エンジンのピストン冷却装置
【課題】ピストンを摺動自在に嵌合せしめるシリンダボアを有するシリンダブロックに第1ケース半体が結合され、第1ケース半体とともにクランクケースを結合する第2ケース半体が第1ケース半体に結合され、オイルポンプから供給されるオイルをピストンに向けて噴射するオイルジェットが前記クランクケースに取付けられるエンジンのピストン冷却装置において、オイルポンプからオイルジェットまでに至るまでのオイル通路の単純化および短縮化を図る。
【解決手段】第2ケース半体29に取付けられるオイルポンプから吐出されるオイルを流通させるオイル供給油路150が第2ケース半体29に設けられ、オイルジェット146Aが、オイル供給油路150に接続されるようにして第2ケース半体29に設けられる。
【解決手段】第2ケース半体29に取付けられるオイルポンプから吐出されるオイルを流通させるオイル供給油路150が第2ケース半体29に設けられ、オイルジェット146Aが、オイル供給油路150に接続されるようにして第2ケース半体29に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンを摺動自在に嵌合せしめるシリンダボアを有するシリンダブロックに第1ケース半体が結合され、第1ケース半体とともにクランクケースを結合する第2ケース半体が第1ケース半体に結合され、オイルポンプから供給されるオイルを前記ピストンに向けて噴射するオイルジェットが前記クランクケースに取付けられるエンジンのピストン冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クランクケースが、シリンダブロックに一体に形成される上ケース半体と、その上ケース半体に結合される下ケース半体とで構成され、シリンダブロックのシリンダボアに摺動自在に嵌合されるピストンに向けてオイルを噴出してピストンを冷却するオイルジェットが、シリンダブロックに設けられるようにしたエンジンのピストン冷却装置が、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−78366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されるものでは、クランクケースの下部に結合されるオイルパン内からオイルポンプで吸い上げられたオイルが、下ケース半体を介してクランクシャフトの軸受部を潤滑した後にシリンダブロックと一体の上ケース半体に導かれるようにしてオイルジェットに供給されるように構成されている。しかるに、このような構造では、オイルポンプからオイルジェットまでに至るまでのオイル通路が複数部品にわたって構成されることになり、オイル通路が複雑でかつ長くなり易いという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、オイルポンプからオイルジェットまでに至るまでのオイル通路の単純化および短縮化を図ったエンジンのピストン冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ピストンを摺動自在に嵌合せしめるシリンダボアを有するシリンダブロックに第1ケース半体が結合され、第1ケース半体とともにクランクケースを結合する第2ケース半体が第1ケース半体に結合され、オイルポンプから供給されるオイルを前記ピストンに向けて噴射するオイルジェットが前記クランクケースに取付けられるエンジンのピストン冷却装置において、第2ケース半体に取付けられるオイルポンプから吐出されるオイルを流通させるオイル供給油路が第2ケース半体に設けられ、前記オイルジェットが、前記オイル供給油路に接続されるようにして第2ケース半体に設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記オイルジェットが、第2ケース半体に取付けられるオイルジェット本体に、前記オイル供給油路に通じる油路と、該油路に通じるジェット孔とが設けられて成ることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記オイルジェット本体が、締結部材で第2ケース半体に脱着可能に取付けられることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記オイルジェット本体が、第2ケース半体に取付けられる基部と、該基部から前記ピストン側に向けて延出するととともに前記ジェット孔が設けられる延出部とを一体に有し、前記オイル供給油路に通じるようにして前記基部に設けられる第1の油路に、前記ジェット孔に通じて前記延出部に設けられる第2の油路が連通されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、第2の油路は、前記延出部にその先端側と反対側から穿孔加工されて形成される有底の加工孔の開口端がプラグで閉じられて成り、第2の油路に連通する第1の油路が第2の油路とは交差する方向に延びるようにして前記基部に設けられることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第2〜第5の特徴のいずれかの構成に加えて、前記ジェット孔が、前記延出部の先端を含む複数箇所に設けられることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第1〜第3の特徴のいずれかに加えて、前記オイルジェットと対向する別の位置に配置される第2のオイルジェットが、前記ピストンに向けてオイルを噴射するジェット孔を有して第1ケース半体に設けられることを第7の特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、第1〜第3、第7の特徴の構成のいずれかに加えて、前記オイルジェットに設けられるジェット孔が、前記ピストンが下死点にあるときに該ピストン内に配置されるように、前記オイルジェットが形成されることを第8の特徴とする。
【0014】
なお実施の形態の第1シリンダブロック24Aが本発明のシリンダブロックに対応し、実施の形態のシリンダボア30Aが本発明のシリンダボアに対応し、実施の形態のピストン31Aが本発明のピストンに対応し、実施の形態のフィードポンプ59が本発明のオイルポンプに対応し、実施の形態の第1オイルジェット146A,146Bが本発明のオイルジェットに対応し、実施の形態の第3オイルジェット148A,148Bが本発明の他のオイルジェットに対応し、実施の形態の第1オイル供給油路150が本発明のオイル供給油路に対応し、実施の形態のボルト156が本発明の締結部材に対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、第2ケース半体に取付けられるオイルポンプからのオイルを流通させるオイル供給油路が第2ケース半体に設けられ、オイル供給油路に接続されるオイルジェットが第2ケース半体に設けられるので、オイルポンプからオイルジェットまでに至るまでのオイル通路の単純化および短縮化を図ることができる。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、オイルジェットが、オイルジェット本体に、前記オイル供給油路に通じる油路と、その油路に通じるジェット孔とが設けられて成り、オイルジェット本体が第2ケース半体に取付けられるので、オイルジェットがクランクケースに直接設けられる場合と比べて、オイルジェットからの噴射方向の自由度を高めることができる。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、オイルジェットが第2ケース半体に着脱可能に取付けられるので、ピストンの種別に応じてオイルジェットを取り替えて対応することが可能であり、汎用性を高めることができる。
【0018】
本発明の第4の特徴によれば、オイルジェット本体が、第2ケース半体に取付けられる基部と、該基部から延出するととともにジェット孔が設けられる延出部とを一体に有し、基部および延出部に設けられる油路を介してジェット孔がオイル供給油路に通じるので、第2ケース半体からジェット孔までのオイルの受け渡しを容易に行うことができる。
【0019】
本発明の第5の特徴によれば、オイルジェット本体の延出部に向けられる第2の油路が、延出部にその先端側と反対側から穿孔加工されて形成される有底の加工孔の開口端がプラグで閉じられて成るものであり、基部に設けられる第1の油路が第2の油路とは交差する方向に延びるので、第1および第2の油路を別工程での直線的な穿孔加工の後、第2の油路側でプラグによる閉塞作業を行うことで、複雑な加工を行うことなく第1および第2の油路をオイルジェット本体に容易に形成することができる。
【0020】
本発明の第6の特徴によれば、ジェット孔が延出部の先端を含む複数箇所に設けられるので、ジェット孔の配置の自由度を高めることができる。
【0021】
本発明の第7の特徴によれば、第2ケース半体側に設けられるオイルジェットと対向する別の位置に配置されるようにして第1ケース半体に設けられる第2のオイルジェットからピストンに向けてオイルを噴射されるので、オイルジェットを第1および第2ケース半体側に振り分けて配置するようにして、クランクケースの構成にかかわらずオイルジェットの配置自由度を高めることができる。
【0022】
さらに本発明の第8の特徴によれば、オイルジェットのジェット孔が下死点にあるピストン内に位置するので、ジェット孔からピストンの内側に確実にオイルを噴射するようにして、オイルによるピストンの冷却性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施の形態のエンジンの要部縦断側面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】クランクシャフトの側面図である。
【図4】クランクシャフトの図3と同一方向から見た縦断面図である。
【図5】図1の5−5線矢視方向から見た第1ケース半体の底面図である。
【図6】図1の6−6線矢視方向から見た第2ケース半体の平面図である。
【図7】図1の7−7線矢視方向から見て一部を切欠いたポンプユニットの横断平面図である。
【図8】図7の8ー8線断面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】図1の10矢示部の縦断側面図である。
【図11】図10の11−11線断面図である。
【図12】図1の12−12線矢視方向から見たオイルパンの平面図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【図14】オイルレベルファインダを図12の14矢視方向から見た図である。
【図15】図14の15−15線断面図である。
【図16】図5の16−16線断面図である。
【図17】図1の17矢示部拡大図である。
【図18】第1オイルジェットの拡大縦断面図である。
【図19】図18の19−19線断面図である。
【図20】第2オイルジェットを図17の20矢視方向から見た斜視図である。
【図21】図5の21−21線に沿う第3オイルジェットの断面図である。
【図22】図6の22−22線断面図である。
【図23】図4の23−23線断面図である。
【図24】図4の24−24線断面図である。
【図25】第2の実施の形態を示すものであって図17に対応した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0025】
本発明の第1の実施の形態について図1〜図24を参照しながら説明すると、先ず図1および図2において、車両たとえば自動二輪車に、たとえば4気筒のV型エンジンが搭載されており、このエンジンのエンジン本体21は、自動二輪車の左右方向に延びる軸線を有するクランクシャフト22を回転自在に支承するクランクケース23と、自動二輪車の進行方向に沿う前方側でクランクケース23に結合される第1シリンダブロック24Aと、第1シリンダブロック24Aの上端に結合される第1シリンダヘッド25Aと、第1シリンダヘッド25Aの上端に結合される第1ヘッドカバー26Aと、自動二輪車の進行方向に沿う後方側でクランクケース23に結合される第2シリンダブロック24Bと、第2シリンダブロック24Bの上端に結合される第2シリンダヘッド25Bと、第2シリンダヘッド25Bの上端に結合される第2ヘッドカバー26Bと、前記クランクケース23の下部に結合されるオイルパン27とを備える。
【0026】
前記クランクケース23は、第1および第2シリンダブロック24A,24Bにたとえば一体に結合される第1ケース半体28と、第1ケース半体28に結合される第2ケース半体29とから成るものであり、前記クランクシャフト22は第1ケース半体28および第2ケース半体29間で回転自在に支承される。
【0027】
第1シリンダブロック24Aは、クランクシャフト22の軸線に沿う方向に並ぶ2つのシリンダボア30A…を有し、第2シリンダブロック24Bは、クランクシャフト22の軸線に沿う方向に並ぶとともに第1シリンダブロック24Aのシリンダボア30A…とはクランクシャフト22の軸線方向にずれた位置に配置される2つのシリンダボア30B…を有しており、第1シリンダブロック24A…のシリンダボア30A…にそれぞれ摺動自在に嵌合されるピストン31A…はコネクティングロッド32A…を介して前記クランクシャフト22に連接され、第2シリンダブロック24B…のシリンダボア30B…にそれぞれ摺動自在に嵌合されるピストン31B…はコネクティングロッド32B…を介して前記クランクシャフト22に連接される。
【0028】
図3および図4において、前記クランクシャフト22は、複数たとえば一対の同軸であるクランクピン22a,22bと、それらのクランクピン22a,22bの軸方向両外側に配置されるとともにエンジン本体21のクランクケース23に回転自在に支承される一対の外側ジャーナル部22c,22dと、前記両クランクピン22a,22b間に配置されるとともに前記クランクケース23に回転自在に支承される中間ジャーナル部22eとを一体に有する。
【0029】
図5および図6を併せて参照して、クランクケース23を協働して構成する第1ケース半体28および第2ケース半体29には、前記両外側ジャーナル部22c,22dを軸支する軸孔33,34を相互間に形成する支持壁28a,28b;29a,29bと、前記中間ジャーナル部22eを軸支する軸孔35を相互間に形成する支持壁28c,29cとが、クランクシャフト22の軸線に直交する平面に沿うようにして一体に設けられ、前記中間ジャーナル部22eを支承する支持壁28c,29cと、前記両外側ジャーナル部22c,22dを支承する前記支持壁28a,28b;29a,29bとの間にはクランク室36,36が形成される。
【0030】
また前記クランク室36…の後方で前記クランクケース23内には変速機室37が形成され、前記クランクケース23および前記オイルパン27間には、前記クランク室36…の下方に位置するオイル溜め室38が前記変速機室37に通じるようにして形成され、前記クランク室36…と、前記変速機室37および前記オイル溜め室38との間を隔てる隔壁39がクランクケース23に設けられる。
【0031】
前記変速機室37には、常時噛合い式の歯車変速機40が収納されるものであり、この歯車変速機40は、クランクシャフト22と平行な軸線を有してクランクケース23の第2ケース半体29に回転自在に支承されるメインシャフト41と、該メインシャフト41と平行な軸線を有してクランクケース23の第1および第2ケース半体28,29間で回転自在に支承されるカウンタシャフト42と、選択的な確立を可能としてメインシャフト41およびカウンタシャフト42間に設けられる複数変速段たとえば6段の歯車列群43とを備えるものであり、メインシャフト41の一端部にはクランクシャフト22からの動力がクラッチ44を介して入力される。
【0032】
また自動二輪車の進行方向前方を向いた状態でクランクケース23の左側壁から突出したカウンタシャフト42の端部には駆動スプロケット45が固定され、図示しない後輪に動力を伝達するための無端状のチェーンが駆動スプロケット45に巻き掛けられる。
【0033】
クラッチ44は、メインシャフト41との相対回転を不能としたクラッチインナ47と、メインシャフト41との相対回転が可能であるクラッチアウタ48とを備える従来周知の乾式の多板式クラッチである。
【0034】
ところで、クランクシャフト22の一端部は、自動二輪車の進行方向前方を向いた状態でクランクケース23の右側の支持壁28a,29aから突出されており、支持壁28a,29aの外方でクランクシャフト22の一端部には比較的大径であるプライマリドライブギヤ49が固定され、このプライマリドライブギヤ49に噛合するプライマリドリブンギヤ50が、ダンパばね51を介して前記クラッチ44のクラッチアウタ48に連結される。
【0035】
クランクケース23には、該クランクケース23の右側の一部を覆う第1右側カバー193が結合されており、第1右側カバー193およびクランクケース23には第2右側カバー194が結合され、前記プライマリドライブギヤ49、前記プライマリドリブンギヤ50および前記ダンパばね51を収容するとともに変速機室37に通じている減速機室196が、第1および第2右側カバー193,194と前記クランクケース23との間に形成される。またする第2右側カバー194から外部に突出するメインシャフト41の外端部に前記クラッチ44が設けられ、該クラッチ44の下部を外側方から覆う第3右側カバー195が第2右側カバー194に結合される。
【0036】
前記クランクシャフト22の他端部は、自動二輪車の進行方向前方を向いた状態でクランクケース23における左側の支持壁28b,29bから突出されており、このクランクシャフト22の他端部には、発電機52のアウターロータ53が固定される。また前記アウターロータ53とともに発電機52を構成するインナーステータ54が、発電機52を覆うようにしてクランクケース23の左側壁に結合される発電機カバー55に固定される。
【0037】
図7および図8を併せて参照して、前記クランクケース23の前記隔壁39には、前記油溜め室38の上部に位置するポンプユニット56が下方から取付けられるものであり、このポンプユニット56は、一対のスカベンジポンプ57,58と、両スカベンジポンプ57,58間に挟まれるフィードポンプ59とから成り、両スカベンジポンプ57,58およびフィードポンプ59は、それらのポンプ57,58,59の配列方向に延びる共通な単一のポンプ軸60を有する。
【0038】
前記ポンプユニット56のポンプケース61は、第1ボディ62,第2ボディ63、プレート64、第3ボディ65および第4ボディ66が、複数個たとえば3個のボルト67,68,69で締結されて成り、前記隔壁39に下方から取付けられるものであり、ポンプケース61を回転自在に貫通するポンプ軸60の一端部にはポンプ用被動ギヤ70が固定される。一方、図2で示すように、プライマリドリブンギヤ51とともに回転するポンプ用駆動ギヤ71がクランクケース23の外方でメインシャフト41に支承されており、このポンプ用駆動ギヤ71が前記ポンプ用被動ギヤ70に噛合される。したがって両スカベンジポンプ57,58およびフィードポンプ59は、クランクシャフト22からの動力伝達により駆動されることになる。
【0039】
スカベンジポンプ57,58およびフィードポンプ59は、トロコイド式のものである。而してスカベンジポンプ57は、第1および第2ボディ61,62間に形成されるポン プ室72内に、ポンプ軸60に固定されるインナーロータ73と、該インナーロータ73に噛み合うアウターロータ74とが収納されて成り、スカベンジポンプ58は、第3および第4ボディ65,66間に形成されるポンプ室75内に、ポンプ軸60に固定されるインナーロータ76と、該インナーロータ76に噛み合うアウターロータ77とが収納されて成り、フィードポンプ59は、プレート64および第3ボディ65間に形成されるポンプ室78に、ポンプ軸60に固定されるインナーロータ79と、該インナーロータ79に噛み合うアウターロータ80とが収納されて成る。
【0040】
図6に注目して、前記クランクケース23の隔壁39には、一対のクランク室36,36内の下部に落下したオイルを収集するオイル収集孔81,82が、各クランク室36,36毎に設けられ、前記ポンプユニット56の両スカベンジポンプ57,58は、前記クランク室36,36の下部に落下したオイルを前記オイル収集孔81,82を経て吸入してオイル溜め室38に戻すものであり、ポンプユニット56におけるポンプケース61の第1および第4ボディ62,66には、前記オイル収集孔81,82に一端を通じさせるとともに他端をポンプ室72,75に通じさせる吸入通路83,84が設けられるとともに、ポンプ室72,75からのオイルを外部に吐出させる吐出孔85,86が設けられる。
【0041】
前記吸入通路83,84は、前記ポンプ軸60の軸線に直交する平面内でポンプケース61の第1および第4ボディ62,66に一体に設けられて側方に延びる延出部62a,66a内に形成されるものであり、吸入通路83,84はポンプケース61から側方に延びるように形成される。
【0042】
前記吐出孔85,86は、スカベンジポンプ57,58を含むポンプユニット56のポンプケース61の外側壁のうち、オイル溜め室38に貯留されるオイルの油面L(図1参照)よりも上方で該油面Lとは異なる側に臨む部分に、スカベンジポンプ57,58からのオイルをオイル溜め室38に向けて噴出するようにして設けられるものであり、望ましくは、吐出孔85,86が、前記ポンプケース61の外側壁のうち前記ポンプ軸60の軸線方向で外方に臨む部分、この実施の形態では第1および第4ボディ62,66の外側壁のうち前記ポンプ軸60の軸線方向で外方に臨む部分に設けられ、ポンプユニット56が、フィードポンプ59と、該フィードポンプ59を両側から挟む一対のスカベンジポンプ57,58とが、ポンプ軸60の軸線方向に並んで配置されて成るものであるので、第1および第4ボディ62,66の外側壁のうち前記フィードポンプ59とは反対側の外側壁に吐出孔85,86がそれぞれ設けられる。
【0043】
ところで前記吐出孔85,86は、ポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上で前記吸入通路83,84とは周方向にずれた位置に配置されており、前記吐出孔85,86が、クランクケース23の隔壁39にスカベンジポンプ57,58すなわちポンプユニット56が取付けられた状態で前記ポンプ軸60の軸線よりも上方に配置されるのに対して、前記吸入通路83,84はポンプ軸60の軸線よりも下方に配置されており、ポンプ軸60の軸線を通る水平線HLよりも下方に前記吸入通路83,84が配置される。またポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上で、前記吐出孔85,86は、前記ポンプ軸60の軸線を通る鉛直線VL上に在るようにポンプ軸60の上方に配置される。
【0044】
またスカベンジポンプ57,58すなわちポンプユニット56のポンプケース61には、スカベンジポンプ57,58すなわちポンプユニット56の前記隔壁39への取付け状態では、ポンプ軸60の軸線を通る水平線HLが横切る位置に配置されるリリーフ弁87,88が配設されるものであり、この実施の形態では、一方のスカベンジポンプ57においては吐出孔85がポンプ軸60の上方に配置されるようにして第1ボディ62に設けられ、前記水平線HLが横切る位置に配置されるようにしてリリーフ弁87が第1ボディ62に配設され、他方のスカベンジポンプ58においては吐出孔88がポンプ軸60の上方に配置されるようにして第4ボディ66に設けられ、前記水平線HLが横切る位置に配置されるようにしてリリーフ弁88が第4ボディ66に配設される。
【0045】
ところで、前記ポンプケース61における第1ボディ62には、ポンプ軸60の軸線に沿って外側方に突出する円筒状の軸受部62bが一体に設けられており、その軸受部62bを貫通するポンプ軸60および軸受部62b間には一対のブッシュ89,89が介装され、ポンプ軸60および第3ボディ65間にブッシュ90が介装され、ポンプ軸60および第4ボディ66間にはブッシュ91が介装される。
【0046】
前記軸受部62bおよび前記ポンプ軸60間に介装される一対のブッシュ89,89間には、スカベンジポンプ57の吐出側からオイルが給油されるものであり、図9で示すように、スカベンジポンプ57の吐出側からのオイルを前記軸受部62bに導く給油路93が前記ポンプケース61の第1ボディ62に設けられる。
【0047】
すなわち第1ボディ62には、スカベンジポンプ57のポンプ室72および前記吐出孔85間を結ぶ吐出通路92が設けられており、その吐出通路92に一端を通じさせる給油路93の他端が前記両ブッシュ89,89間で前記軸受部62bの内周面に開口する。而して前記給油路93は、前記吐出通路92を斜めに横切るようにして第1ボディ62に穿孔加工された穿孔孔の外端がプラグ94で閉じられて成るものであり、前記吐出孔85は、図8で明示されるように、ポンプ軸60の軸線方向から見て前記給油路93に周方向で隣接するように配置される。
【0048】
図10を併せて参照して、前記ポンプケース61における第3ボディ65には、上下に延びる通路形成部65aが一体に設けられており、この通路形成部65aには、前記フィードポンプ59のポンプ室78にオイルを吸入するための吸入通路97が設けられ、この吸入通路97の下端は下方に向けて開口される。而してフィードポンプ59は、オイルパン27内に配置されるオイルストレーナ98を介して油溜め室38内のオイルを吸入するものであり、このオイルストレーナ98が前記吸入通路97に接続される。
【0049】
前記オイルストレーナ98のケーシング99は、吸い込み通路100を形成して上下に延びる吸い込み管部99aと、該吸い込み管部99aよりも側方に拡大するようにして前記吸い込み管部99aの上端に連なるフィルタ保持部99bと、フィルタ保持部99bから上方に延びる接続管部99cとを備えるものであり、接続管部99cの上端部は、前記吸入通路97に通じるようにして前記通路形成部65aの下端部に液密に嵌合される。
【0050】
図11を併せて参照して、前記フィルタ保持部99bは、その少なくとも一部が円弧状となるような横断面形状を有するように形成され、このフィルタ保持部99bには、たとえばメッシュ部材101が保持枠102で保持されて成るフィルタ103が収容、保持される。
【0051】
前記フィルタ保持部99bは、前記フィルタ103の形状に対応して一方向(エンジン本体21の車両搭載状態では該車両の左右方向)に長い長方形もしくは長円形の横断面形状を有するように形成されるものであり、この実施の形態では、フィルタ103が長円形状であることから、前記フィルタ保持部99bは、前記一方向に沿う一端側に円弧部104を有するようにしつつ長円形の横断面形状を有するように形成される。
【0052】
前記オイルストレーナ98は、オイルパン27で支持されるようにしてオイルパン27内に配置されるものであり、オイルパン27の側壁内面には、オイルストレーナ98のフィルタ保持部99cに下方から当接して前記吸い込み管部99aの上部の少なくとも一部を囲む支持腕105が設けられる。
【0053】
ところでオイルパン27は、下端を閉じて上下に延びる横断面矩形状の筒状部27aと、該筒状部27aの一側方たとえば後方に補機類たとえばエンジンの排気管等を配置するための凹部109を前記筒状部27aと協働して形成するようにして前記筒状部27aの上部から前記一側方(たとえば後方)に張り出す張出部27bとを一体に有するように形成され、前記筒状部27aの側壁内面に前記支持腕105が固設される。
【0054】
図12および図13を併せて参照して、前記支持腕105は、前記オイルストレーナ98における前記吸い込み管部99aの上部を少なくとも三方から囲むように形成されるものであり、この実施の形態では、前記支持腕105が、前記吸い込み管部99aの上部を少なくとも三方から覆うための少なくとも3つの腕部105a,105b,105cを一体に有し、それらの腕部105a〜105cのうち少なくとも2つの腕部105a,105bがそれらの長手方向に沿ってオイルパン27における前記筒状部27aの側壁内面にたとえば一体に固設される。
【0055】
しかも前記筒状部27aの側壁の一部が、この実施の形態では筒状部27aの左右両側壁が下方に向かうにつれてオイルストレーナ98に近接するように傾斜した傾斜面106,107を内面に有するように形成され、前記支持腕105が、前記傾斜面106,107の一方106のうち支持腕105よりも下方側と鋭角αをなすようにして一方の前記傾斜面106にたとえば一体に固設される。
【0056】
しかも支持腕105が備える3つの支持腕部105a〜105cの1つ105aが、前記フィルタ保持部99bの円弧形状に沿って湾曲する湾曲部105dを先端側に有するように形成されつつその長手方向全長にわたって前記筒状部27aの側壁内面のうち前記傾斜面106にたとえば一体に固設される。
【0057】
またフィルタ保持部99bが、一方向に長い長方形もしくは長円形の横断面形状を有するように形成されるのに対して、前記支持腕105のうち腕部105bが前記一方向に沿って筒状部27aの側壁内面に固設される。さらに前記支持腕105のうち腕部105cの下面と、前記筒状部27aの側壁内面との間にはリブ108が設けられる。
【0058】
前記オイルストレーナ98が備える吸い込み管部99の下端は、オイルパン27の底部に臨んで開口する吸い込み口110が吸い込み通路100に通じて設けられており、その吸い込み口110の周辺には、オイル中に含まれる金属片や鉄系異物を吸着して捕獲するための棒状の磁性体111が配置される。この磁性体111は、吸い込み口110内に少なくとも一部が突入されるようにしてオイルパン27の底部に配設され、前記吸い込み口110のうち側面視で前記磁性体111と重なる範囲Aは、オイルパン27の底部に向かうにつれて大径となるように拡径される。
【0059】
前記磁性体111は、棒状のマグネット112と、該マグネット112に密着して同軸に連接される棒状の鉄系金属部材113とで構成されており、マグネット112を前記鉄系金属部材113および前記オイルパン27の底部間に挟むようにして前記鉄系金属部材113が前記オイルパン27に固定される。
【0060】
ところでオイルパン27の底部には、マグネット112を嵌合、保持する保持筒部114が上方に突出するようにして一体に設けられており、オイルパン27との間に前記マグネット112を挟む前記鉄系金属部材113が、前記保持筒部114の開口端側に嵌合される。しかも鉄系金属部材113は、保持筒部114に離脱不能に固定されるものであり、この実施の形態では、保持筒部114の内周に設けられる環状の係止溝115に前記鉄系金属部材113の外周に装着されるクリップ116が係合されることで前記鉄系金属部材113が、その一部を前記保持筒部114の先端から突出させて前記保持筒部114に固定される。
【0061】
図14および図15において、前記オイル溜め室38内に貯留されたオイルの油面Lは、たとえばエンジン本体21の車両への搭載状態でオイルパン27の右前方に配置されるようにしてオイルパン27およびクランクケース23に取付けられるオイルレベルファインダ120によって外部から点検可能である。
【0062】
前記オイルレベルファインダ120は、オイル溜め室38に通じる下部連通路121および上部連通路122を有するものであり、下部連通路121は、オイル溜め室38内の前記油面Lよりも下方でオイル溜め室38に連通するようにして水平方向に延びるように形成され、上部連通路122は、前記油面Lよりも上方で前記オイル溜め室38に連通するようにして上下方向に延びるように形成される。
【0063】
前記オイル溜め室38に貯留されるオイルの油面Lよりも下方でオイル溜め室38に通じる下部接続孔123が、水平軸線を有してオイルパン27の上部に設けられ、オイルレベルファインダ120の下部連通路121は下部接続孔123に同軸に連通される。一方、前記クランクケース23の第2ケース半体29のうち前記オイルパン27よりも右前方に張り出した部分には、前記上部連通路122を連通せしめる上部接続孔124が、減速機室196に通じるようにして設けられる。而して減速機室196は変速機室37を介して油溜め室38の上部に通じており、上部接続孔124は、減速機室196および変速機室37を介して油溜め室38の油面Lよりも上方に連通している。
【0064】
前記オイルレベルファインダ120は、前記オイルパン27内のオイルを導入する連通室125を形成する管状部材126と、該管状部材126に設けられた窓128を閉じるようにして前記管状部材126に固定される透光部材としてのガラス板127とを備えるものであり、前記連通室125の下部に通じる下部連通路121を形成して管状部材126の下部に一体に設けられる下部接続管126aが、下部連通路121を下部接続孔123に同軸に連通せしめるべく下部接続孔123に液密に嵌合され、前記連通室125の上部に通じる上部連通路122を形成して管状部材126の上部に一体に設けられる上部接続管126bが、上部連通路122を上部接続孔124に同軸に連通せしめるべく上部接続孔124に液密に嵌合される。
【0065】
而して前記減速機室196から管状部材126の連通室125を経てオイル溜め室38側にオイルを戻すことを可能として、オイルレベルファインダ120の上部連通路122が前記減速機室196に連通されることになる。
【0066】
前記オイルレベルファインダ120は、クランクケース23およびオイルパン27の結合面を上下に跨がるように配置されるものであり、管状部材126の下部接続管126aをオイルパン27に嵌合し、管状部材126の上部接続管126bをクランクケース23における第2ケース半体29に嵌合することで、オイルレベルファインダ120が、オイルパン27およびクランクケース23に直接取付けられることになる。
【0067】
ところで矩形の平板状であるガラス板127の外周部は、管状部材126と、該管状部材126にたとえば4個のねじ部材130,130…で着脱可能に取付けられる押さえ部材129とで挟持されるものであり、前記ガラス板127の外周部と、前記管状部材126および前記押さえ部材129との間は、たとえばガラス板127の外周部を嵌合させるようにして無端状に連なり嵌合凹部133を内周に有するシール部材132でそれぞれシールされる。
【0068】
また管状部材126には、前記窓128と、平板状である前記ガラス板127を収容する収容凹部134とが設けられ、前記ガラス板127の外周部を平板状である前記押さえ部材129との間に挟む段部135が前記収容凹部134および前記窓128間に形成される。しかも前記押さえ部材129には、規定のオイル量での油面高さを表した目盛り136が設けられる。
【0069】
再び図7に注目して、前記ポンプユニット56におけるポンプ軸60の他端部にはウォータポンプ用駆動ギヤ137が固定され、図示しないウォータポンプには、前記ポンプ軸60から回転動力が伝達される。
【0070】
前記ポンプユニット56におけるフィードポンプ59のポンプ室78から吐出されるオイルを導く吐出通路138が、前記ポンプケース61における第3ボディ65が一体に有する通路形成部65aに設けられ、図10で示すように、前記吐出通路138および吸入通路97間に介設されるリリーフ弁139が前記通路形成部65aに配設される。
【0071】
前記フィードポンプ59の吐出通路138は、クランクケース23における第2ケース半体29に設けられる空冷のオイルクーラ(図示せず)およびオイルフィルタ(図示せず)を介して、クランクケース23の右側壁に取付けられる第1右側カバー193に設けられる油路141(図2参照)に接続されるとともに、クランクケース23の左側壁に取付けられる発電機カバー55に設けられる油路(図示せず)に接続されており、第1右側カバー193の油路141ならびに前記発電機カバー55の油路は、第1および第2シリンダブロック24A,24B間で前記クランクケース23の第1ケース半体28に設けられるメインギャラリー142の両端部に接続される。
【0072】
図16において、前記クランクケース23における第1ケース半体28の支持壁28a,28b,28cには、クランクシャフト22の外側ジャーナル部22c,22dおよび中間ジャーナル部22eと、前記支持壁28a〜28cとの間に前記メインギャラリー142からのオイルを供給するための油路143,144,145が前記軸孔33〜35の内周に開口するようにして設けられる。
【0073】
図17において、クランクケース23における第2ケース半体29の上部前壁には、第1シリンダブロック24Aのシリンダボア30A,30Aに摺動自在に嵌合されるピストン31A,31Aを冷却するためにクランク室36,36毎に配置される一対の第1オイルジェット146A,146Aが取付けられ、第2シリンダブロック24Bのシリンダボア30B,30Bに摺動自在に嵌合されるピストン31B,31Bを冷却するためにクランク室36,36毎に配置される一対の第2オイルジェット147A,147Aがシリンダボア30B…のクランクケース23への開口端よりも後方側に位置するようにしてクランクケース23の第1ケース半体28に取付けられ、両シリンダブロック24A,24Bの各ピストン31A…,31B…を冷却するためにクランク室36,36毎に配置される一対の第3オイルジェット148A,148Aが第1および第2シリンダブロック24A,24B間で前記クランクケース23の第1ケース半体28に取付けられる。
【0074】
クランクケース23における第2ケース半体29の前壁上部には、図6および図17で示すように、クランクシャフト22と平行に延びる第1オイル供給油路150が設けられており、この第1オイル供給油路150には、前記メインギャラリー142に通じて第1ケース半体28の前壁に設けられる接続油路149(図5参照)が、第1および第2ケース半体28,29の結合時に連通する。
【0075】
図18および図19を併せて参照して、第1オイルジェット146Aは、第2ケース半体29に取付けられるオイルジェット本体151に、第1オイル供給油路150に通じる一対の第1の油路152,152と、第1の油路152…にそれぞれ通じる一対の第2の油路153,153と、ピストン31Aに向けてオイルを噴出するようにして第2の油路153…に一対ずつ通じる4つのジェット孔154,154;155,155とが設けられて成る。
【0076】
前記オイルジェット本体151は、第2ケース半体29に取付けられる基部151aと、該基部151aから前記ピストン31A側に向けて延出するととともに前記ジェット孔154…,155…が設けられてる延出部151bとを一体に有するものであり、締結部材であるボルト156で脱着可能に第2ケース半体29に締結される。而してオイルジェット本体151の基部151aには、前記ボルト156を挿通せしめる挿通孔157が設けられる。
【0077】
第1の油路152…は、オイルジェット本体151の第2ケース半体29への締結時に第1オイル供給油路150に通じるようにして前記基部151aに設けられるものであり、第2の油路153…は、第1の油路152…に個別に通じるようにして前記延出部15bに設けられる。
【0078】
第2の油路153…は、記延出部151bにその先端側と反対側から穿孔加工されて形成される有底の加工孔の開口端がプラグ158…で閉じられて成り、第2の油路153…に連通する第1の油路152…が第2の油路153…とは交差する方向に延びるようにして前記基部151aに設けられる。
【0079】
第2の油路153…に通じるジェット孔154…,155…は、前記延出部151bの先端を含む複数箇所に設けられるものであり、この実施の形態では、延出部151bの先端にジェット孔154…が設けられ、延出部151bの先端からわずかに基部151a側に寄った部分にジェット孔155…が設けられる。
【0080】
クランクケース23における第1ケース半体28において隔壁39の一部を構成する部分には、図5および図17で示すように、クランクシャフト22と平行に延びる第2オイル供給油路160が設けられており、この第2オイル供給油路160には、前記メインギャラリー142に通じて第1ケース半体28の前壁に設けられる接続油路159が連通する。
【0081】
図20を併せて参照して、第2オイルジェット147Aは、第1ケース半体29にボルト165で締結されるオイルジェット本体161に、第2オイル供給油路160に通じる一対の油路162,162と、ピストン31Bに向けてオイルを噴出するようにして前記各油路162…に一対ずつ通じる4つのジェット孔163,163;164,164とが設けられて成り、オイルジェット本体161には、ボルト165を挿通するための挿通孔166が設けられる。
【0082】
図21を併せて参照して、第3オイルジェット148Aは、前記クランクシャフト22の軸線方向に長く延びて形成されるオイルジェット本体167に、メインギャラリー142に通じる一対の油路168…と、それらの油路168…に共通に通じてオイルジェット本体167の長手方向に延びる油路169と、第1シリンダブロック24A側のピストン31Aに向けてオイルを噴出するようにして前記油路169に通じるジェット孔170と、第2シリンダブロック24B側のピストン31Bに向けてオイルを噴出するようにして前記油路169に通じるジェット孔171とが設けられて成り、オイルジェット本体167は、一対のボルト172,172で第1ケース半体28に締結される。
【0083】
このような第3オイルジェット148A,148Aは、第1シリンダブロック24Aのピストン31A…に第1オイルジェット146A…とは反対側からオイルを噴出することを可能として、第1オイルジェット146A…と対向する別の位置に配置されるようにして第1ケース半体28の上部に取付けられる。
【0084】
図22を併せて参照して、変速機室37の上部に臨む部分で第2ケース半体29の上部には、前記クランクシャフト22と平行に延びる油路173が設けられており、該油路173には、前記メインギャラリー142に通じて第1ケース半体28の前壁に設けられる接続油路159が第1および第2ケース半体28,29の結合時に連通する。
【0085】
しかも前記油路173の長手方向に間隔をあけた複数箇所に配置されるジェット孔174,174…が、変速機室37内の歯車変速機40に向けてオイルを噴出するようにして第2ケース半体29に設けられる。
【0086】
再び図3および図4において、クランクシャフト22には、該クランクシャフト22が備える一対のクランクピン22a,22bと、それらのクランクピン22a,22bに対をなして連接されるコネクティングロッド32A,32B;32A,32Bとの間の潤滑を行うために、該クランクシャフト22の一端側からだけオイルが供給されるものであり、クランクシャフト22の軸方向一端に開口する給油口181と、一対の前記クランクピン22a,22bに対応する部分にそれぞれ配置されるとともに相互に連通される一対のクランクピン給油通路182,183と、それらのクランクピン給油通路182,183のうちクランクシャフト22の軸方向に沿って最も前記給油口181に近いクランクピン給油通路182および前記給油口181間を結ぶ連絡通路184とがクランクシャフト22に設けられ、前記給油口181には、前記第1右側カバー193内の油路141に通じるようにして前記第1右側カバー193に一端が液密に接続される接続管186(図2参照)の他端部が嵌合、接続される。
【0087】
給油口181は、外側ジャーナル部22cを含むクランクシャフト22の一端部に同軸に設けられる。またクランクピン給油通路182,183は、各クランクピン22a,22bの軸線と交差するように傾斜しつつ、前記中間ジャーナル部22eの軸方向中央で相互に直接交わって連通するようにしてクランクシャフト22に設けられる。而して両クランクピン給油通路182,183は、その一端が中間ジャーナル部22eの軸方向中央で相互に交差して交わるようにして各クランクピン22a,22bの軸線と斜めに交差する方向でクランクシャフト22に穿孔加工された加工孔の他端開口部がプラグ187,188で閉じられて成るものであり、両クランクピン給油通路182,183は、同一径に形成される。
【0088】
前記連絡通路184は、その一端が給油口181に連なるようにして前記クランクピン給油通路182に交差して交わるようにしてクランクピン22aに穿孔加工される加工孔の他端開口部がプラグ189で閉じられて成るものであり、前記両クランクピン給油通路182,183は、前記連絡油路184よりも大径に形成される。
【0089】
またクランクシャフト22には、前記連絡通路184と同一径の空洞路185が、前記中間ジャーナル部22cの軸方向中央部で該中間ジャーナル部22cの軸線と直交する平面に関して前記連絡通路184と対称になるようにして設けられるものであり、この空洞路185は、その一端を閉じるようにしつつ前記クランクピン給油通路183に交差して交わるようにしてクランクピン22bに穿孔加工される加工孔の他端開口部がプラグ190で閉じられて成る。
【0090】
前記クランクピン22aには、クランクピン給油通路182に内端を開口するとともに外端を前記クランクピン22aの外周に開口する横オイル通路191,191;192,192が設けられ、それらの横オイル通路191…,192…は、クランクピン22aに連接される一対のコネクティングロッド32A,32B毎に対をなしてクランクピン給油通路182の両側に配置される。
【0091】
また前記クランクピン22bにも、上述のクランクピン22aと同様に、クランクピン給油通路183に内端を開口するとともに外端を前記クランクピン22bの外周に開口する横オイル通路191,191;192,192が設けられ、それらの横オイル通路191…,192…は、クランクピン22bに連接される一対のコネクティングロッド32A,32B毎に対をなしてクランクピン給油通路183の両側に配置される。
【0092】
図23において、クランクピン22bと、該クランクピン22bに連接されるコネクティングロッド32Bとの間にオイルを給油すべく、クランクピン給油通路183に内端を開口するとともに外端を前記クランクピン22bの外周に開口する横オイル通路192,192は、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面への投影図上で、前記クランクピン給油通路183の内周を通って相互に平行に延びる2つの仮想直線LB1,LB2間に配置される。
【0093】
図24において、クランクピン22bと、該クランクピン22bに連接されるコネクティングロッド32Aとの間にオイルを給油すべく、クランクピン給油通路183に内端を開口するとともに外端を前記クランクピン22bの外周に開口する横オイル通路191,191は、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面への投影図上で、前記クランクピン給油通路183の内周を通って相互に平行に延びる2つの仮想直線LA1,LA2間に配置される。
【0094】
すなわちクランクシャフト22の回転軸線に直交する平面への投影図上で、クランクピン給油通路183の内周を通って相互に平行に延びる2つの仮想直線LA1,LA2;LB1,LB2間に、コネクティングロッド32A,32B毎に対をなす前記横オイル通路191,191;192,192が配置されることになる。
【0095】
またクランクピン22a側においても、上記クランクピン22b側と同様に、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面への投影図上で、クランクピン給油通路182の内周を通って相互に平行に延びる2つの仮想直線LA1,LA2;LB1,LB2間に、コネクティングロッド32A,32B毎に対をなす前記横オイル通路191,191;192,192が配置される。
【0096】
しかも前記横オイル通路191,191;192,192は、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面に中心軸線C1,C2を配置するものであり、その中心軸線C1,C2を前記クランクピン給油通路182,183の軸線に交差せしめるようにして前記クランクピン22a,22bに設けられる。
【0097】
ところでクランクシャフト22が備える一対のクランクピン22a,22bには一対のコネクティングロッド32A,32B;32A,32Bが連接されており、それらのコネクティングロッド32A,32B;32A,32B毎に対をなしてそれぞれ配置される2組の前記横オイル通路191,191;192,192の各組毎の中心軸線C1…,C2…を含む2つの平面PL1,PL2間の中央で前記クランクピン22a,22bの軸線に直交する平面PL3と、前記クランクピン22a,22bの軸線との交点を前記クランクピン給油通路182,183の中心軸線が通るようにクランクピン給油通路182,183が形成されており、前記横オイル通路191,191;192,192の前記クランクピン22a,22bの外周への開口端が、クランクピン給油通路182,183の両側で前記クランクピン22a,22bの軸線と平行な2つの直線SL…が通る位置に配置される。
【0098】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、エンジン本体21の内部には、一対のクランク室36…と、該クランク室36…の下方に配置されるオイル溜め室38とが形成されており、クランク室36…の下部からオイル溜め室38にオイルを回収するためのスカベンジポンプ57,58が、エンジン本体21の一部を構成する第2ケース半体29に取付けられるのであるが、オイル溜め室38内の上部に、オイル溜め室38に溜まったオイルの油面Lよりも上方に位置するようにしてスカベンジポンプ57,58が配置され、スカベンジポンプ57,58のポンプケース61の外側壁のうち、前記オイルの油面Lとは異なる側に臨む部分に、スカベンジポンプ57,58からのオイルをオイル溜め室38内に向けて吐出する吐出孔85,86が設けられている。
【0099】
したがってクランク室36…から回収したオイルをオイル溜め室38に直接戻すことによってオイルの回収効率を高めつつ、スカベンジポンプ57,58から吐出されるオイルがオイル溜め室38に溜まったオイルに直接合流しないようにして泡立ちの発生を抑制し、オイルの劣化を抑制することができる。
【0100】
しかもポンプケース61にはポンプ軸60が回転自在に支承され、吐出孔85,86が、ポンプケース61の外側壁のうちポンプ軸60の軸線方向で外方に臨む部分に設けられるので、吐出口85,86から吐出されるオイルを、エンジン本体21のうちスカベンジポンプ57,58の周囲の壁等に当てることで吐出されたオイルの勢いを減衰せしめ、吐出されたオイルをオイル溜め室38に溜まったオイルに緩やかに合流させることによって泡立ちの発生をより一層抑制することができる。
【0101】
またクランク室36からのオイルをポンプケース61内のポンプ室72,75に導く吸入通路83,84が、ポンプケース61から側方に延びるようにしてポンプケース61に設けられ、吐出孔85,86が、ポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上で吸入通路83,84とは周方向にずれた位置に配置されるので、ポンプケース61の空き部分を利用して吐出孔を配置することができる。
【0102】
また吐出孔85,86が、エンジン本体21の第2ケース半体29へのスカベンジポンプ57,58の取付け状態でポンプ軸60の軸線よりも上方に配置され、吸入通路83,84がポンプ軸60の軸線よりも下方に配置されるので、吐出孔85,86をオイル溜め室38内のオイルの油面Lよりも極力上方に配置して、吐出孔85,86から吐出されたオイルがオイル溜め室38に溜まったオイルに合流するまでの間で、吐出されたオイルの勢いを充分に減衰することができる。
【0103】
前記スカベンジポンプ57,58が第2ケース半体29に取付けられた状態にあるときのポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上で、ポンプ軸60の軸線を通る鉛直線VL上に在るようにして吐出孔85,86がポンプ軸60の上方に配置されるので、吐出孔85,86から吐出されたオイルを回転するポンプ軸60上に飛散させ、ポンプ軸60およびポンプケース61間の潤滑に利用することができる。
【0104】
またフィードポンプ59と、フィードポンプ59を両側から挟む一対のスカベンジポンプ57,58とがポンプ軸60の軸線方向に並んで配置されており、両スカベンジポンプ57,58のポンプケース61のうちフィードポンプ59とは反対側の外側壁に吐出孔85,86がそれぞれ設けられるので、両スカベンジポンプ57,58の吐出されるオイルが相互に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0105】
またスカベンジポンプ57,58が第2ケース半体29に取付けられた状態でのポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上でポンプ軸60の軸線を通る水平線HLが横切るようにして、前記スカベンジポンプ57,58のポンプケース61にリリーフ弁87,88が配設されるので、吐出孔85,86がポンプ軸60の軸線よりも上方に在るのに対して、リリーフ弁87,88が、ポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上でポンプ軸60の軸線を通る水平線HLが横切る位置に配置されることになり、リリーフ弁87,88の配置スペースを効果的に確保しつつ、リリーフ弁87,88に吐出孔85,86から吐出されるオイルの吐出圧の変動による影響が及ぶことを極力回避することができる。
【0106】
さらにポンプ軸60を軸支する軸受部62bがポンプケース61に設けられ、スカベンジポンプ57の吐出側からのオイルを軸受部62bに導く給油路93がポンプケース61に設けられ、ポンプ軸60の軸線方向から見て給油路93に周方向で隣接するようにスカベンジポンプ57の吐出孔85が配置されるので、スカベンジポンプ57の吐出側からのオイルを軸受部62bに積極的に供給して、ポンプ軸60および軸受部62b間の潤滑性を高めることができる。
【0107】
オイル溜め室38をクランクケース23との間に形成するオイルパン27内には、フィードポンプ59に接続されるオイルストレーナ98が配置されるものであり、このオイルストレーナ98のケーシング99が、吸い込み通路100を形成して上下に延びるとともに下端部をオイルパン27内に開口した吸い込み管部99aと、該吸い込み管部99aよりも側方に拡大するようにして吸い込み管部99aの上端に連なるフィルタ保持部99bとを有し、オイルパン27の側壁内面には、フィルタ保持部99bに下方から当接して前記吸い込み管部99aの上部の少なくとも一部を囲む支持腕105が設けられる。
【0108】
したがってオイルパン27内の底部にオイルの流れを阻害するようなものが配置されないようにしつつ、オイルストレーナ98のオイルパン27による支持剛性を確保することができる。
【0109】
またオイルパン27が、上下に延びる筒状部27aと、該筒状部27aの一側方に排気管等の補機類を配置するための凹部109を筒状部27aと協働して形成するようにして前記筒状部27aの上部から前記一側方に張り出す張出部27bとを一体に有するように形成され、筒状部27aの側壁内面に支持腕105が固設されるので、筒状部27aの横断面積が、オイルパン27の上端開口部の横断面積よりも小さくなっており、筒状部27aの側壁をオイルストレーナ98に比較的近づけることができ、その側壁に支持腕105が固設されるので側壁からの支持腕105の長さを比較的短くして、重量増加を抑えつつ支持腕105の強度を高めることができる。
【0110】
しかも前記支持腕105が、吸い込み管部99aの上部を少なくとも三方から囲むように形成されるので、オイルストレーナ98の支持腕105による支持剛性を高めることができ、支持腕105が、吸い込み管部99aの上部を少なくとも三方から覆うための少なくとも3つの腕部105a,105b,105cを一体に有し、それらの腕部105a〜105cのうち少なくとも2つの腕部105a,105bがそれらの長手方向に沿って前記筒状部27aの側壁内面に固設されるので、支持腕105のオイルパン27への支持強度を高め、オイルストレーナ98の支持腕105による支持剛性をより高めることができる。
【0111】
また筒状部27aの側壁の一部が、下方に向かうにつれてオイルストレーナ98に近接するように傾斜した傾斜面106,107を内面に有するように形成され、前記支持腕105が、前記傾斜面106,107の一方106のうち支持腕105よりも下方側と鋭角をなすようにして傾斜面106に固設されるので、支持腕105のオイルパン27への支持強度をさらに高めることができる。
【0112】
またオイルストレーナ98のフィルタ保持部99bが少なくとも一部が円弧状となるような横断面形状を有するように形成され、支持腕105が備える3つの支持腕部105a〜105cの1つ105aが、フィルタ保持部99bの円弧形状に沿って湾曲する湾曲部105dを先端側に有するように形成されつつその長手方向全長にわたって前記筒状部27aの側壁内面に固設されるので、湾曲部105dによってフィルタ保持部99bの支持腕105からの離脱を抑えるようにしつつ、湾曲部105dを先端に有する腕部105aの長手方向全長を筒状部27aの側壁内面に固設することで支持腕105のオイルパン27への支持強度をさらに高めることができる。
【0113】
ところでオイルストレーナ98の前記フィルタ保持部99bが、該フィルタ保持部99b内に収容されるフィルタ103の形状に対応して一方向に長い長方形もしくは長円形の横断面形状を有するように形成されており、その一方向に沿って支持腕105が筒状部27aの側壁内面に固設されるので、オイルパン27における筒状部27aの側壁への支持腕105の固設長さを大きくして支持腕105のオイルパン27への支持強度を高めることができる。
【0114】
しかも支持腕105の下面と、筒状部27aの側壁内面との間にリブ108が設けられるので、支持腕105のオイルパン27への支持強度をより一層高めることができる。
【0115】
前記オイルパン27内には、オイル内に混入した金属片や鉄系異物を吸着して捕獲するための磁性体111が配置されるのであるが、この磁性体111は、棒状であり、オイルストレーナ98の吸い込み口110内に少なくとも一部が突入されるようにしてオイルパン27の底部に配設されるので、オイルパン98の形状および配置に制約を加えることなく磁性体111をコンパクトに配置することができ、磁性体111を小型、軽量化することができるとともに、オイルストレーナ98へのオイルの流れを磁性体が阻害することはないので、磁性体111でオイル内の金属破片や鉄系異物を捕獲しながら、吸い込み効率の低下を抑制することができる。
【0116】
また吸い込み口110のうち側面視で磁性体111と重なる範囲Aが、オイルパン27の底部に向かうにつれて大径となるように拡径されるので、吸い込み口110の内周および磁性体11間に充分な流通面積を確保し、吸い込み効率の向上を図ることができる。
【0117】
また磁性体111が、棒状のマグネット112と、該マグネット112に密着して同軸に連接される棒状の鉄系金属部材113とで構成されるので、高価な磁性金属の使用量を抑えてコスト低減を図ることができる。しかもマグネット112を鉄系金属部材113およびオイルパン27の底部間に挟んで鉄系金属部材113がオイルパン27に固定されるので、特別な保持機構を設けずにマグネット112をオイルパン27に保持することができる。
【0118】
磁性体111を保持するために、オイルパン27の底部には、マグネット112を嵌合、保持する保持筒部114が上方に突出するようにして設けられ、オイルパン27との間にマグネット112を挟む鉄系金属部材113が、保持筒部114の開口端側に嵌合されるので、流動するオイルがマグネット112に直接当たらないようにしてマグネット112を確実に保持することができる。
【0119】
しかも鉄系金属部材113が、保持筒部114に離脱不能に固定されるので、保持筒部114からのマグネット112の離脱を確実に阻止することができ、保持筒部114の内周に設けられる環状の係止溝115に鉄系金属部材113の外周に装着されるクリップ116が係合されることで鉄系金属部材113が保持筒部114に固定されるので、クリップ116を用いるだけの簡単な構造で鉄系金属部材113を保持筒部114に固定することができ、コストの増大を抑えることができる。
【0120】
さらに前記鉄系金属部材113が、その一部を保持筒部114の先端から突出させて前記保持筒部114に固定されるので、磁性体111の長さを稼ぎ、金属破片や鉄系異物を捕獲し得る範囲を広げることができる。
【0121】
ところでオイル貯留室38に貯留されたオイルの油面Lは、そのオイル溜め室38に通じる下部連通路121および上部連通路122を有してエンジン本体21に取付けられるオイルレベルファインダ120によって外部から検出可能であり、このオイルレベルファインダ120において、前記下部連通路121が、前記油面Lよりも下方でオイル溜め室38に通じるようにして水平方向に延びるように形成され、前記上部連通路122が、前記油面Lよりも上方でオイル溜め室38に連通するようにして上下方向に延びるように形成されるので、車両が傾斜しても空気が抜ける側の連通路である上部連通路122をオイルが満たして塞ぐことが生じ難くなり、素早く正確なオイルレベルが得られるようにして点検性を高めることができる。
【0122】
またオイル溜め室38は、クランクケース23と、該クランクケース23の下端に結合されるオイルパン27とで構成されており、クランクケース23のうちオイルパン27よりも側方に突出した部分に、オイルレベルファインダ120の上部の上部接続管126bを下方から液密に嵌合せしめる上部接続孔124が、上部接続管126b内に形成される上部連通路122を連通せしめるようにして設けられるので、上部連通路122までオイルが達したとしても重力によってオイルが上部連通路122から落下して正常な油面Lまで下がり易くない、素早く正確なオイルレベルを得ることができる。
【0123】
またオイルレベルファインダ120が、クランクケース23およびオイルパン27の結合面を上下に跨がるように配置され、オイルパン27およびクランクケース23に直接取付けられるので、オイルレベルファインダ120をエンジン本体21に取り付けるための専用部材を不要とした簡単な構造でオイルレベルファインダ120をエンジン本体21に固定することができる。
【0124】
またオイルレベルファインダ120は、下部連通路121を介してオイルパン27内のオイルを導入する連通室125を形成する管状部材126と、該管状部材126に設けられた窓128を閉じるようにして管状部材126に固定されるガラス板127とを備えるので、オイルレベルファインダ120の構成部品を集約化して取り扱いを容易とし、交換作業等での作業が楽になる。
【0125】
しかもガラス板127の外周部が、管状部材126と、該管状部材126に着脱可能に取付けられる押さえ部材129とで挟持されるので、ガラス板127を管状部材126に強固に固定することができ、ガラス板127の外周部と、管状部材126および押さえ部材129との間がシール部材132でそれぞれシールされるので、ガラス板127の外周からのオイル漏れを確実に防止することができる。
【0126】
またガラス板127を管状部材126に固定するにあたって、管状部材126に、窓128と、平板状であるガラス板127を収容する収容凹部134とが、窓128および収容凹部134間に段部135を形成するようにして設けられ、段部135との間にガラス板127の外周部を挟持する平板状の押さえ部材129が、管状部材126に着脱可能に取付けられるので、ガラス板127を管状部材126に確実に保持、固定することができる。
【0127】
しかも押さえ部材129には、規定のオイル量での油面高さを表した目盛り136が設けられるので、目盛り用の特別の部品をオイルレベルファインダ120に取り付けることが不要となるばかりか、検出対象の油面Lおよび目盛り136の距離を近づけて正確にオイルレベルの判定を行うことができる。
【0128】
また減速機室196から管状部材126の連通室125を経てオイル溜め室38側にオイルを戻すことを可能として、オイルレベルファインダ120の上部連通路12が前記減速機室196に連通されているので、管状部材126を、オイルレベルファインダ120として用いるとともにオイル戻し用の配管としても用いるようにして、部品点数の低減を図ることができる。
【0129】
第1シリンダブロック24Aのシリンダボア30Aに摺動自在に嵌合されるピストン31Aは、第1オイルジェット146Aから噴出されるオイルで冷却されるものであり、この第1オイルジェット146Aが、第1シリンダブロック24Aに結合された第1ケース半体28に結合されて第1ケース半体28とともにクランクケース23を構成する第2ケース半体29に、第2ケース半体29に設けられる第1オイル供給油路150に接続されるようにして設けられ、第1オイル供給油路150にオイルを供給するフィードポンプ59も第2ケース半体29に取付けられるので、フィードポンプ59から第1オイルジェット146Aまでに至るまでのオイル通路の単純化および短縮化を図ることができる。
【0130】
また第1オイルジェット146Aが、第2ケース半体29に取付けられるオイルジェット本体151に、第1オイル供給油路150に通じる第1および第2の油路152,153と、それらの油路152,153に通じるジェット孔154,155とが設けられて成るものであるので、オイルジェットがクランクケース23に直接設けられる場合と比べて、第1オイルジェット146Aからの噴射方向の自由度を高めることができる。
【0131】
しかもオイルジェット本体151がボルト156で第2ケース半体29に脱着可能に取付けられるので、ピストン31Aの種別に応じて第1オイルジェット146Aを取り替えて対応することが可能であり、汎用性を高めることができる。
【0132】
また第1オイルジェット146Aのオイルジェット本体151が、第2ケース半体29に取付けられる基部151aと、該基部151aからピストン31A側に向けて延出するととともに前記ジェット孔154…,155…が設けられる延出部151bとを一体に有しており、第1オイル供給油路150に通じるようにして基部151aに設けられる第1の油路152…に、前記ジェット孔154…,155…に通じて延出部151bに設けられる第2の油路153…が連通されるので、第2ケース半体29からジェット孔154…,155…までのオイルの受け渡しを容易に行うことができる。
【0133】
しかも第2の油路153…は、延出部151bにその先端側と反対側から穿孔加工されて形成される有底の加工孔の開口端がプラグ158…で閉じられて成り、第2の油路153…に連通する第1の油路152…が第2の油路153…とは交差する方向に延びるようにして基部151aに設けられるので、第1および第2の油路152…,153…を別工程での直線的な穿孔加工の後、第2の油路153…側でプラグ158…による閉塞作業を行うことで、複雑な加工を行うことなく第1および第2の油路152…,153…をオイルジェット本体151に容易に形成することができる。
【0134】
またジェット孔154…,155…が、延出部151bの先端を含む複数箇所に設けられるので、ジェット孔154…,155…の配置の自由度を高めることができる。
【0135】
さらに第1オイルジェット146Aと対向する別の位置に配置される第3オイルジェット148Aが、ピストン31Aに向けてオイルを噴射するジェット孔170を有して第1ケース半体28に設けられるので、第1および第3オイルジェット146A,148Aを第1および第2ケース半体28,29側に振り分けて配置するようにして、クランクケース23の構成にかかわらずオイルジェット146A,148Aの配置自由度を高めることができる。
【0136】
クランクケース23で回転自在に支承されるクランクシャフト22は、一対のクランクピン22a,22bを有するものであり、このクランクシャフト22には、その軸方向一端に開口する給油口181と、前記各クランクピン22a,22bに対応する部分にそれぞれ配置されるとともに相互に連通される一対のクランクピン給油通路182,183と、それらのクランクピン給油通路182,183のうちクランクシャフト22の軸方向に沿って最も給油口181に近いクランクピン給油通路182および給油口181間を結ぶ連絡通路184とが設けられるのであるが、連絡通路184よりも大径に形成される一対の前記クランクピン給油通路182,183が、各クランクピン22a,22bの軸線と交差するように傾斜しつつ相互に直接交わって連通するようにして、クランクシャフト22に設けられるので、クランクシャフト22の一端側の給油口181から供給されるオイルの流通方向下流側のクランクピン給油通路183にも充分な量の潤滑油を供給することができる。
【0137】
また各クランクピン給油通路182,183が同一径に形成されるので、オイルの流通面積が大きく変化しないようにしてオイルの供給をスムーズに行うことができる。
【0138】
また前記各クランクピン22a,22bには、各クランクピン給油通路182,183に内端を開口するとともに外端をクランクピン22a,22bの外周に開口する横オイル通路191…,192…が、クランクピン22a,22bに連接されるコネクティングロッド32A…,32B…毎に対をなすとともに各クランクピン給油通路182,183の両側に配置されるようにしてそれぞれ設けられるので、クランクピン給油通路182,183からクランクピン22a,22bの外周側にオイルを均等に導いてクランクピン22a,22bおよびコネクティングロッド32A…,32B…間の潤滑性を確保することができる。
【0139】
しかも前記横オイル通路191…,192…は、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面への投影図上で、クランクピン給油通路182,183の内周を通って相互に平行に延びる2つの仮想直線LA1,LA2;LB1,LB2間に、前記コネクティングロッド32A…,32B…毎に対をなして配置されるので、各横オイル通路191…,192…の長さが大きく異ならないようにして、コネクティングロッド32A…,32B…側へのオイルの供給をバランスよく行うことができる。
【0140】
また前記横オイル通路191…,192…は、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面に中心軸線C1…,C2…を配置するとともに、その中心軸線C1…,C2…を前記クランクピン給油通路182,183の軸線に交差せしめるようにしてクランクピン22a,22bに設けられるので、クランクピン給油通路182,183から横オイル通路191…,192…へのオイルの供給を良好に行うことができる。
【0141】
前記クランクシャフト22が備える一対のクランクピン22a,22bには、その1つ毎に一対のコネクティングロッド32A,32Bが連接されるものであり、それらのコネクティングロッド32A…,32B…毎に対をなしてそれぞれ配置される2組の前記横オイル通路191…,192…の各組毎の中心軸線C1…,C2…を含む2つの平面PL1,PL2間の中央でクランクピン22a,22bの軸線に直交する平面PL3と、前記クランクピン22a,22bの軸線との交点をクランクピン給油通路182,183の中心軸線が通るようにクランクピン給油通路182,183が形成され、横オイル通路191…,192…の前記クランクピン22a,22bの外周への開口端が、前記クランクピン22a,22bの軸線と平行な2つの直線SL…が通る位置に配置されることにより、各横通路191…,192…の長さをほぼ等しくすることができ、それによって各横オイル通路191…,192…からクランクピン22a,22bの外周側に流れるオイル量のバランスを図り、両コネクティングロッド32A…,32B…およびクランクピン22a,22b間の潤滑性の均衡を図ることができる。
【0142】
またクランクシャフト22が、軸線を同軸とした一対のクランクピン22a,22bと、それらのクランクピン22a,22bの軸方向両外側に配置されるとともにエンジン本体21のクランクケース23に回転自在に支承される一対の外側ジャーナル部22c,22dと、両クランクピン22a,22b間に配置されるとともに前記クランクケース23に回転自在に支承される中間ジャーナル部21eとを一体に有しており、一対のクランクピン22a,22bにそれぞれ対応した一対のクランクピン給油通路182,183が、前記中間ジャーナル部22eの軸方向中央で相互に直接交わって連通するので、中間ジャーナル部22eを中心としてクランクシャフト22のバランスを図ることができる。
【0143】
さらに前記連絡通路184と同一径の空洞路185が、前記中間ジャーナル部22eの軸方向中央部で該中間ジャーナル部22eの軸線と直交する平面に関して前記連絡通路184と対称にしてクランクシャフト22に設けられるので、クランクシャフト22のバランス性をより高めることができる。
【0144】
本発明の第2の実施の形態について図25を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0145】
クランクケース23における第2ケース半体29の上部前壁には、第1シリンダブロック24Aのシリンダボア30A…に摺動自在に嵌合されるピストン31A…を冷却するために一対の第1オイルジェット146B…が取付けられ、第2シリンダブロック24Bのシリンダボア30B…に摺動自在に嵌合されるピストン31B…を冷却するために一対の第2オイルジェット147B…がシリンダボア30B…のクランクケース23への開口端よりも後方側に位置するようにしてクランクケース23の第1ケース半体28に取付けられ、両シリンダブロック24A,24Bの各ピストン31A…,31B…を冷却するために一対の第3オイルジェット148B…が第1および第2シリンダブロック24A,24B間で前記クランクケース23の第1ケース半体28に取付けられる。
【0146】
第1オイルジェット146Bは、第2ケース半体29に取付けられるオイルジェット本体201に、第2ケース半体に設けられる第1オイル供給油路150に通じる一対の第1の油路202…と、第1の油路202…にそれぞれ通じる一対の第2の油路203…と、ピストン31Aに向けてオイルを噴出するようにして第2の油路203…に一対ずつ通じる4つのジェット孔154,154;155,155とが設けられて成る。
【0147】
前記オイルジェット本体201は、第2ケース半体29に取付けられる基部201aと、該基部201aから前記ピストン31A側に向けて延出するととともに前記ジェット孔154…,155…が設けられてる延出部201bとを一体に有するものであり、ボルト156で脱着可能に第2ケース半体29に締結される。
【0148】
第1の油路202…は、オイルジェット本体201の第2ケース半体29への締結時に第1オイル供給油路150に通じるようにして前記基部201aに設けられるものであり、第2の油路203…は、第1の油路202…に個別に通じるようにして前記延出部201bに設けられる。
【0149】
第2の油路203…に通じるジェット孔154…,155…は、前記延出部201bの先端を含む複数箇所に設けられるものであり、延出部201bは、ピストン31Aが下死点にあるときに該ピストン31A内に前記ジェット孔154…,155…が在るようにして前記基部201aから延出される。
【0150】
第2オイルジェット147Bは、第1ケース半体29にボルト165で締結されるオイルジェット本体205に、第1ケース半体28に設けられた第2オイル供給油路160に通じる一対の油路206…と、ピストン31Bに向けてオイルを噴出するようにして前記各油路206…に一対ずつ通じる4つのジェット孔163…,164…とが設けられて成る。
【0151】
しかも第2オイルジェット147Bは、ピストン31Bが下死点にあるときに該ピストン31B内に前記ジェット孔163…,164…が在るように形成される。
【0152】
第3オイルジェット148Bは、前記クランクシャフト22の軸線方向に長く延びて形成されるオイルジェット本体207に、メインギャラリー142に通じる一対の油路208…と、それらの油路208…に共通に通じてオイルジェット本体207の長手方向に延びる油路209と、第1シリンダブロック24A側のピストン31Aに向けてオイルを噴出するようにして前記油路209に通じるジェット孔170と、第2シリンダブロック24B側のピストン31Bに向けてオイルを噴出するようにして前記油路209に通じるジェット孔171とが設けられて成り、オイルジェット本体207は第1ケース半体28に締結される。
【0153】
しかもオイルジェット本体207は、前記油路208…,209が形成される基部207aと、前記油路209に通じる油路210を形成して前記基部207aから前記ピストン31A側に延びる延出部207bと、前記油路209に通じる油路211を形成して前記基部207aから前記ピストン31B側に延びる延出部207cとを一体に有し、一方の延出部207bの先端に前記油路210に通じるジェット孔170が設けられ、他方の延出部207cの先端に前記油路211に通じるジェット孔171が設けられる。
【0154】
しかも前記延出部207b,207cは、ピストン31A,31Bが下死点にあるときに、それらの延出部207b,207cの先端のジェット孔170,171がピストン31A,31B内にあるように前記基部207aから延出される。
【0155】
この第2の実施の形態によれば、上記第1実施の形態と同様の効果を奏することができる上に、ジェット孔154…,155…,163…,164…,170…,171…からピストン31A,31Bの内側に確実にオイルを噴射するようにして、オイルによるピストン31A,31Bの冷却性を高めることができる。
【0156】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0157】
23・・・クランクケース
24A・・・シリンダブロックである第1シリンダブロック
28・・・第1ケース半体
29・・・第2ケース半体
30A・・・シリンダボア
31A・・・ピストン
59・・・オイルポンプであるフィードポンプ
146A,146B,148A,148B・・・オイルジェット
150・・・オイル供給油路である第1オイル供給油路
151,201・・・オイルジェット本体
151a,201a・・・基部
151b,201b・・・延出部
152,202・・・第1の油路
153,203・・・第2の油路
154,155,170・・・ジェット孔
156・・・締結部材であるボルト
158・・・プラグ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンを摺動自在に嵌合せしめるシリンダボアを有するシリンダブロックに第1ケース半体が結合され、第1ケース半体とともにクランクケースを結合する第2ケース半体が第1ケース半体に結合され、オイルポンプから供給されるオイルを前記ピストンに向けて噴射するオイルジェットが前記クランクケースに取付けられるエンジンのピストン冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クランクケースが、シリンダブロックに一体に形成される上ケース半体と、その上ケース半体に結合される下ケース半体とで構成され、シリンダブロックのシリンダボアに摺動自在に嵌合されるピストンに向けてオイルを噴出してピストンを冷却するオイルジェットが、シリンダブロックに設けられるようにしたエンジンのピストン冷却装置が、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−78366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されるものでは、クランクケースの下部に結合されるオイルパン内からオイルポンプで吸い上げられたオイルが、下ケース半体を介してクランクシャフトの軸受部を潤滑した後にシリンダブロックと一体の上ケース半体に導かれるようにしてオイルジェットに供給されるように構成されている。しかるに、このような構造では、オイルポンプからオイルジェットまでに至るまでのオイル通路が複数部品にわたって構成されることになり、オイル通路が複雑でかつ長くなり易いという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、オイルポンプからオイルジェットまでに至るまでのオイル通路の単純化および短縮化を図ったエンジンのピストン冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ピストンを摺動自在に嵌合せしめるシリンダボアを有するシリンダブロックに第1ケース半体が結合され、第1ケース半体とともにクランクケースを結合する第2ケース半体が第1ケース半体に結合され、オイルポンプから供給されるオイルを前記ピストンに向けて噴射するオイルジェットが前記クランクケースに取付けられるエンジンのピストン冷却装置において、第2ケース半体に取付けられるオイルポンプから吐出されるオイルを流通させるオイル供給油路が第2ケース半体に設けられ、前記オイルジェットが、前記オイル供給油路に接続されるようにして第2ケース半体に設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記オイルジェットが、第2ケース半体に取付けられるオイルジェット本体に、前記オイル供給油路に通じる油路と、該油路に通じるジェット孔とが設けられて成ることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記オイルジェット本体が、締結部材で第2ケース半体に脱着可能に取付けられることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記オイルジェット本体が、第2ケース半体に取付けられる基部と、該基部から前記ピストン側に向けて延出するととともに前記ジェット孔が設けられる延出部とを一体に有し、前記オイル供給油路に通じるようにして前記基部に設けられる第1の油路に、前記ジェット孔に通じて前記延出部に設けられる第2の油路が連通されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第4の特徴の構成に加えて、第2の油路は、前記延出部にその先端側と反対側から穿孔加工されて形成される有底の加工孔の開口端がプラグで閉じられて成り、第2の油路に連通する第1の油路が第2の油路とは交差する方向に延びるようにして前記基部に設けられることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第2〜第5の特徴のいずれかの構成に加えて、前記ジェット孔が、前記延出部の先端を含む複数箇所に設けられることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第1〜第3の特徴のいずれかに加えて、前記オイルジェットと対向する別の位置に配置される第2のオイルジェットが、前記ピストンに向けてオイルを噴射するジェット孔を有して第1ケース半体に設けられることを第7の特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、第1〜第3、第7の特徴の構成のいずれかに加えて、前記オイルジェットに設けられるジェット孔が、前記ピストンが下死点にあるときに該ピストン内に配置されるように、前記オイルジェットが形成されることを第8の特徴とする。
【0014】
なお実施の形態の第1シリンダブロック24Aが本発明のシリンダブロックに対応し、実施の形態のシリンダボア30Aが本発明のシリンダボアに対応し、実施の形態のピストン31Aが本発明のピストンに対応し、実施の形態のフィードポンプ59が本発明のオイルポンプに対応し、実施の形態の第1オイルジェット146A,146Bが本発明のオイルジェットに対応し、実施の形態の第3オイルジェット148A,148Bが本発明の他のオイルジェットに対応し、実施の形態の第1オイル供給油路150が本発明のオイル供給油路に対応し、実施の形態のボルト156が本発明の締結部材に対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、第2ケース半体に取付けられるオイルポンプからのオイルを流通させるオイル供給油路が第2ケース半体に設けられ、オイル供給油路に接続されるオイルジェットが第2ケース半体に設けられるので、オイルポンプからオイルジェットまでに至るまでのオイル通路の単純化および短縮化を図ることができる。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、オイルジェットが、オイルジェット本体に、前記オイル供給油路に通じる油路と、その油路に通じるジェット孔とが設けられて成り、オイルジェット本体が第2ケース半体に取付けられるので、オイルジェットがクランクケースに直接設けられる場合と比べて、オイルジェットからの噴射方向の自由度を高めることができる。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、オイルジェットが第2ケース半体に着脱可能に取付けられるので、ピストンの種別に応じてオイルジェットを取り替えて対応することが可能であり、汎用性を高めることができる。
【0018】
本発明の第4の特徴によれば、オイルジェット本体が、第2ケース半体に取付けられる基部と、該基部から延出するととともにジェット孔が設けられる延出部とを一体に有し、基部および延出部に設けられる油路を介してジェット孔がオイル供給油路に通じるので、第2ケース半体からジェット孔までのオイルの受け渡しを容易に行うことができる。
【0019】
本発明の第5の特徴によれば、オイルジェット本体の延出部に向けられる第2の油路が、延出部にその先端側と反対側から穿孔加工されて形成される有底の加工孔の開口端がプラグで閉じられて成るものであり、基部に設けられる第1の油路が第2の油路とは交差する方向に延びるので、第1および第2の油路を別工程での直線的な穿孔加工の後、第2の油路側でプラグによる閉塞作業を行うことで、複雑な加工を行うことなく第1および第2の油路をオイルジェット本体に容易に形成することができる。
【0020】
本発明の第6の特徴によれば、ジェット孔が延出部の先端を含む複数箇所に設けられるので、ジェット孔の配置の自由度を高めることができる。
【0021】
本発明の第7の特徴によれば、第2ケース半体側に設けられるオイルジェットと対向する別の位置に配置されるようにして第1ケース半体に設けられる第2のオイルジェットからピストンに向けてオイルを噴射されるので、オイルジェットを第1および第2ケース半体側に振り分けて配置するようにして、クランクケースの構成にかかわらずオイルジェットの配置自由度を高めることができる。
【0022】
さらに本発明の第8の特徴によれば、オイルジェットのジェット孔が下死点にあるピストン内に位置するので、ジェット孔からピストンの内側に確実にオイルを噴射するようにして、オイルによるピストンの冷却性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施の形態のエンジンの要部縦断側面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】クランクシャフトの側面図である。
【図4】クランクシャフトの図3と同一方向から見た縦断面図である。
【図5】図1の5−5線矢視方向から見た第1ケース半体の底面図である。
【図6】図1の6−6線矢視方向から見た第2ケース半体の平面図である。
【図7】図1の7−7線矢視方向から見て一部を切欠いたポンプユニットの横断平面図である。
【図8】図7の8ー8線断面図である。
【図9】図8の9−9線断面図である。
【図10】図1の10矢示部の縦断側面図である。
【図11】図10の11−11線断面図である。
【図12】図1の12−12線矢視方向から見たオイルパンの平面図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【図14】オイルレベルファインダを図12の14矢視方向から見た図である。
【図15】図14の15−15線断面図である。
【図16】図5の16−16線断面図である。
【図17】図1の17矢示部拡大図である。
【図18】第1オイルジェットの拡大縦断面図である。
【図19】図18の19−19線断面図である。
【図20】第2オイルジェットを図17の20矢視方向から見た斜視図である。
【図21】図5の21−21線に沿う第3オイルジェットの断面図である。
【図22】図6の22−22線断面図である。
【図23】図4の23−23線断面図である。
【図24】図4の24−24線断面図である。
【図25】第2の実施の形態を示すものであって図17に対応した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0025】
本発明の第1の実施の形態について図1〜図24を参照しながら説明すると、先ず図1および図2において、車両たとえば自動二輪車に、たとえば4気筒のV型エンジンが搭載されており、このエンジンのエンジン本体21は、自動二輪車の左右方向に延びる軸線を有するクランクシャフト22を回転自在に支承するクランクケース23と、自動二輪車の進行方向に沿う前方側でクランクケース23に結合される第1シリンダブロック24Aと、第1シリンダブロック24Aの上端に結合される第1シリンダヘッド25Aと、第1シリンダヘッド25Aの上端に結合される第1ヘッドカバー26Aと、自動二輪車の進行方向に沿う後方側でクランクケース23に結合される第2シリンダブロック24Bと、第2シリンダブロック24Bの上端に結合される第2シリンダヘッド25Bと、第2シリンダヘッド25Bの上端に結合される第2ヘッドカバー26Bと、前記クランクケース23の下部に結合されるオイルパン27とを備える。
【0026】
前記クランクケース23は、第1および第2シリンダブロック24A,24Bにたとえば一体に結合される第1ケース半体28と、第1ケース半体28に結合される第2ケース半体29とから成るものであり、前記クランクシャフト22は第1ケース半体28および第2ケース半体29間で回転自在に支承される。
【0027】
第1シリンダブロック24Aは、クランクシャフト22の軸線に沿う方向に並ぶ2つのシリンダボア30A…を有し、第2シリンダブロック24Bは、クランクシャフト22の軸線に沿う方向に並ぶとともに第1シリンダブロック24Aのシリンダボア30A…とはクランクシャフト22の軸線方向にずれた位置に配置される2つのシリンダボア30B…を有しており、第1シリンダブロック24A…のシリンダボア30A…にそれぞれ摺動自在に嵌合されるピストン31A…はコネクティングロッド32A…を介して前記クランクシャフト22に連接され、第2シリンダブロック24B…のシリンダボア30B…にそれぞれ摺動自在に嵌合されるピストン31B…はコネクティングロッド32B…を介して前記クランクシャフト22に連接される。
【0028】
図3および図4において、前記クランクシャフト22は、複数たとえば一対の同軸であるクランクピン22a,22bと、それらのクランクピン22a,22bの軸方向両外側に配置されるとともにエンジン本体21のクランクケース23に回転自在に支承される一対の外側ジャーナル部22c,22dと、前記両クランクピン22a,22b間に配置されるとともに前記クランクケース23に回転自在に支承される中間ジャーナル部22eとを一体に有する。
【0029】
図5および図6を併せて参照して、クランクケース23を協働して構成する第1ケース半体28および第2ケース半体29には、前記両外側ジャーナル部22c,22dを軸支する軸孔33,34を相互間に形成する支持壁28a,28b;29a,29bと、前記中間ジャーナル部22eを軸支する軸孔35を相互間に形成する支持壁28c,29cとが、クランクシャフト22の軸線に直交する平面に沿うようにして一体に設けられ、前記中間ジャーナル部22eを支承する支持壁28c,29cと、前記両外側ジャーナル部22c,22dを支承する前記支持壁28a,28b;29a,29bとの間にはクランク室36,36が形成される。
【0030】
また前記クランク室36…の後方で前記クランクケース23内には変速機室37が形成され、前記クランクケース23および前記オイルパン27間には、前記クランク室36…の下方に位置するオイル溜め室38が前記変速機室37に通じるようにして形成され、前記クランク室36…と、前記変速機室37および前記オイル溜め室38との間を隔てる隔壁39がクランクケース23に設けられる。
【0031】
前記変速機室37には、常時噛合い式の歯車変速機40が収納されるものであり、この歯車変速機40は、クランクシャフト22と平行な軸線を有してクランクケース23の第2ケース半体29に回転自在に支承されるメインシャフト41と、該メインシャフト41と平行な軸線を有してクランクケース23の第1および第2ケース半体28,29間で回転自在に支承されるカウンタシャフト42と、選択的な確立を可能としてメインシャフト41およびカウンタシャフト42間に設けられる複数変速段たとえば6段の歯車列群43とを備えるものであり、メインシャフト41の一端部にはクランクシャフト22からの動力がクラッチ44を介して入力される。
【0032】
また自動二輪車の進行方向前方を向いた状態でクランクケース23の左側壁から突出したカウンタシャフト42の端部には駆動スプロケット45が固定され、図示しない後輪に動力を伝達するための無端状のチェーンが駆動スプロケット45に巻き掛けられる。
【0033】
クラッチ44は、メインシャフト41との相対回転を不能としたクラッチインナ47と、メインシャフト41との相対回転が可能であるクラッチアウタ48とを備える従来周知の乾式の多板式クラッチである。
【0034】
ところで、クランクシャフト22の一端部は、自動二輪車の進行方向前方を向いた状態でクランクケース23の右側の支持壁28a,29aから突出されており、支持壁28a,29aの外方でクランクシャフト22の一端部には比較的大径であるプライマリドライブギヤ49が固定され、このプライマリドライブギヤ49に噛合するプライマリドリブンギヤ50が、ダンパばね51を介して前記クラッチ44のクラッチアウタ48に連結される。
【0035】
クランクケース23には、該クランクケース23の右側の一部を覆う第1右側カバー193が結合されており、第1右側カバー193およびクランクケース23には第2右側カバー194が結合され、前記プライマリドライブギヤ49、前記プライマリドリブンギヤ50および前記ダンパばね51を収容するとともに変速機室37に通じている減速機室196が、第1および第2右側カバー193,194と前記クランクケース23との間に形成される。またする第2右側カバー194から外部に突出するメインシャフト41の外端部に前記クラッチ44が設けられ、該クラッチ44の下部を外側方から覆う第3右側カバー195が第2右側カバー194に結合される。
【0036】
前記クランクシャフト22の他端部は、自動二輪車の進行方向前方を向いた状態でクランクケース23における左側の支持壁28b,29bから突出されており、このクランクシャフト22の他端部には、発電機52のアウターロータ53が固定される。また前記アウターロータ53とともに発電機52を構成するインナーステータ54が、発電機52を覆うようにしてクランクケース23の左側壁に結合される発電機カバー55に固定される。
【0037】
図7および図8を併せて参照して、前記クランクケース23の前記隔壁39には、前記油溜め室38の上部に位置するポンプユニット56が下方から取付けられるものであり、このポンプユニット56は、一対のスカベンジポンプ57,58と、両スカベンジポンプ57,58間に挟まれるフィードポンプ59とから成り、両スカベンジポンプ57,58およびフィードポンプ59は、それらのポンプ57,58,59の配列方向に延びる共通な単一のポンプ軸60を有する。
【0038】
前記ポンプユニット56のポンプケース61は、第1ボディ62,第2ボディ63、プレート64、第3ボディ65および第4ボディ66が、複数個たとえば3個のボルト67,68,69で締結されて成り、前記隔壁39に下方から取付けられるものであり、ポンプケース61を回転自在に貫通するポンプ軸60の一端部にはポンプ用被動ギヤ70が固定される。一方、図2で示すように、プライマリドリブンギヤ51とともに回転するポンプ用駆動ギヤ71がクランクケース23の外方でメインシャフト41に支承されており、このポンプ用駆動ギヤ71が前記ポンプ用被動ギヤ70に噛合される。したがって両スカベンジポンプ57,58およびフィードポンプ59は、クランクシャフト22からの動力伝達により駆動されることになる。
【0039】
スカベンジポンプ57,58およびフィードポンプ59は、トロコイド式のものである。而してスカベンジポンプ57は、第1および第2ボディ61,62間に形成されるポン プ室72内に、ポンプ軸60に固定されるインナーロータ73と、該インナーロータ73に噛み合うアウターロータ74とが収納されて成り、スカベンジポンプ58は、第3および第4ボディ65,66間に形成されるポンプ室75内に、ポンプ軸60に固定されるインナーロータ76と、該インナーロータ76に噛み合うアウターロータ77とが収納されて成り、フィードポンプ59は、プレート64および第3ボディ65間に形成されるポンプ室78に、ポンプ軸60に固定されるインナーロータ79と、該インナーロータ79に噛み合うアウターロータ80とが収納されて成る。
【0040】
図6に注目して、前記クランクケース23の隔壁39には、一対のクランク室36,36内の下部に落下したオイルを収集するオイル収集孔81,82が、各クランク室36,36毎に設けられ、前記ポンプユニット56の両スカベンジポンプ57,58は、前記クランク室36,36の下部に落下したオイルを前記オイル収集孔81,82を経て吸入してオイル溜め室38に戻すものであり、ポンプユニット56におけるポンプケース61の第1および第4ボディ62,66には、前記オイル収集孔81,82に一端を通じさせるとともに他端をポンプ室72,75に通じさせる吸入通路83,84が設けられるとともに、ポンプ室72,75からのオイルを外部に吐出させる吐出孔85,86が設けられる。
【0041】
前記吸入通路83,84は、前記ポンプ軸60の軸線に直交する平面内でポンプケース61の第1および第4ボディ62,66に一体に設けられて側方に延びる延出部62a,66a内に形成されるものであり、吸入通路83,84はポンプケース61から側方に延びるように形成される。
【0042】
前記吐出孔85,86は、スカベンジポンプ57,58を含むポンプユニット56のポンプケース61の外側壁のうち、オイル溜め室38に貯留されるオイルの油面L(図1参照)よりも上方で該油面Lとは異なる側に臨む部分に、スカベンジポンプ57,58からのオイルをオイル溜め室38に向けて噴出するようにして設けられるものであり、望ましくは、吐出孔85,86が、前記ポンプケース61の外側壁のうち前記ポンプ軸60の軸線方向で外方に臨む部分、この実施の形態では第1および第4ボディ62,66の外側壁のうち前記ポンプ軸60の軸線方向で外方に臨む部分に設けられ、ポンプユニット56が、フィードポンプ59と、該フィードポンプ59を両側から挟む一対のスカベンジポンプ57,58とが、ポンプ軸60の軸線方向に並んで配置されて成るものであるので、第1および第4ボディ62,66の外側壁のうち前記フィードポンプ59とは反対側の外側壁に吐出孔85,86がそれぞれ設けられる。
【0043】
ところで前記吐出孔85,86は、ポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上で前記吸入通路83,84とは周方向にずれた位置に配置されており、前記吐出孔85,86が、クランクケース23の隔壁39にスカベンジポンプ57,58すなわちポンプユニット56が取付けられた状態で前記ポンプ軸60の軸線よりも上方に配置されるのに対して、前記吸入通路83,84はポンプ軸60の軸線よりも下方に配置されており、ポンプ軸60の軸線を通る水平線HLよりも下方に前記吸入通路83,84が配置される。またポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上で、前記吐出孔85,86は、前記ポンプ軸60の軸線を通る鉛直線VL上に在るようにポンプ軸60の上方に配置される。
【0044】
またスカベンジポンプ57,58すなわちポンプユニット56のポンプケース61には、スカベンジポンプ57,58すなわちポンプユニット56の前記隔壁39への取付け状態では、ポンプ軸60の軸線を通る水平線HLが横切る位置に配置されるリリーフ弁87,88が配設されるものであり、この実施の形態では、一方のスカベンジポンプ57においては吐出孔85がポンプ軸60の上方に配置されるようにして第1ボディ62に設けられ、前記水平線HLが横切る位置に配置されるようにしてリリーフ弁87が第1ボディ62に配設され、他方のスカベンジポンプ58においては吐出孔88がポンプ軸60の上方に配置されるようにして第4ボディ66に設けられ、前記水平線HLが横切る位置に配置されるようにしてリリーフ弁88が第4ボディ66に配設される。
【0045】
ところで、前記ポンプケース61における第1ボディ62には、ポンプ軸60の軸線に沿って外側方に突出する円筒状の軸受部62bが一体に設けられており、その軸受部62bを貫通するポンプ軸60および軸受部62b間には一対のブッシュ89,89が介装され、ポンプ軸60および第3ボディ65間にブッシュ90が介装され、ポンプ軸60および第4ボディ66間にはブッシュ91が介装される。
【0046】
前記軸受部62bおよび前記ポンプ軸60間に介装される一対のブッシュ89,89間には、スカベンジポンプ57の吐出側からオイルが給油されるものであり、図9で示すように、スカベンジポンプ57の吐出側からのオイルを前記軸受部62bに導く給油路93が前記ポンプケース61の第1ボディ62に設けられる。
【0047】
すなわち第1ボディ62には、スカベンジポンプ57のポンプ室72および前記吐出孔85間を結ぶ吐出通路92が設けられており、その吐出通路92に一端を通じさせる給油路93の他端が前記両ブッシュ89,89間で前記軸受部62bの内周面に開口する。而して前記給油路93は、前記吐出通路92を斜めに横切るようにして第1ボディ62に穿孔加工された穿孔孔の外端がプラグ94で閉じられて成るものであり、前記吐出孔85は、図8で明示されるように、ポンプ軸60の軸線方向から見て前記給油路93に周方向で隣接するように配置される。
【0048】
図10を併せて参照して、前記ポンプケース61における第3ボディ65には、上下に延びる通路形成部65aが一体に設けられており、この通路形成部65aには、前記フィードポンプ59のポンプ室78にオイルを吸入するための吸入通路97が設けられ、この吸入通路97の下端は下方に向けて開口される。而してフィードポンプ59は、オイルパン27内に配置されるオイルストレーナ98を介して油溜め室38内のオイルを吸入するものであり、このオイルストレーナ98が前記吸入通路97に接続される。
【0049】
前記オイルストレーナ98のケーシング99は、吸い込み通路100を形成して上下に延びる吸い込み管部99aと、該吸い込み管部99aよりも側方に拡大するようにして前記吸い込み管部99aの上端に連なるフィルタ保持部99bと、フィルタ保持部99bから上方に延びる接続管部99cとを備えるものであり、接続管部99cの上端部は、前記吸入通路97に通じるようにして前記通路形成部65aの下端部に液密に嵌合される。
【0050】
図11を併せて参照して、前記フィルタ保持部99bは、その少なくとも一部が円弧状となるような横断面形状を有するように形成され、このフィルタ保持部99bには、たとえばメッシュ部材101が保持枠102で保持されて成るフィルタ103が収容、保持される。
【0051】
前記フィルタ保持部99bは、前記フィルタ103の形状に対応して一方向(エンジン本体21の車両搭載状態では該車両の左右方向)に長い長方形もしくは長円形の横断面形状を有するように形成されるものであり、この実施の形態では、フィルタ103が長円形状であることから、前記フィルタ保持部99bは、前記一方向に沿う一端側に円弧部104を有するようにしつつ長円形の横断面形状を有するように形成される。
【0052】
前記オイルストレーナ98は、オイルパン27で支持されるようにしてオイルパン27内に配置されるものであり、オイルパン27の側壁内面には、オイルストレーナ98のフィルタ保持部99cに下方から当接して前記吸い込み管部99aの上部の少なくとも一部を囲む支持腕105が設けられる。
【0053】
ところでオイルパン27は、下端を閉じて上下に延びる横断面矩形状の筒状部27aと、該筒状部27aの一側方たとえば後方に補機類たとえばエンジンの排気管等を配置するための凹部109を前記筒状部27aと協働して形成するようにして前記筒状部27aの上部から前記一側方(たとえば後方)に張り出す張出部27bとを一体に有するように形成され、前記筒状部27aの側壁内面に前記支持腕105が固設される。
【0054】
図12および図13を併せて参照して、前記支持腕105は、前記オイルストレーナ98における前記吸い込み管部99aの上部を少なくとも三方から囲むように形成されるものであり、この実施の形態では、前記支持腕105が、前記吸い込み管部99aの上部を少なくとも三方から覆うための少なくとも3つの腕部105a,105b,105cを一体に有し、それらの腕部105a〜105cのうち少なくとも2つの腕部105a,105bがそれらの長手方向に沿ってオイルパン27における前記筒状部27aの側壁内面にたとえば一体に固設される。
【0055】
しかも前記筒状部27aの側壁の一部が、この実施の形態では筒状部27aの左右両側壁が下方に向かうにつれてオイルストレーナ98に近接するように傾斜した傾斜面106,107を内面に有するように形成され、前記支持腕105が、前記傾斜面106,107の一方106のうち支持腕105よりも下方側と鋭角αをなすようにして一方の前記傾斜面106にたとえば一体に固設される。
【0056】
しかも支持腕105が備える3つの支持腕部105a〜105cの1つ105aが、前記フィルタ保持部99bの円弧形状に沿って湾曲する湾曲部105dを先端側に有するように形成されつつその長手方向全長にわたって前記筒状部27aの側壁内面のうち前記傾斜面106にたとえば一体に固設される。
【0057】
またフィルタ保持部99bが、一方向に長い長方形もしくは長円形の横断面形状を有するように形成されるのに対して、前記支持腕105のうち腕部105bが前記一方向に沿って筒状部27aの側壁内面に固設される。さらに前記支持腕105のうち腕部105cの下面と、前記筒状部27aの側壁内面との間にはリブ108が設けられる。
【0058】
前記オイルストレーナ98が備える吸い込み管部99の下端は、オイルパン27の底部に臨んで開口する吸い込み口110が吸い込み通路100に通じて設けられており、その吸い込み口110の周辺には、オイル中に含まれる金属片や鉄系異物を吸着して捕獲するための棒状の磁性体111が配置される。この磁性体111は、吸い込み口110内に少なくとも一部が突入されるようにしてオイルパン27の底部に配設され、前記吸い込み口110のうち側面視で前記磁性体111と重なる範囲Aは、オイルパン27の底部に向かうにつれて大径となるように拡径される。
【0059】
前記磁性体111は、棒状のマグネット112と、該マグネット112に密着して同軸に連接される棒状の鉄系金属部材113とで構成されており、マグネット112を前記鉄系金属部材113および前記オイルパン27の底部間に挟むようにして前記鉄系金属部材113が前記オイルパン27に固定される。
【0060】
ところでオイルパン27の底部には、マグネット112を嵌合、保持する保持筒部114が上方に突出するようにして一体に設けられており、オイルパン27との間に前記マグネット112を挟む前記鉄系金属部材113が、前記保持筒部114の開口端側に嵌合される。しかも鉄系金属部材113は、保持筒部114に離脱不能に固定されるものであり、この実施の形態では、保持筒部114の内周に設けられる環状の係止溝115に前記鉄系金属部材113の外周に装着されるクリップ116が係合されることで前記鉄系金属部材113が、その一部を前記保持筒部114の先端から突出させて前記保持筒部114に固定される。
【0061】
図14および図15において、前記オイル溜め室38内に貯留されたオイルの油面Lは、たとえばエンジン本体21の車両への搭載状態でオイルパン27の右前方に配置されるようにしてオイルパン27およびクランクケース23に取付けられるオイルレベルファインダ120によって外部から点検可能である。
【0062】
前記オイルレベルファインダ120は、オイル溜め室38に通じる下部連通路121および上部連通路122を有するものであり、下部連通路121は、オイル溜め室38内の前記油面Lよりも下方でオイル溜め室38に連通するようにして水平方向に延びるように形成され、上部連通路122は、前記油面Lよりも上方で前記オイル溜め室38に連通するようにして上下方向に延びるように形成される。
【0063】
前記オイル溜め室38に貯留されるオイルの油面Lよりも下方でオイル溜め室38に通じる下部接続孔123が、水平軸線を有してオイルパン27の上部に設けられ、オイルレベルファインダ120の下部連通路121は下部接続孔123に同軸に連通される。一方、前記クランクケース23の第2ケース半体29のうち前記オイルパン27よりも右前方に張り出した部分には、前記上部連通路122を連通せしめる上部接続孔124が、減速機室196に通じるようにして設けられる。而して減速機室196は変速機室37を介して油溜め室38の上部に通じており、上部接続孔124は、減速機室196および変速機室37を介して油溜め室38の油面Lよりも上方に連通している。
【0064】
前記オイルレベルファインダ120は、前記オイルパン27内のオイルを導入する連通室125を形成する管状部材126と、該管状部材126に設けられた窓128を閉じるようにして前記管状部材126に固定される透光部材としてのガラス板127とを備えるものであり、前記連通室125の下部に通じる下部連通路121を形成して管状部材126の下部に一体に設けられる下部接続管126aが、下部連通路121を下部接続孔123に同軸に連通せしめるべく下部接続孔123に液密に嵌合され、前記連通室125の上部に通じる上部連通路122を形成して管状部材126の上部に一体に設けられる上部接続管126bが、上部連通路122を上部接続孔124に同軸に連通せしめるべく上部接続孔124に液密に嵌合される。
【0065】
而して前記減速機室196から管状部材126の連通室125を経てオイル溜め室38側にオイルを戻すことを可能として、オイルレベルファインダ120の上部連通路122が前記減速機室196に連通されることになる。
【0066】
前記オイルレベルファインダ120は、クランクケース23およびオイルパン27の結合面を上下に跨がるように配置されるものであり、管状部材126の下部接続管126aをオイルパン27に嵌合し、管状部材126の上部接続管126bをクランクケース23における第2ケース半体29に嵌合することで、オイルレベルファインダ120が、オイルパン27およびクランクケース23に直接取付けられることになる。
【0067】
ところで矩形の平板状であるガラス板127の外周部は、管状部材126と、該管状部材126にたとえば4個のねじ部材130,130…で着脱可能に取付けられる押さえ部材129とで挟持されるものであり、前記ガラス板127の外周部と、前記管状部材126および前記押さえ部材129との間は、たとえばガラス板127の外周部を嵌合させるようにして無端状に連なり嵌合凹部133を内周に有するシール部材132でそれぞれシールされる。
【0068】
また管状部材126には、前記窓128と、平板状である前記ガラス板127を収容する収容凹部134とが設けられ、前記ガラス板127の外周部を平板状である前記押さえ部材129との間に挟む段部135が前記収容凹部134および前記窓128間に形成される。しかも前記押さえ部材129には、規定のオイル量での油面高さを表した目盛り136が設けられる。
【0069】
再び図7に注目して、前記ポンプユニット56におけるポンプ軸60の他端部にはウォータポンプ用駆動ギヤ137が固定され、図示しないウォータポンプには、前記ポンプ軸60から回転動力が伝達される。
【0070】
前記ポンプユニット56におけるフィードポンプ59のポンプ室78から吐出されるオイルを導く吐出通路138が、前記ポンプケース61における第3ボディ65が一体に有する通路形成部65aに設けられ、図10で示すように、前記吐出通路138および吸入通路97間に介設されるリリーフ弁139が前記通路形成部65aに配設される。
【0071】
前記フィードポンプ59の吐出通路138は、クランクケース23における第2ケース半体29に設けられる空冷のオイルクーラ(図示せず)およびオイルフィルタ(図示せず)を介して、クランクケース23の右側壁に取付けられる第1右側カバー193に設けられる油路141(図2参照)に接続されるとともに、クランクケース23の左側壁に取付けられる発電機カバー55に設けられる油路(図示せず)に接続されており、第1右側カバー193の油路141ならびに前記発電機カバー55の油路は、第1および第2シリンダブロック24A,24B間で前記クランクケース23の第1ケース半体28に設けられるメインギャラリー142の両端部に接続される。
【0072】
図16において、前記クランクケース23における第1ケース半体28の支持壁28a,28b,28cには、クランクシャフト22の外側ジャーナル部22c,22dおよび中間ジャーナル部22eと、前記支持壁28a〜28cとの間に前記メインギャラリー142からのオイルを供給するための油路143,144,145が前記軸孔33〜35の内周に開口するようにして設けられる。
【0073】
図17において、クランクケース23における第2ケース半体29の上部前壁には、第1シリンダブロック24Aのシリンダボア30A,30Aに摺動自在に嵌合されるピストン31A,31Aを冷却するためにクランク室36,36毎に配置される一対の第1オイルジェット146A,146Aが取付けられ、第2シリンダブロック24Bのシリンダボア30B,30Bに摺動自在に嵌合されるピストン31B,31Bを冷却するためにクランク室36,36毎に配置される一対の第2オイルジェット147A,147Aがシリンダボア30B…のクランクケース23への開口端よりも後方側に位置するようにしてクランクケース23の第1ケース半体28に取付けられ、両シリンダブロック24A,24Bの各ピストン31A…,31B…を冷却するためにクランク室36,36毎に配置される一対の第3オイルジェット148A,148Aが第1および第2シリンダブロック24A,24B間で前記クランクケース23の第1ケース半体28に取付けられる。
【0074】
クランクケース23における第2ケース半体29の前壁上部には、図6および図17で示すように、クランクシャフト22と平行に延びる第1オイル供給油路150が設けられており、この第1オイル供給油路150には、前記メインギャラリー142に通じて第1ケース半体28の前壁に設けられる接続油路149(図5参照)が、第1および第2ケース半体28,29の結合時に連通する。
【0075】
図18および図19を併せて参照して、第1オイルジェット146Aは、第2ケース半体29に取付けられるオイルジェット本体151に、第1オイル供給油路150に通じる一対の第1の油路152,152と、第1の油路152…にそれぞれ通じる一対の第2の油路153,153と、ピストン31Aに向けてオイルを噴出するようにして第2の油路153…に一対ずつ通じる4つのジェット孔154,154;155,155とが設けられて成る。
【0076】
前記オイルジェット本体151は、第2ケース半体29に取付けられる基部151aと、該基部151aから前記ピストン31A側に向けて延出するととともに前記ジェット孔154…,155…が設けられてる延出部151bとを一体に有するものであり、締結部材であるボルト156で脱着可能に第2ケース半体29に締結される。而してオイルジェット本体151の基部151aには、前記ボルト156を挿通せしめる挿通孔157が設けられる。
【0077】
第1の油路152…は、オイルジェット本体151の第2ケース半体29への締結時に第1オイル供給油路150に通じるようにして前記基部151aに設けられるものであり、第2の油路153…は、第1の油路152…に個別に通じるようにして前記延出部15bに設けられる。
【0078】
第2の油路153…は、記延出部151bにその先端側と反対側から穿孔加工されて形成される有底の加工孔の開口端がプラグ158…で閉じられて成り、第2の油路153…に連通する第1の油路152…が第2の油路153…とは交差する方向に延びるようにして前記基部151aに設けられる。
【0079】
第2の油路153…に通じるジェット孔154…,155…は、前記延出部151bの先端を含む複数箇所に設けられるものであり、この実施の形態では、延出部151bの先端にジェット孔154…が設けられ、延出部151bの先端からわずかに基部151a側に寄った部分にジェット孔155…が設けられる。
【0080】
クランクケース23における第1ケース半体28において隔壁39の一部を構成する部分には、図5および図17で示すように、クランクシャフト22と平行に延びる第2オイル供給油路160が設けられており、この第2オイル供給油路160には、前記メインギャラリー142に通じて第1ケース半体28の前壁に設けられる接続油路159が連通する。
【0081】
図20を併せて参照して、第2オイルジェット147Aは、第1ケース半体29にボルト165で締結されるオイルジェット本体161に、第2オイル供給油路160に通じる一対の油路162,162と、ピストン31Bに向けてオイルを噴出するようにして前記各油路162…に一対ずつ通じる4つのジェット孔163,163;164,164とが設けられて成り、オイルジェット本体161には、ボルト165を挿通するための挿通孔166が設けられる。
【0082】
図21を併せて参照して、第3オイルジェット148Aは、前記クランクシャフト22の軸線方向に長く延びて形成されるオイルジェット本体167に、メインギャラリー142に通じる一対の油路168…と、それらの油路168…に共通に通じてオイルジェット本体167の長手方向に延びる油路169と、第1シリンダブロック24A側のピストン31Aに向けてオイルを噴出するようにして前記油路169に通じるジェット孔170と、第2シリンダブロック24B側のピストン31Bに向けてオイルを噴出するようにして前記油路169に通じるジェット孔171とが設けられて成り、オイルジェット本体167は、一対のボルト172,172で第1ケース半体28に締結される。
【0083】
このような第3オイルジェット148A,148Aは、第1シリンダブロック24Aのピストン31A…に第1オイルジェット146A…とは反対側からオイルを噴出することを可能として、第1オイルジェット146A…と対向する別の位置に配置されるようにして第1ケース半体28の上部に取付けられる。
【0084】
図22を併せて参照して、変速機室37の上部に臨む部分で第2ケース半体29の上部には、前記クランクシャフト22と平行に延びる油路173が設けられており、該油路173には、前記メインギャラリー142に通じて第1ケース半体28の前壁に設けられる接続油路159が第1および第2ケース半体28,29の結合時に連通する。
【0085】
しかも前記油路173の長手方向に間隔をあけた複数箇所に配置されるジェット孔174,174…が、変速機室37内の歯車変速機40に向けてオイルを噴出するようにして第2ケース半体29に設けられる。
【0086】
再び図3および図4において、クランクシャフト22には、該クランクシャフト22が備える一対のクランクピン22a,22bと、それらのクランクピン22a,22bに対をなして連接されるコネクティングロッド32A,32B;32A,32Bとの間の潤滑を行うために、該クランクシャフト22の一端側からだけオイルが供給されるものであり、クランクシャフト22の軸方向一端に開口する給油口181と、一対の前記クランクピン22a,22bに対応する部分にそれぞれ配置されるとともに相互に連通される一対のクランクピン給油通路182,183と、それらのクランクピン給油通路182,183のうちクランクシャフト22の軸方向に沿って最も前記給油口181に近いクランクピン給油通路182および前記給油口181間を結ぶ連絡通路184とがクランクシャフト22に設けられ、前記給油口181には、前記第1右側カバー193内の油路141に通じるようにして前記第1右側カバー193に一端が液密に接続される接続管186(図2参照)の他端部が嵌合、接続される。
【0087】
給油口181は、外側ジャーナル部22cを含むクランクシャフト22の一端部に同軸に設けられる。またクランクピン給油通路182,183は、各クランクピン22a,22bの軸線と交差するように傾斜しつつ、前記中間ジャーナル部22eの軸方向中央で相互に直接交わって連通するようにしてクランクシャフト22に設けられる。而して両クランクピン給油通路182,183は、その一端が中間ジャーナル部22eの軸方向中央で相互に交差して交わるようにして各クランクピン22a,22bの軸線と斜めに交差する方向でクランクシャフト22に穿孔加工された加工孔の他端開口部がプラグ187,188で閉じられて成るものであり、両クランクピン給油通路182,183は、同一径に形成される。
【0088】
前記連絡通路184は、その一端が給油口181に連なるようにして前記クランクピン給油通路182に交差して交わるようにしてクランクピン22aに穿孔加工される加工孔の他端開口部がプラグ189で閉じられて成るものであり、前記両クランクピン給油通路182,183は、前記連絡油路184よりも大径に形成される。
【0089】
またクランクシャフト22には、前記連絡通路184と同一径の空洞路185が、前記中間ジャーナル部22cの軸方向中央部で該中間ジャーナル部22cの軸線と直交する平面に関して前記連絡通路184と対称になるようにして設けられるものであり、この空洞路185は、その一端を閉じるようにしつつ前記クランクピン給油通路183に交差して交わるようにしてクランクピン22bに穿孔加工される加工孔の他端開口部がプラグ190で閉じられて成る。
【0090】
前記クランクピン22aには、クランクピン給油通路182に内端を開口するとともに外端を前記クランクピン22aの外周に開口する横オイル通路191,191;192,192が設けられ、それらの横オイル通路191…,192…は、クランクピン22aに連接される一対のコネクティングロッド32A,32B毎に対をなしてクランクピン給油通路182の両側に配置される。
【0091】
また前記クランクピン22bにも、上述のクランクピン22aと同様に、クランクピン給油通路183に内端を開口するとともに外端を前記クランクピン22bの外周に開口する横オイル通路191,191;192,192が設けられ、それらの横オイル通路191…,192…は、クランクピン22bに連接される一対のコネクティングロッド32A,32B毎に対をなしてクランクピン給油通路183の両側に配置される。
【0092】
図23において、クランクピン22bと、該クランクピン22bに連接されるコネクティングロッド32Bとの間にオイルを給油すべく、クランクピン給油通路183に内端を開口するとともに外端を前記クランクピン22bの外周に開口する横オイル通路192,192は、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面への投影図上で、前記クランクピン給油通路183の内周を通って相互に平行に延びる2つの仮想直線LB1,LB2間に配置される。
【0093】
図24において、クランクピン22bと、該クランクピン22bに連接されるコネクティングロッド32Aとの間にオイルを給油すべく、クランクピン給油通路183に内端を開口するとともに外端を前記クランクピン22bの外周に開口する横オイル通路191,191は、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面への投影図上で、前記クランクピン給油通路183の内周を通って相互に平行に延びる2つの仮想直線LA1,LA2間に配置される。
【0094】
すなわちクランクシャフト22の回転軸線に直交する平面への投影図上で、クランクピン給油通路183の内周を通って相互に平行に延びる2つの仮想直線LA1,LA2;LB1,LB2間に、コネクティングロッド32A,32B毎に対をなす前記横オイル通路191,191;192,192が配置されることになる。
【0095】
またクランクピン22a側においても、上記クランクピン22b側と同様に、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面への投影図上で、クランクピン給油通路182の内周を通って相互に平行に延びる2つの仮想直線LA1,LA2;LB1,LB2間に、コネクティングロッド32A,32B毎に対をなす前記横オイル通路191,191;192,192が配置される。
【0096】
しかも前記横オイル通路191,191;192,192は、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面に中心軸線C1,C2を配置するものであり、その中心軸線C1,C2を前記クランクピン給油通路182,183の軸線に交差せしめるようにして前記クランクピン22a,22bに設けられる。
【0097】
ところでクランクシャフト22が備える一対のクランクピン22a,22bには一対のコネクティングロッド32A,32B;32A,32Bが連接されており、それらのコネクティングロッド32A,32B;32A,32B毎に対をなしてそれぞれ配置される2組の前記横オイル通路191,191;192,192の各組毎の中心軸線C1…,C2…を含む2つの平面PL1,PL2間の中央で前記クランクピン22a,22bの軸線に直交する平面PL3と、前記クランクピン22a,22bの軸線との交点を前記クランクピン給油通路182,183の中心軸線が通るようにクランクピン給油通路182,183が形成されており、前記横オイル通路191,191;192,192の前記クランクピン22a,22bの外周への開口端が、クランクピン給油通路182,183の両側で前記クランクピン22a,22bの軸線と平行な2つの直線SL…が通る位置に配置される。
【0098】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、エンジン本体21の内部には、一対のクランク室36…と、該クランク室36…の下方に配置されるオイル溜め室38とが形成されており、クランク室36…の下部からオイル溜め室38にオイルを回収するためのスカベンジポンプ57,58が、エンジン本体21の一部を構成する第2ケース半体29に取付けられるのであるが、オイル溜め室38内の上部に、オイル溜め室38に溜まったオイルの油面Lよりも上方に位置するようにしてスカベンジポンプ57,58が配置され、スカベンジポンプ57,58のポンプケース61の外側壁のうち、前記オイルの油面Lとは異なる側に臨む部分に、スカベンジポンプ57,58からのオイルをオイル溜め室38内に向けて吐出する吐出孔85,86が設けられている。
【0099】
したがってクランク室36…から回収したオイルをオイル溜め室38に直接戻すことによってオイルの回収効率を高めつつ、スカベンジポンプ57,58から吐出されるオイルがオイル溜め室38に溜まったオイルに直接合流しないようにして泡立ちの発生を抑制し、オイルの劣化を抑制することができる。
【0100】
しかもポンプケース61にはポンプ軸60が回転自在に支承され、吐出孔85,86が、ポンプケース61の外側壁のうちポンプ軸60の軸線方向で外方に臨む部分に設けられるので、吐出口85,86から吐出されるオイルを、エンジン本体21のうちスカベンジポンプ57,58の周囲の壁等に当てることで吐出されたオイルの勢いを減衰せしめ、吐出されたオイルをオイル溜め室38に溜まったオイルに緩やかに合流させることによって泡立ちの発生をより一層抑制することができる。
【0101】
またクランク室36からのオイルをポンプケース61内のポンプ室72,75に導く吸入通路83,84が、ポンプケース61から側方に延びるようにしてポンプケース61に設けられ、吐出孔85,86が、ポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上で吸入通路83,84とは周方向にずれた位置に配置されるので、ポンプケース61の空き部分を利用して吐出孔を配置することができる。
【0102】
また吐出孔85,86が、エンジン本体21の第2ケース半体29へのスカベンジポンプ57,58の取付け状態でポンプ軸60の軸線よりも上方に配置され、吸入通路83,84がポンプ軸60の軸線よりも下方に配置されるので、吐出孔85,86をオイル溜め室38内のオイルの油面Lよりも極力上方に配置して、吐出孔85,86から吐出されたオイルがオイル溜め室38に溜まったオイルに合流するまでの間で、吐出されたオイルの勢いを充分に減衰することができる。
【0103】
前記スカベンジポンプ57,58が第2ケース半体29に取付けられた状態にあるときのポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上で、ポンプ軸60の軸線を通る鉛直線VL上に在るようにして吐出孔85,86がポンプ軸60の上方に配置されるので、吐出孔85,86から吐出されたオイルを回転するポンプ軸60上に飛散させ、ポンプ軸60およびポンプケース61間の潤滑に利用することができる。
【0104】
またフィードポンプ59と、フィードポンプ59を両側から挟む一対のスカベンジポンプ57,58とがポンプ軸60の軸線方向に並んで配置されており、両スカベンジポンプ57,58のポンプケース61のうちフィードポンプ59とは反対側の外側壁に吐出孔85,86がそれぞれ設けられるので、両スカベンジポンプ57,58の吐出されるオイルが相互に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0105】
またスカベンジポンプ57,58が第2ケース半体29に取付けられた状態でのポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上でポンプ軸60の軸線を通る水平線HLが横切るようにして、前記スカベンジポンプ57,58のポンプケース61にリリーフ弁87,88が配設されるので、吐出孔85,86がポンプ軸60の軸線よりも上方に在るのに対して、リリーフ弁87,88が、ポンプ軸60の軸線に直交する平面への投影図上でポンプ軸60の軸線を通る水平線HLが横切る位置に配置されることになり、リリーフ弁87,88の配置スペースを効果的に確保しつつ、リリーフ弁87,88に吐出孔85,86から吐出されるオイルの吐出圧の変動による影響が及ぶことを極力回避することができる。
【0106】
さらにポンプ軸60を軸支する軸受部62bがポンプケース61に設けられ、スカベンジポンプ57の吐出側からのオイルを軸受部62bに導く給油路93がポンプケース61に設けられ、ポンプ軸60の軸線方向から見て給油路93に周方向で隣接するようにスカベンジポンプ57の吐出孔85が配置されるので、スカベンジポンプ57の吐出側からのオイルを軸受部62bに積極的に供給して、ポンプ軸60および軸受部62b間の潤滑性を高めることができる。
【0107】
オイル溜め室38をクランクケース23との間に形成するオイルパン27内には、フィードポンプ59に接続されるオイルストレーナ98が配置されるものであり、このオイルストレーナ98のケーシング99が、吸い込み通路100を形成して上下に延びるとともに下端部をオイルパン27内に開口した吸い込み管部99aと、該吸い込み管部99aよりも側方に拡大するようにして吸い込み管部99aの上端に連なるフィルタ保持部99bとを有し、オイルパン27の側壁内面には、フィルタ保持部99bに下方から当接して前記吸い込み管部99aの上部の少なくとも一部を囲む支持腕105が設けられる。
【0108】
したがってオイルパン27内の底部にオイルの流れを阻害するようなものが配置されないようにしつつ、オイルストレーナ98のオイルパン27による支持剛性を確保することができる。
【0109】
またオイルパン27が、上下に延びる筒状部27aと、該筒状部27aの一側方に排気管等の補機類を配置するための凹部109を筒状部27aと協働して形成するようにして前記筒状部27aの上部から前記一側方に張り出す張出部27bとを一体に有するように形成され、筒状部27aの側壁内面に支持腕105が固設されるので、筒状部27aの横断面積が、オイルパン27の上端開口部の横断面積よりも小さくなっており、筒状部27aの側壁をオイルストレーナ98に比較的近づけることができ、その側壁に支持腕105が固設されるので側壁からの支持腕105の長さを比較的短くして、重量増加を抑えつつ支持腕105の強度を高めることができる。
【0110】
しかも前記支持腕105が、吸い込み管部99aの上部を少なくとも三方から囲むように形成されるので、オイルストレーナ98の支持腕105による支持剛性を高めることができ、支持腕105が、吸い込み管部99aの上部を少なくとも三方から覆うための少なくとも3つの腕部105a,105b,105cを一体に有し、それらの腕部105a〜105cのうち少なくとも2つの腕部105a,105bがそれらの長手方向に沿って前記筒状部27aの側壁内面に固設されるので、支持腕105のオイルパン27への支持強度を高め、オイルストレーナ98の支持腕105による支持剛性をより高めることができる。
【0111】
また筒状部27aの側壁の一部が、下方に向かうにつれてオイルストレーナ98に近接するように傾斜した傾斜面106,107を内面に有するように形成され、前記支持腕105が、前記傾斜面106,107の一方106のうち支持腕105よりも下方側と鋭角をなすようにして傾斜面106に固設されるので、支持腕105のオイルパン27への支持強度をさらに高めることができる。
【0112】
またオイルストレーナ98のフィルタ保持部99bが少なくとも一部が円弧状となるような横断面形状を有するように形成され、支持腕105が備える3つの支持腕部105a〜105cの1つ105aが、フィルタ保持部99bの円弧形状に沿って湾曲する湾曲部105dを先端側に有するように形成されつつその長手方向全長にわたって前記筒状部27aの側壁内面に固設されるので、湾曲部105dによってフィルタ保持部99bの支持腕105からの離脱を抑えるようにしつつ、湾曲部105dを先端に有する腕部105aの長手方向全長を筒状部27aの側壁内面に固設することで支持腕105のオイルパン27への支持強度をさらに高めることができる。
【0113】
ところでオイルストレーナ98の前記フィルタ保持部99bが、該フィルタ保持部99b内に収容されるフィルタ103の形状に対応して一方向に長い長方形もしくは長円形の横断面形状を有するように形成されており、その一方向に沿って支持腕105が筒状部27aの側壁内面に固設されるので、オイルパン27における筒状部27aの側壁への支持腕105の固設長さを大きくして支持腕105のオイルパン27への支持強度を高めることができる。
【0114】
しかも支持腕105の下面と、筒状部27aの側壁内面との間にリブ108が設けられるので、支持腕105のオイルパン27への支持強度をより一層高めることができる。
【0115】
前記オイルパン27内には、オイル内に混入した金属片や鉄系異物を吸着して捕獲するための磁性体111が配置されるのであるが、この磁性体111は、棒状であり、オイルストレーナ98の吸い込み口110内に少なくとも一部が突入されるようにしてオイルパン27の底部に配設されるので、オイルパン98の形状および配置に制約を加えることなく磁性体111をコンパクトに配置することができ、磁性体111を小型、軽量化することができるとともに、オイルストレーナ98へのオイルの流れを磁性体が阻害することはないので、磁性体111でオイル内の金属破片や鉄系異物を捕獲しながら、吸い込み効率の低下を抑制することができる。
【0116】
また吸い込み口110のうち側面視で磁性体111と重なる範囲Aが、オイルパン27の底部に向かうにつれて大径となるように拡径されるので、吸い込み口110の内周および磁性体11間に充分な流通面積を確保し、吸い込み効率の向上を図ることができる。
【0117】
また磁性体111が、棒状のマグネット112と、該マグネット112に密着して同軸に連接される棒状の鉄系金属部材113とで構成されるので、高価な磁性金属の使用量を抑えてコスト低減を図ることができる。しかもマグネット112を鉄系金属部材113およびオイルパン27の底部間に挟んで鉄系金属部材113がオイルパン27に固定されるので、特別な保持機構を設けずにマグネット112をオイルパン27に保持することができる。
【0118】
磁性体111を保持するために、オイルパン27の底部には、マグネット112を嵌合、保持する保持筒部114が上方に突出するようにして設けられ、オイルパン27との間にマグネット112を挟む鉄系金属部材113が、保持筒部114の開口端側に嵌合されるので、流動するオイルがマグネット112に直接当たらないようにしてマグネット112を確実に保持することができる。
【0119】
しかも鉄系金属部材113が、保持筒部114に離脱不能に固定されるので、保持筒部114からのマグネット112の離脱を確実に阻止することができ、保持筒部114の内周に設けられる環状の係止溝115に鉄系金属部材113の外周に装着されるクリップ116が係合されることで鉄系金属部材113が保持筒部114に固定されるので、クリップ116を用いるだけの簡単な構造で鉄系金属部材113を保持筒部114に固定することができ、コストの増大を抑えることができる。
【0120】
さらに前記鉄系金属部材113が、その一部を保持筒部114の先端から突出させて前記保持筒部114に固定されるので、磁性体111の長さを稼ぎ、金属破片や鉄系異物を捕獲し得る範囲を広げることができる。
【0121】
ところでオイル貯留室38に貯留されたオイルの油面Lは、そのオイル溜め室38に通じる下部連通路121および上部連通路122を有してエンジン本体21に取付けられるオイルレベルファインダ120によって外部から検出可能であり、このオイルレベルファインダ120において、前記下部連通路121が、前記油面Lよりも下方でオイル溜め室38に通じるようにして水平方向に延びるように形成され、前記上部連通路122が、前記油面Lよりも上方でオイル溜め室38に連通するようにして上下方向に延びるように形成されるので、車両が傾斜しても空気が抜ける側の連通路である上部連通路122をオイルが満たして塞ぐことが生じ難くなり、素早く正確なオイルレベルが得られるようにして点検性を高めることができる。
【0122】
またオイル溜め室38は、クランクケース23と、該クランクケース23の下端に結合されるオイルパン27とで構成されており、クランクケース23のうちオイルパン27よりも側方に突出した部分に、オイルレベルファインダ120の上部の上部接続管126bを下方から液密に嵌合せしめる上部接続孔124が、上部接続管126b内に形成される上部連通路122を連通せしめるようにして設けられるので、上部連通路122までオイルが達したとしても重力によってオイルが上部連通路122から落下して正常な油面Lまで下がり易くない、素早く正確なオイルレベルを得ることができる。
【0123】
またオイルレベルファインダ120が、クランクケース23およびオイルパン27の結合面を上下に跨がるように配置され、オイルパン27およびクランクケース23に直接取付けられるので、オイルレベルファインダ120をエンジン本体21に取り付けるための専用部材を不要とした簡単な構造でオイルレベルファインダ120をエンジン本体21に固定することができる。
【0124】
またオイルレベルファインダ120は、下部連通路121を介してオイルパン27内のオイルを導入する連通室125を形成する管状部材126と、該管状部材126に設けられた窓128を閉じるようにして管状部材126に固定されるガラス板127とを備えるので、オイルレベルファインダ120の構成部品を集約化して取り扱いを容易とし、交換作業等での作業が楽になる。
【0125】
しかもガラス板127の外周部が、管状部材126と、該管状部材126に着脱可能に取付けられる押さえ部材129とで挟持されるので、ガラス板127を管状部材126に強固に固定することができ、ガラス板127の外周部と、管状部材126および押さえ部材129との間がシール部材132でそれぞれシールされるので、ガラス板127の外周からのオイル漏れを確実に防止することができる。
【0126】
またガラス板127を管状部材126に固定するにあたって、管状部材126に、窓128と、平板状であるガラス板127を収容する収容凹部134とが、窓128および収容凹部134間に段部135を形成するようにして設けられ、段部135との間にガラス板127の外周部を挟持する平板状の押さえ部材129が、管状部材126に着脱可能に取付けられるので、ガラス板127を管状部材126に確実に保持、固定することができる。
【0127】
しかも押さえ部材129には、規定のオイル量での油面高さを表した目盛り136が設けられるので、目盛り用の特別の部品をオイルレベルファインダ120に取り付けることが不要となるばかりか、検出対象の油面Lおよび目盛り136の距離を近づけて正確にオイルレベルの判定を行うことができる。
【0128】
また減速機室196から管状部材126の連通室125を経てオイル溜め室38側にオイルを戻すことを可能として、オイルレベルファインダ120の上部連通路12が前記減速機室196に連通されているので、管状部材126を、オイルレベルファインダ120として用いるとともにオイル戻し用の配管としても用いるようにして、部品点数の低減を図ることができる。
【0129】
第1シリンダブロック24Aのシリンダボア30Aに摺動自在に嵌合されるピストン31Aは、第1オイルジェット146Aから噴出されるオイルで冷却されるものであり、この第1オイルジェット146Aが、第1シリンダブロック24Aに結合された第1ケース半体28に結合されて第1ケース半体28とともにクランクケース23を構成する第2ケース半体29に、第2ケース半体29に設けられる第1オイル供給油路150に接続されるようにして設けられ、第1オイル供給油路150にオイルを供給するフィードポンプ59も第2ケース半体29に取付けられるので、フィードポンプ59から第1オイルジェット146Aまでに至るまでのオイル通路の単純化および短縮化を図ることができる。
【0130】
また第1オイルジェット146Aが、第2ケース半体29に取付けられるオイルジェット本体151に、第1オイル供給油路150に通じる第1および第2の油路152,153と、それらの油路152,153に通じるジェット孔154,155とが設けられて成るものであるので、オイルジェットがクランクケース23に直接設けられる場合と比べて、第1オイルジェット146Aからの噴射方向の自由度を高めることができる。
【0131】
しかもオイルジェット本体151がボルト156で第2ケース半体29に脱着可能に取付けられるので、ピストン31Aの種別に応じて第1オイルジェット146Aを取り替えて対応することが可能であり、汎用性を高めることができる。
【0132】
また第1オイルジェット146Aのオイルジェット本体151が、第2ケース半体29に取付けられる基部151aと、該基部151aからピストン31A側に向けて延出するととともに前記ジェット孔154…,155…が設けられる延出部151bとを一体に有しており、第1オイル供給油路150に通じるようにして基部151aに設けられる第1の油路152…に、前記ジェット孔154…,155…に通じて延出部151bに設けられる第2の油路153…が連通されるので、第2ケース半体29からジェット孔154…,155…までのオイルの受け渡しを容易に行うことができる。
【0133】
しかも第2の油路153…は、延出部151bにその先端側と反対側から穿孔加工されて形成される有底の加工孔の開口端がプラグ158…で閉じられて成り、第2の油路153…に連通する第1の油路152…が第2の油路153…とは交差する方向に延びるようにして基部151aに設けられるので、第1および第2の油路152…,153…を別工程での直線的な穿孔加工の後、第2の油路153…側でプラグ158…による閉塞作業を行うことで、複雑な加工を行うことなく第1および第2の油路152…,153…をオイルジェット本体151に容易に形成することができる。
【0134】
またジェット孔154…,155…が、延出部151bの先端を含む複数箇所に設けられるので、ジェット孔154…,155…の配置の自由度を高めることができる。
【0135】
さらに第1オイルジェット146Aと対向する別の位置に配置される第3オイルジェット148Aが、ピストン31Aに向けてオイルを噴射するジェット孔170を有して第1ケース半体28に設けられるので、第1および第3オイルジェット146A,148Aを第1および第2ケース半体28,29側に振り分けて配置するようにして、クランクケース23の構成にかかわらずオイルジェット146A,148Aの配置自由度を高めることができる。
【0136】
クランクケース23で回転自在に支承されるクランクシャフト22は、一対のクランクピン22a,22bを有するものであり、このクランクシャフト22には、その軸方向一端に開口する給油口181と、前記各クランクピン22a,22bに対応する部分にそれぞれ配置されるとともに相互に連通される一対のクランクピン給油通路182,183と、それらのクランクピン給油通路182,183のうちクランクシャフト22の軸方向に沿って最も給油口181に近いクランクピン給油通路182および給油口181間を結ぶ連絡通路184とが設けられるのであるが、連絡通路184よりも大径に形成される一対の前記クランクピン給油通路182,183が、各クランクピン22a,22bの軸線と交差するように傾斜しつつ相互に直接交わって連通するようにして、クランクシャフト22に設けられるので、クランクシャフト22の一端側の給油口181から供給されるオイルの流通方向下流側のクランクピン給油通路183にも充分な量の潤滑油を供給することができる。
【0137】
また各クランクピン給油通路182,183が同一径に形成されるので、オイルの流通面積が大きく変化しないようにしてオイルの供給をスムーズに行うことができる。
【0138】
また前記各クランクピン22a,22bには、各クランクピン給油通路182,183に内端を開口するとともに外端をクランクピン22a,22bの外周に開口する横オイル通路191…,192…が、クランクピン22a,22bに連接されるコネクティングロッド32A…,32B…毎に対をなすとともに各クランクピン給油通路182,183の両側に配置されるようにしてそれぞれ設けられるので、クランクピン給油通路182,183からクランクピン22a,22bの外周側にオイルを均等に導いてクランクピン22a,22bおよびコネクティングロッド32A…,32B…間の潤滑性を確保することができる。
【0139】
しかも前記横オイル通路191…,192…は、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面への投影図上で、クランクピン給油通路182,183の内周を通って相互に平行に延びる2つの仮想直線LA1,LA2;LB1,LB2間に、前記コネクティングロッド32A…,32B…毎に対をなして配置されるので、各横オイル通路191…,192…の長さが大きく異ならないようにして、コネクティングロッド32A…,32B…側へのオイルの供給をバランスよく行うことができる。
【0140】
また前記横オイル通路191…,192…は、クランクシャフト22の回転軸線に直交する平面に中心軸線C1…,C2…を配置するとともに、その中心軸線C1…,C2…を前記クランクピン給油通路182,183の軸線に交差せしめるようにしてクランクピン22a,22bに設けられるので、クランクピン給油通路182,183から横オイル通路191…,192…へのオイルの供給を良好に行うことができる。
【0141】
前記クランクシャフト22が備える一対のクランクピン22a,22bには、その1つ毎に一対のコネクティングロッド32A,32Bが連接されるものであり、それらのコネクティングロッド32A…,32B…毎に対をなしてそれぞれ配置される2組の前記横オイル通路191…,192…の各組毎の中心軸線C1…,C2…を含む2つの平面PL1,PL2間の中央でクランクピン22a,22bの軸線に直交する平面PL3と、前記クランクピン22a,22bの軸線との交点をクランクピン給油通路182,183の中心軸線が通るようにクランクピン給油通路182,183が形成され、横オイル通路191…,192…の前記クランクピン22a,22bの外周への開口端が、前記クランクピン22a,22bの軸線と平行な2つの直線SL…が通る位置に配置されることにより、各横通路191…,192…の長さをほぼ等しくすることができ、それによって各横オイル通路191…,192…からクランクピン22a,22bの外周側に流れるオイル量のバランスを図り、両コネクティングロッド32A…,32B…およびクランクピン22a,22b間の潤滑性の均衡を図ることができる。
【0142】
またクランクシャフト22が、軸線を同軸とした一対のクランクピン22a,22bと、それらのクランクピン22a,22bの軸方向両外側に配置されるとともにエンジン本体21のクランクケース23に回転自在に支承される一対の外側ジャーナル部22c,22dと、両クランクピン22a,22b間に配置されるとともに前記クランクケース23に回転自在に支承される中間ジャーナル部21eとを一体に有しており、一対のクランクピン22a,22bにそれぞれ対応した一対のクランクピン給油通路182,183が、前記中間ジャーナル部22eの軸方向中央で相互に直接交わって連通するので、中間ジャーナル部22eを中心としてクランクシャフト22のバランスを図ることができる。
【0143】
さらに前記連絡通路184と同一径の空洞路185が、前記中間ジャーナル部22eの軸方向中央部で該中間ジャーナル部22eの軸線と直交する平面に関して前記連絡通路184と対称にしてクランクシャフト22に設けられるので、クランクシャフト22のバランス性をより高めることができる。
【0144】
本発明の第2の実施の形態について図25を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0145】
クランクケース23における第2ケース半体29の上部前壁には、第1シリンダブロック24Aのシリンダボア30A…に摺動自在に嵌合されるピストン31A…を冷却するために一対の第1オイルジェット146B…が取付けられ、第2シリンダブロック24Bのシリンダボア30B…に摺動自在に嵌合されるピストン31B…を冷却するために一対の第2オイルジェット147B…がシリンダボア30B…のクランクケース23への開口端よりも後方側に位置するようにしてクランクケース23の第1ケース半体28に取付けられ、両シリンダブロック24A,24Bの各ピストン31A…,31B…を冷却するために一対の第3オイルジェット148B…が第1および第2シリンダブロック24A,24B間で前記クランクケース23の第1ケース半体28に取付けられる。
【0146】
第1オイルジェット146Bは、第2ケース半体29に取付けられるオイルジェット本体201に、第2ケース半体に設けられる第1オイル供給油路150に通じる一対の第1の油路202…と、第1の油路202…にそれぞれ通じる一対の第2の油路203…と、ピストン31Aに向けてオイルを噴出するようにして第2の油路203…に一対ずつ通じる4つのジェット孔154,154;155,155とが設けられて成る。
【0147】
前記オイルジェット本体201は、第2ケース半体29に取付けられる基部201aと、該基部201aから前記ピストン31A側に向けて延出するととともに前記ジェット孔154…,155…が設けられてる延出部201bとを一体に有するものであり、ボルト156で脱着可能に第2ケース半体29に締結される。
【0148】
第1の油路202…は、オイルジェット本体201の第2ケース半体29への締結時に第1オイル供給油路150に通じるようにして前記基部201aに設けられるものであり、第2の油路203…は、第1の油路202…に個別に通じるようにして前記延出部201bに設けられる。
【0149】
第2の油路203…に通じるジェット孔154…,155…は、前記延出部201bの先端を含む複数箇所に設けられるものであり、延出部201bは、ピストン31Aが下死点にあるときに該ピストン31A内に前記ジェット孔154…,155…が在るようにして前記基部201aから延出される。
【0150】
第2オイルジェット147Bは、第1ケース半体29にボルト165で締結されるオイルジェット本体205に、第1ケース半体28に設けられた第2オイル供給油路160に通じる一対の油路206…と、ピストン31Bに向けてオイルを噴出するようにして前記各油路206…に一対ずつ通じる4つのジェット孔163…,164…とが設けられて成る。
【0151】
しかも第2オイルジェット147Bは、ピストン31Bが下死点にあるときに該ピストン31B内に前記ジェット孔163…,164…が在るように形成される。
【0152】
第3オイルジェット148Bは、前記クランクシャフト22の軸線方向に長く延びて形成されるオイルジェット本体207に、メインギャラリー142に通じる一対の油路208…と、それらの油路208…に共通に通じてオイルジェット本体207の長手方向に延びる油路209と、第1シリンダブロック24A側のピストン31Aに向けてオイルを噴出するようにして前記油路209に通じるジェット孔170と、第2シリンダブロック24B側のピストン31Bに向けてオイルを噴出するようにして前記油路209に通じるジェット孔171とが設けられて成り、オイルジェット本体207は第1ケース半体28に締結される。
【0153】
しかもオイルジェット本体207は、前記油路208…,209が形成される基部207aと、前記油路209に通じる油路210を形成して前記基部207aから前記ピストン31A側に延びる延出部207bと、前記油路209に通じる油路211を形成して前記基部207aから前記ピストン31B側に延びる延出部207cとを一体に有し、一方の延出部207bの先端に前記油路210に通じるジェット孔170が設けられ、他方の延出部207cの先端に前記油路211に通じるジェット孔171が設けられる。
【0154】
しかも前記延出部207b,207cは、ピストン31A,31Bが下死点にあるときに、それらの延出部207b,207cの先端のジェット孔170,171がピストン31A,31B内にあるように前記基部207aから延出される。
【0155】
この第2の実施の形態によれば、上記第1実施の形態と同様の効果を奏することができる上に、ジェット孔154…,155…,163…,164…,170…,171…からピストン31A,31Bの内側に確実にオイルを噴射するようにして、オイルによるピストン31A,31Bの冷却性を高めることができる。
【0156】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0157】
23・・・クランクケース
24A・・・シリンダブロックである第1シリンダブロック
28・・・第1ケース半体
29・・・第2ケース半体
30A・・・シリンダボア
31A・・・ピストン
59・・・オイルポンプであるフィードポンプ
146A,146B,148A,148B・・・オイルジェット
150・・・オイル供給油路である第1オイル供給油路
151,201・・・オイルジェット本体
151a,201a・・・基部
151b,201b・・・延出部
152,202・・・第1の油路
153,203・・・第2の油路
154,155,170・・・ジェット孔
156・・・締結部材であるボルト
158・・・プラグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン(31A)を摺動自在に嵌合せしめるシリンダボア(30A)を有するシリンダブロック(24A)に第1ケース半体(28)が結合され、第1ケース半体(28)とともにクランクケース(23)を結合する第2ケース半体(29)が第1ケース半体(28)に結合され、オイルポンプ(59)から供給されるオイルを前記ピストン(31A)に向けて噴射するオイルジェット(146A,146B)が前記クランクケース(23)に取付けられるエンジンのピストン冷却装置において、第2ケース半体(29)に取付けられるオイルポンプ(59)から吐出されるオイルを流通させるオイル供給油路(150)が第2ケース半体(29)に設けられ、前記オイルジェット(146A,146B)が、前記オイル供給油路(150)に接続されるようにして第2ケース半体(29)に設けられることを特徴とするエンジンのピストン冷却装置。
【請求項2】
前記オイルジェット(146A,146B)が、第2ケース半体(29)に取付けられるオイルジェット本体(151,201)に、前記オイル供給油路(150)に通じる油路(152,153;202,203)と、該油路(152,153)に通じるジェット孔(154,155)とが設けられて成ることを特徴とする請求項1記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項3】
前記オイルジェット本体(151,201)が、締結部材(156)で第2ケース半体(29)に脱着可能に取付けられることを特徴とする請求項2記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項4】
前記オイルジェット本体(151,201)が、第2ケース半体(29)に取付けられる基部(151a,201a)と、該基部(151a,201a)から前記ピストン(31A)側に向けて延出するととともに前記ジェット孔(154,155)が設けられる延出部(151b,201b)とを一体に有し、前記オイル供給油路(150)に通じるようにして前記基部(151a,201)に設けられる第1の油路(152,202)に、前記ジェット孔(154,155)に通じて前記延出部(151b,201b)に設けられる第2の油路(153,203)が連通されることを特徴とする請求項3記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項5】
第2の油路(153,203)は、前記延出部(151b,201b)にその先端側と反対側から穿孔加工されて形成される有底の加工孔の開口端がプラグ(158)で閉じられて成り、第2の油路(153,203)に連通する第1の油路(152,202)が第2の油路(153,203)とは交差する方向に延びるようにして前記基部(151a,201a)に設けられることを特徴とする請求項4記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項6】
前記ジェット孔(154,155)が、前記延出部(151b,201b)の先端を含む複数箇所に設けられることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項7】
前記オイルジェット(146A,146B)と対向する別の位置に配置される他のオイルジェット(148A,148B)が、前記ピストン(31A)に向けてオイルを噴射するジェット孔(170)を有して第1ケース半体(28)に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項8】
前記オイルジェット(146A,146B;148A,148B)に設けられるジェット孔(154,155;170)が、前記ピストン(31A)が下死点にあるときに該ピストン(31A)内に配置されるように、前記オイルジェット(146A,146B;148A,148B)が形成されることを特徴とする請求項1〜3,7のいずれかに記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項1】
ピストン(31A)を摺動自在に嵌合せしめるシリンダボア(30A)を有するシリンダブロック(24A)に第1ケース半体(28)が結合され、第1ケース半体(28)とともにクランクケース(23)を結合する第2ケース半体(29)が第1ケース半体(28)に結合され、オイルポンプ(59)から供給されるオイルを前記ピストン(31A)に向けて噴射するオイルジェット(146A,146B)が前記クランクケース(23)に取付けられるエンジンのピストン冷却装置において、第2ケース半体(29)に取付けられるオイルポンプ(59)から吐出されるオイルを流通させるオイル供給油路(150)が第2ケース半体(29)に設けられ、前記オイルジェット(146A,146B)が、前記オイル供給油路(150)に接続されるようにして第2ケース半体(29)に設けられることを特徴とするエンジンのピストン冷却装置。
【請求項2】
前記オイルジェット(146A,146B)が、第2ケース半体(29)に取付けられるオイルジェット本体(151,201)に、前記オイル供給油路(150)に通じる油路(152,153;202,203)と、該油路(152,153)に通じるジェット孔(154,155)とが設けられて成ることを特徴とする請求項1記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項3】
前記オイルジェット本体(151,201)が、締結部材(156)で第2ケース半体(29)に脱着可能に取付けられることを特徴とする請求項2記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項4】
前記オイルジェット本体(151,201)が、第2ケース半体(29)に取付けられる基部(151a,201a)と、該基部(151a,201a)から前記ピストン(31A)側に向けて延出するととともに前記ジェット孔(154,155)が設けられる延出部(151b,201b)とを一体に有し、前記オイル供給油路(150)に通じるようにして前記基部(151a,201)に設けられる第1の油路(152,202)に、前記ジェット孔(154,155)に通じて前記延出部(151b,201b)に設けられる第2の油路(153,203)が連通されることを特徴とする請求項3記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項5】
第2の油路(153,203)は、前記延出部(151b,201b)にその先端側と反対側から穿孔加工されて形成される有底の加工孔の開口端がプラグ(158)で閉じられて成り、第2の油路(153,203)に連通する第1の油路(152,202)が第2の油路(153,203)とは交差する方向に延びるようにして前記基部(151a,201a)に設けられることを特徴とする請求項4記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項6】
前記ジェット孔(154,155)が、前記延出部(151b,201b)の先端を含む複数箇所に設けられることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項7】
前記オイルジェット(146A,146B)と対向する別の位置に配置される他のオイルジェット(148A,148B)が、前記ピストン(31A)に向けてオイルを噴射するジェット孔(170)を有して第1ケース半体(28)に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンのピストン冷却装置。
【請求項8】
前記オイルジェット(146A,146B;148A,148B)に設けられるジェット孔(154,155;170)が、前記ピストン(31A)が下死点にあるときに該ピストン(31A)内に配置されるように、前記オイルジェット(146A,146B;148A,148B)が形成されることを特徴とする請求項1〜3,7のいずれかに記載のエンジンのピストン冷却装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−208581(P2011−208581A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77684(P2010−77684)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]