説明

エンボスキャリアテープを用いたワーク供給装置およびそれに用いられるテープ案内治具

【課題】収容凹部内からのワークの脱落を防ぐためのカバーテープが不要で、ワーク供給システムにおける工程が簡易化され、繰り返し使用でき、種々の大きさのワークの供給に対応でき、保管のための省スペース化およびワーク供給システムの小型化が可能であるエンボスキャリアテープを提供する。
【解決手段】可撓性を有するプラスチック材料で長尺帯状のエンボスキャリアテープ10を形成し、ワーク12を1個ずつ収容する収容凹部14がエンボス加工によって長手方向に等間隔で多数形設され、収容凹部の形設区域から両側へ張り出した一対の帯状平面部16を折り目で上面側に折り返して形成される一対の帯状折返し部22によって収容凹部の開口面が部分的に塞がれ、収容凹部内からワークが脱落しないようにされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品、精密機構部品、機械部品などの各種のワークを収容して製品アッセンブリ位置等の作業位置へ供給するために使用されるエンボスキャリアテープ、ならびに、そのエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の電子部品などの供給システムでは、長尺帯状をなし、その長手方向に等間隔で多数の収容凹部が形設されるとともに、一側辺縁部に、長手方向に等間隔で多数の係合孔が穿設されたエンボスキャリヤテープが広く使用されている。すなわち、このエンボスキャリヤテープの各収容凹部にそれぞれ電子部品を1個ずつ挿入して、多数の収容凹部の開口面を閉塞するようにカバーテープをエンボスキャリアテープの上面に接合し、このエンボスキャリアテープをリールに巻き取る。そして、自動組立てラインへの投入位置に設けられたリール装着部にリールを装着し、そのリールからエンボスキャリヤテープを繰り出して、繰り出されたエンボスキャリアテープをテープ送りローラによって作業位置(電子部品の実装位置等)へ搬送し、作業位置に設けられた吸着ヘッド等によりエンボスキャリアテープの各収容凹部から電子部品を順次取り出すようにしている。
(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、構成部品等のワークを容器内に収容して作業ライン、例えば製品の自動組立てラインに投入し、ワークを収容した容器を投入位置から自動組立てラインに乗せて製品のアッセンブリ位置等の作業位置まで搬送して、作業位置で容器からワークを取り出した後、空になった容器を回収し、その容器に再びワークを収容して自動組立てラインに投入する、といったワーク供給システムにおいて、ワークを収容して搬送するのに、一般にトレイが使用されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2003−72835号公報(第3−4頁、図1、図4−図7)
【特許文献2】特開平7−101549号公報(第3−4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エンボスキャリアテープでは、収容凹部に挿入された電子部品等が収容凹部内から抜け落ちないようにするために、その上面にカバーテープを接合して多数の収容凹部の開口面を閉塞する必要がある。このため、カバーテープをヒートシールするための装置が必要となる。また、エンボスキャリアテープを使用したワーク供給システムでは、リールから繰り出されたエンボスキャリヤテープを搬送して電子部品等のワークを作業位置(電子部品の実装位置等)へ送り込む手前で、エンボスキャリアテープの上面からカバーテープを剥離し収容凹部の開口面を開放して収容凹部内からのワークの取出しを可能にする工程が必要である。さらに、上面からカバーテープが剥離されたエンボスキャリアテープは使い捨てであり、繰り返し使用することができないので経済的に不利である、といった問題点がある。
【0006】
一方、従来のトレイを使用したワーク供給システムは、比較的大きいワークの供給には適しているが、電子部品、精密機構部品などの小形のワークの供給には不向きである。また、トレイは、通常、1つのトレイに複数個のワークを二次元的に収容する大きさに形成されるので、その保管スペースが大きくなり、また、供給システムも大掛かりとなる、といった問題点がある。
【0007】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、収容凹部内からのワークの脱落を防ぐためのカバーテープが不要で、ワークを供給するシステムにおける工程が簡易化され、繰り返し使用することができて経済的であり、種々の大きさのワークの供給にも対応することができ、保管のための省スペース化およびワーク供給システムの小型化が可能であるエンボスキャリアテープを提供すること、ならびに、そのエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給する新規なワーク供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、複数のワークを収容して作業位置へ供給するために使用されるエンボスキャリアテープにおいて、可撓性を有するプラスチック材料で長尺帯状に形成され、ワークを1個ずつ収容する収容凹部がエンボス加工によって長手方向に等間隔で多数形設されるとともに、前記収容凹部の形設区域から両側へそれぞれ張り出した一対の帯状平面部が長手方向に沿って設けられ、前記各帯状平面部に、それを上面側に折り返すための折り目が長手方向に沿ってそれぞれ形成され、前記各折り目でそれぞれ折り返された一対の帯状折返し部によって前記各収容凹部の開口面がそれぞれ部分的にもしくは全面的に塞がれて、収容凹部内からワークが脱落しないようにされたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、複数のワークを収容して作業位置へ供給するために使用されるエンボスキャリアテープにおいて、可撓性を有するプラスチック材料で長尺帯状に形成され、ワークを1個ずつ収容する収容凹部がエンボス加工によって長手方向に等間隔で多数形設されるとともに、前記収容凹部の形設区域から片側へ張り出した帯状平面部が長手方向に沿って設けられ、前記帯状平面部に、それを上面側に折り返すための折り目が長手方向に沿って形成され、前記折り目で折り返された帯状折返し部によって前記各収容凹部の開口面がそれぞれ部分的にもしくは全面的に塞がれて、収容凹部内からワークが脱落しないようにされたことを特徴とするエンボスキャリアテープ。
【0010】
請求項3に係る発明は、ワークを作業位置へ供給するワーク供給装置において、多数のワークを保持しリールに巻回された請求項1に記載のエンボスキャリアテープが順次繰り出されるテープ繰出し部と、このテープ繰出し部から繰り出される前記エンボスキャリアテープを平坦状態にして、収容凹部に収容されたワークを順次作業位置へ移送するテープ送り手段と、作業位置の手前側で前記エンボスキャリアテープの一対の帯状折返し部をそれぞれ起立させて収容凹部の開口面を開放し収容凹部内からのワークの取出しを可能にする案内治具と、作業位置において前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分を、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形させつつ反転させるテープ反転案内手段と、前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分をリールに巻き取っていくテープ巻取り部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のワーク供給装置において、テープ反転案内手段が、エンボスキャリアテープが掛け回される案内ローラであることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、ワークを作業位置へ供給するワーク供給装置において、多数のワークを保持しリールに巻回された請求項1に記載のエンボスキャリアテープが順次繰り出されるテープ繰出し部と、このテープ繰出し部から繰り出される前記エンボスキャリアテープを平坦状態にして、収容凹部に収容されたワークを順次作業位置へ移送するテープ送り手段と、作業位置の手前側で前記エンボスキャリアテープの一対の帯状折返し部をそれぞれ起立させて収容凹部の開口面を開放し収容凹部内からのワークの取出しを可能にする案内治具と、作業位置において前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分をリールに巻き取っていくテープ巻取り部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のワーク供給装置において、案内治具が、エンボスキャリアテープの収容凹部の形成面と一対の帯状折返し部との間に介挿されて、エンボスキャリアテープをその長手方向に沿って案内する平板状案内部と、この平板状案内部の片面側に、その両側縁部からそれぞれ前方へ突出するように立設され、前記エンボスキャリアテープの各帯状折返し部の内面側にそれぞれ摺接しエンボスキャリアテープの前方への移動に従ってその各帯状折返し部をそれぞれ起立させるように案内する一対の側部案内部とを有することを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、ワークを作業位置へ供給するワーク供給装置において、多数のワークを保持しリールに巻回された請求項2に記載のエンボスキャリアテープが順次繰り出されるテープ繰出し部と、このテープ繰出し部から繰り出される前記エンボスキャリアテープを平坦状態にして、収容凹部に収容されたワークを順次作業位置へ移送するテープ送り手段と、作業位置の手前側で前記エンボスキャリアテープの帯状折返し部を起立させて収容凹部の開口面を開放し収容凹部内からのワークの取出しを可能にする案内治具と、作業位置において前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分を、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形させつつ反転させるテープ反転案内手段と、前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分をリールに巻き取っていくテープ巻取り部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載のワーク供給装置において、テープ反転案内手段が、エンボスキャリアテープが掛け回される案内ローラであることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、ワークを作業位置へ供給するワーク供給装置において、多数のワークを保持しリールに巻回された請求項1に記載のエンボスキャリアテープが順次繰り出されるテープ繰出し部と、このテープ繰出し部から繰り出される前記エンボスキャリアテープを平坦状態にして、収容凹部に収容されたワークを順次作業位置へ移送するテープ送り手段と、作業位置の手前側で前記エンボスキャリアテープの帯状折返し部を起立させて収容凹部の開口面を開放し収容凹部内からのワークの取出しを可能にする案内治具と、
作業位置において前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分をリールに巻き取っていくテープ巻取り部と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のワーク供給装置において、案内治具が、エンボスキャリアテープの収容凹部の形成面と帯状折返し部との間に介挿されて、エンボスキャリアテープをその長手方向に沿って案内する平板状案内部と、この平板状案内部の片面側に、その片側縁部から前方へ突出するように立設され、前記エンボスキャリアテープの帯状折返し部の内面側に摺接しエンボスキャリアテープの前方への移動に従ってその帯状折返し部を起立させるように案内する側部案内部とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項11に係る発明は、請求項3ないし請求項10のいずれかに記載のワーク供給装置において、テープ繰出し部からエンボスキャリアテープが、その収容凹部の開口面を上向きにして繰り出され、テープ送り手段によって前記エンボスキャリアテープが、その収容凹部の開口面を上向きにして水平方向へ搬送されることを特徴とする。
【0019】
請求項12に係る発明は、請求項3ないし請求項10のいずれかに記載のワーク供給装置において、テープ繰出し部からエンボスキャリアテープが、その収容凹部の開口面を下向きにして繰り出され、テープ送り手段によって前記エンボスキャリアテープが、その収容凹部の開口面を下向きにして水平方向へ搬送されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1および請求項2に係る各発明のエンボスキャリアテープにおいては、帯状折返し部によって収容凹部の開口面が塞がれるので、収容凹部内からワークが抜け落ちる恐れが無い。このため、収容凹部内からのワークの脱落を防ぐためのカバーテープが不要になる。そして、このエンボスキャリアテープを使用したワーク供給システムでは、リールから繰り出されたエンボスキャリヤテープを搬送してワークを作業位置へ送り込む手前で、エンボスキャリアテープの上面からカバーテープを剥離する工程が不要になるので、ワーク供給システムにおける工程が簡易化される。また、このエンボスキャリアテープでは、帯状折返し部が折り目で上面側に折り返されて収容凹部の開口面が塞がれ、その帯状折返し部を起立させることにより、収容凹部の開口面を開放して収容凹部内からのワークの取出しを可能にすることができる。このため、このエンボスキャリアテープは、繰り返し使用することが可能であって経済的である。
さらに、このエンボスキャリアテープは、収容しようとするワークの大きさに応じて収容凹部の大きさを適宜設定することにより、種々の大きさのワークの供給に対応することができる。そして、このエンボスキャリアテープは、可撓性を有するプラスチック材料で長尺帯状に形成されているので、従来のエンボスキャリアテープと同様に、リールに巻回して保管し、リールから繰り出して使用することができるので、保管スペースが小さくて済み、このエンボスキャリアテープを使用したワーク供給システムも小型化することができる。
【0021】
請求項3および請求項7に係る各発明のワーク供給装置においては、多数のワークを保持しリールに巻回されたエンボスキャリアテープがテープ繰り出し部から繰り出され、その繰り出されたエンボスキャリアテープは、平坦状態にされテープ送り手段によって搬送され、収容凹部に収容されたワークが順次作業位置へ移送される。そして、作業位置の手前側において、案内治具により、エンボスキャリアテープの帯状折返し部が起立させられて収容凹部の開口面が開放される。これにより、収容凹部内からのワークの取出しが可能になる。作業位置においてエンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分は、テープ反転案内手段により、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形させられ、反転させられる。このようにエンボスキャリアテープが平坦状態から折曲状態へ変形しながら搬送されることにより、起立していた帯状折返し部が自然に倒れる。すなわち、エンボスキャリアテープの空の部分の帯状折返し部の起立角度が収容凹部の形成面に対し直角より小さい角度であるときは、帯状折返し部が内向きに倒れて収容凹部形成面に接合した形態となり、帯状折返し部の起立角度が収容凹部の形成面に対し直角より大きい角度であるときは、帯状折返し部が外向きに倒れて収容凹部形成面と同一面をなす形態となる。そして、エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分は、テープ巻取り部においてリールに巻き取られていく。
したがって、請求項1および請求項2に係る各発明のエンボスキャリアテープを使用した請求項3および請求項7に係る各発明のワーク供給装置は、小型化することが可能である。そして、このワーク供給装置を使用すると、エンボスキャリアテープを繰り返し使用することができるので、経済性を高めることができる。
【0022】
請求項4および請求項8に係る各発明のワーク供給装置では、作業位置においてエンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分が案内ローラに掛け回されて搬送されることにより、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形させられる。
【0023】
請求項5および請求項9に係る各発明のワーク供給装置においては、多数のワークを保持しリールに巻回されたエンボスキャリアテープがテープ繰り出し部から繰り出され、その繰り出されたエンボスキャリアテープは、平坦状態にされテープ送り手段によって搬送され、収容凹部に収容されたワークが順次作業位置へ移送される。そして、作業位置の手前側において、案内治具により、エンボスキャリアテープの帯状折返し部が起立させられて収容凹部の開口面が開放される。これにより、収容凹部内からのワークの取出しが可能になる。作業位置においてエンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分は、テープ巻取り部においてリールに巻き取られていく。このとき、エンボスキャリアテープは、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形させられ、巻回されていく。このようにエンボスキャリアテープが平坦状態から折曲状態へ変形しながら巻き取られていくことにより、起立していた帯状折返し部が自然に倒れる。すなわち、エンボスキャリアテープの空の部分の帯状折返し部の起立角度が収容凹部の形成面に対し直角より小さい角度であるときは、帯状折返し部が内向きに倒れて収容凹部形成面に接合した形態となり、帯状折返し部の起立角度が収容凹部の形成面に対し直角より大きい角度であるときは、帯状折返し部が外向きに倒れて収容凹部形成面と同一面をなす形態となる。
したがって、請求項1および請求項2に係る各発明のエンボスキャリアテープを使用した請求項5および請求項9に係る各発明のワーク供給装置は、小型化することが可能である。そして、このワーク供給装置を使用すると、エンボスキャリアテープを繰り返し使用することができるので、経済性を高めることができる。
【0024】
請求項6および請求項10に係る各発明のワーク供給装置では、案内治具の平板状案内部によってエンボスキャリアテープがその長手方向に沿って案内されるとともに、そのエンボスキャリアテープの前方への移動に従って、エンボスキャリアテープの帯状折返し部がその内面側を側部案内部に摺接させながら側部案内部に案内されることにより、帯状折返し部が確実に起立させられる。
【0025】
請求項11に係る発明のワーク供給装置では、作業位置においてワーク取出し装置あるいは人手によりエンボスキャリアテープの収容凹部内からワークを上方向へ取り出すことができる。
【0026】
請求項12に係る発明のワーク供給装置では、作業位置においてエンボスキャリアテープの収容凹部内からワークを自然落下させて取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施形態の1例を示すエンボスキャリアテープの斜視図である。
【図2】図1に示したエンボスキャリアテープの平面図である。
【図3】図1に示したエンボスキャリアテープの側面図である。
【図4】図2のIV−IV矢視縦断面図である。
【図5】図1に示したエンボスキャリアテープの帯状平面部に、それを上面側に折り返すための折り目を形成する方法の1例について説明するための一部拡大縦断面図である。
【図6】図1に示したエンボスキャリアテープの帯状平面部に、それを上面側に折り返すための折り目を形成する方法の別の例について説明するための一部拡大縦断面図である。
【図7】図1に示したエンボスキャリアテープに、その帯状平面部を上面側に折り返して一対の帯状折返し部を形成する方法を説明するための縦断面図である。
【図8】図1に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置の構成の1例を示す概略側面図である。
【図9】図8に示したワーク供給装置の構成要素の1つである案内治具の1構成例を示す斜視図である。
【図10】図9に示した案内治具により、エンボスキャリアテープの帯状折返し部を起立させる様子を示す斜視図である。
【図11】図10中の矢印Aで示す方向に見た正面図である。
【図12−A】図9に示した案内治具によってエンボスキャリアテープの帯状折返し部が起立させられていく過程を説明するための平面図である。
【図12−B】同じく、エンボスキャリアテープの帯状折返し部が起立させられていく過程を説明するための平面図である。
【図12−C】同じく、エンボスキャリアテープの帯状折返し部が起立させられていく過程を説明するための平面図である。
【図12−D】同じく、エンボスキャリアテープの帯状折返し部が起立させられていく過程を説明するための平面図である。
【図13】エンボスキャリアテープが平坦状態から折曲状態へ変形しながら搬送されることにより、エンボスキャリアテープの起立していた帯状折返し部が内向きに倒れて収容凹部の形成面に接合した形態に変化する様子を示す側面図である。
【図14】同じく、エンボスキャリアテープの起立していた帯状折返し部が内向きに倒れて収容凹部の形成面に接合した形態に変化する様子を示す斜視図である。
【図15】この発明に係るエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置の別の構成例を示す概略側面図である。
【図16】図1に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置のさらに別の構成例を示す概略側面図である。
【図17】図1に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置のさらに別の構成例を示す概略側面図である。
【図18】図1に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置のさらに別の構成例を示す概略側面図である。
【図19】図1に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置のさらに別の構成例を示す概略側面図である。
【図20】図1ないし図4に示したエンボスキャリアテープとは別の構成に係る発明の実施形態の1例を示すエンボスキャリアテープの斜視図である。
【図21】図20に示したエンボスキャリアテープの平面図である。
【図22】図20に示したエンボスキャリアテープを使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置の構成要素の1つである案内治具の1構成例を示す斜視図である。
【図23】図22に示した案内治具により、エンボスキャリアテープの帯状折返し部を起立させる様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1ないし図4は、この発明の実施形態の1例を示す。このエンボスキャリアテープ10は、可撓性を有するプラスチック材料により長尺帯状に形成されている。エンボスキャリアテープ10の上面側には、エンボス加工により、収容しようとするワーク12を1個ずつ収容する収容凹部14が長手方向に等間隔で多数形設されている。エンボスキャリアテープ10の長手方向に沿った両側には、収容凹部14の形設区域からそれぞれ張り出した一対の帯状平面部16、16が長手方向に沿って設けられている。帯状平面部16には、それを上面側に折り返すための折り目、例えば図5に一部拡大縦断面図を示すように、エンボス加工時に上面側に形設された凹溝状の折り目18a、あるいは図6に一部拡大縦断面図を示すように、加工刃20を用いて裏面側に刻設されたV溝状の折り目18bが長手方向に沿って形成されている。帯状平面部16は、図7に縦断面図を示すように折り目18a、18bで上面側に折り返される。そして、帯状平面部16が折り目18a、18bで上面側に180°折り返された一対の帯状折返し部22、22により、各収容凹部14の開口面がそれぞれ部分的に塞がれている。なお、一対の帯状折返し部22、22によって各収容凹部14の開口面全体をそれぞれ塞ぐようにしてもよい。このように、一対の帯状折返し部22、22によって各収容凹部14の開口面がそれぞれ塞がれることにより、収容凹部14内からワーク12が抜け出ることがない。また、エンボスキャリアテープ10の両側縁部には、長手方向に等間隔で、ピンローラの各ピンと係合する小円形状の係合孔24が一列に多数、それぞれ穿設されている。
【0030】
図8は、上記した構成のエンボスキャリアテープ10を使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置の構成の1例を示す概略側面図である。
このワーク供給装置は、多数のワークを保持した長尺帯状のエンボスキャリアテープ10をリール26に巻回して回転自在に支持したテープ繰出し部28を備えており、このテープ繰出し部28から、収容凹部14の開口面を上向きにしてエンボスキャリアテープ10が順次繰り出される。テープ繰出し部28から繰り出されたエンボスキャリアテープ10は、平坦状態にされテープ送り装置30により収容凹部14の開口面を上向きにして水平方向へ搬送される。テープ送り装置30は、エンボスキャリアテープ10の係合孔24と係合する複数のピンが円周方向に等配して植設されたピンローラ32を有し、エンボスキャリアテープ10を作業位置(ワーク取出し位置)へ移送する。なお、図示していないが、従来のエンボスキャリアテープの搬送機構と同様に、断面形状がコの字形をなす左右一対の案内レールがエンボスキャリアテープ10の搬送路に沿って配設されており、エンボスキャリアテープ10は、その両側縁部を一対の案内レールによって支持された状態で搬送される。
【0031】
作業位置には、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14内からその上部開口面を通してワークを取り出すワーク取出し装置34が設置されている。そして、作業位置の手前側には、エンボスキャリアテープ10の上面に近接するように案内治具36が装置固定部(図示せず)に固定されて配設されている。この案内治具36によってエンボスキャリアテープ10の一対の帯状折返し部22、22は、図1ないし図4に示したように収容凹部14の形成面に接合した状態からそれぞれ起立させられる。これにより、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14の開口面が開放され収容凹部14内からのワークの取出しが可能になる。
【0032】
図9は、案内治具36の1構成例を示す斜視図である。
この案内治具36は、図10に斜視図を、図11に図10中の矢印Aで示す方向に見た正面図をそれぞれ示すように、エンボスキャリアテープ10(図10において二点鎖線で示す)の収容凹部14(図10において図示を省略)の形成面と一対の帯状折返し部22、22との間に介挿される平板状案内部38と、この平板状案内部38の片面側に立設された一対の側部案内部40、40とを一体に形成した構成を有する。一対の側部案内部40、40は、平板状案内部38の両側縁部からそれぞれ前方へ突出するように左右対称に立設されている。この例では、側部案内部40は、平板状案内部38の上面に対してなす角度が直角より小さい角度(鋭角)となるように設けられている。そして、案内治具36の平板状案内部38は、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14の開口面を覆蓋して収容凹部14内からワーク12が抜け出ることがないようにしつつ、エンボスキャリアテープ10をその長手方向に沿って前方の作業位置へ案内する。また、一対の側部案内部40、40は、エンボスキャリアテープ10の各帯状折返し部22をそれぞれ起立させるように案内する。案内治具36によってエンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22が起立させられていく過程を、図12−A〜図12−Dに示す平面図に基づいてより詳しく説明する。
【0033】
図12−Aに示すように、エンボスキャリアテープ10が矢印方向に搬送されて、作業位置の手前側に固定された案内治具36にエンボスキャリアテープ10が接近する。このとき、エンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22は収容凹部14の形成面に接合し、収容凹部14の開口面は一対の帯状折返し部22、22によって部分的に閉塞された状態であり、収容凹部14内からワーク12を取り出すことができない。続いて、図12−Bに示すように、エンボスキャリアテープ10が案内治具36の位置に到達すると、案内治具36に対しエンボスキャリアテープ10は、その収容凹部14の形成面と一対の帯状折返し部22、22との間に平板状案内部38が挿入された状態で係合する。エンボスキャリアテープ10がさらに前方へ進むと、図12−Cに示すように、帯状折返し部22の内側面と案内治具36の側部案内部40の外側面とが摺接しながら、帯状折返し部22が側部案内部40に案内されて次第に起立していく。そして、図12−Dに示すように、エンボスキャリアテープ10の一対の帯状折返し部22、22が完全に起立した部分では、収容凹部14の開口面が全面的に開放された状態となり、収容凹部14内からワーク12が取り出される。
【0034】
なお、作業を開始するときには、作業者が手で、テープ繰出し部28からエンボスキャリアテープ10を引き出し、図12−Aないし図12−Cに示した操作を行ってエンボスキャリアテープ10の先端部分を案内治具36にセットした後に、テープ送り装置30を駆動させてエンボスキャリアテープ10を自動送りにする。
【0035】
作業位置においてエンボスキャリアテープ10の収容凹部14からワーク12が取り出された後の空の部分は、フリーローラからなる案内ローラ42により、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形させられつつ反転させられる。このとき、エンボスキャリアテープ10が平坦状態から折曲状態へ変形しながら搬送されることにより、図13に側面図を、図14に斜視図をそれぞれ示すように、可撓性を有するプラスチック材料で形成されたエンボスキャリアテープ10の起立していた一対の帯状折返し部22、22は、内向きに倒れて収容凹部14の形成面に接合した形態に自然変化する。なお、案内ローラ42をフリーローラとせずに、回転モータによって駆動される駆動ローラとしてもよい。
【0036】
この実施形態では、案内治具36の側部案内部40が平板状案内部38の上面に対して鋭角であり、したがって、エンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22の起立角度が収容凹部14の形成面に対し鋭角であるが、案内治具36の側部案内部40が平板状案内部38の上面に対して直角より大きい角度(鈍角)となるように形成されているときは、エンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22の起立角度が収容凹部14の形成面に対し鈍角となるので、帯状折返し部22は、外向きに倒れて収容凹部14の形成面と同一面をなす形態となる。また、エンボスキャリアテープ10の帯状折返し部22の起立角度が収容凹部14の形成面に対し鈍角となる場合において、作業位置の前方側(作業位置を挟んで案内治具36の反対側)に、エンボスキャリアテープ10の、外向きに開いた状態の帯状折返し部22を強制的に内側へ閉じさせて、帯状折返し部22の起立角度が収容凹部14の形成面に対し鈍角から鋭角となるように案内する別の案内治具を設けるようにしてもよい。
【0037】
案内ローラ42によって斜め下方向に反転させられたエンボスキャリアテープ10の空になった部分は、テープ巻取り部44においてリール46に巻き取られていく。そして、空のエンボスキャリアテープ10がその末端部分までリール46に巻き取られると、エンボスキャリアテープ10はテープ巻き取り部44から取り出され、再び多数の収容凹部14に多数のワーク12が充填されて、リール26に巻かれ、上記と同様にして再使用される。
【0038】
図8に示す構成を備えた装置において、テープ繰出し部28に、空のエンボスキャリアテープ10をリール26に巻回してセットし、作業位置に設置されたワーク取出し装置34に、ワーク取出し動作とは逆の動作、すなわち、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14内へその上部開口面を通してワークを順次挿入する動作を行わせるようにし、テープ巻取り部44において、各収容凹部14にワークがそれぞれ収容されたエンボスキャリアテープ10をリール46に巻き取っていくようにすることにより、図8に示した装置をワーク収納装置として使用することができる。
【0039】
上記した実施形態では、エンボスキャリアテープ10の両側縁部にそれぞれ、ピンローラの各ピンと係合する多数の係合孔24を一列に穿設するようにしたが、小形のワークを取り扱うとき、したがってエンボスキャリアテープの幅寸法が比較的小さいときは、エンボスキャリアテープの片側の縁部のみに係合孔を一列に穿設するようにしてもよい。また、エンボスキャリアテープに係合孔を穿設せずに、図15に概略側面図を示すワーク供給装置のように、上下一対の平滑ローラ48a、48bによってエンボスキャリアテープ50の縁部を挟持しつつ平滑ローラ48a、48bを回転駆動させることにより、エンボスキャリアテープ50を搬送するような構成としてもよい。この場合には、エンボスキャリアテープ50に小孔、窪み等の位置検出用マークを加工形成しておき、作業位置(ワーク取出し位置)の手前側に設置した位置センサ52により、エンボスキャリアテープ50の位置検出用マークを検知してエンボスキャリアテープ50の位置を読み取り、エンコーダ(図示せず)により送り量を計測しながら平滑ローラ48a、48bの回転動作を制御することにより、ワーク取出し装置34によってエンボスキャリアテープ50の収容凹部内からワークが常にミス無く取り出されるように監視するようにするとよい。なお、図15中において図8で使用した符号と同一符号を付した各構成部材は、図8に関して説明した上記各構成部材と同一のものである。
【0040】
エンボスキャリアテープの送り装置は、上記以外の構成であってもよく、例えば、上下一対のチャックによってエンボスキャリアテープの縁部を挟持しエンボスキャリアテープを一定ピッチで間欠的に搬送するチャック式フィーダ、エンボスキャリアテープに穿設された係合孔にピンを挿入しエンボスキャリアテープを一定ピッチで間欠的に搬送するピン式フィーダなど、各種の送り装置を用いることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、テープ繰出し部28からエンボスキャリアテープ10を、その収容凹部14の開口面が上向きになるようにして繰り出し、テープ送り装置30によってエンボスキャリアテープ10を、その収容凹部14の開口面が上向きになるようにして水平方向へ搬送するようにしているが、図16に概略側面図を示すワーク供給装置のように、テープ繰出し部54からエンボスキャリアテープ10を、その収容凹部14の開口面が下向きになるようにして繰り出し、テープ送り装置30によってエンボスキャリアテープ10を、その収容凹部14の開口面が下向きになるようにして水平方向へ搬送し、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14内からワーク12が取り出された後の空の部分を案内ローラ56によって上側に反転させ、案内ローラ56によって反転させられたエンボスキャリアテープ10の空になった部分をテープ巻取り部58においてリールに巻き取っていくような構成としてもよい。この場合には、作業位置においてエンボスキャリアテープ10の収容凹部14内からワーク12を自然落下させて取り出すことができる。
【0042】
さらに、上記実施形態では、案内ローラ42により、エンボスキャリアテープ10の収容凹部14からワーク12が取り出された後の空の部分を平坦状態から裏側に折曲した状態へ変形させつつ反転させて、エンボスキャリアテープ10の起立していた帯状折返し部22、22が自然に内向きに倒れて収容凹部14の形成面に接合するようにしていたが、案内ローラ42に代えて、図17に概略側面図を示すように、エンボスキャリアテープ10の搬送方向において湾曲した筒面を有するテープ案内筒60を設けるようにしてもよい。そして、エンボスキャリアテープ10の空の部分を、テープ案内筒60内へ導入しテープ案内筒60内を通って斜め下向きに案内することにより、エンボスキャリアテープ10の起立していた帯状折返し部22、22が自然に内向きに倒れて収容凹部14の形成面に接合するようにする。また、エンボスキャリアテープ10を平坦状態から裏側に折曲した状態へ変形させつつ反転させるテープ案内手段は、案内ローラや案内筒だけに限定されない。
【0043】
また、上記した各実施形態では、テープ繰出し部28、54からエンボスキャリアテープ10、50を繰り出し、案内ローラ42、56あるいはテープ案内筒60によりエンボスキャリアテープ10、50の空の部分を案内して反転させ、テープ巻取り部44、58においてエンボスキャリアテープ10、50の空の部分を巻き取るようにしているが、案内ローラやテープ案内筒などのテープ案内手段を設けずに、エンボスキャリアテープ10、50の収容凹部14からワーク12が取り出された後の空の部分をそのままテープ巻取り部で巻き取るような構成とすることもできる。
【0044】
すなわち、図18および図19に概略側面図をそれぞれ示すように、多数のワークを保持しリール62、70に巻回されたエンボスキャリアテープ10をテープ繰出し部64、72から順次繰り出し(図18に示した装置では、収容凹部14の開口面を上向きにしてエンボスキャリアテープ10が繰り出され、図19に示した装置では、収容凹部14の開口面を下向きにしてエンボスキャリアテープ10が繰り出される)、作業位置においてエンボスキャリアテープ10の収容凹部14からワーク12が取り出された(図18に示した装置では、ワーク取出し装置34によってワークが取り出され、図19に示した装置では、ワーク12が自然落下して取り出される)後の空の部分を、そのままテープ巻取り部68、76においてリール66、74に巻き取っていく。このとき、エンボスキャリアテープ10は、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形しながら巻き取られていくことにより、起立していた帯状折返し部22が自然に内向きに倒れて収容凹部形成面に接合した形態となる。図18および図19中において図8で使用した符号と同一符号を付した各構成部材は、図8に関して説明した上記各構成部材と同一のものである。
【0045】
次に、図20および図21は、図1ないし図4に示したエンボスキャリアテープとは別の構成に係る発明の実施形態の1例を示す。このエンボスキャリアテープ80は、エンボスキャリアテープ10と同様に、可撓性を有するプラスチック材料により長尺帯状に形成されている。エンボスキャリアテープ80の上面側には、エンボス加工により、収容しようとするワーク82を1個ずつ収容する収容凹部84が長手方向に等間隔で多数形設されている。そして、このエンボスキャリアテープ80では、その長手方向に沿った片側に、収容凹部84の形設区域から張り出した帯状平面部86が長手方向に沿って設けられている。帯状平面部86には、それを上面側に折り返すための折り目、例えばエンボス加工時に上面側に形設された凹溝状の折り目、あるいは、加工刃を用いて裏面側に刻設されたV溝状の折り目が長手方向に沿って形成されている。この帯状平面部86は、前記折り目で上面側に折り返される。そして、帯状平面部86が折り目で上面側に180°折り返された帯状折返し部88により、各収容凹部84の開口面がそれぞれ部分的に塞がれている。なお、帯状折返し部88によって各収容凹部84の開口面全体を塞ぐようにしてもよい。このように、帯状折返し部88によって各収容凹部84の開口面がそれぞれ塞がれることにより、収容凹部84内からワーク82が抜け出ることがない。また、エンボスキャリアテープ80の両側縁部には、長手方向に等間隔で、ピンローラの各ピンと係合する小円形状の係合孔90が一列に多数、それぞれ穿設されている。
【0046】
図20および図21に示した構成のエンボスキャリアテープ80を使用してワークを作業位置へ供給するワーク供給装置は、図8および図15ないし図19に示したものと同様の構成である。但し、作業位置の手前側に配設される案内治具については、エンボスキャリアテープ80には片側だけに帯状折返し部88が設けられているので、その帯状折返し部88を起立させるための側部案内部を片側だけに形設すればよい。すなわち、案内治具92は、図22にその斜視図を示し、図23にそれによってエンボスキャリアテープ80の帯状折返し部88を起立させる様子を示すように、エンボスキャリアテープ80(図23において二点鎖線で示す)の収容凹部84(図23において図示を省略)の形成面と帯状折返し部88との間に介挿される平板状案内部94と、この平板状案内部94の片面側の一側辺縁部に立設された側部案内部96とを一体に形成した構成を有する。側部案内部96は、平板状案内部94の片側縁部から前方へ突出するように立設されている。この例では、側部案内部96は、平板状案内部94の上面に対してなす角度が直角より小さい角度(鋭角)となるように設けられている。そして、案内治具92の平板状案内部94は、エンボスキャリアテープ80の収容凹部84の開口面を覆蓋して収容凹部84内からワーク82が抜け出ることがないようにしつつ、エンボスキャリアテープ80をその長手方向に沿って前方の作業位置へ案内する。また、側部案内部96は、エンボスキャリアテープ80の帯状折返し部88を起立させるように案内する。案内治具92によってエンボスキャリアテープ80の帯状折返し部88が起立させられていく過程は、図12−A〜図12−Dに基づいて説明した過程と同様である。また、図9に示した案内治具36を用いても、エンボスキャリアテープ80の帯状折返し部88を起立させることは可能である。
【0047】
なお、案内治具の構成は、上記実施形態で示したものに限定されず、同様の作用をなすものであればどのような形状・構造のものであってもよい。また、エンボスキャリアテープ10、80の収容凹部14、84の大きさは、収容しようとするワークの大きさに応じて適宜設定すればよく、エンボスキャリアテープ10、80の大きさは特に限定されないし、エンボスキャリアテープ10、80の収容凹部14、84の形状も、収容しようとするワークの形状に合わせて適宜設計すればよく、上記した実施形態のものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明に係るエンボスキャリアテープならびにそれを用いるワーク供給装置は、家電、電子機器、電装品、機械、食品等の各種製品を製造する事業所などにおいて使用される。
【符号の説明】
【0049】
10、50、80 エンボスキャリアテープ
12、82 ワーク
14、84 エンボスキャリアテープの収容凹部
16、86 エンボスキャリアテープの帯状平面部
18a、18b 折り目
22、88 エンボスキャリアテープの帯状折返し部
24、90 係合孔
26、46、62、66、70、74 リール
28、54、64、72 テープ繰出し部
30 テープ送り装置
32 ピンローラ
34 ワーク取出し装置
36、92 案内治具
38、94 案内治具の平板状案内部
40、96 案内治具の側部案内部
42、56 案内ローラ
44、58、68、76 テープ巻取り部
48a、48b 平滑ローラ
52 位置センサ
60 テープ案内筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを収容して作業位置へ供給するために使用されるエンボスキャリアテープにおいて、
可撓性を有するプラスチック材料で長尺帯状に形成され、ワークを1個ずつ収容する収容凹部がエンボス加工によって長手方向に等間隔で多数形設されるとともに、前記収容凹部の形設区域から両側へそれぞれ張り出した一対の帯状平面部が長手方向に沿って設けられ、前記各帯状平面部に、それを上面側に折り返すための折り目が長手方向に沿ってそれぞれ形成され、前記各折り目でそれぞれ折り返された一対の帯状折返し部によって前記各収容凹部の開口面がそれぞれ部分的にもしくは全面的に塞がれて、収容凹部内からワークが脱落しないようにされたことを特徴とするエンボスキャリアテープ。
【請求項2】
複数のワークを収容して作業位置へ供給するために使用されるエンボスキャリアテープにおいて、
可撓性を有するプラスチック材料で長尺帯状に形成され、ワークを1個ずつ収容する収容凹部がエンボス加工によって長手方向に等間隔で多数形設されるとともに、前記収容凹部の形設区域から片側へ張り出した帯状平面部が長手方向に沿って設けられ、前記帯状平面部に、それを上面側に折り返すための折り目が長手方向に沿って形成され、前記折り目で折り返された帯状折返し部によって前記各収容凹部の開口面がそれぞれ部分的にもしくは全面的に塞がれて、収容凹部内からワークが脱落しないようにされたことを特徴とするエンボスキャリアテープ。
【請求項3】
多数のワークを保持しリールに巻回された請求項1に記載のエンボスキャリアテープが順次繰り出されるテープ繰出し部と、
このテープ繰出し部から繰り出される前記エンボスキャリアテープを平坦状態にして、収容凹部に収容されたワークを順次作業位置へ移送するテープ送り手段と、
作業位置の手前側で前記エンボスキャリアテープの一対の帯状折返し部をそれぞれ起立させて収容凹部の開口面を開放し収容凹部内からのワークの取出しを可能にする案内治具と、
作業位置において前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分を、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形させつつ反転させるテープ反転案内手段と、
前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分をリールに巻き取っていくテープ巻取り部と、
を備えたことを特徴とするワーク供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載のワーク供給装置において、
前記テープ反転案内手段は、前記エンボスキャリアテープが掛け回される案内ローラであることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項5】
多数のワークを保持しリールに巻回された請求項1に記載のエンボスキャリアテープが順次繰り出されるテープ繰出し部と、
このテープ繰出し部から繰り出される前記エンボスキャリアテープを平坦状態にして、収容凹部に収容されたワークを順次作業位置へ移送するテープ送り手段と、
作業位置の手前側で前記エンボスキャリアテープの一対の帯状折返し部をそれぞれ起立させて収容凹部の開口面を開放し収容凹部内からのワークの取出しを可能にする案内治具と、
作業位置において前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分をリールに巻き取っていくテープ巻取り部と、
を備えたことを特徴とするワーク供給装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のワーク供給装置において、
前記案内治具は、
前記エンボスキャリアテープの収容凹部の形成面と一対の帯状折返し部との間に介挿されて、エンボスキャリアテープをその長手方向に沿って案内する平板状案内部と、
この平板状案内部の片面側に、その両側縁部からそれぞれ前方へ突出するように立設され、前記エンボスキャリアテープの各帯状折返し部の内面側にそれぞれ摺接しエンボスキャリアテープの前方への移動に従ってその各帯状折返し部をそれぞれ起立させるように案内する一対の側部案内部とを有することを特徴とするワーク供給装置。
【請求項7】
多数のワークを保持しリールに巻回された請求項2に記載のエンボスキャリアテープが順次繰り出されるテープ繰出し部と、
このテープ繰出し部から繰り出される前記エンボスキャリアテープを平坦状態にして、収容凹部に収容されたワークを順次作業位置へ移送するテープ送り手段と、
作業位置の手前側で前記エンボスキャリアテープの帯状折返し部を起立させて収容凹部の開口面を開放し収容凹部内からのワークの取出しを可能にする案内治具と、
作業位置において前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分を、平坦状態からその長手方向において裏側に折曲した状態へ変形させつつ反転させるテープ反転案内手段と、
前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分をリールに巻き取っていくテープ巻取り部と、
を備えたことを特徴とするワーク供給装置。
【請求項8】
請求項7に記載のワーク供給装置において、
前記テープ反転案内手段は、前記エンボスキャリアテープが掛け回される案内ローラであることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項9】
多数のワークを保持しリールに巻回された請求項1に記載のエンボスキャリアテープが順次繰り出されるテープ繰出し部と、
このテープ繰出し部から繰り出される前記エンボスキャリアテープを平坦状態にして、収容凹部に収容されたワークを順次作業位置へ移送するテープ送り手段と、
作業位置の手前側で前記エンボスキャリアテープの帯状折返し部を起立させて収容凹部の開口面を開放し収容凹部内からのワークの取出しを可能にする案内治具と、
作業位置において前記エンボスキャリアテープの収容凹部からワークが取り出された後の空の部分をリールに巻き取っていくテープ巻取り部と、
を備えたことを特徴とするワーク供給装置。
【請求項10】
請求項7ないし請求項9のいずれかに記載のワーク供給装置において、
前記案内治具は、
前記エンボスキャリアテープの収容凹部の形成面と帯状折返し部との間に介挿されて、エンボスキャリアテープをその長手方向に沿って案内する平板状案内部と、
この平板状案内部の片面側に、その片側縁部から前方へ突出するように立設され、前記エンボスキャリアテープの帯状折返し部の内面側に摺接しエンボスキャリアテープの前方への移動に従ってその帯状折返し部を起立させるように案内する側部案内部とを有することを特徴とするワーク供給装置。
【請求項11】
請求項3ないし請求項10のいずれかに記載のワーク供給装置において、
前記テープ繰出し部から前記エンボスキャリアテープが、その収容凹部の開口面を上向きにして繰り出され、前記テープ送り手段によって前記エンボスキャリアテープが、その収容凹部の開口面を上向きにして水平方向へ搬送されることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項12】
請求項3ないし請求項10のいずれかに記載のワーク供給装置において、
前記テープ繰出し部から前記エンボスキャリアテープが、その収容凹部の開口面を下向きにして繰り出され、前記テープ送り手段によって前記エンボスキャリアテープが、その収容凹部の開口面を下向きにして水平方向へ搬送されることを特徴とするワーク供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−A】
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【図12−B】
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【図12−C】
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【図12−D】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−163205(P2010−163205A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16093(P2009−16093)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【特許番号】特許第4452757号(P4452757)
【特許公報発行日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(592219684)株式会社イー・ピー・アイ (21)
【Fターム(参考)】