説明

オレフィン及びジエンのコポリマーの耐衝撃性改質及び官能化

特定のタイプのエポキシ化されたαオレフィンとジエンベースコモノマーとの剛性コポリマー及びエラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーを組み合わせた組成物を開示する。これらの2つの剛性及びエラストマー性ポリマー物質は共通液体反応媒体中におかれ、酸化剤と接触される。過酸化物又は過酸である酸化剤は、剛性ポリマーの二重結合残基の少なくとも一部分をエポキシ化し、好ましくはヒドロキシル基、例えば、ジオール部分(又はエステル基のようなそれらの誘導体)を、エラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーの不飽和部分へ導入する。その場で酸化される物質の組合せはその後共沈され、改善された構造、熱、及び化学的性質を、所望の衝撃耐性と併せ持つポリオレフィン物質へ溶融成形される。
選択図:なし

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明はオレフィン及びジエンのコポリマーの衝撃耐性改質及び官能化に関する。
【背景技術】
【0002】
αオレフィンは、各種重合触媒を用いて、エチリデンノルボルネン及びジシクロぺンタジエン等の剛性環状オレフィンとともに共重合することができる。これらのコポリマーが30重量%より多くの環状オレフィンを含む場合、通常、それらはアモルファスで透明であり(90%より多い光透過性)、室温以上のガラス転移温度を有する(50℃より高い)。環状オレフィン含量が高いと、それらは非常に高い弾性率(>2900MPa)、熱歪み温度(60psiで130℃より高い)、及びロックウェル硬度を有する。しかしながら、それらはノッチイゾッド衝撃性に乏しく(室温で、<0.5ft−lb/in)、室温以下での機械計測強度試験において脆性破壊を示す(脆性破壊はポリマーを可塑的に変形させることなく生じる亀裂である)。
【0003】
従って、改質をしないと、環状オレフィンコポリマー(COC)は自動車部品等の大部分の構造的製品に用いるには、衝撃耐性が乏しすぎる。それゆえ、これらの衝撃耐性を改善するために、通常、環状オレフィンコポリマーに各種エラストマーをブレンドする。しかしながら、環状オレフィンコポリマーをエラストマーとブレンドすると、これらの曲げ率、引張特性、及びヤング弾性率が有意に低下する。自動車製品に関して理想的な化合物は可能な限り、曲げ、引張、及びヤング弾性率を維持しつつ、良好な衝撃耐性、及び良好な熱破壊温度を有しているものである。このようにバランスの取れた性質を実現するために、しばしば強化剤を添加して、ブレンドを強化する。強化剤の効果を改善するために、エポキシ樹脂等のカップリング剤もこもブレンドに添加される。
【0004】
溶融混合の後に押出成形をして、環状オレフィンコポリマーをエラストマーとブレンドすることができる。しかしながら、Tgの高い環状オレフィンコポリマー(160℃まで)は高温(>230℃)で行われる溶融混合及び押出成形を必要とする。従って、ベースコポリマーと衝撃改善剤として用いるエラストマーとの両方が熱分解しないように、溶解混合の時間と温度の両方を最小にして、更に、ベースマテリアル(コポリマー)とエラストマーの間の混合を確実にするための条件を提供する必要がある。それゆえ、開始ポリマーの有利な性質を維持しつつ、溶融混合の必要性を避けるか最小にする衝撃改質方法を開発することは意義がある。
【0005】
ジエンを用いたアルファオレフィンのコポリマーは「反応フック」として作用し、コポリマーを官能化することができる、不飽和残基を含む。不飽和残基を介した環状オレフィンコポリマーの官能化は、コポリマーの極性及び/又はTgを増加させ、充填剤との相互作用を改善することも予測される。官能化されたポリオレフィン(FPO)物質は数多くの製品に有用な性能を有している。反応性又は極性ポリオレフィンは、例えば、オイル耐性、高温エラストマー等の主要製品に対する原料となり、構造ポリオレフィンも提供することができる。オイル耐性エラストマーとしてのポリオレフィンはオイル耐性製品において、クロロプレン及びニトリルゴムと競合する。しかし、同等の価格のエチレン−プロピレン−ジエンゴムよりも、より高い高温性態及びサービスライフを提供することができる。構造ポリオレフィンは改善された剛性、強度、及び使用温度を有する低コストポリマーであり、例えば、自動車製品分野において、構造製品に用いるポリオレフィンを拡大することができる。
【0006】
従って、ポリマーの官能化において、マクロ分子の物理的及び機械的性質を変更及び最適化する共同の手段として、共重合及びブレンドを一緒に行ってきた。知られている官能化反応の1つはエポキシ化であり、この反応はジエンポリマーが過ギ酸又はm−クロロペル安息香酸等の酸化剤と反応する、立体特異的な反応である。そのようなエポキシ化反応はジエンコモノマー二重結合残基を定量的又は準定量的にオキシラン基へ転化させることができる。
【0007】
例えば、Maratheらは、Macromolecules,Am.Chem.Soc.,Vol.27,pp.1083−1086(1994)において、CpZrCl(Cp=シクロペンタジエニル)−メチルアミノキサン(MAO)触媒システムを用いた、ポリ(エチレン−co−5−ビニル−2−ノルボルネン)の合成及びこれに続く、得られたコポリマーのビニル基をヒドロキシル/エポキシ基へ転換することを開示する。官能化はm−クロロペル安息香酸を酸化剤として用いて行う。
【0008】
更に、Sarzinらは、Macromol.Rapid.Commun.,Vol.26,pp.1208−1213(2005)において、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)とプロピレンを共重合することを開示する。このコポリマーはペンダントビニル側鎖の官能化によって極性ポリマーへ転換される。例えば、ホットトルエン中で、P/VNBコポリマーとm−クロロプレンペル安息香酸とを反応させ、エポキシ官能化コポリマー中でP/VNBコポリマーとオゾンを反応させ、次いでPPHとMEOH/HClによりエステル官能化コポリマーを生成することも開示している。
【0009】
2001年2月26日に公開された特許公開公報2001年第03176号は、16、27、及び40モル%のエポキシDCPD単体を有し、それぞれ56、112、及び178℃のTgを示すエポキシ−エチレンジシクロペンタジエン(E/DEPD)コポリマーの合成を開示する。これらの物質はμ−(HCCH)ビス(1−インデニル)ZrCl触媒を用いて合成されたE/DCPDであり、GPCによる分子量は(ポリスチレンを標準として)Mw≦150,000である。エポキシ化剤としてギ酸及び過酸化水素の組合せを用いて得られたエポキシ化コポリマーのIR及び/又はNMR解析は、このコポリマーの典型的なエポキシ化はコポリマー中の不飽和結合の100%モル%がエポキシ基へ転換されたことを示す。
【0010】
エラストマー性コポリマーのエポキシ官能化は知られている。例えば、Sovgらは、J.Polym.Sci.Part A.Polym.Chem.Vol.40,pp.1484−1497(2002)において、プロピレンを7−メチル1,6−オクタジエンで共重合し、次いで、二重結合残基を化学修飾して、極性官能化ポリオレフィンを得ることを開示する。この文献は、m−クロロペル安息香酸ベースエポキシ化、アルコールへの還元、オゾン分解等を含む、幾つかの官能化化学を開示している。
【0011】
エポキシ官能化は触媒を用いなくても行うことができるが、エポキシ化触媒を使用すると、大量の酸性試薬の使用を省略することができ、過酸化水素酸化剤を使用することができる。しかし、触媒が存在すると、ジエン含有コポリマーが架橋され、又は副反応が触媒され、及び/又は触媒と共に用いる過酸化水素酸化剤を分解する可能性がある。レニウム含有触媒が各種非ポリマー性アルケンのエポキシ化及び/又はヒドロキシル化に用いられてきた。比較的低いレベルの飽和又は主にコポリマー主鎖内に見られる不飽和へ、エポキシ基を導入することは触媒酸化の分野においてほとんど例がない。
【0012】
例えば、Herrmannらは、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,Vol.30、No.12,1638−1641(1991)において、メチルトリオキソレニウムを用いて、過酸化水素で、非ポリマー性アルケンのエポキシ化を触媒することを開示している。アルカノール反応溶媒がそのようなエポキシ化に用いられる。同様に、米国特許No.5,155,247は過酸化水素を用いて、非ポリマー性オレフィン化合物を酸化してエポキシド又はジオールを生成することを触媒するために、リガンド結合したアルキルトリオキシレニウムを用いることを開示している。酸化されるオレフィン性化合物としては、シクロオクタジエン、スクワラン、メチルオレエート、3−メチル−1,2−ブタジエン、スチレン、及びスチレン誘導体が含まれる。
【0013】
Van Vlietらは、Chem Commun、pp.821−822(1991)において、非ポリマー性、置換された又は未置換のアルケンを、過酸化水素を用いて、トリフルオロエタノール溶媒中で、メチルトリアキソレニウムで触媒してエポキシ化することを開示している。アルケンの例としては、C乃至C10アルケン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、フェニルプロペン、及びフェニルブテンがある。
【0014】
更に、SYNLETT、2004、No.10、pp.1849−1850(2004)ではSoldainiがメチルトリオキソレニウム(MTO)を用いて、過酸化水素とともに各種化合物の酸化を触媒することに関する文献の検討が記載されている。MTOで触媒された非ポリマー性アルケンのエポキシ化も記載されており、対応するジオールへエポキシ化アルケンが転化されることを防ぐために、少量のピリジン又はピリジン誘導体を用いたエポキシ化が開示されている。
【0015】
従前の議論はエポキシ化がオレフィン及びオレフィンポリマーの官能化に幅広く用いられていることを示しているが、エポキシ化及び/又はヒドロキシル化は7−メチル−1,6−オクタジエン(MOD)、4−ビニル−1−シクロヘキセン(VCH)、及び1,4−ヘキサジエン等のジエンから誘導された柔軟な又はエラストマー性コポリマーとの混合物中のE/DCPD等の剛性環状ジエンコポリマーのその場での官能化及びインパクト改善に効果的であるという根拠としての議論はない。その場でのエポキシ化は剛性及びエラストマー性コポリマーの溶液上で行われ、それゆえ、エポキシ化された(及びヒドロキシル化もされている場合もある)生成物が共沈し、従って、環状オレフィンコポリマーの衝撃改善に影響するように従来用いられていた溶融混合の必要性を避けることができる。更に、得られたエポキシ化物質は通常、合成及びエラストマー性前駆体に関して、それぞれ高及び低いTg値を有している。更に、前駆体はE/DCPD等の剛性環状オレフィンポリマーがエポキシドを形成し、一方、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)コポリマーゴムのような、柔軟なエラストマーはジオールのようなエポキシド環が開いている生成物又はヒドロキシル及びエステル基の両方を有するコポリマーを形成するように選択的に制御することができる。
【発明の概要】
【0016】
1つの側面において、本発明は熱的、流動的、及び構造的並びに他の化学的性質において好ましい性質を併せ持つ官能化されたコポリマー混合物を調製する方法を提供する。そのような方法は共通液体反媒体中で、a)αオレフィンの剛性コポリマー及び環状ジエンを形成する剛性コポリマー、及びb)ジエンベースエラストマーポリマー又はコポリマーとを、酸化反応条件下で、酸化剤を用いて接触させる工程を含む。これらの酸化反応条件はそのようなポリマー性成分が共通液体反応媒体内に存在している間、ポリマー性成分の中のジエン誘導モノマーの二重結合部位において、含酸素物質の形成を促進する。
【0017】
好適な物質を用いるこのプロセスの好適な態様において、構造的ポリオレフィン物質へ溶融成形するのに好適なポリマー性組成物を調製する方法が提供される。そのような好適なプロセスはA)剛性エチレン−ジシクロペンタジエンコポリマーを液体反応媒体へ溶解する工程、B)共通液体反応媒体へ、ジシクロペンタジエンコポリマーと、ジエンベースポリマー又はコポリマーを共溶解する工程、C)この共通液体反応媒体をエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、及びエラストマー性、ジエンベースポリマー又はコポリマーと接触させて、少なくとも部分的にエポキシ化及び/又はヒドロキシル化するのに有効な条件下で、剛性エチレンジシクロペンタジエンコポリマーを好ましくはエラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーを酸化させる工程、及びD)共沈されたポリマー性組成物として、共通液体反応媒体から得えられた部分的にエポキシ化及び/又はヒドロキシ化されたポリマー混合物を共沈させる工程を含む。
【0018】
この好適な方法の態様において、エチレン/ジシクロペンタジエンコポリマーは、i)25モル%乃至45モル%のジシクロペンタジエン誘導モノマー含量、ii)約170,000乃至約1,000,000の重量平均分子量、及びiii)約85℃乃至約260℃のガラス転移温度Tgを有する。
【0019】
この好適な方法態様において、エラストマー性、ジエンベースポリマー、又はコポリマー成分は約0℃乃至約−95℃のガラス転移温度を有し、エチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクロヘキセンコポリマー、エチレン/7−メチル−1,6−オクタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)コポリマーゴム、1,4−ヘキサジエンコポリマー、及びポリブタジエンポリマーからなる群より選択される。
【0020】
この組成物の側面において、本発明は、a)αオレフィン及び剛性コポリマーを形成している環状ジエンコモノマーの少なくとも部分的にエポキシ化された剛性コポリマー;及びb)ジエン誘導コモノマーを含んでいる少なくとも部分的にヒドロキシル化されたエラストマー性ポリマーのその場で形成された混合物を提供する。好適なタイプの物質を用いる特に好適な組成物の態様において、構造的ポリオレフィン物質へ溶融成形するのに好適な組成物が提供される。
【0021】
本明細書における好適な組成物は、A)少なくとも部分的にエポキシ化されたエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、及びB)約0℃乃至約−95℃のガラス転移温度を有するエラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーを含む。この剛性エチレン/ジシクロペンタジエンコポリマーはi)約25モル%乃至約45モル%のジシクロペンタジエン誘導モノマー、ii)約170,000乃至約1,000,000の重量平均分子量、及びiii)約85℃乃至約260℃のガラス転移温度、Tgを有する。
【0022】
これらの好適な組成物において、部分的にエポキシ化されたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー及びエラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーの両方は共通液体反応媒体中に溶解され、共沈される。この部分的にエポキシ化されたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマーは共通液体反応媒体内で、酸化剤と接触させることにより、少なくとも部分的にエポキシされている。好ましくは、この酸化剤もエラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマー内の不飽和残基を、その場で、部分的にエポキシ化、しかし、より好ましくはヒドロキシル化又はエステル化する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明に従って、剛性オレフィン/環状ジエンコポリマー成分及びジエンベースエラストマー性ポリマー又はコポリマー成分の組合せは、特定のタイプの酸化剤を用いて共通液体反応媒体内でその場で官能化される。共通反応媒体中から回収され得る、生成されたコポリー混合物は、オキシラン部分で、あるいはヒドロキシル又はエステル置換等の他の酸素含有極性官能基で、官能化重合された後、ポリマー又はコポリマー内に不飽和残基を有する。そのような官能化されたコポリマー混合物は、従って、安定であり、高いガラス転移温度(Tg)を有し、充填剤点在又はプロセス助剤との改善された適合性を有し、改善された剛性、強度、温度耐性、及び衝撃耐性を有する構造的ポリオレフィン物質を構築することができる。そのようなコポリマー混合物の組成及び物質及びそれらの調整工程を以下で詳細に説明する。
【0024】
剛性オレフィン/環状ジエンコポリマー
本発明の方法に従って酸化されるコポリマー混合物の成分の1つをなす剛性コポリマー物質は少なくとも1つのαオレフィンコモノマー及びこのαオレフィンと剛性コポリマーを形成する少なくとも1つの環状ジエン誘導コモノマーを含むコポリマーである。従って、本発明の目的のために、「コポリマー」はαオレフィン及び剛性ポリマーを形成する環状ジエンから誘導されるコモノマーを必ず含む少なくとも2つの異なるタイプのコモノマーの共重合により調製される物質である。コポリマーの定義がターポリマー、並びに4つ以上の異なるコモノマータイプを含むコポリマーを含むので、1つ以上の他の異なるコモノマータイプは、本明細書におけるコポリマーの定義に含まれる。
【0025】
剛性コポリマー成分を調製するために用いるαオレフィンコモノマーは通常、C乃至C12炭化水素を含む非環式不飽和物質である。そのような物質は、直鎖又は分岐鎖であり、1つの二重結合をα位置で有する物質である。好適なαオレフィンの非限定的な例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び1―ブテンがある。エチレン及びプロピレンは好適なαオレフィンであり、エチレンが最も好ましい。エチレンと、1−オクテン、1−ヘキセン、及び/又は1−ブテンとの組合せのような、αオレフィンの組合せも用いることができる。このαオレフィンは、通常、本明細書における剛性コポリマーに約5モル%乃至約95モル%、より好ましくは約55モル%乃至約85モル%の範囲で取り込まれる。
【0026】
本明細書における酸化工程に用いられる剛性コポリマーの第二のモノマー成分は、αオレフィンコモノマーと共重合され、αオレフィンと一緒に剛性なコポリマーを形成する、1つ以上の環状ジエン誘導コモノマーである。そのような環状ジエンは共役又は非共役ジエンである。
【0027】
好適な共役環状ジエンの例としては、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、及びこれらの誘導体がある。そのような共役環状ジエンは単独で、又は2つ以上のタイプの組合せで用いることができる。
【0028】
本発明に用いられる剛性コポリマーを形成するのに有用な非共役環状ジエンの非限定的な例としては、
a)1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、及び1,5−シクロドデカジエン等の単環ジエン、並びに
b)テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクペエンタジエン(DCPD)、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン、及びアルケニル、アルキリデン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)等のシクロアルケニル及びシクロアルキリデンノルボルネン、などの多環固定及び縮合環ジエンがある。
【0029】
好適な剛性コポリマー形成環状ジエンはジシクロペンタジエン(DCPD)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、及び5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)を含む。ジシクロペンタジエン(DCPD)は本発明のコポリマー混合物の剛性コポリマーを形成するのに用いる最も好適なコモノマーである。
【0030】
環状ジエン誘導コモノマーは、通常、本明細書の前駆体剛性コポリマーに、約1モル%乃至約95モル%、より好ましくは約15モル%乃至約45モル%の範囲で取り込まれる。
【0031】
本発明の方法及び組成物に有用な剛性コポリマーは任意で、αオレフィンでもジエンでもない、追加的な補助的コモノマーを含む。そのような追加的なコモノマーは通常、4乃至18炭素原子を含む、非環式、単環式、又は多環式モノオレフィンである。
【0032】
必須成分であるαオレフィン及びジエンコモノマーと一緒に剛性コポリマー成分に任意で取り込まれる、好適な環状コモノマーはシクロヘキセン及びシクロオクテン等の環状モノオレフィン、並びに米国特許No.6,627,714に開示されているポリ環状モノオレフィンを含む。前記特許を参照により本明細書に援用する。そのようなポリ環状モノオレフィンの特定の例としては、2―ノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a―オクタヒドロナフタレン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−ベンジル−2−ノルボルネン、5−クロロ−2−ノルボルネン、5−フルオロ−2−ノルボルネン、5−クロロメチル−2−ノルボルネン、5−メトキシ−2−ノルボルネン、7−メチル−2−ノルボルネン、5−イソブチル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5,5−ジクロロ−2−ノルボルネン、5,5,6−トリメチル−2−ノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、及び2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンがある。プレカーサーポリマーを調製するのに最も好ましい任意の補助的なコモノマーは2―ノルボルネン、及び5−メチル−2−ノルボルネンである。
【0033】
本明細書で用いられる剛性コポリマーへ補助的な第三のコモノマーを取り入れることは、ジエン誘導コモノマーの二重結合残基のエポキシ化により導入されたコポリマーの官能的な特徴の範囲とは別に、これらの剛性ポリマーの熱的、光学的、又は流動学的特徴(ガラス転移温度等の)を調節することになる。これらの補助的なコモノマーを含む得られたコポリマーはそれらのポリマー構造内に3つの異なるコモノマーを含んでいるターポリマーとして特徴付けられる。もし用いるならば、本明細書における酸化工程に用いられる剛性コポリマーに、通常約5モル%乃至約85モル%、より好ましくは約10モル%乃至約80モル%の任意の補助的なコモノマーが含まれる。
【0034】
本発明に用いられる剛性オレフィン/環状ジエンコモノマー成分は、ゲルろ過クロマトグラフフ解析法により、ポリスチレン標準に対して測定したときに、通常約170,000g/molよりも大きい重量平均分子量、Mwを有する。より好ましくは、本明細書におけるコポリマー混合物の剛性コポリマー成分は約175,000より大きい、好ましくは、180,000より大きい、最も好ましくは約200,000g/molより大きいMwを有する。剛性コポリマーの分子重量の理論的上限値は存在しないが、実務的な上限値としては、約1,000,000又は900,000g/molがある。述べたように、これらのコポリマー物質の重量平均分子量はゲルろ過クロマトグラフを用いた標準的な方法で決定することができる。
【0035】
本発明の剛性オレフィン/環状ジエン誘導コポリマー成分は、通常アモルファス物質を含んでいる。本明細書で用いるように、アモルファスポリマーは、示差走査熱量計(DSC)の2次加熱スペクトルにおいて認識できる融点(Tm)がないことにより証明される、ほとんど結晶性ではない、又は結晶性ではないポリマー物質、又は0.50J/g未満の溶解熱(Tg)を有する二次加熱DSCTmを示す結晶成分を有するポリマー物質である。
【0036】
本明細書で用いるアモルファス剛性オレフィン/環状ジエンコポリマーは通常、特定のガラス転移温度(Tg)性質を有する物質である。ポリマー物質のガラス転移温度の概略は、分子が非常に僅かに流動する温度以下の温度であると言える。大きいスケールにおいて、ポリマーはガラス転移温度以下で脆く剛性であり、並びにこの温度より高いときは、可塑的に変形させることができる。Tgは本発明において用いられるポリマーのようなアモルファス相に適用でる。
【0037】
前述のように、本明細書におけるコポリマー成分のガラス転移温度は物質の軟化点に関係し、H. S. Kaufman及びJ. Falcettaの、INTRODUCTION TO POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY: AN SPE TEXTBOOK,(John Wiley & Sons, 1977)及びPOLYMER HANDBOOK (J. Brandup及びE. H. Immergut編, John Wiley & Sons, 1989)に記載の各種技術を用いて測定することができる。本発明に関連して用いられるDSC技術は当業者に良く知られており、試験方法の章で説明する。
【0038】
本明細書で用いられる剛性オレフィン/環状ジエンコポリマーは約85℃乃至約260℃のガラス転移温度、Tgを示す。そのようなTgの値を有するときは、これらの物質はエンジニアリング熱可塑性物質に用いるのに適している。より好ましくは、本明細書で用いる剛性オレフィン/環状ジエンコポリマーのTgは約87℃乃至約129℃であり、最も好ましくは約88℃乃至約128.5℃である。以下で説明されるオレフィン/環状ジエンコポリマーは、前述の範囲内のガラス転移温度、Tgである場合、本発明に関して、実際に、「剛性」であると定義される。
【0039】
本発明に用いるオレフィン/環状ジエンコポリマーはエチレン等のαオレフィンを環状ジエンコモノマーを含む重合混合物と接触させて行われる重合反応により生成することができる。この重合反応は触媒又は触媒システムにより促進され、重合反応条件の従来の組合せを用いて行うことができる。
【0040】
任意の従来タイプの重合方法をオレフィン/環状ジエンコポリマーの生成に用いることができる。そのような重合方法は高圧力、スラリー、バルク、懸濁、球状、又は溶液相、又はこれらの組合せを含む。好ましくは、溶液相法又はバルクフェーズ重合法を用いる。
【0041】
例えば、メタロセンのような、幅広い種類の遷移金属触媒化合物が、好適な活性剤で活性化されたときに、オレフィンモノマーを選択的に重合して、結晶性ポリマー又はアモルファスポリマーあるいはコポリマーのいずれかを生成することが知られている。そのような化合物の充分な議論は、2004年6月3日に公開されたPCT国際公開公報No.WO2004/046214に記載されている。該文献の内容を参照により本明細書に援用する。
【0042】
ジエンベースエラストマー性ポリマー又はコポリマー
本発明に従って調製されるコポリマー混合物の第二の必須成分は柔軟性(又はエラストマー性)ジエンベースポリマー又はコポリマーを含む。そのようなエラストマー物質がコポリマーである場合、「コポリマー」の語は剛性オレフィン/環状ジエンコポリマーに関して上で説明されるのと同じ意味を有する。従って、エラストマー性「コポリマー」成分はジエンから誘導されたコモノマーを必ず含んでいる、少なくとも2つ別のコモノマータイプを共重合することにより調製された物質である。更に、コポリマーの定義がターポリマー並びに、4つ以上の別のコモノマータイプを含むコポリマーを含むように、1つ以上の他の異なるコモノマータイプも、本明細書におけるエラストマー性コポリマーに含まれる。
【0043】
本明細書で用いるコポリマー混合物のエラストマー性成分はジエンから誘導された少なくとも1つのモノマータイプを必ず含むポリマー又はコポリマーである。幅広いタイプのジエンが本明細書におけるコポリマー混合物のエラストマー性ポリマー成分を形成するのに用いることができ、その結果得られたポリマー又はコポリマーはエラストマー性又は柔軟性を有する。このエラストマー性ポリマー成分を調製するために用いるジエンは、例えば、共役又は非共役、環状又は非環状、直鎖又は分岐鎖のいずれのタイプのジエンでもよい。そのようなエラストマー性ポリマー成分におけるジエン誘導モノマーの部分は約1モル%乃至約100モル%である。より好ましくは、本明細書におけるコポリマー混合物エラストマー性成分は約2モル%乃至約90モル%のジエン誘導モノマー成分を含むジエンベースコポリマーである。
【0044】
好適な共役ジエンの例としては、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、及びこれらの誘導体のような環状共役ジエン、及びイソプレン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキセジエン、及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の直鎖共役ジエンを含む。そのような共役ジエンは単独又は2つ以上のタイプの組合せとして用いられる。
【0045】
本明細書で用いるエラストマー性ポリマー物質の調製に有用な非共役ジエンの非限定的な例としては、
(a)1,4−ヘキサジエン及び1.6−オクタジエン等の直鎖非環式ジエン、
(b)5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−ジオクタジエン、及びジヒドロミルセン及びジヒドロオシメンの異性体混合物等の分岐鎖非環式ジエン、
(c)1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカジエン等の8乃至12炭素原子を含むα,ω−ジエン、
(d)1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、及び1,5−シクロドデカジエン等の単環式ジエン、
(e)4−ビニル−1シクロヘキセン等のアルキル、アルキリデン、シクロアルケニル、及びシクロアルキリデン置換された単環式ジエン、並びに
(f)テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、及び5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)等のアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、及びシクロアルキリデンノルボルネン等の多環式固定及び縮合環ジエンを含む。
【0046】
好ましくは、本発明のコポリマー混合物の柔軟又はエラストマー性成分はジエンと他のモノマータイプとのコポリマーである。これらのモノマータイプの最も一般的なものの一つはαオレフィンである。剛性オレフィン/環状ジエンコポリマー成分と一緒に、柔軟性コポリマー成分の調製に用いるαオレフィンコモノマーは同様に、通常、C乃至C20炭素を含む非環式不飽和物質を含む。そのような物質は直鎖でも分岐鎖でもよく、α位に1つの二重結合を有している。好適なαオレフィンの非限定的例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコサセンを含む。エチレン及びプロピレンが好ましいαオレフィンであり、エチレンが最も好ましい。エチレンと1−オクテン又は1−ヘキセン、及び/又は1−ブテンとの組合せのような、αオレフィンの組合せも用いることができる。コモノマーとして用いる場合、αオレフィンは本明細書におけるエラストマーコポリマーへ、通常、約5モル%乃至約95モル%、より好ましくは約55モル%乃至約85モル%の範囲で取り込まれる。
【0047】
他のタイプのオレフィンも本発明のコポリマー混合物に有用なエラストマー性コポリマーを形成において、必須成分であるジエンモノマーと組み合わせて用いることができる。オレフィンモノマーに有用な他のタイプはスチレンとその誘導体を含む。本明細書で有用なエラストマー性コポリマーに取り込むことができるそのような他のタイプのコモノマーは、本発明の剛性コポリマー成分へ取り込むのに好適な「補助的なコモノマー」として以下で説明され特徴付けられている、4乃至18炭素原子を含む、非環式、単環、又は多環モノオレフィンと同じものを含む。ジエン又はαオレフィン以外から誘導さされたコモノマーは、そのようなエラストマー性コポリマーの約5モル%乃至約85モル%含まれる。本明細書で用いることができるターポリマーを含むエラストマー性コポリマーはランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよい。
【0048】
本明細書のコポリマー混合物に用いるエラストマー性ポリマー物質の最も好適なタイプは3つの基本タイプである。その3つのタイプとは、重合された共役直鎖ジエン、オレフィン/非共役ジエンコポリマー、及び芳香族ビニル/共役ジエンコポリマーである。
【0049】
重合された共役直鎖ジエンはイソプレン及び1,3−ブタジエン等のモノマーの重合により形成された物質を含む。好適なポリイソプレン及びポリブタジエンは約20,000乃至約500,000の分子量(Mw)、より好ましくは約40,000乃至約200,000の分子量を有するものである。
【0050】
好適なオレフィン/非共役ジエンコポリマーは通常、非共役ジエン成分並びにエチレン成分と3乃至20炭素原子を有するαオレフィン成分からなる群より選択される少なくとも2つの成分を含む。このタイプの物質の例としては、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)コポリマーゴム、エチレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム、又はプロピレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴムを含む。そのようなコポリマーゴムにおいて、αオレフィンは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、及び1−デセンから選択される。そのようなコポリマーゴムにおけるジエンは、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、及び2−プロペニル−2,2−ノルボルラジエンから選択される。このタイプのコポリマーゴムは、しばしは約20,000乃至約500,000の範囲の分子量(Mw)を有する。
【0051】
好適な芳香族ビニルコポリマーは、それぞれが芳香族ビニル炭化水素成分及び共役ジエン成分を含むランダムコポリマー又はブロックコポリマーから選択されるものである。これらは、(a)スチレン−ブタジエンコポリマーゴム、(b)スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーゴム、(c)スチレン−イソプレンブロックコポリマーゴム、及び(d)スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーゴムを含む。このタイプのコポリマーゴムはしばしば、約20,000乃至約500,000の範囲の分子量(Mw)を有する。
【0052】
本明細書で用いる柔軟性又はエラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーは、通常、約0℃乃至約−95℃のガラス転移温度、Tgを有する。より好ましくは、これらのエラストマー性物質のTgは約−10℃乃至約−80℃、最も好ましくは約−20℃乃至約70℃の範囲である。このジエンベースポリマー又はコポリマーは、それらが前述のような特定のガラス転移温度、即ち、Tgを示す場合、実際に、「柔軟な」又は「エラストマー性」であると定義される。
【0053】
本発明に用いるエラストマー性ポリマー及びコポリマーは従来存在し得る物質であり、このタイプの物質を合成するのに有用な既知の重合方法を用いて調製することができる。このようなポリマー又はコポリマーのTg、分子量、ジエン含量等の性質はエラストマーの所望の性質のセットを実現するのに適した反応物タイプ、反応物濃度、及び重合反応条件を選択することにより調節することができる。
共通液体反応媒体
【0054】
本発明のポリオレフィン官能化プロセスを行うために、これまで説明してきた、αオレフィンと剛性コポリマー形成環状ジエンとの剛性ポリマー及びジエンベースエラストマー性ポリマー又はコポリマー成分の両方を共通液体反応媒体中に置く。そのような液体反応媒体は通常、共通液体反応媒体中に添加される酸化剤を用いた酸化に、両方のポリマー成分が敏感になるようなものである。従って、この共通液体反応媒体は、反応物と触媒等の他の添加剤が溶解し、懸濁され、又は分散するための、好適な希釈剤(例えば、反応溶媒)(本発明のために、たとえ、この反応媒体内の全ての物質がこの溶液に完全に溶解又は懸濁しなくても、反応物として沈殿しない及び共通液体媒体を形成する液体が、本明細書において「希釈剤」又は「反応媒体」と定義される)を含む。
【0055】
好適な希釈剤及び反応溶媒は、反応混合物中で不活性である有機液体を含む。希釈剤又は反応溶媒と関係して本明細書において用いる「不活性な」とは、それらがない場合と比較して、酸化、例えば、エポキシ化又はヒドロキシル化反応に直接、希釈剤又は溶媒が影響を与えず、非酸化生成物の形成を高めないことを意味する。
【0056】
そのような好適な有機希釈剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ベンゾニトリル、ニトリルベンゼン、アジポニトリル、アニソール、フェニルノナン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、アジポニトリル等の約5乃至約20炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素;塩化メチル、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;メタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール等のアルコールからなる基から選択されるものを含む約1乃至20炭素原子を有するフッ化又は非フッ化置換飽和脂肪及び/又は芳香族酸化物;アセトン等のケトン、プロパン酸、酢酸等のカルボン酸;エチルアセテート、エチルベンゾエート、ジメチルスクシネート、ブチルアセテート、トリ−n−ブチルフォスフェート等のエステル;ジメチルフタレート;及びテトラグリム等のエーテルから成る群より選択されるものを含む。希釈剤又は溶媒の混合物又はブレンドも本明細書における共通液体反応媒体を形成するために用いることができる。
【0057】
好適な有機希釈剤はトルエン又はクロロホルムを含む。クロロホルムが特に好ましい。この共通液体反応媒体は水も含む。水は、例えば、H酸化剤のためのキャリアとして導入される。
【0058】
本明細書の酸化方法に用いる、他の好適なタイプの有機希釈剤はペルフルオロアルコールを含む。そのような好適なペルフルオロアルコール反応溶媒はヘキサフルオイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロプロパノール、ペルフルオロブチルアルコール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ペンタフルオロ−1−プロパノール、テトラフルオロフェノール、トリフルオロフェノール、ジフルオロフェノール、テトラフルオロ−1−プロパノール、4−(トリフルオロメチル)ベンジルアルコール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,4,5−トリフルオロフェノール、2,4−ジフルオロベンジルアルコール、2,4−ジフルオロフェノール、4−フルオロベンジルアルコール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2−(ペルフルオロブチル)エタノール、2−(ペルフルオロヘキシル)エタノール、2−(ペルフルオロ)エタノール、2−(ペルフルオロデシル)エタノール、2−ペルフルオロ−3−(メチルブチル)エタノール、1H,1H,3H−テトラフルオロ−1−プロパノール、1H,1H,5H−オクタフルオロ−1−ペンタノール、1H,1H,7H−ドデカフルオロ−1−ヘプタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロ−1−ノナノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、及び1H,1H,3H−ヘキサフルオロ−2−ブタノールから成る群より選択される。
【0059】
共通液体反応媒体内で、αオレフィンと剛性コポリマー形成環状ジエンとの剛性ポリマー及びジエンベースエラストマー性ポリマー又はコポリマーは、反応媒体内で官能化されるコポリマー混合物の所望の性質及び意図する使用に応じて、お互いに相対的な量で本発明に従って添加される。衝撃改善構造ポリオレフィンとして有用な官能化されたコポリマー混合物のために、共通液体反応媒体内での剛性オレフィン/ジエンコポリマー対エラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーの重量比は、約95:5乃至60:40である。より好ましくは、剛性オレフィン/ジエンコポリマー対エラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーの重量比は、共通液体反応媒体内で、約95:5乃至60:40の範囲である。
【0060】
その場で官能化される剛性及びエラストマー性ポリマー物質の総量は、共通液体反応媒体、例えば、有機反応希釈剤又は溶媒に対して広く変動しうる。通常液体反応媒体内で剛性及びエラストマー性ポリマー物質を完全に溶解又は均一に懸濁させるためには充分な量の有機反応溶媒を用いる。しばしば、官能化される剛性及びエラストマー性ポリマー物質は共通液体反応媒体を約0.5重量%乃至約40重量%含む。より好ましくは、官能化される剛性及びエラストマー性ポリマー物質は、共通液体反応媒体の総量で約1重量%乃至約20重量%を含む。
酸化剤
【0061】
その場で官能化されたコポリマー混合物の調製方法を実施するために、剛性オレフィン/ジエンコポリマー及びエラストマー性ジエンベースポリマーの組合せ又はコポリマーはこれらのタイプの2つの物質の不飽和部位でポリマー物質に酸素含有官能基を導入するために提供される好適な酸化剤を有効な量で含む共通液体反応媒体内で接触させる。好適な酸化剤は酸化反応をもたらすために提供される各種過酸化物及び過酸を含む。
【0062】
過酸は好適な酸化剤の1種である。3−クロロペル安息香酸等の過酸は酸化剤として共通液体反応媒体に添加される。代替的に、過酸は反応混合物内でその場で形成される。その場で過酸を形成するための好適な方法は過酸化水素及びギ酸の両方を組み合わせたものを、反応混合物に添加することを含む。ギ酸は官能化されるポリマーの官能化可能な二重結合に対して、約10:1乃至約30:1のモル比で添加される。過酸化水素はそれらの官能化可能な二重結合に対して、約1.01:1乃至約5:1のモル比でで添加される。H及びギ酸の両方を共通液体反応媒体に添加すると、酸化剤、例えば、エポキシ化剤又はヒドロキシル化剤等の酸化剤として、過ギ酸をその場で形成させることができる。H及びギ酸の両方を添加した場合、過酸化水素対ギ酸のモル比は約1:1乃至約1:100の範囲内である。
【0063】
本明細書で用いる酸化剤の他の好適なタイプは過酸化水素自体である。過酸化水素は化学質Hを有し、強力な酸化剤である。これは原材料であり、様々な形態で市場において容易に入手可能である。
【0064】
過酸化水素は本明細書の方法において約1重量%乃至約90重量%、より好ましくは約10重量%乃至約80重量%、更に好ましくは約30重量%乃至約70重量%の過酸化水素含量の水溶液の形態で用いる。この過酸化水素は商業的に、安定な溶液として用いられている。過酸の好適な源は安定化されておらず、過酸化水素の製造のためのアントラキノンプロセスにおいて得られる。水素と酸素を貴金属触媒の存在下で、メタノール溶媒中で反応させることにより得られたメタノール中の過酸化水素溶液も用いることができる。
【0065】
もし、過酸化水素のみを、本明細書における過酸化剤として用いる場合、通常過酸化触媒が一緒に用いられる。不飽和化合物のエポキシ化及び/又はヒドロキシル化を促進する数多くの異なるタイプの過酸化触媒が知られている。そのような触媒は、例えば、チタニウムシリコネート、ペルオキソフォスフォタングステン、及びマンガントリアザシクロノナンを含む。
【0066】
本明細書のポリマーの組合せを官能化するために用いる過酸化水素酸化剤と一緒も用いる酸化触媒の他の好適なタイプはアルキルトリオキソレニウムベース物質を含む。通常、そそのような触媒のレニウム複合体の中のアルキル基は1乃至4炭素原子を含む。より好ましくは、このアルキル基はメチルである。
【0067】
メチルトリオキソレニウムはCHReOの化学式を有し、構造式は式Iで示される。
【式1】
【0068】

【0069】
メチルトリオキソレニウムは以降、「MTO」と記載する。MTOは各種基質を含む酸化反応において酸素を運ぶ物質であるとして広く研究されている触媒物質であることが知られている。触媒としてのMTOの重要な側面は合成が容易であること、商業的に利用可能であること、及び空気中で安定であることを含む。
【0070】
MTOは、本明細書において好適な酸化剤の1つであるとされているHと反応して、以下の反応スキームで示すように、モノペルオキソ−及びジペルオキソレニウム(VII)種と平衡状態になる
【式2】
【0071】

【0072】
ジペルオキソレニウム(VII)種(上記H活性化反応スキームの構造3)は、本明細書における方法を解してエポキシ化及びヒドロキシル化される剛性オレフィン/ジエンコポリマー及びジエンベースエラストマー等の酸素受容基質に対して最も活性がある。
【0073】
このMTO/Hシステムは非毒性試薬を含む。この酸化及び活性化(work up)手順は相対的にシンプルであり、水が唯一の副生成物である。更にMTOは(多くの遷移金属ベース触媒とは異なり)Hを分解しない。
【0074】
MTO/Hシステムは相対的に高い酸性度を有し、そのような高い酸性度はエポキシ化された生成物をヒドロキシレート、ジオール生成物への加水分解を促進する。従って、エポキシ化されたコポリマーが所望の主な反応生成物である場合、1つ以上の塩基性試薬をMTO複合体に添加することが適切である。そのような塩基性試薬は、例えば、参照により本明細書に援用される、米国特許No.5,155,247に記載のアンモニア、又は1級、2級又は3級アミン等の窒素含有化合物である。本発明における方法で用いる共通液体反応媒体へMTOベース触媒を導入する前に、このような試薬MTO触媒とそのようなリガンドとを反応させる。代替的にピリジン、ビピリジン、又は他のピリジン誘導体等のリガンド形成化合物を、反応物、MTO触媒及び反応溶媒と一緒に共通液体反応媒体に添加することができる。
【0075】
本明細書におけるポリマー物質がエポキシ化又はヒドロキシル化を含むならば、用いられる過酸化水素酸化剤の初期濃度が酸化されるコポリマー混合物内のオレフィン性炭素−炭素二重結合1モル数に対する過酸化水素のモルが約1乃至約100の範囲にある。より好ましくは、コポリマー混合物中の不飽和コポリマー二重結合の1モルに対して、約1.05乃至約10モルのHが、共通液体反応媒体に添加される。
【0076】
このプロセスが、エポキシ化又はヒドロキシル化又は両方を含む時、酸化触媒を用いるならば、酸化されるコポリマー混合物内のオレフィン性炭素−炭素二重結合1モルに対して約0.0001乃至約1モルの濃度で、酸化触媒を共通液体反応媒体内へ添加する。より好ましくは、アルキルトリオキソレニウムに基づく触媒は不飽和コポリマー又はコポリマー二重結合1モル当たり約0.01モル乃至約0.1モルの量で添加される。
【0077】
本発明の1つの側面において、前述の剛性オレフィン/ジエンコポリマーとエラストマー性ジエンベースコポリマー物質との混合物を、前述の酸化剤と、任意で酸化触媒と一緒に用いて、ジエン由来コモノマー中の二重結合の約50乃至100%をオキシラン基へ転化する条件へ曝すことにより、エポキシ化されたコポリマーへ転化することができる。所定の反応物及び触媒のタイプのほか、相対的に低い反応温度及び相対的に短い反応時間で不飽和コポリマーをエポキシ化コポリマーへ転換することが好ましい。
【0078】
本発明の他の態様において、前述の剛性オレフィン/ジエンコポリマーとエラストマー性ジエンベースコポリマー物質との混合物を、前述の酸化剤及び任意で酸化触媒と一緒に用いて、ジエン由来コモノマー中の二重結合の約50乃至100%をジオール部分へ転化する条件へ曝すことにより、エポキシ化されたコポリマーへ転化される。(そのようなジオール部分における1つ又は両方のヒドロキシル基は更に、エステル、エーテル、又は酸基等の他の酸素含有官能基に転化される。)所定の反応物及び触媒のタイプ及び温度のほか、相対的に高い反応温度及び相対的に長い反応時間で不飽和コポリマーをヒドロキシル化されたジオール含有官能化コポリマーへ転換することが好ましい。
【0079】
本発明の第三の態様において、オキシラン基及びヒドロキシル基、例えば、ジオール基の両方へ官能化される不飽和ポリマー中のジエン由来コモノマー中の二重結合の約50%乃至100%を転換する幾つかの選択された反応条件が存在する。そのような反応条件は、そのように官能化されたコポリマー内の全てのオキシラン基又は全てのヒドロキシル、ジオール又はジオール由来官能基のいずれかの官能化を促進させるものである。
【0080】
剛性のαオレフィン/ジエンコポリマーがエポキシドを形成し、柔軟性エラストマー性ポリマー又はコポリマーがエラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマー内のジエン誘導コモノマーの部位において、ヒドロキシル又はエステル部分等の他の酸素含有官能基を有する開環物質を形成するような方法で、本明細書におけるプロセスを選択的に制御することもできる。このタイプの典型的な官能化反応を以下の反応スキーム1で示す。例えば、エチレンジシクロペンタジエン(E/DCPD)剛性コポリマーポリマー及びエチレン/オクタン/ビニル/シクロヘキセン(E/O/VCH)エラストマーの組合せのその場での官能化を含んでいる。
【式3】
【0081】

スキーム1.E/DCPD及びE/O/VCHコポリマーのその場での官能化
【0082】
柔軟性ジエン及び剛性ジエンの双方から由来するモノマー、及び任意で補助的なオレフィン性ターポリマー形成コモノマー由来コモノマーを含むオレフィン/ジエンコポリマーは、相対的におだやかな温度及び相対的に短い反応時間を用いて、エポキシ化されたコポリマーへ酸化させることができる。本発明の方法のエポキシ化態様のために、反応媒体の温度は、約20℃乃至約70℃、より好ましくは約25℃乃至約50℃の範囲である。エポキシ化されたポリマー性物質の生成のためには、反応時間は約0.1乃至約24時間、より好ましくは約0.5乃至約18時間の範囲内である。
【0083】
剛性ジエンから及び任意で補助的なオレフィン性ターポリマー形成コモノマーから誘導されたコモノマーを含有しているオレフィン/ジエンコポリマー及び特にエチレン/ジエンコポリマーを、相対的に高い反応温度及び相対的に低い反応時間を用いて、酸化し、ヒドロキシル化、即ち、ジオール含有官能化コポリマーを生成することができる。本発明のヒドロキシル化態様のために、共通液体反応媒体の温度は約60℃乃至約80℃である。ヒドロキシル化されたポリマー物質の生成のために、反応時間は約1乃至約48時間、より好ましくは約2乃至約36時間の間である。
【0084】
本発明の酸化芳香性方法の態様は、これらのパラメーターの範囲がエポキシ化及びヒドロキシル化のために、オーバーラップする範囲で、前述の反応条件パラメーターの1つ以上を用いて行われる。この方法における酸化方法の実施はオキシランとジオール又は他の酸素含有官能基を含む、官能化されたオレフィン/ジエンコポリマーを生成することができる。
その場で形成されたポリマー
【0085】
組成物の側面において、本発明はポリマー組成物、例えば、(a)αオレフィンと剛性ポリマー形成ジエンとのエポキシ化された剛性コポリマー、及び(b)任意のヒドロキシル化されたエラストマー性ジエンベースポリマー、又はコポリマーの組合せである、混合物のようなポリマー組成物に関する。そのようなポリマーの組合せは、共通液体反応媒体中に前述の剛性及びエラストマー性ポリマー物質を、溶解、懸濁、又は分散させ、好適な酸化剤を有するこの媒体中で、これらの物質を接触させることにより形成される。有用な反応媒体形成希釈剤(溶剤)及び有用な酸化剤も本発明の方法の側面の説明において開示している。本発明のポリマー性物質と酸化剤とを接触させると、液体媒体内のその場で、少なくとも部分的に、例えば、二重結合残基の約50%が前述の方法に従い、エポキシ化された剛性コポリマーが形成される。
【0086】
好ましくは、このエラストマー性ポリマー又はコポリマーのジエン由来コモノマーも、酸化剤とその場で接触して酸化される。そのような接触は、そのようなエラストマー性物質内の二重結合残基の部位において、エラストマー性ポリマー又はコポリマーを少なくとも部分的にエポキシ化又はより好ましくはヒドロキシル化する。好ましくは、そのように形成されたエラストマー性物質上のヒドロキシル基の少なくとも、いくつかは、エステル、エーテル、又は酸等の他の基へ更に酸化することもできる。
【0087】
一旦剛性及びエラストマー性の2つのタイプのポリマー物質が、共通液体媒体中でその場で、好適に酸化されると、それらをこの反応媒体中から共沈させて、本明細書における所望の官能化ポリマー組成物を得る。酸化反応混合物内で形成された酸化コポリマーは、好適な従来の分離手段により、そこから回収される。例えば、形成された酸化ポリマー物質は、メタノール等の好適な試薬を用いて酸化反応混合物から共沈されて、ろ過により回収される。この回収された物質を更に洗浄し、再沈殿を行い、再ろ過を行い、乾燥して、利用可能な形態の所望の官能化ポリマーを提供する。
【0088】
本明細書における好適な剛性対エラストマー性ポリマーの比を有する組成物は、好適な熱及び衝撃耐性を有する構造ポリオレフィン物質等の有用な物質に溶融成形するのに適している。そのようなポリマーの混合物は、通常、2つの別々のガラス転移温度を有する。例えば、そのような組成物は約85℃乃至約60℃の範囲の第一Tgと、約0℃乃至約―95℃の範囲の第二Tgを有することができる。そのような組成物内で、剛性オレフィン/ジエンポリマー対エラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーの重量比は約99:1乃至約50:50の範囲内である。より好ましくは、そのような組成物内の剛性オレフィン/ジエンコポリマー対エラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーの重量比は約95:5乃至約60:40である。
【0089】
剛性コポリマー成分として、好適な組成物は、本明細書における好適な方法の態様に関して説明されたエチレン/ジシクロペンタジエン(E/DCPD)物質を用いる。そのような好適な剛性コポリマーは、共通液体反応媒体でその場で、少なくとも部分的にエポキシ化されている。本明細書における好適な組成物は、本明細書の好適な方法の態様に関して説明した好適なエラストマー性ポリマー又はコポリマーも用いる。
試験方法及び解析手順
【0090】
本明細書で説明するポリマー物質を特徴付けるために用いる各種パラメーター及び特徴は従来の又は良く知られている、解析又は試験方法、手順、及び装置を用いて決定することができる。本発明の物質に付与されたパラメーター及び特徴についての値を決定するために、以下の方法及び手順を用いる。
【0091】
3つのポリマーラボラトリー(Polymer Llaboratories)混合床高細孔性タイプLS Bカラム(10μmの粒子サイズ、7.8mmの内径、300mmの長さ)及びウォーターズの内部示差屈折率(DRI)検出器を備えた、ウォーターズアソシエイト2000ゲルろ過クロマトグラフを用いて、ポリスチレンに対して測定されたコポリマーのゲルろ過クロマトグラフ(GPC)分子量を決定する。移動相は135℃の1,2,4−トリクロロベンゼンである(脱気及び1.5g/Lの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールで抑制したもの)(流速1.0mL/分、典型的なサンプル濃度1.0mg/ml;301.5μLインジェクションループ)。代替的に、3つのポリマーラボラトリー(Polymer Laboratories)混合床高細孔性タイプBカラム(同様の寸法)及び内部DRI検出器を備えた、ウォーターズアソシエイト150C高温ゲルろ過クロマトグラフを用いることができる。移動相は145℃の1,2,4−トリクロロベンゼンである(流速0.5ml/分、典型的なサンプル濃度1乃至2mg/ml)。EDCPDコポリマーのDRIシグナルはホモポリエチレンと逆の極性を示す。ポリスチレン標準(合計で17(点))を機器のキャリブレーションに用いた。
【0092】
コポリマーの熱性質を決定するのに用いるDSCデータは通常―40℃、25℃、又は50℃乃至190℃以上(好ましくは250℃)の温度範囲で、10℃/分のスキャン速度を用いたTAインツルメンツモデル2920又は2910カロリーメーターで得る。幾つかのサンプルは、300℃の第二加熱で解析され、幾つかのエポキシ−EDCPDコポリマーは低温(−110、又は−125℃)から250℃の温度範囲で解析された。Tg中央値及びTm最大値が第二加熱により得られる。
【0093】
コポリマーの赤外線(IR)スペクトル解析では、OMNICソフトウェアを実行するサーモニコレットネクサス(ThermoNicolet Nexus)470スペクトロメーターを用いて、MaClディスク上にCHCl(エポキシ−EDCPD)から形成された薄フィルムの上で行われた。
【0094】
ポリマーの溶液13C{H}NMRスペクトルは10mmブロードバンドプローブを備えたバリアンコンティニュープラス(Varian UnityPlus)500スペクトロメーター、又は10mmブロードバンドプローブを備えたVarian Inova300スペクトロメーター上で120℃のd−TCEで収集された。Cr(acac)(〜15mg/ml)が弛緩剤として用いられた。
【0095】
EDCPDコポリマーに対するHMNRモル%組成は、オレフィン共鳴(5.6及び5.5ppm、合計2H)及び任意でアリル基橋頭堡共鳴(3.1ppm、1H)、非アリル基橋頭堡共鳴(2.5ppm、1H)、及びシクロペンテニルCH及び鎖C共鳴(2.2乃至1.9ppm、合計4H、溶解時)の積分により決定される。DCPC含量についての脂肪族領域の残りの補正後、脂肪族積分の残りが、エチレンにアサインされる。シクロへキサン溶媒については補正を行わない。残りの溶媒は、合計ポリマー積分に対する1.4ppm(オーバーラップしている)におけるシクロヘキサンピークの積分により重量パーセントで評価する。報告時、トルエンと残りのDCPDモノマー含量が、それぞれトルエンアリル共鳴(7.15乃至7.05ppm、5H)及び溶解DCPDモノマー共鳴(ノルボルネンオレフィンピークは6.0ppm、1Hの上流域(upfield)、3.25ppmアリルキシレン橋頭堡ピーク1H;非アリル基橋頭堡及びシクロペンテニルCH、2.95−2,7ppm、3H)を用いて、計算する。脂肪族積分も任意でトルエンとPCDPモノマーに対して補正した。
【0096】
HNMRモル%組成及びエポキシEDCPDコポリマーに対する官能化パーセントはエポキシ−DCPDCHO共鳴(3.4及び3.3ppm、合計2H、及び任意で2.4及び2.3ppm、2Hにおける橋頭堡共鳴)、任意の残余DCPD共鳴(5.6及び5.5ppmにおけるオレフィン、合計2H、及び任意で3.1ppmにおけるアリル基橋頭堡ポーク、1H)、及びギ酸ヘミエステル単位からのシグナル([−CH(OH)CH(OC(=O)H)−]単位、8.1乃至8.0ppm(CH(OC(=O)H)、1H)及び5.0ppm(CH(OC(=O)H)、1H))の積分により決定される。エポキシ−DCPD、DCPD、及びギ酸ヘミエステル含量についての脂肪族領域の残りの補正後、脂肪族積分の残りはエチレンにアサインされる。開環ジオール−DCPD単位([−CH(OH)CH(O)H)−]単位が存在する場合、76乃至80ppm(2C;ギ酸ヘミエステル[−CH(OH)CH(OC(O=)H)−]単位の2C補正後、もし存在するなら、エポキシDCPD CHO共鳴(6.12及び6.01ppm 2C)におけるCHOH共鳴を用いた13CMNRによりエポキシDCPD単位に対して定量化する。
実施例
【0097】
本発明の方法に従って、官能化された、ターポリマーを含む、多くのオレフィン−ジエンコポリマーの調製及び特徴を以下の実施例で説明する。(これらの実施例において、記載のモル濃度は、飽和ポリマー又はコポリマープレカーサー成分内の二重結合のモル当たりの値である。)
実施例1
過酸化水素及びギ酸を用いたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー及びエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクロヘキセンコポリマー(50:50)の反応
【0098】
約43.6モル%DCPD(FW312.20、bp170℃、0.00757モル、Mn119,000;Mw213,000)を含むエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー(E/DCPD)、1.2835gと約18.3モル%VHC(0.00295モル)を含むエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクエロヘキセンコポリマー(E/O/VCH)、1.283gとを反応フラスコに入れ、200mlのクロロホルム中で溶解した。9.6847gのギ酸(FW46.03;0.2104モル、20倍過剰)、次いで1.2522gの30%過酸化水素(FW34.02、0.01105モル、5%過剰)をこのポリマー溶液に添加した。この溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物に50mlのメタノールを注ぎ、固形沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄し、60℃で一晩真空乾燥(0.1mm)行った。2.6gの生成物を得た。
【0099】
実施例1の生成物のIRスペクトルはエポキシ化されたDCPD及びE/O/VCHの開環生成物の両方に起因する吸収ピークを示した。プロトンスペクトルにおいて、未反応のDCPD及びVHCは5.5(DCPDのみ)及び5.7(DCPD及びVCH)ppmのピークから決定することができる。ピークエリアの間の違いはVCH寄与を計算するために用いる。VCHギ酸ヘミエステルは8.1ppm及び5.1乃至4.9ppmから定量化される。4.0乃至3.0ppmのピークのクラスターはVCHギ酸、DCPDオレフィン、及びメタノールから寄与について補正される。領域における残りの積分はDCPDエポキシドにアサインされる。
【0100】
プロトンスペクトルにおけるメチルインテグラル(1.0乃至0.8ppm)のアップフィールド成分はオクタンコモノマーからのヘキシル分岐にアサインされ、C含量を決定するために用いる。オクテン、DCPD、及びVCH寄与の補正の後、残りの脂肪族インテグラルがエチレンにアサインされる。

【0101】
この生成物のGPC解析は、150,000のMn及び312,000のMwを示した(ポリ分散性、Mw/Mnは2.08)。この生成物は溶媒中に完全に溶解しており、このことはその場での官能化を実施している間に架橋されていないことを示している。この生成物のDSC解析はこの生成物が189.11℃とー17.32℃の2つのTgを有していることを示した。このフィルムは透明であり、このことは成分が混和性ではないが相溶性があることを示している。このエポキシ化されたE/DCPCコポリマー(24576−007)は187.26℃のTgを有する。
実施例2
過酸化水素及びギ酸を用いたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー及びエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクロヘキセンコポリマー(70:30)の反応
【0102】
約43.6モル%DCPD(FW132.20、bp170℃、0.00826モル)を含むエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー(E/DCPD)、1.4gと約13.8モル%VHC(0.00140モル)を含むエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクエロヘキセンコポリマー(E/O/VCH)、0.61gとを反応フラスコに入れ、200mlのクロロホルム中で溶解した。8.893gのギ酸(FW46.03;0.1932モル、20倍過剰)、次いで1.1500gの30%過酸化水素(FW34.02、0.01105モル、5%過剰)をこのポリマー溶液に添加した。この溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物に750mlのメタノールを注ぎ、固形沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄し、50℃で一晩真空乾燥(0.1mm)を行った。2.22gの生成物を得た。
【0103】
この生成物からのIRスペクトルはエポキシ化されたDCPD及びE/O/VCHの開環生成物(ギ酸)に起因する吸収ピークを示した。この生成物のGPC解析は133,000のMn及び280,000のMwを示した(ポリ分散性、Mw/Mnは2.16)。この生成物は溶媒中に完全に溶解しており、このことはその場での官能化を実施している間に架橋されていないことを示している。この生成物のDSC解析はこの生成物が186.30℃と−13.65℃の2つのTgを有していることを示した。このフィルムは透明であり、このことは成分が混和性ではないが相溶性があることを示している。このエポキシ化されたE/DCPCコポリマーは187.26℃のTgを有する。
実施例3
過酸化水素及びギ酸を用いたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー及びエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクロヘキセンコポリマー(85:15)の反応
【0104】
約43.6モル%DCPD(FW132.20、bp170℃、0.01モル)を含むエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー(E/DCPD)、1.7gと約13.8モル%VHC(0.00075モル)を含むエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクエロヘキセンコポリマー(E/O/VCH)、0.31gとを反応フラスコに入れ、200mlのクロロホルム中で溶解した。9.878gのギ酸(FW46.03;0.2146モル、20倍過剰)、次いで1.278gの30%過酸化水素(FW34.02、0.0113モル、5%過剰)をこのポリマー溶液に添加した。この溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物に500mlのメタノールを注ぎ、固形沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄し、50℃で一晩真空乾燥(0.1mm)を行った。2.4gの生成物を得た。
【0105】
この生成物のGPC解析は122,00のMnと250,000のMwを示した(ポリ分散性Mw/Mnは2.05)。この生成物は溶媒に完全に溶解しており、このことはその場での官能化が行われている間に架橋されていないということを示している。この生成物のDSC解析は188.66℃のTgを示した。このフィルムは透明であり、このことは成分が混和性ではないが相溶性であることを示している。低温におけるTgは生成物中のエラストマー成分が少量であるために決定できなかった。この生成物のIRスペクトルはエポキシ化されたDCPDとE/O/VCHの開環生成物(ギ酸)との両方に起因する吸収ピークを示した。実施例1乃至3において、エラストマーの割合が50:50から70:30、及び90:10に変化すると吸収ピークも変化した。
実施例4
過酸化水素及びギ酸を用いたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー及びエチレン/7−メチル1,6−オクタジエンコポリマー(70:30)の反応
【0106】
約43.6モル%DCPD(FW132.20、bp170℃、0.01239モル)を含むエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー(E/DCPD)、2.10gと約20.3モル%MOD(0.003843モル)を含むエチレン/7−メチル1,6−オクタジエンコポリマー(E/MOD)、0.31gとを反応フラスコに入れ、200mlのクロロホルム中で溶解した。14.9441gのギ酸(FW46.03;0.3247モル、20倍過剰)、次いで1.9323gの30%過酸化水素(FW34.02、0.0.5797モル、5%過剰)をこのポリマー溶液に添加した。この溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物に750mlのメタノールを注ぎ、固形沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄し、50℃で一晩真空乾燥(0.1mm)行った。3.29gの生成物を得た。
【0107】
この生成物のGPCは106,000のMn及び196,000のMwを示した(ポリ分散性Mw/Mnは1.85)。この生成物のDSC解折は186.34℃及び−8.68℃の2つのTgを示した。このフィルムは透明であり、このことは成分が混和性ではないが相溶性であることを示している。
実施例5
過酸化水素及びギ酸を用いたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー及びEPDMコポリマー(70:30)の反応
【0108】
約43.6モル%DCPD(FW132.20、bp170℃、0.01239モル)を含むエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー(E/DCPD)、2.1gと約3モル%エチリデンノルボルネン(0.00067モル)を含むEPDM、0.900gとを反応フラスコに入れ、300mlのクロロホルムで溶解した。12.01964gのギ酸(FW46.03;0.26112モル、20倍過剰)、次いで1.5341gの30%過酸化水素(FW34.02、0.01371モル、5%過剰)をこのポリマー溶液に添加した。この溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物に750mlのメタノールを注ぎ、固形沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄し、50℃で一晩真空乾燥(0.1mm)行った。3.08gの生成物を得た。
【0109】
この生成物のGPC解析は139,000のMn及び250,000のMwを示した(ポリ分散性Mw/Mnは1.80)。この生成物のDSC解析は174.47℃のTgを示した。
実施例6
過酸化水素及びギ酸を用いたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー及びエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクロヘキセンコポリマー(70:30)の反応
【0110】
約45.7モル%のDCPD(FW312.20、bp170℃、0.0841モル)を含むエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー(E/DCPD)、14.0223gと約13.8モル%のVHC(0.0142モル)を含むエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクエロヘキセンコポリマー(E/O/VCH)、6.1919gとを反応フラスコに1800mlのクロロホルム中で溶解した。90.5870gのギ酸(FW46.03;1.9680モル、20倍過剰)、次いで27.8882gの30%過酸化水素(FW34.02、0.2460モル、5%過剰)をこのポリマー溶液に添加した。この溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物に6000mlのメタノールを注ぎ、固形沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄し、60℃で一晩真空乾燥(0.1mm)行った。20gの生成物を得た。
【0111】
E/NBポリマー(トパーズ)に対するこの物質の耐衝撃性は1.5対0.2であった。
実施例7
過酸化水素及びギ酸を用いたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー及びEPDMコポリマー(70:30)の反応
【0112】
約45.7モル%DCPD(FW132.20、bp170℃、0.0508モル)を含むエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー(E/DCPD)、8.4gと約5重量%のエチリデンノルボルネン(0.0015モル)を含むEPDM、3.6gとを反応フラスコに入れ、500mlのクロロホルム中で溶解した。48.15gのギ酸(FW46.03;1.046モル、20倍過剰)、次いで14.82gの30%過酸化水素(FW34.02、0.13モル、5%過剰)をこのポリマー溶液に添加した。この溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物に2500mlのメタノールを注ぎ、固形沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄し、60℃で一晩真空乾燥(0.1mm)行った。12.00gの生成物を得た。
【0113】
E/NBポリマー(トパーズ)に対するこの物質の耐衝撃性は2.7対0.2であった。
実施例8
過酸化水素及びギ酸を用いたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー及びポリブタジエンコポリマー(90:10)の反応
【0114】
約45.7モル%DCPD(FW132.20、bp170℃、0.011モル)を含むエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー(E/DCPD)、1.8gと0.2gのポリブタジエンコポリマー(36%シス、55%トランス、9%1,2アルドリッチ、Mw420,000、Tg−95℃)を反応フラスコに入れ、40mlのクロロホルム中で溶解した。13.5gのギ酸(FW46.03;20倍過剰)、次いで4.5gの30%過酸化水素(FW34.02、5%過剰)をこのポリマー溶液に添加した。この溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物に500mlのメタノールを注ぎ、固形沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄し、50℃で一晩真空乾燥(0.1mm)行った。1.93gの生成物を得た。
実施例9
過酸化水素及びギ酸を用いたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー及びEPDMコポリマー(70:30)の反応
【0115】
約39.4モル%DCPD(FW132.20、bp170℃、0.0508モル)を含むエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー(E/DCPD)(Mn270,000、Mw75,000、Tg149.1℃)、8.4gと約5重量%のエチリデンノルボルネン(0.0015モル)を含むEPDM、3.62gとを反応フラスコに入れ、500mlのクロロホルムで溶解した。48.15gのギ酸(FW46.03;1.046モル、20倍過剰)、次いで14.82gの30%過酸化水素(FW34.02、0.1371モル、5%過剰)をこのポリマー溶液に添加した。この溶液を室温で18時間撹拌した。この反応混合物に2500mlのメタノールを注ぎ、固形沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄し、60℃で一晩真空乾燥(0.1mm)行った。11.80gの生成物を得た。
【0116】
先行技術文献及び/又は試験方法を含む全ての文献は、本明細書の記載事項に矛盾しない範囲で、参照により本明細書に援用される。前述の一般的な説明及び特定の態様から明らかなように、本発明を図示説明してきたが、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに各種変更をすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化されたコポリマー混合物を調製する方法であって、該方法は共通液体反応媒体中で、a)αオレフィンと合成ポリマーを形成するための環状ジエンとの剛性ポリマー、並びにb)ジエンベースエラストマー性ポリマー又はコポリマーを、ポリマー成分(a)及び(b)中のジエン由来のモノマーの2重結合の部位で、酸化物の形成を促進する酸化反応条件下で、酸化剤を用いて接触させる工程を含む、方法。
【請求項2】
前記剛性コポリマーのαオレフィン成分がエチレンであり、及び剛性コポリマーの環状ジエン成分が、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−エチルジエン−2−ノルボルネン(ENB)、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)からなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記剛性αオレフィン/ジエンコポリマーが、αオレフィン、ジエン、及びαオレフィン以外の補助的なコポリマーのターポリマーであり、4乃至18炭素原子を含む非環式、単環式、及び多環式モノオレフィンからなる群より選択される請求項1の方法。
【請求項4】
前記ジエンベースエラストマー性ポリマー又はコポリマーが、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−ジオクタジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,4−ビニル−1−シクロヘキセン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)からなる群より選択される1つ又はそれ以上の非共役ジエン由来のコノモマーを約2モル%乃至約90モル%含むエラストマー性コポリマーである、請求項1の方法。
【請求項5】
前記ジエンベースエラストマー性ポリマー又はコポリマーが、約2モル%乃至約90モル%の非共役ジエン由来の前記コモノマーに加えて、約5%乃至約95%のC乃至C20αオレフィンが誘導されるコモノマー及び/又は約5モル%乃至約85モル%のα−オレフィンではなく、4乃至18炭素原子を含む非環式、単環式、及び多環式モノオレフィンからなる群より選択される非環式コモノマーを含むエラストマー性コポリマーである、補助的なコモノマーを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記エラストマー性コポリマーがエチレン−プロピレン−ジエンコポリマーゴム、エチレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム、又はプロピレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴムであり、前記コポリマーゴムの中のαオレフィンが1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、及び1−デセンから選択され、前記コポリマーゴムの中のジエンが1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル1,6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−モルボルネン、5−イソプロピルジエン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−メチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、及び2−プロペニル−2,2−ノルボルネンから選択される、請求項5の方法。
【請求項7】
前記剛性コポリマーが約78℃乃至約189℃のガラス転移温度、Tgを有し、前記ジエンベースエラストマーポリマー又はコポリマーが約−10℃乃至約−80℃のガラス転移温度、Tgを有する、請求項1の方法。
【請求項8】
前記酸化剤が過酸化水素とギ酸の混合物を含み、前記共通液体反応媒体の中のその場で、過ギ酸を生成する、請求項1の方法。
【請求項9】
前記酸化反応条件が、前記構成αオレフィン/ジエンコポリマーのジエン由来コモノマー中の二重結合の約50%乃至100%をオキシラン基に転化し、エラストマー性ジエンベールポリマー又はコポリマーのジエン由来コモノマー中の二重結合の約50%乃至100%をジオール基、あるいは1つのヒドロキシル部分とエステル基、エーテル基。又は酸基から選択される1つの他の酸素含有部分を含む基に転化する、請求項1の方法。
【請求項10】
構造的ポリオレフィン物質に溶融成形するのに適したポリマー組成物を調製する方法であって、
A)共通液体反応媒体中に、
i)約25モル%乃至約45モル%のジシクロペンタジエン由来モノマー含量、
ii)約170,000乃至約1,000,000の重量平均分子量、及び
iii)約85℃乃至約260℃のガラス転移温度、Tgを有する剛性エチレン−ジシクロペンタジエンコポリマーを溶解する工程、
B)前記液体媒体中に、前記エチレン−ジシクロペンタジエンコポリマーと、
約−10℃乃至約−80℃のガラス転移温度を有し、エチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクロヘキセンコポリマー、エチレン/7−メチル−1,6−オクタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマーゴム、1,4−ヘキサジエンコポリマー、及びポリブタジエンコポリマーから選択されるエラストマー性ジエンベースコポリマーを共溶解する工程、
C)前記エチレン−ジシクロペンタジエンコポリマーと前記エラストマー性ジエンベースコポリマーとを含む前記共通液体反応媒体を、前記剛性エチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー及び前記エラストマー性ジエンベースコポリマーを少なくとも部分的にエポキシ化及び/又はヒドロキシ化するのに有効な酸化条件に曝す工程、並びに
D)前記共通液体反応媒体から得られた少なくとも部分的にエポキシ化及び/又はヒドロキシ化されているコポリマー混合物を共沈させたポリマー組成物として、共沈させる工程、を含む方法。
【請求項11】
a)少なくとも部分的にエポキシ化されたαオレフィンの剛性コポリマー及び剛性コポリマーを形成する環状ジエンコモノマー、並びにb)少なくとも部分的にヒドロキシル化されたジエン由来コモノマーを含む、エラストマー性コポリマーのその場で形成された混合物。
【請求項12】
構造的ポリオレフィン物質へ溶融成形するのに適したポリマー組成物であって、
A)i)約25モル%乃至約45モル%のジシクロペンタジエン由来モノマー含量
ii)約170,000乃至約10,000,000の重量平均分子量、及び
iii)約85℃乃至約260℃のガラス転移温度、Tgを有する部分的にエポキシ化されたエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、
B)約−10℃乃至約―80℃のガラス転移温度を有するエラストマー性ジエンベールポリマー又はコポリマーを含み、前記少なくとも部分的にエポキシ化されたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー、及び前記エラストマー性ジエンベースポリマー又はコポリマーが共通液体反応媒体中に溶解されており、共沈され、
前記少なくとも、部分的にエポキシ化されたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマーが前記共通反応媒体中の酸化剤に接触させることにより、少なくとも部分的にエポキシ化されている、組成物。
【請求項13】
前記ジエンベースエラストマー性ポリマー又はコポリマーが、非共役ジエン由来のコモノマーに加えて、約5%乃至約95%のC乃至C20αオレフィンが誘導されるコモノマーを、及び/又は約5モル%乃至約85モル%のα−オレフィンではなく、4乃至18炭素原子を含む非環式、単環式、及び多環式モノオレフィンからなる群より選択される非環式コモノマーを含むエラストマー性コポリマーである、補助的なコモノマーを含む、請求項12の組成物。
【請求項14】
前記エラストマー性コポリマーがエチレン−プロピレン−ジエンコポリマーゴム、エチレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム、又はプロピレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴムであり、前記コポリマーゴムの中のαオレフィンが1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、及び1−デセンから選択され、前記コポリマーゴムの中のジエンが1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル1,6−オクタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−モルボルネン、5−イソプロピルジエン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−メチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、及び2−プロペニル−2,2−ノルボルネンから選択される、請求項13の組成物。
【請求項15】
前記酸化剤が過酸化物及び過酸から選択される請求項12の組成物。

【公表番号】特表2010−528173(P2010−528173A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510387(P2010−510387)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/060301
【国際公開番号】WO2008/150581
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】