説明

エンジンのシリンダヘッドガスケット

【課題】 加工工具の耐久性を低下させることなくシリンダヘッドガスケットに微小径の連通孔を容易に形成できるようにする。
【解決手段】 シリンダヘッドガスケット30を2枚のメタルシート31,32を積層してなるメタルガスケットとし、シリンダブロックのトップデッキ12に形成された中子支持孔16に対応して各ボアの周囲複数位置にシリンダブロックのウォータジャケット11とシリンダヘッドのウォータジャケット23とを連通するエア抜き用の連通孔37を、各メタルシート31,32にプレス加工で形成した孔37a,37bを相互にオフセットさせ、オーバラップ部分が実質的に微小径(例えば径1mm程度の丸孔に相当)の孔となるよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのシリンダヘッドガスケットに関し、特に、シリンダブロックのウォータジャケットとシリンダヘッドのウォータジャケットとを連通するガス抜き孔等の連通孔を備えたシリンダヘッドガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの冷却装置は、シリンダブロックおよびシリンダヘッドにウォータジャケットを形成し、ラジエータを循環する冷却水をウォータポンプを介しシリンダブロックのウォータジャケットに導入してシリンダブロックを冷却するとともに一部をシリンダヘッドのウォータジャケットに流し、また、シリンダブロックのウォータジャケットを流れた冷却水を立ち上がり通路を介しシリンダヘッドのウォータジャケットに上げてシリンダヘッドを冷却し、その後、アウトレット部から排出して、ラジエータに循環させ、あるいはバイパス通路等を経て循環させるよう構成するのが普通である(例えば、特許文献1参照。)。
する
【0003】
また、エンジンのシリンダブロックのシリンダヘッドとの締結面にはシリンダヘッドガスケットを配設するが、そのシリンダヘッドガスケットの一例として、少なくとも2枚のメタルシートからなる積層構造としたものが従来から知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−224651号公報
【特許文献2】特開平10−159649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、冷却水をシリンダブロックのウォータジャケットに導入してシリンダブロックを冷却するとともに一部をシリンダヘッドのウォータジャケットに流し、また、シリンダブロックのウォータジャケットを流れた冷却水を立ち上がり通路を介しシリンダヘッドのウォータジャケットに上げて、シリンダヘッドを冷却し、アウトレット部から排出するようエンジンの冷却装置を構成すると、シリンダブロック側で、例えばシリンダヘッド側に冷却水を上げる箇所のウォータジャケット下部に冷却水の澱みが生じ易い。
【0006】
その点、直列多気筒エンジンのシリンダブロック側で気筒列方向の一端側から導入した冷却水をシリンダブロックの一方の側面に沿って気筒列方向の他端側まで一方向に導き、他端側の最端部の気筒周辺を廻ってシリンダブロックの他方の側面に沿って反対方向に流す所謂Uターン冷却方式では、冷却水が一方向に流れるため、澱みが生じ難い。しかし、Uターン冷却方式でも、シリンダブロックがウォータジャケット上部にトップデッキを備えたクローズドデッキタイプのシリンダブロックの場合は、鋳造時の中子支持孔があって、この孔がシリンダヘッドガスケットで完全に塞がれると、孔の部分にエアが溜まったり、冷却水の澱みが生じたりする惧れがある。
【0007】
そのため、シリンダヘッドガスケットには中子支持孔に対応してエア抜きのために連通孔が形成される。しかし、連通孔があまり大きいと、この連通孔を介してシリンダブロック側からシリンダヘッド側へ冷却水が流れてしまい、冷却水の本来の流れが妨げられる。特にUターン冷却の場合、途中で冷却水があまシリンダヘッド側へ漏れたのでは、下流側に冷却水が十分流れなくなってしまう。
【0008】
そこで、シリンダヘッドガスケットに形成するエア抜き用の連通孔は、エア抜きに必要な最小限度の大きさ、例えば径1mm程度にしたいという要求がある。ところが、そのような微小径の連通孔は加工が難しい。シリンダヘッドガスケットが例えばメタルガスケットの場合、そうした孔はポンチ工具で形成するが、径1mm程度の微小径の孔だと、ポンチがすぐに摩耗してしまう。つまり、シリンダヘッドガスケットに微小径の連通孔を形成すると加工工具の耐久性が低下してしまう。
【0009】
本発明はこうした問題に鑑みてなされたもので、加工工具の耐久性を低下させることなくシリンダヘッドガスケットに微小径の連通孔を容易に形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はエンジンのシリンダヘッドガスケットを次のとおり構成することにより上記課題を解決した。
【0011】
すなわち、本発明のエンジンのシリンダヘッドガスケットは、シリンダブロックのシリンダヘッドとの締結面に配設するエンジンのシリンダヘッドガスケットであって、シリンダブロックのウォータジャケットとシリンダヘッドのウォータジャケットとを連通する連通孔が形成され、少なくともその連通路形成部分が複数枚のシートからなる積層構造で、各シートに形成された孔がシート面に平行な方向に相互にオフセットし、それらの孔のオーバラップ部分が絞り部となって前記連通孔を構成していることを特徴とする。
【0012】
このように複数枚のシートの孔をオフセットさせることにより、それぞれのシートの孔はそれほど小さくなくても連通孔の孔面積を実質小さくすることができ、シリンダヘッドガスケットに加工の難しい微小径の連通孔を容易に形成でき、加工工具の耐久性を向上させることができる。
【0013】
ここで、積層構造をなす複数枚のシートの孔は、シリンダブロック側の配置となるシートの孔に対しシリンダヘッド側の配置となるシートの孔がシリンダヘッドのウォータジャケットを流れる冷却水の流れ方向の下流側にオフセットしているのがよい。
【0014】
このようにシリンダヘッド側のシートの孔がシリンダヘッド側の冷却水の流れ方向の下流側にオフセットしていると、シリンダブロック側に溜まるエアをシリンダヘッド側の流れで吸い出すことができ、エア抜き性が向上する。
【0015】
そして、このガスケットは2枚のメタルシートを積層してなるメタルガスケットで、連通孔を構成する各メタルシートの孔がプレス加工により形成されたものであってよい。
【0016】
メタルガスケットにプレス加工で微小径の孔を形成することは難しいが、2枚のメタルシートの孔のオフセットにより実質小径の孔を形成することで、それぞれのシートの孔は大きくでき、プレスのポンチ工具の耐久性を改善できる。しかも、この場合、メタルのプレス成形のため大量生産が可能である。
【0017】
また、連通孔を構成する各シートの孔は、シリンダブロック側の配置となるシートの孔がシリンダヘッド側の配置となるシートの孔よりも径が大きいのがよい。
【0018】
このようにシリンダブロック側のシートの孔を大きくすることで、エア抜き性が向上する。また、径の大きい孔はプレス加工が容易で、ポンチ工具の耐久性が向上する。
【0019】
そして、このガスケットは、シリンダブロックのウォータジャケットが、所謂Uターン冷却方式のウォータジャケットで、気筒列方向の一端側でインレット通路を介してウォータポンプから冷却水を導入し、該冷却水をシリンダブロックの一方の側面に沿って気筒列方向の他端側まで導き該他端側の最端部の気筒周辺を廻って該シリンダブロックの他方の側面に沿い前記一端側まで流し、該一端側で立ち上がり通路を介して前記シリンダヘッドのウォータジャケットに導出する冷却水通路を構成する直列多気筒エンジンのシリンダヘッドガスケットであって、少なくともシリンダブロックのボア間連結部に近接する位置に前記連通孔が配設されたものであってよい。
【0020】
Uターン冷却方式では、シリンダブロックのボア間連結部に近接する位置に澱みが生じ易く、エアが溜まり易いためこの位置に連通孔を配設するのがよいが、シリンダブロックの途中でシリンダヘッド側へ流れる冷却水の流量が不必要に多くなるのを抑える必要がある。複数枚のシートの孔のオフセットにより実質微小径孔を形成することでそれが可能になり、シリンダブロックの途中でのシリンダヘッド側への冷却水流量を抑えつつエア抜き性を向上させることができる。
【0021】
また、このガスケットは、シリンダブロックがウォータジャケット上部にトップデッキを備えたクローズドデッキタイプのシリンダブロックで、ウォータジャケット用鋳造中子支持孔を備えたエンジンの場合に、その中子支持孔に対応して連通孔を形成するのがよい。
【0022】
クローズデッキタイプではオープンデッキタイプに比べて中子支持孔部にエアが溜まり易いが、その中子支持孔に対応して連通孔を形成することでエア抜き性を向上させ、冷却性を改善することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のとおり、本発明によれば、複数枚のシートの孔をオフセットさせることにより、シリンダヘッドガスケットに加工の難しい微小径の連通孔を容易に形成でき、加工工具の耐久性を向上させることができる。
【0024】
そして、特に、シリンダヘッド側のシートの孔がシリンダヘッド側の冷却水の流れ方向の下流側にオフセットすることにより、シリンダブロック側に溜まるエアをシリンダヘッド側の流れで吸い出すことができ、エア抜き性が向上する。
【0025】
そして、メタルガスケットの場合、2枚のメタルシートの孔のオフセットにより実質小径の孔を形成することで、それぞれのシートの孔は大きくでき、そのためプレスのポンチ工具の耐久性を改善でき、また、大量生産が可能である。
【0026】
また、シリンダブロック側のシートの孔を大きくすることで、エア抜き性が向上し、また、ポンチ工具の耐久性が向上する。
【0027】
そして、特にUターン冷却方式のシリンダブロックのボア間連結部に近接する位置に連通孔を配設し、その連通孔を複数枚のシートの孔のオフセットにより形成して実質微小径とすることにより、シリンダブロックの途中でのシリンダヘッド側への冷却水流量を抑えつつエア抜き性を向上させることができる。
【0028】
また、クローズドデッキタイプのシリンダブロックの場合に、ウォータジャケット用鋳造中子支持孔に対応して連通孔を形成することにより、エア抜き性を向上させることができ、冷却性を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1〜図5は本発明の実施の形態の一例を示す。図1はエンジンおよびその冷却系の構成を示す模式図、図2はエンジンのシリンダブロックの平面図、図3はシリンダブロックのトップデッキ下方で切った水平断面図、図4はシリンダヘッドガスケットの平面図、図5はシリンダヘッドガスケットのエア抜き孔部分の拡大平面図(a)および拡大断面図(b)ある。
【0031】
この実施の形態のエンジンは、水冷クロスフロー式の直列4気筒エンジンで、図1に示すように、シリンダブロック10に直列配置で形成された四つの気筒(#1〜#4)のそれぞれに対し、シリンダヘッド20に吸気ポート21と排気ポート22が二つずつ形成され、それら吸気ポート21と排気ポート22とが気筒列中心を挟んでシリンダヘッド20の互いに反対側の側面に開口している。そして、シリンダブロック10の排気側(図1の上側)がクランク軸(図示せず)の回転によるスラスト側で、吸気側(図1の下側)が反スラスト側である。
【0032】
エンジンの冷却系は、図1に示すように、ラジエータ41を循環した冷却水をウォータポンプ(図示せず)を介してシリンダブロック10のウォータジャケット11に導入してシリンダブロック10をUターン方式で冷却するとともに、一部をシリンダヘッド20のウォータジャケット23に流し、また、シリンダブロック10のウォータジャケットを流れた冷却水を立ち上がり通路(後述のシリンダヘッドガスケット30に形成された連通孔36A〜36D)を介しシリンダヘッド20のウォータジャケット23に上げてシリンダヘッド20を軸流方式で冷却し、その後、アウトレット部24から排出し、サースタットバルブ42の開閉により選択的にウォータポンプハウジング13に連通するラジエータ循環通路43あるいはラジエータバイパス通路44を介して循環させ、また、ウォータポンプハウジング13に常時連通するキャビンヒータ通路45を介して循環させるよう構成されている。ラジエータ循環通路43にはラジエータ41が配設され、その下流側にATFクーラ46が配設されている。また、キャビンヒータ通路45には、車室暖房用のキャビンヒータ47が配設され、その下流に、冷間始動時にエンジンオイルを早期に加温するためのウォーマとして機能し温間時にはクーラとして機能するオイルクーラ48が配設されている。
【0033】
図2に示すように、シリンダブロック10は所謂クローズドデッキタイプのシリンダブロックであって、図3に示すように各気筒(#1〜#4)のボア周囲を取り囲むようウォータジャケット11が形成され、そのウォータジャケット11の上部にトップデッキ12を備えている。
【0034】
そして、図3に示すように、シリンダブロック10には、前端側(図3で左端側)且つ吸気側(図3の下側)の側方部に機械駆動式のウォータポンプ(図示せず)を内蔵するウォータポンプハウジング13が形成され、そのウォータポンプハウジング13とウォータジャケット11の間に、ウォータポンプ(図示せず)から吐出された冷却水をウォータジャケット11に導くインレット通路14が形成されている。
【0035】
ウォータジャケット11は、排気側先行Uターン方式の冷却水通路を構成するもので、インレット通路14を経て導入された冷却水を、図3に矢印で示すように排気側(図3の上側)の側面に沿って後端側(図3の右端側)まで導き、後端側の最端部の気筒(#4)のボア周辺を廻ってシリンダブロック10の吸気側(図3の下側)の側面に沿って前端側(図3の左端側)まで流すよう形成され、吸気側(図3で下側)の前端部(図3で左側の端部)に仕切壁15が形成されてインレット通路5から隔てられている。
【0036】
図2に示すように、シリンダブロック10のトップデッキ12には、ウォータジャケット11を鋳造する際のガス抜き孔を兼ねる中子支持孔(ウォータジャケット用鋳造中子支持孔)16が断続して形成されている。後述のように、これらの中子支持孔16に対応してシリンダヘッドガスケット30に立ち上がり通路用の連通孔36A〜36Dおよびエア抜き用の連通孔37が設けられる。
【0037】
シリンダブロック10のシリンダヘッド20との締結面には、図4のシリンダヘッドガスケット30が配置される。このシリンダヘッドガスケット30は、図5に示すように2枚のメタルシート31,32を積層してなるメタルガスケットで、図4に示すように、各気筒(#1〜#4)に対応するボア孔33、締結用ボルト孔34等が形成され、各ボア孔33を取り囲む配置で、また、各締結用ボルト孔34を含む開口部を取り囲む配置で、また、周縁に沿う配置でビード35が形成されている。
【0038】
そして、シリンダヘッドガスケット30には、シリンダブロック10の中子支持孔16に対応して、シリンダブロック10のウォータジャケット11の上流位置における反スラスト側の1箇所とスラスト側の2箇所、それに、シリンダブロック10のウォータジャケット11の仕切り壁15に近い最下流位置の1箇所の計4箇所に、シリンダブロック10のウォータジャケット11をシリンダヘッド20のウォータジャケット23に連通する、形状並びに大きさがそれぞれ異なる立ち上がり通路用の連通孔36A〜36Dが形成されている。
【0039】
また、シリンダヘッドガスケット30には、やはりシリンダブロック10の中子支持孔16に対応して、シリンダブロック10のボア間連結部に近接する位置を含む各ボアの周囲複数位置に、シリンダブロック10のウォータジャケット11とシリンダヘッド20のウォータジャケット23とを連通するエア抜き用の連通孔37が形成されている。
【0040】
これらエア抜き用の連通孔37は、図5に示すように、シリンダヘッドガスケット30を構成する2枚のメタルシート31,32に、それぞれプレス加工で孔37a,37bを形成し、それら各メタルシート31,32の孔37a,37bがシート面に平行な方向に相互にオフセットし、オーバラップ部分(図5のハッチング部分)が絞り部となって、実質的に微小径(例えば径1mm程度の丸孔に相当)の孔を構成するようにしたものである。
【0041】
これらエア抜き用の連通孔37を構成する各メタルシート31,32の孔37a,37bは、シリンダブロック10側の配置となるメタルシート32の孔37bがシリンダヘッド20側の配置となるメタルシート32の孔37aよりも径が大きく、かつ、シリンダブロック10側の配置となるメタルシート32の孔37bに対しシリンダヘッド20側の配置となるメタルシート32の孔37aが、シリンダヘッド20のウォータジャケットを流れる軸流方式の冷却水の流れ方向の下流側にオフセットするよう形成されている。
【0042】
この実施の形態では、冷却水はウォータポンプ(図示せず)からインレット通路13を経てシリンダブロック10のウォータジャケット11の排気側(スラスト側)に送り込まれ、一部は上流側の立ち上がり通路用の連通孔36A〜36Cからシリンダヘッド20のウォータジャケット23に流れる。そして、シリンダブロック10のウォータジャケット11の排気側(スラスト側)に送り込まれた冷却水は、排気側(スラスト側)をシリンダブロック10の後端側へ流れ、後端部でUターンして吸気側(反スラスト側)に入り、吸気側を前端側に向けて流れ、仕切壁15で画成された終端部の立ち上がり通路用の連通孔36Dからシリンダヘッド20のウォータジャケット23に上がる。そして、シリンダヘッド20のウォータジャケット23では冷却水が排気側と吸気側をそれぞれ軸流方式で後端側へ流れ、アウトレット部24から排出される。
【0043】
そして、その途中でシリンダブロック10のウォータジャケット11に溜まるエアは、エア抜き用の連通孔37からシリンダヘッド20側に抜ける。その際、エア抜き用の連通孔37は、シリンダブロック10側のメタルシート32の孔37bがシリンダヘッド20側のメタルシート32の孔37aよりも径が大きく、かつ、シリンダブロック10側のメタルシート32の孔37bに対しシリンダヘッド20側のメタルシート32の孔37aがシリンダヘッド20のウォータジャケットを流れる軸流方式の冷却水の流れ方向の下流側にオフセットしていることにより、シリンダブロック10側に溜まるエアをシリンダヘッド20側の流れで吸い出す効果が高くなり、エア抜き性が向上する。
【0044】
以上、実施の形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な態様で実施できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態のエンジンおよびその冷却系の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態のエンジンのシリンダブロックの平面図である。
【図3】図1のシリンダブロックのトップデッキ下方で切った水平断面図である。
【図4】本発明の実施の形態のエンジンのシリンダヘッドガスケットの平面図である。
【図5】図3のシリンダヘッドガスケットのエア抜き孔部分の拡大平面図(a)および拡大断面図(b)ある。
【符号の説明】
【0046】
10 シリンダブロック
11 シリンダブロックのウォータジャケット
12 トップデッキ
16 中子支持孔(ウォータジャケット用鋳造中子支持孔)
20 シリンダヘッド
23 シリンダヘッドのウォータジャケット
30 シリンダヘッドガスケット
31、32 メタルシート
36A〜36D 立ち上がり通路用の連通孔
37 エア抜き用の連通孔
37a、37b メタルシートの孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダブロックのシリンダヘッドとの締結面に配設するエンジンのシリンダヘッドガスケットであって、前記シリンダブロックのウォータジャケットと前記シリンダヘッドのウォータジャケットとを連通する連通孔が形成され、少なくともその連通路形成部分が複数枚のシートからなる積層構造で、各シートに形成された孔がシート面に平行な方向に相互にオフセットし、それらの孔のオーバラップ部分が絞り部となって前記連通孔を構成していることを特徴とするエンジンのシリンダヘッドガスケット。
【請求項2】
前記積層構造をなす複数枚のシートの孔は、シリンダブロック側の配置となるシートの孔に対しシリンダヘッド側の配置となるシートの孔がシリンダヘッドのウォータジャケットを流れる冷却水の流れ方向の下流側にオフセットしていることを特徴とする請求項1記載のエンジンのシリンダヘッドガスケット。
【請求項3】
当該ガスケットは2枚のメタルシートを積層してなるメタルガスケットで、前記連通孔を構成する各メタルシートの孔がプレス加工により形成されていることを特徴とする請求項2記載のエンジンのシリンダヘッドガスケット。
【請求項4】
前記連通孔を構成する各シートの孔は、シリンダブロック側の配置となるシートの孔がシリンダヘッド側の配置となるシートの孔よりも径が大きいことを特徴とする請求項2または3記載のエンジンのシリンダヘッドガスケット。
【請求項5】
当該エンジンは、前記シリンダブロックのウォータジャケットが、気筒列方向の一端側でインレット通路を介してウォータポンプから冷却水を導入し、該冷却水をシリンダブロックの一方の側面に沿って気筒列方向の他端側まで導き該他端側の最端部の気筒周辺を廻って該シリンダブロックの他方の側面に沿い前記一端側まで流し、該一端側で立ち上がり通路を介して前記シリンダヘッドのウォータジャケットに導出する冷却水通路を構成する直列多気筒エンジンで、少なくとも前記シリンダブロックのボア間連結部に近接する位置に前記連通孔が配設されたことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のエンジンのシリンダヘッドガスケット。
【請求項6】
前記シリンダブロックがウォータジャケット上部にトップデッキを備えたクローズドデッキタイプのシリンダブロックで、ウォータジャケット用鋳造中子支持孔を備え、該中子支持孔に対応して前記連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のエンジンのシリンダヘッドガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−214304(P2006−214304A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25886(P2005−25886)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】