説明

オーディオ装置、音響再生方法

【課題】 頭部や耳介の形状の個人差にかかわらず、前方の仮想スピーカから音が到来するようにできる。
【解決手段】 スピーカ2、3が座席に有る状態で同定部30により測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホン6、7で拾った音から第1の頭部音響伝達関数を同定し、スピーカ2、3を前方に移動した状態で再び測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホン6、7で拾った音から第2の頭部音響伝達関数を同定し、同定した伝達関数を用いて、補正用伝達関数決定部40は、スピーカ2、3が座席に有る状態で音を発したときに前方の仮想スピーカから発せられたようにオーディオ信号に畳み込む補正用伝達関数を決定する。信号処理部11はオーディオ信号に補正用伝達関数を畳み込み、スピーカ出力信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオーディオ装置、音響再生方法に係り、とくに車両やホームシアターなどの座席に取り付けたスピーカにより音響再生するオーディオ装置、音響再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ装置では、スピーカで再現された音像がユーザの前方に定位したときに生演奏を聴取している如く自然に感じる。ところが、たとえば車両の車室内は狭く特に運転席や助手席の前方にはハンドル、計器類、エアコン用吐出口、ヘッドユニット、ナビゲーション装置などが配置されるためスピーカを配置するための適当なスペースがない。このため、従来は、フロントスピーカを車両の左右のドアに組み込んでいる。この場合、搭乗者の耳とは全く違う方向に向けてスピーカを設置することになる。さらに、左右のスピーカから搭乗者の耳までの距離も大きく異なる上、車室内で音響が複雑に反射して、音像を正しく定位させることは非常に困難であった。左右のスピーカを個々の搭乗者の耳の近くの前方に配置できれば上述の問題は回避できるが、非常に邪魔であり現実的でない。また、左右のスピーカをヘッドレストの両側に設置した場合は、搭乗者の耳までの距離や左右のバランスは問題ないが、音像は後方に定位してしまう。
【0003】
これらの問題を解決するために、左右のスピーカを搭乗者の後方に設置した上で、音像は前方に定位させるという方法が考えられてきた。座席のヘッドレストの両側に左右のスピーカを設置して、信号処理により、恰も前方に仮想スピーカが配置された如く音像を前方に定位させる方法である。人の聴覚では音の左右方向の到来は音源から左右の耳への到達時間差で識別する。また、前後方向の到来は、到来方向の相違により耳周辺での反射状況が変わり、音源が前方に有る場合と後方に有る場合とで周波数特性の差が生じ、この差で識別している。この音源から出た音と人の耳に入る音との相関を、頭部音響伝達関数と呼んでいて、音源が前方にある場合と後方にある場合とで頭部音響伝達関数は異なる。音源が後方でも、前方の音源から出た音に頭部音響伝達関数を畳み込んだのと同じになるように耳に入る音を制御できれば、前方から音が来ているかのように人は知覚する。例えば、特開2004−135023の発明では、搭乗者の後方空間に設置されたスピーカから出力する音響信号を、頭部音響伝達関数に基づいた補正処理を行った信号とすることで、聴取位置の前方空間に音像定位させるようにしている(特許文献1)。
【0004】
ところで、頭部や耳介の形状には個人差があり、耳周辺での音の反射状況は人によって大きく異なり、頭部音響伝達関数も非常に個人差が大きい。特許文献1の発明では、ダミーヘッドの人口耳に埋め込んだマイクロホンによりインパルス応答を測定し、標準的な人の頭部音響伝達関数を決定しているだけなので、実際のユーザの頭部音響伝達関数との間に大きなずれが生じてしまう。このため、標準から頭部や耳介の形状がずれた多くのユーザでは、正しく前方に音像定位しない欠点があった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−135023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑み、ユーザの頭部や耳介の形状の個人差にかかわらず、前方の仮想スピーカから音が到来するようにできるオーディオ装置、音響再生方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のオーディオ装置では、座席に取り付けられた1または複数のスピーカと、音が仮想の前方スピーカから発せられたようにする補正用伝達関数をオーディオ信号に畳み込んでスピーカ出力用の信号を生成する信号処理手段と、を備えたオーディオ装置において、着座者の耳の位置の音を拾うマイクロホンと、前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホンにより拾った音からスピーカと着座者の耳の間の第1の伝達関数を同定し、前記1または複数のスピーカを着座者の前方に移動した状態で測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホンにより拾った音からスピーカと着座者の耳の間の第2の伝達関数を同定する同定手段と、同定された第1、第2の伝達関数を用いて、前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で音を発したときに着座者に対し前方の仮想スピーカから発せられたようにオーディオ信号に畳み込む補正用伝達関数を決定する補正用伝達関数決定手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明に係るオーディオ装置の1つの実施の態様では、第1、第2の伝達関数の同定は適応フィルタを用いた学習で行なうようにしたこと、を特徴としている。
本発明に係るオーディオ装置の他の1つの実施の態様では、前記第1、第2の伝達関数の同定と補正用伝達関数の決定は、着座者毎に行なうようにしたこと、を特徴としている。
本発明に係るオーディオ装置の他の1つの実施の態様では、前記マイクロホンは外耳道に挿入するか、または、耳孔近くに設置するようにしたこと、を特徴としている。
本発明に係るオーディオ装置の他の1つの実施の態様では、前記1または複数のスピーカを、座席と着座者の前方との間で移動自在とするスピーカ支持手段を設けたこと、を特徴としている。
本発明の音響再生方法では、座席に取り付けられた1または複数のスピーカを座席と着座者の前方との間で移動可能としておき、前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホンにより拾った音からスピーカと着座者の耳の間の第1の伝達関数を同定するとともに、前記1または複数のスピーカを着座者の前方に移動した状態で測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホンにより拾った音からスピーカと着座者の耳の間の第2の伝達関数を同定し、同定された第1、第2の伝達関数を用いて、前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で音を発したときに着座者に対し仮想の前方スピーカから発せられたようにオーディオ信号に畳み込む補正用伝達関数を決定し、前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で、前記補正用伝達関数をオーディオ信号に畳み込みスピーカに出力するようにしたこと、を特徴としている。
本発明に係る音響再生方法の1つの実施の態様では、前記第1、第2の伝達関数の同定と補正用伝達関数の決定は、着座者毎に行なうようにしたこと、を特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1または複数のスピーカが座席に有る状態で測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホンにより拾った音からスピーカと着座者の耳の間の第1の伝達関数を同定し、前記1または複数のスピーカを着座者の前方に移動した状態で測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホンにより拾った音からスピーカと着座者の耳の間の第2の伝達関数を同定し、これら同定した第1、第2の伝達関数を用いて、前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で音を発したときに着座者に対し前方の仮想スピーカから発せられたようにオーディオ信号に畳み込む補正用伝達関数を決定するようにしたので、着座者の頭部や耳介に適合した補正用伝達関数をオーディオ信号に畳み込むことができ、前方への音像定位を正しく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の最良の形態を実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0010】
図1を参照して本発明の第1実施例を説明する。図1は本発明に係る車室内音響再生方法を具現した車両用オーディオ装置の構成を示す構成図である。
図1において、1は車両の座席に取り付けられたヘッドレスト、2と3はヘッドレストに取り付けられた左スピーカと右スピーカ、4は左スピーカ2を支持するアームであり、ヘッドレスト1に設けられた図示しないアーム用支持機構により、ヘッドレスト1の中に収納された状態から左方へ伸長したあと、前方へ折り曲げ可能になっている。5は右スピーカ3を支持するアームであり、ヘッドレスト1に設けられた図示しないアーム用支持機構により、ヘッドレスト1の中に収納された状態から右方へ伸張したあと、前方へ折り曲げ可能になっている。着座者Pが音楽を聴取する通常時は、左右スピーカ2、3はヘッドレスト1の両側に固定し、耳の後方に位置させておく(図1の状態)。左右スピーカ2、3と耳の距離が短いため、車室内の反射の影響が小さく、オーディオ信号に対する意図的な音場制御も正確に実行できる。また、スピーカ出力音量も小さくて済むので、車外への音漏れやアンプの発熱を抑えることもできる。
【0011】
通常時の左右スピーカ2、3と着座者Pの耳の間の第1の頭部音響伝達関数の測定は、図1のようにヘッドレスト1の両側に左右スピーカ2、3を固定した状態で行い、左右スピーカ2、3を前方に配置した時の第2の頭部音響伝達関数の測定は、アーム4、5を左右に伸長し(図2の矢印A、B参照)、前方へ直角に折り曲げて左右スピーカ2、3を耳の前方に位置させた状態で行う(図2の矢印C、D、図1の符号2A、3A参照)。
また、6、7は着座者Pが左右の外耳道に挿入、または耳孔近くに設置して収音する左右マイクロホンであり、左右スピーカ2、3と着座者Pの耳の間の頭部音響伝達関数の測定時のみ使用する。8、9はマイクロホン入力を増幅するマイクロホンアンプである。
【0012】
10はオーディオソース機器であり、ここでは2チャンネルのディジタルオーディオ信号SL(n)、SR(n)を出力するものとする。nはサンプル周期Tの離散数列であることを表す。11は信号処理部であり、オーディオ信号に音が仮想の前方スピーカから発せられたように補正用伝達関数を畳み込んで2チャンネルのスピーカ出力信号SLOUT (n)、SROUT (n)を生成する。
【0013】
ここで、信号処理部11の動作原理について説明する。
信号と伝達関数を離散時間系からz変換したz領域で表現するものとして、図3に示す如く、左右スピーカ2、3が後方の通常位置にあるときの左スピーカ2から左耳までの伝達関数をHLL1(z)、右スピーカ3から右耳までの伝達関数をHRR1(z)、左スピーカ2から右耳へのクロストーク経路の伝達関数をHLR1(z)、右スピーカ2から左耳へのクロストーク経路の伝達関数をHRL1(z)とし、左スピーカ2の入力をSLOUT (z)、右スピーカ3の入力をSROUT (z)、左マイクロホン6の出力をML1(z)、右マイクロホン7の出力をMR1(z)とすると、
MR1(z)=SLOUT (z)×HLR1(z)+SROUT (z)×HRR1(z) ・・・(1)
ML1(z)=SLOUT (z)×HLL1(z)+SROUT (z)×HRL1(z) ・・・(2)
となる。
また、図4に示す如く、左右スピーカ2、3が前方所定位置に移動したときの左スピーカ2から左耳までの伝達関数をHLL2(z)、右スピーカ3から右耳までの伝達関数をHRR2(z)、左スピーカ2から右耳へのクロストーク経路の伝達関数をHLR2(z)、右スピーカ2から左耳へのクロストーク経路の伝達関数をHRL2(z)とし、左スピーカ2の入力をSL、右スピーカ3の入力をSR、左マイクロホン6出力をML2(z)、右マイクロホン7の出力をMR2(z)とすると、
MR2(z)=SL(z)×HLR2(z)+SR(z)×HRR2(z)
・・・(3)
ML2(z)=SL(z)×HLL2(z)+SR(z)×HRL2(z)
・・・(4)
となる。以下では、z領域表現の(z)を省略して記す。
右耳側でMR1=MR2となるためには、(1)、(3)から、
SLOUT ×HLR1+SROUT ×HRR1=SL×HLR2+SR×HRR2 ・・・(5)
が成立すれば良い。
同様に、左耳側でML1=ML2となるためには、(2)、(4)から、
SLOUT ×HLL1+SROUT ×HRL1=SL×HLL2+SR×HRL2 ・・・(6)
が成立すれば良い。
((5)式×HLL1−(6)式×HLR1)を計算すると、
SROUT (HLL1×HRR1−HLR1×HRL1)=SL(HLL1×HLR2−HLR1×HLL2)+SR(HLL1×HRR2−HLR1×HRL2)
・・・(7)
((5)式×HRL1−(6)式×HRR1)を計算すると、
SLOUT (HRL1×HLR1−HRR1×HLL1)=SL(HRL1×HLR2−HRR1×HLL2)+SR(HRL1×HRR2−HRR1×HRL2)
・・・(8)
ここで、
HLC=(HLL1×HLR2−HLR1×HLL2)/(HLL1×HRR1−HLR1×HRL1) ・・・(9)
HRS=(HLL1×HRR2−HLR1×HRL2)/(HLL1×HRR1−HLR1×HRL1) ・・・(10)
HLS=(HRL1×HLR2−HRR1×HLL2)/(HRL1×HLR1−HRR1×HLL1) ・・・(11)
HRC=(HRL1×HRR2−HRR1×HRL2)/(HRL1×HLR1−HRR1×HLL1) ・・・(12)
とすると、
(7)、(8)式から、
SROUT =SL×HLC+SR×HRS ・・・(13)
SLOUT =SL×HLS+SR×HRC ・・・(14)
(13)、(14)式より、オーディオ信号SL、SRに各々伝達関数HLC、HRSを畳み込んで加算した信号SROUT を、後方の通常位置にある右スピーカ3に出力し、オーディオ信号SL、SRに各々伝達関数HLS、HRCを畳み込んで加算した信号SLOUT を、後方の通常位置にある左スピーカ2に出力すれば、恰も、オーディオ信号SL、SRを各々前方所定位置に移動した左スピーカ2、右スピーカ3に出力した時と等価な音となる。つまり、後方の通常位置の左右スピーカ2、3から(14)、(13)式に基づくSLOUT 、SROUT を出力すれば、恰も左右スピーカ2、3が前方に配置されている時と同じ音像が得られることが判る。
【0014】
信号処理部11は具体的には図5に示す如く、係数を可変設定できる多段のFIRフィルタ12、13、14、15を有し、各FIRフィルタ12、13、14、15に補正用伝達関数HLS、HRC、HLC、HRSを模擬したタップ係数がセットされる。オーディオ信号SL(n)がFIRフィルタ12と14に入力されてFIRフィルタ12と14に設定された補正用伝達関数HLS、HLCが畳み込まれ、オーディオ信号SR(n)がFIRフィルタ13と15に入力されてFIRフィルタ13と15に設定された補正用伝達関数HRC、HRSが畳み込まれる。FIRフィルタ12、13の出力が加算器16で加算されて左スピーカ用のオーディオ出力信号SLOUT (n)が生成され、FIRフィルタ14、15の出力が加算器17で加算されて右スピーカ用のオーディオ出力信号SROUT (n)が生成される。出力信号SLOUT (n)は後述するスイッチSW1のa側に入力され、出力信号SROUT (n)は後述するスイッチSW2のa側に入力される。
【0015】
20はスピーカ駆動部であり、SW1は左スピーカ用のオーディオ出力信号SLOUT と後述する同定部30から入力したホワイトノイズWNを選択して出力するスイッチ、SW2は右スピーカ用のオーディオ出力信号SROUT とホワイトノイズ信号WNを選択して出力するスイッチ、21と22はスイッチSW1、SW2の出力をアナログ信号に変換するD/A変換器、23と24はアナログ信号を電力増幅するアンプであり、各々左スピーカ2と右スピーカ3を駆動する。
【0016】
30は左右スピーカ2、3と着座者Pの耳の間の頭部音響伝達関数を適応フィルタを用いた学習により同定する同定部であり、この内、31は測定音響信号としてのディジタルホワイトノイズWNを発生するホワイトノイズ発生器、32は一定時間遅延する遅延器、33は適応フィルタであり、多段の係数可変なFIRフィルタからなり、遅延器32の出力x(n)を入力する係数可変フィルタ34と、遅延器32の出力x(n)を入力し、たとえばLMS適応アルゴリズムにより係数可変フィルタ34の出力y(n)とマイクロホン入力と誤差e(n)のパワー(2乗時間平均)が最小となるように係数を更新する係数更新部35からなる。SW3はマイクロホンアンプ8と9の出力を選択するスイッチ、36はSW3の出力をA/D変換するA/D変換器、37は減算器であり、A/D変換器36から入力したマイクロホン入力と係数可変フィルタ34の出力の差を計算し、誤差e(n)を出力する。遅延器32は、D/A変換器21、22による時間遅延τ1、A/D変換器36による時間遅延τ2、左右スピーカ2、3から左右マイクロホン6、7までの伝播時間τ3に対する時間調整用であり、τ1+τ2+τ3−αに設定されている(なお、τ3は、スピーカ位置とマイクロホン位置の組合せの内、一番離れた組合せの間の時間とする。また、αは実験的に最適値が求められる)。適応フィルタ33により、左右スピーカ−左右マイクロホン間の頭部音響伝達関数を模擬したフィルタ係数が得られる。
【0017】
40は補正用伝達関数決定部であり、同定部30で同定された頭部音響伝達関数を用いて(9)〜(12)式により、HLC、HRS、HLS、HRCを決定する。補正用伝達関数決定部40は具体的には、図6の如く構成されており、41〜48は2つづつ縦続接続された8つの多段のFIRフィルタ、49はFIRフィルタ42の出力から44の出力を減算する減算器、50はFIRフィルタ46の出力から48の出力を減算する減算器、51は減算器49の出力を数サンプル周期程度遅延する遅延器である。52は適応フィルタであり、減算器50の出力x(n)を入力する多段の係数可変フィルタ53と、減算器50の出力x(n)を入力し、たとえばLMS適応アルゴリズムにより係数可変フィルタ53の出力y(n)と遅延器51の出力d(n)との誤差e(n)のパワー(2乗時間平均)が最小となるように係数を更新する係数更新部54からなる。55は減算器であり、遅延器51の出力と係数可変フィルタ53の出力の差を計算し、誤差e(n)を出力する。56はディジタルホワイトノイズを発生するホワイトノイズ発生器であり、ホワイトノイズがFIRフィルタ41、43、45、47に入力される。
例えば、(9)式のHLCを決定したい場合、FIRフィルタ41〜48に、各々HLL1、HLR2、HLR1、HLL2、HLL1、HRR1、HLR1、HRL1を模擬した係数をセットし、ホワイトノイズをFIRフィルタ41、43、45、47に入力した状態で適応処理を行い、誤差eのパワーが最小となるように係数更新部54で係数更新を行なう。収束後に係数可変フィルタ53のタップ係数としてHLCが得られる。このHLCを模擬した係数は図5の信号処理部11のFIRフィルタ14にセットされる。他のHRS、HLS、HRCについても同様にして、(10)〜(12)式に従い、FIRフィルタ41〜48に頭部音響伝達関数を模擬した係数をセットし、適応処理を行なうことで、HRS、HLS、HRCを決定できる。
【0018】
50は記憶部であり、例えば4人分の着座者P1乃至P4の別に、着座者識別情報(ここではA乃至Dから選択された1つ)と補正用伝達関数HLC、HRS、HLS、HRCの組を記憶する。51は操作部であり、各着座者が自身に合った補正用伝達関数を学習させるための登録操作をしたり、学習済みの補正用伝達関数の呼び出し操作をしたりする。52は制御部であり、操作部51で登録操作に従い補正用伝達関数の学習制御をしたり、呼び出し操作に従い、補正用伝達関数の設定制御をしたりする。
【0019】
図7は制御部52の制御処理を示すフローチャートであり、以下、図7を参照して上記した実施例の動作を説明する。
(1)着座者P1の補正用伝達関数の学習
着座者P1が自身の頭部や耳介の形に合った補正用伝達関数を学習させたい場合、操作部51で登録ボタンを押すと、制御部52は登録処理を開始し、続いて、着座者識別情報を入力するため例えばAボタン乃至Dボタンの内のAボタンを押すと、ID=Aを登録する(図7のステップS10〜S12)。ヘッドレスト1の前の通常の姿勢での頭の位置で、左右スピーカ2、3が図1の如くヘッドレスト1の両側の通常位置にある状態で(図3参照)、左右の外耳道に左右マイクロホン6、7を挿入し、第1ボタンを押すと、制御部52は第1の頭部音響伝達関数の内のまずHLL1を同定するため、SW1をb側、SW2をa側、SW3をa側に切り換え、同定部30を制御してホワイトノイズ発生器31にホワイトノイズを発生させ、適応フィルタ33に適応処理を実行させる。なお、補正用伝達関数の学習中はオーディオソース機器10は停止させておく。ホワイトノイズはSW1を介してD/A変換器21でアナログ信号に変換され、アンプ23で増幅後、着座者P1の左後方に位置している左スピーカ2に入力される。そして、左スピーカ2から音響放射されたホワイトノイズは着座者P1の左耳の位置で左マイクロホン6で収音され、マイクロホンアンプ8で増幅後、SW3を介してA/D変換器36でディジタル信号d(n)に変換される。一方、ホワイトノイズは遅延器32で一定時間遅延されたあと、x(n)として適応フィルタ33に入力され、適応フィルタ33の係数可変フィルタ34で伝達関数が畳み込まれたあとy(n)として出力される。適応フィルタ33はA/D変換器36からのマイクロホン入力と適応フィルタ33の出力との誤差e(n)=d(n)−y(n)のパワーが最小となるように係数可変フィルタ34の係数を更新する。収束後、制御部52は係数可変フィルタ34の現在の係数をHLL1の同定値として入力し、記憶部50に一時記憶する。次に、制御部52はHLR1を同定するため、SW3をb側に切り換え、右耳の位置で右マイクロホン7により収音したマイクロホン入力に基づき、適応処理を行なわせ、収束後、係数可変フィルタ34の係数をHLR1の同定値として入力し、一時記憶する。
【0020】
次に、HRL1を同定するため、SW1をa側、SW2をb側、SW3をa側に切り換え、適応フィルタ33に適応処理を実行させる。ホワイトノイズはSW2を介してD/A変換器22でアナログ信号に変換され、アンプ24で増幅後、着座者P1の右後方に位置している右スピーカ3に入力される。そして、右スピーカ3から音響放射されたホワイトノイズは着座者P1の左耳の位置で左マイクロホン6で収音され、マイクロホンアンプ8で増幅後、SW3を介してA/D変換器36でディジタル信号d(n)に変換される。適応フィルタ33はA/D変換器36からのマイクロホン入力と適応フィルタ33の出力との誤差e(n)=d(n)−y(n)のパワーが最小となるように係数可変フィルタ34の係数を更新する。収束後、制御部52は係数可変フィルタ34の係数をHRL1の同定値として入力し、一時記憶する。次に、制御部52はSW3をb側に切り換え、右耳の位置で右マイクロホン7により収音したマイクロホン入力に基づき、適応処理を行なわせ、収束後、係数可変フィルタ34の係数をHRR1の同定値として入力し、一時記憶する。そして、制御部52は一旦ホワイトノイズの発生を停止させる。左右スピーカ2、3が後方にある状態で同定されたHLL1、HLR1、HRL1、HRR1は第1の頭部音響伝達関数である(ステップS13、S14)。
【0021】
次に、着座者P1が左右スピーカ2、3を図2の実線で示す如く前方に移動させ(図1の符号2A、3A、図4参照)、通常の姿勢で頭をヘッドレスト1の前に位置させるとともに左右の外耳道に左右マイクロホン6、7を挿入したまま、第2ボタンを押すと、制御部52はHLL2を同定するため、SW1をb側、SW2をa側、SW3をa側に切り換え、同定部30を制御してホワイトノイズ発生器31にホワイトノイズを発生させ、適応フィルタ33に適応処理を実行させる。左スピーカ2から音響放射されたホワイトノイズは着座者P1の左耳の位置で左マイクロホン6で収音される。適応フィルタ33はe(n)のパワーが最小となるように係数可変フィルタ34の係数を更新する。収束後、制御部52は係数可変フィルタ34の係数をHLL2の同定値として入力し、一時記憶する。次に、制御部52はSW3をb側に切り換え、右耳の位置で右マイクロホン7により収音したマイクロホン入力に基づき、適応処理を行なわせ、収束後、係数可変フィルタの係数をHLR2の同定値として入力し、一時記憶する。
次に、HRL2を同定するため、SW1をa側、SW2をb側、SW3をa側に切り換え、適応フィルタ33に適応処理を実行させる。ホワイトノイズはSW2を介してD/A変換器22でアナログ信号に変換され、アンプ24で増幅後、着座者P1の右前方に位置している右スピーカ3に入力される。そして、右スピーカ3から音響放射されたホワイトノイズは着座者P1の左耳の位置で左マイクロホン6で収音される。適応フィルタはe(n)のパワーが最小となるように係数可変フィルタ34の係数を更新する。収束後、制御部52は係数可変フィルタ34の係数をHRL2の同定値として入力し、一時記憶する。次に、制御部52はSW3をb側に切り換え、右耳の位置で右マイクロホン7により収音したマイクロホン入力に基づき、適応処理を行なわせ、収束後、係数可変フィルタ34の係数をHRR2の同定値として入力し、一時記憶する。そして、制御部52はホワイトノイズの発生を停止させる。左右スピーカ2、3が前方にある状態で同定されたHLL2、HLR2、HRL2、HRR2は第2の頭部音響伝達関数である(ステップS15、S16)。
【0022】
制御部52は第1、第2の頭部音響伝達関数の同定が終ると、SW1、SW2をa側に切り換え、同定部30の動作を停止する。そして、補正用伝達関数決定部40により、補正用伝達関数HLC、HRS、HLS、HRCを決定させ、記憶部51にID=Aに対応付けて記憶させておく(ステップS17、S18)。他の着座者P2、P3、P4が自身の頭部や耳介の形状に合った補正用伝達関数を学習させたい場合も同様に操作すればよい(但し、着座者識別情報の入力はAボタン乃至Dボタンの内、未使用のボタンを押して行なう)。
【0023】
その後、左右スピーカ2、3を後方の通常位置に戻した状態で(図1の状態)、着座者P1が前方の仮想スピーカにより前方に音像定位させた音楽を聴取したい場合、操作部51で呼び出しボタンを押し、続けて着座者識別ボタンAを押して着座者識別情報Aに対応付けられた補正用伝達関数の呼び出し操作を行なう。すると、制御部52は記憶部50からID=Aに対応付けて記憶されたHLS、HRC、HLC、HRSを読み出し、信号処理部11のFIRフィルタ12〜15にセットする(ステップS19〜S21)。着座者P1がオーディオソース機器10を稼働すると、2チャンネルのディジタルオーディオ信号SL、SRが信号処理部11に入力され、式(14)、(13)に従って補正用伝達関数の畳み込みが行なわれてスピーカ用出力信号SLOUT 、SROUT が生成される。そして、SW1、SW2を介してD/A変換器21、22でアナログ信号に変換され、アンプ23、24で電力増幅後、左右スピーカ2、3に出力される。これにより、着座者P1は前方の仮想スピーカからSL、SRに基づく音響を放射した如く前方に正しく音像が定位された音楽を聴取できる。
他の着座者P2〜P4が音楽を聴取したい場合、操作部51で着座者識別情報B〜Dに対応付けられた補正用伝達関数の呼び出し操作を行なえば、各着座者P2〜P4に合った補正用伝達関数が信号処理部11にセットされるので、前方に正しく音像が定位された音楽を聴取できる。
【0024】
この実施例によれば、左右スピーカ2、3が着座者Pの後方のヘッドレスト1の両側の通常位置に有る状態で測定用音響(ここではホワイトノイズ)を発生させ、着座者Pの耳の位置で左右マイクロホン6、7により拾った音から左右スピーカ2、3と着座者Pの耳の間の第1の頭部音響伝達関数を同定し、左右スピーカ2、3を着座者Pの前方に移動した状態で再度測定用音響を発生させ、着座者Pの耳の位置で左右マイクロホン6、7により拾った音から左右スピーカ2、3と着座者Pの耳の間の第2の頭部音響伝達関数を同定し、これら第1、第2の頭部音響伝達関数を用いて、左右スピーカ2、3がヘッドレスト1の両側の通常位置に有る状態で音を発したときに着座者Pに対し前方の仮想スピーカから発せられたようにオーディオ信号に畳み込む補正用伝達関数を決定するようにしたので、着座者Pの頭部や耳介の形状に適合した補正用伝達関数をオーディオ信号に畳み込むことができ、着座者Pが標準から外れた頭部や耳介の形状をしていても前方への音像定位を正しく行うことができる。
また、第1、第2の伝達関数の同定を適応フィルタ33を用いた学習により行うようにしたことにより、簡便に第1、第2の頭部音響伝達関数を測定することができる。
また、第1、第2の頭部音響伝達関数の同定と補正用伝達関数の決定は、着座者P毎に行なうようにしたことにより、着座者Pが変わった場合でも、新たな着座者Pの頭部や耳介の形状に適合した補正用伝達関数をオーディオ信号に畳み込むことができるので、前方への音像定位を正しく行うことができる。
また、左右スピーカ2、3を、ヘッドレスト1の両側と着座者Pの前方との間で移動自在とするアーム4、5を設けたことにより、補正用伝達関数の学習時の左右スピーカ2、3の移動を簡単に行うことができる。
【0025】
なお、左右スピーカ2、3が後方の通常位置に有るとき、着座者Pの頭部がクロストーク経路を遮り、影響が小さいので、図3のHLR1、HRL1を省略することも考えられる。
この場合、(1)、(2)式は、各々
MR1=SROUT ×HRR1 ・・・(15)
ML1=SLOUT ×HLL1 ・・・(16)
となる。(15)式と(3)式が等しいとおき整理すると、
SROUT =SL×HLC´+SR×HRS´
但し、
HLC´=HLR2/HRR1 ・・・(17)
HRS´=HRR2/HRR1 ・・・(18)
また、(16)式と(4)式が等しいとおき整理すると、
SLOUT =SL×HLS´+SR×HRC´
但し、
HLS´=HLL2/HLL1 ・・・(19)
HRC´=HRL2/HLL1 ・・・(20)
信号処理部11のFIRフィルタ12〜15には、各々補正用伝達関数HLS´、HRC´、HLC´、HRS´を模擬したタップ係数をセットすればよい。
補正用伝達関数決定部の構成は図8の40Aの如く変更する。ホワイトノイズ発生器56の出力を多段のFIRフィルタ57と58に入力し、FIRフィルタ57の出力を遅延器51に入力し、FIRフィルタ58の出力x(n)を適応フィルタ52の多段の係数可変フィルタ53に入力し、遅延器51の出力d(n)から適応フィルタ52の係数可変フィルタ53の出力y(n)を減算器55で減算した誤差e(n)を適応フィルタ52の係数更新部54に入力するようにしておく。例えば、HLC´を決定する場合、FIRフィルタ57にHLR2、FIRフィルタ58にHRR1をセットし、適応フィルタ52で適応動作をさせ、収束後の係数可変フィルタ53の係数がHLC´を模擬した係数となる。他のHRS´、HLS´、HRC´も同様にして決定できる。
【0026】
また、図9の如く、オーディオソース機器10Aはモノラルのディジタルオーディオ信号Sを出力し、左スピーカと左マイクロホンの系統は省略し、一方の右スピーカ3と右マイクロホン7の系統だけ設ける構成とする場合、右スピーカ3から左耳に至るクロストーク経路を全て無視するものとして、前述した(1)、(3)式は、
MR1=SOUT ×HRR1 ・・・(21)
MR2=S×HRR2 ・・・(22)
となる。
(21)と(22)式が等しいとおき、整理すると、
OUT =S×HR
但し、HR=HRR2/HRR1
となる。
この場合、信号処理部の構成は図10の11Aの如く変更し、1つのFIRフィルタ18だけとし、補正用伝達関数HRを模擬したタップ係数をセットすればよい。モノラルオーディオ信号SをFIRフィルタ18に入力して伝達関数HRを畳み込み、スピーカ出力信号SOUT を生成させる。補正用伝達関数決定部の構成は図8と同じ構成とすればよく、FIRフィルタ57に第2の頭部音響伝達関数であるHRR2、FIRフィルタ58に第1の頭部音響伝達関数であるHRR1をセットし、適応フィルタ52で適応動作をさせれば良い。収束後の係数可変フィルタ53の係数がHRを模擬した係数となる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、車両の運転席、助手席、後部座席等に1または複数のスピーカを設置する場合に適用できる他、車両以外でも座席でオーディオを聴く場合に有効である。車両以外の場合であっても、耳の近くにスピーカを配置することは、小さなパワーで必要な音量が得られるので有利であるが、やはり耳の近くの前方は使用上邪魔であり、同じ状況となる。従って、車両以外の場合(例えばホームシアターの各座席)でも、座席にスピーカを取り付けて同様の処理を行なうことで、有用な音響再生装置を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る車室内音響再生方法を具現した車両用オーディオ装置の構成図である(実施例1)。
【図2】左右スピーカを支持するアームの動作説明図である。
【図3】頭部音響伝達関数の測定原理を示す説明図である。
【図4】頭部音響伝達関数の測定原理を示す説明図である。
【図5】信号処理部の構成図である。
【図6】補正用伝達関数決定部の構成図である。
【図7】制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【図8】補正用伝達関数決定部の変形例の構成図である。
【図9】スピーカを1つとする場合の車両用オーディオ装置の構成図である。
【図10】図9の信号処理部の構成図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ヘッドレスト
2 左スピーカ
3 右スピーカ
4、5 アーム
6 左マイクロホン
7 右マイクロホン
10、10A オーディオソース機器
11、11A 信号処理部
20 スピーカ駆動部
30 同定部
40、40A 補正用伝達関数決定部
50 記憶部
51 操作部
52 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席に取り付けられた1または複数のスピーカと、音が仮想の前方スピーカから発せられたようにする補正用伝達関数をオーディオ信号に畳み込んでスピーカ出力用の信号を生成する信号処理手段と、を備えたオーディオ装置において、
着座者の耳の位置の音を拾うマイクロホンと、
前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホンにより拾った音からスピーカと着座者の耳の間の第1の伝達関数を同定し、前記1または複数のスピーカを着座者の前方に移動した状態で測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホンにより拾った音からスピーカと着座者の耳の間の第2の伝達関数を同定する同定手段と、
同定された第1、第2の伝達関数を用いて、前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で音を発したときに着座者に対し前方の仮想スピーカから発せられたようにオーディオ信号に畳み込む補正用伝達関数を決定する補正用伝達関数決定手段と、
を備えたことを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
第1、第2の伝達関数の同定は適応フィルタを用いた学習で行なうようにしたこと、
を特徴とする請求項1記載のオーディオ装置。
【請求項3】
前記第1、第2の伝達関数の同定と補正用伝達関数の決定は、着座者毎に行なうようにしたこと、
を特徴とする請求項1または2記載のオーディオ装置。
【請求項4】
前記マイクロホンは外耳道に挿入するか、または、耳孔近くに設置するようにしたこと、
を特徴とする請求項1または2または3記載のオーディオ装置。
【請求項5】
前記1または複数のスピーカを、座席と着座者の前方との間で移動自在とするスピーカ支持手段を設けたこと、
を特徴とする請求項1または2または3または4記載のオーディオ装置。
【請求項6】
座席に取り付けられた1または複数のスピーカを座席と着座者の前方との間で移動可能としておき、
前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホンにより拾った音からスピーカと着座者の耳の間の第1の伝達関数を同定するとともに、前記1または複数のスピーカを着座者の前方に移動した状態で測定用音響を発生させ、着座者の耳の位置でマイクロホンにより拾った音からスピーカと着座者の耳の間の第2の伝達関数を同定し、
同定された第1、第2の伝達関数を用いて、前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で音を発したときに着座者に対し仮想の前方スピーカから発せられたようにオーディオ信号に畳み込む補正用伝達関数を決定し、
前記1または複数のスピーカが座席に有る状態で、前記補正用伝達関数をオーディオ信号に畳み込みスピーカに出力するようにしたこと、
を特徴とする音響再生方法。
【請求項7】
前記第1、第2の伝達関数の同定と補正用伝達関数の決定は、着座者毎に行なうようにしたこと、
を特徴とする請求項6記載の音響再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−124251(P2010−124251A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296181(P2008−296181)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【出願人】(595120530)株式会社ケンウッド・エンジニアリング (22)
【Fターム(参考)】