説明

オーディオ及び変速操作装置の取付構造

【課題】オーディオと変速操作装置のインストルメントパネル内での建て付け精度(位置精度)を向上させることができるオーディオ及び変速操作装置の取付構造を得る。
【解決手段】左右一対のフロアブレース12の下端の取付部12Aがフロアトンネル26に締結固定され、フロアブレース12の上部側にそれぞれシフトブラケット14が溶接により一体的に結合されている。シフトブラケット14の縦壁14Bには変速操作装置が取り付けられている。また、フロアブレース12の上端部12Bにオーディオブラケット16の下端の取付部16Aが溶接により一体的に結合されている。オーディオブラケット16の締結部16Bは、インパネリインフォースメント18に固定されたブラケット20の後壁部20Aに締結固定されており、オーディオブラケット16の縦部材16Cにオーディオが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室前方に配置されるオーディオと変速操作装置を取り付けるためのオーディオ及び変速操作装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、上端がインストルメントパネル内の上側に位置するエアボックスに、下端が車両フロアに、中間部がステアリングメンバ(インパネリインフォースメントに相当)に締結固定されたフロアブレースが配置されており、このフロアブレースに溶接した上側ブラケット及び下側ブラケットに変速操作装置を取り付けた構造が開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、前端がクロスメンバ(インパネリインフォースメントに相当)に溶接されたブラケットの後端にラジオ等の車載機器を取り付けた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−312300号公報
【特許文献2】特開2001−146120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、変速操作装置に加えてオーディオを取り付ける場合、例えば、上記特許文献2に開示されるようにステアリングメンバに溶接されたブラケットの後端にオーディオを取り付けることが考えられる。この場合、変速操作装置を取り付ける上側ブラケット及び下側ブラケットが車両フロアに締結固定されたフロアブレースに溶接で一体化されており、ダッシュサイドパネルに締結固定されたステアリングメンバにオーディオ取付用のブラケットが溶接で一体化される構成となるため、オーディオと変速操作装置のインストルメントパネル内での建て付け精度(位置精度)を出すことが難しい。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、オーディオと変速操作装置のインストルメントパネル内での建て付け精度(位置精度)を向上させることができるオーディオ及び変速操作装置の取付構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明に係るオーディオ及び変速操作装置の取付構造は、車両上下方向に沿って配置され、下端部が車両フロアに固定されたフロアブレースと、前記フロアブレースに一体的に結合され、車室前方に配置される変速操作装置が取り付けられるシフトブラケットと、下端部が前記フロアブレースの上端部に一体的に結合され、車室前方に配置されるオーディオが取り付けられるオーディオブラケットと、車両幅方向両端部が左右の車体骨格部材に固定され、車室前方に車両幅方向に沿って配置されるインストルメントパネルが組付けられると共に、前記オーディオブラケットが直接又は間接的に締結固定されるインパネリインフォースメントと、を有するものである。
【0008】
請求項2記載の本発明に係るオーディオ及び変速操作装置の取付構造は、請求項1記載の発明において、前記フロアブレースは、パイプ材から構成されており、前記フロアブレースの下端部が扁平に潰されて形成され、かつ、前記車両フロアに締結固定される取付孔が形成された取付部を備え、前記フロアブレースの上端部は、潰されることなく断面コ字状に形成された前記オーディオブラケットの内壁面に溶接されているものである。
【0009】
請求項1記載の本発明によれば、車両上下方向に沿って配置されたフロアブレースの下端部が車両フロアに固定され、フロアブレースにシフトブラケットが一体的に結合されており、このシフトブラケットに変速操作装置が取り付けられている。また、フロアブレースの上端部にオーディオブラケットの下端部が一体的に結合されると共に、車両幅方向両端部が左右の車体骨格部材に固定されたインパネリインフォースメントにオーディオブラケットが直接又は間接的に締結固定されており、このオーディオブラケットにオーディオが取り付けられている。すなわち、フロアブレースにシフトブラケットを一体的に結合すると共に、フロアブレースの上端部にオーディオブラケットの下端部を一体的に結合することで、シフトブラケットとオーディオブラケットとを一つの部品として構成したので、オーディオと変速操作装置のインストルメントパネル内での建て付け精度(位置精度)を向上させることができる。
【0010】
請求項2記載の本発明によれば、パイプ材から構成されたフロアブレースの下端部が扁平に潰されて取付部が形成されると共に、取付孔により取付部が車両フロアに締結固定されており、フロアブレースの上端部は、潰されることなく断面コ字状に形成されたオーディオブラケットの内壁面に溶接されている。例えば、従来のようにフロアブレースの上端部をエアボックス等に締結固定する場合には、フロアブレースの上下2箇所を扁平に潰して取付部を形成しなければならず、成形時の作業性が悪いが、本発明では、フロアブレースの下端部のみを扁平に潰して取付部を形成するため、成形時の作業性が向上し、製造コストを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るオーディオ及び変速操作装置の取付構造は、オーディオと変速操作装置のインストルメントパネル内での建て付け精度(位置精度)を向上させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係るオーディオ及び変速操作装置の取付構造(以下、図面の簡単な説明において、適宜「オーディオ等の取付構造」と略す)を、インストルメントパネルを取り除いた状態でかつ車両後方側から見て示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るオーディオ等の取付構造に用いられるフロアブレース、オーディオブラケット及びシフトブラケットの取付状態を示す側面図である。
【図3】第1実施形態に係るオーディオ等の取付構造に用いられるフロアブレース、オーディオブラケット及びシフトブラケットの取付状態を示す背面図である。
【図4A】第1実施形態に係るオーディオ等の取付構造に用いられるフロアブレース及びオーディオブラケットを示す分解斜視図である。
【図4B】図4Aに示すフロアブレースの上端部とオーディオブラケットの下端部を溶接した状態を示す拡大横断面図(図3の4−4線に沿った拡大横断面図)である。
【図5】第2実施形態に係るオーディオ等の取付構造をインストルメントパネルを取り除いた状態でかつ車両後方側から見て示す一部分解斜視図である。
【図6A】比較例に係るオーディオ等の取付構造をインストルメントパネルを取り除いた状態でかつ車両後方側から見て示す斜視図である。
【図6B】比較例に係るオーディオ等の取付構造に用いられるフロアブレース単体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜図4を用いて、本発明に係るオーディオ及び変速操作装置の取付構造の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0014】
図1には、第1実施形態に係るオーディオ及び変速操作装置の取付構造が車両後方側から見た斜視図にて示されている。また、図2には、このオーディオ及び変速操作装置の取付構造に用いられるフロアブレース、オーディオブラケット及びシフトブラケットの車両フロアへの取付状態が側面図にて示されており、図3には、フロアブレース、オーディオブラケット及びシフトブラケットの車両フロアへの取付状態が背面図にて示されている。
【0015】
これらの図に示されるように、オーディオ及び変速操作装置の取付構造10は、略車両上下方向に沿って延在される長尺状のフロアブレース12と、フロアブレース12の車両上下方向中間部の車両後方に一体的に結合されたシフトブラケット14と、フロアブレース12の上端部12Bに一体的に結合されたオーディオブラケット16と、オーディオブラケット16よりも車両前方側で車両幅方向に沿って延在される長尺状のインパネリインフォースメント18と、インパネリインフォースメント18の車両幅方向中間部から車両後方側に延びてオーディオブラケット16が締結固定されるブラケット20と、を含んで構成されている。フロアブレース12、シフトブラケット14、オーディオブラケット16、ブラケット20は、車両幅方向に間隔を空けて左右一対設けられており、車両背面視にて(車両後方側から見て)左右対称の形状とされている(図3等参照)。
【0016】
図4Aに示されるように、フロアブレース12は、円筒状のパイプ材から構成されており、フロアブレース12の下端部には、パイプ材が左右両方向(図3中の車両幅方向における左右両方向)から扁平に潰されることにより取付部12Aが形成されている。図1〜図3に示されるように、左右一対のフロアブレース12は、車両背面視にて取付部12Aより車両上方側がほぼ平行に配置されている。左右一対の取付部12Aは、車両前後方向を含む面を面方向として配置されると共に、下端側に向かうにしたがって徐々に車両幅方向外側に広がるように屈曲されている。取付部12Aには締結固定用の取付孔13が形成されている。なお、本実施形態では、取付孔13は長孔であるが、円形孔であってもよい。
【0017】
車室22(図2参照)の車両下方側には、車両幅方向及び車両前後方向に延在する車両フロアとしてのフロアパネル24が配設されている。フロアパネル24の車両幅方向中央部には、車両上方側に突出する断面略ハット状のフロアトンネル26(車両フロア)が車両前後方向に沿って延在されている。フロアブレース12の取付部12Aは、フロアトンネル26の側面部に面接触状態で配置されており、取付孔13及びフロアトンネル26に形成された取付孔(図示省略)にフロアブレース12側からボルト28が挿通されてフロアトンネル26側のウェルドナット30(図3参照)に螺合されることで、フロアブレース12の取付部12Aがフロアトンネル26の側面部に締結固定されている。なお、図示を省略するが、フロアトンネル26の車両下部側にアンダーリインフォースを配設し、フロアブレース12の取付部12Aをフロアトンネル26及びアンダーリインフォースに締結固定する構成としてもよい。
【0018】
シフトブラケット14は、車両側面視にて略ハット形状に形成されており、フロアブレース12の中間部から上部側に車両後方側に突出するように配設されている。シフトブラケット14は、略車両前後方向に配置された上壁14Aと、上壁14Aの後端部から車両下方側に屈曲された縦壁14Bと、縦壁14Bの下端部から車両前方側に屈曲された下壁14Cと、を備えている。上壁14Aの前端部に形成された湾曲面状の取付部14Dがフロアブレース12の上部に溶接にて結合され、下壁14Cの前端部に形成された湾曲面状の取付部14Eがフロアブレース12の中間部に溶接にて結合されることで、フロアブレース12とシフトブラケット14とが一体化されている。シフトブラケット14の縦壁14Bには、車両上下方向に間隔をおいて車両後方側に突き出すようにスタッドボルト32が固定されている。
【0019】
シフトブラケット14には、車室22前方に配置される変速操作装置40が取り付けられている(図2及び図3参照)。車両背面視にて略矩形状の変速操作装置40の4隅には取付部40Aが形成されており、取付部40Aに形成された取付孔がシフトブラケット14のスタッドボルト32に挿入されて車室22側からナット42が螺合されることで変速操作装置40がシフトブラケット14に取り付けられている。
【0020】
図3、図4A及び図4B等に示されるように、オーディオブラケット16は、略車両上下方向に沿って配置されており、下端部にはフロアブレース12の上端部12Bに一体的に結合される取付部16Aが形成されている。さらに、オーディオブラケット16には、取付部16Aと隣接する位置に形成されてブラケット20に締結固定される締結部16Bと、締結部16Bの上部側に形成されて車室22前方に配置されるオーディオ50が取り付けられる縦部材16Cとが設けられている。
【0021】
取付部16Aは、断面略「コ」字状に形成されており、取付部16Aの内壁面がフロアブレース12の上端部12Bの外周面に接触するように配置された状態で、断面視にて左右二箇所の溶接により取付部16Aとフロアブレース12とが一体的に結合されている(図4B参照)。
【0022】
締結部16Bは、車両幅方向に沿った取付面を備えており、その取付面に締結固定用の取付孔17が形成されている。締結部16Bの取付面は、ブラケット20の後壁部20A(図1参照)に面接触状態で配置されてオーディオブラケット16側から取付孔17にボルト34が挿通されてブラケット20側のナット(図示省略)に螺合されることで、オーディオブラケット16がブラケット20の後壁部20Aに締結固定されている。なお、図2及び図3では、ブラケット20は図示を省略している。
【0023】
左右一対のオーディオブラケット16の縦部材16Cは、車両幅方向に沿った面を備えると共に、締結部16Bから上端側に向かうにしたがって徐々に車両幅方向外側に広がるように湾曲して形成されている(図3等参照)。縦部材16Cの上部には、オーディオ50が取り付けられる取付孔36が車両上下方向に間隔をおいて形成されている。
【0024】
車両背面視にて略矩形状のオーディオ50の車両幅方向両側には、オーディオブラケット16の縦部材16Cに沿って取付部50Aが形成されている。そして、取付部50Aの前面が縦部材16Cの後面に面接触状態で配置されて縦部材16Cの取付孔36及び取付部50Aの取付孔に車室22側からボルト52が挿通されてオーディオブラケット16側のナット(図示省略)に螺合されることで、オーディオ50がオーディオブラケット16の縦部材16Cに取り付けられている。
【0025】
図1に示されるように、インパネリインフォースメント18は、乗員側から見て車両幅方向左側(運転席側)に配置された大径のパイプ材18Aと、車両幅方向右側(助手席側)に配置されパイプ材18Aよりも小径のパイプ材18Bと、パイプ材18Aからパイプ材18Bまでの間で外径が徐々に小さくなる繋ぎ部18Cと、を備えている。インパネリインフォースメント18は金属製とされている。図示を省略するが、インパネリインフォースメント18には、車室22の前方に車両幅方向に沿って配置されるインストルメントパネル60が組み付けられている(図2参照)。フロアブレース12と、シフトブラケット14と、オーディオブラケット16と、インパネリインフォースメント18は、インストルメントパネル60の内側に配設されている。インストルメントパネル60は、車両幅方向に沿って延在される内装パネル材として構成されており、運転席及び助手席の前方に配置されている。オーディオ50の車室22側の面と、変速操作装置40の車室22側の面は、インストルメントパネル60の表面に沿って配置されている(図2参照)。
【0026】
パイプ材18Aの車両幅方向の左側端部には、その外周面を囲むようにブラケット54が溶接により固定されており、パイプ材18Bの車両幅方向の右側端部には、その外周面を囲むようにブラケット56が溶接により固定されている。ブラケット54、56には上下一対の板状の取付部54A、56Aが形成されている。取付部54A、56Aには締結固定用の取付孔55、57が形成されている。取付部54A、56Aの前面は、それぞれ車両の両側部に配置された車両骨格部材としてのフロントピラーのインナパネル(図示省略)の後面に面接触状態で配置されて図示しないボルトとナットにより締結固定されている。
【0027】
ブラケット20は、前端部がインパネリインフォースメント18のパイプ材18Bに溶接により固定されており、車両後方側に延設されている。ブラケット20の後端部は車両下方側に屈曲されて後壁部20Aが形成されており、その後壁部20Aに前述のようにオーディオブラケット16の締結部16Bがボルト34とナット(図示省略)により締結固定されている。
【0028】
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0029】
オーディオ及び変速操作装置の取付構造10では、左右一対のフロアブレース12の下端の取付部12Aがフロアトンネル26に固定され、フロアブレース12の中間部から上部にそれぞれシフトブラケット14が溶接により一体的に結合されており、これらの左右一対のシフトブラケット14の縦壁14Bに変速操作装置40が取り付けられている。また、左右一対のフロアブレース12の上端部12Bにそれぞれオーディオブラケット16の下端の取付部16Aが溶接により一体的に結合されており、オーディオブラケット16の締結部16Bは、両端部がフロントピラーのインナパネル(図示省略)に締結固定されたインパネリインフォースメント18の左右一対のブラケット20に締結固定されている。左右一対のオーディオブラケット16の縦部材16Cにはオーディオ50が取り付けられている。すなわち、この構成ではフロアブレース12にシフトブラケット14を溶接により一体化すると共に、フロアブレース12の上端部12Bにオーディオブラケット16の取付部16Aを溶接により一体化することで、シフトブラケット14とオーディオブラケット16とを一つの部品として構成したので、インストルメントパネル60内でのオーディオ50と変速操作装置40の建て付け精度(位置精度)を向上させることができる。
【0030】
また、パイプ材から構成されたフロアブレース12の下端部が扁平に潰されて取付部12Aが形成されており、フロアブレース12の上端部12Bは、潰されることなくオーディオブラケット16の断面「コ」字状の取付部16Aに溶接されている。これによって、フロアブレース12を扁平に潰す工程は、フロアブレース12の下端部のみとなるため(単発1工程)、成形時の作業性が向上し、製造コストを低減できる。
【0031】
また、フロアブレース12、シフトブラケット14及びオーディオブラケット16は、車両幅方向に間隔を空けて左右一対設けられており、オーディオ50及び変速操作装置40を安定して取り付けることができる。
【0032】
図6Aには、比較例に係るオーディオ及び変速操作装置の取付構造100が斜視図にて示されている。この図に示されるように、オーディオ及び変速操作装置の取付構造100には、角材から構成された左右一対のフロアブレース102が設けられており、フロアブレース102の上部は、車両前方側に斜め方向に屈曲されてインパネリインフォースメント18のパイプ材18Bまで延設されている。図6A及び図6Bに示されるように、フロアブレース102は、下端部を略車両幅方向に扁平に潰して形成した取付部102Aと、上端部を略車両前後方向に扁平に潰して形成した取付部102Bと、を備えている。取付部102Aには取付孔13が形成されており、ボルト28とナット(図示省略)により取付部102Aがフロアトンネル26に締結固定されている。取付部102Bには取付孔103が形成されており、ボルト110とナット(図示省略)により取付部102Bがインパネリインフォースメント18のパイプ材18Bに締結固定されている。
【0033】
フロアブレース102の車両上下方向中間部には、略「コ」字状に形成されたシフトブラケット104の両端部が溶接により固定されている。シフトブラケット104に設けられたスタッドボルト32には、図示しない変速操作装置が取り付けられている。
【0034】
また、インパネリインフォースメント18のパイプ材18Bには、2本のフロアブレース102の間に車両後方側に延びた左右一対のオーディオブラケット106が設けられている。オーディオブラケット106の前端部106Aはパイプ材18Bに溶接により固定されている。また、オーディオブラケット106には、後端部が車両下方側に屈曲されて取付部106Bが形成されており、取付部106Bには締結固定用の取付孔107が設けられている。オーディオブラケット106の取付部106Bには、図示しないオーディオが取り付けられている。
【0035】
このオーディオ及び変速操作装置の取付構造100では、両端部がフロントピラーのインナパネル(図示省略)に締結固定されたインパネリインフォースメント18のパイプ材18Bにオーディオブラケット106が溶接により一体化されており、フロアトンネル26に締結固定されたフロアブレース102にシフトブラケット104が溶接により一体化されている。このため、オーディオと変速操作装置のインストルメントパネル(図示省略)内での建て付け精度(位置精度)を出すことが難しい。
【0036】
また、フロアブレース102の上下2箇所の取付部102A、102Bを扁平に潰して形成しなければならず、成形時の作業性が悪い(単発2工程)。
【0037】
これに対して、本実施形態のオーディオ及び変速操作装置の取付構造10では、フロアブレース12にシフトブラケット14を溶接により一体化すると共に、フロアブレース12の上端部12Bにオーディオブラケット16の下端の取付部16Aを溶接により一体化することで、シフトブラケット14とオーディオブラケット16とを一つの部品として構成したので、オーディオ50と変速操作装置40のインストルメントパネル60内での建て付け精度(位置精度)を向上させることができる(図1等参照)。
【0038】
また、フロアブレース12の下端部のみを扁平に潰して取付部12Aを形成するため、成形時の作業性が向上し(単発1工程)、製造コストを低減できる。
【0039】
次に、図5を用いて、本発明に係るオーディオ及び変速操作装置の取付構造の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0040】
図5に示されるように、本実施形態のオーディオ及び変速操作装置の取付構造70は、インパネリインフォースメント18のパイプ材18Bに、第1実施形態の左右一対のブラケット20(図1参照)に代えて、左右一対のスタッドボルト72が固定されている。スタッドボルト72は、インパネリインフォースメント18のパイプ材18Bから車両後方側に突き出すように設けられている。オーディオブラケット16の締結部16Bをパイプ材18Bに締結固定する際は、締結部16Bに形成された取付孔17をスタッドボルト72に挿入し、オーディオブラケット16側からナット74を螺合させる。これによって、インパネリインフォースメント18のパイプ材18Bにオーディオブラケット16が締結固定されている。図1等に示す第1実施形態のオーディオ及び変速操作装置の取付構造10では、インパネリインフォースメント18のパイプ材18Bにブラケット20を介して間接的にオーディオブラケット16が締結固定されているが、本実施形態では、インパネリインフォースメント18のパイプ材18Bにスタッドボルト72とナット74により直接オーディオブラケット16が締結固定されている。
【0041】
このオーディオ及び変速操作装置の取付構造70では、フロアブレース12にシフトブラケット14を溶接により一体化すると共に、フロアブレース12の上端部12Bにオーディオブラケット16の下端の取付部16Aを溶接により一体化することで、シフトブラケット14とオーディオブラケット16とを一つの部品として構成したので、オーディオと変速操作装置のインストルメントパネル(図示省略)内での建て付け精度(位置精度)を向上させることができる。これに加えて、インパネリインフォースメント18のパイプ材18Bにスタッドボルト72とナット74により直接オーディオブラケット16を締結固定するので、部品点数を削減することができる。
【0042】
なお、フロアブレース12、シフトブラケット14、オーディオブラケット16、インパネリインフォースメント18の形状は、第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、フロアブレース12の下端部のフロアトンネル26(又はフロアパネル24)への取付構造も適宜変更が可能である。
【0043】
また、変速操作装置40をシフトブラケット14に取り付ける構成、オーディオ50をオーディオブラケット16に取り付ける構成は、第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 オーディオ及び変速操作装置の取付構造
12 フロアブレース
12A 取付部(下端部)
12B 上端部
13 取付孔
14 シフトブラケット
16 オーディオブラケット
16A 取付部(下端部)
18 インパネリインフォースメント
20 ブラケット
22 車室
24 フロアパネル
26 フロアトンネル(車両フロア)
40 変速操作装置
50 オーディオ
60 インストルメントパネル
70 オーディオ及び変速操作装置の取付構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上下方向に沿って配置され、下端部が車両フロアに固定されたフロアブレースと、
前記フロアブレースに一体的に結合され、車室前方に配置される変速操作装置が取り付けられるシフトブラケットと、
下端部が前記フロアブレースの上端部に一体的に結合され、車室前方に配置されるオーディオが取り付けられるオーディオブラケットと、
車両幅方向両端部が左右の車体骨格部材に固定され、車室前方に車両幅方向に沿って配置されるインストルメントパネルが組付けられると共に、前記オーディオブラケットが直接又は間接的に締結固定されるインパネリインフォースメントと、
を有するオーディオ及び変速操作装置の取付構造。
【請求項2】
前記フロアブレースは、パイプ材から構成されており、前記フロアブレースの下端部が扁平に潰されて形成され、かつ、前記車両フロアに締結固定される取付孔が形成された取付部を備え、
前記フロアブレースの上端部は、潰されることなく断面コ字状に形成された前記オーディオブラケットの内壁面に溶接されている請求項1に記載のオーディオ及び変速操作装置の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2012−71765(P2012−71765A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219405(P2010−219405)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】