説明

エンジン装置

【課題】コモンレール120が衝突によって損傷するのを低減できるものでありながら、コモンレールシステムの加工又は着脱等の作業性を向上できるようにしたエンジン装置を提供するものである。
【解決手段】エンジンブロック75の一側方にコモンレール120を設け、吸気マニホールド73に近接させてコモンレール120を配置してなるエンジン装置において、吸気マニホールド73の斜め下方にコモンレール120を並設し、コモンレール120の上面側に配置された燃料噴射管コネクタ127が斜め上方外向きになる姿勢に、コモンレール120を傾倒させるように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気マニホールドを有するディーゼルエンジン等のエンジン装置に係り、より詳しくは、吸気マニホールドと、排気マニホールドと、複数の多気筒用インジェクタと、各インジェクタに燃料を供給するコモンレールとを備えたエンジン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸気マニホールド(排気マニホールド)の真下にコモンレールを配置し、工具の落下等に対して、吸気マニホールド(排気マニホールド)によってコモンレールを保護できるようにした技術がある(特許文献1)。また、吸気マニホールドの真横にコモンレールを配置し、過熱によってコモンレールが損傷するのを抑制できたり、吸気入口フランジによってコモンレールを保護できるようにした技術も公知である(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4074860号公報
【特許文献2】特開2007−92598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸気マニホールドの真下にコモンレールを配置した場合、コモンレールにインジェクタを連通させる燃料噴射管が長尺に形成されることになるから、燃料噴射管の加工又は着脱作業が面倒であった。吸気マニホールドの真横にコモンレールを配置した場合、エンジンの最外側部にコモンレールが支持されることになるから、横方向の衝突によって損傷しやすい等の問題がある。なお、吸気マニホールドの真上にコモンレールを配置した場合、インジェクタにコモンレールが接近しすぎるから、燃料噴射管を簡単に設置できない等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、コモンレールが衝突によって損傷するのを低減できるものでありながら、コモンレールシステムの加工又は着脱等の作業性を向上できるようにしたエンジン装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明のエンジン装置は、エンジンブロックの一側方にコモンレールを設け、吸気マニホールドに近接させて前記コモンレールを配置してなるエンジン装置において、前記吸気マニホールドの斜め下方に前記コモンレールを並設し、前記コモンレールの上面側に配置された燃料噴射管コネクタが斜め上方外向きになる姿勢に、前記コモンレールを傾倒させるように構成したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエンジン装置において、前記コモンレールから、その斜め上方の前記吸気マニホールドの外側方に向けて、前記燃料噴射管コネクタに連通させる前記燃料噴射管の燃料入口側を延長させたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のエンジン装置において、前記吸気マニホールドの外側面下方の角隅部にテーパ面を形成し、前記テーパ面に平行に前記燃料噴射管の燃料入口側を延長させたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のエンジン装置において、前記コモンレールに供給する燃料を濾過する燃料フィルタを備える構造であって、前記シリンダブロックの一側方に、前記コモンレールを挟んで、前記燃料フィルタを配置したものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のエンジン装置において、前記シリンダヘッドが載置されたシリンダブロックの一側に、前記エンジンオイルを濾過するオイルフィルタを備える構造であって、クランク出力軸芯線方向のシリンダブロックの全幅の略中間に、前記コモンレール又は前記燃料フィルタを配置し、前記コモンレール又は前記燃料フィルタの直下に前記オイルフィルタを配置したものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、エンジンブロックの一側方にコモンレールを設け、吸気マニホールドに近接させて前記コモンレールを配置してなるエンジン装置において、前記吸気マニホールドの斜め下方に前記コモンレールを並設し、前記コモンレールの上面側に配置された燃料噴射管コネクタが斜め上方外向きになる姿勢に、前記コモンレールを傾倒させるように構成したものであるから、前記吸気マニホールドによって前記コモンレールの衝突等による損傷を低減できるものでありながら、前記燃料噴射管コネクタに前記燃料噴射管を接続させるナット螺着操作等が簡単に実行できる。前記燃料噴射管の配管等の組立分解作業性を向上できる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記コモンレールから、その斜め上方の前記吸気マニホールドの外側方に向けて、前記燃料噴射管コネクタに連通させる前記燃料噴射管の燃料入口側を延長させたものであるから、前記吸気マニホールドの直下に前記コモンレールを設ける従来構造に比べ、前記インジェクタと前記コモンレールを連通するための前記燃料噴射管の配管長さが短縮できる。前記燃料噴射管の燃料入口側の折り曲げ角度を大きく形成できる。前記インジェクタに供給する燃料の配管抵抗を低減できて、エンジン性能を向上できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記吸気マニホールドの外側面下方の角隅部にテーパ面を形成し、前記テーパ面に平行に前記燃料噴射管の燃料入口側を延長させたものであるから、前記吸気マニホールドに対して所定のスペースを介在させながら、前記吸気マニホールドに近接させて前記コモンレールを支持できる。前記コモンレールに前記燃料噴射管の燃料入口側を簡単に着脱操作できるものでありながら、前記吸気マニホールドの外側面下方のテーパ面に対向させて、前記コモンレールや前記燃料噴射管の燃料入口側をコンパクトに設置できる。前記吸気マニホールドによって、前記コモンレールや前記燃料噴射管の燃料入口側を保護できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記コモンレールに供給する燃料を濾過する燃料フィルタを備える構造であって、前記シリンダブロックの一側方に、前記コモンレールを挟んで、前記燃料フィルタを配置したものであるから、前記燃料フィルタによって前記コモンレールを衝突等から保護できる。例えば、前記燃料フィルタのフィルタケースの剛性よりも前記コモンレールの剛性が高い場合、衝突によって前記コモンレールよりも先に前記燃料フィルタが変形損傷する。その結果、衝突による前記コモンレールの変形損傷を低減できる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記シリンダヘッドが載置されたシリンダブロックの一側に、前記エンジンオイルを濾過するオイルフィルタを備える構造であって、クランク出力軸芯線方向のシリンダブロックの全幅の略中間に、前記コモンレール又は前記燃料フィルタを配置し、前記コモンレール又は前記燃料フィルタの直下に前記オイルフィルタを配置したものであるから、前記エンジンの一側方(同一方向)から、前記コモンレール、前記燃料フィルタ、前記オイルフィルタのメンテナンス作業を実行できる。例えば、エンジンルームに前記エンジンを内設させる場合、前記エンジンルームのメンテナンス窓を作業しやすい大きさに形成できるものでありながら、前記エンジンの防音性を向上できる形状や、冷却ファンの空冷機能を向上できる形状に、前記エンジンルームを簡単に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ディーゼルエンジンの吸気マニホールド設置側の側面図である。
【図2】ディーゼルエンジンの外観斜視図である。
【図3】ディーゼルエンジンの平面図である。
【図4】コモンレールシステムの平面説明図である。
【図5】ディーゼルエンジンの上側部分の断面説明図である。
【図6】図5の部分拡大断面図である。
【図7】ディーゼルエンジンの燃料系統説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1はディーゼルエンジンの吸気マニホールド設置側の側面図、図2はエンジンの外観斜視図、図3はエンジンの平面図、図4はコモンレールシステムの平面説明図、図5はコモンレールシステムの断面説明図、図6は同拡大断面図である。図1乃至図5を参照しながら、ディーゼルエンジンの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、ディーゼルエンジンの吸気マニホールド設置側を単にディーゼルエンジンの右側と称し、同じくディーゼルエンジンの排気マニホールド設置側を単にディーゼルエンジンの左側と称する。
【0018】
図1乃至図5を参照して、四気筒型のディーゼルエンジン70の構造を説明する。図1乃至図5に示す如く、ディーゼルエンジン70のシリンダヘッド72の左側面に排気マニホールド71が配置されている。シリンダヘッド72の右側面には吸気マニホールド73が配置されている。シリンダヘッド72は、エンジン出力軸74(クランク軸)とピストン(図示省略)が内蔵されたシリンダブロック75に上載されている。シリンダブロック75の前面と後面からエンジン出力軸74の前端と後端を突出させている。シリンダブロック75の前面側には冷却ファン76が設けられている。エンジン出力軸74の前端側からVベルト77を介して冷却ファン76に回転力を伝達するように構成している。
【0019】
図1、図2に示す如く、シリンダブロック75の後面にフライホイールハウジング78を固着している。フライホイールハウジング78内にフライホイール79を設ける。エンジン出力軸74の後端側にフライホイール79を軸支させている。図示しないバックホウ又はホィールローダ等の作業車両の駆動部に、フライホイール79を介してディーゼルエンジン70の動力を取り出すように構成している。
【0020】
また、シリンダブロック75の下面にはオイルパン81が配置されている。シリンダブロック75の左右側面とフライホイールハウジング78の左右側面とには、機関脚取付部82がそれぞれ設けられている。各機関脚取付部82には、防振ゴムを有する機関脚体83がボルト締結されている。ディーゼルエンジン70は、各機関脚体83を介して、エンジン支持シャーシ84に防振支持される。
【0021】
図1乃至図3に示すように、吸気マニホールド73の入口側には、EGR装置(排気ガス再循環装置)91を介して図示しないエアクリーナが連結される。エアクリーナ88にて除塵・浄化された外気は、EGR装置91を介して、吸気マニホールド73に送られ、そして、ディーゼルエンジン70の各気筒に供給される。
【0022】
図1及び図2などに示すように、EGR装置91は、ディーゼルエンジン70の再循環排気ガス(排気マニホールド71からのEGRガス)と新気(エアクリーナからの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド73に供給するEGR本体ケース(コレクタ)92と、排気マニホールド71にEGRクーラ94を介して接続する再循環排気ガス管95と、再循環排気ガス管95にEGR本体ケース92を連通させるEGRバルブ96とを有する。
【0023】
上記の構成により、エアクリーナ(図示省略)からEGR本体ケース92内に外部空気を供給する一方、排気マニホールド71からEGRバルブ96を介してEGR本体ケース92内にEGRガス(排気マニホールド71から排出される排気ガスの一部)を供給する。エアクリーナ(図示省略)からの外部空気と、排気マニホールド71からのEGRガスとが、EGR本体ケース92内で混合された後、EGR本体ケース92内の混合ガスが吸気マニホールド73に供給される。即ち、ディーゼルエンジン70から排気マニホールド71に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド73からディーゼルエンジン70に還流されることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が下がり、ディーゼルエンジン70からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減される。
【0024】
図1乃至図3に示す如く、シリンダヘッド72の右側面には、ターボ過給機100が取付けられている。ターボ過給機100は、タービンホィール(図示省略)を内蔵したタービンケース101と、ブロアホィール(図示省略)を内蔵したコンプレッサケース102とを有する。
【0025】
タービンケース101の排気ガス取入れ管105に排気マニホールド71が接続されている。タービンケース101の排気ガス排出管103には、マフラー106(又はディーゼルパティキュレートフィルタ等)を介してテールパイプ107が接続される。即ち、ディーゼルエンジン70の各気筒から排気マニホールド71に排出された排気ガスは、ターボ過給機100等を経由して、テールパイプ107から外部に放出される。
【0026】
一方、コンプレッサケース102の給気取入れ側に給気管104を介してエアクリーナ(図示省略)の給気排出側が接続される。コンプレッサケース102の給気排出側に過給管108を介して吸気マニホールド73が接続される。即ち、エアクリーナによって除塵された外気は、コンプレッサケース102から過給管108を介してディーゼルエンジン70の各気筒に供給される。
【0027】
次に、図1乃至図7を参照して、コモンレールシステム117とディーゼルエンジン70の燃料系統構造を説明する。図1、図4、図7に示す如く、ディーゼルエンジン70に設けられた四気筒分の各インジェクタ115に、燃料ポンプ116とコモンレールシステム117とを介して、燃料タンク118が接続されている。各インジェクタ115は、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ119を有する。コモンレールシステム117は、円筒状のコモンレール120を有する。
【0028】
図1、図4、図7に示す如く、燃料ポンプ116の吸入側には、燃料フィルタ121及び低圧管122を介して燃料タンク118が接続される。燃料タンク118内の燃料が燃料フィルタ121及び低圧管122を介して燃料ポンプ116に吸込まれる。一方、燃料ポンプ116の吐出側には、高圧管123を介してコモンレール120が接続される。円筒状のコモンレール120の長手方向の中間に高圧管コネクタ124を設け、高圧管コネクタ124に高圧管123の端部が高圧管コネクタナット125の螺着にて連結されている。
【0029】
また、コモンレール120には、4本の燃料噴射管126を介して四気筒分の各インジェクタ115がそれぞれ接続されている。円筒状のコモンレール120の長手方向に四気筒分の燃料噴射管コネクタ127を設け、燃料噴射管コネクタ127に燃料噴射管126の端部が燃料噴射管コネクタナット128の螺着にて連結されている。
【0030】
上記の構成により、燃料タンク118の燃料が燃料ポンプ116によってコモンレール120に圧送され、高圧の燃料がコモンレール120に蓄えられる。各燃料噴射バルブ119がそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール120内の高圧の燃料が各インジェクタ115からディーゼルエンジン70の各気筒に噴射される。即ち、各燃料噴射バルブ119を電子制御することによって、各インジェクタ115から供給される燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールできる。したがって、ディーゼルエンジン70から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。ディーゼルエンジン70の騒音振動を低減できる。
【0031】
なお、燃料タンク118に燃料戻り管129を介して燃料ポンプ116を接続する。円筒状のコモンレール120の長手方向の端部に、コモンレール120内の燃料の圧力を制限する戻り管コネクタ130を介して、コモンレール戻り管131を接続する。即ち、燃料ポンプ116の余剰燃料とコモンレール120の余剰燃料が、燃料戻り管129とコモンレール戻り管131を介して、燃料タンク118に回収される。
【0032】
さらに、図1、図5、図6に示す如く、エンジンブロック75の一側方に設けた冷却水ハウジング132に締結台133を一体的に形成する。また、コモンレール120に締結ボス134を一体的に形成する。レール取付ボルト135によって締結台133に締結ボス134が固着されている。エンジンブロック75の一側方に冷却水ハウジング132を介してコモンレール120が着脱可能に締結されている。即ち、エンジンブロック75の一側方にコモンレール120が設けられている。吸気マニホールド73に近接させてコモンレール120が配置されている。
【0033】
図1、図5、図6に示す如く、吸気マニホールド73の斜め下方にコモンレール120を並設している。コモンレール120の上面側に配置された燃料噴射管コネクタ127が斜め上方外向きになる姿勢に、コモンレール120を傾倒させるように構成している。したがって、吸気マニホールド73によってコモンレール120の上面側の一部がカバーされるから、ディーゼルエンジン70等の組立分解作業中に、コモンレール120に向けて上方から工具等を落としても、吸気マニホールド73によってコモンレール120の衝突等による損傷を低減できる。また、燃料噴射管コネクタ127に燃料噴射管126を接続させる燃料噴射管コネクタナット128の螺着操作等が簡単に実行できる。燃料噴射管126の配管等の組立分解作業性を向上できる。
【0034】
図5、図6に示す如く、コモンレール120から、その斜め上方の吸気マニホールド73の外側方に向けて、燃料噴射管コネクタ127に連通させる燃料噴射管126の燃料入口側を延長させている。換言すると、垂直線に対して、吸気マニホールド73の外側方に向けて、燃料噴射管126の燃料入口側を所定角度Aだけ傾倒させるように構成している。したがって、コモンレール120から斜め上方に向けて、燃料噴射管126の燃料入口側を延長できる。コモンレール120から上方のインジェクタ115に向けて、従来構造よりも大きな折曲げ角度で、燃料噴射管126の燃料入口側を延長できる。燃料噴射管126の振動等によって吸気マニホールド73に燃料噴射管126の燃料入口側が接触しないように、吸気マニホールド73に対して、燃料噴射管126の燃料入口側を充分に離反できる。
【0035】
例えば、吸気マニホールド73の直下にコモンレール120を設ける従来構造では、コモンレール120から横向きに燃料噴射管126の燃料入口側を延長させ、吸気マニホールド73に対して燃料噴射管126の燃料入口側を離反させる必要があった。即ち、従来構造に比べ、インジェクタ115とコモンレール120を連通接続するための燃料噴射管126の配管長さが短縮できる。燃料噴射管126の燃料入口側の折曲げ角度が従来構造よりも大きくなることによって、インジェクタ115に供給する燃料の配管抵抗を低減できて、ディーゼルエンジン70の性能を向上できる。
【0036】
図5、図6に示す如く、吸気マニホールド73の外側面下方の角隅部にテーパ面73aを形成する。即ち、テーパ面73aは、四角箱型の吸気マニホールド73の外側面下方の角隅部を切除した切断面の形状に形成されている。テーパ面73aに平行に燃料噴射管126の燃料入口側を延長させている。テーパ面73aに対向して配置される燃料噴射管126又は燃料噴射管コネクタ127又は燃料噴射管コネクタナット128と、テーパ面73aとを所定間隔B以上に離間させながら、吸気マニホールド73に近接させて、吸気マニホールド73の斜め下方にコモンレール120が組付けられる。
【0037】
即ち、吸気マニホールド73に対して所定のスペース(所定間隔B)を介在させながら、吸気マニホールド73に近接させてコモンレール120を支持できる。前記スペース(所定間隔B)の形成によって、スパナの取扱い等が簡単になり、燃料噴射管コネクタナット128の螺着操作等が簡単に実行できるから、コモンレール120に燃料噴射管126の燃料入口側を簡単に着脱操作できる。また、吸気マニホールド73の外側面下方のテーパ面73aに対向した位置に、コモンレール120又は燃料噴射管126の燃料入口側等をコンパクトに設置できる。吸気マニホールド73によって、コモンレール120又は燃料噴射管126の燃料入口側等を簡単に保護できる。
【0038】
図1、図5、図6に示す如く、コモンレール120に供給する燃料を濾過する燃料フィルタ121を備える構造であって、シリンダブロック75の一側方に、コモンレール120を挟んで、燃料フィルタ121を配置している。したがって、ディーゼルエンジン70の側方から障害物が衝突しても、コモンレール120よりも先に燃料フィルタ121に障害物が当接するから、燃料フィルタ121によってコモンレール120を衝突等から保護できる。例えば、燃料フィルタ121のフィルタケースの剛性よりもコモンレール120の剛性が高くなるように構成されているから、障害物の衝突によってコモンレール120よりも先に燃料フィルタ121が変形損傷する。その結果、障害物の衝突によるコモンレール120の変形損傷を低減できる。
【0039】
図1、図5、図6に示す如く、シリンダヘッド72が載置されたシリンダブロック75の一側に、ディーゼルエンジン70のエンジンオイルを濾過するオイルフィルタ140を備えている。オイルフィルタ140は、クランク型エンジン出力軸74の軸芯線方向のシリンダブロック75の全幅の略中間に配置されている。また、クランク型エンジン出力軸74の軸芯線方向のシリンダブロック75の全幅の略中間に、コモンレール120又は燃料フィルタ121が配置されている。即ち、コモンレール120又は燃料フィルタ121の略直下にオイルフィルタ140が配置される。
【0040】
したがって、ディーゼルエンジン70の左側方(同一方向)から、コモンレール120、燃料フィルタ121、オイルフィルタ140のメンテナンス作業を実行できる。例えば、エンジンルーム(図示省略)にディーゼルエンジン70を内設させる場合、前記エンジンルームのメンテナンス窓(図示省略)を作業しやすい大きさに形成できるものでありながら、ディーゼルエンジン70の防音性を向上できる形状や、冷却ファン76の空冷機能を向上できる形状に、前記エンジンルームを簡単に構成できる。
【符号の説明】
【0041】
70ディーゼルエンジン
72シリンダヘッド
73吸気マニホールド
73aテーパ面
74エンジン出力軸74
75シリンダブロック
115インジェクタ
120コモンレール
121燃料フィルタ
126燃料噴射管
127燃料噴射管コネクタ
140オイルフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンブロックの一側方にコモンレールを設け、吸気マニホールドに近接させて前記コモンレールを配置してなるエンジン装置において、
前記吸気マニホールドの斜め下方に前記コモンレールを並設し、前記コモンレールの上面側に配置された燃料噴射管コネクタが斜め上方外向きになる姿勢に、前記コモンレールを傾倒させるように構成したことを特徴とするエンジン装置。
【請求項2】
前記コモンレールから、その斜め上方の前記吸気マニホールドの外側方に向けて、前記燃料噴射管コネクタに連通させる前記燃料噴射管の燃料入口側を延長させたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン装置。
【請求項3】
前記吸気マニホールドの外側面下方の角隅部にテーパ面を形成し、前記テーパ面に平行に前記燃料噴射管の燃料入口側を延長させたことを特徴とする請求項1に記載のエンジン装置。
【請求項4】
前記コモンレールに供給する燃料を濾過する燃料フィルタを備える構造であって、前記シリンダブロックの一側方に、前記コモンレールを挟んで、前記燃料フィルタを配置したことを特徴とする請求項1に記載のエンジン装置。
【請求項5】
前記シリンダヘッドが載置されたシリンダブロックの一側に、前記エンジンオイルを濾過するオイルフィルタを備える構造であって、クランク出力軸芯線方向のシリンダブロックの全幅の略中間に、前記コモンレール又は前記燃料フィルタを配置し、前記コモンレール又は前記燃料フィルタの直下に前記オイルフィルタを配置したことを特徴とする請求項4に記載のエンジン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−163878(P2010−163878A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4497(P2009−4497)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】