説明

オーガ制御装置

【課題】オーガ機構の所望旋回位置への移動操作を作業性良く行うことのできるオーガ制御装置を提供する
【解決手段】旋回用アクチュエータ134によってオーガ機構15を旋回軸線回りに旋回させるように構成されたコンバイン201のオーガ制御装置は、制御装置100と、オーガ機構15の旋回角度θを設定する旋回角度設定手段20と、オーガ機構15の旋回角度θsを検出する旋回角度検出手段40とを備え、制御装置100は、旋回角度設定手段20による旋回角度θを設定旋回角度として記憶し、該設定旋回角度θ及び旋回位置検出手段40による検出値θsに基づき、オーガ機構15が該設定旋回角度θに位置するように旋回用アクチュエータ134を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関し、詳しくは、コンバインに適用されるオーガ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインに備えられるオーガ機構は、略垂直な軸線(以下、旋回軸線という)回り回転可能な状態で立設され、旋回モータ等の旋回用アクチュエータによって旋回軸線回りに旋回される縦オーガ筒と、基端部が前記縦オーガ筒の上端部に略水平な軸線(以下、昇降軸線という)回り揺動可能に連結され、昇降シリンダ等の昇降用アクチュエータによって昇降軸線回りに揺動される横オーガ筒とを有している。
【0003】
ところで、前記オーガ機構の位置制御に関し、手動操作によって前記オーガ機構を旋回軸線回りに旋回させる手動モードと、ワンタッチ操作で前記オーガ機構を所定旋回位置へ旋回させると共に、ワンタッチ操作で該所定旋回位置から収納位置に復帰させる自動モードとを備えたオーガ制御装置が提案されている(例えば、下記特許文献参照)。
【0004】
しかしながら、従来のオーガ制御装置においては、前記自動モードにおける所定旋回位置が予め固定されている為、種々の使用状況に対応できず、作業性が悪いという問題があった。
例えば、トラック等の穀粒排出先との位置関係により、第1の圃場においては、コンバインの進行方向右側へ穀粒を排出しなければならないが、第2の圃場においては、コンバインの進行方向左側へ穀粒を排出しなければならない場合がある。
このような場合に、仮に、第1圃場又は第2圃場の何れか一方については自動モードで対応できたとしても、他方の圃場については自動モードで対応することができず、手動モードで前記オーガ機構を所望の旋回位置へ移動させなければならなかった。
【特許文献1】特許第3184936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、オーガ機構の所望旋回位置への移動操作を作業性良く行うことのできるオーガ制御装置の提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するために、旋回用アクチュエータによってオーガ機構を旋回軸線回りに旋回させるように構成されたコンバインのオーガ制御装置であって、前記旋回用アクチュエータの作動制御を司る制御装置と、基準位置に対する前記オーガ機構の旋回角度を設定する旋回角度設定手段と、前記基準位置に対する前記オーガ機構の旋回角度を検出する旋回角度検出手段とを備え、前記制御装置は、前記旋回角度設定手段による旋回角度を設定旋回角度として記憶するように構成され、且つ、該設定旋回角度及び前記旋回位置検出手段による検出値に基づき、前記オーガ機構が該設定旋回角度に位置するように前記旋回用アクチュエータを作動させることを特徴とするオーガ制御装置を提供する。
前記オーガ機構としては、例えば、縦オーガ筒及び横オーガ筒を有し、旋回用アクチュエータによって前記縦オーガ筒が軸線回りに旋回されるように構成されている場合を挙げることができる。この場合、前記オーガ機構は、昇降用アクチュエータによって前記横オーガ筒が上下方向に昇降回動されるように構成されていてもよい。
【0007】
前記旋回角度設定手段にて設定され旋回角度は、複数の旋回角度を含む。この場合、前記制御装置は、前記旋回角度設定手段による複数の旋回角度をそれぞれ複数の設定旋回角度として記憶するように構成され得る。
【0008】
好ましくは、前記制御装置は、例えば、オートセット操作部材に対する第1人為操作に基づき、前記旋回角度設定手段による旋回角度を設定旋回角度として記憶するように構成され得る。この場合、前記制御装置は、前記オートセット操作部材に対する第2人為操作であって、前記第1人為操作とは異なる第2人為操作に基づき、前記旋回用アクチュエータの作動を開始するように構成されていてもよい。
前記オートセット操作部材としては、それには限定されないが、使用者による押し操作にて作動する押圧操作部材を例示できる。この場合、前記第1人為操作としては、前記第2人為操作の際の押し操作より長時間に亘る長押し操作を例示できる。
【0009】
又、前記制御装置は、例えば、前記設定旋回角度が前記基準位置に対して左回り位置にあるか右回り位置にあるかを判断し、対応する方向へ前記オーガ機構が旋回するように前記旋回用アクチュエータを作動させてもよい。
【0010】
又、前記制御装置は、例えば、前記オーガ機構の収納位置を前記基準位置として記憶するように構成されていてもよい。この場合、本発明に係るオーガ制御装置として、次の具体的態様を例示できる。即ち、
(a)前記オーガ機構が収納位置に位置しているか否かを検出する収納位置検出手段をさらに備え、前記制御装置は、前記収納位置検出手段が前記オーガ機構の収納位置を検出した時点での前記旋回角度検出手段の検出値を前記基準位置として記憶するように構成されている態様、
(b)前記オーガ機構の収納位置を設定する収納位置設定手段をさらに備え、前記制御装置は、前記収納位置設定手段による収納位置を前記基準位置として記憶するように構成されている態様である。
【0011】
本発明に係るオーガ制御装置において、前記オーガ機構の旋回位置を表示可能な表示手段をさらに備えていてもよい。この場合、前記制御装置は、例えば、自動的に又は人為操作に基づき、現在の旋回角度を前記表示手段に表示するように構成され得る。
【0012】
又、前記制御装置は、例えば、前記旋回角度設定手段によって設定された旋回角度が前記旋回軸線回りの所定角度領域内に入る場合には、使用者に対して警報を発するように構成されていてもよいし、前記旋回角度設定手段によって再設定されるように構成されていてもよい。
前記警報には、警報表示を行うモニタ等の表示手段による警報、警報音を発する警報ブザーや警報光を発する警報灯等による警報が含まれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るオーガ制御装置によれば、前記旋回角度設定手段によって任意の旋回角度を設定できるので、前記オーガ機構の所望旋回位置への移動操作を作業性良く行うことが可能になる。
【0014】
又、前記旋回角度設定手段は、前記基準位置に対する前記オーガ機構の複数の旋回角度を設定し、前記制御装置は、前記旋回角度設定手段による複数の旋回角度をそれぞれ複数の設定旋回角度として記憶するように構成されている場合には、例えば、圃場毎に任意の旋回角度を設定できるので、前記オーガ機構の所望旋回位置への移動操作をさらに作業性良く行うことが可能になる。
【0015】
又、前記制御装置は、前記オートセット操作部材に対する前記第1人為操作に基づき、前記旋回角度設定手段による旋回角度を設定旋回角度として記憶するように構成されている場合において、前記オートセット操作部材に対する前記第2人為操作に基づき、前記旋回用アクチュエータの作動を開始するように構成されている場合には、前記第1操作と前記第2操作とを一の操作部材で実現できるので、それだけ部材コストの低減を図ることができる。
【0016】
又、前記制御装置は、前記設定旋回角度が前記基準位置に対して左回り位置にあるか右回り位置にあるかを判断し、対応する方向へ前記オーガ機構が旋回するように前記旋回用アクチュエータを作動させる場合には、前記オーガ機構を遠回りさせることなく前記設定旋回角度に対応する位置に迅速に移動させることができるので、前記オーガ機構の効率的な旋回動作を実現できる。
【0017】
又、前記制御装置は、前記オーガ機構の収納位置を前記基準位置として記憶するように構成されている場合には、前記オーガ機構の任意の収納位置を前記基準位置として設定できるので、前記オーガ機構の収納位置に関する仕様が互いに異なる複数種類のコンバインに対しても柔軟に対応することができる。
【0018】
又、前記オーガ機構の旋回位置を表示可能な表示手段をさらに備え、前記制御装置は、自動的に又は人為操作に基づき、現在の旋回角度を前記表示手段に表示するように構成されている場合には、前記表示手段によって現在の旋回角度を使用者に随時報知できるので、前記オーガ機構の安全且つ確実な旋回動作を実現できる。
【0019】
又、前記制御装置は、前記旋回角度設定手段によって設定された旋回角度が前記旋回軸線回りの所定角度領域内に入る場合には、使用者に対して警報を発するように構成されている場合において、例えば、前記所定角度領域が前記オーガ機構の旋回角度のうち旋回が禁止されている所定の旋回禁止角度領域とされている場合には、使用者は、前記旋回角度設定手段によって設定された旋回角度が前記警報の有無によって前記旋回禁止角度領域内に入ったか否かを認知できるので、前記旋回角度の誤った設定を有効に防止できる。
又、前記制御装置は、前記旋回角度設定手段によって設定された旋回角度が前記旋回軸線回りの所定角度領域内に入る場合には、前記旋回角度設定手段によって再設定されるように構成されている場合において、例えば、前記所定角度領域が前記旋回禁止角度領域とされている場合には、前記旋回角度の誤った設定を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。
図1乃至図4は、それぞれ、本実施の形態に係るオーガ制御装置を備えたコンバイン201の左側面図、平面図、右側面図及び正面図である。
【0021】
図1乃至図4に示すコンバイン201は、クローラ式走行装置1上に機体フレーム2が載置され、該機体フレーム2前方に引起こし・刈取部3が昇降可能に配設されている。そして、前記引起こし・刈取部3において、穀稈が前方に突出した分草板4により分草されて、該分草板4の後方に立設された引起こしケース5から突出されたタイン6により引き起こされ、該引起こしケース5の後方に配設された刈刃7にて株元側から刈り取られるようになっている。
【0022】
前記コンバイン201は、さらに、前記引起こし・刈取部3の後方に脱穀部310が配置され、前記引起こし・刈取部3と前記脱穀部310との間に穀稈の刈取・搬送装置8が配設され、該刈取・搬送装置8の後方であって、該脱穀部310の側方にはフィードチェーン装置9が後方に延設されている。そして、前記引起こし・刈取部3で刈り取られた穀稈が前記刈取・搬送装置8における縦搬送装置8aから前記フィードチェーン装置9に受け継がれ、該フィードチェーン装置9によって株元側が後方に搬送され、これにより、穀稈の穂先側が前記脱穀部310内に搬送されて、該脱穀部310にて穀稈の脱穀が行われるようになっている。
【0023】
前記コンバイン201は、さらに、前記刈取・搬送装置8と前記フィードチェーン装置9との間の搬送経路上において、前記フィードチェーン装置9に到来する穀稈を該フィードチェーン装置9に導くように押さえつける縦挟扼杆10が配設されていると共に、前記フィードチェーン装置9にて搬送される穀稈を該フィードチェーン装置9に向けて押さえつけるワラ押さえ部材11が配設されている。
【0024】
前記コンバイン201は、さらに、前記フィードチェーン装置9後端に排藁チェーン18が配設され、該排藁チェーン18後部下方に排藁カッター装置、拡散コンベア(図示せず)などを備えた排藁処理部19が配設されている。そして、前記脱穀部310で脱穀された後の穀稈(排藁)が、前記フィードチェーン装置9から前記排藁チェーン18に搬送されて、そのまま圃場に放出、或いは前記排藁処理部19にて藁片に切断された後に拡散されながら放出されるようになっている。
【0025】
前記コンバイン201は、さらに、前記脱穀部310下方に揺動選別部350が配設され、前記揺動選別部350によって選別された一番穀粒を貯留するグレンタンク13が該脱穀部350の側方に配設されている。そして、前記揺動選別部350にて前記脱穀部310から流下した穀粒や藁屑などから穀粒が選別され、穀粒や藁屑などのうち、選別後の穀粒が、前記グレンタンク13に搬送され、藁屑などが機外に排出されるようになっている。
又、前記グレンタンク13には、穀粒供給口13a(後述する図5参照)が形成され、該穀粒供給口13aと前記揺動選別部350との間には揚穀コンベア80(図5参照)が介設されている。
なお、前記グレンタンク13の前方には、運転室14が配設されている。
【0026】
前記コンバイン201は、さらに、前記グレンタンク13後方及び上方にオーガ機構15が配設されており、前記グレンタンク13内の穀粒が前記オーガ機構15に搬送された後、外部に排出されるようになっている。
本実施の形態では、前記コンバイン201は、前記グレンタンク13の内側下部にスクリュー式の排出コンベア16が車輌前後方向(図中X方向)に沿って配設され、該排出コンベア16の基端部16”が前記オーガ機構15の駆動機構153(後述する図5参照)に連結されている。そして、前記グレンタンク13内の穀粒が前記排出コンベア16により前記グレンタンク13から前記オーガ機構15に搬送された後、後述する縦オーガ筒15a及び横オーガ筒15bを経て該横オーガ筒15bの排出口15b”から外部に排出されるようになっている。
【0027】
図5に、前記グレンタンク13及び前記オーガ機構15の右側面図を示す。
本実施の形態においては、前記グレンタンク13は、前記機体フレーム2に支持されている。
詳しくは、前記グレンタンク13は、前端側又は後端側の一方側(図示の形態では前端側)が前記機体フレーム2上に位置する閉塞位置と該一方側(図示の形態では前端側)が前記機体フレーム2の外側方に位置する開放位置とをとり得るように、前端側又は後端側の他方側(図示の形態では後端側)が前記機体フレーム2に上下方向(図中Z方向)に沿った軸線回り揺動自在に支持されている。
【0028】
好ましくは、前記グレンタンク13は、前端側又は後端側の他方側(図示の形態では後端側)が前記機体フレーム2に車輌幅方向(図中Y方向)に沿った軸線回り上下揺動自在に支持され得る。
【0029】
詳しくは、前記オーガ機構15は、縦オーガ筒15aと横オーガ筒15bとを備えている。前記縦オーガ筒15aは、前記グレンタンク13後方で前記機体フレーム2上に立設されている。
前記グレンタンク13は、前記縦オーガ筒15aを中心にして側方へ回動可能とされると共に、前記縦オーガ筒15aとの許容部59(後述する図6参照)によって、車輌幅方向Yに沿った軸線回り上下揺動可能とされている。
【0030】
又、前記グレンタンク13には、該グレンタンク13の前記上下揺動を固定する上下揺動固定機構60と、該上下揺動固定機構60を操作するための操作部70と、前記縦オーガ筒15aに上下方向Zに沿った軸線回り回動可能に接続される接続ケース135とが配設されている。
本実施の形態においては、前記上下揺動固定機構60は、メンテナンス等で前記グレンタンク13が前記縦オーガ筒15aを中心にして側方へ回動される際に前記操作部70が操作されることで、前記縦オーガ筒15aとの前記許容部59の許容を解消して該縦オーガ筒15aに対する前記グレンタンク13の前記上下揺動を固定するように構成されている。
【0031】
前記上下揺動固定機構60は、前記グレンタンク13の前端側又は後端側の他方側(図示の形態では後端側)に前記縦オーガ筒15aの上部位置に位置するように設けられている。
前記操作部70は、前記グレンタンク13の外側面下部に、ワイヤ等の連結部材64を介して前記上下揺動固定機構60に連動連結されている。
【0032】
図6に、前記上下揺動固定機構60を説明するための図を示す。
図6に示すように、前記上下揺動固定機構60は、前記縦オーガ筒15aを挿通するガイド板61が前記グレンタンク13に設けられている。
本実施の形態においては、前記ガイド板61は、平面視略U字状のものであり、閉塞側内面の湾曲部に対して前記縦オーガ筒15aを狭持するように形成された平面視略M字状の受体62が開放側の両内面に跨がって固設されている。
即ち、前記縦オーガ筒15aは、前記ガイド板61と前記受体62との間に形成される空間に配置されている。
【0033】
さらに、前記ガイド板61の湾曲部と前記縦オーガ筒15aの間には、上下揺動固定用の締付けバンド63が配設されており、前記グレンタンク13は、前記締付けバンド63と前記受体62との空間内において前記縦オーガ筒15aに対して車輌幅方向Yに沿った軸線回り上下揺動可能とされている。
つまり、前記締付けバンド63と前記縦オーガ筒15a間及び前記受体62と前記縦オーガ筒15aの間に隙間が形成され、該隙間が前記許容部59とされている。
前記グレンタンク13は、重量センサ32にて前記グレンタンク13内の穀粒の重量を検出する際に、前記許容部59により、前記グレンタンク13が少なくとも空の状態から満タンの状態の間で車輌幅方向Yに沿った軸線回り上下揺動可能とされている。
【0034】
そして、前記上下揺動固定機構60は、前記締付けバンド63が前記受体62側に引っ張られ締め付けられることによって隙間となる許容部59の許容がなくなり、該縦オーガ筒15aに対して前記グレンタンク13の前記上下揺動が固定されるようになっている。即ち、前記上下揺動固定機構60は、前記グレンタンク13が前記上下揺動の固定状態で前記縦オーガ筒15aに対して摺動されつつ前記縦オーガ筒15aを中心にして側方へ回動されるようになっている。
【0035】
前記締付けバンド63は、上下方向Zに関し所定の幅を有すると共に、前記縦オーガ筒15aの外周の略半分より長い長さを有し、弾性を有する板体で構成されている。
又、前記締付けバンド63は、一端部が前記ガイド板61の車輌幅方向Y一方側に設けられた枢支軸65に枢結され、且つ、他端部が固定部材66を介して前記操作部70を構成する前記連結部材64の一端部に固定されている。
又、前記締付けバンド63は、バネ等の付勢部材68によって前記縦オーガ筒15aから離間する方向に付勢されている。
【0036】
斯かる構成を備えることにより、前記上下揺動固定機構60は、前記締付けバンド63が前記付勢部材68の付勢力により前記縦オーガ筒15aから離間する方向、つまり、前記受体62の該縦オーガ筒15a側への締め付けを緩める方向に付勢されることで、前記許容部59の隙間が大きくされ、穀粒重量を正確に測定できるようになっている。
詳しくは、前記付勢部材68は、前記締付けバンド63が前記縦オーガ筒15aから離間方向に付勢されるように、一端部が前記締付けバンド63に設けられたバンド側係止部67aに係止され、且つ、他端部が前記ガイド板61に設けられたガイド板側係止部67bに係止されている。
【0037】
一方、前記ガイド板61は、ワイヤ受69を有している。
本実施の形態においては、前記ワイヤ受69は、開放側端部の外側面に一体的に設けられ、前記連結部材64による引っ張り方向が前記縦オーガ筒15aの外周の略接線方向となるように該連結部材64におけるアウタ64aの一端部を支持している。
【0038】
前記連結部材64は、図5に示すように、他端が前記操作部70に連結されており、前記連結部材64及び前記締付けバンド63を介して前記受体62を前記縦オーガ筒15a側へ締付ける締付け位置と前記締付けを解除する解除位置とをとり得るように構成されたグレンタンク固定用操作部材71と、該グレンタンク固定用操作部材71を前記締付け位置でロックするロック操作部材72とを備えている。
そして、前記上下揺動固定機構60は、前記操作部70が前記締付け位置に位置することで、前記受体62が前記縦オーガ筒15a側へ締付けられ、前記グレンタンク13の前記上下揺動が固定されるようになっている。
本実施の形態では、前記操作部70は、前記グレンタンク13の前部の下側部に配置されており、前記グレンタンク固定用操作部材71及び前記ロック操作部材72が何れもレバー部材とされている。
【0039】
本実施の形態においては、前記上下揺動固定機構60は、前記操作部70における前記グレンタンク固定用レバー71が外側方へ回動されることにより、前記連結部材64が前方へ引っ張られ、該連結部材64に連動して、前記締付けバンド63の一端部が引っ張られ、さらに、前記受体62が前記縦オーガ筒15a側へ締付けられ、前記許容部59の許容がなくなることで、前記グレンタンク13が前記縦オーガ筒15aに締付け固定されるようになっている。そして、この締付け状態は、前記ロックレバー72のフック部72aが前記レバー71の係止部71bに係止されることで維持されるようになっている。
【0040】
前記接続ケース135は、前記グレンタンク13に設けられており、前記縦オーガ筒15aに対する該グレンタンク13の前記上下揺動を許容するように、該縦オーガ筒15aに上下方向Zに沿った軸線回り回動可能に接続される。又、前記接続ケース135は、前記オーガ筒15a,15b内にそれぞれ配設される搬送コンベア151,152及び前記排出コンベア16の前記駆動機構153を収容している。
【0041】
前記コンバイン201は、旋回用アクチュエータによって前記オーガ機構15を旋回軸線(略垂直な軸線)回りに旋回させるように構成されている。
さらに説明すると、図1乃至図5に示すように、前記オーガ機構15において、前記横オーガ筒15bは、前記縦オーガ筒15aを中心にして側方へ回動可能とされている。
【0042】
本実施の形態においては、前記オーガ機構15は、前記旋回用アクチュエータによって前記縦オーガ筒15aが軸線回りに旋回されるようになっている。
即ち、前記オーガ機構15は、前記旋回用アクチュエータによって前記縦オーガ筒15aと前記横オーガ筒15bとが一体的に旋回されるようになっている。
【0043】
詳しくは、前記縦オーガ筒15aは、下端部が軸線方向に延設された延設部151aを有しており、該延設部151aが前記機体フレーム2に設けられた嵌入部2aに上下方向Zに沿った軸線回り回動自在に嵌入されている。
前記縦オーガ筒15aは、中途部にて前記機体フレーム2に立設された支柱部材2’に該支柱部材2’に連設された筒受部材2”を介して回動自在に支持されている。
【0044】
又、前記縦オーガ筒15aは、前記筒受部材2”の下方にギア133aが外嵌固定され、該ギア133aに前記旋回用アクチュエータとして作用するオーガ旋回モータ134であって、前記支柱部材2’を介して前記機体フレーム2に支持されたオーガ旋回モータ134の回転軸134aに嵌設されたギア133bが噛合されている。
前記オーガ旋回モータ134は、後述する制御装置100からの作動信号(情報)が送信されるように、該制御装置100の出力系に電気的に接続されている(図9参照)。
なお、本実施の形態では、前記オーガ旋回モータ134は、電気式のモータとされている。但し、それに限定されるものではなく、油圧式のモータであってもよいし、その他の油圧シリンダでもよい。
【0045】
図2及び図5に示すように、前記縦オーガ筒15a及び前記横オーガ筒15b内には、それぞれ、前記縦搬送コンベア151及び前記横搬送コンベア152が配設されている。
詳しくは、前記縦搬送コンベア151及び前記横搬送コンベア152は、何れもスクリュー式のものである。前記縦搬送コンベア151は、一端部151’が前記駆動機構153に連結され、且つ、他端部151”が前記横搬送コンベア152の一端部152’近傍まで延びている。前記横搬送コンベア152は、一端部152’が前記縦搬送コンベア151の他端部151”に作動連結され、且つ、他端部152”が前記横オーガ筒15bの排出口15b”近傍まで延びている。
【0046】
そして、前記縦搬送コンベア151は、前記駆動機構153を介して伝達される回転駆動により軸線回りに回転されることによって、前記排出コンベア16にて搬送されてくる穀粒が前記横搬送コンベア152に向けて搬送されるように構成されている。
又、前記横搬送コンベア152は、前記縦搬送コンベア151の回転に連動して軸線回り回転されることによって、前記縦搬送コンベア151にて搬送されてくる穀粒が前記横オーガ筒15bの排出口15b”に向けて搬送されるように構成されている。
【0047】
又、図1乃至図5に示すように、前記オーガ機構15において、前記横オーガ筒15bは、前記縦オーガ筒15aの部上に備えられた回動支点により上下方向に回動可能とされている。
本実施の形態においては、前記オーガ機構15は、昇降用アクチュエータによって前記横オーガ筒15bが上下方向に昇降回動されるようになっている。
【0048】
詳しくは、前記横オーガ筒15bは、基端部が前記縦オーガ筒15aの上端部に上下回動可能に枢着されている。
前記昇降用アクチュエータとして作用するオーガ昇降シリンダ130は、油圧制御バルブの切換により伸縮されるように構成されており、一端部が前記縦オーガ筒15a側面より突設されたブラケット131に回動可能に枢着され、且つ、他端部が前記横オーガ筒15b側面より突設されたブラケット132に回動可能に枢着されている。
前記オーガ昇降シリンダ130は、前記制御装置100からの作動信号(情報)が送信されるように、該制御装置100の出力系に電気的に接続されている(図9参照)。
なお、本実施の形態では、前記オーガ昇降シリンダ130は、油圧式のシリンダとされている。但し、それに限定されるものではなく、その他の電気式または油圧式のモータであってもよい。
【0049】
図1乃至図4に示すように、前記横オーガ筒15bの排出口15b”には排出ケース136が設けられている。前記排出ケース136内には、前記横搬送コンベア152を軸支するためにボールベアリングなどからなる軸受け部が形成されている。
前記排出ケース136の下面は開口されており、該開口部の縁に沿って筒形状のスリーブ137が取り付けられている。前記スリーブ137は可撓性の樹脂などで構成され、前記スリーブ137の下端が穀粒排出口138とされている。
斯かる構成を備えることにより、前記オーガ機構15は、前記排出ケース136の下面から落下した穀粒を周囲に飛散させず、前記穀粒排出口138の直下近傍に集中して排出できるようになっている。
【0050】
又、前記コンバイン201は、前記オーガ機構15が収納位置に位置しているか否かを検出する収納位置検出手段54をさらに有している。
本実施の形態においては、前記コンバイン201は、図1、図2及び図4に示すように、前記横オーガ筒15bを収納位置に収納するオーガレスト52を有している。このオーガレスト52は、前記オーガ機構15を使用しないときに該オーガ機構15の前記横オーガ筒15bを受ける受け部材52aと該受け部材52aを支持する支持部材52bとからなっている。前記受け部材52aは、略Y字状に構成されており、上部の載置部における凹部には、前記収納位置検出手段として作用するオーガレストセンサ54であって、前記横オーガ筒15bを検出するためのオーガレストセンサ54が配置されている。
前記オーガレストセンサ54は、前記オーガレスト52の載置部上に前記横オーガ筒15bが載置されているか否かの信号(情報)を前記制御装置100に送信できるように、該制御装置100の入力系に電気的に接続されている(図9参照)。
【0051】
前記重量センサ32は、本実施の形態においては、前記グレンタンク13からの荷重を検出するロードセル型のものであり、該グレンタンク13の前部下方且つ前記機体フレーム2上に配置されている。
【0052】
図7に、前記運転室14における運転操作部を平面から視た図を示す。
図7に示すように、フロントコラム30の操向ハンドル31中央部分には表示手段(ここでは表示パネル)24aが設けられている。又、前記フロントコラム30にはキースイッチ23が設けられている。前記フロントコラム30における操向ハンドル31の側方には、前記オーガ機構15を操作する為のオーガ操作部材20であって、基準位置に対する前記オーガ機構15の旋回角度(ここでは複数の旋回角度)を設定する旋回角度設定手段として作用するオーガ操作部材20が着脱自在且つ遠隔操作可能に設けられている。
【0053】
図8に、前記旋回角度設定手段として作用するオーガ操作部材20の正面図を示す。
図8に示すように、前記オーガ操作部材20は、ワンタッチ操作で前記オーガ機構15を所定旋回位置へ前記旋回軸線回りに旋回させると共に、ワンタッチ操作で該所定旋回位置から収納位置に復帰させる自動モードの操作を担う自動モード操作部21と、手動操作によって前記オーガ機構15を旋回させる手動モードの操作を担う手動モード操作部22とを有している。
前記自動モード操作部21には、表示手段(ここでは表示パネル)24bが設けられており、前記表示手段24bの近傍には、人為操作に基づき初期設定(旋回角度設定)モードに切り替えるモード切替操作部材(ここではモード切替スイッチ)25、オートセット操作部材(ここではオートセットスイッチ)26、警報ブザー27、人為操作に基づき前記オーガ機構15を収納位置に自動的に収納する自動収納スイッチ28、及び穀粒を搬出するオーガクラッチ(図示省略)の入切動作を人為操作に基づき切り替えるオーガクラッチ入/切スイッチ29が設けられている。
【0054】
そして、前記キースイッチ23、前記モード切替操作部材25、前記オートセット操作部材26、前記自動収納スイッチ28及び前記オーガクラッチ入/切スイッチ29は、人為操作に基づく入力信号(情報)が前記制御装置100に入力されるように、該制御装置100の入力系に電気的に接続されている(図9参照)。
又、前記表示手段24a,24b及び前記警報ブザー27は、前記制御装置100からの出力情報が送信されるように、該制御装置100の出力系に電気的に接続されている(図9参照)。
【0055】
前記コンバイン201は、さらに、前記基準位置に対する前記オーガ機構15の旋回角度θsを検出する旋回角度検出手段40を有している。
本実施の形態においては、前記旋回角度検出手段40は、図5に示すように、前記オーガ旋回モータ134の回転軸134aに設けられており、前記基準位置α(後述する図10参照)に対する前記オーガ機構15の旋回角度θs(図10参照)を検出するように構成されている。前記旋回角度検出手段40は、ここでは、ポテンショメータ型の旋回角度検出センサが使用されている。
そして、前記旋回角度検出センサ40は、前記旋回角度θsに関する検出信号(情報)が前記制御装置100に送信されるように、該制御装置100の入力系に電気的に接続されている(図9参照)。
【0056】
次に、本実施の形態に係るオーガ制御装置について図9乃至図11を参照しながら説明する。
図9は、本実施の形態に係るオーガ制御装置の概略構成を示すブロック図である。又、図10は、前記コンバイン201の平面図であって、前記オーガ機構15の旋回角度を説明する為の図である。
【0057】
前記オーガ制御装置は、前記旋回用アクチュエータ134の作動制御を司る前記制御装置100と、前記旋回角度設定手段20と、前記旋回角度検出手段40とを備えている。
そして、前記制御装置100は、前記旋回角度設定手段20による旋回角度θを設定旋回角度(ここでは、複数の旋回角度(θ1,θ2,…)をそれぞれ複数の設定旋回角度)として記憶するように構成され、且つ、該設定旋回角度θ及び前記旋回位置検出手段40による検出値に基づき、前記オーガ機構15が該設定旋回角度θに位置するように前記旋回用アクチュエータ134を作動させる。
本実施の形態に係るオーガ制御装置によれば、前記旋回角度設定手段20によって任意の旋回角度を設定できるので、前記オーガ機構15の所望旋回位置への移動操作を作業性良く行うことが可能になる。
さらに、前記旋回角度設定手段20は、前記基準位置αに対する前記オーガ機構15の複数の旋回角度θ(θ1,θ2,…)を設定し、前記制御装置100は、前記旋回角度設定手段20による複数の旋回角度θ(θ1,θ2,…)をそれぞれ複数の設定旋回角度として記憶するように構成されているので、例えば、圃場毎に任意の旋回角度を設定でき、従って、前記オーガ機構15の所望旋回位置への移動操作をさらに作業性良く行うことが可能になる。
【0058】
さらに説明すると、前記制御装置100は、前記オーガ機構15の収納位置を前記基準位置αとして記憶部102に記憶するように構成されている。
詳しくは、本実施の形態に係るオーガ制御装置は、前記オーガ機構15が収納位置に位置しているか否かを検出する前記収納位置検出手段54をさらに備えている。
そして、前記制御装置100は、前記収納位置検出手段54が前記オーガ機構15の収納位置を検出した時点での前記旋回角度検出手段40の検出値を前記基準位置αとして前記記憶部102に記憶するように構成されて得る。
斯かる構成を備えたオーガ制御装置によれば、前記オーガ機構15の任意の収納位置を前記基準位置αとして設定できるので、前記オーガ機構15の収納位置に関する仕様が互いに異なる複数種類のコンバインに対しても柔軟に対応することができる。
なお、前記オーガ制御装置は、斯かる構成に代えて、前記オーガ機構15の収納位置を設定する収納位置設定手段を備え、前記制御装置100は、前記収納位置設定手段による前記収納位置を前記基準位置αとして前記記憶部102に記憶するように構成されていてもよい。
【0059】
前記制御装置100は、さらに、前記旋回角度設定手段20によって設定された旋回角度θが前記旋回軸線回りの所定角度領域内に入ると判断した場合には、使用者に対して警報を発するように構成されている。
本実施の形態においては、前記所定角度領域が前記オーガ機構15の旋回角度のうち旋回が禁止されている所定の旋回禁止角度領域(具体的には、前記コンバイン201の機体上方及びその近傍に位置する排出不可領域γ(図10参照))とされている。
斯かる構成を備えたオーガ制御装置によれば、使用者は、前記旋回角度設定手段20によって設定された旋回角度θが前記警報の有無によって前記旋回禁止角度領域γ内に入ったか否かを認知できるので、前記旋回角度θの誤った設定を有効に防止できる。
【0060】
前記制御装置100は、前記構成に代えて、或いは、加えて(ここでは、前記構成に加えて)、前記旋回角度設定手段20によって設定された旋回角度θが前記旋回軸線回りの所定角度領域内に入ると判断した場合には、前記旋回角度設定手段20によって再設定されるように構成されている。
斯かる構成を備えたオーガ制御装置によれば、前記旋回角度θの誤った設定を確実に防止できる。
【0061】
前記制御装置100は、さらに、前記オートセット操作部材26に対する第1人為操作に基づき、前記旋回角度設定手段20による複数の旋回角度θ(θ1,θ2,…)をそれぞれ複数の設定旋回角度として前記記憶部102に記憶するように構成されている。
前記制御装置100は、さらに、前記オートセット操作部材26に対する第2人為操作であって、前記第1人為操作とは異なる第2人為操作に基づき、前記旋回用アクチュエータ134の作動を開始するように構成されている。
斯かる構成を備えたオーガ制御装置によれば、前記第1操作と前記第2操作とを一の操作部材で実現できるので、それだけ部材コストの低減を図ることができる。
【0062】
本実施の形態においては、前記オートセット操作部材26は、使用者による押し操作にて作動するオートセットボタンとされており、前記第1人為操作は、前記第2人為操作の際の押し操作より長時間に亘る長押し操作とされている。
【0063】
前記制御装置100は、さらに、前記設定旋回角度θが前記基準位置αに対して平面視左回り位置にあるか平面視右回り位置にあるかを判断し、対応する方向へ前記オーガ機構15が旋回するように前記旋回用アクチュエータ134を作動させる。
斯かる構成を備えたオーガ制御装置によれば、前記オーガ機構15を遠回りさせることなく前記設定旋回角度θに対応する位置に迅速に移動させることができるので、前記オーガ機構15の効率的な旋回動作を実現できる。
【0064】
又、本実施の形態に係るオーガ制御装置は、前記オーガ機構15の旋回位置を表示可能な表示手段をさらに備えている。
なお、本実施の形態に係るオーガ制御装置における表示手段は、前記操向ハンドル31中央部分の前記表示手段24a及び/又は前記オーガ操作部材20の前記表示手段24aとされ得る。即ち、該オーガ制御装置による出力表示は、前記表示手段24a及び/又は前記表示手段24bにて行われる。
前記表示手段24a及び/又は前記表示手段24bの符号は、以下、単に符号24として説明する。
そして、前記制御装置100は、さらに、自動的に又は人為操作に基づき、現在の旋回角度θsを前記表示手段24に表示するように構成されている。
斯かる構成を備えたオーガ制御装置によれば、前記表示手段24によって現在の旋回角度θsを使用者に随時報知できるので、前記オーガ機構15の安全且つ確実な旋回動作を実現できる。
【0065】
前記制御装置100は、図9に示すように、制御部101及び前記記憶部102を備えている。前記記憶部102には、制御プログラムや必要なデータが記憶されており、例えば、ROM102’,RAM102”及び不揮発性メモリ103を含んでいる。
【0066】
詳しくは、前記制御部101は、中央処理装置(以下、CPUという)からなり、各種演算処理を実行する制御演算手段を含んでいる。
前記ROM102’は、制御プログラムを格納したり、所定のデータを記憶するように構成されている。前記CPU101は、前記ROM102’に格納された前記制御プログラムを必要に応じて前記RAM102”にロードして実行するように構成されている。又、前記RAM102”は、前記CPU101による前記制御プログラムの実行の際に使用され、且つ、該実行の際に生成されるデータを一時的に保持するように構成されている。
【0067】
次に、図11のフローチャートを参照しながら本実施の形態に係るオーガ制御装置の制御例を以下に詳述する。図11は、本実施の形態に係るオーガ制御装置の制御例の流れを示すフローチャートである。
【0068】
本実施の形態に係るオーガ制御装置の制御例では、前記自動モードにて前記オーガ機構15を制御するにあたり、先ず、前記モード切替操作部材25に対する人為操作に基づき、初期設定(旋回角度設定)モードに切り替えられたか否かを判断する(ステップS1)。
具体的には、使用者によって前記モード切替スイッチ25が人為操作されたと判断した場合には、ステップS2に移行する一方、前記モード切替スイッチ25が人為操作されていないと判断した場合には、ステップS9に移行する。
なお、前記モード切替操作部材25の有無に拘わらず、前記オートセット操作部材26に対する前記第1人為操作に基づき、初期設定(旋回角度設定)モードに切り替えられたか否かを判断するようにしてもよい。
【0069】
前記ステップS1で初期設定(旋回角度設定)モードに切り替えられたと判断した場合、前記収納位置検出手段54の検出値に基づき、前記オーガ機構15が収納位置に位置しているか否かを判断する(ステップS2)。
具体的には、前記ステップS1で使用者によって前記モード切替スイッチ25が人為操作されたと判断した場合において、前記横オーガ筒15bが収納位置に位置していないと判断した場合には、ステップS3に移行する一方、前記横オーガ筒15bが収納位置に位置していると判断した場合には、ステップS4に移行する。
【0070】
前記ステップS2で前記オーガ機構15が収納位置に位置していないと判断した場合、前記オーガ機構15が収納位置に位置するように前記旋回用アクチュエータ134及び前記昇降用アクチュエータ130を作動させる(ステップS3)。
具体的には、前記ステップS2で前記横オーガ筒15bが収納位置に位置していないと判断した場合には、前記横オーガ筒15bが前記オーガレスト52に位置するように前記オーガ旋回モータ134及び前記オーガ昇降シリンダ130を作動させ、ステップS4に移行する。
【0071】
ステップS4では、前記オーガ機構15の収納位置を前記基準位置αとして前記記憶部102に記憶する。
具体的には、前記旋回角度検出センサ40の検出値を前記基準位置αとして前記不揮発性メモリ103に記憶し、ステップS5に移行する。
【0072】
ステップS5では、前記旋回角度設定手段20によって前記基準位置αに対する1又は2以上の旋回角度θ(θ1,θ2,…)が設定される。
具体的は、前記表示パネル24に前記基準位置αに対する旋回角度θの設定画面を表示し、使用者によって1又は2以上の旋回角度θ(θ1,θ2,…)が設定され、ステップS6に移行する。
【0073】
ステップS6では、前記旋回角度設定手段20によって設定された1又は2以上の旋回角度θ(θ1,θ2,…)が前記旋回禁止角度領域γ内に入っているが否かを判断する。
具体的には、前記1又は2以上の旋回角度θ(θ1,θ2,…)のうち少なくとも一つが前記旋回禁止角度領域γ内に入ると判断した場合には、ステップS7に移行する一方、該旋回角度θ(θ1,θ2,…)の何れもが前記旋回禁止角度領域γ以外にあると判断した場合には、ステップS8に移行する。
【0074】
前記ステップS6で前記1又は2以上の旋回角度θのうち少なくとも一つが前記旋回禁止角度領域γ内に入ると判断した場合、使用者に対して警報を発すると共に、前記旋回角度設定手段20によって再設定される(ステップS7)。
具体的には、該旋回角度θ(θ1,θ2,…)のうち少なくとも一つが前記旋回禁止角度領域γ内に入ると判断した場合には、前記警報ブザー27に作動信号を送信して該警報ブザー27にて警報音を発すると共に、前記表示パネル24に前記旋回禁止角度領域γ内に入った旋回角度θを再設定する設定画面を表示し、前記ステップS5に戻る一方、該旋回角度θ(θ1,θ2,…)の何れもが前記旋回禁止角度領域γ以外にあると判断した場合には、ステップS8に移行する。
なお、ここでは、該旋回角度θ(θ1,θ2,…)が前記旋回禁止角度領域γ内に入る場合には前記警報ブザー27にて警報音を発するが、前記表示手段24にて警報表示を行ったり、警報灯(図示省略)にて警報光を発してもよい。
【0075】
ステップS8では、前記オートセット操作部材26に対する前記第1人為操作に基づき、前記旋回角度設定手段20によって設定された1又は2以上の旋回角度θ(θ1,θ2,…)を設定旋回角度として前記記憶部102に記憶する。
具体的には、前記オートセットスイッチ26が前記第1人為操作に基づく長押し操作されることで、前記旋回角度設定手段20によって設定された1又は2以上の旋回角度θ(θ1,θ2,…)を設定旋回角度として前記不揮発性メモリ103に記憶し、初期設定(旋回角度設定)モードを終了して前記ステップS1に戻る。
なお、前記オートセット操作部材26に対する前記第1人為操作に基づき、初期設定(旋回角度設定)モードに切り替えられる場合、例えば、前記オートセット操作部材26に対する前記第2人為操作に基づき、前記旋回角度設定手段20による旋回角度θを設定旋回角度として前記記憶部102に記憶するようにしてもよい。
【0076】
一方、前記ステップS1で初期設定(旋回角度設定)モードに切り替えられていないと判断した場合、前記オートセット操作部材26に対する前記第2人為操作に基づき、前記旋回用アクチュエータ134の作動が開始されたか否かを判断する(ステップS9)。
具体的には、前記ステップS1で使用者によって前記モード切替スイッチ25が人為操作されていないと判断した場合において、使用者によって前記オートセットスイッチ26が前記第2人為操作されいないと判断した場合には、前記ステップS1に戻る一方、前記オートセットスイッチ26が前記第2人為操作されたと判断した場合には、ステップS10に移行する。
【0077】
ステップS10では、前記旋回角度設定手段20による設定旋回角度θが前記記憶部102に記憶されているか否かを判断する。
具体的には、前記設定旋回角度θが前記不揮発性メモリ103に記憶されていないと判断した場合には、ステップS11に移行する一方、前記設定旋回角度θが前記不揮発性メモリ103に記憶されていると判断した場合には、ステップS12に移行する。
【0078】
前記ステップS10で前記設定旋回角度θが前記記憶部102に記憶されていないと判断した場合、使用者に対して警報を発する(ステップS11)。
具体的には、前記設定旋回角度θが前記不揮発性メモリ103に記憶されていないと判断した場合、その旨を前記表示パネル24に表示し、前記ステップS1に戻る。
【0079】
一方、前記ステップS10で前記設定旋回角度θが前記記憶部102に記憶されていると判断した場合、該記憶部102における設定旋回角度θを該記憶部102から読み出す(ステップS12)。
具体的には、前記設定旋回角度θが前記不揮発性メモリ103に記憶されていると判断した場合、該不揮発性メモリ103から設定旋回角度θを読み出し、該読み出された設定旋回角度θを前記表示パネル24に選択可能に表示し、ステップS13に移行する。
【0080】
ステップS13では、前記記憶部102から読み出された設定旋回角度θのうち、人為操作に基づき、前記オーガ機構15の所望の穀粒排出位置に対応する所望の設定旋回角度θ(例えばθ2)が選択される。
具体的には、前記不揮発性メモリ103から読み出され且つ前記表示パネル24に表示された設定旋回角度θのうち、使用者によって前記横オーガ筒15bの所望の穀粒排出位置に対応する所望の設定旋回角度θ(例えばθ2)が選択され、ステップS14に移行する。
【0081】
ステップS14では、前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)が前記基準位置αに対して平面視左回り位置にあるか平面視右回り位置にあるかを判断する。
具体的には、図10に示すように、前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)が前記基準位置αにおける前記横オーガ筒15bの長手方向に延びる基準線βに対して平面視左回り位置にあると判断した場合には、ステップS15に移行する一方、前記基準線βに対して平面視右回り位置にあると判断した場合には、ステップS16に移行する。
【0082】
ステップS15では、平面視左回りの方向へ前記オーガ機構15が旋回するように前記旋回用アクチュエータ134を作動させる。
具体的には、前記基準線βに対して平面視左回りの方向へ前記横オーガ筒15bが旋回するように前記オーガ旋回モータ134を作動させ、ステップS17に移行する。
【0083】
ステップS16では、平面視右回りの方向へ前記オーガ機構15が旋回するように前記旋回用アクチュエータ134を作動させる。
具体的には、前記基準線βに対して平面視右回りの方向へ前記横オーガ筒15bが旋回するように前記オーガ旋回モータ134を作動させ、ステップS17に移行する。
【0084】
ステップS17では、前記キースイッチ23が入力されたか及び/又は前記オートセット操作部材26が前記第1人為操作されたか否かを判断する。
具体的には、前記キースイッチ23が入力されていない及び/又は前記オートセット操作部材26が前記第1人為操作されていないと判断した場合には、ステップS18に移行する一方、前記キースイッチ23が入力された及び/又は前記オートセット操作部材26が前記第1人為操作されたと判断した場合には、ステップS19に移行する。
【0085】
ステップS18では、前記旋回角度検出手段40によって検出された現在の旋回角度θsが前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)と等しいか又は前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)より大きいか否かを判断する。
具体的には、前記現在の旋回角度θsが前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)より小さいと判断した場合には、前記ステップS17に戻って旋回動作を継続する一方、現在の旋回角度θsが前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)と等しいか又は前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)より大きいと判断した場合には、ステップS21に移行する。
【0086】
一方、ステップS19では、自動的に又は人為操作に基づき、現在の旋回角度θsを前記表示手段24に表示する。
具体的には、前記旋回角度検出手段40によって検出された現在の旋回角度θsを自動的に前記表示パネル24に表示し、ステップS20に移行する。
なお、前記オーガ機構15の旋回角度を示す前記表示パネル24の表示画像は、図10に示すような詳細な画像とすることもできるが、前記表示パネル24の解像度の観点から、図12に示すような模式画像としてもよい。
【0087】
ステップS20では、前記旋回角度検出手段40によって検出された現在の旋回角度θsが前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)と等しいか又は前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)より大きいか否かを判断する。
具体的には、前記現在の旋回角度θsが前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)より小さいと判断した場合には、前記ステップS19に戻って現在の旋回角度θsを前記表示パネル24に表示しつつ旋回動作を継続する一方、現在の旋回角度θsが前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)と等しいか又は前記選択された設定旋回角度θ(例えばθ2)より大きいと判断した場合には、ステップS21に移行する。
なお、前記ステップS17〜S20の動作に代えて、所定の操作部材(例えば、前記オートセット操作部材26や前記モード切替操作部材25など)が人為操作された時のみ現在の旋回角度θsを前記表示手段24に表示するようにしてもよい。
そして、ステップS21で前記オーガ旋回モータ134の作動を停止し、処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、本実施の形態に係るオーガ制御装置を備えたコンバインの左側面図である。
【図2】図2は、図1に示すコンバインの平面図である。
【図3】図3は、図1に示すコンバインの右側面図である。
【図4】図4は、図1に示すコンバインの正面図である。
【図5】図5は、グレンタンク及び穀粒排出装置の右側面図である。
【図6】図6に、上下揺動固定機構を説明するための図を示す。
【図7】図7は、運転室における運転操作部を平面から視た図である。
【図8】図8は、旋回角度設定手段として作用するオーガ操作部材の正面図である。
【図9】図9は、本実施の形態に係るオーガ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、図1に示すコンバインの平面図であって、オーガ機構の旋回角度を説明する為の図である。
【図11】図11は、本実施形態に係るオーガ制御装置の制御例の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、表示手段に表示されたオーガ機構の旋回角度を示す表示画像である。
【符号の説明】
【0089】
15…オーガ機構 20…旋回角度設定手段 24a,24b…表示手段
26…オートセット操作部材 40…旋回角度検出手段 100…制御装置
134…旋回用アクチュエータ 201…コンバイン α…基準位置
θ…オーガ機構の設定旋回角度 θs…オーガ機構の検出旋回角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回用アクチュエータによってオーガ機構を旋回軸線回りに旋回させるように構成されたコンバインのオーガ制御装置であって、
前記旋回用アクチュエータの作動制御を司る制御装置と、
基準位置に対する前記オーガ機構の旋回角度を設定する旋回角度設定手段と、
前記基準位置に対する前記オーガ機構の旋回角度を検出する旋回角度検出手段とを備え、
前記制御装置は、前記旋回角度設定手段による旋回角度を設定旋回角度として記憶するように構成され、且つ、該設定旋回角度及び前記旋回位置検出手段による検出値に基づき、前記オーガ機構が該設定旋回角度に位置するように前記旋回用アクチュエータを作動させることを特徴とするオーガ制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、オートセット操作部材に対する第1人為操作に基づき、前記旋回角度設定手段による旋回角度を設定旋回角度として記憶するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のオーガ制御装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記オートセット操作部材に対する第2人為操作であって、前記第1人為操作とは異なる第2人為操作に基づき、前記旋回用アクチュエータの作動を開始するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のオーガ制御装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記設定旋回角度が前記基準位置に対して左回り位置にあるか右回り位置にあるかを判断し、対応する方向へ前記オーガ機構が旋回するように前記旋回用アクチュエータを作動させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のオーガ制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記オーガ機構の収納位置を前記基準位置として記憶するように構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のオーガ制御装置。
【請求項6】
前記オーガ機構の旋回位置を表示可能な表示手段をさらに備え、
前記制御装置は、自動的に又は人為操作に基づき、現在の旋回角度を前記表示手段に表示するように構成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のオーガ制御装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記旋回角度設定手段によって設定された旋回角度が前記旋回軸線回りの所定角度領域内に入る場合には、使用者に対して警報を発するように構成されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のオーガ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−244296(P2007−244296A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72944(P2006−72944)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】