説明

カウルルーバ

【課題】 カウルルーバを2分割して、一方のカウルルーバに遮蔽板を一体成形しても隙間の生じないカウルルーバを提供すること。
【解決手段】 カウルルーバ10が車幅方向で2分割され、これら左右のカウルルーバ20、30を結合する結合部27、37の一方に、外気導入路Rの空間を2分割するように遮蔽板373を、車両前後方向と平行に一体に突設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内へ空気を取り入れる空気導入口を設けたカウルの上面開口を覆うカウルルーバに関し、特に、空気導入口への温風の進入を防止する遮蔽板を設けたカウルルーバに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントウィンドウガラス下端の前部に、室内に外気を取り入れるためのカウルが設けられ、該カウルの上面開口を覆うカウルルーバが取り付けられる。カウルは車両のエンジンルームに隣接しているため、エンジンにより暖められた暖気が室内に進入しないように遮蔽板が設けられる。
【0003】
カウルに遮蔽板を設けたものとして、特開2003−118641号公報(以下、「特許文献1」という。)がある。この特許文献1に記載の「自動車の車体構造」は、カウルトップ15の縦壁31と該縦壁31に取り付けた隔壁32の下端の開口部35に取り付けたドレンバルブ18により、ダッシュボードアッパメンバ13の縦壁21とカウルトップ15の縦壁31及び隔壁32とから囲まれる収納空間33から外気取入用通路37に進入する暖気を遮断するものである。
【特許文献1】特開2003−118641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のカウルトップの構造では、ドレンバルブ18やバッフル17という暖気を遮断するための部品が必要となり、構造が複雑で組付工数や部品コストがかかるという問題がある。
一方、フロントウィンドウガラスとカウルルーバとの組付上の見栄えを向上するために、図7に示すように、カウルルーバ910を合成樹脂材で成形して、後端の溝部921にガラス50の下端を挿入するようにして取り付けるものが採用されている。
この場合は、カウルルーバ910と一体に遮蔽板9373を成形することにより部品点数を減らすことが可能になるが、ガラス50の前端をカウルルーバ910後端の溝部921に挿入する際に、2点鎖線で示すように、カウルルーバ910を前方へずらした状態から後方へ移動させる必要があり、かつ、カウルルーバ910が平面視で前後方向に湾曲していることから、一体に成形された遮蔽板9373の前端をカウルパネル40と干渉しないように予め短縮しておくことになる。
そうすると、カウルルーバ910を取り付けた後に遮蔽板9373の前端部とカウルパネル40との間に隙間Sが生じて、暖気を遮蔽する機能が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、カウルルーバを2分割して、一方のカウルルーバに遮蔽板を一体成形しても隙間の生じないカウルルーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る請求項1に記載のカウルルーバは、車両室内への空気を取り入れる空気導入口を設けたカウルの上面開口を覆うカウルルーバにおいて、該カウルルーバが車幅方向で2分割され、これら左右のカウルルーバを結合する結合部の一方に、前記カウルの空間を2分割するように遮蔽板を、車両前後方向と平行に一体に突設したことを特徴とする。
よって、カウルルーバを車幅方向で2分割することにより、平面視での湾曲の曲率半径が小さくなり、その取扱いが容易になり、かつ、結合部の一方に遮蔽板を一体に突設してもカウルとの隙間を小さくでき、さらに結合部を補強することができる。
【0007】
また、本発明に係る請求項2に記載のカウルルーバは、前記カウルルーバの後端が車両のフロントウインドウガラスの下端を挟み込んで取り付ける構造である請求項1に記載のカウルルーバであることを特徴とする。
よって、カウルルーバを車幅方向で2分割することにより、カウルルーバの長さが短くなり、後端の溝にガラスの下端を挿入する際の移動量が小さくなり、その分、遮蔽板の前端部とカウルとの間の隙間が小さくでき、遮蔽板の機能を保つことができる。
【0008】
また、本発明に係る請求項3に記載のカウルルーバは、前記カウルルーバの結合部の一方に設けた遮蔽板の一部を溝肉ヒンジを介して揺動可能に略水平に一体成形するとともに、結合部の他方に前記遮蔽板の水平部を押圧して前記車両前後方向と平行に保持する保持板を突設してなる請求項1または2に記載のカウルルーバであることを特徴とする。
よって、遮蔽板の一部を揺動可能に略水平に成形してあるので、遮蔽板の車両前後方向の長さを短縮でき、後端の溝にガラスの下端を挿入する際の移動量が大きくでき、組付作業性が向上するとともに、組み付け後、他方の結合部に設けた保持板により遮蔽板の水平部を押圧して起立させて固定するので、遮蔽板の前端部とカウルとの間の隙間がさらに小さくできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カウルルーバを2分割して、その取扱いを容易にすることができ、かつ、結合部に設けた遮蔽板の前端部とカウルとの間の隙間が小さくでき、少ない部品点数で遮蔽板の機能を保つカウルルーバを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明に係るカウルルーバの一の実施の形態について図面を参照して説明する。
ここで、図1は、カウルルーバが取り付けられた車両のフロントウインドウ下部を示した斜視図であり、図2は、その断面図である。
【実施例】
【0011】
本発明のカウルルーバ10が取り付けられる車両のフロントウインドウ下部は、図1に示すように、左右のフロントピラー60、60と、これらと左右で連結する上方に開口する略コ字状断面のカウルパネル(請求項の「カウル」に相当)40等を備える鋼板製の骨格と、上記カウルパネル40よりも前方のエンジンルーム(図示せず)を覆うフード80(図2参照)や左右のフロントフェンダ70、70等が配置されている。
カウルパネル40の上部開口をカウルルーバ10により覆って、カウルパネル40とカウルルーバ10とにより外気導入路Rを形成し、カウルルーバ10に設けたスリットPから上記外気導入路R内に入った外気を、カウルパネル40の後壁43に設けた空気導入口4311から車両室内に取り込み、エアコンディショナ(エアコン)に導入するようになっている。
【0012】
カウルパネル40は、図2に示すように、後部でウインドウガラス50を接着するガラス保持部41と、該ガラス保持部41から下方に連続する後壁43と、該後壁43から前方へ連続する底壁45と、該底壁45から上方に立ち上がる前壁47とから上方に開口する略コ字状断面に成形された骨部材である。
そして、前述したように、後壁43には外気を車両室内に取り込むための空気導入口4311が設けられ、前壁47の上端には、前向きのフランジ4711が設けられている。
【0013】
本実施の形態のカウルルーバ10は、車両の略中央部で左右のカウルルーバ20、30に分割された合成樹脂成形品であり、この一方のカウルルーバレフト30に、エンジンルームからの暖気が外気導入孔4311が設けられている右半分側の外気導入路Rに進入しないように、遮蔽板373が外気導入路Rを左右に遮断するように設けられている。本発明は、この遮蔽板を、左右に分割されたカウルルーバの結合部に設けたことに特徴があるので、この部分を詳細に説明する。
【0014】
車両の幅方向右半分に位置するカウルルーバライト20は、図1乃至図3に示すように、後端に車両のウインドウガラス50の下縁に差し込むためにコ字状断面に形成されたガラス挿入溝21と、該ガラス挿入溝21から前方へ山形状に膨らんでフード80とデザイン的に連続する上板部23と、該上板部23の前端で、前記カウルパネル40の前壁47の上端で前方に折り曲げられたフランジ4711に取り付けるための取付フランジ部25と、上板部23の車両中心側の端部下面に一体成形され、後述するカウルルーバレフト30と結合するための結合部を構成する結合メール27とからなる。
【0015】
結合部を構成する結合メール27は、カウルルーバライト20の車両中心側の端部に前後端で上板部23の裏面に連結する底板271と、該底板271の、カウルルーバレフト30と対峙する面と反対側の端面から下方に垂下する保持板273とからなり、底板271の下面には、カウルルーバレフト30と結合されるときに位置決めとなる位置決めピン2711と、カウルルーバライト20をカウルルーバレフト30に固定する固定爪2713が所要間隔離間して下向きに突設されている。
上板部23の前端には取付フランジ部25の付け根から分かれた上部に、フード80の裏面に当接するシールゴム29を取り付けるシールゴム取付座231が形成されている。
【0016】
カウルルーバレフト30は、後端に車両のウインドウガラス50の下縁に差し込むためにコ字状断面に形成されたガラス挿入溝31と、該ガラス挿入溝31から前方へ山形状に膨らんでフード80とデザイン的に連続する上板部33と、該上板部33の前端で、前記カウルパネル40の前壁47の上端で前方に折り曲げられたフランジ4711に取り付けるための取付フランジ部35と、上板部33の車両中心側の端部からカウルルーバライト20側に張り出して一体成形され、カウルルーバライト20の結合メール27と結合するための結合ヒメール37とからなる。
【0017】
結合部を構成する結合ヒメール37は、上板部33の車両中心側の端部を閉鎖する縦壁333の下端からカウルルーバライト20側に張り出した受け板371と、該受け板371の前記縦壁333と反対側から垂下する遮蔽板373とからなり、受け板371には、カウルルーバライト20の結合メール27に設けられた位置決めピン2711と固定爪2713がそれぞれ挿入されるガイド孔3711と固定孔3713が所要間隔離間して穿設されている。
上板部33の前端には取付フランジ部35の付け根から分かれた上部に、フード80の裏面に当接するシールゴム29を取り付けるシールゴム取付座331が形成されている。
【0018】
結合ヒメール37に車両長手方向と平行に形成された遮蔽板373は、受け板371から垂下して形成された固定遮蔽板3731と、該固定遮蔽板3731の前部で受け板371に溝肉ヒンジ3735を介して揺動可能に略水平に一体成形された揺動遮蔽板3733とからなる。
固定遮蔽板3731の車両前後方向の長さは、後端がカウルパネル40に取り付けられたときにカウルパネル40の後壁43に近接し、前端がカウルルーバレフト30をウインドウガラス50の下端に差し込むときにカウルパネル40の前壁47に干渉しない寸法とし、揺動遮蔽板3733の車両前後方向の長さは、後端が固定遮蔽板3731の前端と後述する隙間374を残して近接し、前端がカウルパネル40の前壁47に近接する寸法とする。
そして、固定遮蔽板3731と揺動遮蔽板3733の下端は、カウルパネル40に取り付けられたときにカウルパネル40の底板45に近接する大きさに形成されている。
尚、説明は省略したが、カウルルーバライト20の上板部23には、外気導入路Rと連通して外気を導入する多数のスリットPが設けられている。
【0019】
次に、カウルルーバ10の取り付け動作について説明する。先に、カウルルーバレフト30をカウルパネル40の上に取り付ける。すなわち、ウインドウガラス50の左半分の下端にカウルルーバレフト30のガラス挿入溝31を前方から差し込むように挿入する。このとき、遮蔽板373の揺動遮蔽板3733は溝肉ヒンジ3735を介して略水平に成形されているので、カウルルーバレフト30のガラス挿入溝31とフランジ部35とを結ぶ線より下方に延びる固定遮蔽板3731は、その前後方向の長さがカウルパネル40の前壁43と後壁47との間隔より揺動遮蔽板3733の分だけ短いため、挿入操作が容易となる。
挿入操作が終了したら、前端のフランジ部35でカウルパネル40の前壁43のフランジ4711にビスで固定し、カウルルーバレフト30の取り付け作業を終了する。
【0020】
次いで、カウルルーバライト20をカウルパネル40の上に取り付ける。すなわち、ウインドウガラス50の右半分の下端にカウルルーバライト20のガラス挿入溝21を前方から差し込むように挿入する。このとき、カウルルーバライト20の下方には突出するものがないので、容易に挿入できる。
そして、結合メール27に設けた位置決めピン2711を受け板371のガイド孔3711に挿入するとともに、カウルルーバライト20をガラス挿入溝21を中心として徐々に下方に回動すると、図4に示す結合メール27が受け板371の上方に配置される位置から、図5に示すように、先ず保持板273の先端(下端)が揺動遮蔽板3733の上面に当接し、水平部を押圧して揺動遮蔽板3733を溝肉ヒンジ3735を中心として下方に回動させる。
【0021】
さらにカウルルーバライト20を回動すると、図6に示すように、結合メール27に設けた固定爪2713が結合ヒメール37の固定孔3713に挿入されて固定されるとともに、保持板273が揺動遮蔽板3733をさらに回動させて略垂直の位置に起立させ、固定遮蔽板3731と略平行になるようにする。
したがって、この状態では、固定遮蔽板3731と揺動遮蔽板3733とが、その間にわずかな隙間374(図2参照)を有するだけの遮蔽板373を形成することとなる。
挿入操作が終了したら、前端のフランジ部25でカウルパネル40の前壁43のフランジ4711にビスで固定し、カウルルーバライト20の取り付け作業を終了し、カウルルーバ10の取り付けが完了する。
【0022】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前期実施の形態では、遮蔽板373と固定遮蔽板3731と揺動遮蔽板3733とで構成したが、カウルの断面形状によっては、一枚の固定遮蔽板のみで形成することも可能である。
また、前記実施の形態では、遮蔽板373を左側のカウルルーバレフト30に設けたもので説明したが、これに限られず、右側のカウルルーバライト20に設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、車両室内への空気を取り入れる空気導入口を設けたカウルの上面開口を覆うカウルルーバにおいて、該カウルルーバが車幅方向で2分割され、これら左右のカウルルーバを結合する結合部の一方に、前記カウルの空間を2分割するように遮蔽板を、車両前後方向と平行に一体に突設したので、カウルルーバの取扱いが容易になり、かつ、結合部の一方に設けた遮蔽板により結合部を補強することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一の実施の形態に係るカウルルーバが取り付けられた車両のフロントウインドウ下部を示した斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の一の実施の形態に係る左右のカウルルーバの結合部の斜視図である。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る左右のカウルルーバの結合部の、結合前の正面断面図である。
【図5】本発明の一の実施の形態に係る左右のカウルルーバの結合部の、揺動遮蔽板が押圧された初期の正面断面図である。
【図6】本発明の一の実施の形態に係る左右のカウルルーバの結合部の、結合後の正面断面図である。
【図7】従来のカウルルーバが取り付けられた、図2に相当する断面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 カウルルーバ
20 カウルルーバライト
21 ガラス挿入溝
23 上板部
27 結合メール
273 保持板
30 カウルルーバレフト
31 ガラス挿入溝
33 上板部
37 結合ヒメール
373 遮蔽板
3731 固定遮蔽板
3733 揺動遮蔽板
3735 溝肉ヒンジ
40 カウルパネル
50 ウインドウガラス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内へ空気を取り入れる空気導入口を設けたカウルの上面開口を覆うカウルルーバに関し、特に、空気導入口への温風の進入を防止する遮蔽板を設けたカウルルーバに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントウィンドウガラス下端の前部に、室内に外気を取り入れるためのカウルが設けられ、該カウルの上面開口を覆うカウルルーバが取り付けられる。カウルは車両のエンジンルームに隣接しているため、エンジンにより暖められた暖気が室内に進入しないように遮蔽板が設けられる。
【0003】
カウルに遮蔽板を設けたものとして、特開2003−118641号公報(以下、「特許文献1」という。)がある。この特許文献1に記載の「自動車の車体構造」は、カウルトップ15の縦壁31と該縦壁31に取り付けた隔壁32の下端の開口部35に取り付けたドレンバルブ18により、ダッシュボードアッパメンバ13の縦壁21とカウルトップ15の縦壁31及び隔壁32とから囲まれる収納空間33から外気取入用通路37に進入する暖気を遮断するものである。
【特許文献1】特開2003−118641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のカウルトップの構造では、ドレンバルブ18やバッフル17という暖気を遮断するための部品が必要となり、構造が複雑で組付工数や部品コストがかかるという問題がある。
一方、フロントウィンドウガラスとカウルルーバとの組上の見栄えを向上するために、図7に示すように、カウルルーバ910を合成樹脂材で成形して、後端の溝部921にガラス50の下端を挿入するようにして取り付けるものが採用されている。
この場合は、カウルルーバ910と一体に遮蔽板9373を成形することにより部品点数を減らすことが可能になるが、ガラス50の前端をカウルルーバ910後端の溝部921に挿入する際に、2点鎖線で示すように、カウルルーバ910を前方へずらした状態から後方へ移動させる必要があり、かつ、カウルルーバ910が平面視で前後方向に湾曲していることから、一体に成形された遮蔽板9373の前端をカウルパネル40と干渉しないように予め短縮しておくことになる。
そうすると、カウルルーバ910を取り付けた後に遮蔽板9373の前端部とカウルパネル40との間に隙間Sが生じて、暖気を遮蔽する機能が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、カウルルーバを2分割して、一方のカウルルーバに遮蔽板を一体成形しても隙間の生じないカウルルーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る請求項1に記載のカウルルーバは、車両室内への空気を取り入れる空気導入口を設けたカウルの上面開口を覆うカウルルーバにおいて、該カウルルーバが車幅方向で2分割され、これら左右のカウルルーバを結合する結合部の一方に、前記カウルの空間を2分割するように遮蔽板を、車両前後方向と平行に一体に突設したことを特徴とする。
よって、カウルルーバを車幅方向で2分割することにより、平面視での湾曲の曲率半径が小さくなり、その取扱いが容易になり、かつ、結合部の一方に遮蔽板を一体に突設してもカウルとの隙間を小さくでき、さらに結合部を補強することができる。
【0007】
また、本発明に係る請求項2に記載のカウルルーバは、前記カウルルーバの後端が車両のフロントウインドウガラスの下端を挟み込んで取り付ける構造である請求項1に記載のカウルルーバであることを特徴とする。
よって、カウルルーバを車幅方向で2分割することにより、カウルルーバの長さが短くなり、後端の溝にガラスの下端を挿入する際の移動量が小さくなり、その分、遮蔽板の前端部とカウルとの間の隙間が小さくでき、遮蔽板の機能を保つことができる。
【0008】
また、本発明に係る請求項3に記載のカウルルーバは、前記カウルルーバの結合部の一方に設けた遮蔽板の一部を肉ヒンジを介して揺動可能に略水平に一体成形するとともに、結合部の他方に前記遮蔽板の水平部を押圧して前記車両前後方向と平行に保持する保持板を突設してなる請求項1または2に記載のカウルルーバであることを特徴とする。
よって、遮蔽板の一部を揺動可能に略水平に成形してあるので、遮蔽板の車両前後方向の長さを短縮でき、後端の溝にガラスの下端を挿入する際の移動量が大きくでき、組付作業性が向上するとともに、組み付け後、他方の結合部に設けた保持板により遮蔽板の水平部を押圧して起立させて固定するので、遮蔽板の前端部とカウルとの間の隙間がさらに小さくできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カウルルーバを2分割して、その取扱いを容易にすることができ、かつ、結合部に設けた遮蔽板の前端部とカウルとの間の隙間が小さくでき、少ない部品点数で遮蔽板の機能を保つカウルルーバを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明に係るカウルルーバの一の実施の形態について図面を参照して説明する。
ここで、図1は、カウルルーバが取り付けられた車両のフロントウインドウ下部を示した斜視図であり、図2は、その断面図である。
【実施例】
【0011】
本発明のカウルルーバ10が取り付けられる車両のフロントウインドウ下部は、図1に示すように、左右のフロントピラー60、60と、これらと左右で連結する上方に開口する略コ字状断面のカウルパネル(請求項の「カウル」に相当)40等を備える鋼板製の骨格と、上記カウルパネル40よりも前方のエンジンルーム(図示せず)を覆うフード80(図2参照)や左右のフロントフェンダ70、70等が配置されている。
カウルパネル40の上部開口をカウルルーバ10により覆って、カウルパネル40とカウルルーバ10とにより外気導入路Rを形成し、カウルルーバ10に設けたスリットPから上記外気導入路R内に入った外気を、カウルパネル40の後壁43に設けた空気導入口4311から車両室内に取り込み、エアコンディショナ(エアコン)に導入するようになっている。
【0012】
カウルパネル40は、図2に示すように、後部でウインドウガラス50を接着するガラス保持部41と、該ガラス保持部41から下方に連続する後壁43と、該後壁43から前方へ連続する底壁45と、該底壁45から上方に立ち上がる前壁47とから上方に開口する略コ字状断面に成形された骨部材である。
そして、前述したように、後壁43には外気を車両室内に取り込むための空気導入口4311が設けられ、前壁47の上端には、前向きのフランジ4711が設けられている。
【0013】
本実施の形態のカウルルーバ10は、車両の略中央部で左右のカウルルーバ20、30に分割された合成樹脂成形品であり、この一方のカウルルーバレフト30に、エンジンルームからの暖気が外気導入孔4311が設けられている右半分側の外気導入路Rに進入しないように、遮蔽板373が外気導入路Rを左右に遮断するように設けられている。本発明は、この遮蔽板を、左右に分割されたカウルルーバの結合部に設けたことに特徴があるので、この部分を詳細に説明する。
【0014】
車両の幅方向右半分に位置するカウルルーバライト20は、図1乃至図3に示すように、後端に車両のウインドウガラス50の下縁に差し込むためにコ字状断面に形成されたガラス挿入溝21と、該ガラス挿入溝21から前方へ山形状に膨らんでフード80とデザイン的に連続する上板部23と、該上板部23の前端で、前記カウルパネル40の前壁47の上端で前方に折り曲げられたフランジ4711に取り付けるための取付フランジ部25と、上板部23の車両中心側の端部下面に一体成形され、後述するカウルルーバレフト30と結合するための結合部を構成する結合メール27とからなる。
【0015】
結合部を構成する結合メール27は、カウルルーバライト20の車両中心側の端部に前後端で上板部23の裏面に連結する底板271と、該底板271の、カウルルーバレフト30と対峙する面と反対側の端面から下方に垂下する保持板273とからなり、底板271の下面には、カウルルーバレフト30と結合されるときに位置決めとなる位置決めピン2711と、カウルルーバライト20をカウルルーバレフト30に固定する固定爪2713が所要間隔離間して下向きに突設されている。
上板部23の前端には取付フランジ部25の付け根から分かれた上部に、フード80の裏面に当接するシールゴム29を取り付けるシールゴム取付座231が形成されている。
【0016】
カウルルーバレフト30は、後端に車両のウインドウガラス50の下縁に差し込むためにコ字状断面に形成されたガラス挿入溝31と、該ガラス挿入溝31から前方へ山形状に膨らんでフード80とデザイン的に連続する上板部33と、該上板部33の前端で、前記カウルパネル40の前壁47の上端で前方に折り曲げられたフランジ4711に取り付けるための取付フランジ部35と、上板部33の車両中心側の端部からカウルルーバライト20側に張り出して一体成形され、カウルルーバライト20の結合メール27と結合するための結合ヒメール37とからなる。
【0017】
結合部を構成する結合ヒメール37は、上板部33の車両中心側の端部を閉鎖する縦壁333の下端からカウルルーバライト20側に張り出した受け板371と、該受け板371の前記縦壁333と反対側から垂下する遮蔽板373とからなり、受け板371には、カウルルーバライト20の結合メール27に設けられた位置決めピン2711と固定爪2713がそれぞれ挿入されるガイド孔3711と固定孔3713が所要間隔離間して穿設されている。
上板部33の前端には取付フランジ部35の付け根から分かれた上部に、フード80の裏面に当接するシールゴム29を取り付けるシールゴム取付座331が形成されている。
【0018】
結合ヒメール37に車両長手方向と平行に形成された遮蔽板373は、受け板371から垂下して形成された固定遮蔽板3731と、該固定遮蔽板3731の前部で受け板371に肉ヒンジ3735を介して揺動可能に略水平に一体成形された揺動遮蔽板3733とからなる。
固定遮蔽板3731の車両前後方向の長さは、後端がカウルパネル40に取り付けられたときにカウルパネル40の後壁43に近接し、前端がカウルルーバレフト30をウインドウガラス50の下端に差し込むときにカウルパネル40の前壁47に干渉しない寸法とし、揺動遮蔽板3733の車両前後方向の長さは、後端が固定遮蔽板3731の前端と後述する隙間374を残して近接し、前端がカウルパネル40の前壁47に近接する寸法とする。
そして、固定遮蔽板3731と揺動遮蔽板3733の下端は、カウルパネル40に取り付けられたときにカウルパネル40の底板45に近接する大きさに形成されている。
尚、説明は省略したが、カウルルーバライト20の上板部23には、外気導入路Rと連通して外気を導入する多数のスリットPが設けられている。
【0019】
次に、カウルルーバ10の取り付け動作について説明する。先に、カウルルーバレフト30をカウルパネル40の上に取り付ける。すなわち、ウインドウガラス50の左半分の下端にカウルルーバレフト30のガラス挿入溝31を前方から差し込むように挿入する。このとき、遮蔽板373の揺動遮蔽板3733は肉ヒンジ3735を介して略水平に成形されているので、カウルルーバレフト30のガラス挿入溝31とフランジ部35とを結ぶ線より下方に延びる固定遮蔽板3731は、その前後方向の長さがカウルパネル40の前壁43と後壁47との間隔より揺動遮蔽板3733の分だけ短いため、挿入操作が容易となる。
挿入操作が終了したら、前端のフランジ部35でカウルパネル40の前壁43のフランジ4711にビスで固定し、カウルルーバレフト30の取り付け作業を終了する。
【0020】
次いで、カウルルーバライト20をカウルパネル40の上に取り付ける。すなわち、ウインドウガラス50の右半分の下端にカウルルーバライト20のガラス挿入溝21を前方から差し込むように挿入する。このとき、カウルルーバライト20の下方には突出するものがないので、容易に挿入できる。
そして、結合メール27に設けた位置決めピン2711を受け板371のガイド孔3711に挿入するとともに、カウルルーバライト20をガラス挿入溝21を中心として徐々に下方に回動すると、図4に示す結合メール27が受け板371の上方に配置される位置から、図5に示すように、先ず保持板273の先端(下端)が揺動遮蔽板3733の上面に当接し、水平部を押圧して揺動遮蔽板3733を肉ヒンジ3735を中心として下方に回動させる。
【0021】
さらにカウルルーバライト20を回動すると、図6に示すように、結合メール27に設けた固定爪2713が結合ヒメール37の固定孔3713に挿入されて固定されるとともに、保持板273が揺動遮蔽板3733をさらに回動させて略垂直の位置に起立させ、固定遮蔽板3731と略平行になるようにする。
したがって、この状態では、固定遮蔽板3731と揺動遮蔽板3733とが、その間にわずかな隙間374(図2参照)を有するだけの遮蔽板373を形成することとなる。
挿入操作が終了したら、前端のフランジ部25でカウルパネル40の前壁43のフランジ4711にビスで固定し、カウルルーバライト20の取り付け作業を終了し、カウルルーバ10の取り付けが完了する。
【0022】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前実施の形態では、遮蔽板373固定遮蔽板3731と揺動遮蔽板3733とで構成したが、カウルの断面形状によっては、一枚の固定遮蔽板のみで形成することも可能である。
また、前記実施の形態では、遮蔽板373を左側のカウルルーバレフト30に設けたもので説明したが、これに限られず、右側のカウルルーバライト20に設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、車両室内への空気を取り入れる空気導入口を設けたカウルの上面開口を覆うカウルルーバにおいて、該カウルルーバが車幅方向で2分割され、これら左右のカウルルーバを結合する結合部の一方に、前記カウルの空間を2分割するように遮蔽板を、車両前後方向と平行に一体に突設したので、カウルルーバの取扱いが容易になり、かつ、結合部の一方に設けた遮蔽板により結合部を補強することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一の実施の形態に係るカウルルーバが取り付けられた車両のフロントウインドウ下部を示した斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の一の実施の形態に係る左右のカウルルーバの結合部の斜視図である。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る左右のカウルルーバの結合部の、結合前の正面断面図である。
【図5】本発明の一の実施の形態に係る左右のカウルルーバの結合部の、揺動遮蔽板が押圧された初期の正面断面図である。
【図6】本発明の一の実施の形態に係る左右のカウルルーバの結合部の、結合後の正面断面図である。
【図7】従来のカウルルーバが取り付けられた、図2に相当する断面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 カウルルーバ
20 カウルルーバライト
21 ガラス挿入溝
23 上板部
27 結合メール
273 保持板
30 カウルルーバレフト
31 ガラス挿入溝
33 上板部
37 結合ヒメール
373 遮蔽板
3731 固定遮蔽板
3733 揺動遮蔽板
3735 肉ヒンジ
40 カウルパネル
50 ウインドウガラス



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内への空気を取り入れる空気導入口を設けたカウルの上面開口を覆うカウルルーバにおいて、
該カウルルーバが車幅方向で2分割され、これら左右のカウルルーバを結合する結合部の一方に、前記カウルの空間を2分割するように遮蔽板を、車両前後方向と平行に一体に突設したことを特徴とするカウルルーバ。
【請求項2】
前記カウルルーバの後端が車両のフロントウインドウガラスの下端を挟み込んで取り付ける構造である請求項1に記載のカウルルーバ。
【請求項3】
前記カウルルーバの結合部の一方に設けた遮蔽板の一部を溝肉ヒンジを介して揺動可能に略水平に一体成形するとともに、結合部の他方に前記遮蔽板の水平部を押圧して前記車両前後方向と平行に保持する保持板を突設してなる請求項1または2に記載のカウルルーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−176070(P2006−176070A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373837(P2004−373837)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】