説明

オイルクーラー

【課題】オイルを円滑に流しつつも小型化を図る。
【解決手段】
このオイルクーラーは、プレート部材同士の間に、オイルが流れるオイル流路と、オイルを冷却するための冷却水が流れる冷却水流路とを交互に形成したものである。オイル流路には、オイル流入口とオイル排出口を設け、かつ、オイル流路内のオイルの熱をプレート部材に伝達するフィン(伝熱部材)を配置する。そして、プレート部材は、オイル流入口とオイル排出口の間に設けられ、オイル流入口側の流入側流路とオイル排出口側の排出側流路とを仕切る堰部と、流入側流路と排出側流路の間に設けられ、流入側流路から流れてきたオイルをUターンさせて排出側流路へ流すUターン部とを有する。フィンは、流入側流路と排出側流路のそれぞれに配置されている。また、堰部のUターン部側の端部は、フィンにおけるUターン部側の端部よりも、オイル流入口及びオイル排出口側寄りの位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルクーラーに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプレート部材を積層して外周部をロウ付けすることで、オイル流路と冷却水流路とを積層方向へ交互に形成したオイルクーラーが知られている(例えば特許文献1を参照)。このオイルクーラーでは、オイル流路の途中にUターン部を設けるとともに、入口ポートとUターン部との間及びUターン部と出口ポートの間にフィンを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−103360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のオイルクーラーでは、Uターン部でオイルの流れを反転させていたため、Uターン部の容積が少なすぎると流路抵抗が過度に高くなってしまい、オイルの流れが悪くなるという問題が生じる。また、Uターン部の容積を十分に確保すると、流路抵抗を低く抑えることはできるがUターン部を面方向に拡張する必要が生じ、オイルクーラーが大型化するという問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オイルを円滑に流しつつ小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、複数のプレート部材を積層して外周部を接合することにより、前記プレート部材同士の間に、オイルが流れるオイル流路と、前記オイルを冷却するための冷却水が流れる冷却水流路とを交互に形成し、前記オイル流路には、前記オイルが流れ込むオイル流入口と前記オイルが排出されるオイル排出口を設けるとともに、前記オイル流路内を流れるオイルの熱を前記プレート部材に伝達する伝熱部材を配置してなるオイルクーラーであって、前記プレート部材は、前記オイル流入口と前記オイル排出口の間に設けられ、前記オイル流入口側の流入側流路と前記オイル排出口側の排出側流路とを仕切る堰部と、前記流入側流路と前記排出側流路の間に設けられ、前記流入側流路から流れてきたオイルをUターンさせて前記排出側流路へ流すUターン部とを有し、前記伝熱部材は、前記流入側流路と前記排出側流路のそれぞれに配置されており、前記堰部の前記Uターン部側の端部は、前記伝熱部材の前記Uターン部側の端部よりも、前記オイル流入口及び前記オイル排出口側寄りの位置に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明のオイルクーラーによれば、流入側流路を流れてきたオイルの一部は、堰部を越えたところでUターン部へは行かずに排出側流路へ直接流れ込む。このように、一部のオイルを、Uターン部を通さずに流入側流路から排出側流路へ流すことで、Uターン部だけでは不足しがちなオイルの流量を確保できる。すなわち、Uターン部を面方向に拡張しなくてもオイルの流量を確保できる。従って、オイルを円滑に流しつつも小型化を図ることができる。
【0008】
また、流入側流路から排出側流路へ流すオイルの量は、堰部におけるUターン部側の端部の位置で調整できる。このため、冷却対象のオイルの粘度に応じて堰部の端部の位置(堰部の長さ)を定めれば足り、粘度の異なる種々のオイルへの対応が容易である。
【0009】
前述のオイルクーラーにおいて、前記伝熱部材は、前記流入側流路側の部分と前記排出側流路側の部分とが前記堰部よりもUターン部側の位置で連結されていることが好ましい。このオイルクーラーでは、堰部とUターン部の間に伝熱部材が存在するので、伝熱部材によってこの部分の剛性を高めることができる。また、伝熱面積を増やすことができる。
【0010】
前述のオイルクーラーにおいて、前記プレート部材は、平面視で矩形状に構成され、前記Uターン部よりも外側の隅角部に、前記冷却水を前記冷却水流路に流入させる冷却水流入口と前記冷却水流路からの冷却水を排出する冷却水排出口が設けられていることが好ましい。このオイルクーラーでは、Uターン部で使用されない隅角部に冷却水流入口と冷却水排出口が設けられるので、限られたスペースを有効に活用できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オイルを円滑に流しつつも小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】オイルクーラー及びオイルフィルターとエンジンブロックの位置関係を模式的に説明する図である。
【図2】オイルクーラーの外観斜視図である。
【図3】オイルクーラーの分解斜視図である。
【図4】プレートユニット毎に分解した状態の分解斜視図である。
【図5】プレート毎に分解した状態の分解斜視図である。
【図6】1つのプレートユニットの分解斜視図である。
【図7】(a)はオイルクーラーの外観斜視図である。(b)はオイルクーラーの断面図である。
【図8】オイルの流れを示す図である。
【図9】冷却水の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のオイルクーラー1は、アルミダイキャスト製のケース2を介してエンジンブロック3に取り付けられている。また、このケース2にはオイルフィルター4も取り付けられている。さらに、ケース2には冷却水用の流路も設けられている(図示せず)。従って、オイルクーラー1は、ケース2を通じて供給されたエンジンブロック3からのオイルと冷却水との間で熱交換をし、冷却後のオイルをエンジンブロック3へと戻す。
【0014】
図2に示すように、オイルクーラー1は、ケース2が備える取付ブロック5に液密状態で取り付けられている。また、このオイルクーラー1は、複数のプレート部材を積層するとともに必要部分を接合することで形成される。すなわち、図3に示すように、オイルクーラー1は、トップフランジ11、トッププレート12、プレートアッシー群13、ボトムプレート14、及び、アウターリンフォース15からなるプレート部材を積層し、一体的に接合することで作製されている。
【0015】
トップフランジ11は、ケース2と接合される部分であり、長方形状の金属製板材によって構成されている。本実施形態では、四隅が面取りされたSUS製の板材によって構成されている。
【0016】
そして、トップフランジ11の四隅から短辺方向及び長辺方向の内側には、板厚方向を貫通する開口が4つ設けられている。これらの開口のうち、長辺方向の一端側(図3における右側)に設けられた2つの開口は、オイルが流れるオイル用の流出入口11a,11bを構成する。本実施形態では、図3における下側の開口がオイル流入口11aとして用いられ、上側の開口がオイル流出口11bとして用いられている。また、長辺方向の他端側(図3における左側)に設けられた2つの開口は、冷却水が流れる冷却水用の流出入口11c,11dを構成する。本実施形態では、図3における上側の開口が冷却水流入口11cとして用いられ、下側の開口が冷却水流出口11dとして用いられている。
【0017】
また、これら4つの開口に加え、トップフランジ11の周縁部分には、ねじ止め固定用の貫通孔11eが複数形成されている。
【0018】
トッププレート12は、プレートアッシー群13とトップフランジ11との間に配置される板状部材であり、その平面形状がトップフランジ11の平面形状よりも一回り小さな長方形状に構成されている。
【0019】
このトッププレート12の四隅にはそれぞれ開口が設けられている。これらの開口のうち、長辺方向の一端側に設けられた2つの開口は、オイルが流れるオイル用の流出入口12a,12bを構成する。そして、トップフランジ11と同様に、図3における下側の開口がオイル流入口12aとして用いられ、上側の開口がオイル流出口12bとして用いられている。また、長辺方向の他端側に設けられた2つの開口は、冷却水が流れる冷却水用の流出入口12c,12dを構成する。すなわち、図3における上側の開口が冷却水流入口12cとして用いられ、下側の開口が冷却水流出口12dとして用いられている。
【0020】
また、トッププレート12における冷却水流入口11cと冷却水流出口11dの間には、長辺方向に沿って突条12e(筋状突部)が設けられている。この突条12eは、冷却水用の流出入口12c,12dに近い側の短辺からオイル用の流出入口12a,12bの手前まで一連に設けられている。加えて、トッププレート12には、突条12eと同じ方向に、突条12eと同じ高さとされた複数の突起12fが設けられている。
【0021】
このトッププレート12は、プレートアッシー群13の表面(詳しくは、後述するフィメールプレート22の表面)とロウ付けによって接合される。すなわち、トッププレート12の周縁部は、プレートアッシー群13の周縁部に接合され、突条12e及び突起12fは、プレートアッシー群13の表面に接合される。また、オイルの流出入口12a,12bは、液密の状態でプレートアッシー群13の表面に接合される。これにより、トッププレート12とプレートアッシー群13の表面の間には、冷却水が流れる冷却水流路が形成される。すなわち、冷却水流入口11cから突条12eを越えた場所でUターンして冷却水流出口11dに戻る一連の流路が形成される。
【0022】
プレートアッシー群13は、図4に示すように、複数のプレートアッシー21(プレートユニット)を積層することで作製されている。プレートアッシー21は、内部にオイル流路を形成した板状部材であり、平面視で長方形状をしている。具体的には、トッププレート12と同じ平面形状とされ、内部に設けられたオイル流路の分の厚みを有している。そして、プレートアッシー21もまた、その四隅にオイル用の流出入口21a,21bと冷却水用の流出入口21c,21dとが設けられている。そして、これらのプレートアッシー21は、互いに積層された状態で一体化されている。一体化された状態において、プレートアッシー21同士の間には、冷却水が流れる冷却水流路が形成される。この冷却水流路は、トッププレート12とプレートアッシー群13との間に形成される冷却水流路と同様な形状に形成される。なお、プレートアッシー群13を構成する各プレートアッシー21については後で説明する。
【0023】
ボトムプレート14は、図3に示すように、プレートアッシー群13とアウターリンフォース15との間に配置される板状部材であり、その平面形状はプレートアッシー群13の平面形状と同じく長方形状とされている。このボトムプレート14には、プレートアッシー群13側へ向けて突条14a及び突起14bが形成されている。また、トッププレート12と異なり、このボトムプレート14には、オイル用の流出入口や冷却水用の流出入口が設けられておらず、プレートアッシー群13の表面に開口しているオイル流入口21aやオイル流出口21bを塞ぐ突起部14cが設けられている。
【0024】
このボトムプレート14は、プレートアッシー群13に対してロウ付けによって接合され、プレートアッシー群13との間に冷却水が流れる冷却水流路を形成する。すなわち、ボトムプレート14の外周部がプレートアッシー群13の外周部に接合されるとともに、プレートアッシー群13の表面に形成された突条23e及び突起23hが、ボトムプレート14の表面に形成された突条14a及び突起14bと接合され、冷却水流入口21cから突条14a,23eの先端を越えてUターンし、冷却水流出口21dに戻る一連の冷却水流路が形成される。
【0025】
アウターリンフォース15は、ボトムプレート14の表面に接合される部材であり、所定の剛性を得るために設けられる。このアウターリンフォース15は、平面視でボトムプレート14と同じ長方形状の金属製板材によって構成される。本実施形態では、SUS製の板状部材によって構成されている。
【0026】
次に、プレートアッシー21について説明する。
図5に示すように、トッププレート12側のフィメールプレート22(第1プレート)、ボトムプレート14側のメールプレート23(第2プレート)、及び、フィメールプレート22とメールプレート23の間に配置されるフィン24(伝熱部材)を有している。そして、フィメールプレート22とメールプレート23はロウ付けによって互いに接合されている。また、フィン24は、フィメールプレート22とメールプレート23の間に形成される内部空間に収納されている。この内部空間は、オイルが流れるオイル流路に相当する。
【0027】
次に、フィメールプレート22について説明する。
図6に示すように、フィメールプレート22は、平面視でトッププレート12と同じ長方形状とされた板状部材である。そして、トッププレート12と同様に、フィメールプレート22の四隅にもそれぞれ開口が設けられており、長辺方向の一端側に設けられた2つの開口がオイル用の流出入口22a,22bとなり、長辺方向の他端側に設けられた2つの開口が冷却水用の流出入口22c,22dとなる。オイル用の流出入口22a,22bに関し、図6における下側の開口がオイル流入口22aとして用いられ、上側の開口がオイル流出口22bとして用いられている。また、冷却水用の流出入口に関し、図6における上側の開口が冷却水流入口22cとして用いられ、下側の開口が冷却水流出口22dとして用いられている。
【0028】
フィメールプレート22における冷却水入口22cと冷却水出口22dの間には、トッププレート12側に突出した第1突条22eが長辺方向に沿って設けられている。この第1突条22eは、冷却水用の流出入口22c,22dに近い側の短辺からオイル用の流出入口22a,22bよりも手前まで一連に設けられている。この第1突条22eは、各プレート部材の接合状態において冷却水流路を区画する堰部として機能する。
【0029】
フィメールプレート22におけるオイル流入口22aとオイル流出口22bの間には、ボトムプレート14側に突出した第2突条22fが長辺方向に沿って設けられている。この第2突条22fは、オイル用の流出入口22a,22bに近い側の短辺から長辺方向の途中まで一連に設けられている。後述するように、この第2突条22fは、各プレート部材の接合状態においてメールプレート23側の第2突条23fと接合され、オイル流路を区画する堰部として機能する。すなわち、この第2突条22fの形成位置を境にして、オイル流入口22a側の領域がオイルの流入側流路となり、オイル流出口22b側の領域がオイルの流出側流路となる。
【0030】
フィメールプレート22における冷却水用の流出入口22c,22dの内側領域には、この流出入口に隣接してUターン部22gが設けられている。Uターン部22gは、流入側流路を流れてきたオイルをUターンさせて流出側流路に流す部分である。このUターン部は平面視略半円形状の領域として形成され、この領域内に1/4円弧状の突条がボトムプレート14側に突設される。具体的には、1/4円弧状の突条を2つ組にした略半円形状の突条であって、異なる半径の突条が3対同心上に設けられている。
【0031】
そして、前述した第2突条22fの端部をUターン部22gよりも手前側に位置させることで、Uターン部22gと第2突条22fとの間にバイパス部22hを形成している。このバイパス部22hは、流入側流路を流れてきたオイルの一部を、Uターン部22gを通さずに流入側流路から排出側流路へ流れ込ませるための部分である。
【0032】
次に、メールプレート23について説明する。
図6に示すように、メールプレート23は、平面視でフィメールプレート22と同じ長方形状とされた板状部材である。そして、フィメールプレート22と同様に、メールプレート23の四隅にもオイル用の流出入口23a,23bと冷却水用の流出入口23c,23dが設けられている。
【0033】
メールプレート23における冷却水入口23cと冷却水出口23dの間には、ボトムプレート14側に突出した第1突条23eが長辺方向に沿って設けられている。この第1突条23eは、冷却水用の流出入口23c,23dに近い側の短辺からオイル用の流出入口23a,23bよりも手前まで一連に設けられている。メールプレート23におけるオイル流入口23aとオイル流出口23bの間には、トッププレート12側に突出した第2突条23fが長辺方向に沿って設けられている。この第2突条23fは、オイル用の流出入口23a,23bに近い側の短辺から長辺方向の途中まで一連に設けられている。この第2突条23fは、フィメールプレート22側の第2突条22fと接合され、オイル流路を区画する堰部として機能する。
【0034】
メールプレート23における冷却水用の流出入口23c,23dの内側領域には、これらの流出入口23c,23dに隣接してUターン部23gが設けられている。このUターン部23gは平面視略半円形状の領域として形成され、この領域内に1/4円弧状の突条がトッププレート12側に突設される。各突条は、フィメールプレート22のUターン部22gに設けられた各突条と同様に構成されている。そして、メールプレート23側のUターン部23gが有する各突条とフィメールプレート22側のUターン部22gが有する各突条とは、各プレート部材の接合状態において頂部同士が接合される。
【0035】
次に、フィン24について説明する。
図6に示すように、フィン24は、矩形波状の断面形状を有しており、オイルが流れる複数の溝を形成する。また、溝同士の間でもオイルが行き来できるように、複数の孔が形成されている。このフィン24は、例えばSUS製の板材を加工することで作製されている。そして、フィン24は、流入側流路に対応する略長方形状の第1部分24aと、流出側流路に対応する略長方形状の第2部分24bと、バイパス部22hに対応する第3部分24cとを有している。すなわち、このフィン24は、第1部分24aと第2部分24bとを、バイパス部22hの位置で第3部分24cによって連結した構造を有している。そして、第1部分24aについては、オイル流入口22a,23aに対応する部分に貫通孔24dが設けられ、第2部分24bについては、オイル流出口22b,23bに対応する部分に貫通孔24eが設けられている。また、フィン24において、フィメールプレート22の第2突条22f及びメールプレート23の第2突条23fに対応する部分は、第1部分24aと第2部分24bとが離れて配置されて隙間になっている。このため、各プレート部材の接合状態において、オイル用の流出入口22a,22b,23a,23bは、各貫通孔24d,24eに臨んだ状態で配置され、両第2突条22f,23fが形成する堰部は、第1部分24aと第2部分24bとの隙間内に配置される。言い換えれば、この堰部は、フィン24におけるUターン部22g,23g側の端部よりもオイル用の流出入口側に設けられている。
【0036】
フィン24の厚みは、フィメールプレート22とメールプレート23とで形成される内部空間の高さに揃えられる。このため、各プレート部材の接合状態において、フィン24は、フィメールプレート22とメールプレート23のそれぞれに当接される。また、フィン24が有する筋状の溝は、フィメールプレート22やメールプレート23の長辺方向に設けられる。加えて、フィン24には溝同士を連通する複数の孔が設けられている。このため、オイル流入口22a,23aから流入したオイルは、フィン24の溝に沿って流れつつ、孔を通じて隣の溝内にも流れ込む。その結果、オイルは、オイル流路内にて拡がりつつ流れることになる。
【0037】
前述した各プレート部材、すなわち、トップフランジ11、トッププレート12、プレートアッシー21(フィメールプレート22、メールプレート23)、ボトムプレート14、及び、アウターリンフォース15は、ロウ付けによって接合される。すなわち、各プレート部材の外周部が接合されるとともに、各プレートに設けられた突条同士も接合される。これにより、図7(a)に示すように、一体化されてオイルクーラー1が完成する。
【0038】
このオイルクーラー1では、図7(b)に示すように、オイルが流れるオイル流路31と、冷却水が流れる冷却水流路32とが各プレート部材の積層方向へ交互に形成される。このため、オイルと冷却水との間で熱交換が生じ、オイルが冷却された状態で排出される。すなわち、オイルについては、図8に矢印で示すように、オイル流入口22aから流入側流路、Uターン部22g及び流出側流路を通ってオイル流出口22bから流出する。また、冷却水については、図9に示すように、第1突条等による堰部によって流れが規制され、冷却水流入口23cから平面視で略U字状の冷却水流路を通って冷却水流出口23dから流出する。このように、オイル用の流入側流路と同じ側に冷却水用の排出側流路が設けられ、オイル用の排出側流路と同じ側に冷却水用の流入側流路が設けられているので、流路の全体に亘ってオイルと冷却水との温度差を確保でき、オイルと冷却水の間で効率良く熱交換を行うことができる。
【0039】
そして、本実施形態では、オイル流路に関し、第2突条22f,23fで形成される堰部がフィン24におけるUターン部22g,23g側の端部よりも手前に設けられているので、流入側流路を流れてきたオイルの一部は、堰部を越えたところでUターン部22g,23gへは行かず、バイパス部22hを通って排出側流路へ流れ込む。このように、一部のオイルを、Uターン部22g,23gを通さずに流入側流路から排出側流路へ流すことで、Uターン部22g,23gだけでは不足しがちなオイルの流量を確保できる。すなわち、Uターン部22g,23gを面方向に拡張しなくてもバイパス部22hによって流路抵抗を抑えることができるため、オイルの必要流量を確保できる。従って、オイルを円滑に流しつつもオイルクーラー1を小型化できる。
【0040】
また、流入側流路から排出側流路へ流すオイルの量は、堰部(第2突条22f,23f)におけるUターン部第2突条22g,23g側の端部の位置(つまり堰部の長さ)で調整できる。このため、冷却対象のオイルの粘度に応じて堰部の長さを定めれば足り、粘度の異なる種々のオイルへの対応が容易である。
【0041】
さらに、本実施形態では、フィン24の第1部分24aと第2部分24bとを連結する第3部分24cがバイパス部22hの位置(堰部よりもUターン部側の位置)に設けられているので、第3部分24cによってバイパス部22hの剛性を高めることができる。また、伝熱面積を増やすことができる。
【0042】
加えて、本実施形態において、各プレートアッシー21は、平面視で矩形状に構成されており、Uターン部22g,23gよりも外側の隅角部に冷却水流入口22c,23cと冷却水排出口22d,23dが設けられているので、Uターン部22g,23gでは使用されずにデットスペースとなっている隅角部のスペースを有効に活用できる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、この実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、その等価物が含まれる。
【0044】
例えば、前述の実施形態では、フィン24に関し、第1部分24aと第2部分24bとを第3部分24cで連結していたが、第3部分24cを設けずに第1部分24aと第2部分24bとを別々の部材として構成してもよい。
【0045】
また、前述の実施形態では、各プレート部材をロウ付けによって接合したが、接着など他の接合方法を用いて接合してもよい。
【0046】
また、各プレート部材をSUS以外の素材で作製してもよい。例えば、アルミニウムを用いて作製してもよい。
【0047】
また、オイルや冷却水の流路に関し、入口と出口を入れ替えて流れの方向を反対にしてもよい。さらに冷却水の流路については、長方形平面の長手方向一端側から他端側へと一方向に流れるものであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…オイルクーラー,2…ケース,3…エンジンブロック,4…オイルフィルター,5…取付ブロック,11…トップフランジ,11a…オイル流入口,11b…オイル流出口,11c…冷却水流入口,11d…冷却水流出口,11e…貫通孔,12…トッププレート,12a…オイル流入口,12b…オイル流出口,12c…冷却水流入口,12d…冷却水流出口,12e…突条,12f…突起,13…プレートアッシー群,14…ボトムプレート,14a…突条,14b…突起,14c…突起部,15…アウターリンフォース,21…プレートアッシー,22…フィメールプレート,22a…オイル流入口,22b…オイル流出口,22c…冷却水流入口,22d…冷却水流出口,22e…第1突条,22f…第2突条,22g…Uターン部,22h…バイパス部,23…メールプレート,23c…冷却水入口,23d…冷却水出口,23e…第1突条,23f…第2突条,23g…Uターン部,23h…突起,24…フィン,24a…第1部分,24b…第2部分,24c…第3部分,24d…貫通孔,24e…貫通孔,31…オイル流路,32…冷却水流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレート部材を積層して外周部を接合することにより、前記プレート部材同士の間に、オイルが流れるオイル流路と、前記オイルを冷却するための冷却水が流れる冷却水流路とを交互に形成し、
前記オイル流路には、前記オイルが流れ込むオイル流入口と前記オイルが排出されるオイル排出口を設けるとともに、前記オイル流路内を流れるオイルの熱を前記プレート部材に伝達する伝熱部材を配置してなるオイルクーラーであって、
前記プレート部材は、
前記オイル流入口と前記オイル排出口の間に設けられ、前記オイル流入口側の流入側流路と前記オイル排出口側の排出側流路とを仕切る堰部と、
前記流入側流路と前記排出側流路の間に設けられ、前記流入側流路から流れてきたオイルをUターンさせて前記排出側流路へ流すUターン部とを有し、
前記伝熱部材は、
前記流入側流路と前記排出側流路のそれぞれに配置されており、
前記堰部の前記Uターン部側の端部は、
前記伝熱部材の前記Uターン部側の端部よりも、前記オイル流入口及び前記オイル排出口側寄りの位置に設けられていることを特徴とするオイルクーラー。
【請求項2】
前記伝熱部材は、
前記流入側流路側の部分と前記排出側流路側の部分とが前記堰部よりもUターン部側の位置で連結されていることを特徴とする請求項1に記載のオイルクーラー。
【請求項3】
前記プレート部材は、
平面視で矩形状に構成され、前記Uターン部よりも外側の隅角部に、前記冷却水を前記冷却水流路に流入させる冷却水流入口と前記冷却水流路からの冷却水を排出する冷却水排出口が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のオイルクーラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−220643(P2011−220643A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92445(P2010−92445)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000220804)東京濾器株式会社 (84)
【Fターム(参考)】