説明

オセルタミビル及びその類縁化合物の製造方法

【課題】医薬品等、特に抗インフルエンザウィルス薬として有用とされるオセルタミビル及びその類縁化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1):


で示される化合物を出発化合物として用いることを特徴とする下記一般式(2):


[式中、Yはアシル基である。]で示される化合物の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オセルタミビル及びその類縁化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オセルタミビルのリン酸塩であるタミフル(登録商標)は、インフルエンザウィルスのノイラミニダーゼ活性部位に結合してその活性を抑制するノイラミニダーゼ阻害剤であり、ウィルスの感染の拡大を防ぐことができるため、抗インフルエンザウィルス薬として有用であることが知られている。また、高病原性鳥インフルエンザウィルス(H5N1型)等の変異に由来する新型インフルエンザウィルスの世界的な流行も心配されており、タミフル(登録商標)を代表とするノイラミニダーゼ阻害剤は、これに対する治療薬としても有用であるとされている。
【0003】
特許文献1や非特許文献1には、シキミ酸を出発原料としてリン酸オセルタミビルを製造する方法が記載されている。しかしながら、出発原料であるシキミ酸としては、トウシキミの実である八角から抽出されるものを用いているため、安定的に供給することが困難な場合があり、他の原料を用いた合成法が望まれていた。
【0004】
また、特許文献2や非特許文献2には、シキミ酸の代わりにα,β−不飽和シクロヘキサノン誘導体を用いたリン酸オセルタミビルを製造する方法が記載されている。しかしながら、反応に用いられる試薬の毒性や精製が困難な場合もあり、改善が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】特表平11−501908号
【特許文献2】WO2007/099843A1
【非特許文献1】Choung U. Kim et al., Influenza Neuraminidase Inhibitors Possessing a Novel Hydrophobic Interaction in the Enzyme Active Site: Design, Synthesis, and Structural Analysis of Carbocyclic Sialic Acid Analogues with Potent Anti-Influenza Activity, Journal of the American Chemical Society 1997, Vol.119, No.4, p.681-690
【非特許文献2】Yuhei Fukuta et al., De Novo Synthesis of Tamiflu via a Catalytic Asymmetric Ring-Opening of meso-Aziridines with TMSN3, Journal of the American Chemical Society 2006, Vol.128, No.19, p.6312-6313
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、医薬品等、特に抗インフルエンザウィルス薬として有用とされるオセルタミビル及びその類縁化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、下記一般式(1):
【化1】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、X及びXはそれぞれ独立して置換基を有してもよいヒドロキシ保護基又は水素原子であり、また、R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物を出発化合物として用いることを特徴とする下記一般式(2):
【化2】

[式中、R及びRは前記と同義であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、Yはアシル基である。]
で示される化合物の製造方法を提供することによって解決される。
【0008】
このとき、前記一般式(1)で示される化合物を出発化合物として下記一般式(3):
【化3】

[式中、R、R、X、X及びYは前記と同義であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物を得る工程を有することが好適である。
【0009】
また、このとき前記一般式(3)で示される化合物を出発化合物として下記一般式(4):
【化4】

[式中、R、R、Y、Z及びZは前記と同義である。]
で示される化合物を得る工程を有することが好適である。
【0010】
更に、このとき下記一般式(5):
【化5】

[式中、R及びRは前記と同義である。]
で示される化合物を出発化合物として前記一般式(1)で示される化合物を得る工程を有することが好適である。
【0011】
また、このときD−マンニトールを出発化合物として前記一般式(5)で示される化合物を得る工程を有することも本発明の好適な実施態様である。
【0012】
また、このとき前記一般式(5)で示される化合物を有機金属試薬を用いた求核付加反応により下記一般式(6):
【化6】

[式中、R及びRは前記と同義である。]
で示されるアリルアルコール化合物を中間体として得て、ジョンソン−クライゼン転位反応により下記一般式(7):
【化7】

[式中、R及びRは前記と同義であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。]
で示されるエステル化合物を得る工程を有することも好適である。
【0013】
また、上記課題は、下記一般式(3):
【化8】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、X及びXはそれぞれ独立して置換基を有してもよいヒドロキシ保護基又は水素原子であり、Yはアシル基であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物を出発化合物として用いることを特徴とする下記一般式(2):
【化9】

[式中、R、R及びYは前記と同義であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子である。]
で示される化合物の製造方法を提供することによっても解決される。
【0014】
更に、上記課題は、下記一般式(1):
【化10】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、X及びXはそれぞれ独立して置換基を有してもよいヒドロキシ保護基又は水素原子であり、また、R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物を提供することによって解決される。
【0015】
また、上記課題は、下記一般式(3):
【化11】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、X及びXはそれぞれ独立して置換基を有してもよいヒドロキシ保護基又は水素原子であり、Yはアシル基であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物を提供することによって解決される。
【0016】
また、上記課題は、下記一般式(12):
【化12】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、Yはアシル基であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物を提供することによって解決される。
【0017】
また、上記課題は、下記一般式(4):
【化13】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、Yはアシル基であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物を提供することによっても解決される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法によれば、医薬品等、特に抗インフルエンザウィルス薬として有用とされるオセルタミビル及びその類縁化合物を提供することができる。また、そのように有用な化合物を製造するための新規な中間体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の製造方法は、下記一般式(1)で示される化合物を出発化合物として下記一般式(2)で示される化合物を得ることを特徴とする。
【0020】
【化14】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、X及びXはそれぞれ独立して置換基を有してもよいヒドロキシ保護基又は水素原子であり、また、R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。]
【0021】
【化15】

[式中、R及びRは前記と同義であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、Yはアシル基である。]
【0022】
上記一般式(1)及び一般式(2)において、R、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、X及びXはそれぞれ独立して置換基を有してもよいヒドロキシ保護基又は水素原子であり、Yはアシル基である。また、R及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。
【0023】
本発明において、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基とは、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基等が挙げられる。
【0024】
本発明において、置換基を有してもよいアルキル基とは、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。中でも、R及び/又はRがメチル基、エチル基、プロピル基であることが好ましく、Rがメチル基、エチル基又はプロピル基であることが好ましく、R及びRがエチル基であることがより好ましく、またRがエチル基であることがより好ましい。
【0025】
本発明において、置換基を有してもよいアルケニル基とは、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0026】
本発明において、置換基を有してもよいアリール基とは、芳香族炭化水素基が置換基を有していてもよいものであり、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
【0027】
本発明において、置換基を有してもよいシクロアルキル基とは、シクロアルキル基が置換基を有していてもよいものであり、シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデカニル基、シクロドデカニル基等が挙げられる。
【0028】
また、本発明において、置換基を有してもよいヒドロキシ保護基とは、ヒドロキシ基を保護することが可能な置換基であれば特に限定されず、例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルシリル基、アルコキシメチル基、アリールメチル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。中でも、X及び/又はXに好適なヒドロキシ保護基は、テトラヒドロピラニル基である。
【0029】
本発明において、アシル基とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等が挙げられる。アルキルカルボニル基としては、アルキル基のいずれかの炭素原子にカルボニル基が結合した構造を有するものであれば特に限定されず、アルキル基としては、上述に挙げられたものを用いることができる。また、アリールカルボニル基としては、アリール基のいずれかの炭素原子にカルボニル基が結合した構造を有するものであれば特に限定されず、アリール基としては、上述に挙げられたものを用いることができる。本発明で用いられるアシル基の具体例としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、ドデカノイル基、ピバロイル基等が挙げられる。中でも、X及び/又はXに好適なアシル基は、アセチル基であり、Yに好適なアシル基は、アセチル基である。
【0030】
本発明において、アルコキシカルボニル基とは、直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が挙げられ、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0031】
本発明において、アルキルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。
【0032】
本発明において、アルコキシメチル基としては、メチル基にアルコキシ基が結合した構造を有するものであれば特に限定されず、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基等が挙げられる。
【0033】
本発明において、アリールメチル基としては、メチル基にアリール基が結合した構造を有するものであれば特に限定されず、例えば、ベンジル基、4−メトキシベンジル基等が挙げられる。
【0034】
本発明において、一般式(1)で示される化合物を得る方法は特に限定されず、下記化学反応式(I)で示される工程1のように、下記一般式(5)で示されるジオキソラン環を有する化合物から合成されることが好ましい。
【0035】
【化16】

[式中、R、R、X及びXは前記と同義である。]
【0036】
ここで、上記工程1の好適な実施態様を下記化学反応式(Ia)の反応1〜3を参照しながら説明する。
【0037】
【化17】

[式中、R、R、X及びXは前記と同義であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。]
【0038】
上記化学反応式(Ia)で示されるように、一般式(5)で示されるアルデヒド化合物から3工程で一般式(1)で示される化合物を得ることができる。まず、上記反応1において、一般式(5)で示されるアルデヒド化合物に対して、臭化ビニルマグネシウム等のグリニャール試薬に代表される有機金属試薬を用いた求核付加反応、好適にはグリニャール反応を行い、次いで、必要に応じてそれに引き続く化学変換を行うことにより一般式(6)で示されるアリルアルコール化合物を得ることができる。
【0039】
得られた一般式(6)で示されるアリルアルコール化合物に対して、上記反応2においてジョンソン−クライゼン転位反応を行うことにより、一般式(7)で示されるエステル化合物を得ることができる。ここで、ジョンソン−クライゼン転位反応は、後述の実施例からも分かるように、酸触媒下でオルトエステルと加熱反応させることにより、ビニルエーテルの中間体が生成され、次いでクライゼン転位反応が起こることによって、一般式(7)で示される不飽和カルボン酸エステル化合物が生成される。
【0040】
用いられる酸触媒としては特に限定されないが、カルボン酸であることが好ましく、中でもプロピオン酸等が好適に用いられる。また、用いられるオルトエステルとしては、一般式CHC(OR(式中、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基である。)で示されるものであれば特に限定されず、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、上述で説明したものと同様のものを用いることができる。オルトエステルの具体例としては、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸ブチル等が挙げられる。中でも、オルト酢酸エチルが好適に用いられる。
【0041】
また、上記一般式(7)で示されるエステル化合物において、Rは置換基を有してよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、上述のR〜Rのところで説明したものと同様のものを用いることができる。ここで、反応2でジョンソン−クライゼン転位反応により一般式CHC(ORで示されるオルトエステルを用いた場合には、RはオルトエステルのRに由来することとなる。
【0042】
次いで、得られた一般式(7)で示されるエステル化合物から反応3により一般式(1)で示される化合物を得ることができる。このようにして得られる一般式(1)で示される化合物は新規化合物である。以下、反応3について一般式(1)で示される化合物におけるX及びXが水素原子の場合を例にして説明する。
【0043】
一般式(7)で示されるエステル化合物において、ルイス酸性を有する還元剤を用いることにより環状エーテルの一方を開環させてアルコールにするとともに、カルボン酸エステルをアルコールに還元することにより、一般式(1)で示される化合物であるジオール化合物を得ることができる。用いられる還元剤としては特に限定されないが、水素化ジイソブチルアルミニウム(iBu2AlH (DIBAL-H))、水素化リチウムアルミニウム/塩化アルミニウム(LiAlH4/AlCl3)等が用いられる。好適には水素化ジイソブチルアルミニウムが用いられる。
【0044】
また、本発明において、上記一般式(5)で示される化合物を得る方法は特に限定されないが、好適にはD−マンニトールから合成される。ここで、D−マンニトールから一般式(5)で示される化合物を得る方法について、R及びRがエチル基の場合を例にした下記化学反応式(II)を参照しながら説明する。
【0045】
【化18】

【0046】
上記化学反応式(II)で示されるように、10−カンファースルホン酸(CSA)等を酸触媒としてD−マンニトールに3,3−ジメトキシペンタンを反応させることにより、D−マンニトールの1位及び2位の水酸基、並びに5位及び6位の水酸基がそれぞれエーテル結合により1,3−ジオキソラン環を形成した中間体が得られる。次いで、過ヨウ素酸カリウム等の酸化剤を用いることにより上記式(5a)で示されるアルデヒド化合物を得ることができる。
【0047】
本発明は、一般式(1)で示される化合物を出発化合物として一般式(2)で示される化合物を得ることを特徴とする。また、本発明は、一般式(3)で示される化合物を出発化合物として一般式(2)で示される化合物を得ることを特徴とする。ここで、下記化学反応式(III)で示されるように、本発明において一般式(1)で示される化合物を出発化合物とする場合には、一般式(3)で示される化合物を中間体として得る方法が好適に採用される。更に、得られた一般式(3)で示される化合物から下記一般式(4)で示される化合物を得る方法も好適に採用される。このようにして得られる一般式(3)で示される化合物及び一般式(4)で示される化合物は新規化合物である。
【0048】
【化19】

[式中、R、R、R、X、X及びYは前記と同義であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
【0049】
上記一般式(3)及び上記一般式(4)において、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。通常、アミノ保護基というときには、アミノ基の水素原子が一置換されたアミノ保護基、又はアミノ基の水素原子が二置換されたアミノ保護基が挙げられるが、本発明では、上記工程3において一般式(3)で示される化合物から一般式(4)で示される化合物を得る際に、中間体として生成するジアルデヒド体の一方のホルミル基と保護されたアミノ基がアミナール、イミン又はイミニウム等の形で環を形成しないようにする観点から、用いられるアミノ保護基としては、アミノ基の水素原子がZ及びZにより二置換されたアミノ保護基であることが好ましい。ここで、本発明で用いられるZ及びZとしては、同種のアミノ保護基であってもよいし、異種のアミノ保護基であってもよいし、Z及びZが環を形成したアミノ保護基であってもよく、好適には、Z及びZが環を形成したアミノ保護基が用いられる。
【0050】
用いられる同種又は異種のアミノ保護基としては、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールメチル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールメチルオキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルケニルオキシカルボニル基、置換基を有してもよいスルホニル基等が挙げられる。また、Z及びZが環を形成したアミノ保護基としては、置換基を有してもよいフタロイル基等が挙げられる。中でも、置換基を有してもよいフタロイル基が好適に用いられる。
【0051】
上記置換基を有してもよいアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基が置換基を有していてもよいものであり、アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。中でも、Z及び/又はZに好適なアルケニル基は、アリル基である。
【0052】
上記置換基を有してもよいアリール基としては、p−メトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基等が挙げられる。中でも、Z及び/又はZに好適なアリール基は、p−メトキシフェニル基である。
【0053】
上記置換基を有してもよいアリールメチル基としては、上述のX及びXのところで説明したものと同様のものを用いることができる。中でも、Z及び/又はZに好適なアリールメチル基は、ベンジル基、p−メトキシベンジル基である。
【0054】
上記置換基を有してもよいアシル基としては、上述のX及びXのところで説明したものと同様のものを用いることができる。中でも、Z及び/又はZに好適なアシル基は、アセチル基、ベンゾイル基である。
【0055】
上記置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基としては、上述のX及びXのところで説明したものと同様のものを用いることができる。具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等が挙げられる。中でも、Z及び/又はZに好適なアルコキシカルボニル基は、tert−ブトキシカルボニル基である。
【0056】
上記置換基を有してもよいアリールメチルオキシカルボニル基としては、例えば、ブロモベンジルオキシカルボニル基、クロロベンジルオキシカルボニル基、メトキシベンジルオキシカルボニル基などに代表されるベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0057】
上記置換基を有してもよいアルケニルオキシカルボニル基としては、アルケニル基に酸素原子とカルボニル基が結合した置換基であれば特に限定されず、アルケニル基としては上述に挙げられたものを用いることができる。具体例としては、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、プロペニルオキシカルボニル基、ブテニルオキシカルボニル基等が挙げられる。中でも、Z及び/又はZに好適なアルケニルオキシカルボニル基は、アリルオキシカルボニル基である。
【0058】
上記置換基を有してもよいスルホニル基としては、p−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ニトロベンゼンスルホニル基等が挙げられる。中でも、Z及び/又はZに好適なスルホニル基は、p−トルエンスルホニル基、2−ニトロベンゼンスルホニル基である。
【0059】
上記置換基を有してもよいフタロイル基としては、3−ニトロフタロイル基などに代表されるフタロイル基が挙げられる。
【0060】
上記工程2において一般式(3)で示される化合物を得る方法は特に限定されず、下記化学反応式(IIIa)で示される方法が好適に採用される。以下、化学反応式(IIIa)を参照しながら説明する。
【0061】
【化20】

[式中、R、R、X、X、Y、Z及びZは前記と同義であり、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基である。]
【0062】
上記化学反応式(IIIa)で示されるように、反応4において一般式(1)で示される化合物の炭素−炭素間の二重結合に対して水酸基をsyn付加させることにより、一般式(8)で示されるジオール化合物が得られる。水酸基をsyn付加させる方法としては特に限定されず、四酸化オスミウムを用いたジヒドロキシル化等が挙げられる。中でも、シャープレス不斉ジヒドロキシル化によりsyn付加させる場合、ビス(ジヒドロキニル)フタラジン((DHQ)PHAL)を含む混合物であるAD−mix−α(商品名)又はビス(ジヒドロキニジニル)フタラジン((DHQD)PHAL)を含む混合物であるAD−mix−β(商品名)を使用すると光学純度の高いジオール化合物が得られるため好ましい。また、メタンスルホン酸アミド等を更に添加することで、より効率的に反応させることもできる。
【0063】
このようにして得られた一般式(8)で示されるジオール化合物を反応5〜8で示されるように、塩化メタンスルホニル、メタンスルホン酸無水物、塩化ベンゼンスルホニル、塩化−p−トルエンスルホニル等を用いてスルホニル化して、一般式(9)で示されるジスルホナート化合物を得ることができる。ここで、一般式(9)において、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基である。置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基としては、上述のR〜Rのところで説明したものと同様のものを用いることができる。次いで、得られた前記ジスルホナート化合物に対してアジ化ナトリウム等を用いて反応させることにより、一般式(10)で示されるジアジド化合物を得ることができる。続いて、得られたジアジド化合物に対して水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、アルキルホスフィン、アリールホスフィン等を用いた還元反応、又は接触水素添加反応を行い、一般式(11)で示されるジアミン化合物を得て、更に、ジアミン化合物のアミノ基をそれぞれアミノ保護基及びアシル基により保護することにより一般式(3)で示される化合物を得ることができる。用いられるアミノ保護基としては、上述で説明したようにアミノ基の水素原子が二置換されたアミノ保護基であることが好ましい。また、後述の実施例からも分かるように、このようにして一般式(1)で示される化合物から精製することなしに一般式(3)で示される化合物を得ることができるため、本発明の製造方法は、効率的で優れた製造方法であることが分かる。
【0064】
また、上記化学反応式(III)における工程3において、一般式(3)で示される化合物から一般式(4)で示される化合物を得る方法は特に限定されない。以下、一般式(3)で示される化合物におけるX及びXが水素原子である場合の一般式(3a)で示される化合物を例にして説明する。
【0065】
【化21】

[式中、R、R、Y、Z及びZは前記と同義である。]
【0066】
上記化学反応式(IIIb)で示されるように、反応9において一般式(3a)で示されるジオール化合物をTEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシラジカル)等の酸化剤を用いて酸化して一般式(12)で示されるジアルデヒド化合物が得られる。このようにして得られる一般式(12)で示されるジアルデヒド化合物は新規化合物である。次いで、反応10において、ジベンジルアミン・トリフルオロ酢酸塩等を用いた脱水縮合反応を行って、一般式(4)で示される化合物を得ることができる。
【0067】
また、上記化学反応式(III)における工程4において、一般式(4)で示される化合物から一般式(2)で示される化合物を得る方法は特に限定されず、下記化学反応式(IIIc)で示される方法が好適に採用される。以下、化学反応式(IIIc)を参照しながら説明する。
【0068】
【化22】

[式中、R、R、R、Y、Z及びZは前記と同義である。]
【0069】
上記化学反応式(IIIc)で示されるように、反応11において一般式(4)で示される化合物を活性二酸化マンガン等を用いて酸化してカルボン酸化合物又はその誘導体とし、次いでアルコールと反応させることにより一般式(13)で示されるエステル化合物を得ることができる。続いて、反応12において、前記エステル化合物をヒドラジン1水和物、メチルヒドラジン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン等を用いてアミノ保護基をはずすことにより、一般式(2)で示されるアミン体である化合物を得ることができる。
【0070】
更に、上述のようにして得られた一般式(2)で示される化合物をリン酸と反応させることにより、下記一般式(14)で示されるリン酸塩化合物を容易に得ることができる。化学反応式(IV)を以下に示す。
【0071】
【化23】

[式中、R、R、R及びYは前記と同義である。]
【0072】
本発明の製造方法により得られる上記一般式(2)で示される化合物並びにそのリン酸塩である一般式(14)で示される化合物、特に、R及びRがエチル基、Rがエチル基、Yがアセチル基の場合のオセルタミビル(アミン体)並びにリン酸オセルタミビル(タミフル:登録商標)は、ノイラミニダーゼ阻害剤である抗インフルエンザウィルス薬として有用であるとされており、このように有用な化合物を得ることができる本発明の製造方法を採用する意義が大きいものである。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0074】
(実施例1)
合成1[式(5a)で示されるアルデヒドの合成]
D-マンニトール(45.1g、247 mmol)及び10-カンファースルホン酸(1.72 g、7.4 mmol)のDMF懸濁液(100 ml)に40 ℃で3,3-ジメトキシペンタン(71.9 g、544 mmol)を75分かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後さらに2.5時間、同温度で攪拌した後に反応液を室温に冷却し、トリエチルアミン(15 ml)を加えて反応を停止した。減圧下で溶媒を留去し、残渣に飽和食塩水(50 ml)及び、水(50 ml)を加え、酢酸エチル(100 ml)で抽出した。有機層をさらに飽和食塩水(50 ml x 2)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧下に留去し、白色の固体(92.0 g)を得た。このうち46.0 gをTHF(100 ml)に溶かし、過ヨウ素酸カリウム(36.6 g、159 mmol)及び炭酸水素カリウム(1.45 g、14.5 mmol)をイオン交換水(230 ml)に懸濁した液中に氷冷下で40分かけて滴下した。室温下でさらに4時間攪拌した後、過ヨウ素酸カリウム(3.33 g、14.5 mmol)を追加し、さらに1時間攪拌した。不溶物を濾過して除き、濾液を食塩で飽和した後に酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後に溶媒を減圧下に留去し、得られた油状物質を減圧下で蒸留精製して、式(5a)で示されるアルデヒド(23.7 g、150 mmol、D-マンニトールからの収率60.7%)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0075】
【化24】

【0076】
式(5a)で示される2,2-ジエチル-1,3-ジオキソラン-4-アルデヒドのNMRデータ及び沸点は以下のとおりであった。
1H NMR (500 MHz) (CDCl3) δ: 0.93 (t, J=7.5 Hz, 3H), 0.95 (t, J=7.5 Hz, 3H), 1.65-1.75 (m, 4H), 4.06 (ddd, J=0.6, 5.5, 8.5 Hz, 1H), 4.18 (dd, J=8.0, 8.5 Hz, 1H), 4.38 (ddd, J=1.8, 5.5, 8.0 Hz, 1H), 9.74 (dd, J=0.6, 1.8 Hz, 1H);
bp: 54.5-55.5 ℃ (1.5 mmHg)
【0077】
合成2[式(6a)で示されるアリル型アルコールの合成]
マグネシウム (4.813 g, 0.198 g-atom)のTHF懸濁液(20 ml)に、1,2-ジブロモエタン(0.13 ml, 0.286 g, 1.52 mmol)を室温で一挙に加えた。発熱を伴いながら反応液の色が黄色から灰色に変わった後、THF (40 ml)に溶かした臭化ビニル(12.9 ml, 19.6 g, 182.4 mmol)を、反応液の温度を45-55度に保ちながら約1時間かけて滴下した。滴下の途中にTHF(30 ml)を2回に分けて反応液を希釈した。滴下終了後、さらに30分攪拌を続けた。生成したグリニヤール試薬をトルエン(20 ml)で希釈したあと、トルエン(30 ml)に溶かしたD-(R)-グリセルアルデヒド(24 g, 152 mmol)を氷冷下に1時間かけて滴下した。氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液(100 ml)を滴下して反応を停止し、1時間攪拌した。酢酸エチル(80 ml)で抽出した後、さらに水層を酢酸エチル(50 ml)で抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水(50 ml x 2)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、続いて濾過、溶媒を減圧下に留去して油状物質を得た。減圧下に蒸留して式(6a)で示されるアリル型アルコール(24.8 g, 87.6%)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0078】
【化25】

【0079】
式(6a)で示される2,2-ジエチル-1,3-ジオキソラン-4-アリルアルコールのNMRデータ及び沸点は以下のとおりであった。
1H NMR (500 MHz) (CDCl3) δ: 0.88-0.99 (m, 6H), 1.60-1.75 (m, 4H), 2.11 (m, 0.6H), 2.38 (m, 0.4H), 3.70-4.38 (m, 4H), 5.23-5.43 (m, 2H), 5.76-5.88 (m, 1H);
13C NMR (125 MHz) (CDCl3) δ: 7.9, 8.1, 28.8, 29.1, 29.4, 29.6, 63.0, 65.1, 65.2, 66.2, 71.8, 74.3, 78.3, 78.9, 113.1, 113.7, 116.6, 117.6, 135.8, 136.0;
bp: 74-75 ℃ (0.5 mmHg)
【0080】
合成3[式(7a)で示されるエチルエステルの合成]
式(6a)で示されるアリル型アルコール (24.2 g, 129.9 mmol)、オルト酢酸エチル(119 ml, 105.4 g, 650 mmol)、プロピオン酸 (0.192 g, 2.59 mmol)の混合物を生成するエタノールを除きながら132 度で14時間攪拌した。過剰のオルト酢酸エチルを減圧下(約20 mmHg)で蒸留して回収した。残渣の油状物質を減圧蒸留し、無色の式(7a)で示されるエチルエステル(31.7 g, 95.2%)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0081】
【化26】

【0082】
式(7a)で示されるエチルエステルのNMRデータ及び比旋光度は以下のとおりであった。
1H NMR (500 MHz) (CDCl3) δ: 0.88-0.95 (m, 6H), 1.25 (t, J=7.0 Hz, 3H), 1.60-1.68 (m, 4H), 2.36-2.43 (m, 4H), 3.51 (dd, J=8.25 HZ, 7.95 Hz, 1H), 4.10 (dd, J=7.95 Hz, 6.1 Hz, 1H), 4.13 (q, J=7.0 Hz, 2H), 4.45 (ddd, J=8.25 Hz, 7.95 Hz, 6.1 Hz, 1H), 5.48 (dd, J=15.3 Hz, 7.9 Hz, 1H), 5.80 (dt, J=15.3 Hz, 6.4 Hz, 1H);
13C NMR (125 MHz) (CDCl3) δ: 8.0, 8.1, 27.4, 29.8, 29.9, 33.5, 60.3, 69.9, 77.3, 113.0,128.5, 133.3, 172.7;
比旋光度 [α]D21.6 +24.0(c 1.23, CHCl3)
【0083】
合成4[式(1a)及び式(1b)で示される化合物の合成]
氷冷したDIBAL-H (水素化ジイソブチルアルミニウム(iBu2AlH), 0.95 M, ヘキサン溶液, 153.6 ml, 145.9 mmol)にトルエン (30 ml)に溶解した式(7a)で示されるエステル化合物(7.48 g, 29.2 mmol)を25分かけて滴下した。反応混合物を氷冷下で2時間、室温で3時間攪拌した後、氷(約200 g)と6M HCl (100 ml)の混合物の中にゆっくりと注ぎ込んだ。約30分攪拌した後、減圧下に約半分の量になるまで濃縮した。水相を酢酸エチル (30 ml x 3)で抽出し、合わせた有機相を1M HCl (30 ml)、飽和NaHCO3 水溶液 (30 ml)、飽和食塩水 ( 30 ml)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、減圧下に溶媒を留去して透明な油状物 (5.80 g)を得た。減圧蒸留し、無色の式(1a)で示されるジオール5.34 g (84.6%)を得た。
【0084】
続いて、式(1a)で示されるジオール(5.20 g, 24.0 mmol) をジクロロメタン(24 ml) に溶かし、ジヒドロピラン(5.26 ml, 4.85 g, 57.7 mmol)、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム塩 (PPTS, 60 mg, 0.24 mmol)を加えて室温で24時間攪拌した。飽和NaHCO3水溶液(20 ml)を加えて反応を停止し、ジクロロメタン(30 ml)で抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧留去し、式(1a)で示されるジオールの水酸基がテトラヒドロピラニル基で保護された式(1b)で示される油状物 (9.22 g, 99.7%)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0085】
【化27】

【0086】
合成5[式(8a)で示されるジオール及び式(9a)で示されるジメシラートの合成]
Aldrich社のAD-mix-β(30.4 g, 1.5 g/1 mmol)にt-ブチルアルコール(tBuOH, 80 ml)と水 (100 ml)を加えて溶かし、続いてメタンスルホン酸アミド(2.12 g, 22.3 mmol)を室温で加えた。この混合物を氷冷し、t-ブチルアルコール(20 ml)に溶かしたオレフィン (7.80 g, 20.3 mmol)を加えて、氷冷下で8時間、室温で13時間攪拌した。氷冷下に飽和Na2SO3水溶液 (100 ml)を加え、1時間攪拌した後、酢酸エチル(100 ml)とトルエン(30 ml)の混合溶媒で抽出した。有機相を飽和食塩水(100 ml x 2) で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、減圧下に溶媒を留去して式(8a)で示されるジオールの油状物 (8.32 g)を得た。
【0087】
続いてこのジオールをピリジン(12.1 ml, 11.87 g, 150 mmol)に溶かし、氷冷下に塩化メタンスルホニル(3.69 ml, 5.46 g, 47.7 mmol)を加えた。反応混合物を氷冷下で1時間、室温で5時間攪拌した後、トルエン(100 ml)、 水(100 ml)を加え、反応を停止した。有機相を水 (50 ml x 2)、1M HCl (50 ml x 3)、飽和NaHCO3水溶液(50 ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、減圧下に溶媒を留去して式(9a)で示されるジメシラート(11.0 g)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0088】
【化28】

【0089】
合成6[式(10a)で示されるジアジドの合成]
式(9a)で示されるジメシラート(11.0 g, 約19.14 mmol)を無水DMSO(30 ml)に溶解し、アジ化ナトリウム(7.47 g, 114.9 mmol)を加えて85度で48時間攪拌した。室温に冷やし、水(100 ml)、トルエン(60 ml)を加えて有機相を分離し、続いて飽和食塩水(30 ml x 2)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、減圧下に溶媒を留去して式(10a)で示されるジアジド(7.07 g、約15.1 mmol)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0090】
【化29】

【0091】
合成7[式(11a)で示されるジアミンの合成]
LiAlH4(860 mg, 22.6 mmol)のTHF懸濁液(20 ml)に、式(10a)で示されるジアジド(7.07 g, 15.1 mmol)をTHF(25 ml)に溶解した液を氷冷下に15分かけて滴下した。氷冷下で1時間、室温下で12時間攪拌した。氷冷下で3M NaOH(100 ml)を注意深く加えてヒドリドを分解した。続いて減圧下にTHFを留去した後、水(200 ml)及びt-ブチルメチルエーテル(100 ml)で希釈した。抽出液を3M NaOH (50 ml)、続いて飽和食塩水(30 ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下に溶媒を留去して式(11a)で示されるジアミン(5.80 g, 約13.9 mmol)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0092】
【化30】

【0093】
合成8[式(3a)及び式(3c)で示される化合物の合成]
式(11a)で示されるジアミン(5.80 g, 約13.9 mmol)をTHF(40 ml)に溶かし、N-エトキシカルボニルフタルイミド(2.746 g, 12.53 mmol)を30分ごとに3回に分けて室温下に加えた。さらに30分攪拌した後、ピリジン(5 ml)、無水酢酸(5 ml)及び触媒量の4-ジメチルアミノピリジンを加えて、4時間攪拌した。トルエン(100 ml)及び水(100 ml)を加えて抽出した。分離した有機相を水(100 ml x 2)、飽和NaHCO3水溶液(100 ml x 2)、3M HCl (100 ml)、飽和食塩水(50 ml)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、減圧下に溶媒を留去して、アミノ基がそれぞれフタロイル基とアセチル基で保護された式(3b)で示される油状物(8.27 g)を得た。
【0094】
得られた式(3c)で示される化合物をメタノール(50 ml)に溶かし、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩(PPTS, 140 mg, 0.557 mmol)、(+)-10-カンファースルホン酸(130 mg, 0.557 mmol)を加えて室温で6時間攪拌した。飽和NaHCO3水溶液(50 ml)を加えて反応を停止し、減圧下に溶媒を留去した。残渣をクロロホルム(40 ml x 2)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、減圧下に溶媒を留去して、式(3c)で示されるジオールを油状物(6.30 g)として得た。熱トルエンに溶かし、室温で静置して式(3c)で示されるジオールの白色固体を2.1g (4.99 mmol, 式(7a)で示されるエチルエステルからの通算収率17.1%)得た。化学反応式を以下に示す。
【0095】
【化31】

【0096】
式(3c)で示されるジオールのNMRデータ及び比旋光度等は以下のとおりであった。
1H NMR (500 MHz) (CDCl3) δ: 0.72-0.80 (m, 6H), 0.98-1.13 (m, 2H), 1.30-1.60 (m, 5H), 1.75 (bs, 1H), 1.85-1.96 (m, 1H), 1.97 (s, 3H), 2.20-2.30 (m, 1H), 3.15-3.27 (m, 2H), 3.60-3.80 (m, 5H), 4.54-4.60 (m, 1H), 4.73-4.78 (m, 1H), 6.79 (d, J=9.45 Hz, 1H), 7.72-7.86 (m, 4H);
13C NMR (125 MHz) (CDCl3) δ: 9.37, 9.39, 22.9, 25.3, 25.5, 26.1, 29.2, 51.1, 52.5, 60.4, 61.8, 75.3, 79.2, 123.3, 131.6, 134.2, 169.2,171.7;
Mp: 142.1-143.5 ℃, Calcd. C; 62.84, H; 7.67, N; 6.66, Found; C; 62.70, H; 7.85, N; 6.65;
比旋光度 [α]D21.5 -19.2(C 1.07, CHCl3)
【0097】
合成9[式(12a)で示されるジアルデヒドの合成]
式(3c)で示されるジオール(1.19 g, 2.83 mmol)、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO, 22.1 mg, 0.141 mmol)、臭化カリウム(34 mg, 0.28 mmol)をジクロロメタン(30 ml)と水(10 ml)の混合溶媒中に分散させ、氷冷して激しく攪拌しておいた。次亜塩素酸ナトリウム溶液(13% 含有、3.89 g, 506 mg, 6.79 mmol)を水(5 ml)で希釈した溶液にNaHCO3(571 mg, 6.79 mmol)を溶かしたものを反応温度を3-8度に保ちながら約20分かけて滴下した。飽和Na2S2O3水溶液(10 ml)と水(20 ml)を加えて反応を停止した後、ジクロロメタン(30 ml)で抽出した。抽出液は飽和食塩水(30 ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、減圧下に溶媒を留去し、式(12a)で示されるジアルデヒド(1.07 g, 90.8%)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0098】
【化32】

【0099】
式(12a)で示されるジアルデヒドのNMRデータは以下のとおりであった。
1H NMR (500 MHz) (CDCl3) δ: 0.83 (t, J=7.65 Hz, 3H), 0.88 (t, J=7.65 Hz, 3H), 1.22-1.31 (m, 1H), 1.32-1.42 (m, 1H), 1.45-1.56 (m, 2H), 1.92 (s, 3H), 2.05-2.15 (m, 1H), 2.43-2.52 (m, 3H), 3.37-3.42 (m, 1H), 4.08 (bs, 1H), 4.58-4.64 (m, 1H), 4.85-4.91 (m, 1H), 6.78 (d, J=9.75 Hz, 1H), 7.73-7.88 (m, 4H), 9.55 (s, 1H), 9.70 (s, 1H);
13C NMR (125 MHz) (CDCl3) δ: 9.20, 21.0, 22.9, 24.6, 25.8, 40.3, 51.5, 51.7, 80.4, 81.9, 123.4, 131.3, 134.3, 168.7, 169.8, 199.9, 201.6
【0100】
合成10[式(4a)で示されるアルデヒドの合成]
式(12a)で示される未精製のジアルデヒド(416 mg, 約1.0 mmol)とジベンジルアミン・トリフルオロ酢酸塩(342 mg, 1.1 mmol)をベンゼン(20 ml)中で50 度で2時間反応させた。水(54 mg, 3 mmol)を添加してさらに50 度で3時間攪拌を続けた。溶媒を減圧下留去し、残渣をクロロホルム(30 ml)に溶かし、1M HCl (30 ml)、続いて飽和NaHCO3水溶液(20 ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、減圧下に溶媒を留去して黄色がかった式(4a)で示されるアルデヒドの固体(410 mg)を得た。トルエンとヘキサン(10mlずつ)の熱い混合液に分散させて室温に静置した。約12時間後に濾過によって上記固体を集め、式(4a)で示されるアルデヒド(319 mg, 式(3c)で示されるジオールからの通算収率80 %)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0101】
【化33】

【0102】
式(4a)で示されるアルデヒドのNMRデータ及び比旋光度等は以下のとおりであった。
1H NMR (500 MHz) (CDCl3) δ: 0.85-1.00 (m, 6H), 1.50-1.60 (m, 4H), 1.78 (s, 2.6H), 2.05 (s, 0.4H), 2.65-2.75 (m, 1H), 2.98-3.05 (m, 1H), 3.37-3.46 (m, 1H), 4.18-4.20 (m, 0.13H), 4.38-4.45 (m, 1.13H), 4.71-4.75 (m, 0.87H), 4.90-4.95 (m, 0.87H), 5.26 (d, J=7.6 Hz, 0.13H), 5.53 (d, J=7.6 Hz, 0.87H), 6.67 (s, 0.87H), 6.69 (s, 0.13H), 7.72-7.86 (m, 4H), 9.54 (s, 0.87H), 9.56 (s, 0.13H);
13C NMR (125 MHz) (CDCl3) δ: 9.36, 9.65, 23.3, 25.5, 25.7, 26.3, 47.8, 54.3, 74.6, 82.5, 123.5, 128.5, 131.6, 134.2, 138.8, 147.6, 168.1, 170.3, 192.3;
Mp: 186.2-187.0 ℃;
比旋光度 [α]D21.9 -40.9 (C 1.0, CHCl3)
【0103】
合成11[式(13a)で示されるエチルエステル化合物の合成]
得られた式(4a)で示されるアルデヒド(200 mg, 0.5 mmol)をエタノール(10 ml)に溶かし、粉砕したシアン化ナトリウム(NaCN, 150 mg, 3.0 mmol)、続いて酢酸(AcOH, 90mg, 1.5 mmol)を入れ、2時間室温で攪拌した。薄層クロマトでシアンヒドリンの生成を確かめた後、反応系中に活性二酸化マンガン(MnO2, 869 mg, 10 mmol)を加え、24時間攪拌を続けた。反応混合物をセライト545で濾過し、黒い固体を酢酸エチル(30 ml)で洗浄した。ろ液を減圧下濃縮した後、酢酸エチル(30 ml)と飽和NaHCO3水溶液(20 ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下溶媒を留去した。得られた薄黄色の固体をトルエンとヘキサンの混合溶媒から再結晶し、式(13a)で示されるエチルエステル化合物(168 mg, 76%)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0104】
【化34】

【0105】
式(13a)で示されるエチルエステル化合物のNMRデータ及び比旋光度は以下のとおりであった。
1H NMR (500 MHz) (CDCl3) δ: 0.81-1.00 (m, 6H), 1.25-1.33 (m, 3H), 1.46-1.65 (m, 4H), 1.75 (s, 2.41H), 2.05 (s, 0.59H), 2.66-2.78 (m, 1H), 3.15-3.28 (m, 1H), 3.33-3.46 (m, 1H), 4.06-4.10 (m, 0.2H), 4.18-4.26 (m, 2H), 4.38-4.46 (m, 1H), 4.47-4.54 (m, 1H), 4.78-4.87 (m, 1H), 5.50 (d, J=7.95 Hz, 0.2H), 5.70 (d, J=7.95 Hz, 0.8H), 6.86 (bs, 0.8H), 6.90 (bs, 0.2H), 7.70-7.87 (m, 4H);
13C NMR (125 MHz) (CDCl3) δ: 9.0, 9.3, 9.5, 9.6, 14.2, 20.5, 23.3, 25.0, 25.6, 26.0, 26.3, 28.3, 28.8, 48.3, 53.7, 55.3, 60.9, 61.1, 74.7, 77.9, 81.6, 81.8, 123.4, 129.1, 131.7, 134.1, 134.4, 137.1, 138.1, 165.9, 168.2, 170.3;
比旋光度 [α]D25.6 -46.3 (C 1.22, CHCl3)
【0106】
合成12[式(2a)で示されるオセルタミビルの合成]
式(13a)で示されるエチルエステル化合物(59.7 mg,0.135 mmol)をエタノール(3 ml)に溶かし、ヒドラジン1水和物(NH2NH2・H2O, 0.079 ml, 1.6 mmol)を入れて、室温で21時間攪拌した。クロロホルム(50 ml)で希釈した後、不溶物をろ過して除いた。有機相を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥、濾過、減圧下に溶媒を留去して泡状の式(2a)で示されるオセルタミビル(20 mg, 0.064 mmol, 47%,タミフル遊離塩基)を得た。化学反応式を以下に示す。
【0107】
【化35】

【0108】
式(2a)で示されるオセルタミビルのNMRデータは以下のとおりであった。
1H NMR (500 MHz) (CDCl3) δ: 0.83-0.95 (m, 6H), 1.29 (t, J=7.0 Hz, 3H), 1.46-1.56 (m, 4H), 2.04 (s, 3H), 2.10-2.20 (m, 1H), 2.72-2.80 (m, 1H), 3.18-3.27 (m, 1H), 3.32-3.39 (m, 1H), 3.49-3.57 (m, 1H), 4.16-4.26 (m, 3H), 5.79 (d, J=7.9 Hz, 1H), 6.79 (bs, 1H);
13C NMR (125 MHz) (CDCl3) δ: 9.3, 9.5, 14.1, 23.6, 25.0, 25.7, 26.2, 33.6, 49.2, 59.0, 60.8, 74.8, 81.6, 129.5, 137.5, 166.3, 170.9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、X及びXはそれぞれ独立して置換基を有してもよいヒドロキシ保護基又は水素原子であり、また、R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物を出発化合物として用いることを特徴とする下記一般式(2):
【化2】

[式中、R及びRは前記と同義であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、Yはアシル基である。]
で示される化合物の製造方法。
【請求項2】
前記一般式(1)で示される化合物を出発化合物として下記一般式(3):
【化3】

[式中、R、R、X、X及びYは前記と同義であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物を得る工程を有する請求項1記載の化合物の製造方法。
【請求項3】
前記一般式(3)で示される化合物を出発化合物として下記一般式(4):
【化4】

[式中、R、R、Y、Z及びZは前記と同義である。]
で示される化合物を得る工程を有する請求項2記載の化合物の製造方法。
【請求項4】
下記一般式(5):
【化5】

[式中、R及びRは前記と同義である。]
で示される化合物を出発化合物として前記一般式(1)で示される化合物を得る工程を有する請求項1〜3のいずれか記載の化合物の製造方法。
【請求項5】
D−マンニトールを出発化合物として前記一般式(5)で示される化合物を得る工程を有する請求項4記載の化合物の製造方法。
【請求項6】
前記一般式(5)で示される化合物を有機金属試薬を用いた求核付加反応により下記一般式(6):
【化6】

[式中、R及びRは前記と同義である。]
で示されるアリルアルコール化合物を中間体として得て、ジョンソン−クライゼン転位反応により下記一般式(7):
【化7】

[式中、R及びRは前記と同義であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。]
で示されるエステル化合物を得る工程を有する請求項5又は6記載の化合物の製造方法。
【請求項7】
下記一般式(3):
【化8】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、X及びXはそれぞれ独立して置換基を有してもよいヒドロキシ保護基又は水素原子であり、Yはアシル基であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物を出発化合物として用いることを特徴とする下記一般式(2):
【化9】

[式中、R、R及びYは前記と同義であり、Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子である。]
で示される化合物の製造方法。
【請求項8】
下記一般式(1):
【化10】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、X及びXはそれぞれ独立して置換基を有してもよいヒドロキシ保護基又は水素原子であり、また、R及びRは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物。
【請求項9】
下記一般式(3):
【化11】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、X及びXはそれぞれ独立して置換基を有してもよいヒドロキシ保護基又は水素原子であり、Yはアシル基であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物。
【請求項10】
下記一般式(12):
【化12】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、Yはアシル基であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物。
【請求項11】
下記一般式(4):
【化13】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、Yはアシル基であり、Z及びZはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアミノ保護基であり、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、また、Z及びZは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物。

【公開番号】特開2009−215239(P2009−215239A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61495(P2008−61495)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(398074670)
【Fターム(参考)】