カップリング部材及びそれを備えた組立棚
【課題】組み付けが容易であり、また上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置変更を、他の棚部材はそのままで、当該中間棚部材のみの解体及び組み付けのみで行なうことができる組付棚及びこれに用いるカップリング部材を提供すること。
【解決手段】支柱2に嵌合し、1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内で支持するカップリング部材1であって、他方の側が開き閉じ自在となるように一方の側をヒンジ結合してなる2つの部材1a、1bからなり、支柱2を2つの部材で抱き込むように嵌めるものであり、支柱2に嵌合した状態において、外形は下方に向かうに従って漸次拡径した形状の第1テーパ16a、16bを形成し、ヒンジ結合部hの中心から周方向90度の位置の外周面には、それぞれ第1縦溝15a、15bを形成する。
【解決手段】支柱2に嵌合し、1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内で支持するカップリング部材1であって、他方の側が開き閉じ自在となるように一方の側をヒンジ結合してなる2つの部材1a、1bからなり、支柱2を2つの部材で抱き込むように嵌めるものであり、支柱2に嵌合した状態において、外形は下方に向かうに従って漸次拡径した形状の第1テーパ16a、16bを形成し、ヒンジ結合部hの中心から周方向90度の位置の外周面には、それぞれ第1縦溝15a、15bを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事務所、家庭、倉庫、店舗等で使用する収納棚、あるいは店舗で使用する陳列棚として使用されるものであり、組み付けと解体が容易な組立棚及びそれに使用するカップリング部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
登録実用新案公報第3057990号には、長手方向に所定の間隔で複数の環状の係止溝が外周面に形成された支柱と、内周面に形成された突条を前記支柱の係止溝に係止して支柱の外周面に取り付けられ、外形が下方に向かうに従って漸次拡径した形状に形成されたテ−パスリ−ブと、該テ−パスリ−ブの外面形状の一部又は全部に略一致するように下方に向かうに従って漸次拡径した内面形状に形成されるとともに、前記支柱の外周面に取り付けられたテ−パスリ−ブの外周面に差し込まれるリングが四隅に固着された棚部とからなる棚部の係止構造であって、前記棚部の左右のリングは棚部に対して左右異なる高さに固着され、前記テ−パスリ−ブの外周面に上下互い違いに差し込まれるように配置され、左右の棚部が同一の支柱を共用して段差なく連結されるようにした棚部の係止構造が開示されている。
これら従来の組立棚は、例えば2つの棚部材を長手方向に連結する場合、1本の支柱を共有できるため、見栄えがよく、また組み付けも容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案公報第3057990号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら従来の組立棚は、上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置を変更したい場合(以下、「中抜き操作」とも言う。)、その中間棚部材より上方にある棚部材を必ず取り除く必要があった。このため、組み付けは簡単ではあるが、中抜き操作は不便であり、実質的に中抜きが行なわれないものであった。
【0005】
従って、本発明の目的は、組み付けが容易であり、また上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置変更を、他の棚部材はそのままで、当該中間棚部材のみの解体及び組み付けのみで行なうことができる組付棚及びこれに用いるカップリング部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、上記従来の課題を解決したものであって、支柱に嵌合し、1つの棚部材を正面視でカップリング部材の径方向の1/2領域内で支持するカップリング部材であって、他方の側が開き閉じ自在となるように一方の側をヒンジ結合してなる2つの部材からなり、該支柱を2つの部材で抱き込むように嵌めるものであり、該支柱に嵌合した状態において、外形は下方に向かうに従って漸次拡径した形状の第1テーパを形成し、該ヒンジ結合部の中心から周方向90度の位置の外周面には、それぞれ第1縦溝を形成し、該第1縦溝を形成する2つの側壁面をそれぞれ第1係合部とすることを特徴とするカップリング部材を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、前記カップリング部材を備えることを特徴とする組立棚を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組立棚によれば、組み付けが容易であり、また上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置変更を、他の棚部材はそのままで、当該中間棚部材のみの取り外し及び付け直しを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるカップリング部材の嵌合状態における斜視図。
【図2】図1のカップリング部材の嵌合を解除した状態の斜視図。
【図3】図1のカップリング部分を拡大した斜視図。
【図4】図1のカップリング部材の斜視図。
【図5】図1のカップリング部材の他の斜視図。
【図6】図4のX−X線に沿って見た図。
【図7】図4のY−Y線に沿って見た図。
【図8】図1のカップリング部材の平面図。
【図9】図1に示す棚部材の四隅に形成される凹状係合部の平面図。
【図10】図1に示す棚部材の四隅に形成される凹状係合部の左側面図。
【図11】図9のZ1−Z1に沿って見た図。
【図12】カップリング部分を正面から見た第3係合部を断面(Z1−Z1断面)で示す図。
【図13】(A)、(B)カップリング部材の作用を説明する図。
【図14】本発明の実施の形態における組立棚の斜視図。
【図15】本発明の実施の形態における他の組立棚の斜視図。
【図16】中間棚部材の中抜き操作を説明する図である。
【図17】第2の実施の形態例におけるカップリング部材の嵌合を解除した斜視図。
【図18】図17のカップリング部材の嵌合を解除した他の斜視図。
【図19】図17のカップリング部材の嵌合状態における斜視図。
【図20】第2の実施の形態例のカップリング部材で使用する凹状係合部の平面図。
【図21】第2の実施の形態例のカップリング部材で使用する凹状係合部の左側面図。
【図22】図20のZ2−Z2に沿って見た図。
【図23】(A)、(B)は第2の実施の形態例のカップリング部材の嵌合作用を説明する図。
【図24】第2の実施の形態例のカップリング部材と凹状係合部の嵌合状態を示す平面図。
【図25】第2の実施の形態例のカップリング部材と凹状係合部の嵌合状態を示す他の平面図。
【図26】第3の実施の形態例におけるカップリング部材の嵌合を解除した斜視図。
【図27】図26のカップリング部材の嵌合を解除した他の斜視図。
【図28】図26のカップリング部材の嵌合状態における斜視図。
【図29】図26のカップリング部材の横断面図。
【図30】図26のカップリング部材の他の横断面図。
【図31】組立棚のカップリング部材を拡大して示す正面図。
【図32】連結された組立棚の一部を拡大して示す斜視図である。
【図33】1本支柱の組立棚の組立前の状態を示す斜視図である。
【図34】1本支柱の組立棚の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の第1実施の形態におけるカップリング部材及びこれを備える棚部材を図1〜図16を参照して説明する。カップリング部材1は、支柱2に嵌合し、1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内(図13中、符号X1/2の領域内、但し符号X1は左右方向のカップリング部材1の長さ(図13参照)。)で支持するものである。1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内で支持するため、上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置変更を、他の棚部材はそのままで、当該中間棚部材の中抜き操作を可能にすることができる。また、他の棚部材の横方向への連結も既設の組立棚はそのままで組み付けることができる。
【0011】
図2〜図7に示すように、カップリング部材1は、他方の側が開き閉じ自在となるように一方の側をヒンジ結合してなる2つの部材1a、1bからなり、支柱2を2つの部材1a、1bで抱き込むように嵌めるものである。本例のヒンジ結合は、2つの部材1a、1bをピン5で回動自在に留めたものであるが、これに限定されず、例えば、2つの部材1a、1bは一体的に連続した材料であって、ヒンジ部のみ厚みを薄くして、該薄部を軸に2つの部材1a、1bを回動自在にしたものであってもよい。
【0012】
図6及び図7に示すように、カップリング部材1は、支柱2に嵌合した状態において、外形は下方に向かうに従って漸次拡径した形状の第1テーパ16a、16bを形成し、ヒンジ結合部の中心(ピン5の中心)51から周方向90度の位置(正面視の中央)の外周面には、それぞれ第1縦溝15a、15bを形成し、第1縦溝15a、15bを形成する互いに対向する2つの側壁面17a、18a(17b、18b)をそれぞれ第1係合部としたものである。「外形」とは、最外側の輪郭を言い、第1縦溝15a、15bの溝底を含まない意味である。なお、本明細書中、正面とは、棚部材の連結方向を左右方向とする側、すなわち図14の符号F側を言う。なお、棚部材の連結方向長さの1辺が通常は長手方向となるが、必ずしも長手方向となるものではない。
【0013】
カップリング部材1における一方の部材1aは、支柱2の側面形状に対応する内周面142を有する本体部11aを有し、本体部11aの他方の側は、上下方向において互いに離間する2つの腕部12aを有し、本体部11aの両腕部の反対側の端で上下方向の中央部に上下方向に貫通する軸孔を有する基部121aを形成する。
【0014】
また、カップリング部材1における他方の部材1bは、支柱2の側面形状に対応する内周面143を有する本体部11bを有し、本体部11bの他方の側で上下方向の中央部に腕部13bを有し、本体部11bの腕部13bの反対側の端に、上下方向において互いに離間すると共に、上下方向に貫通する軸孔を有する2つの基部121bを有する。また、他方の部材1bの2つの基部121bの外周面は、深さ方向に僅かに切り欠かれた鋤き部101を有しており、回動の際、他方の部材1bの端部が一方の部材1aに当たって回動を妨げることがないようにしている。また、同様の理由により、一方の部材1aの1つの基部121aの外周面も、深さ方向に僅かに切り欠かれた鋤き部102を有している。
【0015】
カップリング部材1は、図5に示すように、他方の部材1bの2つの基部121b間に、一方の部材1aの基部121aを嵌め込み、それぞれの軸孔を対応させ、ピン5を軸孔に圧入することで形成される。これにより、図3に示すように、2つの部材1a、1bは高さが面一となり、他端を閉じると、図4に示すように、一方の部材1aの2つの腕部12a間の空間に他方の部材1bの1つの腕部13bが嵌り、全体が略円錐台形状を形成することになる。図4は、支柱2が省略されているが、支柱2に嵌合した状態である。なお、カップリング部材1は、支柱2に嵌合した状態において、開き閉じ側に締め込み代となる隙間171を有している。これにより、棚部材の係合凹部3が嵌合する際、強い締付けが可能となる。
【0016】
本体部11a、11bは、所定高さを有する略パイプ状物を半割りした形状(凹板状)であって、外形を形成する外周面が下方に向けて拡径した形状の第1テーパ16a、16bとなっている。第1テーパ16a、16bのテーパは、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。
【0017】
また、本体部11a、11bの内周面142、143には、更に支柱2に係止する突条14a、14b又は突起を備える。突条14a、14bは、支柱2の環状又は部分環状の係止溝22に係止するものであり、内周面142、143の幅方向の一部又は全部に形成される環状の突条である。突条14a、14bと係止溝22が係止することで、上下方向の移動を規制することができる。また、突起の場合、支柱2の係止孔に係合することになる(不図示)。係止孔は有底の非貫通孔である。本体部11a、11bの内周面142、143に形成されるものは、上記の突起又は突条に限定されず、係止溝又は係止孔であってもよい。この場合、支柱2の外周面には係止突条又は係止突起が形成される。
【0018】
ヒンジ結合部の中心(ピン5の中心)51から周方向90度の位置の外周面に形成された第1縦溝15a、15bは、棚部材31の第3係合部となる鍔部34が係合する。図2及び図8に示すように、第1縦溝15a、15bは、溝幅が下方に向けて漸次縮小する。すなわち、第1縦溝15a、15bを形成する互いに対向する2つの側壁部17a、18a(17b、18b)が正面視で傾斜状となっている。これにより、図12に示すように、第1テーパ16a、16bで形成されるテーパと、他方の側壁部17bで形成されるテーパは、互いに傾斜方向が異なる八の字形状となるため、棚部材31の係合強度が安定し、且つ高くなる。壁部17a、18a(17b、18b)の傾斜(テーパ)は、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。なお、第1縦溝15a、15bは上下方向において、同じ溝幅であってもよい。なお、図8中、符号pは支柱が嵌る穴である。
【0019】
図12に示すように、カップリング部材1を支柱2に組み付けた際、正面視で支柱2の軸芯の右側において表われる側壁部17bは、下方に向けて軸芯に近づくテーパである。また、第1縦溝15a、15bの溝底面151a、151bは、下方に向かうに従って漸次拡がりの形状に形成されたテーパ状(第4テーパ)である。この溝底面151a、151bは棚部材31の凹状係合部3の第5テーパ、すなわち鍔部34の互いに対向する端面(内側面)36に対応しており、凹状係合部3をカップリング部材1に嵌め込むことで、カップリング部材1の支柱2への嵌合強度を高めている。溝底面151a、151bのテーパ(第4テーパ)は、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。また、2つの側壁部17a、18a(17b、18b)は角部は丸みがあるものの、その角部が形成する角度は平面視点で鋭角となっている(図8参照)。これにより、凹状係合部3の鍔部34が外側に外れ難くなる。
【0020】
カップリング部材1は、金属、樹脂又はこれらの複合物から作製されるものである。この中、樹脂製のものは、組み付けの際、金属音などが発生せず、組み付けも容易となる点で好ましい。樹脂としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂などエンジニアリングプラスチックが使用できる。これらの合成樹脂は、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性に優れる。なお、樹脂には、更にガラス繊維やカーボン繊維等の強化繊維が含まれていてもよい。
【0021】
次に、本発明の実施の形態における組立棚について説明する。本例の組立棚10は、上記カップリング部材1を備えるものである。組立棚10は、支柱2と、カップリング部材1と、棚部材31を備えるものである。一つの棚部材31を支柱2に固定するには、1つの棚部材31と、4本の支柱2と、4つのカップリング部材1を必要とする。図14の上下3段棚の組立棚10は、3つの棚部材31と、4本の支柱2と、12個のカップリング部材1を必要とする。
【0022】
また、本例の組立棚10は、上記カップリング部材1を装着する4本の支柱2と、カップリング部材1の第1テーパ16a(16b)に当接する第2テーパ322と、第1係合部18a、18b(17a、17b)に係合する第3係合部32をそれぞれ備える凹状係合部3が四隅に形成された棚部材31と、を備えるものであり、4本の支柱2にカップリング部材1を第1縦溝15a又は15bが正面位置となるように嵌め込み、更にカップリング部材1に凹状係合部3を嵌め込んで棚部材31を設置してなり、棚部材31は正面視で2つの支柱2、2の軸芯間に配置される。なお、カップリング部材1の第1縦溝15a(15b)の溝底面の第4テーパ及び凹状係合部3の第5テーパ36は任意の構成要素である。
【0023】
支柱2としては、長手方向に規則又は不規則の間隔で環状又は部分環状の係止溝を形成したものが使用できる。支柱2の断面形状としては、特に制限されず、円形断面の他、楕円断面、四角形断面、菱形断面、X形及びH形などが挙げられる。このように支柱が異形の断面形状の場合、カップリング部材1は、その断面形状に対応する内周面形状を採ればよい。部分環状溝には、外周面に対して直線状に切り込んだ、溝中央の溝深さが大で溝端部に向かうにつれて浅くなる溝であってもよい。支柱2の外周面21に形成されるものは、上記の係止溝又は係止孔に限定されず、突起又は突条であってもよい。この場合、本体部11a、11bの内周面142、143には係止突条又は係止突起が形成される。
【0024】
棚部材31は、カップリング部材1に係合する凹状係合部3が略四隅に形成されたものである。本例において四隅とは、棚部材31の短手方向における端部である。四隅をこのような位置とすることで、4本の支柱で形成される設置面積が大きくとれ、組立棚10の設置が安定する。棚部材の棚本体部分はボード状又は網目状のいずれでもよい。棚部材31の形状は、平面視で通常、矩形状である。
【0025】
図9〜図11に示すように、棚部材31の凹状係合部3は、カップリング部材1の側面形状に対応する内周面を有する係合本体部35と、係合本体部35の前端且つ両側から内側に向かって延びる鍔部34を備えるものであり、くりぬき部分311の奥側の内周面(内壁面)33に第2テーパ322が形成され、鍔部34の第2テーパ側の面(鍔部34の裏面)32に第3テーパ321が形成されている。すなわち、図11及び図13に示すように、第3テーパ321は、正面視(図9中、符号Z1−Z1)で表われるものであり、カップリング部材1の側壁部17a、17b(18a、18b)の形状に対応した形状となっている。また、第2テーパ322は、カップリング部材1の第1テーパ16a、16bの形状に対応した形状、本例では下方に向けて拡径となる凹面形状となっている。
【0026】
また、凹状係合部3の鍔部34の互いに対向する端面(内側面)36は、下方に向けて漸次拡がり状のテーパ(第5テーパ)となっている。この端面(第5テーパ)36は、カップリング部材1の第1縦溝15a、15bの溝底面151a、151bのテーパ(第4テーパ)形状に対応しており、凹状係合部3をカップリング部材1に嵌め込むことで、第5テーパがカップリング部材1の本体部11a、11bを支柱2側へ強く押すため、カップリング部材1の支柱2への嵌合強度が高まる。鍔部34の互いに対向する端面(第5テーパ)36のテーパは、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。
【0027】
また、鍔部34の第2テーパ側の角は、平面視で鋭角となっている。これにより、同様の鋭角に形成された2つの側壁部17a、17b(18a、18b)が係合することで、第3係合部3の係合が外側に外れることがなくなる。
【0028】
次に、支柱2に棚部材31を固定する方法の一例を以下に説明する。先ず、支柱2にカップリング部材1を介して最下段の棚部材31bを固定する。すなわち、支柱2の高さ方向における下方の所定位置に、カップリング部材1を取り付ける。カップリング部材1の支柱2への取付けは、2つの部材を他方の側が開いた状態にして、支柱2を抱き込むように嵌め込み、第1縦溝15a、15bが正面位置となるような位置で、他方の側を閉じて取り付ける。すなわち、ヒンジ結合部hは棚部材31の凹状係合部3の前後方向の中央部(図9中、符号Z1−Z1が横切る部分)またはその反対方向(周方向180度の地点)に位置する。この際、支柱2の係止溝22とカップリング部材1の突条14a(14b)を一致させる。これにより支柱2の係止溝22とカップリング部材1の突条14a(14b)は係止状態となり、上下方向の移動を規制する。カップリング部材1の取付けは、4本の支柱2について行う。
【0029】
支柱2に取り付けられたカップリング部材1は、図12に示すように、第1縦溝15bが正面(カップリング部材1の左右方向の中央部)に位置し、ヒンジ部h(ピン5の部分)がカップリング部材1の図12中の左側に位置する(図8参照)。なお、カップリング部材1の取り付け位置は、図12に対して、180度回転させた位置、すなわち、ヒンジ部h(ピン5の部分)がカップリング部材1の図12中の右側に位置するようにしてもよい。この場合、第1縦溝15aが正面(カップリング部材1の左右方向の中央部)の位置にくる。
【0030】
次に、棚部材31の第3係合部3をカップリング部材1に対して上方から下方に向けて押し込む(図13(A))。これにより、棚部材31の第2テーパ322は、カップリング部材1の外形である第1テーパ16a、16bに当接し、カップリング部材の本体部11a、11bを支柱2方向に押圧し(図13(A)符号A方向)、棚部材31の第3テーパ321は、カップリング部材1の第1縦溝15bを形成する側壁部17bに当接し(図13(A)符号B方向)、棚部材31は、カップリング部材1に強く嵌合する(図13(B))。なお、ヒンジ部hがカップリング部材1の右側に位置する場合、上記の抱き締めにより、2つの部材1a、1bが若干開くように作用するが、本例では、棚部材31の鍔部の内側先端面に形成される第5テーパ36が第1縦溝15a、15bの溝底面の第4テーパに当接しているため、カップリング部材1支柱2を抱き締める効果は維持される。このように、棚部材31と支柱2は、非接触であり、棚部材31は、カップリング部材1が支持しており、棚部材31の鍔部34(第3係合部)をカップリング部材1に対して下方側へ押し込むことで、カップリング部材1を支柱2に強く固定することになる。次に、中間棚部材31a及び最上段棚部材31を取り付けるが、取り付けの順序は、どちらが先でもよい。すなわち、先に中間棚部材31aを、その後、最上段棚部材31を取り付けても、先に最上段の棚部材31を、その後、中間棚部材31aを取り付けてもよい。従来の組立棚は、中間棚部材31aを最後に取り付けることができなかったが、本発明の組立棚は、中間棚部材31aを最後に取り付けることができ、作業手順が多様になり、取り付け作業が容易になる。
【0031】
図14に示すような組立棚10を1基(通常は上下多段)とすると、棚部材31は、正面視で2つの支柱2、2の軸芯間に配置される(図13及び14参照)。すなわち、図31に示すように、棚部材31の正面視における1辺の長さ(l2)は、一方(左側)の支柱2の軸芯Yと他方(右側)の軸芯Y間の長さ(l1)と同等か又はわずかに小である。すなわち、1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内で支持する。図31に示すように、棚部材31の正面視における1辺の長さ(l2)を、2つの支柱2、2の軸芯間長さ(l1)よりわずかに小とすれば、組立棚10を連結する際、2つの棚部材31の端部が接触することがなく、組み付けが容易となる。組み付けられた2つの棚部材31の端部間の隙間(一つの組立棚支柱2の軸芯と棚部材31の端面間の2倍)(図32中、符号n)は、5mm以内、好適には2mm以内とすることが、棚部材31に載せられた小物の落下を防止できる点で好ましい。棚部材31の端部は、本例では、第3係合部3の端部である。このように、棚部材31の両端は、正面視で2つの支柱2、2の軸芯を超えて、外側に位置することはない。なお、軸芯Yは、正面視における鉛直方向に延びる支柱2の中心を言う。
【0032】
棚部材31は、カップリング部材1の正面視の径方向における1/2の領域内で支持する。このように、1つの棚部材31を、支柱2の半分(カップリング部材1の半分)で支持することにより、組立棚10の2基を、長手方向に連結した際、1本の支柱2を左右の棚部材31、31の固定に際して共有することができる(図12及び図15)。
【0033】
次に、図15に示すように、棚部材31を横方向に連結する方法を説明する。すなわち、組立棚10において、カップリング部材1の正面視の径方向(短手方向)における他の1/2の領域内に、組立棚10の長手方向に連結される同じ形状の他の棚部材の凹状係合部3を嵌め込み、2つの棚部材31、31を1つの支柱2を介して連結することで組立棚20を形成できる。すなわち、図15に示すように、組立棚20は1本の支柱2の両側にそれぞれ棚部材31を設けて、2連の組立棚としたものである。組立棚20において、組立棚10と異なる点は、中間の支柱2の固定部分である。すなわち、図14及び図15に示すように、組立棚10で使用していない、カップリング部材1の径方向における他の1/2の領域部分で、新たに連結する棚部材31を支持する。使用する棚部材31及びその取り付け方法は、組立棚10の場合と同じである。
【0034】
組立棚10及び組立棚20において、例えば中間棚部材31aを取り除きたい場合、あるいはその設置位置を変更したい場合(中抜き操作)について図14及び図16を参照して説明する。図14の中間棚部材31aの中抜きは、中間部材31aをそのまま上方に若干持ち上げる。その際、中間部材31aの上方空間Sに障害となるものはなく、カップリング部材1が存在しない部分における支柱2と棚部材31の凹状係合部3とは隙間が十分にある状態となる。少し持ち上がったところで、中間棚部材31aを長手方向に下り傾斜又は上り傾斜となるように傾ける(図16参照)。この傾ける位置は傾けられた中間棚部材31aにおける水平寸法が組立棚10の2つの支柱2、2間の間口より小となる位置である。この中間棚部材31aを傾けた状態から中間棚部材31aをそのままの姿勢で手前に引出せば、中間棚部材31aの中抜きが可能となる。なお、その後、カップリング部材1を取り外すか、若しくは位置を変更して取り付け、中間棚部材31aを再設置すれば、中間棚部材31aの設置位置の変更が可能となる。
【0035】
中間棚部材31aを再設置するには、上記取り除き方法とは逆の操作方法により行なえばよい。このように、組立棚10及び組立棚20は、中抜き操作が容易に行える。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態におけるカップリング部材及び組立棚を図17〜図25を参照して説明する。図17〜25において、図1〜図16と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、カップリング部材1Aにおいて、カップリング部材1と主に異なる点は、ヒンジ結合部の外周面及びヒンジ結合部の中心軸から周方向180度の位置の外周面に、それぞれ第2縦溝102c、102dを形成し、第2縦溝102c、102dを形成する2つの側壁面19c、19dをそれぞれ第2係合部とした点にある。また、組立棚においては、凹状係合部3の凹面形状が異なる。
【0037】
第2縦溝102c、102dは、ヒンジ部h側と開き側とでは、若干形状が異なる。すなわち、ヒンジ部hの外周面に形成される第2縦溝102cの溝幅は、下方に向けて漸次縮小する形状である。すなわち、第2縦溝102cを形成し互いに対向する2つの側壁部19c、19cは、正面視で傾斜している。また、第2縦溝102cの溝底面191は、上下方向において同じ径である。第2縦溝102cを形成する2つの側壁部19c、19cにテーパを形成し、凹状係合部3Aがカップリング部材1Aに嵌合することで、周方向において反ヒンジ部側へ作用力が働き、2つの部材が閉じるような力が作用する。なお、ヒンジ部側の第2縦溝102cの溝幅は、第1縦溝15a、15bの溝幅より大であるが、2つの側壁部19c、19cをヒンジ部から遠い位置とすることで、周方向において反ヒンジ部側への作用力が大きくなる。このようにヒンジ部側の第2縦溝102cを上記のように特定形状とすることで、カップリング部材1Aの支柱への嵌合強度が高まる。
【0038】
一方、反ヒンジ部側、すなわち開き側の第2縦溝102dの溝幅は、上下方向にかけて一定であり、また、第2縦溝102dの溝底面は、下方に向けて漸次拡径することなく、上下方向にかけて一定の径である。開き側の第2縦溝102dをこのような特定の形状とすれば、凹状係合部3Aがカップリング部材1Aに嵌合しても、第2縦溝102dにおいては、カップリング1Aを締め付ける作用力が生じることがない。なお、第2縦溝102dの溝幅を下方に向けて漸次縮小する形状とすると、カップリング部材1Aが開く方向に力が作用するため好ましくない。
【0039】
凹状係合部3Aにおいて凹状係合部3と異なる点は、内周面の形状である。すなわち、凹状係合部3Aは、カップリング部材1Aの外周面形状に対応した形状である。すなわち、凹状係合部3Aの内周面には、ヒンジ部側の第2縦溝102cに嵌る突起部331が形成されている。この突起部331の内周面は、上下方向に向けて同じ径であり、突起部331の両端部の壁面はヒンジ部側の第2縦溝102cの傾斜に対応した傾斜状である。このような形状の凹状係合部3Aは、ヒンジ部側の第2縦溝102cに嵌合することで、テーパ同士が当接し、強い嵌合となる(図24参照)。一方、開き側の第2縦溝102dに嵌合することで、テーパと非テーパで非接触となり、カップリング部材1Aが開く方向に力が作用しないようにしている(図25参照)。
【0040】
組立棚10aにおいて、カップリング部材1A、支柱2及び棚部材31で形成される嵌合構造は、組立棚10と同様の作用効果を奏する。また、組立棚10aは、組立棚10と同様に中抜き操作をすることができる。また、組立棚10aは、横方向に他の組立棚を連結することもできる。
【0041】
次に、本発明の第3の実施の形態における組立棚を図26〜図28を参照して説明する。図26〜図28において、図1〜図5と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、カップリング部材1Bにおいて、カップリング部材1と主に異なる点は、2つの部材1a、1bを閉じる扉部材4を内蔵する点である。
【0042】
すなわち、一方の部材11aの開き側では、扉部材4を収納且つ軸支するため、上下方向に貫通する扉用軸41を通す軸孔を形成した薄肉の2つの基部118a、118aを上下方向に離間して設置し、他方の部材11bの開き側では、扉部材4を収納且つ留めるため、係止部45を備える薄肉の基部119bを形成する。また、扉部材4は軸孔を有する基部42と側方向の先端にフック431を設けた本体部43を有する。扉部材4は、2つの部材11a、11bを閉じた状態で、扉部材4を閉めることで、フック431と係止部45が係止される。これにより、カップリング部材1Bの支柱2への嵌合が安定する。また、扉部材4は閉じた状態において、2つの部材の本体部の中に収容されており、棚部材31の凹状係合部3がカップリング部材1Bに嵌合する際の障害となることがない。
【0043】
本例の組立棚において、カップリング部材1B、支柱2及び棚部材31で形成される嵌合構造は、組立棚10と同様の作用効果を奏する。また、本例の組立棚は、組立棚10と同様に中抜き操作をすることができる。また、組立棚10bは、横方向に他の組立棚を連結することもできる。
【0044】
本発明の組立棚は、前記4本の支柱を使用したものに制限されず、例えば1本支柱の組立棚、2本支柱の組立棚、3本支柱の組立棚であってもよい。
【0045】
1本支柱の組立棚は、前記カップリング部材と、長手方向に規則又は不規則の間隔で係止突起又は係止突条あるいは係止溝又は係止孔を形成した1本の支柱と、カップリング部材の第1テーパに当接する第2テーパと第1係合部に係合する第3係合部をそれぞれ備えるか、あるいは該第2テーパと該第3係合部と第2縦溝に嵌る突起部をそれぞれ備える凹状係合部が形成された棚部材と、を備えるものであり、該1本の支柱に該カップリング部材を嵌め込み、更に該カップリング部材に該凹状係合部を嵌め込んで該棚部材を設置してなる。このような1本支柱の組立棚は、軽量ものの支持であって、デザインの観点からも好適なものである。1本支柱の組立棚において、棚部材における凹状係合部の形成位置は、通常棚部材の長手方向の中央で且つ端部であっても、棚部材の中央であってもよい。
【0046】
1本支柱の組立棚の一例を図33及び図34を参照して説明する。図33は1本支柱の組立棚の組立前の状態を示す斜視図、図34は1本支柱の組立棚の斜視図である。1本支柱の組立棚は、棚部材31bの中央に凹状係合部3を形成し、凹状係合部3の開口方向に支柱2が通る挿入路312を切り欠いて形成したものである。
【0047】
2本支柱の組立棚において、棚部材における凹状係合部の形成位置は、特に制限されず、通常棚部材の長手方向又は短手方向の端部若しくは中央あるいは何れの箇所であってもよい。2本支柱の組立棚において、棚部材の長手方向の一方の辺で支持する場合、片持ち支持となり、棚部材の短手方向の両方の辺でそれぞれ1本で支持する場合、両持ち支持となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の組立棚は、事務所、家庭、倉庫、店舗等において、また店舗において、組み付けと解体が容易な陳列棚として使用できる。
【符号の説明】
【0049】
1、1A、1B カップリング部材
1a 一方の部材
1b 他方の部材
2 支柱
3、3A 凹状係合部
10 組立棚
11a(11b) カップリングの本体部
14a(14b) 突条
15a(15b) 第1縦溝
16a(16b) 第1テーパ
31 棚部材
32 第3係合部(第3テーパ)
34 鍔部
36 鍔部の先端(内側面)(第5テーパ)
322 第2テーパ
102c、102d 第2縦溝
151a、151b 第1縦溝の溝底面(第4テーパ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、事務所、家庭、倉庫、店舗等で使用する収納棚、あるいは店舗で使用する陳列棚として使用されるものであり、組み付けと解体が容易な組立棚及びそれに使用するカップリング部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
登録実用新案公報第3057990号には、長手方向に所定の間隔で複数の環状の係止溝が外周面に形成された支柱と、内周面に形成された突条を前記支柱の係止溝に係止して支柱の外周面に取り付けられ、外形が下方に向かうに従って漸次拡径した形状に形成されたテ−パスリ−ブと、該テ−パスリ−ブの外面形状の一部又は全部に略一致するように下方に向かうに従って漸次拡径した内面形状に形成されるとともに、前記支柱の外周面に取り付けられたテ−パスリ−ブの外周面に差し込まれるリングが四隅に固着された棚部とからなる棚部の係止構造であって、前記棚部の左右のリングは棚部に対して左右異なる高さに固着され、前記テ−パスリ−ブの外周面に上下互い違いに差し込まれるように配置され、左右の棚部が同一の支柱を共用して段差なく連結されるようにした棚部の係止構造が開示されている。
これら従来の組立棚は、例えば2つの棚部材を長手方向に連結する場合、1本の支柱を共有できるため、見栄えがよく、また組み付けも容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案公報第3057990号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら従来の組立棚は、上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置を変更したい場合(以下、「中抜き操作」とも言う。)、その中間棚部材より上方にある棚部材を必ず取り除く必要があった。このため、組み付けは簡単ではあるが、中抜き操作は不便であり、実質的に中抜きが行なわれないものであった。
【0005】
従って、本発明の目的は、組み付けが容易であり、また上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置変更を、他の棚部材はそのままで、当該中間棚部材のみの解体及び組み付けのみで行なうことができる組付棚及びこれに用いるカップリング部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、上記従来の課題を解決したものであって、支柱に嵌合し、1つの棚部材を正面視でカップリング部材の径方向の1/2領域内で支持するカップリング部材であって、他方の側が開き閉じ自在となるように一方の側をヒンジ結合してなる2つの部材からなり、該支柱を2つの部材で抱き込むように嵌めるものであり、該支柱に嵌合した状態において、外形は下方に向かうに従って漸次拡径した形状の第1テーパを形成し、該ヒンジ結合部の中心から周方向90度の位置の外周面には、それぞれ第1縦溝を形成し、該第1縦溝を形成する2つの側壁面をそれぞれ第1係合部とすることを特徴とするカップリング部材を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、前記カップリング部材を備えることを特徴とする組立棚を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組立棚によれば、組み付けが容易であり、また上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置変更を、他の棚部材はそのままで、当該中間棚部材のみの取り外し及び付け直しを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるカップリング部材の嵌合状態における斜視図。
【図2】図1のカップリング部材の嵌合を解除した状態の斜視図。
【図3】図1のカップリング部分を拡大した斜視図。
【図4】図1のカップリング部材の斜視図。
【図5】図1のカップリング部材の他の斜視図。
【図6】図4のX−X線に沿って見た図。
【図7】図4のY−Y線に沿って見た図。
【図8】図1のカップリング部材の平面図。
【図9】図1に示す棚部材の四隅に形成される凹状係合部の平面図。
【図10】図1に示す棚部材の四隅に形成される凹状係合部の左側面図。
【図11】図9のZ1−Z1に沿って見た図。
【図12】カップリング部分を正面から見た第3係合部を断面(Z1−Z1断面)で示す図。
【図13】(A)、(B)カップリング部材の作用を説明する図。
【図14】本発明の実施の形態における組立棚の斜視図。
【図15】本発明の実施の形態における他の組立棚の斜視図。
【図16】中間棚部材の中抜き操作を説明する図である。
【図17】第2の実施の形態例におけるカップリング部材の嵌合を解除した斜視図。
【図18】図17のカップリング部材の嵌合を解除した他の斜視図。
【図19】図17のカップリング部材の嵌合状態における斜視図。
【図20】第2の実施の形態例のカップリング部材で使用する凹状係合部の平面図。
【図21】第2の実施の形態例のカップリング部材で使用する凹状係合部の左側面図。
【図22】図20のZ2−Z2に沿って見た図。
【図23】(A)、(B)は第2の実施の形態例のカップリング部材の嵌合作用を説明する図。
【図24】第2の実施の形態例のカップリング部材と凹状係合部の嵌合状態を示す平面図。
【図25】第2の実施の形態例のカップリング部材と凹状係合部の嵌合状態を示す他の平面図。
【図26】第3の実施の形態例におけるカップリング部材の嵌合を解除した斜視図。
【図27】図26のカップリング部材の嵌合を解除した他の斜視図。
【図28】図26のカップリング部材の嵌合状態における斜視図。
【図29】図26のカップリング部材の横断面図。
【図30】図26のカップリング部材の他の横断面図。
【図31】組立棚のカップリング部材を拡大して示す正面図。
【図32】連結された組立棚の一部を拡大して示す斜視図である。
【図33】1本支柱の組立棚の組立前の状態を示す斜視図である。
【図34】1本支柱の組立棚の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の第1実施の形態におけるカップリング部材及びこれを備える棚部材を図1〜図16を参照して説明する。カップリング部材1は、支柱2に嵌合し、1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内(図13中、符号X1/2の領域内、但し符号X1は左右方向のカップリング部材1の長さ(図13参照)。)で支持するものである。1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内で支持するため、上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置変更を、他の棚部材はそのままで、当該中間棚部材の中抜き操作を可能にすることができる。また、他の棚部材の横方向への連結も既設の組立棚はそのままで組み付けることができる。
【0011】
図2〜図7に示すように、カップリング部材1は、他方の側が開き閉じ自在となるように一方の側をヒンジ結合してなる2つの部材1a、1bからなり、支柱2を2つの部材1a、1bで抱き込むように嵌めるものである。本例のヒンジ結合は、2つの部材1a、1bをピン5で回動自在に留めたものであるが、これに限定されず、例えば、2つの部材1a、1bは一体的に連続した材料であって、ヒンジ部のみ厚みを薄くして、該薄部を軸に2つの部材1a、1bを回動自在にしたものであってもよい。
【0012】
図6及び図7に示すように、カップリング部材1は、支柱2に嵌合した状態において、外形は下方に向かうに従って漸次拡径した形状の第1テーパ16a、16bを形成し、ヒンジ結合部の中心(ピン5の中心)51から周方向90度の位置(正面視の中央)の外周面には、それぞれ第1縦溝15a、15bを形成し、第1縦溝15a、15bを形成する互いに対向する2つの側壁面17a、18a(17b、18b)をそれぞれ第1係合部としたものである。「外形」とは、最外側の輪郭を言い、第1縦溝15a、15bの溝底を含まない意味である。なお、本明細書中、正面とは、棚部材の連結方向を左右方向とする側、すなわち図14の符号F側を言う。なお、棚部材の連結方向長さの1辺が通常は長手方向となるが、必ずしも長手方向となるものではない。
【0013】
カップリング部材1における一方の部材1aは、支柱2の側面形状に対応する内周面142を有する本体部11aを有し、本体部11aの他方の側は、上下方向において互いに離間する2つの腕部12aを有し、本体部11aの両腕部の反対側の端で上下方向の中央部に上下方向に貫通する軸孔を有する基部121aを形成する。
【0014】
また、カップリング部材1における他方の部材1bは、支柱2の側面形状に対応する内周面143を有する本体部11bを有し、本体部11bの他方の側で上下方向の中央部に腕部13bを有し、本体部11bの腕部13bの反対側の端に、上下方向において互いに離間すると共に、上下方向に貫通する軸孔を有する2つの基部121bを有する。また、他方の部材1bの2つの基部121bの外周面は、深さ方向に僅かに切り欠かれた鋤き部101を有しており、回動の際、他方の部材1bの端部が一方の部材1aに当たって回動を妨げることがないようにしている。また、同様の理由により、一方の部材1aの1つの基部121aの外周面も、深さ方向に僅かに切り欠かれた鋤き部102を有している。
【0015】
カップリング部材1は、図5に示すように、他方の部材1bの2つの基部121b間に、一方の部材1aの基部121aを嵌め込み、それぞれの軸孔を対応させ、ピン5を軸孔に圧入することで形成される。これにより、図3に示すように、2つの部材1a、1bは高さが面一となり、他端を閉じると、図4に示すように、一方の部材1aの2つの腕部12a間の空間に他方の部材1bの1つの腕部13bが嵌り、全体が略円錐台形状を形成することになる。図4は、支柱2が省略されているが、支柱2に嵌合した状態である。なお、カップリング部材1は、支柱2に嵌合した状態において、開き閉じ側に締め込み代となる隙間171を有している。これにより、棚部材の係合凹部3が嵌合する際、強い締付けが可能となる。
【0016】
本体部11a、11bは、所定高さを有する略パイプ状物を半割りした形状(凹板状)であって、外形を形成する外周面が下方に向けて拡径した形状の第1テーパ16a、16bとなっている。第1テーパ16a、16bのテーパは、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。
【0017】
また、本体部11a、11bの内周面142、143には、更に支柱2に係止する突条14a、14b又は突起を備える。突条14a、14bは、支柱2の環状又は部分環状の係止溝22に係止するものであり、内周面142、143の幅方向の一部又は全部に形成される環状の突条である。突条14a、14bと係止溝22が係止することで、上下方向の移動を規制することができる。また、突起の場合、支柱2の係止孔に係合することになる(不図示)。係止孔は有底の非貫通孔である。本体部11a、11bの内周面142、143に形成されるものは、上記の突起又は突条に限定されず、係止溝又は係止孔であってもよい。この場合、支柱2の外周面には係止突条又は係止突起が形成される。
【0018】
ヒンジ結合部の中心(ピン5の中心)51から周方向90度の位置の外周面に形成された第1縦溝15a、15bは、棚部材31の第3係合部となる鍔部34が係合する。図2及び図8に示すように、第1縦溝15a、15bは、溝幅が下方に向けて漸次縮小する。すなわち、第1縦溝15a、15bを形成する互いに対向する2つの側壁部17a、18a(17b、18b)が正面視で傾斜状となっている。これにより、図12に示すように、第1テーパ16a、16bで形成されるテーパと、他方の側壁部17bで形成されるテーパは、互いに傾斜方向が異なる八の字形状となるため、棚部材31の係合強度が安定し、且つ高くなる。壁部17a、18a(17b、18b)の傾斜(テーパ)は、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。なお、第1縦溝15a、15bは上下方向において、同じ溝幅であってもよい。なお、図8中、符号pは支柱が嵌る穴である。
【0019】
図12に示すように、カップリング部材1を支柱2に組み付けた際、正面視で支柱2の軸芯の右側において表われる側壁部17bは、下方に向けて軸芯に近づくテーパである。また、第1縦溝15a、15bの溝底面151a、151bは、下方に向かうに従って漸次拡がりの形状に形成されたテーパ状(第4テーパ)である。この溝底面151a、151bは棚部材31の凹状係合部3の第5テーパ、すなわち鍔部34の互いに対向する端面(内側面)36に対応しており、凹状係合部3をカップリング部材1に嵌め込むことで、カップリング部材1の支柱2への嵌合強度を高めている。溝底面151a、151bのテーパ(第4テーパ)は、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。また、2つの側壁部17a、18a(17b、18b)は角部は丸みがあるものの、その角部が形成する角度は平面視点で鋭角となっている(図8参照)。これにより、凹状係合部3の鍔部34が外側に外れ難くなる。
【0020】
カップリング部材1は、金属、樹脂又はこれらの複合物から作製されるものである。この中、樹脂製のものは、組み付けの際、金属音などが発生せず、組み付けも容易となる点で好ましい。樹脂としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂などエンジニアリングプラスチックが使用できる。これらの合成樹脂は、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性に優れる。なお、樹脂には、更にガラス繊維やカーボン繊維等の強化繊維が含まれていてもよい。
【0021】
次に、本発明の実施の形態における組立棚について説明する。本例の組立棚10は、上記カップリング部材1を備えるものである。組立棚10は、支柱2と、カップリング部材1と、棚部材31を備えるものである。一つの棚部材31を支柱2に固定するには、1つの棚部材31と、4本の支柱2と、4つのカップリング部材1を必要とする。図14の上下3段棚の組立棚10は、3つの棚部材31と、4本の支柱2と、12個のカップリング部材1を必要とする。
【0022】
また、本例の組立棚10は、上記カップリング部材1を装着する4本の支柱2と、カップリング部材1の第1テーパ16a(16b)に当接する第2テーパ322と、第1係合部18a、18b(17a、17b)に係合する第3係合部32をそれぞれ備える凹状係合部3が四隅に形成された棚部材31と、を備えるものであり、4本の支柱2にカップリング部材1を第1縦溝15a又は15bが正面位置となるように嵌め込み、更にカップリング部材1に凹状係合部3を嵌め込んで棚部材31を設置してなり、棚部材31は正面視で2つの支柱2、2の軸芯間に配置される。なお、カップリング部材1の第1縦溝15a(15b)の溝底面の第4テーパ及び凹状係合部3の第5テーパ36は任意の構成要素である。
【0023】
支柱2としては、長手方向に規則又は不規則の間隔で環状又は部分環状の係止溝を形成したものが使用できる。支柱2の断面形状としては、特に制限されず、円形断面の他、楕円断面、四角形断面、菱形断面、X形及びH形などが挙げられる。このように支柱が異形の断面形状の場合、カップリング部材1は、その断面形状に対応する内周面形状を採ればよい。部分環状溝には、外周面に対して直線状に切り込んだ、溝中央の溝深さが大で溝端部に向かうにつれて浅くなる溝であってもよい。支柱2の外周面21に形成されるものは、上記の係止溝又は係止孔に限定されず、突起又は突条であってもよい。この場合、本体部11a、11bの内周面142、143には係止突条又は係止突起が形成される。
【0024】
棚部材31は、カップリング部材1に係合する凹状係合部3が略四隅に形成されたものである。本例において四隅とは、棚部材31の短手方向における端部である。四隅をこのような位置とすることで、4本の支柱で形成される設置面積が大きくとれ、組立棚10の設置が安定する。棚部材の棚本体部分はボード状又は網目状のいずれでもよい。棚部材31の形状は、平面視で通常、矩形状である。
【0025】
図9〜図11に示すように、棚部材31の凹状係合部3は、カップリング部材1の側面形状に対応する内周面を有する係合本体部35と、係合本体部35の前端且つ両側から内側に向かって延びる鍔部34を備えるものであり、くりぬき部分311の奥側の内周面(内壁面)33に第2テーパ322が形成され、鍔部34の第2テーパ側の面(鍔部34の裏面)32に第3テーパ321が形成されている。すなわち、図11及び図13に示すように、第3テーパ321は、正面視(図9中、符号Z1−Z1)で表われるものであり、カップリング部材1の側壁部17a、17b(18a、18b)の形状に対応した形状となっている。また、第2テーパ322は、カップリング部材1の第1テーパ16a、16bの形状に対応した形状、本例では下方に向けて拡径となる凹面形状となっている。
【0026】
また、凹状係合部3の鍔部34の互いに対向する端面(内側面)36は、下方に向けて漸次拡がり状のテーパ(第5テーパ)となっている。この端面(第5テーパ)36は、カップリング部材1の第1縦溝15a、15bの溝底面151a、151bのテーパ(第4テーパ)形状に対応しており、凹状係合部3をカップリング部材1に嵌め込むことで、第5テーパがカップリング部材1の本体部11a、11bを支柱2側へ強く押すため、カップリング部材1の支柱2への嵌合強度が高まる。鍔部34の互いに対向する端面(第5テーパ)36のテーパは、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。
【0027】
また、鍔部34の第2テーパ側の角は、平面視で鋭角となっている。これにより、同様の鋭角に形成された2つの側壁部17a、17b(18a、18b)が係合することで、第3係合部3の係合が外側に外れることがなくなる。
【0028】
次に、支柱2に棚部材31を固定する方法の一例を以下に説明する。先ず、支柱2にカップリング部材1を介して最下段の棚部材31bを固定する。すなわち、支柱2の高さ方向における下方の所定位置に、カップリング部材1を取り付ける。カップリング部材1の支柱2への取付けは、2つの部材を他方の側が開いた状態にして、支柱2を抱き込むように嵌め込み、第1縦溝15a、15bが正面位置となるような位置で、他方の側を閉じて取り付ける。すなわち、ヒンジ結合部hは棚部材31の凹状係合部3の前後方向の中央部(図9中、符号Z1−Z1が横切る部分)またはその反対方向(周方向180度の地点)に位置する。この際、支柱2の係止溝22とカップリング部材1の突条14a(14b)を一致させる。これにより支柱2の係止溝22とカップリング部材1の突条14a(14b)は係止状態となり、上下方向の移動を規制する。カップリング部材1の取付けは、4本の支柱2について行う。
【0029】
支柱2に取り付けられたカップリング部材1は、図12に示すように、第1縦溝15bが正面(カップリング部材1の左右方向の中央部)に位置し、ヒンジ部h(ピン5の部分)がカップリング部材1の図12中の左側に位置する(図8参照)。なお、カップリング部材1の取り付け位置は、図12に対して、180度回転させた位置、すなわち、ヒンジ部h(ピン5の部分)がカップリング部材1の図12中の右側に位置するようにしてもよい。この場合、第1縦溝15aが正面(カップリング部材1の左右方向の中央部)の位置にくる。
【0030】
次に、棚部材31の第3係合部3をカップリング部材1に対して上方から下方に向けて押し込む(図13(A))。これにより、棚部材31の第2テーパ322は、カップリング部材1の外形である第1テーパ16a、16bに当接し、カップリング部材の本体部11a、11bを支柱2方向に押圧し(図13(A)符号A方向)、棚部材31の第3テーパ321は、カップリング部材1の第1縦溝15bを形成する側壁部17bに当接し(図13(A)符号B方向)、棚部材31は、カップリング部材1に強く嵌合する(図13(B))。なお、ヒンジ部hがカップリング部材1の右側に位置する場合、上記の抱き締めにより、2つの部材1a、1bが若干開くように作用するが、本例では、棚部材31の鍔部の内側先端面に形成される第5テーパ36が第1縦溝15a、15bの溝底面の第4テーパに当接しているため、カップリング部材1支柱2を抱き締める効果は維持される。このように、棚部材31と支柱2は、非接触であり、棚部材31は、カップリング部材1が支持しており、棚部材31の鍔部34(第3係合部)をカップリング部材1に対して下方側へ押し込むことで、カップリング部材1を支柱2に強く固定することになる。次に、中間棚部材31a及び最上段棚部材31を取り付けるが、取り付けの順序は、どちらが先でもよい。すなわち、先に中間棚部材31aを、その後、最上段棚部材31を取り付けても、先に最上段の棚部材31を、その後、中間棚部材31aを取り付けてもよい。従来の組立棚は、中間棚部材31aを最後に取り付けることができなかったが、本発明の組立棚は、中間棚部材31aを最後に取り付けることができ、作業手順が多様になり、取り付け作業が容易になる。
【0031】
図14に示すような組立棚10を1基(通常は上下多段)とすると、棚部材31は、正面視で2つの支柱2、2の軸芯間に配置される(図13及び14参照)。すなわち、図31に示すように、棚部材31の正面視における1辺の長さ(l2)は、一方(左側)の支柱2の軸芯Yと他方(右側)の軸芯Y間の長さ(l1)と同等か又はわずかに小である。すなわち、1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内で支持する。図31に示すように、棚部材31の正面視における1辺の長さ(l2)を、2つの支柱2、2の軸芯間長さ(l1)よりわずかに小とすれば、組立棚10を連結する際、2つの棚部材31の端部が接触することがなく、組み付けが容易となる。組み付けられた2つの棚部材31の端部間の隙間(一つの組立棚支柱2の軸芯と棚部材31の端面間の2倍)(図32中、符号n)は、5mm以内、好適には2mm以内とすることが、棚部材31に載せられた小物の落下を防止できる点で好ましい。棚部材31の端部は、本例では、第3係合部3の端部である。このように、棚部材31の両端は、正面視で2つの支柱2、2の軸芯を超えて、外側に位置することはない。なお、軸芯Yは、正面視における鉛直方向に延びる支柱2の中心を言う。
【0032】
棚部材31は、カップリング部材1の正面視の径方向における1/2の領域内で支持する。このように、1つの棚部材31を、支柱2の半分(カップリング部材1の半分)で支持することにより、組立棚10の2基を、長手方向に連結した際、1本の支柱2を左右の棚部材31、31の固定に際して共有することができる(図12及び図15)。
【0033】
次に、図15に示すように、棚部材31を横方向に連結する方法を説明する。すなわち、組立棚10において、カップリング部材1の正面視の径方向(短手方向)における他の1/2の領域内に、組立棚10の長手方向に連結される同じ形状の他の棚部材の凹状係合部3を嵌め込み、2つの棚部材31、31を1つの支柱2を介して連結することで組立棚20を形成できる。すなわち、図15に示すように、組立棚20は1本の支柱2の両側にそれぞれ棚部材31を設けて、2連の組立棚としたものである。組立棚20において、組立棚10と異なる点は、中間の支柱2の固定部分である。すなわち、図14及び図15に示すように、組立棚10で使用していない、カップリング部材1の径方向における他の1/2の領域部分で、新たに連結する棚部材31を支持する。使用する棚部材31及びその取り付け方法は、組立棚10の場合と同じである。
【0034】
組立棚10及び組立棚20において、例えば中間棚部材31aを取り除きたい場合、あるいはその設置位置を変更したい場合(中抜き操作)について図14及び図16を参照して説明する。図14の中間棚部材31aの中抜きは、中間部材31aをそのまま上方に若干持ち上げる。その際、中間部材31aの上方空間Sに障害となるものはなく、カップリング部材1が存在しない部分における支柱2と棚部材31の凹状係合部3とは隙間が十分にある状態となる。少し持ち上がったところで、中間棚部材31aを長手方向に下り傾斜又は上り傾斜となるように傾ける(図16参照)。この傾ける位置は傾けられた中間棚部材31aにおける水平寸法が組立棚10の2つの支柱2、2間の間口より小となる位置である。この中間棚部材31aを傾けた状態から中間棚部材31aをそのままの姿勢で手前に引出せば、中間棚部材31aの中抜きが可能となる。なお、その後、カップリング部材1を取り外すか、若しくは位置を変更して取り付け、中間棚部材31aを再設置すれば、中間棚部材31aの設置位置の変更が可能となる。
【0035】
中間棚部材31aを再設置するには、上記取り除き方法とは逆の操作方法により行なえばよい。このように、組立棚10及び組立棚20は、中抜き操作が容易に行える。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態におけるカップリング部材及び組立棚を図17〜図25を参照して説明する。図17〜25において、図1〜図16と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、カップリング部材1Aにおいて、カップリング部材1と主に異なる点は、ヒンジ結合部の外周面及びヒンジ結合部の中心軸から周方向180度の位置の外周面に、それぞれ第2縦溝102c、102dを形成し、第2縦溝102c、102dを形成する2つの側壁面19c、19dをそれぞれ第2係合部とした点にある。また、組立棚においては、凹状係合部3の凹面形状が異なる。
【0037】
第2縦溝102c、102dは、ヒンジ部h側と開き側とでは、若干形状が異なる。すなわち、ヒンジ部hの外周面に形成される第2縦溝102cの溝幅は、下方に向けて漸次縮小する形状である。すなわち、第2縦溝102cを形成し互いに対向する2つの側壁部19c、19cは、正面視で傾斜している。また、第2縦溝102cの溝底面191は、上下方向において同じ径である。第2縦溝102cを形成する2つの側壁部19c、19cにテーパを形成し、凹状係合部3Aがカップリング部材1Aに嵌合することで、周方向において反ヒンジ部側へ作用力が働き、2つの部材が閉じるような力が作用する。なお、ヒンジ部側の第2縦溝102cの溝幅は、第1縦溝15a、15bの溝幅より大であるが、2つの側壁部19c、19cをヒンジ部から遠い位置とすることで、周方向において反ヒンジ部側への作用力が大きくなる。このようにヒンジ部側の第2縦溝102cを上記のように特定形状とすることで、カップリング部材1Aの支柱への嵌合強度が高まる。
【0038】
一方、反ヒンジ部側、すなわち開き側の第2縦溝102dの溝幅は、上下方向にかけて一定であり、また、第2縦溝102dの溝底面は、下方に向けて漸次拡径することなく、上下方向にかけて一定の径である。開き側の第2縦溝102dをこのような特定の形状とすれば、凹状係合部3Aがカップリング部材1Aに嵌合しても、第2縦溝102dにおいては、カップリング1Aを締め付ける作用力が生じることがない。なお、第2縦溝102dの溝幅を下方に向けて漸次縮小する形状とすると、カップリング部材1Aが開く方向に力が作用するため好ましくない。
【0039】
凹状係合部3Aにおいて凹状係合部3と異なる点は、内周面の形状である。すなわち、凹状係合部3Aは、カップリング部材1Aの外周面形状に対応した形状である。すなわち、凹状係合部3Aの内周面には、ヒンジ部側の第2縦溝102cに嵌る突起部331が形成されている。この突起部331の内周面は、上下方向に向けて同じ径であり、突起部331の両端部の壁面はヒンジ部側の第2縦溝102cの傾斜に対応した傾斜状である。このような形状の凹状係合部3Aは、ヒンジ部側の第2縦溝102cに嵌合することで、テーパ同士が当接し、強い嵌合となる(図24参照)。一方、開き側の第2縦溝102dに嵌合することで、テーパと非テーパで非接触となり、カップリング部材1Aが開く方向に力が作用しないようにしている(図25参照)。
【0040】
組立棚10aにおいて、カップリング部材1A、支柱2及び棚部材31で形成される嵌合構造は、組立棚10と同様の作用効果を奏する。また、組立棚10aは、組立棚10と同様に中抜き操作をすることができる。また、組立棚10aは、横方向に他の組立棚を連結することもできる。
【0041】
次に、本発明の第3の実施の形態における組立棚を図26〜図28を参照して説明する。図26〜図28において、図1〜図5と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、カップリング部材1Bにおいて、カップリング部材1と主に異なる点は、2つの部材1a、1bを閉じる扉部材4を内蔵する点である。
【0042】
すなわち、一方の部材11aの開き側では、扉部材4を収納且つ軸支するため、上下方向に貫通する扉用軸41を通す軸孔を形成した薄肉の2つの基部118a、118aを上下方向に離間して設置し、他方の部材11bの開き側では、扉部材4を収納且つ留めるため、係止部45を備える薄肉の基部119bを形成する。また、扉部材4は軸孔を有する基部42と側方向の先端にフック431を設けた本体部43を有する。扉部材4は、2つの部材11a、11bを閉じた状態で、扉部材4を閉めることで、フック431と係止部45が係止される。これにより、カップリング部材1Bの支柱2への嵌合が安定する。また、扉部材4は閉じた状態において、2つの部材の本体部の中に収容されており、棚部材31の凹状係合部3がカップリング部材1Bに嵌合する際の障害となることがない。
【0043】
本例の組立棚において、カップリング部材1B、支柱2及び棚部材31で形成される嵌合構造は、組立棚10と同様の作用効果を奏する。また、本例の組立棚は、組立棚10と同様に中抜き操作をすることができる。また、組立棚10bは、横方向に他の組立棚を連結することもできる。
【0044】
本発明の組立棚は、前記4本の支柱を使用したものに制限されず、例えば1本支柱の組立棚、2本支柱の組立棚、3本支柱の組立棚であってもよい。
【0045】
1本支柱の組立棚は、前記カップリング部材と、長手方向に規則又は不規則の間隔で係止突起又は係止突条あるいは係止溝又は係止孔を形成した1本の支柱と、カップリング部材の第1テーパに当接する第2テーパと第1係合部に係合する第3係合部をそれぞれ備えるか、あるいは該第2テーパと該第3係合部と第2縦溝に嵌る突起部をそれぞれ備える凹状係合部が形成された棚部材と、を備えるものであり、該1本の支柱に該カップリング部材を嵌め込み、更に該カップリング部材に該凹状係合部を嵌め込んで該棚部材を設置してなる。このような1本支柱の組立棚は、軽量ものの支持であって、デザインの観点からも好適なものである。1本支柱の組立棚において、棚部材における凹状係合部の形成位置は、通常棚部材の長手方向の中央で且つ端部であっても、棚部材の中央であってもよい。
【0046】
1本支柱の組立棚の一例を図33及び図34を参照して説明する。図33は1本支柱の組立棚の組立前の状態を示す斜視図、図34は1本支柱の組立棚の斜視図である。1本支柱の組立棚は、棚部材31bの中央に凹状係合部3を形成し、凹状係合部3の開口方向に支柱2が通る挿入路312を切り欠いて形成したものである。
【0047】
2本支柱の組立棚において、棚部材における凹状係合部の形成位置は、特に制限されず、通常棚部材の長手方向又は短手方向の端部若しくは中央あるいは何れの箇所であってもよい。2本支柱の組立棚において、棚部材の長手方向の一方の辺で支持する場合、片持ち支持となり、棚部材の短手方向の両方の辺でそれぞれ1本で支持する場合、両持ち支持となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の組立棚は、事務所、家庭、倉庫、店舗等において、また店舗において、組み付けと解体が容易な陳列棚として使用できる。
【符号の説明】
【0049】
1、1A、1B カップリング部材
1a 一方の部材
1b 他方の部材
2 支柱
3、3A 凹状係合部
10 組立棚
11a(11b) カップリングの本体部
14a(14b) 突条
15a(15b) 第1縦溝
16a(16b) 第1テーパ
31 棚部材
32 第3係合部(第3テーパ)
34 鍔部
36 鍔部の先端(内側面)(第5テーパ)
322 第2テーパ
102c、102d 第2縦溝
151a、151b 第1縦溝の溝底面(第4テーパ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に嵌合し、1つの棚部材を正面視でカップリング部材の径方向の1/2領域内で支持するカップリング部材であって、
他方の側が開き閉じ自在となるように一方の側をヒンジ結合してなる2つの部材からなり、該支柱を2つの部材で抱き込むように嵌めるものであり、
該支柱に嵌合した状態において、外形は下方に向かうに従って漸次拡径した形状の第1テーパを形成し、該ヒンジ結合部の中心から周方向90度の位置の外周面には、それぞれ第1縦溝を形成し、該第1縦溝を形成する2つの側壁面をそれぞれ第1係合部とすることを特徴とするカップリング部材。
【請求項2】
該第1縦溝の溝幅は、下方に向かうに従って漸次縮小する形状であることを特徴とする請求項1記載のカップリング部材。
【請求項3】
該第1縦溝の溝底面は、下方に向かうに従って漸次拡径した形状であることを特徴とする請求項1記載のカップリング部材。
【請求項4】
該ヒンジ結合部の外周面及び該ヒンジ結合部の中心軸から周方向180度の位置の外周面には、それぞれ第2縦溝を形成し、該第2縦溝を形成する2つの側壁面をそれぞれ第2係合部とすることを特徴とする請求項1記載のカップリング部材。
【請求項5】
該ヒンジ結合部の外周面に形成される第2縦溝の溝幅は、下方に向けて漸次縮小する形状であり、該ヒンジ結合部の中心軸から周方向180度の位置の外周面に形成される第2縦溝は、上下方向で同じ溝幅であることを特徴とする請求項4記載のカップリング部材。
【請求項6】
該ヒンジ結合部の外周面に形成される第2縦溝の溝底面は、上下方向で同じ径であり、該ヒンジ結合部の中心軸から周方向180度の位置の外周面に形成される第2縦溝の溝底面は、上下方向で同じ径であることを特徴とする請求項4記載のカップリング部材。
【請求項7】
該2つの部材の該支柱に当接する側の面に、該支柱に係止する係止溝又は係止孔あるいは係止突条又は係止突起を備えることを特徴とする請求項1記載のカップリング部材。
【請求項8】
金属、樹脂又はこれらの複合材を使用して作製されたものであることを特徴とする請求項1記載のカップリング部材。
【請求項9】
請求項1〜8のカップリング部材を備えることを特徴とする組立棚。
【請求項10】
請求項1〜8のカップリング部材と、
長手方向に規則又は不規則の間隔で係止突起又は係止突条あるいは係止溝又は係止孔を形成した4本の支柱と、
該カップリング部材の第1テーパに当接する第2テーパと第1係合部に係合する第3係合部をそれぞれ備えるか、あるいは該第2テーパと該第3係合部と第2縦溝に嵌る突起部をそれぞれ備える凹状係合部が四隅に形成された棚部材と、
を備えるものであり、該4本の支柱に該カップリング部材を該第1縦溝が正面位置となるように嵌め込み、更に該カップリング部材に該凹状係合部を嵌め込んで該棚部材を設置してなり、該棚部材は正面視で該2つの支柱の軸芯間に配置されることを特徴とする組立棚。
【請求項11】
該係止溝は、環状又は部分環状であることを特徴とする請求項10記載の組立棚。
【請求項12】
該凹状係合部は、該カップリング部材の第1テーパに対応する内周面を有するか、あるいは該内周面と該第2縦溝に嵌る突起部を有する係合本体部と、該係合本体部の前端且つ両側から内側に向かって延びる鍔部を備えることを特徴とする請求項10記載の組立棚。
【請求項1】
支柱に嵌合し、1つの棚部材を正面視でカップリング部材の径方向の1/2領域内で支持するカップリング部材であって、
他方の側が開き閉じ自在となるように一方の側をヒンジ結合してなる2つの部材からなり、該支柱を2つの部材で抱き込むように嵌めるものであり、
該支柱に嵌合した状態において、外形は下方に向かうに従って漸次拡径した形状の第1テーパを形成し、該ヒンジ結合部の中心から周方向90度の位置の外周面には、それぞれ第1縦溝を形成し、該第1縦溝を形成する2つの側壁面をそれぞれ第1係合部とすることを特徴とするカップリング部材。
【請求項2】
該第1縦溝の溝幅は、下方に向かうに従って漸次縮小する形状であることを特徴とする請求項1記載のカップリング部材。
【請求項3】
該第1縦溝の溝底面は、下方に向かうに従って漸次拡径した形状であることを特徴とする請求項1記載のカップリング部材。
【請求項4】
該ヒンジ結合部の外周面及び該ヒンジ結合部の中心軸から周方向180度の位置の外周面には、それぞれ第2縦溝を形成し、該第2縦溝を形成する2つの側壁面をそれぞれ第2係合部とすることを特徴とする請求項1記載のカップリング部材。
【請求項5】
該ヒンジ結合部の外周面に形成される第2縦溝の溝幅は、下方に向けて漸次縮小する形状であり、該ヒンジ結合部の中心軸から周方向180度の位置の外周面に形成される第2縦溝は、上下方向で同じ溝幅であることを特徴とする請求項4記載のカップリング部材。
【請求項6】
該ヒンジ結合部の外周面に形成される第2縦溝の溝底面は、上下方向で同じ径であり、該ヒンジ結合部の中心軸から周方向180度の位置の外周面に形成される第2縦溝の溝底面は、上下方向で同じ径であることを特徴とする請求項4記載のカップリング部材。
【請求項7】
該2つの部材の該支柱に当接する側の面に、該支柱に係止する係止溝又は係止孔あるいは係止突条又は係止突起を備えることを特徴とする請求項1記載のカップリング部材。
【請求項8】
金属、樹脂又はこれらの複合材を使用して作製されたものであることを特徴とする請求項1記載のカップリング部材。
【請求項9】
請求項1〜8のカップリング部材を備えることを特徴とする組立棚。
【請求項10】
請求項1〜8のカップリング部材と、
長手方向に規則又は不規則の間隔で係止突起又は係止突条あるいは係止溝又は係止孔を形成した4本の支柱と、
該カップリング部材の第1テーパに当接する第2テーパと第1係合部に係合する第3係合部をそれぞれ備えるか、あるいは該第2テーパと該第3係合部と第2縦溝に嵌る突起部をそれぞれ備える凹状係合部が四隅に形成された棚部材と、
を備えるものであり、該4本の支柱に該カップリング部材を該第1縦溝が正面位置となるように嵌め込み、更に該カップリング部材に該凹状係合部を嵌め込んで該棚部材を設置してなり、該棚部材は正面視で該2つの支柱の軸芯間に配置されることを特徴とする組立棚。
【請求項11】
該係止溝は、環状又は部分環状であることを特徴とする請求項10記載の組立棚。
【請求項12】
該凹状係合部は、該カップリング部材の第1テーパに対応する内周面を有するか、あるいは該内周面と該第2縦溝に嵌る突起部を有する係合本体部と、該係合本体部の前端且つ両側から内側に向かって延びる鍔部を備えることを特徴とする請求項10記載の組立棚。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2011−229821(P2011−229821A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105179(P2010−105179)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(394016874)河淳株式会社 (61)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(394016874)河淳株式会社 (61)
【Fターム(参考)】
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