説明

エンドリークおよび/またはプロテーゼの形態変化を検出するための管腔内デバイスおよびモニタリングシステム

【課題】プロテーゼ、および、プロテーゼに加えられ、プロテーゼにおける圧力または形態の変化に関する示唆を遠隔的にモニタできるような、少なくとも1つの指示器部材を含んでいる管腔内デバイスを提供すること。
【解決手段】指示器部材は、光ファイバ12a、12b、ストレインゲージ、または、1以上のプロテーゼ10の残りの部材を構成する第2材料の第2MRIサセプタビリティ値と対照をなす第1磁気共鳴画像(MRI)サセプタビリティ値を有する第1材料である。プロテーゼモニタリングシステムは、管腔内デバイス20、ならびに、皮下電子機器パッケージ35および外部電子機器を有する。エンドリーク、または、形態の変化、を検出する方法には、指示器を備えた管腔内デバイスを移植するステップ、および、指示器からの情報を検出するステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は一般に、ステント、グラフト、および/または、プロテーゼ、といった管腔内デバイス(endoluminal devices)に関し、より具体的には、プロテーゼ移植後の、形態の変化、または、エンドリーク(endoleak)の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ステントは管腔内壁の支持に用いられる細長いデバイスである。狭窄の場合、ステントは、狭窄の領域において閉塞していない血流のための導管となる。このようなステントは繊維からなる義グラフト層(prosthetic graft layer)、または、内側もしくは外側に被覆面(covering lining)、を備えてもよく、このような被覆を有するステントは通例、当該技術分野において管内プロテーゼ(intraluminal prosthesis)、管腔内もしくは導管内グラフト(endoluminal or endovascular graft)(EVG)、または、ステントグラフトと呼んでいる。
【0003】
プロテーゼは、例えば、動脈の弱くなっている部分にかかる圧力を取り除いて破裂の危険性を低減させることにより、動脈瘤の治療に用いることができる。一般的には、プロテーゼは狭窄、または、動脈瘤のある場所の血管に、管腔内的に(endoluminally)移植される。つまり、シースまたはカテーテルによって半径方向に圧迫される構成に拘束されているプロテーゼを、導入システム(deployment system)もしくは「イントロデューサ」で、必要としている場所に送り込むいわゆる「低侵襲技術」によって移植される。イントロデューサは、患者の皮膚から体内に、または、軽微な外科的処置により入口となる血管を露にする、「切開(”cut down”)」術によっても体内に入れることができる。イントロデューサが人体の管腔内をプロテーゼ導入位置まで通されると、イントロデューサを操作してプロテーゼを、その周囲を取り囲んでプロテーゼを拘束しているシースもしくはカテーテルから排出させる(または、そのかわりに周囲を取り囲んでいるシースもしくはカテーテルがプロテーゼから引き取られる)。そしてすぐにプロテーゼは導入位置において所定の直径まで膨張し、イントロデューサは引き抜かれる。ステントの膨張は、バネの弾性、バルーンの膨張、または、熱的な自己膨張もしくは形状記憶材料の予め与えられていた広がった立体的構成への応力誘起性の回復によってなされてもよい。当該技術分野において様々な種類のステント構造が知られている。それらには、屈曲され、もしくは網目状にされて、特定の立体的構造を有する、ワイヤまたは複数のワイヤのような、フィラメントまたは数多くのフィラメントを含んだ、数多くのデザインが存在する。
【0004】
プロテーゼ移植を利用する一般的用途の一つには、腹部大動脈瘤(AAA)の治療がある。AAAステントは一般に、動脈瘤を血液から隔離するように覆いながら、大動脈と腸骨動脈の分岐部へ配置される。動脈瘤を隔離してからしばらくの間、磨耗した繊維組織またはその他の理由に起因して、エンドリークが発生するかもしれない。隔離された動脈瘤は隔離していることが原因で弱化するので、ひとたびリークが始まれば、血流および圧は徐々に動脈瘤に対して復帰し、動脈瘤が破裂するかもしれない。現行では、リークはフォローアップの血管造影およびMRI時に検出される。しかし、フォローアップの診察と、リークを処置しなければならない時期とが一致しなければ、検出されなかったエンドリークが患者にとって致命的な動脈瘤破裂を引き起こすような結果になりかねない。別のエンドリーク検出方法には、動脈瘤嚢(aneurysm sac)圧に対する大動脈圧をチェックする方法がある。この方法は、大動脈圧を侵襲的処置によってチェックする間に、圧力検知針を動脈瘤嚢へ経皮的に導入することで実施可能である。
【0005】
エンドリークに加え、プロテーゼ移植後には、検出しなければ問題となるような、その他の問題が起こるかもしれない。例えば、動脈瘤を隔離した後、動脈瘤の縮小に伴い、プロテーゼの形態が変化するかもしれない。形態の変化により、殆ど何の警告もなしに腸骨動脈の閉塞が発生するかもしれない。現今の非侵襲的モニタリング技術では、このような形態の変化を常にうまく検出するとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、当業界において、エンドリークおよび/または移植プロテーゼの形態変化を検出する非侵襲的手段を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明は、プロテーゼを備えた管腔内デバイスを有しており、プロテーゼには少なくとも一つの指示器部材が、ステントもしくはグラフトに織り込まれるかもしくは取り付けられるか、または、その間にサンドイッチされて、加えられている。そしてこの部材はプロテーゼの圧力もしくは形態の変化についての示唆を遠隔的にモニタすることに適化されている。指示器部材は、光ファイバ、ストレインゲージ、または、1以上のプロテーゼの残りの部材を構成する第2材料の有する第2MRIサセプタビリティ値とは対照をなす、第1磁気共鳴画像(MRI)サセプタビリティ値を有する第1材料を含んでいる。
【0008】
本発明はプロテーゼモニタリングシステム、および、そのためのサブアセンブリも有している。サブアセンブリは管腔内に移植するためのプロテーゼを有し、そのプロテーゼは、少なくとも第1光ファイバ部材を有する。この第1光ファイバ部材はプロテーゼに加えられた第1端、および、第2端を有する。本システムはさらに、光ファイバを通して入力光信号を送信するための、および、出力光信号を受信するための、手段を有し、これら手段は第1光ファイバの第2端に取り付けられている。遠隔レシーバへ戻る信号に関する情報の転送にトランスミッタを使用してもよい。動脈瘤嚢を有する動脈瘤を隔離するためにプロテーゼが導入される場合、本システムはさらに第2光ファイバを備えてもよく、第2光ファイバは動脈瘤嚢に配置される第1端、および、信号送信手段に接続される第2端を有する。信号送信/受信手段およびトランスミッタは皮下埋め込みでよく、よって、埋込可能サブアセンブリが形成される。サブアセンブリはさらに、システムに電力を供給する皮下埋込可能バッテリ、および、バッテリからシステムへの電力をオンオフする遠隔作動可能な皮下埋込スイッチを備えてもよい。サブアセンブリは外部電子機器と協働してデータを外部に表示してもよい。第1光ファイバを、光ファイバの屈曲を計測するように構成してもよく、または、第1、および、随意的に第2の、光ファイバを光ファイバの第1端における圧力を計測するように構成してもよい。
【0009】
本発明はさらに、少なくとも部分的に体内に埋め込み可能な、移植されたプロテーゼの形態の変化を検出するプロテーゼモニタリングシステムを有する。形態変化検出システムは、プロテーゼに加えられ、そして遠隔的に測定可能な方法による形態変化の示唆を行うことに適化された指示器、および、指示器の示す形態変化に関する示唆を検出する遠隔モニタリング手段を有する。ある実施形態においては、指示器は、プロテーゼの1以上の残りの部材を構成する第2材料の第2MRIサセプタビリティ値と対照をなす第1磁気共鳴画像(MRI)サセプタビリティ値を有するプロテーゼに統合されている、少なくとも1の部材を有する。この実施形態においては、遠隔モニタリング手段は、部材の形を検出することに適化したMRIデバイスを有する。他の実施形態においては、システムは、指示器から遠隔モニタリング手段へ情報を伝達する埋込可能光ファイバを有する。
【0010】
本発明はまた、少なくとも部分的に体内に埋込可能な、移植されたプロテーゼのエンドリークを検出するプロテーゼモニタリングシステムを有する。エンドリーク検出システムは、エンドリークの原因となりうる圧力の変化を示唆することに適化した、埋込可能な指示器、および、指示器より得た圧力変化に関する示唆を検出する遠隔モニタリング手段を有する。指示器は、ストレインゲージのように、プロテーゼに加えられてよく、また、指示器は、動脈瘤嚢内もしくは上に配置されることに適化されていてもよい。ある実施形態においては、指示器は第1光ファイバ部材を有し、これは圧力検出のために動脈瘤嚢内に備え付けられることに適化されており、また、システムはさらに、少なくとも第1入力光信号を送信する手段および少なくとも第1光ファイバを通して第1出力光信号を受信する手段を有する。ある実施形態においては、指示器は動脈瘤嚢内で圧力検出を行う光ファイバ部材のみからなるが、他の実施形態においては、指示器は少なくともプロテーゼに加えられた第2圧力検出光ファイバ部材を有する。この実施形態においては、信号手段はさらに、第2入力光信号の送信および第2光ファイバを通じた第2出力光信号の受信に適化されている。
【0011】
本発明はまた、本明細書に記載のシステムの使用方法を有する。体内移植されたプロテーゼの形態変化を検出する方法には、体内の管腔内にプロテーゼを移植するステップが含まれており、このプロテーゼには指示器が加えられており、プロテーゼの形態変化を示唆することに適化されている。指示器により示唆される形態変化は、人体外部にある遠隔モニタリング手段により検出される。指示器が、1以上のプロテーゼの残りの部材を構成する第2MRIサセプタブル材料と対照をなす第1MRIサセプタブル材料を有するならば、モニタリングステップは、まずMRIデバイスを用いて第1MRI処置を行い、そしてその結果を基準形態として記録するステップを有する。それからMRIデバイスを用いて後続するMRI処置を行い、後続MRI処置の結果を基準形態と比較して何らかの形態変化が存在するか判断する。
【0012】
移植プロテーゼにおけるエンドリークの検出の方法は、人体の管腔内にプロテーゼを移植するステップ、および、モニタリングシステムを埋め込むステップを有し、モニタリングシステムは動脈瘤嚢の圧力の変化を検出する指示器を有し、指示器は指示器から人体の外側の遠隔モニタへの情報の伝達を行う手段と通信する。本方法はさらに、モニタリングシステムを作動させて指示器と伝達手段との通信を行い、そして、伝達手段に遠隔モニタリング手段へ情報を送信させるステップを有する。本方法は、プロテーゼを移植して動脈瘤嚢を有する動脈瘤を隔離するステップ、および、動脈瘤内に第1光ファイバを配置するステップを含んでよい。
【0013】
指示器が第1光ファイバのみを有する場合、本方法はさらに、基準プロファイルを確立するのに十分な期間にわたり第1光ファイバを用いて圧力を定期的に計測するステップ、それから、基準プロファイルからの変化をモニタリングし、閾値よりも大きな基準プロファイルからの変化を、エンドリークを示唆するものとして解釈するステップを有する。プロテーゼにさらに、ステントと統合され、モニタリングシステムと接続された第2光ファイバが備えられているならば、本方法はさらに第1光ファイバと第2光ファイバとの差圧を周期的にモニタリングするステップ、および、閾圧よりも大きな差圧の変化はエンドリークを示唆するものと解釈するステップを有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】管腔内動脈瘤長手方向断面図、ならびに、それに移植される本発明による管腔内デバイス典型例および移植されたデバイスをモニタするために取り付けられている本発明によるモニタリングシステム典型例である。
【図2】本発明による光ファイバモニタリングシステムの典型例の概略図であり、皮下電子機器および外部電子機器例を示す。
【図3】動脈瘤嚢上への光ファイバの配置典型例の図である。
【図4】プロテーゼ上への光ファイバの配置典型例の図である。
【図5】グラフトまたはステントに織り込まれている光ファイバまたはMRIサセプタブルファイバの図である。
【図6】プロテーゼのグラフトとステントとの間にサンドイッチされた光ファイバの長手方向断面図である。
【図7A】プロテーゼ上のストレインゲージの典型例を示す図である。
【図7B】ストレインゲージの詳細を示す、図7Aの拡大部分図である。
【図8】ストレインゲージと共に使用される皮下電子機器例の概略図である。
【図9】動脈瘤嚢上に移植されたストレインゲージを有する実施形態例の図である。
【図10】プロテーゼのグラフトとステントとの間にサンドイッチされているストレインゲージの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は添付の図面とともに以下の詳細な説明を読むことでよく理解される。強調するが、慣行に従って図面の様々な形態のスケールは付けていない。それだけではなく、様々な形態の大きさを、明瞭性のために任意に拡大縮小している。
【0016】
次に、本発明を、図面を参照して説明する。全ての図面において、図面における同じ数字は同一の要素を示す。これら図面は限定的ではなく、例示目的で示されており、よって本発明による装置の説明を容易にしている。
【0017】
本発明の一態様は一般に、プロテーゼ、および、プロテーゼに加えられている、プロテーゼの圧力もしくは形態の変化の示唆を遠隔的にモニタすることに適化した、少なくとも1つの指示器部材を有する管腔内デバイスと表現される。本明細書中で用いられているように、用語「加えられている」とは一体的に製造、または、個々の組み立ての後での付加、のようなあらゆる添付を意味するものである。本発明の他の態様は、少なくとも部分的に体内に埋込可能(または埋込可能な「サブアセンブリ」)である、移植されたプロテーゼの形態変化を検出するプロテーゼモニタリングシステムを有する。本システムは一般に、プロテーゼに直接的に取り付けられて遠隔的に測定可能な方法によってプロテーゼの形態変化を示唆する指示器、および、指示器によって与えられる形態変化についての示唆を検出する遠隔モニタリング手段を有する。
【0018】
本発明のさらに他の態様は、少なくとも部分的に体内に埋込可能な、移植されたプロテーゼにおけるエンドリークを検出するプロテーゼモニタリングシステムを有する。本システムはエンドリークの原因となりうる圧力の変化を示唆する埋込可能な指示器、および、指示器によって与えられる圧力変化についての示唆を検出する遠隔モニタリング手段を有する。
【0019】
これら本発明の様々な一般的態様は多くの例示的実施形態を考慮することで最善の理解が得られるものである。例えば、指示器部材は、光ファイバ、ストレインゲージ、または、プロテーゼの1以上の残りの部材を構成する第2材料の第2MRIサセプタビリティ値と対照をなす第1磁気共鳴画像(MRI)サセプタビリティ値を有する第1材料を有してよい。各実施形態には実施可能な構成が数多く存在し、また、その構成を使用する方法が存在しており、それらの例を、限定的ではなく、例示的に以下に示す。
【0020】
光ファイバ実施形態
図1は本発明による管腔内デバイス20の部分断面を示す図である。管腔内デバイス20は、動脈瘤102を修復する目的で管腔100内部に移植されるプロテーゼ10、および、光ファイバ12aの遠位端(distal end)14aにおける光ファイバセンサ22aを含んでいる。デバイス20は内部モニタリングシステムの一部であり、プロテーゼ10および動脈瘤102をモニタするために移植される。ファイバ12aの近位端(proximal end)16aは管腔100の外側に配され、患者の皮膚33の下方に付けられる皮下電子機器パッケージ35に取り付けられる。皮下電子機器のマウント位置は腹部、胸部、または、患者にもしくは患者の内部に快適にかつ安全に電子機器をマウントできるあらゆる位置であってよい。
【0021】
図2はプロテーゼモニタリングシステム18例の電子機器構成要素例の概略図であり、これには皮下電子機器パッケージ35の例が含まれている。皮下電子機器パッケージ35は、信号を光ファイバ12aへ送る光源24、および、光センサ22aから戻る信号を受信するスペクトロメータ26を有する。カプラ25により、同一のファイバを用いて光信号の送受信が可能となる。光源24は当業界において周知の、光ファイバと共に使用することに適した光源であればよく、それは例えば、発光ダイオード(LED)またはレーザ光源である。このような光源で生成される光信号は一般的には人間の目に対して可視であるが、あらゆる波長の光信号を用いてもかまわない。光源24、カプラ25、および、スペクトロメータ26を実施形態で図2に示しているが、光ファイバを介して信号を送受信することに適した手段または構成要素であればいかなるものであってもよい。光ファイバ12aは2つの部分からなるコネクタ(two−part connector)23により皮下電子機器パッケージ35と接続されており、コネクタ部分体の一方は電子機器パッケージ、および、光ファイバ12aに備え付けられた合致する部分体23b、に備え付けられている。
【0022】
内部モニタリングシステムはさらに、遠隔レシーバ30に情報を伝送するため、スペクトロメータ26と通信している遠隔計測用トランスミッタ28を備えている。トランスミッタ28は人間の皮膚を通って伝播可能な信号であればどのような種類の信号を送信してもよく、それは例えば電磁的信号または光信号である。光源24、スペクトロメータ26、および、出力トランスミッタ28の電力はバッテリ32より供給される。エネルギを節約するため、埋め込まれているバッテリ32を遠隔作動可能スイッチ34によってオンオフ可能である。このようなスイッチは例えば、ホール効果センサとしても知られている磁気スイッチである。皮膚を通って伝播可能な電磁波で動作するスイッチ、または、遠隔的に作動可能なあらゆる他種のスイッチを使用できる。
【0023】
プロテーゼモニタリングシステムはさらに外部電子機器21を備えてもよく、これには遠隔レシーバユニット130およびデータプロセッサ31が含まれており、これらは図2に示すようにケーブル104とコネクタ106で接続された別個のユニットであっても、単一のユニット(図示せず)であってもよい。遠隔レシーバユニット130は棒磁石40を備えており、これと皮下電子機器35の円形磁石42とあわせて用いて遠隔レシーバ30をトランスミッタ28の上方に位置合わせし、また、磁気スイッチ34を動作させる。データプロセッサ31はアナログ−デジタル(a/d)変換器44を備えており、レシーバ30によって受信したアナログ情報を中央処理ユニット(CPU)/メモリユニット46に記憶できるデジタル情報に変換する。データプロセッサ31はさらに、ディスプレイドライバ47および対応したディスプレイ48、ならびに、データプロセッサに電力を供給するバッテリ49を備えている。データプロセッサ31の内部構成要素は、図2に示す構成要素よりもさらに多くとも、また、それよりも少なくともかまわない。レシーバ30の受信した信号をプロテーゼのモニタリングに使用可能な形式に変換するのに必要な構成要素であればいくつの構成要素を含んでもよい。
【0024】
出力トランスミッタ28により送信される情報はスペクトロメータ26の受信した信号に関する未加工のままの情報でよく、また、皮下電子機器35はa/d変換器、および/または、CPU/メモリユニットを備えて、皮下システムがデータを連続的または周期的に解析し、そのデータおよび/または解析のログをとることを可能にしている。生理学的な事象をモニタリングする埋込可能なデバイスは、クライン(Klein)らへの米国特許第5,987,352号として当業界においては広く知られており、この特許はこの参照により開示に含まれる。データ解析を連続的に行う場合、皮下電子機器がスイッチ34を備えることは望ましいことではないかもしれないので、その代わりに、人体の外側よりバッテリへ誘導的にまたは電磁エネルギの使用により再充電可能なバッテリチャージャを備えることが望ましいかもしれない。再充電用端子は患者の皮膚から突出して直接的な接続を可能にしていてもよい。スイッチ不用の動作およびバッテリ再充電機能は、連続的データモニタリング機能を備えていなくとも、必要であれば、システムに備えてよい。さらに、他の実施形態においては、光源、スペクトロメータ、および、出力トランスミッタを駆動する電力は、バッテリを再充電する方法と同一の方法のいずれかにより、外部電源より送信してもよい。
【0025】
代替的実施形態においては、皮下取り付け電力供給体はないが、その代わり、皮下接続端子27(図1にて破線で示す。)に人体の外側よりアクセス可能であればよく、例えば、経皮アクセスデバイス(such as through or othera percutaneous access device)であればよい。特に、「皮下アクセス(Percutaneous Access)」と題され、ブレット・ハーラ
ラ(Brett Haarala)とポール・ディカーロ(Paul DiCarlo)に対するもので、本出願の譲受人に譲渡され、本出願と同一日に出願され、参照により開示に含まれる、米国特許出願(代理人ドケット番号BSC−179)に開示のような、皮下アクセスデバイスが配されてもよい。接続端子27は皮下アクセスデバイスのカバーから突出しても、デバイスのカバーの開口部からアクセス可能であってもよい。他の当業界において周知の皮下データ端子、例えばスーカップ(Soukup)らに対する、参照により開示に含まれる、米国特許第5,205,286号に開示のものを用いてもよい。皮下接続端子または皮下アクセスデバイスを有する実施形態においては、遠隔モニタリングデバイス30は、接続端子によって皮下電子機器パッケージと直接的に接続され、光源24に電力を送ってもよい。光源は入力光信号を、光ファイバ12aを介して送り、ファイバ12aはスペクトロメータ26によって読み取られる出力光信号を返し、スペクトロメータ26は、接続端子を通して遠隔モニタリングデバイスによって直接的に受信される信号を提供する。このようにして皮下電子機器からの情報は遠隔モニタリングデバイスと通信される。よって、本発明の電子機器の部分または全体は、ハーララおよびディカーロの出願に記載の皮下アクセスデバイスの筐体によって規定される空洞(cavity)に含まれてよい。電子機器はデータ信号送信用に図2に示すようなトランスミッタ28を備えて完全に皮下アクセスデバイスに含まれても、または、デバイスのカバーを通じて突出したもしくはデバイスを開くことによりアクセス可能な、データもしくは電力の伝達用の物理的接続部を備えて部分的に含まれてよい。
【0026】
また別の実施形態においては、コネクタ23bおよび光ファイバ12aの部分のみ(またはコネクタ23bのみ)が体から突出しても、または、収容されても、もしくは、皮下アクセスデバイスのカバーを通してアクセス可能であってもよい。このような実施形態においては、光源24に類似した外部光源を用いて光ファイバを介して光センサ22aに信号を発し、スペクトロメータ26に光センサから戻る信号を受信させてもよい。情報は光ファイバ12aを通じて直接的に伝送されるので、このようなシステムではトランスミッタおよびレシーバが不要となる。
【0027】
エンドリークの検出
エンドリーク検出のため、図1に示すように、光ファイバ12aの遠位端14aにおける光センサ22aは、圧力トランスデューサを備えてよい。光ファイバを基にした圧力トランスデューサは当業界においては周知である。それらは例えば、ワシントン州、ウッディンビルのRJCエンタープライゼス(RJC Enterprises of Woodinville, WA)によって製造、ニュージャージー州、サマセットのテルモ・カーディオバスキュラー・システム・コーポレーション(Terumo Cardiovascular Systems Corporation of Somerset, NJ)に譲渡された、タカキ(Takaki)に対する米国特許第6,052,613号の記載、または、1999年6月7日、エンジニアリング・ニュースの「光ファイバトランスデューサがハートモニタリングを支援」(”Fiber−optic Transducer Aids Heart Monitoring” Engineering News, June 7, 1999)の記載であり、これらは全て参照によって開示に含まれる。カナダ、ケベックのFISOテクノロジーズ(FISO Technologies, of Quebec, Canada)の製造する生体内圧力センサ、モデルFOP−Mも、本発明に係る用途に特に有用である。
【0028】
図1の実施形態例においては、光ファイバ12bは、その遠位端14bを動脈瘤102の動脈瘤嚢102に取り付け、そして、近位端16bを皮下電子機器パッケージ35に接続して、移植される。動脈瘤嚢102における光ファイバは、腹腔鏡(laproscopically)で移植されてよい。光ファイバセンサ22bは動脈瘤嚢102における圧力を計測し、この情報はセンサ22aによる情報収集と類似の方法で、収集され、そして処理される。図2には示していないが、ファイバ12bが独立した信号送/受信デバイス、もしくは、光源24、カプラ25、および、スペクトロメータ26に類似したアセンブリを有してもよく、また、電子機器35が複数チャンネルを備えた単一の光源および複数チャンネルを備えた単一のスペクトロメータを有し、それぞれ対応するカプラを備えた複数のファイバを提供してもよい。よって、皮下電子機器は各ファイバが別個のトランスミッタを備えても、または、複数チャンネルの情報を同時的に送信する単一のトランスミッタを有してもよい。a/d変換器44およびCPU/メモリ46のようなデータ処理要素を皮下電子機器35内に含む実施形態においては、順次送信されているそれぞれのファイバからの読み取り(reading)に相当する情報のバーストにて単一チャンネルの情報を送信しても、または、圧力差異に関する情報のような、両方のファイバから得た複合的な情報を送信してもよい。
【0029】
プロテーゼ10に統合されている0光ファイバ12aおよび動脈瘤嚢102に組み込まれている光ファイバ12bの双方を有する、図1に示す実施形態においては、エンドリーク検出の方法に、光ファイバ12aの端部にマウントされている光センサ22aと光ファイバ12bの端部にマウントされている光センサ22bとの間の圧力差をモニタリングするステップが含まれる。閾圧力または基準圧力差よりも大きな圧力差はエンドリークを示すものと解釈される。そのような基準または圧力差はリークが生じていないことがわかっている体内における圧力差の値を同定することにより決定されてよい。
【0030】
他の実施形態においては、モニタリングシステムは動脈瘤嚢102内部圧力のみを計測するファイバ12bのみ(および上記関連電子機器)を有してよい。この実施形態においては、動脈瘤嚢内の初期圧力をプロテーゼの設置の直後に計測し、リークが発生していなければ、基準圧力として記録してよい。それから、プロテーゼモニタリングシステムを用いて、後の圧力の読み取りを行い、その読み取りを基準圧力と比較して圧力に何らかの変化があるかどうか判断する。閾値よりも大きな基準プロファイルからの変化は、エンドリークを示すものと解釈される。
【0031】
図3に示される、さらに別の代替実施形態においては、光ファイバ312aが腹腔鏡的に移植され、動脈瘤102の外側表面の周囲に巻きつけられる。スペクトロメータ26は光ファイバの屈曲により生じる光信号の変化を検出するように構成されてよい。ファイバの屈曲を検出するための光ファイバの使用は当業界では周知である。それは例えば、A.セルバラヤン(A. Selvarajan)の著した「光センサファイバおよびその応用(Fiber Optic Sensors and Their applications)」に記載されている。この内容は参照により開示に含まれる。そして、光ファイバはモニタされて、共にエンドリークを示唆する、その形状が変化しているか、または、拍動運動(心臓の鼓動に対応した脈動運動)が検出されているかを判断する。加えて、または、代わりに、1以上の光ファイバ312bを腹腔鏡によって動脈瘤102の外側表面上、長手方向に移植し、動脈瘤の形態の変化または拍動運動を検出してもよい。
【0032】
よって、エンドリーク検出方法は、プロテーゼ10、12b(、または、12aおよび12b)のような少なくとも一つの光ファイバ、ならびに、任意的に、皮下電子機器35を移植するステップを含んでいる。スイッチ34はバッテリ32からの電力の流れを可能にするように作動して光源24を作動させ、光ファイバセンサ22aおよび/または22bへ入力光信号を送り、それぞれはスペクトロメータ26に読み取られる出力光信号を返す。そしてスペクトロメータ26は出力トランスミッタ28と交信し、トランスミッタが遠隔レシーバ30へ情報を送信する。遠隔レシーバ30は情報を処理するデータプロセッサ31に情報を送信する。それから、処理された情報が圧力または圧力差の決定に用いられ、これには基準圧力もしくは基準圧力差の規定、ならびに、エンドリークを示唆するそれからの乖離度を定めることを含んでいる。図3に示す実施形態においては、処理された情報を用いて動脈瘤嚢形態の基準の決定、ならびに、エンドリークを示すそれからの乖離度もしくはエンドリークを示す拍動運動の検出に用いられる。
【0033】
形態変化の検出
図4に示すように、プロテーゼ400はそれに取り付けられた1以上の光ファイバ412a−cを有する。光ファイバ412a−cは光ファイバの屈曲を計測するように構成されてよく、また、特にプロテーゼ410の形態の変化を計測することに有用である。プロテーゼ410は大動脈本幹部(aortic trunk portion)411ならびに2つの腸骨動脈脚部(iliac leg portion)413aおよび413bを有する。光ファイバは螺旋ファイバ(helical fiber)412aのように大動脈本幹部411に織り込んでも、または、円周ファイバ(circumferential fiber)412bのように腸骨動脈部に織り込んでもよい。螺旋状に、円周状に、巻かれているファイバ、または、円形もしくは螺旋形のファイバの部分は「ラジアルファイバ(radial fiber)」と呼んでよい。プロテーゼ410の長手方向に沿ったファイバ412cは「長手」ファイバ(”longitudinal” fiber)と呼んでよい。ファイバ412a−cは、数多くの方法で取り付けることができる。例えば、プロテーゼのグラフトもしくはステント内にファイバを織り込む、ファイバをグラフトとステントの間にサンドイッチする、または、ファイバを接着剤でグラフトもしくはステントに接着する、といった方法である。ファイバを取り付ける方法については、以下でより詳細に議論する。
【0034】
グラフトを有するプロテーゼに対しては、図5を参照すれば、光ファイバ512はグラフトに織り込まれてよい。ここで、要素504はグラフトの糸(strand)を表している。同様に、要素504が、光ファイバ512の織り込まれているステントの単繊維(stent filament)または糸を表してもよい。図5においては網目状構造を示しているが、ステントまたはグラフトは、当業界において周知のあらゆる構造を備えてよい。管腔壁に対する外側表面610および内側表面612を有するグラフト604、ならびに、外側表面630および内側表面632を有するステント602、の両方を備えるプロテーゼ600に関し、グラフトはステントの内側もしくは外側表面にマウントしてよく、また、光ファイバは、グラフトもしくはステントの内側もしくは外側表面にマウントしてよい。よって、光ファイバ614がグラフト604とステント602との間にサンドイッチされている実施形態を図6に示しているが、グラフト、ステント、および、光ファイバの関係性は組み合わせ可能などのような組み合わせであってもよい。
【0035】
よって、体内に移植されたプロテーゼの形態の変化を検出する方法の一例は、図4、図5、および、図6にそれぞれ図示されている、光ファイバ412a−c、512、もしくは、612のいずれかのような、統合された光ファイバを有するプロテーゼ400のようなプロテーゼを管腔内に移植するステップ、および、統合されている光ファイバと交信している、図2に示す電子機器35のような皮下電子機器を埋め込むステップを有する。管腔内デバイス20により供される情報はデータプロセッサ31にて処理され、プロテーゼの形態の基準、および、それからの乖離の程度を定める。
【0036】
ストレインゲージ実施形態
さらに別の実施形態においては、図7Aに示すように、プロテーゼ700は少なくとも1つのストレインゲージ702aを備えるか、または、図9に示すように、動脈瘤嚢102上に配されたストレインゲージ702bを備える、指示器を有してよい。ストレインゲージ702aおよび702bはそれぞれストレインゲージに電力を供給するための電力リード線704、および、電子機器へひずみ読み取り(strain reading)を送信する信号リード線706を有する。人体内に埋め込むことに適したあらゆる種類の超小型計測用ストレインゲージまたはストレインゲージアセンブリを使用してよい。北アイルランド、コールレーンのマイクロ−フレクシトロニクス社(Micro−Flexitronics Limited, of Coleraine, North Ireland)製造の「バラ形」デザイン(”rosette” design)を有するストレインゲージアセンブリ719例を図7Bに示す。ストレインゲージアセンブリ719は、マウンティングパッド720を備え、その上に3つの個別のストレインゲージ722、723、および、724がマウントされている。各々個別のストレインゲージは、ストレインゲージアレイ726、および、リード線(図7Aに示す704および706)を付けることができる一対のはんだづけパッド728を有する。
【0037】
上述の光ファイバでの実施形態と同様、ストレインゲージでの実施形態のためのモニタリングシステムは、図2に示す電子機器35、ならびに、遠隔レシーバユニット130およびデータプロセッサ31を有する外部電子機器に類似して、皮下電子機器を有することが望ましい。だが、図8に示すように、ストレインゲージでの実施形態に対しては、皮下電子機器835は光源、スペクトロメータ、もしくは、カプラは含まず、むしろ、コネクタ823aおよび823b、および、それに関連した、スイッチ34を介した電源用リード線704とバッテリ32とを接続するための配線、ならびに、コネクタ824aおよび
824b、および、それに関連した、信号用リード線704と出力トランスミッタ28とを接続するための配線、のみを有する。
【0038】
光ファイバでの実施形態と同様、皮下データ処理電子機器を有する構成、ならびに、スイッチを備えずにバッテリ再充電機構を備えた連続運転できる構成、皮下バッテリを備えない構成、いかなる皮下電子機器も備えない構成、もしくは、先に議論した様々な構成のいずれかもしくは類似の構成、を有する構成、を用いてよい。
【0039】
皮下電子機器を備えない実施形態においては、1以上の統合されたストレインゲージが移植され、そして、電力用リード線704および信号用リード線706と接続される接続端子が管腔および/または皮膚から突出する。上述のように、接続端子は収納されていても、または、皮下電子機器デバイスのカバー上であってもよい。そして、読み取りを取得するため、データ処理電子機器31を備えた遠隔モニタリングデバイスが接続端子に取り付けられ、モニタリングデバイスが電力用リード線704に電力を送り、ストレインゲージの読み取りを取得可能にし、信号用リード線706を通して読み取りを受信する。
【0040】
本発明の一般的な説明と合致して、本実施形態においては、指示デバイスはストレインゲージ702aもしくは702bであり、また、信号用リード線706は信号をストレインゲージから、ストレインゲージの読み取りを取得するために周期的に信号用リード線に接続される遠隔モニタリングデバイス(データプロセッサ31)へ伝達する役割を果たす。
【0041】
形態変化の検出
ストレインゲージを形態変化の検出に用いてもよい。これは、本幹部、腸骨動脈部、または、複数の位置のように、プロテーゼに沿ったあらゆる所望の位置で、ストレインゲージをグラフトに取り付けるか、または、グラフトに織り込むかして、ちょうど上述し、図4に示した光ファイバと同じように行われる。図10に示すように、ストレインゲージ702、ならびに、リード線704および706(図示せず)はグラフト902とステント904との間にサンドイッチされてよい。
【0042】
体内に移植されたプロテーゼの形態における変化を検出する方法の例において、方法は、第1に、少なくとも1つの統合されたストレインゲージ702を備えたプロテーゼを管腔内に移植するステップ、および、皮下電子機器835を埋め込むステップを有する。そして、本方法は、電力供給体32から電力を流せるようにして、データプロセッサ31に情報を送る遠隔モニタリング手段30へ情報を送信するトランスミッタ28へ信号を送るストレインゲージ702を作動させるよう、スイッチ34を遠隔的に作動させるステップを有する。この情報はプロテーゼの基準形態、および、それからの乖離の程度を決定するのに用いられる。
【0043】
エンドリークの検出
エンドリークの検出のため、図9に示すように1以上のストレインゲージ702を腹腔鏡的に動脈瘤嚢102上にマウントしてよい。そして、ストレインゲージ702をモニタして、動脈瘤嚢102の形態に変化があるかどうかを判断、または、動脈瘤嚢の拍動運動を検出する。これらは共にエンドリークを示唆するものである。
【0044】
MRI−サセプタブルなファイバでの実施形態
図5と類似した実施形態においては、グラフトまたはステント504内の部材512は光ファイバではなく、その代わりとして、残りの部分のステントまたはグラフト材料のMRIサセプタビリティ値と対照をなす磁気共鳴画像(MRI)サセプタビリティ値を有する部材であってよい。図5に示されている実施形態で示したように、部材512はグラフト504内の非冗長なフィラメントであるが、その代わりに、グラフトまたはステントの、構造的に統合された、フィラメントと並んでいる、冗長な「トレーサ」であってよい。用語「磁気的サセプタビリティ」とはMRI分野においてよく知られた無次元の比であり、シェンク,ジョン・F(Schenck, John F.)によって、「磁気共鳴画像における磁気的サセプタビリティの役割:第1種および第2種MRI磁気的互換性(”The Role of Magnetic Susceptibility in Magnetic Resonance Imaging: MRI Magnetic Compatibility of the First and Second Kinds)」、Med.Phys.23(6)、1996年6月、815−850頁において包括的に議論されており、これは参照により開示に含まれる。
【0045】
例えば、もし要素504が、123×10なるサセプタビリティ値を有するモリブデンのように、正のサセプタビリティ値を有する材料を含んだステントであれば、指示器部材512は、−34×10なるサセプタビリティ値を有する金のように、負のサセプタビリティ値を有する材料を含んでいることが望ましい。逆に、ステント504が、−15.7×10なるサセプタビリティ値を有する亜鉛のように、負のサセプタビリティ値を有する材料を含んでいるならば、指示器部材512は、182×10なる値を有するチタンのように、正のサセプタビリティ値を有する材料を含んでいることが望ましい。従い、ステント504の形態の変化に応じて指示器部材の方向が変化するので、構成の変化は容易にMRI技術によって検出される。
【0046】
MRIデバイスを用いて第1の画像化手順を実施してよく、その結果は基準形態として記録される。それから、MRIデバイスを用いて後続の画像化手順を実施してよく、後続の手順の結果は基準形態と比較され、形態に何らかの変化が生じているかどうかが判断される。
【0047】
まとめ
特定の実施形態を参照して図解、および、説明を行ったが、本発明は開示の詳細に限定されることを意図していない。むしろ、クレームの均等物の範囲および程度内で、また、本発明の思想を逸脱せず、細部における様々な変更を加えてもよい。
【0048】
例えば、本発明のプロテーゼは、プロテーゼに統合され、プロテーゼにおける圧力または形態の変化に関する示唆を遠隔的にモニタされることに適化した、少なくとも1つの指示器部材を有するあらゆるプロテーゼでよい。プロテーゼは当業界において周知のあらゆるステント、グラフト、または、ステント−グラフト構造を含んでよく、また、本明細書に示したデザイン例に限定されない。光ファイバ、ストレインゲージ、および、MRI−サセプタブルファイバが好適な実施形態だが、指示器部材は所望の結果が得られるあらゆる部材であってよい。
【0049】
同様に、所望の示唆を供するために、プロテーゼに加えられ、かつ/または、動脈瘤嚢上にマウントされた、あらゆる指示デバイスまたはアセンブリを、プロテーゼモニタリングシステムは備えてよい。光ファイバ、ストレインゲージ、および、MRI−サセプタブルファイバが好適な指示器であるが、所望の結果をもたらすことができるあらゆる手段を用いてもよい。本明細書において、特定のタイプのストレインゲージおよび光ファイバセンサもしくは技術を例として提示しており、それらに限定することを意図してはいない。特定の、皮下および外部電子機器の構成も本明細書において実施形態例として提示しているが、それらに限定することを意図せず、当業界において周知の、あらゆる動作可能な電子機器の組み合わせを用いて情報を移植された指示器から遠隔モニタリング手段へ伝達してよい。
【0050】
最後に、本発明は、本明細書で議論したモニタリングシステムにより供される、特定の情報分析方法に限定されない。構成要素の様々な組み合わせのいずれかを用い、プロテーゼの形態の変化およびエンドリークを示唆することに適合していると思われるならば、いかなる情報を用いてでも、モニタリング情報を提供してよい。最後に、プロテーゼモニタリングシステムはエンドリークおよび形態変化モニタリング以上の、他の有用な便益を有している。よって、本発明はいかなる特定の使用にも限定されない。
【符号の説明】
【0051】
10 ・・・プロテーゼ
12a・・・光ファイバ 12b・・・光ファイバ
14a・・・遠位端 14b・・・遠位端
16a・・・近位端 16b・・・近位端
20 ・・・管腔内デバイス
22a・・・光ファイバセンサ 22b・・・光ファイバセンサ
27 ・・・接続端子
33 ・・・皮膚
35 ・・・皮下電子機器パッケージ
100 ・・・管腔
102 ・・・動脈瘤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテーゼと、
前記プロテーゼに加えられた少なくとも1つの指示器部材であって、前記プロテーゼの圧力または形態の変化を示すように遠隔的にモニタされるように構成された光ファイバを含む少なくとも1つの指示器部材と、
ユーザの皮膚を通って延びるように構成された接続端子を含むモニタリングシステムと
を含む腔内デバイス。
【請求項2】
前記プロテーゼは、ステントを含み、前記指示器部材は、前記ステントに織り込まれている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ステントは、大動脈本幹部と、少なくとも1つの腸骨動脈脚部とを含み、前記指示器部材は、前記少なくとも1つの腸骨動脈脚部に織り込まれている、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記プロテーゼは、グラフトを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記指示器部材は、前記グラフトに織り込まれている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記プロテーゼは、グラフトとステントとを含み、前記指示器部材は、前記グラフトと前記ステントとの間に挟まれている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記指示器部材は、前記プロテーゼに沿って長手方向に延びている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記指示器部材は、前記プロテーゼに沿って、らせん状、円周状、または、半径方向に延びている、請求項1に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−165846(P2009−165846A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63627(P2009−63627)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2003−508279(P2003−508279)の分割
【原出願日】平成14年6月21日(2002.6.21)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】