説明

オレキシン受容体アンタゴニストとしての1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレン誘導体

本発明は、式(II)の新規の化合物および医薬品としてのそれらの使用に関する。本発明は、また、該化合物の製造方法、または1または複数の式(II)の化合物を含有する薬学的組成物、および特にオレキシン受容体アンタゴニストとしてのそれらの使用を含む関連する局面に関する。これらの化合物は、特に、例えば、摂食障害、飲水障害、睡眠障害、または精神医学的および神経学的障害における認知機能障害の治療において、潜在的に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(II)の新規の化合物および医薬品としてのそれらの使用に関する。本発明はまた、該化合物の製造方法、1または複数の式(II)の化合物を含有する薬学的組成物、および特にオレキシン受容体アンタゴニストとしてのそれらの使用を含む関連する局面に関する。
【背景技術】
【0002】
オレキシン(オレキシンAまたはOX−AおよびオレキシンBまたはOX−B)は、2つの研究グループによって1998年に発見された新規の神経ペプチドであり、オレキシンAは33アミノ酸ペプチドであり、オレキシンBは28アミノ酸ペプチドである(例えば、非特許文献1参照)。オレキシンは、外側視床下部の個々のニューロンにおいて産生され、そしてGタンパク質共役型受容体(OXおよびOX受容体)へ結合する。オレキシン−1受容体(OX)はOX−Aについて選択的であり、オレキシン−2受容体(OX)はOX−AおよびOX−Bに結合し得る。オレキシンはラットにおいて食物消費を刺激することがわかり、このことは、摂食行動を調節する中枢フィードバック機構におけるメディエーターとしてのこれらのペプチドについての生理学的役割を示唆している(例えば、非特許文献1参照)。他方、オレキシンが睡眠状態および覚醒状態を調節することも観察され、このことは、ナルコレプシーならびに不眠症および他の睡眠障害への潜在的に新しい治療的アプローチを開く(例えば、非特許文献2参照)。
【0003】
オレキシン受容体は哺乳動物の脳において見られ、文献から公知であるように、病理学において多数の密接な関係を有し得る。
【0004】
本発明は、ヒトOXおよびOX受容体の非ペプチドアンタゴニストである、置換された1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレン誘導体を提供する。これらの化合物は、特に、例えば、摂食障害、飲水障害、睡眠障害、または精神医学的および神経学的障害における認知機能障害の治療において、潜在的に有用である。
【0005】
今まで、特異的にOXもしくはOXのいずれかをまたは同時に両方の受容体をアンタゴナイズする可能性を有する、いくつかの低分子量化合物が、公知である。万有製薬は、N−アシルテトラヒドロイソキノリン誘導体を特許請求している(例えば、特許文献1参照)。他のオレキシン受容体アンタゴニスト、例えば、新規のベンゾアゼピン誘導体が、開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、可能性のあるオレキシン受容体アンタゴニストとしての1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体のリード最適化のための溶液相化学の使用が、報告されている(例えば、非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO01/85693
【特許文献2】WO02/051838
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Sakurai T. et al., Cell, 1998, 92, 573-585
【非特許文献2】Chemelli R.M. et al., Cell, 1999, 98, 437-451
【非特許文献3】Chimia, 2003, 57, 5, 270-275
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1局面は、一般式IIの化合物からなり、ここで、キラリティーは下記に示される通りであり、
【0010】
【化1】

【0011】
式中、
Yは、−CH−CH−を示し;
は、フェニル基を示し、ここで、該フェニル基は、一、二、または三置換され得、ここで、該置換基は、独立して、(C1−4)アルキル、ハロゲンおよびトリフルオロメチルからなる群より選択され;
は、(C1−4)アルキルを示し;
は、(C1−4)アルキルを示し;
は、フェニル基を示し、ここで、該フェニル基は、非置換であるかまたは独立して一、二、または三置換され、ここで、該置換基は、独立して、(C1−4)アルキルおよびハロゲンからなる群より選択され;
は、(C1−4)アルキルを示す。
【0012】
本発明の一部はまた、式(II)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩である。
【0013】
本明細書において、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素または臭素、好ましくはフッ素または塩素を意味する。本発明のさらなる好ましい態様において、用語「ハロゲン」はフッ素を意味する。
【0014】
用語「(C1−4)アルキル」は、単独でまたは組み合わせて、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。(C1−4)アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである。
【0015】
置換基RまたはRについて、用語「(C1−4)アルキル」は、好ましくはメチルを意味する。
【0016】
置換基Rについて、用語「(C1−4)アルキル」は、好ましくはメチル、エチルまたはブチル、より好ましくはエチルを意味する。
【0017】
本発明において記載されるフェニル基は、独立して、一、二、または三置換され得、ここで、置換基は、独立して、(C1−4)アルキル、ハロゲンおよびトリフルオロメチルからなる群より選択される。例えば、フェニル、3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル、ジメチル−フェニル(例えば、2,3−ジメチル−フェニル、2,4−ジメチル−フェニル、3,4−ジメチル−フェニル)、3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル、および2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニルが挙げられる。
【0018】
は、好ましくは、独立して、一、二、または三置換されている(好ましくは二、または三置換されている)フェニル基を示し、ここで、置換基は、独立して、(C1−4)アルキル、ハロゲン、およびトリフルオロメチルからなる群より選択される。好ましくは、置換基は、独立して、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、フッ素、および塩素からなる群より選択される。より好ましくは、置換基は、独立して、メチル、エチル、トリフルオロメチル、フッ素、および塩素からなる群より選択される。例えば、3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル、ジメチル−フェニル(例えば、2,3−ジメチル−フェニル、2,4−ジメチル−フェニル、3,4−ジメチル−フェニル)、3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル、および2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニルが挙げられる。
【0019】
は、非置換であるかまたは独立して一、二、または三置換されているフェニル基を示し、ここで、置換基は、独立して、(C1−4)アルキル、およびハロゲンからなる群より選択される。置換基Rについて、用語「フェニル」は、好ましくは、非置換フェニルを意味する。
【0020】
用語「薬学的に許容される塩」は、非毒性の、無機または有機酸および/または塩基付加塩を指す。"Salt selection for basic drugs", Int. J. Pharm. (1986), 33, 201-217が参照され得る。
【0021】
本発明のさらなる好ましい態様は、
Yが、−CH−CH−を示し;
が、フェニル基を示し、ここで、該フェニル基は、一、二、または三置換され得、ここで、該置換基は、独立して、メチル、エチル、フッ素、塩素およびトリフルオロメチルより選択され、
が、(C1−4)アルキルを示し;
が、(C1−4)アルキルを示し;
が、フェニル基を示し、ここで、該フェニル基は、非置換であるかまたは独立して一、二、または三置換され、ここで、該置換基は、独立して、(C1−4)アルキルおよびハロゲンからなる群より選択され;
が、(C1−4)アルキルを示す、
式IIの化合物である。
【0022】
本発明のさらなる好ましい態様は、
Yが、−CH−CH−を示し;
が、フェニル基を示し、ここで、該フェニル基は、一、二、または三置換され得、ここで、該置換基は、独立して、メチル、エチル、フッ素、塩素およびトリフルオロメチルからなる群より選択され;
が、メチルを示し;
が、エチルを示し;
が、フェニル基を示し;
が、メチルを示す、
式IIの化合物である。
【0023】
式IIの化合物は、1または複数の立体中心または不斉中心、例えば、1または複数の不斉炭素元素を含み得る。従って、式IIの化合物は、立体異性体の混合物として、または好ましくは純粋な立体異性体として存在し得る。立体異性体の混合物は、当業者に公知の様式で分離され得る。
【0024】
具体的に上記に記載される化合物は、2つのキラリティーの中心を含む。
【0025】
好ましい態様において、一般式IIの化合物は、以下のキラリティーを示す:(R)−2’および(S)−4、または(R)−2’および(R)−4。
【0026】
より好ましい立体異性体は、下記に示されるキラリティーを示す:
【0027】
【化2】

【0028】
特に好ましい化合物を以下に列挙する:
(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド;
(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,4−ジメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド;
(R)−2’−{1−エチル−(S)−4−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド;
(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド。
【0029】
式IIの化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、例えば経腸または非経口(parental)投与用の薬学的組成物の形態の、医薬として使用され得る。
【0030】
一般式IIの化合物は、本明細書中に記載される疾患の治療および/または予防に有用である。
【0031】
1態様において、本発明は、本明細書中に記載される疾患の治療および/または予防のための方法に関し、該方法は、薬学的に活性な量の一般式IIの化合物を被験体へ投与することを含む。
【0032】
式(II)に従う化合物は、気分変調性障害、例えば、大うつ病および循環気質、情動神経症、全てのタイプの躁うつ病性障害、せん妄、精神病性障害、統合失調症、緊張型統合失調症、妄想性パラノイア、適応障害および全ての群の人格障害;分裂感情障害;不安障害、例えば、全般性不安、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、パニック発作、全てのタイプの恐怖症性不安および回避;分離不安;全ての精神活性物質使用、乱用、要求および復活(reinstatement);全てのタイプの精神的または肉体的嗜癖、解離性障害、例えば、多重人格症候群および心因性健忘症;性および生殖機能障害;精神性機能障害および嗜好;麻薬に対する耐性または麻薬からの離脱症状;増加した麻酔リスク、麻酔反応性;視床下部性−副腎機能障害;乱れた生物および概日リズム;疾患、例えば、神経学的障害、例えば、神経障害性疼痛および下肢静止不能症候群に関連する睡眠障害;睡眠時無呼吸;ナルコレプシー;慢性疲労症候群;精神医学的障害に関連する不眠症;全てのタイプの特発性不眠症および睡眠時随伴症;睡眠覚醒スケジュール障害、例えば、時差ぼけ;健康な集団ならびに精神医学的および神経学的障害における全ての痴呆および認知機能障害;老化の精神機能障害;全てのタイプの健忘症;重篤な精神遅滞;ジスキネジーおよび筋疾患;筋肉痙縮、振せん、運動障害;自然および薬剤誘発ジスキネジー;神経変性障害、例えば、ハンチントン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、アルツハイマー病およびツレット症候群;筋萎縮性側索硬化症;パーキンソン病;クッシング症候群;外傷性病変;脊髄損傷;頭部損傷;周産期低酸素症;聴力損失;耳鳴;脱髄疾患;脊髄および脳神経疾患;眼損傷;網膜症;てんかん;発作性障害;欠神発作、複雑部分および全般発作;レノックス−ガストー症候群;片頭痛および頭痛;疼痛障害;感覚消失および痛覚消失;疼痛に対する増加されたまたは誇張された感受性、例えば、痛覚過敏、カウザルギー、および異痛症;急性疼痛;熱傷疼痛;非定型顔面痛;神経障害性疼痛;背部痛;複合局所疼痛症候群IおよびII;関節痛;スポーツ損傷疼痛;歯痛;例えばHIVによる感染に関連する疼痛;化学療法後の疼痛;脳卒中後の疼痛;手術後の疼痛;神経痛;変形性関節症;内臓痛に関連する状態、例えば、過敏性腸症候群;摂食障害;糖尿病;中毒性および代謝異常障害、例えば、脳無酸素症、糖尿病性神経障害およびアルコール症;食欲、味覚、摂食、または飲水障害;身体表現性障害、例えば、心気症;嘔吐/悪心;嘔吐;胃ジスキネジー;胃潰瘍;カルマン症候群(無嗅覚症);耐糖能異常;腸運動ジスキネジー;視床下部疾患;下垂体疾患;高熱症候群、発熱、熱性発作、特発性発育不全;小人症;巨人症;先端巨大症;好塩基性腺腫;プロラクチノーマ;高プロラクチン血症;脳腫瘍、腺腫;良性前立腺肥大、前立腺癌;子宮内膜癌、乳癌、結腸癌;全てのタイプの精巣機能障害、受精能制御;生殖ホルモン異常;のぼせ;視床下部性性腺機能低下症、機能性または心因性無月経;膀胱失禁;喘息;アレルギー;全てのタイプの皮膚炎、ざ瘡および嚢胞、皮脂腺機能障害;心臓血管障害;心臓および肺疾患、急性およびうっ血性心不全;低血圧;高血圧;脂質異常症、高脂血症、インスリン耐性;尿閉;骨粗鬆症;狭心症;心筋梗塞;不整脈、冠動脈疾患、左室肥大;虚血性または出血性脳卒中;全てのタイプの脳血管障害、例えば、クモ膜下出血、虚血性または出血性脳卒中、および血管性痴呆;慢性腎不全および他の腎疾患;痛風;腎臓癌;尿失禁;ならびに一般的なオレキシン系機能障害に関連する他の疾患からなる群より選択される疾患の予防または治療用の医薬の製造のために使用され得、これらの疾患の予防または治療に好適である。
【0033】
式(II)に従う化合物は、全てのタイプの、睡眠障害、ストレス性症候群、精神活性物質使用および乱用、健康な集団ならびに精神医学的および神経学的障害における認知機能障害、摂食または飲水障害からなる群より選択される疾患の予防または治療用の医薬の製造のために使用され得、これらの疾患の予防または治療に好適である。摂食障害は、代謝機能障害;調節異常の食欲制御;強迫性肥満症;吐しゃ性過食症または神経性食欲不振症を含むと定義され得る。病理学的に修飾された食物摂取は、乱れた食欲(食物についての関心または嫌悪);変化されたエネルギーバランス(摂取 対 消費);食物品質の乱れた知覚(高い脂肪または炭水化物、高い嗜好性);乱れた食物入手可能性(無制限の食事または不足)、または乱れた水分バランスから生じ得る。飲水障害は、精神医学的障害における多渇症および全ての他のタイプの過剰な水分摂取を含む。睡眠障害は、全てのタイプの睡眠時随伴症、不眠症、ナルコレプシーおよび過度の眠気の他の障害、睡眠関連ジストニー;下肢静止不能症候群;睡眠時無呼吸;時差ぼけ症候群;シフトワーク症候群、後退または前進睡眠相症候群、または精神医学的障害に関連する不眠症を含む。不眠症は、老化に関連する睡眠障害;慢性不眠症の間欠性処置;状況性一過性不眠症(新しい環境、騒音)、またはストレス;悲嘆;疼痛もしくは疾病に起因する短期不眠症を含むと定義される。不眠症はまた、ストレス性症候群、例えば、心的外傷後ストレス障害ならびに他のタイプおよびサブタイプの不安障害、例えば、全般性不安、強迫性障害、パニック発作ならびに全てのタイプの恐怖症性不安および回避を含み;精神活性物質使用、乱用、要求および復活は、全てのタイプの精神的または肉体的嗜癖、ならびにそれらの関連する耐性および依存成分(component)として定義される。認知機能障害は、正常、健康、若年、成人または高齢集団において一時的にまたは慢性的に生じる、ならびにまた、精神医学的、神経学的、心臓血管および免疫障害において一時的にまたは慢性的に生じる、全てのタイプの注意、学習および記憶機能の欠損を含む。
【0034】
本発明のさらなる好ましい態様において、式(II)に従う化合物は、全てのタイプの不眠症、ナルコレプシーおよび過度の眠気の他の障害、睡眠関連ジストニー、下肢静止不能症候群、睡眠時無呼吸、時差ぼけ症候群、シフトワーク症候群、後退または前進睡眠相症候群、または精神医学的障害に関連する不眠症を含む、睡眠障害からなる群より選択される疾患の予防または治療用の医薬の製造のために使用され得、これらの疾患の予防または治療に好適である。
【0035】
本発明の別の好ましい態様において、一般式(II)に従う化合物は、正常、健康、若年、成人または高齢集団において一時的にまたは慢性的に生じる、ならびにまた、精神医学的、神経学的、心臓血管および免疫障害において一時的にまたは慢性的に生じる、全てのタイプの注意、学習および記憶機能の欠損を含む、認知機能障害からなる群より選択される疾患の予防または治療用の医薬の製造のために使用され得、これらの疾患の予防または治療に好適である。
【0036】
本発明の別の好ましい態様において、一般式(II)の化合物は、代謝機能障害;調節異常の食欲制御;強迫性肥満;吐しゃ性過食症または神経性食欲不振症を含む、摂食障害からなる群より選択される疾患の予防または治療用の医薬の製造のために使用され得、これらの疾患の予防または治療に好適である。
【0037】
本発明の別の好ましい態様において、一般式(II)の化合物は、全てのタイプの精神的または肉体的嗜癖、ならびにそれらの関連する耐性および依存成分を含む、精神活性物質使用および乱用からなる群より選択される疾患の予防または治療用の医薬の製造のために使用され得、これらの疾患の予防または治療に好適である。
【0038】
薬学的組成物の製造は、好適な非毒性・不活性・治療的に適合性の固体または液体担体材料、および、必要に応じて通常の薬学的アジュバントと共に、式(II)の記載の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩を、必要に応じて他の治療的に価値のある物質と組み合わせて、生薬投与形態にすることによって、当業者に周知の様式(例えば、Mark Gibson, Editor, Pharmaceutical Preformulation and Formulation, IHS Health Group, Englewood, CO, USA, 2001;Remington, The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Philadelphia College of Pharmacy and Science;またはRemington, The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition (2005), Part 5, “Pharmaceutical Manufacturing”[Lippincott Williams & Wilkinsにより出版]を参照のこと)で行われ得る。
一般式IIの化合物の一般的な製造方法:
【0039】
【化3】

【0040】
アシル化メルドラム酸誘導体を一置換ヒドラジンと反応させ、多工程順序(スキーム1および実験パートを参照のこと)によって、高度に位置選択的な様式で3−(2,5−二置換−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピルアミンが得られた。次いで、第一級アミンをカルボン酸誘導体でアシル化し、非環式アミドが得られ、これをBischler−Napieralski反応によって環状の7員環イミンへ変換した。引き続いてイミンを還元し、第二級アミン前駆体が得られ、これを最終的に求電子試薬でN−アルキル化し、最終のオレキシン受容体アンタゴニストIIが得られた。
【0041】
【化4】

【0042】
僅かに異なる経路において、第二級アミンは、エステル誘導体(アミド誘導体の代わり)でN−アルキル化され得、中間体が得られ、これを、アミン誘導体との反応によって最終化合物IIへ直接変換することができ、またはこれを、先ず対応のカルボン酸へ加水分解し、続いてアミンと反応させ、最終化合物IIが得られ得る。
【0043】
一般的に、全ての化学変換は、文献に記載されるかまたは下記の手順に記載される周知の標準的な方法論に従って行われ得る。
一般式IIの化合物の製造:
【0044】
【化5】

【0045】
スキーム1:ピラゾール前駆体の合成
3−(2,5−二置換−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピルアミン誘導体の製造(スキーム1)は、トリエチルアミンの存在下でのジケテン1でのメルドラム酸2のアシル化で開始し、中間体3が得られた。トリエチルアミン存在下での3のメタノール性溶液と適切に置換されたヒドラジン誘導体(例えば、エチルヒドラジン4)との反応によって、位置選択的にピラゾロ誘導体5が形成された。酸性条件(メタノール中のp−TsOH)下での加水分解によって、メチルエステル6が形成され、これを対応のアルコール誘導体7へLiAlHで定量的に還元した。対応のメシレートとしての第一級アルコール7の活性化、およびテトラブチルアンモニウムシアニドによって媒介される引き続いての求核置換によって、予想されるニトリル誘導体8が得られた。ニトリル8のボラン媒介還元、続いてベンジルオキシカルボニル部分での得られた第一級アミンの保護によって、フラッシュクロマトグラフィー後に、保護された化合物9が得られた。最後に、活性炭担持パラジウムを使用する加水分解によってアミノ官能基を脱保護し、予想される第一級アミン10が得られた。
【0046】
桂皮酸もヒドロ桂皮酸も市販されていない場合、それらの製造について、スキーム2に示される合成経路に従った。
【0047】
【化6】

【0048】
スキーム2:ヒドロ桂皮酸誘導体の製造
「方法A」に従って、ピリジン中かつピペリジンの存在下における、ベンズアルデヒド誘導体とマロン酸とのKnoevenagel縮合によって、酸性後処理後、桂皮酸誘導体が得られた。標準的条件(1atm H;10%Pd−C;メタノール中;rt)下での接触水素化によって、対応のヒドロ桂皮酸が得られた。この合成順序に従って、化合物11および12を製造することができた。
【0049】
「方法B」に従って、触媒系としてPd(OAc)/DABCOを使用するハロゲン化アリールとアクリル酸ブチルとのHeckカップリングによって、予想される桂皮酸誘導体のブチルエステルが得られた。引き続いてののパラジウム触媒水素化、続いてのブチルエステルの鹸化によって、目的のヒドロ桂皮酸誘導体が得られた。この合成経路に従うことによって、化合物13および14を製造することができた。
【0050】
スキーム3は、最終化合物の製造に適用される順序を要約する(Y=−CHCH−の場合の例)。例えば、3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピルアミン10は、PyBOPの存在下において、ヒドロ桂皮酸誘導体14でアシル化され得、アミド誘導体15が得られる。Bischler−Napieralski反応の条件(POCl、アセトニトリル中;還流)下で15を処理することによって、十分な収率で環状イミン16が得られ、これを対応の第二級アミン17へ水素化ホウ素ナトリウムで還元することができた。70℃での2−ブタノン中におけるトシレート18(WO2005/118548に記載)とのS2反応によって、ジアステレオ異性体の等モル混合物19が得られた。最終的に、HPLCによる精製によって、純粋なジアステレオ異性体20[(S;R)立体配置を有する]および21[(R;R)立体配置を有する]を単離することができた。
【0051】
【化7】

【0052】
スキーム3:最終化合物(例えば、20および21)の合成
以下の実施例は、本発明を例示し、しかしその範囲を限定しない。全ての温度は℃で記載される。
略語(本明細書中において使用される場合)
AcOEt 酢酸エチル
aq. 水性
BH.THF ボラン−テトラヒドロフラン錯体
Boc tert−ブチルオキシカルボニル
ClCOBn クロロギ酸ベンジル
DABCO 1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン
DCM ジクロロメタン
DIPEA N−エチルジイソプロピルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド
ELSD 蒸発光散乱検出
Et エチル
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HV 高真空
CO 炭酸カリウム
LiAlH 水素化アルミニウムリチウム
LC−MS 液体クロマトグラフィー−質量分析
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
MeSOCl 塩化メタンスルホニル
min. 分
MS 質量分析
n−BuNCN テトラブチルアンモニウムシアニド
NaBH 水素化ホウ素ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
NEt トリエチルアミン
PBS リン酸緩衝生理食塩水
Pd(C) 活性炭担持パラジウム
Pd(OAc) 酢酸パラジウム(II)
POCl オキシ塩化リン
p−TsOH パラ−トルエンスルホン酸
PyBOP ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
rt 室温
sat. 飽和
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
保持時間
UV 紫外線
Vis 可視光
【実施例】
【0053】
一般手順および実施例:
HPLC条件
分析:Zorbax 59 SB Aquaカラム、4.6×50mm、Agilent Technologies製。溶離剤:A:アセトニトリル;B:HO+0.04%TFA。勾配:9%B→5%B、2分。流量:4.5mL/分。検出:UV/Vis+MS。
【0054】
分取:Waters Xterra RP18(ラージ)、75×30mm。溶離剤:A:アセトニトリル;B:HO+0.05%水酸化アンモニウム(25%aq.)。勾配:90%B→10%B、6.5分。流量:75mL/分。検出:UV+ELSD。
【0055】
前駆体および中間体の調製:
5−(1−ヒドロキシ−3−オキソ−ブチリデン)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4,6−ジオン
メルドラム酸(50.0g;346.9mmol)をDCM(300ml)に溶解し、そしてNEt(48.3ml;346.9mmol)を添加した。得られた混合物を0℃へ冷却し、その後、ジケテン(31.9ml;416.3mmol)を滴下した。反応混合物をr.t.で2時間撹拌し、0℃へ再び冷却し、そして1M塩酸(700ml)を徐々に添加した。層を分離し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮し、生成物5−(1−ヒドロキシ−3−オキソ−ブチリデン)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4,6−ジオンが橙色固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(79.36g;100%)。LC−MS:t=0.55min.;[M+H]:イオン化無し。
【0056】
5−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4,6−ジオン
5−(1−ヒドロキシ−3−オキソ−ブチリデン)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4,6−ジオン(10.0g;43.8mmol)を無水メタノール(140ml)に溶解し、0℃へ冷却し、その後、無水メタノール(60ml)中のエチルヒドラジンオキサレート(7.24g;48.2mmol)およびNEt(13.4ml;96.4mmol)の溶液を15分内で滴下した。添加が完了すると、混合物を60℃へ徐々に加温し、そして撹拌を90分間継続した。反応混合物を減圧下で濃縮乾固し、そしてHV下でさらに乾燥し、生成物5−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4,6−ジオンが橙色オイル(11.05g;定量的収量)として得られ、これをさらに精製することなく次の工程において使用した。LC−MS:t=0.52min.;[M+H]:イオン化無し。
【0057】
(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−酢酸メチルエステル
5−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4,6−ジオン(11.05g;43.8mmol)を無水メタノール(125ml)に溶解し、続いてp−TsOH×HO(36.68g;192.85mmol)を添加した。得られた反応混合物を60℃へ75分間加熱し、0℃へ冷却し、そしてトリエチルアミン(26.85ml;192.9mmol)を20分間にわたって滴下した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残渣をDCM(200ml)に入れ、水(2×75ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH=30/1)による精製によって、純粋な生成物(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−酢酸メチルエステルが黄色オイルとして得られ、これをHV下でさらに乾燥した(5.56g;70%)。LC−MS:t=0.62min.;[M+H]=183.18g/mol。
【0058】
2−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタノール
氷冷したTHF(250ml)へ、水素化アルミニウムリチウム(2.207g;58.171mmol)を一度に添加した。得られた灰色懸濁液を窒素下において0℃でさらに撹拌し、そして無水THF(80ml)中の(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−酢酸メチルエステル(10.0g;54.878mmol)の溶液を30分で滴下した。得られた混合物を0℃で1時間撹拌した。次いで、氷冷した反応混合物を、連続して水(2.2ml)、15%NaOH水溶液(2.2ml)、および水(6.6ml)で処理した。rtでさらに撹拌した後(30分)、得られた沈殿物を濾過し、そしてジエチルエーテルで洗浄した。得られた濾液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固し、そしてHV下でさらに乾燥し、生成物2−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタノールが黄色オイル(8.45g;100%)として得られた。LC−MS:t=0.36min.;[M+H]=155.16g/mol。
【0059】
3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピオニトリル
無水THF(10ml)中の塩化メタンスルホニル(1.86ml;23.950mmol)の溶液を、無水THF(100ml)中の2−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−エタノール(3.358g,21.775mmol)およびトリエチルアミン(4.1ml;29.390mmol)の氷冷した溶液へ滴下した。得られた混合物を窒素下において0℃で15分間撹拌した。反応混合物を濾過し、そして固体を無水THF(60ml)で洗浄した。次いで、テトラブチルアンモニウムシアニド(14.611g;54.440mmol)をrtで一度に添加した。得られた橙色溶液を75℃へ1時間加熱した。反応混合物をrtへ冷却し、その後、水(30ml)、およびジエチルエーテル(100ml)を連続的に添加した。分離後、水層をさらに酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。次いで、混合した有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH=40/1)によって、純粋な生成物3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピオニトリルが黄色オイルとして得られ、これをHV下でさらに乾燥した(3.07g;86%)。LC−MS:t=0.57min.;[M+H]=164.39g/mol。
【0060】
[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−カルバミン酸ベンジルエステル
無水THF(100ml)中の3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピオニトリル(3.070g;18.809mmol)の氷冷した溶液へ、THF中の1N BH.THF錯体溶液(75ml;75mmol)を徐々に添加した。次いで、得られた溶液を75℃へ1時間加熱した。0℃へ冷却した後、2N HCl水溶液(115ml;230mmol)を注意深く添加した。得られた溶液を50℃で1時間撹拌した。0℃へ冷却した後、固体KCO(20.794g;150.469mmol)を少量ずつ添加し、続いてクロロギ酸ベンジル(3.07ml;20.689mmol)を滴下した。得られた混合物を0℃で1時間、次いでrtで一晩撹拌した。次いで、ジエチルエーテル(100ml)および水(100ml)を添加し、そして水層をさらにジエチルエーテル(2×100ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;酢酸エチル/ヘプタン=1/1⇒酢酸エチル)による精製によって、純粋な生成物[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−カルバミン酸ベンジルエステルが無色オイルとして得られ、これをHV下でさらに乾燥した(4.21g;74%)。LC−MS:t=0.78min.;[M+H]=302.51g/mol。
【0061】
3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピルアミン
[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−カルバミン酸ベンジルエステル(1.400g;4.645mmol)および10%活性炭担持パラジウム(280mg)の混合物を、窒素下に置き、その後、メタノール(25ml)を注意深く添加した。懸濁液を真空下、次いで水素(1atm)下に置き、そして反応混合物をrtで1時間撹拌した。セライトで濾過し、そしてメタノールでセライトをさらに洗浄した後、得られた濾液を減圧下で濃縮乾固した。HV下でさらに乾燥した後、黄色オイルとしての純粋な生成物3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピルアミン(0.774g;100%)が、さらに精製することなく次の工程について使用することができた。LC−MS:t=0.21min.(ブロードなピーク);[M+H]=168.39g/mol。
【0062】
3−(3,4−ジメチル−フェニル)−アクリル酸
ピリジン(85ml)中の3,4−ジメチルベンズアルデヒド(15.000g;111.793mmol)およびマロン酸(22.103g;212.410mmol)の懸濁液を窒素下で50℃へ加熱した。次いで、ピペリジン(8.5ml;86.079mmol)を滴下し(5分間にわたって)、そして得られた懸濁液を75℃へ2時間加熱した。反応混合物を0℃へ冷却し、そして水(1200ml)中の濃塩酸(12N;96ml)の氷冷した溶液へ注いだ。沈殿した無色生成物を濾別し、そして水(3×100ml)で洗浄した。残存している水を減圧下、次いでHV下で蒸発させ、乾燥した生成物3−(3,4−ジメチル−フェニル)−アクリル酸が無色固体(19.23g;98%)として得られた。LC−MS:t=0.88min;[M+H]:イオン化無し。
【0063】
3−(3,4−ジメチル−フェニル)−プロピオン酸
3−(3,4−ジメチル−フェニル)−アクリル酸(19.269g;109.355mmol)および10%活性炭担持パラジウム(1.920g)の混合物を窒素下に置き、その後、メタノール(300ml)を注意深く添加した。得られた懸濁液を真空下、次いで水素(1atm)下に置き、そして反応混合物をrtで4時間激しく撹拌した。反応混合物をセライトのパッドにおいて濾過し、そして減圧下で濃縮し、予想される生成物3−(3,4−ジメチル−フェニル)−プロピオン酸が灰色固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(19.070g;98%)。LC−MS:t=0.85min;[M+H]:イオン化無し。
【0064】
3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−アクリル酸
ピリジン(20ml)中の2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(5.000g;26.027mmol)およびマロン酸(5.145g;49.451mmol)の懸濁液を窒素下で50℃へ加熱した。次いで、ピペリジン(2ml;20.040mmol)を滴下し(5分間にわたって)、そして得られた懸濁液を75℃へ3時間20分間加熱した。反応混合物を0℃で冷却し、そして水(400ml)中の濃塩酸(12N;32ml)の氷冷した溶液へ注いだ。沈殿した無色生成物を濾別し、そして水(3×100ml)で洗浄した。残存している水を減圧下、次いでHV下で蒸発させ、乾燥した生成物3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−アクリル酸が無色固体(5.030g;82.5%)として得られた。LC−MS:t=0.89min;[M+H]:イオン化無し。
【0065】
3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸
3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−アクリル酸(5.937g;25.356mmol)および10%活性炭担持パラジウム(0.590g)の混合物を窒素下に置き、その後、メタノール(60ml)を注意深く添加した。得られた懸濁液を真空下、次いで水素(1atm)下に置き、そして反応混合物をrtで4時間激しく撹拌した。反応混合物をセライトのパッドで濾過し、そして減圧下で濃縮し、予想される生成物3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸が灰色固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(4.590g;77%)。LC−MS:t=0.88min;[M+H]:イオン化無し。
【0066】
5−ブロモ−1,3−ジフルオロ−2−メチル−ベンゼン
無水ジクロロメタン(10ml)中の塩化メタンスルホニル(4.72ml;60.794mmol)の溶液を、ジクロロメタン(200ml)中の4−ブロモ−2,6−ジフルオロベンジルアルコール(11.300g;50.669mmol)およびトリエチルアミン(14.1ml;101.338mmol)の氷冷した溶液へ滴下した(5分間にわたって)。得られた溶液を30分間窒素下において0℃で撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(200ml)で希釈し、そして水(100ml)を添加した。有機層を、連続的に1N塩酸(100ml)、飽和NaHCO水溶液(100ml)で、そして最後にブライン(100ml)で洗浄した。次いで、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮乾固し、橙色固体が得られ、これをさらにHV下で乾燥した(15.170g;99.5%)。メシレートについてのLC−MS:t=0.92min.;[M+H]:イオン化無し。
【0067】
無水THF(90ml)中の得られたメシレート誘導体(15.170g;50.381mmol)の氷冷した溶液へ、スーパーヒドリドLiEtBHの溶液(THF中1N;106ml;106mmol)を滴下した。得られた混合物を0℃で5分間、次いでrtで30分間撹拌した。溶液を0℃へ冷却し、その後、水(100ml)を滴下し、そしてジエチルエーテル(200ml)を添加した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で注意深く濃縮した(注意!低沸点を有する生成物、従ってロータリーエボポレーターのバスを30℃で加熱すること!)。フラッシュクロマトグラフィー(CHCl)による精製によって、純粋な生成物5−ブロモ−1,3−ジフルオロ−2−メチル−ベンゼンが無色オイル(6.910g;66%)として得られた。LC−MS:t=1.00min.;[M+H]:イオン化無し。
【0068】
3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−アクリル酸ブチルエステル
無水DMF(200ml)中の5−ブロモ−1,3−ジフルオロ−2−メチル−ベンゼン(6.910g;33.379mmol)の溶液へ、連続的に、アクリル酸ブチル(7.15ml;50.062mmol)、DABCO(157mg;1.333mmol)、炭酸カリウム(4.612g;33.379mmol)、および酢酸パラジウム(150mg;0.669mmol)を添加した。得られた褐色懸濁液を120℃で1時間撹拌した。反応混合物をrtへ冷却し、その後、ジエチルエーテル(400ml)を添加した。次いで、この混合物を水(2×200ml)で洗浄し、そして混合した水層をさらにジエチルエーテル(150ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮乾固した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/ヘプタン=1/1⇒DCM)による精製によって、純粋な生成物3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−アクリル酸ブチルエステルが黄色オイルとして得られ、これをHV下でさらに乾燥した(4.69g;55%)。LC−MS:t=1.10min.;[M+H]:イオン化無し。
【0069】
3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−プロピオン酸ブチルエステル
3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−アクリル酸ブチルエステル(7.651g;30.089mmol)および10%活性炭担持パラジウム(0.760g)の混合物を窒素下に置き、その後、メタノール(100ml)を注意深く添加した。得られた懸濁液を真空下、次いで水素(1atm)下に置き、そして反応混合物をrtで2時間45分間激しく撹拌した。反応混合物をセライトのパッドにおいて濾過し、そして減圧下で濃縮し、予想される生成物3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−プロピオン酸ブチルエステルが黄色オイルとして得られ、これをHV下でさらに乾燥した(6.960g;90%)。LC−MS:t=1.10min;[M+H]:イオン化無し。
【0070】
3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−プロピオン酸
メタノール(150ml)および水(25ml)中の3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−プロピオン酸ブチルエステル(6.960g;27.157mmol)の溶液へ、rtで、1N NaOH水溶液(68ml;68mmol)を添加した。得られた溶液をrtで1時間さらに撹拌した。次いで、メタノールを減圧下で除去した。水(25ml)を添加し、そしてpH=2にするために混合物を1N HCl水溶液(68ml)で酸性化した。ジクロロメタン(150ml)を添加し、そして層を振盪しそして分離した。水層をジクロロメタン(50ml)でさらに抽出した。混合した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮乾固した。生成物3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−プロピオン酸が淡黄色固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(5.090g;94%)。LC−MS:t=0.86min.;[M+H]:イオン化無し。
【0071】
3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−アクリル酸ブチルエステル
無水DMF(235ml)中の3,5−ジフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン(10.000g;38.316mmol)の溶液へ、連続的に、アクリル酸ブチル(8.2ml;57.474mmol)、DABCO(172mg;1.533mmol)、炭酸カリウム(5.295g;38.316mmol)、および酢酸パラジウム(II)(172mg;0.766mmol)を添加した。得られた褐色懸濁液を120℃で2時間30分間撹拌した。反応混合物をrtへ冷却し、その後、ジエチルエーテル(500ml)を添加した。次いで、この混合物を連続的に水(1×400ml;1×200ml)およびブライン(50ml)で洗浄し、そして混合した水層をジエチルエーテル(300ml)でさらに抽出した。合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮乾固した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/ヘプタン=1/1)による精製によって、純粋な生成物3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−アクリル酸ブチルエステルが僅かにベージュ色の固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(10.120g;86%)。LC−MS:t=1.12min.;[M+H]:イオン化無し。
【0072】
3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸ブチルエステル
3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−アクリル酸ブチルエステル(8.849g;28.710mmol)および10%活性炭担持パラジウム(0.885g)の混合物を窒素下に置き、その後、メタノール(120ml)を注意深く添加した。得られた懸濁液を真空下、次いで水素(1atm)下に置き、そして反応混合物をrtで3時間30分間激しく撹拌した。反応混合物をセライトのパッドで濾過し、そして減圧下で濃縮し、予想される生成物3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸ブチルエステルが黄色オイルとして得られ、これをHV下でさらに乾燥した(8.622g;97%)。LC−MS:t=1.11min;[M+H]:イオン化無し。
【0073】
3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸
メタノール(168ml)および水(32ml)中の3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸ブチルエステル(7.658g;24.682mmol)の溶液へ、rtで、1N NaOH水溶液(49.4ml;49.4mmol)を添加した。得られた溶液をrtで45分間さらに撹拌した。次いで、メタノールを減圧下で除去した。水(25ml)を添加し、そしてpH=2にするために混合物を1N HCl水溶液(50ml)で酸性化した。ジクロロメタン(150ml)を添加し、そして層を振盪しそして分離した。水層をジクロロメタン(50ml)でさらに抽出した。混合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮乾固した。生成物3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸が無色固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(6.216g;99%)。LC−MS:t=0.90min.;[M+H]:イオン化無し。
【0074】
3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−プロピオンアミド
無水DMF(17ml)中の3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸(1.031g;4.056mmol)の溶液へ、連続的に、PyBOP(2.322g;4.462mmol)、無水DMF(5ml)中の3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピルアミン(0.678g;4.056mmol)の溶液、そして最後にN−エチルジイソプロピルアミン(1.74ml;10.140mmol)を添加した。得られた溶液を1時間窒素下においてrtでさらに撹拌した。酢酸エチル(100ml)を添加し、そして得られた溶液をブラインおよび水の1/1混合液(3×70ml)で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮乾固した。粗橙色オイル(2.737g)をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH=20/1)によって精製し、純粋な生成物3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−プロピオンアミドがベージュ色の固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(1.384g;85%)。LC−MS:t=0.84min.;[M+H]=404.53g/mol。
【0075】
3−(3,4−ジメチル−フェニル)−N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−プロピオンアミド
無水DMF(15ml)中の3−(3,4−ジメチル−フェニル)−プロピオン酸(0.796g;4.470mmol)の溶液へ、連続的に、PyBOP(2.558g;4.917mmol)、無水DMF(10ml)中の3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピルアミン(0.747g;4.470mmol)の溶液、そして最後にN−エチルジイソプロピルアミン(1.91ml;11.175mmol)を添加した。得られた溶液を1時間窒素下においてrtでさらに撹拌した。酢酸エチル(100ml)を添加し、そして得られた溶液を、ブラインおよび水の1/1混合液(3×30ml)、そして水(30ml)で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮乾固した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH=15/1)によって精製し、純粋な生成物3−(3,4−ジメチル−フェニル)−N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−プロピオンアミドがベージュ色の固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(1.250g;85%)。LC−MS:t=0.82min.;[M+H]=328.24g/mol。
【0076】
N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオンアミド
無水DMF(15ml)中の3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸(0.776g;3.286mmol)の溶液へ、連続的に、PyBOP(1.880g;3.614mmol)、無水DMF(10ml)中の3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピルアミン(0.549g;3.286mmol)の溶液、そして最後にN−エチルジイソプロピルアミン(1.40ml;8.215mmol)を添加した。得られた溶液を1時間窒素下においてrtでさらに撹拌した。酢酸エチル(100ml)を添加し、そして得られた溶液をブラインおよび水の1/1混合液(3×30ml)で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮乾固した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH=15/1)によって精製し、純粋な生成物N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオンアミドがベージュ色の固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(0.950g;75%)。LC−MS:t=0.83min.;[M+H]=386.38g/mol。
【0077】
3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−プロピオンアミド
無水DMF(15ml)中の3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−プロピオン酸(0.928g;4.640mmol)の溶液へ、連続的に、PyBOP(2.656g;5.104mmol)、無水DMF(10ml)中の3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピルアミン(0.776g;4.640mmol)の溶液、そして最後にN−エチルジイソプロピルアミン(2.0ml;11.600mmol)を添加した。得られた溶液を1時間窒素下においてrtでさらに撹拌した。酢酸エチル(100ml)を添加し、そして得られた溶液を、ブラインおよび水の1/1混合液(3×30ml)、そして水(30ml)で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮乾固した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH=15/1)によって精製し、純粋な生成物3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−プロピオンアミドが無色固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(1.320g;81%)。LC−MS:t=0.81min.;[M+H]=350.53g/mol。
【0078】
4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレン
無水アセトニトリル(25ml)中の3−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−プロピオンアミド(0.919g;2.278mmol)およびオキシ塩化リン(1.05ml;11.391mmol)の溶液を、1時間45分間、窒素下において加熱還流した(90℃)。黄色溶液を室温へ冷却し、次いで減圧下で濃縮乾固した。油状残渣をメタノール(5ml)に溶解し、減圧下で再び濃縮乾固し、そしてメタノールとのこの共蒸発をさらに2回繰り返した(2×5ml MeOH)。得られた粗イミン(LC−MS:t=0.81min.;[M+H]:386.42g/mol)を、さらに精製することなく対応のアミンへ還元した。無水メタノール(18ml)中のこの粗イミン(0.882g;2.278mmol)の溶液を0℃へ冷却し、その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.431g;11.390mmol)を少量ずつ添加した。得られた黄色溶液を4時間窒素下において0℃でさらに撹拌した。減圧下で濃縮乾固した後、ジクロロメタン(75ml)、そして水(40ml)を連続的に添加した。水層をジクロロメタン(2×20ml)でさらに抽出した。混合した有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた粗生成物(黄色オイル;0.919g)を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH/25%aq.NHOH=15/1/0.1⇒DCM/MeOH/aq.NHOH=9/1/0.1)によって精製し、純粋な生成物4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレンがベージュ色の固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(0.473g;54%)。LC−MS:t=0.79min.;[M+1]=388.46g/mol。
【0079】
4−[2−(3,4−ジメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレン
無水アセトニトリル(40ml)中の3−(3,4−ジメチル−フェニル)−N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−プロピオンアミド(1.250g;3.817mmol)およびオキシ塩化リン(1.75ml;19.086mmol)の溶液を、1時間15分間、窒素下において、加熱還流した(90℃)。得られた溶液を室温へ冷却し、次いで減圧下で濃縮乾固した。油状残渣をメタノール(5ml)に溶解し、減圧下で濃縮乾固し、そしてメタノールとのこの共蒸発をさらに2回繰り返した(2×5ml MeOH)。得られた粗イミン(黄色オイル;LC−MS:t=0.76min.;[M+H]:310.47g/mol)を、さらに精製することなく対応のアミンへ還元した。無水メタノール(45ml)中のこの粗イミン(1.181g;3.817mmol)の溶液を0℃へ冷却し、その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.752g;19.085mmol)を少量ずつ添加した。得られた溶液を1時間15分間窒素下において0℃でさらに撹拌した。減圧下で濃縮乾固した後、ジクロロメタン(50ml)、そして水(50ml)を連続的に添加した。水層をジクロロメタン(25ml)でさらに抽出した。混合した有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH/25%aq.NHOH=9/1/0.1)によって精製し、純粋な生成物4−[2−(3,4−ジメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレンが淡黄色オイルとして得られ、これをHV下でさらに乾燥した(0.980g;82%)。LC−MS:t=0.76min.;[M+1]=312.51g/mol。
【0080】
1−エチル−4−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレン
無水アセトニトリル(40ml)中のN−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオンアミド(1.020g;2.647mmol)およびオキシ塩化リン(1.21ml;13.233mmol)の溶液を、1時間15分間、窒素下において、加熱還流した(90℃)。得られた溶液を室温へ冷却し、次いで減圧下で濃縮乾固した。油状残渣をメタノール(5ml)に溶解し、減圧下で再び濃縮乾固し、そしてメタノールとのこの共蒸発をさらに2回繰り返した(2×5ml MeOH)。得られた粗イミン(黄色オイル;LC−MS:t=0.79min.;[M+H]:368.40g/mol)を、さらに精製することなく対応のアミンへ還元した。無水メタノール(25ml)中のこの粗イミン(0.972g;2.647mmol)の溶液を0℃へ冷却し、その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.521g;13.228mmol)を少量ずつ添加した。得られた溶液を1時間15分間窒素下において0℃でさらに撹拌した。減圧下で濃縮乾固した後、ジクロロメタン(50ml)、そして水(50ml)を連続的に添加した。水層をジクロロメタン(25ml)でさらに抽出した。混合した乳白色の有機抽出物を減圧下で直接濃縮し、そして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH/25%aq.NHOH=9/1/0.1)によって精製し、純粋な生成物1−エチル−4−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレンが黄色オイルとして得られ、これをHV下でさらに乾燥した(0.453g;46%)。LC−MS:t=0.77min.;[M+1]=370.50g/mol。
【0081】
4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレン
無水アセトニトリル(40ml)中の3−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−N−[3−(2−エチル−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−プロピオンアミド(1.320g;3.778mmol)およびオキシ塩化リン(1.73ml;18.888mmol)の溶液を、1時間15分間、窒素下において、加熱還流した(90℃)。得られた溶液を室温へ冷却し、次いで減圧下で濃縮乾固した。油状残渣をメタノール(5ml)に溶解し、減圧下で再び濃縮乾固し、そしてメタノールとのこの共蒸発をさらに2回繰り返した(2×5ml MeOH)。得られた粗イミン(黄色オイル;LC−MS:t=0.76min.;[M+H]:332.46g/mol)を、さらに精製することなく対応のアミンへ還元した。無水メタノール(45ml)中のこの粗イミン(1.250g;3.772mmol)の溶液を0℃へ冷却し、その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.743g;18.859mmol)を少量ずつ添加した。得られた溶液を1時間15分間窒素下において0℃でさらに撹拌した。減圧下で濃縮乾固した後、ジクロロメタン(50ml)、そして水(50ml)を連続的に添加した。水層をジクロロメタン(25ml)でさらに抽出した。混合した乳白色の有機抽出物を減圧下で直接濃縮し、そして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH/25%aq.NHOH=9/1/0.1)によって精製し、純粋な生成物4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレンが黄色固体として得られ、これをHV下でさらに乾燥した(0.958g;76%)。LC−MS:t=0.75min.;[M+1]=334.50g/mol。
【0082】
最終化合物の製造:
【実施例1】
【0083】
2’−{4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド
2−ブタノン(6ml)中の4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレン(0.470g;1.213mmol)の溶液へ、rtで連続的に、(S)−トルエン−4−スルホン酸メチルカルバモイル−フェニル−メチルエステル(0.426g;1.335mmol)、そしてN−エチルジイソプロピルアミン(0.41ml;2.426mmol)を添加した。反応混合物を23時間窒素下において70℃へ加熱した。次いで、反応混合物をrtへ冷却し、溶媒を真空下で除去し、ジクロロメタン(80ml)を添加し、そして溶液をブライン(2×80ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH=20/1)による精製によって、2つのエピマー(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミドおよび(R)−2’−{(R)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミドの混合物が得られた(黄色固体;0.450g;69%)。LC−MS:t=0.87min.;[M+H]:535.57g/mol。
【0084】
次いで、このエピマー混合物の分取HPLC精製後、光学的に純粋な異性体(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド(83mg;無色固体;LC−MS:t=0.87min.,[M+H]=535.57g/mol)および(R)−2’−{(R)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド(75mg;無色固体;LC−MS:t=0.87min.,[M+H]=535.56g/mol)が得られた。
【実施例2】
【0085】
2’−{4−[2−(3,4−ジメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド
2−ブタノン(10ml)中の4−[2−(3,4−ジメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレン(0.980g;3.146mmol)の溶液へ、rtで連続的に、(S)−トルエン−4−スルホン酸メチルカルバモイル−フェニル−メチルエステル(1.105g;3.461mmol)、そしてN−エチルジイソプロピルアミン(1.07ml;6.293mmol)を添加した。反応混合物を23時間窒素下において70℃へ加熱した。次いで、反応混合物をrtへ冷却し、溶媒を真空下で除去し、ジクロロメタン(80ml)を添加し、そして溶液をブライン(2×80ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH=20/1)による精製によって、2つのエピマー(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,4−ジメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミドおよび(R)−2’−{(R)−4−[2−(3,4−ジメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミドの混合物が得られた(黄色固体;1.100g;76%)。LC−MS:t=0.84min.;[M+H]:459.62g/mol。
【0086】
次いで、このエピマー混合物の分取HPLC精製後、光学的に純粋な異性体(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,4−ジメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド(76mg;無色固体;LC−MS:t=0.84min.,[M+H]=459.62g/mol)および(R)−2’−{(R)−4−[2−(3,4−ジメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド(70mg;無色固体;LC−MS:t=0.84min.,[M+H]=459.63g/mol)が得られた。
【実施例3】
【0087】
2’−{1−エチル−4−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド
2−ブタノン(5ml)中の1−エチル−4−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレン(0.453g;1.226mmol)の溶液へ、rtで連続的に、(S)−トルエン−4−スルホン酸メチルカルバモイル−フェニル−メチルエステル(0.430g;1.349mmol)、そしてN−エチルジイソプロピルアミン(0.42ml;2.453mmol)を添加した。反応混合物を24時間窒素下において70℃へ加熱した。次いで、反応混合物をrtへ冷却し、溶媒を減圧下で除去し、ジクロロメタン(50ml)を添加し、そして溶液をブライン(50ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH=20/1)による精製によって、2つのエピマー(R)−2’−{1−エチル−(S)−4−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミドおよび(R)−2’−{1−エチル−(R)−4−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミドの混合物が得られた(黄色固体;0.343g;54%)。LC−MS:t=0.86min.;[M+H]:517.62g/mol。
【0088】
次いで、このエピマー混合物の分取HPLC精製後、光学的に純粋な異性体(R)−2’−{1−エチル−(S)−4−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド(82mg;無色固体;LC−MS:t=0.86min.,[M+H]=517.62g/mol)および(R)−2’−{1−エチル−(R)−4−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド(90mg;無色固体;LC−MS:t=0.86min.,[M+H]=517.63g/mol)が得られた。
【実施例4】
【0089】
2’−{4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド
2−ブタノン(10ml)の4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,2,5−トリアザ−アズレン(0.958g;2.873mmol)の溶液へ、rtで連続的に、(S)−トルエン−4−スルホン酸メチルカルバモイル−フェニル−メチルエステル(1.009g;3.161mmol)、そしてN−エチルジイソプロピルアミン(0.98ml;5.746mmol)を添加した。反応混合物を23時間窒素下で70℃へ加熱した。次いで、反応混合物をrtへ冷却し、溶媒を真空下で除去し、ジクロロメタン(80ml)を添加し、そして溶液をブライン(2×80ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;DCM/MeOH=20/1)による精製によって、2つのエピマー(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミドおよび(R)−2’−{(R)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミドの混合物が得られた(黄色固体;1.09g;79%)。LC−MS:t=0.84min.;[M+H]:481.62g/mol。
【0090】
次いで、このエピマー混合物の分取HPLC精製後、光学的に純粋な異性体(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド(83mg;無色固体;LC−MS:t=0.84min.,[M+H]=481.62g/mol)および(R)−2’−{(R)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド(76mg;無色固体;LC−MS:t=0.85min.,[M+H]=481.64g/mol)が得られた。
【0091】
生物学的アッセイ
インビトロアッセイ
式(II)の化合物のオレキシン受容体アンタゴニスト活性を、下記の実験方法に従って測定する。
実験方法:
・細胞内カルシウム測定:
ヒトオレキシン−1受容体およびヒトオレキシン−2受容体それぞれを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、300μg/ml G418、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンおよび10%不活性化ウシ胎仔血清(FCS)を含有する培養培地(L−グルタミンを含むHam F−12)中において増殖する。細胞を、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)中1%ゼラチンで予めコーティングされている96−ウエルブラッククリアボトム滅菌プレート(Costar)へ、80’000細胞/ウエルで播種する。全ての試薬はGibco BRL製である。播種したプレートを5%CO中において37℃で一晩インキュベートする。
【0092】
アゴニストとしてのヒトオレキシン−Aを、メタノール:水(1:1)中の1mMストック溶液として調製し、10nMの最終濃度でのアッセイにおける使用のために、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)および2mM HEPESを含有するHBSS中に希釈する。
【0093】
アンタゴニストをDMSO中10mMストック溶液として調製し、次いで、96ウエルプレートにおいて、先ずDMSO中に、次いで0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)および2mM HEPESを含有するHBSS中に希釈する。
【0094】
アッセイの日に、100μlのローディーング媒体(1%FCS、2mM HEPES、5mMプロベネシド(Sigma)および3μMの蛍光カルシウム指示薬fluo−3 AM(10%プルロン酸(pluronic acid)を含むDMSO中の1mMストック溶液)(Molecular Probes)を含有するHBSS)を各ウエルへ添加する。
【0095】
96ウエルプレートを5%CO中において37℃で60分間インキュベートする。次いで、ローディーング媒体を吸引し、そして細胞を、2.5mMプロベネシド、0.1%BSA、2mM HEPESを含有する200μl HBSSで3回洗浄する。その同一の緩衝液100μlを各ウエル中に残す。
【0096】
蛍光イメージングプレートリーダー(Fluorescent Imaging Plate Reader)(FLIPR,Molecular Devices)内において、アンタゴニストをプレートへ50μlの量で添加し、20分間インキュベートし、そして最後に100μlのアゴニストを添加する。蛍光を1秒間隔で各ウエルについて測定し、そして各蛍光ピークの高さを、アンタゴニストの代わりに、緩衝液を含む10nMオレキシン−Aによって誘発される蛍光ピークの高さと比較する。各アンタゴニストについて、IC50値(アゴニスト応答の50%を阻害するために必要とされる化合物の濃度)を測定する。化合物のアンタゴニスト活性は、OXおよびOX受容体に関してナノモル濃度範囲内である。選択した化合物を表1に示す。
【0097】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物であって、ここで、キラリティーは下記に示される通りであり、
【化1】

式中、
Yは、−CH−CH−を示し;
は、フェニル基を示し、ここで、該フェニル基は、一、二、または三置換され得、ここで、該置換基は、独立して、(C1−4)アルキル、ハロゲンおよびトリフルオロメチルからなる群より選択され;
は、(C1−4)アルキルを示し;
は、(C1−4)アルキルを示し;
は、フェニル基を示し、ここで、該フェニル基は、非置換であるかまたは独立して一、二、または三置換され、ここで、該置換基は、独立して、(C1−4)アルキルおよびハロゲンからなる群より選択され;
は、(C1−4)アルキルを示す、
化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、フェニル基を示し、ここで、該フェニル基は、一、二、または三置換され得、ここで、該置換基は、独立して、メチル、エチル、フッ素、塩素、およびトリフルオロメチルより選択される、
請求項1記載の化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、メチルを示し;
が、エチルを示し;
が、フェニル基を示し;
が、メチルを示す、
請求項1および2記載の化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項4】
(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−メチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド;
(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,4−ジメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド;
(R)−2’−{1−エチル−(S)−4−[2−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド;および
(R)−2’−{(S)−4−[2−(3,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−1−エチル−3−メチル−4,6,7,8−テトラヒドロ−1H−1,2,5−トリアザ−アズレン−5−イル}−N−メチル−2’−フェニル−アセトアミド、
からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項5】
医薬としての使用のための請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
気分変調性障害、例えば、大うつ病および循環気質、情動神経症、全てのタイプの躁うつ病性障害、せん妄、精神病性障害、統合失調症、緊張型統合失調症、妄想性パラノイア、適応障害および全ての群の人格障害;分裂感情障害;不安障害、例えば、全般性不安、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、パニック発作、全てのタイプの恐怖症性不安および回避;分離不安;全ての精神活性物質使用、乱用、要求および復活;全てのタイプの精神的または肉体的嗜癖、解離性障害、例えば、多重人格症候群および心因性健忘症;性および生殖機能障害;精神性機能障害および嗜好;麻薬に対する耐性または麻薬からの離脱症状;増加した麻酔リスク、麻酔反応性;視床下部性−副腎機能障害;乱れた生物および概日リズム;疾患、例えば、神経学的障害、例えば、神経障害性疼痛および下肢静止不能症候群に関連する睡眠障害;睡眠時無呼吸;ナルコレプシー;慢性疲労症候群;精神医学的障害に関連する不眠症;全てのタイプの特発性不眠症および睡眠時随伴症;睡眠覚醒スケジュール障害、例えば、時差ぼけ;健康な集団ならびに精神医学的および神経学的障害における全ての痴呆および認知機能障害;老化の精神機能障害;全てのタイプの健忘症;重篤な精神遅滞;ジスキネジーおよび筋疾患;筋肉痙縮、振せん、運動障害;自然および薬剤誘発ジスキネジー;神経変性障害、例えば、ハンチントン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、アルツハイマー病およびツレット症候群;筋萎縮性側索硬化症;パーキンソン病;クッシング症候群;外傷性病変;脊髄損傷;頭部損傷;周産期低酸素症;聴力損失;耳鳴;脱髄疾患;脊髄および脳神経疾患;眼損傷;網膜症;てんかん;発作性障害;欠神発作、複雑部分および全般発作;レノックス−ガストー症候群;片頭痛および頭痛;疼痛障害;感覚消失および痛覚消失;疼痛に対する増加されたまたは誇張された感受性、例えば、痛覚過敏、カウザルギー、および異痛症;急性疼痛;熱傷疼痛;非定型顔面痛;神経障害性疼痛;背部痛;複合局所疼痛症候群IおよびII;関節痛;スポーツ損傷疼痛;歯痛;例えばHIVによる感染に関連する疼痛;化学療法後の疼痛;脳卒中後の疼痛;手術後の疼痛;神経痛;変形性関節症;内臓痛に関連する状態、例えば、過敏性腸症候群;摂食障害;糖尿病;中毒性および代謝異常障害、例えば、脳無酸素症、糖尿病性神経障害およびアルコール症;食欲、味覚、摂食、または飲水障害;身体表現性障害、例えば、心気症;嘔吐/悪心;嘔吐;胃ジスキネジー;胃潰瘍;カルマン症候群(無嗅覚症);耐糖能異常;腸運動ジスキネジー;視床下部疾患;下垂体疾患;高熱症候群、発熱、熱性発作、特発性発育不全;小人症;巨人症;先端巨大症;好塩基性腺腫;プロラクチノーマ;高プロラクチン血症;脳腫瘍、腺腫;良性前立腺肥大、前立腺癌;子宮内膜癌、乳癌、結腸癌;全てのタイプの精巣機能障害、受精能制御;生殖ホルモン異常;のぼせ;視床下部性性腺機能低下症、機能性または心因性無月経;膀胱失禁;喘息;アレルギー;全てのタイプの皮膚炎、ざ瘡および嚢胞、皮脂腺機能障害;心臓血管障害;心臓および肺疾患、急性およびうっ血性心不全;低血圧;高血圧;脂質異常症、高脂血症、インスリン耐性;尿閉;骨粗鬆症;狭心症;心筋梗塞;不整脈、冠動脈疾患、左室肥大;虚血性または出血性脳卒中;全てのタイプの脳血管障害、例えば、クモ膜下出血、虚血性または出血性脳卒中、および血管性痴呆;慢性腎不全および他の腎疾患;痛風;腎臓癌;尿失禁;ならびに一般的なオレキシン系機能障害に関連する他の疾患からなる群より選択される疾患の予防または治療用の医薬の製造のための、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項7】
全てのタイプの、睡眠障害、ストレス性症候群、精神活性物質使用および乱用、健康な集団ならびに精神医学的および神経学的障害における認知機能障害、摂食または飲水障害からなる群より選択される疾患の予防または治療用の医薬の製造のための、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物の使用。摂食障害は、代謝機能障害;調節異常の食欲制御;強迫性肥満症;吐しゃ性過食症または神経性食欲不振症を含むと定義され得る。病理学的に修飾された食物摂取は、乱れた食欲(食物についての関心または嫌悪);変化されたエネルギーバランス(摂取 対 消費);食物品質の乱れた知覚(高い脂肪または炭水化物、高い嗜好性);乱れた食物入手可能性(無制限の食事または不足)、または乱れた水分バランスから生じ得る。飲水障害は、精神医学的障害における多渇症および全ての他のタイプの過剰な水分摂取を含む。睡眠障害は、全てのタイプの睡眠時随伴症、不眠症、ナルコレプシーおよび過度の眠気の他の障害、睡眠関連ジストニー;下肢静止不能症候群;睡眠時無呼吸;時差ぼけ症候群;シフトワーク症候群、後退または前進睡眠相症候群、または精神医学的障害に関連する不眠症を含む。不眠症は、老化に関連する睡眠障害;慢性不眠症の間欠性処置;状況性一過性不眠症(新しい環境、騒音)、またはストレス;悲嘆;疼痛もしくは疾病に起因する短期不眠症を含むと定義される。不眠症はまた、ストレス性症候群、例えば、心的外傷後ストレス障害ならびに他のタイプおよびサブタイプの不安障害、例えば、全般性不安、強迫性障害、パニック発作ならびに全てのタイプの恐怖症性不安および回避を含み;精神活性物質使用、乱用、要求および復活は、全てのタイプの精神的または肉体的嗜癖、ならびにそれらの関連する耐性および依存成分として定義される。認知機能障害は、正常、健康、若年、成人または高齢集団において一時的にまたは慢性的に生じる、ならびにまた、精神医学的、神経学的、心臓血管および免疫障害において一時的にまたは慢性的に生じる、全てのタイプの注意、学習および記憶機能の欠損を含む。

【公表番号】特表2010−502587(P2010−502587A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526234(P2009−526234)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053417
【国際公開番号】WO2008/026149
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】