説明

オートブレッダにおける粉付け装置

【課題】ベルトB1 上のパン粉の量や材料の形態の変動に拘らず、安全かつ安定に操業可能とする。
【解決手段】外枠10と、外枠10に収納するガイド筒20とを組み合わせ、ガイド筒20は、複数のセグメント21、21…に分割し、ばね22、22を介して各セグメント21を縮径方向に付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フライ材料にパン粉を能率よく均一に付着させることができるオートブレッダにおける粉付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
揚げ加工前のフライ材料に能率よく連続的にパン粉を付着させるために、いわゆるオートブレッダが実用されている。
【0003】
オートブレッダにおける粉付け装置は、各種の方式があるが、その一例は、パン粉とともに材料を連続的に搬送するベルトの走行径路に絞り装置を配設し、ベルトを断面筒状に絞り込むことにより、ベルト上の材料の全周に対してパン粉を均一に付着させるものである(特許文献1)。このものの絞り装置は、たとえば、ベルトの左右に鼓形のガイドローラを縦方向に相対向するようにして配設し、ガイドローラを介して走行中のベルトを絞り込むものである。なお、ガイドローラは、ベルトの走行方向に複数組を並設するとともに、ガイドローラの上流側、下流側に対し、ベルトの両端縁を上方から押し下げる補助ガイドローラを設け、各ガイドローラ、補助ローラは、ベルトの走行速度に合わせて積極駆動されている。この方式は、絞り込まれたベルトを介し、パン粉によってベルト上の材料の全周を包み込むため、材料の形状に拘らず、材料の全面にパン粉を均一に付着させることができる。
【特許文献1】特公昭59−23782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来技術によるときは、各ガイドローラ、補助ローラは、ベルトの走行速度に合わせて積極駆動するから、駆動機構が複雑になる上、ベルトの上部の回転部分から万一の油漏れがあると、致命的な事故に発展するおそれがあるという問題があった。また、水分が少ない乾燥パン粉を使用すると、パン粉自体の弾力性が乏しいため、ベルト上のパン粉の量が変動し、材料の形態が変動することにより、絞り込まれたベルトの内部空間の圧力が過大となり、材料が押し潰されて変形したり、左右のガイドローラに過大な力が加わり、ベルトを早期に破損させたりするという問題もあった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、周方向に分割するガイド筒を設けることによって、材料の全面にパン粉を均一に付着させることができる上、ベルト上のパン粉の量や材料の形態の変動に拘らず、長期に亘って安全かつ安定に操業することができるオートブレッダにおける粉付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、機台に搭載する外枠と、外枠に収納し、内面が前後に開拡するガイド筒とを備えてなり、ガイド筒は、周方向に複数のセグメントに分割するとともに、ばねを介してセグメントの少なくとも一部を縮径方向に付勢し、パン粉とともに材料を搬送するベルトを断面筒状に変形させてパン粉を材料に付着させることをその要旨とする。
【0007】
なお、外枠は、ヒンジを介して開閉可能としてもよく、上下に揺動可能に支持してもよい。
【0008】
また、ばねを介して付勢する各セグメントは、ガイドピンを介して径方向にのみ移動可能とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
かかる発明の構成によるときは、複数のセグメントに分割するガイド筒は、パン粉とともに材料を搬送するベルトを前後に貫通させることにより、走行中のベルトを断面筒状に絞り込んで変形させるため、材料の形態に拘らず、パン粉を材料の全面に均一に付着させることができる。また、各セグメントのうち、ばねを介して縮径方向に付勢する一部または全部は、ベルト上のパン粉の量が変動し、材料の形態が変動しても、径方向に移動してベルトの内部空間の圧力をほぼ一定レベル以下に維持することができ、内部の圧力が過大になったり、それによる不都合を生じたりするおそれがない。なお、ガイド筒は、積極駆動するものでないから、複雑な駆動機構を必要とせず、油漏れのおそれも全くない。
【0010】
ガイド筒のセグメントは、ガイド筒の全周を90°ごとに4分割するのが一般的であるが、下側の180°分と上側の2個の90°分とに3分割してもよく、その他の形態に分割してもよい。また、各セグメントは、ばねを介してその全部を縮径方向に付勢してもよく、一部だけを付勢してもよい。なお、後者の場合、下側を除く他のセグメントを付勢することが好ましい。さらに、ガイド筒の内面の全体形状は、前後にテーパ状に開拡する円形断面としてもよく、水平方向に長軸を有する長円形断面としてもよい。
【0011】
外枠は、ヒンジを介して開閉可能とすることにより、外側に開いてガイド筒の一部のセグメントを取り外すことができ、無端のベルトの途中部分をガイド筒に収納し、ベルトをガイド筒に容易に貫通させることができる。また、上下に揺動可能な外枠は、内部に収納するガイド筒の前後方向をベルトの走行方向に容易に追随させることができるから、ベルトの走行抵抗が過大になったり、ベルトの外面に過大な力が加わったりすることがない。
【0012】
ばねを介して付勢する各セグメントは、ガイドピンを介して移動方向を規制することにより、ベルトの走行方向に対して常に正しい相対姿勢を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0014】
オートブレッダにおける粉付け装置は、機台Fの側板F1 、F1 上に搭載する外枠10に対し、ガイド筒20を収納してなる(図1、図2)。
【0015】
オートブレッダは、ブレーキ付きの高さ調節可能な自在キャスタF2 、F2 を前後に有する機台Fに対し、上下の搬送用のベルトB1 、B2 を組み込んで構成されている(図3)。上のベルトB1 は、テンションローラB1b、B1bを有する駆動ローラB1aと、前後のガイドローラB1c、B1cとに巻き掛けられており、ガイドローラB1d、B1dを介して図3の矢印K1 方向に走行可能である。なお、ベルトB1 の上流側には、ガイドローラB1c、B1dを介して斜めに上昇する材料の投入部が形成されている。ベルトB1 の上側走行部分は、ほぼ水平に走行し、その中間部は、粉付け装置のガイド筒20を前後に貫通し、ガイド筒20を介して断面筒状に変形されている。また、ベルトB1 の下流側には、排出用のネットコンベヤCが縦続して配設されている。
【0016】
下のベルトB2 は、ネットコンベヤCの下側の駆動ローラB2aから斜め上向きに走行し(図3の矢印K2 方向)、ベルトB1 の上流端において、ガイドローラB2b、B2c、B2c…を介してベルトB1 の上流端に沿って屈曲した上、ガイドローラB2dを介して駆動ローラB2aに戻るように走行している。なお、ガイドローラB1cと同軸のガイドローラB2bは、図3に拘らず、ベルトB2 の両側端部に対応する一対が配設されている。
【0017】
ネットコンベヤCとベルトB2 との間には、上下開放の箱形のフードD1 を介し、ふるいD2 が配設されている。ふるいD2 は、上のベルトB1 の下流端からネットコンベヤCを通して落下するパン粉のうち、粗いものをベルトB2 上の駆動ローラB2aに近い位置に落下させ(図3の矢印P1 )、細かいものを遠い位置に選別して落下させる(同図の矢印P2 )。
【0018】
粉付け装置の外枠10は、断面8角形の筒形に形成されており(図1、図2)、その前面、後面は、それぞれ円形に十分大きく開口されている。また、外枠10は、全周の3/4相当の下部の本体部11に対し、全周の1/4相当の上部の蓋部12を組み合わせて構成され、蓋部12は、ヒンジ12aを介し、上方に開くことができる。本体部11の下面の前部、後部には、それぞれベルトB1 の下側走行部分に対応するガイドローラ13、13…が回転自在に装着されている。また、本体部11の左右の側面には、それぞれ支持アーム14が同一軸上に水平方向に突設されており、各支持アーム14の先端には、止めねじ14a1 を介してL形のブラケット14aが回転自在に連結されている。そこで、粉付け装置は、別の止めねじ14bを介して各ブラケット14aの先端を側板F1 の上部のねじブラケットF1aにねじ止めすることにより、支持アーム14、14のまわりに上下に揺動可能に支持されている(図2の矢印方向)。
【0019】
ガイド筒20の内面は、前後にテーパ状に開拡する円形断面に形成されている。ガイド筒20は、外枠10に対して軸心を合わせて収納されており、したがって、ガイド筒20の前面、後面は、外枠10の前面、後面に露出している。ガイド筒20は、全周を90°ごとに4分割するセグメント21、21…を組み合わせて構成されており、各セグメント21は、前後各2組、計4組のばね22、22…を介して縮径方向に付勢するとともに、外枠10の内面に立設するガイドピン15を介し、径方向にのみ移動可能に規制されている。
【0020】
各ばね22は、ガイド軸23、ブラケット24と組み合わせることにより(図4)、各セグメント21と、外枠10の本体部11または蓋部12との間に装着されている。ただし、図4には、蓋部12との相対関係が図示されている。ガイド軸23の両端には、雄ねじ部が形成されており、ガイド軸23の一端は、セグメント21の外面に形成する凹所21aに対し、ばね22用の受け部材22aを介してねじ込まれている。また、ガイド軸23の他端部は、外枠10の外面に固定するブラケット24に摺動自在に挿通させた上、ワッシャ23a、ナット23bを介し、セグメント21、21…が互いに密着するように位置決めされている。また、各ガイドピン15は、各セグメント21に形成するピン孔21bに対し、摺動自在に挿通されている(図1、図2)。そこで、ガイド筒20は、ベルトB1 の上側走行部分を前後に貫通させることにより、走行中のベルトB1 を断面円形の筒状に絞り込むように変形させることができる(図1、図3)。
【0021】
ふるいD2 からの粗いパン粉P1 、細かいパン粉P2 は、ベルトB2 上に層状に堆積し、ベルトB2 を介して搬送される(図3の矢印K2 方向、図5(A))。ただし、図5(A)〜(D)は、それぞれ図3のA−A線〜D−D線矢視相当拡大断面図である。
【0022】
ベルトB2 上のパン粉P1 、P2 は、ベルトB2 の下流端において、ベルトB1 の上流端に上下反転して移載されるから、つづいて、ベルトB1 上のパン粉P1 、P2 上に材料A、A…を連続的に投入すると(図3の矢印A、図5(B))、ベルトB1 は、パン粉P1 、P2 とともに材料A、A…を搬送することができる(図3の矢印K1 方向)。ベルトB1 の上側走行部分が粉付け装置に近付くと、ベルトB1 は、粉付け装置のガイド筒20を介して両端縁部が上側に丸められ(図5(C))、ガイド筒20の内部において、断面円形に絞り込まれる(図1、図5(D))。そこで、パン粉P1 、P2 上の材料Aは、その全周が粗いパン粉P1 によって包み込まれ、粗いパン粉P1 を材料Aの全面に均一に付着させた上、その外側に細かいパン粉P2 をまぶすようにして付着させることができる。
【0023】
ベルトB1 の上側走行部分は、粉付け装置を通過すると、徐々に元の平面形状に復帰し(図3)、その下流端において、パン粉P1 、P2 とともに材料A、A…をネットコンベヤC上に移載する。そこで、材料A、A…は、ネットコンベヤCを介して外部に排出され、余分のパン粉P1 、P2 は、ふるいD2 を介してベルトB2 上に落下し、以下同様にして循環再使用することができる。
【0024】
ガイド筒20内において、パン粉P1 、P2 、材料AとともにベルトB1 が円形の断面筒状に絞り込まれて変形すると(図5(D))、ベルトB1 の内部空間の圧力が大きくなることがある。このとき、ガイド筒20を構成する各セグメント21は、それぞれに対応するばね22、22…に抗して径方向に移動し(同図の矢印方向)、圧力を放出することができる。すなわち、ガイド筒20は、内部空間の圧力をほぼ一定レベル以下に維持し、内部の圧力が過大になることによる不都合を有効に排除することができる。
【0025】
以上の説明において、各セグメント21用のガイドピン15は、これを省略しても構わない。なお、そのときのピン孔21bは、たとえば小麦粉のような滑材をガイド筒20内を通過するベルトB1 の外面に付着させるために、滑材の投入孔として利用することができる。また、図1、図2にいて、最下部に位置するセグメント21は、ばね22、22…、ガイド軸23、23…、ガイドピン15を省略し、外枠10に固定してもよい。すなわち、セグメント21、21…は、必ずしも前部を縮径方向に付勢する必要がなく、少なくとも一部を付勢してもよい。
【他の実施の形態】
【0026】
各セグメント21を付勢するばね22は、ガイド軸23を省略してもよい(図6)。すなわち、ばね22は、セグメント21の凹所21aに固定するねじ付きの受け部材22aと、外枠10側のブラケット24との間に装着することができる。
【0027】
また、外枠10の本体部11、蓋部12は、上下対称に構成してもよい(図7)。ただし、図7において、ヒンジ12aを介して開閉する蓋部12は、キャッチ12bを介してロックされている。また、同図のガイド筒20は、各セグメント21の分割位置が水平方向、垂直方向に設定され、各セグメント21を付勢するばね22、22…は、外枠10の対角線方向に配設されている。
【0028】
さらに、ガイド筒20は、内面の全体形状を水平方向に長軸を有する長円形断面にすることができる(図8(A)、(B))。ただし、図8(A)、(B)は、ガイド筒20を構成するセグメント21、21…の分割位置を異ならせることにより、ばね22、22…の配設位置が異なることを模式的に図示している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】全体構成説明図(1)
【図2】全体構成説明図(2)
【図3】使用状態説明図
【図4】図1の要部拡大図
【図5】動作説明図
【図6】他の実施の形態を示す図4相当図
【図7】他の実施の形態を示す模式構成図
【図8】他の実施の形態を示す模式構成説明図
【符号の説明】
【0030】
A…材料
P1 、P2 …パン粉
F…機台
B1 …ベルト
10…外枠
12a…ヒンジ
15…ガイドピン
20…ガイド筒
21…セグメント
22…ばね

特許出願人 アサヒ装設株式会社
代理人 弁理士 松 田 忠 秋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機台に搭載する外枠と、該外枠に収納し、内面が前後に開拡するガイド筒とを備えてなり、該ガイド筒は、周方向に複数のセグメントに分割するとともに、ばねを介して前記セグメントの少なくとも一部を縮径方向に付勢し、パン粉とともに材料を搬送するベルトを断面筒状に変形させてパン粉を材料に付着させることを特徴とするオートブレッダにおける粉付け装置。
【請求項2】
前記外枠は、ヒンジを介して開閉可能とすることを特徴とする請求項1記載のオートブレッダにおける粉付け装置。
【請求項3】
前記外枠は、上下に揺動可能に支持することを特徴とする請求項1または請求項2記載のオートブレッダにおける粉付け装置。
【請求項4】
前記ばねを介して付勢する各セグメントは、ガイドピンを介して径方向にのみ移動可能とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載のオートブレッダにおける粉付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−6146(P2006−6146A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185316(P2004−185316)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 2004国際食品工業展、社団法人 日本食品機械工業会、平成16年6月8日から6月11日まで
【出願人】(591109094)アサヒ装設株式会社 (7)
【Fターム(参考)】