説明

カプセル型医療システム

【課題】 院内共通のデータペースにカプセル型医療装置のデータを、データベースに保存するのに適した状態で保存する。
【解決手段】 カプセル型医療システム1は、嚥下或いは挿入等により体内に挿入され、撮像を行うカカプセル3と、体外に配置され、カプセル3から送られる生体情報を無線で受信し、記録する記録装置4と、この記録装置4に着脱可能に接続され、生体情報の表示を行う表示装置5と、表示装置5と接続され生体情報を格納/管理するデータサーバ7とからなり、表示装置5では生体情報を選択してデータサーバ7に転送すると共に、全ての生体情報をDVDにバックアップすると生体情報を消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体情報を得るカプセル型医療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、患者が飲み込み易いカプセル形状とすることにより、体内を検査し易くしたカプセル型の医療装置が提案されている。
【0003】
例えば国際公開番号WO 03/010967号において、データプロセッサ(DATA PROCESSOR 14)の中に、ストレージ部(STRAGE 19)が開示されている。
【特許文献1】国際公開番号WO 03/010967号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記国際公開番号WO 03/010967号においては、ストレージ部の詳細について、及び、保存されたデータの症例の記録を残す処理方法等についての記載は何らない。
【0005】
カプセル型医療装置で長時間にわたって記録されるデータは膨大な情報量となる。例えば、カプセル内視鏡おいては、6時間程度の時間撮影を続けると撮影枚数が4万枚を超えてしまいデータ容量も2GB近くになってしまう。
【0006】
しかしながら、この画像全てに疾患が写っている訳ではない。また、同一疾患であれば疾患が写っている画像全てが診断に必須ではない。
【0007】
よって、診断結果から、治療方針の立案を行う、院内のカンファレンスで症例のレビューを行う、診断レポートを作成するなどの際に必要なデータは極めて限られたものでよいことになる。
【0008】
この限られたデータは、病院内カルテシステム、病院内データペース、内視鏡画像データベースなど病院内共通のデーターベースに保存することで、医師の効率化等を期待することができる。
【0009】
しかしながら、カプセル型医療装置で記録されたデータを上記データベースに保存することについての記載がされたものは現在存在していない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、院内共通のデータペースにカプセル型医療装置のデータを、データベースに保存するのに適した状態で保存することのできるカプセル型医療システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のカプセル型医療システムは、
嚥下または体内挿入可能で複数の生体情報を取得するカプセル型医療手段と、
前記カプセル型医療手段から送られてきた前記複数の生体情報を受信する生体情報受信手段と、
前記生体情報受信手段が受信した前記複数の生体情報を格納する第1の生体情報格納手段と、
前記第1の生体情報格納手段に格納された前記複数の生体情報のうちの所望の生体情報を選択する情報選択手段と、
前記情報選択手段で選択された前記所望の生体情報を第2の生体情報格納手段に送信する情報送信手段と
を備えて構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、院内共通のデータペースにカプセル型医療装置のデータを、データベースに保存するのに適した状態で保存することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について述べる。
【実施例1】
【0014】
図1ないし図14は本発明の実施例1に係わり、図1はカプセル型医療システムの構成を示すブロック図、図2は図1の記録装置及び表示装置の構成を示すブロック図、図3は図2の記録装置のPCカードメモリに格納されるデータのデータ構造を示す図、図4は図2の記録装置から表示装置へのデータ転送処理の流れを示すフローチャート、図5は図4の処理で表示装置に転送され表示装置のデータベース部に格納されるデータのデータ構造を示す図、図6は図1の表示装置でのデータ処理及びデータサーバへのデータ転送処理の流れを示す第1のフローチャート、図7は図1の表示装置でのデータ処理及びデータサーバへのデータ転送処理の流れを示す第2のフローチャート、図8は図5の処理で表示装置で生成されるカプセル内視鏡検査レポートを示す図、図9は図5の処理で表示装置に展開されるウインドウを示す第1の図、図10は図5の処理で表示装置に展開されるウインドウを示す第2の図、図11は図5の処理で表示装置に展開されるウインドウを示す第3の図、図12は図5の処理で生成されるカプセル検査保存データのデータ構造を示す図、図13は図5の処理でデータサーバの大容量記録装置に格納されるデータのデータ構造を示す図、図14は図5の処理で更新された表示装置のデータベース部内のデータのデータ構造を示す図である。
【0015】
(構成)
図1に示すように、本発明の実施例1のカプセル型医療システム1は、嚥下或いは挿入等により体内に挿入され、撮像を行うカプセル型体内ユニット3(以下、単にカプセルと略記)と、体外に配置され、このカプセル3から送られる生体情報を無線で受信し、記録する記録装置4と、この記録装置4に着脱(結合及び分離)可能に接続され、生体情報の表示を行う表示装置5と、表示装置5と接続され生体情報を格納/管理するデータサーバ7とからなり、記録装置4及び表示装置5は体外装置6を形成している。
【0016】
なお、カプセル型医療手段は、カプセル3及び記録装置4より構成され、また表示装置5は、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)等から構成される。
【0017】
記録装置4は、カプセル3から送信される画像データを記録(蓄積)する構成として、小型及び軽量化して、患者が着る白衣やジャケット等に装着できるようにしており、動作確認等のために画像を表示する必要がある場合には記録装置4に画像を表示する機能を有する表示装置5とUSBケーブル26で接続することができるようにしている。
【0018】
また、記録装置4には、カプセル3から送られる生体情報を記録するPCカードメモリ45が着脱自在に設けられ、さらに表示装置5には記録装置4からの生体情報を格納/管理するデータベースを構築する第1の生体情報格納手段としてのデータベース部60が設けられている。そして、表示装置5においては、データベース部60内の生体情報を編集/選択することで、保存が必要な生体情報のみをデータサーバ7内の第2の生体情報格納手段としての大容量記録装置7aに伝送/保存することが可能となっている。
【0019】
データサーバ7は、内視鏡検査室等に設けられた他の複数の内視鏡システム8a、カンファレンス室に設けられたカンファレンスユニット8b及び内視鏡検査の予約管理等を行う予約システム8c等とも接続されており、これらシステム8a〜8cからのデータを一元管理することができるようになっており、院内LAN9を介して院内の所定の端末から予め設定されたアクセス権の規定のセキュリティレベルでアクセス可能となっている。
【0020】
図2に示すように、カプセル3は、カプセル状の密閉された収納容器10における一方の端部(前端という)は半球状の透明部材で照明&観察窓11が形成された、この照明&観察窓11の中央部分に対向して対物光学系12がレンズ枠に取り付けられて配置され、その周囲の例えば4箇所には照明手段を構成する発光素子として、例えば白色LED13が配置されている。
【0021】
対物光学系12の結像位置には、生体の画像情報を得る画像センサとして例えばCMOSセンサ14が配置され、このCMOSセンサ14の背面側にはCMOSセンサ14に対する信号処理を行い圧縮された画像データ(例えばJPEGデータ)を生成する信号処理回路15、無線通信を行う通信回路16と、CMOSセンサ14、信号処理回路15等に動作用の電力を供給する複数のボタン型の電池17とが配置されている。
またCMOSセンサ14に隣接する側部には、通信回路16に接続され、体外の記録装置4(のアンテナ21a〜21c)とで無線通信するための電波の放射及び受信をするアンテナ18が配置され、また電池17に隣接する後端には、その電力の供給のON/OFFを行うスイッチ19が配置されている。また、CMOSセンサ14、信号処理回路15、通信回路16はフレキシブル基板20により電気的に接続され、さらにフレキシブル基板20はスイッチ19を介して電池17と接続されている。なお、画像センサはCMOSセンサ14に限らず、例えばCCD等でもよい。
【0022】
一方、体外の記録装置4は、複数のアンテナ21a〜21cが接続されたアンテナユニット22と、このアンテナユニット22が着脱自在に接続される筐体23に収納された画像データを記録する記録処理ブロック24及びこの記録処理ブロック24等に電源を供給する電源ブロック25とを備えている。
この記録装置4は(この記録装置4から表示装置5にデータを伝送するデータ伝送手段として)例えばUSBケーブル26により表示装置5と切り離し(取り外し)可能に接続され、USBケーブル26を介して表示装置5を接続することにより記録装置4で受信された画像や、記録装置4に蓄積された画像を表示装置5側に伝送することができるようにしている。そして、表示装置5により、伝送された画像データを伸張処理して、表示面に表示したり、編集して複数の画像を同時に表示したりすることができるようにしている。
【0023】
なお、USBケーブル26における記録装置4側となる一方の端子及び表示装置5側となる他方の端子共に、導電性端子が設けてあり、記録装置4のUSBコネクタの導電性端子及び表示装置5のUSBコネクタの導電性端子にそれぞれ着脱自在に接続できるようにしている。
【0024】
アンテナユニット22は、例えば内部或いは外部の表面が金属メッキ等のシールド加工されたプラスティック製の筐体22aでその外装ケースが形成され、その内部には同軸ケーブル31によりそれぞれ接続されたアンテナ21a〜21cを切り替えるアンテナセレクタ32と、アンテナ21a〜21cとこのアンテナセレクタ32を介して接続された無線通信を行う高周波回路(RF回路と略記)33と、このRF回路33により復調されたベースバンドの信号を生成するベースバンド回路(BB回路と略記)34と、記録装置4と着脱自在に接続される接続用のコネクタ35とを有する。
【0025】
このアンテナユニット22では、主にRF回路33を含む高周波信号を扱う部分がシールド及び封止されており、コネクタ35の記録装置4との接続部はベースバンド信号(及びアンテナ切替信号)のみとなっており、信頼性及び動作の安定性を向上させている。
記録装置4の筐体23は、金属或いは(シールド加工された)プラスティック製で形成され、その内部に電源ブロック25と、記録処理ブロック24とが収納されている。
【0026】
電源ブロック25には、並列に配置された電池36a、36bと各電池36a、36bにそれぞれ直列に接続されたスイッチ37a、37bと、各電池36a、36bの電圧を監視して、スイッチ37a、37bの一方をON等する電源監視回路38と、ONされた電池と接続され、記録処理ブロック24で必要とされる電圧値の直流電源に変換するDC/DCコンバータ39とからなる。
なお、DC/DCコンバータ39の直流電源は記録処理ブロック24の他に、コネクタ35を介してアンテナユニット22側にも供給される。
【0027】
記録処理ブロック24は、記録装置4の制御を行うCPU40と、主にアンテナユニット22を制御するCPU41と、両CPU40及び41と接続され、時間管理を行い、画像を受信した場合の日時の情報を出力するリアルタイムクロック(RTCと略記)42と、両CPU40及び41と接続され、アンテナセレクタ32と接続されるアドレスセレクタ43と、このアドレスセレクタ43に接続され、選択されたアンテナセレクタ32からのデータを一時格納するメモリ(SRAM)44と、両CPU40及び41に接続され、PCカードメモリ45への書き込み制御を行うPCカードコントローラ46と、このPCカードコントローラ46に接続されたPCMCIAスロット47と、このPCMCIAスロット47に着脱可能に接続され、受信して復調された画像データ(JPEGデータ)等を格納する例えばCF(コンパクトフラッシュ(R))メモリ部を有するPCカードメモリ45と、記録装置4に表示装置5がUSBケーブル26で接続されている場合に、USBケーブル26を介してデータを表示装置5に転送する処理を行うUSB I/F部48と、CPU41等に基準となるクロックCLKを供給する発振器(OSC)50とを有する。
【0028】
このように本実施例では、記録装置4と表示装置5とを別体で形成すると共に、データを伝送するUSBケーブル26で着脱可能とすることにより、カプセル3に対して記録装置4のみで使用できるようにすると共に、記録装置4と表示装置5とを接続した状態でも使用できるようにして、患者に対する負担軽減を行うこともでき、かつ操作性も確保できるようにしている。
【0029】
また、CPU40或いは41は、アンテナユニット22により、カプセル3から画像データを受信する毎に、RTC42から時刻データを読み出し、受信した画像データ(具体的にはJPEGデータ)に時刻データを付加してタイムスタンプ付きの画像データをPCカードメモリ45に保存する。
【0030】
一方、表示装置5は、記録装置4からの画像データをデータ処理する装置本体部5aと、装置本体部5aで処理された映像信号としての例えばRGBビデオ信号を入力することにより対応する画像を表示するモニタ55と、装置本体部5aに対して各種入力を行う情報選択手段としてのユーザインターフェイスであるキーボード57及びマウス58とを有する。
【0031】
装置本体部5aは、記録装置4のUSB I/F部48とUSBケーブル26で接続され、USB I/F部48側から送信される画像データとしてのJPEGデータを受け取る生体情報受信手段としてのUSB I/F部51と、このUSB I/F部51とバス70を介して接続され、画像データの伸張処理等や表示装置5の動作制御を行う情報格納制御手段としてのCPU52と、このバス70に接続され、画像データの一時記憶やCPU52の作業エリアとして使用されるメモリ53と、このバス70に接続され、CPU52により伸張処理された画像データに対して画像表示のための映像信号(例えばRGBビデオ信号)に変換する処理を行いモニタ55に画像を表示させる映像信号発生回路54と、バス70に接続され、CPU52に対して各種入力を行うキーボード57やマウス58と信号を送受する入力I/F回路59と、バス70に接続され、CPU52により伸張処理された画像データにキーボード57及びマウス58等により患者データを付与してデータベース化して記憶する共に各種アプリケーションソフト(例えば、電子カルテ作成ソフト、レポート作成ソフト、画像編集ソフト等)を格納しているハードディスク等から構成されるデータベース部60とを有する。
【0032】
ここで、データベース部60における患者データとは、例えば患者を識別する患者ID,患者名、生年月日、生別等の情報である。
【0033】
また、装置本体部5aは、PCカードメモリ45が接続可能なPCカード装置や、DVD62にデータを記録させるDVD装置等の外部周辺機器とデータの送受を行う(第1の)通信I/F部61と、データサーバ7とデータを送受する情報送信手段としての(第2の)通信I/F部63とを有している。
【0034】
そして、上述のように、この表示装置5がUSBケーブル26で記録装置4に接続されていると、記録装置4側から時刻データが付加されたタイムスタンプ付きの画像データが表示装置5にリアルタイムに送信可能となり、表示装置5では画像データ(JPEGデータ)を伸張して、例えば画像の下の部分に受信した時刻が表示されるようにする。
【0035】
このように本実施例では、記録装置4はカプセル3から送信される画像データを受信した時刻を付加したタイムスタンプ付き画像データとしてPCカードメモリ45に保存する。
【0036】
また、本実施例では、記録装置4に表示装置5が着脱自在であり、表示装置5が接続されている場合には、タイムスタンプ付き画像データをPCカードメモリ45に保存すると共に、表示装置5に送信し、表示装置5のモニタ55に画像を表示してリアルタイムに画像の確認ができるようにしている。
【0037】
また、リアルタイムに画像の確認を必要としない場合には、記録装置4からUSBケーブル26を外して表示装置5と切り離すことができ、例えば患者にとって表示装置5と接続するUSBケーブル26を接続しなくても済み、患者に負担をかけないようにでき、操作性(使い勝手)を向上できるようにしている。
【0038】
なお、この場合もタイムスタンプ付き画像データをPCカードメモリ45に保存することで、USBケーブル26を接続することなく、PCカード装置等によりPCカードメモリ45の画像データを通信I/F部61を介して表示装置5に転送することができる。
【0039】
また、図示はしないが、通信I/F部61にDVD装置を接続することで、データベース部60に記録した画像データ等をダウンロードしてDVD62にバックアップすることが可能となっている。
【0040】
なお、DVD装置は、DVDに限らず、例えばCD−R,CD−RW,HD−DVD,ブルーレイディスク等、光学的ディスク型記録媒体あるいは装置でもよい。HD−DVD,ブルーレイディスク等ではより多くの画像データを記録できる。
【0041】
(作用)
カプセル3で体内を検査する場合、最初にその動作を確認する場合には、図2に示すように記録装置4と表示装置5とをUSBケーブル26で接続し、両装置4,5の電源をONにすると共に、カプセル3の電源をONにする。この場合、記録装置4を患者の白衣等に取り付ける。
【0042】
CPU40はカプセル3から送信される画像データを受信すると、その画像データにRTC42の時刻データを読み込んでタイムスタンプを付加した画像データにして記録装置4内部のPCカードメモリ45に保存すると共に、USBケーブル26を介して表示装置5にもそのタイムスタンプが付加された画像データを送信する。表示装置5では、画像を受信時刻が重畳された状態で表示する。
【0043】
従って、表示装置5を記録装置4に接続することにより、医療スタッフは殆どリアルタイムにカプセル3により撮像した画像を確認することができるし、またその画像の取得時刻も知ることができる。
【0044】
その後、患者はこのカプセル3を飲み込み、その状態でも同様にカプセル3により撮像した画像を確認でき、またその画像の取得時刻も知ることができること等が確認でき、画像をモニタする必要が無い状態になったらUSBケーブル26を記録装置4から取り外し、患者の負担を軽減する。
【0045】
従って、カプセル3や記録装置4及び表示装置による動作の確認が、カプセル3を患者が飲み込んだ後においてもできた場合には、記録装置4と表示装置5とを接続するUSBケーブル26を記録装置4から外すようにすれば、患者にとってUSBケーブル26が接続されなくなるので、その負担を軽減できる。そして、その状態で記録装置4により撮像した画像データをPCカードメモリ45に蓄積することができる。
【0046】
このように処理することで、動作確認を行いたいような場合には、記録装置4と表示装置5とをUSBケーブル26により接続することにより、記録装置4で受信したカプセル3からの画像データに受信時刻を付加した状態でPCカードメモリ45に保存すると共に、表示装置5のモニタ55でリアルタイムでその画像を表示することができる。
【0047】
また、モニタ55でリアルタイムに画像の確認をすることを必要としない場合には、USBケーブル26を外すことにより、記録装置4のみで必要とされる画像データをPCカードメモリ45に保存できると共に、表示機能を有しない状態にできるので、大型化することなく、患者に対して使い勝手の良い状態で使用することができる。
【0048】
次に、本実施例における各装置4、5、7での画像データ(生体情報)の格納方法について説明する。
【0049】
図3に示すように、記録装置4では、PCカードメモリ45においてヘッダ部101に患者データを有する領域を確保し、カプセル3からの画像データを受信時刻を付加した状態で、画像データ(生体情報)である第1のカプセル画像データ103(1)、第2のカプセル画像データ103(2)…、というように、検査が終了するまで順次保存し、カプセル検査データ105として格納する。
【0050】
なお、ヘッダ部101に格納される患者データは予め患者毎に付与される。例えばPCカードメモリ45を表示装置5にPCカード装置(図示せず)及び通信I/F部61を介して接続し、キーボード57及びマウス58等により患者データ入力することで、ヘッダ部101に患者データが付与される。
【0051】
このようにして、カプセル3による検査が終了すると、図3に示すように、PCカードメモリ45にはカプセル3から送信された例えばn個のカプセル画像データ103がカプセル検査データ105として記録されることになる。
【0052】
そして、図4に示すように、ステップS1にて記録装置4と表示装置5とをUSBケーブル26により接続し、ステップS2にて表示装置5から記録装置4に患者データを入力することで、ステップS3にてPCカードメモリ45に記録された患者の全カプセル画像データ103を表示装置5に転送する。
【0053】
そして、ステップS4にて表示装置5では、図5に示すように、患者データに基づき患者毎の複数の、全カプセル画像データ103からなるカプセル検査データ105(図5では患者iのカプセル検査データ(i=a〜m))をデータベース部60に格納する。
【0054】
記録装置4では、ステップS5にて表示装置5にカプセル検査データ105を送信後、PCカードメモリ45内の画像データ103とデータベース部60内の画像データ103とのベリファイを実行し、データベース部60内への画像データ103の格納が正常に終了したと判断すると、ステップS6にてPCカードメモリ45を初期化し、画像データ103を消去する。このPCカードメモリ45の初期化により、PCカードメモリ45を他の検査に有効に利用することが可能となる。
【0055】
次に、カプセル検査データ105を正常にデータベース部60に格納した表示装置5でのデータ処理について説明する。
【0056】
図6及び図7に示すように、表示装置5では、ステップS11にてデータベース部60に格納されているレポート作成ソフトを起動する。このレポート作成ソフトは、カプセル画像データに基づく図8に示すようなカプセル内視鏡検査レポート150を生成するアプリケーションソフトウエアである。
【0057】
そして、ステップS12にてレポート作成ソフトにおいてキーボード57及びマウス58等により患者データを入力することで、ステップS13にて患者データを元にデータベース部60より対象となる患者のカプセル検査データ105を読み出す。ここで、後述する説明を簡略化するため、対象となる患者を「患者b」とする。
【0058】
次に、ステップS14にてiを1にセットし、ステップS15にてカプセル検査データ105の第iのカプセル画像データ103(i)を、レポート作成ソフトにより展開される、図9に示すようなウインドウ201上に表示させる。
【0059】
このウインドウ201は、患者データ、検査データ及び所見等を入力/表示する文字情報エリア202と、画像データの撮影位置を入力する撮影位置入力エリア203と、第iのカプセル画像データ103(i)を表示する画像表示エリア204と有しており、モニタ55上に表示される。
【0060】
画像表示エリア204には、第iのカプセル画像データ103(i)の前後のカプセル画像データを画像表示エリア204に表示させるための表示操作ボタン群205と、画像表示エリア204に表示されている画像データの保存を指定する保存チェックボックス206と、画像表示エリア204に表示されている画像データの消去防止を指定する読み取り専用チェックボックス207等が設けられている。
【0061】
また、ウインドウ201には、画像編集ボタン200が設けられており、マウス58等によりポインタ208を操作し画像編集ボタン200を選択することで、図10に示すような画像編集ウインドウ180をウインドウ201上に展開でき、この画像編集ウインドウ180により第iのカプセル画像データ103(i)の色調及びエンハンス(画像強調)処理を行うことが可能となっている。
【0062】
そこで、表示装置5では、ステップS16にてマウス58等によるポインタ208の操作での保存チェックボックス206あるいは読み取り専用チェックボックス207のチェック、または画像編集ボタン200による編集が行われ、ステップS17にてボックスチェック状態及び編集結果を第iのカプセル画像データ103(i)に反映させるかどうかを、画像表示エリア204に設けられた更新ボタン209がマウス58等によるポインタ208の操作で選択されたかどうかで判断する。
【0063】
更新ボタン209が選択されると、ステップS18にて第iのカプセル画像データ103(i)の編集結果を反映させ、かつ、保存属性及び消去防止属性が付与されてデータベース部60内の患者bの第iのカプセル画像データ103(i)が更新/保存される。
【0064】
なお、保存属性は保存チェックボックス206がチェックされている場合、また消去防止属性は読み取り専用チェックボックス207がチェックされている場合に、それぞれ第iのカプセル画像データ103(i)に付与される。
【0065】
なお、デフォルトでは読み取り専用チェックボックス207がチェック済みとなっており、意識的に読み取り専用チェックボックス207のチェックを消さない限り消去防止属性が付与され、意図しない操作により画像データが消去されることを防止している。
【0066】
そして、ステップS19にてiをインクリメントし、ステップS20にてiがnを超えたかどうか判断し、iがn以下ならばステップS15に戻り、iがnを超えたならば図7のステップS21に進む。
【0067】
患者bのカプセル検査データ105の全てのカプセル画像データ103に対して上記処理により属性付与あるいは編集がなされると、図11に示すようなデータ転送指示ウインドウ210がウインドウ201上に表示され、ステップS21にてこのデータ転送指示ウインドウ210の転送ボタン211がマウス58等によるポインタ208の操作で選択されると、ステップS22にてデータサーバ7に保存属性を有する全カプセル画像データを転送する。
【0068】
データサーバ7では、図12に示すように、患者データを有するヘッダ部101及び保存属性を有する全カプセル画像データ103とをカプセル検査保存データ220としてデータベース化して大容量記録装置7aに格納する。
【0069】
なお、図12は、第1、第3、第6、…、第kのカプセル画像データ103(1)、(3)、(6)、…、(k)に保存属性が付与された際の患者bのカプセル検査保存データ220の構造を示している。
【0070】
また、図13は、例えば内視鏡検査システム8aにて得られた患者A,B,…,の内視鏡画像データからなる内視鏡検査保存データ221A,221B,…,患者aの内視鏡検査保存データ221a及びカプセル検査保存データ220a、患者bの内視鏡検査保存データ221bに続いて、上記の処理により患者bのカプセル検査保存データ220bがデータサーバ7の大容量記録装置7aに格納された状態を示している。
【0071】
続いて、ステップS23にて記録装置5にDVD装置を介してDVD62がマウントされているかどうか判断し、DVD62がマウントされている場合には、ステップS24にて患者bの記録装置5のデータベース部60に記録されている患者bの全てのカプセル画像データ103(ヘッダ部101の患者データを含む)をDVD62にダウンロードしてバックアップし全のカプセル画像データ103の消去防止属性を無効としてステップS25に進み、DVD62がマウントされていない場合には、そのまま処理を終了する。
【0072】
そして、ステップS25にて、図14に示すように、患者bのカプセル検査データ105を表示装置5のデータベース部60より消去し、処理を終了する。
【0073】
(効果)
このように本実施例によれば、記録装置4では、カプセル画像データ103を記録装置4より表示装置5のデータベース部60に転送すると、PCカードメモリ45を初期化するので、PCカードメモリ45を次の検査に容易かつ効率的に使用できる。
【0074】
また、表示装置5では、データベース部60の患者bのカプセル検査データ105をデータサーバ7に転送し、全てのカプセル画像データ103がDVD62にダウンロードされ、データのバックアップされると、データベース部60より患者bのカプセル検査データ105を消去するので、図14に示したように、データベース部60の空き領域250が増えるので、データベース部60を効率的に使用できる。
【0075】
さらに、データサーバ7では、表示装置5より転送されるカプセル検査保存データ220が、表示装置5において保存を要するカプセル画像データ103のみからなるために、データサーバ7の記録領域を効率的に使用できる。
【実施例2】
【0076】
図15及び図16は本発明の実施例2に係わり、図15は記録装置のPCカードメモリに格納されるデータのデータ構造を示す図、図16は図15の病院ID及び医師IDの認証を実行し記録装置から表示装置へのデータ転送を行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
実施例2は、実施例1とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明する。
【0078】
(構成・作用)
図15に示すように、本実施例では、カプセル検査データ105のヘッダ部101が病院を識別する病院ID及び医師を識別する医師IDからなるIDデータ領域300と患者データのための患者データ領域301からなり、病院ID、医師ID及び患者データは、検査前に予め表示装置5よりPCカードメモリ45上に格納される。
【0079】
そして、検査が終わり、PCカードメモリ45上に複数のカプセル画像データ103が記録されると、図16に示すように、ステップS31にて記録装置4と表示装置5とをUSBケーブル26を介して接続する。そして、表示装置5がカプセル画像データ103をダウンロードする際には、ステップS32にて記録装置4が表示装置5に対して病院ID及び医師IDを要求する。この要求に対して、ステップS33にて表示装置5より記録装置4に病院ID及び医師IDを送信すると、ステップS34にて表示装置5は表示装置5からの病院ID及び医師IDをヘッダ部101の病院ID及び医師IDと比較し、病院ID及び医師IDの認証を行い、病院ID及び医師IDが承認されるとステップS2に進み、ステップS32戻る。ステップS2〜S6の処理は実施例1(図3参照)と同じであるので説明は省略する。
【0080】
(効果)
このように本実施例では、実施例1の効果に加え、記録装置4から表示装置5へのカプセル画像データ103の転送許可を、患者データだけでなく、病院ID及び医師IDによりチェックするので、カプセル画像データ103のセキュリティ管理を向上させることができる。
【0081】
なお、上記各実施例では、第1の生体情報格納手段をPCカードメモリ45より構成し記録装置4に設け、第2の生体情報格納手段をデータベース部60より構成し表示装置5に設け、さらに第3の生体情報格納手段を大容量記録装置7aより構成しデータサーバ7に設けるとしたが、これに限らず、以下の構成例(1)〜(5)ように、構成しても良い。
【0082】
構成例(1):
図17に示すように、第1の生体情報格納手段であるデータベース部60と第2の生体情報格納手段である大容量記録装置7aとを表示装置5に設けてカプセル型医療システム1を構成する。
【0083】
構成例(2):
図18に示すように、第2の生体情報格納手段である大容量記録装置7aを表示装置5に設けてカプセル型医療システム1を構成する。
【0084】
構成例(3):
図19に示すように、表示装置5にカプセル3との無線交信手段500を設け、第1の生体情報格納手段であるデータベース部60と第2の生体情報格納手段である大容量記録装置7aとを表示装置5に設けてカプセル型医療システム1を構成する。
【0085】
構成例(4):
図20に示すように、表示装置5にカプセル3との無線交信手段500を設けてカプセル型医療システム1を構成する。
【0086】
構成例(5):
図21に示すように、カプセル3に第1の生体情報格納手段をPCカードメモリ45を設け、カプセル3との無線交信手段500と第1の生体情報格納手段であるデータベース部60と第2の生体情報格納手段である大容量記録装置7aとを表示装置5に設けてカプセル型医療システム1を構成する。
【0087】
なお、上記各実施例では、生体情報としてカプセル(内視鏡)画像の静止画像を例に説明したが、これに限らず、カプセル(内視鏡)画像の動画像でもよく、またカプセル3に各種センサを設けることで、PHデータ、体温データ、血液/ヘモグロビン分析データ、飽和酸素濃度データ、タンパク質分析データ等を生体情報としてもよい。
【0088】
[付記]
(付記項1) 嚥下または体内挿入可能なカプセルから送られてきた複数の生体情報を受信する生体情報受信工程と、
前記生体情報受信工程で受信した前記複数の生体情報を第1の生体情報格納手段に格納する生体情報格納工程と、
前記第1の生体情報格納手段に格納された前記複数の生体情報のうちの所望の生体情報を選択する情報選択工程と、
前記情報選択工程で選択された前記所望の生体情報を第2の生体情報格納手段に送信する情報送信工程と
を備えたことを特徴とするカプセル型医療システムの生体情報格納方法。
【0089】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施例1に係るカプセル型医療システムの構成を示すブロック図
【図2】図1の記録装置及び表示装置の構成を示すブロック図
【図3】図2の記録装置のPCカードメモリに格納されるデータのデータ構造を示す図
【図4】図2の記録装置から表示装置へのデータ転送処理の流れを示すフローチャート
【図5】図4の処理で表示装置に転送され表示装置のデータベース部に格納されるデータのデータ構造を示す図
【図6】図1の表示装置でのデータ処理及びデータサーバへのデータ転送処理の流れを示す第1のフローチャート
【図7】図1の表示装置でのデータ処理及びデータサーバへのデータ転送処理の流れを示す第2のフローチャート
【図8】図5の処理で表示装置で生成されるカプセル内視鏡検査レポートを示す図
【図9】図5の処理で表示装置に展開されるウインドウを示す第1の図
【図10】図5の処理で表示装置に展開されるウインドウを示す第2の図
【図11】図5の処理で表示装置に展開されるウインドウを示す第3の図
【図12】図5の処理で生成されるカプセル検査保存データのデータ構造を示す図
【図13】図5の処理でデータサーバの大容量記録装置に格納されるデータのデータ構造を示す図
【図14】図5の処理で更新された表示装置のデータベース部内のデータのデータ構造を示す図
【図15】本発明の実施例2に係る記録装置のPCカードメモリに格納されるデータのデータ構造を示す図
【図16】図15の病院ID及び医師IDの認証を実行し記録装置から表示装置へのデータ転送を行う処理の流れを示すフローチャート
【図17】図1のカプセル型医療システムの第1の変形例の構成を示すブロック図
【図18】図1のカプセル型医療システムの第2の変形例の構成を示すブロック図
【図19】図1のカプセル型医療システムの第3の変形例の構成を示すブロック図
【図20】図1のカプセル型医療システムの第4の変形例の構成を示すブロック図
【図21】図1のカプセル型医療システムの第5の変形例の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0091】
1…カプセル型医療装置
3…カプセル(型体内ユニット)
4…記録装置
5…表示装置
6…体外装置
7…データサーバ
7a…大容量記録装置
8a…内視鏡システム
8b…カンファレンスユニット
8c…予約システム
9…院内LAN
10…収納容器
11…照明&観察窓
12…対物光学系
13…白色LED
14…CMOSセンサ
15…信号処理回路
16…通信回路
17…電池
18…アンテナ
19…スイッチ
21a〜21c…アンテナ
22…アンテナユニット
23…筐体
24…記録処理ブロック
25…電源ブロック
26…USBケーブル
32…アンテナセレクタ
33…RF回路
40,41…CPU
42…RTC
43…アドレスセレクタ
45…PCカードメモリ
48、51…USB I/F部
52…CPU
54…映像信号発生回路
55…モニタ
57…キーボード
58…マウス
59…入力I/F回路
60…データベース部
61、63…通信I/F部
62…DVD
70…バス
代理人 弁理士 伊藤 進

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嚥下または体内挿入可能で複数の生体情報を取得するカプセル型医療手段と、
前記カプセル型医療手段から送られてきた前記複数の生体情報を受信する生体情報受信手段と、
前記生体情報受信手段が受信した前記複数の生体情報を格納する第1の生体情報格納手段と、
前記第1の生体情報格納手段に格納された前記複数の生体情報のうちの所望の生体情報を選択する情報選択手段と、
前記情報選択手段で選択された前記所望の生体情報を第2の生体情報格納手段に送信する情報送信手段と
を備えたことを特徴とするカプセル型医療システム。
【請求項2】
前記第1の生体情報格納手段に格納される前記複数の生体情報は、症例を判別する症例情報を有し、消去を禁止する消去禁止属性を付与され格納され、
前記情報送信手段による前記所望の生体情報の送信が完了すると、前記消去禁止属性を無効とする情報格納制御手段
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型医療システム。
【請求項3】
前記第1の生体情報格納手段に格納される前記複数の生体情報は、症例を判別する症例情報を有し、消去を禁止する消去禁止属性を付与され格納され、
前記第1の生体情報格納手段に格納された前記複数の生体情報を記録する、着脱自在で、再書込みのできない情報記録手段と、
前記情報記録手段に前記第1の生体情報格納手段に格納された前記複数の生体情報を保存すると、前記消去禁止属性を無効とする情報格納制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカプセル型医療システム。
【請求項4】
前記生体情報は体腔内の画像データである
ことを特徴とする請求項1、2または3のいずれか1つに記載のカプセル型医療システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−20971(P2006−20971A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203836(P2004−203836)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】