさらに基づいてドアの開閉異常を検出する。
【0041】
図8は本実施形態の一例を説明するための図である。図8(a)はドア変位とトルク偏差との関係を示した図であり、図8(b)はドア変位とトルク偏差の1回微分との関係を示した図である。
【0042】
図8(a)は、かごドアと乗り場ドアとが係合したときに発生するトルクの偏差を示している。かごドアと乗り場ドアとが係合する位置は一定であり、一定のドア変位位置でトルク偏差が発生する。そこで、図8(b)示すように、トルク偏差を微分し、その微分値が所定箇所で所定値以上になった場合には、かごドアと乗り場ドアとが係合したことによってトルク偏差が生じたものと判断する。このような場合には、異常検出部15では、係合による変動分(トルク増加分)を異常判定基準値に加算して異常判定基準値を補正する。これにより、誤って開閉異常と判定されることを防止することができる。
【0043】
図9は、本実施形態の他の例を説明するための図である。図9(a)はドア変位とトルク偏差との関係を示した図であり、図9(b)はドア変位とトルク偏差の1回微分との関係を示した図である。
【0044】
風(風圧)等に起因するトルク偏差は、図9(a)に示すように1次関数的に増加し、トルク偏差の1回微分値は一定値となる傾向にある。そこで、このような場合には風等の影響であると判断し、異常検出部15では、1次関数となるような補正値を異常判定基準値に加算して異常判定基準値を補正する。これにより、誤って開閉異常と判定されることを防止することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態では、ドアの変位と微分演算部での演算結果との関係に基づいてドアの開閉異常を検出するため、誤って開閉異常と判定されることを防止することができる。
【0046】
(実施形態4)
図10は、第4の実施形態に係るエレベータ装置の構成を示したブロック図である。なお、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態で述べた事項についての説明は省略する。
【0047】
本実施形態でも、第3の実施形態と同様に、1回微分演算部11、2回微分演算部12及びドア変位検出器13を備えている。さらに、本実施形態では、ドア変位検出器13で検出されたドアの変位と微分演算部(1回微分演算部11、2回微分演算部12)での演算結果との関係を記憶する変位量記憶部14を備えている。そして、異常検出部15では、現時点で求められた上記関係(ドアの変位と微分演算部での演算結果との関係)と変位量記憶部14に記憶された上記関係(ドアの変位と微分演算部での演算結果との関係)との比較結果にさらに基づいてドアの開閉異常を検出する。
【0048】
上記のように、本実施形態では、ドア変位と微分演算結果との関係を変位量記憶部14に記憶する。変位量記憶部14には、ドアの開閉動作が行われる毎に、ドア変位と微分演算結果との関係が記憶される。そして、新たなドアの開閉動作が行われると、変位量記憶部14に記憶されている関係(ドア変位と微分演算結果との関係)と、現時点(新たなドアの開閉動作の時点)での関係(ドア変位と微分演算結果との関係)とが比較される。両者の関係が同等である場合には、定常的に発生している負荷変動と考えられるため、開閉異常とは判断しない。両者の関係が同等でない場合には、開閉異常であると判断する。なお、階床毎に上述した関係を記憶しておいてもよい。
【0049】
以上のように、本実施形態では、ドア変位と微分演算結果との関係を記憶しておき、現時点で得られた関係と記憶部に記憶されている関係との比較結果に基づいてドアの開閉異常を検出するため、誤って開閉異常と判定されることを防止することができる。
【0050】
なお、上述した第1〜第4の実施形態において、ハンデキャップボタンが押された場合や、エレベータかご内の乗客数が多いと判断された場合には、通常の場合よりもドアに挟まれたり引き込まれたりするリスクが高くなる。したがって、このような場合には、異常判定基準値に加算する補正値を低めに設定してもよい。すなわち、エレベータの利用状況に応じて異常判定基準値に加算する補正値を変化させるようにしてもよい。
【0051】
以上のように、上述した各実施形態によれば、的確なドア制御を行うことが可能となる。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…モータ 2…パルスエンコーダ 3…開閉パターン出力部
4…速度検出器 5…速度制御器 6…電流制御器
7…電力変換器 8…電流検出部 9…トルク偏差出力部
10…推定トルク出力部 11…1回微分演算部 12…2回微分演算部
13…ドア変位検出器 14…変位量記憶部 15…異常検出部
21…補正部 22…判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのドアを駆動するモータと、
前記モータの回転に基づく速度を検出する速度検出部と、
前記速度検出部で検出された速度と予め設定された速度指令との偏差に応じたトルク指令を出力する速度制御部と、
前記モータの電流を検出する電流検出部と、
前記速度制御部から出力されたトルク指令に応じた電流と前記電流検出部で検出された電流との偏差に基づいて前記モータに対する電流制御を行う電流制御部と、
前記速度制御部から出力されたトルク指令と予め推定された推定トルクとの偏差を出力するトルク偏差出力部と、
前記トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差に対して1階微分及び2階微分の少なくとも一方の微分演算を行う微分演算部と、
前記トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差と前記微分演算部での演算結果とに基づいて前記ドアの開閉異常を検出する異常検出部と、
を備えたことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
前記異常検出部は、前記トルク偏差出力部から出力されるトルク偏差に対する異常判定基準値を前記微分演算部での演算結果に応じて補正する補正部と、前記トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差を前記補正部で補正された異常判定基準値と比較することで前記ドアの開閉異常を判定する判定部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
前記速度検出部で検出された速度に基づいて前記ドアの変位を検出するドア変位検出部をさらに備え、
前記異常検出部は、前記ドア変位検出部で検出された前記ドアの変位と前記微分演算部での演算結果との関係にさらに基づいて前記ドアの開閉異常を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
前記速度検出部で検出された速度に基づいて前記ドアの変位を検出するドア変位検出部と、
前記ドア変位検出部で検出された前記ドアの変位と前記微分演算部での演算結果との関係を記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記異常検出部は、現時点で求められた前記関係と前記記憶部に記憶された前記関係との比較結果を反映させて前記ドアの開閉異常を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項1】
エレベータのドアを駆動するモータと、
前記モータの回転に基づく速度を検出する速度検出部と、
前記速度検出部で検出された速度と予め設定された速度指令との偏差に応じたトルク指令を出力する速度制御部と、
前記モータの電流を検出する電流検出部と、
前記速度制御部から出力されたトルク指令に応じた電流と前記電流検出部で検出された電流との偏差に基づいて前記モータに対する電流制御を行う電流制御部と、
前記速度制御部から出力されたトルク指令と予め推定された推定トルクとの偏差を出力するトルク偏差出力部と、
前記トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差に対して1階微分及び2階微分の少なくとも一方の微分演算を行う微分演算部と、
前記トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差と前記微分演算部での演算結果とに基づいて前記ドアの開閉異常を検出する異常検出部と、
を備えたことを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
前記異常検出部は、前記トルク偏差出力部から出力されるトルク偏差に対する異常判定基準値を前記微分演算部での演算結果に応じて補正する補正部と、前記トルク偏差出力部から出力されたトルク偏差を前記補正部で補正された異常判定基準値と比較することで前記ドアの開閉異常を判定する判定部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
前記速度検出部で検出された速度に基づいて前記ドアの変位を検出するドア変位検出部をさらに備え、
前記異常検出部は、前記ドア変位検出部で検出された前記ドアの変位と前記微分演算部での演算結果との関係にさらに基づいて前記ドアの開閉異常を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
前記速度検出部で検出された速度に基づいて前記ドアの変位を検出するドア変位検出部と、
前記ドア変位検出部で検出された前記ドアの変位と前記微分演算部での演算結果との関係を記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記異常検出部は、現時点で求められた前記関係と前記記憶部に記憶された前記関係との比較結果を反映させて前記ドアの開閉異常を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−56704(P2012−56704A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201460(P2010−201460)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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